JP2009543058A - 結合相互作用を分析する方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、ポアを介して未結合成分および任意の結合した成分を移行させ、かつ未結合成分および結合した成分を検出することによって、結合成分と受容体成分との間の結合相互作用を分析する方法に関する。一実施形態においては、この方法は、(a)1つまたは複数の結合成分を受容体成分と接触させる工程、(b)該ポアを介して該未結合成分および結合した成分を移行することによって該未結合成分と任意の結合成分とを検出する工程および(c)受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数を決定する工程を含む。

Description

リガンドとその同族の結合パートナーとの間の結合相互作用は、多くの化学的プロセスおよび生物学的プロセスにとって重大な意味を持つ。例えば、生体高分子間(例えば、タンパク質とDNAとの、または1つのタンパク質と別のタンパク質との)の相互作用は、細胞発生および細胞活性を制御するために重要な調節ネットワークを形成する。一部の結合相互作用(例えば、リガンドとその対応する細胞受容体との相互作用)にとって、受容体占有時間が対応する生物学的応答の強度を調節可能なため、その細胞受容体とリガンドとの相互作用強度を決定することが望ましい。より複雑な結合相互作用(例えば、結合部位間の協同作用)は、その後の生物学的現象を精巧に調節することができる。例えば、バクテリオファージλの溶解相か溶原性相かの決定は、3部分からなるリプレッサー結合部位に協同的に結合するλリプレッサータンパク質cIの活性に一部は依存する。そのオペレーター部位に結合するcIリプレッサーの協同的性質のために、リプレッサータンパク質濃度のわずかな変化は、バクテリオファージを溶原性モードから溶解モードに、またはその逆へと誘発することができる。従って、複雑な結合現象(例えば、協同結合相互作用およびアロステリック結合相互作用)を理解することは、生物系が特定のプロセスを調節する方法に関する研究に役立つ。
多くの異なる方法が、相互作用する分子間の結合特徴を確認するために利用できる。溶液に基づく1つの一般的なアプローチは平衡透析である。これは、受容体に対しては不透過性であるが、リガンドに対しては透過性のある膜によって受容体成分が捕捉される技術である。標識リガンドを用いて、種々のリガンド濃度で受容体に結合するリガンドの量を決定する。これは、平衡結合定数、リガンドに対する相互作用部位の数、および協同相互作用の存在または非存在を推定するための十分な情報を提供できる。結合相互作用を研究する他のアプローチとしては、クロマトグラフィおよび沈降分析が挙げられる。クロマトグラフィアプローチは、混合物がクロマトグラフィ媒体内で分離される(例えば、分子ふるい)とき、相互作用する混合物の溶出挙動を調べるのに対して、沈降分析は、高遠心力に掛けられたときの混合物の平衡沈降挙動を調べる。場合によっては、遊離成分および結合した成分の吸収および/または放出特性が識別可能な分光技術は、分析のための別のアプローチを提供する。分光技術を用いる例としては、1つのポリヌクレオチドから別のポリヌクレオチドへのアニーリング/変性を検出するのに用いられる濃色シフト(hyperchromicity)、および相互作用する分子に付着したドナー発色団とおよびアクセプター発色団との間の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)がある。
前述の技術は、分子間の相互作用の有用な尺度を生成可能ではあるが、これらの技術は分析のためかなりの量の試料を必要とする可能性がある。これは、結合成分および受容体成分がすぐに入手できない場合、または多数の結合相互作用を評価する必要がある場合、相互作用の研究には適さないこともある。分光技術は、また、必要なスペクトル特性を有する分子に限定される。分光技術が検出可能な標識を使用する場合、相互作用する成分は適切に標識される必要がある。標識成分の結合活性が修飾に反応する場合、これは問題になり得る。
相互作用する2つの分子の結合特徴を確認するためのより感度の高い技術は、相互作用する分子のうちの1つを表面に付着させることと、分子が結合したその表面へのリガンドの結合に関連するシグナルを検出することとを用いる。リガンドまたは受容体は、結合複合体を検出するために検出可能な標識でタグを付けられるが、結合現象の検出が、表面物質の測定可能な特性への変更に依存する場合、標識が回避されることは可能である。そのような特性の例としては、特に、金層の円偏光の反射(すなわち、表面プラズモン共鳴)または電極表面の電気伝導性(例えば、非特許文献1を参照のこと)が挙げられる。
表面における結合相互作用の分析は感度の高い技術であり、結合パラメータの測定を簡略化でき、適切な場合、検出可能な標識の使用を回避できる。しかし結合現象に対する表面効果は、結合相互作用の分析を複雑にする可能性がある。例えば、リガンドの表面への物質移行が結合速度に対して遅い場合、溶液中で観察される一般的な結合特徴からの逸脱が起こり得る。さらに、結合受容体は、自由に拡散することができないため、リガンドとの相互作用の動態に影響を及ぼす可能性があり、それによって溶液挙動からの逸脱に別の要素が加わる。
Myszka,D.、Methods Enzymol.(2000)323:325−340
従って、高い感度を維持しながら、標識の使用を回避し、表面結合の影響を避ける、結合相互作用を調べるために有用な代替技術を見出すことが望ましい。
詳細な説明
以下の詳細な記述は、単に典型的な例および説明であって、本開示を制限するものではないことが理解される。本開示では、単数の使用は、特に明記しない限り複数を含む。また、「または」の使用は、特に指定のない限り、「および/または」を意味する。同様に、「(複数を)含む」、「(単数を)含む」、「含むこと」、「(複数を)含める」、「(単数を)含める」、および「含めること」とは、互換性のある用語であり、限定することを目的としない。
種々の実施形態の記述で用語「含むこと」を使用する場合、特定の場合には、実施形態は用語「のみから実質的になる」または「のみからなる」を用いて代わりに記述することも可能であると当業者は理解することがさらに理解される。
本明細書で使用するセクションの見出しは、構成のためだけであって、記述する対象を限定すると解釈されるべきではない。
2.1 結合相互作用および結合相互作用の分析方法
本開示は、溶液中の少なくとも2つの成分間の結合相互作用を分析する方法を提供する。本発明の方法は、混合物を検出領域に通して、結合混合物中に存在する種々の未結合型および結合型を定量化することによって混合物中の種々の成分を検出および識別する能力に基づく。本発明の実施形態では、検出領域は、相互作用する成分を移行させるポアまたはチャネルの部分である。未結合成分および結合した成分の検出可能な特性の相違に基づいて、受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数を決定することができる。この測定は、結合相互作用の種々のパラメータ(例えば、平衡結合定数、結合速度および解離速度、ならびに受容体成分上での複数の部位間の相互作用)を評価するために十分な情報を提供する。結合相互作用が表面上よりむしろ溶液中で行われるために、分析方法は、表面で行われる結合反応に付随する複雑な状態を回避する。
通常、結合相互作用の分析方法は、未結合成分およびいずれの結合した成分もポアを介して移行させることが可能な溶液中で1つまたは複数の結合成分と受容体成分とを接触させることを含む。混合物を形成してから、以下にさらに記述するように、混合物中の成分は、適切な径のポアを介して移行し、適切な検出技術を用いて検出される。種々の実施形態では、ポアは、そのポアを介して移行される成分を検出するための検出領域を含む。結合混合物中の各成分に付随する検出シグナルパターンが他の成分で観察されるシグナルパターンと識別できる場合、混合物中の様々な成分は定量化されることが可能となる。結合相互作用を示す種々のパラメータは、受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数を決定することで評価することができる。
本明細書で使用するように、「結合相互作用」とは、1つの成分と別の成分との任意の物理的結合をいう。相互作用は、共有結合性相互作用および非共有結合性相互作用を含み得る。非共有結合性相互作用は、特に、疎水性相互作用、双極子間相互作用、ファンデルワールス力、水素結合、イオン相互作用、およびそれらの組み合わせを含み得る。相互作用する成分は、いかなる分子または組成物であってもよい。「特異的」結合相互作用とは、相互作用が飽和性の結合挙動を示すように、受容体分子上の特定の相互作用部位への結合成分の結合をいう。通常、相互作用部位が50%飽和する結合成分の濃度は、平衡結合定数Keqと呼ばれる。平衡結合定数の逆は、平衡解離定数(KdissまたはKds)である。特異的な相互作用のKdsは、約10−2M以下から、約10−4M以下、10−7M以下、10−10M以下、約10−14M以下の範囲であり得る。特異的結合相互作用に加えて、一部の結合相互作用は、本来は非特異的である。本明細書で使用するように「非特異的」相互作用とは、受容体成分への結合成分の結合が結合成分の濃度と直線比例し、従って特定結合部位の飽和が観察される条件下で、飽和性結合を示さない結合相互作用をいう。結合相互作用には、特異的相互作用および非特異的相互作用の混合を含められる。
用語「結合成分」とは、結合相互作用における受容体成分と結合可能な任意の化合物もしくは組成物をいう。結合成分は、一例として、有機小分子リガンド、ポリペプチドおよびポリペプチド類似体、核酸塩基ポリマー(例えば、ポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド類似体)、糖質(例えば、単糖、オリゴ糖、および多糖)、ならびに脂質および関連する脂肪酸を含み得るが、これらに限定されない。一部の実施形態では、結合成分は、単一分子(例えば、単一のタンパク質もしくはオリゴヌクレオチド)であり得、または共に結合成分を形成する複数分子の複合体を含むこともある。結合成分の複合体の例としては、特に、タンパク質−タンパク質、小分子−タンパク質、糖質−タンパク質、タンパク質−ポリヌクレオチド、および小分子−核酸塩基ポリマーの複合体が挙げられる。例えば、DNA結合タンパク質は、二量体化して、ポリヌクレオチド上の特定の配列に結合することが可能な活性DNA結合複合体を形成することが知られている。
用語「受容体成分」とは、結合相互作用において結合成分と結合可能な任意の化合物または組成物をいう。受容体成分は、有機小分子、ポリペプチドおよびポリペプチド類似体、核酸塩基ポリマー(例えば、ポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチド類似体)、糖質(例えば、単糖、オリゴ糖、および多糖)、ならびに脂質および関連する脂肪酸を含み得る。一部の実施形態では、受容体成分は、単一分子(例えば、単一のタンパク質もしくはオリゴヌクレオチド)であり得、または共に受容体成分を形成する複数分子の複合体を含むこともある。受容体成分の複合体の例としては、特に、タンパク質−タンパク質、小分子−タンパク質、糖質−タンパク質、タンパク質−ポリヌクレオチド、および小分子−ポリヌクレオチドの複合体が挙げられる。例えば、エストロゲン受容体は、αおよびβサブユニットの二量体を含み、従ってαα、ββ、およびαβの二量体を含む種々の受容体サブユニットを形成することができる。種々の結合成分および受容体成分は以下に記述する。
用語「相互作用部位」とは、結合成分と相互作用可能な受容体成分上の任意の部位をいう。一部の実施形態では、相互作用部位は、溶液に接触しやすいまたは接触しにくい受容体成分の表面または内部であり得る。一部の実施形態では、結合相互作用は、相互作用部位が溶液に接触しやすいことを必要とするが、接触しにくい相互作用部位は、他の結合成分(例えば、アロステリック化合物)の作用によって溶液に接触しやすくすることが可能となる。相互作用部位は、単一受容体成分上に存在し得るか、または受容体成分の複合体の形成を介して生成されることも可能である。種々の実施形態では、以下にさらに記述するように、受容体成分上に存在する相互作用部位の数は、1つまたは2つ以上であり得る。
場合によっては、結合成分は受容体成分として記述することも可能であり、逆もまた同様であるため、当然のことながら、結合成分または受容体成分としての成分の記述は限定することを目的としない。
結合成分が受容体成分と接触すると、混合物は未結合成分を、結合相互作用が起こる場合、結合した成分を含み得る。「未結合成分」とは、他の成分に結合していない結合成分または受容体成分をいう。従って、未結合成分は、溶液中に遊離で存在する結合成分および受容体成分である。「結合した成分」とは、物理的に受容体成分と相互作用するまたは結合し、それによって複合体の形をとる結合成分をいう。
様々な種類の結合相互作用は、特徴付けられ記述されている。単一の相互作用部位が受容体成分上に存在する場合、結合成分(L)と受容体成分(M)との間の結合相互作用は、以下の反応によって記述できる:
Figure 2009543058
上記の結合相互作用では、MおよびLは、未結合成分を表し、MLは結合した成分を表す。反応の平衡結合定数は、以下のように表される:
Figure 2009543058
解離定数Kdsは、Keqの逆である。単一の相互作用部位を有する受容体成分の場合、飽和度(Y)は、結合成分で飽和した受容体成分の割合である:
Figure 2009543058
飽和度は、以下の解離定数で表すことができる:
Figure 2009543058
従って、結合した成分の濃度または結合していない結合成分および/または結合していない受容体成分の濃度を確定することは、単一の相互作用部位に関与する結合相互作用の解離定数を決定するための十分な情報を提供することを可能にする。この種類の反応は、通常、Langmuir等温式と呼ばれる。受容体成分が結合成分で半分飽和される場合、結合成分の濃度は、解離定数Kdsと等しい。
受容体成分上に複数の相互作用部位が存在し、かつそれらの相互作用部位が他の相互作用部位での結合に影響しない結合相互作用の場合、その結合相互作用は、受容体成分の分子ごとに結合する結合成分のモルを表すvを参照して記述することができる。各部位に対して同じKdsを有するn数の相互作用部位を有する受容体成分の場合、結合相互作用は、以下に一般化することができる:
Figure 2009543058
上記の式は、受容体成分の1つの部位への第1の結合成分の結合が、第2の相互作用部位への第2の結合成分の結合を変える相互作用を説明していない。相互作用部位間のそのようなコミュニケーションには、特に、協同的相互作用およびアロステリック制御が挙げられる。本明細書で使用するように、「協同的相互作用」および「アロステリック制御」とは、受容体成分上の第1の相互作用部位への第1の結合成分の結合と、第2の相互作用部位への第2の結合成分の結合に対するその影響とをいう。協同的相互作用は、アロステリック制御の特殊形態であり、結合成分への受容体成分の親和性における変化をいい、親和性における変化は、受容体成分にすでに結合した結合成分の量に依存する。第1の結合成分の結合が、第2の結合成分に結合する第2の相互作用部位のより高い親和性をもたらす場合、正の協同作用が存在する。第1の結合成分の結合が、第2の結合成分に結合する第2の相互作用部位のより低い親和性をもたらす場合、負の協同作用が存在する。一部の実施形態では、協同的相互作用は、以下の反応によって表すことができる:
Figure 2009543058
ここでnは、受容体成分M上の相互作用部位の数である。この反応の平均平衡結合定数は以下の通りである:
Figure 2009543058
無限の協同作用が存在する反応の場合、値v(受容体成分のモルあたりに結合した結合成分のモル)は、以下のように表すことができる:
Figure 2009543058
飽和度Yは、Y=v/nであるので、上記の式を以下のように約分する:
Figure 2009543058
ここでKds=1/Kである。上述のように、前述の式は、無限の協同作用に基づく。協同性が低い系の場合、結合相互作用は、経験的に以下のように記述することができる:
Figure 2009543058
ここでnは、Hill係数として知られている。Hill係数は、協同性の程度を表す。ここで値1は非協同作用を示し、N(結合したリガンドの総数)のn値は無限の協同作用を示す。n>1の値は、負の協同作用を示し、一方n<1の値は、正の協同作用を示す。
種々の結合相互作用の記述が示唆するように、結合パラメータは、受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数を決定することで得られる。これは、反応混合物中の未結合リガンド、未結合受容体成分、および/または結合した成分の濃度を決定することによって成し得る。一部の実施形態では、受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数は、結合成分および受容体成分の様々な濃度で決定される。他の実施形態では、受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数は、結合成分の様々な濃度および受容体成分の一定(つまり同じ)濃度で決定される。例えば、結合成分の濃度が上昇すると、平衡結合定数を決定する系に付加されることが可能となる。低濃度はKdsの範囲であり、一方、高濃度は、はるかに高くかつ結合部位の飽和に近づく。それ故、結合濃度測定の範囲は、数桁を超えることが多い。反応における成分のうちの1つを様々な濃度で使用することによりKdsを決定する典型的な方法は、以下の方程式によって表される:
Figure 2009543058
上述のように、[ML]は、結合成分[L]の様々な濃度でおよび受容体成分[M]の固定濃度で結合した成分の濃度である。[L]の様々の濃度で受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数を決定することで結合した成分の濃度[ML]を測定することができ、それによってKdsの算出が可能となる。
一部の実施形態では、結合動態(例えば、結合速度定数(kon)および解離速度定数(koff))も、本発明の方法を用いることで調べられる。例えば、結合反応の結合相は、結合成分と受容体成分とを急速に混合することによって(例えば、これらの成分を別々に、検出領域と流体連通している混合チェンバーに注入することによって)評価することができる。この混合物は、次いで、受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数を決定するためにポアおよび検出領域を介して移行される。平衡が達成されるまでに形成される複合体の集計は、結合速度定数を決定するために使用できる。単一の相互作用部位を有する受容体成分が関与する反応の場合、結合動態は、以下のように表される:
Figure 2009543058
ここで、d[ML]/dtは、時間の関数としての結合した成分の数における変化である。時間tで、[M]は、[Mtotal]−[ML]によって与えられる。次いで、結合速度は以下のように表される:
Figure 2009543058
混合から[ML]の平衡値の近傍の点または平衡値までの所要時間を測定し、それを結合速度の定数を決定するために用いることができる。測定を簡略化して解離の影響を減少させるために、解離がごくわずかな条件下で(例えば、[ML]複合体が相当量形成される前に)測定が行われ得る。MおよびLが異なる成分を表す場合、結合速度の定数を決定することは、以下によって簡略化できる。(1)MとLとを混合し、MおよびLの様々の濃度で初速度を推定する、(2)[M]=[L]の条件下で実験を行い、それによって均一な二量体化反応を模倣する、または(3)[L]が長期間著しく変化しないように[L]が[M]を大きく上回る場合、その速度を測定する。
一部の実施形態では、本発明の方法は、解離速度定数を決定するために用いられる。例えば、結合成分および受容体成分を混合して結合相互作用が起こることを可能にし、次いで急速に希釈して受容体成分から結合した結合成分の解離を引き起こさせる。結合反応がごくわずかな条件下で解離反応を測定し(例えば、解離した複合体が著しく再結合する前に)、または最終希釈濃度がKeqをはるかに下回る条件下で実験を行うことによって、速度平衡を以下のように簡略化する:
Figure 2009543058
同様に、時間関数として受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数の減少は、解離速度定数を推定するために使用され得る。速度定数を決定する他の方法は、当業者にとって明らかであり、本明細書で開示する実施形態に限定されるものではない。
上述に従って、種々の結合相互作用は、本明細書に記述する方法を用いて分析される。一部の実施形態では、受容体成分が単一の相互作用部位(すなわち、相互作用部位の数nは、ここではn=1)、上述の基本式を有する、結合相互作用を調べるために本発明の方法が用いられる。他の実施形態では、結合相互作用は、相互作用部位のnが1より大きい複数の受容体成分を含み得る。一部の実施形態では、調べた結合相互作用は、相互作用部位のnの数が2以上、4以上、8以上、10以上、および20以上である1つの受容体成分を含み得る。一部の実施形態では、結合相互作用は、相互作用部位のnの数が20より大きい受容体成分(例えば、ポリヌクレオチドと相互作用する挿入剤(intercalator)等のポリマーへの小分子の結合)を含み得る。一部の実施形態では、結合相互作用は、nが2から10までの相互作用部位を有する複数の受容体成分を含み得る。
一部の実施形態では、相互作用部位の数が1より大きい場合、それぞれの相互作用部位は、同一の平衡結合定数を含むことができる。他の実施例では、相互作用部位の数が1より大きい場合、相互作用部位のうちの少なくとも2つは、異なる平衡結合定数を含むことができる。これらの相互作用の例としては、特に、アロステリックに調節された酵素とタンパク質がある。場合によっては、相互作用部位のすべては、特に、協同的相互作用に関与する系において異なる平衡結合定数を有することができる。協同的相互作用は、多数の生物相互作用(例えば、その同族リガンドの酸素に結合するヘモグロビンおよびそのオペレーター部位へのcIリプレッサーのλファージの結合)で見られる。
一部の実施形態では、受容体成分が複数の相互作用部位を含む場合、その受容体成分は、少なくともそれぞれ異なる第1と第2の相互作用部位を含む可能性がある。異なる相互作用部位とは、第2の結合成分との相互作用と比較して、第1の結合成分と相互作用する受容体成分の異なる部分をいう。異なる相互作用部位を含む受容体成分の実施形態としては、特に、別の結合成分に結合するためにアロステリックに調節されるタンパク質および制御リガンドに結合するタンパク質が挙げられる。この種類の結合の種々の例は、当業者にとって明らかである。
一部の実施形態では、結合成分と受容体成分とが同一の成分である結合相互作用を調べるために本発明の方法が使用され得る。これらの結合相互作用は、同種の結合相互作用である。同種の相互作用の例としては、一例として、タンパク質サブユニットの二量体化、またはパリンドローム配列を有するポリヌクレオチドのアニーリングが挙げられるが、これらに限定されない。
他の実施形態では、結合成分と受容体成分とが異なる結合相互作用を調べるために本発明の方法を使用できる。これらの結合相互作用は、不均一相互作用または異種相互作用である。この種類の典型的な結合相互作用としては、例えば、タンパク質−DNA相互作用、タンパク質−小分子相互作用、DNA−小分子相互作用、および非パリンドローム配列を有するDNAのアニーリングが挙げられる。
一部の実施形態では、本発明の方法は、複数の結合成分が、少なくともそれぞれ異なる第1の結合成分および第2の結合成分を含む結合相互作用を調べるために使用できる。種々の実施形態では、異なる第1の結合成分と第2の結合成分は、同一の結合部位、重複する結合部位、または重複しない結合部位に結合することができる。
第1の結合成分と第2の結合成分の結合が同一の相互作用部位または重複する相互作用部位で起こる実施形態では、第1の結合部位と第2の結合成分は、受容体成分に競合的に結合する可能性がある。本明細書で用いるように、「競合的に結合する」とは、少なくとも第1の結合成分と第2の結合成分において、第2の結合成分の結合が第1の結合成分の結合を妨げるようにそれぞれ対応する相互作用部位が重複することをいう。競合的に結合する成分のうちの1つの濃度が上昇すると、競合的に結合する他方の成分の結合が減弱または排除される。例えば、酵素−基質の相互作用と関連して、競合的インヒビターは、酵素の活性部位に結合し、基質の結合を抑制する。しかし、基質の濃度が上昇すると、酵素パラメータの最大酵素速度Vが影響されることがないように競合的インヒビターの外で競合し、一方基質Kの見かけの親和性が競合的インヒビターの濃度に依存して影響される。
一部の実施形態では、第1の結合成分と第2の結合成分は、受容体成分に非競合的に結合することができる。本明細書で使用するように、「非競合的に結合する」とは、少なくとも第1の結合成分と第2の結合成分が、競合的な方法以外で受容体成分に結合することをいう。通常、非競合的相互作用では、第1の結合成分は、第2の結合成分の結合が第1の結合成分の結合を直接的に干渉しないように第2の結合成分の相互作用部位と重複しない相互作用部位で結合する。このように、第2の結合成分の結合による第1の結合成分の結合に対するどのような影響も、第1の結合成分の結合との直接干渉以外の機構を介する。例えば、酵素−基質の相互作用と関連して、非競合的インヒビターは、酵素の活性部位以外の部位に結合する。このように、基質濃度が上昇すると、非競合的インヒビターの存在下で示される酵素パラメータのVおよび/またはKにはっきりと影響を与えることはない。
非競合的結合は、第1の結合成分と第2の結合成分が競合的結合および非競合的結合両結合の特徴を有する受容体成分に結合する混合型の相互作用を包含する。また、非競合的結合は、第2の結合成分が第1の結合成分の結合と重複しない相互作用部位で結合するが、第1の相互作用部位が第1の結合成分によって占められている場合、第2の相互作用部位だけに結合する不競合的結合相互作用を含む。例えば、酵素−基質の相互作用と関連して、非競合的インヒビターは、通常、酵素−基質複合体に結合し、それによって見かけの基質親和性Kを上昇させながら、最大酵素活性Vを減少させる(つまり、基質または産物は酵素に結合したまま長く残存する)。
一部の実施形態では、結合成分は、受容体成分に結合するアゴニストを含む。「アゴニスト」とは、受容体成分に結合し、それが結合する受容体成分の生理作用を誘発することが可能な物質をいう。従って、アゴニストの結合は生物作用を引き起こし、一方、以下にさらに記述するようにアンタゴニストはアゴニストの作用を遮断する。例えば、多くの薬物は、同族の受容体成分に結合し、かつ内在性結合成分によって通常誘発されるシグナル伝達系を活性化することによって内在性結合成分の効果を模倣する。
一部の実施形態では、結合成分は、受容体成分に結合するアンタゴニストを含む。「アンタゴニスト」とは、受容体成分に結合し、かつそれが結合する受容体成分の生理作用を抑制または減弱させることが可能な物質をいう。多くの薬物は、内在性受容体アゴニスト(例えば、ホルモンおよび神経伝達物質)の作用を遮断することによって作用する。薬物動態アンタゴニストは、細胞または生物が別の薬物に反応する方法を変化させる薬物をいう。受容体へのアゴニストと競合するアンタゴニストは、競合的アンタゴニストであり、一方他の方法によってアンタゴナイズするアンタゴニストは、非競合的アンタゴニストである。
一部の実施形態では、結合成分はインバースアゴニストを含む。「インバースアゴニスト」とは、その受容体成分のためのアゴニストとして同じ受容体成分の相互作用部位に結合するが、逆の生物学的効果または薬理学的効果を発揮する結合成分をいう。インバースアゴニストの特徴は、アゴニスト活性も遮断するアンタゴニストによる抑制である。
当然のことながら、明示的に記述されるもの以外の結合相互作用も本発明の方法を用いて調べられる。そのような結合相互作用に対するこれらの方法の適用は、当業者にとって明白である。
2.2 未結合成分および結合した成分の検出
本明細書で記述する方法で受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数を決定するために、混合物中の未結合成分および結合した成分は、ポアを介して移行される。用語「ポア」とは、結合成分および受容体成分の通過を制限する任意の狭窄部または制限された容積をいう。ポアとしては,開口部、ホール、およびチャネルが挙げられる。チャネルとしては、特に、検出領域で検出される混合物中の成分の通過のためのトラフ、溝、またはいずれかの導管が挙げられる。ポアまたはチャネルの寸法は、使用される検出モードに依存し得る。しかし、ポアの大きさは、少なくとも、検出するために未結合成分および結合した成分の移行を可能にする大きさである。従って、一部の実施形態では、ポアまたはチャネルは、約100nm以下、約50nm以下、約20以下、約10nm以下、約5nm以下、約2nm以下、または約0.5nmまでの径もしくはチャネル寸法を有するナノポアであり得る。一部の実施形態では、ポアは、単一の結合成分、受容体成分、および/または結合した成分に対してポアを介する移行を限定するのに十分な寸法である。
用語「移行」とは、検出領域で検出するためにポアを介する成分の移動をいう。一部の実施形態では、移行は、力を適用して特定の方向に優先的に成分を移動させる指向性の移行である。力は任意の力(例えば、起電力勾配、圧力勾配、濃度勾配、温度勾配、浸透圧勾配、またはポアを介して混合物中の成分を定方向に輸送することが可能な任意の他の適切な力)であり得る。指向性の輸送のための種々の方法を、さらに以下に記述する。
用語「検出領域」とは、未結合成分および/または結合した成分が検出される領域をいう。検出領域は、ポア内部、ポア上で隣接して、ポアの入口もしくは出口にあってよく、またはポアの一部分もしくはポア全体に存在することができる。種々の配置は、結合混合物中の成分を検出するのに用いられる検出モードに依存する。ポアを介して移行すると、未結合成分および任意の結合した成分は検出領域で調べられ、未結合成分および結合した成分と関連する検出可能な特性を検出する。以下にさらに記述するように、適切な検出モードとしては、一例として、電流遮断、電子トンネル電流、電荷に誘起された電界効果、および/またはポア通過時間が挙げられるが、これらに限定されない。
未結合成分および結合した成分の検出可能特性を検出することによって、検出成分を同定するシグナルパターンを生成する。検出成分と関連するこのシグナルパターンは、一連の参照シグナルパターンと比較可能であり、測定シグナルパターンを混合物中の特定の成分と相関するのに役立つ。参照シグナルパターンは、結合成分および受容体成分を別々に分析し、次いで結合反応におけるそれぞれの成分と関連する特徴的なまたは代表的なシグナルパターンを確認するための混合物として分析することで得られる。
未結合成分(例えば、結合成分および受容体成分)のそれぞれの種ならびに結合した成分のそれぞれの種に対する識別可能なシグナルパターンを生成することが可能な種々の検出モードが用いられ得る。受容体成分が複数の相互作用部位を含む場合、結合した成分のそれぞれの種(例えば、結合した1つの結合成分を有する受容体成分、および結合した2つの結合成分を有する受容体成分)に対して異なるシグナルパターンを生成することができる検出モードが選択され得る。さらに、検出感度に応じて生成されるシグナルパターンは、第2の相互作用部位への結合と比較して第1の相互作用部位への結合を識別することを可能にすることもある。これは、非依存性の結合現象が識別されることができるように第1の結合成分が第2の結合成分と異なる場合、ならびに両結合成分が受容体成分に結合する複合体の場合に、一部の実施形態で可能になり得る。しかし、当然のことながら、結合相互作用の分析は、未結合成分または結合した成分のそれぞれの種を識別することを必ずしも必要としない。一例として、同じ結合成分に対して2つの相互作用部位を有する受容体に関与する相互作用の場合、平均の平衡結合定数は、結合した成分のそれぞれの種を識別する必要なく、結合した成分の総数を決定することによって得られる。
種々の検出モードが本発明の方法に適用可能である。一部の実施形態では、検出可能な特性は、ポアの電気特性に対する移行される成分の影響である。ポアの電気特性としては、特に、電流振幅、インピーダンス、持続時間、および周波数が挙げられる。ポアの電気特性を検出するためのデバイスは、一般に、薄膜もしくは膜に組み入れられたポアを含み、この薄膜もしくは膜は、導体ブリッジによって接続されたシスチャンバーとトランスチャンバーとを分離する。分析される混合物は、一般的に1つまたは複数の溶存塩(例えば、塩化カリウム)を含む水溶液中のポアのシス側に配置される。シス側とトランス側に配置した電極を用いたポア全域への電界の適用を、ポアを介する成分の移行を方向づけるために使用され得る。成分の大きさおよび形状は、ポアを介するイオンの移動に影響を及ぼすことが可能であり、それによってポアの電気特性を変化させる。電流のシグナルパターンを検出する十分なデータ点を得るために、電流は適切な時間頻度で測定される。次いで、生成したシグナルパターンは、一連の参照パターンと比較され、検出される成分を同定することが可能となる。電流振幅、電流持続時間、および電流の大きさにおける変化によって、混合物中の特定の成分のシグナルパターンを明らかにする。ポアの電流特性の測定(例えば、パッチクランプ技術によって)は、種々の参照研究(例えば、Hille,B,2001,Ion Channels of Excitable Membranes,3rd Ed.,Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA.)に記述されている。
一部の実施形態では、検出される特性は、電子の量子トンネル効果である。量子トンネル効果は、粒子の量子波特性を介して古典的には妨げられていたエネルギー状態を通りぬけて遷移する量子力学的効果である。ポテンシャル障壁がドナーとアクセプターとの間の電子の移動に対して存在する場合、通常電子トンネル効果が発生する。電子トンネル効果を検出するために、微細加工電極チップを、検出される成分から約2ナノメートルのところに設置する。適切な分離距離、すなわちその電極チップと成分との間の領域を介する電子トンネルで、およびその電極チップと成分との間に電圧を適用する場合、電子の正味電流(つまり、トンネル効果電流)は、電圧バイアスの方向でギャップを通って流れる。そのデバイスがトンネル効果電流を測定するために検出電極を使用する場合、電子トンネル効果が検出電極と混合物の移行される成分との間に存在するように電極を、移行される成分に近接して位置付けられる。さらに以下に記述するように、移行方向に関連して電極の配置によって、検出される電子トンネル効果の型を決定することができる。
一部の実施形態では、結合相互作用の分析は、移行させる成分(例えば、核酸鎖に沿って縦方向に)を介して起こる電流フローを検出することを含み得る(Murphyら、1994,Proc Natl Acad Sci USA 91(12)5315−9)。そのような電子トンネル効果を検出するために、電極間のギャップが移行方向と平行に存在するように検出電極は移行方向に対して縦方向に位置付けられる。種々の実施形態では、検出電極は、ポアの2つの側を分離する層(例えば、膜)の両側に設置できる。一方、他の実施形態では、検出電極を、ポアの2つの側を分離する層内に設置することもある。
電子トンネル効果の別のモードは、成分全体にわたり(すなわち、ポアを介する移行方向に対して横方向に)起こることである。成分の化学組成、水和構造、荷電イオンとの相互作用、化学基の空間的方向に関する相違は、横方向の電子伝達の特性を変化させることができ、従って結合混合物中の1つの成分と別の成分を識別する基礎を提供する。ポア全体にわたる(例えば、伸長した核酸鎖に対して横方向に)電子トンネル効果の検出のために、検出電極は、ナノポアの一方の側に位置付けられ、移動される成分を調べることできる。横断検出のために、検出電極の先端を、単一の成分を調べるための寸法にすることができる。他の実施形態では、検出電極の寸法は、1つの成分より大きくまたは多く調べるために配置され得る。例えば、ポリヌクレオチドの検出の場合、電極は、結合混合物中の他の成分とポリヌクレオチドを識別して検出するために必要な分解に応じて、約2塩基以上、約5塩基以上、約10塩基以上、または約20塩基以上を調べる寸法にすることができる。
一部の実施形態では、米国特許第6,413,792号および米国特許出願公開第2003/0211502号(これらの開示内容を、参考として本明細書で援用する)に記述されるように、検出技術は電荷に誘起された電界の画像化に基づくことも可能である。電荷に誘起された電界に基づく検出用の半導体デバイスも、これらの参照文献に記述されている。ソース領域とドレイン領域との間に電圧を適用すると、電流のチャネルが半導体に形成される場合、ソース領域からドレイン領域への電流フローがもたらされる。結合混合物中の各成分は随伴電荷を有し得るため、半導体ポアを介する成分の通路は、ポアの内側を覆う半導体物質の伝導率の変化を誘発することができ、それによって特定の大きさおよび波形を有する電流を誘起する。異なる大きさおよび波形の電流は、電荷、電荷分布、および分子の大きさの相違のために、異なる成分によって生成され得る。米国特許第6,413,792号に開示される実施形態では、成分は、p型シリコン層から形成されるポアを通る。本明細書で記述するように、成分の移行は、他のチャネル型を介して成分を移動させるために使用される方法と類似の方法によって達成され得る。電荷に誘起される電流の大きさは、およそマイクロアンペアのオーダーであると考えられ、これは、電子トンネル効果に基づく検出で予想されるピコアンペア電流よりも高い。
当然のことながら、上述は個別の検出技術に関するが、一部の実施形態では、複数の異なる技術を用いて結合混合物を調べらることができる。多重検出モードの例としては、特に、電子トンネル効果電流と組み合わせた電流遮断、および電荷に誘起された電界の画像化と組み合わせた電流遮断が挙げられる。異なる検出モードとの同時検出を用いて、異なる検出モードから得た派生シグナルの検出時間を相関することにより結合反応における成分を同定することができる。混合物中の未結合成分および/または任意の結合した成分を検出すると、上述のように関連する結合パラメータを決定することができる。
種々の検出モードを用いる種々のデバイスで結合混合物を分析することができる。これらのデバイスとしては、特に、膜系または固体系に組み込まれた生物学的なポアまたはチャネルを用いる生物に基づく系がある。この系ではチャネルまたはポアは、製作されたまたは彫刻された固体成分(例えば、シリコン)から全体的にまたは部分的に作製される。生物学的なポアを用いるデバイス(例えば、α−溶血素およびポーリン)は以下に記述されている。Kasianowisczら、1996,Proc Natl Acad Sci USA 93:13770−13773;Howorkaら、2001,Nature Biotechnol.18:1091−5;Szaboら、1998,FASEB J.12:495−502、および米国特許第5,795,782号、第6,015,714号、第6,267,872号、ならびに第6,428,959号(刊行物のすべては、参考として本明細書で援用される)。一部の実施形態では、結合反応の分析は、非生物材料から製作されたポアを介して結合混合物中の成分を移行させることによって行われる。チャネルを含むポアは、いくつかの異なる技術を用いて様々な固体状物質から作製可能である。それらの技術としては、特に、化学溶着、電気化学的溶着、電気メッキ、電子ビーム彫刻、イオンビーム彫刻、ナノリソグラフィ、化学エッチング、レーザー焼灼術、および当該技術分野で周知の他の方法(例えば、Liら、2001,Nature 412:166−169、および国際公開第WO 2004/085609号を参照のこと)が挙げられる。固体状物質としては、一例として、公知のいずれかの半導体物質、絶縁体、および金属が挙げられるが、これらに限定されない。従って、固体ポアとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:シリコン、窒化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム砒素、金属(例えば、金、銀、白金)、金属酸化物、および金属コロイド。
適切な寸法のポアを調製するために、様々なフィードバック法を製作プロセスで用いることができる。イオンがホールを通る実施形態では、固体状物質を通るイオンフローを検出することによって、製作中に生成されたポアの大きさを測定する方法を提供する(例えば、米国特許出願公開第2005/0126905号を参照のこと)。他の実施形態では、電極がポアの大きさを規定する場合、電極間の電子トンネル効果電流はギャップの大きさに関する情報を提供できる。トンネル効果電流が増加することは、電極間のギャップ距離が減少することを示す。他のフィードバック技術は、当業者にとって明らかである。
一部の実施形態では、Liら、2003,Nature Materials 2:611−615に記載されるように、ポアはイオンビーム彫刻を用いて製作することができる。記述されているプロセスでは、低応力窒化ケイ素薄膜の層は、低圧化学気相蒸着を介してシリコン基板上に溶着される。フォトリソグラフィと化学エッチングとの組み合わせを用いて、窒化ケイ素層を残してシリコン基板を除去することが可能となる。ポアを形成するために、集束イオンビーム(例えば、0.5〜5.0KeVエネルギー、および0.1〜0.5mm径のアルゴンイオンビーム)を用いて、窒化ケイ素膜にホールを生成する。イオンビームのパラメータ(例えば、窒化ケイ素がイオンビームに曝される総時間および曝露デューティサイクル)および試料温度を適切に調節することによって、材料を除去しホールを拡大することも、または材料を付加してホールの大きさを縮小することも可能である。室温での短いデューティサイクルのイオンビームの照射は、材料のホールへの移動をもたらすが、5℃での長いデューティサイクルの照射は、ホールの拡大をもたらす。ポアを介して伝わるイオンの量を測定することによって、ポアの最終の大きさを正確に制御するフィードバック機構が提供される(Liら、上掲)。適切な寸法のポアを形成するために、所望の最終ポア寸法よりも大きいホールは、窒化ケイ素の損失をもたらす彫刻パラメータを使用して作製することができる。続いて、ポアの大きさは、最初に形成されたホールに材料を移動させる彫刻パラメータを使用して適切な寸法に調節できる。
他の実施形態では、ポアは、電子ビームリソグラフィと高エネルギー電子ビーム彫刻との組み合わせ(例えば、Stormら、2003、Nature Materials 2:537−540を参照のこと)によって作製できる。公知の方法によって製作されるシリコン・オン・インシュレータを使用して、シリコン膜を形成し、次いで酸化させて酸化ケイ素層を形成することができる。電子ビームリソグラフィと異方性エッチングとの組み合わせを使用して、酸化ケイ素を除去してシリコン層を露出させる。ホールは、KOHウェットエッチングによってシリコン内に作られる。次いで酸化したシリコンが十分な深さの酸化ケイ素層(例えば、約40nmの層等)を形成する。二酸化ケイ素を高エネルギー電子ビームに曝す(例えば、透過型電子顕微鏡から)と、ホール周囲の二酸化ケイ素層は変形する。最初のホールを拡大または縮小するかは、最初の大きさに依存する。50nm以下のホールは、大きさが縮小するように見え、一方、約80nm以上のホールは、大きさが拡大するように見える。イオンビームスパッタリング技術により適切なポアを生成する同様のアプローチがHengら、2004,Biophy J 87:2905−2911に記述されている。この技術では、ポアは、金属酸化膜半導体(CMOS)上で集束高エネルギー電子ビームと超薄膜を生成する一般的な方法とを組み合わせたリソグラフィを用いて形成される。
他の実施形態では、米国特許第6,627,067号、第6,464,842号、第6,783,643号、および米国特許出願公開第2005/0006224号に記述されるように、ポアは窒化ケイ素彫刻によって構築され得る。最初に、窒化ケイ素層は、化学気相蒸着によってシリコン層の両側に溶着される。窒化ケイ素層の一部を露出させて残す方法でフォトレジストを付加してから、片側の露出した窒化ケイ素層を従来のイオンエッチング手法で除去し、反対側は窒化ケイ素で被膜したシリコンを残しておく。シリコンは、何回かのエッチング手法によって(例えば、異方性KOHエッチングによって)除去されることが可能であり、このようにして窒化ケイ素の膜を残す。窒化ケイ素膜の厚さは、シリコン上に溶着される厚さを調節することによって制御可能である。電子ビームリソグラフィまたはフォトリソグラフィを使用することによって、窒化ケイ素層の片側にキャビティを生成し、続いてキャビティの反対側の膜を薄化する。適切な薄化プロセスとしては、特に、イオンビームスパッタリング、イオンビーム支援エッチング、電子ビームエッチング、およびプラズマ反応エッチングが挙げられる。この製作プロセスの多数のバリエーション(例えば、2つのシリコン層の間にはさまれた窒化ケイ素の使用)は、異なる大きさのポアを生成するのに用いられる。上述のように、ポアを通るイオンの速度および/または強度の測定に基づくフィードバック機構は、製作プロセスの間にポアの大きさを制御する方法を提供する。
他の実施形態では、ポアは、金または銀のナノチューブとして構築され得る。一部の実施形態では、これらのポアは、多孔質材(例えば、トラックエッチング法を用いて調製されたポリカーボネートフィルター)の鋳型を使用して、その多孔質材の表面に金または他の適切な金属を溶着させることで形成される。トラックエッチングしたポリカーボネート膜は、通常は、固体薄膜材料を高エネルギー核粒子に曝すことにより形成される。これにより、膜材料内にトラックを作製する。次いで、化学エッチングを用いて、エッチングしたトラックをポアに変える。形成したポアは、約10nm以上の径を有する。核粒子の強度を調節し、膜内に形成されるポアの密度を制御する。ナノチューブは、ポアをエッチングしたトラックに無電解メッキ法によって金属(通常は、金または銀)を溶着させることによりエッチングした膜の上に形成される(Menonら、1995,Anal Chem 67:1920−1928)。この金属溶着方法は、ポア材料の表面に溶着された触媒を使用し、次いでAu(I)および還元剤を含有する溶液に浸漬する。Au(I)の金属Auへの還元は、触媒を含む表面で起こる。溶着した金の量は、インキュベート時間が増加するとフィルター材内のポアの内径が縮小するようなインキュベート時間に依存する。従って、ポアの大きさは、ポアに溶着される金属の量を調節することによって制御され得る。結果として生じるポアの寸法を、種々の技術(例えば、単純拡散を用いることによるガス輸送特性、またはパッチクランプ型系を用いてポアを介するイオン流動を測定することによる)を用いて測定する。支持材は、無処置のまま残すか、あるいは金ナノチューブを残すために除去する。無電解メッキ技術は、約1nm未満〜約5nmの大きさのポア、必要に応じてそれよりも大きいポアを形成することができる。約0.6nmのポア径を有する金ナノチューブは、Ru(bpy)2+2とメチルビオローゲンとを識別するように見え、金のナノポアの選択性示している(Jirageら、1997,Science 278:655−658)。金ナノチューブ表面の修飾は、化合物を含有するチオールを金ナノチューブ表面に付着させることによって、または金ナノチューブ表面を他の官能基で誘導体化することによって容易に達成される。この特徴は、化合物を修飾するポアの付着を可能にする。デバイス(例えば、本明細書に記述する生物学的なポアと共に使用されるシス/トランス装置)は、結合反応を分析するために金ナノポアと共に使用可能である。
検出モードが移行される成分を通る電流フロー(例えば、電子トンネル効果電流)を含む場合、固体膜は、種々の技術によって金属化され得る。導電層は、縦方向の電子トンネル効果電流を介して成分を調べるのに適した電極を生成するために、膜の両側に溶着され得る。一部の実施形態では、導電層は、ポア全体にわたり成分を調べる(例えば、横方向の電子トンネル効果電流)のに適した電極を形成するため、膜の片面に溶着され得る。導電体を溶着させる種々の方法は公知であり、スパッタ溶着(例えば、物理的蒸着)、非電解溶着(例えば、コロイド懸濁液)、および電解溶着が挙げられる。他の金属溶着技術としては、特に、フィラメント蒸発、金属層蒸発、電子ビーム蒸発、フラッシュ蒸発、および誘導蒸発が挙げられる。
一部の実施形態では、検出電極は、スパッタ溶着によって形成可能である。スパッタ溶着では、イオンビームを金属ブロックに照射して、金属原子を蒸発させ、次いで蒸発した金属電子が薄膜の形でウエハー材の上に溶着される。使用されるリソグラフィ法に応じて、金属薄膜は、次いで、反応性イオンエッチング法によってエッチングされるか、または化学機械研磨を用いて研磨される。金属薄膜は、事前に作製されたポア上に溶着されるか、またはポアを製作する前に溶着され得る。
一部の実施形態では、検出電極は、電着によって製作され得る(例えば、Xiangら、2005,Angew.Chem.Int.Ed.44:1265−1268;Liら、Applied Physics Lett.77(24):3995−3997、および米国特許出願公開第2003/0141189号を参照のこと)。これらの製作プロセスは、固体薄膜(例えば、横方向の電子トンネル効果を検出するため)の一面に位置するポアおよび対応する検出電極を生成するのに適している。最初に、従来のリソグラフィプロセスを用いて、シリコンウエハー上に支持される二酸化ケイ素層上に一対の対向する電極を形成する。電解質溶液が両電極を覆い、金属イオンは、電極対を通る電流によって電極の1つの上に溶着される。両電極上の金属の溶着は、やがて電極間のギャップ距離を減少させ、結合反応における成分の移行のための検出電極だけでなく必要な大きさのギャップを作製する。電極間のギャップ距離は、いくつかのフィードバックプロセスによって制御可能である。一部の実施形態では、2つの電極間の距離を制御するフィードバックは、これら2つの電極間の電位差に依存し得る。両電極間のギャップが減少するにつれて、電位差は減少する。他の配置では、両電極間の距離の制御は、電極対を横切る電子トンネル効果電流を用いる(Liら、上掲)。両電極間の距離が減少するにつれて、電子トンネル効果電流は増加する。電子トンネル効果を用いるフィードバック制御は、約1nm未満のギャップ距離を有する電極の製作に適しており、一方電極ギャップ電位に基づくフィードバック制御は、約1〜約10nmのギャップ距離を有する電極の製作を可能にする。電着速度は、電解質濃度および両電極を流れる電流に依存する。定電流を用いて、両電極上に金属層を形成することが可能となる。他の実施形態では、電流パルスを用いて、それぞれのパルスサイクルごとに公知の数の金属原子を電極上に溶着させ、それによって電極製作プロセスの間、正確な制御を確保することが可能となる。
検出が電荷に誘起された電界効果の画像化に基づく場合、半導体デバイスは、米国特許第6,413,792号および米国特許出願公開第2003/0211502号に記述されるように製作できる。これらの検出デバイスを製作する方法は、他の固体ポアを製作するために用いられる方法と類似する技術を用いることができる。一部の実施形態では、電界効果検出器は、二酸化ケイ素層およびp型シリコン層(大多数の電荷担体が正電気を帯びたホールであるドープシリコン)を有するシリコン基板を含むシリコン・オン・インシュレータを用いて作製される。浅いn型シリコン(大多数の電荷担体が負電気を帯びたホールであるドープシリコン)層は、イオン注入およびn型ドーパントの付加によってp型シリコン層に形成され、一方、p型シリコン層を通って延在する別のn型シリコン層は、シリコン・オン・インシュレータの別の領域に形成される。エッチングによるシリコン基板および二酸化ケイ素層の除去によって、最初に形成された浅いn型層と対向する面にp型シリコンが露出される。p型シリコンの新たに露出された面に、第2の浅いn型シリコン層が形成され、p型シリコン層を通って延在するn型シリコン層に接続される。結合反応を分析するために、2つの浅いn型シリコン層およびp型シリコン層を通って延在するポアは、種々の技術によって(例えば、イオンエッチングリソグラフィ(例えば、光ビームまたは電子ビーム)によって)生成される。ポアの大きさを縮小させるために、二酸化ケイ素層はシリコンを酸化させることによって形成可能である。金属層は、最初に形成されたn型シリコン層およびp型シリコンを通って延在するn型シリコン層に付着され、それによってソース領域およびドレイン領域が形成される。
混合物中の成分を分析するための本発明の種々の実施形態では、ポアは、種々の型で形成され得る。一部の実施形態では、デバイスは、2つのリザーバー(シスチャンバーおよびトランスチャンバーとも呼ばれる)(例えば、米国特許第6,627,067号を参照のこと)の間に保持されるポアを含む生物学的な膜または固体状態の膜のいずれかを含む。2つのチャンバー間の電子移動のための導管は、これら2つのチャンバーの電気接触を可能にし、これら2つのチャンバー間の電圧バイアスはポアを介して結合成分の移行を方向づけることを可能にする。この配置のバリエーションは、米国特許第6,015,714号および第6,428,959号、ならびにKasianowisczら、1996,Proc Natl Acad Sci USA 93:13770−13773(これらの開示内容が参考として本明細書で援用される)に記述されるように、生物学的なナノポアを通る電流フローの分析で使用される。
上記のデバイスのバリエーションは、また、米国特許出願公開第2003/0141189号に開示されている。これらの実施形態では、電着によって製作される一対のナノ電極を基板表面に設置する。電極は対向し、かつ分析される成分の通過のために十分なギャップ距離を有する。絶縁体はナノ電極を保護し、検出の目的で電極の先端だけを露出させる。絶縁体およびナノ電極は、試料リザーバーとして機能するチャンバーと、分析される成分が移行によって送達されるチャンバーとを分離する。カソード電極およびアノード電極は、移行を試料チャンバーから送達チャンバーに方向付けるための電界をもたらす。
ポアを介して移行を方向付けるのに用いられる電流バイアスは、ポアを介して電界を適用することによって生成され得る。一部の実施形態では、電界は定電圧または定電流バイアスである。他の実施形態では、成分の移行は、電気泳動電界パラメータのパルス作動を介して制御され得る(例えば、米国特許出願公開第2003/0141189号および米国特許第6,627,067号を参照のこと)。電流パルスは、規定された期間の間、ポアを介する正確な移行の方法、場合によっては、ポア内に成分を一時的に保持するための方法を提供することが可能であり、それによって分析される成分の電気特性についてよりよく解明される。
ポアデバイスは、ポアを通る成分の方向を制限するための電界または電磁場をさらに含み得る。この保持フィールドは、ポア内の分子の移動を減少させるために使用できる。検出領域での成分の移動は、検出シグナルのバックグラウンドノイズを増加させる可能性がある。例えば、電流遮断が測定される場合、ポア内のポリマーの移動は、電流フローの変動をもたらす可能性がある。同様に、検出が電子トンネル効果電流を測定する場合、電流シグナルは、検出電極に対して検出された成分の空間的方向に反応する可能性がある。ナノポアを介して分子が移行するにつれてその方向を保持または制限することによって、検出シグナルの変動を最小限に抑えることができる。
一部の実施形態では、移行の方向に対して直交する方向の電界を用いて、ポア内の成分(例えば、ポリマー)の移動を制限することができる。これは、試料プレートの上下に2つの平行な伝導板を用いることで米国特許出願公開第2003/0141189号に説明されている。これらの電極は移行方向に対して直交する方向で電界を生成し、このようにして試料プレートの1つに成分が保持される。例えば、負に帯電したDNAの骨格、すなわち一本鎖に負電荷を有するように修飾された核酸は、陽極板上に向けられ、それによってポリヌクレオチドの動きが限定される。検出のために限定された方向に成分を保持するための直交電界の類似した用途は、米国特許第6,627,067号に記述されている。この実施形態では、移行方向に対して直交した電界を生成するために位置付けられた電極を用いて、プローブ(例えば、電子トンネル効果プローブ)で試料を調べる溝に成分を保持する。ポアを介して輸送を方向付けるための電界の制御と同様、直交電界は、保持フィールドの持続時間および振幅に関して制御され得る。移行のために用いられる電界は、ポアを介する移行を正確に制御するために制限された方向で検出される成分を保持するのに用いられる電界と協調される。
一部の実施形態では、ポア内で成分の位置を制御することは、米国特許出願公開第2004/0149580号に記述される方法で行われ得る。該方法は、ポアに近接してまたはポア上に位置する一連の電極を介してポア内に作製された電磁場を用いる。これらの実施形態では、第1のセットの電極に、直流電圧および高周波電位を印加し、一方第2のセットの電極に、第1のセットの電極が発生する高周波電位に対して180度位相シフトされる逆の直流電圧および高周波電位を印加する。この高周波四重極は、フィールドの中央(例えば、ポアの中央)に荷電粒子(例えば、細胞受容体)を保持することが期待される。移行する成分をポアの中央に保持することは、ポアを通る電子の流れの可変性を減少させると予想され、また電子トンネル効果によって測定される電流フローに一貫性をもたらすことができる。高周波四重極の振幅を変えることでポアの一方の側に成分を押し入れ、それによって移行速度を遅くすることが可能であることが示唆される。
2.3 結合相互作用を分析する方法の用途
本明細書に記述するように、様々な成分を含む結合相互作用の分析において複数の方法を用いることができる。従って、受容体成分は結合成分に結合可能な任意の因子であり得、逆もまた同様である。
一部の実施形態では、結合成分、受容体成分、または結合成分と受容体成分の両成分は、有機小分子を含み得る。種々の実施形態では、有機小分子には、特に、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリ−ル−アリール、多環アリール、縮合環系、および架橋環系を含有する任意の有機化合物を含められる。典型的なシクロアルキル化合物としては、以下に基づく化合物が挙げられるがこれらに限定されない:シクロプロピル、シクロブチル(例えば、シクロブタニルおよびシクロブテニル)、シクロペンチル(例えば、シクロペンタニルおよびシクロペンテニル)、シクロヘキシル(例えば、シクロヘキサニルおよびシクロヘキセニル)。典型的なヘテロシクロアルキル化合物としては、以下に基づく化合物が挙げられるがこれらに限定されない:テトラヒドロフラニル(例えば、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル等)、ピペリジニル(例えば、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル等)、モルホリニル(例えば、モルホリン−3−イル、モルホリン−4−イル等)、およびピペラジニル(例えば、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イル等)。
典型的なアリールとしては、以下に基づく化合物が挙げられるがこれらに限定されない:アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレン等、ならびにそれらの種々のヒドロ異性体。一部の実施形態では、アリール化合物は、(C−C15)アリール、または(C−C10)アリールを含む。典型的なアリール化合物は、シクロペンタジエニル、フェニル、およびナフチルを含み得る。
典型的なヘテロ芳香族化合物としては、特に以下の化合物に基づく化合物が挙げられる:アクリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、ベンゾピロン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾキサジン(benzoxaxine)、ベンゾキサゾール、ベンゾキサゾリン、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、およびキサンテン。
種々の実施形態では、有機小分子は、約100〜約4000ダルトン、約200〜約4000ダルトン、または約500〜約3000ダルトンの有機化合物を含み得る。有機小分子は、任意の型または種類の化合物であり得、特に、農薬、ホルモン、ビタミン、抗生物質、抗ウイルス化合物、医薬化合物と薬物化合物、および酵素インヒビターが挙げられる。本発明の目的に適した他の有機小分子は、当業者にとって明らかである。
一部の実施形態では、結合成分、受容体成分、または結合成分と受容体成分の両成分は、糖質を含み得る。本明細書で使用するように、「糖質」は、酸素原子、水素原子、および炭素原子を含有し、かつ一般化学式C(HO)に関連する化合物またはその誘導体をいう。種々の実施形態では、糖質は、他の化合物とは独立していても、または他の化合物(例えば、脂質、ポリペプチド、および核酸)と結合してもよい。糖質は、単糖、二糖、オリゴ糖、および多糖であり得る。単糖は、第1の炭素原子上にアルデヒド基を有するアルドース、および第2の炭素原子上にケトン基を有するケトースを含み得る。単糖は、また、それらが含有する炭素原子の数に応じて、三炭糖、四炭糖、五炭糖、六炭糖等に分類されることも可能である。典型的な単糖としては、グリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、およびタロースが挙げられる。
一部の実施形態では、糖質は、共有結合のグリコシド結合によって連結した2つの単糖ユニットを有する二糖を含み得る。一般的な二糖類としては、特に、セロビオース、マルトース、ゲンチオビオース(gentobiose)、トレハロース、スクロースが挙げられる。他の実施形態では、糖質は、グリコシド結合によって結合された単糖ユニットの長鎖を有するオリゴ糖および多糖を含み得る。これらの2つの糖の区別は、鎖に存在する単糖ユニットの数に基づく。オリゴ糖は、通常、3〜9の単糖ユニットを含有し、多糖は、10を超える単糖ユニットを含有する。オリゴ糖は、タンパク質のタンパク質翻訳後修飾の一般的な形で見出される。多糖としては、特に、デンプン、セルロース、キチン、およびグリコーゲンが挙げられる。糖質に結合する種々の受容体成分は、当業者にとって公知であり、以下にさらに記述する。
一部の実施形態では、結合成分は、受容体成分、または結合成分と受容体成分の両成分は、脂質または脂肪酸を含み得る。本明細書で使用するように、「脂質」とは、非極性または疎水性である分子に基づく炭化水素をいい、通常、非極性溶媒に溶解する。脂質は、また、疎水性および親水性の両部分の存在によって特徴付けられる両親媒性分子を含む。脂質は、非環状もしくは環状、直鎖状もしくは分枝鎖状、飽和もしくは不飽和の脂質であり得る。脂質の種類は、例えば、脂肪酸、グリセリド、および非グリセリドが挙げられる。脂肪酸は、疎水性部分(例えば、脂肪族鎖)を有する有機酸をいい、飽和もしくは不飽和であり得る。典型的な飽和脂肪酸には、特に、酪酸、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、およびアラキジン酸(エイコサン酸)脂肪酸が挙げられる。典型的な不飽和脂肪酸としては、特に、αリノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、リノール酸、アラキドン酸、オレイン酸、およびエルカ酸が挙げられる。不飽和脂肪酸は、シス配置またはトランス配置であり得る。
グリセリドまたはグリセロ脂質は、グリセロールおよび脂肪酸から形成されたエステルをいう。グリセリドは、モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリドの形であり得る。グリセリドは、また、ホスホグリセリドまたはグリセロホスホ脂質を包含する。これらは、グリセロール部分と、窒素塩基、グリセロール、またはイノシトールユニットから作られる極性頭部とに付着したO−アシル残基、またはO−アルキル残基もしくはO−アルク−1’−エニル残基のうちの少なくとも1つを含むsn−グリセロ−3−リン酸を含む。非グリセリドには、特に、スフィンゴ脂質、ステロール(例えば、コレステロール、エストロゲン、およびテストステロン)、プレノール(例えば、テルペノイド)、およびポリケチドが挙げられる。脂質は、他の分子とは独立して、または他の分子に非共有結合的もしくは共有結合的に付着して存在し得る。例えば、脂質は、ミセルの形で、または糖質もしくはタンパク質に共有結合的に付着した形で存在し得る。
一部の実施形態では、結合成分、受容体成分、または結合成分と受容体成分の両成分にはポリペプチドが含められる。本明細書で使用するように、「ポリペプチド」とは、用語「ペプチド」、「オリゴペプチド」、および「タンパク質」と互換的に使用され、アミド結合によって結合された少なくとも2つのアミノ酸をいう。ポリペプチドは、任意の長さからなり、線状もしくは環状であり得、分枝構造(例えば、ユビキチン化ポリペプチド)を含む。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、および「タンパク質」とは、D−およびL−アミノ酸を有するもの、ならびにD−およびL−アミノ酸の混合物を含む。ポリペプチド中のアミノ酸は、遺伝的にコードされたアミノ酸を含むことができ、また全体的にもしくは部分的に、天然のおよび/または合成の非コード化アミノ酸のいずれかを含む。一般的に遭遇する非コード化アミノ酸には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:2,3−ジアミノプロピオン酸、オルニチン、シトルリン、ホモリシン、リン酸化セリン、リン酸化スレオニン、ホモアスパラギン酸、ホモグルタニン酸、ホモアラニン、ノルバリン、ホモロイシン、ホモバリン、ホモイソロイシン、ホモアルギニン、ホモシステイン、ホモセリン、ヒドロキシプロリン、およびホモプロリン。付加的な非コード化アミノ酸は、当業者にとって明らかである(例えば、Fasman,1989,CRC Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology,CRC Press,Boca Raton,FL,pp.3−70および同書に引用された参照文献に記述される種々のアミノ酸を参照のこと。これらすべてが参考として援用される)。
一部の実施形態では、結合成分、受容体成分、または結合成分と受容体成分の両成分は、種々のポリペプチド類似体を含み得る。本明細書で使用する「ポリペプチド類似体」とは、アミド結合がアミド結合の同配体または置換アミド結合と置換される任意のポリペプチドをいう。種々の実施形態では、置換アミド結合として、以下の式を有する基が挙げられるがこれらに限定されない:−C(O)NR、ここでRは、(C−C)アルキル、(C−C10)アリール、置換(C−C10)アリール、(C−C16)アリールアルキル、置換(C−C16)アリールアルキル、5〜10員ヘテロアリール、置換5〜10員ヘテロアリール、6〜16員ヘテロアリールアルキル、または置換6〜16員ヘテロアリールアルキルである。特定の実施形態では、Rは、(C−C)アルカニル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、またはフェニルである。
アミドの同配体としては、通常、以下が挙げられるがこれらに限定されない:−NR−SO−、−NR−S(O)−、−CH−CH−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−CH−NH−、−CH−S−、−CH−O−、−C(O)−CH−、−CH(OH)−CH−、および−CH−S(O)−。ここで、Rは水素またはRであり、Rは先に定義された通りである。これらのインターリンケージ(interlinkage)は、一方の極性または逆極性でポリペプチドに含まれ得る。そのような非アミド結合を含むペプチド類似体、およびそのような類似体を合成する方法は、周知である(例えば、Spatola,1983,“Peptide Backbone Modifications,”In:Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins,Weinstein,Ed.,Marcel Dekker,New York,pp.267−357;Morley,1980,Trends Pharm.Sci.1:463−468;Hudsonら、1979,Int.J.Prot.Res.14:177−185(−CH−NH−,−CH−CH);Spatolaら、1986,Life Sci.38:1243−1249;Spatola,1983,“Peptide Backbone Modifications:the Ψ[CHS] Moiety as an Amide Bond Replacement,”In:Peptides:Structure and Function V,J.Hruby and D.H.Rich,Eds.,Pierce Chemical Co.,Rockford,IL,pp.341−344(−CH−S−);Hann,1982,J.Chem.Soc.Parkin Trans.I.1:307−314(−CH=CH−,cis and trans);Almquistら、1980,J.Med.Chem.23:1392−1398(−C(O)−CH−);欧州特許出願第EP45665号;Chemical Abstracts CA 97:39405(−CH(OH)−CH−);Holladayら、1983,Tetrahedron Lett.24:4401−4404(−CH(OH)−CH−);およびHruby,1982,Life Sci.31:189−199(−CH−S−)を参照のこと)。
あるいは、1つまたは複数のアミド結合は、ペプチド模倣部分および/またはアミド模倣部分に置換可能である。そのような部分の非限定例は、Olsonら、1993,J.Med.Chem.36:3039−3049;Ripka & Rich,1998,Curr.Opin.Chem.Biol.2:441−452;Borchardtら、1997,Adv.Drug.Deliv.Rev.27:235−256、およびそれらに引用された種々の参照文献に記述されている。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、レトロペプチドまたはレトロペプチド類似体を含み得る。「レトロペプチド」または「レトロペプチド類似体」とは、対応する親ペプチドまたはペプチド類似体の一次配列の逆(N+C方向において)である一次配列を有するペプチドまたはペプチド類似体をいう。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、インベルソ(inverso)ペプチドまたはインベルソペプチド類似体を含み得る。「インベルソペプチド」または「インベルソペプチド類似体」とは、対応する親ペプチドまたはペプチド類似体の一次配列と同じ一次配列を有するが、すべてのキラルα炭素が反対の立体配置であるペプチドまたはペプチド類似体をいう。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、レトロインベルソ(retro−inverso)ペプチドまたはレトロインベルソペプチド類似体を含み得る。「レトロインベルソペプチド」または「レトロインベルソペプチド類似体」とは、上記に明らかにしたように、レトロペプチドまたはレトロペプチド類似体と、インベルソペプチドまたはインベルソペプチド類似体とを組み合わせた特徴を有するペプチドまたはペプチド類似体をいう。レトロインベルソペプチドおよびレトロインベルソペプチド類似体は、ペプチドの極性または対応する親ペプチドもしくはペプチド類似体の類似結合を逆転させることにより、または一次配列順序(N+C方向において)を逆転させ、かつ対応する親ペプチドもしくはペプチド類似体のα炭素のキラリティーを変えることによって作製できる。
本発明の方法において有用なポリペプチドの種類としては、特に、酵素、細胞受容体、DNA結合タンパク質、糖質結合タンパク質、抗体、脂質結合タンパク質、シグナル伝達タンパク質、ペプチドホルモン、およびペプチド抗生物質が挙げられる。結合成分および/または受容体成分として有用なポリペプチドの他の種類は,当業者にとって明らかである。
一部の実施形態では、結合成分、受容体成分、または結合成分と受容体成分の両成分は、核酸塩基ポリマーを含み得る。本明細書で使用するように、「核酸塩基ポリマー」または「核酸塩基オリゴマー」とは、結合によって連結される2つ以上の核酸塩基をいい、この結合は、結果として生じる核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーを、相補的な核酸塩基配列を有するポリヌクレオチドとハイブリダイズさせることを可能にする。核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ポリオリゴヌクレオチドとオリゴヌクレオチド(例えば、DNAおよびRNAのそれぞれのポリマーおよびオリゴマー)、ポリヌクレオチド類似体とオリゴヌクレオチド類似体、およびポリヌクレオチド模倣体とオリゴヌクレオチド模倣体(例えば、ポリアミドまたはペプチド核酸)。核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーは、数核酸塩基から、2〜40核酸塩基から、10〜25核酸塩基から、12〜30核酸塩基から、または12〜20核酸塩基から数百塩基まで、数千塩基まで、またはそれ以上まで大きさが変化し得る。「核酸塩基」または「塩基」とは、配列特異的方法でポリヌクレオチドとハイブリダイズ可能なポリマーを生成するために、核酸技術またはポリヌクレオチド技術を利用する、またはポリアミド技術もしくはペプチド核酸技術を利用する当業者にとって広く知られている天然および合成の複素環部分をいう。適切な核酸塩基の非限定例としては以下が挙げられる:アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、シュードイソシトシン、2−チオウラシルおよび2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2,6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、イソグアニン(iG)、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)およびN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)。適切な核酸塩基の他の非限定例としては、Buchardtら.(国際公開第WO92/20702号または第WO92/20703号)の図2(A)および2(B)に図示される核酸塩基が挙げられる。
一部の実施形態では、核酸塩基ポリマーは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを含み得る。本明細書で使用するように、「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」とは、核酸塩基が糖リン酸結合(糖−リン酸骨格)によって連結される核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーをいう。典型的なポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドとしては、2’−デオキシリボヌクレオチド(DNA)のポリマーおよびリボヌクレオチド(RNA)のポリマーが挙げられる。ポリヌクレオチドは、リボヌクレオチドで完全に、2’−デオキシリボヌクレオチドで完全に、またはそれらの組み合わせで含まれ得る。
一部の実施形態では、核酸塩基ポリマーは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体を含み得る。本明細書で使用するように、「ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体」とは、核酸塩基が1つまたは複数の糖リン酸類似体を含む糖リン酸骨格によって連結される核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーをいう。典型的な糖リン酸類似体としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:糖アルキルホスホン酸、糖ホスホラミダイト、糖アルキルホスホトリエステルもしくは置換アルキルホスホトリエステル、糖ホスホロチオエート、糖ホスホロジチオエート、糖リン酸、および糖が2’−デオキシリボースもしくはリボース以外である糖リン酸類似体、正に帯電した糖−グアニジルインターリンケージ(例えば、米国特許6,013,785号および米国特許第5,696,253号(また、Dagani 1995,Chem EngNews 4−5:1153;Dempeyら、1995,J Am Chem Soc 117:6140−6141を参照のこと)に記述されるもの)を有する核酸塩基ポリマー。糖が2’−デオキシリボースであるそのような正に帯電した類似体は、「DNG」と呼ばれ、一方、糖がリボースであるそのような類似体は、「RNG」と呼ばれる。特に、ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド類似体の定義に含まれるのは、ロックド核酸(LNA)である(例えば、Elayadiら、2002,Biochemistry 41:9973−9981;Koshkinら、1998,J Am Chem Soc 120:13252−3;Koshkinら、1998,Tetrahedron Letters 39:4381−4384;Jumarら、1998,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 8:2219−2222;Singh and Wengel,1998,Chem Commun 12:1247−1248;国際公開第WO00/56746号;国際公開第WO02/28875号;および国際公開第WO01/48190号を参照のこと。これらすべては、その開示内容全体が参考として本明細書で援用される)。
一部の実施形態では、核酸塩基ポリマーは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド模倣体を含み得る。本明細書で使用するように、「ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド模倣体」とは、1つまたは複数の骨格糖−リン酸結合が糖−リン酸類似体に置き換えられる核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーをいう。そのような模倣体は、相補的ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドと、またはポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体と、または他のポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチド模倣体とハイブリダイズ可能であり、さらに以下の結合から1つまたは複数を含む骨格を有し得る。米国特許第5,786,461号、米国特許第5,766,855号、米国特許第5,719,262号、米国特許第5,539,082号、および国際公開第WO 98/03542号(また、Haaimaら、1996,Angewandte Chemie Int’l Ed.in English 35:1939−1942;Lesnickら、1997,Nucleosid.Nucleotid.16:1775−1779;D’Costaら、1999,Org Lett 1:1513−1516を参照のこと。また、Nielsen,1999,Curr Opin Biotechnol 10:71−7を参照のこと)に記述されるようにアルキルアミン側鎖を有する正に帯電したポリアミド骨格;国際公開第WO 92/20702号および米国特許第5,539,082号に記述されるように非荷電ポリアミド骨格;米国特許第5,698,685号、米国特許第5,470,974号、米国特許第5,378,841号、および米国特許第5,185,144号(また、Wagesら、1997,BioTechniques 23:1116−1121を参照のこと)に記述されるように非電荷モルホリンノ−ホスホロアミド酸骨格;ペプチド系核酸模倣体骨格(例えば、米国特許第5,698,685号を参照のこと);カルバミン酸骨格(例えば、Stirchak & Summerton,1987,J Org Chem 52:4202を参照のこと);アミド骨格(例えば、Lebreton,1994,Synlett.1994:137を参照のこと);メチルヒドロキシルアミン骨格(例えば、Vasseurら、1992,J Am Chem Soc 114:4006を参照のこと);3’−チオホルムアセタール骨格(例えば、Jonesら、1993,J Org Chem 58:2983を参照のこと)、およびスルファミン酸骨格(例えば、米国特許5,470,967号を参照のこと)。前述の刊行物のすべてが参考として本明細書で援用される。
一部の実施形態では、核酸塩基ポリマーは、キメラ核酸塩基ポリマーを含み得る。「キメラ核酸塩基ポリマー」または「キメラオリゴヌクレオチド」とは、複数の異なるポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、およびポリヌクレオチド模倣体を含む核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーをいう。例えば、キメラオリゴは、一連のRNAに結合した一連のDNAを含むこともある。キメラオリゴの他の例としては、一連のPNAに結合した一連のDNA、および/または一連のPNAに結合した一連のRNAが挙げられる。
上述の複合型のいずれも結合相互作用の部分であり得るため、結合相互作用の様々な型は、本発明の方法を用いることによって調べられる。これらは、特に、小分子−小分子間、小分子−ポリペプチド間、小分子−核酸塩基ポリマー間、ポリペプチド−ポリペプチド間、ポリペプチド−核酸塩基ポリマー間、核酸塩基ポリマー−核酸塩基ポリマー間、脂質−タンパク質間、および脂質−核酸間の相互作用が含まれる。
小分子−小分子相互作用の例としては、特に、包接体とそれらの対応するゲスト分子との相互作用が挙げられる。例示的な包接体は、シクロデキストリンであり、これは、一般的に5ユニット以上のグルコピラノシドからなる環状オリゴ糖である。一部の実施形態では、シクロデキストリンは、環内に6〜8ユニットの範囲のグルコースモノマーを含み得る(例えば、α−シクロデキストリン、6員環分子;β−シクロデキストリン、7員環分子;およびγ−シクロデキストリン、8員環分子)。シクロデキストランは、特に、殺虫剤トリクロルフォン、コレステロールと他のステロール、および種々の親油性薬物(例えば、アルベンダゾール、メベンダゾール、ジギトキシン、イブプロキサム、プロキシカム、レベモパミル、スリンダク、およびダナゾール)を含む他の有機小分子に結合可能である。別の例示的な包接体は、クラウンエーテルである。これは、通常エチレンオキシド(すなわち、−CHCHO−)の環状オリゴマーであり、環内部の陽イオンと協調する酸素原子を介して陽イオンを溶媒和させるその能力によって特徴付けられる。クラウンエーテルの内部の大きさは、18−クラウン−6がカリウム陽イオンに、15−クラウン−5がナトリウム陽イオンに、12−クラウン−4がリチウム陽イオンに結合するよう、クラウンエーテルが溶媒和できる陽イオンの大きさを決定する。
一部の実施形態では、本発明の方法は、小分子とタンパク質との間の結合相互作用を分析するのに用いられる。小分子−タンパク質の相互作用の例としては、特に、ホルボールエステル受容体とのホルボールエステル相互作用、エストロゲン受容体とのエストロゲンおよびエストロゲン類似体の相互作用、アンドロゲン受容体とのテストステロン相互作用、オピエート受容体とのオピエート相互作用、Tet制御性トランス活性因子(tTA)とのテトラサイクリンもしくはドキシサイクリンの相互作用、マンノース結合タンパク質とのマンノース相互作用、コンカナバリンAとのN−結合グリカン相互作用、ガレクチンとのβ−ガラクトシド相互作用、マントース結合タンパク質(MalE)とのマントース相互作用、アラビノース結合タンパク質とのアラビノース相互作用、ドーパミン受容体とのドーパミン相互作用、および5−HT−受容体とのセロトニン相互作用が挙げられる。
一部の実施形態では、本発明の方法は、小分子と核酸塩基ポリマーとの間の結合相互作用を分析するのに用いられる。核酸塩基ポリマーと相互作用する小分子の例としては、特に、DNAインターカレーター(例えば、臭化エチジウム、DAPY、アミノアクリジン、アクリジンオレンジ、プロフラビン、ダウノマイシン、アクチノマイシン、YO、およびYOYO等)、シス白金剤(例えば、シス−ジアミンジクロロ白金)、ベンジピレン、トポテカン、カンプトテシン、ネトロプシン、ピロール−イミダゾール(Py−Im)ポリアミド、およびクロラムプシルが挙げられる。核酸塩基ポリマーと相互作用可能な他の小分子は、当業者にとって明らかである。
一部の実施形態では、本発明の方法は、ポリペプチド−ポリペプチド相互作用を分析するのに用いられる。種々のポリペプチドは、他のポリペプチドに結合することが知られており、これは、修飾ポリペプチド(例えば、リン酸化ポリペプチドまたは脂質付加ポリペプチド)への結合を含む。一部の実施形態では、ポリペプチド−ポリペプチド相互作用は、タンパク質相互作用ドメインの相互作用を介して起こり得る。従って、本発明の方法は、種々のタンパク質−相互作用ドメインおよびそれらの同族の受容体ドメインを有するポリペプチド間の相互作用を調べるのに用いられる。典型的なタンパク質−タンパク質相互作用ドメインとしては、一例として以下が挙げられるがこれらに限定されない:SH2ドメイン(src相同ドメイン2)、SH3ドメイン(src相同ドメイン3)、PTBドメイン(ホスホチロシン結合ドメイン)、FHAドメイン(フォークヘッド付随ドメイン)、WWドメイン、14−3−3ドメイン、プレクストリン相同ドメイン、C1ドメイン、C2ドメイン、FYVEドメイン(Fab−1、YGL023、Vps27、およびEEA1)、デスドメイン、デスエフェクタードメイン、カスパーゼ動員ドメイン、Bc1−2相同ドメイン、ブロモドメイン、クロマチン機構修飾因子ドメイン、Fボックスドメイン、hectドメイン、リングドメイン(Zn+2フィンガー結合ドメイン)、PDZドメイン(PSD−95、ディスクラージ、および閉鎖帯(zona occludens)ドメイン)、不稔性αモチーフドメイン、アンキリンドメイン、アームドメイン(アルマジロリピートモチーフ)、WD40ドメインおよびEF−ハンド(カルレチニン)、ならびにPUBドメイン(Suzuki T.ら、2001,Biochem Biophys Res Commun 287:1083−87)。
一部の実施形態では、本発明の方法は、ポリペプチド−核酸塩基ポリマー相互作用を分析するのに用いられる。核酸塩基ポリマーとの相互作用が可能なポリペプチドの例としては、特に、ペプチドジスタマイシンA、合成両親媒性ペプチドAc−(Leu−Ala−Arg−Leu)3−NH−リンカー、および[β]−ループビルダー[α]−アミノイソ酪酸(Aib)を含む310−ヘリックスAc−(Aib−Leu−Arg)4−NH−リンカーが挙げられる。他の実施形態では、核酸塩基ポリマーと相互作用するタンパク質は、核酸代謝(例えば、転写アクチベーター、エンハンサー結合タンパク質、転写インヒビター、染色体モデリングタンパク質、DNA複製タンパク質等)の調節に関与する種々のポリペプチドを含み得る。タンパク質−タンパク質相互作用ドメインと同様に、多数の核酸塩基ポリマー結合タンパク質は、共通の構造および機能からなる特定のドメインを介してポリマーと相互作用する。典型的な相互作用ドメインとしては、一例として、ヘリックス−ターン−ヘッリクスドメイン、ヘリックス−ループ−ヘリックス、ロイシンジッパードメイン、ホメオボックスドメイン、Zn+2フィンガードメイン、ペアードドメイン、LIMドメイン、ETSドメイン、およびTボックスドメインが挙げられるがこれらに限定されない。典型的なポリヌクレオチド結合タンパク質としては、特に、GAL−4、λCroタンパク質、Jun/Fos複合体、GCN−4、CREB、レチノイド−X−受容体、レチノイド受容体、ビタミンD受容体、TFIIA、krupple、Antp、Ubx、myc、myb、NF−kb、Statタンパク質(例えば、Stat1、Stat2、Stat3、Stat4、Stat5等)、MADSボックスタンパク質、TATA結合タンパク質、網膜芽細胞腫タンパク質、ヒストン(例えば、H1(H5)、H2A、H2B、H3、およびH4)、ミスマッチ結合タンパク質(例えば、Ce1 I)、トポイソメラーゼ、uvrABCエンドヌクレアーゼ、光回復酵素、一本鎖結合タンパク質(ssb)、およびrecAが挙げられる。本発明の方法に適用できる他のDNA結合タンパク質は、当業者にとって明らかである。
一部の実施形態では、本発明の方法は、核酸塩基ポリマー−核酸塩基ポリマー相互作用を分析するのに用いられる。上記の核酸塩基ポリマーとしては、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、およびポリヌクレオチド模倣薬が挙げられる。受容体成分がポリヌレクオチド(例えば、オリゴヌクレオチド)を含む一部の実施形態では、結合成分は、実質的に相補的なオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含み得る。本明細書で使用するように、用語「実質的に相補的な」とは、核酸塩基ポリマーをアニールまたはハイブリダイズするのに用いられる条件下で、相補的配列と特異的にハイブリダイズすることが可能な核酸塩基ポリマー配列をいう。本明細書で使用するように、「アニーリング」または「ハイブリダイゼーション」とは、塩基対形成相互作用を介して核酸塩基ポリマー間に形成される二重鎖構造、三重鎖構造、または他の構造の形成をもたらす、1つの核酸塩基ポリマーと別の核酸塩基ポリマーとの塩基対形成相互作用をいう。アニーリングまたはハイブリダイゼ−ションは、Watson−Crick塩基対形成相互作用を介して起こり得るが、他の水素結合相互作用(例えば、Hoogsteen塩基対形成)によって媒介されることも可能である。
一部の実施形態では、核酸塩基ポリマーのアニーリング特性は、ハイブリッド複合体のTによって決定され得る。T値が大きいほど、ハイブリッドはより安定である。Tは、核酸塩基オリゴマーの50%とその完全な相補体とが二重鎖オリゴマー構造を形成する温度である。選択された核酸塩基ポリマーのTもハイブリダイゼーションに影響するまたは影響を与える要素によって変化する。例えば、そのような要素としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー(すなわち、ホルムアミド濃度(または他の化学変性試薬)、塩濃度(すなわち、イオン強度)、ハイブリダイゼーション温度、界面活性剤濃度、pH、およびカオトロープの存在もしくは非存在)を課すためにまたは制御するために、通常用いられる要素。ハイブリッド組み合わせを形成するための最適なストリンジェンシーは、上述のストリンジェンシー要素のいくつかを固定し、1つのストリンジェンシー要素を変える効果を決定する周知の手法によって見出される。同じストリンジェンシー要素は、PNAのハイブリダイゼーションがイオン強度にはほとんど依存しないことを除いて、骨格へのPNAハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを制御するよう調節され得る。最適なもしくは適切なストリンジェンシーの条件は、所望の程度の識別が達成されるまで、各ストリンジェンシー要素を調べることによって実験的に決定され得る。
核酸塩基オリゴマーのT値は、融解温度を予想する公知の方法を用いて算出できる(例えば、Baldinoら、Methods Enzymology 168:761−777;Boltonら、1962,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:1390;Bresslauerら、1986,Proc.Natl.Acad.Sci USA 83:8893−8897;Freierら、1986,Proc.Natl.Acad.Sci USA 83:9373−9377;Kierzekら、Biochemistry 25:7840−7846;Rychlikら、1990,Nucleic Acids Res 18:6409−6412;Sambrookら、2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual.,3rd Ed,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Suggsら、1981,In Developmental Biology Using Purified Genes (Brownら、eds.),pp.683−693,Academic Press;およびWetmur,1991,Crit Rev Biochem Mol Biol 26:227−259。これらすべての刊行物は、参考として本明細書で援用される)。
一部の実施形態では、実質的に相補的なオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、受容体オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと少なくとも1つのヌクレオチドミスマッチを含むことがある。本発明の方法は、受容体ポリヌクレオチドに対するヌクレオチドミスマッチを用いて実質的に相補的なポリヌクレオチドのアニーリングを調べるのに用いられる。一部の実施形態では、実質的に相補的な領域の長さに応じて、調べられるヌクレオチドミスマッチの数は、2つ以上のヌクレオチドミスマッチ、約5つのヌクレオチドミスマッチ、約10以上のヌクレオチドミスマッチ、または約20以上のヌクレオチドミスマッチを含み得る。ヌクレオチドミスマッチの数は、実質的に相補的な領域でヌクレオチド残基の少なくとも約0.5%まで、約1%、約2%、約5%、約10%、約20%、約30%までを含み得る。
一部の実施形態では、対応する受容体オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに対する実質的に相補的なオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのアニーリング特性は、種々のアニーリング条件で調べられる。パラメータ(例えば、イオン強度、カオトロピック剤、水素結合撹乱物質(例えば、ホルムアミド、尿素)、pH、G/C含有量、および温度)は、アニーリング挙動を解明するため(例えば、ミスマッチを検出するための最適な条件を決定するため)に変化させられる。そのような分析は、特定の遺伝子内の特定のヌクレオチド配列変化に起因し得る遺伝子による遺伝性障害を検出するプローブとして特定のオリゴヌクレオチドを選択するのに有用であり得る。
一部の実施形態では、本発明の方法は、脂質および脂質に結合するタンパク質に関与する結合相互作用を分析するのに用いられ得る。典型的な脂質−タンパク質相互作用としては、特に、脂質輸送タンパク質(Douliezら、2001,Eur J Biochem 268,384−388)とのモノアシル化脂質相互作用;脂肪細胞脂質結合タンパク質(ALBP)と脂肪酸、レチノイド、および他の疎水性リガンドとの相互作用;脂肪酸結合タンパク質(FABP)と脂肪酸およびエイコサノイドとの相互作用;アシル−CoA−結合タンパク質(ACBP)との脂肪酸CoAエステル相互作用;リン脂質結合タンパク質(例えば、copine)とのリン脂質相互作用;およびホスファチジルイノシトール輸送タンパク質とのホスファチジルイノシトール相互作用が挙げられる。
一部の実施形態では、本発明の方法は、脂質−核酸相互作用を分析するのに用いられる。通常、これらは、ポリヌクレオチドの担体として作用するリポソームまたはミセルの形での陽イオン性脂質を含む。リポソームは、種々の脂質および脂質組み合わせから形成されることが可能であり、特に、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ジメチルジオクタデシル臭化アンモニウム、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびコレステロールが挙げられる。リポソームを形成する他の脂質としては、一例として、陽イオン性脂質D282、D378、D383、D3886、D3897、およびD3899(Molecular Probes,Eugene,Oregon,USA)が挙げられるが、これらに限定されない。
他の実施形態では、本発明の方法は、抗体、および抗体によって結合される抗原が関与する結合相互作用を分析するのに用いられる。「抗原」とは、少なくとも1つの抗体によって認識される有機小分子、糖質、脂質/脂肪酸、ポリペプチド、および核酸塩基ポリマーを含むいかなる分子または分子群をいう。抗原は、抗体によって認識され得る少なくとも1つのエピトープまたは決定基を含む。「抗体」とは、免疫結合剤をいう。「抗体」とは、ジスルフィド結合またはその抗原結合部分によって相互連結した少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖を含む糖タンパク質をいう。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVと省略する)および重鎖定常領域を含む。IgGの重鎖定常領域は、4つのドメイン(CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3)を含む。各軽鎖は、1つの軽鎖可変領域(本明細書ではVと省略する)および1つの軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、Cを含む。V領域およびV領域は、超可変性の領域(相補性決定領域(CDR)と名付けられる)にさらに分割されることが可能で、より保存される領域(フレームワーク領域(FR)と名付けられる)とともに散在する。それぞれのVおよびVは、3つのCDRと4つのFRを含み、アミノ末端からカルボキシ末端にFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に配置されている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介することができる。抗体には、異なるイソタイプ(IgG、IgM、IgD、およびIgAのイソタイプの抗体を含む)および任意の抗原結合フラグメント(すなわち、「抗原結合部分」)またはそれらの一本鎖、ならびにフラグメント(例えば、Fabおよび(Fab)のフラグメント)の抗体が含まれる。
抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。本明細書で使用するように、「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、単一の分子組成の抗体分子の調製物をいう。モノクローナル抗体組成物は、一般に、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。用語「ヒトモノクローナル抗体」とは、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する単一の結合特異性を示す抗体をいう。
抗体は、また、一本鎖Fv(「sFv」)抗体であり得、これは共有結合的に結合したV:Vヘテロ二量体である。これらの一本鎖抗体は、ペプチドコードリンカーによって結合されたVおよびVのコード遺伝子を含む遺伝子融合から発現させることができる(例えば、Hustonら、1988,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85(16):5879−5883を参照のこと)。いくつかの方法は、自然に凝集されるが化学的に分離される抗体V領域由来の抗体軽鎖および重鎖を、抗原結合部位の構造と実質的に同様の三次元構造に折り畳むsFv分子に変換させるための化学構造を識別することを記述している(例えば、米国特許第5,091,513号、第5,132,405号、および米国特許第4,946,778号を参照のこと)。
本発明の方法を用いる抗体−抗原結合相互作用の試験は、結合の強さ、および場合によっては、結合した抗原の部分に関する情報を提供することができる。一部の実施形態では、分析される抗体は、任意の細胞分子(例えば、障害の診断または治療の目的で(例えば、抗TNF−α、抗Her−2、抗CTLA−4等))に向けられる。
他の実施形態では、本発明の方法は、酵素と、酵素と結合成分(例えば、基質、インヒビター、またはアクチベーター)との相互作用を調べるのに用いられる。用語「酵素」とは、化学反応および生物反応を触媒可能な分子または分子集合体をいい、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ポリペプチド、ペプチド、RNA、DNA、リボザイム、ならびに化学反応または生物反応の触媒作用を促進させることが可能な抗体および他の分子。分析に有用な典型的な酵素としては、一例として以下が挙げられるが、これらに限定されない。アンジオテンシン変換酵素、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、プロテアーゼ、エステラーゼ、キナーゼ(例えば、チロシン、セリン、スレオニン)、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、テロメラーゼ、ヌクレアーゼ、ホスファターゼ、イソメラーゼ、およびオキシドレダクターゼ。そのような酵素のための種々の基質、インヒビター、およびアクチベーターは、分析のために選択される酵素に基づいて、当業者にとって明らかである。
一部の実施形態では、結合成分は、結合成分のライブラリのメンバーであり、本発明の方法は、該ライブラリの各メンバーの結合相互作用を調べるのに用いられる。「結合成分のライブラリ」とは、受容体成分と相互作用するその能力を選別されることが可能な複数の異なる結合成分をいう。最適な結合特性(例えば、平衡解離定数、結合速度、および解離速度)を示す結合成分を同定することによって、受容体成分の特性に影響を与えるのに有用な結合成分が同定され得る。
化合物のライブラリの調製は、当業者にとって周知である。そのようなコンビナトリアルケミストリーライブラリとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ペプチドライブラリ(例えば、米国特許第5,010,175号;Furka,1991,Pept.Prot.Res.37:487−493;Houghtonら、1991,Nature,354:84−88)、ペプチド(PCT公報第WO 91/19735号を参照のこと)、コード化ペプチド(PCT公報第WO 93/20242号)、ランダムバイオオリゴマー(random bio−oligomer)(PCT公報第WO 92/00091号)、べンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ペンゾジアゼピン、およびジペプチド等のダイバーソマー(diversomer)(Hobbsら、1993,Proc Nat Acad Sci USA 9010:6909−6913)、ビニル性(vinylogous)ポリペプチド(Hagiharaら、1992,J.Amer.Chem.Soc.114:6568)、非ペプチド性ペプチド模倣薬(Hirschmannら、1992,J Amer Chem Soc 11415:9217−9218)、オリゴカルバミン酸(Cho,et al.,1993,Science 261:1303)、ペプチジルホスホン酸(Campbellら、1994,J Org Chem 59:658;Gordonら、1994,J Med Chem 37:1385)、核酸ライブラリ(Sambrookら、上掲)、ペプチド核酸ライブラリ(例えば、米国特許第5,539,083号を参照のこと)、抗体ライブラリ(例えば、Vaughnら、1996,Nature Biotechnology 14(3)20:309−314)、および国際出願PCT/US96/10287号を参照のこと)、糖質ライブラリ(例えば、Liangら、1996,Science 274:1520−1522、および米国特許第5,593,853号を参照のこと)、ならびに有機小分子ライブラリ(例えば、イソプレノイド(米国特許第5,569,588号);チアゾリジノンおよびメタチアザノン(米国特許第5,549,974号);ピロリジン(米国特許第5,525,735号および第5,519,134号);モルホリノ化合物(米国特許第5,506,337号);ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)を参照のこと)。
本出願に引用するすべての刊行物、特許、特許出願、および他の文書は、それぞれの刊行物、特許、特許出願、および他の文書があらゆる目的のために参考として援用されることを個別に示されているかのように、あらゆる目的のために同じ範囲でその開示内容全体が参考として本明細書で援用される。
本明細書で使用する語もしくは語句のいずれかの定義もしくは用法が、参考として本明細書で援用されるいずれかの文書を含むいかなる他の文書でその語もしくは語句の定義および/または用法と矛盾する場合、前述の語もしくは語句の定義および/または用法が常に支配するものとする。
本教示は、種々の実施形態と共に記述されると同時に、本教示がそのように実施形態を限定することを目的としない。それとは逆に、当業者によって認識されるように、本教示は種々の選択肢、修飾、および同等物を包含する。

Claims (32)

  1. 溶液中の結合相互作用を分析する方法であって、
    (a)1つまたは複数の結合成分を受容体成分と接触させる工程であって、未結合成分および任意の結合した成分がポアを介して移行し得る、工程と、
    (b)該ポアを介して該未結合成分および結合した成分を移行することによって該未結合成分と任意の結合成分とを検出する工程であって、該検出する工程が電荷に誘起された電界効果を画像化することによる、工程と、
    (c)受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数を決定する工程と、
    を含む方法。
  2. 前記ポアがナノポアを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記未結合成分および任意の結合した成分が計数される、請求項1に記載の方法。
  4. 受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数が、結合成分および受容体成分の様々な濃度で決定される、請求項1に記載の方法。
  5. 受容体成分の数ごとに結合した結合成分の数が、結合成分の異なる濃度と、受容体成分の一定濃度とで決定される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記受容体成分が前記結合成分との相互作用部位をn個有する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記結合相互作用に関して、nが1である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記結合相互作用に関して、nが2乃至10である、請求項6に記載の方法。
  9. 前記結合相互作用に関して、前記相互作用部位が同じ平衡結合定数を有する、請求項6に記載の方法。
  10. 前記結合相互作用に関して、前記相互作用部位のうちの少なくとも2つが異なる平衡結合定数を有する、請求項6に記載の方法。
  11. 前記結合相互作用に関して、前記相互作用部位のうちの少なくとも2つが協同的相互作用を示す、請求項6に記載の方法。
  12. 前記相互作用部位が少なくとも第1の相互作用部位および第2の相互作用部位を含み、該第1の相互作用部位および該第2の相互作用部位が異なる、請求項6に記載の方法。
  13. 前記結合相互作用に関して、前記結合成分と前記受容体成分とが同じである、請求項1に記載の方法。
  14. 前記結合相互作用に関して、前記結合成分と前記受容体成分とが異なる、請求項1に記載の方法。
  15. 前記結合成分が少なくとも第1の結合成分および第2の結合成分を含み、該第1の結合成分および該第2の結合成分が異なる、請求項1に記載の方法。
  16. 前記第1の結合成分および前記第2の結合成分が前記受容体成分に競合的に結合する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記第1の結合成分および前記第2の結合成分が前記受容体成分に非競合的に結合する、請求項15に記載の方法。
  18. 前記結合成分が結合成分のライブラリのメンバーであり、かつ該ライブラリの各メンバーの結合相互作用が分析される、請求項1に記載の方法。
  19. 前記受容体成分が前記結合成分に結合するタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
  20. 前記タンパク質が酵素を含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記タンパク質が細胞受容体を含む、請求項19に記載の方法。
  22. 前記細胞受容体が細胞表面受容体を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記結合成分が前記タンパク質のアゴニストを含む、請求項19に記載の方法。
  24. 前記結合成分が前記タンパク質のアンタゴニストを含む、請求項19に記載の方法。
  25. 前記結合成分が約500乃至約3000ダルトンの有機小分子を含む、請求項19に記載の方法。
  26. 前記タンパク質が抗体を含む、請求項19に記載の方法。
  27. 前記結合成分が前記抗体によって結合される抗原を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記受容体成分がオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
  29. 前記結合成分が前記オリゴヌクレオチドに結合する約500乃至3000ダルトンの有機小分子を含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記結合成分が前記オリゴヌクレオチドに結合するタンパク質を含む、請求項28に記載の方法。
  31. 前記結合成分が実質的に相補的なオリゴヌクレオチドを含む、請求項28に記載の方法。
  32. 前記実質的に相補的なオリゴヌクレオチドが少なくとも単一のヌクレオチドミスマッチを有する、請求項31に記載の方法。
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