JP2010029806A - 光触媒塗装体およびそのための光触媒コーティング液 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材に対する浸食を防止しながら、優れた耐候性および有害ガス分解性、ならびにその他の所望の特性(紫外線吸収性、透明性、膜強度等)を発揮する光触媒塗装体および光触媒コーティング液が提供される。
【解決手段】この光触媒塗装体は、基材と、該基材上に設けられる光触媒層とを備えてなる。光触媒層は、1質量部以上20質量部未満の光触媒粒子と、70質量部を超え99質量部以下の無機酸化物粒子と、0質量部以上10質量部未満の加水分解性シリコーンとを、光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの合計量が100質量部となるように含み、さらに艶調整剤を含んでなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、建築物等の外装材の用途に特に適した、耐候性、有害ガス分解性、および各種被膜特性に優れた光触媒塗装体およびそのための光触媒コーティング液に関する。
酸化チタンなどの光触媒が、建築物の外装材など多くの用途において近年利用されている。光触媒の利用により、光エネルギーを利用して種々の有害物質を分解したり、あるいは、光触媒が塗布された基材表面を親水化して表面に付着した汚れを容易に水で洗い流すことが可能となる。このような光触媒を塗布した光触媒塗装体を得る技術としては、以下のものが知られている。
光触媒性金属酸化物粒子と、コロイダルシリカと、界面活性剤とを含有する水性分散液を用いて、合成樹脂等の表面に親水性を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1(特開平11−140432号公報)参照)。この技術にあっては、界面活性剤を10〜25重量%と多量に含有させることにより親水性を強化している。また、膜厚を0.4μm以下とすることで光の乱反射による白濁を防止している。
バインダー成分としてのシリカゾルと光触媒性二酸化チタンとを含有する塗膜を基体に形成して光触媒体を得る技術も知られている(例えば、特許文献2(特開平11−169727号公報)参照)。この技術にあっては、シリカゾルの添加量がSiO基準で二酸化チタンに対して20〜200重量部であるとされており、二酸化チタンの含有比率が高い。また、シリカゾルの粒径も0.1〜10nmと小さい。
光触媒塗料を用いて波長500nmの光を50%以上透過させ、かつ、320nmの光を80%以上遮断すること光触媒塗膜を形成する技術も知られている(例えば、特許文献3(特開2004−359902号公報)参照)。この技術にあっては、光触媒塗料のバインダーとしてオルガノシロキサン部分加水分解物が用いられており、その配合量は塗料組成物全体の5〜40質量%が好ましいとされている。
ところで、光触媒層の基材を有機材料で構成すると、光触媒の光触媒活性により有機材料が分解あるいは劣化されるという問題が従来から知られている。この問題に対処するため、光触媒層と担体との間にシリコン変性樹脂等の接着層を設けることで、下地の担体を光触媒作用による劣化から保護する技術が知られている(例えば、特許文献4(国際公開第97/00134号パンフレット)参照)。
特開平11−140432号公報 特開平11−169727号公報 特開2004−359902号公報 国際公開第97/00134号パンフレット
本発明者らは、今般、光触媒粒子と無機酸化物粒子とを特定の質量比率で含み、なおかつ加水分解性シリコーンおよび界面活性剤を含まないか又は極力少量に抑えた特定の組成で光触媒層を構成することにより、基材(特に有機基材)への浸食を抑制しながら、耐候性、有害ガス分解性、および所望の各種被膜特性(紫外線吸収性、透明性、膜強度等)に優れた光触媒塗装体が得られるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、基材(特に有機基材)に対する浸食を防止しながら、耐候性、有害ガス分解性、および所望の各種被膜特性(紫外線吸収性、透明性、膜強度等)に優れた光触媒塗装体およびそのための光触媒コーティング液を提供することにある。
すなわち、本発明による光触媒塗装体は、基材と、該基材上に設けられる光触媒層とを備えた、光触媒塗装体であって、
前記光触媒層が、
1質量部以上20質量部未満の光触媒粒子と、
70質量部以上99質量部未満の無機酸化物粒子と、
0質量部以上10質量部未満の加水分解性シリコーンと
を、前記光触媒粒子、前記無機酸化物粒子、および前記加水分解性シリコーンの合計量が100質量部となるように含み、さらに艶調整剤を含んでなるものである。
また、本発明による光触媒コーティング液は、上記光触媒塗装体の製造に用いられる光触媒コーティング液であって、溶媒中に、
1質量部以上20質量部未満の光触媒粒子と、
70質量部以上99質量部未満の無機酸化物粒子と、
0質量部以上10質量部未満の加水分解性シリコーンと、
を、前記光触媒粒子、前記無機酸化物粒子、および前記加水分解性シリコーンの合計量が100質量部となるように含み、さらに艶調整剤を含んでなるものである。
光触媒塗装体
本発明による光触媒塗装体は、基材と、この基材上に設けられる光触媒層とを備えてなる。光触媒層は、1質量部以上20質量部未満の光触媒粒子と、70質量部を超え99質量部以下の無機酸化物粒子と、任意成分としての0質量部以上10質量部未満の加水分解性シリコーンと、艶調整剤とを含んでなる。ここで、光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの合計量を100質量部となるように含んでなるものである。
すなわち、本発明による光触媒層は、1質量部以上20質量部未満の光触媒粒子と、70質量部を超え99質量部以下の無機酸化物粒子とから基本的に構成される。この構成により、基材(特に有機基材)に対する浸食を防止しながら、耐候性、有害ガス分解性、および所望の各種被膜特性(紫外線吸収性、透明性、膜強度等)に優れた光触媒塗装体を得ることが可能となる。これらの幾つもの優れた効果が同時に実現される理由は定かではないが、以下のようなものではないかと考えられる。ただし、以下の説明はあくまで仮説にすぎず、本発明は何ら以下の仮説によって限定されるものではない。まず、光触媒層は、光触媒粒子および無機酸化物粒子の二種類の粒子から基本的に構成されるため、粒子間の隙間が豊富に存在する。光触媒層のバインダーとして広く用いられる加水分解性シリコーンを多量に使用した場合にはそのような粒子間の隙間を緻密に埋めてしまうため、ガスの拡散を妨げるものと考えられる。しかし、本発明の光触媒層は加水分解性シリコーンを含まないか、含むとしても光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの合計量100質量部に対して10質量部未満としているため、粒子間の隙間を十分に確保することができると考えられる。そして、そのような隙間によってNOxやSOx等の有害ガスが光触媒層中に拡散しやすい構造が実現され、その結果、有害ガスが光触媒粒子と効率良く接触して光触媒活性により分解されるのでないかと考えられる。
同時に、光触媒粒子の配合割合が無機酸化物粒子よりもかなり少ないことで、光触媒粒子の基材との直接的な接触を最小限に抑えることができ、それにより基材(特に有機基材)または基材と光触媒層との間に介在する中間層を浸食しにくくなるものと考えられる。
また、本発明の光触媒層は界面活性剤を含まないで構成されてよいが、それを含む場合であっても光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの合計量100質量部に対して10質量部未満とすることで、界面活性剤を多量に含むことによる膜強度や有害ガス分解性の機能低下が防止されるものと考えられる。そして、上記したような種々の現象が同時に起こることで、基材(特に有機基材)に対する浸食を防止しながら、耐候性、有害ガス分解性、および所望の各種被膜特性(紫外線吸収性、透明性、膜強度等)に優れた光触媒塗装体が実現されるものと考えられる。
本発明による光触媒塗装体は、光触媒粒子を非常に少なくしても、無機酸化物粒子と共存させることで、実用上十分な光触媒活性と膜強度、耐候性とが両立できる。また、本発明の他の好ましい態様によれば、光触媒層の粒子間の隙間を十分確保することで、中間層に添加した有機防カビ剤の溶出が妨げられないため、光触媒の防藻、防カビ機能を補完するという目的を充分に果たすことが可能となる。
上記したような種々の現象が同時に起こることで、中間層中の有機防カビ剤の分解を抑制し、防藻、防カビ性能を補完する有機防カビ剤の溶出も妨げることなく、かつ、中間層中の紫外線吸収剤により、耐候性、親水性、有害ガス分解性、耐光性、および所望の各種被膜特性(透明性、塗膜強度等)に優れた光触媒塗装体が実現されるものと考えられる。また、本発明の光触媒層の他の好ましい態様によれば、銅元素および銀元素が共存することから、紫外線が当たっている場合には抗カビ性、防カビ性が極めて良好になる。
基材
本発明に用いる基材は、その上に光触媒層を形成可能な材料であれば無機材料、有機材料を問わず種々の材料であってよく、その形状も限定されない。材料の観点からみた基材の好ましい例としては、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、ゴム、石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、木、紙、それらの組合せ、それらの積層体、それらの表面に少なくとも一層の被膜を有するものが挙げられる。用途の観点からみた基材の好ましい例としては、建材、建物外装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガードレ−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、屋外用照明器具、台及び上記物品表面に貼着させるためのフィルム、シート、シール等といった外装材全般が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、基材として、少なくともその表面が有機材料で形成された基材を用いることができ、基材全体が有機材料で構成されているもの、無機材料で構成された基材の表面が有機材料で被覆されたもの(例えば化粧板)のいずれをも包含する。本発明の光触媒層によれば、光触媒活性により損傷を受けやすい有機材料に対しても浸食しにくいことから、中間層を介在させることなく、光触媒層という一つの層で優れた機能を有する光触媒塗装体を製造することもできる。その結果、中間層の形成が不要となる分、光触媒塗装体の製造に要する時間やコストを削減できる。
中間層およびそのための中間層コーティング液
本発明の他の好ましい態様によれば、基材と光触媒層との間に中間層を介在させても良い。
中間層に用いられる樹脂は、有機防カビ剤および紫外線吸収剤の相溶性が良好で、基材との接着性、光触媒との接着性を有し、光触媒による中間層表面の劣化を抑制できるものであれば特に限定されず、樹脂中にポリシロキサンを含むシリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性ポリエステル等のシリコーン変性樹脂が好適である。外装用建材に適用する場合には、シリコーン変性アクリル樹脂が耐候性の点からより好適である。シリコーン変性アクリル樹脂において、カルボキシル基を有するシリコーン変性アクリル樹脂とエポキシ基を有するシリコーン樹脂の二液を混合して使用することが、塗膜の強度を向上させる点からさらに好適である。
シリコーン変性樹脂は、ケイ素原子含有量が、シリコーン変性樹脂の固形分に対して0.2質量%以上16.5質量%未満が好ましく、より好ましくは6.5質量%以上16.5質量%未満である。シリコーン変性樹脂に含有されるケイ素原子含有量が0.2質量%未満の場合、すなわち有機樹脂成分が多い場合、中間層の耐候性が低下し、光触媒に侵食される可能性がある。またシリコーン変性樹脂に含有されるケイ素原子含有量が16.5質量%以上の場合すなわちシリコーン成分が多い場合、中間層の性質が無機物により近づくため、耐候性は向上するが、逆に可とう性に乏しくなり、中間層にクラックが発生する場合がある。
前記シリコーン変性樹脂中のケイ素原子含有量は、X線光電子分光分析装置(XPS)による化学分析によって測定することができる。測定機器および条件は当業者によって適宜選択できる。
中間層には、有機防カビ剤が添加される。本発明においては、中間層と相溶性が良好であればどのような有機防カビ剤でも使用することができる。例として、有機窒素硫黄系化合物、ピリチオン系化合物、有機ヨウ素系化合物、トリアジン系化合物、イソチアゾリン系化合物、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、ニトリル系化合物、チオカーバメート系化合物、チアゾール系化合物、有機よう素化合物、ジスルフィド系化合物が挙げられ、単独もしくは混合物として用いられる。防カビ剤は一般に藻を防ぐ効果も合わせ持つものが多いことから、防カビ剤を添加することによって、カビと藻の両方を抑制することも期待できる。
また防藻効果と防カビ効果を兼ねた有機防藻防カビ剤を中間層に添加しても同様な効果が得られる。
有機防カビ剤の添加重量部は、有機防カビ剤メーカーが定める最適量あるいは、模擬的な防カビ試験を実施し、適宜決めてよい。
中間層には、紫外線吸収剤が添加される。本発明においては、中間層と相溶性が良好であればどのような紫外線吸収剤でも使用することができる。例として、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられ、単独もしくは混合物として用いられる。
中間層には、その他に有機溶剤、着色顔料、体質顔料、顔料分散剤、消泡剤、酸化防止剤等の塗料用添加剤、塗料に通常含まれるその他成分を含有することができる。また、艶消し剤としてシリカ微粒子を含んでもよい。上記着色顔料としては特に限定されず、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の無機系顔料、フタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アゾ系、アンスラキノン系、キノフタロン系、アンスラピリジニン系、キナクリドン系、トルイジン系、ピラスロン系、ペリレン系等の有機系顔料を用いることができる。
本発明の中間層コーティング液は、前記したシリコーン変性樹脂、有機防カビ剤および紫外線吸収剤を溶媒中に分散させることにより得ることができる。溶媒としては、上記構成成分を適切に分散可能なあらゆる溶媒が使用可能であり、水および/または有機溶媒であってよい。また、本発明の中間層塗装用液剤の固形分濃度は特に限定されないが、10〜20質量%とするのが塗布し易い点で好ましい。なお、中間層コーティング液中の構成成分の分析は、樹脂成分に関しては、赤外分光分析で、有機防カビ剤成分については希釈後あるいは硬化させた後に、適切な溶媒で抽出し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて分析、スペクトルを解析することによって評価することができる。
中間層製造方法
本発明の中間層塗装体は、本発明の中間層コーティング液を、前記基材上に塗布することにより簡単に製造することができる。中間層の塗装方法は、前記液剤を刷毛塗り、ローラー、スプレー、ロールコーター、フローコーター、ディップコート、流し塗り、スクリーン印刷等、一般に広く行われている方法を利用できる。コーティング液の基材への塗布後は、常温乾燥させればよく、あるいは必要に応じて加熱乾燥してもよい。
中間層の乾燥膜厚は特に限定されるものでは無いが、好ましくは1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜10μmである。1μmより薄い場合は、光触媒による基材の劣化抑制効果が劣る可能性がある。50μmより厚い場合は、中間層の種類に依存するが、乾燥後に微細なクラックが発生する恐れがある。
光触媒層およびそのための光触媒コーティング液
本発明の光触媒層は、1質量部以上20質量部未満の光触媒粒子と、70質量部を超え99質量部以下の無機酸化物粒子と、0質量部以上10質量部未満の加水分解性シリコーンとを、光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの合計量が100質量部となるように含んでなり、さらに艶調整剤とを含んでなる。そして、この光触媒層は上記構成成分を上記質量比率で溶媒中に分散または溶解されてなる光触媒コーティング液を基材上に塗布することによって形成されることができる。
本発明の好ましい態様によれば、光触媒層は0.5μm以上3.0μm以下の膜厚を有するのが好ましく、より好ましくは1.0μm以上2.0μm以下である。このような範囲内であると、光触媒層と基材の界面、あるいは光触媒層と中間層の界面に到達する紫外線が充分に減衰されるので耐候性が向上する。また、無機酸化物粒子よりも含有比率が低い光触媒粒子を膜厚方向に増加させることができるので、有害ガス分解性も向上する。さらには、紫外線吸収性、透明性、膜強度においても優れた特性が得られる。
本発明に用いる光触媒粒子は、光触媒活性を有する粒子であれば特に限定されず、あらゆる種類の光触媒の粒子が使用可能である。光触媒粒子の例としては、酸化チタン(チタニア)、ZnO、SnO、SrTiO、WO、Bi、Feのような金属酸化物の粒子が挙げられ、好ましくは酸化チタン粒子、より好ましくはアナターゼ型酸化チタン粒子である。酸化チタンは、無害で、化学的にも安定で、かつ、安価に入手可能である。また、酸化チタンはバンドギャップエネルギーが高く、従って、光励起には紫外線を必要とし、光励起の過程で可視光を吸収しないので、補色成分による発色が起こらない。酸化チタンは、粉末状、ゾル状、溶液状など様々な形態で入手可能であるが、光触媒活性を示すものであれば、いずれの形態でも使用可能である。
本発明の好ましい態様によれば、光触媒粒子が10nm以上100nm以下の平均粒径を有するのが好ましく、より好ましくは10nm以上60nm以下である。なお、この平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。粒子の形状としては真球が最も良いが、略円形や楕円形でも良く、その場合の粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。この範囲内であると、耐候性、有害ガス分解性、および所望の各種被膜特性(紫外線吸収性、透明性、膜強度等)が効率良く発揮される。また、ゾル状で市販されている光触媒を用い、粒子径を30nm以下、好ましくは20nm以下にすることによって、とりわけ透明性が良好な光触媒層を得ることもできる。
本発明の光触媒層およびコーティング液における光触媒粒子の含有量は、光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの合計量100質量部に対して、1質量部以上20質量部未満とし、好ましくは3質量部以上15質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上10質量部以下である。このように光触媒粒子の配合割合を少なくすることで、光触媒粒子の基材(または中間層)との直接的な接触をできるだけ少なくして、基材(または中間層)に対する浸食を防止することができ、耐候性も向上すると考えられる。それにもかかわらず、有害ガス分解性や紫外線吸収性といった光触媒活性に起因する機能も十分に発揮させることができる。
本発明の光触媒層およびコーティング液は、高い光触媒能を発現するために、銅元素および銀元素を含んでも良い。これらは、金属および/またはその金属からなる金属化合物を光触媒層および光触媒コーティング液に添加することができる。この添加は、前記金属または金属化合物を光触媒コーティング液に混合する方法、光触媒粒子または光触媒層に金属化合物を担持する方法のいずれの方法によっても行うことができる。
銅元素および銀元素は、金属および/または金属化合物として存在する。銅元素に対する銀元素の割合は、各々AgO、およびCuOに換算して、AgO/CuOとして質量比で0/100<[AgO/CuO]≦60/40が好ましく、より好ましくは10/90以上60/40以下であり、さらに好ましくは10/90以上55/45以下である。また、銅元素および銀元素は、AgOおよびCuOに換算した合計量が光触媒粒子に対して0.5〜5質量%添加されたものが好ましい。銅元素に対する銀元素の割合がこのような範囲であると、銅元素や銀元素をそれぞれ単独で添加した光触媒層に比べて、紫外線などの光触媒を励起可能な光の照射下で、抗カビ性や防藻性が極めて良好な光触媒層を得ることができる。
光触媒と銅化合物と銀化合物が共存した状況で適当量の紫外線が照射された場合、抗カビ性に直接作用するのは光触媒と銅化合物であると考えられる。銀化合物は光触媒によって発生した電子によって還元され、電荷分離効率の向上に寄与すると考えられる。光触媒層中のAgO/CuO比率に最適値があるのは、比率が小さすぎる場合、銀化合物の共存による特異的な効果も小さくなるため、逆に大きすぎる場合は、光触媒層中の銅化合物の相対的な濃度が小さくなり、抗カビ性が小さくなること、さらには、銀による着色の影響が無視できなくなるためであると考えられる。
本発明に用いる無機酸化物粒子は、光触媒粒子と共に層を形成可能な無機酸化物の粒子であれば特に限定されず、あらゆる種類の無機酸化物の粒子が使用可能である。そのような無機酸化物粒子の例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリア、ボロニア、マグネシア、カルシア、フェライト、無定型チタニア、ハフニア等の単一酸化物の粒子;およびチタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム等の複合酸化物の粒子が挙げられ、より好ましくはシリカ粒子である。これら無機酸化物粒子は、水を分散媒とした水性コロイド;またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、もしくはエチレングリコールなどの親水性溶媒にコロイド状に分散させたオルガノゾルの形態であるのが好ましく、特に好ましくはコロイダルシリカである。
本発明の好ましい態様によれば、無機酸化物粒子が、5nmを超え40nm未満の平均粒径を有するのが好ましく、より好ましくは10nm以上40nm未満、さらに好ましくは10nm以上30nm以下である。5nm以下では、無機酸化物粒子の分散性が不安定となり、小粒径にもかかわらず透明性が低下する場合がある。また40nm以上の場合は基材または中間層との密着性が損なわれる場合がある。なお、この平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。粒子の形状としては真球が最も良いが、略円形や楕円形でも良く、その場合の粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。この範囲内であると、耐候性、有害ガス分解性、および所望の各種被膜特性(透明性、塗膜強度等)が効率良く発揮される。
本発明の光触媒層およびコーティング液における無機酸化物粒子の含有量は、光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの合計量100質量部に対して、70質量部を超え99質量部以下であり、好ましくは80質量部以上97質量部以下であり、より好ましくは85質量部以上95質量部以下、さらに好ましくは90質量部以上95質量部以下である。
光触媒コーティング液には任意成分として艶調剤を含んでよい。上記艶調整剤としては特に限定されず、例えば、平均粒径が100nm以上のシリカ、ルチル型酸化チタン、酸化アルミニウムや、マイカ、炭酸カルシウム等を用いることができる。
本発明の光触媒層は加水分解性シリコーンを実質的に含まないのが好ましく、より好ましくは全く含まない。加水分解性シリコーンとは、アルコキシ基を有するオルガノシロキサンおよび/またはその部分加水分解縮合物の総称である。しかしながら、本発明の有害ガス分解性を確保できる程度であれば加水分解性シリコーンを任意成分として含有することは許容される。したがって、加水分解性シリコーンの含有量は、シリカ換算で、光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの合計量100質量部に対して、0質量部以上10質量部未満であり、好ましくは5質量部以下、最も好ましくは0質量部である。加水分解性シリコーンとしては、4官能シリコーン化合物がよく使用され、例えば、エチルシリケート40(オリゴマー、Rがエチル基)、エチルシリケート48(オリゴマー、Rがエチル基)メチルシリケート51(オリゴマー、Rがメチル基)(いずれもコルコート社製)の形で市販されている。
本発明においては、界面活性剤を任意成分として含んでよい。界面活性剤は、任意成分として0質量部以上10質量部未満光触媒層に含有されていてもよく、好ましくは0質量部以上8質量部以下であり、より好ましくは0以上6質量部以下である。界面活性剤の効果の1つとして基材へのレベリング性があり、コーティング液と基材との組合せによって界面活性剤の量を先述の範囲内で適宜決めれば良く、その際の下限値は0.1質量部とされてよい。この界面活性剤は光触媒コーティング液の塗れ性を改善するために有効な成分であるが、塗布後に形成される光触媒層にあってはもはや本発明の光触媒塗装体の効果には寄与しない不可避不純物に相当する。したがって、光触媒コーティング液に要求される塗れ性に応じて、上記含有量範囲内において使用されてよく、塗れ性を問題にしないのであれば界面活性剤は実質的にあるいは一切含まなくてよい。使用すべき界面活性剤は、光触媒や無機酸化物粒子の分散安定性、中間層上に塗布した際の濡れ性を勘案し適宜選択されることができるが、非イオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくは、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、ポリアルキレングリコール非イオン性界面活性剤、フッ素系非イオン性界面活性剤、シリコン系非イオン性界面活性剤が挙げられる。
本発明の光触媒コーティング液は、光触媒粒子、無機酸化物粒子、および所望により加水分解性シリコーンおよび界面活性剤を上記特定の配合比率で溶媒中に分散させることにより得ることができる。溶媒としては、上記構成成分を適切に分散可能なあらゆる溶媒が使用可能であり、水または有機溶媒であってよい。また、本発明の光触媒コーティング液の固形分濃度は特に限定されないが、1〜10質量%とするのが塗布し易い点で好ましい。なお、光触媒コーティング組成物中の構成成分の分析は、コーティング液を限外ろ過によって粒子成分と濾液に分離し、それぞれを赤外分光分析、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、蛍光X線分光分析などで分析し、スペクトルを解析することによって評価することができる。
製造方法
本発明の光触媒塗装体は、本発明の光触媒コーティング液を基材上に塗布するか、または前記中間層上に塗布することにより簡単に製造することができる。光触媒層の塗装方法は、前記液剤を刷毛塗り、ローラー、スプレー、ロールコーター、フローコーター、ディップコート、流し塗り、スクリーン印刷、電着、蒸着等、一般に広く行われている方法を利用できる。コーティング液の基材への塗布後は、常温乾燥させればよく、あるいは必要に応じて加熱乾燥してもよい。
本発明を以下の例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、以下の例において中間層コーティング液(M−1)は、下記シリコーン変性アクリル樹脂材と水と造膜助剤を適宜混合して作製した。
・ケイ素原子含有量が、シリコーン変性アクリル樹脂の固形分に対して10質量%のシリコーン変性アクリル樹脂ディスパージョン
以下の例において光触媒層コーティング液は、以下に示した光触媒粒子と、無機酸化物と、水と、界面活性剤とを適宜混合して作製した。詳細を表1に示した。
光触媒粒子
・チタニア水分散体(平均粒径:42nm、塩基性)
無機酸化物粒子
水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:26nm、塩基性)
艶調整剤
・シリカ粒子(平均粒径:320nm)
界面活性剤
・ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤
Figure 2010029806
中間層および光触媒層を備えた光触媒塗装体を以下の通り製造した。まず、基材として亜鉛メッキ鋼板に汎用のエポキシ樹脂系の下塗り剤を塗装し、乾燥したものを用意した。次いで、中間層コーティング液(M−1)をスプレーコートし、120℃で乾燥し中間層を得た。M−1液中の樹脂の固形分濃度は約20質量%であった。走査型電子顕微鏡観察により中間層の膜厚を測定したところ、例1および2のいずれの例においても約10μmであった。
一方、光触媒としてのチタニア水分散体と、無機酸化物としての水分散型コロイダルシリカと、艶調整剤としてのシリカ粒子と、溶媒として水とを表1のT−1配合比で混合して、光触媒コーティング液を得た。光触媒コーティング液中の光触媒および無機酸化物の合計の固形分濃度は5.5質量%とした。得られた光触媒コーティング液をあらかじめ加熱した上記中間層塗装体上にスプレー塗布し、120℃で乾燥した。走査型電子顕微鏡観察により光触媒層の膜厚を測定したところ、約1μmであった。こうして、中間層と光触媒層を形成させて、例1の光触媒塗装体を得た。
また、光触媒としてのチタニア水分散体と、無機酸化物としての水分散型コロイダルシリカと、溶媒として水とを表1のT−2配合比で混合して、光触媒コーティング液を得た。光触媒コーティング液中の光触媒および無機酸化物の合計の固形分濃度は5.5質量%とした。得られた光触媒コーティング液をあらかじめ加熱した上記中間層塗装体上にスプレー塗布し、120℃で乾燥した。走査型電子顕微鏡観察により光触媒層の膜厚を測定したところ、例1と同様に約1μmであった。こうして、中間層と光触媒層を形成させて、例2の光触媒塗装体を得た。
こうして得られた例1および例2の光触媒塗装体表面を見比べると、例1の光触媒塗装体の光沢が低下することが分かった。

Claims (2)

  1. 基材と、該基材上に設けられる光触媒層とを備えた光触媒塗装体であって、
    前記光触媒層が、
    1質量部以上20質量部未満の光触媒粒子と、
    70質量部を超え99質量部以下の無機酸化物粒子と、
    0質量部以上10質量部未満の加水分解性シリコーンとを、
    前記光触媒粒子、前記無機酸化物粒子、および前記加水分解性シリコーンの合計量が100質量部となるように含み、さらに艶調整剤を含んでなる、光触媒塗装体。
  2. 請求項1に記載の光触媒塗装体の製造に用いられる光触媒コーティング液であって、
    溶媒中に、
    1質量部以上20質量部未満の光触媒粒子と、
    70質量部を超え99質量部以下の無機酸化物粒子と
    0質量部以上10質量部未満の加水分解性シリコーンとを、
    前記光触媒粒子、前記無機酸化物粒子、および前記加水分解性シリコーンの合計量が100質量部となるように含み、さらに艶調整剤を含んでなる、光触媒コーティング液。
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