JP2010001370A - 結晶性乳酸系ポリエステルフィルムからペレットの製造方法およびその製造方法により得られるペレット - Google Patents

結晶性乳酸系ポリエステルフィルムからペレットの製造方法およびその製造方法により得られるペレット Download PDF

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Abstract

【課題】結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤を含有する結晶性乳酸系ポリエステルフィルムから、製造工程中に水と接触することなく、融着、ブロッキング、ブリードアウトが抑制され、大きさが均一であり、重量平均分子量の低下がなく、粒子間の流動性が良好なペレットの製造方法を提供すること。
【解決手段】結晶性乳酸系ポリエステルフィルムからペレットの製造方法であって、(A)結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤を、質量比が70:30〜95:5の範囲で含有し、かつ融解熱量が10〜55mJ/mgである前記フィルムを粉砕する工程、(B)前記フィルムの融解ピーク面積において低温側15〜99%の面積が溶融する樹脂温度範囲で粉砕したフィルムを溶融し、押出ししてストランドを形成する工程、(C)前記ストランドをカットしてペレットを得る工程、(D)前記ペレットを空気流中に独立して浮遊させて冷却する工程、を含む製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、結晶性乳酸系ポリエステルフィルムからペレットの製造方法およびその製造方法により得られるペレットに関する。
フィルムの回収造粒技術はフィルム製膜を行う上で、使用原料、廃棄物の削減に有用な技術である。一般的な回収造粒の主な流れはフィルムを粉砕し、粉砕したフィルムをストランドとして溶融押出しし、これをカットしてペレットを得るものである。回収造粒により得られるペレットに必要な性能は、ペレット同士が融着、ブロッキングしないこと、ペレットの重量平均分子量が低下しないこと、ペレットが含有する可塑剤がブリードアウトしないこと、大きさが均等であること等が挙げられる。
代表的な回収造粒においてストランドをカットする方法には、ストランドカット方式、水中カット方式、水冷ホットカット方式、空冷ホットカット方式が採用されている。この内、ストランドカット方式、水中カット方式、水冷カット方式ではストランドまたはカットした直後のペレットが水と接触する為、生じたペレットは急冷されペレット表面が固化する。したがって、押出し時の余熱によりペレット同士が融着する可能性は低くなる。
特許文献1および特許文献2には、水でストランドを冷やし、ペレットを得る技術が開示されている。
特開平7−1447号公報 特開2007−152760号公報
特許文献1および2に開示された方法では製造工程で水と樹脂が接触する為、例えば樹脂が生分解性の乳酸系ポリエステル樹脂等の場合、得られたペレットが経時的に加水分解を起こす可能性がある。また、これらの方法ではストランドに張力をかける必要があるが、可塑剤で軟化された結晶性乳酸系ポリエステル樹脂等では溶融張力が低く、ストランドが頻繁に切れる欠点がある。さらに、ペレットに付着している水分、または吸湿したペレットの水分を乾燥させる為に、乾燥機へペレットを投入すると、乾燥エアーの熱でペレットがブロッキングを起こす問題が発生する。
一方、空冷ホットカット方式でペレットを得た場合、工程中樹脂が水と一切接しない為、得られたペレットが加水分解を起こす可能性は低いが、ストランドおよびペレットが水で冷却されない為、ペレット同士が押出し時の余熱により融着を起こす可能性が高くなる。また、この方式で得られたペレットも乾燥機で吸湿した水分を乾燥させる際にブロッキングを起こす可能性がある。さらに、可塑剤で軟化された結晶性乳酸系ポリエステルは溶融張力が低い為、水によりストランド表面を固化しなければ、ペレットのカット性が不良となる可能性も高くなる。ゆえに、可塑剤で軟化された結晶性乳酸系ポリエステル樹脂から空冷で融着しないペレットを得る製法は従来存在していない。
本発明が解決しようとする課題は、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤を含有する結晶性乳酸系ポリエステルフィルムから、製造工程中に水と接触することなく、融着、ブロッキング、ブリードアウトが抑制され、大きさが均一であり、重量平均分子量の低下がなく、粒子間の流動性が良好なペレットの製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤を、質量比が70:30〜95:5の範囲で含有し、かつ融解熱量が10〜55mJ/mgである結晶性乳酸系ポリエステルフィルムにおいて、特定の温度範囲で押し出ししてストランドを得る工程と空気流中で浮遊させて冷却してペレットを得る工程を組み合せることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の結晶性乳酸系ポリエステルフィルムからペレットを製造する方法およびその製造方法により得られるペレットを提供する。
[1]
結晶性乳酸系ポリエステルフィルムからペレットの製造方法であって、
(A)結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤を、質量比が70:30〜95:5の範囲で含有し、かつ融解熱量が10〜55mJ/mgである前記フィルムを粉砕する工程、
(B)前記フィルムの融解ピーク面積において低温側15〜99%の面積が溶融する樹脂温度範囲で粉砕したフィルムを溶融し、押出ししてストランドを形成する工程、
(C)前記ストランドをカットしてペレットを得る工程、
(D)前記ペレットを空気流中に独立して浮遊させて冷却する工程、
を含む製造方法。
[2]
前記(C)が、カットする部分に空気を吹き付けて前記ストランドをカットする工程である、前記[1]に記載の製造方法。
[3]
前記(D)が、0〜30℃の空気流中で冷却する工程である、前記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]
前記(D)が、5秒以上独立して浮遊させて冷却する工程である、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の製造方法。
[5]
前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の製造方法により得られるペレット。
本発明によれば、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤を、質量比が70:30〜95:5の範囲で含有し、かつ融解熱量が10〜55mJ/mgである結晶性乳酸系ポリエステルフィルムから、回収造粒中に水と接触することなく、得られたペレットの融着、ブロッキング、ブリードアウトが抑制され、大きさが均一であり、重量平均分子量の低下がなく、粒子間の流動性が良好なペレットの製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の結晶性乳酸系ポリエステルフィルムからペレットの製造方法は、(A)結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤を、質量比が70:30〜95:5の範囲で含有し、かつ融解熱量が10〜55mJ/mgである前記フィルムを粉砕する工程、(B)前記フィルムの融解ピーク面積において低温側15〜99%の面積が溶融する樹脂温度範囲で粉砕したフィルムを溶融し、押出ししてストランドを形成する工程、(C)前記ストランドをカットしてペレットを得る工程、(D)前記ペレットを空気流中に独立して浮遊させて冷却する工程、を含む製造方法である。
本実施の形態で用いる結晶性乳酸系ポリエステル樹脂とは、融解熱量が5mJ/mg以上の乳酸系ポリエステル樹脂である。
本実施の形態において、融解熱量はDSC(示差走査型熱量分析)法における融解熱量を意味する。
結晶性乳酸系ポリエステル樹脂の融解熱量は、サンプルである樹脂をDSC(セイコー電子工業(株)社製、DSC22Cシステム)を用いて測定を行うことができる。具体的には、樹脂を細かく切断しアルミニウムパンに5mg秤取り、0℃から約200℃(乳酸系ポリエステル樹脂の測定においては、樹脂の融点の予測値+50℃である)まで50℃/分で昇温を行い、1min保持、その後、0℃まで50℃/分で降温を行い、1min保持、その後再び200℃まで10℃/分で昇温を行う。この2度目の昇温過程であらわれる吸熱ピークとベースラインで囲まれる面積(融解ピーク面積)が示す熱量を融解熱量として測定することができる。
本実施の形態において、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂は、以下にあげる重合体を組成中の樹脂全体に対し70質量%以上含む樹脂であることが好ましい。
該重合体としては乳酸のみからなる重合体、乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重合体、または乳酸重合物と脂肪族ジオール−脂肪族カルボン酸重合物の共重合体が挙げられる。
重合の方法や共重合比率、構造などに特に制限はない。また、これらの重合体を2種類以上ブレンドして用いてもよい。
耐熱性、透明性の点から、好適には乳酸のみからなる重合体であるポリ乳酸樹脂を結晶性乳酸系ポリエステル樹脂全体に対して90質量%以上含む樹脂が好ましい。ポリ乳酸樹脂としては、例えば、カーギル・ダウ社の「Natureworks(登録商標、以下同じ。)」シリーズが挙げられる。
本実施の形態において、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂が含有する他の成分としては、脂肪族ジオールと脂肪族カルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステルに適量の芳香族カルボン酸を共重合した芳香族脂肪族ポリエステル、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、その他には、カルボジイミド化合物等が挙げられる。
本実施の形態において、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂は、回収ペレットからフィルムを製造した場合の耐熱性の観点から、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂の融点が130℃以上であることが好ましい。融点の上限は特に制限されるものではないが、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂の融点は250℃以下であることが好ましい。
本実施の形態において、融点はDSC(示差走査型熱量分析)法における結晶融解ピーク温度を意味する。
具体的には、融点は、サンプルである樹脂等をDSC(セイコー電子工業(株)社製、DSC22Cシステム)を用いて測定を行うことができる。具体的には、樹脂を細かく切断しアルミニウムパンに5mg秤取り、0℃から約200℃(乳酸系ポリエステル樹脂の測定においては、樹脂の融点の予測値+50℃である)まで50℃/分で昇温を行い、1min保持、その後、0℃まで50℃/分で降温を行い、1min保持、その後再び200℃まで10℃/分で昇温を行い、この2度目の昇温過程での吸熱ピークを融点として測定することができる。
本実施の形態で用いる液状可塑剤とは、融点が45℃以下の可塑剤をいう。液状可塑剤は公知の可塑剤の中から適宜選択できる。結晶性乳酸系ポリエステル樹脂とよく混ざり合うように、分子量200〜2000および/またはSP値6〜13(SP値の計算法は次式で行う、SP値=dΣG/M d:密度、G:モル牽引力定数、M:分子量)である、窒素原子や酸素原子を含んだ極性基をもつ液状可塑剤であることが好ましい。
分子量が200以上であれば、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂の高分子鎖間から可塑剤分子が小さすぎ、抜け落ちることがない。分子量が2000以下であれば高分子鎖間に可塑剤分子が大きすぎ、入れないことがない。
SP値が6〜13の範囲内であれば、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂のSP値と近似した値となるので、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂とよく混ざり合う。
窒素原子や酸素原子を含んだ極性基をもてば、高分子鎖との親和性が増すため好ましい。
液状可塑剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種類以上を同時に使用してもよい。
結晶性乳酸系ポリエステル樹脂が生分解性を示すと考えられることから、生分解性を有する液状可塑剤を使用するのがよく、好ましくはグリセリン脂肪酸エステル、エポキシ化植物油である。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、特に制限はされないが、例えば、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、アセチル化モノグリセライドの他、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。中でも結晶性乳酸系ポリエステル樹脂への良好な相溶性、高い可塑化能力の点から、アセチル化モノグリセライドがより好ましく、さらに好ましくはグリセリンモノカプリレートアセテートとグリセリンモノカプレートアセテートの混合物(以下、省略して「DACG」と記載する場合がある。)である。DACGとしては、具体的には、商品名「リケマール(登録商標、以下同じ。)PL019」(理研ビタミン社製)が挙げられる。
エポキシ化植物油としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油などが挙げられる、中でも高い安定性や、可塑剤を含んだ樹脂の透明性の点からエポキシ化大豆油(以下、省略して「ESO」と記載する場合がある。)が好ましい。ESOとしては、具体的には、商品名「ニューサイザー(登録商標、以下同じ。)510R」(日本油脂(株)社製)が挙げられる。
クエン酸エステルとしては、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸ジブチル、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる、中でも結晶性乳酸系ポリエステル樹脂への良好な相溶性、高い安定性の点から、アセチルクエン酸トリブチル(以下、省略して「ATBC」と記載する場合がある。)が好ましい。ATBCとしては、具体的には、商品名「ATBC」(旭化成ファインケム(株)社製)が挙げられる。
本実施の形態でペレットの原料となる結晶性乳酸系ポリエステルフィルム(以下、省略して「フィルム」と記載する場合がある。)は、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤を質量比が70:30〜95:5の範囲で含有し、かつ融解熱量が10〜55mJ/mgであるフィルムである。該フィルムは密着仕事量が0.7〜2.5mJの性能を有することが好ましい。密着仕事量が上記範囲内にあることにより、フィルムがその表面に良好な密着性を有するため、食品包装等としてフィルムを好適に用いることができる。
フィルムが含有する結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤の質量比は、70:30〜95:5の範囲である。
70:30より結晶性乳酸系ポリエステル樹脂の割合が高い範囲であれば、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂量に対し液状可塑剤量が過剰とならない為、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤は良好に混ざり合い、製膜も安定して行うことができる。また、得られたペレットのブリード性が不良になる問題も発生しない。
95:5より結晶性乳酸系ポリエステル樹脂の割合が低い範囲であれば、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂量に対し液状可塑剤量が過少になり過ぎず、フィルムが適当な柔軟性を得ることができ、製膜も安定して行うことができる。
フィルムに必要な融解熱量の範囲は10〜55mJ/mgであり、好ましくは20〜55mJ/mgである。
融解熱量が10mJ/mg以上であれば、フィルムの結晶化度が高い為、ストランドを押出しした際、ストランド中に溶融前の結晶化フィルムがもっていた結晶が完全には消失せずに残っている。ストランド中にフィルムのもっていた結晶が消失せずに残ると、これを核として結晶が成長する為、ストランドをカットして得たペレットの結晶化速度は速くカット直後のペレットは融着しにくい。また、得られたペレットの結晶化度も高い為、外気温、湿度によりブロッキングしにくいものとなる。
融解熱量が55mJ/mg以下であれば、ストランドの押出しが不安定になることはない。
フィルムの融解熱量は、サンプルであるフィルムをDSC(セイコー電子工業(株)社製、DSC22Cシステム)を用いて測定を行うことができる。具体的には、以下の実施例に記載する方法により測定することができる。
フィルムの融点は、耐熱性の観点で、140℃より大きいことが好ましい。
フィルムの融点は、サンプルであるフィルムをDSC(セイコー電子工業(株)社製、DSC22Cシステム)を用いて測定を行うことができる。具体的には、以下の実施例に記載する方法により測定することができる。
フィルムの製造装置は公知の装置であれば特に限定されることなく使用することができる。フィルムは、例えば、テンター成形法、インフレーション成形法、Tダイ成形法等の成形法により製造することができる。
本実施の形態においては、例えば、テンター成形法で延伸の際にクリップでつまんでいたいわゆるテンタートリム部分、またはインフレーション成形法で折りたたまれたバブルをフィルム1枚ずつに剥がす際に切り落とされるバブル両端の折りたたみ部分もフィルムと称する。
本実施の形態のフィルムが含有する他の成分としては、脂肪族ジオールと脂肪族カルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステルに適量の芳香族カルボン酸を共重合した芳香族脂肪族ポリエステル、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、その他には、カルボジイミド化合物等が挙げられる。
(A)フィルムを粉砕する工程
本実施の形態において、フィルムを粉砕する工程は、フィルムを細かくカットする工程である。押出機スクリューにペレットの原料となるテンタートリム部分やバブル両端の折りたたみ部分などを含むフィルムを細かくカットすることにより押出機に安定して供給することができる。フィルムをカットする為には必要に応じ、複数の工程を用いて粉砕する。フィルムを粉砕する方法としては、異なるメッシュサイズの粉砕機を組み合わせて粉砕する方法が用いられる。例えば、粉砕機と押出機が一体となった設備(以下、省略して「粉砕造粒機」と記載する場合がある。)を使用する場合は、粉砕造粒機の粉砕機を含め、少なくとも2段階の工程で粉砕することが好ましい。粉砕造粒機の例としてはEREMA(株)社製の造粒機、アグロメレータKAG500等が挙げられる。
アグロメレータKAG500は投入されたフィルムを2枚の回転刃により粉砕を行うユニットと粉砕物をストランド状に押出しし、これを回転刃でペレット状にカットするユニットを合わせ持つ機器である。しかし、2枚の回転刃のみでフィルムの粉砕を行うと長時間となり、フィルムと回転刃のせん断熱により粉砕機内の温度が上昇し、フィルムが粉砕機内で溶融する可能性がある。また、フィルムを粉砕造粒機に直接投入すると粉砕機内で詰まりが起こり、フィルムが回転刃に接触できない可能性がある。故に複数の粉砕機を粉砕造粒機と併用して用いるのがより好ましい。
アグロメレータKAG500を使用する場合、フィルム粉砕物の大きさを、押出機に入る粉砕物の形状における最大長で規定している。ストランドを押出しする際に供給するフィルム粉砕物の最大長は、好ましくは40mm以下、より好ましくは30mm以下である。最大長が40mm以下であれば、回収造粒の為にフィルム粉砕物を押出機スクリューへ供給する際、供給口で詰まりを起こさず円滑に供給を行うことができる。
(B)ストランドを形成する工程
本実施の形態において、ストランドを形成する工程は、前記工程(A)により粉砕したフィルムを溶融し、押出ししてペレットの前駆体であるストランドを形成する工程である。本実施の形態において必要な樹脂温度範囲はフィルムの融解ピーク面積において、低温側15〜99%であり、好ましくは40〜95%の面積が溶融する範囲であり、より好ましくは、40〜90%の面積が溶融する範囲である。
本実施の形態において、融解ピーク面積において低温側15〜99%の面積が溶融する樹脂温度範囲とは、図1に示す範囲の温度範囲を意味する。そして、該温度範囲内の温度で粉砕したフィルムを溶融する。図1は、融解ピーク面積において低温側15〜99%の面積が溶融する樹脂温度範囲を示す図である。
本実施の形態において、フィルムの融解ピーク面積において低温側15〜99%の面積が溶融する樹脂温度範囲でフィルムを溶融することにより、フィルム中に結晶核を残した状態で押出して、ストランドを形成することができる。
溶融する樹脂温度範囲が99%以下であることにより、押出ししたストランド中の結晶がすべて消失することはない。ストランド中にこの結晶が消失せずに残ると、これを核として結晶が成長する為、ストランドをカットして得たペレットの結晶化速度は早く、カット直後のペレット同士が押出しの余熱により融着しにくくなる。また、ペレットの結晶化度も高くなる為、押出し時の余熱冷却が完了したペレットを再びガラス転移温度以上に加熱してもブロッキングしにくくなる。
溶融する樹脂温度範囲が15%以上であることにより、樹脂の温度しいては樹脂の粘度が過度に下がらない為、スクリューが過負荷になり押出機が停止する問題は発生しない。
本実施の形態においては、他の添加剤や設備の状況などにより適宜樹脂温度範囲は変更することができるが、140〜150℃程度の温度範囲でフィルムを溶融して、押出しすることが好ましい。
(C)ペレットを得る工程
本実施の形態において、ペレットを得る工程は、前記工程(B)により押出ししたストランドを回転刃によりカットし、ペレットを得る工程である。ストランドを押出すダイスは3〜8mmの穴が4〜10個開いているものが好ましい。穴の径と個数は得られるペレットの粒径を勘案して、適宜選択することができうる。ストランドのカットはできる限り少数の回転刃で行うことが好ましく、回転刃の回転速度は速い条件が好ましい。回転刃を高速で回転させることで、遠心力によりペレットが回転刃に付着するのを防ぐ為である。
回転刃に使われる刃は刃先1mmを残して、好ましくは無電解ニッケルめっき、より好ましくは無電解ニッケルにテフロンの微粒子を均一に分散共析させた複合めっきを施すのがよい。めっきをすることによりカットしたペレットが刃に付着するのを防ぐことができる。刃先1mmについてめっきを行わないのは、刃先をめっきすると刃の切れ味が落ち、ペレットのカット性が悪くなる問題が発生する為である。
本実施の形態では押出機から押出されたストランドをカットする際、カットする部分に空気を吹き付けるのが好ましい。ストランドは押出機から押出された直後、高い余熱をもっており、その状態でカットを行うのは困難である。そこでカットする箇所に冷却した空気を吹き付けることにより、カット性を上げることができる。吹き付ける空気の温度として必要な範囲は好ましくは0〜30℃であり、より好ましくは0〜20℃である。
吹き付ける空気の温度が0℃以上の範囲内であれば、ダイの表面が吹き当てた空気により冷却されない為、温度調節が上手くいき、安定して押出しできる。
吹き付ける空気の温度が30℃以下の範囲内であれば、ペレットのカット性が良好な為、カットしたペレットが刃に付着し、次に切ったペレットと融着をおこす問題や、カットしたペレット樹脂が刃から離れず糸をひいた状態となり、ペレット形状が変形する問題等を抑制することができる。
(D)ペレットを冷却する工程
本実施の形態において、ペレットを冷却する工程は、前記工程(C)によりカットした直後のペレットを空気中に、それぞれが他のペレットと融着しないように独立して浮遊させて冷却する工程である。空気流中に5秒以上独立して浮遊している状態を保持することが好ましい。ストランドをカットした直後のペレットは高い余熱をもっており、この状態で放置しておくと、融着の可能性が高くなる。そこで0〜30℃の空気流中でペレットを5秒以上冷却することがより好ましい。
通常、このような回収造粒技術ではストランドもしくはカットした直後のペレットを水などの液体媒体を用いて急冷し、押出し直後の余熱による融着を防ぐ場合が多い。
本実施の形態では押出しの際に粉砕物のDSC融解ピーク面積において低温側15〜99%の面積が溶融するような樹脂温度範囲で押出しを行っている為、フィルムに含まれていた結晶が完全には消失しない。従って、押出されたストランドおよびカットされたペレットにもこの結晶が残り、独立浮遊中にこれを核として結晶化が進む為、完全にフィルムの結晶が消失する温度で樹脂を押出した場合に比べ、ペレットの結晶化が速く、ストランドをカットした直後からペレット表面の結晶化が部分的に開始される。従って、余熱が残るペレット同士が空気流中で独立浮遊している間に接触しても融着を抑えることができ、水などの液体媒体を使用せずに、空気流中に独立して浮遊させることで、ペレットを融着しない温度に冷却することが可能である。
ペレットが浮遊する空気の温度として好ましい範囲は0〜30℃であり、より好ましくは0〜20℃である。
空気の温度が0℃以上の範囲内であれば、ペレットが過冷却になり、結露する問題が発生しにくい。
空気の温度が30℃以下の範囲内であれば、ペレットが十分に冷却されている為融着の問題を抑制することができる。
ペレットを浮遊させるのに必要な時間の範囲は、好ましくは5秒以上であり、より好ましくは5〜60秒であり、さらに好ましくは10〜40秒である。
浮遊させる時間が5秒以上の範囲内であれば、ペレットが十分に冷却されている為、融着の問題を十分抑制することができる。
浮遊させる時間が60秒以下の範囲内であれば、こちらの場合もペレットが過冷却になり、結露する問題が発生しないためより好ましい。
本実施の形態において、ペレットの大きさは、一般に実用されているペレットの大きさに準ずればよく、好ましくはペレットの最大長が3〜14mm、より好ましくは5〜10mmである。
ペレットの最大長が3mm以上であれば、ペレット径が小さくなり過ぎ、成形機への空輸時にペレットが空輸配管内で舞い上がり効率的な輸送が困難になる問題や、他の原料との混合不良問題が発生せず好ましい。
ペレットの最大長が14mm以下であれば、ホッパーの出口でペレットが詰まったり、成形機への供給安定性が失われることがなく好ましい。
本実施の形態のフィルムからペレットを製造する方法によれば、回収造粒中に水と接触することなく、得られたペレットの融着、ブロッキング、ブリードアウトが抑制され、大きさが均一であり、重量平均分子量の低下がなく、粒子間の流動性が良好なペレットを得ることができる。
本実施の形態のペレットの製造方法によれば、融着を抑制したペレットを得ることができる。しかし、条件によっては、押出し直後の余熱により融着し、最大長が14mmを超えるペレットが最大で15質量%生じる場合がある。これらペレットを除去する為に、ペレットを貯めて置く容器の上にメッシュサイズ10mmの篩を設置しておくことがより好ましい。
本実施の形態において、融着とは、押出機から押出した柱状のストランドをカットして得たペレットが、カット直後に接触し、押出し時の余熱により互いの界面を失ってペレット同士が繋がり、ペレットに再度力を加えても個々のペレットに分解できない状態を意味する。
本実施の形態におけるペレットが融着している状態とは、2つ以上のペレットが押出し時の余熱により繋がっている状態を意味し、その繋がったペレットの最大長が14mmを超えるものを、融着ペレットと定義付ける。
本実施の形態において、融着の指標として、得られたペレット全量に対する融着ペレットの質量%を測定する。融着ペレットの質量%の好ましい範囲としては15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。融着ペレットの質量%が15質量%以下であれば、成形機への原料供給斑が発生しない。また、ペレットが押出機内でスクリューとシリンダー間でかみ込んだり、うまくスクリューの溝に入ることができず、搬送不良が発生することがない。
本実施の形態において、ブロッキングとは、押出し時の余熱冷却が完了したペレットが外気温、湿度、ペレットの自重により互いの界面を失ってペレット同士が繋がり、ペレットに再度力を加えても個々のペレットに分解できない状態を意味する。
本実施の形態におけるペレットがブロッキングしている状態とは、2つ以上のペレットが外気温、湿度、ペレットの自重により繋がっている状態を意味し、その繋がったペレットの最大長が14mmを超えるものをブロッキングペレットと定義付ける。
本実施の形態において、ブロッキングの指標として、得られたペレット全量に対するブロッキングペレットの質量%を測定する。ブロッキングペレットの質量%の好ましい範囲としては15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。融着の場合と同様に、ブロッキングペレットの質量%が15質量%以下であれば、成形機への原料供給斑が発生しない。また、ペレットが押出機内でスクリューとシリンダー間でかみ込んだり、うまくスクリューの溝に入ることができず、搬送不良が発生することがない。
本実施の形態において、融着ペレットの質量%とブロッキング質量%は、以下の実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施の形態において、ブリードアウト量とはペレット表面から出てくる液状添加剤の量を測定したものである。ブリードアウト量が多いとペレット表面がベタツキ、ペレットの流動性が損なわれる可能性がある。本実施の形態では、押出し直後からペレットの結晶化が進行し、余熱の冷却が完了した際には結晶化はほぼ終了している。その為、ペレットを温度40℃、湿度70%RHの雰囲気下においても、急激な結晶化に伴うブリードアウトは抑制される傾向にある。
本実施の形態において、ブリード性の指標として、ブリードアウト量の好ましい範囲は、40℃−14日間で1000ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。ブリードアウト量が1000ppm以下の範囲内であれば、ペレットの流動性が良好であり、ペレットを安定して成形機へ供給することができる。ブリードアウト量の測定はストランドをカットして得たペレットの温度が25℃に安定したことを確認してから行う。温度が25℃に安定したペレットを温度40℃、湿度70%RHで14日間放置し、ペレット表面からブリードしている液状可塑剤の量を測定した。
本実施の形態において、嵩密度とは単位体積あたりに充填されているペレットの質量を示した値である。本実施の形態では、ペレットの融着もしくはブロッキングの程度を示すパラメーターとして用いており、ペレットの粒径が均一の場合には、粒径の大きさを示すパラメーターとしても用いている。ペレットが融着もしくはブロッキングしている場合は単位体積あたりに充填されるペレットの数が少なくなり、疎充填となる為、嵩密度は小さくなる傾向がある。また、ペレットの大きさが均一の時、ペレットの粒径が小さい方が単位体積あたりに充填されるペレットの数が多くなり、密充填となる。嵩密度が変化すると、ペレットの成形機への供給安定性が失われ、樹脂の押出し量が不安定になる等の問題が発生する。
本実施の形態において、嵩密度の好ましい範囲は0.65〜0.80g/cm3、より好ましくは0.70〜0.80g/cm3である。嵩密度が0.65g/cm3以上であれば、ホッパーの出口でペレットが詰まったり、成形機への供給安定性が失われることがない。嵩密度が0.80g/cm3以下であれば、ペレット径が小さくなり過ぎず、成形機への空輸時にペレットが空輸配管内で舞い上がることなく、効率的な輸送ができる。また、他の原料と混ぜて使用する際、均一に原料を混ぜることができる。
本実施の形態において、重量平均分子量の低下量とは、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(以下、省略して「GPC」と記載する場合がある。)で粉砕前のフィルムに含まれる結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と得られたペレットに含まれる結晶性乳酸系ポリエステル樹脂の重量平均分子量を測定し、その重量平均分子量の差を計算した値である。フィルムからペレットを成形する際、熱がかかる為、ペレットはフィルムに比べ熱履歴が一度多くなっている。故にペレットはフィルムに比べ、重量平均分子量が低下している可能性がある。
本実施の形態において、回収造粒時にペレットの結晶化を促進させる為、フィルム粉砕品の結晶をすべて消失させないように造粒する際の樹脂温度を低く設定している。この為、本実施の形態の方法によれば重量平均分子量の低下は抑制される傾向にある。
本実施の形態において、重量平均分子量の低下量の好ましい範囲は5万以下、より好ましくは3万以下である。重量平均分子量の低下量が5万以下の場合、フィルム粉砕品に比べ、ペレットに含まれる結晶性乳酸系ポリエステル樹脂がほとんど劣化しておらず、再度ペレットを使用してフィルムを製膜しても同じ物性を有するフィルムを得ることができる。
本実施の形態において、安息角とはペレット間の流動性をあらわすパラメーターとして用いる。ペレット間の流動性が悪くなると、成形機への供給安定性を阻害する等の問題が発生する。本実施の形態において、ペレットの形状は互いのペレットが噛み込むような表面形状が凹凸なものではなく、またペレット表面のブリードアウトも抑制されている為、適度の流動性を有する傾向にある。
安息角の測定は以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施の形態において、安息角の好ましい範囲は20〜30°である。安息角が20°以上の範囲内であれば、ペレット間の滑り性が過剰とならず、ペレットを安定して成形機へ供給することができる。安息角が30°以下の範囲内であれば、ペレットの流動性が不良となる問題が発生せず、ペレットを安定して成形機へ供給することができる。
以下、本実施の形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる評価方法および測定方法は以下のとおりである。
実施例および比較例で用いるフィルムの樹脂組成を表1に示す。
Figure 2010001370
*1 結晶性乳酸系ポリエステル樹脂1;結晶性ポリ乳酸樹脂(D体含量4質量%)、カーギル・ダウ社製、(商品名、Natureworks 4042D)
*2 結晶性乳酸系ポリエステル樹脂2;結晶性ポリ乳酸樹脂(D体含量2質量%)、D4PLA*1とD1PLA*3を1:2の比でブレンドして調製した。
*3 結晶性乳酸系ポリエステル樹脂3;結晶性ポリ乳酸樹脂(D体含量1質量%)、カーギル・ダウ社製、(商品名、Natureworks H400)
*4 非結晶性乳酸系ポリエステル樹脂1;非結晶性ポリ乳酸樹脂(D体含量12質量%)、カーギル・ダウ社製、(商品名、Natureworks 4060D)
*5 非結晶性乳酸系ポリエステル樹脂2;非結晶性ポリ乳酸樹脂(D体含量10質量%)、D12PLA*4とD4PLA*1を3:1の比でブレンドして調製した。
*6 非結晶性乳酸系ポリエステル樹脂3;非結晶性ポリ乳酸樹脂(D体含量8質量%)、D12PLA*4とD4PLA*1を1:1の比でブレンドして調製した。
*7 結晶性乳酸系ポリエステル樹脂4;乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂、乳酸−セバシン酸−1,2プロパンジオール共重合体、大日本インキ化学(株)社製、(商品名、プラメート(登録商標)PD150)
*8 結晶性樹脂;エチル−ビニルアセテート(VA含量46質量%)、三井・デュポンポリケミカル社製、(商品名、エバフレックス(登録商標)EV45LX)
*9 非結晶性ポリエステル樹脂4;ポリブチレンアジペート/テレフタレート共重合体、BASF社製、(商品名、エコフレックス(登録商標) FBX7011)
*10 液状可塑剤1;アセチル化モノグリセライド、理研ビタミン(株)社製、(商品名、リケマールPL019)、融点 −90℃
*11 液状可塑剤2;アセチルクエン酸トリブチル、旭化成ファインケム(株)社製、(商品名、ATBC)、融点 −80℃
*12 液状可塑剤3;エポキシ化大豆油、日本油脂(株)社製、(商品名、ニューサイザー510R)、融点 約5℃
(1)融解熱量、融点
融解熱量とは、サンプルであるフィルムをDSC(セイコー電子工業(株)社製、DSC22Cシステム)で測定した際に現れる熱量である。フィルムを細かく切断しアルミニウムパンに5mg秤取り、0℃から、10℃/分で昇温を行い、この昇温過程であらわれる融解ピーク面積が示す熱量を融解熱量とした。また、吸熱ピークを融点(Tm)として測定した。
(2)融解ピーク面積
融解ピーク面積とは、融解ピークとベースラインで囲まれた面積とした。
(3)安息角
ストランドをカットしてできたペレット200gを床面から高さ10cmの位置に設置した直径25mmの吐出口をもつ漏斗に吐出口を塞いだ状態で移した。ペレットをすべて移し終わった状態で、吐出口を開きペレットをいっきに落下させ、床面にできたペレットの山の傾斜角を測定した。
(4)嵩密度
ペレットを150mlの容器に、擦り切れいっぱいまで入れ、容器を振動させた。この振動によりペレットが密に充填される為、容器にさらにペレットが入る空間ができた。この空間に再度ペレットを入れ、容器を振動させ、空いた空間にペレットを入れるという作業を繰り返し、容器擦り切れいっぱいまでペレットが充填され空間ができない状態にした。容器擦り切れいっぱいまで充填されたペレットの質量を秤で測定し、測定値を容積150mlで割ることにより嵩密度を計算により求めた。
(5)重量平均分子量の低下量
常温下でフィルムおよび得られたペレットをそれぞれ細かく切断し、各々20mgをクロロホルム10mlに溶解させた。次に得られた溶液をPVDF製、0.45μmのフィルターでろ過しサンプルを作成した。このサンプルをGPC(装置:alliance2695、検出器:RI waters2414、分析カラム:LF−804×1本、LF−G×1本)を用い重量平均分子量を測定した。測定条件として温度は40℃、流速は1ml/分、標準サンプルはポリスチレンとした。
フィルムおよびペレットの重量平均分子量の差を重量平均分子量の低下量として計算により求めた。
(6)融着ペレットの質量%
生じたペレット全量に対する融着ペレットの質量%は以下のように測定した。ストランドをカットしてできたペレット100gを見分け易くする為、黒い紙の上に置き、定規によりペレットを測り、2つ以上のペレットが繋がり、融着したペレットの最大長が14mmを超えるものを分別した。分別した融着ペレットの質量を秤で測定し、100gに対しての質量%を計算により求めた。
(7)ブロッキングペレットの質量%
生じたペレット全量に対するブロッキングしたペレットの質量%は以下のように測定した。ストランドをカットして得たペレットから融着しているペレットを取り除き、ペレットの温度を25℃に安定させた後、ペレット100gを半径25mmの円筒型容器に入れ、上から10g/cm2の荷重をかけ、40℃×70%RHの雰囲気下に14日間放置した。その後、見分け易くする為、黒い紙の上にペレットを置き、定規によりペレットを測り、2つ以上のペレットが繋がり、繋がったペレットの最大長が14mmを超えるものを分別した。分別したペレットの質量を秤で測定し、100gに対しての質量%を計算により求めた。
(8)ブリードアウト量
温度が25℃に安定したペレット6gを温度40℃、湿度70%RHの雰囲気下で14日間放置した後、ペレット表面から出ている液状可塑剤量を定量し、ペレットに含まれていた液状添加剤の総量に対する定量値の質量%を計算した。ペレット表面から出ている液状可塑剤量の定量は、ドライアイスにより−78℃まで冷却したメタノールにペレットを投入し、ペレット表面を5分間攪拌洗浄し、洗浄した後のメタノール中に含まれる液状添加剤の量をガスクロマトグラフィー(装置:HP6890、Agilent社製、分析カラム:HP−1)を用いて行った。この時の測定条件として、分析カラム温度は180℃から300℃まで10℃/分で昇温、注入口温度は300℃、検出器温度は300℃、注入量は2μl、注入法はスプリット注入法(5:1)とした。
[実施例1]
表1にあるAの組成を押出機混練部分の樹脂温度を約190℃にし十分に溶融混練した。液状可塑剤であるDACG、ESOは押出機のシリンダーに設けられた液注入部より、定量送液ポンプを利用して注入した。混練されたAの組成物は押出機先端に設けたTダイから樹脂組成物としてシート状に押出した。次いで鏡面仕上げした平滑な表面を持ち、Tダイのダイリップから3mm以内の位置にロール表面が存在するように設置された表面温度15℃のキャストロール上に、押出シートを導き該ロール表面に均一に接触させることでこれを急速に冷却した。
次に十分冷却された押出シートを、ロール式縦延伸機に導入した。延伸ゾーンのロール表面温度は50℃であり、延伸ゾーンに配置されたロールの上流側と下流側のロールの回転速度差により縦方向に2.5倍延伸した。縦延伸後の延伸フィルムをすぐに表面温度15℃の冷却ロールに導き、ガラス転移温度以下に速やかに冷却した。その後、延伸フィルムをテンター式横延伸機に導入し、延伸温度55℃で横方向に4倍に延伸した後、続いて連続的に熱処理工程に送った。この熱処理工程は縦横方向に緊張したフィルムを雰囲気温度130〜135℃のゾーンに約8秒間通過して行った。こうしてDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムが得られた。
このフィルムのうち横延伸時クリップでチャックしていた部分をホーライ(株)社製の粉砕機とEREMA(株)社製の造粒機、アグロメレータKAG500を用いて粉砕した。粉砕物の大きさはホーライ(株)社製の粉砕機を通過した時点で最大長が60mm以下、アグロメレータKAG500で粉砕した後は30mm以下となった。次にアグロメレータKAG500を用い、粉砕したフィルムを直径4mmの穴が6つあいたダイスから押出した。押出時の樹脂温度は粉砕物の融解ピーク面積において50%が溶融する樹脂温度で行った。押出機の回転数はフィルム粉砕物の供給量21kg/hに対し170rpmで行い、アグロメレータKAG500は単軸押出機(スクリュー径:Φ37mm、L/D=10)を用いた。次にダイスから押出された直径4mmのストランドを回転刃によりカットしてペレットを得た。この時、回転刃の速度は1420回転/min、刃はカニフロンを施したものを利用した。さらに、カットする部分に冷却した空気を吹き当て、カットして得たペレットは15℃の空気流中に15秒間独立して浮遊させた。
このようにして得られたペレットについて安息角、嵩密度、重量平均分子量の低下量、融着ペレットの質量%、ブロッキングペレットの質量%、ブリードアウト量を測定した。これらの結果を表2に示す。
[実施例2]
組成物Aの代わりに組成物Bを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が28mJ/mgであるB組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において49%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例3]
組成物Aの代わりに組成物Cを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が22mJ/mgであるC組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において47%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例4]
組成物Aの代わりに組成物Dを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が30mJ/mgであるD組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において52%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例5]
組成物Aの代わりに組成物Eを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が35mJ/mgであるE組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において45%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例6]
組成物Aの代わりに組成物Fを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が22mJ/mgであるF組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において50%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例7]
組成物Aの代わりに組成物Gを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が22mJ/mgであるG組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において51%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例8]
組成物Aの代わりに組成物Hを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるH組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において51%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例9]
組成物Aの代わりに組成物Iを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるI組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において52%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例10]
組成物Aを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。カット時吹き当てる空気の温度、およびカット直後のペレットを独立して浮遊させる空気流の温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
カット時吹き当てる空気の温度、およびカット直後のペレットを独立して浮遊させる空気流の温度は10℃であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例11]
組成物Aを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。カット時に空気を吹き当てないこと以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例12]
組成物Aを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。カット時に吹き当てる空気の温度、およびカット直後のペレットを独立して浮遊させる空気流の温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
カット時に吹き当てる空気の温度、およびカット直後のペレットを独立して浮遊させる空気流の温度は20℃であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例13]
組成物Aを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。カット時に吹き当てる空気の温度、およびカット直後のペレットを独立して浮遊させる空気流の温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
カット時に吹き当てる空気の温度、およびカット直後のペレットを独立して浮遊させる空気流の温度は35℃であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例14]
組成物Aを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。カット直後のペレットを空気流中に独立して浮遊させる時間以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
カット直後のペレットを空気流中に独立して浮遊させる時間は3秒であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例15]
組成物Aを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。カット直後のペレットを空気流中に独立して浮遊させる時間以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
カット直後のペレットを空気流中に独立して浮遊させる時間は10秒であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例16]
組成物Aを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において70%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[実施例17]
組成物Aを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において90%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表2に示す。
[比較例1]
組成物Aの代わりに組成物Jを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が4mJ/mgであるJ組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において50%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表3に示す。
[比較例2]
組成物Aの代わりに組成物Kを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が7mJ/mgであるK組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において40%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表3に示す。
[比較例3]
組成物Aの代わりに組成物Lを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が9mJ/mgであるL組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において40%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表3に示す。
[比較例4]
組成物Aの代わりに組成物Mを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が19mJ/mgであるM組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物のDSC融解ピーク面積において45%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表3に示す。
[比較例5]
組成物Aを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物の融解ピーク面積において100%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表3に示す。
[比較例6]
組成物Aを用い、延伸倍率以外は実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が5mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。延伸倍率は縦1.5倍、横1.2倍であった。
押出時の樹脂温度以外は実施例1と同様の方法を用い、得られたフィルムの内、クリップのチャック部分を造粒し、ペレットを得た。
押出時の樹脂温度は粉砕物の融解ピーク面積において40%が溶融する樹脂温度であった。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表3に示す。
[比較例7]
組成物Aを用い、実施例1と同様の方法でDSCの融解熱量が25mJ/mgであるA組成のフィルムを得た。このフィルムのうち横延伸時クリップでチャックしていた部分をホーライ(株)社製の粉砕機とEREMA(株)社製の造粒機、アグロメレータKAG500を用いて粉砕した。
次に単軸押出機を用い、粉砕したフィルムを直径4mmの穴が6つあいたダイスから押し出しした。押出時の樹脂温度は粉砕物の融解ピーク面積において50%が溶融する樹脂温度で行った。押出機の回転数はフィルム粉砕物の供給量21kg/hに対し170rpmで行い、ストランドを得た。得られたストランドは水温25℃の水槽に導き、冷却した後、カットしてペレットを得た。得られたペレットに対して、実施例1と同様の測定を行った結果を表3に示す。
Figure 2010001370
Figure 2010001370
表2および表3の結果から、本実施の形態の製造方法により得られた実施例1〜17のペレットは、融着、ブロッキング、ブリードアウトが抑制され、大きさが均一であり、重量平均分子量の低下がなく、粒子間の流動性が良好なペレットであった。
一方、融解熱量が10mJ/mg未満であるフィルムを用いる比較例1〜3および6の製造方法により得られたペレットは、融着、ブロッキングが起こった。また、安息角が大きく、嵩密度が疎であることからも大きさが均等でないペレットが得られた。
70:30より結晶性乳酸系ポリエステル樹脂の割合が小さいフィルムを用いる比較例4の製造方法により得られるペレットは、ペレット同士が融着するとともにペレット中の液状可塑剤がブリードアウトした。また、安息角が大きいことからも大きさが均等でないペレットが得られた。さらに、ペレット中の重量平均分子量が低下していた。
融解ピーク面積において99%を超えて溶融する樹脂温度で溶融し、押出しした比較例5の製造方法により得られたペレットは、融着、ブロッキングが起こった。また、安息角が大きく、嵩密度が疎であることからも大きさが均等でないペレットが得られた。
カットされたペレットを水冷により冷却する比較例7の製造方法により得られたペレットは、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂が加水分解を起こしペレット中の重量平均分子量が大きく低下した。また、実施例1〜15で得られるペレットに比べ、液状可塑剤のブリードアウトが多く起こった。
本発明によれば、結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤を、質量比が70:30〜95:5の範囲で含有し、かつ融解熱量が10〜55mJ/mgである結晶性乳酸系ポリエステルフィルムから、回収造粒中に水と接触することなく、得られたペレットの融着、ブロッキング、ブリードアウトが抑制され、大きさが均一であり、重量平均分子量の低下がなく、粒子間の流動性が良好なペレットの製造方法を提供することが可能となる。
そして、本発明によれば、使用原料、廃棄物の削減に有用な回収造粒の方法を提供することができる。
融解ピーク面積において低温側15〜99%の面積が溶融する樹脂温度範囲を示す。

Claims (5)

  1. 結晶性乳酸系ポリエステルフィルムからペレットの製造方法であって、
    (A)結晶性乳酸系ポリエステル樹脂と液状可塑剤を、質量比が70:30〜95:5の範囲で含有し、かつ融解熱量が10〜55mJ/mgである前記フィルムを粉砕する工程、
    (B)前記フィルムの融解ピーク面積において低温側15〜99%の面積が溶融する樹脂温度範囲で粉砕したフィルムを溶融し、押出ししてストランドを形成する工程、
    (C)前記ストランドをカットしてペレットを得る工程、
    (D)前記ペレットを空気流中に独立して浮遊させて冷却する工程、
    を含む製造方法。
  2. 前記(C)が、カットする部分に空気を吹き付けて前記ストランドをカットする工程である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記(D)が、0〜30℃の空気流中で冷却する工程である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記(D)が、5秒以上独立して浮遊させて冷却する工程である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法により得られるペレット。
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