以下に、本発明の好適な一実施形態について添付の図面を参照して、特に携帯型の酸素濃縮装置を実施例の一例として述べる。ここで、本発明は様々な修正と変更が可能であり、その内の特定の事例が図面に図示されており、以下に詳細に記述されることになる。しかしながら、これらに限定されず請求の範囲に規定された範囲で種々の構成が可能であることは言うまでもない。
図1(a)は、酸素生成原理を説明する流路配管図、(b)は圧縮空気による圧縮空気力変動吸着法(PSA)と圧縮空気と減圧空気による正減圧空気力変動吸着法(VPSA)における圧力変動を時間経過とともに図示した図表、(c)は、圧力変動吸着法(PSA)と正減圧空気力変動吸着法(VPSA)における窒素吸着量を圧力とともに図示した図表である。
図1において、圧縮空気のみによる正圧変動吸着法(PSA)と圧縮空気と減圧空気による正負圧変動吸着法(VPSA)について簡単に述べる。図1(a)において、外部空気を導入してコンプレッサ1で圧縮された原料空気は、一方の3方向切換弁109aを経て第1吸着筒体108a中に導入される。第1吸着筒体108aには触媒のゼオライトが内蔵されており、ゼオライトにより窒素が吸着され酸素が分離生成されることになる。
このようにして分離生成された酸素は、不図示の逆止弁を通り、製品タンクに流れる。この第1吸着筒体108aの内圧が高まると、3方向切換弁109aが排気側に切り換えられることで、排気が行われる。これに合い前後して均等圧弁107が開かれて、第1吸着筒体108a中で濃縮された一部の酸素を使用して、第2吸着筒体108bの洗浄を行う均圧工程に移行する。
次に、第1吸着筒体108aの脱着工程(窒素や水分の排出)と第2吸着筒体108bへの圧縮空気の取入れを行うために3方切換弁109bが開かれて、第2吸着筒体108bに流れ込んだ圧縮空気により分離生成された酸素が不図示の逆止弁を介して製品タンク中に流れる。その後、所定の圧力となったことが不図示の圧力センサで検出されると均等圧弁107が所定時間開かれて、次に第2吸着筒体108aの洗浄及び均圧工程が行われる。また均等圧弁107が開かれることで、第2の吸着筒体108bで分離生成された酸素が第1の吸着筒体108aの出口部に送り込まれて、内蔵のゼオライトの浄化が行なわれる。以上のような各工程を所定タイミングで繰り返し行うことで、連続した酸素の安定供給を行う。
以上のように2本の各吸着筒体に対して圧縮空気を2個の3方切換弁を切り換えて供給するときに、図1(b)で実線で図示した圧力変化となるように、圧縮空気のみを吸着筒体内に送り窒素を吸着させ、脱着操作を略大気圧下で行う方法は正圧変動吸着法(PSA)と呼ばれている。一方、図1(b)において破線で図示したように圧縮空気に加えて負圧(真空)まで減圧することで、より積極的に内蔵のゼオライトの洗浄を行う方法は正負圧変動吸着法(VPSA)と呼ばれている。この方法は積極的に内蔵のゼオライトの洗浄を行うことができるので、上記の正圧変動吸着法よりも優れている。
図1(c)に示したように、正圧変動吸着法による窒素吸着量は、正負圧変動吸着法に比べ、同じ圧差でも窒素吸着量は減少する。このため、圧縮空気と減圧された減圧空気の双方を送気できるコンプレッサを使用すると良い。または、圧縮空気発生用と減圧空気発生専用のコンプレッサを2台設ける必要があるので大型化を回避できない。このため、例えば携帯用の小型酸素濃縮装置に組み入れることは到底不可能になる。
そこで、以下に上記の正負圧変動吸着法に基づいて構成された携帯用の小型の酸素濃縮装置300を一例として述べる。
<酸素濃縮装置300の全体構成の説明>
図2は、本発明の一実施形態である酸素濃縮装置300の内部構成を図示するために要部を破断して示した正面図である。この装置300は不図示の鼻カニューラとともに使用されるとともに、総重量が約2〜4kgで2リットルのペットボトルに略近い上下方に細長い縦長の外観形状を備えている。
このように縦長構成とすることで、不図示の携帯用バッグ上方の開口部からに挿入できるようになり、挿入後にホックを設けた蓋が操作パネル305を覆うようにして固定することで脱落防止される状態となる。また、携帯用バッグに固定された吊り下げベルトを肩から掛けるようにして、例えば外出時に邪魔にならないようにして携帯できるように構成されている。また、吊り下げベルトには肩パッドが固定されており肩に負担とならないようにするとともに、携帯用バッグの正面にはチューブを接続した鼻カニューラを収納するパウチが設けられている。なお、携帯用バッグは、合成皮革乃至ウレタン引布製とすることができるとともに、後述する吸気口を塞がないように開口部が形成される。
以上のようにペットボトルに略近い縦長の外観形状を備えているので、携帯用バッグのパウチ内に鼻カニューラと折り曲げたチューブを収納した未使用の状態では、他人が一瞥しただけでは酸素濃縮装置300であることが簡単には知られないこととなる。
また、軽量化、省エネを徹底的に追求したことで電気代をさらに安くする一方で、付属の着脱可能かつ繰り返し充電可能な外部電池と、繰り返し充電可能な内蔵された充電電池228と家庭用商用(AC)電源の3系統で使用できるようにしている。また、特に内蔵電池228および外部電池は、停電時におけるバックアップ電源としても使用できるので安心して使えることになる。さらに、電池節約のために吸気に同調して酸素を送り出す「同調モード」に切り替えることができる機能を備えている。
また、上記の縦長の外観形状を有する密閉カバーを構成する主筐体302を射出成形樹脂部品である耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂である例えばABS樹脂製とすることでデザイン的な自由度を確保している。さらに吸着剤を充填した2本の吸着筒を含む他の構成部品についても極力軽量化するとともに、最も重量の大きなコンプレッサ1については、1組の第1のピストンと、第1のピストンの夫々を、気密状態で往復移動可能に案内する1組の第1のシリンダ室と、1組の第2のピストンと、第2のピストンの夫々を、気密状態で往復移動可能に案内する1組の第2のシリンダ室とをクランク軸体の端部から見て十字式に配列することで、大幅な小型軽量化を実現することで、総重量が約2kg程度の軽量化を達成している。また、図中の二点鎖線で示した防音室303も軽量化のために耐衝撃性の熱可塑性樹脂、例えばABS樹脂製としている。
操作パネル305は、例えば約10度の角度で斜め前方向に形成されており、その上に左から順に、電源スイッチ306と、この上の7セグメントの数字でLEDまたは液晶表示を行う酸素流量他の表示部204と、樹脂製部品の酸素出口307と、樹脂製カバー付きまたはカバー無しの上下2個の酸素流用設定ボタン308、308が配置されている。また酸素出口307の上方には、酸素出口307に形成された段差部に対して気密状態に係合されるとともに、着脱自在に設けられる樹脂製の不図示のカプラが設けられている。このカプラには鼻カニューラ等のフレキシブルなチューブの開口部が連通するようにセットされる。
上記の携帯用バッグに装置300を装填したときに、日本人の標準身長(160〜170cm)の患者が起立状態で両手を下げた腰部分に略該当する高さ付近において、身体の外側となるように操作パネル305は斜めに形成される。よって、例えば、立ったままの姿勢で酸素濃縮装置300の運転操作を無理なく行なうことができる。さらに、酸素出口307を中央に配置し、左右対称位置に各ダイヤルが配置されているので、左利きの人であっても何ら違和感なく操作できるように配慮されている。
なお、鼻カニューラに接続されたチューブの全長は、例えば60cm以内とすることで特に携帯時に邪魔にならないようにできる。また、患者が生活する同じ部屋内で移動する範囲に略相当する全長としたものを別途準備しておけば、酸素濃縮装置300を室内の片隅に固定した状態での使用が可能となる。なお、底面の四隅に4つのゴム足(不図示)を固定しておき、床面上に設置して使用するときに横滑りを防止するとともに簡単には倒れないようにしても良い。
次に、主筐体302の背面側の上方には外気を内部に導入するために図示のように横長に形成された吸気口302aが形成されている。また、主筐体302の右側面には、酸素を生成した後に、外部に排気を行う外部に開口した排気口302bが形成されている。
また、副筐体となる防音室303は、主筐体302と一体成形または別部材として設けられる壁部材309から形成されており、防音室303の内部の壁面に敷設される防音材311を設けることで、コンプレッサ1から発生する運転音を効果的に吸収するようにしている。この防音材311は、図示のように主筐体302の内部の壁面及び後述する各種電磁弁109、115、117を覆うように設けることで、オンオフ時の運転音を効果的に吸収できるようにしている。
この防音材311は、その繊維径が1〜4ミクロンのポリオレフィレン系繊維(好ましくは、ポリプロピレン繊維)と、繊維径が20〜30ミクロンのポリオレフィレン系繊維(好ましくは、ポリプロピレン繊維)とからなる不織布を用いることができる。このような不織布を用いて軽量に構成することができ、かつ防音吸音効果が飛躍的に上がることが確認された。
コンプレッサ1は、例えば0.5〜2mm厚のアルミニウム板部材をコの字状に曲げ加工して得られた不図示の取付板に固定した後に、ラバーブッシュを含む防振ゴムを介して防音室303の内部に固定される。このコンプレッサ1に一体的に設けられたフィルタ組立体に対して上記の吸気口302aからの原料空気を導入するためのフレキシブルな配管24が、防音室303に穿設された貫通孔を通過するように設けられている。
また、コンプレッサ1で圧縮されることで温度上昇した圧縮空気を冷却するための放熱管55が配管24を介して接続されている。この放熱管55は、例えば銅製またはアルミニウム製の長尺の管を、図示のようにコイル状に巻いて表面積を大きくするように構成されており、温度上昇された圧縮空気が放熱管55の管の内部を通過する過程で、近傍に配置された軸流ファンを含む放熱ファン330の送風により冷却されるように構成されている。
また、放熱ファン330の送風は上記の排気口302bへ向けて排気される。一方、放熱ファン330の送風は後述する消音器からの排気も同様に積極的に行うことから、不図示の別の貫通孔を介して防音室303内に外気を導入し、上記の放熱及び排気を行うように構成されている。
一方、外部電池コネクタ131、ACアダプタコネクタ130、133が主筐体302の左側面に設けられており、図示のACアダプタのACケーブル端部のコネクタがACアダプタコネクタ130に挿入されて酸素濃縮装置300へのACアダプタ(交流100V)からの電力供給を行うようにしている。また、繰り返し充電可能な外部電池のコネクタを外部電池コネクタ131にセットすることで、外出時、室内(屋内)等での移動時などにおいて、最大で2時間程度の電池駆動を可能にしている。
さらに、繰り返し充電可能なリチウムイオン電池である内蔵電池228は、図示のように最下位置に配置されており、装置全体の重心位置を低くしている。以上のように、AC電源(商用電源)、外部電池、内蔵電池の3系統の電源とするとともに、使用する電源の優先順位をAC電源、外部電池、内蔵電池に自動切り換えすることで、特に内蔵電池228の温存化を図れるようにしている。
一方、収納されたゼオライトの吸着剤中に圧縮空気を透過させ、吸着剤で窒素を選択的に吸着して酸素を生成するための一対の吸着筒108a、108bは、図示のように防音室303と主筐体302の間の空間に縦方向に並列に設けられている。さらに、生成された酸素を貯める製品タンク111は、防音室303の上方に配置されている。
上記の電源スイッチ306のオン位置に相当する位置には、緑と赤に点灯する例えば発光LEDを内蔵した運転状態ランプ(不図示)が設けられている。また、電池残量モニタが設けられる機種もある。中央に位置する酸素出口307は、図示のように全ての囲い部分が操作パネル305の操作面から奥側(図面の裏面側)に引っ込むように設けられている。この酸素出口307の上には「点検」の文字またはこれに相当するキャラクター表示を横に印刷した警報表示部が設けられる機種もある。さらに警報表示部の下方には緑と赤と黄色とに点灯する例えば発光LEDを内蔵した酸素ランプが設けられる機種もある。
そして、上下の酸素流量設定ボタン308、308はフラットスイッチとして設けられており操作パネル305の操作面と略同一面となるように設けられている。この酸素流用設定ボタン308は、90%程度以上に濃縮された酸素を毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまで0.25L段階または0.01L段階で押圧操作する度に、酸素流量が設定できるように構成されており、上方の酸素流量表示部309で表示するようにしている。
以上のように酸素生成能力を変えて運転することが可能である。また、濃縮酸素を呼吸同調により断続供給状態で運転中であることを点灯または点滅表示により患者に知らせるために設けられる同調ランプを設ける機種もある。また、呼吸に同期して点滅表示することにより患者に知らせるために設けられる動作インジケータを設けた機種もある。
以上のように操作パネル305に配置された各操作部は使用上の安全性および高齢者の使用を前提として必要最小限度の操作で主な機能を全て操作できる。具体的には、表示部204の電池残量表示部は、電源オンで約2秒間全点灯する。その後に、内蔵電池228または外部充電式電池の残量が100%であると、発光LEDを内蔵したランプが緑色に点灯(連続して光る)するとともに、複数段階(例えば、5段階)の表示部の全てが点灯表示される。また、電池残量が満充電に対して所定割合(例えば、20%)減る度に、順次消灯するとともに点灯数が次第に少なくなり、残り1つの点灯状態になるとオレンジ色等の注意色で点灯して、内蔵のブザーまたは音声ガイドで警告できるように構成されている。
そして、充電式電池の残量が満充電に対して所定割合の例えば10%以下になると発光LEDを内蔵したランプが赤色等の警報色に間欠的に光るように点滅するとともに、所定間隔、例えば、5分おきに内蔵のブザーまたは音声ガイドでその旨を警告するようにして、特に外出時や停電時における電池駆動モードでの使用上の安全性を確保している。なお、内蔵電池228と外部充電式電池の電池残量表示部を、内蔵電池228と外部充電式電池のそれぞれに対応するように別々に表示し、視認しやすいようにしてもよい。
また、警報表示部には「点検」の文字を印刷しておき、酸素濃度が低下したときに内蔵のランプが点灯して知らせるようにしても良い。また装置側の異常発生時にはブザーも鳴り音声ガイドとともに知らせるようにしても良い。また、停電で装置が停止したときには、点滅して知らせる一方で、ブザーおよび音声ガイドで特に視覚障害者に対して確実に知らせることができるようにしても良い。また、酸素ランプは、酸素が正常に酸素吸入されているときには内蔵のLEDが緑色に点灯する。また、酸素が出ていないときあるいは酸素濃度が低下したときには消灯する。そして、同調モード(呼吸同調モード)で、一定時間、例えば30秒程度呼吸状態を検出できなかった時に警報色である赤色に点灯し、ブザーを鳴らすとともに音声ガイドで知らせるようにしても良い。
また、吸気に同期して濃縮酸素供給を行う同調モードで運転中の場合にはその旨を患者に視認させるために呼吸パターン(酸素出力)に実質的に同期して緑色に点灯または点滅して知らせるようにして、患者は正常に濃縮酸素が供給されていることを確認できるようにしても良い。
一方、電源スイッチ306をオンすると、ブザーが鳴り、全てのランプが2秒間緑色に点灯する初期セルフチェックを行い、電池駆動モードで使用するときには、その後に5段階の表示部において残量に応じて点灯表示しても良い。患者は医師の処方にしたがって酸素流量設定ボタン308の増減操作を行い、所定流量に設定すると酸素供給が開始されることとなる。なお、通常に酸素濃縮装置300を停止させた場合には、一時記憶装置に前回の動作条件(酸素流量、同調モードの有無)が記憶されることとなる。このため、初期セルフチェックの後に、酸素流量設定ボタン308を押さない場合には、自動的に前回の動作条件で濃縮酸素の供給を行なうように構成されている。なお、その旨(前回と同一動作条件等)を音声ガイドで合わせて知らせるようにしても良い。停止時に電源スイッチ306をオフすると、酸素ランプも消灯し、しばらくの間、運転ランプが点滅した後に自動的に終了するようにしても良い。
<酸素濃縮装置300の流路配管およびブロック図の説明>
図3は、酸素濃縮装置300のブロック図を兼ねて図示した流路配管図、図4は、コンプレッサ1の配管系統の詳細の模式図、図5は、コンプレッサ1の上部ハウジング3、下部ハウジング4内のマニホルド(配管系統)の詳細図である。
図3〜図5において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図中の二重線は空気、酸素、窒素ガスの流路となる配管24であり、概ね配管24a〜24lで示されている。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。なお、図4において破線で示している配管24c、24h、24i、24j、24k、24lは、実際は、いずれも図5に示すようにマニホルドで形成されているため、チューブ、金属パイプ等は用いられていない。
ここで、以下の説明では、コンプレッサ1として圧縮空気発生部1aと減圧空気発生部1bとフィルタ組立体7と消音器6とを一体化構成したものを用いる場合について述べる。また、外気を吸気口302a、フィルタ320を介して内部に導入し、排気口302bを介して外部に排出する主筐体302については密閉容器として図中において概ね破線で図示されている。
図3において、導入空気の流れに沿って順次述べる。主筐体302の内部に吸気口302a、フィルタ320を介して原料空気が導入された後にフィルタ組立体7を備えた加圧吸入タンク7aに矢印F方向に導入される。濾過された原料空気は、マニホルドとして形成された配管24iを経てコンプレッサ1の加圧室1aに入る。
次に、原料空気はコンプレッサ1の加圧室1aで加圧された圧縮空気となるが、このとき温度上昇した状態でマニホルドとして形成された配管24j、加圧バッファタンク7bを経て配管24cに送り出されるので、好ましくはこの配管24cを放熱効果に優れた上記の放熱管55に接続し、コンプレッサ1全体を冷却するための送風ファン330からの送風を利用して冷却するように設けられている。このように圧縮空気を冷却することで、高温では機能低下してしまう吸着剤であるゼオライトが窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として十分に機能できるようになるので、酸素を90%程度以上にまで濃縮できることとなる。
次に、圧縮空気は、配管24dを介して縦方向に並列に2本分が上記のように配置された第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに対して交互に供給されることになる。また、減圧空気は配管24h、減圧バッファタンク6b、マニホルドとして形成された配管24kを介して減圧空気発生部1bに導入される。このため切換弁である3方向切換弁109a、109bが図示のように接続されている。これらの3方向切換弁109a、109bと、さらに第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの不要ガスを脱離させるための浄化工程を行うために、3方向切換弁109a、109bに対して配管24fが図示のように接続されている。また、配管24fの下流側はコンプレッサ1の減圧空気発生部1bに接続されており、この減圧空気発生部1bには、マニホルドとして形成された配管24lを経て、排気時の消音を行い排気口302bから外部への排気を行うための消音器6を備えた減圧排気タンク6aが接続されている。
以上の第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に夫々貯蔵されている触媒吸着剤であるゼオライトは、Si203/Al2O3比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAl2O3の四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることで、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やせるようにしている。特に1mm未満の顆粒測定値を有するとともに、四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと融合させたものが好ましい。
このようなゼオライトを使用することで、同じ酸素を生成するために必要となる原料空気の使用量を削減できるようになる。この結果、圧縮空気と減圧空気とを発生するためのコンプレッサ1をより小型のタイプとすることができ、一層の低騒音化を図ることができる。
一方、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの上方の出口側には逆止弁と、絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が図示のように分岐接続されている。また、均等圧弁107の下流側には、合流する配管24wが接続されており、分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器となる製品タンク111が、図示のように配管24に接続されている。また、各吸着筒体内の圧力を検出する不図示の圧力センサが配管されている。
この製品タンク111の下流側には、出口側の酸素の圧力を一定に自動調整する所謂レギュレータである圧力調整器112が配管されている。この圧力調整器112の下流側には、ジルコニア式あるいは超音波式の酸素濃度センサ114が配管24eを介して接続されており、酸素濃度の検出を間欠(10〜30分毎)または連続で行うようにしている。この下流側には上記の酸素流量設定ボタン308に連動して開閉する比例開度弁115が接続されており、その下流側には酸素流量センサ116がさらに接続されている。またこのセンサ116の下流には呼吸同調制御のための減圧空気回路基板を介してデマンド弁117が接続されており、滅菌フィルタ119を経て、酸素濃縮装置300の酸素出口307対して接続されている。以上の構成により、鼻カニューレ314等を経て患者に対する最大流量5L/分で約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能になる。
次に、電源系統は、AC(商用交流)電源を所定直流電圧に整流するスイッチングレギュレータ式のACアダプタ319に接続されたAC電源のコネクタ130を中継して接続されるACアダプタ319と、主筐体302の底部に内蔵される内蔵電池228と、上記のコネクタ131を介して着脱自在可能に設けられる外部電池227と電源制御回路226から構成されている。内蔵電池228および外部電池227は、繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵電池228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電される。なお、内蔵電池228は、少なくとも500回(数100回程度)程度の繰り返し充放電が可能で、電池残量、使用充放電サイクル数、劣化程度、出力電圧等のマネジメント機能を有するものが使用され、電池残量、残充電容量、充放電回数を外部の携帯端末などで確認可能なマネジメント機能を有するものが好ましい。また、外部電池227については、コネクタ131を介する接続状態において、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備される電池充電器を用いて繰り返し充電されることになる。または、専用設計された電池充電器を一体化した外部電池227として準備しても良い。
以上の電源系統の構成において、酸素濃縮装置300はACアダプタ319からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵電池228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部電池からの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態との3系統の電力供給状態の内の一つに自動切換えされて使用される。
この自動切換えのための優先順位は上記の第1電力供給状態、第3電力供給状態、第2電力供給状態の順序で自動決定するように中央制御部200により電源制御回路226が制御される。また、電源制御回路226には、IDタグコード識別回路がさらに接続される場合があり、携帯時に充電式電池切れとなる事態を防止できるようにしている。すなわち、携帯時に充電式電池切れとなる事態を防止するためには、複数の充電式電池228を接続すると良いが、このように複数の電池を接続すると電源切替の手段が複雑になるし、また個別に電力消費をモニタすることができなくなる。
そこで複数の充電式電池228、...228の内で、放電済の電池からフル充電された充電式電池に自動的に切り換える制御を可能にするために個別に識別IDタグコード及び充電状態検出手段を設けておき、放電済の電池を確認可能にしてフル充電された電池に切り換えるようにしている。さらにまた、電池使用したい時間に合致させて、接続する電池の数を自由に選択し、利便性を高めるようにしている。
さらに内蔵の内蔵電池228については酸素濃縮装置300の低重心化を図るために底面に配設される。一方、外部電池227は例えば患者の衣類のポケット内に収容しておき、適宜接続することで外出時などで使用することが可能になる。この外部電池227には上記の充電残量表示部が設けられているので残り使用時間を音声ガイドとともに知ることができる。
ACアダプタ319は、周波数の違いの影響および電圧の変動を受けずに所定直流電圧を発生することが可能であり、かつまた小型軽量に構成できるスイッチングレギュレータ式が良いが、通常のシリーズ式でも良い。また、内蔵電池228および外部電池227は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッカド電池やニッケル水素電池でも良い。さらに、緊急時に備えて、どこでも入手可能な単2乾電池のボックスとして外部電池を構成しても良いことになる。
また、中央制御部200は、生成する酸素量に応じた、最適な動作モードに切り替えるプログラムが記憶されており、多くの酸素生成をする場合は自動的にコンプレッサ1、送風ファン330を高速駆動し、少ない酸素生成時の場合には低速に回転駆動する制御を行うモータ制御部201、ファンモータ制御部を介して夫々行うことで、特に、内蔵電池228を温存させるようにしている。この結果、外部電池227を充電し忘れた場合であっても突然の外出時や停電時等の対応が可能になる。
この中央制御部200には所定動作プログラムを記憶したROMが内蔵されるとともに、外部記憶装置210と、揮発メモリと一時記憶装置とリアルタイムクロックからなる回路207がさらに接続されており、外部コネクタ133を介して通信回線などと接続することで記憶内容へのアクセスが可能となるように構成されている。
また、上記の3方向切換弁109a、109bと均等圧弁107とをオンオフ制御することで、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるように制御する制御回路と、上記の酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、流量センサ116とデマンド弁117とを駆動制御する流量制御部202が中央制御部200に接続されている。
総重量が約400gのコンプレッサ1は、モータ制御部201に内蔵される可変速度制御部により正弦波駆動波形でアウターロータ式の電動モータ2を含む直流モータの駆動制御が行われることで運転音を低くしている。このコンプレッサ1は、各速度で運転可能であって、必要な圧縮空気の圧力レベルと流量を発生でき、僅かな騒音と振動しか出さず、僅かな熱しか発生せず、小型軽量であって僅かな電力消費で運転できるように構成されている。
また、可変速度制御手段である可変速度制御器をモータ制御部201に備えることにより、患者の活動レベル、環境条件に基づいてコンプレッサ1の回転駆動速度を自在に変化させることができる。この結果、患者が座ったり、寝たりしている等、患者の酸素要求が比較的低いことがデマンド弁117によって呼吸同調に基づき判断されると、コンプレッサ1の駆動回転速度を自動的に落とすことができる。また、患者が立ったり、活動的であったり、後述するように酸素濃度の低い高地にいることがGPSで判断されたときなど、患者の酸素要求が比較的高く、酸素要求量が高まったと判断されると、回転速度を自動的に高めることができるように構成されている。
以上のようなモータ制御によって装置300全体の消費電力が低減され、充電式電池での駆動時の寿命を延ばすことが可能になるとともに、充電式電池の重量と大きさを軽減し、コンプレッサ1の摩耗度を低めて寿命を延ばすことで信頼性を向上できる二次的効果を得ることも可能になる。
このコンプレッサ1は、上記のように圧縮空気発生と減圧空気発生の機能を備えるものであり、取り出される酸素流量に応じて回転数が自動制御され、回転速度が500rpmから3000rpmの間で制御される。また、このコンプレッサ1は、空気を最大で150kPa程度にまで圧縮する性能を備えている。
このコンプレッサ1を取り巻く操作温度は、0℃〜40℃であり、コンプレッサ1の駆動電圧は、自動車やトラックなどのシガーライターアダプタから得られる電源である直流12Vまたは24Vであって、電力使用量は、約30W程度である。このため、最悪の場合にはコネクタ131に接続して電源供給することもできる。また、上記の送風ファン330は、消費電力約3W程度であり、濃縮酸素流量に応じて回転数が変動し、騒音の低下、電力の低減に貢献するように構成されている。
3方向切換弁109a、109bとしては、一般的に直動式と呼ばれる弁の動作を通電時の磁力で行う電磁弁が使用可能である。この種の電磁弁は電気の力だけで主弁を動作させるため消費電力が高いという問題点がある。そこで、3方向切換弁109a、109bとしてパイロット式3方向切換弁を使用することもできる。このパイロット式3方向切換弁によれば、僅かな消費電力とコンプレッサ1からの空気圧を有効利用して動作させることが出来るために、従来の8Wから0.5Wにまで低減されるので大幅な電力低減が図れることになる。
以上の各構成部品は、低騒音化された酸素濃縮装置300の組立作業性および点検整備性の向上を配慮して図2に図示したように一方向から主に主筐体302をその取り付け部として固定できるように設計されている。すなわち、各種制御基板と、上記のように酸素の圧力を一定に自動調整する圧力調整器112と、圧力調整器112の下流側の酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、酸素流量センサ116と呼吸同調制御のための減圧空気回路基板118に接続されるデマンド弁117を、全て一方向から固定できるように構成されている。特に振動または騒音発生の伴う構成部品は防音室303の内部において防音状態かつ防振状態で設けることで、圧縮空気の供給音と、外部空気の導入音と、原料空気を作るための濾過空気の導入音と周期的に発生する排気音が外部に漏れないようにして騒音低減を図っている。また、3方向切換弁の作動音は上記のように防音シート311で覆うことで防音している。さらに主筐体302は、その吸気口302aを介して内部に導入し、排気口302bを介して外部に排出する必要最小限の開口を備えた密閉カバーとして構成されることから、さらなる騒音低減を図ることが可能になる。
<コンプレッサ1の構成>
図6は、コンプレッサ1の外観斜視図である。本図において、上面左側にフィルタ組立体7を備えた加圧吸入タンク7a、その右側には真空ヘッド9が通しボルト40、40及び不図示のナットとネジを用いて固定されている。下面左側には加圧タンク7bが上部ハウジング3、下部ハウジング4を挟んで加圧吸入タンク7aと対向して通しボルト40、40及び不図示のナットとネジを用いて固定されている。下面右側には真空ヘッド9が上部ハウジング3、下部ハウジング4を挟んで上部の真空ヘッド9と対向して通しボルト40、40及び不図示のナットとネジを用いて固定されている。
また、手前側面左側には加圧ヘッド8、手前側面右側には排気マフラ(消音器)6を備えた真空排気タンク6aが通しボルト40、40及び不図示のナットとネジを用いて固定されている。向こう側面左側には加圧ヘッド8が手前側面左側には加圧ヘッド8と対向して通しボルト40、40及び不図示のナットとネジを用いて固定されている。また、向こう側面右側には真空吸入タンク6bが真空排気タンク6aと対向して通しボルト40、40及び不図示のナットとネジを用いて固定されている。こうして、コンプレッサを水平対向2筒式として、配管マニホルドと吸気フィルタと排気マフラとを一体化した構造となっている。
コンプレッサ1は、減圧空気を発生する減圧室1bと、圧縮空気を発生する加圧室1aと、モータ2で回転駆動される破線図示のクランク軸体11とを備えている。また、クランク軸体11の長手方向に沿う寸法Hを極限まで小さくするとともに、その横断面形状が図示のような正四角形となる上下面と左右面とを有する上部ハウジング3、下部ハウジング4に対して後述の構成部品を取り付けるように構成されている。フィルタ組立体7の内部にはコイル状の焼結体または特殊繊維から形成されたフィルタ部(不図示)を設けられている。
次に、図7のコンプレッサ1を破線図示の減圧空気ヘッド8とともに示したアイソメトリック図法に基づくスケルトン図を参照して述べる。クランク軸体11の長手方向に直交する両側面となる上部ハウジング3、下部ハウジング4においてラジアル玉軸受の第1の軸受13と第2の軸受14とが固定されており、これらの第1の軸受13と第2の軸受14によりクランク軸体11が回転可能に軸支されている。また、ハウジングの一方の側面でモータ2が固定されており、クランク軸体11の第1の軸受13で軸支された一部をハウジングの外側に延設しており、モータ2の出力軸2aに継手12を介して接続している。また、第2の軸受14の近傍のハウジングの内部には、慣性モーメント部19fを形成したフライホイール19がクランク軸体11に固定されて設けられている。
以上の構成により、モータ2への通電に伴いトルク変動がフライホイール19で吸収されつつ、クランク軸体11が例えば時計回転方向に連続的に回転駆動される。
第1のピストン25は、クランク軸体11に設けられた第1の偏心カム(不図示)で第1のコンロッド26で前後方向に往復運動(図で左右方向)し、第1のシリンダ室(不図示)内で案内される。第1のコンロッド26の中心軸(動作軸)はCL2で示している。また、第2のピストン27は、クランク軸体11に設けられた第2の偏心カム(不図示)で第2のコンロッド28で前後方向に往復運動(図で左右方向)し、第2のシリンダ室41c内で案内される。第2のコンロッド28の中心軸(動作軸)はCL3で示している。第1のコンロッド26の中心軸(動作軸)CL2と第2のコンロッド28の中心軸(動作軸)は僅かにずれているが、第1のピストン25と第2のピストン27の中心軸(動作軸)は、共通する第1の中心軸(同一の中心軸)CL1を有している。
第3のピストン29は、クランク軸体11に設けられた第3の偏心カム(不図示)で第3のコンロッド30で上下方向に往復運動し、第3のシリンダ室(不図示)内で案内される。第4のピストン31は、クランク軸体11に設けられた第4の偏心カム(不図示)で第4のコンロッド32で上下方向に往復運動し、第4のシリンダ室(不図示)内で案内される。第3のコンロッド30と第4のコンロッド32の中心軸(動作軸)は僅かにずれているが、第3のピストン29と第4のピストン31の中心軸(動作軸)は、共通する第2の中心軸(同一の中心軸)CL7を持っている。
以上の第1のピストン25、第2のピストン27、第3のピストン29、第4のピストン31は、同時に圧縮工程、吸気工程を行うようにすることで振動防止を図るようにしている。第1のピストンと一体形成された第1のコンロッド26はクランク軸体11に対してラジアル玉軸受15を介して軸支されている。第2のピストンと一体形成された第2のコンロッド28はクランク軸体11に対してラジアル玉軸受16を介して軸支されている。第3のピストンと一体形成された第3のコンロッド30はクランク軸体11に対してラジアル玉軸受18を介して軸支されている。
第4のピストンと一体形成された第4のコンロッド32はクランク軸体11に対してラジアル玉軸受17を介して軸支されている。そして第1のコンロッド26、第2のコンロッド28は、中心軸CL2、中心軸CL3が上記の第1の中心軸CL1から距離A1a分が図示のようにオフセットされている。
以上の構成により、各第1のピストン25、第2のピストン27の駆動時に発生する第1の中心軸CL1回りの回転モーメントは一切発生しないようにできる。なお、第1のピストン25、第2のピストン27、第3のピストン29、第4のピストン31のストロークは2〜5mm程度であるが、酸素出口307から2〜3L/分の90%以上の高濃度酸素が流れるようにできる。
一方、第3のピストン29、第4のピストン31の夫々は上下方向に同じ軸方向に往復運動するようにシリンダ室(不図示)で案内され、第3のピストン29、第4のピストン31が同時に圧縮工程、吸気工程を行うようにしている。第3のピストン29、第4のピストン31に対応するシリンダ室(不図示)のそして第3のコンロッド30の中心軸CL5、第4のコンロッド32の中心軸CL6が上記の共通する第2の中心軸CL7から距離A1b分が図示のようにオフセットされている。このため、第3のピストン29、第4のピストン31の駆動時に発生する共通する第2の中心軸CL7回りの回転モーメントも一切発生しないこととなる。さらに、共通する第1の中心軸CL1と共通する第2の中心軸CL7は90度ずらせて交差している。このため、回転モーメントが水平面の回転モーメントが相殺されることとなる。
図8は、加圧ヘッド8の要部の立体分解図である。真空ヘッド9についても各リード弁50、51の開閉方向以外には同様に構成される。本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、下方からシリンダブロック41には、シリンダブロック41と同じ形状にプレス加工された第1のガスケット(不図示)が設けられている。第1のガスケットの上方には、この第1のガスケットと同じ外形形状と同じ穴部を穿設した下方部材43が設けられる。この下方部材43は、板厚1mm前後のステンレス板またはアルミニウム板からプレス加工することができる。この下方部材43には、***部43kと大穴部43gが設けられている。
下方部材43の上には、リード弁部材44が設けられている。このリード弁部材44は、板厚0.3mm以下のステンレス板部材または燐青銅板部材からプレス加工されるとともに、各リード弁50、51はU字形状にその外形が打ち抜かれており破線図示の基部から弾性変形するように形成される。挿通する長ボルト49で組立時に、下方部材43の***部43kとリード弁50が同じ位置に、下方部材43の大穴部43gが同じ位置になるように形成されている。
このリード弁部材44の上の上方部材45は上記の下方部材43とともにリード弁部材44を上下から挟持するとともに、リード弁51がそれ以上上方に移動することを規制する規制部45kと穴部45gが形成及び穿設されている。挿通するネジで組立時に、上方部材45の***部45gとリード弁50が同じ位置に、上方部材45の規制部45kとリード弁51が同じ位置になるように形成されている。
こうして、***部43k、リード弁51、規制部45kが1つの弁として作用する。また、大穴部43g、リード弁50、穴部45gが1つの弁として作用する。上方部材45の上には第2のガスケット(不図示)、さらにその上にヘッドブロック47が設けられ、これらは、それぞれネジ穴41b、43b、44b、45b、47bが設けられており、これらを挿通する長ボルト49を用いて組立てられる。こうして、リード弁、リード弁部材はヘッド独立型の複数のシート弁構造とされている。
図9は、第1のピストン29、31が吸気工程にある状態と、第1のピストン29、31が圧縮・排気工程にある状態を図示した模式図である。吸気工程においては弾性を有するリード弁50が撓み(リード弁51は撓まない)、圧縮・排気工程においては弾性を有するリード弁51が撓む(リード弁50は撓まない)。こうして、第1のピストン29、31が吸気工程にある状態では、リード弁50、51が規制部45kで移動規制されて動作できるようになり圧縮空気と減圧空気を発生できるようになる。