JP2009536868A - 血管解析を用いる血管のデータの標準的な解釈のための遠隔医療プラットフォーム - Google Patents
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Abstract
血管のデータを入手し解析して結果を生成するためのシステムと方法であって、血管の検査データを用いて血管の状態を決定するシステムと方法。データ及び決定を、レポートの生成、診断決定又は病気の同定に用いることが可能であり、これらは遠隔的に実行されてもよい。上記システムは遠隔医療サーバを含み、かつワークステーション、レビューツール、データ記憶モジュール等の複数の他のモジュールを含んでもよい。本発明は、データの高速かつ効率的な解析を可能にし、患者データを、既知の又は測定された標準のデータセットと、所望されれば遠隔的に比較するためのメカニズムを提供し、かつ血管の状態に基づいてより正確かつより侵襲的でない診断を与える。本発明は、データ及び診断の遠隔的な受信、処理及び配信を可能にする。
Description
本発明は、一般に、様々な血管の状態を区別するための動的な血管解析(DVA(Dynamic Vascular Analysis)(登録商標))(かつては、DCA(Dynamic Cerebvrovascular Analysis)又は動的な脳血管解析と記載されていた)及び血流力学的な血管解析(HVA(Hemodynamic Vascular Analysis)(登録商標))の方法論を用いることに関する。特に、本発明は、経頭蓋ドプラ(「TCD(Transcranial Doppler)」)データ等の血管のデータの解析を自動化し、標準化し、配信し、DVA/HVAを実施してこのようなデータからさらなる情報を抽出し、神経血管に関する専門的な技術を臨床及び研究へのアプリケーションのために全世界に広げるためのハードウェア及びソフトウェアの両方を含む遠隔医療システムに関する。本発明はさらに、血管、特に、これに限定されないが、脳の血管の健康状態、血管に対する治療効果、危険因子、及び治療物質を含む物質を評価するためにこのような遠隔医療システムを用いることも含む。
DVA及びHVAは、様々な血管の状態を区別する方法論を提供する。このような(そうでなければ血管にイベントが生じた後まで区別できないことがある。)血管の状態を区別する能力は、特に、多くの分野に適用可能であり、動脈瘤破裂からのくも膜下出血はその一例である。
血管系疾患の進行及び障害は血管の調子に影響を与える可能性があり、又は、(例えば、周囲の血管又はアテローム性動脈硬化による炎症によって)血管に沿って閉塞ポイントを生成する可能性がある。現在、血管の機能(より一般的には、内皮の機能と呼ばれる。)を評価するための様々な方法論が存在する。一般に、これらの検査は、呼吸停止又は過呼吸等の生理的な刺激に対する反応を測定する。しかしながら、動脈の閉塞は、経頭蓋ドプラ(「TCD(Transcranial Doppler)」)超音波又は動脈のセグメントの血管造影評価(狭窄している血管の断面のシルエットのみを示す。)の何れかによる平均血流速度の測定によって検出される場合が多い。
狭窄症は、動脈のセグメント内の炎症、外圧又は動脈硬化によって引き起こされる狭窄として定義される。狭窄は、血管痙攣のみならず相対的に充血している状態を含む。例えば、血管痙攣は、展開が急激で脈管構造の補償に要する時間が不足していれば生理学的な狭窄を示す。また、任意の特定のポイントにおける炎症性の変化に続発するアテローム硬化性狭窄が存在するときには、通常、血管系における他の場所(即ち、上記ポイントの近位及び遠位。)にも他の狭窄領域が存在することを留意しておくべきである。狭窄の最も一般的な形態は、アテローム動脈硬化性狭窄である。冠動脈などでは、狭窄は様々な方法によって評価される。例えば、冠動脈では、狭窄は最初に血管造影法によって測定される。しかしながら、上述したように、血管造影法は血管狭窄の断面のシルエットしかもたらさない。従って、血管造影分析は、動脈内の狭窄が非対称であるために(時として)不正確になる可能性が高い(即ち、投影の視点が変わると、狭窄は存在しない又は生理学的に測定される場合より遙かに小さいように見える場合がある。)。
治療的な介入を必要とするものを含む重大な血流の変化をもたらす狭窄イベント及び状態は、狭窄によって定義される3つの領域に依存する3つの別個のマイクロ生理学的な状態により構成される。狭窄によって定義されるこれらの領域は、狭窄前領域、狭窄領域及び狭窄後領域である。これらの領域における3つの生理学的な状態は、狭窄前領域における遠位の潅流インピーダンス不整合(「PIMM(Perfusion−Impedance Mismatch)」)、血流の量及び圧力を保全するための狭窄の場所における充血性破過、及び、狭窄後領域における近位のPIMMである。
PIMMは、インピーダンス又は抵抗ベクトルの方が順方向の力のベクトルよりも釣り合いへの寄与が大きいような力のベクトルの不釣り合いとして定義される。この状態による最終的な結果は、順方向の血流(forward flow)の低減である。PIMMが発生する理由は、2つ存在すると思われる。第1の可能な理由は、重大な狭窄の結果として生じる近位の潅流圧降下により被る「近位の」PIMMである。第2の可能な理由は、不釣り合いを誘発する抵抗(又はインピーダンス)ベクトルの増大の結果として生じる「遠位の」PIMMである。遠位のPIMMは、小血管の重大な疾患が存在する場合にも生じる。両タイプのPIMMの組合せは、血液の順方向への移動を大幅に妨げる可能性があり、これが狭窄後領域に存在するときは、他の血管からの代償性の血流の状態を示すものと思われる。
伝統的に、神経学的な集中治療は、脳血管の2つの異なるタイプのイベントを定義している。第1のイベントは、虚血性の血流又は低血流であり、第2のイベントは血管破裂(最も一般的には、過拡張の血管から生じる動脈瘤である。)である。患者が動脈瘤を患う場合、又は動脈瘤により出血する場合、これは、典型的にはくも膜下腔において発生する(即ち、くも膜下出血。)。くも膜下出血に対する初期の反応は、意識消失を伴う神経障害である。
しかしながら、この初期のイベントを切り抜けても、患者は出血に対する二次反応も有することが多い。特に、回復の早期段階で、患者は充血状態になることがよく確認されている。充血は、その血管が血液を供給している組織の代謝の要求を超える血流量の病理学的な増加として定義される。
初期のイベント後5日から10日で発生することが多い別の二次反応は、血管痙攣の進行である。血管痙攣は、著しい狭窄を引き起こす血管筋肉の病理学的な収縮として定義され、二次的な虚血性の血流又は低血流拍動に繋がる。血管痙攣の防止及び治療(及びより重要な点として、血管痙攣に関連づけられる臨床的又は病的状態の防止。)は、主として、高血圧及び多血症の治療を含む。これらの治療は、血管容積を輸液で、患者の血圧を薬剤で人工的に高めることにより増大しようとするものである。しかしながら、患者の血圧を上げる、及び/又は血液量を増大させているうちに、脳の充血状態が誘発される可能性がある。このように、1つの状態(血管痙攣)の治療が非意図的に他の状態(充血)を誘発する場合がある。
これまでの議論から分かるように、自然に発生する充血、治療によって誘発される充血及びその充血が事実上血管痙攣と成りつつあるかどうかを区別できることが重要である。しかしながら、このような区別を行うことの実用性は、伝統的な方法論では達成が困難である。例えば、血管痙攣に対する現在の治療のモダリティは、患者を血管造影室へ運び、痙攣性の病変部に血管形成術を施すことを含む。同様に、見かけの血管痙攣性の状態に対する尚早な(即ち、高血圧及び多血症の治療による。)処置は、事実上、患者が最初の血管イベント又は脳水腫から充血性の腫脹に至る危険性を増大させる場合がある。従って、患者が充血状態から血管痙攣の初期の段階へ移行しつつあるかどうか、及び、いつ移行するかを決定することは極めて重要である。逆に、血管痙攣の発現後に開始される遅すぎる高血圧及び/又は多血症の治療は臨床的成果に全く影響を与えないので、ほとんど、又は全く無意味である。この点で、血管痙攣の発現からかなりの後に不必要に開始される高血圧及び/又は多血症の治療は、高血圧及び/又は多血症の積極的な治療を受けている所定の年配(即ち、中年及び高齢。)の患者において誘発される鬱血性の心不全の周知の発生率の観点から、患者の健康に有害である場合がある。
従って、くも膜下出血に続く高血圧及び/又は多血症治療のタイミング及び利用は、患者がいつ充血状態から血管痙攣に移行するかをよりよく決定できることに大きく依存する。現時点では、このような決定を行うことは、頭蓋内血管と頭蓋外頸動脈との(TCD超音波又は他の方法から導出される)ピーク収縮期速度比の比較を含む。この比較は、リンデガード比と呼ばれる。しかしながら、このタイプの分析はさほど正確ではない。複数の研究は、リンデガード比が充血から血管痙攣への移行の識別を予測する確率が50%以下であることを示している。
他の方法論も探索されているが、未だ、血管の状態の評価及び区別に際して広く用いられるには至っていない。このような方法論の1つは、動脈隅部内の狭窄部の1つのポイントを介してカテーテルを引っ張ることにより血圧信号波を測定することを含んでいる。同様に、血管内超音波(「IVUS(intravascular ultrasound)」)を用いて血管評価を行う方向へも努力が注がれている。しかしながら、これらの研究の焦点は、ほぼ完全に、冠動脈の血流予備量又は動脈の血流予備量と呼ばれる異常によって定義される比を計算するために、結果的に得られる超音波画像を用いて血管拡張薬(例えば、アデノシン。)の注入に対する生理学的な反応を評価することにある。
DVA/HVAは、充血状態から血管痙攣への移行(これは、神経疾患の集中治療室において日ごとに又は瞬間毎に動的にかつ劇的に変わることがある。)を定量的に区別するために用いられる場合がある。しかしながら、さらに、本明細書に記述している生理学的な原理は、他の形態の血管の問題及び血管狭窄を区別するために拡張されかつ/又は応用される場合があることは理解されるべきである。
水頭症は、結果的に頭蓋内の血流の低減を引き起こす上昇した頭蓋内圧力を特徴とする状態である。上昇した頭蓋内圧力は血管に追加の外力を加え、末梢の毛細血管及び/又は小静脈等の小血管を圧迫する。特に、この血流の制限は、脳室周囲腔内の動脈等の深く貫入する動脈により血液を供給される脳深部の構造に影響を及ぼす。この血流の低下は、特徴的に、重大な転機となる虚血性のイベントであると考えられている脳室角における水腫形成をもたらす。
水頭症の原因に関しては、ほとんどの場合、分かっていることは極めて少ない。これが、例えば髄膜炎又は頭蓋内出血(例えば、くも膜下出血。)を含む様々な状況にある患者に影響を与えることは観察されている。さらに、これは、ある種の代謝異常又は一般的な炎症の状態によって促進される場合があると考えられている。これはまた、事前に何の兆候も呈していない人々、特に高齢者に影響を与える場合もある。しばしば高齢者に見うけられる水頭症状態は、正常圧水頭症(NPH(Normal Pressure Hypdrocephalus))として知られる。
NPHの正確な診断は、NPHが、失禁、痴呆及び歩行不安定という「古典的な三症状」を特徴とし、しかも多くの場合他の症状も存在し、もしくは他の症状の方が優性である、という事実によって複雑にされる。これらの症状は、しばしば、誤って他の原因のせいされる可能性がある。その結果、NPHは、歴史的に、治療する医師側の高い診断確信度(high index of suspicion)を必要とするので、誤って診断されることが多い。NPHが疑われたとしても、NPHを決定的に評価しかつ正確に診断することは困難である。従来、NPHの診断の確認は、必然的に、脳槽撮像として知られる侵襲的な処置の実行を伴う場合があり、これは、放射性トレーサ剤を硬膜下腔(即ち、脳脊髄液腔。)へ注入すること、及びこの放射性トレーサのクリアランスを半定量する努力において、核検出器を用いて最初の注入後24時間、48時間及び72時間の間隔で頭蓋内の特定のポイントにおけるトレーサの取り込みを監視することを含む。
水頭症及びNPHの他の診断方法は、20ccから40ccまでの脊髄液を抜き取って、患者が臨床的に改善したかどうかを確認するための繰り返しの腰椎穿刺検査を含む場合がある。最も顕著な改善は、歩行及び知的活動において見られる。脊髄液圧の連続的な圧力監視も、留置カテーテルを用いて実行される場合がある。しかしながら、この方法は、このタスク専用の特殊化された集中治療室を備えた施設においてのみ実行される。さらに、この方法は、必然的に高い感染症(即ち、髄膜炎。)のリスクを伴う。
脳槽撮像又は他の臨床調査はNPHの状態を示す場合があるが、観察される症状の他の原因を十分に排除するものではないので、典型的には、これらの調査のみで患者がNPHであると決定的に診断されることはない。現時点で利用可能な唯一の決定的な診断手順は、必然的に、大がかりな侵襲的な脳神経外科処置を伴う。しかしながら、通常、上記症状のみの存在では、このような処置の実行は保証されない。従って、これまでのところ、NPHの評価及び診断を正確であると同時に迅速に行うことは困難であることが知られている。
最終的に、治療する医師に疑念を抱かせるに足るほどの古典的な三症状が患者に現出するまでには、中枢神経系に既に多大な障害が発生している場合がある。特に高齢者の場合、中枢神経系に障害を回復させる能力がほとんどないとすれば、症状が明らかになる前に予防的に患者を監視すると共に、一旦症状が現れれば迅速かつ正確に患者に診断を下すために使用可能なシステムを有することが大いに望ましい。
上述したDVA/HVA方法論の使用は、NPHを含む水頭症の診断及び評価のために、外科的な矯正の前後で独自に適用されてきた。これは、NPHの自然な経過及びNPHの発現の経緯を追跡するために用いられている。またこれは、将来の診断に有益な、自然な経過のNPHデータ、仰臥データ及び低頭位(約15度の低頭傾斜。)データ等の様々な頭蓋内圧を含む基準のデータベースの生成にも用いられている。
大部分の診断システムの一般的な1つの欠点は、おそらくは任意の数の生理学的な現象を説明している様々な状態(即ち、頭蓋内圧の上昇及び/又は血流変動。)の鑑別診断に関連づけられる感度及び特異度の欠如に関連している。DVA/HVAは、水頭症を患っている患者における、傾斜台(低頭位)試験の間に特に明らかである異常な流れの特性の観察を可能にする。この試験の基本的な特徴は、拍動指数及び流れの加速度の両方の均一で大域的な増加を検出しかつ観察し、これにより大域的な頭蓋内イベントからの均一な影響及び不均一な影響の区別を可能にする能力にある。例えば、大域的なイベントは、典型的にはTCDデータが相関されるとパッチ状の分布を発生させる大域的な炎症である可能性もあり(即ち、不均一なイベント。)、又は、必ずしも任意の特定の領域を除外することなく全ての血管に均質に影響する代謝異常である可能性もある。これらの代謝異常は、例えば、ファブリ病、糖尿病又はアルツハイマー病を含んでもよい。
さらに、DVA/HVAは、痴呆の原因になる頭蓋内血流に影響を及ぼす重要なパラメータを識別する手段を提供する。痴呆の原因は脳組織の喪失及び病理学的な物質の沈積にあるので、事実上、痴呆は血流ダイナミクスの劣化の関数である。従って、本発明は、痴呆を患う患者を診断しかつ評価し、並びに痴呆の状態の発現及び進行と戦うようことを意図する治療法及び処方を監視しかつ最適化するための確実かつ効率的な手段を提供する。
従って、医師がDVA/HVA等の血管方法論を用いてTCDによって得られるデータ等の血管の検査データを解析できるようにする、より良い診断及び決定ツールに対するニーズが存在する。さらに、患者の読取り値と標準のデータセットとの比較を提供するツール及びこれを実行するシステムに対するニーズも存在する。
さらに、検査データをこのようにして利用する専門的な技術は広まっていない。従って、患者に血管検査を実行することができる場所もことごとく、このデータを解析し、処理し、診断し、又は用いる能力を備えていない。従って、本発明は、他の優位点の中でもとりわけ、上述した、かつこれまでの説明において述べた優位点を達成することのできるこれらの方法論の広域的な又は遠隔的な使用を可能にする分散型のシステム及び方法を提供する。
本発明は、一般に、様々な血管の状態を区別するための動的な血管解析(DVA(登録商標))及び血流力学的な血管解析(HVA(登録商標))の方法論の使用に関する。特に、本発明は、経頭蓋ドプラ(「TCD」)データ等の血管のデータの解析を自動化し、標準化し、配信し、DVA/HVAを実施してこのようなデータからさらなる情報を抽出し、神経血管に関する専門的な技術を臨床及び研究へのアプリケーションのために全世界に広めるためのハードウェア及びソフトウェアの両方を含む遠隔医療システムに関する。本発明はさらに、血管、特に、これに限定されないが、脳の血管の健康状態、血管に対する治療効果、危険因子、及び治療物質を含む物質を評価するためにこのような遠隔医療システムを用いることも含む。
本発明は、ドプラデータ又はTCD等の、但しこれらに限定されない血管のデータを、DVA又はHVA等のアルゴリズムを用いて解析するためのシステム及び方法を含む。データは、TCD等の、但しこれに限定されない血管特性の測定装置によって測定されてもよい。本発明は、データの迅速かつ効率的な解析を可能にし、かつ患者のデータを、既知の又は測定された標準のデータセットと比較するためのメカニズムを提供する。さらに本発明は、血管の状態に基づく、より正確で、より非侵襲的な診断を提供する。さらに本発明は、様々な血管の状態及び状況を区別するための方法論も提供する。
本発明の一実施形態において、このような区別は、TCDデータに対して、このようなTCDデータから情報を抽出するDVA又はHVAアルゴリズムを展開する遠隔医療システムによって実行される。さらに本発明は、神経血管に関する専門的な技術を臨床及び研究へのアプリケーションのために全世界に広めることができる。本発明のシステム及び方法は、血管、特に、これに限定されないが、脳の血管の健康状態、血管に対する治療効果、危険因子、及び治療物質を含む物質の評価に用いられてもよい血管の状態を区別するソフトウェア及びハードウェアを含む。本発明において、遠隔医療プラットフォームは、客観的かつ再現可能な計算処理を可能にして、データ測定値(例えば、TCDデータ。)、血管解析指数(例えば、DVA指数。)、及び、世界的な専門家グループによって管理されることが可能な複数の計器システムを用いる遠隔医療サービスモデルにおける他のパラメータ及び血流力学的な情報を含む、但しこれらに限定されない様々な情報を提供する。これは神経血管の専門的な技術を広め、神経血管の中核的な研究拠点に関わりのない施設が神経血管に関する診断能力を伸ばすことを可能にする。さらにこれは、脳血管の血流力学的な情報の使用を他の臨床分野に拡大する手助けをする場合がある。さらに、本発明の装置及び方法の他の優位点、並びにデータ、データソース、解析アルゴリズム及びデータ/結果の普及に対する当業者のレベルの範囲内での変形は、明示されていない場合でも本明細書において意図されている。
明細書の結論に添付された請求項は本発明を記述したものであるが、以下の詳細な説明及び添付の図面は、本発明を実行するための好適な実施形態について述べるためのものである。しかしながら、本発明の対象が当業者にとって既知の多くの異なる形式及び変形において具現されてもよいことは理解される。
以下の説明では、本発明のデータソースとしてTCDを利用することを議論しているが、本発明は任意のデータソースを用いてもよいことは認識されるべきであり、TCDに限定されるものと解釈されるべきではない。さらに本発明は、多様なソースからのデータの多変量解析を用いてもよく、TCD(例えば、血圧情報の使用。)等の単一のデータソースに限定される必要はない。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る、経頭蓋ドプラ(TCD)データ等のデータを、例えばDVA又はHVA等の動的な血管解析のための決定ツールを用いて解析するための遠隔医療システム100を示す。図1Aにおいて、上記システムは、遠隔医療サーバ120と、パーソナルコンピュータ又は端末を含んでもよい、但しこれらに限定されない複数のワークステーション130とを含む。ワークステーション130はネットワーク140にアクセスできる任意の位置に位置してもよく、ネットワーク140は、オンサイトの、遠隔のあるいは1つ又は複数の地域センタ内のネットワークを含む。サーバ120は、装置110からデータ150を受信する。サーバ120はTCD装置110に対して、パラレルポート又はUSBポート等のインタフェースポートを介する、ローカルエリアネットワーク(LAN(local area network))等のコンピュータネットワークを介する、又はインターネットを介する直接的な接続手段又は様々な無線技術を用いて無線で、但しこれらに限定されない当業者に既知の任意の従来の接続手段を用いて接続されてもよい。他の実施形態では、図1Bに示すように、装置110は、遠隔医療サーバ120としても動作するコンピュータを含んでもよい。さらに別の実施形態では、図1Cに示すように、装置110はファイルサーバ140にデータを書き込んでもよい。このような実施形態では、遠隔医療サーバ120はファイルサーバ140からデータ150を読み取ることができる。
装置110からのデータ150は遠隔医療サーバ120上で処理されてもよく、ユーザは複数のワークステーション130を用いてこのデータと対話してもよい。ワークステーション130は、当業者に既知である任意のタイプの従来のネットワーク140を介してサーバ120に接続されてもよい。上記ネットワークは、LAN又はインターネットを含んでもよいが、この限りではない。
動作時に、データ150は上記装置から遠隔医療サーバ120に流れてもよく、データ150は、詳細後述する本発明の方法に従って遠隔医療サーバ120において処理されてもよい。ユーザは、ワークステーション130上のレビューツールにアクセスして処理の結果をレビューしてもよく、必要な任意の調整を上記処理に行ってもよい。この場合も、ユーザは、オンサイトの、遠隔の位置の、あるいは1つ又は複数の地域センタを含む、但しこれらに限定されない任意の位置に位置してもよい。従って、所望されれば、ユーザに遠隔アクセスが提供される。調整されたデータは、遠隔医療サーバ120上に更新されてもよい。更新の後に、遠隔医療サーバ120は、ユーザがワークステーション130を介してレビューしてもよいレポートを生成してもよい。この場合もやはり、所望されれば、サーバによるデータの処理及び記憶、並びにユーザによるアクセス及びレビュー並びにレポートの生成は、遠隔的に実行されてもよい。或いは、レポートの生成後に、データ及び/又はレポートは医師等の別のユーザによってレビューされてもよい。これも同じく、所望されれば遠隔的に実行されてもよい。医師はレポートをレビューしてコメント、解釈を入力し、又は診断を提供してもよく、これにより、医師がコメント、解釈又は診断を口述して後に翻字サービスによりこの情報をレポートに入力させる必要がなくなる。これにより、レポートの精度は改善され、レポートの生成に要する時間は短縮される。医師はまた、このレポートに電子的に署名してもよく、署名の後に、システムはレポートを「ロック」してさらなる変更を防止する。この時点で医師は、このロックされたレポートを、これを要求する医師に送信してもよい。さらに、レポートはオンラインで照会又は閲覧されてもよい。本発明の任意の及び全ての部分は遠隔アクセス手段を有してもよく、サーバ、ワークステーション、ユーザ、医師、データ記憶装置、レポート生成装置及び本発明の他の任意の部分は何れも他の部分に対して遠隔的に、場合によっては何マイルも離れて位置してもよい。遠隔医療プラットフォームにおける全てのデータへのアクセスは、ロールベースのセキュリティシステムによって制御され制限される。セキュリティシステムは、アクセスを許可されていない任意の情報にユーザがアクセスすることを防止する。
図2は、本発明のこの実施形態に係る、患者データを解析するためのプロセスを示す。プロセスはステップS210で始まってもよく、ここでは患者がTCD装置により走査されてもよい。ステップS210で収集されたデータは、次にステップS215において遠隔医療サーバによりインポートされてもよい。ステップS220では、遠隔医療サーバはインポートされたデータを処理してもよい。詳細後述するこの処理は、走査された各血管のデータの関連する複数の特徴を識別することを含んでもよい。上述したように、本発明のこの実施形態では、このデータはドプラデータであってもよいが、この限りではない。ステップS230では、1つ又は複数の結果のレビューが、識別されたデータをユーザが調整できるように提示されてもよい。ステップS240では、患者の読取り値を、例えば基準データセットである標準のデータセットと比較するレポートが生成されてもよい。オプションとして、システムは、所定の結果又は様々な診断の可能性を示唆してもよい。ステップS250では、レポートをレビューする用意があるという通知が生成されてもよい。最後に、ステップS260では、レポートが表示又は印刷されてもよい。
図3Aは、5つのモジュールを含む、但しこれに限定されない遠隔医療サーバ120の一実施形態を示す。図3Aに示す5つのモジュールは、データ変換モジュール310、データ処理モジュール320、データ記憶モジュール330、通知モジュール340及びレポート生成モジュール350である。図3Aは5つの特定のモジュールを有する遠隔医療サーバ120を示しているが、サーバが任意の数のモジュールを有し、現時点で記述している機能を分担し、又は他のデータ記憶装置、ディスプレイ又は処理機能を追加するように構成されてもよいことは認識されるべきである。
データ変換モジュール310は、例えば装置110からのデータ150であるレビューされたデータを、統一されたデータフォーマットに変換してもよい。この点に関しては、装置110は、オプションとしてデータを統一されたデータフォーマットに直接的に出力することも可能であり、この場合、データ変換モジュール310はデータを変更しないでおく。或いは、データ変換モジュールは完全に省かれる可能性もある。後述するように、この実施形態では、装置110からのデータは、走査される各血管に関するドプラグラフを形成している。データ処理モジュール320は、データ変換モジュール310によってフォーマットされたデータを取り込み、このデータにおける処理対象の特徴を識別するアルゴリズムを例えばこれらのドプラグラフに対して実行し、その結果をデータ記憶モジュール330を用いて記憶する。データ記憶モジュール330は、オプションとして、このデータ、処理されたデータ及び/又は生成されたレポートへの読取り及び書込みアクセスを可能にする。データ記憶モジュール330は、遠隔医療サーバ自体の記憶スペース、別のサーバ上の記憶スペース、又は遠隔医療サーバに取り付けられた或いは遠隔医療サーバの遠隔にある別の装置上の記憶スペース、ワークステーションに取り付けられた或いはワークステーションの遠隔にある記憶スペース、又は、上記装置に取り付けられた或いは上記装置の遠隔にある記憶スペース上のデータ記憶装置を用いてもよい。データ処理モジュールにより生成されたデータが承認されると、通知モジュール340は、ユーザに1つ又は複数のレポートをレビューする用意ができていることを通知してもよい。レポート生成モジュール350は、レポート/結果を生成し、ユーザがレポート/結果及びデータをレビューすることを可能にしてもよく、かつレポート/結果を患者の医師又は記憶場所に送信してもよい。
図3Bは、ウェブサーバモジュール360をさらに含む遠隔医療サーバ120の別の実施形態を示す。ウェブサーバモジュール360は、装置110がデータをアップロードできるようにし、ユーザがウェブページを介して生の又は処理されたデータをレビューできるようにし、ユーザがウェブページを介してレポート/結果をレビューできるようにするウェブサービスを提供してもよい。
図4A及び図4Bは、データレビューツール410又はレポートレビューツール420を含んでもよいワークステーション130を示す。これらのツールは、例えばスタンドアロンのアプリケーション又はウェブベースのアプリケーション、ブラウザ上で実行されるアプリケーション又はこれらの組合せである多くの形式をとることができる。一般的な当業者には、例えばウィンドウズXP(Windows XP(登録商標))、サンOS(SunOS(登録商標))、リナックス(Linux)又はユニックス(Unix(登録商標))である、但しこれらに限定されない任意のオペレーティングシステムがこれらのツールをサポートしてもよいことは明らかであろう。実施の一例は、ジャバ(Java(登録商標))のようにプラットフォームにとらわれない言語で実施される。図4A及び図4Bに示し上述したように、ワークステーション130は遠隔医療サーバ120にネットワークを介して接続されてもよい。
以下、装置110により提供されるデータ150の複数の例をリストアップする。このリストは以下の例を含むが、この限りではない。
・患者情報−患者情報は、例えば氏名、住所、社会保障番号又は患者識別番号である患者を識別する情報、例えば性別、身長、体重又は利き手である患者に関する身体的なデータ、及び、委託医師、保険情報並びに他の患者情報などの患者に関する医療情報を含んでもよい。
・セッション情報−セッション情報は、例えばTCDセッションであるセッションの日時及びデータ、一意の患者識別子、処置を実行する人物に関する情報、及び委託医師又は他のセッション情報を含んでもよい。
・検査情報−検査情報は、検査の一意の識別コード、受入れコード、TCD検査の開始並びに終了時刻及び技術者又は医師のコメント又は他の検査情報を含んでもよい。
・装置情報−装置情報は、製造者、モデル及びソフトウェアのバージョン又は他の装置情報を含むTC装置に関する情報を含んでもよい。
・例えば血管速度の示度又は他の情報である血管検査の示度(readings)。ドプラ示度の場合、これは、血管毎にとられた速度測定(velocimetry)データを含んでもよい。各血管に関して、上記データは、速度測定波形を記述する高速フーリエ変換データを含むことができる。ある実施形態は、512個の時間スライス及び256個の異なるサンプル周波数を用いている。このデータはまた、JPEG又は他のグラフィックフォーマット等の標準的なグラフィックフォーマットの波形の画像を含んでもよい。
このデータのフォーマットは、装置の製造者に依存することができる。例えば、複数の可能なフォーマットは、XMLファイル、ダイコム(DICOM)フォーマットのファイル、HL7フォーマットのファイル、マイクロソフトアクセス(Microsoft Access(登録商標))のデータベース、SQL互換のデータベース、フラットファイルを含むことができるが、この限りではない。必要であれば、このデータから本発明により用いられるフォーマットへの変換を、装置のフォーマットから本発明のデータフォーマットへの既知のデータマッピング技術を介して達成することができる。
図3A及び図3Bに示すように、遠隔医療システム100はデータ変換モジュール310を有してもよい。データ変換モジュール310は、図2に示すオプションのステップS215を実行し、ここで、装置100からのデータは本発明により用いられるフォーマットに変換されてもよい。図5は、ステップS215において、例えばTCDデータであるデータをインポートするためのプロセスの例を示す。ステップS510において、本発明はデータフォーマットを決定する。この場合、データフォーマットはTCD装置の製造者によって決定され、XML、マイクロソフトアクセス又はリレーショナルデータベースを含む複数のフォーマットのうちの何れであってもよい。データ変換モジュール310は、新規のデータのデータソースを走査するように構成されてもよく、或いは、変換のためにデータを利用可能である場合に通知を受信してもよい。フォーマットが決定されると、例えばTCDデータソースからの検査用データは、ステップS520においてメモリに読み込まれてもよい。ステップS530において、モジュール310は、ステップS520で読み込まれたデータからの複数のフィールドを遠隔医療データフォーマットの複数のフィールドにマッピングしてもよい。ステップS530で用いられるマッピングは、装置によって用いられるデータフォーマットによって決定されてもよい。当業者であれば、マッピングの決定方法及び1つのデータフィールドセットから別のデータフィールドセットへのこのデータマッピングへの実行方法を理解するであろう。次に、ステップS540において、遠隔医療データはデータ記憶装置に書き込まれてもよい。例えばデータは、固定記憶装置、XMLファイル、記憶モジュール330又は適切な任意の場所に限定なしに書き込まれてもよい。
図3A及び図3Bに示すように、遠隔医療システム100はデータ処理モジュール320を含んでもよい。データ処理モジュール320はステップS220を実行し、ここで、データは、上記データ上の特定の特徴を識別するように処理される。図6は、TCD装置からのステップS220に関する処理方法の一例を示す。この例において、処理されるデータは、TCD装置からの血管毎の速度測定波形を含む。ステップS610において、処理モジュール320は、処理されるべきデータを遠隔医療サーバからメモリへロードする。このデータは、図5に示すデータインポートプロセスS215のステップS540において、データ変換モジュール310により記憶されていてもよい。ステップS620において処理すべき別の血管があれば、次の血管が下記のステップ、即ち、1)波形処理ステップS630、2)特徴抽出/特徴識別ステップS640、3)処理対象の複数のパラメータの選択S650に従って処理されてもよい。
超音波が血液細胞に加えて身体内の物体によって反響されるとすれば、速度測定波形は、しばしばこれらの他の物体のエコーからのノイズを有する。図7A及び図7Bは、ステップS60によるノイズ除去の前及び後のデータを示す。ステップS640は、提供されたドプラデータ内の多くの使用可能な波形の関連パラメータをアルゴリズムにより識別する。ステップS650において、識別された全てのパラメータがその血管に関するドプラデータ内の信号波に関する平均のパラメータ値に最も近い1つ又は複数の「最良の」信号波を識別する。ステップS620において処理すべきさらなる血管が存在しなければ、ステップS670が実行されてもよく、ここで、処理されたデータ、即ち、識別された「最良の」信号波を即ち元のデータに加えた処理されたデータを遠隔医療サーバへ書き込むことができる。オプションとして、他のデータもサーバに書き込むことができる。
DVA/HVAは、例えばTCDデータである血管の検査データの解析を含む。血管の状態及び状況の評価及び区別に適用される場合、DVA/HVAは、時間及び速度の関数として(ソフトウェアを用いて)収集され評価されるTCD及び/又は血管内超音波(「IVUS(Intravascular Ultrasound)」)データ(まとめて、「データ」。)を含んでもよい。血管の状態を評価し及び区別するときに測定し又は考慮することが可能な複数の要素は、(a)超音波データ値(脳脈管構造内の確立された19個の血管のセグメントの各々に関する最大収縮期流速(PSV(peak systolic velocity)又はSys。)、拡張末期速度(EDV(end dialistic velocity)又はDia。)、最大収縮期時間(PST(peak systolic time))、拡張末期時間(EDT(end dialistic time)、平均流速(MFV(mean flow velocity))、収縮期加速度(SA(systolic acceleration))、拍動指数(PI(pulsatility index))、SAの自然対数(ln SA)の同時の考慮、(b)データ値と基準データベースとの比較及び/又は平均値からの分散の定量化、又は(c)19個の血管のセグメントの各々の血管の状態/パフォーマンス/健康状態を表す一連の指数(例えば、血流速度比又は他の血管のデータ。)である。当然ながら、解析がこれらの19個の血管のセグメントに限定される必要はない。さらに、上述の要素のリストは例示的であり、網羅的なものではない。
図8及び図9の例は、19個の頭蓋内血管のセグメントを示す。図8及び図9に描かれている血管のセグメントは、左右椎骨動脈(VA(vertebral artery))、脳底動脈(BA(basilar artery))、後大脳動脈/PCA(poserior cerebral artery)t(内向き)(P1)、後大脳動脈/PCAa(外向き)(P2)、内頸動脈/ICA(internal catroid artery)t(内向き)(C1)、中大脳動脈(M1)、前大脳動脈(A1)、前交通動脈(ACOM)、頸動脈サイフォン(内向き)(C4)、頸動脈サイフォン(外向き)(C2)及び眼動脈(OA(ophthalmic artery))を表している。
最大収縮期流速(PSV)は、識別された最大値における速度である。拡張末期速度(EDV)は、識別された最小値における速度である。平均流速(MFV)は、近似的に、
であり、より完全には、
である。拍動指数(PI)は、
である。収縮期加速度(SA)は、拡張末期速度と最大収縮期流速との間の速度包絡線上の最大の加速度のポイントとして識別される。この値は、データセットの最大値を計算する既知の方法を用いるアルゴリズムによって自動的に計算されてもよく、又は、次式、
によって計算されてもよい。
導出される指数は、動的な作業指数又は動的なコンプライアンス指数(dynamic compliance index)、動的な流動指数(dynamic flow index)及び動的な圧力指数(dynamic pressure index)を含むことができる。
即ち、DCIは、収縮期加速度の自然対数を平均流速で除算したものである。
II.動的な流動指数(DFI又は速度/インピーダンス指数(VPI))は、インピーダンス(拍動指数)に対する平均流速に関連しており、キャパシタンス量が血管コンダクタンスの流れにどのように影響するかを記述する。これは、次式で与えられる。
III.動的な圧力指数(DPI又は加速度/インピーダンス指数(API))は、インピーダンスに対する流れの力に関連しており、流れの力に対する血管キャパシタンス量の効果を記述する。これは、次式で与えられる。
即ち、DPIは、収縮期加速度値の自然対数を拍動指数値で除算したものである。
基本的な値及び導出される指数は、識別される関連の特徴又は選択されるパラメータに基づいて、この実施形態では最大値及び最小値に基づいて計算されてもよい。従って、カーソルの配置、即ち識別される特徴又は選択されるパラメータが変更されると、これらの係数は新しい配置に基づいて計算し直されてもよい。後述するように、レビューツールは、カーソル配置の調整に伴って係数を動的に計算し直す能力を有する。
図4Aに示すように、遠隔医療システム100は、データレビューツール410を有する。ステップS220が完了すると、ユーザは、図2に示すデータレビューステップS230を実行してもよく、ここで、処理されるデータがデータレビューツール410を用いてレビューされる。このレビューの1つの利点は、特徴が正しく識別され又はパラメータが適切に選択されていること、即ち上記特徴又はパラメータから計算される係数が正しいものであるように特徴が識別され/パラメータが選択されることを保証することにある。図10は、データレビューツール410を用いるデータレビューステップS230の1つの方法を示す。ステップS1010において、データレビューツール410は、遠隔医療サーバから血管のデータをロードする。これは、データファイルを遠隔サーバから読み取ることによって実行されてもよい。或いは、ウェブサービスからのデータ要求等の他の方法を用いることもできる。一般的な当業者は、他の装置からデータを受信する他の既知の技術を用いてもよいことを理解するであろう。
先に説明したように、速度測定データの1つの形式は、走査される血管毎に1つの波形が存在する一連の波形から成り、よってステップS620からステップS650において特徴が識別され又はパラメータが選択されてもよい。この例では、このような識別又は選択は、カーソルを配置して特徴を識別する又はパラメータを選択することによって実行される。この例では波形であるデータは、特徴を同定するカーソルと共に表示されてもよい。よってユーザは、どの血管波形がレビューされ、又は承認されているかを確認することができる。システムは、レビュー又は承認された血管を区別するために様々な示度を用いてもよい。例えば、レビュー又は承認される血管の名前を、例えば緑である色で示すことができる。ステップS1020において、レビュー又は承認すべき血管が残っていれば、ユーザは、ステップS1030においてレビューされていない血管のうちの1つを選択し、カーソル配置をレビューしてもよい。このようなレビューは後述され、図11はこれを示している。図10において、特徴の識別及びパラメータの選択が完了又は承認されると、本例の場合、ステップS1030において信号波上のカーソル配置がレビュー又は承認されると、ステップS1040においてユーザはその信号波に対応する血管をレビュー又は承認する。ステップS1020の後は、ステップS1050が実行されてもよく、ここで、更新された速度測定データが遠隔医療サーバへ書き込まれてもよい。この実施形態では、全ての血管がレビュー又は承認されればステップS1020が完了し、ステップS1050が実行されてもよい。
図10に示すように、ステップS230は、ステップS1030においてカーソルの調整又は変更プロセスを含んでもよい。この場合、カーソルの調整は特徴の識別又はパラメータの選択を指す。ここで記述している実施形態では、このような識別及び選択はカーソル配置の変更の影響を受ける。それにも関わらず、特徴を識別する任意の既知の方法及び当業者に知られているパラメータの調整が用いられてもよい。図11は、1つの血管に関するこのようなカーソル調整ステップS1030の一例を示す。ステップS1110において、波形を見た後にユーザがカーソルの調整は不要であると決定すれば、ユーザは単に、ステップS1180及びS1190のようにレビューを終わり、又は血管を承認できる。そうでなく、ユーザがステップS1120において調整又は変更は必要である可能性があると決定すれば、ユーザはステップS1130を実行してもよく、ここで、ユーザは適切な特徴又はパラメータを選択し識別する。本例では、この選択は、各信号波にカーソルを「最良の」最大値及び最小値の上に置くことによって実行される。ステップS1140において、ピークカーソル(即ち、信号波の最大値におけるカーソル。)が「最良」でなければ、レビューアはステップS1150を実行し、ここで、ピークカーソルの配置を調整する。ステップS1160において、谷部のカーソル(即ち、信号波の最小値におけるカーソル。)が「最良」でなければ、レビューアはステップS1170を実行し、ここで、谷部のカーソルの配置を調整する。これらのステップ又はこれらのステップの実行順序を繰り返し、変更し又は省略することは、一般的な当業者の技量レベルに含まれる。ステップS1163からS1166までは、この特定の実施形態では点及び線である、データ又は信号波の他の特徴に関連するカーソルの調整を示す。ステップS1170において、さらなる調整が不要であれば、ステップS1180が実行されてもよい。ステップS1180では、血管の係数が新しいカーソル配置を反映して計算するように直されてもよい。ステップS1190において、血管はレビュー又は承認されたものとして識別されてもよい。
図3A及び図3Bに示すように、遠隔医療システム100はレポート生成モジュール350を有してもよい。レポート生成モジュール350は、図2に示すステップS240を実行してもよく、ここで、患者のデータと既知の基準データとの比較を示すレポートが生成される。図12は、ステップS240におけるレポートを生成するためのプロセスの一例を示す。ステップS1210では、図2及び図10に示すステップS230において更新された患者のデータがメモリにロードされてもよい。ステップS1220では、例えば比較可能な生理学的な特性を有する健康な患者のデータである基準の患者データがメモリにロードされる。ステップS1230では、2つのデータセットが比較され、基準データからの患者のデータの変化を示す場合のあるグラフが生成される。図13は、グラフの一例を示す。ステップS1240では、レポートデータがデータ記憶モジュールに書き込まれてもよい。
図3A及び図3Bに示すように、遠隔医療システム100は通知モジュール340を有してもよい。レポート生成モジュール350によってステップS240が完了されると、オプションである通知モジュール340は、ステップS250において、図2に示すように、レポートを表示し又は印刷する用意があることを読取者に通知する。ある実施形態は、電磁メールアドレスへ送られる電子メールを生成する。別の実施形態は、ワークステーションに視覚的な警告を表示する。通知の形式は、テキストメッセージ、携帯電話機による伝達又はウェブページを用いる通知を含む、但しこれらに限定されない他の既知の形式も可能である。オプションとして、レビューの用意が整っているレポートのウェブページが表示されてもよい。
図4に示すように、遠隔医療システム100はオプションのレポートレビューツール420を有する。通知モジュール340によってステップS250が完了された後、読取者は、レポートレビューツール420を用いて図2に示すステップS260を実行してもよい。レポートは、患者、検査装置、検査手順、又は図12のステップS1230において生成される比較グラフに関するデータを含んでもよい。レポートに含まれる情報は、当業者には明らかであるような所望される任意の情報であってもよい。図13は、比較グラフの一例を示す。読取者は、この比較グラフを用いて、可能性のある状態を診断し、又は所定の医療処置が功を奏しているようであるか否かを判断してもよい。また読取者は、レビューツールを用い、レポートに情報を書き込むことによって診断を文書調製し、又はコメントを文書にしてもよい。読取者は、レポートへの情報入力を完了した後に任意の適切な方法でこのことを指示してもよい。例えば、読取者はレポートに電子署名をしてもよい。入力又はレポートへの「署名」を完了後、レポートはさらなる変更を防止するために「ロック」されてもよい。ロックされたレポートは、サーバへ送り返されても、記憶装置の1つ又は他のユーザへ送られてもよい。さらに、読取者は、オプションとしてオンラインでレポートを照会又はレビューすることができる。またさらに、レポート、データ又はシステム全体へのアクセスは全て、オプションとしてロールベースで所定のユーザに限定されることが可能であり、又はオプションとして様々なレベルのセキュリティを有することができ、又はユーザの様々なレベルの認証を要求することができる。読取者は、オンサイトの、遠隔の又は1つ又は複数の地域センタを含む任意の位置にも設けられることが可能である。
以上、本発明をより良く示しかつ記述するための説明を行ったが、これは、請求項の範囲の限定を意図するものではない。本発明の範囲は、添付の請求項及びその同等物により定義されるべきものであり、よって当業者に知られる同等の構造、行動及び構成は全て本明細書において意図される。
Claims (24)
- 血管の検査データを取得し解析するためのシステムにおいて、
ソースデータを提供することができる血管の検査データソースと、
上記データソースに接続された受信ユニットであって、上記ソースデータを受信することができ、上記ソースデータを処理して処理データを生成することができる受信ユニットと、
上記受信ユニットに接続された少なくとも1つのステーションであって、上記処理データのレビューを可能にするステーションとを備え、
上記受信ユニットは上記処理を実行するプロセッサを含み、
上記処理は、上記ソースデータに対して血管解析アルゴリズムを実行して上記データにおける処理対象の特徴を識別し、これにより血管の状態を識別することを含み、
上記検査データソース、上記受信ユニット及び上記少なくとも1つのステーションのうちの少なくとも1つは、他の上記検査データソース、上記受信ユニット及び上記少なくとも1つのステーションから遠隔に位置するシステム。 - 上記データソースはドプラ検査装置である請求項1記載のシステム。
- 上記ステーションは、上記識別された特徴の再選択を可能にする請求項1記載のシステム。
- 上記システムは、上記ソースデータ又は上記処理データ又は両方のレポートを生成するように構成された請求項1記載のシステム。
- 上記生成されたレポートは、さらなる変更に対してロックされる請求項4記載のシステム。
- 上記遠隔に位置する、上記検査データソース、上記受信ユニット及び上記少なくとも1つのステーションのうちの1つは、通信ネットワークを介して上記システムと通信する請求項1記載のシステム。
- 上記通信ネットワークはインターネットである請求項6記載のシステム。
- 血管のデータを処理するための血管データ処理ユニットにおいて、
受信される血管のデータを処理するためのデータ処理モジュールと、
血管のデータを記憶するためのデータ記憶モジュールと、
上記血管のデータに基づいてレポートを生成するためのレポート生成モジュールとを備え、
上記データ処理モジュールは、上記データに対して血管解析アルゴリズムを実行して上記データにおける処理対象の特徴であって血管の状態を識別することができる特徴を識別し、
上記処理ユニットは血管検査装置に接続されることが可能であり、
上記処理ユニットは、当該処理ユニットから遠隔に位置するステーションとの間で、上記血管のデータを通信することが可能である血管データ処理ユニット。 - 上記ステーションと組み合わされた請求項8記載の受信ユニット。
- 血管の検査データを取得し解析するための方法であって、
受信ユニットにおいて、データソースから血管の検査データを受信することと、
上記データに対して1つ又は複数の血管解析アルゴリズムを実行して上記データにおける処理対象の特徴を識別することと、
上記処理対象の特徴の調整又は再選択を受け入れることと、
上記受け入れられた調整又は再選択からレポートを生成することとを含み、
上記実行すること、受け入れること及び生成することのうちの少なくとも1つは、他の上記実行すること、受け入れること及び生成することから遠隔で発生する方法。 - 上記データソースは血管検査装置である請求項10記載の方法。
- 上記データソースはドプラ検査装置である請求項10記載の方法。
- 上記データソースは経頭蓋ドプラ検査装置である請求項10記載の方法。
- 上記調整又は再選択は、上記受信ユニットと通信している少なくとも1つのステーションで発生する請求項10記載の方法。
- 上記少なくとも1つのステーションは上記受信ユニットから遠隔にある請求項14記載の方法。
- 上記通信はインターネットを介して発生する請求項14記載の方法。
- 上記受信ユニットはデータ記憶装置に接続された請求項10記載の方法。
- 上記ソースデータの1つのフォーマットから別のフォーマットへの変換をさらに含む請求項10記載の方法。
- 上記ソースデータ又は上記処理データ又は両方のレポートを生成することをさらに含む請求項10記載の方法。
- 上記レポートを上記生成の後にロックすることをさらに含む請求項19記載の方法。
- 上記ロックすることは、上記ロックすることをトリガする入力信号の受信後に発生する請求項20記載の方法。
- 上記入力信号は遠隔の位置から受信される請求項21記載の方法。
- 上記実行すること、受け入れること及び生成することのうちの1つが遠隔で発生することは、上記他の実行すること、受け入れること及び生成することに通信ネットワークを介して伝達される請求項10記載の方法。
- 上記通信ネットワークはインターネットである請求項23記載の方法。
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