JP2010024312A - 難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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JP2010024312A JP2008185841A JP2008185841A JP2010024312A JP 2010024312 A JP2010024312 A JP 2010024312A JP 2008185841 A JP2008185841 A JP 2008185841A JP 2008185841 A JP2008185841 A JP 2008185841A JP 2010024312 A JP2010024312 A JP 2010024312A
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博光 石井
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孝 長尾
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Abstract

【課題】本発明は、射出成形性と耐熱性に優れる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を得ることを目的とし、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品として有用な成形品を提供することを課題とする。
【解決手段】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、(C)リン系難燃剤1〜70重量部および(D)エステル交換防止剤0.01〜5重量部を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)芳香族ポリカーボネート樹脂が0.01〜1μmの構造周期を有する両相連続構造、または、分散径が0.01〜1μmの海島構造を形成している難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形性と耐熱性に優れる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に関するものである。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、その優れた機械物性などの諸特性を生かし、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品などの幅広い分野に利用されている。
熱可塑性ポリエステル樹脂は本質的に可燃性であるため、機械機構部品、電気・電子部品、自動車部品などの工業用材料として使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以外に火炎に対する安全性、すなわち難燃性が要求され、UL−94規格のV−0を示す高度な難燃性が必要とされる場合が多い。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂は結晶特性に優れるため、衝撃強度に代表される靭性が不十分であるという課題を有しており、この課題を解決するためにポリマーアロイの研究が従来から行われている。
特許文献1には、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ハロゲン系難燃剤、難燃助剤およびエステル交換防止剤を構成成分とする難燃性ポリエステル樹脂組成物が開示され、かつポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の相構造を規定する結晶性に優れる難燃性ポリエステル樹脂組成物が開示されている。しかし、芳香族ポリエステル樹脂に難燃性を付与する方法に、ハロゲン系難燃剤、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂用いているため、近年の環境意識の高まりから、ハロゲン系難燃材料の環境に及ぼす影響やアンチモン化合物の有害性を懸念する動きがあり、前記の難燃剤を全く含まない非ハロゲン系難燃剤を用いることが強く望まれるようになった。
また、特許文献2には、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートの混合物、ポリカーボネート樹脂、リン酸エステル系難燃剤、繊維強化材およびトリアジン系化合物とシアヌール酸との塩を構成成分とする非ハロゲン系の難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が開示され、さらに、この樹脂組成物には酸性リン酸エステルのエステル交換防止剤が添加されているものの、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートの混合物およびポリカーボネート樹脂の3成分からなるポリマーアロイであるため、結晶性に劣り、射出成形時の固化速度と耐熱性が低いなどの課題を有していた。
つまり、非ハロゲン系難燃剤を用い、射出成形性と耐熱性に優れる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が求められていた。
特開2007−314664号公報(特許請求の範囲) 特開2004−75867号公報(特許請求の範囲)
本発明は、射出成形性と耐熱性に優れる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を得ることを目的とし、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品として有用な成形品を提供することを課題とする。
すなわち本発明は、
1.(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、(C)リン系難燃剤1〜70重量部および(D)エステル交換防止剤0.01〜5重量部を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)芳香族ポリカーボネート樹脂が0.01〜1μmの構造周期を有する両相連続構造を形成する難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
2.(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、(C)リン系難燃剤1〜70重量部および(D)エステル交換防止剤0.01〜5重量部を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)芳香族ポリカーボネート樹脂が、分散径が0.01〜1μmの海島構造を形成する難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
3.前記、(C)リン系難燃剤が下記(1)式の芳香族リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、フォスファフェナントレン化合物およびホスフィン酸塩化合物から選ばれる一種以上のリン系難燃剤である1項または2項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
Figure 2010024312
(上式において、Ar、Ar、Ar、Arは、同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。また、Xは下記の(2)〜(4)式から選択される構造を示し、下記(2)〜(4)式中、R〜Rは同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、Yは直接結合、O、S、SO、C(CH、CH、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。また、(1)式のnは重合度を示し、0以上の整数である。また、(1)式のk、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつ(k+m)は0以上2以下の整数である。)
Figure 2010024312
Figure 2010024312
Figure 2010024312
4.さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(E)酸成分中和剤を0.01〜10重量部配合してなる1〜3のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
5.さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(F)離型剤0.01〜10重量部を配合してなる1〜4のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
6.前記、(F)離型剤がモンタンの部分ケン化物、エチレンビスステアリルアマイドおよびエチレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸の重縮合物から選ばれる一種以上の離型剤である1〜5のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
7.UL94燃焼試験規格の垂直試験において、ノンドリップの燃焼挙動を示す1〜6のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物、
8.1〜7のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品が機械機構部品、電気電子部品または自動車部品に用いられる成形品である。
本発明は、射出成形性と耐熱性に優れる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が得られ、機械機構部品、電気・電子部品および自動車部品として有用な成形品を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の(A)熱可塑性ポリエステル樹脂とは、(イ)ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体、(ロ)ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体、(ハ)ラクトンから選択された一種以上を主構造単位とする重合体または共重合体である。
上記ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
また、上記ジオールあるいはそのエステル形成性誘導体としては、炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ダイマージオールなど、あるいは分子量200〜100000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど、芳香族ジオキシ化合物すなわち、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFおよびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を構造単位とする重合体または共重合体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンイソフタレート、ポリブチレンイソフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンイソフタレート、ポリへキシレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/サクシネート、ポリプロピレンテレフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/サクシネート、ポリエチレンテレフタレート/アジペート、ポリプロピレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリエチレンテレフタレート/セバケート、ポリプロピレンテレフタレート/セバケート、ポリブチレンテレフタレート/セバケート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/セバケートなどの芳香族ポリエステル樹脂、ポリエチレンオキサレート、ポリプロピレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルグリコールアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリプロピレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリエチレンサクシネート/アジペート、ポリプロピレンサクシネート/アジペート、ポリブチレンサクシネート/アジペートなどの脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
また、上記ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられ、これらを構造単位とする重合体または共重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸/乳酸、ポリヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ吉草酸などの脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
また、上記ラクトンとしてはカプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどが挙げられ、これらを構造単位とする重合体または共重合体としては、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリカプロラクトン/バレロラクトンなどが挙げられる。
これらの中で、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体が好ましく、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体がより好ましく、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールから選ばれる脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体がさらに好ましく、中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレートなどの芳香族ポリエステル樹脂が特に好ましく、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートから選ばれる一種の芳香族ポリエステル樹脂が最も好ましい。
なお、2種以上の芳香族ポリエステル樹脂からなる混合物を用いる場合は、射出成形性と耐熱性に影響を与えない混合量にする必要がある。例えば、ポリブチレンテレフタレートに混合するポリエチレンテレフタレートの混合量は、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下の混合量である。また、ポリエチレンテレフタレートに混合するポリブチレンテレフタレートの混合量は、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下の混合量である。
本発明において、上記ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体中の全ジカルボン酸に対するテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体の割合が30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがさらに好ましい。
本発明において、熱可塑性ポリエステル樹脂として、溶融時に異方性を形成し得る液晶性ポリエステルを用いても良い。液晶性ポリエステルの構造単位としては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位、芳香族イミノオキシ単位などが挙げられる
また、本発明において、流動性、機械物性の点で、2種類以上のポリエステル樹脂を用いることが好ましく、非液晶性ポリエステルと液晶性ポリエステルの組み合わせが特に好ましい。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量は、流動性、耐加水分解性および耐熱性の点で、50eq/t以下であることが好ましく、30eq/t以下であることがより好ましく、20eq/t以下であることがさらに好ましく、10eq/t以下であることが特に好ましい。下限は0eq/tである。
なお、本発明において、(A)熱可塑性樹脂のカルボキシル末端基量は、o−クレゾール/クロロホルム溶媒に溶解させた後、エタノール性水酸化カリウムで滴定し測定した値である。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂のヒドロキシル末端基量は、成形性および流動性の点で、50eq/t以上であることが好ましく、80eq/t以上であることがより好ましく、100eq/t以上であることがさらに好ましく、120eq/t以上であることが特に好ましい。上限は、特に限定されないが、180eq/tである。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の粘度は、成形性の点で、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度が0.36〜1.60dl/gの範囲であることが好ましく、0.50〜1.50dl/gの範囲であることがより好ましい。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の分子量は、耐熱性の点で、重量平均分子量(Mw)8000を超え500000以下の範囲であることが好ましく、8000を超え300000以下の範囲であることがより好ましく、8000を超え250000以下の範囲であることがさらに好ましい。本発明において、ポリエステル樹脂のMwは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値である。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の製造方法は、バッチ重合および連続重合のいずれでもよく、また、エステル交換反応および直接重合による反応のいずれでも適用することができるが、カルボキシル末端基量を少なくすることができ、かつ、流動性向上効果が大きくなるという点で、連続重合が好ましく、コストの点で、直接重合が好ましい。
本発明で用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である場合には、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応することにより製造することができる。なお、エステル化反応またはエステル交換反応および重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に重合反応触媒を添加することが好ましく、重合反応触媒の具体例としては、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステル、あるいはこれらの混合エステルなどの有機チタン化合物、ジブチルスズオキシド、メチルフェニルスズオキシド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキシド、シクロヘキサヘキシルジスズオキシド、ジドデシルスズオキシド、トリエチルスズハイドロオキシド、トリフェニルスズハイドロオキシド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイドおよびブチルヒドロキシスズオキシド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などのアルキルスタンノン酸などのスズ化合物、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドなどのジルコニア化合物、三酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられるが、これらの内でも有機チタン化合物およびスズ化合物が好ましく、さらに、チタン酸のテトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステルおよびテトライソプロピルエステルが好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステルが特に好ましい。これらの重合反応触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。重合反応触媒の添加量は、機械特性、成形性および色調の点で、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.005〜0.5重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.2重量部の範囲がより好ましい。
本発明の(B)芳香族ポリカーボネート樹脂とは、芳香族二価フェノール系化合物とホスゲン、または炭酸ジエステルとを反応させることにより得られる芳香族ホモまたはコポリカーボネートが挙げられる。該芳香族ホモまたはコポリカーボネート樹脂は、重量平均分子量が、10000〜1100000の範囲のものであり、ガラス転移温度が約150℃、重量平均分子量が10000〜1000000の範囲であれば、重量平均分子量の異なるポリカーボネート樹脂を併用しても良い。重量平均分子量60000〜1100000の範囲の芳香族ポリカーボネート樹脂がとくに好ましく用いられる。重量平均分子量とは、溶媒にテトラヒドロフランを用い、ゲル透過クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で測定して得られるものであり、重量平均分子量が10000以下では、本発明の優れた機械特性が損なわれるため好ましくなく、重量平均分子量が110000以上では、成形時の流動性が損なわれるため好ましくない。
また、300℃の温度で荷重1.2kgの条件でASTM D1238に準じてメルトインデキサーで測定した溶融粘度指数(メルトフローインデックス)が1〜100g/10分の範囲のものであり、とくに機械特性の点から1〜50g/10分の芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく用いられる。
また、前記の芳香族二価フェノール系化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が使用でき、これら単独あるいは混合物として使用することができる。
(B)芳香族ポリカーボネート樹脂の配合量は、射出成形性、耐熱性および靭性のバランスという観点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)芳香族ポリカーボネート樹脂の合計100重量%に対し、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合割合である。(B)芳香族ポリカーボネート樹脂の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂15〜85重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂85〜15重量%が好ましく、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂25〜75重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂75〜25重量%がとくに好ましい。
また、本発明の特性を損なわない範囲の量であれば、芳香族ポリカーボネート樹脂オリゴマーを併用配合しても良く、三菱瓦斯化学(株)社製から重量平均分子量約4000のユーピロンALなどが市販されている。
本発明の(C)リン系難燃剤とは、リン成分を含有するリン系難燃剤であり、下記(1)式の芳香族リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、フォスファフェナントレン化合物、ホスフィン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミン、リン酸エステルアミドおよび赤リンなどが挙げられ、下記(1)式の芳香族リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、フォスファフェナントレン化合物およびホスフィン酸金属塩から選ばれる一種以上のリン系難燃剤が好ましく用いられる。
前記の下記(1)式の芳香族リン酸エステル化合物としては、
Figure 2010024312
(上式において、Ar、Ar、Ar、Arは、同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。また、Xは下記の(2)〜(4)式から選択される構造を示し、下記(2)〜(4)式中、R〜Rは同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、Yは直接結合、O、S、SO、C(CH、CH、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。また、(1)式のnは重合度を示し、0以上の整数である。また、(1)式のk、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつ(k+m)は0以上2以下の整数である。)
Figure 2010024312
Figure 2010024312
Figure 2010024312
また、上記の(1)式の芳香族リン酸エステル化合物の市販品としては、大八化学工業(株)社製PX−202、CR−741、PX−200、PX−201、(株)アデカ社製FP−500、FP−600、FP−700およびPFRなどから選ばれる1種または2種以上が使用することができ、分子量500〜1000の範囲にあるものが衝撃強度の観点から好ましく用いられ、なかでも下記(9)〜(11)の化合物が好ましい。
Figure 2010024312
Figure 2010024312
Figure 2010024312
前記のホスファゼン化合物としては、ホスホニトリル線状ポリマー及び/または環状ポリマーであり、特に直鎖状のフェノキシホスファゼンを主成分とするものが好ましく用いられ、前記のホスホニトリル線状ポリマー及び/または環状ポリマーは、著者梶原『ホスファゼン化合物の合成と応用』などに記載されている公知の方法で合成することができ、例えば、りん源として五塩化リンあるいは三塩化リン、窒素源として塩化アンモニウムあるいはアンモニアガスを公知の方法で反応させて(環状物を精製してもよい)、得られた物質をアルコール、フェノールおよびアミン類で置換することで合成することができ、(株)伏見製薬所製“ラビトル”FP−110などが好ましく用いられる。
前記のフォスファフェナントレン化合物としては、分子内に少なくとも1個のフォスファフェナントレン骨格を有するリン系難燃剤であり、市販品としては、三光(株)社製HCA、HCA−HQ、BCA、SANKO−220およびM−Esterなどが挙げられ、とくにM−Esterは末端の水酸基と(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の末端との反応が溶融混練時に期待でき、高温多湿下でのブリードアウト抑制に効果があり好ましく用いられる。
前記のホスフィン酸金属塩としては、特開2006−117722号公報の記載にあるように(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の難燃剤として有用な化合物であり、ホスフィン酸塩および/またはジホスフィン酸塩および/またはその重合体であり、前記の塩はカルシウム、アルミニウム、および亜鉛などの塩であり、市販品としてはクラリアントジャパンから“Exolit”(商標登録)OP1230やOP1240などが挙げられる。
前記のリン酸エステルアミドとは、リン原子と窒素原子を含む芳香族アミド系難燃剤であり、高い融点を持つ常温で粉末状の物質であり、配合時のハンドリング性に優れ、熱変形温度の高い難燃性ポリエステル樹脂が得られ、市販品としては、四国化成(株)社製SP−703などが好ましく用いられる。
前記のポリ燐酸アンモニウムとしては、ポリ燐酸アンモニウム、メラミン変性ポリ燐酸ア
ンモニウム、およびカルバミルポリ燐酸アンモニウムなどが挙げられ、熱硬化性を示すフェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、およびユリア樹脂などの熱硬化性樹脂などによって被覆されていても良く、1種で用いても2種以上で用いても良い。
前記のポリ燐酸メラミンとは、リン原子燐酸メラミン、ピロ燐酸メラミンおよびメラミン、メラム、メレムとのリン酸塩などのポリ燐酸メラミンが挙げられ、1種で用いても2種以上で用いても良く、(株)三和ケミカル製“MPP−A、日産化学(株)製PMP−100やPMP−200などが好ましく用いられる
前記の赤リンとは、未処理の赤リンのみでなく、熱硬化性樹脂被膜、金属水酸化物被膜、金属メッキ被膜から成る群より選ばれる1種以上の化合物被膜により処理された赤リンを好ましく使用することができる。熱硬化性樹脂被膜の熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、アルキッド系樹脂などが挙げられる。金属水酸化物被膜の金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンなどを挙げることができる。金属メッキ被膜の金属としては、赤リンを被膜できる樹脂であれば特に制限はなく、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Mn、Ti、Zr、Alまたはこれらの合金などが挙げられる。さらに、これらの被膜は2種以上組み合わせて、あるいは2種以上に積層されていてもよい。
また、前記の(C)リン系難燃剤の配合量は、本発明(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、1〜70重量部であり、好ましくは2〜60重量部、より好ましくは3〜50重量部であり、1重量部未満では難燃性に効果がなく、70重量部を超すと耐熱性が低下するため好ましくない。
本発明では、(D)エステル交換防止剤を特定量配合して、(A)成分と(B)成分のエステル交換反応を制御することによって、0.01〜1μmの構造周期を有する両相連続構造、または、分散径が0.01〜1μmの海島構造を形成する(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂の混合物を得る。
(D)エステル交換防止剤は、エステル交換反応触媒を失活させる化合物である。エステル交換防止剤は、ホスファイト系化合物やホスフェート系化合物が好ましく用いられる。
前記のホスファイト系化合物の具体例としては、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、およびテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイトなどが挙げられる。
前記のホスフェート系化合物は、アルコール類と燐酸との部分エステル化合物の総称で、低分子量のものは無色液体、高分子量のものは白色ロウ状、フレーク状固体である。
また、ホスフェート系化合物は、ホスファイト系化合物よりも、エステル交換反応触媒の失活速度が速いため、より好ましく用いられる。
前記のホスフェート系化合物の具体例としては、限定されるものではないが、モノメチルアシッドホスフェート、モノエチルアシッドホスフェート、モノイソプロピルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート、モノラウリルアシッドホスフェート、モノステアリルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノベヘニルアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジベヘニルアシッドホスフェート、トリメチルアシッドホスフェート、トリエチルアシッドホスフェート、および前記のモノとジの混合物、モノ、ジおよびトリとの混合物や前記化合物の一種以上の混合物であっても良い。好ましく用いられるホスフェート系化合物としては、モノおよびジステアリルアシッドホスフェートの混合物などの長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられ、旭電化社(株)から“アデカスタブ”AX−71の名称で市販され、融点を持つフレーク状固体である。
また、前記の(D)エステル交換防止剤の配合量は、熱変形温度と機械特性の観点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、0.01〜5重量部であり、好ましくは、0.02〜3重量部、より好ましくは、0.03〜1重量部である。0.01重量部未満ではエステル交換触媒防止剤としての効果がなく、5重量部を超すと衝撃強度を低下させるため好ましくない。
本発明では、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂の混合物が、0.01〜1μmの構造周期を有する両相連続構造、または、分散径が0.01〜1μmの海島構造を形成することが必要である。(D)エステル交換防止剤の配合により、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂のエステル交換反応を制御することにより、上記のような構造を形成させることが可能となり、本発明の課題である射出成形性と耐熱性に優れる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が得られる。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂の混合物は、0.01〜1μmの構造周期を有する両相連続構造、または、分散径が0.01〜1μmの海島構造を形成し、好ましくは、0.15〜0.70μmの構造周期を有する両相連続構造、または、分散径が0.15〜0.70μmの海島構造を形成する。構造周期あるいは分散径が0.01μm未満の場合には、(A)熱可塑ポリエステル樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂が相溶化してガラス転移温度が低下し、耐熱性が低下する。また、1μmを超す構造である場合には、射出成形性に劣る。
本発明でいうところの両相連続構造とは、混合する樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に記載されている。
本発明にいうところの分散構造とは、片方の樹脂成分が主成分であるマトリックスの中に、もう片方の樹脂成分が主成分である粒子が点在している、いわゆる海島構造のことをさす。
0.01〜1μmの構造周期を有する両相連続構造、または、分散径が0.01〜1μmの海島構造を形成する(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂の混合物を得るには、(A)成分と(B)成分のエステル交換反応を制御することが重要である。
(A)成分と(B)成分のエステル交換反応が進み過ぎると(A)成分と(B)成分は均質化する結果、0.01μm未満の構造周期を有する両相連続構造、または、分散径が0.01未満の海島構造になり、射出成形時の離型性や耐熱性に劣る。逆に、エステル交換反応が生じないと、(A)(B)成分は不均質化する結果、1μmを超す構造周期を有する両相連続構造、または、分散径が1μmを超す海島構造になり、とくに衝撃強度が低下する。
(A)成分と(B)成分の配合組成が、例えば、70//30や30//70の場合は、片方の成分がマトリックスになり、海島構造を形成しやすい傾向がある。また、(A)成分と(B)成分の配合組成が、例えば、50//50近辺や難燃剤など他の成分が配合された組成では、それぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を形成しやすい傾向がある。
難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、通常の混合方法で製造することが可能である。
難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、構造周期0.01μm〜1μmの両相連続構造とする場合は、スピノーダル分解を利用する方法が好ましい。
一般に2成分の樹脂からなるポリマーアロイには、これらの組成に対して、ガラス転移温度以上、熱分解温度以下の実用的な全領域において相溶する相溶系や、逆に全領域で非相溶となる非相溶系や、ある領域で相溶し、別の領域で相分離状態となる部分相溶系があり、さらにこの部分相溶系には、その相分離状態の条件によってスピノーダル分解によって相分離するものと、核生成と成長によって相分離するものがある。
スピノーダル分解による相分離とは、異なる2成分の樹脂組成および温度に対する相図においてスピノーダル曲線の内側の不安定状態で生じる相分離のことを指し、また核生成と成長による相分離とは、該相図においてバイノーダル曲線の内側であり、かつスピノーダル曲線の外側の準安定状態で生じる相分離のことを指す。
かかるスピノーダル曲線とは、組成および温度に対して、異なる2成分の樹脂を混合した場合、相溶した場合の自由エネルギーと相溶しない2相における自由エネルギーの合計との差(ΔGmix)を濃度(φ)で二回偏微分したもの(∂ΔGmix/∂φ)が0となる曲線のことであり、またスピノーダル曲線の内側では、∂ΔGmix/∂φ<0の不安定状態であり、外側では∂ΔGmix/∂φ>0である。
また前記バイノーダル曲線とは、組成および温度に対して、系が相溶する領域と相分離する領域の境界の曲線のことである。
詳細な理論によると、スピノーダル分解では、一旦相溶領域の温度で均一に相溶した混合系の温度を、不安定領域の温度まで急速に変化させた場合、系は共存組成に向けて急速に相分離を開始する。その際濃度は一定の波長に単色化され、構造周期(Λm)で両分離相が共に連続して規則正しく絡み合った両相連続構造を形成する。この両相連続構造形成後、その構造周期を一定に保ったまま、両相の濃度差のみが増大する過程をスピノーダル分解の初期過程と呼ぶ。
さらに上述のスピノーダル分解の初期過程における構造周期(Λm)は熱力学的に下式のような関係がある。
Λm〜[│Ts−T│/Ts]−1/2
(ここでTsはスピノーダル曲線上の温度)
スピノーダル分解では、この様な初期過程を経た後、波長の増大と濃度差の増大が同時に生じる中期過程、濃度差が共存組成に達した後、波長の増大が自己相似的に生じる後期過程を経て、最終的には巨視的な2相に分離するまで進行する。
これらの両相連続構造が、スピノーダル分解によって形成されたものかを確認するためには、規則的な周期構造を有しているかを確認することが有効である。これは例えば、光学顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察により、両相連続構造が形成されることの確認に加えて、光散乱装置や小角X線散乱装置を用いて行う散乱測定において、散乱極大が現れることの確認が必要である。なお、光散乱装置、小角X線散乱装置は最適測定領域が異なるため、構造周期の大きさに応じて適宜選択して用いられる。この散乱測定における散乱極大の存在は、ある周期を持った規則正しい相分離構造を持つ証明であり、その周期Λm は、両相連続構造の場合構造周期に対応し、分散構造の場合粒子間距離に対応する。またその値は、散乱光の散乱体内での波長λ、散乱極大を与える散乱角θm を用いて次式
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)
により計算することができる。
また、本発明の(C)リン系難燃剤の難燃性を向上させる目的で、難燃助剤を配合することができる。上記の難燃助剤とは、(C)成分とともに(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)芳香族ポリカーボネート樹脂に配合して難燃性を向上させるものであり、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤、シリコーン系難燃剤およびフェノール樹脂から選ばれる一種以上の難燃助剤が耐熱性やブリードアウトの観点から好ましく用いられ、難燃助剤の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、1〜120重量部が好ましく、より好ましくは2〜110重量部、さらにより好ましくは3〜100重量部である。
上記の窒素化合物系難燃剤としては、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、含窒素複素環化合物、シアン化合物、脂肪族アミドや芳香族アミド、尿素およびチオ尿素等が挙げることができる。
前記の脂肪族アミンとしては、エチルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロオクタンなどを挙げることができる。
前記の芳香族アミンとしては、アニリン、フェニレンジアミンなどを挙げることができる。
前記の含窒素複素環化合物としては、尿酸、アデニン、グアニン、2,6−ジアミノプリ
ン、2,4,6−トリアミノピリジン、トリアジン化合物などを挙げることができる。
前記のシアン化合物としては、ジシアンジアミドなどを挙げることができる。また、前記
の脂肪族アミドや芳香族アミドとしては、N,N−ジメチルアセトアミドやN,N−ジフェニルアセトアミドなどを挙げることができる。
前記の含窒素複素環化合物において例示したトリアジン化合物は、トリアジン骨格を有する含窒素複素環化合物であり、トリアジン、メラミン、ベンゾグアナミン、メチルグアナミン、シアヌル酸、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、トリメチルトリアジン、トリフェニルトリアジン、アメリン、アメリド、チオシアヌル酸、ジアミノメルカプトトリアジン、ジアミノメチルトリアジン、ジアミノフェニルトリアジン、ジアミノイソプロポキシトリアジンなどを挙げることができ、メラミンシアヌレートとメラミンイソシアヌレートが好ましく用いられる。前記のメラミンシアヌレートまたはメラミンイソシアヌレートとしては、シアヌール酸またはイソシアヌール酸とトリアジン化合物との付加物が好ましく、通常は1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)の組成を有する付加物を挙げることができる。また、シアヌール酸またはイソシアヌール酸とトリアジン化合物との付加物は、公知の方法で製造されるが、例えば、メラミンとシアヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリーとし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾燥後に一般には粉末状で得られる。また、上記の塩は完全に純粋である必要は無く、多少未反応のメラミンないしシアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していても良い。また、分散性が悪い場合には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤やポリビニルアルコールおよびシリカなどの金属酸化物などの公知の表面処理剤などを併用してもよい。
また、樹脂に配合される前の平均粒径は、成形品の難燃性、機械的強度、表面性の点から100〜0.1μmが好ましく、好ましくは50〜0.5μmであり、さらに好ましくは10〜1μmであり、平均粒径はレーザーミクロンサイザー法による累積分布50%粒子径で測定される平均粒径であり、シアヌール酸またはイソシアヌール酸とトリアジン化合物との付加物の市販品の例としては、日産化学(株)製MC−4000などが知られている。
また、上記の無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム水和物、水酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、酸化スズ塩、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、硼酸カルシウム水和物、硼酸亜鉛、硼酸亜鉛水和物、水酸化亜鉛酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化第一錫、酸化第二スズ、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物酸、スルファミン酸アンモニウム、ジルコニウム系化合物、グアニジン系化合物、ハイドロタルサイト、黒鉛、膨潤性黒鉛などを挙げることができ、脂肪酸やシランカップリング剤などで表面処理されていても良く、前記の中でも、硼酸亜鉛水和物、膨潤性黒鉛が好ましい。
前記のシリコーン系難燃剤としては、シリコーン樹脂、シリコーンオイルを挙げることができる。前記シリコーン樹脂は、SiO、RSiO3/2、RSiO、RSiO1/2の構造単位を組み合わせてできる三次元網状構造を有する樹脂などを挙げることができる。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、または、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有した置換基を示す。前記シリコーンオイルは、ポリジメチルシロキサン、およびポリジメチルシロキサンの側鎖あるいは末端の少なくとも1つのメチル基が、水素元素、アルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、クロロアルキル基、アルキル高級アルコールエステル基、アルコール基、アラルキル基、ビニル基、またはトリフロロメチル基の選ばれる少なくとも1つの基により変性された変性ポリシロキサン、またはこれらの混合物を挙げることができる。
前記のフェノール樹脂とは、燃焼時に表面に移動し、炭化層形成を助ける難燃助剤として効果があり、上記のリン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤およびその他の無機系難燃剤から選択される少なくとも1種以上と共に併用して好ましく用いられる。
また、フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を複数有する高分子であれば任意であり、例えばノボラック型、レゾール型および熱反応型の樹脂、あるいはこれらを変性した樹脂が挙げられる。これらは硬化剤未添加の未硬化樹脂、半硬化樹脂、あるいは硬化樹脂であってもよい。中でも、硬化剤未添加で、非熱反応性であるノボラック型フェノール樹脂またはメラミン変性ノボラック型フェノール樹脂が難燃性、機械特性、経済性の点で好ましい。
また、フェノール樹脂の形状は特に制限されず、粉砕品、粒状、フレーク状、粉末状、針状、液状などいずれも使用でき、必要に応じ、1種または2種以上使用することができる。
また、フェノール樹脂は、市販されているものなどが用いられる。フェノール樹脂の製造例としては、ノボラック型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:0.7〜1:0.9となるような比率で反応槽に仕込み、更にシュウ酸、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸等の触媒を加えた後、加熱し、所定の時間還流反応を行う。生成した水を除去するため真空脱水あるいは静置脱水し、更に残っている水と未反応のフェノール類を除去する方法により得ることができる。これらの樹脂あるいは複数の原料成分を用いることにより得られる共縮合フェノール樹脂は単独あるいは二種以上用いることができる。
また、レゾール型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:1〜1:2となるような比率で反応槽に仕込み、水酸化ナトリウム、アンモニア水、その他の塩基性物質などの触媒を加えた後、ノボラック型フェノール樹脂と同様の反応および処理をして得ることができる。
ここで、フェノール類としてはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモール、p−tert−ブチルフェノール、tert−ブチルカテコール、カテコール、イソオイゲノール、o−メトキシフェノール、4,4’−ジヒドロキシフェニル−2,2−プロパン、サルチル酸イソアミル、サルチル酸ベンジル、サルチル酸メチル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらのフェノール類は一種または二種以上用いることができる。一方、アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサン等が挙げられる。これらのアルデヒド類は必要に応じて一種または二種以上用いることができる。
フェノール樹脂の分子量は、好ましくは数平均分子量で200〜2,000であり、特に400〜1,500の範囲のものが機械的物性、流動性、経済性に優れ好ましい。なおフェノール系樹脂の分子量は、テトラヒドラフラン溶液、ポリスチレン標準サンプルを使用することによりゲルパーミエションクロマトグラフィ法で測定できる。
また、本発明においては、燃焼時の難燃性樹脂組成物が溶融落下することを抑制し、さらに難燃性を向上させることを目的にフッ素系化合物を配合することができる。
前記のフッ素系化合物とは、物質分子中にフッ素を含有する化合物であり、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共重合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。
また、フッ素系化合物の配合量は、難燃性と機械特性の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜8重量部、より好ましくは0.2〜7重量部である。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物では、好ましくは、さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(E)酸成分中和剤を0.01〜10重量部配合する。
本発明の(E)酸成分中和剤としては、マグネシウム、カルシウム、およびバリウムなどのアルカリ土類金属の化合物が好ましく挙げられる。また、前記のアルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびモンタン酸などの有機酸塩が挙げられる。また、前記のアルカリ土類金属化合物具体例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、乳酸マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸バリウム、さらにはオレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびモンタン酸などの有機酸のマグネシウム塩、カルシウム塩、およびバリウム塩などが挙げられる。この中で、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩が好ましく用いられ、特に、水酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムが好ましく用いられ、より好ましくは炭酸カルシウムが用いられる。かかるアルカリ土類金属は1種または2種以上で用いることができる。また、上記の炭酸カルシウムは製造方法により、コロライド炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、湿式粉砕微粉重質炭酸カルシウム、湿式重質炭酸カルシウム(白亜)などが知られており、いずれも本発明に包含される。これらのアルカリ土類金属化合物は、シランカップリング剤、有機物および無機物などの一種以上の表面処理剤で処理されていても良く、形状は粉末状、板状あるいは繊維状であっても構わないが、10μm以下の粉末状で用いることが分散性などから好ましい。さらに粒径が細かいと加水分解性の向上効果が大きく好ましい。
(E)酸成分中和剤を添加することにより、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物の加水分解を抑制する効果がある。本発明の好ましく用いられるアルカリ土類金属の化合物は、中性状態では水に難溶性であり、燐酸エステルが分解して系が酸性になった場合に酸性環境下で溶解し中和作用を示すものが好ましく用いられる。中性状態の溶解度は、例えば、化学便覧、丸善株式会社発行(昭和41年)等の便覧に記載されており、水への溶解度が1g/100g水以下が好ましく、さらに好ましくは10−1g/100g水以下、特に好ましくは、10−2g/100g水以下である。ちなみに最も好ましく用いられる炭酸カルシウムの水に対する溶解度は、5.2×10−3g/100g水以下である。
また、(E)酸成分中和剤の配合量は、機械特性と耐加水分解性の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは、0.02〜9重量部、さらにより好ましくは0.03〜8重量部である。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物では、好ましくは、さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(F)離型剤0.01〜10重量部を配合する。
本発明に用いられる(F)離型剤とは、射出成形時の離型性を改善する成分である。かかる、(F)離型剤としては、ステアリン酸カルウシム、ステアリン酸バリウムなどのアルカリ土類の金属石鹸、脂肪酸エステル、脂肪酸エステルの塩(一部を塩にした物も含む)、エチレンビスステアリルアマイドなどの脂肪酸アミド、エチレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸からなる重縮合物あるいはフェニレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸の重縮合物からなる脂肪酸アミド、ポリアルキレンワックス、酸無水物変性ポリアルキレンワックスおよび上記の滑剤とフッ素系樹脂やフッ素系化合物の混合物が挙げられ、とくにモンタン酸の部分ケン化物(カルシウムが好ましい)、エチレンビスステアリルアマイドおよびエチレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸の重縮合物が好ましく用いられる。
(F)離型剤を配合する場合の添加量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%が好ましく、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、0.01〜5重量部、より好ましくは、0.02〜4重量部、さらにより好ましくは、0.03〜3重量部である。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物には、(A)(B)成分以外の樹脂を配合することができる。(A)(B)成分以外の樹脂とは、本発明効果の射出成形性と耐熱性のさらなる向上、難燃性やまたは高温多湿雰囲気下におけるリードアウト特性のいずれかを改善可能な樹脂、あるいは衝撃強度などの靭性を改善可能な樹脂であり、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂のいずれも用い得ることができる。
かかる、(A)(B)成分以外の樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、芳香族および脂肪族ポリケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性澱粉樹脂、ポリウレタン樹脂、MS樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエーテルイミド樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などを挙げることができる。
その他にはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、各種アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(たとえば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴムおよびエチレンに無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジルメタクリレートおよびエポキシ化剤でエポキシ変性された変性オレフィン系樹脂なども挙げられ、更に、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造等を有するもの、ビニル基などを有するもの、或いは各種の平均粒径(樹脂組成物中における)を有するものや、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるいわゆるコアシェルゴムと呼ばれる多層構造重合体なども使用することができ、さらにシリコーン化合物を含有したコアシェルゴムも使用することができる。
また、上記具体例に挙げた各種の(共)重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体などのいずれであっても用いることができ、1種で用いても、2種以上併用して用いてもかまわない。
上記(A)(B)成分以外の樹脂の中では、難燃性、耐熱性の改善効果が高いことから、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、芳香族ポリケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、シリコーン化合物含有コアシェルゴムが好ましく、中でも、ポリフェニレンエーテル樹脂、およびビニル系樹脂の非晶性の熱可塑性樹脂が特に好ましく、1種以上で用いられる。
本発明においては、機械強度を向上させることを目的に繊維強化材を配合することができる。
前記の繊維強化材の具体例としては、ガラス繊維、アラミド繊維、および炭素繊維などが挙げられる。上記のガラス繊維としては、チョップドストランドタイプやロービングタイプのガラス繊維でありアミノシラン化合物やエポキシシラン化合物などのシランカップリング剤および/またはウレタン、酢酸ビニル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック系エポキシ化合物などの一種以上のエポキシ化合物などを含有した集束剤で処理されたガラス繊維が好ましく用いられ、シランカップリング剤および/または集束剤はエマルジョン液で使用されていても良い。また、繊維径は1〜30μm、好ましくは5〜15μmである。また、前記の繊維断面は円形状であるが任意の縦と横比の楕円形ガラス繊維、扁平ガラス繊維およびまゆ型形状ガラス繊維など任意な断面を持つ繊維強化材を用いることもでき、射出成形時の流動性向上と、ソリの少ない成形品が得られる特徴がある。
また、繊維強化材の配合量は、射出成形時の流動性と射出成形機や金型の耐久性の点から、本発明の(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、1〜150重量部が好ましく、より好ましくは、2〜130重量部、さらにより好ましくは3〜110重量部である。
また、本発明においては、さらに繊維強化材以外の無機充填材を配合することができ、本発明の成形品の結晶化特性、耐アーク性、異方性、機械強度、難燃性あるいは熱変形温度などの一部を改良するものであり、とくに、異方性に効果があるためソリの少ない成形品が得られる。かかる繊維強化材以外の無機充填材としては、限定されるものではないが針状、粒状、粉末状および層状の無機充填剤が挙げられ、具体例としては、ガラスビーズ、ミルドファイバー、ガラスフレーク、チタン酸カリウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、ワラステナイト、シリカ、カオリン、タルク、スメクタイト系粘土鉱物(モンモリロナイト、ヘクトライト)、バーミキュライト、マイカ、フッ素テニオライト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウム、およびドロマイトなどが挙げられ、一種以上で用いられる。とくに、ガスビーズ、ガラスフレーク、カオリン、タルクおよびマイカを用いた場合は、異方性に効果があるためソリの少ない成形品が得られる。
また、上記の繊維強化材以外の無機充填材には、カップリング剤処理、エポキシ化合物、あるいはイオン化処理などの表面処理が行われていても良い。また、粒状、粉末状および層状の無機充填剤の平均粒径は衝撃強度の点から0.1〜20μmであることが好ましく、特に0.2〜10μmであることが好ましい。また、繊維強化材以外の無機充填材の配合量は、成形時の流動性と成形機や金型の耐久性の点から繊維強化材の配合量と合わせて(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、150重量部を越えない量が好ましい。
本発明においては、加水分解性を向上させることを目的にエポキシ化合物を配合することができ、グリシジルエステル化合物、グリシジルエーテル化合物、およびグリシジルエステルエーテル化合物が挙げられ、これらは一種以上で用いることができる。
(E)酸成分中和剤にエポキシ化合物などの加水分解防止剤を併用して用いることで極めて高い耐加水分解性向上効果が得られる。
エポキシ化合物の配合量は、機械特性と耐加水分解性の面から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜9重量部、さらにより好ましくは0.3〜8重量部である。
本発明においては、さらに耐加水分解性改良を目的に、オキサゾリン化合物、およびカルボジイミド化合物などを配合でき、単独で用いても良いが、前記のエポキシ化合物を超えない範囲の配合量で、エポキシ化合物と併用して用いることが好ましい。
本発明においては、さらに射出成形時の流動性を向上させることを目的に、本発明組成物に3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物を含有することができる。前記の3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物とは、低分子化合物であってもよいし、重合体であってもよく、3官能性化合物、4官能性化合物および5官能性化合物などの3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物であれば、いずれでも好ましく用いられる。また、3つ以上の官能基の官能基とは、水酸基、アルデヒド基、カルボン酸基、スルホ基、アミノ基、グリシジル基、イソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、オキサジン基、エステル基、アミド基、シラノール基、シリルエーテル基から選択された少なくとも1種類以上であることが好ましく、これらの中から同一あるいは異なる3つ以上の官能基を有していることが好ましく、とくに流動性、機械物性、耐久性、耐熱性および生産性の点で、同一の官能基であることが好ましい。
本発明における3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、0.01〜10重量部の範囲であることが好ましく、流動性と機械特性の観点から、0.05〜8重量部の範囲で配合することがより好ましく、0.1〜5重量部の範囲で配合することがさらにより好ましく、0.2〜4重量部の範囲で配合することが最も好ましい。
本発明においては、さらに本発明の組成物が長期間高温にさらされても極めて良好な耐熱エージング性を与える安定剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはホスファイト系酸化防止剤を配合でき、ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはホスファイト系酸化防止剤を配合する場合の配合量は、耐熱エージング性と難燃性の点から、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜4重量部、さらにより好ましくは0.03〜3重量部である。
本発明においては、さらに、カーボンブラック、酸化チタン、および種々の色の顔料や染料を1種以上配合することにより種々の色に樹脂を調色、耐候(光)性、および導電性を改良することも可能であり、顔料や染料の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜4重量部、さらにより好ましくは0.03〜3重量部である。
また、カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、アントラセンブラック、油煙、松煙、および、黒鉛などが挙げられ、平均粒径500nm以下、ジブチルフタレート吸油量50〜400cm/100gのカーボンブラックが好ましく用いられ、処理剤として酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、ポリオール、シランカップリング剤などで処理されていても良い。
また、酸化チタンとしては、ルチル形、あるいはアナターゼ形などの結晶形を持ち、平均粒子径5μm以下の酸化チタンが好ましく用いられ、処理剤として酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、ポリオール、シランカップリング剤などで処理されていても良い。
また、上記のカーボンブラック、酸化チタン、および種々の色の顔料や染料は、本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物との分散性向上や製造時のハンドリング性の向上のため、種々の熱可塑性樹脂と溶融ブレンドあるいは単にブレンドした混合材料として用いても良い。
さらに、本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、および、帯電防止剤などの公知の添加剤や前記以外の熱可塑性樹脂を1種以上配合された材料も用いることができる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、本発明の難燃性、機械特性、および射出成形性に優れる特徴を活かした成形品として使用できる。本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を用いた機械機構部品、電気・電子部品、自動車部品の具体的な成形品としては、ブレーカー、電磁開閉器、フォーカスケース、フライバックトランス、複写機やプリンターの定着機用成形品、一般家庭電化製品、OA機器などのハウジング、バリコンケース部品、各種端子板、変成器、プリント配線板、ハウジング、端子ブロック、コイルボビン、コネクター、リレー、ディスクドライブシャーシー、トランス、スイッチ部品、コンセント部品、モーター部品、ソケット、プラグ、コンデンサー、各種ケース類、抵抗器、金属端子や導線が組み込まれる電気・電子部品、コンピューター関連部品、音響部品などの音声部品、照明部品、電信・電話機器関連部品、エアコン部品、VTRやテレビなどの家電部品、複写機用部品、ファクシミリ用部品、光学機器用部品、自動車点火装置部品、自動車用コネクター、および各種自動車用電装部品などの成形品が挙げられる。
本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品は、通常公知の方法で製造される。例えば、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂、(C)リン系難燃剤、難燃助剤、フッ素系樹脂、(D)エステル交換防止剤、必要に応じて(E)酸成分中和剤、(F)離型剤、さらには、必要に応じて(A)(B)成分以外の樹脂、繊維強化材、繊維強化材以外の無機充填材、エポキシ化合物、3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物、酸化防止剤、および顔料や染料、さらには、その他の必要な帯電防止剤や可塑剤などの添加剤を予備混合して押出機などに供給して十分溶融混練する方法、あるいは、重量フィダーなどの定量フィダーを用いて各成分を所定量押出機などに供給して十分溶融混練する方法などにより本発明の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が製造される。
上記の予備混合の例として、ドライブレンドするだけでも可能であるが、タンブラー、リボンミキサーおよびヘンシェルミキサー等の機械的な混合装置を用いて混合することが挙げられる。また、繊維強化材や繊維強化材以外の無機充填材は、二軸押出機などの多軸押出機の元込め部とベント部の途中にサイドフィダーを設置して添加する方法であっても良い。また、液体の添加剤の場合は、二軸押出機などの多軸押出機の元込め部とベント部の途中に液添ノズルを設置してプランジャーポンプを用いて添加する方法や元込め部などから定量ポンプで供給する方法などであっても良い。
また、難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を製造するに際し、例えば“ユニメルト”あるいは“ダルメージ”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸押出機、三軸押出機、コニカル押出機およびニーダータイプの混練機などを用いることができる。
かくして得られる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、通常公知の方法で射出成形することによって本発明の成形品が得られる。前記の射出成形方法としては、通常の射出成形方法以外にガスアシスト法、2色成形法、サンドイッチ成形、インモールド成形、インサート成形およびインジェクションプレス成形などが知られているが、いずれの成形方法も適用できる。
また、射出成形機は、プラスチックスを加熱溶融混練後、溶融プラスチックスを高圧で射出する部分と射出された溶融プラスチックスを所定の形状(成形品)に冷却固化させる金型から構成されており、本発明の特定の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を射出成形する際の金型温度は、30℃〜90℃の範囲の一定温度で温調されていることが不良品の少ない成形品を得られることから好ましく、金型温度30℃〜50℃の範囲の一定温度で温調されていることが不良品の少ない成形品を短い成形サイクルで成形されることからランニングコストを抑制できることからとくに好ましい。
以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ここで%および部とはすべて重量%および重量部をあらわし、下記の参考例の樹脂名中の「/」は、共重合を意味する。また、各特性の測定方法は以下の通りである。
[参考例]
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂
<A−1>ポリエチレンテレフタレート樹脂、三井ぺット樹脂(株)社製三井PET“J005”固有粘度が0.63のPETを用いた(以下、PETと略す)。
<A−2>ポリブチレンテレフタレート樹脂、東レ(株)社製“トレコン”1401−X31固有粘度が0.80のPBTを用いた(以下、PBTと略す)。
(B)芳香族ポリカーボネート樹脂
<B−1>芳香族ポリカーボネート樹脂、出光石油化学(株)社製“A−1900”を用いた(以下、PCと略す)。
(C)リン系難燃剤
<C−1>下記の(12)式の芳香族リン酸エステル化合物、大八化学工業(株)社製“PX−200”を用いた。
Figure 2010024312
<C−2>ホスファゼン化合物、(株)伏見製薬所製“ラビトル”FP−110を用いた。
<C−3>ホスフィン酸金属塩、クラリアントジャパン製“Exolit”(商標登録)OP1240を用いた。
(D)エステル交換防止剤
<D−1>長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物、旭電化(株)社製“アデカスタブ”AX−71を用いた。
(E)酸成分中和剤
<E−1>炭酸カルシウム、同和カルファイン(株)社製“KSS1000”を用いた。
(F)離型剤
<F−1>モンタン酸の部分カルシウムケン化物、ヘキストジャパン社製“ヘキストワックス−OP”を用いた。
<F−2>エチレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸の重縮合物、共栄社化学(株)社製“ライトアマイド”WH−255を用いた。
(G)必要に応じて配合する成分
<G−1>難燃助剤、トリアジン系化合物、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩、日産化学(株)社製“MC−4000”を用いた(以下、MC塩と略す)。
<G−2>燃焼時溶融落下(ドリップ)防止剤フッ素系化合物のポリテトラフルオロエチレン、三井・デュポンフロロケミカル(株)社製“テフロン(登録商標)”6−Jを用いた。
<G−3>(A)(B)成分以外の樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製“YPX−100L”を用いた(以下、PPEと略す)。
<G−4>(A)(B)成分以外の樹脂、ビニル系樹脂、スチレン/アクリロニトリル/グリシジルメタクリレート=70/29.5/0.5重量%のエポキシ変性AS樹脂(以下、エポキシ化ASと略す)。
<G−5>(A)(B)成分以外の樹脂、エチレン(共)重合体、エチレン(約88wt%)/グリシジルメタクリレート(約12wt%)共重合体、住友化学(株)社製“BF−E”を用いた。
<G−6>繊維強化材、繊維径約10μmのチョップドストランド状のガラス繊維、日東紡績(株)社製“CS3J948”を用いた(以下、GFと略す)。
<G−7>繊維強化材以外の無機充填剤、タルク、富士タルク工業(株)社製“LMS−100”を用いた。
<G−8>エポキシ化合物、バーサティク酸グリシジルエステル、ジャパンエポキシレジン(株)社製“カージュラーE10”を用いた。
<G−9>エポキシ化合物、バーサティク酸グリシジルエステル、ジャパンエポキシレジン社製“カージュラーE10”30重量%とビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジャパンエポキシレジン社製“エピコート828”70重量%の混合物。
<G−10>3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物として、ポリオキシエチレンペンタエリスリトール、日本乳化剤(株)社製PNT−60U(分子量400、1官能基当たりのアルキレンオキシド(エチレンオキシド)単位数1.5を用いた(以下、多価アルコールと略す)。
[各特性の測定方法]
本実施例、比較例においては以下に記載する測定方法によって、その特性を評価した。
(1)構造周期あるいは分散径
成形片から一部を切り出し、公知の方法によりポリカーボネート相を染色した後、ウルトラミクロトームを用いて超薄切片を作成して、日立製作所透過型電子顕微鏡H−7100(分解能:0.204nm(格子像)、0.38nm(粒子像)、カメラシステム:ボトム型)により観察し、最終的に650倍に拡大した写真を画像解析し、構造周期を有する両相連続構造、または分散径を持つ海島構造であるかを特定した。
画像解析の結果、(A)成分と(B)成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造の場合は、両相連続構造の構造周期を小角光線散乱で測定し、小角光散乱においてピーク位置(θm)から下式で構造周期(Λm)を計算した。
Λm =(λ/2)/sin(θm /2)。
また、(A)成分と(B)成分の一方が海(マトリックス)成分で他方が島(分散)成分の分散径を持つ海島構造の場合は、島成分の粒径を画像解析から求めた。
(2)射出成形性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度250℃(PETを含有する組成物は270℃)、金型温度40℃の温度条件、射出時間と保圧時間は合わせて10秒、冷却時間10秒の成形サイクル条件の成形条件で、1/32インチ(約0.79mm)の燃焼試験片の射出成形を行い、下記の値を測定した。
(2.1) 離型力
使用した金型の構成は、固定側と金型を開閉する稼働側の2プレートからなり、稼働側のプレートに成形品が充填され、成形品は突き出しピンで突き出されて金型から離型して取り出される。また、突き出しピン部に荷重を検知するロードセルを挿入し、離型時の離型力を測定できる構造とした。なお、離型力の値が小さい程、離型性に優れる。
(2.2) 流動性
前記の燃焼試験片が充填される最低の成形ゲージ圧力(以下、成形下限圧力と略す。)を求めた。なお、成形下限圧力の値が低い程、流動性に優れる。
(3)耐熱性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度250℃(PETを含有する組成物は270℃)、金型温度40℃の条件で1/8インチ(約3.2mm)厚みの熱変形温度試験片の射出成形を行い、ASTMD648に従い、荷重0.45MPaにおける熱変形温度を測定した。
(4)衝撃強度
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度250℃(PETを含有する組成物は270℃)、金型温度80℃の条件で1/8インチ(約3.2mm)厚みのアイゾット衝撃試験片の射出成形を行い、ASTMD256に従い、ノッチ無しのアイゾット衝撃強度を測定した。
(5)難燃性
(2)で得られた1/32インチ(約0.79mm)厚みの燃焼試験片を用い、UL94垂直試験に定められている評価基準に従い、難燃性を評価した。難燃性はV−0>V−1>V−2の順に低下しランク付けされる。また、燃焼性に劣り上記のV−2に達せず、上記の難燃性ランクに該当しなかった材料は規格外とした。
また、燃焼試験時において、第1接炎後と第2接炎後の燃焼試験片が熱で溶融して試験片の一部が落下するか落下しないかを観察し、落下しない材料をノンドリップと評価した。
(6)加水分解性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度250℃、金型温度80℃の温度条件、射出時間と保圧時間は合わせて10秒、冷却時間10秒の成形サイクル条件で試験片厚み1/8インチ(約3.2mm)厚みのASTM1号ダンベルの機械強度評価用試験片を得た。得られたダンベルを80℃×95%RHの温度と湿度に設定された恒温高湿試験器(エスペック(株)“ヒューミデイキャビネツト”LHL−113)に400時間投入し湿熱処理を行い、次に、ASTMD638に従って引張強度の測定を行い、湿熱処理前の引張強度に対する保持率(%)を求めた。
[実施例1〜23]、[比較例1〜10]
スクリュ径30mm、L/D35の同方向回転ベント付き2軸押出機(日本製鋼所製、TEX−30α)を用いて、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂、(B)芳香族ホリカーボネート樹脂、(C)リン系難燃剤、(D)エステル交換防止剤、必要に応じて(E)酸成分中和剤、(F)離型剤、さらには、必要に応じて配合する(G)難燃助剤、フッ素系樹脂、繊維強化材、(A)(B)成分以外の樹脂、繊維強化材以外の無機充填材、エポキシ化合物および3つ以上の官能基を有するアルキレンオキシド単位を一つ以上含む多価アルコール化合物などを表1〜表3に示した配合組成で混合し、元込め部から添加した。なお、繊維強化材の<G−6>のガラス繊維は、元込め部とベント部の途中にサイドフィーダーを設置して添加した。
さらに、混練温度270℃、スクリュ回転150rpmの押出条件で溶融混合を行い、ストランド状に吐出し、冷却バスを通し、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを110℃の熱風乾燥機で6時間乾燥後、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用い、各種成形品を得た。
さらに、前記の測定方法で種々の値を測定し、同じく表1〜表3にその結果を示した。表1〜表3において、「相構造、(A)成分と(B)成分の構造周期」は、両相連続構造の構造周期を示し、「相構造、(A)成分と(B)成分の分散粒径」は、海島構造の分散粒径を示す。さらに、表1〜表3の「相構造、(A)成分と(B)成分の構造周期」、「相構造、(A)成分と(B)成分の分散粒径」において、「−」は、両相連続構造も海島構造も観察されなかったことを意味する。
Figure 2010024312
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表1の実施例1〜実施例13と表2の比較例1〜9から、本発明の(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)芳香族ポリカーボネート樹脂が0.01〜1μmの構造周期を有する両相連続構造、または、分散径が0.01〜1μmの海島構造を形成している難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、高度な難燃性を持ち、射出成形時の離型性、衝撃強度および耐熱性に優れる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物と言える。
また、繊維強化材を配合した強化難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、表3の実施例14〜実施例23と表3の比較例10の比較から、本発明の(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)芳香族ポリカーボネート樹脂が0.01〜1μmの構造周期を有する両相連続構造、または分散径が0.01〜1μmの海島構造を形成している強化難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、高度な難燃性を持ち、射出成形時の離型性、衝撃強度および耐熱性に優れる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物と言える。
とくに、(A)(B)成分以外の樹脂のひとつであるエポキシ変性の樹脂あるいはエポキシ化合物を添加した実施例17〜18と実施例20〜23の組成物は、前記の性能を維持しながら加水分解性(湿熱処理後の引張強度保持率)に優れる組成物と言える。とくに、エポキシ変性の樹脂とエポキシ化合物を併用添加した実施例22〜23の組成物は、特異的に加水分解性(湿熱処理後の引張強度保持率)に優れる組成物と言える。
また、特定の多価アルコールを添加した実施例23の組成物は、実施例22との比較から、特異的に流動性に優れる組成物と言える。
また、フッ素系樹脂を配合した実施例15〜23の組成物は、本発明の性能を維持しながら、燃焼試験において、溶融樹脂が落下しないノンドリップの燃焼挙動を示した。

Claims (8)

  1. (A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、(C)リン系難燃剤1〜70重量部および(D)エステル交換防止剤0.01〜5重量部を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)芳香族ポリカーボネート樹脂が0.01〜1μmの構造周期を有する両相連続構造を形成する難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  2. (A)熱可塑性ポリエステル樹脂5〜95重量%、(B)芳香族ポリカーボネート樹脂95〜5重量%の混合物100重量部に対し、(C)リン系難燃剤1〜70重量部および(D)エステル交換防止剤0.01〜5重量部を配合してなる難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)芳香族ポリカーボネート樹脂が、分散径が0.01〜1μmの海島構造を形成する難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記、(C)リン系難燃剤が下記(1)式の芳香族リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、フォスファフェナントレン化合物およびホスフィン酸塩化合物から選ばれる一種以上のリン系難燃剤である請求項1項または2項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2010024312
    (上式において、Ar、Ar、Ar、Arは、同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。また、Xは下記の(2)〜(4)式から選択される構造を示し、下記(2)〜(4)式中、R〜Rは同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、Yは直接結合、O、S、SO、C(CH、CH、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。また、(1)式のnは重合度を示し、0以上の整数である。また、(1)式のk、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつ(k+m)は0以上2以下の整数である。)
    Figure 2010024312
    Figure 2010024312
    Figure 2010024312
  4. さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(E)酸成分中和剤を0.01〜10重量部配合してなる請求項1〜3項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  5. さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(F)離型剤0.01〜10重量部を配合してなる請求項1〜4項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  6. 前記、(F)離型剤が、モンタン酸の部分ケン化物、エチレンビスステアリルアマイドおよびエチレンジアミンとステアリン酸およびセバシン酸の重縮合物から選ばれる一種以上の離型剤である請求項1〜5項のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  7. UL94燃焼試験規格の垂直試験において、ノンドリップの燃焼挙動を示す請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物からなる成形品が機械機構部品、電気電子部品または自動車部品に用いられる成形品。
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