JP2010001478A - インクジェット記録用油性インク組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は高沸点、低蒸気圧、低臭気で人体への安全性が高く、作業環境に優れ、また、黄色顔料として無機黄色顔料や金属錯体黄色顔料を使用しないでも長期に渡り印字物の品質を保持すると共に耐候性に優れる印字物とできるインクジェット記録用油性インク組成物の提供を課題とする。
【解決手段】 本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、特定のポリアルキレングリコールジアルキルエーテルおよび/または特定の環状エステル類からなり、沸点が150〜280℃の有機溶媒中に、バインダー樹脂、分散剤と共に有機顔料として少なくともC.I.ピグメント イエロー 213を含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、特定のポリアルキレングリコールジアルキルエーテルおよび/または特定の環状エステル類からなり、沸点が150〜280℃の有機溶媒中に、バインダー樹脂、分散剤と共に有機顔料として少なくともC.I.ピグメント イエロー 213を含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、インクジェット記録用油性インク組成物に関する。
従来、インクジェット記録方式は、コンピューターからの電気信号に応じてインクの液滴をプリントヘッド又はスプレイノズルから高速で被記録材料に向けて噴射し、被記録材料のインク受容層に印刷する記録方式である。このインクジェット記録方式は、騒音が少なく、高速にて印刷が可能なために、コピー、ファクシミリー、ポスター、ディスプレイなどに広く普及して来ている。
また、インクジェット記録方式に使用されるインクは、経時変化がなく、画像を形成した場合に十分な濃度を長期間安定に維持でき、被記録材料に印刷された画像が優れた原稿再現性を有することが要求されている。このために、使用されるインクは、ヘッドのノズル、及び、インクカートリッジからヘッドに達するまでに通過する濾過フィルターを目詰まりさせないことが要求されている。そのために、インクはその密度、粘度、粒子径、濃度などのインク特性を調整する必要がある。上記のインクは、一般に染料又は顔料である着色剤と、これらを分散する分散剤、溶媒、必要に応じて添加剤とを配合して調製される。
一般に黄色インクは耐候性に劣る場合が多く、退色が進行しやすい。このため、屋外に掲示する印刷物において、長期に渡って印字品質を保つことが課題となることが多かった。水性インクでは水不溶性ポリマー微粒子を含有させたり、染料を樹脂で被覆した微粒子を使用したりする手法が提案されてきている(特許文献1〜5)が、油性インクの場合は、溶剤として水を使用せず有機溶媒を使用するものであり、このような手法を用いることが困難であった。
インクジェット記録用油性インクの場合、印字物の耐候性はインク中の顔料の性質によるところが非常に大きい。この問題を解決するために無機黄色顔料を使用すると、顔料の比重が大きいために沈降が起こり、インクの吐出性と保存性を満たすことが困難である。また、インク組成物用の有機溶媒として汎用されてきた低沸点溶剤として、一般に、トルエンやキシレン等の芳香属炭化水素、ヘキサンや灯油等の脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、或いはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が使用されているが、これらの有機溶媒からなるインクを使用してポリ塩化ビニル基材を記録媒体として印字した場合、これらの有機溶剤は沸点や引火点が低く、臭気が強いため、作業者の安全性の上で好ましくなく、また、乾燥が早いためにノズルが詰まりやすいという問題がある。また、インク保存容器やプリンタなどの装置や部品に使用されているプラスチック(例えば、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等)に対する溶解・膨潤性の理由からプリンタ仕様にコストがかかるという問題があり、また、ポリ塩化ビニル基材に印字した場合、印字品質、印字の乾燥性に関して満足しうるものではない。
そこで、近年、有機顔料として金属錯体化合物を使用したインクジェット記録用油性インクが提案され(特許文献6)、インクの保存性と印字物の耐候性の両立を可能とするインクが使用されてきている。しかしながら、C.I.ピグメント イエロー 150等の金属錯体黄色顔料はクロムやニッケル等の重金属を含有することから人体への安全性から疑問が持たれている。
本発明は高沸点、低蒸気圧、低臭気で人体への安全性が高く、作業環境に優れ、また、黄色顔料として無機黄色顔料や金属錯体黄色顔料を使用しないでも長期に渡り印字物の品質を保持すると共に耐候性に優れる印字物とできるインクジェット記録用油性インク組成物の提供を課題とする。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、下記一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルおよび/または下記一般式(2)で示される環状エステル類からなる有機溶媒中に、バインダー樹脂、分散剤と共に有機顔料としてC.I.ピグメント イエロー 213の他に更に、C.I.ピグメント イエロー 109、110、120、128、138、139、155、180、185、214から選ばれる有機顔料を含有するものであり、その含有割合がC.I.ピグメント イエロー 213に対して0.01質量%〜40質量%の割合である油性インク組成物であって、該インク組成物による印字物について、下記の耐候試験前後の下記の式により求められる色相(L * a * b * 値)の変化量(ΔE)が10未満、また、濃度(OD値)の変化量(ΔOD)が0.3未満であることを特徴とするインクジェット記録用油性インク組成物。
一般式(1)
R1 −(OC2 H4 )n −OR2
(式中、R1 、R2 は炭素数1〜3のアルキル基であり、同一でも、異なっていてもよく、nは2〜4の整数である。)
R1 −(OC2 H4 )n −OR2
(式中、R1 、R2 は炭素数1〜3のアルキル基であり、同一でも、異なっていてもよく、nは2〜4の整数である。)
(式中、X1 およびX2 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、またはアルケニル基を示し、mは1〜3の整数を示す。)
(耐候試験)
紫外線を20時間照射した後、シャワーで10秒間水を噴射し、さらに4時間結露させ、ふたたび10秒間水を噴射する操作を1サイクルとして2サイクル行う。
(色相の変化量(ΔE))
ΔE=√{(L * 0 −L * n ) 2 +(a * 0 −a * n ) 2 +(b * 0 −b * n ) 2 }
L * 0 :耐候試験前の明度
L * n :nサイクル後の明度
a * 0 :耐候試験前の色度
a * n :nサイクル後の色度
b * 0 :耐候試験前の色度
b * n :nサイクル後の色度
(濃度の変化量(ΔOD))
ΔOD=OD * 0 −OD * n
OD * 0 :耐候試験前の濃度
OD * n :nサイクル後の濃度
有機溶媒の沸点が、大気圧下で150℃〜280℃であることを特徴とする。
有機顔料が、C.I.ピグメント イエロー 213の他にC.I.ピグメント イエロー 110、C.I.ピグメント イエロー 139から選ばれる有機顔料を含有することを特徴とする。
(耐候試験)
紫外線を20時間照射した後、シャワーで10秒間水を噴射し、さらに4時間結露させ、ふたたび10秒間水を噴射する操作を1サイクルとして2サイクル行う。
(色相の変化量(ΔE))
ΔE=√{(L * 0 −L * n ) 2 +(a * 0 −a * n ) 2 +(b * 0 −b * n ) 2 }
L * 0 :耐候試験前の明度
L * n :nサイクル後の明度
a * 0 :耐候試験前の色度
a * n :nサイクル後の色度
b * 0 :耐候試験前の色度
b * n :nサイクル後の色度
(濃度の変化量(ΔOD))
ΔOD=OD * 0 −OD * n
OD * 0 :耐候試験前の濃度
OD * n :nサイクル後の濃度
有機溶媒の沸点が、大気圧下で150℃〜280℃であることを特徴とする。
有機顔料が、C.I.ピグメント イエロー 213の他にC.I.ピグメント イエロー 110、C.I.ピグメント イエロー 139から選ばれる有機顔料を含有することを特徴とする。
有機顔料の含有量がインクジェット記録用油性インク組成物中、0.5質量%〜20質量%であることを特徴とする。
バインダー樹脂が、アクリル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、繊維素系樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする。
20℃における粘度が3mPa・s〜15mPa・sであることを特徴とする。
引火点が60℃以上であることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、人体に対する安全性が高く、長期に渡って印字物の品質を保つことができ、耐候性に優れるものである。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、組成物中に有機顔料として少なくともC.I.ピグメント イエロー 213を含有することを特徴とする。
C.I.ピグメント イエロー 213は、日化辞番号J1,817,318B、独立行政法人「科学技術振興機構」日化辞Web.には、下記構造式
と記載され、また、WO2006/119847には、下記構造式
と記載されるように、構造中にクロムやニッケル等の重金属を含有しない。なお、本発明においてはC.I.ピグメント イエロー 213としてクラリアント社製「Hostaperm Yellow H5G」を使用した。
黄色顔料としては、C.I.ピグメント イエロー 213を単独で使用してもよいが、他の有機黄色顔料、有機橙色顔料、有機赤色顔料等を併用してもよく、その併用割合はC.I.ピグメント イエロー 213に対して0.01〜40質量%の割合とできる。併用される有機黄色顔料としては、縮合アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合多環系顔料等の有機黄色顔料が望ましく、例えばC.I.ピグメント イエロー 109、110、120、128、138、139、155、180、185、214等が例示される。インク組成物中の有機顔料の含有量としては、0.5〜20質量%、好ましくは1〜12質量%である。
次に、インクジェット記録用油性インク組成物における有機溶媒としては、上記一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルおよび/または上記一般式(2)で示される環状エステル類である。
ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−iso −プロピルエーテル等が例示される。好ましくはジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルである。
また、一般式(2)で示される環状エステル類としては、5員環構造のγ−ラクトンや6員環構造のδ−ラクトン、7員環構造のε−ラクトン等があり、例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−ヘプタラクトン、ε−カプロラクトンの単独またはそれらの混合物が例示される。環状エステル類は、本発明の好ましい態様においては、5員環のγ−ラクトン類であり、さらに好ましくはγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンである。環状エステル類を用いることによって、ポリ塩化ビニル基材に対する印刷品質を更に向上させることができる。
一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルと一般式(2)で示される環状エステル類とは、その沸点が大気圧下で150℃〜280℃のものが好ましく使用される。沸点が高すぎる場合にはインクの乾燥性が低下し、印字物においてブロッキングなどを誘引する。一方、沸点が低すぎる場合には、得られるインクの乾燥が早すぎて、プリンターノズルのインクの詰まりが発生する等印字適性が低下する。
一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルと一般式(2)で示される環状エステル類は、それぞれ単独で使用してもよいが、好ましくはポリアルキレングリコールジアルキルエーテル1質量部に対して環状エステル類を0.02〜4質量部の割合で混合して使用するとよい。有機溶媒は、油性インク組成物中、少なくとも50質量%、好ましくは70質量%以上含有させるとよい。
次に、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物には、有機顔料の他にバインダー樹脂、分散剤が適宜に溶解され又は分散される。
バインダー樹脂としては、上記有機溶媒に溶解性を有するものであり、油性インク組成物の粘度調整、また、ポリ塩化ビニル基材への定着性を目的として添加され、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ブチラール樹脂等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂などのロジン誘導体、石油系樹脂、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂、フエノール樹脂、セルロースアセテートブチレート等の繊維素系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ロジン変性樹脂等が例示され、好ましくはアクリル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、繊維素系樹脂の単独、またはそれらの混合樹脂が挙げられる。
バインダー樹脂の含有量は、顔料含有量(重量)に対して0.5〜3倍量、好ましくは0.75〜1.6倍量である。
また、分散剤としては通常の油性インク組成物、特にはインクジェット記録用油性インク組成物において用いられている任意の分散剤を用いることができる。好ましくは、主鎖がポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系などからなっており、側鎖としてアミノ基、カルボキシル基、スルホン基、ヒドロキシル基などの極性基を有する高分子分散剤が例示される。分散剤としては、有機溶媒の溶解度パラメーターが8〜11であるときに有効に作用する分散剤を用いるのが好ましい。
こうした分散剤としては市販品を利用することが可能であり、その具体例としてはヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000EL(武生ファインケミカル(株)製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200(ルブリゾール社製)、disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192(ビック・ケミー社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(共栄社化学(株)製)、アジスパーPB821、PB711(味の素ファインテクノ社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(EFKAケミカルズ社製)の単独、または混合したものを挙げることができる。
分散剤の含有量は、顔料含有量に対して、5〜200質量%、好ましくは30〜120質量%であり、分散すべき色材によって適宜選択するとよい。
また、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物には、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、界面活性剤等を添加してもよい。酸化防止剤としてはBHA(2,3−ブチル−4−オキシアニソール)、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)等が例示され、油性インク組成物中0.01〜3.0質量%である。また、紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物、又はベンゾトリアゾール系化合物を用いることができ、油性インク組成物中0.01〜0.5質量%である。また、界面活性剤としてはアニオン系、カチオン系、両性又は非イオン系のいずれの界面活性剤も用いることができ、油性インク組成物中0.5〜4.0質量%である。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物の調製法としては、特に限定されるものではなく、公知の慣用方法によって調製でき、例えば一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルと一般式(2)で示される環状エステル類から選ばれる有機溶媒単独、またはその混合溶剤に、まずバインダー樹脂を溶解させて樹脂溶液とし、次にその樹脂溶液の一部に顔料と分散剤を添加してボールミル、ビーズミル、超音波、又はジェットミル等で混合・分散させて顔料分散液を調製する。次いで、得られた顔料分散液に上記で得た樹脂溶液の残部とその他の添加剤を攪拌下に添加して調製される方法が挙げられる。
得られるインクジェット記録用油性インク組成物は、20℃での粘度が2〜200mPa・s、好ましくは3〜15mPa・sに調整される。また、表面張力は、好ましくは20〜50mN/mとするとよい。表面張力が20mN/m未満になるとインク組成物がインクジェット記録用プリンタへッドの表面に濡れ広がるか、又は滲み出してしまい、インク滴の吐出が困難になることがある。また、表面張力が50mN/mを越えると記録媒体の表面において濡れ広がらず、良好な印刷ができないことがある。
本発明の油性インク組成物は、撥インク処理された吐出ノズル表面に対して不活性であるという利点を有するので、例えば、撥インク処理された吐出ノズル表面を有するインクジェット記録用プリンタへッドから吐出させるインクジェット記録方法に有利に用いることができる。
本発明のインクジェット記録用油性インク組成物が適用される記録媒体としてはプラスチック基材であり、特に硬質または軟質ポリ塩化ビニル基材への記録に適している。ポリ塩化ビニル基材としてはフィルム、シート等が例示される。本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、ポリ塩化ビニル基材における無処理表面への印字を可能とするものであり、従来の受容層を有する記録媒体のごとく、高価な記録媒体の使用を不要とする優れた効果を有するが、勿論、インク受容性樹脂により表面処理されたものでもよい。
以下、実施例によって本発明を説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例においては、粘度はアントンパール社製「AMVn」粘度計を使用して測定し、また、顔料粒子の粒径は、日機装(株)製「マイクロトラックUPA150」を使用して測定したものである。
(参考例1)
下記組成の樹脂溶液を調製した。
・ ジエチレングリコールジエチルエーテル ・・・ 45.6質量部
・ テトラエチレングリコールジメチルエーテル ・・・ 20.0質量部
・ γ−ブチロラクトン ・・・ 25.0質量部
・ バインダー樹脂(アクリル系樹脂、ローム&ハース社製「パラロイドB60」)
・・・ 4.0質量部
得られた樹脂溶液の一部に、C.I.ピグメント イエロー 213(クラリアント社製「Hostaperm Yellow H5G」)を3.6質量部と分散剤(ルブリソール社製「ソルスパース32000」)を1.8質量部とを添加し、ディソルバーで3,000rpmにて1時間攪拌した後、ジルコニアビーズ(2mm)を充填したビーズミルで予備分散した。得られた顔料粒子の平均粒径は5μm以下であった。更に、ジルコニアビーズ(0.3mm)を充填したナノミルで本分散を行い、顔料分散液を得た。この本分散により得られる顔料粒子の平均粒径は150nmであった。
下記組成の樹脂溶液を調製した。
・ ジエチレングリコールジエチルエーテル ・・・ 45.6質量部
・ テトラエチレングリコールジメチルエーテル ・・・ 20.0質量部
・ γ−ブチロラクトン ・・・ 25.0質量部
・ バインダー樹脂(アクリル系樹脂、ローム&ハース社製「パラロイドB60」)
・・・ 4.0質量部
得られた樹脂溶液の一部に、C.I.ピグメント イエロー 213(クラリアント社製「Hostaperm Yellow H5G」)を3.6質量部と分散剤(ルブリソール社製「ソルスパース32000」)を1.8質量部とを添加し、ディソルバーで3,000rpmにて1時間攪拌した後、ジルコニアビーズ(2mm)を充填したビーズミルで予備分散した。得られた顔料粒子の平均粒径は5μm以下であった。更に、ジルコニアビーズ(0.3mm)を充填したナノミルで本分散を行い、顔料分散液を得た。この本分散により得られる顔料粒子の平均粒径は150nmであった。
得られた顔料分散液を4,000rpmで攪拌しながら、上記で作製した樹脂溶液の残部を添加して、参考例1のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.5mPa・s(20℃)であった。
(実施例1)
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 213の3.2質量部とC.I.ピグメント イエロー 110の0.4質量部の混合顔料を使用した以外は参考例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.2mPa・s(20℃)であった。
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 213の3.2質量部とC.I.ピグメント イエロー 110の0.4質量部の混合顔料を使用した以外は参考例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.2mPa・s(20℃)であった。
(実施例2)
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 213の3.2質量部とC.I.ピグメント イエロー 139の0.4質量部の混合顔料を使用した以外は参考例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.2mPa・s(20℃)であった。
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 213の3.2質量部とC.I.ピグメント イエロー 139の0.4質量部の混合顔料を使用した以外は参考例1と同様にして、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.2mPa・s(20℃)であった。
(参考例2)
参考例1における樹脂溶液に代えて、下記組成の樹脂溶液を使用した以外は、参考例1同様の方法によって、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.2mPa・s(20℃)であった。
・ ジエチレングリコールジエチルエーテル ・・・ 70.6質量部
・ テトラエチレングリコールジメチルエーテル ・・・ 20.0質量部
・ バインダー樹脂(アクリル系樹脂、ローム&ハース社製「パラロイドB60」)
・・・ 4.0質量部
(参考例3)
参考例1における樹脂溶液に代えて、下記組成の樹脂溶液を使用した以外は、参考例1同様の方法によって、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.7mPa・s(20℃)であった。
・ テトラエチレングリコールジメチルエーテル ・・・ 20.0質量部
・ γ−ブチロラクトン ・・・ 70.6質量部
・ バインダー樹脂(アクリル系樹脂、ローム&ハース社製「パラロイドB60」)
・・・ 4.0質量部
(比較例1)
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 155の3.6質量部を使用した以外は参考例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.3mPa・s(20℃)であった。
参考例1における樹脂溶液に代えて、下記組成の樹脂溶液を使用した以外は、参考例1同様の方法によって、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.2mPa・s(20℃)であった。
・ ジエチレングリコールジエチルエーテル ・・・ 70.6質量部
・ テトラエチレングリコールジメチルエーテル ・・・ 20.0質量部
・ バインダー樹脂(アクリル系樹脂、ローム&ハース社製「パラロイドB60」)
・・・ 4.0質量部
(参考例3)
参考例1における樹脂溶液に代えて、下記組成の樹脂溶液を使用した以外は、参考例1同様の方法によって、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.7mPa・s(20℃)であった。
・ テトラエチレングリコールジメチルエーテル ・・・ 20.0質量部
・ γ−ブチロラクトン ・・・ 70.6質量部
・ バインダー樹脂(アクリル系樹脂、ローム&ハース社製「パラロイドB60」)
・・・ 4.0質量部
(比較例1)
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 155の3.6質量部を使用した以外は参考例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.3mPa・s(20℃)であった。
(比較例2)
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 128の3.6質量部を使用した以外は参考例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.5mPa・s(20℃)であった。
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 128の3.6質量部を使用した以外は参考例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.5mPa・s(20℃)であった。
(比較例3)
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 120の3.6質量部を使用した以外は参考例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.1mPa・s(20℃)であった。
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 120の3.6質量部を使用した以外は参考例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.1mPa・s(20℃)であった。
(比較例4)
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 185の3.6質量部を使用した以外は参考例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.6mPa・s(20℃)であった。
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー 185の3.6質量部を使用した以外は参考例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.6mPa・s(20℃)であった。
(比較例5)
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー139の3.6質量部を使用した以外は参考例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.4mPa・s(20℃)であった。
参考例1におけるC.I.ピグメント イエロー 213の3.6質量部に代えて、C.I.ピグメント イエロー139の3.6質量部を使用した以外は参考例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用油性インク組成物を調製した。組成物の粘度は4.4mPa・s(20℃)であった。
参考例1〜3、実施例1〜2、比較例1〜5で得られたインクジェット記録用油性インク組成物をインクジェットプリンター(MJ−8000C:セイコーエプソン社製)に装填し、ポリ塩化ビニルフィルム(ビューカル900、リンテック社製)にインク吐出量100%でベタ印字したものと、インク吐出量50%で淡色印字したものとをそれぞれ作製し、耐候性試験のための試験片とした。
(耐候性試験)
印字物(試験片)の色相(L* a* b* )および濃度(OD)を、分光測色計(X−Rite社製「X−Rite 938」)を使用して試験前の展色物の色相、濃度を測定すると共に、岩崎電気株式会社製「アイ スーパー UVテスター SUV−W231」を使用し、試験条件として、紫外線照射を20時間行った後、シャワーで10秒間水を噴射し、さらに、4時間結露させ、再び10秒間水を噴射する。この一連を1サイクルとして3サイクル行い、各耐候試験サイクル後の展色物の色相、濃度を測定した後、下記式により、耐候試験前と各サイクル後における印字物の色相の変化量(ΔE)と濃度の変化量(ΔOD)とを求めた。
ΔE=√{(L* 0 −L* n )2 +(a* 0 −a* n )2 +(b* 0 −b* n )2 }
L* 0 :耐候試験前の明度
L* n :nサイクル後の明度
a* 0 :耐候試験前の色度
a* n :nサイクル後の色度
b* 0 :耐候試験前の色度
b* n :nサイクル後の色度
ΔOD=OD* 0 −OD* n
OD* 0 :耐候試験前の濃度
OD* n :nサイクル後の濃度
本発明者等は鋭意検討の結果、下記試験において、色相の変化量が10未満、濃度の変化量が0.3未満であれば、印字物を屋外の環境下に長時間さらしても、画像の劣化が少なく、良好な耐候性であるという知見が得られた。
印字物(試験片)の色相(L* a* b* )および濃度(OD)を、分光測色計(X−Rite社製「X−Rite 938」)を使用して試験前の展色物の色相、濃度を測定すると共に、岩崎電気株式会社製「アイ スーパー UVテスター SUV−W231」を使用し、試験条件として、紫外線照射を20時間行った後、シャワーで10秒間水を噴射し、さらに、4時間結露させ、再び10秒間水を噴射する。この一連を1サイクルとして3サイクル行い、各耐候試験サイクル後の展色物の色相、濃度を測定した後、下記式により、耐候試験前と各サイクル後における印字物の色相の変化量(ΔE)と濃度の変化量(ΔOD)とを求めた。
ΔE=√{(L* 0 −L* n )2 +(a* 0 −a* n )2 +(b* 0 −b* n )2 }
L* 0 :耐候試験前の明度
L* n :nサイクル後の明度
a* 0 :耐候試験前の色度
a* n :nサイクル後の色度
b* 0 :耐候試験前の色度
b* n :nサイクル後の色度
ΔOD=OD* 0 −OD* n
OD* 0 :耐候試験前の濃度
OD* n :nサイクル後の濃度
本発明者等は鋭意検討の結果、下記試験において、色相の変化量が10未満、濃度の変化量が0.3未満であれば、印字物を屋外の環境下に長時間さらしても、画像の劣化が少なく、良好な耐候性であるという知見が得られた。
そこで、印字物の色相の変化量(ΔE)と濃度の変化量(ΔOD)に関して下記のごとき評価基準でそれぞれの試験片を評価し、その結果を下記表1、表2に示す。
評価1・・・・インク吐出量100%でベタ印字したものについて
A:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、10未満のもの
B:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、10以上、20未満のもの C:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、20以上のもの
評価2・・・・インク吐出量100%でベタ印字したものについて
A:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.3未満のもの
B:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.3以上、0.5未満 C:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.5以上のもの
評価3・・・・インク吐出量50%で淡色印字したものについて
A:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、10未満のもの
B:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、10以上、20未満のもの C:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、20以上のもの
評価4・・・・インク吐出量50%で淡色印字したものについて
A:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.3未満のもの
B:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.3以上、0.5未満 C:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.5以上のもの
A:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、10未満のもの
B:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、10以上、20未満のもの C:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、20以上のもの
評価2・・・・インク吐出量100%でベタ印字したものについて
A:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.3未満のもの
B:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.3以上、0.5未満 C:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.5以上のもの
評価3・・・・インク吐出量50%で淡色印字したものについて
A:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、10未満のもの
B:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、10以上、20未満のもの C:色相の変化量(ΔE)がサイクル後で、20以上のもの
評価4・・・・インク吐出量50%で淡色印字したものについて
A:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.3未満のもの
B:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.3以上、0.5未満 C:濃度の変化量(ΔOD)がサイクル後で、0.5以上のもの
上記の評価結果から、本発明のインクジェット記録用油性インク組成物は、インク吐出量にかかわらず、また、サイクルを繰り返しても、退色の程度が少なく、印字物の色相、濃度を保持することができることは明らかである。したがって、印字物が屋外で紫外線や風雨にさらされたとしても、印字物の劣化が少ないことがわかる。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で示されるポリアルキレングリコールジアルキルエーテルおよび/または下記一般式(2)で示される環状エステル類からなる有機溶媒中に、バインダー樹脂、分散剤と共に有機顔料としてC.I.ピグメント イエロー 213の他に更に、C.I.ピグメント イエロー 109、110、120、128、138、139、155、180、185、214から選ばれる有機顔料を含有するものであり、その含有割合がC.I.ピグメント イエロー 213に対して0.01質量%〜40質量%の割合である油性インク組成物であって、該インク組成物による印字物について、下記の耐候試験前後の下記の式により求められる色相(L * a * b * 値)の変化量(ΔE)が10未満、また、濃度(OD値)の変化量(ΔOD)が0.3未満であることを特徴とするインクジェット記録用油性インク組成物。
一般式(1)
R1 −(OC2 H4 )n −OR2
(式中、R1 、R2 は炭素数1〜3のアルキル基であり、同一でも、異なっていてもよく、nは2〜4の整数である。)
(耐候試験)
紫外線を20時間照射した後、シャワーで10秒間水を噴射し、さらに4時間結露させ、ふたたび10秒間水を噴射する操作を1サイクルとして2サイクル行う。
(色相の変化量(ΔE))
ΔE=√{(L * 0 −L * n ) 2 +(a * 0 −a * n ) 2 +(b * 0 −b * n ) 2 }
L * 0 :耐候試験前の明度
L * n :nサイクル後の明度
a * 0 :耐候試験前の色度
a * n :nサイクル後の色度
b * 0 :耐候試験前の色度
b * n :nサイクル後の色度
(濃度の変化量(ΔOD))
ΔOD=OD * 0 −OD * n
OD * 0 :耐候試験前の濃度
OD * n :nサイクル後の濃度 - 有機溶媒の沸点が、大気圧下で150℃〜280℃であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
- 有機顔料が、C.I.ピグメント イエロー 213の他にC.I.ピグメント イエロー 110、C.I.ピグメント イエロー 139から選ばれる有機顔料を含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
- 有機顔料の含有量がインクジェット記録用油性インク組成物中、0.5質量%〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つ記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
- バインダー樹脂が、アクリル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、繊維素系樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
- 20℃における粘度が3mPa・s〜15mPa・sであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
- 引火点が60℃以上であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用油性インク組成物。
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- 2009-07-14 JP JP2009165202A patent/JP2010001478A/ja active Pending
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