JP2010030844A - 窒化炭素多孔体(mcn)を製造する方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 孔径、比表面積および比孔容量が制御された窒化炭素多孔体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 本発明による窒化炭素多孔体(MCN)を製造する方法は、シリカ多孔体SBA−15とエチレンジアミンと四塩化炭素との混合物を重合化する工程であって、前記SBA−15は1×10℃以上1.5×10℃以下の温度で水熱処理されている、工程と、重合化する工程によって得られた重合体を炭化する工程と、炭化する工程によって得られた複合体からシリカ多孔体を除去する工程とからなることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、窒化炭素多孔体の製造方法に関し、より詳細には、空間群p6mmを有するシリカ多孔体SBA−15と窒素及び炭素を含む原材料とが混合されて重合化された重合体を炭化し、その後に前記シリカ多孔体を除去する窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法に関し、テンプレートとしてシリカ多孔体SBA−15を用いた窒化炭素多孔体の製造方法に関する。
近年、種々のシリカレプリカを用いて製造されたナノスケールの細孔を有する多孔体が注目されている。中でも、窒素を含有する炭素系多孔体は、吸着剤、分離剤、触媒単体、バッテリ電極、キャパシタ、エネルギー格納体等の種々の応用が期待されており、研究が盛んに行われている。
本願発明者は、SBA−15を用いた窒化炭素多孔体の製造方法を開発した(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1によれば、窒素含有量の高い窒化炭素多孔体を得ることができるものの、用途に応じて孔径、比表面積および比孔容量が制御された窒化炭素多孔体を得るには至っていない。
特開2006−124250号公報
したがって、本発明の目的は、孔径、比表面積および比孔容量が制御された窒化炭素多孔体を製造する方法を提供することである。なお、本明細書において「窒化炭素」とはCの化学式を有する材料に限定されず、窒素原子および炭素原子からなる任意の化学式を有する材料を意図する。
発明1の窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法は、用いるシリカ多孔体SBA−15は、水熱処理により空間群p6mmを有さしめており、その水熱処理温度を空間群p6mmを有する範囲内において選定して、その孔径、比表面積および比孔容量を調整してあることを特徴とする。
発明2は、発明1の窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法において、前記水熱処理温度を1×10℃以上1.5×10℃以下の範囲で選択することを特徴とする。
発明31は、発明1又は2の窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法において、前記原材料がエチレンジアミンと四塩化炭素であることを特徴とする。
発明4は、発明3の方法において、前記原材料においてエチレンジアミンと四塩化炭素との質量比は、0.3以上0.9以下であることを特徴とする。
本発明により、窒化炭素多孔体の単位格子定数、比表面積、比孔容量および孔径を、それぞれ以下の範囲内の所望値にして製造することができた。
単位格子定数9.5nm〜10.5nm、比表面積5×10/g〜8.3×10/g、比孔容量0.55cm/g〜1.25cm/gおよび孔径4.0nm〜6.5nm
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法を示すフローチャートである。工程ごとに説明する。
工程S110:シリカ多孔体SBA−15とエチレンジアミン(EDA)と四塩化炭素(CTC)との混合物を重合化する。
重合化は、大気中、70℃〜150℃の温度範囲から選択される温度範囲で1時間〜6時間加熱することによって行われる。加熱には、ホットプレート等の任意の加熱手段が用いられ得る。この加熱によって混合物のうちEDAが重合化され、重合化されたEDAを含む混合物が還流され、重合体が得られる。次いで、これらを攪拌することによってSBA−15の細孔に混合物が位置することになる。これにより良好に配列した窒化炭素多孔体(MCN)が得られる。
SBA−15は、一次元中型細孔が微細孔に互いに連結された構造を有する。本発明で用いるSBA−15は、1×10℃以上1.5×10℃以下の温度で水熱処理されている。これにより、1×10℃以上1.5×10℃以下の温度で水熱処理されたSBA−15は、空間群p6mmであり、10.30nm〜10.83nmの範囲の単位格子定数、3.9×10/g〜9×10/gの比表面積、1.1cm/g〜1.2cm/gの比孔容量および9.00〜11.2nmの孔径を有する。
このようなSBA−15を用いれば、空間群p6mmを有する窒化炭素多孔体(MCN)が確実に得られる。また、SBA−15は、上記温度範囲で水熱処理されていれば、単位格子定数、比表面積、比孔容量および孔径について広い範囲の特性を有するので、得られるMCNもまたこれらを反映した広い範囲の特性を有することができる。例えば、高温で水熱処理されたSBA−15を用いた場合には、大きな孔径を有するMCNが得られ、低温で水熱処理されたSBA−15を用いた場合には、小さな孔径を有するMCNが得られる。より詳細には、単位格子定数9.5nm〜10.5nm、比表面積5×10/g〜8.3×10/g、比孔容量0.55cm/g〜1.25cm/gおよび孔径4.0nm〜6.5nmの範囲で制御可能な窒化炭素多孔体を得ることができる。このように、上記温度範囲で水熱処理されたSBA−15を適宜選択することによって所望の特性を有するMCNを得ることができるのは、用途に応じた設計が可能になるので好ましい。
より好ましくは、EDAとCTCとの重量比が0.3以上0.9以下となるように調整される。この範囲であれば、SBA−15の構造配向性を維持し、窒素含有量が制御されたMCNが得られる。EDAとCTCとの重量比が0.3を下回ると、後述の重合化が不十分となりMCNが得られない場合がある。また、EDAとCTCとの重量比が0.9を超えると、ゲル状の材料が得られ目的とするMCNが得られない場合がある。
例えば、EDAとCTCとの重量比が小さいほど、小さな単位格子定数、面間隔および孔径を有し、かつ、大きな比孔容量および窒素含有量を有するMCNが得られ、重量比が大きいほど、大きな単位格子定数、面間隔および孔径を有し、かつ、小さな比孔容量および窒素含有量を有するMCNが得られる。一方、EDAとCTCとの重量比が0.45においてもっとも大きな比表面積(約8.2×10/g)を有するMCNが得られ、EDAとCTCとの重量比が0.45を境に比表面積は減少する。より詳細には、単位格子定数9.5nm〜11.5nm、比表面積5.5×10/g〜8.2×10/g、比孔容量0.7cm/g〜1.5cm/g、孔径3.2nm〜5.7nm、および、窒素含有量(炭素原子と窒素原子との比)3.3〜4.3の範囲で制御可能な窒化炭素多孔体を得ることができる。このように、SBA−15の水熱処理温度に加えて、EDAとCTCとの重量比を調整することによって、所望の特性を有するMCNが得られる。
工程S120:工程S110で得られた重合体を炭化する。炭化は、窒素雰囲気下または不活性ガス雰囲気下、5×10℃〜8×10℃の温度範囲から選択される温度範囲で4時間〜8時間加熱することによって行われる。加熱には、電気炉等の任意の加熱手段が用いられ得る。この加熱によって、重合化されたEDAがCTCによって炭化される。このようにして、SBA−15の細孔内に得られた反応物が、窒化炭素多孔体(MCN)である。なお、炭化する前に、重合体を乾燥させ、微粒子化してもよい。これによって炭化時間を短縮させることができる。
工程S130:工程S120で得られた炭化物からシリカ多孔体SBA−15を除去する。フッ酸またはアルカリ水溶液を用いてSBA−15をろ過することによって、生成物であるMCNのみを抽出することができる。なお、SBA−15を溶解させることができる任意のアルカリ水溶液を用いることができる。
工程S130の後、抽出された生成物を洗浄し乾燥してもよい。洗浄には、純水、蒸留水、または、エタノールが用いられる。乾燥は、ホットプレート等の任意の加熱手段を用いて行われ得る。
なお、工程S110で用いるシリカ多孔体SBA−15は、以下の手順で製造される。ポリエチレングリコール−ブロック−ポリプロピレングリコール−ブロック−ポリエチレングリコール(Pluronic P123, 分子量=5800, EO20PO20EO20)の両親媒性トリブロックコポリマと、酸と、ケイ素源とを混合・攪拌し、ゲルを得る。酸は、例えば、塩酸であり、ケイ素源は、例えば、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)であるが、これらに限定されない。
ゲルを1×10℃以上1.5×10℃以下の温度範囲で水熱処理し、反応させる。反応時間は10時間〜24時間である。反応物を大気中540℃で焼成し、トリブロックコポリマを分解することにより、SBA−15が得られる。
図2は、本発明による窒化炭素多孔体(MCN)の模式図である。
窒化炭素多孔体(MCN)200は、窒化炭素からなる柱部(図2では円柱状の棒片で示される)と架橋部(図2では円柱状の小片で示される)とを含む。柱部は、六角形状に規則的に配列している。架橋部は、柱部に比べて極めて小さく、柱部を互いに結合している。これら柱部および架橋部は、いずれも窒化炭素からなる。MCN200において孔径は、柱部間の距離を意図する。本発明によるMCN200の孔径は、上記方法を採用すれば3.2nm〜6.5nmである。このような孔径は、種々の有機物、たんぱく質等の生体物質、ビタミンおよびアミノ酸等の直径に相当することから、これら物質をMCN200のメソポア中に固定化することができる。MCN200の比表面積は、5×10/g〜8.3×10/gの範囲を有し、外部物質の多量かつ繊細な吸着やそれに基づく物質センシングにに有利であり得る。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
テンプレートであるシリカ多孔体SBA−15を製造した。ポリエチレングリコール−ブロック−ポリプロピレングリコール−ブロック−ポリエチレングリコール(Pluronic P123, 分子量=5800, EO20PO20EO20, Aldrich製)の両親媒性トリブロックコポリマ(4g)を塩酸水溶液(120mL、2M)に分散させ、5時間攪拌した。
その後、テトラエチルオルソシリケート(TEOS、9g)を加え、攪拌し、ゲルを得た。ゲルを40℃で24時間エージングした後、100℃、130℃および150℃で24時間水熱処理し、反応させた。水熱処理・反応後、得られた各反応物を大気中540℃で焼成し、トリブロックコポリマを分解した。このようにして得られたSBA−15を、SBA−15−T(T=100、130および150)と称する。Tは、水熱処理・反応温度を示す。
SBA−15−Tについて、Rigaku回折計を用いて粉末X線回折を行った。線源にはCuKα放射(λ=0.154nm)を用い、2θ=0.8°〜8°の範囲をステップ時間1秒で測定した。測定結果を図3に示す。
図3は、実施例1によるSBA−15−T(T=100、130および150)のXRDパターンを示す図である。
いずれのXRDパターンも3つの明瞭な回折ピークを示した。回折ピークは、それぞれ低角側から(100)、(110)および(200)と指数付けされた。このことから、得られたSBA−15−Tは、いずれも、二次元六方晶格子(p6mm)であることが確認された。また、水熱処理温度が高温になるにしたがって、回折ピークが低角側にシフトすることが分かった。これは、面間隔dおよび単位格子定数が増大していることを示す。さらに、水熱処理温度が高温になるにしたがって、(110)の相対強度は増加し、(200)の相対強度は減少することが分かった。特に、SBA−15−150の(110)の相対強度がより高いことから、SBA−15−150の壁厚は、他のSBA−15−100および130に比べて薄いことが示唆される。表1に図3のXRDパターンから算出される単位格子定数を示す。
SBA−15−Tについて、比表面積・細孔分布測定装置(Autosorb 1、Quantachrome、USA)を用いて窒素吸脱着等温線(図示せず)を測定した。Barrett−Joyner−Halenda法により孔径分布、Brunauer−Emmett−Teller(BET)法により比表面積、および、孔容量を算出した。これらの結果を表1にまとめて示す。
表1から水熱処理温度が増加するにつれて、単位格子定数および孔径の増大、および、比表面積の減少が示される。
次に、実施例1のシリカ多孔体をテンプレートに用いて、窒化炭素多孔体(MCN)を製造した。
図4は、窒化炭素多孔体を製造するプロシージャを示す図である。
図4を参照し、MCNを製造するプロシージャを説明する。実施例1で得られたSBA−15−100(0.5g)と、エチレンジアミン(EDA、1.35g、Aldrich製)と、四塩化炭素(CTC、3g、Aldrich製)とを混合し、混合物(ゲル)を得た。ここで、ゲル中のEDAとCTCとの重量比は、0.45であった。
混合物を90℃で6時間還流・攪拌し、重合させた。得られた重合体は、暗褐色であった。重合体を12時間オーブンで乾燥させ、粉末化した。次に、粉末化された重合体を、50mL/分で窒素フローしながら、昇温速度3℃/分で600℃まで加熱し、600℃で5時間保持し、炭化した。
得られた炭化物(複合体)をフッ酸(5wt%)に溶解させ、残留するSBA−15−100を除去し、ろ過した。得られた試料をエタノールで数回洗浄し、100℃で乾燥させた。このようにして得られたMCNをMCN−1−100(またはMCN−1−100−0.45)と称する。
MCN−1−100について、粉末X線回折(XRD)を行った。線源にはCuKα放射(λ=0.154nm)を用い、2θ=0.8°〜10°の範囲および2θ=10°〜80°の範囲をそれぞれステップ時間1秒で測定した。測定結果を図5および図6に示し、後述する。
MCN−1−100について、比表面積・細孔分布測定装置(Autosorb 1、Quantachrome、USA)を用いて窒素吸脱着等温線を測定した。サンプルを250℃で3時間デガスした後に−196℃にて測定した。結果を図8に示し、後述する。また、Barrett−Joyner−Halenda法を用いて、吸脱着等温線の吸着分岐から孔径分布を求めた。結果を図9に示し、後述する。さらに、窒素吸脱着等温線からBrunauer−Emmett−Teller(BET)法を用いて、比表面積を算出した。これらの結果を表3にまとめて示す。
MCN−1−100の表面モルフォロジを、高解像度走査型電子顕微鏡(HRSEM、Hitachi S−4800)を用いて観察した。観察時の加速電圧は5.0kVであった。観察結果を図10に示し後述する。
MCN−1−100について、Gatan−766エネルギー損失分光光度計およびYanaco MT−5 CHN分析装置を用いて、エネルギー損失(EEL)および元素分析を行った。結果を図15および表4に示し後述する。
MCN−1−100について、200W Mg Kαプローブビームを備えたX線光電子分光装置(PHI−5400)を用いてX線光電子分光分析(XPS)を行った。測定に先立って、試料を高真空下にさらし、分析チャンバに設置した。測定はパスエネルギー20eVで行い、C1sおよびN1sスペクトルを記録した。なお、良好な信号対ノイズ比が得られるまで各スペクトル領域を繰り返し測定した。結果を図16に示し後述する。
MCN−1−100について、フーリエ変換赤外分光光度計(Nicolet Nexus 670)を用いて赤外吸収スペクトル(FT−IR)を測定した。測定は、KBrペレット法を採用し、測定波長領域4000cm−1〜950cm−1において、解像度2cm−1、平均200スキャン、透過モードで行った。なお、分光光度計のチャンバを連続的に乾燥大気でパージし、水蒸気を除去した。結果を図19に示し後述する。
MCN−1−100について、UV−vis吸収スペクトルを測定した。測定結果を図20に示し、後述する。
実施例1で得られたSBA−15−130をテンプレートとして採用した以外は、実施例2と同様であるため説明を省略する。実施例2と同様に、ゲル中のEDAとCTCとの重量比は、0.45であった。このようにして得られたMCNをMCN−1−130(またはMCN−1−130−0.45)と称する。
MCN−1−130について、実施例2と同様に、XRD、比表面積・細孔分布測定、HRSEM、EEL、XPSおよびFT−IRスペクトルを測定した。これらの測定結果を図5、図6、図8、図9、図11、図15、図17、図19、表3および表4に示し後述する。
さらに、Gatan−766エネルギー損失分光光度計を備えた高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM、JEOL−3000FおよびJEOL−3100FEF)を用いて、MCN−1−130の観察を行った。2分〜5分間エタノール中で超音波処理したMCN−1−130をCu製格子上に堆積させて測定用試料とした。測定時の加速電圧は200kVであった。観察結果を図13に示し後述する。
MCN−1−130について、Bruker分光光度計を用いて13C NMRスペクトルを測定した。動作周波数75.49MHzとし双極子デカップリングマジック角回転を用いて、13Cスペクトルを得た。なお、リファレンスとしてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。結果を図21に示し後述する。
MCN−1−130(−0.45)について、触媒活性を調べた。アシル化剤として塩化ヘキサノイルを、溶媒としてヘプタンを用い、ベンゼンのフリーデル−クラフツアシル化反応を行った。具体的には、ベンゼン(150mg)と、塩化ヘキサノイル(50mg)と、ヘプタン(5g)中のMCN(25mg)との混合物を90℃で20時間攪拌した。得られた生成物をガスクロマトグラフィ(Shimadzu製GC−2010)により分析した。結果を表7に示し詳述する。
実施例1で得られたSBA−15−150をテンプレートとして採用した以外は、実施例2と同様であるため、説明を省略する。実施例2と同様に、ゲル中のEDAとCTCとの重量比は、0.45であった。このようにして得られたMCNをMCN−1−150(またはMCN−1−150−0.45)と称する。
MCN−1−150について、実施例3と同様に、XRD、比表面積・細孔分布測定、HRSEM、EEL、XPS、FT−IRスペクトル、HRTEMおよび13Cスペクトルを測定した。結果を図5、図6、図8、図9、図12、図14、図15、図18、図19、図21、表3および表4に示し後述する。
実施例2〜4の実験条件を表2にまとめて示す。
図5は、実施例2〜4の各MCNの低角側のXRDパターンを示す図である。
図5のXRDパターンと、図3のXRDパターンとを比較すると、メインピークの位置および質が異なることが分かった。詳細には、MCN−1−100およびMCN−1−130のXRDパターンは、(100)、(110)および(200)に指数付けされる明瞭な3つの回折ピークを示し、テンプレートのSBA−15−100およびSBA−15−130のXRDパターンに良好な一致を示した。このことから、MCN−1−100およびMCN−1−130は、テンプレートを除去後も、高配向した二次元六方晶多孔体であり、空間群がp6mmであることが示された。すなわち、MCN−1−100およびMCN−1−130は、図2に模式的に示すように、壁に存在するミクロ孔で連結された円柱状の孔が六方晶に配列した構造を有する。
一方、MCN−1−150のXRDパターンは、シャープな(100)ピークと弱い(110)ピークとのみを示した。これは、表1に示されるように、テンプレートのSBA−15−150の孔径が増大したことによって、XRDパターンにおいて、得られるMCN−1−150のより高次の回折を損なっているものと考えられる。
さらに、MCN−1−150の(110)ピークの強度は、他のMCN−1−100およびMCN−1−130のそれと比較してはるかに低い。これは、孔径の大きなSBA−15−150へのEDAおよびCTCの充填が不十分であったために、MCNが存在しない部分があるためである。そのため、MCNの内部と外部との間のX線回折の干渉によってピーク強度が低下する。しかしながら、MCN−1−150の(100)ピークは、シャープかつ明瞭であることから、テンプレートのSBA−15−150は構造上の配向性を維持しているものと類推できる。
次に、テンプレートの孔径の増加(すなわち、水熱処理温度が高温になる)にともなって、得られるMCNの回折ピークは、低角側にシフトした。すなわち、水熱処理温度が高いテンプレートを用いるほど、得られるMCNの面間隔dおよび単位格子定数aが増大することが分かった(表3)。より詳細には、MCN−1−100、MCN−1−130およびMCN−1−150の単位格子定数aは、それぞれ、9.52nm、10.18nmおよび10.50nmと算出された。
図6は、実施例2〜4はのMCNの高角側のXRDパターンを示す図である。
いずれのMCNも、低角側の回折ピークに加えて、高角側、すなわち25.8°付近に単一のブロードな回折ピークを示した。この回折ピークは、面間隔dが3.42Åの中間相に相当し、多孔性でない窒化炭素球体で得られる面間隔dに一致した。このことから、得られたMCNの壁構造を考察した。
図7は、本発明によるMCNの壁構造の模式図である。
図5および図6のXRDパターンから、本発明によって得られたMCNは、窒素原子が均一に分散し、グラフェン層に炭素原子と窒素原子との乱層配列が存在する、図7に示されるような壁構造を有することが分かった。
図8は、実施例2〜4の各MCNの窒素吸脱着等温線を示す図である。
図9は、実施例2〜4の各MCNのBJH孔径分布を示す図である。
表3には、実施例2〜4の各MCNの図5、図8および図9から算出した単位格子定数、比表面積、比孔容量および孔径をまとめて示す。
図8の等温線によれば、いずれも、H2型ヒステリシスループを有し、IUPACによるタイプIVに分類され、メソポアにおける毛細凝縮を特徴とする。このことから、得られたMCNは、いずれも、良好に配向したメソポアが存在する多孔体であることが分かった。詳細には、MCNの単位格子定数が大きくなるにつれて(すなわち、MCN−1−100、MCN−1−130、MCN−1−150の順に)、毛細凝縮ステップの位置は、相対圧力の低圧側から高圧側へとシフトした。特に、MCN−1−150の毛細凝縮ステップの位置は、もっとも高圧側にシフトし、孔径の拡大を示す。このことは、孔径の増加とともに、図5で説明した面間隔dの増加にも一致する。
図9の孔径分布によれば、テンプレートの孔径の増加にともなって(すなわち、SBA−15−100、SBA−15−130、SBA−15−150の順に)、MCNの孔径も増大した(すなわち、MCN−1−100、MCN−1−130、MCN−1−150の順)。
詳細には、MCN−1−150の孔径分布のピークの半値幅は、MCN−1−100およびMCN−1−130のそれよりもはるかに大きかった。MCN−1−150は、もっとも大きな孔径を有しており、その孔径は約6.4nmであった。これは、孔径の大きなテンプレートSBA−15−150を用いたにもかかわらず、EDAとCTCとの重量比を孔径の小さなテンプレートSBA−15−100の場合と同じ0.45を採用したため、テンプレートに十分にEDAおよびCTCを充填できなかったためと考えられる。
再度、図8に戻り、MCN−1−130の等温線を参照すると、MCN−1−130の等温線の形状は、MCN−1−100およびMCN−1−150のそれとは異なる。MCN−1-130における等温線のシャープな上昇は、相対圧力0.8より高温側で生じた。このことは、MCN−1−130内に組織状のメソポアが存在していることを示唆する。
図10は、実施例2のMCN−1−100のHRSEM像を示す図である。
図11は、実施例3のMCN−1−130のHRSEM像を示す図である。
図12は、実施例4のMCN−1−150のHRSEM像を示す図である。
図10〜図12を比較すると、図11(MCN−1−130)には、空隙(ボイド)が多数見られ、図10(MCN−1−100)および図12(MCN−1−150)には空隙は少なかった。図11によれば、空隙は均一に試料全体にわたって存在していることが分かる。
さらにMCN−1−130に注目すると、表3によれば、MCN−1−130の比表面積および比孔容量は、MCN−1−100およびMCN−1−150のそれらよりもはるかに大きいことが分かった。具体的には、MCN−1−130の比表面積および比孔容量は、それぞれ、830m/gおよび1.25cm/gであった。一方、MCN−1−100およびMCN−1−150の比表面積および比孔容量は、それぞれ、505m/gおよび0.55cm/g、および、650m/gおよび0.89cm/gであった。
図13は、実施例3のMCN−1−130のHRTEM像を示す図である。
図14は、実施例4のMCN−1−150のHRTEM像を示す図である。
図13および図14にはMCNの平面(左図)および断面(右図)を示す。図中、明るいコントラストの細長い片(ストリップ)は孔壁を表し、暗いコントラストの芯(コア)は空のチャネルを表す。なお、コントラストのパターンは、レンズのぴんぼけを調整させることにより変化することに留意されたい。
図13および図14の平面図によれば、いずれのMCNも、500nm以上の長さの規則的な管が列状に並んだメソポアの線形配列を示す。図13および図14の断面図によれば、いずれのMCNも、均一な多孔体チャネルとともに、六方晶配列したハニカム状構造を示す。図13および図14の断面図から、MCN−1−150の孔径は、MCN−1−130のそれよりも大きく、図9の結果に一致する。
図15は、実施例2〜4の各MCNの電子エネルギー損失(EEL)スペクトルを示す図である。
表4は、実施例2〜4の各MCNの元素分析の結果を示す。EELスペクトルおよびCHN分析から算出される炭素原子と窒素原子との比は、4.3±0.05と算出された。この値は、化学重合法によって得られる無孔窒化炭素の値に良好に一致する。
また、表4によれば、Hおよび他の元素(Si、OまたはCl)が、テンプレートの除去後もMCN中に存在することが分かった。微量のHは、MCNの表面に吸着した水分またはエタノール、または、(後述される)MCN母体中のNH基によるものである。
図15に示されるように、いずれのMCNのEELスペクトルの形状は同様であり、C−KエッジおよびN−Kエッジを示した。C−KエッジおよびN−Kエッジは、それぞれ、284eVおよび401eVに位置した。284eVにおけるピークは、1sからπへの遷移に起因しており、窒素原子に結合したトリゴナルsp混成炭素原子に起因する。一方、296eVを中心とするブロードなピークも見られるが、このピークは、軌道1s−σからの遷移に起因する。C−Kエッジに特徴的なσは、いずれのMCNにおいもて炭素原子がsp混成であることを示す。また、295eVにシャープなピークが存在しないことから、いずれのMCNにおいてもspC−N結合が存在しないことが分かった。N−Kエッジは、窒素原子が炭素とsp混成であることを示しており、C−Kエッジの解析結果に一致する。また、いずれのEELスペクトルも、酸素を含有する窒化炭素に見られる500eV以上のピークを示しておらず、得られたMCNが、主としてCおよびNから構成されていることを示す。
図16は、実施例2のMCN−1−100のC1sおよびN1sスペクトルを示す図である。
図17は、実施例3のMCN−1−130のC1sおよびN1sスペクトルを示す図である。
図18は、実施例4のMCN−1−150のC1sおよびN1sスペクトルを示す図である。
図16〜図18によれば、いずれのMCNのC1sおよびN1sスペクトルの形状、および、ピーク位置も同様であった。このことから、得られたMCNの性質および配位は、テンプレートに用いたSBA−15の孔径に影響されないことがわかった。なお、図16〜図18には、各MCNのCN母体中の炭素原子と窒素原子との間の化学結合の詳細を調べるために、C1sピークおよびN1sピークをGaussian−Lorenzian形へ逆重畳積分したスペクトルが示されている。
C1sピークは、289.3eV、285.7eVおよび284.1eVの3つの結合エネルギーを有するピークに逆重畳積分された。一方、N1sピークは、397.8eVおよび400.2eVの結合エネルギーを有する2つのピークに逆重畳積分された。
図16〜図18のC1sスペクトルを参照すると、284.1eVを中心とするピークが、いずれのMCNにおいても観察される。このピークは、極めてシャープでもっとも高い強度を有する。このピークは、非晶質CN母体における純粋なグラファイトサイトに起因する。一方、285.7eVを中心とするピークは、芳香族構造内にある炭素原子に結合したsp炭素原子に起因する。289.3eVを中心とするピークは、NH基に結合する芳香環内のsp混成炭素原子に起因する。これらの結果は、無孔窒化炭素で報告されている値に良好に一致した。
図16〜図18のN1sスペクトルを参照すると、397.8eVおよび400.2eVを中心とするピークは、MCN中に2種類の炭素原子が存在することを示す。詳細には、397.8eVを中心とするピークは、グラファイト炭素原子と結合した窒素原子に起因し、400.2eVを中心とするピークは、sp炭素原子に三回対称で結合した炭素原子に起因するか、または、sp炭素原子および水素原子と結合した炭素原子に起因する。さらに、401eVより高結合エネルギー側にピークがないことから、MCNは、窒素分子から形成されるN−N結合配位を有さないことが分かった。これらの結果は、C1sスペクトルについて得られた結果と良好に一致する。
N1sスペクトルの強度から、MCN中の窒素原子の相当量が、炭素原子と結合していることが分かる。さらに、図16〜図17から算出される窒素原子量が、CHN分析から得られる値に一致することを確認した。このことからも、窒素原子は、炭素原子と結合し、特に、MCNの外側のCN層中に均一に分散していることが示唆される。
テンプレート除去後のMCNのXPS測定によれば、Oについて顕著なピークを示したが、C、NおよびOを除く他の元素については何らピークを示さなかった(図示せず)。このことから、得られたMCNにおいて検出される他の元素は、MCNの表面に吸着した水分、エタノール、大気OまたはCOによる酸素原子に起因すると推定できる。
図19は、実施例2〜4の各MCNのFT−IRスペクトルを示す図である。
図19によれば、1257cm−1、1571cm−1および3412cm−1を中心とする主要な3つのブロードなバンドを示した。これらのバンドは、それぞれ、芳香族C−N伸縮結合、芳香環モードバンド、芳香環内にあるN−H基の伸縮モードに起因する。これらの結果は、無孔窒化炭素の結果と類似していることを確認した。
図20は、実施例2のMCN−1−100のUV−vis吸収スペクトルを示す図である。
図20によれば、255nmおよび275nmを最大とする2つのピークを示した。これらのピークは、いずれも、典型的な、芳香族1,3,5−トリアジン化合物におけるπ→π電子遷移に起因する。さらに、MCN−1−100の吸収特性は、ナノポーラス窒化炭素材料のそれに類似していることが分かった。
図21は、実施例3および4の各MCNのDD−MASスペクトルを示す図である。
図21から得られたMCNの壁構造における炭素原子および窒素原子の性質および環境を調べた。いずれのスペクトルもショルダーを伴うシャープなピークを示した。このピークは、124ppmおよび141ppmの化学シフトを有する2つのピークに逆重畳積分され得る。124ppmの化学シフトは、グラファイト炭素層におけるsp炭素原子に起因し、141ppmの化学シフトは、末端NH基に結合した芳香環における窒素原子に結合したsp炭素原子に起因する。なお、MCN−1−130およびMCN−1−150の固体状態15N分光分析も行ったが、各MCN中の窒素量が極めて低いため、15NDD−MASスペクトルは得られなかった。
以上、実施例2〜4を参照して、テンプレートであるSBA−15として、種々の水熱処理温度で処理されたSBA−15−Tを採用してMCNを製造した例を説明してきた。SBA−15の水熱処理温度が、130℃以上150℃以下の範囲であれば、空間群p6mmを有するMCNが得られることが分かった。また、高い水熱処理温度で合成されたSBA−15を採用すれば、大きな孔径を有するMCNが得られ、低い水熱処理温度で合成されたSBA−15を採用すれば、小さな孔径を有するMCNが得られることが分かった。さらに、130℃の水熱処理温度で合成されたSBA−15を採用すれば、もっとも比表面積および比孔容量の大きなMCNが得られることが分かった。これらより、種々の水熱処理温度で合成されたSBA−15をテンプレートとして適宜採用することにより、所望の孔径、比表面積および比孔容量を有するMCNを得ることができることが分かった。
ゲル中のEDAとCTCとの重量比を0.3とした以外は、実施例3と同様であるため説明を省略する。このようにして得られたMCNをMCN−1−130−0.3と称する。
MCN−1−130−0.3について、実施例3と同様に、XRD、比表面積・細孔分布測定、HRSEMおよび触媒活性を測定した。結果を図22〜図26、図29、表6および表7に示し、後述する。
ゲル中のEDAとCTCとの重量比を0.6とした以外は、実施例3と同様であるため説明を省略する。このようにして得られたMCNをMCN−1−130−0.6と称する。
MCN−1−130−0.6について、実施例3と同様に、XRD、比表面積・細孔分布測定、HRSEMおよび触媒活性を測定した。結果を図22〜図25、図27、図29、表6および表7に示し、後述する。
ゲル中のEDAとCTCとの重量比を0.9とした以外は、実施例3と同様であるため説明を省略する。このようにして得られたMCNをMCN−1−130−0.9と称する。
MCN−1−130−0.9について、実施例3と同様に、XRD、比表面積・細孔分布測定、HRSEM、EELおよび触媒活性を測定した。結果を図22〜図25、図28〜図30、表6および表7に示し、後述する。
実施例3および実施例5〜7の実験条件を表5にまとめて示す。
図22は、実施例5〜7の各MCNの低角側のXRDパターンを示す図である。
図22には実施例3のMCN−1−130−0.45のXRDパターンも合せて示す。いずれのMCNのXRDパターンも、二次元六方格子の空間群p6mmの(100)、(110)および(200)回折に指数付けされる2つの高次のピークを示した。このことから、いずれのMCNも長期の周期にわたって六方格子に配向した均一なメソポーラス構造を有しており、ゲル中のEDAとCTCとの重量比を変化させても、構造配向性に影響がないことが分かった。
より詳細には、ゲル中のEDAとCTCとの重量比が増加するにつれて(すなわち、MCN−1−130−0.3、MCN−1−130−0.45、MCN−1−130−0.6、MCN−1−130−0.9の順に)、ピークは低角側にシフトした。このことは、MCNの面間隔dおよび単位格子定数は、ゲル中の組成比(すなわち、EDA/CTC)を変化させることによって、制御できることを示す。
単位格子定数は、EDAとCTCとの重量比が0.3から0.9に増加するにつれて、9.7nmから11.3nmまで増加した。すなわち、ゲル中のEDA量を増加させれば、反応物の密度が減少し、その結果、多孔体母体内への反応分子の拡散が促進され、存在するすべての吸着サイトにアクセスできる。このことは、EDAとCTCとの完全な重合化を促進させ、テンプレートであるSBA−15のボイドやメソポーラスの空間にCN高分子母体の確実な充填を可能にする。さらに、メソポア内におけるCN母体の高い圧縮が生じるので、より大きな単位格子定数を有するMCNが得られる。EDAとCTCとの重量比の増加に伴う単位格子定数および面間隔dの増大により、MCNの孔構造もまた拡大する。
図23は、実施例5〜7の各MCNの窒素吸脱着等温線を示す図である。
図23には、実施例3のMCN−1−130−0.45の窒素吸脱着等温線も合せて示す。図23の等温線によれば、いずれも、H2型ヒステリシスループを有し、IUPACによるタイプIVに分類され、メソポアにおける毛細凝縮を特徴とする。詳細には、メソポアの直径に関連する毛細凝縮ステップは、EDAとCTCとの重量比が増加するにつれて、高相対圧力側へとシフトした。このことは、EDAとCTCとの重量比が増加するにつれて、MCNの孔径も増大することを示唆する。
図23において、MCN−1−130−0.3およびMCN−1−130−0.45の等温線の形状と、MCN−1−130−0.6およびMCN−1−130−0.9の等温線の形状とは、全く異なる。MCN−1−130−0.3およびMCN−1−130−0.45の等温線には、高相対圧力側においてシャープな上昇が見られた。このことは、EDAとCTCとの重合化が不十分であるため(すなわち、EDAとCTCとの重量比が小さいため)に生じる粒子間のボイド空間によって生成された組織状のメソポアが存在することを示唆する。この結果、MCN−1−130−0.3およびMCN−1−130−0.45は、大きなメソポアおよび比孔容量を有する。
図24は、実施例5〜7の各MCNのBJH孔径分布を示す図である。
図24には、実施例3のMCN−1−130−0.45のBJH孔径分布も合せて示す。図24の孔径分布によれば、EDAとCTCとの重量比の増加にともなって(すなわち、重量比が0.3、0.45、0.6、0.9の順に)、MCNの孔径も増大した(すなわち、MCN−1−130−0.3、MCN−1−130−0.45、MCN−1−130−0.6、MCN−1−130−0.9の順に)。この結果は、図22のXRDパターンから得られた単位格子定数の変化に良好に一致する。
図25は、実施例3および実施例5〜7のMCNの比表面積、比孔容量および孔径のEDAとCTCとの重量比依存性を示す図である。
図25によれば、MCNの比孔容量は、EDAとCTCとの重量比が増大するにつれて、1.5cm/gから0.7cm/gまで規則的に減少した。一方、MCNの比表面積は、EDAとCTCとの重量比が0.3から0.45まで増大するにつれ、731cm/gから818cm/gまで上昇し、EDAとCTCとの重量比が0.45から0.9まで増大するにつれ、818cm/gから552cm/gまで減少した。MCNの孔径は、EDAとCTCとの重量比が増大するにつれて、3.2nmから5.7nmまで増大した。このように、本発明によれば、EDAとCTCとの重量比を制御することによって、目的に応じた比表面積、比孔容量および孔径を有するMCNを得ることができることが示された。
図26は、実施例5のMCNのHRSEM像を示す図である。
図27は、実施例6のMCNのHRSEM像を示す図である。
図28は、実施例7のMCNのHRSEM像を示す図である。
図26〜図27に加えて、図11の実施例3のMCNのHRSEM像を参照し、詳述する。いずれも、テンプレートのSBA−15と同様のロッド状モルフォロジとともにボイド空間を示した。EDAとCTCとの重量比が減少するにつれて(すなわち、図28、図27、図11および図26の順)、ボイド空間のサイズが増大することが確認できた。これは、EDAとCTCとの重量比が小さいと、反応混合物の重合化が完全に進行しないためである。重合化が不十分であると、炭化時にCN壁から結合の弱い有機種の分解が促進し、ロッド状CN壁に多数のボイド空間、すなわち、テクスチャ状のメソポアが生じる。その結果、EDAとCTCとの重量比が小さなMCNは、大きなメソポアおよび大きな比孔容量を有することになる。なお、EDAとCTCとの比が1.2を超えると、厚いゲル状材料が得られ、極めて低い比表面積および比孔容量を示し、目的とするMCNが得られなかった(図示せず)。
図29は、窒素含有量のEDAとCTCとの重量比依存性を示す図である。
図29によれば、MCN中の窒素含有量は、EDAとCTCとの重量比を調整することによって容易に制御できることが分かる。詳細には、窒素含有量の高いMCNを得る場合には、EDAとCTCとの重量比が大きいことが好ましく、窒素含有量の低いMCNを得る場合には、EDAとCTCとの重量比が小さいことが好ましい。表6に実施例3、実施例5〜7のCHN分析の結果を示す。
表6によれば、EDAとCTCとの重量比が0.3から0.9まで増加するにつれて、炭素原子と窒素原子との比は、4.5から3.3まで減少した、すなわち、窒素含有量が増大した。
図30は、実施例7のMCNのEELスペクトルを示す図である。
図30には、図15に示す実施例3のMCNのEELスペクトルの結果も合せて示す。スペクトルは、いずれも、284eVおよび401eVにピークを示した。これらのピークは、それぞれ、炭素原子(C−Kエッジ:炭素k殻電子による吸収)および窒素原子(N−Kエッジ:窒素k殻電子による吸収)が存在することを示唆している。401eVのピークは、炭素原子とsp混成した窒素原子に相当する。注目すべきは、実施例7のMCNの401eVピーク強度は、実施例3のそれよりもはるかに高く、ピーク面積と各元素の弾性散乱確率とから炭素原子と窒素原子との比を求めたところ、CHN分析の結果に良好に一致した。
図29、図30および表6から、EDAとCTCとの重量比の増大にともなうMCN中の窒素含有量の急激な増大は、EDAとCTCとの重量比が大きい場合におけるEDAとCTCとの重合化の程度に起因すると考えられる。これは、重合化が十分に進行した母体であれば、炭化時に母体から窒素原子が抜けるのを抑制することができるためである。
次に、MCNの触媒活性について表7に示す。
表7によれば、実施例5のMCN−1−130−0.3が最も高い変換率と、カプロフェノンに対する100%の生成物選択性とを示した。EDAとCTCとの重量比が小さいと、上述したようにEDAとCTCとの不十分な重合化によりMCNのCN壁中に欠陥が生じる。この欠陥は多数のイミン基およびアミノ基から構成されており、その結果、実施例5のMCNがもっとも高い触媒活性を有することになる。
以上、実施例3および実施例5〜7を参照して、EDAとCTCとの重量比を変化させたMCNを製造した例を説明してきた。EDAとCTCとの重量比を制御することによって、MCNの比表面積、比孔容量、孔径および窒素含有量を調整できることが分かった。
以上説明してきたように、本発明による方法によれば、100℃以上150℃以下の温度で水熱処理されたSBA−15を用いるので、単位格子定数9.5nm〜10.5nm、比表面積500m/g〜830m/g、比孔容量0.55cm/g〜1.25cm/gおよび孔径4.0nm〜6.5nmの範囲で制御可能な窒化炭素多孔体を得ることができる。さらにEDAとCTCとの重量比を制御すれば、さらに窒素含有量が制御された窒化炭素多孔体を得ることができる。このようにして得られた窒化炭素多孔体は、吸着剤、分離剤、触媒単体、バッテリ電極、キャパシタ、エネルギー格納体に適用可能である。
本発明による窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法を示すフローチャート 本発明による窒化炭素多孔体(MCN)の模式図 実施例1によるSBA−15−T(T=100、130および150)のXRDパターンを示す図 窒化炭素多孔体を製造するプロシージャを示す図 実施例2〜4の各MCNの低角側のXRDパターンを示す図 実施例2〜4の各MCNの高角側のXRDパターンを示す図 本発明によるMCNの壁構造の模式図 実施例2〜4の各MCNの窒素吸脱着等温線を示す図 実施例2〜4の各MCNのBJH孔径分布を示す図 実施例2のMCN−1−100のHRSEM像を示す図 実施例3のMCN−1−130のHRSEM像を示す図 実施例4のMCN−1−150のHRSEM像を示す図 実施例3のMCN−1−130のHRTEM像を示す図 実施例4のMCN−1−150のHRTEM像を示す図 実施例2〜4の各MCNの電子エネルギー損失(EEL)スペクトルを示す図 実施例2のMCN−1−100のC1sおよびN1sスペクトルを示す図 実施例3のMCN−1−130のC1sおよびN1sスペクトルを示す図 実施例4のMCN−1−150のC1sおよびN1sスペクトルを示す図 実施例2〜4の各MCNのFT−IRスペクトルを示す図 実施例2のMCN−1−100のUV−vis吸収スペクトルを示す図 実施例3および4の各MCNのDD−MASスペクトルを示す図 実施例5〜7の各MCNの低角側のXRDパターンを示す図 実施例5〜7の各MCNの窒素吸脱着等温線を示す図 実施例5〜7の各MCNのBJH孔径分布を示す図 実施例3および実施例5〜7のMCNの比表面積、比孔容量および孔径のEDAとCTCとの重量比依存性を示す図 実施例5のMCNのHRSEM像を示す図 実施例6のMCNのHRSEM像を示す図 実施例7のMCNのHRSEM像を示す図 窒素含有量のEDAとCTCとの重量比依存性を示す図 実施例7のMCNのEELスペクトルを示す図
符号の説明
200 窒化炭素多孔体(MCN)

Claims (4)

  1. 空間群p6mmを有するシリカ多孔体SBA−15と窒素及び炭素を含む原材料とが混合されて重合化された重合体を炭化し、その後に前記シリカ多孔体を除去する窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法であって、
    前記シリカ多孔体SBA−15は、水熱処理により空間群p6mmを有さしめてあり、その水熱処理温度を空間群p6mmを有する範囲内において選定して、その孔径、比表面積および比孔容量を調整してあることを特徴とする窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法。
  2. 請求項1に記載の窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法において、前記水熱処理温度を1×10℃以上1.5×10℃以下の範囲で選択することを特徴とする窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法において、前記原材料がエチレンジアミンと四塩化炭素であることを特徴とする窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法。
  4. 請求項3に記載の方法において、前記原材料においてエチレンジアミンと四塩化炭素との質量比は、0.3以上0.9以下であることを特徴とする、窒化炭素多孔体(MCN)の製造方法。
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