JP2010010613A - 積層体、自立基板製造用基板、自立基板およびこれらの製造方法 - Google Patents

積層体、自立基板製造用基板、自立基板およびこれらの製造方法 Download PDF

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徹 永島
Kazuya Takada
和哉 高田
Masashige Ishizuki
正成 石附
Keiichiro Hironaka
啓一郎 弘中
Akinori Koketsu
明伯 纐纈
Yoshinao Kumagai
義直 熊谷
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Abstract

【課題】Al系III族窒化物単結晶自立基板を製造するためのベース基板として好適に使用できる、結晶レベルでの歪みが低減されており、クラックおよび反りの発生が抑制された自立基板製造用基板を提供する。
【解決手段】不活性ガス中1000℃において分解しない無機物質であって、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板、ベース基板上に形成された、単結晶Al系III族窒化物、または単結晶Al系III族窒化物と非晶質Al系III族窒化物との混合物からなる厚さ3nm以上200nm以下のAl系III族窒化物薄膜層、Al系III族窒化物薄膜層上に形成された、Al系III族窒化物薄膜層の厚さの100倍以上の厚さを備えたIII族窒化物非単結晶層、を備えて構成される積層体とし、ベース基板とAl系III族窒化物薄膜層との界面に複数の空隙を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、自立基板製造用基板、自立基板およびこれらの製造方法に関し、詳細には、Al系III族窒化物単結晶からなる自立基板、該自立基板を製造するための自立基板製造用基板、該自立基板製造用基板を備えてなる積層体に関する。
窒化アルミニウム(AlN)はその禁制帯幅が6.2eVと大きく、かつ直接遷移型の半導体であることから、AlNと同じIII族窒化物である窒化ガリウム(GaN)や窒化インジウム(InN)との混晶を含めて紫外発光素子材料として期待されている。
紫外発光素子などの半導体素子を形成するためには、n電極に電気的に接合したn形半導体層とp電極に電気的に接合したp形半導体層との間にクラッド層、活性層等を含む積層構造を形成する必要があり、発光効率の点から何れの層においても高い結晶性、すなわち、結晶の転位や点欠陥が少ないことが重要である。このような理由から、一般に上記積層構造は、自立して存在するに十分な機械的強度を有する単結晶基板(以下、「自立基板」と言う場合がある。)上に形成される。
上記積層構造形成用の自立基板としては、積層構造を形成する窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)などのIII族窒化物単結晶との格子定数差や熱膨張係数差が小さいこと、さらには、素子の劣化を防ぐ観点から熱伝導率が高いことが要求される。そのため、窒化アルミニウムを含有する半導体素子を作製するためにはAl系III族窒化物単結晶基板を自立基板として、上記層構造を形成するのが有利である。
現状、Al系III族窒化物単結晶自立基板は、市販されていない。よって、通常、サファイア等の異種の単結晶基板(以下、その上に単結晶を成長させるために用いる基板を「ベース基板」と言う場合がある。)上にAl系III族窒化物単結晶厚膜を形成して、それをベース基板から分離することによりAl系III族窒化物単結晶基板の形成が試みられている。
ここで、Al系III族窒化物単結晶の厚膜を形成する方法としては、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属気相エピタキシー(MOVPE:Metalorganic Vapor Phase Epitaxy)法等の気相成長法、昇華再結晶法、液相を介した成長法が適用可能であるが、結晶性の良好な単結晶を速い成膜速度で得ることが可能であるという理由からHVPE法が注目されている(特許文献1参照)。
気相成長法を用いてAl系III族窒化物単結晶からなる自立基板を製造する場合には、サファイアやSiC、シリコン等のベース基板上にAl系III族窒化物単結晶の厚膜を成膜し、何らかの手段を用いてベース基板から分離することにより行われる。ベース基板から自立基板を分離する方法としては、化学エッチングによりベース基板を溶解除去する方法、ダイシングよりベース基板を切断分離する方法、ベース基板を研磨して取り除く方法のほか、特殊な手法を用いてベース基板と自立基板との界面に空隙を導入して分離を容易化する方法も提案されている(特許文献2参照)。
しかし、一般に、サファイアやSiC、シリコン等のベース基板を用いてAl系III族窒化物単結晶の厚膜を成膜した場合には、ベース基板とAl系III族窒化物単結晶との間における格子定数差や熱膨張係数差に起因してAl系III族窒化物単結晶に応力(以下、「格子不整合応力」という場合がある。)が発生する。この格子不整合応力はAl系III族窒化物単結晶層の厚さが薄い場合には大きな問題を引き起こさないが、自立基板として要求されるような厚さにAl系III族窒化物単結晶を成長させる場合には無視できなくなり、基板に反りやクラックが生じ、ひどい場合には基板が割れてしまったりするといった問題が発生する。
また、成膜中には基板が加熱されているため格子不整合応力は小さく問題が顕在化し難いが、成膜後の冷却過程に於いては収縮により格子不整合応力が増大するため問題が顕在化する。割れやクラックの発生を回避して自立基板を得ることができた場合でも、反りを回避することは困難であり、積層構造形成用の自立基板とするためには反りを低減させて表面を平滑化するための処理を行う必要があった(特許文献3参照)。
GaNなどのIII族窒化物単結晶自立基板においては、このような問題を解決する手段として次のような方法が提案されている。即ち、GaAsなどの酸又はアルカリ溶液で溶解可能な単結晶基板上にGaNなどのIII族窒化物単結晶を成長させた後に引き続いて多結晶III族窒化物を成長させてから前記単結晶基板を酸又はアルカリ溶液で除去し、次いで残った部分の最初に形成したIII族窒化物単結層上に単結晶III族窒化物層を成長させるという方法が提案されている(特許文献4参照)。そして特許文献4の実施例には、該方法に従って裏面に保護層としてのSiO層を形成したGaAs(111)基板上に200nmのGaAsバッファ層及び20nmのGaNバッファ層を順次成長させた後に更に2μmの結晶性の良好なGaN層及び100μmの結晶性を重視しないGaN層(表面付近は多結晶となっている)を順次成長させてからGaAsを溶解除去してGaN基板を得、得られた基板のGaAs基板に接していた側の表面に15μmのGaN単結晶層を成長させたところ、得られたGaN単結晶層にはクラックがなく、転位数も10個/cm台であったことが記載されている。
特開2006−290662号公報 特開2006−069814号公報 特許第3581145号 特許第3350855号明細書
しかしながら、前記特許文献3に記載されるような方法で表面の平滑化を行っても、基板は外見上平滑にすることはできるものの、結晶レベルでの歪みを除去することはできず、得られた自立基板を構成する単結晶は、結晶レベルでの曲率半径(結晶面の曲率半径)は比較的小さいものであった。半導体素子形成時において自立基板上にIII族窒化物単結晶を成長させる場合、成長される結晶は下地となる単結晶の影響を受ける。このため、III族窒化物単結晶を成長させるには、単に表面平滑性を高めるだけではなく、歪みが低減された結晶からなる自立基板、別言すれば結晶面の曲率半径が大きな自立基板を使用することが望ましい。
また、特許文献4の方法を、Al系III族窒化物単結晶自立基板を製造するのに採用した場合、Al系III族窒化物単結晶を高品位で得るためには高温で成長させる必要がある。よって、ベース基板として、耐熱性のあるサファイア、SiCを採用する必要がある。このようなベース基板は、機械的強度、化学的耐性が強い。したがって、ベース基板を化学処理により溶解除去することができず、ベース基板を切断して、さらに表面研磨することにより平坦な単結晶表面を露出させる必要があった。このため、歩留が悪いという問題があった。
さらに、特許文献4の方法をAl系III族窒化物単結晶自立基板の製造にそのまま採用した場合、ベース基板から分離された自立基板製造用基板に、冷却時の格子不整合応力により、クラックが発生する場合があった。また、クラックが発生しないとしても、基板の反りが問題となっていた。
そこで、本発明は、Al系III族窒化物単結晶自立基板を製造するためのベース基板として好適に使用できる、結晶レベルでの歪みが低減されており、クラックおよび反りの発生が抑制された自立基板製造用基板、これにより製造される自立基板、および、自立基板製造用基板を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、不活性ガス中1000℃において分解しない無機物質であって、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板(10)、ベース基板(10)上に形成された、単結晶Al系III族窒化物を含む厚さ3nm以上200nm以下のAl系III族窒化物薄膜層(20)、Al系III族窒化物薄膜層(20)上に形成された、Al系III族窒化物薄膜層(20)の厚さの100倍以上の厚さを備えたIII族窒化物非単結晶層(30)、を備えて構成され、ベース基板(10)とAl系III族窒化物薄膜層(20)との界面に複数の空隙(12)を有する、積層体である。
なお、本発明において、Al系III族窒化物とは、III族元素に占めるAlの割合が50原子%以上(上限は100原子%である)の窒化物を指す。また、III族窒化物とは、Alの窒化物、およびAl以外のIII族元素の窒化物であってもよく、III族元素の窒化物の全体を指すものであり、前記Al系III族窒化物の上位概念を示すものである。
第1の本発明の積層体は、ベース基板(10)をAl系III族窒化物薄膜層(20)から分離することにより、Al系III族窒化物薄膜層(20)およびIII族窒化物非単結晶層(30)からなる自立基板製造用基板とすることができる。第1の本発明の積層体は、ベース基板(10)とAl系III族窒化物薄膜層(20)との界面において複数の空隙(12)を備えているため、ベース基板(10)を薄膜層(20)から容易に分離させることができる。これにより、プロセスの簡略化、歩留の向上を図ることができる。複数の空隙(12)は、Al系III族窒化物薄膜層(20)の格子不整合応力を低減する働きもある。第1の本発明の積層体は、Al系III族窒化物薄膜層(20)の厚みが所定の範囲に制限されており、その上に、厚みの大きいIII族窒化物非単結晶層(30)が形成されている。これにより、Al系III族窒化物薄膜層(20)に格子不整合応力が蓄積されるのが防止される。そして、自立基板製造用基板において、クラックや反りが生じるのを防ぐことができる。また、厚みの大きいIII族窒化物非単結晶層(30)を備えることにより、自立基板製造用基板をハンドリング可能なものとしている。
第1の本発明において、ベース基板(10)とAl系III族窒化物薄膜層(20)との界面において、Al系III族窒化物薄膜層(20)全体の面積に対する、複数の空隙(12)によってAl系III族窒化物薄膜層(20)とベース基板(10)とが非接触となった部分の総面積の割合が、10%以上90%以下であることが好ましい。このように空隙(12)を形成することによって、ベース基板(10)を剥離するのが容易となるとともに、Al系III族窒化物薄膜層(20)の格子不整合応力を効率的に低減できる。
第1の本発明において、III族窒化物非単結晶層(30)は、多結晶、非晶質、またはこれらの混合からなることが好ましい。このような非単結晶層(30)を備えることにより、ベース基板(10)とAl系III族窒化物薄膜層20との格子不整合応力を緩和することができる。
第1の本発明においては、III族窒化物非単結晶層(30)が多結晶からなり、多結晶層について前記Al系III族窒化物薄膜層(20)が形成されている側とは反対側の方向からX線回折測定を行った(002)面の回折強度(I002)と(100)面の回折強度(I100)との強度比(I002/I100)が1以上であることが好ましい。本発明の積層体において、III族窒化物非単結晶層(30)が多結晶からなる場合は、気相成長法を用いることに起因して該III族窒化物非単結晶層(30)はAl系III族窒化物結晶の[002]方向に結晶配向し易い。このため、上記のような回折強度比を示す。この点で、一般の粉体を焼結して得られた多結晶体とは異なる。
また、III族窒化物非単結晶層(30)が非晶質の場合には、上記の回折が起こらないが、本発明の効果は十分に得られる。
第2の本発明は、第1の本発明の積層体において、Al系III族窒化物薄膜層(20)とIII族窒化物非単結晶層(30)との間に、厚さ0.0004μm以上10μm以下の第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)を備えている。この積層体により、表面に第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)を備えた自立基板製造用基板が製造され、これにより、結晶面の曲率半径が大きく、より高品位な自立基板が製造できる。
第3の本発明は、第1の本発明の積層体を製造する方法であって、
(A) 不活性ガス中1000℃において分解しない無機物質であって、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板(10)上に、単結晶Al系III族窒化物を含む厚さ3nm以上200nm以下のAl系III族窒化物薄膜層(20)が形成された原料積層基板を準備する工程、
(B) 原料積層基板を還元性ガスおよびアンモニアガスを含む雰囲気中で1000℃以上1600℃以下に加熱することにより、ベース基板(10)とAl系III族窒化物薄膜層(20)との界面においてベース基板(10)を選択的に分解し、界面に空隙(12)を形成する工程、
(C) 工程(B)で得られた積層体のAl系III族窒化物薄膜層(20)上にIII族窒化物非単結晶を成長させてIII族窒化物非単結晶層(30)を形成する工程、
を備えてなる、積層体の製造方法。
第4の本発明は、第2の本発明の積層体を製造する方法であって、
(A) 不活性ガス中1000℃において分解しない無機物質であって、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板(10)上に、単結晶Al系III族窒化物を含む厚さ3nm以上200nm以下のAl系III族窒化物薄膜層(20)が形成された原料積層基板を準備する工程、
(B) 原料積層基板を還元性ガスおよびアンモニアガスを含む雰囲気中で1000℃以上1600℃以下に加熱することにより、ベース基板(10)とAl系III族窒化物薄膜層(20)との界面においてベース基板(10)を選択的に分解し、界面に空隙(12)を形成する工程、
(B´)工程(B)で得られた積層体のAl系III族窒化物薄膜層(20)上に、Al系III族窒化物単結晶を成長させて、0.0004μm以上10μm以下の第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)を形成する工程、および、
(C) 工程(B´)で得られた積層体の第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)上にIII族窒化物非単結晶を成長させてIII族窒化物非単結晶層(30)を形成する工程、
を備えてなる、積層体の製造方法。
第3または第4の本発明の積層体の製造方法において、工程(A)は、加熱されたベース基板(10)に、III族元素源ガスおよび窒素源ガスを接触させる気相成長法によってAl系III族窒化物薄膜層(10)を形成する工程を含むものであり、気相成長の開始時において、加熱されたベース基板(10)にIII族元素源ガスを接触させた後、ベース基板(10)にIII族元素源ガスおよび窒素源ガスを接触させるものであることが好ましい。このようにして、Al系III族窒化物薄膜層20を形成することにより、後の工程(B)において、空隙12を導入することが容易となる。
第3または第4の本発明の積層体の製造方法において、III族窒化物非単結晶層(30)として、窒化アルミニウム非単結晶層が挙げられる。
第5の本発明は、Al系III族窒化物薄膜層(20)およびIII族窒化物非単結晶層(30)の積層構造からなる自立基板製造用基板を製造する方法であって、第3の本発明の方法により、積層体を製造する工程、該工程で得られた積層体から、Al系III族窒化物薄膜層(20)およびIII族窒化物非単結晶層(30)を一体として分離する分離工程、を備えてなる、自立基板製造用基板の製造方法である。第5の本発明においては、ベース基板(10)とAl系III族窒化物薄膜層(20)との間に複数の空隙(12)が存在していることから、ベース基板の分離が容易となる。さらに、自立基板製造用基板の歩留を向上することができる。
第6の本発明は、Al系III族窒化物薄膜層(20)、第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)およびIII族窒化物非単結晶(30)の積層構造からなる自立基板製造用基板を製造する方法であって、第4の本発明の方法により、積層体を製造する工程、該工程で得られた積層体から、Al系III族窒化物薄膜層(20)、第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)およびIII族窒化物非単結晶層(30)を一体として分離する分離工程、を備えてなる、自立基板製造用基板の製造方法である。第6の本発明においては、ベース基板(10)とAl系III族窒化物薄膜層(20)との間に複数の空隙(12)が存在していることから、ベース基板の分離が容易となる。
また、第7の本発明は、上記第6の本発明において、Al系III族窒化物薄膜層(20)、第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)およびIII族窒化物非単結晶層(30)を一体として分離する分離した後、さらに、Al系III族窒化物薄膜層(20)を除去する工程、を備えてなる、自立基板製造用基板の製造方法である。Al系III族窒化物薄膜層(20)を除去することにより、格子不整合応力が低減された単結晶層(22)を表層に備えた自立基板製造用基板を製造できる。さらに、自立基板製造用基板の歩留を向上させることができる。
第5、第6、および第7の本発明の自立基板製造用基板の製造方法において、積層体を製造する工程において、III族窒化物非単結晶層(30)の形成を、500℃以上1600℃以下の温度領域における気相成長法により行い、該気相成長後の冷却時における自然分離として分離工程を行うことが可能である。ベース基板(10)を自然に分離できるので、工程の簡略化が図れる。
また、気相成長中において自然分離した場合には、更に該自然分離後に上記気相成長を継続することも可能である。
第5、第6、および第7の本発明の自立基板製造用基板の製造方法において、III族窒化物非単結晶層(30)として、窒化アルミニウム非単結晶層が挙げられる。
第8の本発明は、第5の本発明の方法で得られたAl系III族窒化物薄膜層(20)およびIII族窒化物非単結晶層(30)からなる自立基板製造用基板であって、Al系III族窒化物薄膜層(20)側に着目した結晶面の曲率半径の絶対値が1m以上である、自立基板製造用基板である。本発明においては、空隙(12)により、Al系III族窒化物薄膜層(20)の格子不整合応力が低減されており、また、Al系III族窒化物薄膜層(20)の層厚を薄くしつつ、非単結晶層(30)を形成することにより、さらにAl系III族窒化物薄膜層(20)の格子不整合応力を低減させている。このため、得られる自立基板製造用基板のAl系III族窒化物薄膜層(20)側に着目した結晶面の曲率半径の絶対値を大きくすることができる。
第9の本発明は、第6の本発明の方法で得られたAl系III族窒化物薄膜層(20)、第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)、およびIII族窒化物非単結晶層(30)からなる自立基板製造用基板であって、Al系III族窒化物薄膜層(20)側に着目した結晶面の曲率半径の絶対値が1m以上である、自立基板製造用基板である。上記と同様に、空隙(12)および非単結晶層(30)により、第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)の格子不整合応力を低減させており、これにより、結晶面の曲率半径の絶対値を大きくすることができる。
第10の本発明は、第7の本発明の方法で得られた第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)およびIII族窒化物非単結晶層(30)からなる自立基板製造用基板であって、第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)側に着目した結晶面の曲率半径の絶対値が1m以上である、自立基板製造用基板である。上記と同様に、空隙(12)および非単結晶層(30)により、第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)の格子不整合応力を低減させており、これにより、結晶面の曲率半径の絶対値を大きくすることができる。
第11の本発明は、第5の本発明の方法で得られたAl系III族窒化物薄膜層(20)およびIII族窒化物非単結晶層(30)からなる自立基板製造用基板において、Al系III族窒化物薄膜層(20)側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させ、第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)を形成する工程、および、少なくともIII族窒化物非単結晶層(30)を分離する工程を備えてなる、第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)を含む自立基板の製造方法である。この方法により、格子不整合応力が低減された自立基板を製造できる。また、自立基板は、用途に応じて、Al系III族窒化物薄膜層(20)を有する態様とすることもできる。なお、この場合、第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)側に、半導体素子を形成するための積層構造が形成されることが好ましい。また、より高品質なものとするために、Al系III族窒化物薄膜層(20)を除去して、第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)からなる自立基板とすることができる。
第12の本発明は、第6の本発明の方法で得られたAl系III族窒化物薄膜層(20)、第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)、およびIII族窒化物非単結晶層(30)からなる自立基板製造用基板において、Al系III族窒化物薄膜層(20)側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させ、第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)を形成する工程、および、少なくともIII族窒化物非単結晶層(30)を分離する工程を備えてなる、第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)を含む自立基板の製造方法である。自立基板は、このように一方の面にAl系III族窒化物薄膜層(20)を備えたものであってもよく、この場合、Al系III族窒化物単結晶層(40)側に、半導体素子を形成するための積層構造が形成されることが好ましい。また、用途に応じて、自立基板を製造した後、Al系III族窒化物薄膜層(20)のみを除去することもできる。さらに、より高品質なものとするために、Al系III族窒化物薄膜層(20)および第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)を除去して第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)からなる自立基板とすることもできる。
第13の本発明は、第7の方法で得られた第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)およびIII族窒化物非単結晶層(30)からなる自立基板製造用基板において、第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させ、第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)を形成する工程、および、少なくともIII族窒化物非単結晶層(30)を分離する工程を備えてなる、第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)からなる自立基板の製造方法である。この方法により、格子不整合応力が低減された自立基板を製造できる。また、自立基板は、用途に応じて、Al系III族窒化物単結晶層(22)を有する態様とすることもでき、より高品質なものとするために、第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)を除去して第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)からなる自立基板とすることもできる。
また、第5〜7の本発明の方法で得られた自立基板製造用基板は、後述するELO法を採用して、自立基板を製造することもできる。この場合、Al系III族窒化物薄膜層(20)、または第1のAl系III族窒化物単結晶層(22)を分離して、第2のAl系III族窒化物単結晶層(40)のみからなる自立基板としてもよい。
第14の本発明は、第11〜13のいずれかの方法により製造される、Al系III族窒化物単結晶層からなる自立基板である。
第1の本発明の積層体は、ベース基板(10)をAl系III族窒化物薄膜層(20)から分離することにより、Al系III族窒化物薄膜層(20)およびIII族窒化物非単結晶層(30)からなる自立基板製造用基板とすることができる。第1の本発明の積層体は、ベース基板(10)とAl系III族窒化物薄膜層(20)との界面において複数の空隙(12)を備えているため、ベース基板(10)を薄膜層(20)から容易に分離させることができる。これにより、プロセスの簡略化、歩留の向上を図ることができる。複数の空隙(12)は、Al系III族窒化物薄膜層(20)の格子不整合応力を低減する働きもある。第1の本発明の積層体は、Al系III族窒化物薄膜層(20)の厚みが所定の範囲に制限されており、その上に、厚みの大きいIII族窒化物非単結晶層(30)が形成されている。これにより、Al系III族窒化物薄膜層(20)に格子不整合応力が蓄積されるのが防止される。そして、自立基板製造用基板において、クラックや反りが生じるのを防ぐことができる。また、厚みの大きいIII族窒化物非単結晶層(30)を備えることにより、自立基板製造用基板をハンドリング可能なものとしている。
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
<積層体>
本発明の積層体は、不活性ガス中1000℃において分解しない無機物質であって、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板10、該ベース基板10上に形成された、単結晶Al系III族窒化物を含む厚さ3nm以上200nm以下のAl系III族窒化物薄膜層20、該Al系III族窒化物薄膜層20上に形成された、該Al系III族窒化物薄膜層20の厚さの100倍以上の厚さを備えたIII族窒化物非単結晶層30、を備えて構成され、該ベース基板10と該Al系III族窒化物薄膜層20との界面に複数の空隙12を有する、積層体である。
(ベース基板10)
ベース基板10の材質は、不活性ガス中1000℃において分解しない無機物質であって、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶である必要がある。不活性ガス中1000℃未満の温度で分解する物質からなる場合には、例えば、窒化アルミニウムを気相成長させる際の基板として使用できないため好ましくない。また、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する物質で無い場合には、ベース基板10と薄膜層20との界面に複数の空隙12を導入することが困難である。また、表面にAl系III族窒化物層が存在しても選択的に還元分解されるという観点から、III族窒化物以外の材料、特に、Al系III族窒化物以外の材料であることが好ましい。
このような要求を満足する無機物質としては、サファイア、酸化亜鉛、ガリウムリン、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、シリコンカーバイド(SiC)、シリコン、アルミニウムリン、アルミニウム砒素、テルル化亜鉛、セレン化亜鉛等が挙げられるが、これらの中でも、高温で分解した際、ヒ素等の有害物質が発生しないという理由からサファイアを使用することが好ましい。また、空隙率の制御が容易であるという理由から、サファイアの中でもc面またはa面サファイアを使用するのが特に好ましい。
ベース基板の形状は通常、表面が平滑な板状であるが、フォトリソグラフィ等で凹凸加工を施してもよい。この場合、以下で説明するAl系III族窒化物薄膜層20は、溝加工を施した側の面の全面を被覆する必要は特に無く、凹凸の底面および側面上にはAl系III族窒化物薄膜層20が存在していなくともかまわない。また、本発明の特徴としては、上記に例示したサファイア基板などの、酸又はアルカリにより容易に溶解除去できない基板、すなわち非溶解性基板にも適用可能である点で、先行文献(特許文献4)に記載された発明とは差別化されるものである。
なお、特に制限されるものではないが、ベース基板の厚みは、積層体、および自立基板製造用基板の製造の容易さ、入手のし易さ等を考慮すると50μm以上1000μm以下である。
(Al系III族窒化物薄膜層20)
Al系III族窒化物薄膜層20は、単結晶Al系III族窒化物を含む層である。ここで、Al系III族窒化物とは、Al1−(x+y+z)GaInN(但し、x、y及びzは夫々独立に0以上1未満の有理数であり、x+y+z<1である。)で示される化合物を意味する。耐熱性が高く、後述する空隙形成のための処理を高温で効率良く行うことができるという理由からx+y+z<0.5であることが好ましく、結晶性が良いAl系III族窒化物薄膜層20が作製しやすいという理由から窒化アルミニウムであることが最も好ましい。
上記Al系III族窒化物薄膜層20は、単結晶を含む層である。該層が、単結晶を含まない層である場合、すなわち、多結晶、多結晶と非晶質の混合物、または全体が非晶質からなる場合には、その上にIII族窒化物単結晶を形成することが困難となる。Al系III族窒化物薄膜層20は、多結晶を含まず、単結晶を含むものであれば、非晶質なものを含んでもよいが、この場合でも、単結晶の割合が高い方が好ましい。中でも、良好なIII族窒化物単結晶を形成できるという観点から、上記Al系III族窒化物薄膜層20は、単結晶からなることが好ましい。さらに、Al系III族窒化物薄膜層20は、ベース基板の結晶面に対して、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させることにより形成することが好ましい。
Al系III族窒化物薄膜層20が単結晶を含むものであるかどうかは、薄膜層20の側からX線回折測定のθ−2θモードを測定することにより判断できる。詳細なピーク位置については、後述の第1のAl系III族窒化物単結晶層22を形成する工程(B’)において説明する。
該Al系III族窒化物薄膜層20は、上記の通り、単結晶より構成されることが好ましいが、その結晶性を表す指標として、たとえば、X線ロッキングカーブ測定によるAlN(002)の半値幅で表して、3600秒以下となるAl系III族窒化物から形成されれば、該Al系III族窒化物薄膜層20の上に、良好なIII族窒化物単結晶層を形成できる。より良好なIII族窒化物薄膜層を形成するためには、該Al系III族窒化物薄膜層20は、上記半値幅が好ましくは1000秒以下、さらに好ましくは700秒以下となるAl系III族窒化物より形成されることが好ましい。
ロッキングカーブとは、特定の結晶面がブラッグの回折条件を満たす角度の2倍の位置にディテクターを固定して、X線の入射角を変化させて得られる回折のことであり、半値幅の値が小さいほど、III族窒化物結晶の結晶品質が良好であると言える。ロッキングカーブ測定には、X線発生管球から出たX線をGe結晶で2回以上回折させて単色化を行ったX線を用いる。
上記Al系III族窒化物薄膜層20の厚さは、3nm以上200nm以下である必要がある。厚さが3nm未満の場合には後述する空隙12形成の際にベース基板10の分解速度が速くなりすぎるため空隙率の制御が困難であり、200nmを超える場合には空隙12の導入が困難となる。他の層との兼ね合いもあるが、空隙率の制御の容易さ、自立基板製造用基板の歩留向上という観点から、Al系III族窒化物薄膜層20の厚みは、好ましくは10nm以上180nm以下、より好ましくは20nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上150nm以下である。また、Al系III族窒化物薄膜層20の厚みが上記範囲を満足することにより以下の利点を有する。例えば、下記に詳述する第1のAl系III族窒化物単結晶層22を備えた自立基板製造用基板を製造した場合には、Al系III族窒化物薄膜層20の結晶性が低い場合でも、上記範囲の厚みであれば、下層の第1のAl系III族窒化物単結晶層22の結晶面が反映され、結晶品質のよい第2のAl系III族窒化物単結晶層40を形成できる。また、第1のAl系III族窒化物単結晶層22を設けた場合には、Al系III族窒化物薄膜層20を除去して使用することも可能であるが、上記範囲の厚みであれば、エッチングにより容易にAl系III族窒化物薄膜層20の除去ができるため、自立基板製造用基板の歩留を向上させることもできる。
(空隙12)
本発明の積層体は、ベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20との界面に複数の空隙12が存在する。このことによって、後に説明するように、ベース基板10をAl系III族窒化物薄膜層20から剥離するのが容易となり、自立基板製造用基板を効率よく製造できる。また、空隙12は、Al系III族窒化物薄膜層20の格子不整合応力を低減させることができるので、歪みや反りが極めて少ない自立基板製造用基板を形成することが可能となる。
後述するように、上記空隙12はベース基板10が、Al系III族窒化物薄膜層20を拡散透過してきた還元性ガスと高温で接触して分解することにより形成されるものであり、Al系III族窒化物薄膜層20側の侵食はなく、ベース基板10側を浸食した形で形成される。空隙12の形状は用いるベース基板10の種類によっても異なるが、ベース基板10として例えばc面サファイアを使用した場合には開口部の形状が六角形の深さが(口径に対して)浅く均一な孔となっている。空隙12の数は、空隙12の口径によっても異なるが、通常100μm当たり1個以上10000個以下、好ましくは10個以上1000個以下である。
本発明の積層体においては、ベース基板10をAl系III族窒化物薄膜層20から容易に分離できるという観点から、複数の空隙12によってAl系III族窒化物薄膜層20とベース基板10とが非接触となった部分の総面積の前記Al系III族窒化物薄膜層20の面積に対する割合(空隙率)は、好ましくは10%以上90%以下である。各層の組成、厚みの兼ね合いもあり、一概には言えないが、ベース基板の分離、製造の容易さ等を考慮すると、該空隙率は、より好ましくは30%以上70%以下、特に好ましくは40%以上70%以下である。
(III族窒化物非単結晶層30)
III族窒化物非単結晶層30は、単結晶でない材料、具体的には、多結晶、非晶質、または多結晶と非晶質の混合物から構成される層であればよい。また、非単結晶層30がこのような層である場合には、ベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20との格子定数差に起因する応力を緩和することができる。III族窒化物非単結晶層30は、製造の容易さおよび応力緩和の観点から、Al系III族窒化物薄膜層20を構成する材料と同一または類似の組成を有するAl系III族窒化物からなることが好ましい。ここで組成が類似するとは、両材料の組成を比較したときに、各III族元素の組成の差であるΔ{1−(x+y+z)}、Δx、ΔyおよびΔzの絶対値がいずれも0.1以下であることを意味する。
つまり、組成の差とは、Al系III族窒化物薄膜層20を構成する材料の各III族元素組成とIII族窒化物非単結晶層30を構成するIII族窒化物の各III族元素組成との差を意味し、例えば、Al系III族窒化物薄膜層20を構成する材料の組成がAl0.7Ga0.2In0.1Nであり、III族窒化物非単結晶層30を構成するIII族窒化物の組成がAl0.7Ga0.25In0.05Nであった場合には、Δ{1−(x+y+z)}=0.7−0.7=0、Δx=0.2−0.25=−0.05、Δy=0.1−0.05=0.05、Δz=0−0=0となる。
中でも、III族窒化物非単結晶層30は、Al系III族窒化物薄膜層20を構成する材料と同じく、窒化アルミニウムであることが好ましい。
III族窒化物非単結晶層30の厚さは、該非単結晶層30を形成することにより、環境温度が変わってもAl系III族窒化物薄膜層20に大きな反りが生じたりクラックが発生したりしないような厚さで、かつベース基板10を分離した後にも分離後の積層体が自立可能な強度を保てるという理由から、Al系III族窒化物薄膜層20の厚さの100倍以上であり、好ましくは300倍以上である。なお、上記厚さの倍率の上限値は、特に制限されるものではないが、本発明の効果が発揮される範囲と下記に詳述する積層体等の生産性を考慮すると、1000000倍である。
更に、III族窒化物非単結晶層30の厚さは、Al系III族窒化物薄膜層20の厚さに応じて適宜調整してやればよいが、自立基板製造用基板、および自立基板の製造のし易さを考慮すると、その絶対値が、好ましくは100μm以上3000μm以下、より好ましくは150μm以上1000μm以下、特に好ましくは150μm以上500μm以下となる厚さである。
本発明の積層体において、Al系III族窒化物薄膜層20とIII族窒化物非単結晶層30とは、必ずしも直接接合している必要はなく、薄い酸化物層などを介して接合していても良い。また、補強効果を高めたり、ベース基板10を分離する際の作業性を良くしたりするために、III族窒化物非単結晶層30上に、他の層を形成してもよい。
(第1のAl系III族窒化物単結晶層22)
本発明の積層体は、Al系III族窒化物薄膜層20とIII族窒化物非単結晶層30との間に、厚さ0.0004μm以上10μm以下の第1のAl系III族窒化物単結晶層22を備えた形態とすることができる。この場合、自立基板製造用基板の作製の際には、積層体からベース基板10を分離するとともに、Al系III族窒化物薄膜層20を除去して、表面に第1のAl系III族窒化物単結晶層22を備えてなる自立基板製造用基板を製造することもできる。
第1のAl系III族窒化物単結晶層22を構成する材料は、Al系III族窒化物薄膜層20を構成する材料と同一の材料若しくは当該材料を主成分とする材料であることが好ましく、単結晶である材料から構成される層であればよい。そのため、第1のAl系III族窒化物単結晶層22は、Al系III族窒化物薄膜層20と同じく、窒化アルミニウムより構成されることが好ましい。
第1のAl系III族窒化物単結晶層22の厚さは、0.0004μm以上10μm以下であることが好ましい。第1のAl系III族窒化物単結晶層22の厚さがこの範囲を満足することにより、クラックおよび割れの発生がより少なく、反りのより少ない上記積層体を得ることができる。このような製造上の理由から第1のAl系III族窒化物単結晶層22の厚さは、好ましくは0.01μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μm以上5μm以下、特に好ましくは0.3μm以上3μm以下である。
<積層体の製造方法>
上記した積層体を製造する方法について以下に説明する。本発明の積層体の製造方法は、以下の工程を備えて構成される。
(A)不活性ガス中1000℃において分解しない無機物質であって、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板10上に、単結晶Al系III族窒化物または単結晶Al系III族窒化物と非晶質Al系III族窒化物との混合物からなる厚さ3nm以上200nm以下のAl系III族窒化物薄膜層20が形成された原料積層基板を準備する工程、
(B)前記原料積層基板を還元性ガスおよびアンモニアガスを含む雰囲気中で1000℃以上1600℃以下に加熱することにより、ベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20との界面においてベース基板10を選択的に分解し、該界面に空隙12を形成する工程、
(C)工程(B)で得られた積層体のAl系III族窒化物薄膜層20上にIII族窒化物非単結晶を成長させてIII族窒化物非単結晶層30を形成する工程。
(工程(A))
工程(A)において、ベース基板10上にAl系III族窒化物薄膜層20を形成する方法としては、気相成長法(HVPE法、MOCVD法、MBE法)、表面窒化法など、このような目的での成膜が可能なことが知られている公知の方法が特に限定されず採用できる。中でも、高品質な自立基板製造用基板、および自立基板を製造するためには、気相成長法を採用することが好ましい。
そのため、工程(A)は、加熱されたベース基板10に、III族元素源ガスおよび窒素源ガスを接触させる気相成長法によってAl系III族窒化物薄膜層20を形成する工程を含むことが好ましい。また、該気相成長の開始時において、加熱されたベース基板10にIII族元素源ガスを接触させた後、該ベース基板10にIII族元素源ガスおよび窒素源ガスを接触させるものであることが好ましい。III族元素ガスを先行せずとも、後の工程(B)において空隙を導入することは可能であるが、前記のようにIII族元素源ガスを先行した後に、Al系III族窒化物薄膜層20を形成することにより、後の工程(B)において、空隙12の導入の制御が容易になる。
さらに、上記の通り、Al系III族窒化物薄膜層20は、ベース基板10上に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させることにより形成することが好ましく、この場合、ベース基板の温度、各ガスの分圧等を調整することにより達成できる。Al系III族窒化物薄膜層20を単結晶より形成する場合の好ましい条件としては、ベース基板10の温度を好ましくは600℃以上1600℃以下、より好ましくは900℃以上1200℃以下とする。
なお、この場合、予めベース基板を還元性ガス雰囲気下でサーマルクリーニングを行うこともできる。
該気相成長法において使用する装置を、図3に示した。図3に示すHVPE装置は、円筒状の石英ガラス反応管81からなる反応器本体と、該反応管81の外部に配置される外部加熱手段82と、該反応管81の内部に配置される支持台83と、を具備する。そして、反応管81の一方の端部からキャリアガスおよび原料ガスを供給し、他方の端部近傍の側壁に設けられた開口部からキャリアガスおよび未反応の反応ガスを排出する構造となっている。なお、上記外部加熱手段82は、基板84の加熱を目的とするものではなく、主として反応域の反応ガスの温度を所定温度に保持する目的で使用されるものであり、必ずしも必須のものではない。この外部加熱手段82としては、抵抗加熱式ヒータ、高周波加熱装置、高周波誘導加熱装置、ランプヒータなどが使用できるが、本実施例では抵抗加熱式ヒータを用いた。また、前記支持台83は、その上面に基板84を保持できるようになっている。
図3に示す装置における原料ガス供給側の反応管において、例えば、ノズル85からキャリアガスで希釈されたIII族元素源ガスが供給され、ノズル85と反応管壁との間の空間を流路としてキャリアガスで希釈された窒素源ガスが供給される。III族元素源ガスとしては、一塩化アルミニウム、三塩化アルミニウム、一塩化ガリウム、三塩化ガリウム等が挙げられるが、反応管に石英ガラスを使用するのであれば石英ガラスに対する腐食性が低い観点から三塩化アルミニウム、一塩化ガリウム、三塩化ガリウムを用いることが好ましい。一方、窒素源ガスは、取り扱い易さ、後述する工程(B)の操作性を考慮するとアンモニアガスが好ましい。
上記III族元素源ガスの流路は、配管を通じて図示しない“III族元素源ガス供給源”と接続されている。III族元素源ガス供給源とは、例えば、石英ガラス製反応管内に金属アルミニウムを設置し、反応管外部に設置した抵抗加熱方式の電気炉により500℃に加熱し、そこに水素や窒素等のキャリアガスとともに塩化水素ガスを供給することにより、塩化水素ガスと金属アルミニウムの反応により、三塩化アルミニウムが発生し、ノズル85に供給される。
一方、窒素源ガス流路は、配管により流量調節手段を介して図示しない“窒素源ガス供給源”と接続していると共に、該流量調節手段より下流側の配管には流量調節手段を介してキャリアガス供給源に接続する配管が接続され、窒素源ガスをキャリアガスで所望の希釈倍率に希釈できるようになっている。
図3に示すHVPE装置においては、支持台83としてカーボン発熱体を窒化ホウ素でコートした複合体ヒータを用い、支持台83上にベース基板84を設置して加熱する。ヒータの端面には電極部分を有しており、当該支持台には電極を介して外部から電力を印加する。当該支持台は発熱体をコートしている熱分解窒化ホウ素が水素ガスやIII族金属含有ガスである三塩化アルミニウム、窒素源ガスであるアンモニアガスに対する耐食性が良好であるため、室温から1700℃以下の温度において安定的に使用可能なものである。
(工程(B))
工程(B)は、原料積層基板のベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20との界面に空隙12を導入するための工程であり、Al系III族窒化物薄膜層20を拡散透過した還元性ガスによってベース基板10を選択的に分解する。Al系III族窒化物も単独で高温の還元性ガスと接触した場合には分解が起こるが、工程(B)においては、還元性ガスにアンモニアガスを共存させることによりその分解を防いでいる。アンモニアはAl系III族窒化物の分解生成物であり、これを共存させることにより分解反応が抑制されるものと考えられる。
工程(B)で使用する還元性ガスとしては、水素ガス、一酸化炭素ガスを挙げることができるが、拡散し易くガス中に含まれる不純物が少ないという理由から水素ガスを使用することが好ましい。雰囲気中における還元性ガスの分圧は、1×10−2atm以上1×10atm以下であればよいが、ベース基板10の分解速度を制御するという観点から1×10−1atm以上1×10atm以下であることが好ましい。一方、アンモニアガスの分圧は、Al系III族窒化物薄膜層20の分解を抑制するという理由から、1×10−5atm以上1×10atm以下、特に1×10−4atm以上1×10−1atm以下であることが好ましい。還元性ガスおよびアンモニアガスとしては高純度のものを使用することが好ましい。なお、工程(B)において原料積層基板を加熱処理するときの雰囲気は、還元性ガスとアンモニアガスのみからなることが好ましいが、反応に悪影響を与えない範囲で窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスが含まれていても良い。
工程(B)において、原料積層基板を還元性ガスとアンモニアガスとを含む雰囲気中で加熱処理するときの温度は、1000℃以上1600℃以下である必要がある。処理温度が1000℃未満の場合には長時間処理しても十分な空隙12を導入することができず、処理温度が1600℃を越える場合にはベース基板10が過剰に分解し、結晶構造が崩壊するためエピタキシャル成長が困難となってしまう。加熱処理温度は上記範囲内であれば良いが、空隙率が制御し易く且つ効率的に空隙12を形成できるという観点から、1200℃以上1550℃以下、特に1250℃以上1500℃以下とすることが好ましい。好適な温度範囲はAl系III族窒化物薄膜層20の膜厚、雰囲気組成および圧力、処理時間、並びに所望する空隙率によって適宜決定すればよい。
前記したように空隙12は、Al系III族窒化物薄膜層20を拡散透過した還元性ガスとベース基板10との反応によって形成されるため、空隙率は、処理温度、処理時間、および還元性ガス分圧に対して正の相関を有し、Al系III族窒化物薄膜層20の膜厚に対して負の相関を有する。したがって、あらかじめこれらの条件と空隙率との関係を調べておくことにより、これら条件を変更することにより空隙率を制御することができる。たとえば、Al系III族窒化物薄膜層20が厚さ100nmの窒化アルミニウム層であり、分圧0.7atmの水素ガスで処理する場合には、1450℃で30分間の処理で空隙率約55%となる空隙を形成することができる。
工程(B)における加熱処理を行う装置としては、雰囲気の制御が可能で原料基板を1000℃以上1600℃以下に加熱できる装置であれば特に限定されず使用でき、たとえば、工程(A)で用いた装置をそのまま、或いは該装置に必要に応じてガス導入ラインの付設などの微改造を行った装置を使用することもできる。
上記したように、ベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20との界面に複数の空隙12を導入することにより、該空隙12がAl系III族窒化物薄膜層20に発生した格子不整合応力を大幅に緩和することができる。このため、このAl系III族窒化物薄膜層20を表面に備えた自立基板製造用基板により、歪みや反りが極めて少ない自立基板を容易に形成することができる。
(工程(C))
III族窒化物非単結晶層30は、単結晶ではない材料で構成されるものであって、Al系III族窒化物薄膜層20を構成する材料と同一の材料若しくは当該材料を主成分とする材料で構成される層であることが好ましい。中でも、製造の容易さおよび応力緩和の観点から、Al系III族窒化物薄膜層20を構成する材料と同一または類似の組成を有するAl系III族窒化物の多結晶、非晶質、またはこれらの混合からなる層であることが好ましい。非単結晶層を形成することにより、成長中もしくは冷却中においても、Al系III族窒化物薄膜層20とIII族窒化物非単結晶層30の反りやクラックが抑制される。
これは、非単結晶層30が多結晶層の場合には結晶粒子間の界面、すなわち粒界が存在するために、ベース基板10との格子定数差や熱膨張係数差により発生する応力(格子不整合応力)が緩和されているためと考えられる。また、非単結晶層30が非晶質層の場合には非晶質層を構成する結晶自体が極微細なものであり、原子配列の長周期的構造が形成されていない状態と考えられ、上記の極微細結晶どうしの境界付近で格子不整合応力が緩和されているものと推測される。
工程(C)の成長温度は、好ましくは500℃以上1600℃以下の温度範囲、より好ましくは600℃以上1300℃以下の温度範囲で行う。非単結晶層30は、上記温度範囲において、温度条件、およびAl系III族窒化物原料の供給量(III族元素源ガス、および窒素源ガスの供給量)を調整することにより形成できる。具体的には、900℃以下では、非単結晶層30は非晶質単独、もしくは非晶質と多結晶の混合状態になりやすい。900℃〜1300℃においては、非単結晶層30は多結晶となりやすいが、Al系III族窒化物原料の供給量(III族元素源ガス、および窒素源ガスの供給量)が少ない場合には単結晶化し易いため、この温度領域においても、多量の原料を供給することが好ましい。
なお、非単結晶層30が気相成長法により形成した多結晶である場合には、該非単結晶層30にはAl系III族窒化物結晶のc軸方向[001]方向に結晶配向し易い。ここで、結晶配向性とは非単結晶層30を構成する各々の多結晶の結晶軸がある特定の方向に偏っていることを意味する。このような結晶配向性はX線回折のθ−2θモード測定から定性的に測定することができる。具体的には多結晶層が露出している方向からX線回折測定を行い、(002)面の回折強度(I002)と(100)面の回折強度(I100)との強度比(I002/I100)が1より大きく、より確実には1.5以上であれば、c軸方向(001方向)に結晶配向性を有することになる。一般に、粉体や粉体を焼結して得た多結晶体の場合には、このような結晶配向性を示さないことが知られており、粉末X線回折データベース(JCPDS:25−1133)等に示される上記強度比は1未満となっている。
また、非単結晶層30が非晶質である場合には、前記X線回折測定においてピークが検出されないか、もしくはAl系III族窒化物に関連する回折が得られてもそのピークの半値幅が数°程度に拡がった結果が得られる。多結晶と非晶質の厳密な特定は困難であるが、本発明においては便宜上、上記のようなX線回折の結果から多結晶と非晶質を分類することにしている。なお、このような理由から、非単結晶層30が多結晶である場合には、非単結晶層30として多結晶および非晶質の混合物からなる場合も含むことが十分に考えられる。
工程(C)では、非単結晶層30の形成は、下地となるAl系III族窒化物薄膜層20を破壊することなく行う必要がある。なお、ここでいう破壊とは、割れのように完全な分離を伴う態様に限らず、クラックの発生のように一部の連続性が大きく損なわれる態様も含む概念である。
工程(A)におけるAl系III族窒化物薄膜層20の形成、工程(B)における原料積層基板のベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20との界面に空隙12を導入する工程、工程(C)における非単結晶層30の形成とを共に気相成長法により行い、Al系III族窒化物薄膜層20の形成と非単結晶層30の形成とを同一装置を用いて連続して行うことが好ましい。ここで、「連続的に」とは「基板を室温付近まで冷却して装置外に出さずに」と同義である。このような条件を満たして十分な厚さの非単結晶層30を形成させた場合には、Al系III族窒化物薄膜層20を厚く形成しても格子不整合応力が小さい加熱状態を保ちながら格子不整合応力を緩和する非単結晶層30を形成するので、非単結晶層30の応力緩和効果により基板を冷却するときの格子不整合応力が(非単結晶層を形成しない場合と比べて)小さくなり、破壊および反りの発生を防止することができる。非単結晶層30の形成は、上記条件を満たせば、空隙の形成後に直ちに成膜条件を変化させて非単結晶層30を形成してもよい。
温度、圧力、時間、原料ガス供給量、キャリアガス流量などの成膜条件を変えて複数の非単結晶層30を形成することも可能である。また、Al系III族窒化物薄膜層20の形成後に酸素を含む原料ガスを供給して薄膜層20の表面に薄い酸化膜を形成した後、非単結晶層30を形成することも可能である。Al系III族窒化物薄膜層20の表面に酸化皮膜が存在することにより、次いで形成する非単結晶層30に対する結晶配向が阻害される。この現象は前記X線回折測定における強度比(I002/I100)が小さくなる結果として捉えられる。表面を酸化してIII族の酸化物を意図的に介在させることによりミスフィットの発生を増長するか、もしくは、酸化時に表面平坦性を悪化させる等のメカニズムにより非単結晶層の配向性を乱す要因となっていると考えられる。いずれにせよ、酸化皮膜が結晶配向性の不連続面としての役割を有し、非単結晶層30により多くの粒界が導入され、結果として非単結晶層30の応力緩和を高める効果が得られると考えられる。
(工程(B´))
上記した第1のAl系III族窒化物単結晶層22を備えてなる積層体を形成する場合は、工程(B)の後に、以下の工程(B´)により第1のAl系III族窒化物単結晶層22を形成し、この第1のAl系III族窒化物単結晶層22の上に、工程(C)においてIII族窒化物非単結晶層30が形成される。
工程(B´):工程(B)で得られた積層体のAl系III族窒化物薄膜層20上に、Al系III族窒化物単結晶を成長させて、0.0004μm以上10μm以下の第1のAl系III族窒化物単結晶層22を形成する工程。
Al系III族窒化物単結晶層22の形成方法としては、Al系III族窒化物単結晶層を形成することができる方法として従来から知られている気相成長法、液相法等の各種方法が採用できるが、単結晶層を形成し易く膜厚の制御も容易であるという理由から気相成長法を採用することが好ましい。また、気相成長法を採用した場合には、次いで行われる非単結晶層30の形成においても温度や原料供給条件などの軽微な条件変更のみで非単結晶層の形成を行うことができるメリットがある。気相成長法としては、HVPE法、MOCVD法、MBE法等の他、スパッタリング法、PLD(Pulse Laser Deposition)法、昇華再結晶法などの公知の気相成長法を採用することができるが、前後の工程と同じ気相成長法を用いることが最も簡便で好ましい実施態様である。
これら方法によりAl系III族窒化物単結晶層22を形成する場合の製造条件は、成長させる膜厚を前記した範囲とする他は従来法と特に変わる点はない。具体的には、Al系III族窒化物薄膜層20を積層したベース基板の温度を好ましくは1000℃以上1700℃以下、より好ましくは1100℃以上1600℃以下として、目的の膜厚を形成すればよい。
また、Al系III族窒化物単結晶層22の形成は多段階に分けて行うこともできる。
Al系III族窒化物単結晶層22が単結晶かどうかは、X線回折測定のθ−2θモード測定により判断することができる。θ−2θモード測定とは、サンプルに対するX線入射角をθとしたときに、2θの位置にディテクターを固定して回折を測定する測定法である。一般的には、2θを10〜100°の範囲でCuKα線のX線回折プロファイルを測定するものであり、Al系III族窒化物の場合であれば(002)回折、および(004)回折のみが観測されれば、得られたAl系III族窒化物は単結晶であると判断できる。例えば、AlNの場合(002)回折は2θ=36.039°付近、(004)回折は2θ=76.439°付近に観測され、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の場合においても同様に(002)回折と(004)回折のみが観測されば単結晶と判断できる。その回折角2θはAlとGaの組成に応じて変化し、GaNの場合(002)回折は2θ=34.56°付近、(004)回折は2θ=72.91°付近に観測されるので、(002)回折は2θが34.56〜36.039°の範囲で、(004)回折は2θが72.91〜76.439°の範囲で観測される。
<自立基板製造用基板の製造方法>
上記した積層体から、Al系III族窒化物薄膜層20およびIII族窒化物非単結晶層30を一体として分離することにより、Al系III族窒化物薄膜層20およびIII族窒化物非単結晶層30の積層構造からなる自立基板製造用基板が製造される。
本発明の積層体においては、ベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20との界面に空隙12が存在している。これにより、ベース基板10をAl系III族窒化物薄膜層20から容易に分離することができる。また、空隙率を制御することにより、上記したIII族窒化物非単結晶層30の気相成長の際に、空隙12により緩和された格子不整合応力によりベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20およびIII族窒化物非単結晶層30とを自然分離させることができる。
さらに、空隙率を制御することにより、気相成長終了後の冷却の際に熱膨張係数の差などに起因して発生する応力によってベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20およびIII族窒化物非単結晶層30とを自然分離させることも可能である。
特に、気相成長中に自然分離させた場合には、剥離後の成長においては原理的に格子不整合応力が発生しないので、特に品質の高いIII族窒化物非単結晶層が形成できる。但し、成長中に剥離が起こった場合には、ベース基板10との接触が十分でなくなり、ベース基板10を介した熱伝導による十分な加熱が困難となる。このため、成長面の温度を高くすることが困難となり、結晶の成長速度の低下、結晶性の低下が起こりやすくなる。このため、装置的に剥離後の成長面の温度を十分に制御できない場合には、成長中に剥離を起こさせないように空隙率を制御することが好ましい。
なお、本発明において、自然分離とは、機械的に切断して分離する、化学的に界面を溶解させて分離するものではなく、ベース基板10と他の積層部分との膨張、収縮の差により、ベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20の界面の少なくとも一部が自然に分離することを指す。
本発明においては、上記自然分離は、ベース基板10とAl系III族窒化物薄膜層20およびIII族窒化物非単結晶層30とが完全に分離するような形態で起こることが好ましいが、部分的に起こる場合もある。ただし、この場合でも僅かに外力を加えることによって両者を簡単に分離することができる。しかも何れの場合も、剥離したAl系III族窒化物薄膜層20およびIII族窒化物非単結晶層30には反りが見られないので反り戻し等の煩雑な分離工程を省略することができる。
このようにベース基板10が剥離された際、Al系III族窒化物薄膜層20の表面状態は良好であるが、稀にベース基板10の一部が剥離して、Al系III族窒化物薄膜層20側に付着している場合がある。このような場合には、Al系III族窒化物薄膜層20の表面を機械的に研磨するか、もしくは酸やアルカリなどを用いた化学エッチング処理することにより、Al系III族窒化物薄膜層20表面の付着物を効率よく除去することが可能である。
Al系III族窒化物薄膜層20とIII族窒化物非単結晶層30との間に第1のAl系III族窒化物単結晶層22を備えた積層体の場合は、上記と同様にして、Al系III族窒化物薄膜層20からベース基板10が剥離され、Al系III族窒化物薄膜層20、Al系III族窒化物単結晶層22およびIII族窒化物非単結晶層30からなる積層体とされる。このときのAl系III族窒化物薄膜層20の表面状態は良好であるが、稀にベース基板10の一部が剥離して、Al系III族窒化物薄膜層20側に付着している場合がある。このような場合には、前記積層体におけるAl系III族窒化物薄膜層20の表面を機械的に研磨するか、もしくは酸やアルカリなどを用いた化学エッチング処理することにより、Al系III族窒化物薄膜層20表面の付着物を効率よく除去することが可能である。
また、Al系III族窒化物単結晶層22を備えた積層体の場合は、上記のような表面処理によりAl系III族窒化物薄膜層20そのものを除去することも可能である。Al系III族窒化物薄膜層20が除去された場合でも、Al系III族窒化物単結晶層22が存在することにより、本発明の効果は好適に保たれる。このようにしてAl系III族窒化物単結晶層22を表面に備えた自立基板製造用基板が製造される。
<自立基板製造用基板>
上記したように、本発明の自立基板製造用基板は、Al系III族窒化物薄膜層20およびIII族窒化物非単結晶層30からなる自立基板製造用基板(以下、「第1の自立基板製造用基板」という場合がある。)と、Al系III族窒化物薄膜層20、第1のAl系III族窒化物単結晶層22およびIII族窒化物非単結晶層30からなる自立基板製造用基板(以下、「第2の自立基板製造用基板」という場合がある。)と、第1のAl系III族窒化物単結晶層22およびIII族窒化物非単結晶層30からなる自立基板製造用基板(以下、「第3の自立基板製造用基板」という場合がある。)、の三種類が存在する。第1、および第2の自立基板製造用基板においては、Al系III族窒化物薄膜層20側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させることにより、自立基板が製造される。第2の自立基板製造用基板とした場合には、仮にAl系III族窒化物薄膜層20の結晶性が低い場合でも、第1のAl系III族窒化物単結晶層22を有するため、該単結晶層22の結晶面が反映され、該薄膜層20上に、高品質な単結晶層を積層することができる。
また、第3の自立基板製造用基板においては、第1のAl系III族窒化物単結晶層22側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させることにより、自立基板が製造される。
上記のいずれの自立基板製造用基板においても、自立基板を成長させる表面側の結晶面の曲率半径の絶対値を、1m以上、好ましくは2m以上、特に好ましくは5m以上とすることができる。ここで、上記の結晶面の曲率半径は、結晶レベルでの曲率半径を意味し、外見上の曲率半径とは異なるものである。結晶面の曲率半径が小さな基板については、研磨することにより反りをなくし、外見上は平坦で曲率半径の大きな基板とすることができるが、研磨によって結晶の歪みを除去することはできないため、結晶面の曲率半径は変わらない。よって、該自立基板製造用基板上にIII族窒化物単結晶をエピタキシャル成長させる場合、見かけ上平坦な基板を用いても成長の厚さ方向の結晶軸は互いに平行にならず反りの向きによって互いに衝突するかまたは乖離して行くため欠陥が導入され易い。
これに対し、結晶面の曲率半径が大きい平坦な自立基板製造用基板上で結晶成長を行った場合には、上記結晶軸は互いにほぼ平行になるためこのような現象が起こらず、転位の少ない高品位の自立基板を製造することができる。なお、結晶面の曲率半径の上限は特に限定されないが、500mのものを製造することも原理的に可能である。
上記の「結晶面の曲率半径{R(m)}」は、次のようにして決定することができる。青紫色レーザー顕微鏡を用いた3次元形状測定により、自立基板製造用基板の単結晶が露出している側を50倍の倍率でレーザー顕微鏡により高さ情報を取得し、球形近似の仮定のもとで自立基板製造用基板の曲率半径を算出して見掛けの反りを評価した。自立基板製造用基板の単結晶面が下に凸となる状態をプラスの曲率半径、上に凸となる状態をマイナスの曲率半径とした。曲率半径が正であっても負であっても値が大きい方が反りが小さいと判断される。
<自立基板およびその製造方法>
本発明の自立基板は、上記した第1の自立基板製造用基板における、Al系III族窒化物薄膜層20側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させ、第2のAl系III族窒化物単結晶層40が形成し、そして、少なくともIII族窒化物非単結晶層30を分離することにより、製造することができる。III族窒化物非単結晶層30のみを分離した場合には、第2のAl系III族窒化物単結晶層40およびAl系III族窒化物薄膜層20からなる自立基板が得られる。該自立基板は、第2のAl系III族窒化物単結晶層40側に、半導体層等の積層構造が形成され、半導体素子となる。
また、第1の自立基板製造用基板における、Al系III族窒化物薄膜層20側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させ、第2のAl系III族窒化物単結晶層40が形成し、そして、III族窒化物非単結晶層30と共に、Al系III族窒化物薄膜層20をも分離することにより、第2のAl系III族窒化物単結晶層40のみからなる自立基板を得ることもできる。
第2の自立基板製造用基板においては、Al系III族窒化物薄膜層20側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させ、第2のAl系III族窒化物単結晶層40が形成し、そして、少なくともIII族窒化物非単結晶層30を分離することにより、第2のAl系III族窒化物単結晶層40を含む自立基板を製造することができる。III族窒化物非単結晶層30のみを分離した場合には、第2のAl系III族窒化物単結晶層40、Al系III族窒化物薄膜層20、および第1のAl系III族窒化物単結晶層22からなる自立基板が製造される。
また、第2の自立基板製造用基板用いた場合には、上記方法により第2のAl系III族窒化物単結晶層40を形成した後、III族窒化物非単結晶層30と共に、第1のAl系III族窒化物単結晶層22をも分離することにより、自立基板を製造することができる。さらに、III族窒化物非単結晶層30と共に、第1のAl系III族窒化物単結晶層22およびAl系III族窒化物薄膜層20をも分離することにより、第2のAl系III族窒化物単結晶層40のみからなる、高品質な自立基板を得ることもできる。これらの分離については、自立基板の用途に応じて適宜決定してやればよい。
第3の自立基板製造用基板においては、第1のAl系III族窒化物単結晶層22側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させ、第2のAl系III族窒化物単結晶層40を形成し、少なくともIII族窒化物非単結晶層30を分離することにより、第2のAl系III族窒化物単結晶層40を含む自立基板を製造することができる。III族窒化物非単結晶層30のみを分離した場合には、第2のAl系III族窒化物単結晶層40および第1のAl系III族窒化物単結晶層22からなる自立基板が製造される。また、III族窒化物非単結晶層30を分離すると共に、第1のAl系III族窒化物単結晶層22をも分離することにより、第2のAl系III族窒化物単結晶層40のみからなる、高品質な自立基板を得ることもできる。
上記自立基板の製造方法において、少なくともIII族窒化物非単結晶層30を分離する方法としては、機械的な研磨除去する方法、ワイヤーソー等により断面から切断する方法、反応性イオンエッチングにより分解除去する方法がある。
本発明の自立基板は、上記したように、結晶面の曲率半径の大きい自立基板製造用基板を用いて製造されるので、製造された自立基板も同様に結晶面の曲率半径が大きいものとすることができる。これにより、例えば、半導体素子形成時において結晶面の曲率半径の大きい自立基板上にIII族窒化物単結晶を成長させた場合に転位の少ない高品位のIII族窒化物単結晶層を成長させることが可能となる。したがって、本発明の方法で得られた自立基板を用いることにより、発光効率の高い半導体素子を製造することが可能となる。
(ELO)
Al系III族窒化物単結晶を製造する際に、ベース基板の表面に多数の微小凹部または微小凸部をランダムに或いは規則的に配列して形成することにより基板表面に高低差をつけ、相対的に高い位置にある基板表面上から結晶成長を開始させることにより、単結晶をベース基板に対して垂直方向だけでなく水平方向(横方向)にも成長させ、横方向に成長するときに結晶欠陥を減少させるという技術が公知となっている。この技術は、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法と呼ばれており、該方法を採用することにより結晶欠陥が減少した高品位なIII族窒化物単結晶を得ることも可能となる。
本発明の自立基板製造用基板を使用する場合にも、ELO法が適用できるように、表面に露出しているAl系III族窒化物薄膜層20あるいは第1のAl系III族窒化物単結晶層22の一方の主表面に複数の凹部または凸部を設けることが可能である。図4に本発明の自立基板製造用基板にELO法を適用した態様を模式的に示す。図4には、第3の自立基板製造用基板にELO法を適用した形態を、一例として示した。
第3の自立基板製造用基板の表面に溝を形成して、その上に、Al系III族窒化物単結晶を成長させる。該単結晶は、自立基板製造用基板に対して垂直方向だけでなく水平方向(横方向)にも成長するので、溝の上面に成長した結晶は連結して単一の層を形成する。従って、図4に示すように溝の底面に非単結晶層30が露出していてもELO法の効果を得ることができる。そして、第2のAl系III族窒化物単結晶層40を分離することにより、第2のAl系III族窒化物単結晶層40からなる自立基板を得ることができる。このとき形成する凹部または凸部の形状、大きさ、更に凹部または凸部の分布状態(配列方式)などは、従来知のELO法と特に変わる点はないが、一般には、凹部または凸部の表面高低差は100nm以上50000nm以下の範囲、凹部および凸部の幅はそれぞれ0.1μm以上20μm以下の範囲である。
(実施例1)
工程(A):図3に示される構造の反応装置の支持体上に、直径2インチで厚さが430μmのサファイア(0001)基板(ベース基板)を設置した。そして、反応管内の雰囲気を、水素の分圧を0.7atm、窒素の分圧を0.3atmとした。その後、ベース基板を1065℃に加熱した。1065℃に到達後、10分間保持して基板のサーマルクリーニングを行った。次いで、反応管内にIII族元素源ガスとして三塩化アルミニウムガスを分圧5.0×10−4atmで供給した後、アンモニアガスを分圧1.25×10−3atmで供給し、成長を開始した。
この状態を保持して、サファイア基板上に、100nmの単結晶の窒化アルミニウム(Al系III族窒化物薄膜層)をエピタキシャル成長させた後、三塩化アルミニウムの供給を停止した。参考実験として、ここまでのAl系III族窒化物薄膜層を成長した時点で冷却して、薄膜層の結晶構造をX線回折のθ−2θモード測定(測定範囲:2θ=10〜100°)により調べたところ、サファイア基板に由来する回折以外では、AlNの(002)、(004)のピークのみが観察され、薄膜層が単結晶を含む構造からなっていることが判った。また、薄膜層の側のAlN(002)面のX線ロッキングカーブの半値幅を測定したところ、460秒であった。
工程(B):反応管内の雰囲気は変えない状態で、AlN膜の分解を防ぐ目的でアンモニアガスのみを分圧2.0×10−3atmで供給した。その状態で、ベース基板を1450℃に加熱した。1450℃に到達後、30分間保持して基板のアニールを行った。
参照実験として、同一条件で工程(A)および工程(B)を別途行い、アニール後のベース基板断面の走査電子顕微鏡(SEM)観察を行い、ベース基板と窒化アルミニウム層界面に形成した空隙率を画像解析から計算した。その結果、空隙率は約55%であることが確かめられた。
工程(B´):工程(B)によるアニール終了後、ベース基板の温度は1450℃のままとし、三塩化アルミニウムガスの供給分圧を5.0×10−4atm、アンモニアガスの供給分圧を1.25×10−3atmとし、第1のAl系III族窒化物単結晶層として、単結晶の窒化アルミニウムを0.5μmの厚みでエピタキシャル成長させ、その後、三塩化アルミニウムガスの供給を停止した。
工程(C):工程(B´)において形成した窒化アルミニウム単結晶層(第1のAl系III族窒化物単結晶層)の上に、III族窒化物非単結晶層として、多結晶を次のようにして成長させた。上記Al系III族窒化物薄膜層および第1のAl系III族窒化物単結晶層が積層されたベース基板の温度を950℃とした後、三塩化アルミニウムガスの供給分圧を1.5×10−3atm、アンモニアガスの供給分圧を5.0×10−3atmに変更し、厚さ200μmの多結晶層(III族窒化物非単結晶層)を形成し、三塩化アルミニウムガス及びアンモニアガスの供給を停止した。その後ベース基板を室温に冷却して、反応器から基板を取り出した。経験値から算出した厚みと上記多結晶層との厚みがほぼ同じであったため、以下の剥離は、気相成長後の冷却時に生じたものと考えられる。
基板を取り出した後、基板の側面を研磨したところ、ベース基板であるサファイア基板と窒化アルミニウム積層膜とが剥離し、窒化アルミニウムの薄膜層(Al系III族窒化物薄膜層)、第1の窒化アルミニウムよりなる単結晶層(第1のAl系III族窒化物単結晶層)、および非単結晶層(III族窒化物非単結晶層)からなる自立基板製造用基板を得た。単に、基板の側面を研磨しただけで、サファイア基板が剥離できたことから、窒化アルミニウムの薄膜層とサファイア基板と界面において、少なくとも一部分が自然分離していたものと考えられる。また、薄膜層が露出されている側の表面は鏡面であった。
また、窒化アルミニウム薄膜層の表面を光学顕微鏡により観察したところ、クラックは観察されなかったが、ベース基板であるサファイア基板の屑が付着していたため、0.5%水酸化テトラメチルアンモニウムに10秒浸漬し、薄膜層と共に付着したサファイア基板屑を除去した(第3の自立基板製造用基板を製造した。)。同じ処理をした自立基板製造用基板を光学顕微鏡により観察して、薄膜層が除去されていることを確認した。
自立基板製造用基板の非単結晶層(多結晶層)が露出されている側からX線回折のθ−2θ測定を行い、(002)面の強度I002と(100)面の強度I100を測定したところ、その強度比I002/I100は4であった。また(002)面回折以外にも(100)面回折、(101)面回折等の回折が見られたため、自立基板製造用基板は多結晶層を有することを確かめた。また、第1の窒化アルミニウムよりなる単結晶層(第1の単結晶層)の側のAlN(002)面のX線ロッキングカーブの半値幅を測定したところ、450秒であった。
さらに、曲率半径を算出して反りを評価したところ、曲率半径は5.2mであり、実質的に問題のないレベルであることを確認した。
自立基板製造用基板自体にクラックがないこと、自立基板製造用基板の第1の単結晶層面に光学顕微鏡観察によりクラックがないこと、曲率半径が1m以上であることを満たす自立基板製造用基板を成功品として、本実施例の自立基板製造用基板のプロセスを繰り返すことにより、製造上の歩留を求めた。歩留は、56%であった。
さらに、本実施例の自立基板製造用基板の第1の単結晶層側にHVPE法を用いて、第2のAl系III族窒化物単結晶層を次のようにして形成した(自立基板の製造方法。)。
前記の反応装置の支持台上に自立基板製造用基板の第1の単結晶層側を上面にして設置し、反応器内に水素と窒素の混合キャリアガスを流通させ、その後、外部加熱手段を用いて反応管温度を500℃に加熱し、一方、ベース基板を1500℃に加熱した。次いで、三塩化アルミニウムガス及びアンモニアガスを導入して6時間保持し、自立基板製造用基板上に第2の窒化アルミニウム単結晶層を300μm成長させた。その後、基板を室温まで冷却し、反応器から取り出した。
次いで、自立基板製造用基板と第2の窒化アルミニウム単結晶層との界面付近をワイヤーソーにより切断し、厚さ260μmの窒化アルミニウム単結晶層を窒化アルミニウム単結晶自立基板として取り出した。得られた窒化アルミニウム単結晶自立基板を光学顕微鏡観察したところ、基板全面に渡りクラックは観察されなかった。
(実施例2)
工程(C)において、非単結晶層を非晶質からなるものとした以外は、工程(A)、工程(B)、工程(B´)は実施例1と同様とした。
工程(C):工程(B)´において第1の窒化アルミニウム単結晶層を成長させた後、ベース基板温度を800℃として、三塩化アルミニウムガスの供給分圧を1.5×10−3atm、アンモニアガスの供給分圧を5.0×10−3atmに変更し、厚さ250μmの非晶質からなる非単結晶層を形成し、三塩化アルミニウムガス及びアンモニアガスの供給を停止した。その後ベース基板を室温に冷却して、反応器から基板を取り出した。自立基板製造用基板の非単結晶層(非晶質層)が露出されている側からX線回折のθ−2θ測定を行ったところ、AlNに関連する回折は(002)回折が観測されたが、そのピークの半値幅が数°程度の大きいものであり、非晶質になっていると考えられた。
基板を取り出した後、基板の側面を研磨したところ、ベース基板であるサファイア基板と窒化アルミニウム積層膜とが剥離し、窒化アルミニウムの薄膜層、第1の単結晶層および非単結晶層からなる自立基板製造用基板を得た。また、薄膜層が露出されている側の表面は鏡面であった。0.5%水酸化テトラメチルアンモニウムに10秒浸漬して、窒化アルミニウム薄膜層と薄膜層に付着したサファイア基板屑を除去した(第3の自立基板製造用基板を製造した。)。自立基板製造用基板の非単結晶層が露出されている側のX線回折強度比は非単結晶層が非晶質であるために算出できなかった。また、第1の単結晶層の側のAlN(002)面のX線ロッキングカーブの半値幅を測定したところ、470秒であった。
さらに、曲率半径を算出して反りを評価したところ、曲率半径は4.9mであり、実質的に問題のないレベルであることを確認した。実施例1と同様の方法で求めた製造上の歩留は44%であった。
得られた自立基板製造用基板を用いて、実施例1と同じ条件で第2のAl系III族窒化物単結晶層(自立基板の製造方法)を形成したが、実施例1と同じく、得られた窒化アルミニウム単結晶自立基板は、基板全面に渡りクラックが観察されなかった。
(実施例3)
工程(B´)の第1の単結晶層を設けず、工程(C)における非単結晶層(多結晶層)の厚さを220μmとした以外は、工程(A)、工程(B)、工程(C)は実施例1と同様とした。
基板を取り出した後、基板の側面を研磨したところ、ベース基板であるサファイア基板と窒化アルミニウム積層膜とが剥離し、窒化アルミニウム薄膜層と多結晶からなる非単結晶層とからなる自立基板製造用基板を得た。また、自立基板製造用基板の表面(窒化アルミニウム薄膜層の表面)は鏡面であった。軽く窒化アルミニウム薄膜層の表面を研磨することにより、窒化アルミニウム薄膜層に付着したサファイア基板屑を除去した(第1の自立基板製造用基板を製造した。)。
自立基板製造用基板の多結晶層が露出されている側のX線回折強度比I002/I100は9であった。また、窒化アルミニウム薄膜層側のAlN(002)面のX線ロッキングカーブの半値幅を測定したところ、460秒であった。さらに、曲率半径を算出して反りを評価したところ、曲率半径は3.8mであり、実質的に問題のないレベルであることを確認した。実施例1と同様の方法で求めた製造上の歩留は33%であった。
得られた自立基板製造用基板を用いて、実施例1と同じ条件で第2のAl系III族窒化物単結晶層(自立基板の製造方法)を形成したが、実施例1と同じく、得られた窒化アルミニウム単結晶自立基板は、基板全面に渡りクラックが観察されなかった。
(実施例4)
工程(B)の薄膜層の厚さを20nmとし、工程(B´)の第1の窒化アルミニウム単結晶層の膜厚を1μm、工程(C)における非単結晶層(多結晶層)の厚さを300μmとした以外は実施例1と同様とした。
基板を取り出した後、基板の側面を研磨したところ、ベース基板であるサファイア基板と窒化アルミニウム積層膜とが剥離し、窒化アルミニウム薄膜層、第1の単結晶層および多結晶からなる非単結晶層からなる自立基板製造用基板を得た。また、自立基板製造用基板の表面(薄膜層の表面)は鏡面であった。0.5%水酸化テトラメチルアンモニウムに10秒浸漬して、窒化アルミニウム薄膜層と薄膜層に付着したサファイア基板屑を除去した(第3の自立基板製造用基板を製造した。)。
自立基板製造用基板の多結晶層が露出されている側のX線回折強度比I002/I100は6であった。また、第1の窒化アルミニウムよりなる単結晶層(第1の単結晶層)の側のAlN(002)面のX線ロッキングカーブの半値幅を測定したところ、380秒であった。
さらに曲率半径は5.6mであり、実質的に問題のないレベルであることを確認した。実施例1と同様の方法で求めた製造上の歩留は22%であった。
得られた自立基板製造用基板を用いて、実施例1と同じ条件で第2のAl系III族窒化物単結晶層(自立基板の製造方法)を形成したが、実施例1と同じく、得られた窒化アルミニウム単結晶自立基板は、基板全面に渡りクラックが観察されなかった。
(実施例5)
工程(B)の薄膜層の厚さを150nmとし、工程(B´)の第1の窒化アルミニウム単結晶層の膜厚を1μm、工程(C)における非単結晶層(多結晶層)の厚さを300μmとした以外は実施例1と同様とした。
基板を取り出した後、基板の側面を研磨したところ、ベース基板であるサファイア基板と窒化アルミニウム積層膜とが剥離し、窒化アルミニウム薄膜層、第1の単結晶層および多結晶からなる非単結晶層からなる自立基板製造用基板を得た。また、自立基板製造用基板の表面(薄膜層の表面)は鏡面であった。軽く窒化アルミニウム薄膜層の表面を研磨することにより、窒化アルミニウム薄膜層に付着したサファイア基板屑を除去した(第2の自立基板製造用基板を製造した。)。
自立基板製造用基板の多結晶層が露出されている側のX線回折強度比I002/I100は6であった。曲率半径は4.7mであり、実質的に問題のないレベルであることを確認した。実施例1と同様の方法で求めた製造上の歩留は44%であった。
得られた自立基板製造用基板を用いて、実施例1と同じ条件で第2のAl系III族窒化物単結晶層(自立基板の製造方法)を形成したが、実施例1と同じく、得られた窒化アルミニウム単結晶自立基板は、基板全面に渡りクラックが観察されなかった。
(実施例6)
工程(B´)の第1の窒化アルミニウム単結晶層の膜厚を5μmとした以外は実施例1と同様とした。
基板を取り出した後、基板の側面を研磨したところ、ベース基板であるサファイア基板と窒化アルミニウム積層膜とが剥離し、窒化アルミニウム薄膜層、第1の単結晶層および多結晶からなる非単結晶層からなる自立基板製造用基板を得た。また、自立基板製造用基板の表面(薄膜層の表面)は鏡面であった。0.5%水酸化テトラメチルアンモニウムに10秒浸漬して、窒化アルミニウム薄膜層と薄膜層に付着したサファイア基板屑を除去した(第3の自立基板製造用基板を製造した。)。
自立基板製造用基板の多結晶層が露出されている側のX線回折強度比I002/I100は8であった。また、第1の窒化アルミニウムよりなる単結晶層(第1の単結晶層)の側のAlN(002)面のX線ロッキングカーブの半値幅を測定したところ、350秒であった。
さらに、曲率半径は4.5mであり、実質的に問題のないレベルであることを確認した。実施例1と同様の方法で求めた製造上の歩留は22%であった。
得られた自立基板製造用基板を用いて、実施例1と同じ条件で第2のAl系III族窒化物単結晶層(自立基板の製造方法)を形成したが、実施例1と同じく、得られた窒化アルミニウム単結晶自立基板は、基板全面に渡りクラックが観察されなかった。
(実施例7)
工程(A)の窒化アルミニウム薄膜層の膜厚を150nmとした以外は実施例1と同様とした。
基板を取り出した後、基板の側面を研磨したところ、ベース基板であるサファイア基板と窒化アルミニウム積層膜とが剥離し、窒化アルミニウム薄膜層、第1の単結晶層および多結晶からなる非単結晶層からなる自立基板製造用基板を得た。また、自立基板製造用基板の表面(薄膜層の表面)は鏡面であった。0.5%水酸化テトラメチルアンモニウムに10秒浸漬して、窒化アルミニウム薄膜層と薄膜層に付着したサファイア基板屑を除去した(第3の自立基板製造用基板を製造した。)。
自立基板製造用基板の多結晶層が露出されている側のX線回折強度比I002/I100は3.8であった。また、第1の窒化アルミニウムよりなる単結晶層(第1の単結晶層)の側のAlN(002)面のX線ロッキングカーブの半値幅を測定したところ、560秒であった。
さらに、曲率半径は5.8mであり、実質的に問題のないレベルであることを確認した。実施例1と同様の方法で求めた製造上の歩留は33%であった。
得られた自立基板製造用基板を用いて、実施例1と同じ条件で第2のAl系III族窒化物単結晶層(自立基板の製造方法)を形成したが、実施例1と同じく、得られた窒化アルミニウム単結晶自立基板は、基板全面に渡りクラックが観察されなかった。
(比較例1)
工程(A)で膜厚100nmの単結晶を含む窒化アルミニウム薄膜層を形成後、工程(B)を省略することでベース基板と窒化アルミニウム薄膜層との界面に空隙を導入しなかった以外は、実施例1と同様とした。
工程(A)の後、1450℃に昇温した後、直ちに工程(B´)を行い、第1の単結晶層を0.5μm成長させた。このときの反応器内の雰囲気、原料ガス供給量などの条件は実施例1と同様とした。次いで、実施例1と同条件の工程(C)により多結晶層からなる200μmの非単結晶層を形成した。その後、ベース基板を室温に冷却して反応器からベース基板を取り出した。
基板の側面を研磨したが、窒化アルミニウム薄膜層とベース基板との界面に空隙が存在しないため、剥離が起こらなかった。このため、ベース基板であるサファイア基板側から第1の単結晶層が露出するまで、研磨することにより自立基板製造用基板を得た。自立基板製造用基板の単結晶層が露出されている表面は鏡面であった。自立基板製造用基板の多結晶層が露出している側のX線回折強度比I002/I100は4であった。また、第1の窒化アルミニウムよりなる単結晶層(第1の単結晶層)の側のAlN(002)面のX線ロッキングカーブの半値幅を測定したところ、450秒であった。
さらに、曲率半径を算出して反りを評価したところ、曲率半径は5.0mであり、実質的に問題のないレベルであることを確認した。実施例1と同様の方法で求めた製造上の歩留は11%と低かった。ベース基板を研磨除去する工程におけるクラックの発生や、研磨し過ぎによる第1の単結晶層の消失が歩留低下の主な原因であった。
(比較例2)
Al系III族窒化物薄膜層の厚さを2nmとした以外は実施例1と同様の手順で自立基板製造用基板を製造した比較例である。工程(C)における非単結晶層形成途中に、AlN膜が剥離した。原因を調査したところ、工程(B)終了の段階で空隙率が90%を超えて存在することが明らかになった。すなわち、空隙が高過ぎるために成長中に剥離が起こったものと考えられた。薄膜層が3nm未満である場合には、空隙の形成を制御することが困難であることが確認された。
(比較例3)
Al系III族窒化物薄膜の厚さを250nmとした以外は実施例1と同様の手順で自立基板製造用基板を製造した比較例である。基板上にAlN薄膜層、第1の単結晶層、非単結晶層を形成し、基板を冷却して取り出したが、空隙を介してベース基板から剥離することが困難であった。原因を調査した結果、界面の空隙が5%程度と低かったために、界面における破壊現象が起こらなかったものと考えられた。すなわち、薄膜層が厚かったために、本発明において必須の空隙の形成が阻害されたと考えられた。ベース基板を反応性イオンエッチングを用いて除去を試みたが、その制御が困難であり、歩留が11%と低かった。
(比較例4)
Al系III族窒化物非単結晶層の膜厚を、Al系III族窒化物薄膜層の90倍に相当する9μmとした以外は実施例1と同様として自立基板製造用基板の製造を試みた比較例である。AlN薄膜層、第1の単結晶層、多結晶層を順次形成し、基板を冷却した。その後、ベース基板からの自立基板製造用基板の剥離を試みたが、自立強度を保つ目的に形成した多結晶層の膜厚が薄いため、剥離途中に積層層にクラックが発生した。このため、歩留が0%であった。
実施例および比較例の結果を表1にまとめた。
Figure 2010010613
以上のように、本発明を用いることにより、自立基板製造用基板の歩留を高めることができることがわかった。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う積層体、積層体の製造方法、自立基板製造用基板の製造方法、自立基板製造用基板、自立基板の製造方法、および、自立基板もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の概要を示す概念図である。 本発明の概要を示す概念図である。 本発明で使用するHVPE装置の模式図である。 ELO法を採用した自立基板の製造方法の概要を示す概念図である。
符号の説明
10 ベース基板
12 空隙
20 Al系III族窒化物薄膜層
22 第1のAl系III族窒化物単結晶層
30 III族窒化物非単結晶層
40 第2のAl系III族窒化物単結晶層
81 石英ガラス製反応管
82 外部加熱装置
83 基板支持台
84 ベース基板
85 ノズル(III族金属ガスの導入)
86 基板支持台通電用電極

Claims (22)

  1. 不活性ガス中1000℃において分解しない無機物質であって、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板、
    該ベース基板上に形成された、単結晶Al系III族窒化物を含む厚さ3nm以上200nm以下のAl系III族窒化物薄膜層、
    該Al系III族窒化物薄膜層上に形成された、該Al系III族窒化物薄膜層の厚さの100倍以上の厚さを備えたIII族窒化物非単結晶層、を備えて構成され、
    該ベース基板と該Al系III族窒化物薄膜層との界面に複数の空隙を有する、積層体。
  2. 前記ベース基板と前記Al系III族窒化物薄膜層との界面において、前記Al系III族窒化物薄膜層全体の面積に対する、前記複数の空隙によって前記Al系III族窒化物薄膜層と前記ベース基板とが非接触となった部分の総面積の割合が、10%以上90%以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記III族窒化物非単結晶層が、多結晶、非晶質、またはこれらの混合物からなる、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記III族窒化物非単結晶層が多結晶からなり、該多結晶層について前記Al系III族窒化物薄膜層が形成されている側とは反対側の方向からX線回折測定を行った(002)面の回折強度(I002)と(100)面の回折強度(I100)との強度比(I002/I100)が1以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記Al系III族窒化物薄膜層と前記III族窒化物非単結晶層との間に、厚さ0.0004μm以上10μm以下の第1のAl系III族窒化物単結晶層を備えてなる、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を製造する方法であって、
    (A) 不活性ガス中1000℃において分解しない無機物質であって、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板上に、単結晶Al系III族窒化物を含む厚さ3nm以上200nm以下のAl系III族窒化物薄膜層が形成された原料積層基板を準備する工程、
    (B) 前記原料積層基板を還元性ガスおよびアンモニアガスを含む雰囲気中で1000℃以上1600℃以下に加熱することにより、前記ベース基板と前記Al系III族窒化物薄膜層との界面において前記ベース基板を選択的に分解し、該界面に空隙を形成する工程、
    (C) 前記工程(B)で得られた積層体の前記Al系III族窒化物薄膜層上にIII族窒化物非単結晶を成長させてIII族窒化物非単結晶層を形成する工程、
    を備えてなる、積層体の製造方法。
  7. 請求項5に記載の積層体を製造する方法であって、
    (A) 不活性ガス中1000℃において分解しない無機物質であって、1000℃以上1600℃以下で還元性ガスと接触することにより分解して揮発性物質を生成する無機物質の単結晶からなるベース基板上に、単結晶Al系III族窒化物を含む厚さ3nm以上200nm以下のAl系III族窒化物薄膜層が形成された原料積層基板を準備する工程、
    (B) 前記原料積層基板を還元性ガスおよびアンモニアガスを含む雰囲気中で1000℃以上1600℃以下に加熱することにより、前記ベース基板と前記Al系III族窒化物薄膜層との界面において前記ベース基板を選択的に分解し、該界面に空隙を形成する工程、
    (B´)前記工程(B)で得られた積層体の前記Al系III族窒化物薄膜層上に、Al系III族窒化物単結晶を成長させて、0.0004μm以上10μm以下の第1のAl系III族窒化物単結晶層を形成する工程、および、
    (C) 前記工程(B´)で得られた積層体の前記第1のAl系III族窒化物単結晶層上にIII族窒化物非単結晶を成長させてIII族窒化物非単結晶層を形成する工程、
    を備えてなる、積層体の製造方法。
  8. 前記工程(A)が、加熱された前記ベース基板に、III族元素源ガスおよび窒素源ガスを接触させる気相成長法によってAl系III族窒化物薄膜層を形成する工程を含むものであり、
    該気相成長の開始時において、加熱された前記ベース基板にIII族元素源ガスを接触させた後、該ベース基板にIII族元素源ガスおよび窒素源ガスを接触させる、請求項6または7に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記III族窒化物非単結晶層として窒化アルミニウム非単結晶層を形成する請求項6〜8のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  10. Al系III族窒化物薄膜層およびIII族窒化物非単結晶層の積層構造からなる自立基板製造用基板を製造する方法であって、
    請求項6に記載の方法により、積層体を製造する工程、
    該工程で得られた積層体から、前記Al系III族窒化物薄膜層および前記III族窒化物非単結晶層を一体として分離する分離工程
    を備えてなる、自立基板製造用基板の製造方法。
  11. Al系III族窒化物薄膜層、第1のAl系III族窒化物単結晶層およびIII族窒化物非単結晶の積層構造からなる自立基板製造用基板を製造する方法であって、
    請求項7に記載の方法により、積層体を製造する工程、
    該工程で得られた積層体から、前記Al系III族窒化物薄膜層、前記第1のAl系III族窒化物単結晶層、および前記III族窒化物非単結晶層を一体として分離する分離工程
    を備えてなる、自立基板製造用基板の製造方法。
  12. 第1のAl系III族窒化物単結晶層およびIII族窒化物非単結晶の積層構造からなる自立基板製造用基板を製造する方法であって、
    請求項7に記載の方法により、積層体を製造する工程、
    該工程で得られた積層体から、前記Al系III族窒化物薄膜層、前記第1のAl系III族窒化物単結晶層および前記III族窒化物非単結晶層を一体として分離する分離工程、および
    前記Al系III族窒化物薄膜層を除去する工程、
    を備えてなる、自立基板製造用基板の製造方法。
  13. 前記積層体を製造する工程において、前記III族窒化物非単結晶層の形成を、500℃以上1600℃以下の温度領域における気相成長法により行い、該気相成長後の冷却時における自然分離として前記分離工程を行う、請求項10〜12のいずれかに記載の自立基板製造用基板の製造方法。
  14. 前記III族窒化物非単結晶層の形成を、気相成長法により行い、該気相成長中における自然分離として前記分離工程を行い、更に該自然分離後にも上記気相成長を継続する、請求項10〜12のいずれかに記載の自立基板製造用基板の製造方法。
  15. 前記III族窒化物非単結晶層として窒化アルミニウム非単結晶層を形成する請求項10〜14のいずれかに記載の自立基板製造用基板の製造方法。
  16. 請求項10に記載された方法で得られたAl系III族窒化物薄膜層およびIII族窒化物非単結晶層からなる自立基板製造用基板であって、
    前記Al系III族窒化物薄膜層側に着目した結晶面の曲率半径の絶対値が1m以上である、自立基板製造用基板。
  17. 請求項11に記載された方法で得られたAl系III族窒化物薄膜層、第1のAl系III族窒化物単結晶層およびIII族窒化物非単結晶層からなる自立基板製造用基板であって、
    前記Al系III族窒化物薄膜層側に着目した結晶面の曲率半径の絶対値が1m以上である、自立基板製造用基板。
  18. 請求項12に記載された方法で得られた第1のAl系III族窒化物単結晶層およびIII族窒化物非単結晶層からなる自立基板製造用基板であって、
    第1のAl系III族窒化物単結晶層側に着目した結晶面の曲率半径の絶対値が1m以上である、自立基板製造用基板。
  19. 請求項10に記載された方法で得られたAl系III族窒化物薄膜層およびIII族窒化物非単結晶層からなる自立基板製造用基板において、
    前記Al系III族窒化物薄膜層側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させ、第2のAl系III族窒化物単結晶層を形成する工程、および、
    少なくとも前記III族窒化物非単結晶層を分離する工程を備えてなる、
    該第2のAl系III族窒化物単結晶層を含む自立基板の製造方法。
  20. 請求項11に記載された方法で得られたAl系III族窒化物薄膜層、第1のAl系III族窒化物単結晶層およびIII族窒化物非単結晶層からなる自立基板製造用基板において、
    前記Al系III族窒化物薄膜層側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させ、第2のAl系III族窒化物単結晶層を形成する工程、および、
    少なくとも前記III族窒化物非単結晶層を分離する工程を備えてなる、
    該第2のAl系III族窒化物単結晶層を含む自立基板の製造方法。
  21. 請求項12に記載された方法で得られた第1のAl系III族窒化物単結晶層およびIII族窒化物非単結晶層からなる自立基板製造用基板において、
    前記第1のAl系III族窒化物単結晶層側に、単結晶Al系III族窒化物をエピタキシャル成長させ、第2のAl系III族窒化物単結晶層を形成する工程、および、
    少なくとも前記III族窒化物非単結晶層を分離する工程を備えてなる、
    該第2のAl系III族窒化物単結晶層を含む自立基板の製造方法。
  22. 請求項19〜21のいずれかの製法により製造される、Al系III族窒化物単結晶層からなる自立基板。
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