JP2010029478A - 振動バルーンカテーテル - Google Patents

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Abstract

【課題】バルーン部の外表面に設けられた薬剤を、病変部の生体組織や細胞に悪影響を与えることなく、円滑にかつ速やかに生体組織に移行させることが可能な振動バルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】外管12と内管13と、外管12の一部に形成されており、かつその外表面に薬剤が設けられた膨張−収縮可能なバルーン部Bと、外管12と内管13との間の流路を通って作動流体を供給−排出する作動流体給排手段Sと、バルーン部Bを振動させる加振ユニット30と、を有し、作動流体給排手段Sにより膨張され生体組織に押し付けられた状態のバルーン部Bを、加振ユニット30により低周波数で振動させるようにしたことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、血管などの生体組織における病変部などの標的部位を治療する振動バルーンカテーテルに関する。
近年、内因的血管内狭窄、特に冠状動脈の狭窄症例においてバルーンカテーテルを使用する血管形成術が普及している。この治療法は、経皮的に挿入したバルーンカテーテルのバルーン部を膨張させることによって冠状動脈の狭窄部分を拡張する方法であり、外科的な手術と比較して低侵襲であり患者への身体的負担が少ないことから多用されている。
しかし、バルーン部を膨張させるのみでは、再狭窄の発生率が高いことから、最近では、バルーン部に各種の再狭窄防止薬などを搭載し、病変部などの標的部位においてバルーン部の拡張中に、病変部の組織に薬剤を移行させる治療法が研究されている。この治療法は、再狭窄発生率が非常に低くなるなど、良好な結果が得られており、注目されている。
バルーン部を用いて薬剤投与する方法としては、下記特許文献1に開示されているように、医薬注入孔を有するバルーンカテーテルを用いる方法がある。ところが、医薬注入孔より薬剤を投与すると、薬剤が勢いよく放出され、血管内壁や組織を損傷して新たな傷を作ることが懸念される。
下記特許文献2に開示されている方法は、バルーン部の外表面に多孔質層を設け、この多孔質層に薬剤を含浸させた状態で生体組織に押し付け、薬剤を投与する方法である。しかし、多孔質層を生体組織に押し付けるのみでは、含浸させた薬剤が速やかに生体組織に移行せず、手技を迅速に行うことができない虞がある。
下記非特許文献1に開示されている方法は、バルーン部の外表面に薬剤をドープしたゲルをコーティングする方法である。しかし、外表面がゲルで覆われたバルーン部は、外表面が滑りやすいため、標的部位に薬剤を塗布しにくく、表面ゲル層は、強度が弱く厚くできないため、ドープできる薬剤の量が限られるなどの欠点を有するのみでなく、バルーン部の圧力変動により惹起される生体組織に対するダメージもある。
一方、バルーン部の外表面に薬剤を搭載するものではないが、狭窄部を形成している生物学的物質の剥離を目的としてバルーン部を膨張して超音波振動させる方法が下記特許文献3に開示されている。しかし、この方法のように、バルーン部の振動技術である超音波振動を血管内で行うと、超音波が血管平滑筋細胞に直接作用し、細胞膜に微小な孔を形成することから細胞へのダメージが大きく、平滑筋を刺激することになり、この結果、平滑筋細胞が増殖し易く再狭窄を起こし易いという欠点がある。
特開平2−283380号公報(特許請求の範囲第1項、図2参照) 特開平8−98893号公報(要約、図1,2参照) ジャーナル・オブ・アメリカン・カレッジ・オブ・カーディオロギジー(Journal of American college of Cardiology )誌、第23巻、7号(1570頁〜1577頁参照) 特開平7−47135号公報(要約、図1,2参照)
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、バルーン部の外表面に設けられた薬剤を、生体組織や細胞に悪影響を与えることなく、円滑にかつ速やかに生体組織に移行させることが可能な振動バルーンカテーテルを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る振動バルーンカテーテルは、外管及び内管と、前記外管の少なくとも一部に形成されており、かつその外表面に薬剤が設けられた膨張−収縮可能なバルーン部と、前記外管と内管との間の流路を通って作動流体を供給−排出する作動流体給排手段と、前記バルーン部を振動させる加振ユニットと、を有し、前記作動流体給排手段により膨張され生体組織に押し付けられた状態の前記バルーン部を、前記加振ユニットにより低周波数で振動させるようにしたことを特徴とする。
本発明は、外表面に薬剤が設けられたバルーン部を膨張し生体組織に押し付けた状態で加振ユニットにより低周波数で振動させるので、バルーン部による病変部などへの直接接触により血管内の狭窄部を解消できるのみでなく、生体組織や細胞に悪影響を与えることなく薬剤を円滑にかつ速やかに生体組織に移行させることができ、しかも、振動によりバルーン部表面と生体組織の間に摩擦力が生じ、バルーン部からの薬剤溶出が加速される。また、振動が生体組織へと伝達されることにより生体組織内の薬剤が拡散され、より広範囲への薬剤の吸収・浸透が期待される。さらに、薬剤に加えてバルーン部の外表面に界面活性剤や添加剤を設けた場合、バルーン部からの薬剤溶出がさらに加速され、振動との相乗効果により非常に高い薬剤の生体組織移行性が発現することが期待される。
また、バルーン部を収縮状態で病変部まで移送した後、膨張させるので、移送中に薬剤が散逸することが少なく、標的部位のみに所定量の薬剤を速やかに移行させることもでき、総じて生体組織内への薬剤の浸透力を向上させることができ、再狭窄発生率を極めて低くすることができる。
前記加振ユニットは、内管内に設けられ基端側から先端側まで機械的駆動力を伝達する駆動シャフトと、該駆動シャフトを回転させる駆動源と、前記駆動シャフトの回転を、前記内管を介して前記バルーン部の振動に変換する回転−振動変換部とから構成しているので、長尺な駆動シャフトを用いて病変部に対応する位置にバルーン部を設置できるのみでなく、狭小な内管に細長い駆動シャフトを挿通するので、駆動シャフトの回転を先端側まで伝達し、バルーン部を振動させることができ、この振動により薬剤を標的部位の生体組織に直接的に移行できる。
前記回転−振動変換部を、前記駆動シャフトの外周面に形成された突起部と、該突起部に少なくとも先端が当るように前記内管から放射方向に突出された凹部とから構成すれば、狭小な部分での回転−振動変換が容易となるのみでなく、突起部及び凹部の数と、駆動シャフトの回転数によりバルーン部における振動の周波数を適宜調整できる。特に、前記突起部及び凹部を前記バルーン部に対応する位置に設けると、バルーン部を標的部位と対向する位置に設置するのみで、バルーン部を振動させ、薬剤を標的部位に移行でき、手技を極めて円滑かつ迅速に行うことができる。
前記周波数を、10Hz〜100Hzにすると、生体組織や細胞に悪影響を及ぼすことがなく、しかも、薬剤の病変部への移行量が振動を掛けない場合に比し、数倍も向上し、生体組織内へ所定量の薬剤を速やかに浸透させることができる。
前記駆動シャフトに、生体組織を観察する観察部材を設けると、血管などの生体組織の状態を、同じカテーテルで観察乃至測定可能となり、手技の利便性が極めて向上する。
前記観察部材として、例えば、超音波トランスデューサを使用すれば、極めて狭小なスペースであっても観察部材を設置できる。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係る振動バルーンカテーテルの概略図、図2は同振動バルーンカテーテルの先端部であって、バルーン部が膨張した状態を示す概略断面図、図3は同振動バルーンカテーテルの基端部を示す概略断面図、図4は駆動シャフトの要部拡大断面図、図5は図2の5−5線に沿う概略断面図、図6は図2の6−6線に沿う概略断面図である。
図1において、本実施形態の振動バルーンカテーテル10は、概して、オーバーザワイヤー型で、外管12と内管13とを有し、先端側にはバルーン部Bが設けられ、基端側にはコネクタ20が設けられている。コネクタ20は、加振ユニット30のハウジング32と連結され、ハウジング32には、処理装置51と画像表示装置52を有するコンソール50が接続されている。処理装置51は、加振ユニット30を制御すると共に、駆動シャフト31に設けられた観察部材33(図2参照)からの観察信号を処理し、画像表示装置52に表示し、血管内(生体組織)などの状態を目視観察可能とする。
まず、振動バルーンカテーテル10の先端側を説明する。図1、2に示すように、振動バルーンカテーテル10の先端側は、外管12と内管13との間が封止され、外管12の先端部位にはバルーン部Bが設けられている。バルーン部Bは、筒状の膜体15からなり、膜体15の基端側は外管12と、先端側は内管13とそれぞれ気密又は液密に固着されている。
外管12および内管13の大きさとしては、例えば、長さが、50cm〜150cm程度であり、外管12の外径は、0.5mm〜3mm程度、内管13の外径は、0.3mm〜1.5mm程度である。外管12および内管13の構成材料としては、可撓性を有するものであればどのようなものであってもよいが、好ましい材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂等の各種熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であり、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、フッ素ゴム系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
また、バルーン部Bの大きさとしては、例えば、軸線方向の長さが、1cm〜5cm程度であり、収縮時の外径は外管12の外径と同程度、つまり0.5mm〜3mm程度とされている。バルーン部Bの構成材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂またはこれを含むポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはそれに架橋処理を施したもの(特に、電子線照射により架橋させたもの)、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド系樹脂またはこれを含むポリアミドエラストマー、ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはこれらに架橋処理を施したもの、またはこれらのうちの少なくとも一種を含むポリマーブレンド、ポリマーアロイ等の材料が挙げられる。
特に、本実施形態では、バルーン部Bの外表面に薬剤Yが設けられている。薬剤Yとしては、治療部位に応じたものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、血管の狭窄治療では、各種の再狭窄防止薬、抗血栓剤、血栓溶解剤、カルシウム溶解剤、カルシウム沈着防止剤、ある種のサイトカインや細胞増殖抑制薬などが使用される。
バルーン部Bの外表面に薬剤Yを設けるに当っては、バルーン部Bに含浸させる方法、塗布する方法、搭載する方法など種々の方法があるが、バルーン部Bの外表面に薬剤Yが存在するように設けられる方法であれば、どのような方法であってもよい。
一方、振動バルーンカテーテル10の基端側は、図1、3に示すように、外管12のキンクを防止するための耐キンク用のプロテクタ部21と、分岐ハブ22と、連結部材23とから構成されているコネクタ20が設けられている。
コネクタ20は、図3に示すように、分岐ハブ22の基端側に連結部材23の先端側が螺合され、分岐ハブ22の先端側に耐キンク用のプロテクタ部21の基端側がそれぞれ螺合されて相互に連結されており、ここで振動バルーンカテーテル10の基端部を保持している。
カテーテルの保持は、例えば、分岐ハブ22と連結部材23との螺合時に、外管12の基端部に形成されているフランジ部12aを連結部材23の先端側段部と分岐ハブ22の基端側突部との間で挟持し、外管12を脱着可能に保持し、内管13の基端側は、外管12内に設けられたフランジ部18に接着などにより固定されているが、外管12及び内管13ともコネクタ20に単純に接着剤等により連結してもよい。
作動流体給排手段Sからの作動流体は、例えば、造影剤や乳酸リンゲルなどの生理的等張液が使用され、分岐ハブ22の分岐管22aから外管12の基端部位に開設された通孔16を通って、外管12と内管13との間の流路17に供給されるようになっている。作動流体給排手段Sとしては、バルーンカテーテル加圧器(インデフレーター)、シリンジ、ポンプなどが使用される。なお、作動流体の排出も作動流体給排手段Sにより同様に行われる。
連結部材23は、円筒状をしており、その基端側には加振ユニット30のハウジング32が連結されている。加振ユニット30は、内管13内に設けられ基端側から先端側まで機械的駆動力を伝達する駆動シャフト31と、連結部材23と螺合されるハウジング32(モータMの減速機構などが収容されている)と、駆動シャフト31を回転させる駆動源であるモータMと、駆動シャフト31の先端部に設けられ、駆動シャフト31の回転を内管13を介してバルーン部Bの振動に変換する回転−振動変換部45(図2及び図6参照)と、を有している。
駆動シャフト31は、図4に示すように、連結部材23の内部から内管13の先端部に向けて伸延されたコイル状をしたもので、細い金属線材Cを同軸的に巻回することにより軸状に形成したものである。具体的には、ステンレス鋼(SUS304,SUS316等)等の丸線を1条巻きしたものにより形成されている。ただし、可撓性を有するものであれば、丸線のみでなく平板状の金属あるいは樹脂を1層或いは多層にコイル捲きまたはブレード捲きしたものあるいは2層2条巻きしたものであってもよい。
駆動シャフト31は、外管12や内管13と共に自在に変形し得るのみでなく、回転力も伝達することが必要であることから、ある程度以上の破断強度を有することが好ましい。具体的には、0.4kgf以上の破断強度を有することが好ましい。
駆動シャフト31の先端部には、血管内壁など生体組織を観察する観察部材33である超音波トランスデューサが駆動シャフト31の線材間に挟持されるように設けられている。観察部材として超音波トランスデューサを使用すれば、極めて狭小なスペースであっても設置でき好ましいが、これのみに限定されるものではなく、生体組織を観察できるものであれば、どのようなものであってもよい。
超音波トランスデューサ(観察部材)33は、超音波を送信、受信することにより生体組織、つまり血管内壁など観察するものであり、図4、図5に示すように、上端部が開放された円筒状ハウジング34内に背面材35と超音波振動子36が設けられている。背面材35は、超音波振動子36からの超音波を吸収もしくは減衰させるために設けられ、エポキシ、ウレタン、アクリル系等の樹脂或いは樹脂に金属や無機粉末を混合したものにより構成されている。超音波振動子36は、矩形状のPZT等の圧電体の上下両面に電極36a,36bが蒸着もしくは印刷等の方法により形成されている。
電極36a,36bには、リード線37a,37bの先端側が接続されているが、リード線37a,37bの基端側は、処理装置51と電気的に接続し、超音波トランスデューサ33から出力された超音波が生体組織に当って反射した反射波を受信し、これを処理装置51により処理して画像表示装置52で画像表示するようになっている。
リード線37a,37bは、超音波トランスデューサ33の電極36a,36bから駆動シャフト31内を通り、連結部材23まで導かれているが、基端部は、回転する駆動シャフト31によって捻られないように構成されている。
図3に示すように、リード線37aの基端側は、連結部材23内に回転可能に設けられた角状第1端子部材38の端面に接続され、リード線37bの基端側は、角状第1端子部材38に絶縁部材Z1を介して設けられた棒状第2端子部材39に接続されている。棒状第2端子部材39は、角状第3端子部材40と電気的に導通状態であり、角状第3端子部材40と角状第1端子部材38との間には絶縁部材Z2が設けられている。角状第1端子部材38と角状第3端子部材40には、他のリード線41a、41bの先端側端子42a、42bが摺動可能に設けられ、駆動シャフト31が回転していても処理装置51に信号を伝達できるようになっている。
つまり、駆動シャフト31は、角状第1端子部材38、絶縁部材Z2、角状第3端子部材40、及び連結用カプラ43を介してモータ軸44と連結され、モータMの回転が、これら各部材を介して駆動シャフト31に伝達されるようになっており、駆動シャフト31がモータMにより回転されているときであっても、処理装置51からの信号は、リード線41a、41b、端子42a、42b、角状第1端子部材38、棒状第2端子部材39、リード線37a,37bなどを介して超音波トランスデューサ33に伝達され、また、超音波トランスデューサ33からの信号も同様に処理装置51に伝達されるようになっている。
駆動シャフト31の回転は、回転−振動変換部45により内管13を介してバルーン部Bの振動に変換される。回転−振動変換部45は、図6に示すように、駆動シャフト31の外周面に設けられた突起部46と、突起部46に少なくとも先端が当るように内管13から放射方向に突出された凹部47と、を有している。突起部46は、駆動シャフト31の外周面に丸棒状の部材を取り付ければよく、凹部47は、内管13の一部を放射方向内方に突出するように熱変形させることにより形成できる。この突起部46及び凹部47の数と、駆動シャフト31の回転数によりバルーン部Bにおける振動の周波数を適宜調整できる。
突起部46及び凹部47は、バルーン部Bを振動させることができれば、内管13の軸線方向においてどこに設けてもよいが、外管12に形成されたバルーン部Bに対応する位置に設ければ、バルーン部を標的部位と対向する位置に設置するのみで、バルーン部を振動させることができ、手技を極めて円滑かつ迅速に行うことができる。
次に、作用を説明する。
例えば、冠状動脈の狭窄症の治療を行う場合には、まず、術者は、ガイドワイヤーをガイドとしてガイディングカテーテル(不図示)の先端を生体の所定位置から挿入し、大腿動脈を通り冠状動脈まで到達させる。ただし、ガイディングカテーテルのみを生体に挿入し、冠状動脈まで到達させてもよい。
そして、ガイドワイヤーを抜去した後、PTCA用ガイドワイヤーを冠状動脈に挿入し、慎重に病変部(狭窄部)を通過させて冠状動脈末梢部まで到達させた後、振動バルーンカテーテル10をPTCA用ガイドワイヤーに沿わせて冠状動脈に挿入し、その先端が標的部位である狭窄部に到達したのを確認した後、PTCA用ガイドワイヤーを抜去して、駆動シャフト31を振動バルーンカテーテル10内に挿入する。振動バルーンカテーテル10の先端が標的部位に到達したか否かは、内管13あるいは駆動シャフト31などの先端にマーカーを設けていると、外部から視認することができ、標的部位にバルーン部Bを設置できる。
次に、連結部材23とハウジング32を連結し、モータ軸44と駆動シャフト31と連結用カプラ43を介して連結状態とする。
この状態で、インデフレーターなどの作動流体給排手段Sを使用して、作動流体を分岐ハブ22の分岐管22aから外管12と内管13との間の流路17を介してバルーン部Bに供給する。バルーン部Bが、作動流体により膨張し、その外周面が冠状動脈の内壁に押し付けられた状態になったのを確認した後、作動流体給排手段Sによる加圧を停止する。なお、バルーン部Bの膨張状態を維持するために、作動流体給排手段Sにより与圧を掛け続けてもよい。
次に、処理装置51からモータMの駆動信号を出力し、モータMを回転させるか、あるいはモータMの駆動回路(不図示)に設けられたスイッチをオンしてモータMを回転させると、モータMの回転は、モータ軸44→連結用カプラ43→角状第3端子部材40→角状第1端子部材38を経て、駆動シャフト31に伝達される。駆動シャフト31は、内管13内を挿通されているので、途中が如何に湾曲していても、内管13により、いわゆる波うち現象は規制され、モータMの回転が円滑に先端部まで伝達される。
駆動シャフト31の回転により先端部に設けられた突起部46が、内管13側に設けられた凹部47の先端部分に当り、内管13が振動する。内管13の振動は、バルーン部B内の作動流体や内管13先端のバルーン部Bとの結合封止部分などを介してバルーン部Bに伝達され、バルーン部Bが振動する。
この結果、血管内壁面などの生体組織に押圧された状態のバルーン部Bを生体組織に擦り付けることになるので、血管内の狭窄部を物理的に解消することができるのみでなく、薬剤を円滑にかつ速やかに生体組織に移行させることができる。このバルーン部Bの振動は、低周波数の振動であるため、超音波のように生体組織や細胞に悪影響を与えることはない。しかも、振動によりバルーン部B表面と生体組織の間に摩擦力が生じ、バルーン部Bからの薬剤溶出が加速される。また、振動が生体組織へと伝達することにより生体組織内の薬剤が拡散され、より広範囲への薬剤の吸収・浸透が期待される。さらに、薬剤に加えてバルーン部の外表面に界面活性剤や添加剤を設けた場合、バルーン部からの薬剤溶出がさらに加速され、振動との相乗効果により非常に高い薬剤の生体組織移行性が発現することが期待される。
薬剤Yの生体組織への移行性を、薬剤Yの量と振動周波数との関係を下記実験により検証した。
<実験例1>
実験例1は、バルーン部Bの簡易モデルを作製し、インビトロでの薬剤移行性を検証した。
1.ポリアミド材からなる内管13(内径1.15mm×長さ5.0cm)を熱により一部変形させ、内管13に凹部47を1箇所形成した後、ポリアミドフィルム材を内管13の周りに外径3.0mm程度になるまで積層するように巻きつけてバルーン部Bを形成した。
2.SUS材からなるパイプ(外径0.59mm×内径0.51mm×長さ15.0cm)の先端部に、SUS材からなる針金(外径0.25mm×長さ3.0cm)を2本上下に接着し、軸端にDCモータ(ポルテスキャップ社製)を連結した。
3.内管13内に、針金が接着されているパイプを挿入し、DCモータを回転させることにより内管13の凹部47と針金が接触し、振動が発生する振動バルーン部Bを構築した(図7参照)。なお、図7及び後述の図9における符号は先の実施形態のものと同一符号を使用している。
4.薬剤として免疫抑制剤であるシロリスム(SIGMA社製 Rapamycin)20mgをエタノール1mlに溶解してコート溶液を作製し、このコート溶液をバルーン部Bの外表面のみにマイクロシリンジを用いて10ml塗布した後、真空乾燥によりエタノールを完全に揮発させた。
5.豚の内胸動脈を約3.0cm切り取り、切り開いた後、ポリ塩化ビニリデンのフィルム上に内胸動脈の外周面を固定した。
6.薬剤がコートされたバルーン部Bの外表面と前記内胸動脈の内腔面を重なり合わせた後、
モータ回転数900rpm(周波数30Hz)で5分間振動を加える実験(実験例1A)と、
モータ回転数2700rpm(周波数90Hz)で5分間振動を加える実験(実験例1B)と、
を行った。
7.振動後、内胸動脈を生理食塩水により15秒間洗い流し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて組織内に移行した薬剤量を定量した。
8.振動を加えない場合を比較例とし、薬剤移行量が振動により増加するか否かを検証した。図8に示す結果が得られた。図8から明らかなように、実験例1Aにおける薬剤の移行量は、1.79μgであり、比較例の0.66μgに比し、約2.7倍という移行量となった。また、実験例1Bにおける薬剤の移行量は、2.29μgであり、比較例に比し、約3.5倍という移行量となった。
この結果からすれば、周波数は、組織へのダメージが少ないとされている10Hz〜100Hzという範囲であれば、振動により生体組織への薬剤移行量が増加し、薬剤を塗布したバルーン部を病変部で膨張させ振動を加えた際の生体組織への薬剤浸透力は、振動を加えない場合と比較して大幅に向上することになる。
<実験例2>
実験例2は、実験例1のバルーン部Bとは多少相違する簡易モデルを作製し、インビボでの薬剤移行性を検証した。
1.ポリアミド材からなる内管13(内径1.13mm×長さ50cm)を熱により一部変形させ、内管13に凹部47を1箇所形成した後、この内管13と、ポリアミド材からなるバルーン部B(外径3.0mm×長さ20mm)の先端部とを熱融着し、ポリアミド材からなる外管12(外径1.65mm×長さ50cm)の基端部と前記バルーン部Bを熱融着した。
2.外管12に分岐ハブ22を接着し、造影剤や乳酸リンゲルなどの生理的等張液を注入可能な分岐管22aを作製した。
3.駆動シャフト31としてSUS材からなるパイプ(外径0.42mm×長さ50.0cm)の先端部に、SUS材からなる針金(外径0.2mm×長さ3.0cm)を2本上下に接着し、軸端にDCモータ(ポルテスキャップ社製)を連結した。
4.内管13内に、パイプの針金が接着されている部分を挿入し、DCモータを回転させることにより内管13の凹部47と針金が接触し、振動が発生する振動バルーン部Bを構築した(図9参照)。
5.薬剤として免疫抑制剤であるシロリスム(SIGMA社製 Rapamycin)10mgをエタノール1mlに溶解してコート溶液を作製し、ディップコーティングによりバルーン部Bの外表面に薬剤を塗布した後、真空乾燥によりエタノールを完全に揮発させ、その後滅菌した。
6.6Frのガイディングカテーテル(外径サイズが約2mm、テルモ社製)の先端部を切り取り、ガイディングカテーテルの全長を30cmとした。
7.前記ガイディングカテーテルをウサギの腸骨動脈へ留置した後、作製した前記バルーン部Bをガイディングカテーテル内に挿入し、腸骨動脈内でバルーン部Bを生理的等張液で拡張し、
モータ回転数900rpm(周波数30Hz)で5分間振動を加える実験(実験例2A)と、
モータ回転数2700rpm(周波数90Hz)で5分間振動を加える実験(実験例2B)と、
を行った。
8.振動後、腸骨動脈を採取し、生理食塩水により15秒間洗い流し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて組織内に移行した薬剤量を定量した。
9.振動を加えない場合を比較例とし、薬剤移行量が振動により増加するか否かを検証した。図10に示す結果が得られた。
図10から明らかなように、実験例2Aにおける薬剤の移行量は、1.48μgであり、比較例の0.52μgに比し、約2.8倍というという移行量となった。また、実験例2Bにおける薬剤の移行量は、1.91μgであり、比較例に比し、約3.7倍というという移行量となった。
このように実験例1,2の結果から明らかなように、インビトロとインビボのいずれにおいても、振動を加えることによる薬剤移行量は大幅に増大していることが判明した。
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、前述した実施形態では、回転−振動変換部は、駆動シャフトの外周面に設けられた突起部と、内管から放射方向に突出された凹部とを有するものであるが、場合によっては、駆動シャフト自体を一部変形させてもよい。また、バルーン部に関しても、カテーテル先端部に1箇所設けるのみでなく、複数設けてもよい。
本発明は、血管などの生体組織の病変部などの標的部位を治療する装置として利用できる。
本発明に係る振動バルーンカテーテルの概略図である。 同振動バルーンカテーテルの先端部であって、バルーン部が膨張した状態を示す概略断面図である。 同振動バルーンカテーテルの基端部を示す概略断面図である。 駆動シャフトの要部拡大断面図である。 図2の5−5線に沿う概略断面図である。 図2の6−6線に沿う概略断面図である。 実験例1のバルーン部の概略断面図である。 実験例1の実験結果を示すグラフである。 実験例2のバルーン部の概略断面図である。 実験例2の実験結果を示すグラフである。
符号の説明
12…外管、
13…内管、
17…流路、
30…加振ユニット、
31…駆動シャフト、
33…観察部材(超音波トランスデューサ)、
45…回転−振動変換部、
46…突起部、
47…凹部、
B…バルーン部、
M…駆動源(モータ)、
S…作動流体給排手段、
Y…薬剤。

Claims (7)

  1. 外管及び内管と、前記外管の少なくとも一部に形成されており、かつその外表面に薬剤が設けられた膨張−収縮可能なバルーン部と、前記外管と内管との間の流路を通って作動流体を供給−排出する作動流体給排手段と、前記バルーン部を振動させる加振ユニットと、を有し、
    前記作動流体給排手段により膨張され生体組織に押し付けられた状態の前記バルーン部を、前記加振ユニットにより低周波数で振動させるようにしたことを特徴とする振動バルーンカテーテル。
  2. 前記加振ユニットは、前記内管内に設けられ基端側から先端側まで機械的駆動力を伝達する駆動シャフトと、当該駆動シャフトを回転させる駆動源と、前記駆動シャフトの回転を、前記内管を介して前記バルーン部の振動に変換する回転−振動変換部と、を有する請求項1に記載の振動バルーンカテーテル。
  3. 前記回転−振動変換部は、前記駆動シャフトの外周面に設けられた突起部と、当該突起部に少なくとも先端が当るように前記内管から放射方向に突出された凹部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の振動バルーンカテーテル。
  4. 前記突起部及び凹部は、前記バルーン部に対応する位置に設けられたことを特徴とする請求項3に記載の振動バルーンカテーテル。
  5. 前記周波数は、10Hz〜100Hzである請求項1に記載の振動バルーンカテーテル。
  6. 前記加振ユニットは、前記駆動シャフトに前記生体組織を観察する観察部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の振動バルーンカテーテル。
  7. 前記観察部材は、超音波トランスデューサである請求項6に記載の振動バルーンカテーテル。
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