JP2010003435A - 超電導線材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】超電導線材を超電導体で接続した超電導線材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】c軸面を主面とした第1超電導層を有する第1超電導線と、前記第1超電導体と並置され、c軸面を主面とした第2超電導層を有する第2超電導線と、前記第1超電導層の前記主面と、前記第2超電導層の前記主面と、にそれぞれ接続され、前記第1超電導層と前記2超電導層とを電気的に接続する超電導体からなる超電導接続体と、を備えたことを特徴とする超電導線材を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超電導線材に係わり、特に、超電導線どうしを接続した超電導線材及びその製造方法に関する。
超電導の、超電導コイル、超電導マグネット、MRI装置、磁気浮上式列車、超電導エネルギー貯蔵装置(SMES:Superconducting Magnetic Energy Storage)などへの応用の発展が大きく期待されている。
特に、最近実用化が進められている高臨界電流酸化物超電導材料は、核融合炉、磁気浮上列車、加速器、磁気診断装置(MRI)などへの有用な応用が期待され、一部は既に実用化がなされている。
超電導をさらに発展させるためには、超電導接続技術の開発が重要である。すなわち、単に低抵抗の常電導体によって超電導体どうしを接続するのではなく、超電導の永久電流モードが実現できる超電導接続が必要とされている。
現在、超電導線材の製造における長尺化が進められているが、線材の製造においては線材が短い方が製造が容易であり、比較的短い超電導線材を製造した後、所望の長さに超電導接続できれば、安定的に長尺の超電導線材を得ることができる。
さらに、高特性NMRに必要な永久電流モードの実現には、1.0×10−12Ωの桁以下の抵抗値の超電導線材が必要とされているが、例えば超電導線を銀などの常電導体で接続する従来の超電導接続技術では、1.0×10−9Ωの桁の抵抗値となる(例えば非特許文献1)。
なお、超電導材料どうしを接続する技術に関連して、超電導材料を用いた半導体素子に関する技術が挙げられる。この技術においては、2軸配向の超電導材料の上に2軸配向の超電導成膜を行い超電導接続を行うが、これは、同一の単結晶基板上で成膜を行った場合の技術であり、例えば異なる金属テープの上に設けられた超電導層を用いる超電導線材の接続には応用できない。また、超電導材料を用いた半導体素子においては、最大でも1A前後の電流を通電できる可能性はあるが、少なくとも5A以上の電流は通電できない。このように、超電導材料を用いた半導体素子等に関する従来の技術は、超電導コイル、超電導マグネット、MRI装置、磁気浮上式列車、SMES等に用いられる超電導線材には応用できない。
Journal of Physics: Conference Series VOL.43 (2006), ppp.166-169, 7th European Conference on Applied Superconductivity, "Low resistance of the YBCO coated conductor" by J.Kato-Yoshioka, N.Sakai, S.Tajima, S.Miyata, T.Watanabe, Y.Yamada, N.Chikumoto, K.Nakao, T.Izumi and Y.Shiohara.
本発明は、超電導線材を超電導体で接続した超電導線材及びその製造方法を提供する。
本発明の一態様によれば、c軸面を主面とした第1超電導層を有する第1超電導線と、前記第1超電導体と並置され、c軸面を主面とした第2超電導層を有する第2超電導線と、前記第1超電導層の前記主面と、前記第2超電導層の前記主面と、にそれぞれ接続され、前記第1超電導層と前記2超電導層とを電気的に接続する超電導体からなる超電導接続体と、を備えたことを特徴とする超電導線材が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、c軸面を主面とした第1超電導層を有する第1超電導線の前記主面と、c軸面を主面とした第2超電導層を有する第2超電導線の前記主面と、の上に、前記第1超電導線と前記2超電導線とを電気的に接続する超電導体からなる超電導接続体を形成することを特徴とする超電導線材の製造方法が提供される。
本発明によれば、超電導線材を超電導体で接続した超電導線材及びその製造方法が提供される。
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超電導線材の構成を例示する模式的図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係る超電導線材の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図(a)は模式的斜視図であり、同図(b)は同図(a)のV方向から見たときの平面図であり、同図(c)は同図(b)のA−A’線断面図である。
また、図2は、図1(c)に例示した断面図に相当する断面図であり、超電導線材の構造の1つの具体例をより詳細に例示している。
図1に表したように、本発明の第1の実施形態に係る超電導線材は、第1超電導線100と、第2超電導線200と、第1超電導線100の主面であるc軸面111と、第2超電導線200の主面であるc軸面211と、に対向して設けられ、第1超電導線100と2超電導線200とを電気的に接続する超電導接続体300と、を備える。
第1超電導線100は、例えば第1基材120の上に設けられた第1超電導層140を有する。一方、第2超電導線200は、例えば第2基材220の上に設けられた第2超電導層240を有する。
第1基材120及び第2基材220には、例えば金属テープを用いることができ、その材料としては、例えば、Ni−Wを用いることができる。
第1超電導層140及び第2超電導層240には、例えば、イットリウム系超電導材料であるYBaCu7−x(以降、YBCOと言う。)を用いることができる。YBCOは、ペロブスカイト構造を持つ超電導体である。さらに、第1超電導層140及び第2超電導層240には、イットリウムにランタノイド系の希土類元素が替わった物や、その混合物も用いることができる。
また、図2に表したように、第1基材120及び第2基材220の上に、例えば、無配向のHastelloy-C層130、230を設けることができる。そして、その上に、配向性を有する配向層131、231として、例えばIon-beam-assisted deposition(IBAD)法によりY安定化ZrO層(以下、YSZ層と称する)が設けられる。さらにその上に、配向性を有する中間層132、232として、例えばパルスレーザー堆積(PLD:Pulse Laser Deposition)法によりCeO層が設けられる。さらにその上に、第1超電導層140及び第2超電導層240として、YBCO層が設けられている。
なお、このように、第1基材120及び第2基材220は、配向層を持たず、その上に、配向層131、231及び中間層132、232のような配向性をもつ層を設け、その上にそれぞれ第1超電導層140、第2超電導層240を設ける構成とすることができる。また、第1基材120及び第2基材220の表面が配向性を有し、その上に中間層132、232を設け、その上にそれぞれ第1超電導層140、第2超電導層240を設ける構成とすることができる。
なお、第1超電導層140及び第2超電導層240は、c軸配向を有する。すなわち、2軸配向性を有する層であり、a軸とb軸は、第1超電導層140及び第2超電導層240の層面に対して実質的に平行であり、c軸は層面に対して実質的に垂直に配向している。
これにより、第1超電導線100(すなわち第1超電導層140)と第2超電導線200(すなわち第2超電導層240)は、2軸性の配向性を持つ。そして、図1に表したように、第1超電導線100のc軸110と、第2超電導線200のc軸210と、は、それぞれ、第1超電導線100の主面、及び、第2超電導線200の主面に対して、それぞれ実質的に垂直となる。すなわち、第1超電導線100のc軸面111と、第2超電導線200のc軸面211と、は、それぞれ、第1超電導線100の主面、及び、第2超電導線200の主面に対して、それぞれ実質的に平行となる。
なお、第1超電導線100のa軸とb軸とは、第1超電導線100の主面に実質的に平行な平面内にある。ここで、第1超電導線100のa軸及びb軸は、第1超電導線100の延在方向に対しては任意の角度とすることができる。配向基板や中間層の製法上、45度や0度であることが多い。同様に、第2超電導線200のa軸とb軸とは、第2超電導線200の主面に実質的に平行な平面内にある。ここで、第2超電導線200のa軸及びb軸は、第2超電導線200の延在方向に対しては任意の角度とすることができる。配向基板や中間層の製法上、45度や0度であることが多い。
そして、第1超電導線100(すなわち第1超電導層140)のc軸面111と、第2超電導線200(すなわち第2超電導層240)のc軸面211と、に対向して超電導接続体300が設けられる。これにより、超電導接続体300は、第1超電導線100と第2超電導線200とを、超電導接続する。この時、超電導接続体300のc軸310は、第1超電導線100のc軸面111と、第2超電導線200のc軸面211と、に対して実質的に垂直である。すなわち、超電導接続体300のc軸310は、第1超電導線100のc軸110と、第2超電導線200のc軸210と、に対して実質的に平行である。
そして、図1(c)に表したように、例えば、第1超電導線100から第2超電導線200に向けて電流を流す場合、第1超電導線100の部分においては、第1超電導線100の主面に平行な方向(矢印a1の方向)に電流が流れる。すなわち、第1超電導線100のc軸110に対して垂直な方向に電流が流れる。
そして、第1超電導線100と超電導接続体300とが重なる接続領域においては、電流は、第1超電導線100の主面に垂直な方向(矢印a2の方向)に電流が流れる。すなわち、第1超電導線100のc軸110に対して平行な方向に流れる。
そして、超電導接続体300においては、超電導接続体300の主面に平行な方向(矢印a3の方向)に電流が流れる。すなわち、超電導接続体300のc軸310に対して垂直な方向に流れる。
そして、超電導接続体300と第2超電導線200とが重なる接続領域においては、電流は、第2超電導線200の主面に垂直な方向(矢印a4の方向)に電流が流れる。すなわち、第2超電導線200のc軸210に対して平行な方向に流れる。
そして、第2超電導線200の部分においては、第2超電導線200の主面に平行な方向(矢印a5の方向)に電流が流れる。すなわち、第2超電導線200のc軸210に対して垂直な方向に電流が流れる。
なお、逆に、第1超電導線100から第2超電導線200に向けて電流を流す場合も上記と電流の向きが異なるだけで同様である。
このように、電流は、矢印a1〜a5の方向に流れる。この時、電流の方向が、超電導材料のc軸に対して垂直な方向に流れる場合、すなわち、矢印a1、a3、a5の方向に流れる場合、臨界電流密度(Jc)が大きく、3MA/cm程度のJc値で超電導電流が流れる。
一方、電流の方向が、超電導材料のc軸に対して平行な方向に流れる場合、すなわち、矢印a2、a4の方向に流れる場合は、抵抗値は、垂直な方向に流れる場合よりも上昇する。例えば、電流の方向がc軸に対して平行な方向である場合のJc値は、垂直な方向である場合に比べ、1/100〜1/1000程度に低下する。この時、超電導接続体300と、第1及び第2超電導線100、200とが重なる接続領域の面積を十分大きくすることによって、低いJc値の接続部も実質的に問題にはならない。
例えば、第1超電導線100の第1超電導層140、及び、第2超電導線200の第2超電導層240、の層厚は、例えば1μm程度とすることができる。一方、超電導接続体300と、第1及び第2超電導線100、200とが重なる接続領域の延在方向の長さは、例えば0.1mm〜1mm(すなわち、層厚1μmの100倍から1000倍)としておくことで、超電導接続体300と、第1及び第2超電導線100、200とが重なる接続領域における低いJc値での接続部分を十分解消して、超電導線100および200を流れる超電導電流は阻害されること無く流れることになる。この時の抵抗値は主に接続部により抵抗が発生するため、1.0×10−12Ωとなる。
このように、第1超電導線100と超電導接続体300とが対向する面積は、第1超電導線100の延在方向に対して直交する平面における第1超電導線100の第1超電導層140の断面積の100倍以上とすることができる。
そして、第2超電導線200と超電導接続体300とが対向する面積は、第2超電導線200の延在方向に対して直交する平面における第1超電導線200の第2超電導層240の断面積の100倍以上とすることができる。
このように、本実施形態に係る超電導線材10によれば、超電導線材を同等の臨界電流(Ic)を持つ超電導線で接続することにより接合部でも超電導電流が阻害されない超電導線材が得られる。
なお、上記の具体例においては、超電導接続体300のc軸は、第1、第2超電導線100、200の第1、第2超電導層140、240のc軸に対して平行である例として説明したが、超電導接続体300のc軸の方向は任意である。ただし、超電導接続体300のc軸が、第1、第2超電導層140、240のc軸に対して平行である構成の場合は、超電導接続体300と、第1、第2超電導層140、240との界面において、構造の連続性が保たれるので、安定した超電導接続を得やすいので望ましい。
(比較例)
図3は、比較例の超電導線材の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図(a)〜(c)は、第1〜第3の比較例の超電導線材の構成を例示している。
図3(a)に表したように、第1の比較例の超電導材91では、第1、第2超電導線100、200の第1、第2超電導層140、240が同じ側になるように、第1、第2超電導線100、200を配置し、その上に、例えば、常電導のはんだからなる接続材510が設けられる。これによって、第1超電導線100と第2超電導線200とが接続される。この場合、接続材510は常電導体であり、抵抗値が零の超電導体と比べ物にならないほどの大きな抵抗値となる。このため、第1、第2超電導線100、200と接続材510との間の接続領域の面積を、現実的に可能な範囲でいくら大きくしても、超電導線材91のJc値を維持できる接続は出来ない。この時に接続部の抵抗値を測定すると、1.0×10−6Ω以上の値となる。
また、図3(b)に表したように、第2の比較例の超電導材92では、第1、第2超電導線100、200の超電導層の面が互いに対向するように、第1、第2超電導線100、200を配置し、例えば、銀からなる接続材520でそれらを接続したものである。すなわち、2軸配向超電導体である第1、第2超電導線100、200が、銀薄膜を介して接合されている。この場合も、接続材520は常電導体であり、超電導体に比べて抵抗値が非常に大きい。この時の接続抵抗は、接続材520の長さが10cmの時に1.0×10−9Ωとなる。この構造は、例えば特許文献1に開示されている構造であり、例えば、1.0×10−9Ωの桁程度と、抵抗値が大きい。この構造で1.0×10−12Ωを実現しようとすれば、接続材520の長さは、上記10cmの1000倍の100mが必要であり、実用上は非現実的な長い接合部となってしまう。
また、図3(c)に表したように、第3の比較例の超電導材93では、第1、第2超電導線100、200の超電導層の面が並置され、それぞれの端部の間、すなわち、第1、第2超電導線100、200の間の間隙において、第1超電導層140及び第2超電導層240との間に超電導材料からなる接続材530が設けられている。なお、第1、第2超電導線100、200の間の間隙において、第1超電導層140及び第2超電導層240との間以外の部分には、充填材531が充填され、第1、第2超電導線100、200及び接続材530を支持している。
この構造の場合、第1、第2超電導線100、200において低抵抗を示すc軸に対して垂直な方向(すなわち、a軸及びb軸を含む面に平行な方向)において、接続材530は、第1超電導線100と第2超電導線100とを接続する。従って、この場合の電流の流れる方向は、c軸に対して垂直な方向であり、抵抗が零の超電導電流が期待できる。しかしながら、原子レベルの配向を特徴とする2軸配向の超電導体において、その端部では、原子レベルでは大半の部分で間隙が出来た構造となる。このため、第1、第2超電導線100、200と接続材530との間の界面では超電導電流が得られない。すなわち、第1、第2超電導線100、200の端面を加工して、再び端面に超電導層を形成しようとしても、その部分にダメージが加わるために超電導電流が遮断されてしまい、超電導レベルの低抵抗での接続は実現できない。
このように、比較例の超電導線材91〜93においては、十分低い抵抗値で超電導電流を流せる接続は実現できない。
これに対し、本実施形態に係る超電導線材10では、第1超電導線100のc軸面111と、第2超電導線200のc軸面211とに対向して設けられた超電導接続体300を用いる。これにより、第1超電導線100及び第2超電導線200と、超電導接続体300と、の界面において、原子レベルでの配向性を維持させることができ、超電導性が失われることがない。
この時、第1超電導線100及び第2超電導線200と、超電導接続体300と、が重なる領域では、c軸に対して平行な方向に電流が流れるので、その領域においては、第1、第2超電導線100、200中を電流が流れる時に対して、Jc値が1/100〜1/1000になる事が発生し得るが、これに対しては、第1超電導線100及び第2超電導線200と、超電導接続体300と、が重なる領域の面積を拡大することによって容易に解消され、接続部を通る電流路の、低いJc値は問題とならない。
このように、本実施形態に係る超電導線材10によれば、超電導線材を高臨界電流密度で接続した超電導線材が得られる。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る超電導線材の変形例の構成を例示する模式的平面図である。
図4(a)に表したように、本実施形態に係る超電導線材10aにおいては、第1超電導線100、第2超電導線200、及び、それらを接続する超電導接続体300の幅が略同一である。そして、これらの側面(延在方向に対して平行で主面に対して垂直な面)が略一致している。このようにすることで、第1超電導線100と第2超電導線200のは幅方向の全部の長さに渡って電流を流すことができるので効率が良い。
さらに、図4(b)に表したように、本実施形態に係る変形例の超電導線材10bにおいては、第1超電導線100及び第2超電導線200の幅が略同一であるが、それらを接続する超電導接続体300の幅は、第1超電導線100及び第2超電導線200の幅よりも長くなっている。この場合も、第1超電導線100と第2超電導線200とは幅方向の全部の長さに渡って電流を流すことができ、さらに、第1超電導線100及び第2超電導線200の側面付近における電流容量の低下を防止できる。
そして、第1超電導線100及び第2超電導線200の上に、超電導接続体300を設ける際に、第1超電導線100及び第2超電導線200を固定し支持する支持材(図示しない)を設けることがある。この時に、その支持材は第1、第2超電導線100、200の幅よりも幅を広くして、安定して支持するようにすることができる。この時、その支持材の形状に合わせて超電導接続体300を設けることができ、この時、超電導接続体300の幅は、第1、第2超電導線100、200の幅よりも広くなる。これにより、接続部の機械的強度をより高めることができる。
また、図4(c)に表したように、本実施形態に係る変形例の超電導線材10cにおいては、第1超電導線100及び第2超電導線200の幅が略同一であるが、それらを接続する超電導接続体300の幅は、第1超電導線100及び第2超電導線200の幅よりも細くなっている。第1超電導線100と第2超電導線200とを並置して超電導接続体300で接続する際に、第1超電導線100、第2超電導線200、及び超電導接続体300の幅が同一の場合には、それらの位置がずれた場合に、超電導線材の延在方向に沿った凹凸が生じる。これに対し、この変形例のように、超電導接続体300の幅を、第1、第2超電導線100、200の幅よりも細くしておくことで、第1超電導線100と第2超電導線200とを精密に位置合わせしておけば、それらに対する超電導接続体300の位置が多少ずれていた場合においても、凹凸は生じない。このように、超電導接続体300の幅を、第1、第2超電導線100、200の幅よりも細くしておくことで、超電導接続体300の位置合わせの精度の許容は広くなる。これにより、製造マージンが広がり、作りやすい超電導線材が提供できる。
また、例えば、第1、第2超電導線100、200の上に超電導接続体300を形成する際に使用する治工具の設計を、超電導接続体300の幅が第1、第2超電導線100、200の幅よりも細くなるように設計することができる。これにれより、第1、第2超電導線100、200を治工具に設置する際の位置精度の許容が拡大する。これによっても、製造マージンが広がり、作りやすい超電導線材が提供できる。
なお、超電導接続体300の幅を狭くしたときに、Jc値が低下する懸念があるが、これに対しては、第1、第2超電導線100、200と超電導接続体300との接続長さを長くして接触面積を広くすることで対応でき、実用的には問題にはならない。
また、図4(d)に表したように、本実施形態に係る変形例の超電導線材10dにおいては、第1、第2超電導線100、200の幅が略同一であるが、第1、第2超電導線100、200の端面は一致しない状態で接合されている。このように、第1、第2超電導線100、200の端面がずれていても、低抵抗の接続が得られる。
また、図4(e)に表したように、本実施形態に係る変形例の超電導線材10eにおいては、第1、第2超電導線100、200の幅が略同一であるが、第1、第2超電導線100、200の側面は一致しない状態で接合されている。そして、超電導接続体300は、第1、第2超電導線100、200の幅よりも広い幅で設けられている。この場合も、低抵抗の接続が実現できる。さらに、超電導接続体300の端面が、第1、第2超電導線100、200の側面よりも突出した部分において、第1、第2超電導線100、200の接続における機械的強度を補強することができ、より強度の高い超電導線材が得られる。
また、図4(f)に表したように、本実施形態に係る変形例の超電導線材10fにおいては、第1超電導線100の幅と、第2超電導線200の幅と、が互いに異なっている。このように、第1超電導線100の幅と、第2超電導線200の幅と、が互いに異なっている場合においても、低抵抗の接続が可能である。
このように、本実施形態に係る接続技術は、例えば線幅が同じ超電導線の接続だけでなく、例えば、線幅が互いに異なる超電導線の接続にも応用できる。さらに、例えば厚みが互いに異なる超電導線の接続にも応用でき、また後述する実施例で説明するように、異なる材料を用いた超電導線どうしの接続にも応用できる。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る超電導線材の変形例の構成を例示する模式的平面図である。
図5(a)に表したように、本実施形態に係る変形例の超電導線材10gにおいては、第1超電導線100と第2超電導線200とが、延在方向に対して直交する方向に隣り合って配置され、それらの上に超電導接続体300が設けられている。すなわち、第1超電導線100の延在方向に対して平行な側面と、第2超電導線200の延在方向に対して平行な側面と、が対向するように、第1及び第2超電導線100、200が並置されている。このように、第1超電導線100と第2超電導線200とを、延在方向に対して直交する方向に並べることで、第1超電導線100と第2超電導線200とが互いに隣り合う長さが拡大できる。
すなわち、例えば、図4(a)〜(f)に例示した超電導線材10a〜fの場合は、第1超電導線100と第2超電導線200とが互いに隣り合う長さは、第1超電導線100及び第2超電導線200の線幅に略等しい長さになるが、図5(a)に例示した超電導線材10gにおいては、第1超電導線100と第2超電導線200とを、延在方向に対して直交する方向に並べることで、第1超電導線100と第2超電導線200とが互いに隣り合う長さを任意に拡大できる。これにより、Jc値の低下をより補償しやすくなる。
例えば、第1超電導線100及び第2超電導線200が隣接する長さは、第1超電導線100及び第2超電導線200の線幅の10倍以上とすることができる。
また、図5(b)に表したように、本実施形態に係る変形例の超電導線材10hにおいては、第1超電導線100と第2超電導線200とが、延在方向に対して直交する方向に隣り合って配置され、それらの上に超電導接続体300が2つ設けられている。これにより、より大きな電流を流せるようになる。このように、超電導接続体300は、複数設けることができる。
超電導接続体300を複数設ける場合に、図4(a)〜(f)に例示した超電導線材10a〜fのように、第1超電導線100と第2超電導線200とが延在方向に直列して配置される場合は、第1、第2超電導線100、200が隣り合う長さが、それらの幅と略同一になるので、その幅が狭くなり、複数の超電導接続体300を設けることが困難になり易い。これに対し、図5(b)に例示した超電導線材10hのように、第1、第2超電導線100、200を延在方向に対して直交する方向に並べることで、第1、第2超電導線100、200が隣り合う長さが拡大でき、複数の超電導接続体300を設けやすくなる、これにより、接続部での電流値低下を防止し、安定した超電導接続が実現できる。
図5(c)に表したように、本実施形態に係る変形例の超電導線材10iにおいては、第1超電導線100の線幅と、第2超電導線200の線幅とが、互いに異なっている。すなわち、図5(c)の例では、第2超電導線200の線幅が、第1超電導線100に比べて細い。そして、第1超電導線100と、第2超電導線200とは、延在方向に対して直交する方向に隣り合って配置され、それらの上に超電導接続体300が設けられている。
この時、例えば、図4(f)に例示した超電導線材10fのように、第1、第2超電導線100、200を延在方向に沿って直列して並べた場合、第1超電導線100と第2超電導線とが互いに隣り合う長さは、細い方(この場合は第2超電導線200)の線幅で決まってしまい、線材が許容できる電流値を増大させることが難しい場合がある。この時、図5(c)に例示した超電導線材10iのように、第1、第2の超電導線100、200を延在方向に直交する方向に並置することで、第1超電導線100と第2超電導線200とが互いに隣り合う長さが拡大でき、電流容量を上げやすい利点がある。
以上説明した各種の変形例の超電導線材10a〜10iにおいても、十分な超電導電流が得られる、超電導線材を超電導接続した超電導線材が得られる。
本実施形態に係る超電導線材10、10a〜10iにおいては、第1超電導線100の幅及び第2超電導線100の幅の1cmあたり5A以上とすることができる。すなわち、第1超電導線100、超電導接続体300及び第2超電導線200を流れる電流は、第1超電導線100の幅及び第2超電導線100の幅の1cmあたり5A以上とすることができる。
さらに、第1超電導線100の幅及び第2超電導線100の幅の1cmあたり30A以上とすることができる。すなわち、第1超電導線100、超電導接続体300及び第2超電導線200を流れる電流は、第1超電導線100の幅及び第2超電導線100の幅の1cmあたり30A以上とすることができる。
これは、本実施形態に係る超電導線材10、10a〜10iにおいては、第1、第2超電導線100、200を超電導接続体300によって、超電導状態で接続することによって実現できるものである。
このように、例えば、異なる2本の線材の中間層の上に2軸配向組織を持つような超電導線材端部の接合において、従来技術では、超電導特性が劣化して超電導電流の許容量が低下してしまうが、本実施形態に係る超電導線材によれば、2軸配向組織の成長方向を概略合わせた状態で、c軸方向への接続を行うことにより、超電導接合を実現する。この際に、c軸方向に得られる超電導電流は、例えばa軸方向の1/100程度であると言われているため、接続面の面積を、超電導線の超電導層の厚みに対して100倍以上とすることで、超電導電流の許容量低下を実用的に解決し、超電導で接続された低抵抗の2軸配向組織による超電導接続が実現できる。
なお、この時、超電導接続体300となる超電導層は、第1、第2超電導線100、200の超電導層140、240と同じ材料を用いることができる。
ただし、超電導接続体300となる超電導層には、第1、第2超電導線100、200の超電導層140、240とは異なる種類の材料を用いることが望ましい。超電導接続体300となる超電導層の材料には、例えばSmBaCuO7−x等を用いることができる。
すなわち、超電導接続体300となる超電導層として、第1、第2超電導線100、200の第1、第2超電導層140、240とは異なる種類の材料を用いることで、格子定数が異なることによりピンニングセンターが入りやすくなり、また自己配向性も期待できるため、第1、第2超電導層140、240の表面との連続性を維持しやすくなり安定した超電導接続が得やすい。
従って、超電導接続体300に用いる材料としては、接続される第1、第2超電導線100、200に含まれる材料とは異なる材料を用いることが望ましい。すなわち、超電導接続体300は、第1超電導線100の第1超電導層140に含まれる元素と異なる元素を含むことが望ましい。また、超電導接続体300は、第2超電導線200の第2超電導層240に含まれる元素と異なる元素を含むことが望ましい。
例えば、超電導を発現するランタノイド属として、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。また超電導を発現する材料として、イットリウム(Y)を含む材料が挙げられる。従って、超電導接続体300は、第1、第2超電導層140、240に含まれる元素と異なる、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yよりなるグループから選ばれた少なくとも1つを含むことができる。
(第1の実施例)
以下、本実施形態にかかる第1の実施例について説明する。
図6は、本発明の第1の実施例に係る超電導線材の構成を例示する模式図である。
すなわち、同図(a)は模式的斜視図であり、同図(b)は同図(a)のV方向から見たときの平面図であり、同図(c)は同図(b)のA−A’線断面図である。
図6に表したように、第1の実施例にかかる超電導線材11は、第1超電導線100及び第2超電導線200を有する。
第1超電導線100と第1超電導線200の長さは、それぞれ約50cmである。そして、第1超電導線100の一端を1Aとし、第2超電導線200の一端を1Bとする。
これら第1、第2超電導線100、200の一端1A、1Bに、これらを保持するガイドC、ガイドDが取り付けられている。これらのガイド1C、1Dには、Hastelloy-Cを用いることができる。
そして、第1、第2超電導線100、200においては、金属テープ等の基材120、220の上に配向性のないHastelloy-C層130が設けられ、その上にIBAD法により成膜された8mol%でYを配合したZrO層(以下YSZ層)からなる配向層131、231が設けられ、その上に、さらに、PLD法により成膜されたCeOからなる中間層132、232が設けられている。そして、その上に、YBCO層からなる第1超電導層140、240が設けられている。
第1超電導線100及び第2超電導線200の全体の厚みは、約0.1mmである。そして、配向層131、231、中間層132、232、及び、第1、第2超電導層140、240の厚さは、例えば、それぞれ、約1μm、約0.2μm、約1μmである。
第1、第2超電導線100、200の一端1A、1Bは、それぞれ固定するガイド1C、1Dに取り付けられ、一端1A、1Bが動かないように固定されている。
以下、第1、第2超電導線100、200との接続部を、被加工部1Xと呼ぶことにする。
被加工部1Xを、PLD法チャンバー内に入れ、Kr−Fレーザーを用いてYBCO膜の成膜を行う。被加工部1Xの温度は例えば775℃であり、酸素分圧は300mTorrとすることができる。そして、YBaCuのターゲットを用い、1.8J/cmのエネルギー密度で成膜を行う。YBaCu膜の膜厚は約1μmであり、チャンバー内ディテクターでモニターを行いながら成膜を行うことができる。
さらに、被加工部1Xを、別の電気炉内にて100%酸素ガス中で、450℃で1時間の酸素アニールを行い、YBCO膜からなる超電導膜が得られる。
電気炉の冷却後、被加工部1Xを電気炉から取り出し、本実施例の超電導線材11が得られる。
超電導線材11を磁気シールド内部の液体窒素中にて冷却し、磁場を印加し、永久電流モードで電流を保持し、一定時間後にホール素子で接続された超電導線材の磁束を測定する。これにより、初期の電流値は6Aであり、この時の超電導接続部(被加工部1X)の抵抗は、3.2×10−13Ωである。
なお、第1、第2超電導線100、200の幅は4mm幅であるため、本実施例の超電導線材1においては、幅1cmあたり15Aの臨界電流値が得られたことに相当する。
このように第1の実施例に係る超電導線材11により、超電導線材を超電導体で接続した超電導線材が提供できる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施形態に係る超電導線材においては、第1の実施形態において、第1、第2超電導線どうしの間の隙間に、埋め込み材が設けられるものである。それ以外は、第1の実施形態と同様である。従って、この埋め込み材に関して説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る超電導線材の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図は、図1(b)のA−A’線断面に相当する模式的断面図である。
図7に表したように、本発明の第2の実施形態に係る超電導線材20では、第1超電導線100と第2超電導線200との間の間隙に埋め込み材410が設けられる。
この埋め込み材410には、例えば各種の金属を用いることができる。
このよう、第1、第2超電導線100、200の間の間隙を埋め込み材410で埋め込むことにより、第1、第2超電導線100、200の間の間隙部分の機械的強度が向上する。
このように、第2の実施形態に係る超電導線材20により、超電導線材を高臨界電流密度で接続しつつ接続部の機械的強度が高い超電導線材が提供できる。
なお、上記において、第1、第2超電導線100、200の配置は、例えば、図4及び図5に例示したように、第1、第2超電導線100、200が延在方向に沿って直列した配置でも良く、第1、第2超電導線100、200が延在方向に直交する方向に並べられる配置でも良い。これらの配置において、第1、第2超電導線100、200の間の間隙に埋め込み材を設けることができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施形態に係る超電導線材においては、第1、第2超電導線の厚みが異なる際に用いられる段差調節材がさらに設けられる。これ以外は、第1、第2の実施形態と同様とすることができる。以下では、第2の実施形態に係る超電導線材20において、段差調節材がさらに設けられる場合として説明する。
図8は、本発明の第3の実施形態に係る超電導線材の構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、同図は、図1(b)7のA−A’線断面に相当する模式的断面図である。
図8に表したように、本発明の第3の実施形態に係る超電導線材30では、第1超電導線100及び第2超電導線200の少なくともいずれかの、超電導接続体300と対向する面と反対の側の面に設けられ、第1超電導線100及び第2超電導線200の前記面の段差を調節する段差調節材420をさらに備える。
すなわち、段差調節材420は、第1超電導線100及び第2超電導線200の超電導接続体300と対向す面の段差を小さくする。
すなわち、例えば、第1の実施例で説明したように、第1、第2超電導線100、200の一端1A、1Bを、それぞれ固定用のガイド1C、1D(Hastellloy-C層)に取り付け、一端1A、1Bが動かないように固定する。
そして、一端1A、1Bが、それぞれ固定用のガイド1C、1Dに固定された状態において、第1、第2超電導線100、200の第1、第2超電導層140、240側の面(超電導接続体300と対向する面)の段差の測定を行い、その結果に基づいて、第1、第2超電導線100、200の第1、第2超電導層140、240側の面の段差を小さくなるような段差を有する段差調節材420を、ガイド1C、ガイド1D側に配置することができる。これにより、第1、第2超電導線100、200の第1、第2超電導層140、240側の面の段差を均一にすることができる。例えば、第1、第2超電導線100、200の超電導層側の面の段差を0.05μm以下とすることができる。
これにより、第1、第2超電導線100、200の段差に起因した超電導接続体300における配向の乱れが抑制でき、良質な配向性を有する超電導接続体300が得られる。
このように、第3の実施形態に係る超電導線材30により、超電導接続体の配向性を高め、超電導線材を電流許容量の大きな超電導体で接続することにより十分な低抵抗で接続された超電導線材が提供できる。
なお、第1、第2超電導線100、200の厚さの差異が既知であれば上記の段差の測定は不要である。また、第1、第2超電導線100、200の厚さが実質的に同じであれば、段差調節材420は省略することができる。
(第4の実施の形態)
図9は、本発明の第4の実施形態に係る超電導線材の構成を例示する模式的図である。 すなわち、同図(a)は模式的斜視図であり、同図(b)は同図(a)のV方向から見たときの平面図であり、同図(c)は同図(b)のA−A’線断面図である。
図9に表したように、本発明の第4の実施形態に係る超電導線材40は、第1超電導線100と、第2超電導線200と、第1超電導線100のc軸面111と、第2超電導線200のc軸面211と、に対向して設けられ、第1超電導線100と2超電導線200とを電気的に接続する超電導接続体300と、を備える。
第1超電導線100は、第1超電導線100の超電導接続体300の側に設けられた第1超電導層140を有し、第2超電導線200は、第2超電導線200の超電導接続体300の側に設けられた第2超電導層240を有する。
そして、第1超電導層140と、第2超電導層240と、は、第1超電導線100と第2超電導線200とが対向する面よりも後退している。すなわち、第1超電導線100の一端1A及び第2超電導線200の一端1Bよりも、第1超電導層140と第2超電導層240とがそれぞれ後退している。
この第1超電導層140の後退した部分、及び、第2超電導層240が後退した部分は、例えばエッチングにより形成することができる。
そして、第1超電導層140が後退した部分の第1超電導線100の上、及び、第2超電導層240が後退した部分の第2超電導線200の上に、配向層(接続配向層435)が設けられる。そして、接続配向層435の上に、超電導接続体300が設けられる。
すなわち、超電導線材40は、第1超電導層140が後退した部分の第1超電導線100及び第2超電導層240が後退した部分の第2超電導線200と、超電導接続体300と、の間に設けられた接続配向層435をさらに有する。
接続配向層435は、接続部配向層431及びその上に設けられた接続部中間層432を含むことができる。例えば、接続部配向層431として、例えばIBAD法により形成されたY安定化ZrO層を用いることができる。そして、接続部中間層432としては、例えばPLD法により形成されたCeO層を用いることができる。
そして、接続配向層435(接続部配向層431及び接続部中間層432)の上に、超電導接続体300となる、例えばYBCO層が形成される。
すなわち、第1〜第3の実施形態においては、超電導接続体300は、第1、第2超電導線100、200の第1、第2超電導層140、240の上に設けられるが、超電導接続体300と、第1、第2超電導層140、240のとの間の界面で配向性の乱れが生じて超電導接続が得られにくい場合がある。この時、本実施形態に係る超電導線材40のように、接続部において、第1、第2超電導層140、240を部分的に取り除き、その部分に新たに配向層(接続配向層435)を設けることで、超電導接続体300の配向性を向上させ、良好な超電導接続を実現し、大きな電流を流すことができる。
このように、本実施形態にかかる超電導線材40によれば、超電導接続体の配向性をさらに高め、超電導線材を超電導線材を電流許容量の大きな超電導体で接続することにより十分な低抵抗で接続された超電導線材が提供できる。
なお、この場合も、第1超電導線100と第2超電導線200との間の間隙に埋め込み材410を設けることができる。
すなわち、本実施形態に係る超電導線材40においては、超電導接続における、下地の2軸配向組織が途切れる部分を、より良質に接続させるものである。すなわち、超電導線どうしの間に間隙が多少開いた状態を許容すべく、新たに配向層(接続配向層435)を設ける。
図10は、本発明の第4の実施形態に係る超電導線材の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図10に表したように、接続する第1、第2超電導線100、200の間隙が極小となるように、第1、第2超電導線100、200の端部の形状を、例えばレーザーカットにより、揃える。
第1、第2超電導線100、200をそれぞれガイド1C、1Dに取り付ける。そして、第1、第2超電導線100、200の第1、第2超電導層140、240の表面の高さを測定し、それに応じた段差を設けた段差調節材420を取り付ける。
そして、図10(b)に表したように、第1、第2超電導線100、200の間の隙間を埋め込み材410で充填する。
そして、図10(c)に表したように、第1、第2超電導線100、200の接続部を露出し、その他の部分を覆うように、例えばスリットなどのマスク450を設置して、エッチングやミリングなどによって、一定深さまで削り出しを行う。削り出しの深さはどの位置でもよく、後に配向層を形成する際に十分な深さであればよい。
例えば、間隙が埋められた2本の超電導線に対して、例えばイオンミリングにより、深さ方向へ例えば1μm程度のエッチングを行う。このエッチングにより、例えば、第1、第2超電導層140、240(YBCO層)から、その下地である、例えば、中間層132、232(CeO層)及び配向層131、2331(IBAD層)が露出する。なお、エッチングの深さを深くして、その下の例えば、Hastelloy-C層130、230や、第1基材120、220となるNi−W層を露出させても良い。
このような表面は、配向性にダメージを受けた層であるので、その上にYBCO成膜を行っても超電導特性を示し難いことがある。このため、削りだした部分に、以下に説明するように接続配向層435を設ける。
すなわち、図10(d)に表したように、削り出されて露出した部分の上に、例えばGdZrからなる接続部配向層431を例えばIBAD法などで成膜する。IBAD法は無配向性の表面の上であっても配向層が得られる手法である。さらに、その上に、例えばIBAD法によりCeO層などの接続部中間層432を成膜する。これらの接続部配向層431及び接続部中間層432が接続配向層435となる。
この際、第1、第2超電導層140、240の表面の高さと、接続配向層435の表面(例えば接続部中間層432の表面)の高さと、が実質的に同一になるように、接続配向層435の成膜を行う。高さが著しく異なると、超電導接続部の電流値が低下することがある。 例えば、超電導接続体300の厚みが1μm程度であるため、超電導接続体300が設けられる表面の段差は、例えば、0.1μm程度以下とすることが効果的である。
そして、マスク450を取り除き、第1、第2超電導線100、200と、接続配向層435との上に、超電導接続体300となる超電導層を成膜する。
このようにして本実施形態に係る超電導線材40が得られる。
こうして接続された本実施形態に係る超電導線材40は、従来技術による最低抵抗である1.0×10−9Ωの接続抵抗値よりもはるかに小さい1.0×10−12Ωの接続抵抗を実現できる。
なお、この時、超電導接続体300となる超電導層は、第1、第2超電導線100、200の超電導層140、240と同じ材料を用いることができる。
ただし、本実施形態に係る超電導線材40においても、第1の実施形態の超電導線材10と同様に、超電導接続体300となる超電導層には、第1、第2超電導線100、200の超電導層140、240とは異なる種類の材料を用いることが望ましい。
すなわち、超電導接続体300は、第1超電導線100の第1超電導層140に含まれる元素と異なる元素を含むことが望ましい。また、超電導接続体300は、第2超電導線200の第2超電導層240に含まれる元素と異なる元素を含むことが望ましい。
例えば、超電導を発現するランタノイド属として、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。また超電導を発現する材料として、イットリウム(Y)を含む材料が挙げられる。従って、超電導接続体300は、第1、第2超電導層140、240に含まれる元素と異なる、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yよりなるグループから選ばれた少なくとも1つを含むことができる。
なお、第1、第2超電導層140、240においては、超電導電流は、主に第1、第2超電導層140、240の層面に対して平行な方向に得られる状態で成膜してあるため、超電導接続体300に向かって流れる超電導電流の臨界電流密度は、層面に対して平行な方向に得られる超電導電流の1/100〜1/1000程度の低いものであると考えられる。しかし、超電導接続体300の接続面積を広くすることでこの超電導電流の低下は回避できる。
例えば、第1、第2超電導層140、240の層厚は、例えば0.3μm〜10μmである。このとき、第1、第2超電導線100、200の幅と超電導接続体の幅が同じ場合に、超電導接続体300の延在方向の長さを、この膜厚の100〜1000倍以上、すなわち、超電導接続体300の長さを0.3mm〜10mm以上とすれば、超電導電流許容量低下の問題が解決できる。
現在用いられている超電導層の厚さは1μm程度が多く、超電導層の層面に対して垂直方向への電流は、平行方向への電流の1/100程度の超電導電流が得られると考えられていることから、この場合には、超電導接続体300が第1、第2超電導線100、200と重複する領域の長さは、100μmでも十分と言うことになる。しかし、超電導層の表面には異物なども存在するため、微視的に見たときの接触面積は、超電導接続体300が第1、第2超電導線100、200と重複する領域の面積の1/2〜1/10程度になってしまうことが予想される。そのため、超電導接続体300が第1、第2超電導線100、200と重複する領域の長さは、0.2mm〜1mm以上とすることができる。すなわち、超電導接続体300が第1、第2超電導線100、200と重複する領域の長さは、1mm以上が望ましい。
そして、例えば、超電導接続体300が第1、第2超電導線100、200と重複する領域の長さが1mmのときに、質の低い接続(例えば接続面の凹凸が大きい、接続面に汚れがある等)の場合に、第1、第2超電導線100、200及び超電導接続体300を流れる電流は、第1、第2超電導線100、200の幅の1cmあたり5A以上とすることができる。
また、例えば、超電導接続体300が第1、第2超電導線100、200と重複する領域の長さが1mmのときに、質の高い接続(例えば接続面の凹凸が小さい、接続面に汚れがない等)の場合に、第1、第2超電導線100、200及び超電導接続体300を流れる電流は、第1、第2超電導線100、200の幅の1cmあたり30A以上とすることができる。
(第2の実施例)
長さが約50cmの第1、第2超電導線100、200の、それぞれの一端2A、2Bに、Hastelloy-Cからなるガイド2C、2Dをとりつける。
第1、第2超電導線100、200においては、金属テープなどの基材120、220の上に、配向性を持たないHastelloy-C層130、230が設けられ、その上にIBAD法により成膜された8mol%Y配合のZrO層からなる配向層131、231が設けられ、その上にPLD法により成膜されたCeO層からなる中間層132、232が設けられ、さらにその上にYBCO層からなる超電導層140、240が設けられている。
第1、第2超電導線100、200の厚みは0.1mmであり、Hastelloy-C層(130、230)の厚みは約0.1〜0.5mmであり、配向層131、231の厚みは約1μmであり、中間層132、232の厚みは約0.2μmであり、超電導層140、240の厚みは約1μmである。
そして、一端2A、2Bが動かないように固定するHastellloy-Cで出来たガイド2C、2Dに一端2A、2Bが取り付けられた状態で、段差の測定を行う。その結果に基づき、一端1A、1Bの段差が0.1μm以下となるような段差が設けられた段差調節材420を選び、これを一端1A、1Bの裏面(第1、第2超電導層140、240とは逆の面)に取り付ける。この接続部を以下では被加工部2Xと呼ぶことにする。
被加工部2Xの表面にイオンミリング時に全てが削られない十分な厚みを持つスリット(マスク450)を設置し、イオンミリングのチャンバー内に入れる。チャンバー内のガスをArとして、1.0×10−3Paに減圧する。そして、まず、300Vの加速電圧で入射角(加工面の法線からの角度)50度の方向から、20分のイオンミリングを行い、その後は、200Vの加速電圧で入射角0度の方向から60分のイオンミリングを行う。なお、上記のイオンミリングにおいて、初期段階の条件では、ミリング速度は20nm/分であり、その後の段階の条件では10nm/分であることが別の実験からわかっている。従って、上記のイオンミリングにより掘り出された部分の合計深さは、ほぼ1,000nmである。
次に、被加工部2Xをスリットを付けたままIBAD成膜チャンバー内に入れる。そして、Arイオンの入射角を一般的に用いられている角度である35度とし、200eVの加速電圧により、YSZ層の成膜を行う。なお、被加工部2Xは冷却していない。被加工部2Xの温度は、アルゴンイオン照射による過熱により、70℃〜100℃であると推定される。成膜時は、全圧を4.0×10−2Paに減圧している。そして、YSZ膜の膜厚は0.50μmとする。
この後、被加工部2Xの上に、PLD法によりCeO層を成膜する。この際、被加工部2Xの温度を765℃とし、酸素分圧を20mTorrとし、Kr−Fのエキシマレーザーで、膜厚が0.50μmとなるよう成膜を行う。これにより、一端2A、2Bにおける第1、第2超電導層140、240の表面と、CeO層の表面とがほぼ同等の高さとなる。なお、この高さは、段差計により確認することができる。
この後、被加工部2Xを別のPLD法チャンバー内に入れ、同じくKr−Fレーザーを用いて超電導接続体300となる膜を形成する。このとき、被加工部2Xの温度を775℃とし、酸素分圧を300mTorrとし、YBaCuからなるターゲットを用い、1.8J/cm−2のエネルギー密度で成膜を行う。そして、超電導膜の膜厚が約1μmとなるように、チャンバー内ディテクターで膜厚をモニターしながら成膜を行う。
この後、被加工部1Xを、電気炉内にて、100%酸素ガス中、450℃で1時間の酸素アニールを行い、超電導膜であるYBCO層が得られる。
電気炉の冷却後、被加工部2Xを電気炉から取り出し、本実施例の超電導線材42(図示しない)が得られる。
そして、超電導線材42を磁気シールド内部の液体窒素中にて冷却し、超電導線材42に磁場を印加し、永久電流モードで電流を保持し、一定時間後にホール素子で接続された超電導線材42の磁束を測定することにより接続抵抗値を求める。初期の電流値は12Aであり、超電導接続部の抵抗は1.6×10−13Ωである。なお、超電導線材42の幅は、4mmであるため、本実施例に係る超電導線材41においては、幅1cmあたり30Aの臨界電流値が得られたことに相当する。
(第3の実施例)
長さが約50cmの第1、第2超電導線100、200の、それぞれの一端3A、3Bに、Hastelloy-Cからなるガイド3Cおよびガイド3Dをそれぞれとりつける。
第1、第2超電導線100、200においては、金属テープなどの基材120、220の上に、配向性を持たないHastelloy-C層130、131が設けられ、その上にIBAD法により成膜されたGaZrからなる配向層131、231が設けられ、その上にPLD法により成膜されたCeOからなる中間層132、232が設けられ、さらにその上にYBCO膜からなる第1、第2超電導層140、240が設けられている。
第1、第2超電導線100、200の全体の厚みは、0.1mm程度であり、配向層131、231の厚さは約1μm、中間層132、232の厚さは約0.2μm、第1、第2超電導層140、240の厚さは約1μmである。
そして、一端3A、3Bが動かないように固定するHastellloy-Cで出来たガイド3C、3Dに一端3A、3Bが取り付けられた状態で、段差の測定を行う。その結果に基づき、一端3A、3Bの段差が0.1μm以下となるような段差が設けられた段差調節材420を選び、これを一端3A、3Bの裏面(第1、第2超電導層140、240とは逆の面)に取り付ける。この接続部を以下では被加工部3Xと呼ぶことにする。
被加工部3Xの表面にイオンミリング時に全てが削られない十分な厚みを持つスリットを設置し、イオンミリングのチャンバー内に入れる。チャンバー内のガスをArとして、1.0×10−3Paに減圧する。そして、まず、300Vの加速電圧で入射角50度の方向から、20分のイオンミリングを行い、その後は、200Vの加速電圧で入射角0度の方向から60分のイオンミリングを行う。なお、上記のイオンミリングにおいて、初期段階の条件では、ミリング速度は20nm/分であり、その後の段階の条件では10nm/分であることが別の実験からわかっている。従って、上記のイオンミリングにより掘り出された部分の合計深さは、ほぼ1,000nmである。
次に、被加工部3Xをスリットを付けたままIBAD成膜チャンバー内に入れる。そして、Arイオンの入射角を一般的に用いられている角度である35度とし、200eVの加速電圧により、GaZr層の成膜を行う。なお、被加工部3Xは冷却していない。被加工部3Xの温度は、アルゴンイオン照射による過熱により、150℃〜200℃であると推定される。成膜時は、全圧を4.0×10−2Paに減圧している。そして、GaZr層の膜厚は0.50μmとする。
この後、被加工部3Xの上に、PLD法によりCeO層を成膜する。この際、被加工部3Xの温度を765℃とし、酸素分圧を20mTorrとし、Kr−Fのエキシマレーザーで、膜厚が0.50μmとなるよう成膜を行う。これにより、一端3A、3Bにおける第1、第2超電導層140、240の表面と、CeO層の表面とがほぼ同等の高さとなる。なお、この高さは、段差計により確認することができる。
この後、被加工部3Xを別のPLD法チャンバー内に入れ、同じくKr−Fレーザーを用いて超電導接続体300となる膜を形成する。このとき、被加工部3Xの温度を775℃とし、酸素分圧を300mTorrとし、YBaCuからなるターゲットを用い、1.8J/cm−2のエネルギー密度で成膜を行う。そして、超電導膜の膜厚が約1μmとなるように、チャンバー内ディテクターで膜厚をモニターしながら成膜を行う。
この後、被加工部3Xを、電気炉内にて、100%酸素ガス中、450℃で1時間の酸素アニールを行い、超電導膜であるYBCO層が得られる。
電気炉の冷却後、被加工部3Xを電気炉から取り出し、本実施例の超電導線材43が得られる。
そして、超電導線材43を磁気シールド内部の液体窒素中にて冷却し、超電導線材43に磁場を印加し、永久電流モードで電流を保持し、一定時間後にホール素子で接続された超電導線材43の磁束を測定することにより接続抵抗値を求める。初期の電流値は9Aであり、超電導接続部の抵抗は1.0×10−13Ωである。
(第4の実施例)
長さが約50cmの第1、第2超電導線100、200の、それぞれの一端4A、4Bに、Hastelloy-Cからなるガイド3Cおよびガイド3Dをそれぞれとりつける。
第1、第2超電導線100、200においては、配向層を持つNi−Wからなる基材120、220の上にYからなるシード層が設けられ、その上にYSZからなるバリア層が設けられ、その上にCeOからなる中間層132、232が設けられている。これらのシード層、バリア層、中間層132、232は全てPLD法によって形成されている。そして、中間層の上にYBCO膜からなる第1、第2超電導層140、240が設けられている。
第1、第2超電導線100、200の全体の厚みは、0.1mm程度であり、中間層132、232の厚さは約1μm、第1、第2超電導層140、240の厚さは約1μmである。
そして、一端4A、4Bが動かないように固定するHastellloy-Cで出来たガイド3C、3Dに一端4A、4Bが取り付けられた状態で、段差の測定を行う。その結果に基づき、一端4A、4Bの段差が0.1μm以下となるような段差が設けられた段差調節材420を選び、これを一端4A、4Bの裏面(第1、第2超電導層140、240とは逆の面)に取り付ける。この接続部を以下では被加工部4Xと呼ぶことにする。
被加工部4Xの表面にイオンミリング時に全てが削られない十分な厚みを持つスリットを設置し、イオンミリングのチャンバー内に入れる。チャンバー内のガスをArとして、1.0×10−3Paに減圧する。そして、まず、300Vの加速電圧で入射角50度の方向から、20分のイオンミリングを行い、その後は、200Vの加速電圧で入射角0度の方向から60分のイオンミリングを行う。なお、上記のイオンミリングにおいて、初期段階の条件では、ミリング速度は20nm/分であり、その後の段階の条件では10nm/分であることが別の実験からわかっている。従って、上記のイオンミリングにより掘り出された部分の合計深さは、ほぼ1,000nmである。
次に、被加工部4Xをスリットを付けたままIBAD成膜チャンバー内に入れる。そして、Arイオンの入射角を一般的に用いられている角度である35度とし、200eVの加速電圧により、YSZの成膜を行う。なお、被加工部4Xは冷却していない。被加工部4Xの温度は、アルゴンイオン照射による過熱により、150℃〜200℃であると推定される。成膜時は、全圧を4.0×10−2Paに減圧している。そして、YSZ層の膜厚は0.50μmとする。
この後、被加工部4Xの上に、PLD法によりCeO層を成膜する。この際、被加工部4Xの温度を765℃とし、酸素分圧を20mTorrとし、Kr−Fのエキシマレーザーで、膜厚が0.50μmとなるよう成膜を行う。これにより、一端4A、4Bにおける第1、第2超電導層140、240の表面と、CeO層の表面とがほぼ同等の高さとなる。なお、この高さは、段差計により確認することができる。
この後、被加工部4Xを別のPLD法チャンバー内に入れ、同じくKr−Fレーザーを用いて超電導接続体300となる膜を形成する。このとき、被加工部3Xの温度を775℃とし、酸素分圧を300mTorrとし、YBaCuからなるターゲットを用い、1.8J/cm−2のエネルギー密度で成膜を行う。そして、超電導膜の膜厚が約1μmとなるように、チャンバー内ディテクターで膜厚をモニターしながら成膜を行う。
この後、被加工部4Xを、電気炉内にて、100%酸素ガス中、450℃で1時間の酸素アニールを行い、超電導膜であるYBCO層が得られる。
電気炉の冷却後、被加工部4Xを電気炉から取り出し、本実施例の超電導線材44(図示しない)が得られる。
そして、超電導線材44を磁気シールド内部の液体窒素中にて冷却し、超電導線材44に磁場を印加し、永久電流モードで電流を保持し、一定時間後にホール素子で接続された超電導線材44の磁束を測定することにより接続抵抗値を求める。初期の電流値は9Aであり、超電導接続部の抵抗は8.6×10−13Ωである。
この接続抵抗値は、高特性NMRに要求される1.0×10−12Ω以下を満たしている。このように、RABiTS層の上に形成された超電導線層を有する超電導線においても、永久電流モードに必要な抵抗値の超電導接続が行える。
(第5の実施例)
長さが約50cmの第1、第2超電導線100、200の、それぞれの一端5A、5Bに、Hastelloy-Cからなるガイド5Cおよびガイド5Dをそれぞれとりつける。
第1超電導線100においては、金属テープ等の基材120の上に配向性を持たないHastelloy-C層130が設けられ、その上にIBAD法により成膜されたGaZrからなる配向層131が設けられ、その上にPLD法により成膜されたCeOからなる中間層132が設けられおり、その上にPLD法で成膜されたYBCO膜からなる第1超電導層140が設けられている。
第1超電導線100の全体の厚みは、0.1mm程度であり、配向層231の厚さは約1μmであり、中間層132の厚さは約0.2μmであり、第1超電導層140の厚さは約1μmである。
一方、第2超電導線200においては、配向層を持つNi−Wからなる基材220の上にYからなるシード層が設けられ、その上にYSZからなるバリア層が設けられ、その上にCeOからなる中間層232が設けられている。これらのシード層、バリア層、中間層232は全てPLD法によって形成されている。そして、中間層232の上にYBCO膜からなる第2超電導層240が設けられている。
第2超電導線200の全体の厚みは0.1mm程度であり、中間層232の厚さは約1μmであり、第2超電導層240の厚さは約1μmである。
そして、一端5A、5Bが動かないように固定するHastellloy-Cで出来たガイド5C、5Dに一端5A、5Bが取り付けられた状態で、段差の測定を行う。その結果に基づき、一端5A、5Bの段差が0.1μm以下となるような段差が設けられた段差調節材420を選び、これを一端5A、5Bの裏面(第1、第2超電導層140、240とは逆の面)に取り付ける。この接続部を以下では被加工部5Xと呼ぶことにする。
被加工部5Xの表面にイオンミリング時に全てが削られない十分な厚みを持つスリットを設置し、イオンミリングのチャンバー内に入れる。チャンバー内のガスをArとして、1.0×10−3Paに減圧する。そして、まず、300Vの加速電圧で入射角50度の方向から、20分のイオンミリングを行い、その後は、200Vの加速電圧で入射角0度の方向から60分のイオンミリングを行う。なお、上記のイオンミリングにおいて、初期段階の条件では、ミリング速度は20nm/分であり、その後の段階の条件では10nm/分であることが別の実験からわかっている。従って、上記のイオンミリングにより掘り出された部分の合計深さは、ほぼ1,000nmである。
次に、被加工部5Xをスリットを付けたままIBAD成膜チャンバー内に入れる。そして、Arイオンの入射角を一般的に用いられている角度である35度とし、200eVの加速電圧により、GaZrの成膜を行う。なお、被加工部5Xは冷却していない。被加工部5Xの温度は、アルゴンイオン照射による過熱により、150℃〜200℃であると推定される。成膜時は、全圧を4.0×10−2Paに減圧している。そして、GaZr層の膜厚は0.50μmとする。
この後、被加工部5Xの上に、PLD法によりCeO層を成膜する。この際、被加工部5Xの温度を765℃とし、酸素分圧を20mTorrとし、Kr−Fのエキシマレーザーで、膜厚が0.50μmとなるよう成膜を行う。これにより、一端5A、5Bにおける第1、第2超電導層140、240の表面と、CeO層の表面とがほぼ同等の高さとなる。なお、この高さは、段差計により確認することができる。
この後、被加工部5Xを別のPLD法チャンバー内に入れ、同じくKr−Fレーザーを用いて超電導接続体300となる膜を形成する。このとき、被加工部3Xの温度を775℃とし、酸素分圧を300mTorrとし、YBaCuからなるターゲットを用い、1.8J/cm−2のエネルギー密度で成膜を行う。そして、超電導膜の膜厚が約1μmとなるように、チャンバー内ディテクターで膜厚をモニターしながら成膜を行う。
この後、被加工部5Xを、電気炉内にて、100%酸素ガス中、450℃で1時間の酸素アニールを行い、超電導膜であるYBCO層が得られる。
電気炉の冷却後、被加工部5Xを電気炉から取り出し、本実施例の超電導線材45(図示しない)が得られる。
そして、超電導線材45を磁気シールド内部の液体窒素中にて冷却し、超電導線材45に磁場を印加し、永久電流モードで電流を保持し、一定時間後にホール素子で接続された超電導線材45の磁束を測定することにより接続抵抗値を求める。初期の電流値は11Aであり、超電導接続部の抵抗は4.2×10−13Ωである。
このように、超電導層の下地に異なる層を有する超電導線どうしを接続する際にも、本実施形態の構造と手法を適用でき、この場合にも、永久電流モードに必要な抵抗値の超電導接続が実現できる。
(第6の実施例)
長さが約50cmの超電導線を10本(すなわち2本ずつの組みを5組)の、それぞれの一端のそれぞれに、Hastelloy-Cからなるガイド6Cおよびガイド6Dをとりつける。 10本の超電導線においては、金属テープ等の基材120の上に配向性を持たないHastelloy-C層130が設けられ、その上にIBAD法により成膜された8mol%Y配合のZrO(YSZ)からなる配向層が設けられ、その上にPLD法により成膜されたCeOからなる中間層が設けられおり、その上にPLD法で成膜されたYBCO膜からなる超電導層が設けられている。
超電導線の全体の厚みは、0.1mm程度であり、配向層の厚さは約1μmであり、中間層の厚さは約0.2μmであり、超電導層の厚さは約1μmである。
そして、超電導線の一端が動かないように固定するHastellloy-Cで出来たガイド6C、6Dに一端が取り付けられた状態で、段差の測定を行う。その結果に基づき、一端どうしの段差が0.1μm、0.2μm、0.4μm、0.7μm、1.0μmとなるような段差調節材420を選び、これを超電導線の接続端の裏面(超電導層とは逆の面)に取り付ける。この5つの接続部を以下では、被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5と呼ぶことにする。
被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5の表面にイオンミリング時に全てが削られない十分な厚みを持つスリットを設置し、イオンミリングのチャンバー内に入れる。チャンバー内のガスをArとして、1.0×10−3Paに減圧する。そして、まず、300Vの加速電圧で入射角50度の方向から、20分のイオンミリングを行い、その後は、200Vの加速電圧で入射角0度の方向から60分のイオンミリングを行う。なお、上記のイオンミリングにおいて、初期段階の条件では、ミリング速度は20nm/分であり、その後の段階の条件では10nm/分であることが別の実験からわかっている。従って、上記のイオンミリングにより掘り出された部分の合計深さは、ほぼ1,000nmである。
次に、被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5を、スリットを付けたままIBAD成膜チャンバー内に入れる。そして、Arイオンの入射角を一般的に用いられている角度である35度とし、200eVの加速電圧により、YSZ層の成膜を行う。なお、被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5の表面は冷却していない。被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5の温度は、アルゴンイオン照射による過熱により、150℃〜200℃であると推定される。成膜時は、全圧を4.0×10−2Paに減圧している。そして、YSZ層の膜厚は0.50μmとする。
この後、被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5の上に、PLD法によりCeO層を成膜する。この際、被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5の温度を765℃とし、酸素分圧を20mTorrとし、Kr−Fのエキシマレーザーで、膜厚が0.50μmとなるよう成膜を行う。これにより、接続端における超電導層の表面と、CeO層の表面とがほぼ同等の高さとなる。なお、この高さは、段差計により確認することができる。
この後、被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5を別のPLD法チャンバー内に入れ、同じくKr−Fレーザーを用いて超電導接続体300となる膜を形成する。このとき、被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5の温度を775℃とし、酸素分圧を300mTorrとし、YBaCuからなるターゲットを用い、1.8J/cm−2のエネルギー密度で成膜を行う。そして、超電導膜の膜厚が約1μmとなるように、チャンバー内ディテクターで膜厚をモニターしながら成膜を行う。
この後、被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5を、電気炉内にて、100%酸素ガス中、450℃で1時間の酸素アニールを行い、超電導膜であるYBCO層が得られる。
電気炉の冷却後、被加工部6X1、6X2、6X3、6X4、6X5を電気炉から取り出し、本実施例の超電導線材46a、46b、46c、46d、46e(図示しない)が得られる。
そして、超電導線材46a、46b、46c、46d、46eを磁気シールド内部の液体窒素中にて冷却し、超電導線材46a、46b、46c、46d、46eに磁場を印加し、永久電流モードで電流を保持し、一定時間後にホール素子で接続された超電導線材の磁束を測定することにより接続抵抗値を求める。超電導線材46a、46b、46c、46d、46eの初期の電流値は最大で14Aであり、超電導線材46a、46b、46c、46d、46eの超電導接続部の抵抗は、それぞれ、1.8×10−13Ω、2.8×10−13Ω、7.0×10−13Ω、1.3×10−12Ω、8.8×10−12Ωである。
このように、接続端どうしの段差を小さくするほど、超電導接続部の許容電流値が大きくなる。従って、段差は小さい方が望ましく、例えば、0.5μm以下とすることが望ましい。また、接続される超電導線の超電導層の層厚の50%以下とすることが望ましい。
ただし、段差が一番大きい1.0μmである超電導線材46eにおいても、抵抗値は、8.8×10−12Ωと、従来に比べて極めて低い抵抗値を実現できる。
(第5の実施の形態)
図11は、本発明の第5の実施形態に係る超電導線材の製造方法を例示するフローチャート図である。
図11に表したように、本発明の第5の実施形態に係る超電導線材の製造方法においては、第1超電導線100のc軸面111と、第2超電導線200のc軸面211と、の上に、第1超電導線100と第2超電導線200とを電気的に接続する超電導接続体300を形成する(ステップS10)。
これにより、超電導線材を許容電流値が大きく出来る超電導体で接続する、超電導線材の製造方法が提供できる。
図12は、本発明の第5の実施形態に係る別の超電導線材の製造方法を例示するフローチャート図である。
図12に表したように、本発明の第5の実施形態に係る別の超電導線材の製造方法においては、超電導接続体の形成(ステップS10)の前に、まず、第1超電導線100の第1超電導層140と、第2超電導線200の第2超電導層240と、を第1超電導線100と第2超電導線200とが対向する面よりも後退させる(ステップS8)。
そして、第1超電導層240が後退した部分の第1超電導線100と、第2超電導層240が後退した部分の第2超電導線200と、の上に配向層(接続配向層435)を形成する(ステップS9)。
これにより、超電導接続体300の配向性を高めることができ、接続抵抗をさらに低下させることができる。
図13は、本発明の第5の実施形態に係る別の超電導線材の製造方法を例示するフローチャート図である。
図13に表したように、本発明の第5の実施形態に係る別の超電導線材の製造方法においては、超電導接続体の形成(ステップS10)の前に、第1超電導線100の第1超電導層140の側の第1主面と、第2超電導線200の第2超電導層240の側の第2主面と、の段差を調節する段差調節材420を、前記第1主面と反対の側の第1超電導線100の面、及び、前記第2主面と反対の側の第2超電導線200の面、の少なくともいずれかに設ける(ステップS7)。
このとき、段差調節材420は、第1超電導線100の第1超電導層140の側の第1主面と、第2超電導線200の第2超電導層240の側の第2主面と、の段差を縮小するように調整することができる。
これにより、第1超電導線100の第1超電導層140の側の第1主面と、第2超電導線200の第2超電導層240の側の第2主面と、の段差を小さくすることができ、接続部の超電導電流許容量ををさらに高めることができる。
なお上記において、第1超電導線100の第1超電導層140の側の第1主面と、第2超電導線200の第2超電導層240の側の第2主面と、は厳密に同一平面内に配置される必要はなく、第1超電導線100の第1超電導層140の側の第1主面と、第2超電導線200の第2超電導層240の側の第2主面と、の段差が縮小されれば良い。この段差は、例えば、1μm以下とすることができる。
また、本実施形態に係る超電導線材の製造方法において、図5に例示したように、超電導接続体300の形成の前に、第1超電導線100の一端を、第2超電導線200の延在方向に対して直交する方向に、第2超電導線200の一端と隣り合って配置することができる。これにより、接続抵抗の低下がより容易となる。
なお、本発明の実施形態に係る超電導線材及びその製造方法は、例えば、酸化物超電導体である、イットリウム系、及びイットリウム系超電導体など各種の材料系の超電導線に応用できる。
また、本発明の実施形態に係る超電導線材及びその製造方法は、例えば、PLD法、金属有機物化学蒸着堆積法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、電子ビーム(EB:Electron Beam)法、トリフルオロ酢酸塩を用いる金属有機物堆積(TFA−MOD:metal organic deposition using trifluoroacetates)法など、各種の方法で作製された超電導線に応用できる。
また、本発明の実施形態に係る超電導線材及びその製造方法において、超電導接続体300の形成は、例えば、PLD法、MOCVD法、EB法、TFA−MOD法など、各種の方法を用いることができる。
以上のように本発明の実施形態によれば、2軸配向組織を持つ超電導線材において、従来電流が得られにくいと考えられているc軸方向に大面積で接合を行うことにより超電導電流がえられ、NMRに必要な10−12Ω以下の低抵抗値が実現し、永久電流モードを実現しうる。1GHzのNMR実現は、バイオテクノロジー技術の発展を通じて創薬分野への貢献を含め、未来社会へ寄与することが期待される。
また、この接続技術は比較的短く安定的に特性が得られる超電導線材どうしを接合し、長尺線材を作るあげることができる技術でもある。化石燃料枯渇時には太陽光発電が重要な地位を占めると考えられ、晴天率が95%と高く、太陽電池を設置しても気候変動への影響が少ないと考えられる砂漠地帯への太陽電池の大量設置と大電力送電により、エネルギー不足の解消に重要な役割を果たすと考えられる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、超電導線材及びその製造方法を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した超電導線材及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての超電導線材及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明の第1の実施形態に係る超電導線材の構成を例示する模式的図である。 本発明の第1の実施形態に係る超電導線材の構成を例示する模式的断面図である。 比較例の超電導線材の構成を例示する模式的断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る超電導線材の変形例の構成を例示する模式的平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る超電導線材の変形例の構成を例示する模式的平面図である。 本発明の第1の実施例に係る超電導線材の構成を例示する模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る超電導線材の構成を例示する模式的断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る超電導線材の構成を例示する模式的断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る超電導線材の構成を例示する模式的図である。 本発明の第4の実施形態に係る超電導線材の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る超電導線材の製造方法を例示するフローチャート図である。 本発明の第5の実施形態に係る別の超電導線材の製造方法を例示するフローチャート図である。 本発明の第5の実施形態に係る別の超電導線材の製造方法を例示するフローチャート図である。
符号の説明
10、10a〜10i、11、20、30、40、42、43、44、45、46a〜e、91〜93 超電導線材
100 第1超電導線
110 c軸
111 c軸面
120 第1基材
130 Hastelloy-C層
131 配向層
132 中間層
140 第1超電導層
200 第2超電導線
210 c軸
211 c軸面
220 第2基材
230 Hastelloy-C層
231 配向層
232 中間層
240 第2超電導層
300 超電導接続体
310 c軸
410 埋め込み材
420 段差調節材
431 接続部配向層
432 接続部中間層
435 接続配向層
450 マスク
510、520、530 接続材
531 充填材
a1〜a5 矢印

Claims (18)

  1. c軸面を主面とした第1超電導層を有する第1超電導線と、
    前記第1超電導体と並置され、c軸面を主面とした第2超電導層を有する第2超電導線と、
    前記第1超電導層の前記主面と、前記第2超電導層の前記主面と、にそれぞれ接続され、前記第1超電導層と前記2超電導層とを電気的に接続する超電導体からなる超電導接続体と、
    を備えたことを特徴とする超電導線材。
  2. 前記第1超電導層と前記超電導接続体とが接続された部分の面積は、前記第1超電導線の延在方向に対して直交する平面における前記第1超電導層の断面積の100倍以上であり、
    前記第2超電導層と前記超電導接続体とが接続された部分の面積は、前記第2超電導線の延在方向に対して直交する平面における前記第2超電導層の断面積の100倍以上であることを特徴とする請求項1記載の超電導線材。
  3. 前記第1及び第2超電導線は、前記第1超電導線の延在方向に対して平行な側面と、前記第2超電導線の延在方向に対して平行な側面と、が対向するように並置されことを特徴とする請求項1または2に記載の超電導線材。
  4. 前記第1超電導線及び前記第2超電導線が対向する長さは、前記第1超電導線及び前記第2超電導線の線幅の10倍以上であることを特徴とする請求項3記載の超電導線材。
  5. 前記第1超電導線、前記超電導接続体及び前記第2超電導線を流れる電流は、前記第1超電導線の幅及び前記第2超電導線の幅の1cmあたり5A以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の超電導線材。
  6. 前記第1超電導線、前記超電導接続体及び前記第2超電導線を流れる電流は、前記第1超電導線の幅及び前記第2超電導線の幅の1cmあたり30A以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の超電導線材。
  7. 前記第1超電導線と前記第2超電導線との間の間隙に埋め込まれた埋め込み材をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の超電導線材。
  8. 前記第1超電導線及び前記第2超電導線の少なくともいずれかの、前記超電導接続体と対向する面と反対の側の面に設けられ、前記第1超電導線及び前記第2超電導線の前記主面の段差を調節する段差調節材をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の超電導線材。
  9. 前記第1超電導層と、前記第2超電導層と、は、前記第1超電導線と前記第2超電導線とが対向する面よりも後退しており、前記第1超電導層が後退した部分の第1超電導線及び前記第2超電導層が後退した部分の第2超電導線と、前記超電導接続体との間に設けられた配向層をさらに有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の超電導線材。
  10. 前記第1超電導層の後退した前記部分、及び、前記第2超電導層が後退した前記部分は、エッチングにより形成されてなることを特徴とする請求項9記載の超電導線材。
  11. 前記第1超電導線と、前記第2超電導線と、は、配向した非超電導酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の超電導線材。
  12. 前記超電導接続体は、前記第1超電導層に含まれる元素と異なる元素を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の超電導線材。
  13. 前記超電導接続体は、前記第2超電導層に含まれる元素と異なる元素を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の超電導線材。
  14. 前記超電導接続体の厚さは、0.5μm以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の超電導線材。
  15. c軸面を主面とした第1超電導層を有する第1超電導線の前記主面と、c軸面を主面とした第2超電導層を有する第2超電導線の前記主面と、の上に、前記第1超電導線と前記2超電導線とを電気的に接続する超電導体からなる超電導接続体を形成することを特徴とする超電導線材の製造方法。
  16. 前記超電導接続体を形成する前に、
    前記第1超電導層と、前記第2超電導層と、を前記第1超電導線と前記第2超電導線とが対向する面よりも後退させ、
    前記第1超電導層が後退した部分の第1超電導線と、前記第2超電導層が後退した部分の第2超電導線と、の上に配向層を形成することを特徴とする請求項15記載の超電導線材の製造方法。
  17. 前記超電導接続体を形成する前に、
    前記第1超電導層の前記主面と、前記第2超電導層の前記主面と、の段差を調節する段差調節材を、前記主面と反対の側の第1超電導線の面、及び、前記主面と反対の側の前記第2超電導線の面面、の少なくともいずれかに設けることを特徴とする請求項15または16に記載の超電導線材の製造方法。
  18. 前記超電導接続体を形成する前に、
    前記第1超電導線の延在方向に対して平行な側面と、前記第2超電導線の延在方向に対して平行な側面と、が対向するように前記第1及び第2超電導線を並置することを特徴とする請求項15〜17のいずれか1つに記載の超電導線材の製造方法。
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