JP2009511017A - 幹細胞因子様タンパク質scfa1及びその使用 - Google Patents
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Abstract
上皮細胞増殖を刺激する方法並びに口腔及び胃腸疾患を治療するための方法が記載されている。これらの方法は、幹細胞因子様タンパク質A18SCFA1)ポリペプチド及びポリヌクレオチドを含む組成物を使用する。
Description
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)(1)に基づき、2005年10月7日に出願された米国仮出願第60/724,908号(本出願の全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。)の利益を主張する。
本願は、米国特許法第119条(e)(1)に基づき、2005年10月7日に出願された米国仮出願第60/724,908号(本出願の全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。)の利益を主張する。
1.1発明の分野
本発明は、胃腸上皮細胞の増殖を増強するための方法を提供する。本発明は、さらに、癌治療を受けている患者における粘膜炎を治療又は予防するための方法、炎症性腸疾患を有する患者を治療するための方法、並びに短腸症候群を有する患者における消化及び栄養吸収を改善するための方法を提供する。
本発明は、胃腸上皮細胞の増殖を増強するための方法を提供する。本発明は、さらに、癌治療を受けている患者における粘膜炎を治療又は予防するための方法、炎症性腸疾患を有する患者を治療するための方法、並びに短腸症候群を有する患者における消化及び栄養吸収を改善するための方法を提供する。
1.2配列表
本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの配列は、配列表に列記されており、2006年9月25日午前11時1分4秒に、IBM PC Windows(登録商標)オペレーティングシステム上で作成された、“NUVO−27PCT.ST25.txt”−48.6KB(49,771バイト)という名称のファイルを含有するディスク上に提出されている。“NUVO−27PCT.ST25.txt”と名づけられた配列表は、その全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。コンピュータ読み取り可能な書式(「CRF」)及び配列表「NUVO−27PCT.ST25.txt」の紙の写しは、本明細書に提出されている。出願人は、米国特許法施行規則CRF§1.821(c)及び(e)に従って提出されたCRFの内容と配列表の紙の写しがそれぞれ同一であることをここに宣言する。
本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの配列は、配列表に列記されており、2006年9月25日午前11時1分4秒に、IBM PC Windows(登録商標)オペレーティングシステム上で作成された、“NUVO−27PCT.ST25.txt”−48.6KB(49,771バイト)という名称のファイルを含有するディスク上に提出されている。“NUVO−27PCT.ST25.txt”と名づけられた配列表は、その全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。コンピュータ読み取り可能な書式(「CRF」)及び配列表「NUVO−27PCT.ST25.txt」の紙の写しは、本明細書に提出されている。出願人は、米国特許法施行規則CRF§1.821(c)及び(e)に従って提出されたCRFの内容と配列表の紙の写しがそれぞれ同一であることをここに宣言する。
1.3背景
電離放射線療法及び細胞毒性化学療法は、口腔及び胃腸粘膜に傷害を引き起こし、抗新生物治療を受けている患者にとって、なお重大な問題である。粘膜炎は、粘膜の炎症であり、治癒又は緩和を目的とする化学療法及び放射線療法の使用による、この患者集団における特に一般的な問題である。(これらの領域に対する)放射線及び化学療法で見られる消化管への粘膜傷害には、腺窩細胞の破壊、絨毛の高さの減少並びに胃腸上皮の潰瘍及び壊死が含まれ(Berthrong M, World J Surg 10:155−170(1986))、胃腸粘膜炎及び小腸結腸炎などの疾患が根底に存在する。患者にとって、これは、腹痛、出血性下痢、吸収不良を意味し、一部の事例では、細菌移行を意味し得る(Guzman et al., J Surg Res 46:104−107(1989))。さらに、化学療法及び電離放射線は、中咽頭及び唇の粘膜並びに食道の粘膜など、他の粘膜に対して影響を与え得る。
電離放射線療法及び細胞毒性化学療法は、口腔及び胃腸粘膜に傷害を引き起こし、抗新生物治療を受けている患者にとって、なお重大な問題である。粘膜炎は、粘膜の炎症であり、治癒又は緩和を目的とする化学療法及び放射線療法の使用による、この患者集団における特に一般的な問題である。(これらの領域に対する)放射線及び化学療法で見られる消化管への粘膜傷害には、腺窩細胞の破壊、絨毛の高さの減少並びに胃腸上皮の潰瘍及び壊死が含まれ(Berthrong M, World J Surg 10:155−170(1986))、胃腸粘膜炎及び小腸結腸炎などの疾患が根底に存在する。患者にとって、これは、腹痛、出血性下痢、吸収不良を意味し、一部の事例では、細菌移行を意味し得る(Guzman et al., J Surg Res 46:104−107(1989))。さらに、化学療法及び電離放射線は、中咽頭及び唇の粘膜並びに食道の粘膜など、他の粘膜に対して影響を与え得る。
放射線及び化学療法の同時併用療法は、頭部及び頸部癌を有する患者に、高度に症候性の口内炎を引き起こし、小細胞肺癌を有する患者に食道炎を引き起こし得ることが周知である。化学療法及び放射線療法は、直接及び間接的な毒性を通じて、口腔及び胃腸粘膜に傷害を引き起こす。直接の粘膜炎に対する機序は、上皮の菲薄化、炎症、減少した細胞の再生を引き起こし、最終的に潰瘍をもたらす、急速に***している基底上皮細胞の非特異的な細胞の死滅である。痛みを伴うこれらの病変は、局所及び全身的な感染に対する増加したリスクももたらす。間接的な粘膜毒性は、直接的な粘膜傷害の部位における細菌及びウイルス感染を可能とする、化学療法によって誘導された骨髄抑制の副産物である。これらの効果の重篤さは、用量の増大を不可能とし、治療を遅延し、用量低下を確実にもたらすので、癌療法の有効性を制約する。
化学療法若しくは放射線療法の最適下用量の処方、毒性が生じた後に、その後の治療経過中に用量を低下させること、又は中用量若しくは高用量のメトトレキサート後に、ロイコボリンなどの特異的な解毒剤を使用すること以外に、化学療法及び放射線療法によって誘導された(粘膜)胃腸障害(粘膜炎)に対する十分に確立された予防又は療法は利用できない(Allegra CJ.Antifolates.In:Chabner and Collins, eds. Cancer Chemotherapy:Principles and Practice.Philadelphia, Pa. JP Lippincott Co;1990:110−153)。
胃腸粘膜に対する傷害には、消化管の慢性的炎症疾患も伴い、これは、炎症性腸疾患と総称される。炎症性腸疾患の治療に対しては、サイトカインをベースとする療法が利用可能であるが、何れも、永久的な治癒とは考えることができない(Bouma and Strober, Nature Rev 3:521−533(2003))。クローン病などの炎症性腸疾患を有する患者では、しばしば、小腸の切除が必要とされる。外傷性傷害、血管障害及び癌の後には、手術による小腸の切除も必要であり得る。生きた小腸の200cm未満を残存させる手術による切除によって、患者には、短腸症候群(SBS)を発症するリスクが生じる。SBSは、消化不良、下痢、液体及び電解質の撹乱及び栄養不良によって臨床的に定義される疾患である。SBSを有する患者の管理には、しばしば、生涯ではなくとも、長期にわたる非経口栄養の使用が必要である(DiBaise et al., Am J Gastroenterol 99:1823− 1832(2004))。
従って、抗新生物治療に対する耐性を増加させるために、炎症性腸疾患を治療するための現行の治療を進歩させるために、並びに腸の外科的切除後に損なわれた消化及び吸収過程を回復させるために、予防的又は治療的に使用し得る薬剤を見出すことが必要とされている。
この目的のために、本明細書において、本発明者らは、胃腸の上皮細胞の増殖を誘導し、上皮細胞の増殖が望まれ得る症状を治療するために有用であり得る薬剤を発見した。
本発明は、幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)が消化管の上皮細胞の増殖を誘導するという発見に基づいている。したがって、SCFA1、その断片又は類縁体を含む組成物は、化学療法及び放射線治療によって誘導された粘膜炎、中咽頭、唇及び食道の粘膜炎、炎症性腸疾患などの口腔及び胃腸疾患並びに創傷、やけど、眼科疾患などのその他の症状、並びに上皮細胞増殖又は再生の刺激が望まれる全ての疾患の治療のためなどに、上皮化が必要とされる症状の治療のために使用され得る。
本発明とともに使用するための組成物には、組換えDA分子及びクローニングされた遺伝子又はその縮重バリアント、特に対立遺伝子バリアントなどの天然に存在するバリアントを含む、SCFA1ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド(配列番号1、3、5、7、9、11、13及び15)が含まれる。組成物は、本発明のポリヌクレオチドを含有する発現ベクターなどのベクター、このようなポリヌクレオチドを含有するように遺伝子操作された細胞及びこのようなポリヌクレオチドを発現するように遺伝子操作された細胞も含む。
本発明とともに使用するための組成物は、SCFA1ポリヌクレオチド、その断片又はバリアント;配列番号1の完全長タンパク質コード配列を含むポリヌクレオチド(例えば、配列番号2);配列番号9の成熟タンパク質コード配列のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(例えば、配列番号10);配列番号3、5又は9の成熟タンパク質コード配列のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(例えば、配列番号4、6又は10);配列番号15のトロンボスポンジンドメインのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(例えば、配列番号16);フューリン様システインリッチドメインをコードするヌクレオチド配列を含む配列番号11又は13のポリヌクレオチド(例えば、配列番号12又は14)を含む単離されたポリヌクレオチドを含むが、これらに限定されるものではない。本発明のポリヌクレオチド組成物は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、(a)配列番号1、3、5、7、9、11、13又は15に記載されているヌクレオチド配列の何れかの相補物、(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16の何れかをコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズするポリヌクレオチド;上記ポリヌクレオチドに対して少なくとも70%のポリヌクレオチド配列同一性を有する、上記ポリヌクレオチドの何れかの対立遺伝子バリアントであるポリヌクレオチド;上記ペプチドの何れかの種相同体(例えば、相同分子種)をコードするポリヌクレオチド;又は、配列番号2、4、6、8若しくは10のポリペプチドの特異的ドメイン又は末端切断を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも含むが、これらに限定されるものではない。
本発明は、さらに、上記ポリヌクレオチドの少なくとも1つの断片を含むクローニングベクター又は発現ベクター及びこれらの発現ベクターで形質転換された宿主細胞又は生物を提供する。有用なベクターとしては、本分野で周知の、プラスミド、コスミド、λファージ誘導体、ファージミドなどが挙げられる。したがって、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター及び前記ポリペプチドを含有する宿主細胞も提供する。一般に、ベクターは、少なくとも1つの生物中で機能的な複製起点、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位及び宿主細胞に対する選択可能なマーカーを含有する。本発明のベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター及び配列決定ベクターが挙げられる。本発明の宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞とすることが可能であり、単細胞生物又は多細胞生物の一部とすることが可能である。
本発明の一実施形態は、SCFA1ポリペプチドの医薬有効量及び医薬として許容される担体を含む組成物の使用に向けられる。
本発明とともに使用するための医薬組成物は、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16のアミノ酸配列を含む群から選択される(但し、これらに限定されない。)、単離されたポリペプチドを含む、ポリペプチドを含む。本発明とともに使用するためのポリペプチドには、(a)配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15に記載されているヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドの何れか;又は(b)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、(a)のポリヌクレオチドの相補物にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる、生物学的活性を有するポリペプチドも含まれる。配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16として列記されているタンパク質配列の何れかの生物学的又は免疫学的に活性な類縁体及び生物学的を保持するその実質的均等物も想定される。ポリペプチドは、完全に又は部分的に化学合成され得るが、本発明の遺伝子操作された細胞(例えば、宿主細胞)を用いて、組換え手段によって好ましく産生される。
ポリペプチドは、他のタンパク質に対して現在適用されている様々な慣用の操作及び方法において使用することが可能である。例えば、本発明のポリペプチドは、ポリペプチドを特異的に結合する抗体を作製するために使用することが可能である。このような抗体、特にモノクローナル抗体は、組織中のポリペプチドを検出又は定量するのに有用である。
さらなる実施形態において、本発明は、上皮細胞の増殖を刺激する方法に関する。本方法は、幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)ポリペプチド、その断片又は類縁体の治療的有効量及び医薬として許容される担体を含む組成物と、上皮細胞を接触させることを含む。具体的には、上皮細胞の刺激を必要とする対象(細胞保護、増殖及び/又は分化を含む。)には、上記SCFA1タンパク質の何れか、その断片又は類縁体など、SCFA1ポリペプチドの治療的有効量又は予防的有効量が投与される。
上記方法の全てにおいて、上皮細胞は、インビトロ又はインビボで、SCFA1ポリペプチドと接触され得る。
本発明のペプチド及び医薬として許容される担体を含む組成物の治療的有効量を哺乳動物対象に投与する工程を含む、医学的症状を予防、治療、又は軽減するための方法も提供される。
特に、本明細書に記載されているSCFA1ポリペプチドは、胃腸腺窩細胞の増殖及び/又は分化を誘導して、消化管の上皮層を再生するために使用され得る。したがって、SCFA1ポリペプチド及びポリヌクレオチドは、化学療法又は放射線療法によって誘導された粘膜炎又は小腸結腸炎の治療において使用され得る。SCFA1ポリペプチドは、切除されていない腸組織の吸収性表面積を増加させることによって、短腸症候群に伴う症候を軽減するためにも使用され得る。
SCFA1ポリペプチドは、創傷、やけど、眼科疾患などの疾病及びその他の症状、並びに上皮細胞の増殖又は再生の刺激が望まれる全ての疾患の治療においても使用され得る。
本明細書に記載されているポリヌクレオチド及びポリペプチドは、胃腸上皮の分化及び発達のマーカーとしても使用され得る。
従って、ある種の実施形態において、本発明は、SCFA1ポリペプチド及び医薬として許容される担体を含む組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む、上皮細胞の増殖を刺激することを必要としている対象において上皮細胞の増殖を刺激する方法に関する。ある種の実施形態において、SCFA1ポリペプチドが配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列又は配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。上記方法のある種の実施形態において、前記方法は、食道、小腸、大腸、胃及び/又は口腔中での上皮細胞増殖を刺激するなど、口腔又は消化管中での上皮細胞の増殖を刺激することを含む。
さらなる実施形態において、本発明は、SCFA1ポリペプチド及び医薬として許容される担体を含む組成物の治療的有効量を哺乳動物対象に投与することを含む、胃腸疾患又は口腔粘膜疾患を治療することを必要としている哺乳動物対象において胃腸疾患又は口腔粘膜疾患を治療する方法に関する。ある種の実施形態において、SCFA1ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列又は配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。さらなる実施形態において、疾患は、粘膜炎、炎症性腸疾患又は短腸症候群である。
さらなる実施形態において、本発明は、SCFA1ポリペプチド及び医薬として許容される担体を含む組成物の治療的有効量を哺乳動物対象に投与することを含む、口腔又は消化管の少なくとも一部の上皮細胞の裏打ちに対する損傷のリスクを有する哺乳動物対象を治療する方法に関する。ある種の実施形態において、SCFA1ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列又は配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。さらなる実施形態において、対象は、放射線療法及び/又は化学療法を受けた、又は受ける予定である。
さらなる実施形態において、本発明は、発現調節配列が作用可能に結合されたSCFA1をコードするポリヌクレオチドを含むアデノウイルスベクターに関する。ある種の実施形態において、SCFA1ポリペプチドは配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列又は配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
さらなる実施形態において、上記アデノウイルスベクター及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物に関する。
さらなる実施形態において、本発明は、上記アデノウイルスベクターを含む医薬組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む、上皮細胞の増殖を刺激することを必要としている対象において上皮細胞の増殖を刺激する方法に関する。
さらなる実施形態において、本発明は、発現調節配列が作用可能に結合されたSCFA1ポリペプチドをコードするベクター及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む、上皮細胞の増殖を刺激することを必要としている対象において上皮細胞の増殖を刺激する方法に関する。
本発明の方法は、本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチド及び医薬として許容される担体を含む組成物の治療的有効量を、本明細書に記載されている疾患に関連する症候又は傾向を示す哺乳動物対象に投与することを含む、本明細書に記載されている疾患を治療するための方法も提供する。さらに、本発明は、標的遺伝子産物の総合的な活性を調節する化合物及びその他の物質と、並びに医薬として許容される担体とを含む組成物を投与する工程を含む、本明細書に記載されている疾病又は疾患を治療するための方法を包含する。化合物及びその他の物質は、標的遺伝子/タンパク質発現又は標的タンパク質活性のレベルの何れかに対して、このような調節を行うことが可能である。具体的には、ヒトを含む(但し、ヒトに限定されない。)哺乳動物対象に、本発明のポリペプチドを含む組成物の治療的有効量又はSCFA1ポリペプチドの結合対を含む組成物の治療的有効量を投与することを含む、粘膜炎、炎症性腸疾患及び創傷などの医学的症状を予防、治療、又は軽減するための方法が提供される。具体的な症状又は病状の機構が、ポリペプチド又はその結合対が治療を必要としている個体にとって有益であるかどうかを規定する。
本発明は、さらに、上記方法において有用な医薬を製造するための方法を提供する。
本発明は、さらに、試料中(例えば、組織又は試料)の、本発明に記載されているポリヌクレオチド又はポリペプチドの存在を検出するための方法に関する。このような方法は、例えば、本明細書に記載されている疾患の予後及び診断評価の一環として、及びこのような症状に対して素因を示す対象を特定するために使用することが可能である。
本発明は、複合体を形成するのに十分な条件下及び期間で、ポリペプチドに結合し、及びポリペプチドと複合体を形成する化合物を試料と接触させること、並びに複合体が形成された場合に、ポリペプチドが検出されるように、複合体の形成を検出することを含む、試料中の本明細書に記載されているポリペプチドを検出するための方法を提供する。
本発明は、本発明の方法を実施するための、ポリヌクレオチドプローブ及び/又はモノクローナル抗体を含み、並びに定量標準を場合によって含むキットも提供する。さらに、本発明は、薬物の効力を評価するための方法、及び上記疾患の治療のための臨床試験に参加した患者の進行をモニタリングするための方法を提供する。
本発明は、また、本発明のポリヌクレオチド及び/又はポリパプチドの発現又は活性を修飾する(すなわち、亢進又は低下させる)化合物の同定の方法を提供する。この方法は、例えば、SCFA1ポリポプチドの治療活性を増大させて、本明細書に記載されている疾患の症状を改善することのできる化合物の同定の為に使用することが可能である。このような方法には、本発明のポリペプチドと相互作用する(例えば、結合する)化合物及びその他の物質を同定するためのアッセイが含まれ得るが、これらに限定されない。
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載されている症状又は疾患を治療するためのSCFA1ポリペプチドをコードするSCFA1ポリヌクレオチドの送達による遺伝子治療を提供する。
関連する実施形態において、本発明は、本明細書に記載されている疾患を治療するための医薬の製造における、SCFA1ポリペプチドの発現を与える発現調節配列と作用可能に結合されたSCFA1ポリペプチドをコードする遺伝子を含むベクターの使用に関する。本発明は、発現調節配列と作用可能に結合されたSCFA1ポリペプチドをコードする遺伝子を含むウイルスベクターを提供する。好ましい実施形態において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターである。本発明のウイルスベクターは、上記のような、SCFA1ポリペプチドのいずれかをコードする遺伝子を提供することが可能である。より具体的には、本発明は、粘膜炎、炎症性腸疾患又は短腸症候群を治療するための医薬の製造における、本発明のアデノウイルスベクターの使用を提供する。関連する医薬組成物は、本発明のウイルスベクター及び医薬として許容される担体を含む。
本発明の実施を詳述する以下の記載の検討により、本発明のさらなる態様及び利点が、当業者に明らかとなる。
幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)は、造血系幹細胞の増殖を促進し、その生存を維持することが以前に記載され、示された(U.S. Patent 6.824,973)。SCFA1は、トロンボスポンディン1型リピート(TSR)スーパーファミリーのメンバーであり(Chen et al., Molecular Biol Report 29:287−292(2002);Kamata et al., Biochim Biophys Acta 1676:51−62(2004);参照により、本明細書中に組み込まれる。), hPWTSR(Chen et al.,(2002))及びR−スポンディン3(Kazanskaya et al., Developmental Cell 7:525−534(2004);参照により、本明細書中に組み込まれる。)としても知られる。
配列番号2のSCFA1ポリペプチドは、約30kDaの非グリコシル化された推定分子量を有する約272アミノ酸のタンパク質である。開始メチオニンは、配列番号1の291位で始まり、停止コドンと推測されるコドンは、配列番号1の1107位から始まる。BLASTアルゴリズム(Altschul S.F. et al., J. MoI.Evol.36:290−300(1993) and Altschul S.F. et al., J. MoI. Biol.21 :403−10(1990)、参照により、本明細書中に組み込まれる。)を用いたタンパク質データベース検索は、配列番号1の相同分子種が、マウス(NCBI受託番号NM028351 ;gi30794143)、ウシ(NCBI受託番号AV615874;gi9751544)及びニワトリ(NCBI受託番号AL587653;gi13192687)に存在し、並びに配列番号2のパラログが、ゼブラフィッシュ(NCBI受託番号AI545208;gi4462581)及びラット(NCBI受託番号BE11437;gi8503542)に存在することを示す。
予測される約21アミノ酸残基のシグナルペプチドは、配列番号2の概ね残基1から残基21までコードされている。細胞外部分は、それのみで有用である。シグナルペプチド領域は、Neural Network Signal P V1.1プログラム(Nielsen et al., Int. J. Neural Syst.8:581−599(1997))、参照により、本明細書中に組み込まれる。)を用いて、及び/又はNeural Network SignalPV1.1プログラム(Nielsen et al,(1997) Int.J. Neural Syst.8, 581−599)を用い推定された。配列番号8は、シグナルペプチドを欠如する配列番号2のSCFA1ポリペプチドである。すなわち、配列番号8は、SCFA1の主な成熟形態である。SCFA1は、配列番号2のアミノ酸32と33の間に、推定フューリンプロテアーゼ切断部位を含有する。従って、シグナルペプチドを欠如する主な成熟形態(配列番号8)並びにシグナルペプチド(アミノ酸1から21)及び配列番号2のアミノ酸22とアミノ酸32の間のアミノ酸残基を欠如する成熟形態(配列番号10)という、SCFA1の2つの形態が存在する可能性がある。
Pfamソフトウェアプログラム(Sonnhammer et al., Nucleic Acids Res., Vol. 26(1)pp.320−322(1998)、参照により、本明細書中に組み込まれる。)を用いて、既知のペプチドドメインに対して相同性を有するドメインに関して、SCFA1ポリペプチド(配列番号2)を調べた。SCFA1ドメインは、2つのフューリン様ドメインを含有する。SCFA1のフューリン様ドメイン(配列番号12及び14)は、それぞれ、配列番号11及び13のポリヌクレオチドによってコードされ、ポリペプチドドメインは、配列番号2のアミノ酸40から83及びアミノ酸94から133を包含する。これらのフューリン様リピートドメインは、受容体チロシンキナーゼによるシグナル伝達の機序に関与する様々な真核生物タンパク質中に見出されてきた(Raz et al.Genetics 129:191−201(1991))。従って、SCFA1のフューリン様システインリッチドメインは、腸上皮の増殖に影響を与え得る。
配列番号2のSCFA1ポリペプチドは、配列番号15のヌクレオチド配列によってコードされるトロンボスポンディン1型ドメイン(TSP1)(配列番号16)を有すると推定される。配列番号2の中に含有されるトロンボスポンディン1型ドメインは、アミノ酸残基150から206であると予測される。
トロンボスポンディンは、細胞−細胞及び細胞−マトリックスの情報伝達に関与する細胞外マトリックスタンパク質のファミリーである(Lawler et al., Curr.Opin. Cell Bio.12:634−640(2000))。組織分布の異なるパターンを有する6つ以上の異なるトロンボスポンディンが知られている。心臓、軟骨及び脳のような幾つかの組織が、トロンボスポンディン遺伝子産物の殆どを発現している。トロンボスポンディン−1は、血小板の主要な構成成分である。トロンボスポンディン−1は、膜タンパク質及びサイトカイン及び他の可溶性因子を集結させるために、細胞表面で機能するように思われる。トロンボスポンディン−1を結合する膜タンパク質には、インテグリン、インテグリン関連タンパク質(CD47)、CD36、プロテオグリカンが含まれる。トランスフォーミング成長因子β(TGFβ)及び血小板由来増殖因子も、トロンボスポンディン−1を結合する。
トロンボスポンディン−1は、多くの異なるドメインを有する大きなタンパク質である。トロンボスポンディン−1は、アミノ末端とカルボキシ末端の両者に球状ドメイン(プロコラーゲンと相同性を有する領域)を含有し、並びにトロンボスポンディン(TSP)1型、2型及び3型リピートと命名された反復配列モチーフの3つの種類を含有する。TSP1リピートは、補体成分(C6、C7、C8Aなど)、ADAMTSのような細胞外マトリックスタンパク質、ミンディン、F−スポンディンセマフォリンのような軸索誘導分子、及びSCO−スポンディン及びプラスモジウムのTRAPタンパク質を含む様々な異なるタンパク質中に見出されている。
トロンボスポンディン1型リピートは、細胞増殖、分化、接着、遊走及び死の制御に関与するTGFβ上皮組織を活性化することができる。TSP1は、さらに、タンパク質結合、ヘパリン結合、細胞付着、神経突起伸長、増殖の阻害、血管新生の阻害及びアポトーシスの活性化に関与している。プラスモジウムスポロゾイト周囲(CS)タンパク質及びTRAPタンパク質のTSP1ドメインは、スポロゾイトによる唾液腺への侵入に関与している。
TSP1配列は、保存されたシステイン、空間的に近接したトリプトファン及び塩基性残基のクラスターによって特徴付けられる。TSP1配列の空間的配置は、ヘパリンを結合することが示されている2つのβ−シートドメインを示している(Kilpelainen et al(2000) J. Biol Chem. 275, 13564−13570、参照により、本明細書に組み込まれる。)。類似の空間的折り畳みが、ヘパリン結合成長関連分子(HB−GAM)に対して記載されている。HB−GAMは、***促進及び神経突起伸長促進タンパク質プレイトロフィン;骨芽細胞特異的因子−1;ヘパリン結合神経栄養因子及びヘパリン親和性制御ペプチド(heparin affin regulatory peptide)と同一である。HB−GAMの発現は、軸索路及びシナプスの細胞外マトリックスと関連すること、並びに脳外及び軟骨マトリックス内の基底膜と関連することが示された。最近、N−シンデカンは、脳内のHB−GAMに対する受容体であることが示され、海馬の長期増強(記憶と学習への関与が推測されている脳可塑性の一形態)の制御において役割を果たしていることが示唆された。従って、TSP1含有タンパク質は、成長促進因子として作用し得、SCFA1活性を示し得る。
さらに、骨髄内で合成され、細胞外マトリックス内に堆積したトロンボスポンディンは、一次多能性前駆細胞に対する細胞接着分子として、並びに赤血球、顆粒球及び巨核球性系統になることが予定された造血系前駆細胞に対する細胞接着分子として機能する。従って、トロンボスポンディンは、血液細胞の発達において重要であり得る(Long and Dixit(1990) Blood 75, 2311− 2318、参照により、本明細書中に組み込まれる。)。
CSFA1ポリペプチド及びポリヌクレオチドは、胃腸腺窩の増殖又は分化を誘導するために使用され得る。CSFA1ポリペプチド及びポリヌクレオチドは、化学療法及び放射線治療によって誘導された粘膜炎、中咽頭、唇及び食道の粘膜炎、炎症性腸疾患などの胃腸疾患並びに創傷、やけど、眼科疾患などのその他の症状、並びに上皮細胞増殖又は再生の刺激が望まれる全ての疾患の治療のためなど、上皮化が必要とされる症状のためにも使用され得る。前記ポリヌクレオチド及びポリペプチドは、さらに、移植された組織を必要としている患者を補助し得る新しい組織及び臓器を生成するために使用され得る。
定義
本発明を記載する際には、以下の用語が使用され、以下に示されているように定義されるものとする。
本発明を記載する際には、以下の用語が使用され、以下に示されているように定義されるものとする。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈が明確に別段の意味を定めていなければ、単数形「a」、「an」及び「the」には、複数表記が含まれることに留意しなければならない。
本発明において、「SCFA1タンパク質」又は「SCFA1ポリペプチド」という用語は、Met1からHis272によって規定される完全長タンパク質(配列番号2)、その断片及び類縁体を表す。
本明細書において使用される「完全長SCFAT」又は「天然型SCFA1」という用語は全て、272のアミノ酸残基を含有するポリペプチド(配列番号2)を表す。
「断片」という用語は、SCFA1の完全な配列を含まない天然型SCFA1に由来するポリペプチドを表す。このような断片は、完全長分子、例えば、配列番号4の末端切断様式及び内部欠失されたポリペプチドであり得る。SCFA1断片は、本明細書に記載されているように、インビトロ又はインビボにおける、上皮細胞の増殖に対するSCFA1の効果によって測定されるSCFA1生物活性を有し得る。
「類縁体」という用語は、基準分子の誘導体を表す。類縁体は、上述のように生物活性を保持し得る。一般に、「類縁体」という用語は、修飾が活性を破壊しない限り、天然型分子に比べて、1つ又はそれ以上のアミノ酸付加、置換(一般的に、性質上保存的である。)及び/又は欠失を有する天然型ポリペプチド配列及び構造を有する化合物を表す。好ましくは、類縁体は、親分子と少なくとも同一の生物活性を有し、親分子に比べて増強された活性さえ示し得る。ポリペプチド類縁体を作製する方法は、本分野において公知である。特に好ましい類縁体は、性質上保存的である置換、すなわち、側鎖が関連するアミノ酸のファミリー内で生じる置換を含む。具体的には、アミノ酸は、一般的には、(1)酸性:アスパギン酸及びグルタミン酸;(2)塩基性:リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性:アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;及び(4)非帯電極性:グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンという4つのファミリーに分けられる。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは、時々、芳香族アミノ酸として分類される。例えば、ロイシンのイソロイシン又はバリンでの;アスパラギン酸のグルタミン酸での:スレオニンのセリンでの;又はアミノ酸の類似の保存的置換の、構造的に関連するアミノ酸での単離された置換は、SCFA1の生物活性を保存することが合理的に予想可能である。
目的の活性を損なわずに、何れのアミノ酸残基を置換し、付加し又は欠失し得るかを決定する上での指針は、あるポリペプチドの配列を相同的ペプチドの配列と比較し、高い相同性の領域(保存された領域)中に為されたアミノ酸配列の変化の数を最小限に抑えることによって、又はアミノ酸をコンセンサス配列と置換することによって見出し得る。
あるいは、これらの同一又は類似のポリペプチドをコードする組換え類縁体は、遺伝コード中の「冗長性」を使用することによって合成又は選択し得る。プラスミド若しくはウイルスベクター中へのクローニング又は特定の原核生物又は真核生物中での発現を最適化するために、様々な制限部位をもたらすサイレント変化など、様々なコドン置換を導入し得る。ポリヌクレオチド配列中の突然変異は、ポリペプチド中に、又はポリペプチドの何れかの部分の特性を修飾するために、リガンド−結合親和性、鎖間親和性若しくは分解/代謝回転速度などの特性を変化させるために前記ポリペプチドに付加された他のペプチドのドメイン中に反映され得る。
好ましくは、アミノ酸「置換」は、類似の構造的及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸で、あるアミノ酸を置換すること(すなわち、保存的アミノ酸置換)の結果である。「保存的」アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性の類似性に基づいて為され得る。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン及びメチオニンが含まれ;極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミンが含まれ、正に帯電した(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リジン及びヒスチジンが含まれ;並びに、負に帯電した(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれる。「挿入」又は「欠失」は、好ましくは、約1から20個のアミノ酸、さらに好ましくは1から10個のアミノ酸の範囲である。許容される変動は、組換えDNA技術を用いて、及び活性に関して、得られた組換えバリアントをアッセイして、ポリペプチド中のアミノ酸の挿入、欠失又は置換を体系的に作製することによって、実験的に決定し得る。
あるいは、機能の変化が望まれる場合には、変化されたポリペプチドを作製するために挿入、欠失又は非保存的変化を施すことが可能である。このような変化は、例えば、本発明のポリペプチドの生物機能又は生化学的特徴の1つ又はそれ以上を変化させることが可能である。例えば、このような変化は、リガンド−結合親和性、鎖間親和性又は分解/代謝回転速度などのポリペプチド特性を変化させ得る。さらに、発現のために選択された宿主細胞中での発現、スケールアップなどにより適したポリペプチドを生成するために、このような変化を選択することが可能である。例えば、ジスルフィド架橋を除去するために、システイン残基を欠失させ、又は別のアミノ酸残基で置換することが可能である。
「誘導体」という用語は、ユビキチン化、(例えば、放射性核種又は様々な酵素での)標識、PEG化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)などのポリマーの共有結合及びヒトタンパク質中に本来存在しないアミノ酸(オルニチンなど)の化学的合成による挿入又は置換などの技術によって化学的に修飾されたポリペプチドを表す。
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを表し、産物の最小長に限定されるものではない。本用語は、別段の記載がなければ、アミノ酸の配列を変化させないポリペプチドの修飾、例えば、グリコシル化された形態、アセチル化された形態及びリン酸化された形態も含む。本発明において、ポリペプチド又はタンパク質は、合成的に又は組換え的に産生され、及び天然源から単離され得る。
「精製された」及び「単離された」という用語は、ポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す場合、表記分子に、同じ種類の他の生物学的高分子が実質的に存在しないことを意味する。本明細書において使用される「精製された」という用語は、同じ種類の生物学的高分子の好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%が試料中に存在することを意味する。一実施形態において、ポリヌクレオチド又はポリペプチドが、存在する表記生物学的高分子の少なくとも95重量%を占めるが、水、緩衝液及び他の小分子、特に、1000ダルトン未満の分子量を有する分子が存在することができるように、ポリヌクレオチド又はポリペプチドが精製される。
「あるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド」は、本発明のポリペプチドをコードしない他の核酸分子が実質的に存在しない核酸分子を表すが、核酸分子は、組成物の基本的な特性に有害な影響を及ぼさない幾らかの付加的塩基又は部分を含み得る。
「天然に存在しないポリペプチド」という用語は、遺伝子操作されていない細胞によって産生されたポリペプチドを意味し、具体的には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質付加及びアシル化など(但し、これらに限定されない。)、ポリペプチドの翻訳後修飾から生じる様々なポリペプチドを想定する。
「翻訳されたタンパク質コード部分」という用語は、何らかのリーダー配列又はプロセッシング配列を含み得る完全長タンパク質をコードする配列を意味する。
「主な成熟タンパク質コード配列」という用語は、何れのリーダー/シグナル配列もなしに、ペプチド又はタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を意味する。「主な成熟タンパク質部分」とは、リーダー/シグナル配列を持たないタンパク質の部分を表す。「成熟」形態とは、リーダー/シグナル配列及びフューリン切断部位に対する配列を欠如するSCFA1ポリペプチドを表す。ペプチドは、細胞内でのプロセッシング中に除去されるリーダー配列及び/又はフューリン切断部位を有し得、又はタンパク質は、合成的に作製され得、若しくは成熟タンパク質コード配列のみをコードするポリヌクレオチドを用いて作製し得る。成熟又は主な成熟タンパク質部分は、開始メチオニン残基を含んでもよく、又は含まなくてもよい。開始メチオニンは、しばしば、ペプチドのプロセッシング中に除去される。
「単離された」という用語は、その天然源中の当該核酸又はポリペプチドとともに存在する少なくとも1つの他の成分(例えば、核酸又はポリペプチド)から分離された核酸又はポリペプチドを意味する。一実施形態において、核酸又はポリペプチドは、(もし存在すれば)溶媒、緩衝液又は同じ溶液中に通常存在する他の成分のみの存在下で見出される。「単離された」及び「精製された」という用語は、それらの天然源中に存在する核酸又はポリペプチドを包含しない。
「組換え」という用語は、ポリペプチド又はタンパク質を表すために本明細書中で使用された場合、ポリペプチド又はタンパク質が、組換え(例えば、微生物、昆虫又は哺乳動物の)発現系から得られたことを意味する。「微生物」とは、細菌又は真菌(例えば、酵母)発現系内で作製された組換えポリペプチド又はタンパク質を表す。産物として、「組換え微生物の」とは、天然型内在物質を実質的に含まず、付随する天然のグリコシル化を伴わないポリペプチド又はタンパク質を規定する。多くの細菌培養物、例えば、E.コリ中で発現されたポリペプチド又はタンパク質は、グリコシル化修飾を含まず、酵母中で発現されるポリペプチド又はタンパク質は、一般に、哺乳動物細胞中で発現されるグリコシル化パターンと異なるグリコシル化パターンを有する。
「組換えポリペプチド」という用語は、本明細書に記載されている組換えDNA技術によって調製されたポリペプチドを意味する。一般に、所望のポリペプチドをコードする遺伝子がクローニングされ、次いで、以下に記載されているように、形質転換された生物中で発現される。宿主生物は外来遺伝子を発現して、発現条件下でポリペプチドを産生する。あるいは、組換えポリペプチドを与えるために、内在ポリペプチドの発現を調節するプロモーターを改変することが可能である。
「活性な」という用語は、何れかの天然に存在するポリペプチドの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持するポリペプチドの形態を意味する。本発明において、「生物学的に活性な」又は「生物学的活性」という用語は、天然に存在する分子の構造的、制御的又は生化学的機能を有するタンパク質又はペプチドを表す。同様に、「生物学的に活性な」又は「生物学的活性」は、天然、組換え若しくは合成SCFA1又はこれらの何れかのペプチドが適切な動物又は細胞中での特異的生物応答を誘導する能力を表す。
「分泌された」という用語には、適切な宿主細胞中で発現された場合に、そのアミノ酸配列中のシグナル配列の結果として生じる輸送を含む、膜を横切って又は膜を通じて輸送されるタンパク質が含まれる。「分泌された」タンパク質には、それらがその中で発現されている細胞から完全に(例えば、可溶性タンパク質)又は部分的に(例えば、受容体)分泌されたタンパク質が含まれるが、これらに限定されるものではない。「分泌された」タンパク質には、小胞体の膜を横切って輸送されるタンパク質も含まれるが、これに限定されない。「分泌されたタンパク質」には、非典型的なシグナル配列を含有するタンパク質(例えば、インターロイキン−1β、Krasney, P.A. and Young, P.R.(1992) Cytokine 4(2):134 −143参照)及び損傷を受けた細胞から放出される因子(例えば、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、Arend, WP. et. al.(1998) Annu. Rev. Immunol. 16:27−55参照)も含まれるものとする。
「ポリヌクレオチド」又は「核酸分子」という用語は、あらゆる長さのヌクレオチド(リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドの何れか)のポリマー形態を意味するものとする。本用語は、分子の一次構造のみを表し、従って、二本鎖及び一本鎖DNA及びRNAを含む。本用語は、修飾の既知の種類、例えば、本分野において公知である標識、メチル化、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドの1つ又はそれ以上の、類縁体による置換、例えば、非帯電結合を有するもの(例えば、メチルホスホナート、ホスホトリエステル、ホスホアミダート、カルバマートなど)及び帯電した結合を有するもの(例えば、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアートなど)、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなどを含む。)などのペンダント部分を含有するもの、インターカレータ(例えば、アクリジン、ソラーレンなど)を有するもの、キレートを含有するもの(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属など)、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を有するもの(例えば、αアノマー核酸など)を有するものなどのヌクレオチド間修飾及びポリヌクレオチドの非修飾形態も含む。一般的に、本発明によって提供される核酸セグメントは、ゲノム及び短いオリゴヌクレオチドリンカーの断片から、又は一連のオリゴヌクレオチドから、又は各ヌクレオチドから会合して、微生物若しくはウイルスオペロンに由来する制御要素を含む組換え転写単位中で発現され得る合成核酸又は真核生物遺伝子を与え得る。
「オリゴヌクレオチド断片」又は「ポリヌクレオチド断片」、「部分」又は「セグメント」又は「プローブ」又は「プライマー」は互換的に使用され、少なくとも約5ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約7ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約9ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約11ヌクレオチド及び最も好ましくは少なくとも約17ヌクレオチドであるヌクレオチド残基の配列を表す。断片は、好ましくは約500ヌクレオチド未満、好ましくは約200ヌクレオチド未満、より好ましくは約100ヌクレオチド未満、より好ましくは約50ヌクレオチド未満、最も好ましくは30ヌクレオチド未満である。好ましくは、プローブは、約6ヌクレオチドから約200ヌクレオチドまで、好ましくは約15ヌクレオチドから約50ヌクレオチドまで、より好ましくは約17ヌクレオチドから30ヌクレオチドまで、最も好ましくは約25ヌクレオチドから25ヌクレオチドまでである。好ましくは、断片は、mRNA又はDNA分子の同一又は関連部分を特定又は増幅するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、様々なハイブリダイゼーション操作又はマイクロアレイ操作において使用することが可能である。断片又はセグメントは、本発明の各ポリヌクレオチド配列を一意的に特定し得る。好ましくは、断片は、配列番号1、3、5、7、9、11、13又は15の部分に実質的に類似する配列を含む。
Walsh et al.(Walsh, P.S. et al., 1992, PCR Methods Appl 1 :241−250)によって記載されているように、例えば、特異的なmRNA分子が細胞若しくは組織中に存在するかどうかを決定するために、又は染色体DNAから類似の核酸配列を単離するためにプローブを使用し得る。プローブは、ニック翻訳、Klenow fill−in反応、PCR又は本分野において周知の他の方法によって標識され得る。本発明のプローブ、それらの調製及び標識は、「Sambrook, J. et al., 1989, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY;or Ausubel, F. M. et al., 1989」、「Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York NY」(何れも、参照により、全体が本明細書に組み込まれる。)中に詳述されている。
Walsh et al.(Walsh, P.S. et al., 1992, PCR Methods Appl 1 :241−250)によって記載されているように、例えば、特異的なmRNA分子が細胞若しくは組織中に存在するかどうかを決定するために、又は染色体DNAから類似の核酸配列を単離するためにプローブを使用し得る。プローブは、ニック翻訳、Klenow fill−in反応、PCR又は本分野において周知の他の方法によって標識され得る。本発明のプローブ、それらの調製及び標識は、「Sambrook, J. et al., 1989, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY;or Ausubel, F. M. et al., 1989」、「Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York NY」(何れも、参照により、全体が本明細書に組み込まれる。)中に詳述されている。
本発明の核酸配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13又は15の核酸配列の何れかから得られる配列情報も含む。配列情報は、配列番号1、3、5、7、9、11、13又は15の配列情報を一意的に特定し、又は表す配列番号1、3、5、7、9、11、13又は15のセグメントであり得る。ヒトゲノム中で20マーが完全に合致する確率は、1/300であるので、1つのこのようなセグメントは、20マーの核酸配列であり得る。ヒトゲノムには、染色体の一組中に30億塩基対が存在する。420個の20マーが生じ得るので、ヒト染色体の一組中に存在する塩基対より300倍多い20マーが存在する。同じ分析を用いて、17マーがヒトゲノム中で完全に合致する確率は、約1/5である。これらのセグメントが発現研究用のアレイ中で使用される場合には、15マーセグメントを使用することが可能である。発現された配列は完全なゲノム配列の約5%未満を含むので、発現された配列中で15マーが完全に合致する確率も、約1/5である。
同様に、単一のミスマッチを検出するために配列情報を用いる場合には、セグメントは25マーとすることができる。単一のミスマッチを有する25マーがヒトゲノム中に出現する確率は、完全な合致に対する確率(1/425)に、各ヌクレオチド位置でのミスマッチに対する増加した確率(3×25)を乗ずることによって計算される。単一のミスマッチを有する18マーが発現研究用アレイ中に検出可能である確率は、約1/5である。単一のミスマッチを有する20マーをヒトゲノム中に検出できる確率は、約1/5である。
「オープンリーディングフレーム」、ORFという用語は、終結コドンを一切含まない、アミノ酸をコードする一連のヌクレオチドトリプレットを意味し、タンパク質へ翻訳可能な配列である。
「作用可能に連結された」又は「作用可能に結合された」という用語は、機能的に関連付けられた核酸配列を意味する。例えば、プロモーターがコード配列の転写を調節する場合に、プロモーターは、コード配列と作用可能に結合され、又は作用可能に連結されている。作用可能に連結された核酸配列は連続的であり、同じ読み取り枠中に存在し得るのに対して、ある種の遺伝的要素、例えば、レプレッサー遺伝子は、コード配列に連続して連結されていないが、コード配列の転写/翻訳を調節する。
「組換えDNA分子」又は「組換えポリヌクレオチド」という用語は、その起源又は操作のために、(1)自然状態で随伴するポリヌクレオチドの全部若しくは一部を随伴しない、(2)自然状態で連結されているポリヌクレオチドとは別のポリヌクレオチドに連結されている、又は(3)自然状態では存在しない、ゲノム、cDNA、半合成又は合成起源のポリヌクレオチドを意味する。従って、本用語は、「合成的に得られた」核酸分子を包含する。
「相補的な」又は「相補性」という用語は、塩基対合によるポリヌクレオチドの天然の結合を意味する。例えば、配列5’−AGT−3’は、相補的配列3’−TCA−5’に結合する。2つの一本鎖分子間の相補性は、核酸の一部のみが結合するように「部分的」であり得、又は一本鎖分子間に完全な相補性が存在するように、「完全」であり得る。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率性及び強度に対して著しい効果を有する。
「ストリンジェントな」という用語は、本分野において一般的に、ストリンジェントであると理解されている条件を意味する。ストリンジェントな条件には、高度にストリンジェントな条件(すなわち、65℃、0.5MNaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMEDTA中での、フィルターに結合されたDNAへのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC/0.1%SDS中、68℃での洗浄)及び中程度にストリンジェントな条件(すなわち、0.2×SSC/0.1%SDS中、420Cでの洗浄)が含まれ得る。他の典型的なハイブリダイゼーション条件は、本明細書の実施例中に記載されている。
デオキシオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの場合には、典型的なさらなるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中、37℃(14塩基オリゴヌクレオチドの場合)、48℃(17塩基オリゴヌクレオチドの場合)、55℃(20塩基オリゴヌクレオチドの場合)及び60℃(23塩基オリゴヌクレオチドの場合)での洗浄が含まれる。
ヌクレオチド及びアミノ酸配列の両方に対する「実質的に均等な」という用語は、配列が、1つ又はそれ以上の置換、欠失又は付加によって、基準配列から異なっており、その総体的な効果が、基準配列と対象配列間に、有害な機能的非類似性をもたらさないことを意味する。典型的には、このような実質的に均等な配列は、本明細書に列記されている配列の1つと約35%以下だけ異なっている(すなわち、対応する基準配列と比べて、実質的に均等な配列中の残基の総数で割った、実質的に均等な配列中の各残基の置換、付加及び/又は欠失の数が、約0.35又はそれ以下である。)。このような配列は、列記されている配列と65%の配列同一性を有すると称される。一実施形態において、実質的に均等な(例えば、変異体)本発明の配列は、30%以下だけ(70%の配列同一性);本実施形態の変形において、25%以下だけ(75%の配列同一性);及び本実施形態のさらなる変形において、20%以下だけ(80%の配列同一性)及び本実施形態のさらなる変形において、10%以下だけ(90%の配列同一性)及び本実施形態のさらなる変形において、5%以下だけ(95%の配列同一性)列記された配列と異なる。実質的に均等な(例えば、変異体)本発明のアミノ酸配列は、列記されたアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは、少なくとも90%の配列同一性を有する。実質的に均等な本発明のヌクレオチド配列は、例えば、遺伝コードの冗長性又は縮重を考慮に入れて、より低いパーセント配列同一性を有することができる。好ましくはヌクレオチド配列は、少なくとも約65%の同一性、より好ましくは少なくとも約75%の同一性、最も好ましくは少なくとも約95%の同一性を有する。本発明において、実質的に均等な生物活性及び実質的に均等な発現特性を有する配列は、実質的に均等であると考えられる。均等性の決定を目的とする場合、(例えば、偽の停止コドンを作り出す変異による)成熟配列の末端切断は無視すべきである。配列の同一性は、例えば、「Jotun Hein method(Hein, J.(1990) Methods EnzyMol.183:626−645)」を用いて測定され得る。配列間の同一性は、本分野で公知の他の方法によって、例えばハイブリダイゼーション条件を変更することによっても測定することが可能である。
「ベクター」という用語は、当該核酸分子に連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味するものとする。「発現ベクター」という用語には、ベクターによって担持された各組換え遺伝子によってコードされるSCFA1タンパク質を合成することが可能なプラスミド、コスミド又はファージが含まれる。好ましいベクターは、当該ベクターに連結されている核酸の自律的複製及び発現を行うことができるベクターである。
「形質転換」という用語は、DNAが、染色体外要素として、又は染色体への組み込みによって複製可能であるように、DNAを適切な宿主細胞中に導入することを意味する。
「形質移入」という用語は、何らかのコード配列が実際に発現されているか否かに関わらず、適切な宿主細胞による発現ベクターの取り込みを意味する。「感染」という用語は、ウイルス又はウイルスベクターの使用によって、核酸を適切な宿主細胞中に導入することを表す。
「転写制御要素」及び「転写制御配列」という用語は、ある生物中で、作用可能に連結されたコード配列の発現のために必要なDNA配列を表すために互換的に使用される。原核生物に適した調節配列には、例えば、プロモーター、場合によってオペレーター、及びリボゾーム結合部位が含まれる。真核生物細胞は、プロモーター、エンハンサー、スプライシングシグナル及びポリアデニル化シグナルを使用することが知られている。これらの用語は、プロモーター、RNAポリメラーゼと転写因子の基本的な相互作用に必要とされる中核的要素及び転写因子、上流要素、エンハンサー及び応答要素(Lewin, 「Genes V」(Oxford University Press, Oxford) pages 847−873)など、転写を促進又は制御するすべての要素が包含されるものとする。
RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAへ転写し、次いで、mRNAは、場合によってtRNAスプライシングされ、コード配列によってコードされるタンパク質へ翻訳される場合に、コード配列は細胞内の転写及び翻訳調節配列の「調節下」にある。
「発現調節断片」(EMF)は、作用可能に連結されたORF又は別のEMFの発現を調節する一連のヌクレオチドを意味する。
配列の発現がEMFの存在によって変化を受ける場合に、配列は、「作用可能に連結された配列の発現を調節する」と称される。EMFとしては、プロモーター及びプロモーター調節配列(誘導性要素)が含まれるが、これらに限定されない。EMFの1つのクラスは、特異的な制御因子又は生理的な現象に応答して、作用可能に連結されたORFの発現を誘導する核酸断片である。
「組換え発現ビヒクル又はベクター」という用語は、DNA(RNA)配列からポリペプチドを発現するための、プラスミド又はファージ又はウイルス又はベクターを意味する。発現ビヒクルは、(1)遺伝子発現において制御的役割を有する1つ又は複数の遺伝的要素、例えば、プロモーター又はエンハンサー、(2)mRNAへ転写され、及びタンパク質へ翻訳される構造的配列又はコード配列、並びに(3)適切な転写開始配列及び転写終結配列の集合体を含む転写単位を含むことが可能である。酵母又は真核生物発現系において使用することが意図される構造単位には、好ましくは、宿主細胞による翻訳されたタンパク質の細胞外分泌を可能とするリーダー配列が含まれる。あるいは、組換えタンパク質がリーダー配列又は輸送配列なしに発現される場合には、組換えタンパク質は、アミノ末端のメチオニン残基を含み得る。この残基は、最終産物を与えるために、発現された組換えタンパク質から続いて切断してもよく、又は切断しなくてもよい。
「組換え発現系」という用語は、組換え転写単位が染色体DNA中に安定に組み込まれた宿主細胞又は組換え転写単位を染色体外に担持する宿主細胞を意味する。本明細書に記載されている組換え発現系は、発現されるべきDNAセグメント又は合成遺伝子に連結された制御要素が誘導されたときに、異種のポリペプチド又はタンパク質を発現する。本用語は、遺伝子発現において制御的な役割を有する1つ又は複数の組換え遺伝要素、例えば、プロモーター又はエンハンサーが安定に組み込まれた宿主細胞も意味する。本明細書に記載されている組換え発現系は、発現されるべき内在性DNAセグメント又は遺伝子に連結された制御要素が誘導されたときに、細胞に内在するポリペプチド又はタンパク質を発現する。細胞は、原核細胞又は真核細胞であり得る。
「多能性」という用語は、成体生物中に存在する多数の分化された細胞種へ分化する細胞の能力を表す。多能性細胞は、全能性細胞と比べて、その分化能に限定される。
「治療する」又は「治療」という用語は、治療的及び予防的又は防止的措置の両者を意味し、その目的は、化学療法又は放射線療法によって誘発された粘膜炎などの望ましくない生理的変化又は症状を予防又は軽減することである。本発明において、有益な又は望ましい臨床的結果には、検出可能であるか、又は検出不能であるかを問わず、症候の軽減、疾病の程度の減弱、疾病の安定化された状態が含まれるが、これらに限定されない。
「疾患」という用途は、本発明のトランスジェニック動物モデルを用いて同定された分子を用いた治療が有益である一切の症状を意味する。これには、問題の疾患に対する素因を哺乳動物に与える病的症状など、慢性及び急性の疾患又は疾病が含まれる。本明細書において治療されるべき疾患の非限定的な例には、粘膜炎、炎症性腸疾患及び皮膚病変が含まれる。本発明に従って治療されるべき好ましい疾患は、粘膜炎である。
「炎症性腸疾患(IBD)」という用語は、小腸及び大腸の一方又は両方の突発性又は慢性炎症性疾患を意味し、クローン病、潰瘍性大腸炎、感染性因子によって引き起こされるIBD及び抗生物質関連性IBDが含まれる。
「粘膜炎」という用語は、中咽頭及び唇、食道並びに大腸及び小腸を含む消化管の粘膜の炎症を意味する。
「短腸症候群」又は「SBS」という用語は、小腸のかなりの長さの解剖学的喪失又は機能的喪失から生じる栄養の吸収不良の症状を意味する。
「有効量」又は「医薬的有効量」という用語は、無毒であるが、所望の生物学的結果を与えるのに十分な薬剤の量を意味する。その結果は、徴候、症候若しくは疾病の原因の低下及び/又は軽減であり得、又は生物系の他の何らかの望ましい変化であり得る。例えば、本発明とともに使用するためのSCFA1断片の有効量は、上皮細胞刺激又は増殖を刺激するのに十分な量であり、好ましくは、化学療法若しくは放射線療法によって誘発された粘膜炎、炎症性腸疾患又は上皮細胞増殖が望まれるその他の疾患に罹患している患者において、胃腸上皮の増加された再生を引き起こすのに十分な量である。このような量は、以下に記載されている。何れかの個別の症例における適切な「有効」量は、定型的な実験操作を用いて、当業者によって決定され得る。
「医薬として許容される」又は「薬理学的に許容される」という用語は、生物学的に又はその他望ましくないものではない材料を意味する。すなわち、本材料は、望ましくない生物学的効果を一切引き起こさずに、又は、その中に該材料が含まれる組成物の成分の何れとも、有害な態様で相互作用せずに、個体に投与され得る。
「生理的pH」又は「生理的範囲内のpH」という用語は、約7.0から8.0の範囲(7.0及び8.0を含む。)のpHを意味する。好ましい生理的pHは、約7.2から7.6の範囲(7.2及び7.6を含む。)である。
「非ヒト哺乳動物」という用語は、ヒト以外の、哺乳動物綱の全てのメンバーを意味する。「哺乳動物」とは、ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類及び他の類人猿及びサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜動物;ウサギ、イヌ及びネコなどのペット動物;ラット、マウス及びモルモットなどのげっ歯類を含む研究動物など、哺乳動物として分類される全ての動物を表す。非哺乳動物の例には、トリ、魚などが含まれるが、これらに限定されない。
「患者」という用語は、哺乳動物及び非哺乳動物を包含する。本用語は、特定の年齢又は性別を表さない。
4.2本発明の組成物
4.2.1核酸組成物
本発明は、上皮細胞成長因子ポリペプチドSCFA1及びSCFA1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物が腺窩細胞を含む腸の上皮細胞の成長及び増殖を刺激するという発見に基づいている。従って、上皮細胞増殖又は再生の刺激が望まれる症状の診断及び治療のためのこれらの組成物の使用が想定される。
4.2.1核酸組成物
本発明は、上皮細胞成長因子ポリペプチドSCFA1及びSCFA1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物が腺窩細胞を含む腸の上皮細胞の成長及び増殖を刺激するという発見に基づいている。従って、上皮細胞増殖又は再生の刺激が望まれる症状の診断及び治療のためのこれらの組成物の使用が想定される。
本発明の単離されたポリヌクレオチドには、配列番号1、3、5、7、9、11、13又は15のヌクレオチド配列のいずれかを含むポリヌクレオチド;配列番号1の完全長タンパク質コード配列を含むポリヌクレオチド;(例えば、配列番号2をコードする。);及び配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16のポリペプチドのタンパク質コード配列をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。本発明のポリヌクレオチドには、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、(a)配列番号1、3、5、7、9、11、13又は15のヌクレオチド配列の何れかの相補物、(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16のポリペプチドの何れか1つをコードするポリヌクレオチド、(c)上記何れかのポリヌクレオチドの対立遺伝子バリアントであるポリヌクレオチド;(d)上記タンパク質の何れかの種相同物をコードするポリヌクレオチド;又は(e)配列番号2、4、6、8、10、12、14若しくは16のポリペプチドの特異的ドメイン又は末端切断を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドも含まれるが、これらに限定されるものではない。対象のドメインには、触媒ドメイン及び基質結合ドメインが含まれる。
本発明のポリヌクレオチドには、天然に存在するDNA又は完全に若しくは部分的に合成のDNA、例えば、cDNA及びゲノムDNA、並びにRNA、例えば、mRNAが含まれる。ポリヌクレオチドは、cDNAのコード領域全体を含み得、又はcDNAのコード領域の一部に相当し得る。
本発明は、本明細書に開示されているcDNA配列に対応する遺伝子を含む組成物も提供する。対応する遺伝子は、本明細書に開示されている配列情報を使用して、公知の方法に従って単離することが可能である。このような方法には、適切なゲノムライブラリー又は他のゲノム材料源中で遺伝子を同定及び/又は増幅するために、開示されている配列情報からプローブ又はプリマーを調製することが含まれる。さらなる5’及び3’配列は、本分野で公知の方法を用いて取得することが可能である。例えば、配列番号2のポリヌクレオチドの何れかに対応する完全長cDNA又はゲノムDNAは、配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15のポリヌクレオチドの何れか又はこれらの一部をプローブとして使用して、適切なハイブリダイゼーション条件下で、適切なcDNA又はゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることによって取得することが可能である。あるいは、配列番号1、3、5、7、9、11、13又は15のポリヌクレオチドは、適切なゲノムDNA又はcDNAライブラリー中での遺伝子の同定及び/又は増幅を可能とする適切なプライマーに対する基礎として使用され得る。
本明細書において使用するためのポリヌクレオチドには、上記ポリヌクレオチドと実質的に均等なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドも含まれる。本発明のポリヌクレオチドは、上記ポリヌクレオチドに対して、例えば、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%又は89%、より典型的には、少なくとも約90%、91%、92%、93%又は94%、さらにより典型的には少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有することができる。
配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15のヌクレオチド配列又はその相補物の何れかに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列断片が、本発明の核酸配列の範囲に含まれ、前記断片は、約5ヌクレオチド、好ましくは7ヌクレオチドより大きく、より好ましくは9ヌクレオチドより大きく、最も好ましくは17ヌクレオチドより大きい。本発明のポリヌクレオチドの何れか1つに対して選択的である(すなわち、本発明のポリヌクレオチドの何れか1つに特異的にハイブリダイズする)、例えば15、17又は20ヌクレオチド又はそれ以上の断片が想定される。ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができるプローブは、遺伝子の同一ファミリー中の他のポリヌクレオチド配列から本発明のポリヌクレオチド配列を識別することができ、又は他の種の遺伝子からヒト遺伝子を識別することができ、好ましくは、一意的なヌクレオチド配列に基づく。
本発明の範囲に属する配列は、これらの特異的な配列に限定されるものではなく、その対立遺伝子及び種変形物も含まれる。対立遺伝子及び種変形物は、配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15に提供される配列、これらの代表的断片又は配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15と少なくとも90%同一、好ましくは95%同一のヌクレオチド配列を、同一種の別の単離物から得られる配列と比較することによって、定型操作によって決定することが可能である。さらに、コドンの変動性に対応するために、本発明には、本明細書に開示されている具体的なORFと同一のアミノ酸配列をコードする核酸分子が含まれる。換言すれば、ORFのコード領域中には、あるコドンを、同じアミノ酸をコードする別のコドンに置換することが、明示的に想定される。
本発明の核酸に対して最も近い隣接した結果は、アルゴリズム又はプログラムを用いて、データベースを検索することによって取得することが可能である。好ましくは、局所的な配列のアラインメントに対して検索を行うために、Basic Local Alignment Search Toolを表すBLASTが使用される(Altschul, S.F. J Mol.Evol.36 290−300(1993) and Altschul S. F. et al.J. Mol.Biol.21 :403−410(1990))。
開示されているポリヌクレオチド及びタンパク質の種相同物(又は相同分子種)も、本発明によって提供される。種相同物は、本明細書に記載されている配列から適切なプローブ又はプライマーを製造し、所望の種から適切な核酸源をスクリーニングすることによって単離及び同定され得る。
本発明は、開示されているポリヌクレオチド又はタンパク質の対立遺伝子バリアント、すなわち、ポリヌクレオチドによってコードされているものと同一であり、相同であり、又は関連するタンパク質もコードする単離されたポリヌクレオチドの天然に存在する別の形態も包含する。
本発明の核酸配列は、さらに、記載されている核酸の類縁体をコードする配列に関する。これらのアミノ酸配列類縁体は、適切なヌクレオチド変化を自然状態のポリヌクレオチド又はバリアントポリヌクレオチド中に導入することによって、本分野で公知の方法によって調製され得る。アミノ酸配列バリアントの構築には、変異の位置及び変異の性質という2つの変数が存在する。アミノ酸配列類縁体をコードする核酸は、好ましくは、自然に存在しないアミノ酸配列をコードするようにポリヌクレオチドを変異させることによって構築される。これらの核酸の変化は、異なる種由来の核酸中で(可変位置)又は高度に保存された領域中で(定常領域)異なる部位に施すことが可能である。このような位置に存在する部位は、典型的には、例えば、まず、保存的な選択で(例えば、疎水性アミノ酸を異なる疎水性アミノ酸へ)置換し、次いで、より関連が低い選択で(例えば、疎水性アミノ酸を帯電したアミノ酸へ)置換することによって、連続して修飾され、次いで、標的部位に欠失又は挿入を行い得る。アミノ酸配列の欠失は、一般的に、約1から30残基、好ましくは約1から10残基の範囲であり、典型的には、連続している。アミノ酸の挿入には、長さが1から100又はそれ以上の残基にわたるアミノ及び/又はカルボキシル末端融合及び単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。配列内挿入は、一般的に、約1から10アミノ酸残基、好ましくは1から5残基の範囲であり得る。末端の挿入の例には、分泌に必要な、又は異なる宿主細胞中での細胞内標的化に必要な異種シグナル配列及び発現されたタンパク質を精製するのに有用なポリヒスチジン配列などの配列が含まれる。
好ましい方法において、本発明とともに使用するためのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、部位指定突然変異導入を用いて変化される。この方法は、所望のアミノ酸バリアントをコードするようにポリヌクレオチドを変化させるためにオリゴヌクレオチド配列を使用し、変化される部位の何れかの側に安定な二重鎖を形成させるために、変化されるアミノ酸の両側上に十分な隣接したヌクレオチドを使用する。一般的には、部位指定突然変異導入の技術は、当業者に周知であり、この技術は、「Edelman et al.,DNA2:183(1983)」などの刊行物によって例示される。ポリヌクレオチド配列中に部位特異的な変化を作製するための多用途で、効率的な方法が、「Zoller and Smith, Nucleic Acids Res.10:6487−6500(1982)」によって公表された。新規核酸のアミノ酸配列バリアントを作製するために、PCRも使用し得る。出発材料としてテンプレートDNAの少量が使用される場合には、テンプレートDNA中の対応する領域と配列が若干異なるプライマーが所望のアミノ酸バリアントを生成し得る。PCR増幅は、プライマーによって指定される位置で、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドテンプレートと異なる産物DNA断片の集団をもたらす。産物DNA断片はプラスミド中の対応する領域を置換し、これによって、所望のアミノ酸バリアントをコードするポリヌクレオチドが得られる。
アミノ酸バリアントを作製するためのさらなる技術は、「Wells et al., Gene 34:315(1985)」中に記載されているカセット突然変異導入技術、及び、例えば、「Sambrook et al., supra」及び「Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al.」中の技術など、本分野で周知の他の突然変異導入技術である。遺伝的コードの固有の縮重故に、これらの新規核酸のクローニング及び発現のための本発明の実施において、実質的に同一のアミノ酸配列又は機能的に均等なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列を使用し得る。このようなDNA配列には、ストリンジェントな条件下で適切な新規核酸配列にハイブリダイズすることができるDNA配列が含まれる。
本発明の好ましいポリペプチド末端切断をコードするポリヌクレオチドは、本発明の1つ又はそれ以上のドメインを含むキメラ又は融合タンパク質及び異種のタンパク質配列をコードするポリヌクレオチドを作製するために使用することが可能である。
本発明の好ましいポリペプチド末端切断をコードするポリヌクレオチドは、本発明の1つ又はそれ以上のドメインを含むキメラ又は融合タンパク質及び異種のタンパク質配列をコードするポリヌクレオチドを作製するために使用することが可能である。
ポリヌクレオチドには、さらに、上記ポリヌクレオチドの何れかの相補物が含まれる。ポリヌクレオチドは、DNA(ゲノム、cDNA、増幅された又は合成)又はRNAであり得る。このようなポリヌクレオチドを得るための方法及びアルゴリズムは、当業者に周知であり、例えば、所望の配列種のポリヌクレオチドを定型的操作で単離することが可能なハイブリダイゼーション条件を決定するための方法が含まれ得る。
本発明によれば、適切な宿主細胞中で、核酸又はその機能的均等物の発現を誘導する組換えDNA分子を作製するために、配列番号4、6、8、10の何れか1つ又はこれらの機能的均等物をコードする、配列番号3を含むポリヌクレオチド配列又は主な成熟若しくは成熟タンパク質コード配列を使用し得る。本明細書に特定されているクローンの何れかのcDNA挿入物も含まれる。
本発明のポリヌクレオチドは、確立された組換えDNA技術によって、様々な他のヌクレオチド配列の何れかに連結させることが可能である(Sambrook J et al.(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY参照)。ポリヌクレオチドに連結させるための有用なヌクレオチド配列には、種々のベクター、例えば、本分野において周知である、プラスミド、コスミド、λファージ誘導体、ファージミドなどが含まれる。従って、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター及び本発明のポリヌクレオチドを含有する宿主細胞も提供する。一般に、ベクターは、少なくとも1つの生物中で機能的な複製起点、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位及び宿主細胞に対する選択可能なマーカーを含有する。本発明のベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター及び配列決定ベクターが挙げられる。本発明の宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞とすることが可能であり、単細胞生物又は多細胞生物の一部とすることが可能である。
さらに、本発明は、配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15のヌクレオチド配列の何れか又はこれらの断片又は他の何れかのSCFA1ポリヌクレオチドを有する核酸を含む組換え構築物を提供する。一実施形態において、本発明の組換え構築物は、配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15のヌクレオチド配列の何れかを有する核酸又はこれらの断片がその中に挿入されているベクター(プラスミド又はウイルスベクターなど)を含む。本発明のORFの1つを含むベクターの場合には、ベクターは、ORFに作用可能に連結された制御配列、例えばプロモーターをさらに含み得る。適切なベクター及びプロモーターの多数が当業者に公知であり、本発明の組換え構築物を作製するために市販されている。以下のベクターは、例として記載されている。細菌:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescriptSK、pBsKS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene);pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXTI、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG及びpSVL(Pharmacia)。
本発明の単離されたポリヌクレオチドは、タンパク質を組換え的に作製するために、「Kaufman et al., Nucleic Acids Res.19, 4485−4490(1991)」に開示されているpMT2又はpED発現ベクターなどの発現調節配列へ作用可能に連結され得る。多くの適切な発現調節配列が当分野で公知である。組換えタンパク質を発現する一般的な方法も公知であり、「R. Kaufman, Methods in Enzymology 185, 537−566(1990)」中に例示されている。本明細書において記載されている「作用可能に連結された」とは、連結されたポリヌクレオチド/発現調節配列で形質転換された(形質移入された)宿主細胞によってタンパク質が発現されるように、本発明の単離されたポリヌクレオチド及び発現調節配列がベクター又は細胞内に位置していることを意味する。
プロモーター領域は、選択的なマーカーによって、CAT(クロラムフェニコール転移酵素)ベクター又はその他のベクターを用いて、あらゆる所望の遺伝子から選択することが可能である。2つの適切なベクターは、pKK232−8及びpCM7である。名前が挙げられる具体的な細菌プロモーターには、lacl、lacZ、T3、T7、gpt、λPR及びtrcが含まれる。真核生物プロモーターには、CMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、初期及び後期SV40、レトロウイルス由来のLTR並びにマウスメタロチオネイン−1が含まれる。適切なベクター及びプロモーターの選択は、十分に当業者のレベルに属する。一般的には、組換え発現ベクターが、宿主細胞の形質転換を可能とする複製起点及び選択可能なマーカー、例えば、E.コリのアンピシリン耐性遺伝子及びS.セレビシアエTRP1遺伝子、並びに下流の構造配列の転写を誘導するための、高度に発現された遺伝子に由来するプロモーターを含む。このようなプロモーターは、とりわけ、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)などの解糖系の酵素をコードするオペロン、a−因子、酸性ホスファターゼ又は熱ショックタンパク質に由来し得る。異種の構造配列は、翻訳開始配列及び翻訳終結配列と、好ましくは、翻訳されたタンパク質の周辺質腔又は細胞外溶媒中への分泌を誘導することができるリーダー配列と、適切な時期に集合される。場合によって、異種配列は、アミノ末端特定ペプチドを含む融合タンパク質をコードして、所望の特性、例えば、発現された組換え産物の安定化又は単純化された精製を付与することができる。細菌が使用するのに有用な発現ベクターは、機能的プロモーターと作用可能な読み取り相の状態にある適切な翻訳開始及び終結シグナルと一緒に、所望のタンパク質をコードする構造的DNA配列を挿入することによって構築される。ベクターは、ベクターの維持を保証するため、および所望ならば、宿主内での増幅を提供するために、1つ又はそれ以上の表現型選択可能マーカー、ならびに複製起点を含む。形質転換のための適切な原核生物宿主として、イー・コリ(E.coli)、バシラス・スブチリス(Bacillus subtilis)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonellatyphimurium)ならびにシュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトミセス(Streptomyces)属およびスタフィロコッカス(Staphylococcus)属に属する様々な種が挙げられるが、その他のものも選択対象として使用し得る。
代表的であるが、非限定的な例として、細菌使用に有用な発現ベクターは、周知のクローニングベクターpBR322(ATCC 37017)の遺伝エレメントを含む市販のプラスミドに由来する選択可能マーカーおよび細菌の複製起点を含み得る。このような市販のベクターとしては、例えば、pKK223−3(Pharmacia Fine Chemicals、Uppsala、Sweden)およびGEM1(Promega Biotec、Madison、WI、USA)が挙げられる。これらのpBR322「骨格」部分は、適切なプロモーターおよび発現されるべき構造配列と結合される。適切な宿主株の形質転換および適切な細胞密度への宿主株の増殖に続いて、選択されたプロモーターは、適切な手段(例えば、温度シフト又は化学的誘導)により誘導又は抑制解除され、細胞はさらなる期間培養される。細胞は、典型的には、遠心分離により回収され、物理的又は化学的手段により破砕され、得られた粗抽出物がさらなる精製のために保持される。
本発明の実施における発現ベクターの使用に加えて、本発明は、さらに、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に作用可能に連結されたプロモーター要素を含む新規発現ベクターを含む。
4.2.2宿主
さらに、本発明は、本発明のベクター(例えば、本発明のポリヌクレオチドを含有するクローニングベクター又は発現ベクターであり得る。)で遺伝的に操作された宿主細胞を提供する。例えば、このような宿主細胞は、公知の形質転換、形質移入又は感染方法を用いて宿主細胞中に導入された本発明の核酸を含有し得る。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であり得る。操作された宿主細胞は、プロモーターを活性化し、形質転換体を選択し、又はSCFA1遺伝子を増幅するのに適切であるように修飾された慣用の栄養培地中で培養することができる。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞とともに以前に用いられた培養条件であり、当業者に自明である。さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを発現するように遺伝子操作された宿主細胞を提供し、このようなポリヌクレオチドは、宿主細胞中でポリヌクレオチドの発現を誘導する、宿主細胞にとって異種の制御配列と作用的に結合されている。
さらに、本発明は、本発明のベクター(例えば、本発明のポリヌクレオチドを含有するクローニングベクター又は発現ベクターであり得る。)で遺伝的に操作された宿主細胞を提供する。例えば、このような宿主細胞は、公知の形質転換、形質移入又は感染方法を用いて宿主細胞中に導入された本発明の核酸を含有し得る。ベクターは、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であり得る。操作された宿主細胞は、プロモーターを活性化し、形質転換体を選択し、又はSCFA1遺伝子を増幅するのに適切であるように修飾された慣用の栄養培地中で培養することができる。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞とともに以前に用いられた培養条件であり、当業者に自明である。さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを発現するように遺伝子操作された宿主細胞を提供し、このようなポリヌクレオチドは、宿主細胞中でポリヌクレオチドの発現を誘導する、宿主細胞にとって異種の制御配列と作用的に結合されている。
宿主細胞は、哺乳動物細胞などの高等な真核生物宿主細胞、酵母細胞などの下等な真核生物宿主細胞であり得、又は宿主細胞は、細菌細胞などの原核生物細胞であり得る。宿主細胞中への組換え構築物の導入は、リン酸カルシウム形質移入、DEAE、デキストランによって媒介された形質移入又は電気穿孔によって実施することが可能である(Davis, L. et al., Basic Methods in Molecular Biology(1986))。本発明のポリヌクレオチドの1つを含有する宿主細胞は、単離された断片によってコードされる遺伝子産物を産生するために慣用の様式で使用することが可能であり(ORFの場合)、又はEMFの調節下で異種タンパク質を産生するために使用することが可能である。
何れの宿主/ベクター系も、SCFA1ポリペプチドの1つ又はそれ以上を発現するために使用することが可能である。これらには、HeLa細胞、Cv−1細胞、COS細胞及びSf9細胞などの真核生物宿主並びにE.コリ及びB.スブチリスなどの原核生物宿主が含まれるが、これらに限定されるものではない。最も好ましい細胞は、特定のポリペプチド若しくはタンパク質を通常発現せず、又は特定のポリペプチド若しくはタンパク質を低い天然レベルで発現する細胞である。成熟タンパク質は、適切なプロモーターの調節下、哺乳動物細胞、酵母、細菌又は他の細胞中で発現させることが可能である。本発明のDNA構築物から誘導されたRNAを用いてこのようなタンパク質を産生するために、無細胞翻訳系も使用することが可能である。真核生物宿主及び原核生物宿主とともに使用するための適切なクローニングベクター及び発現ベクターは、「Sambrook, et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor, New York(1989)」(その開示は、参照により、本明細書に組み込まれる。)によって記載されている。
組換えタンパク質を発現させるために、様々な哺乳動物細胞培養系を使用することができる。哺乳動物の発現系の例としては、Gluzman, Cell 23:175(1981)によって記載されたサル腎臓繊維芽細胞のCOS−7細胞株及び適合性ベクターを発現することができる他の細胞株、例えば、C127、3T3、CHO、HeLa及びBHK細胞株が挙げられる。哺乳動物の発現ベクターは、複製起点、適切なプロモーターを含み、何れかの必要なリボゾーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、転写末端配列及び5’隣接非転写配列も含む。必要とされる非転写遺伝子要素を提供するために、SV40ウイルスゲノムに由来するDNA配列、例えば、SV40起点、初期プロモーター、エンハンサー、スプライス及びポリアデニル化部位を使用し得る。細菌培養中で産生された組換えポリペプチド及びタンパク質は、通常、まず、細胞ペレットからの抽出、続いて、1回又はそれ以上の塩析、水性イオン交換又はサイズ排除クロマトグラフィー工程によって単離される。成熟タンパク質の立体構造を完成させる際には、必要に応じて、タンパク質再折り畳み段階を使用することができる。最後に、最終精製工程のために高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用することが可能である。タンパク質の発現において使用される微生物細胞は、凍結−融解の繰り返し、音波処理、機械的な破壊又は細胞溶解剤の使用など、あらゆる慣用法によって破壊することが可能である。
細胞の種類の多数が、タンパク質の発現用の適切な宿主細胞として機能し得る。哺乳動物宿主細胞としては、例えば、サルCOS細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、形質転換された他の霊長類細胞株、正常な二倍体細胞、一次組織のインビトロ培養から得られた細胞株、一次外植片、HeLa細胞、マウスL細胞、BHK、HL−60、U937、HaK又はJurkat細胞が挙げられる。好ましくは、SCFA1タンパク質は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞及びヒト胎児由来腎臓293細胞中で発現される。
あるいは、酵母などのより下等な真核生物中で、又は細菌などの原核生物中でタンパク質を産生することが可能であり得る。適切な可能性がある酵母株としては、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)株、カンジダ(Candida)、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)又は異種タンパク質を発現することができる何れかの酵母株が挙げられる。適切な可能性がある細菌株としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)又は異種タンパク質を発現することができる何れかの細菌株が挙げられる。タンパク質が酵母又は細菌中で産生される場合、機能的タンパク質を得るために、例えば、適切な部位のリン酸化又はグリコシル化によって、その中で産生されたタンパク質を修飾することが必要であり得る。このような共有結合は、公知の化学的又は酵素的方法を用いて達成し得る。
4.2.3キメラ及び融合タンパク質
本発明は、SCFA1キメラ又は融合タンパク質も提供する。本明細書において使用されるSCFA1「キメラタンパク質」又は「融合タンパク質」は、非SCFA1ポリペプチドに作用可能に連結されたSCFA1ポリペプチドを含む。「SCFA1ポリペプチド」は、SCFA1タンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを表すのに対して、「非SCFA1ポリペプチド」は、SCFA1タンパク質に対して実質的に相同でないタンパク質、例えば、SCFA1タンパク質とは異なり、同一又は異なる生物に由来するタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを表す。SCFA1融合タンパク質内で、SCFA1ポリペプチドは、SCFA1タンパク質の全部又は一部に対応し得る。一実施形態において、SCFA1融合タンパク質は、SCFA1タンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分を含む。別の実施形態において、SCFA1融合タンパク質は、SCFA1タンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。さらに別の実施形態において、SCFA1融合タンパク質は、SCFA1タンパク質の少なくとも3つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質内で、「作用可能に連結された」という用語は、SCFA1ポリペプチド及び非SCFA1ポリペプチドが、互いに翻訳領域内部で融合されていることを示すものとする。非SCFA1ポリペプチドは、SCFA1ポリペプチドのN末端又はC末端に融合することが可能である。
本発明は、SCFA1キメラ又は融合タンパク質も提供する。本明細書において使用されるSCFA1「キメラタンパク質」又は「融合タンパク質」は、非SCFA1ポリペプチドに作用可能に連結されたSCFA1ポリペプチドを含む。「SCFA1ポリペプチド」は、SCFA1タンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを表すのに対して、「非SCFA1ポリペプチド」は、SCFA1タンパク質に対して実質的に相同でないタンパク質、例えば、SCFA1タンパク質とは異なり、同一又は異なる生物に由来するタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを表す。SCFA1融合タンパク質内で、SCFA1ポリペプチドは、SCFA1タンパク質の全部又は一部に対応し得る。一実施形態において、SCFA1融合タンパク質は、SCFA1タンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分を含む。別の実施形態において、SCFA1融合タンパク質は、SCFA1タンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。さらに別の実施形態において、SCFA1融合タンパク質は、SCFA1タンパク質の少なくとも3つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質内で、「作用可能に連結された」という用語は、SCFA1ポリペプチド及び非SCFA1ポリペプチドが、互いに翻訳領域内部で融合されていることを示すものとする。非SCFA1ポリペプチドは、SCFA1ポリペプチドのN末端又はC末端に融合することが可能である。
一実施形態において、融合タンパク質は、SCFA1配列がGST(グルタチオン−S−転移酵素)配列のC末端に融合されているGSTSCFA1融合タンパク質である。このような融合タンパク質は、組換えSCFA1ポリペプチドの精製を容易にすることができる。好ましくは、SCFA1ポリペプチドは、抗V5抗体による簡単な検出のために、及び実施例中に記載されているような迅速な精製のために、V5−Hisタグと融合される。配列番号5のポリヌクレオチドによってコードされる配列番号6は、V5−His6タグを有するSCFA1融合タンパク質を表す。
別の実施形態において、融合タンパク質は、そのN末端に異種のシグナル配列を含有するSCFA1タンパク質である。ある種の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、SCFA1の発現及び/又は分泌は、異種のシグナル配列の使用を通じて増加させることが可能である。例えば、SCF1のシグナル配列は、マウスIgκ鎖のVJ2−C領域から得られるシグナル配列と置換することができる。例えば、配列番号5のポリヌクレオチドによってコードされる配列番号6は、IgKシグナル配列を含有する。配列番号5のポリヌクレオチドは、インビボでSCFA1(配列番号6)を発現させ、ポリペプチドの生物活性を測定するために、実施例中に記載されているように使用された。本発明のSCFA1キメラ又は融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術によって作製することができる。例えば、連結のために平滑末端化された末端又はねじれ型末端化された末端、適切な末端を与えるための制限酵素消化、必要に応じて突出末端の充填、望ましくない結合を避けるためのアルカリホスファターゼ処理及び酵素的連結を使用することによって、慣用の技術に従い、例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNA断片は、翻訳領域内部で一緒に連結される。別の実施形態において、融合遺伝子は、自動化されたDNA合成装置を含む慣用技術によって合成することができる。あるいは、その後、アニーリングされ、再増幅されてキメラ遺伝子配列を与えることができる2つの連続する遺伝子断片間に相補的突出部を生じるアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅を実施することが可能である(例えば、Ausubel, et al.(eds.) Current Protocols In Molecular Biology, John Wiley & Sons, 1992)。さらに、融合部分を既にコードする多くの発現ベクターが市販されている(例えば、GSTポリペプチド)。
4.2.4ポリペプチド組成物
本発明の医薬組成物は、配列番号2、4、6、8、10、12、14若しくは16の何れか1つによって示されるアミノ酸配列又は配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15のヌクレオチド配列の何れか1つによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む(但し、これらに限定されない。)単離されたSCFA1ポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドには、(a)配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15に示されているヌクレオチド配列の何れか1つを有するポリヌクレオチド;又は(b)配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15に示されているアミノ酸配列の何れか1つをコードするポリヌクレオチド又は(c)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、(a)又は(b)の何れかのポリヌクレオチドの相補物にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる、好ましくは生物学的又は免疫学的活性を有するポリペプチドも含まれる。本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14若しくは16に示されているアミノ酸配列の何れかの生物学的に活性なバリアント又は免疫学的に活性なバリアント、及び生物学的活性を保持する(例えば、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%又は89%、より典型的には、少なくとも約90%、91%、92%、93%又は94%、さらに典型的には少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%、最も典型的には、少なくとも約99%のアミノ酸同一性を有する)これらの「実質的均等物」も提供する。対立遺伝子バリアントによってコードされるポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16を含むポリペプチドに比較して、類似の活性、増加した活性又は減少した活性を有し得る。
本発明の医薬組成物は、配列番号2、4、6、8、10、12、14若しくは16の何れか1つによって示されるアミノ酸配列又は配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15のヌクレオチド配列の何れか1つによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む(但し、これらに限定されない。)単離されたSCFA1ポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドには、(a)配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15に示されているヌクレオチド配列の何れか1つを有するポリヌクレオチド;又は(b)配列番号1、3、5、7、9、11、13若しくは15に示されているアミノ酸配列の何れか1つをコードするポリヌクレオチド又は(c)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、(a)又は(b)の何れかのポリヌクレオチドの相補物にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる、好ましくは生物学的又は免疫学的活性を有するポリペプチドも含まれる。本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14若しくは16に示されているアミノ酸配列の何れかの生物学的に活性なバリアント又は免疫学的に活性なバリアント、及び生物学的活性を保持する(例えば、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%又は89%、より典型的には、少なくとも約90%、91%、92%、93%又は94%、さらに典型的には少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%、最も典型的には、少なくとも約99%のアミノ酸同一性を有する)これらの「実質的均等物」も提供する。対立遺伝子バリアントによってコードされるポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16を含むポリペプチドに比較して、類似の活性、増加した活性又は減少した活性を有し得る。
生物学的活性を示し得る本発明のタンパク質の断片も、本発明によって包含される。タンパク質の断片は、直線形態であり得、又は、例えば、「H.U.Saragovi, et al., Bio/Technology 10, 773−778(1992)」及び「R.S.McDowell, et al., J. Amer.Chem.Soc.114, 9245−9253(1992)」(何れも、参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されているような公知の方法を用いて環状化され得る。このような断片は、タンパク質結合部位の価数を増加させることを含む多くの目的のために、免疫グロブリンなどの担体分子に融合され得る。
本発明は、開示されているタンパク質の完全長の、主な成熟形態(例えば、シグナル配列又は前駆体配列を持たない。)又は成熟形態(例えば、シグナル配列及びフューリン切断部位を欠如する。)も提供する。タンパク質をコードする配列は、開示されたヌクレオチド配列の翻訳によって、配列表中に特定されている。このようなタンパク質の成熟形態は、適切な哺乳動物細胞又は他の宿主細胞中での完全長ポリヌクレオチドの発現によって取得され得る。タンパク質の成熟形態の配列は、完全長形態のアミノ酸配列から決定することが可能である。
本発明のタンパク質組成物は、さらに、親水性の、例えば医薬として許容される担体など、許容される担体を含み得る。
さらに、本発明は、本発明の核酸断片によって、又は本発明の核酸断片の縮重バリアントによってコードされる単離されたポリペプチドを提供する。「縮重バリアント」という用語は、ヌクレオチド配列が本発明の核酸断片(例えば、ORF)とは異なるが、遺伝コードの縮重のために、同一のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド断片を意味する。本発明の好ましい核酸断片は、タンパク質をコードするORFである。
本発明の単離されたポリペプチド又はタンパク質の何れか1つを得るために、本分野で公知の様々な方法を使用することができる。最も単純なレベルで、アミノ酸配列は、市販のペプチド合成装置を用いて合成することが可能である。合成タンパク質配列は、タンパク質と一次、二次又は三次構造上及び/又は立体構造上の特性を共有しているために、タンパク質活性などの生物学的特性を共有し得る。この技術は、小ペプチド及びより大きなポリペプチドの断片を作製する上で、特に有用である。断片は、例えば、天然状態のポリペプチドに対する抗体を作製する上で有用である。従って、治療的化合物のスクリーニング及び抗体の開発のための免疫学的方法において、精製された天然タンパク質に対する生物学的に活性な代替物又は免疫学的代替物として、断片を使用し得る。
あるいは、本発明のポリペプチド及びタンパク質は、所望のポリペプチド又はタンパク質を発現するように変化された細胞から精製することが可能である。本明細書において使用される場合、遺伝的操作を通じて、細胞が、本来、産生しないポリペプチド若しくはタンパク質又は細胞が、本来、より低いレベルで産生するポリペプチド若しくはタンパク質を産生するようにされている場合に、細胞は、所望のポリペプチド又はタンパク質を発現するように改変されていると称される。本発明のポリペプチド又はタンパク質の1つを産生する細胞を作製するために、当業者は、真核細胞又は原核細胞中に組換え配列又は合成配列の何れかを導入し、発現させるための手法を容易に適合させることができる。
本発明は、適切な培地中で本発明の宿主細胞の培養物を増殖させること、及び細胞から、又は細胞がその中で増殖されている培地からタンパク質を精製することを含む、ポリペプチドを作製する方法にも関する。例えば、本発明の方法には、ポリペプチドを作製するための方法であり、本発明のポリヌクレオチドを含む適切な発現ベクターを含有する宿主細胞が、コードされるポリペプチドの発現を可能とする条件下で培養される前記方法が含まれる。ポリペプチドは、培養物から、培地から都合よく、又は宿主細胞から調製された可溶化液から都合よく回収し、さらに精製することが可能である。好ましい実施形態には、このような方法によって作製されたタンパク質が、タンパク質の完全長又は成熟な形態である実施形態が含まれる。
別の方法において、前記ポリペプチド又はタンパク質は、前記ポリペプチド又はタンパク質を産生するように、SCFA1をコードするDNAで形質転換された細菌細胞から精製される。当業者は、本発明の単離されたポリペプチド又はタンパク質の1つを取得するために、ポリペプチド及びタンパク質を単離するための公知の方法に容易に従うことができる。これらには、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及び免疫アフィニティークロマトグラフィーが含まれるが、これらに限定されない。例えば、「Scopes, Protein Purification:Principles and Practice, Springer−Verlag(1994);Sambrook, et al., in Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology」を参照されたい。生物学的/免疫学的活性を保持するポリペプチド断片には、約100アミノ酸より多いアミノ酸、又は約200より多いアミノ酸を含む断片及び特異的なタンパク質ドメインをコードする断片が含まれる。
精製されたポリペプチドは、本分野において周知である、ポリペプチドに結合する分子を特定するためのインビトロ結合アッセイにおいて使用することが可能である。これらの分子には、例えば、小分子、コンビナトリアルライブラリーから得られた分子、抗体又はその他のタンパク質が含まれるが、これらに限定されるものではない。次いで、結合アッセイにおいて同定された分子は、本分野において周知であるインビボ組織培養又は動物モデルにおいて、アンタゴニスト又はアゴニスト活性について検査される。要約すると、細胞培養物又は動物の複数中に分子を滴定し、次いで、細胞/動物死又は動物/細胞の長期化された生存について検査される。
本発明のタンパク質は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する体細胞又は生殖細胞によって特徴付けられるトランスジェニック動物の産物として、例えば、トランスジェニックウシ、ヤギ、ブタ又はヒツジの乳の成分としても発現され得る。
本明細書に記載されているタンパク質には、精製されたタンパク質のアミノ酸配列と類似のアミノ酸配列であるが、その中に、修飾が天然に与えられており、又は意図的に操作が施されていることによって特徴付けられるタンパク質も含まれる。例えば、ペプチド又はDNA配列中の修飾は、公知の技術を用いて、当業者によって施され得る。タンパク質配列中の興味深い修飾には、コード配列中の選択されたアミノ酸残基の改変、置換、交換、挿入又は欠失が含まれ得る。例えば、分子の立体構造を変化させるために、システイン残基の1つ若しくはそれ以上を欠失させ、又は別のアミノ酸と置換し得る。このような改変、置換、交換、挿入又は欠失のための技術は、当業者に周知である(例えば、U.S. Pat. No. 4,518,584参照)。好ましくは、このような改変、置換、交換、挿入又は欠失は、タンパク質の所望される活性を保持する。タンパク質機能にとって重要であるタンパク質の領域は、単一のアミノ酸又はアミノ酸の列をアラニンで系統的に置換した後、得られたアラニン含有バリアントを生物活性について検査することを含むアラニンスキャニング法など、本分野で公知の様々な方法によって決定することができる。分析のこの種類は、置換されたアミノ酸の生物学的活性における重要性を決定する。タンパク質機能にとって重要であるタンパク質の領域は、eMATRIXプログラムによって決定され得る。
タンパク質活性を完全に又は部分的に保持すると予想され、スクリーニング又は他の免疫学的方法に対して有用であるタンパク質の配列の他の断片及び誘導体も、本明細書中の開示内容を前提にすれば、当業者によって容易に作製され得る。このような修飾は、本発明によって包含される。
本発明の単離されたポリヌクレオチドを、1つ又はそれ以上の昆虫発現ベクター中の適切な調節配列に作用可能に連結し、昆虫発現系を使用することによっても、タンパク質を作製し得る。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系に対する材料及び方法は、例えば、Invitrogen, San Diego, Calif., U.S.A.(the MaxBatTMキット)からキットの形態で市販されており、このような方法は、「Summers and Smith, Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No. 1555(1987)」(参照により、本明細書に組み込まれる。)中に記載されているように、本分野において周知である。本明細書において使用される場合、本発明のポリヌクレオチドを発現することができる昆虫細胞は、「形質転換されて」いる。
本発明のタンパク質は、組換えタンパク質を発現するのに適した培養条件下で、形質転換された宿主細胞を培養することによって調製され得る。得られた発現されたタンパク質は、次いで、ゲルろ過及びイオン交換クロマトグラフィーなどの公知の精製方法を用いて、このような培養から(すなわち、培地又は細胞抽出物から)精製され得る。タンパク質の精製には、タンパク質に結合する因子を含有するアフィニティーカラム;コンカナバリンA−アガロース、ヘパリン−toyopearlTM若しくはCibacrom blue 3GA SepharoseTMなどのアフィニティー樹脂上での1つ若しくはそれ以上のカラム工程;フェニルエーテル、ブチルエーテル若しくはプロピルエーテルなどの樹脂を用いて疎水性相互作用クロマトグラフィーを含む1つ若しくはそれ以上の工程;又はイムノアフィニティークロマトグラフィーも含まれ得る。
あるいは、本発明のタンパク質は、精製を容易にする形態でも発現され得る。例えば、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−転移酵素(GST)若しくはチオレドキシン(TRX)のような融合タンパク質として、又はHisタグとして発現され得る。このような融合タンパク質の発現及び精製のためのキットは、それぞれ、New England BioLab(Beverly, Mass.)、Pharmacia(Piscataway, N.J.)及びInvitrogenから市販されている。タンパク質は、エピトープもタグ付加することが可能であり、続いて、このようなエピトープに対して誘導された特異的抗体を用いることによって精製することができる。1つのこのようなエピトープ(「FLAG(R)」)は、Kodak(New Haven, Conn.)から市販されている。
最後に、タンパク質をさらに精製するために、疎水性RP−HPLC媒体、例えば、メチル又はその他のペンダント脂肪族基を有するシリカゲルを用いる1つ又はそれ以上の逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)工程を使用することが可能である。先述の精製工程の幾つか又は全部は、様々な組み合わせで、実質的に均質な単離された組換えタンパク質を提供するために使用することも可能である。このようにして精製されたタンパク質は、他の哺乳動物タンパク質を実質的に含まず、本発明において、「単離されたタンパク質」として定義される。
本発明のポリペプチドには、SCFA1類縁体が含まれる。これには、SCFA1ポリペプチドの断片及び欠失され、挿入され又は置換された1つ又はそれ以上のアミノ酸を含むSCFA1ポリペプチドが含まれる。また、本発明のSCFA1ポリペプチドの類縁体には、SCFA1ポリペプチドの融合物又はSCFA1ポリペプチドの修飾が含まれ、ここで、SCFA1ポリペプチド又は類縁体は、1つ又は複数の別の部分、例えば、標的化部分又は別の治療剤に融合されている。このような類縁体は、活性及び/又は安定性などの改善された特性を示し得る。SCFA1ポリペプチド又は類縁体に融合され得る部分の例には、例えば、ポリペプチドの小腸への送達、例えば、小腸への抗体の送達を与え、又は胃腸細胞上で発現された受容体及びリガンドへの抗体の送達を与える標的化部分が含まれる。SCFA1ポリペプチドに融合され得る他の部分には、胃腸疾患及び本明細書に記載されている他の症状の治療のために使用される治療剤、例えば、サイトカイン又はその他の医薬が含まれる。
4.2.5遺伝子治療
本発明は、本明細書に引用されている疾病を治療するための遺伝子治療を提供する。本発明のポリペプチドをコードする機能的遺伝子の適切な細胞への送達は、ベクター、より具体的にはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス又はレトロウイルス)の使用によって、エキソビボ、インサイチュ若しくはインビボにおいて実施され、又は物理的なDNA転移法(例えば、リポソーム又は化学的処理)の使用によってエキソビボで実施される。例えば、「Anderson, Nature, supplement to vol. 392, no. 6679, pp.25−20(1998)」を参照されたい。遺伝子治療技術のさらなる概説については、「Friedmann, Science, 244:1275−1281(1989);Verma, Scientific American:68−84(1990)」及び「Miller, Nature, 357:455−460(1992)」を参照されたい。
本発明は、本明細書に引用されている疾病を治療するための遺伝子治療を提供する。本発明のポリペプチドをコードする機能的遺伝子の適切な細胞への送達は、ベクター、より具体的にはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス又はレトロウイルス)の使用によって、エキソビボ、インサイチュ若しくはインビボにおいて実施され、又は物理的なDNA転移法(例えば、リポソーム又は化学的処理)の使用によってエキソビボで実施される。例えば、「Anderson, Nature, supplement to vol. 392, no. 6679, pp.25−20(1998)」を参照されたい。遺伝子治療技術のさらなる概説については、「Friedmann, Science, 244:1275−1281(1989);Verma, Scientific American:68−84(1990)」及び「Miller, Nature, 357:455−460(1992)」を参照されたい。
上述のように、「ベクター」とは、本発明の核酸を宿主細胞中に転移するためのあらゆる手段である。好ましいベクターは、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクターである。従って、SCFA1タンパク質又はそのポリペプチドドメイン断片をコードする遺伝子又は核酸配列は、ウイルスベクターを用いて、又はDNAの直接導入を通じて、インビボ、エキソビボ又はインビトロで導入される。標的とされる組織中での発現は、ウイルスベクター又は受容体リガンドを用いるなど、特定の細胞へトランスジェニックベクターを標的化することによって、又は組織的プロモーターを使用することによって、又は両者によって実施することが可能である。
インビボ又はエキソビボ標的化のために一般的に使用されているウイルスベクター及び治療手順は、DNAをベースとしたベクター及びレトロウイルスベクターである。ウイルスベクターを構築及び使用する方法は、本分野において公知である[例えば、Miller and Rosman, BioTechniques 7:980−990(1992)参照]。好ましくは、ウイルスベクターは、複製欠損である、すなわち、標的細胞中で自律的に複製することができない。一般的に、本発明の範囲内で使用される複製欠損ウイルスベクターのゲノムは、感染細胞中でのウイルスの複製に必要とされる少なくとも1つの領域を欠如する。これらの領域は、当業者に公知の何れかの技術によって、(完全に又は部分的に)除去され、非機能的とすることが可能である。これらの技術には、完全な除去、(他の配列による、特に挿入された核酸による)置換、(複製のために)不可欠な領域への1つ又はそれ以上の塩基の部分的欠失又は付加が含まれる。このような技術は、遺伝子操作の技術を用いて、又は変異原性因子での処理によって、インビトロ(単離されたDNA上)で、又はインサイチュで実施され得る。好ましくは、複製欠損ウイルスは、ウイルス粒子を封入するのに必要なそのゲノムの配列を保持する。
DNAウイルスベクターとしては、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)などの、弱毒性又は欠損DNAウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。ウイルス遺伝子を完全に又はほぼ完全に欠如する欠損ウイルスが好ましい。欠損ウイルスは、細胞中への導入後、感染性でない。欠損ウイルスベクターの使用は、ベクターが他の細胞に感染する可能性について懸念することなく、特異的な局所領域中の細胞への投与を可能とする。従って、特異的な組織が特異的に標的化され得る。具体的なベクターの例としては、欠損ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター[Kaplitt et al., Molec.Cell.Neurosci.2:320−330(1991)]、糖タンパク質L遺伝子を欠如する欠損ヘルペスウイルスベクター[Patent Publication RD 371005 A]又は他の欠損ヘルペスウイルスベクター[International Patent Publication No. WO94/21807、1994年9月29日に公開;International Patent Publication No.WO92/05263、1994年4月2日に公開];Stratford−Perricaudetらによって記載されているベクターなど、弱毒化アデノウイルスベクター[J. Clin.Invest. 90:626−630(1992);La Salle et al., Science 259:988−990(1993)も参照];及び欠損アデノ随伴ウイルスベクター[Samulski et al., J. Virol. 61 :3096−3101(1987);Samulski et al., J. Virol.63:3822−3828(1989);Lebkowski et al., Mol.Cell.Biol.8:3988−3996(1988)]が挙げられるが、これらに限定されない。
好ましくは、インビボ投与の場合、適切な免疫抑制治療は、ウイルスベクター及び形質移入された細胞の免疫活性解除を避けるために、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベクターとともに使用される。例えば、ウイルスベクターへの液性又は細胞性免疫応答を遮断するために、インターロイキン−12(IL−12)、インターフェロン−γ(IFN−γ)又は抗CD4抗体などの免疫抑制性サイトカインを投与することができる[例えば、Wilson, Nature Medicine(1995)参照]。さらに、抗原の最少数を発現するように操作されているウイルスベクターを使用することが有利である。
好ましい実施形態において、ベクターはアデノウイルスベクターである。実施例に示されているように、腺窩上皮過形成による粘膜の顕著なびまん性肥厚並びに腺窩長の顕著な増加及び複雑な分岐をもたらす腸上皮細胞増殖を刺激するという予期せぬ効率的な効果によって示されたとおり、アデノウイルスベクターは、SCFA1ポリペプチドの送達に対して特に効果的であることが明らかとなった。アデノウイルスは、様々な細胞種に本発明の核酸を効率的に送達するように修飾可能な真核生物のDNAウイルスである。アデノウイルスの様々な血清型が存在する。これらの血清型のうち、本発明の範囲内において、動物起源の2型又は5型ヒトアデノウイルス(Ad2又はAd5)又はアデノウイルスを用いることが好ましい(WO94/26914参照)。本発明の範囲内で使用することが可能な動物起源のアデノウイルスとしては、イヌ、ウシ、マウス(例えば:Mav1、Beard et al.,Virology75(1990)81)、ヒツジ、ブタ、トリ及びサル(例えば、SAV)起源のアデノウイルスが挙げられる。
好ましくは、本発明の複製欠損アデノウイルスベクターは、ITR、キャプシド形成配列及び目的の核酸を含む。より好ましくは、アデノウイルスベクターの少なくともE1領域は非機能的である。また、他の領域、特にE3領域(WO95/02697)、E2領域(WO94/28938)、E4領域(WO94/28152、WO94/12649及びWO95/02697)又は後期遺伝子L1からL5の何れの領域中にも修飾し得る。
好ましい実施形態において、アデノウイルスベクターは、E1及びE3領域中に欠失を有する。E1欠失されたアデノウイルスの例は、EP185,573中に開示されている(その内容は、参照により、本明細書中に組み込まれる。)。
本発明の複製欠損組換えアデノウイルスは、当業者に公知のあらゆる技術によって調製することができる(Levrero et al., Gene 101(1991)195, EP 185 573;Graham, EMBO J.3(1984) 2917)。特に、本発明の複製欠損組換えアデノウイルスは、とりわけ、目的のDNA配列を担持するアデノウイルスとプラスミド間の相同的組換えによって調製することができる。相同的組換えは、適切な細胞株中への前記アデノウイルス及びプラスミドの同時形質移入後に実施される。使用される細胞株は、好ましくは、(i)前記要素によって形質転換可能であり、及び(ii)組換えのリスクを回避するために、好ましくは組み込まれた形態で、複製欠損アデノウイルスのゲノムの一部を相補することが可能である配列を含有すべきである。使用され得る細胞株の例は、そのゲノム中に組み込まれたAd5アデノウイルスのゲノムの左手側部分(12%)を含有するヒト胎児由来腎臓細胞株293(Graham et al., J.Gen.Virol.36(1977)59)、並びに出願WO94/26914及びWO95/02697に記載されているように、E1及びE4機能を相補することができる細胞株である。組換えアデノウイルスは、当業者に周知の標準的な分子生物学的技術を用いて、回収及び精製される。
本発明において使用され得るプロモーターには、恒常的プロモーター及び制御された(誘導性)プロモーターの両方が含まれる。プロモーターは、天然に、核酸の発現のために必要とされ得る。プロモーターは、異種の源からも得られ得る。特に、プロモーターは、真核生物遺伝子又はウイルス遺伝子のプロモーター配列であり得る。例えば、プロモーターは、感染が望まれる細胞のゲノムに由来するプロモーター配列であり得る。同様に、プロモーターは、使用されるアデノウイルスなど、ウイルスのゲノムに由来するプロモーター配列であり得る。これに関して、例えば、E1A、MLP、CMV及びRSV遺伝子などのプロモーターを挙げることができる。
さらに、プロモーターは、活性化若しくは制御配列又は組織特異的発現又は優勢発現を可能とする配列(エノラーゼ及びGFAPプロモーターなど)の付加によって修飾され得る。さらに、核酸がプロモーター配列を含有しない場合には、プロモーターは、このような配列の下流のウイルスゲノム中などに挿入され得る。
本発明の実施のために有用な幾つかのプロモーターは、遍在性プロモーター(例えば、HPRT、ビメンチン、アクチン、チュブリン)、中間径フィラメントプロモーター(例えば、デスミン、神経フィラメント、ケラチン、GFAP)、治療用遺伝子プロモーター(例えば、MDR型、CFTR、第VIII因子)、組織特異的プロモーター(例えば、平滑筋細胞中のアクチンプロモーター)、***している細胞中で優先的に活性化されるプロモーター、刺激に対して応答するプロモーター(例えば、ステロイドホルモン受容体、レチノイン酸受容体)、テトラサイクリンによって制御される転写調節因子、サイトメガロウイルス前初期、レトロウイルスLTR、メタロチオネイン、SV−40、E1a及びMLPプロモーターである。テトラサイクリンによって制御される転写調節因子及びCMVプロモーターは、WO96/01313、U.S.Pat.Nos.5,168,062及び5,385,839(これらの内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。)中に記載されている。
従って、遺伝子発現を調節するために使用され得るプロモーターには、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40初期プロモーター領域(Benoist and Chambon, 1981, Nature 290:304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3’末端反復配列中に含有されるプロモーター(Yamamoto, et al., 1980, Cell 22:787−797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., 1981, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441−1445)、メタロチオネイン遺伝子の制御配列(Brinster et al., 1982, Nature 296:39−42);b−ラクタマーゼプロモーターなどの原核生物発現ベクター(Villa−Kamaroff, et al., 1978, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727−3731)又はtacプロモーター(DeBoer, et al., 1983, Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21−25);Scientific American,1980,242:74−94中の“Useful proteins from recombinant bacteria”も参照;Gal4プロモーター、ADC(アルコール脱水素酵素)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーターなどの酵母又は他の真菌から得られるプロモーター要素;及び組織特異性を示し、トランスジェニック動物中で使用されてきた動物転写調節領域:膵臓腺房細胞中で活性なエラスターゼI遺伝子調節領域(Swift et al., 1984, Cell 38:639−646;Ornitz et al., 1986, Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409;MacDonald, 1987, Hepatology 7:425−515);膵臓ベータ細胞中で活性であるインシュリン遺伝子調節領域(Hanahan, 1985, Nature 315:115−122)、リンパ球系細胞中で活性な免疫グロブリン遺伝子調節領域(Grosschedl et al., 1984, Cell 38:647−658;Adames et al., 1985, Nature 318:533−538;Alexander et al., 1987, Mol.Cell.Biol.7:1436−1444)、精巣、***、リンパ球系及び肥満細胞中で活性であるマウス乳癌ウイルス調節領域(Leder et al., 1986, Cell 45:485−495)、肝臓中で活性であるアルブミン遺伝子調節領域(Pinkert et al., 1987, Genes and Devel. 1 :268−276)、肝臓中で活性であるα−胎児タンパク質遺伝子調節領域(Krumlaufet al., 1985, Mol.Cell.Biol.5:1639−1648;Hammer et al., 1987, Science 235:53−58)、肝臓中で活性であるα1−アンチトリプシン遺伝子調節領域(Kelsey et al., 1987, Genes and Devel.1 :161−171 )、骨髄系細胞中で活性であるβ−グロビン遺伝子調節領域(Mogram et al., 1985, Nature 315:338−340;Kollias et al., 1986, Cell 46:89−94)、脳内の乏突起膠細胞中で活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子調節領域(Readhead et al., 1987, Cell 48:703−712)、骨格筋中で活性であるミオシン軽鎖−2遺伝子調節領域(Sani, 1985, Nature 314:283−286)及び視床下部中で活性である性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子調節領域(Mason et al., 1986, Science 234:1372−1378)が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のヌクレオチド又は本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の何れか1つの導入は、染色体外基質(一過性発現)又は人工の染色体(安定な発現)を用いても達成することができる。このような細胞中での所望の効果又は活性を増加させ、又は引き起こすために、細胞は、本発明のタンパク質の存在下で、エキソビボにおいても培養され得る。次いで、処理された細胞は、治療目的のためにインビボで導入することができる。本発明の実施におけるウイルスベクターの使用に加えて、さらに、本発明は、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に作用可能に連結されたオペレーター及びプロモーター要素を含むベクター、pAdenoVactor−CMV5−Intronベクターを提供し、実施例において、詳しく記載されている。
4.2.6 腺窩細胞及び組織の増殖活性
本発明のSCFA1ポリペプチドは、増殖因子活性を示し、対象の腺窩細胞の増殖及び分化に関与する。SCFA1は、胃腸管の他の上皮細胞中でも増殖因子活性を示し得る。インビボ又はエクスビボでの腺窩細胞への本発明のポリペプチドの投与は、損傷又は罹患した組織を再度操作すること、移植、並びに生物製剤の製造及びバイオセンサーの開発に有用であり得る万能(totipotential)状態で細胞集団を維持及び増殖させ得る。ヒト細胞を多量に産生する能力によって、現在、ヒト以外の源又はドナー、すなわちこのような胃腸細胞を移植するための組織を治療するための細胞の移植から得られなければならないヒトタンパク質の作製に対して作用する重要な実用的用途を有する。
本発明のSCFA1ポリペプチドは、増殖因子活性を示し、対象の腺窩細胞の増殖及び分化に関与する。SCFA1は、胃腸管の他の上皮細胞中でも増殖因子活性を示し得る。インビボ又はエクスビボでの腺窩細胞への本発明のポリペプチドの投与は、損傷又は罹患した組織を再度操作すること、移植、並びに生物製剤の製造及びバイオセンサーの開発に有用であり得る万能(totipotential)状態で細胞集団を維持及び増殖させ得る。ヒト細胞を多量に産生する能力によって、現在、ヒト以外の源又はドナー、すなわちこのような胃腸細胞を移植するための組織を治療するための細胞の移植から得られなければならないヒトタンパク質の作製に対して作用する重要な実用的用途を有する。
望ましい効果を達成するために、本明細書に列挙される増殖因子、他の幹細胞維持因子の何れかなど、特に幹細胞因子(SCF)、白血球阻害因子(LIF)、Flt−3リガンド(Flt−3L)、何れかのインターロイキン、IL−6へ融合された組換え可溶性IL−6受容体、マクロファージ炎症性タンパク質1−α(MIP−1−α)、G−CSF、GM−CSF、トロンボポエチン(TPO)、血小板因子第4因子(PF−4)、血小板由来増殖因子(PDGF)、神経増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、ケラチノサイト増殖因子第2因子(KGF−2)及びグルカゴン様ペプチド第2因子(GLP−2)の何れかなど、複数の異なる外因性増殖因子及び/又はサイトカインが、本発明のポリペプチドと組み合わせて投与され得ることが想定される。
腺窩細胞などの腸管上皮細胞は、本発明のポリペプチドの自己分泌発現を誘導するために、本発明のポリヌクレオチドで形質移入することができる。これによって、そのままで有用であるか又はその後望ましい成熟細胞種へと分化できる未分化細胞系を作製することができる。これらの安定した細胞系は、未分化mRNA源としても機能し、ポリメラーゼ連鎖反応実験のためのcDNAライブラリ及びテンプレートを作製できる。これらの研究によって、腺窩増殖及び/又は維持を制御する、腺窩細胞集団中で異なって発現された遺伝子を単離及び同定することが可能となる。
上皮幹細胞集団の増殖及び維持は、多くの病理学的状態の治療において有用である。例えば、本発明のポリペプチドは、疾病、自己免疫疾患、偶発的な損傷又は、イオン化照射、化学療法、感染及び炎症によって生じる遺伝的疾患である炎症によって損傷を受けた細胞を増加又は置換するために使用することができる胃腸上皮細胞を生じるように、培養物中の腺窩細胞を操作するのに使用され得る。
腺窩細胞がより分化した細胞種へ分化するのを調節するために、本発明のポリペプチドの発現及び腺窩細胞に対するその効果も操作することが可能である。未分化幹細胞集団から分化した特異的な細胞種の純粋な集団を取得する広範囲に適用可能な方法は、選択可能なマーカーを誘導する細胞種特異的プロモーターの使用を包含する。腺窩細胞を含む胃腸上皮細胞のインビトロでの培養は、本発明のポリペプチドが増殖因子活性を示すかどうかを決定するのに使用できる。腺窩細胞は、ヒト及びネズミ結腸粘膜由来の脱凝集した結腸腺窩から単離され、SCFA1のクローン原性活性は、その全ての内容が全体として参照により本明細書に組み入れられるWhitehead et al.,Gastroenterology 117:858−865(1999)により記載される方法を使用して評価できる。増殖因子活性は、本発明のポリペプチドのみの存在下で、又は他の増殖因子若しくはサイトカインと組み合わせて評価され得る。
本発明の組成物は、腺窩細胞を含む腸管上皮細胞の増殖、並びに口腔及び腸管の組織の再生、すなわち、変性、死滅又は上皮腺窩細胞への外傷を包含する、上皮細胞によって持続される損傷の治療にも有用であり得る。より具体的には、組成物は、本明細書に列挙される消化管の疾病の治療において使用され得る。
本発明の組成物は、圧力潰瘍、血管機能不全と関連した潰瘍、手術及び外傷による創傷と関連した潰瘍等を含むが、これらに限定されるわけではない、治癒していない創傷のより良好な又はより迅速な封鎖を促進するのにも有用であり得る。創傷治癒活性のためのアッセイは、Eaglstein and Mertz,J. Invest. Dermatol 71:382−84(1978)によって改変される、Winter,Epidermal Wound Healing,pp.71−112(Maibach,H.I.and Rovee,D.T.eds.),Year Book Medical Publishers,Inc.,Chicagoに記載されているものを含む。
4.2.7免疫調節活性
本発明のポリペプチドは、サイトカインの産生及び/又は活性、及び/又は免疫系の細胞を含む(これらに限定されるわけではない。)免疫系構成要素の調節に関する活性を示し得る。本発明のポリヌクレオチドは、このような特質を示すポリペプチドをコードできる。サイトカイン及び/又は免疫系の細胞の調節は、サイトカインのレベル又は免疫系の特定の細胞の数の増大及び/又は低下を含み得る。
本発明のポリペプチドは、サイトカインの産生及び/又は活性、及び/又は免疫系の細胞を含む(これらに限定されるわけではない。)免疫系構成要素の調節に関する活性を示し得る。本発明のポリヌクレオチドは、このような特質を示すポリペプチドをコードできる。サイトカイン及び/又は免疫系の細胞の調節は、サイトカインのレベル又は免疫系の特定の細胞の数の増大及び/又は低下を含み得る。
このような免疫調節活性によって、本発明のポリペプチドは、多様な免疫疾患を治療するのに使用され得る。これらの疾患は、潰瘍性大腸炎及び/又はクローン病を含む炎症性腸疾患(IBD)、並びに放射線治療及び/又は化学療法を含む抗癌治療の結果としての粘膜炎を含むが、これらに限定されるわけではない。これらの免疫疾患の原因は、例えば、特発性(すなわち、未知の原因)であり、遺伝性であり、感染性要因(例、ウイルス、細菌、真菌)により、及び/又は抗癌治療(例、放射線治療及び/又は化学療法)によって誘導される損傷により得る。
免疫反応及び/又は免疫系の構成要素の調節は、多くの方法において達成され得る。下方制御は、既に進行中の免疫反応を阻害若しくは遮断する形態であり得、又は免疫反応の誘導を防止することを包含し得る。活性型T細胞の機能は、T細胞反応を抑制することによって、若しくはT細胞における特異的な耐性を誘導することによって、又はその両者によって阻害され得る。T細胞反応の免疫抑制は一般的に、抑制因子へのT細胞の持続的な曝露を必要とする、活性のある非抗原特異的工程である。T細胞における非反応性又はアネルギーを誘導することを包含する寛容は、一般的に抗原特異的であり、寛容化剤への曝露が終了した後に持続する点で免疫抑制と区別することができる。操作上、寛容化剤の不存在下での特異的抗原への再曝露の際、T細胞応答の欠如によって、寛容が示され得る。
免疫性腸疾患は、2つの経路、すなわち、IL−12、IFN−γ、及び/又はTNFの高レベルを伴う過剰のTヘルパー第1因子(Th1)−細胞反応、又はIL−4、IL−5、及び/又はIL−13の高レベルを伴う過剰のTヘルパー第2因子(Th2)−細胞反応のうちの1つによって、ほぼ常に仲介される(その全ての内容が全体として参照により本明細書に組み入れられるBouma et al.)。従って、本発明のポリペプチドが、疾病の治療において免疫調節活性を仲介し得る機序は、Th1及び/又はTh2細胞集団の数を下方制御することである。あるいは、別の活性は、炎症反応と関連し及び/又は炎症反応を媒介するサイトカイン(例、IL−12、IFN−γ、TNF、IL−4、IL−5、及び/又はIL−13)のレベルを低下させることであり得る。
本発明のポリペプチドの活性は、幾つかある手段の中で特に、次の方法によって測定されうる。
T細胞又は胸腺細胞の増殖に関するアッセイは、Current Protocols in Immunology.Ed by J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach,W.Strober,Pub.Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience(Chapter 3,In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function 3.1−3.19、Chapter 7,Immunologic studies in Humans)、Takai et al.,J.Immunol.137:3494−3500, 1986、Bertagnolli et al.,J.Immunol.145:1706−1712, 1990、Bertagnolli et al.,Cellular Immunology 133:327−341, 1991、Bertagnolli,et al.,J.Immunol.149:3778−3783, 1992、Bowman et al.,J.Immunol.152:1756−1761, 1994に記載されているものを含むが、これらに限定されるわけではない。
脾臓細胞、リンパ節細胞又は胸腺細胞のサイトカイン産生及び/又は増殖に関するアッセイは、Polyclonal T cell stimulation,Kruisbeek,A.M.and Shevach,E.M.In Current Protocols in Immunology.J.E.e.a.Coligan eds.Vol 1 pp.3.12.1−3.12.14,John Wiley and Sons,Toronto.1994、及びMeasurement of mouse and human interferon−γ,Schreiber,R.D.In Current Protocols in Immunology.J.E.e.a.Coligan eds.Vol 1 pp.6.8.1−6.8.8,John Wiley and Sons,Toronto.1994に記載されているものを含むが、これらに限定されるわけではない。
(とりわけ、APC−T細胞相互作用並びに増殖及びサイトカイン産生を測定することによってT細胞の直接的な効果に影響するタンパク質を同定する)抗原に対するT細胞クローンの応答に関するアッセイは、Current Protocols in Immunology,Ed by J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach,W Strober,Pub.Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience(Chapter 3,In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function、Chapter 6,Cytokines and their cellular receptors、Chapter 7,Immunologic studies in Humans)、Weinberger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:6091−6095, 1980、Weinberger et al.,Eur.J.Immun.11:405−411, 1981、Takai et al.,J.Immunol.137:3494−3500, 1986、Takai et al.,J.Immunol.140:508−512, 1988)に記載されているものを含むが、それらに限定されるわけではない。
4.2.8走化性/ケモキネシスの活性
本発明のポリペプチドは、例えば単球、線維芽細胞、好中球、T細胞、マスト細胞、好酸球、上皮細胞及び/又は内皮細胞などの哺乳動物細胞に対する走化性又はケモキネシスの活性に関与し得る。本発明のポリヌクレオチドは、このような特質を示すポリペプチドをコードできる。走化性及びケモキネシスの受容体の活性化は、望ましい細胞集団を望ましい作用部位へ動員又は引き付けるために使用できる。走化性及びケモキネシスの組成物(例えば、本発明のタンパク質、抗体、結合パートナー又は調節因子)は、組織に対する創傷又は他の外傷の治療において、及び局在した感染の治療において具体的な利点を提供する。例えば、リンパ球、単球又は好中球の腫瘍若しくは感染部位への誘引によって、腫瘍又は感染要因に対する改良された免疫反応がもたらされ得る。
本発明のポリペプチドは、例えば単球、線維芽細胞、好中球、T細胞、マスト細胞、好酸球、上皮細胞及び/又は内皮細胞などの哺乳動物細胞に対する走化性又はケモキネシスの活性に関与し得る。本発明のポリヌクレオチドは、このような特質を示すポリペプチドをコードできる。走化性及びケモキネシスの受容体の活性化は、望ましい細胞集団を望ましい作用部位へ動員又は引き付けるために使用できる。走化性及びケモキネシスの組成物(例えば、本発明のタンパク質、抗体、結合パートナー又は調節因子)は、組織に対する創傷又は他の外傷の治療において、及び局在した感染の治療において具体的な利点を提供する。例えば、リンパ球、単球又は好中球の腫瘍若しくは感染部位への誘引によって、腫瘍又は感染要因に対する改良された免疫反応がもたらされ得る。
タンパク質又はペプチドは、このような細胞集団の配向される向き若しくは移動を直接的に若しくは間接的に刺激できる場合、特定の細胞集団に関する走化性活性を有する。好ましくは、タンパク質又はペプチドは、配向される細胞移動を直接刺激する能力を有する。特定のタンパク質が、細胞の集団に関して走化性活性を有するかどうかは、細胞の走化性に関する何れかの公知のアッセイにおいて、このようなタンパク質又はペプチドを使用することによって容易に決定できる。
(走化性を誘導又は防止するタンパク質を同定する)走化性活性に関するアッセイは、膜を通過する細胞遊走を誘導するタンパク質の能力、及びある細胞集団の別の細胞集団に対する接着を誘導するタンパク質の能力を測定するアッセイからなる。移動及び接着に関する適切なアッセイは、Current Protocols in Immunology.Ed by J.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach,W.Strober,Pub.Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience(Chapter 6.12,Measurement of alpha and beta Chemokines 6.12.1−6.12.28、Taub et al.J.Clin.Invest.95:1370−1376, 1995、Lind et al.APMIS 103:140−146, 1995、Muller et al Eur.J.Immunol.25:1744−1748、Gruber et al.J.Immunol.152:5860−5867, 1994、Johnston et al.J.Immunol.153:1762−1768, 1994に記載されているものを含むが、これらに限定されるわけではない。
4.2.9薬物スクリーニング
有用な化合物に対するスクリーニングは、ヒト以外の動物へ広範囲な用量の候補化合物を投与すること、及び多様な時点でSCFA1タンパク質の活性に及ぼす化合物の効果をアッセイすることを包含する。化合物は、腹部膨満の前又は開始時に投与され得る。評価される化合物の化学的性質に依存して、経口で又は適切な注射によって投与され得る。化合物に対する細胞反応は、適切な生化学的及び/又は組織学的アッセイを使用して経時的に評価される。
有用な化合物に対するスクリーニングは、ヒト以外の動物へ広範囲な用量の候補化合物を投与すること、及び多様な時点でSCFA1タンパク質の活性に及ぼす化合物の効果をアッセイすることを包含する。化合物は、腹部膨満の前又は開始時に投与され得る。評価される化合物の化学的性質に依存して、経口で又は適切な注射によって投与され得る。化合物に対する細胞反応は、適切な生化学的及び/又は組織学的アッセイを使用して経時的に評価される。
本発明のポリペプチドに結合し又はその活性を修飾する(すなわち亢進又は低下させる)能力についてスクリーニングされ得る検査化合物源としては、(1)無機的及び有機的化合物ライブラリ、(2)天然産物ライブラリ、及び(3)無作為ペプチド若しくは擬似ペプチド、オリゴヌクレオチド又は有機的分子の何れかを含む組み合わせライブラリが挙げられる。
化合物ライブラリは、容易に合成され得るか又は多くの商業源から購入され得、公知の化合物又は、天然産物スクリーニングを介して「ヒットする」又は「リードする」と同定される化合物の構造的類縁体を含み得る。
天然産物ライブラリ源は、(細菌及び真菌を含む)微生物、動物、植物又は他の植生、又は海洋生物体であり、スクリーニングのための混合物のライブラリは、(1)土壌、植物又は海洋微生物からのブロスの発酵及び抽出又は(2)生物体自体の抽出によって作製され得る。天然産物ライブラリは、ポリケチド、非リボソームペプチド、及び(天然には生じない)それらのバリアントを含む。総説に関しては、Science 282:63−68(1998)を参照されたい。
組み合わせライブラリは、多くのペプチド、オリゴヌクレオチド又は有機化合物から構成され、従来の自動合成方法、PCR、クローニング又は独自の合成方法によって容易に調製できる。特に興味深いのは、ペプチド及びオリゴヌクレオチド組み合わせライブラリである。更に興味深い他のライブラリは、ペプチドライブラリ、タンパク質ライブラリ、ペプチド模倣性ライブラリ、多重並行合成収集ライブラリ、組換えライブラリ、及びポリペプチドライブラリを含む。そこから作製される組み合わせ化合物及びライブラリに関する総説に関しては、Myers,Curr.Opin.Biotechnol.8:701−707(1997)を参照されたい。ペプチド模倣性ライブラリの総説及び例に関しては、Al−Obeidi et al.,Mol.Biotechnol,9(3):205−23(1998)、Hruby et al.,Curr Opin Chem Biol,1(1):114−19(1997)、Dorner et al.,Bioorg Med Chem,4(5):709−15(1996)(アルキル化ジペプチド)を参照されたい。
4.3SCFA1療法を受け入れられる疾病
ある態様において、本発明は、上皮化が望ましい疾病及び状態を治療するのに有用な医薬試薬及び方法を提供する。SCFA1ポリペプチドは、口腔及び腸管の上皮細胞の細胞保護、増殖及び/又は分化を増大させるのに有用である。特に、SCFA1ポリペプチドとしては、胃腸疾病、腸管の粘膜炎、中咽頭、唇及び食道の粘膜炎(口腔粘膜炎)、炎症性腸疾患、短腸症候群、胃及び十二指腸の潰瘍、糜爛性胃炎、食道炎、食道逆流などの腸管の糜爛、並びに創傷、やけど、眼科疾患及び上皮細胞の増殖又は再生の刺激が望ましい全ての疾患などの他の疾患が含まれる疾病又は状態(これらに限定されない。)を治療又は予防するのに有用である。口腔及び消化器管を通じての粘液の産生が不十分になる疾病の治療も想定される。
ある態様において、本発明は、上皮化が望ましい疾病及び状態を治療するのに有用な医薬試薬及び方法を提供する。SCFA1ポリペプチドは、口腔及び腸管の上皮細胞の細胞保護、増殖及び/又は分化を増大させるのに有用である。特に、SCFA1ポリペプチドとしては、胃腸疾病、腸管の粘膜炎、中咽頭、唇及び食道の粘膜炎(口腔粘膜炎)、炎症性腸疾患、短腸症候群、胃及び十二指腸の潰瘍、糜爛性胃炎、食道炎、食道逆流などの腸管の糜爛、並びに創傷、やけど、眼科疾患及び上皮細胞の増殖又は再生の刺激が望ましい全ての疾患などの他の疾患が含まれる疾病又は状態(これらに限定されない。)を治療又は予防するのに有用である。口腔及び消化器管を通じての粘液の産生が不十分になる疾病の治療も想定される。
口腔及び消化器の粘膜炎などの粘膜炎は、消化器系の裏打ち構造が炎症になる幾つかの癌療法の合併症である。SCFA1は、癌治療のために患者へ付与される化学療法及び/又は放射線治療によって生じる消化管の粘膜の分解を予防及び/又は寛解させるのに有用であり、又は腫瘍の摘出後のアジュバント療法として付与される。典型的な化学療法薬としては、BCNU、ブスルファン、カルボプラチン、シクロホスファミド、タンノルビシン(tannorubicin)、ドキソルビシン、エトポシド、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、イフォファミド、イリノテカン、メルファラン、メトトレキサート、ナベルビン、トトポテカン、及びタキソールが挙げられるが、これらに限定されるわけではなく、典型的な治療法としては、BEAM(ブスルファン、エトポシド、シトシン、アラビノシド、メトトレキサート);シクロホスファミド及び全身照射;シクロホスファミン、全身照射及びエトポシド;シクロホスファミド及びブスルファン;並びにロイコボリン若しくはレバミソールと同時の5−フルオロウラシルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。SCFA1による治療、前処理又は後処理は、例えば小腸及び結腸の粘膜の細胞保護効果又は再生又は両者を生じるのに有用であり、それらの潜在的な副作用を低下させながら、治療法の薬用量を増大できる。
SCFA1によって治療できる炎症性腸疾患は、未知の源の慢性的な再発性炎症性疾患によって特徴付けられる一般的な炎症性腸疾患、クローン病、炎症性腸疾患と関連した異形成、中間型大腸炎、潰瘍性大腸炎;活動性大腸炎を含む非感染性大腸炎、抗生物質関連性大腸炎、コラーゲン形成大腸炎、転換性(diversion)大腸炎、好酸球性大腸炎、移植片対宿主病、肉芽腫性大腸炎、虚血性大腸炎、出血性大腸炎、マラコプラキア、壊死性腸炎、放射線照射腸炎、盲腸炎;アデノウイルスを含む感染性大腸炎及びアメーバ性大腸炎、バランチジウム症、HSV/AIDS関連大腸炎、及びトリパノソーマ、イー・コリ(E.coli)、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium avium intracellulare)、ソタウイルス(Sotavirus)、サルモネラ、シゲラ、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、クロストリジウム、ボツリヌスによって生じる大腸炎、並びに住血吸虫症、スピロヘータ症、梅毒、鞭虫症、結核性腸チフス、ビブリオ・コレレ(Vibrio cholera)、及びエルシニア(Yersinia)と関連した大腸炎を含む。
短腸症候群は、小腸を半分以上摘出されたヒトに起こる一連の問題である。小腸の一部を摘出する最も普遍的な理由は、クローン病を治療することである。更に、小腸の一部を手術で摘除することは、癌の増殖を除去するのに必要であり得る。下痢は、短腸症候群の主な症状である。他の症状は、疼痛性筋痙攣、腹部膨満及び胸焼けを含む。短腸症候群を罹患している多くのヒトは、残存している小腸が水、ビタミン、及び食物由来の他の栄養物質を吸収できないため、栄養不良である。彼らは、生命の危機であり得る脱水症状にもなり得る。脱水及び栄養不良と関連した問題は、脱力、疲労、鬱、体重減少、細菌感染、及び食物アレルギーを含む。短腸症候群は、食事の変化、静脈内供給、ビタミン及びミネラルのサプリメント、症状を緩和するための医薬を通じて治療される。SCFA1ポリペプチドは、摘除されていない小腸組織の増殖を増大させるのに有用であり得、それにより小腸の吸収性表面積を増大させ、短腸症候群と関連した症状を寛解させる。
SCFA1ポリペプチドの細胞保護活性及び/又は再生活性は、放射線照射誘発性粘膜炎のインビボモデル(参照により本明細書に組み入れられるWithers and Elkind,Int J Radiat 17:261−267(1970))、インビボでの化学療法誘発性粘膜炎(その全ての内容が全体として参照により本明細書に組み入れられるSoris et al.,Oral Surg Oral Med Oral Pathol 69:437−443(1990)、Moore,Cancer Chemother Pharmacol 15:11−15(1985)、Farell et al.,Cell Prolif 35:78−85(2002))、大腸炎及び小腸の潰瘍若しくは炎症のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)モデル(Jeffers et al.,Gastroenterology 123:1151−1162(2002)、Han et al.,Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 279:G1011−G1022(2000))及び短腸症候群(SBS)の外科的モデル(その全ての内容が全体として参照により本明細書に組み入れられるScott et al.Am J Physiol G911−G921(1998)、Helmrath et al.,J Am Coll Surg 183:441−449(1996))において検査できる。
罹患した細胞、組織及び相当する正常試料の間のSCFA1mRNA及びタンパク質の発現レベルの比較をし、対象がSCFA1治療に反応しているかどうかを決定する。SCFA1ポリペプチドmRNA又はタンパク質の発現を検出及び定量化するための方法は、本分野で周知であり、その全ての内容が全体としていずれも参照により本明細書に組み入れられるSambrook,et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,NY(1989)又はAusubel,et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,NY(1989)において記載されている標準的な核酸及びタンパク質の検出及び定量化の技術を使用する。SCFA1mRNAの検出及び定量化のための標準的な方法は、標識されたSCFA1リボプローブを使用するインサイツハイブリダイゼーション(その全ての内容が全体として参照により本明細書に組み入れられるGemou−Engesaeth,et al.,Pediatrics 109:E24−E32(2002))、SCFA1ポリヌクレオチドプローブを使用するノザンブロット及び関連技術(その全ての内容が全体として参照により本明細書に組み入れられるKunzli,et al.,Cancer 94:228(2002))、SCFA1特異的プライマーを使用するRT−PCR分析(Angchaiskisiri,et al.,Blood 99:130(2002))、及び分岐鎖DNA溶液ハイブリダイゼーションアッセイ(その全ての内容が全体として参照により本明細書に組み入れられるJardi,et al.,J.Viral Hepat.8:465−471(2001))、転写仲介性増幅(Kimura,et al.,J.Clin.Microbiol.40:439−445(2002))、オリゴ、cDNA、及びモノクローナル抗体等のマイクロアレイ産物及びリアルタイムPCR(その全ての内容が全体として参照により本明細書に組み入れられるSimpson,et al.,Molec.Vision,6:178−183(2000))等の他の増幅検出方法を含む。SCFA1タンパク質の検出及び定量化のための標準的な方法は、ウェスタンブロット分析(Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,NY(1989)、Ausubel,et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,NY(1989))、免疫細胞化学(Racila,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:4589−4594(1998)上述)、並びに酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及び特異的酵素イムノアッセイ(EIA)を含む多様なイムノアッセイ(Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,NY(1989)、Ausubel,et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,NY(1989))を含む。
本発明の方法によって治療可能な疾病及び状態は、好ましくは哺乳動物において発症する。哺乳動物は、例えば、ヒト及び他の霊長類、並びにイヌ及びネコ等のぺット又は哀願動物、ラット、マウス及びウサギ等の実験動物、並びにウマ、ブタ、ヒツジ、及びウシ等の家畜を含む。
4.3.1治療法
本発明の(ポリペプチド断片、類縁体、バリアント及び抗体又は他の結合パートナー又は修飾因子を含む)組成物は、多様な治療法において数多くの適用を有する。治療上の適用の例は、本明細書において例示されるものを含むが、それらに限定されるわけではない。
本発明の(ポリペプチド断片、類縁体、バリアント及び抗体又は他の結合パートナー又は修飾因子を含む)組成物は、多様な治療法において数多くの適用を有する。治療上の適用の例は、本明細書において例示されるものを含むが、それらに限定されるわけではない。
本発明のある実施形態は、本発明のペプチドで治療できる疾病又は疾患を罹患する個体へ、本発明のSCFA1ポリペプチド又は他の組成物の有効量を投与することである。投与の様式は特に重要ではないが、非経口的投与が好ましい。投与の典型的な様式は、皮下又は静脈内への急速投与を送達することである。本発明のSCFA1ポリペプチド又は他の組成物の薬用量は通常、処方する医師によって決定される。薬用量は、個々の患者の年齢、体重、状態及び反応によって変動することが予期されるべきである。典型的には、用量あたりに投与されるポリペプチドの量は、約0.01μg/体重kgないし100mg/体重kgの範囲であり、好ましい用量は、患者の体重で約0.1μg/kgないし10mg/kgである。非経口投与の場合、本発明のSCFA1ポリペプチドは、医薬として許容される非経口媒体と組み合わせた注射可能な形態において製剤される。このような媒体は、本分野で周知であり、例としては、水、塩類溶液、リンガー液、デキストロース溶液、並びにヒト血清アルブミンの少量からなる溶液が挙げられる。媒体は、本ポリペプチド又は他の活性成分の等張性及び安定性を維持する添加物の少量を含有し得る。このような溶液の調製は、本分野の技術内である。
4.3.2医薬製剤
(限定されるわけではないが、組換え及び非組換え源由来を含み、本発明のポリペプチドの抗体及び他の結合パートナーを含むあらゆる源に由来する)本発明のタンパク質又は他の組成物は、これを必要とする患者へ、多様な疾患を治療若しくは寛解させるための用量で、単独で、又は適切な担体又は賦形剤と混合された医薬組成物に入れて投与され得る。このような組成物は、必要に応じて、(タンパク質又は他の活性成分及び担体に加えて)希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定化剤、可溶化剤及び本分野で周知の他の材料を含有し得る。「医薬として許容される」という語は、活性成分の生物活性の効果を妨害しない非毒性材料を意味する。担体の特徴は、投与の経路に依存する。本発明の医薬組成物は、サイトカイン、リンホカイン、又は他の造血因子、及びFGF、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF−α及びTGF−β)、インスリン様増殖因子(IGF)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)等の多様な増殖因子、並びに本明細書に記載のサイトカインも含有し得る。
(限定されるわけではないが、組換え及び非組換え源由来を含み、本発明のポリペプチドの抗体及び他の結合パートナーを含むあらゆる源に由来する)本発明のタンパク質又は他の組成物は、これを必要とする患者へ、多様な疾患を治療若しくは寛解させるための用量で、単独で、又は適切な担体又は賦形剤と混合された医薬組成物に入れて投与され得る。このような組成物は、必要に応じて、(タンパク質又は他の活性成分及び担体に加えて)希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定化剤、可溶化剤及び本分野で周知の他の材料を含有し得る。「医薬として許容される」という語は、活性成分の生物活性の効果を妨害しない非毒性材料を意味する。担体の特徴は、投与の経路に依存する。本発明の医薬組成物は、サイトカイン、リンホカイン、又は他の造血因子、及びFGF、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF−α及びTGF−β)、インスリン様増殖因子(IGF)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)等の多様な増殖因子、並びに本明細書に記載のサイトカインも含有し得る。
医薬組成物は更に、タンパク質又は他の活性成分の活性を増大させ又は治療におけるその活性若しくは使用を補完する他の成分を含有し得る。このような更なる因子及び/又は成分は、医薬組成物中に含まれ得、本発明のタンパク質又は他の活性成分との相乗効果を生じるか又は副作用を最小化し得る。逆に、本発明のタンパク質又は他の活性成分は、特定のサイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解因子若しくは抗血栓因子、又は抗炎症剤の製剤中に含まれ得、塞栓因子、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解因子若しくは抗血栓因子、又は(IL−1Ra、IL−1Hy1、IL−1Hy2、抗TNF、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤等の)抗炎症剤の副作用を最小化し得る。本発明のタンパク質は、多量体(例えば、ヘテロ二量体又はホモ二量体)又はそれ自体若しくは他のタンパク質との複合体において活性があり得る。その結果、本発明の医薬組成物は、このような多量体若しくは複合体の形態で本発明のタンパク質を含み得る。
第一のタンパク質を含む本発明の医薬組成物中に含められる代替物として、第二のタンパク質又は治療薬が、第一タンパク質とともに(例、同時に、又は薬物の組み合わせの治療濃度に治療部位で到達させる異なる時点で)投与され得る。本願の化合物の製剤及び投与のための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,Mack Publishing Co.,Easton,PA,最新版において見出され得る。治療的有効量とは、更に、症状の寛解、例えば、関連する医学的状態の治療、治癒、予防若しくは寛解、又はこのような状態の治療、治癒、予防若しくは寛解の速度の増大をもたらすのに十分な化合物の量を表す。単独で投与される個々の活性成分に対して使用される場合、治療的有効量とは、その活性成分単独を指す。組み合わせに対して使用される場合、治療的有効量とは、組み合わせにおいて、連続的に又は同時に投与されるか否かに関わらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わされた量を表す。
本発明の治療方法又は使用を実施する場合、本発明のタンパク質又は他の活性成分の治療的有効量が、治療されるべき状態を有する哺乳動物へ投与される。本発明のタンパク質又は他の活性成分は、単独で又は、サイトカイン、リンホカイン又は他の造血因子を採用する治療等の他の療法と組み合わせて、本発明の方法に従って投与され得る。1つ又はそれ以上のサイトカイン、リンホカイン又は他の造血因子と同時投与される場合、本発明のタンパク質又は他の活性成分は、サイトカイン、リンホカイン、短造血因子、血栓溶解因子若しくは抗血栓因子と同時に又は順次に投与され得る。順次に投与される場合、担当医は、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解因子若しくは抗血栓因子と組み合わせて、本発明のタンパク質又は他の活性成分を投与する適切な順序に関して決定を下す。
4.3.3投与の経路
投与の適切な経路は、例えば経口投与、直腸投与、経粘膜投与又は腸管投与;筋肉内注射、皮下注射、髄内注射、及びくも膜下腔内注射、直接的な脳室内注射、静脈内(iv)注射、腹腔内注射、鼻腔内注射又は眼内注射を含む非経口送達を含み得る。医薬組成物中で使用される本発明のタンパク質又は他の活性成分の投与又は本発明の方法の実施は、経口消化、吸入、局所的適用又は皮膚注射、皮下注射、腹腔内(IP)注射、非経口注射又は静脈内注射等の多様な従来法で実施され得る。患者への皮下投与又は静脈内投与が好ましい。
投与の適切な経路は、例えば経口投与、直腸投与、経粘膜投与又は腸管投与;筋肉内注射、皮下注射、髄内注射、及びくも膜下腔内注射、直接的な脳室内注射、静脈内(iv)注射、腹腔内注射、鼻腔内注射又は眼内注射を含む非経口送達を含み得る。医薬組成物中で使用される本発明のタンパク質又は他の活性成分の投与又は本発明の方法の実施は、経口消化、吸入、局所的適用又は皮膚注射、皮下注射、腹腔内(IP)注射、非経口注射又は静脈内注射等の多様な従来法で実施され得る。患者への皮下投与又は静脈内投与が好ましい。
あるいは、全身的な様式よりもむしろ局所的な様式で、例えば、しばしば持効性製剤又は徐放性製剤中の化合物を組織中へ直接注射することを介して、前記化合物が投与され得る。
別の実施形態において、上皮細胞の増殖及び/又は刺激を要する対象中へSCFA1を産生する細胞を埋め込むこと(細胞療法)が考えられる。SCFA1を正常に発現させないか又はSCFA1の低レベルを発現させる細胞は、SCFA1をコードするポリヌクレオチドによる形質転換によって、SCFA1の治療レベルを生じるように修飾され得る。前記細胞は、対象と同一種であり得るか又は異なる種由来であり得る。好ましくは、前記細胞は、SCFA1療法を要する対象由来である。ヒト又はヒト以外の細胞は、生体適合性半透過性ポリマー封入を使用して対象中へ埋め込まれ、SCFA1タンパク質を放出でき得るか、又は被包されずに直接埋め込まれ得る。
別の実施形態において、インビボでの遺伝子治療が考えられる。SCFA1をコードするヌクレオチド配列は、タンパク質の分泌のために対象へ直接導入され、本明細書に列挙される疾病を予防又は治療する。SCFA1をコードするヌクレオチドは、治療されるべき組織中へ直接注射され得るか、又はウイルスベクター、例えばアデノウイルスベクター又はレトロウイルスベクターによって攻撃される組織の細胞中へと送達され得る。SCFA1をコードする核酸を含有する適切なベクターの物理的転移は、リポソーム仲介性転移、むき出しのDNAの直接的な注射、受容体仲介性転移、又は微粒子照射を含む方法によっても達成され得る。
本発明のポリペプチドは、作用の望ましい部位へ効果的な薬用量を送達する何れかの経路によって投与される。適切な投与経路及び具体的な徴候に対する効果的な薬用量の決定は、本分野の技術のレベル内である。好ましくは、創傷治療のため、前記部位へ治療化合物が直接投与される。本発明のポリペプチドに対する適切な薬用量の範囲は、これらの薬用量から、又は適切な動物モデルにおける同様の研究から推定できる。次に、薬用量は、最大の治療利点を与えるよう、臨床医によって必要に応じて調整できる
4.3.4組成物/製剤
従って、本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性化合物を医薬として使用できる調製物へ加工することを容易にする賦形剤及び補助剤を含む生理学的に許容される1つ又はそれ以上の担体を使用する従来の様式で製剤され得る。これらの医薬組成物は、それ自体公知の様式で、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、ゲル化、乳化、カプセル化、封入化又は凍結乾燥の工程によって製造され得る。適切な製剤化は、選択される投与経路に依存する。本発明のタンパク質又は他の活性成分の治療的有効量が経口投与される場合、本発明のタンパク質又は他の活性成分は、錠剤、カプセル、粉末、溶液又はエリキシルの形態である。錠剤の形態で投与されるとき、本発明の医薬組成物は、ゼラチン若しくはアジュバント等の固体担体を更に含有し得る。錠剤、カプセル及び粉末が、本発明の約5%から95%までのタンパク質又は他の活性成分を含有し、好ましくは本発明の約25%から90%までのタンパク質又は他の活性成分を含有する。液状で投与されるとき、水、石油、動物由来又はピーナツ油、ミネラルオイル、大豆油、又はゴマ油等の植物由来の油、又は合成油等の液体担体が添加され得る。医薬組成物の液状は、生理的塩類溶液、デキストロース若しくは他の糖類溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等のグリコールを更に含有し得る。液状で投与される場合、医薬組成物は、本発明のタンパク質又は他の活性成分の約0.5重量%から90重量%までを含有し、好ましくは本発明の約1%から50%までのタンパク質又は他の活性成分を含有する。
4.3.4組成物/製剤
従って、本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性化合物を医薬として使用できる調製物へ加工することを容易にする賦形剤及び補助剤を含む生理学的に許容される1つ又はそれ以上の担体を使用する従来の様式で製剤され得る。これらの医薬組成物は、それ自体公知の様式で、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、ゲル化、乳化、カプセル化、封入化又は凍結乾燥の工程によって製造され得る。適切な製剤化は、選択される投与経路に依存する。本発明のタンパク質又は他の活性成分の治療的有効量が経口投与される場合、本発明のタンパク質又は他の活性成分は、錠剤、カプセル、粉末、溶液又はエリキシルの形態である。錠剤の形態で投与されるとき、本発明の医薬組成物は、ゼラチン若しくはアジュバント等の固体担体を更に含有し得る。錠剤、カプセル及び粉末が、本発明の約5%から95%までのタンパク質又は他の活性成分を含有し、好ましくは本発明の約25%から90%までのタンパク質又は他の活性成分を含有する。液状で投与されるとき、水、石油、動物由来又はピーナツ油、ミネラルオイル、大豆油、又はゴマ油等の植物由来の油、又は合成油等の液体担体が添加され得る。医薬組成物の液状は、生理的塩類溶液、デキストロース若しくは他の糖類溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等のグリコールを更に含有し得る。液状で投与される場合、医薬組成物は、本発明のタンパク質又は他の活性成分の約0.5重量%から90重量%までを含有し、好ましくは本発明の約1%から50%までのタンパク質又は他の活性成分を含有する。
本発明のタンパク質又は他の活性成分の治療的有効量が静脈内注射、皮膚注射又は皮下注射によって投与される場合、本発明のタンパク質又は他の活性成分は、発熱物質を含まない非経口的に許容される水溶液の形態である。pH、等張性、安定性等を十分考慮するこのような非経口的に許容されるタンパク質又は他の活性成分の溶液の調製は、本分野の技術内である。静脈内注射、皮膚注射、又は皮下注射のための好ましい医薬組成物は、本発明のタンパク質又は他の活性成分に加えて、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、乳酸化リンガー注射液、又は本分野で公知の他の媒体等の等張性媒体を含有する。本発明の医薬組成物は、安定化剤、保存料、緩衝液、抗酸化剤又は当業者に公知の他の添加物も含有し得る。注射の場合、本発明の薬物は、水溶液中に製剤され得、好ましくはハンクス溶液、リンガー溶液、又は生理塩類緩衝液等の生理学的に適合性のある緩衝液中に製剤され得る。経粘膜投与の場合、透過されるべき障壁に対して適切な貫通剤が、製剤中に使用される。このような貫通剤は、本分野で一般的に公知である。
経口投与の場合、化合物は、活性化合物を、本分野で周知の医薬として許容される担体と組み合わせることによって容易に製剤化することができる。このような担体によって、本発明の化合物は、治療されるべき患者による経口消化のための錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ジェル、シロップ、スラリー、懸濁液等として製剤できる。経口使用のための医薬調製物は、固体の賦形剤として得られることができ、場合によって、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工し、適切な補助剤を添加した後、所望であれば、錠剤又は糖衣錠中心を得る。適切な賦形剤は、特に、乳糖、ショ糖、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類等の充填剤;例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)等のセルロース調製物である。所望であれば、架橋されたポリビニルピロリドン、アガー、又はアルギン酸又はアルギン酸ナトリウム等のその塩等の崩壊剤が添加され得る。糖衣錠中心に適切なコーティングが供与される。この目的のため、場合によって、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒若しくは溶媒混合物を含有し得る濃縮した糖溶液が使用され得る。染料又は色素が錠剤又は糖衣錠コーティングへ添加され得、活性化合物用量の異なる組み合わせを同定し又は性質決定する。
経口で使用できる医薬調製物は、ゼラチン製押し込み式カプセル、並びにゼラチン及びグリセロール若しくはソルビトール等の可塑剤で作製された軟質の密封されたカプセルを含む。押し込み式カプセルは、乳糖等の充填剤、デンプン等の結合剤、及び/又は滑石若しくはステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤及び、必要に応じて安定化剤を含有できる。軟質カプセル中で、活性化合物は、脂肪油、液状パラフィン、又は液状ポリエチレングリコール等の適切な液体中に溶解され得るか又は懸濁され得る。更に、安定化剤が添加され得る。経口投与のための製剤は全て、このような投与に適した薬用量であるべきである。頬側投与のため、組成物は、従来の様式で製剤される錠剤又はトローチ剤の形態を取り得る。
吸入による投与の場合、本発明に従って使用するための化合物は、加圧されたパック又は噴霧器からエアロゾルスプレー提示の形態で従来どおりに送達され、適切な噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切な気体の使用を伴う。加圧されたエアロゾルの場合、薬用量単位は、バルブを提供して計量された量を送達することによって決定され得る。吸入器(inhaler)又は吸入器(insufflator)中で使用するための、化合物と乳糖若しくはデンプン等の適切な粉末ベースとの粉末混合を含有する、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジを製剤化し得る。化合物は、注射によって、例えば迅速投与又は連続注入によって非経口的に投与するために製剤され得る。注射のための製剤は、単位薬用量形態において、例えばアンプル若しくは複数用量容器中に、添加された保存料とともに提供され得る。組成物は、油性又は水性媒体中で懸濁液、溶液又は乳剤等の形態を取り得、懸濁液、安定化剤及び/又は分散剤等の調製剤を含有し得る。
非経口的投与のための医薬製剤は、水溶性形態の活性化合物の水溶液を含む。更に、活性化合物の懸濁液は、適切な油状注射用懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒又は媒体は、ゴマ油等の脂肪油又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル又はリポソームを含む。水溶性注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストラン等の懸濁液の粘土を増大させる物質を含有し得る。必要に応じて、懸濁液は、高濃度溶液の調製を可能にするため化合物の溶解度を増大させる適切な安定化剤又は薬物も含有し得る。あるいは、活性成分は、使用前に、適切な媒体、例えば発熱物質を含有しない滅菌水を用いて構成するための粉末状であり得る。
化合物は、例えばココアバター又は他のグリセリド等の従来の坐薬基剤を含有する坐薬若しくは停留浣腸等の直腸用組成物中にも製剤され得る。既に記載されている製剤に加え、組成物は、持効性製剤調製物としても製剤され得る。このような長期作用する製剤は、埋め込みによって(例えば皮下的に又は筋肉内で)又は筋肉内注射によって投与され得る。従って、例えば、化合物は、適切なポリマー材料又は(例えば許容される油中の乳剤としての)疎水性材料又はイオン交換樹脂とともに、又は難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として製剤され得る。
本発明の疎水性化合物のための医薬担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和有機ポリマー、及び水性相を含む共溶媒系である。共溶媒系は、VPD共溶媒系であり得る。VPDは、無水エタノール中で調製された3%(w/v)ベンジルアルコール、8%(w/v)非極性界面活性剤ポリソルベート80、及び65%(w/v)ポリエチレングリコール300の溶液である。VPD共溶媒系(VPD:5W)は、水溶液中の5%デキストロースと1:1で希釈されたVPDからなる。この共溶媒系は、疎水性化合物を十分に溶解し、それ自体は全身投与の際の毒性が低い。必然的に、共溶媒系の割合は、その溶解度及び毒性の特徴を損なわずにかなり変動し得る。更に、共溶媒の同一性は変動し得、例えば毒性の低い他の非極性界面活性剤は、ポリソルベート80の替わりに使用され得、ポリエチレングリコールの画分サイズは変動し得、他の生体適合性ポリマーは、ポリエチレングリコール、例えばポリビニルピロリドンを置換し得、他の糖類又は多糖類はデキストロースと置換し得る。あるいは、疎水性医薬化合物のための他の送達系が採用され得る。リポソーム及び乳剤は、疎水性薬物のための送達媒体又は担体に関する周知の例である。ジメチルスルホキシド等の特定の有機溶媒も採用され得るが、通常毒性がより大きくなってしまう。更に、化合物は、治療薬を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクス等の徐放性システムを使用して送達され得る。徐放性材料の多様な種類が確立されており、当業者に周知である。徐放性カプセルは、それらの化学的性質に依存して、数週間から最長100日間、化合物を放出し得る。治療薬の化学的性質及び生物学的安定性に応じて、タンパク質又は他の活性成分の安定化のための更なる戦略が使用され得る。
医薬組成物は、適切な固体相又はゲル相の担体又は賦形剤も含み得る。このような担体又は賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、多様な糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン並びにポリエチレングリコール等のポリマーを含むが、これらに限定されるわけではない。本発明の活性成分の多くは、医薬に適合性のある対イオンとの塩として提供され得る。このような医薬として許容される塩基付加塩は、生物学的有効性及び遊離酸の特性を保持し、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、アンモニア、トリアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノアルキルアミン、二塩基性アミノ酸、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、トリエタノールアミン等の無機塩基又は有機塩基との反応によって得られる塩である。
本発明の医薬組成物は、タンパク質又はペプチド抗原とともに本発明のタンパク質又は他の活性成分の複合体の形態にあり得る。タンパク質及び/又はペプチド抗原は、Bリンパ球及びTリンパ球の両者へ刺激シグナルを送達する。Bリンパ球は、その表面の免疫グロブリン受容体を通じて抗原に反応する。Tリンパ球は、MHCタンパク質による抗原の提示後にT細胞受容体(TCR)を通じて抗原に反応する。MHC及び、宿主細胞においてクラスI及びクラスIIのMHC遺伝子によりコードされるものを含む構造上関連するタンパク質は、Tリンパ球へペプチド抗原を提示するように機能する。抗原構成要素は、精製されたMHC−ペプチド複合体単独として、又はT細胞へ直接シグナルを送ることのできる同時刺激性分子とともに供給され得る。あるいは、B細胞上の表面免疫グロブリン又は他の分子を結合できる抗体、並びにT細胞上のTCR及び他の分子を結合できる抗体が、本発明の医薬組成物と組み合わせられ得る。
本発明の医薬組成物は、本発明のタンパク質が、医薬として許容される他の担体に加え、ミセルとして凝集された形態で存在する脂質、不溶性単層、液晶、又は水溶液中の層状層等の両親媒性薬物と組み合わせられるリポソームの形態であり得る。リポソーム製剤のための適切な脂質は、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リソレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸等を含むが、これらに限定されるわけではない。このようなリポソーム製剤の調製は、例えば、全てが参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号、及び第4,737,323号に開示されるように、本分野の技術レベル内である。
本発明の医薬組成物中の本発明のタンパク質又は他の活性成分の量は、治療されている状態の性質及び重度、及び患者が受けている治療の前の性質に依存する。最終的に、担当医は、それぞれの個々の患者を治療するための本発明のタンパク質又は他の活性成分の量を決定する。まず、担当医は、本発明のタンパク質又は他の活性成分の低用量を投与し、患者の反応を観察する。最適な治療効果が患者のために得られるまで、本発明のタンパク質又は他の活性成分のより大きな用量が投与され得、最適な治療効果が得られる時点で薬用量は更に増大することはない。本発明の方法を実施するために使用される多様な医薬組成物が、体重1kgあたり本発明のタンパク質又は他の活性成分約0.01μgないし約100mg(好ましくは約0.1μgないし約10mg、より好ましくは約0.1μgないし約1mg)を含有すべきであることが想定される。骨、軟骨、腱又は靭帯の再生に有用な本発明の組成物に関しては、治療法は、インプラント若しくはデバイスとして局所的に、全身的に、又は限局的に組成物を投与することを含む。投与される場合には、本発明において使用するための治療用組成物は、もちろん、発熱物質を含有しない生理学的に許容される形態である。更に、組成物は、骨、軟骨又は組織の損傷部位へ送達するための粘稠性形態で望ましく封入され得るか又は注射され得る。局所的投与は、創傷治癒及び組織修復に適し得る。これに代えて又はこれに加えて、上記組成物中にも場合によって含まれ得る本発明のタンパク質若しくは他の活性成分以外の治療上有用な因子を、本発明の方法において組成物と同時に又は連続して投与し得る。好ましくは、骨及び/又は軟骨の形成のために、組成物は、タンパク質を含有する組成物又は他の活性成分を含有する組成物を骨及び/又は軟骨の損傷部位へ送達し、これにより発達中の骨及び軟骨に構造を提供し、身体中へ最適に再吸収できるマトリクスを含む。このようなマトリクスは、他の埋め込み型の医療用途のために現在使用されている材料から形成され得る。
マトリクス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、美顔用様相及びインターフェイス特性に基づく。組成物の具体的な用途が、適切な製剤を規定する。組成物用のマトリクスとなり得るのは、生分解性であり、化学的に確定された硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びポリ無水物であり得る。骨又は皮膚のコラーゲン等の他の候補材料は、生分解性であり、生物学的に十分規定されている。更なるマトリクスは、純粋なタンパク質又は細胞外マトリクス成分からなる。可能性のある他のマトリクスは、焼結されたハイドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミン酸塩、又は他のセラミクス等の、非生分解性であり化学的に規定されているものである。マトリクスは、ポリ乳酸及びハイドロキシアパタイト、又はコラーゲン及びリン酸三カルシウム等の、材料の上述の種類の何れかの組み合わせからなり得る。バイオセラミクスは、カルシウム−アルミン酸塩−リン酸塩等の組成物中で変化し得、孔サイズ、粒子サイズ、粒子形状、及び生分解性を変化させるように加工され得る。現在好ましいのは、150ミクロンから800ミクロンまでの範囲の直径の多孔性粒子の形態である乳酸及びグリコール酸の50:50(モル重量)のコポリマーである。幾つかの適用において、タンパク質組成物がマトリクスから解離するのを防止するために、カルボキシメチルセルロース又は自己凝血等の隔離剤を利用することが有用である。
隔離剤の好ましいファミリーは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースを含む(ヒドロキシアルキルセルロースを含む)アルキルセルロース等のセルロース性材料であり、最も好ましいのは、カルボキシメチルセルロース(CMC)の陽イオン塩である。他の好ましい隔離剤は、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)、酸化ポリオキシエチレン、カルボキシビニルポリマー及びポリ(ビニルアルコール)を含む。本明細書で有用な隔離剤の量は、製剤重量全体の0.5ないし20重量%であり、好ましくは1ないし10重量%であり、前記量は、タンパク質がポリマーマトリクスから脱離するのを防止し、組成物の適切な取り扱いを与え、前駆細胞がマトリクスに浸潤することが妨げられるほどではなく、これにより前駆細胞の骨原性活性を補助する機会を前記タンパク質に提供する量に相当する。更なる組成物において、本発明のタンパク質又は他の活性成分は、骨及び/又は軟骨の欠陥、創傷、又は問題の組織に対して利点を有する他の因子と組み合わせられ得る。これらの薬物には、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF−α及びTGF−β)並びにインスリン様増殖因子(IGF)等の多様な増殖因子を含む。
現在、治療用組成物は、獣医学的適用に対しても価値がある。特に、ヒトに加え、家畜動物及び純血種のウマは、本発明のタンパク質又は他の活性成分によるこのような治療に関する望ましい受診対象である。組織再生において使用されるべきタンパク質含有医薬組成物の投与計画は、タンパク質の作用を修飾する多様な因子、例えば形成されることが望ましい組織重量、損傷の部位、損傷を受けた組織の状態、創傷の大きさ、損傷を受けた組織の種類(例、骨)、受診対象の年齢、性別、及び食餌内容、何れかの感染の重度、投与時間及び他の臨床的因子を考慮する担当医によって決定される。薬用量は、再構成において使用されるマトリクスの種類、及び医薬組成物中の他のタンパク質の封入とともに変動し得る。例えば、IGF−I(インスリン様増殖因子I)等の他の公知の増殖因子を最終的な組成物へ添加することも薬用量に影響を及ぼし得る。組織/骨の成長及び/又は修復の周期的な評価、例えばX線、組織形態計測及びテトラサイクリン標識によって、進行がモニターできる。
本発明のポリヌクレオチドは、遺伝子治療のためにも使用できる。このようなポリヌクレオチドは、哺乳動物対象における発現のために、インビボ又はエクスビボの何れかで導入できる。本発明のポリヌクレオチドは、細胞又は生物体中へ核酸を導入するための他の公知の方法によっても投与され得る(ウイルスベクター又はむき出しのDNAの形態にあることを含むが、これらに限定されるわけではない)。このような細胞に及ぼす望ましい効果又は活性を増殖又は発生させるために、細胞は、本発明のタンパク質の存在下でエクスビボでも培養され得る。治療される細胞は次に、治療目的のためにインビボで導入できる。
4.3.5有効用量
本発明において使用するのに適した医薬組成物は、活性成分がその所期の目的を達成するための有効量で含有されている組成物を含む。より具体的には、治療的有効量とは、治療されている対象の既存の症状の発達を予防し又は前記症状を緩和するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に、本明細書に提供されている詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範疇に属する。本発明の方法において使用される何れの化合物についても、治療的有効用量は、まず、適切なインビトロアッセイから概算することができる。例えば、ヒトにおいて有用な用量を、より正確に決定するために使用できる循環濃度範囲を達成するために、用量は、動物モデルにおいて処方できる。例えば、細胞培養において決定されるIC50を含む循環している濃度範囲(すなわち、タンパク質の生物活性の最大半量の阻害に到達する検査化合物の濃度)に達成するための用量を、動物モデルにおいて処方できる。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するのに使用できる。
本発明において使用するのに適した医薬組成物は、活性成分がその所期の目的を達成するための有効量で含有されている組成物を含む。より具体的には、治療的有効量とは、治療されている対象の既存の症状の発達を予防し又は前記症状を緩和するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に、本明細書に提供されている詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範疇に属する。本発明の方法において使用される何れの化合物についても、治療的有効用量は、まず、適切なインビトロアッセイから概算することができる。例えば、ヒトにおいて有用な用量を、より正確に決定するために使用できる循環濃度範囲を達成するために、用量は、動物モデルにおいて処方できる。例えば、細胞培養において決定されるIC50を含む循環している濃度範囲(すなわち、タンパク質の生物活性の最大半量の阻害に到達する検査化合物の濃度)に達成するための用量を、動物モデルにおいて処方できる。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するのに使用できる。
治療的有効量とは、患者において症状を緩和し又は生存を長期化させる化合物の量を指す。このような化合物の毒性及び治療有効性は、細胞培養又は実験動物における標準的な医薬手法によって、例えばLD50(集団の50%にとって致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療効果のある用量)を決定するために決定できる。毒性効果と治療効果との用量比が、治療指数であり、LD50とED50の比として表され得る。高い治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータは、ヒトにおいて使用するための多様な薬用量を製剤する上で使用できる。このような化合物の薬用量は、好ましくはほとんど又は全く毒性を有さないED50を含む多様な循環濃度内にある。薬用量は、使用される薬用量形態及び利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。実際の製剤、投与経路及び薬用量は、患者の状態の観点から個々の医師によって選択することができる。例えば、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、第1章1ページ中のFingl et al.,1975を参照されたい。薬用量及び間隔は、望ましい効果又は最小効果濃度(MEC)を維持するのに十分な活性部分の血漿レベルを提供するように個別に調整され得る。MECは、各化合物に対して変動するが、インビトロでのデータから概算できる。MECに到達するのに必要な薬用量は、個々の特徴及び投与経路に依存する。しかしながら、HPLCアッセイ又はバイオアッセイは、血漿濃度を測定するのに使用できる。
薬用量の間隔は、MEC値を使用しても決定することができる。化合物は、MECを上回る血漿レベルを時間の10ないし90%、好ましくは30ないし90%の間、最も好ましくは50ないし90%の間で維持する療法を使用して投与されるべきである。局所的な投与又は選択的な取り込みの場合、薬物の効果的な局所濃度は、血漿濃度と関連しない場合があり得る。
本発明のポリペプチド又は他の成分ための典型的な投与計画は、毎日の体重の約0.01μg/kgないし100mg/kgの範囲にあり、好ましい用量は、患者の毎日の体重の約0.1μg/kgないし25mg/kgであり、成人及び子供において変動する。投与は1日1回であり得るか、等価の用量がより長期の又はより短期の間隔で送達され得る。
投与される組成物の量はもちろん、治療されている対象、対象の年齢及び体重、苦痛度、投与様式及び処方する医師の判断に依存する。
4.3.6診断用アッセイ及びキット
本発明は、場合によって適切な標識と抱合され又はその他会合された本発明の核酸プローブ又は抗体を使用して、検査試料中に本発明のORFの1つ又はその相同物の存在又は発現を同定するための方法を更に提供する。
本発明は、場合によって適切な標識と抱合され又はその他会合された本発明の核酸プローブ又は抗体を使用して、検査試料中に本発明のORFの1つ又はその相同物の存在又は発現を同定するための方法を更に提供する。
一般的に、本発明のポリヌクレオチドを検出するための方法は、結合して複合体を形成するのに十分な時間、ポリヌクレオチドと複合体を形成する化合物に試料を接触させること、及び、複合体が検出された場合に、本発明のポリヌクレオチドが試料中で検出されるように、複合体を検出することを含む。このような方法は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、試料を、このような条件下で本発明のポリヌクレオチドへアニールする核酸プライマーと接触させること、及び、ポリヌクレオチドが増幅される場合に、本発明のポリヌクレオチドが試料中に検出されるように、アニールされたポリヌクレオチドを増幅することも含み得る。
一般的に、本発明のポリヌクレオチドを検出するための方法は、結合して複合体を形成するのに十分な時間、ポリヌクレオチドと複合体を形成する化合物に試料を接触させること、及び、複合体が検出された場合に、本発明のポリペプチドが試料中に検出されるように、複合体を検出することを含む。
詳細には、このような方法は、検査試料を抗体の1つ以上又は本発明の核酸プローブの1つ以上とともに温置すること、及び前記核酸プローブ又は抗体の検査試料内で構成成分との結合に関してアッセイすることを含む。
核酸プローブ又は抗体を検査試料とともに温置するための条件は変動する。温置条件は、アッセイにおいて採用されるフォーマット、採用される検出方法、並びにアッセイにおいて使用される核酸プローブ又は抗体の種類及び性質に依存する。当業者は、市販のハイブリダイゼーション、増幅又は免疫学的アッセイフォーマットの何れか1つが、本発明の核酸プローブ又は抗体を採用するのに容易に適応し得ることを認識している。このようなアッセイの例は、Chard,T.,An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands(1986)、Bullock,G.R. et al.,Techniques in Immunocytochemistry,Academic Press,Oriando,FL Vol.1(1982),Vol.2(1983),Vol.3(1985)、Tijssen,P.,Practice and Theory of immunoassays; Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands(1985)において見出され得る。本発明の検査試料は、細胞、細胞のタンパク質若しくは膜抽出物、又は痰、血液、血清、血漿、又は尿等の生物液を含む。上述の方法において使用される検査試料は、アッセイフォーマット、検出方法及び組織の性質、アッセイされるべき試料として使用される細胞若しくは抽出物に基づいて変動する。細胞のタンパク質抽出物又は膜抽出物を調製するための方法は、本分野で周知であり、利用される系と適合性のある試料を得るために容易に適応し得る。
核酸プローブ又は抗体を検査試料とともに温置するための条件は変動する。温置条件は、アッセイにおいて採用されるフォーマット、採用される検出方法、並びにアッセイにおいて使用される核酸プローブ又は抗体の種類及び性質に依存する。当業者は、市販のハイブリダイゼーション、増幅又は免疫学的アッセイフォーマットの何れか1つが、本発明の核酸プローブ又は抗体を採用するのに容易に適応し得ることを認識している。このようなアッセイの例は、Chard,T.,An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands(1986)、Bullock,G.R. et al.,Techniques in Immunocytochemistry,Academic Press,Oriando,FL Vol.1(1982),Vol.2(1983),Vol.3(1985)、Tijssen,P.,Practice and Theory of immunoassays; Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands(1985)において見出され得る。本発明の検査試料は、細胞、細胞のタンパク質若しくは膜抽出物、又は痰、血液、血清、血漿、又は尿等の生物液を含む。上述の方法において使用される検査試料は、アッセイフォーマット、検出方法及び組織の性質、アッセイされるべき試料として使用される細胞若しくは抽出物に基づいて変動する。細胞のタンパク質抽出物又は膜抽出物を調製するための方法は、本分野で周知であり、利用される系と適合性のある試料を得るために容易に適応し得る。
本発明の別の実施形態において、本発明のアッセイを実施するのに必要な試薬を含有するキットが供与される。具体的には、本発明は、(a)本発明のプローブ又は抗体のうちの1つを含む第一の容器、及び(b)次のもの、すなわち洗浄試薬、結合したプローブ又は抗体の存在を検出することができる試薬のうちの1つ又はそれ以上を含む1つ又はそれ以上の他の容器を含む1つ又はそれ以上の容器を、緊密に閉じ込めて受容するための区画キットを供与する。
詳細には、区画キットは、試薬が個別容器中に含有される何れかのキットを含む。このような容器は、小さなガラス容器、プラスチック容器又はプラスチック若しくは紙の片を含む。このような容器によって、ある区画から別の区画まで試薬を効率的に転移することが可能となり、これにより試料及び試薬は交差夾雑されず、各容器の試薬又は溶液は定量的な様式で、ある区画から別の区画へと添加できる。このような容器は、検査試料を受容する容器、アッセイにおいて使用される抗体を含有する容器、(リン酸緩衝塩類溶液、トリス緩衝液等の)洗浄試薬を含有する容器、及び結合した抗体又はプローブを検出するのに使用される試薬を含有する容器を含む。検出試薬の種類は、標識された核酸プローブ、標識された二次抗体を含むか、又はそれらの代替物中で、一次抗体が標識される場合、標識された抗体と反応できる酵素試薬又は抗体結合試薬を含む。当業者は、本発明の開示されたプローブ及び抗体が、本分野で周知の確立されたキットフォーマットのうちの1つへと容易に組み込まれることができることを容易に認識する。
4.3.7スクリーニングアッセイ
本発明の単離されたタンパク質及びポリヌクレオチドを使用して、本発明は、配列番号1に記載のヌクレオチド配列に相当するORFによってコードされるポリペプチドへ結合し、又は核酸によってコードされるポリペプチドの特異的ドメインへ結合する調節因子を入手及び同定する方法を更に提供する。詳細には、該方法は、
(a)因子を本発明のORFによってコードされる単離されたタンパク質又は本発明の核酸と接触させる段階、及び
(b)前記因子が該タンパク質又は該核酸へ結合するかどうかを決定する段階
を含む。
本発明の単離されたタンパク質及びポリヌクレオチドを使用して、本発明は、配列番号1に記載のヌクレオチド配列に相当するORFによってコードされるポリペプチドへ結合し、又は核酸によってコードされるポリペプチドの特異的ドメインへ結合する調節因子を入手及び同定する方法を更に提供する。詳細には、該方法は、
(a)因子を本発明のORFによってコードされる単離されたタンパク質又は本発明の核酸と接触させる段階、及び
(b)前記因子が該タンパク質又は該核酸へ結合するかどうかを決定する段階
を含む。
調節因子は、上皮細胞におけるSCFA1の増殖活性を増加又は減少させ得る。
一般的に、本発明のポリヌクレオチドへ結合する化合物を同定するためのこのような方法は、化合物を本発明のポリヌクレオチドと、ポリヌクレオチド/化合物複合体を形成するのに十分な時間接触させること、及び複合体を検出し、これによりポリヌクレオチド/化合物複合体が検出される場合、本発明のポリヌクレオチドへ結合する化合物が同定されることを含み得る。
同様に、従って、一般的に、本発明のポリヌクレオチドへ結合する化合物を同定するためのこのような方法は、化合物を本発明のポリヌクレオチドと、ポリヌクレオチド/化合物複合体を形成するのに十分な時間接触させること、及び複合体を検出し、これによりポリヌクレオチド/化合物複合体が検出される場合、本発明のポリヌクレオチドへ結合する化合物が同定されることを含み得る。
本発明のポリペプチドへ結合する化合物を同定するための方法は、化合物を細胞中の本発明のポリペプチドと、ポリペプチド/化合物複合体を形成するのに十分な時間接触させること(複合体は、細胞中の標的遺伝子配列の発現を誘導する。)、及びリポーター遺伝子配列発現を検出することによって複合体を検出することを含み、それによりポリペプチド/化合物複合体が検出される場合、本発明のポリペプチドを結合する化合物が同定される。
このような方法を介して同定される化合物は、本発明のポリペプチドの活性を修飾する(すなわち、化合物の不在下で観察される活性と比較して、その活性を増加又は減少させる)化合物を含み得る。あるいは、このような方法を介して同定される化合物は、本発明のポリヌクレオチドの発現を修飾する(すなわち、化合物の不在下で観察される発現レベルと比較して、発現を亢進又は低下させる)化合物を含み得る。本発明の方法を介して同定される化合物等の化合物は、活性/発現を修飾する化合物の能力に関して、当業者に周知の標準的なアッセイを使用して検査できる。
上述のアッセイにおいてスクリーニングされる因子は、ペプチド、炭水化物、ビタミン誘導体、又は他の医薬因子であり得るが、これらに限定されるわけではない。因子は、無作為に選択及びスクリーニングすることができ、又はタンパク質モデリング技術を使用して合理的に選択又は設計できる。
無作為なスクリーニングの場合、ペプチド、炭水化物、医薬因子等の因子は、無作為に選択され、本発明のORFによりコードされるタンパク質へ結合する能力に関してアッセイされる。あるいは、因子は、合理的に選択又は設計され得る。本明細書で使用される場合、因子が特定のタンパク質の立体配置に基づいて選択されるときに、「合理的に選択又は設計」されるといわれる。例えば、当業者は、合理的に設計される抗ペプチド性ペプチド、又は医薬因子等を作製させるために、特異的ペプチド配列へ結合できるペプチド、医薬因子等を作製するための市販の手法を容易に適応させることができ、例えばSynthetic Peptides,A User‘s Guide,W.H.Freeman,NY(1992),pp.289−307中のHurby et al.,「Application of Synthetic Peptides: Antisense Peptides」及びKaspczak et al.,Biochemistry 28:9230−8(1989)を参照されたい。
前述のものに加え、幅広く記載される本発明の因子のあるクラスは、本発明のORF又はEMFの1つへの結合を通じて遺伝子発現を調節するために使用できる。上述のように、このような因子は、無作為にスクリーニングすることができ又は合理的に設計/選択できる。ORF又はEMFを標的化することによって、当業者は、特異的配列又は要素特異的因子を設計することができ、発現調節のために同一のEMFに依存する単一のORF又は複数のORFの発現を調節する。DNA結合因子のあるクラスは、DNA若しくはRNAへ結合することによって三重螺旋形成をハイブリダイズ又は形成する塩基残基を含有する因子である。このような因子は、従来のホスホジエステル、リボ核酸主鎖をベースとし得るか、又は塩基結合能を有する多様なスルフヒドリル誘導体又はポリマー誘導体であり得る。
これらの方法において使用するのに適した因子は通常、20ないし40塩基を含有し、転写に関与する遺伝子のある領域と相補的であるよう設計される(三重螺旋−Lee et al.,Nucl.Acids Res.6:3073(1979)、Cooney et al.,Science 241:456(1988)、及びDervan et al.,Science 251:1360(1991)参照)か、又はmRNA自体と相補的であるよう設計される(アンチセンス−Okano,J.Neurochem.56:560(1991)、Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988))。三重螺旋形成は、DNAからのRNA転写の遮断を最適に生じるのに対し、アンチセンスRNAハイブリダイゼーションは、mRNA分子のポリペプチドへの翻訳を遮断する。両技術は、モデルの系において効果的であることが示されている。本発明の配列中に含有される情報は、アンチセンス又は三重螺旋オリゴヌクレオチド及び他のDNA結合因子の設計に必要である。
本発明のORFの1つによってコードされるタンパク質へ結合する因子は、診断薬として使用できる。本発明のORFのうちの1つによってコードされるタンパク質へ結合する因子は、医薬組成物を生じるための公知の技術を使用して製剤できる。
実施例
SCFA1のクローニング及び発現
SCFA1ポリペプチドを発現させるために、小脳由来のヒトmRNAを使用して構築されるcDNAライブラリから、全長のSCFA1 DNA(配列番号1)をPCR増幅した(Ambion)。多様な組織からのヒトmRNAに由来するcDNAのプールから配列も単離した。
SCFA1ポリペプチドを発現させるために、小脳由来のヒトmRNAを使用して構築されるcDNAライブラリから、全長のSCFA1 DNA(配列番号1)をPCR増幅した(Ambion)。多様な組織からのヒトmRNAに由来するcDNAのプールから配列も単離した。
順方向プライマー(配列番号17)及び逆方向プライマー(配列番号18)を使用して、PCRの第一ラウンドを実施した。次に、配列番号19の順方向プライマー及び配列番号20の逆方向プライマーを使用して、一次PCRをテンプレートとして使用して、PCRの第二ラウンドを実施した。NheI−XbaI断片を哺乳動物発現ベクターplntron/lgk中へサブクローニングするために、順方向及び逆方向プライマー(配列番号21及び22)中に埋め込まれる制限部位NheI及びXbaIを使用した。NheI−XbaI断片は、完全長のSCFA1(配列番号2)のアミノ酸31ないし272の配列(配列番号4)をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号3)を含有する。哺乳動物pCI発現ベクター(Promega,Madison,WI)由来の遺伝子操作されたキメライントロン及びpSectagベクター由来のIgKリーダー配列をpcDNA3.1V5Hisベクター(Invitrogen,Inc.,Carlsbad,CA)中へ導入することによって、哺乳動物発現ベクターplntron/lgKを構築した。
アデノウイルスベクター
lgkリーダー配列及びplntron/lgKベクターのV5His6タグとともに、plntron/lgkから配列番号5のポリヌクレオチドを増幅し、次のようにpAdenovator−CMVIntronアデノウイルスベクター(配列番号27)中へクローニングした。配列番号23の順方向プライマー及び配列番号24の逆方向プライマーを使用して、plntron−SCFA1−V5His6(配列番号6)をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号5)を、plntron/lgKから増幅した。前記プライマー中に含有される制限酵素部位XbaI及びNotIを使用して、pAdenovator−CMVIntronベクター(配列番号27)のNheI部位及びNotI部位中へ配列番号5をクローニングした。
lgkリーダー配列及びplntron/lgKベクターのV5His6タグとともに、plntron/lgkから配列番号5のポリヌクレオチドを増幅し、次のようにpAdenovator−CMVIntronアデノウイルスベクター(配列番号27)中へクローニングした。配列番号23の順方向プライマー及び配列番号24の逆方向プライマーを使用して、plntron−SCFA1−V5His6(配列番号6)をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号5)を、plntron/lgKから増幅した。前記プライマー中に含有される制限酵素部位XbaI及びNotIを使用して、pAdenovator−CMVIntronベクター(配列番号27)のNheI部位及びNotI部位中へ配列番号5をクローニングした。
pAdenoVatorCMV5−1RES−GFP(Qbiogene,Carlsbad,CA,U.S.)を次のとおり改変することによって、アデノウイルスベクターpAdenovator−CMVIntronを得た。pAdenoVator−CMV5−IRES−GFPをSpeIで消化してそのMCS、IRES及びGFPを除去し、順方向プライマー(配列番号25)及び逆方向プライマー(配列番号26)を使用して、pcDNA/IntronベクターからPCR増幅されたIntron−MCS−V5His−BGHポリAと連結した。
アデノウイルス−5ゲノム(E1/E3欠失)をコードするAdEasy−1プラスミドを運搬する細菌細胞BJ5183(Qbiogene,Carlsbad,CA,U.S.A)中へ線形化した転移ベクターを形質転換するのを、製造元の説明書に記載の電気穿孔法によって実施した。組換えアデノウイルスを発生させ、QBI−293A細胞(Qbiogene,Carlsbad,CA,U.S.A)中で増幅させ、既に記載のとおり(Garnier,A.,J.Cote et al.1994)CsClバンド形成によって精製した。組換えアデノウイルスで感染した293A細胞による組換えタンパク質発現を、抗V5抗体(Invitrogen Inc.,Carlsbad,CA)を使用するウェスタン分析によって測定した。製造元のプロトコールに従い、Adeno−X迅速力価キット(BD biosciences,Palo Alto,U.S.A)を使用して、CsCl精製された組換えウイルスの力価を測定した。簡潔には、組換えアデノウイルスストックの連続希釈で293A細胞を感染させた後、感染の48時間後に、形質導入した細胞を固定し、マウス抗ヘクソン抗体で染色することによって、ウイルスストックを検査した。西洋ワサビペルオキシダーゼへ共役したヤギ抗マウス抗体でシグナルを検出し、金属増強型3,3’−ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド(DAB)で発色させた。
SCFA1の生物活性を評価するためのモデルとしての組換えアデノウイルスの投与
SCFA1組換えアデノウイルスを正常マウスへ投与し、腸管及び結腸の上皮に及ぼすSCFA1の効果を決定した。アデノウイルス感染の前に、イソフルランを使用して、9ないし11週齢のBALB/cマウスを麻酔した。後眼窩静脈を介して、マウス1匹あたり1×1010個のウイルス粒子を注射した。対照ウイルス(空ウイルス)の同一力価を対照動物に使用した。これらのマウスを各実験群において使用し、ウイルス注射を受容した3日後に屠殺した。
SCFA1組換えアデノウイルスを正常マウスへ投与し、腸管及び結腸の上皮に及ぼすSCFA1の効果を決定した。アデノウイルス感染の前に、イソフルランを使用して、9ないし11週齢のBALB/cマウスを麻酔した。後眼窩静脈を介して、マウス1匹あたり1×1010個のウイルス粒子を注射した。対照ウイルス(空ウイルス)の同一力価を対照動物に使用した。これらのマウスを各実験群において使用し、ウイルス注射を受容した3日後に屠殺した。
屠殺4時間前に、ブロモデオキシウリジン(BrdU)1mgを腹腔内(IP)注射し、上皮細胞のインビボでの増殖を決定した。小腸、結腸、脾臓、肝臓及び骨髄を含む多様な組織を回収して、ホルマリン中で固定した。
組織学的評価のため、パラフィン包埋した切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。既に記載のとおり(McKinley,J.N.et al.2000)、製造元の説明書(Oncogene Research product,Boston,U.S.A)に従って、BrdU免疫組織化学のためにも切片を加工した。
アデノウイルス注射の3日後に屠殺したマウスの空腸中間部由来の切片のH&E染色は、SCFA1アデノウイルスを受容したマウスの小腸(図1b)が、対照マウスのもの(図1a)と比較されるとき、有意に変化することを示した。SCFA1により生じる組織学的変化は、対照動物由来の粘膜腺窩(図1a)と比較されるとき、粘膜腺窩の著しい伸長(図1b)を含んだ。同様に、SCFA1は、対照動物(図1c)と比較されるとき、SCFA1が投与されたマウス(図1d)由来の結腸において、杯細胞において顕著な増大も生じた。
組換えSCFA1の発現及び精製
SCFA1(配列番号6)をHEK293において次のとおり発現させた。
SCFA1(配列番号6)をHEK293において次のとおり発現させた。
V5−HisタグつきSCFA1ポリペプチド(配列番号5)をコードするDNAを含むSCFA1 pcDNA/Intronコンストラクトで形質移入されたHEK293細胞の安定した細胞培養物を、無血清293フリースタイル培地(GIBCO)中で生育させた。懸濁培養物を1×106個/mLの細胞密度で播種し、4ないし6日後に回収した。培地中に分泌されたV5−HisタグつきSCFA1のレベルをELISAによりアッセイした。
分泌されたSCFA1タンパク質を含有する培地を回収し、−80℃で凍結した。培地を4℃で解凍し、プロテアーゼ阻害剤、EDTA及びPefabloc(Roche,Basel,Switzerland)を各1mMの終濃度で添加し、SCFA1の分解を防止した。0.22μmPESフィルター(Corning)で培地をろ過し、10kDa分子量をカットオフするメンブレンを有するTFFシステム(Pall Filtron)を使用して10倍濃縮した。濃縮された培地の緩衝液を20mMリン酸ナトリウム、0.5M NaCl、pH7と交換した。リン酸緩衝液中の0.5M NaClの添加は、精製中にpH7でV5−HisタグつきSCFA1の完全な溶解度を保持するのに重要である。限外ろ過及び透析ろ過後、哺乳動物プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)を1:500(v/v)の最終希釈になるよう添加した。
HiTrap Ni2+キレート型アフィニティーカラム(Pharmacia)を20mMリン酸ナトリウム、pH7、0.5M NaClで平衡化した。0.22μmPESフィルターで緩衝液交換した培地をろ過し、Ni2+キレート型アフィニティーカラムへ負荷した。Ni2+カラムを20mMイミダゾールの10カラム容積(CV)で10カラム容積ほど洗浄し、20mMないし300mMのイミダゾールの勾配を使用して35CVにわたってタンパク質を溶出した。画分をSDS−PAGE及びウェスタンブロットにより分析した。V5−HisタグつきSCFA1を含有する画分を分析及びプールし、75ないし80%の間の純度のSCFA1タンパク質溶液を生じた。
Ni2+カラムを使用して単離されるSCFA1タンパク質を含有する緩衝液を20mMリン酸ナトリウム、0.3Mアルギニン、pH7と交換し、NaClを除去した。NaClをリン酸緩衝液中で0.3Mアルギニンと置換し、その後の精製工程の間、V5−HisタグつきSCFA1タンパク質の完全な溶解度を維持した。20mMリン酸ナトリウム、0.3Mアルギニン、pH7で平衡化しておいたSP Sepharose高性能陽イオン交換カラム(Pharmacia,Piscataway,NJ)へ、Ni2+カラムを使用して単離されるSCFA1タンパク質を負荷した。前記カラムを0.1M NaClで8CV洗浄し、0.1Mないし1MのNaClの勾配で30CVにわたって溶出した。V5−HisタグつきSCFA1を含有する画分をプールし、90ないし95%の間の純度のタンパク質溶液を生じた。
プールされた画分の緩衝液を20mMリン酸ナトリウム、pH7、0.15M NaClと交換し、タンパク質を1又は2mg/mLに濃縮し、滅菌済み0.22μmフィルターを通過させた。純粋なSCFA1調製物を−80℃で保存した。
要約すると、HEK293の培養物からのV5−HisタグつきSCFA1の精製は、1)培地中に存在するSCFA1タンパク質を濃縮及び透析ろ過すること、2)Ni2+キレート型アフィニティークロマトグラフィーを実施すること、及び3)SP陽イオン交換クロマトグラフィーを含んだ。精製工程は、90%超の純度のSCFA1タンパク質を与えた。目下の精製工程の全体的な回収は、約50%である。培地の透析ろ過及びNiカラムの精製工程の間に緩衝液へ0.5M NaClを添加することは、pH7でSCFA1を完全に溶解するのを保持するのに重要である。SCFA1をSPカラムへ結合させるため、NaClを除去し、0.3Mアルギニンを添加して、高い溶解度を維持し、タンパク質の回収を増大させた。第一及び第二精製工程の間の0.5M NaCl及び0.3Mアルギニンの添加は、少なくとも25%から50%まで全体的な回収を増大させることを示した。
HEK293において発現した組換えSCFA1タンパク質のインビボでの生物学的検査
HEK293由来のSCFA1タンパク質のインビボでの生物学的効果を正常マウスにおいて次のとおり評価した。
HEK293由来のSCFA1タンパク質のインビボでの生物学的効果を正常マウスにおいて次のとおり評価した。
精製された組換えSCFA1タンパク質が、組換えアデノウイルスを注射されたマウスにおいて観察されるものと同様の表現型を生じ得るかどうかを研究するため、6ないし8週齢のBALB/cマウスに尾静脈を通じて100μgのSCFA1タンパク質又は対照としての製剤緩衝液を3日間毎日注射した。4日目に、屠殺される2時間前に、ブロモデオキシウリジン(BrdU)4mgをip注射し、SCFA1のインビボでの増殖活性を測定した。組織学的評価のため、小腸及び結腸のパラフィン包埋した切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色した。製造元の説明書に従って(Oncogene Research product,Boston,U.S.A)、既に記載のとおり(McKinley,J.N.et al.2000)、BrdU免疫組織化学のためにも切片を加工した。全ての実験において、1群あたり少なくとも3匹の動物を分析し、実験を少なくとも2回反復した。
胃腸の切片のH&E染色は、組換えヒトSCFA1タンパク質を受容したマウスの小腸の空腸中間部における粘膜腺窩の著しい膨張を示した(図2b)のに対し、正常な腸管形態は、塩類溶液対照マウスにおいて観察された(図2a)。塩類溶液対照動物(図2c)と比較されるとき、杯細胞の有意により高い数が、実験マウスの結腸において特筆された(図2d)。
小腸及び結腸の両者においてBrdUの組み込みをアッセイすることによって、SCFA1タンパク質の増殖効果を確認した(図3)。小腸(図3b)及び結腸(図3d)における腸管腺窩上皮細胞の著しい増殖が、塩類溶液対照動物のそれ(それぞれ図3a及びc)と比較されるとき、SCFA1を受容したマウスにおいて見られることがBrdU免疫組織化学実験で明らかになった。これらの結果は、SCFA1アデノウイルスを受容したマウスにおいて得られたものと一致する(上述の実施例参照)。
細胞内シグナル伝達に及ぼすSCFA1の効果
wnt/β−カテニンシグナル伝達経路は、発達及びホメオスタシスにおいて極めて重要な役割を担う。小腸において、wntシグナル伝達は、後にT細胞因子(TCF)標的遺伝子のトランス活性化を誘導するβ−カテニンを安定化させることによって、腸の腺窩の増殖の調節因子として重要な役割を担うことが公知である(Wetering et al.,Cell 111:241−250(2002)、Batle et al.,Cell,111:251−263(2002)、Perreault et al.,J Biol Chem 276:43328−43333(2001)、Booth et al.,Nat Med 8:1360−1361(2002))。
wnt/β−カテニンシグナル伝達経路は、発達及びホメオスタシスにおいて極めて重要な役割を担う。小腸において、wntシグナル伝達は、後にT細胞因子(TCF)標的遺伝子のトランス活性化を誘導するβ−カテニンを安定化させることによって、腸の腺窩の増殖の調節因子として重要な役割を担うことが公知である(Wetering et al.,Cell 111:241−250(2002)、Batle et al.,Cell,111:251−263(2002)、Perreault et al.,J Biol Chem 276:43328−43333(2001)、Booth et al.,Nat Med 8:1360−1361(2002))。
wnt/β−カテニンシグナル伝達経路に及ぼすSCFA1の効果を評価するため、β−カテニンの安定化を多様な培養細胞系において測定した。10%FBSを補充したダルベッコ変法イーグル培地中で6ウェルプレートに関し百万個/ウェルで細胞を播種した。翌日、無血清培地中で細胞を生育させ、低血清条件(0.1%FBS)において、示される濃度のSCFA1か又は10mMのLiCl2(陽性対照)の何れかで3時間処理した。Haertel−Weismann et al.,(J Biol Chem 175:32046−32051(2000))によって記載されるとおり、細胞質画分を調製した。勾配つき(4ないし20%)SDS−PAGEによってタンパク質を分離し、ペルオキシダーゼ抱合型二次抗体(Cell Signaling)を使用して可視化されるβ−カテニンウサギ抗体(Abcam)を使用して、β−カテニンのレベルを評価した。検査される細胞系のうち、SCFA1は、用量依存的様式でHEK293細胞においてβ−カテニンの安定化を誘導した(図4)。
TCFリポーターアッセイを使用して、SCFA1によるβ−カテニンシグナル伝達の機能的活性化も検査した。DasGupta et al.(Science 308:826−833(2005))によって記載のとおり、16TCF−ルシフェラーゼリポーターコンストラクトを発生させた。16TCFの変異形態(m16TCF)も発生させ、対照として使用した。ウェルあたり13,000個の細胞でHEK293細胞を播種し、17TCF−ルシフェラーゼリポーターコンストラクトか又はウェルあたり0.07μgの相当する変異体の何れかで形質移入した。翌日、細胞を8時間血清不足にし、示される濃度でSCFA1又は陽性対照としてのWnt3A(R&D System)で処理した。37℃で18時間温置後、Bright Glo基質(Promega)を使用することによって、ルシフェラーゼ活性を測定した。図5において示されるように、SCFA1は、Wnt3Aタンパク質で得られる活性に匹敵するレベルへのTCF仲介性転写を活性化した。本結果は、上述のβ−カテニンの安定化に及ぼすSCFA1の効果と一致し、SCFA1が、β−カテニンシグナル伝達を活性化するよう機能することを示唆する。
放射線誘発性粘膜炎に及ぼすSCFA1の予防効果
予防薬及び治療薬としてのSCFA1の有効性を、放射線誘発性粘膜炎の動物モデルにおいて検査する。
予防薬及び治療薬としてのSCFA1の有効性を、放射線誘発性粘膜炎の動物モデルにおいて検査する。
10ないし12週齢の48匹の成雄BDF1マウスを使用する。供給元からの供給の際、及び実験前に、個別に換気されたケージ中で、12時間の明暗周期で動物を2週間飼育し、概日リズムを安定化させる。動物に食餌及び水を自由摂取させた。動物を1群6匹の8群へと分け、次のとおり処理する。
1. 13GyのX線への(全身)曝露の72、48、及び24時間前に2mg/kgのSCFA1を静脈内注射する。
2. 13GyのX線への(全身)曝露の72、48、及び24時間前に5mg/kgのSCFA1を静脈内注射する。
3. 13GyのX線への(全身)曝露の72、48、及び24時間前に125μgのKGFを静脈内注射する。
4. 13GyのX線への(全身)曝露の72、48、及び24時間前に塩類溶液媒体を静脈内注射する。
5. 未処理の照射されない対照。
6. 13GyのX線による(全身)照射の24、48、及び72時間後に2mg/kgのSCFA1を静脈内注射する。
7. 13GyのX線による(全身)照射の24、48、及び72時間後に5mg/kgのSCFA1を静脈内注射する。
8. 13GyのX線による(全身)照射の24、48、及び72時間後に塩類溶液を静脈内注射する。
全ての注射を1日の同一時に付与する。15:00に(0.7Gy/分で送達される)13GyのX線照射の単一用量を使用して、腸管損傷を誘導する。
照射の4日後、動物を屠殺する。小腸を摘出し、カルノア固定液中で固定した後、組織学的分析のために加工する。厚さ3μmの横断切片を切断し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色する。屠殺直後、十二指腸、結腸中間部、肝臓、肺、舌、脾臓、胃及び膵臓も摘出し、公式な塩類溶液中で一晩固定した後、70%エタノール中で保存する。
各動物に関し、10個の腸管外周(1群あたり60個)を分析し、外周は、小腸の一定の長さと等価であり、それゆえ長さに関する簡便なベースライン単位である。外周あたり生存している腺窩の数をスコア化し、1群あたりの平均値を決定する。
(その最も幅広の地点で測定される)平均腺窩幅も測定し、腺窩の大きさの差異によるスコア化の誤差を補正する。従って、次の補正を適用する。
補正された腺窩数/外周=未処理の対照における平均腺窩幅/処理された動物における平均腺窩幅×処理群において生存している平均腺窩数
化学療法誘発性粘膜炎
化学療法誘発性粘膜炎を治療する上での組換えヒトSCFA1の有効性を、健常マウス及び腫瘍保持マウスにおいて評価する。実験プロトコールは、Boushey et al.によって既に記載されているもの(Cancer Res 61:687−693(2001))に基づいている。
化学療法誘発性粘膜炎を治療する上での組換えヒトSCFA1の有効性を、健常マウス及び腫瘍保持マウスにおいて評価する。実験プロトコールは、Boushey et al.によって既に記載されているもの(Cancer Res 61:687−693(2001))に基づいている。
百万個のCT26ネズミ結腸癌細胞(ATCC,Manassas,VA,USA)を同系の雌BALB/cマウス中へ皮下注射し、腫瘍を5日間発達させる。健常動物及び腫瘍保持動物を各群6匹の実験群へと分け、次のとおり処理する。
1. 腫瘍保持マウス、1日目から5日目まで媒体(50%DMSO)を腹腔内注射、0日目から7日目まで塩類溶液を静脈内注射(TVS)
2. 腫瘍保持マウス、1日目から5日目まで媒体(50%DMSO)を腹腔内注射、0日目から7日目まで100μLの塩類溶液中の50μgのSCFA1を毎日静脈内注射(TVG)
3. 腫瘍保持マウス、1日目から5日目まで50mg/kgの5−FUを腹腔内注射、0日目から7日目まで塩類溶液を静脈内注射(TDS)
4. 腫瘍保持マウス、1日目から5日目まで50mg/kgの5−FUを腹腔内注射、0日目から7日目まで100μLの塩類溶液中の50μgのSCFA1を静脈内注射(TDG)
5. 健常マウス、1日目から5日目まで50mg/kgの5−FUを腹腔内注射、0日目から7日目まで塩類溶液を静脈内注射(NDS)、及び
6. 健常マウス、1日目から5日目まで50mg/kgの5−FUを腹腔内注射、0日目から7日目まで100μLの塩類溶液中の50μgのSCFA1を静脈内注射(NDG)。
0、2、4、6、及び8日目に、動物の体重、下痢の重度、及び腫瘍の大きさの測定結果を記録する。0ないし3の下痢のスコアは、正常である3から重症である3まで、症状の相当する悪化を反映する。未処理の群の動物の体重の割合として、体重の変化を算出する。腫瘍の長さ、幅及び高さをキャリパーで測定し、腫瘍の体積を(長さ×幅×高さ)/2として算出する。
2. 腫瘍保持マウス、1日目から5日目まで媒体(50%DMSO)を腹腔内注射、0日目から7日目まで100μLの塩類溶液中の50μgのSCFA1を毎日静脈内注射(TVG)
3. 腫瘍保持マウス、1日目から5日目まで50mg/kgの5−FUを腹腔内注射、0日目から7日目まで塩類溶液を静脈内注射(TDS)
4. 腫瘍保持マウス、1日目から5日目まで50mg/kgの5−FUを腹腔内注射、0日目から7日目まで100μLの塩類溶液中の50μgのSCFA1を静脈内注射(TDG)
5. 健常マウス、1日目から5日目まで50mg/kgの5−FUを腹腔内注射、0日目から7日目まで塩類溶液を静脈内注射(NDS)、及び
6. 健常マウス、1日目から5日目まで50mg/kgの5−FUを腹腔内注射、0日目から7日目まで100μLの塩類溶液中の50μgのSCFA1を静脈内注射(NDG)。
0、2、4、6、及び8日目に、動物の体重、下痢の重度、及び腫瘍の大きさの測定結果を記録する。0ないし3の下痢のスコアは、正常である3から重症である3まで、症状の相当する悪化を反映する。未処理の群の動物の体重の割合として、体重の変化を算出する。腫瘍の長さ、幅及び高さをキャリパーで測定し、腫瘍の体積を(長さ×幅×高さ)/2として算出する。
8日目に動物を安楽死させる。大腸及び小腸を摘出し、重量測定し、それらの長さを測定し、空腸中間部の直径を記録する。空腸中間部の一部(1cm)を幽門から約14ないし15cm摘出し、横行結腸の一部(1cm)を回盲接合部から約4cmで摘出する。腸の一部を洗い流し、組織学的分析のために10%中性緩衝ホルマリンを使用して固定する。ImageProソフトウェア(Imagepro,Ltd.,Ashford,Middlesex,UK)を使用して、組織切片に関して粘膜の組織学的検討及び形態計測を実施する。
化学療法及び放射線誘発性口腔粘膜炎に及ぼすSCFA1の予防効果
舌の背側(頬側)及び腹側の上皮の増殖に及ぼすSCFA1の効果を、実施例7及び8にそれぞれ記載のとおり、X線照射へ供され又は5−FUを投与されるマウスにおいて研究する。
舌の背側(頬側)及び腹側の上皮の増殖に及ぼすSCFA1の効果を、実施例7及び8にそれぞれ記載のとおり、X線照射へ供され又は5−FUを投与されるマウスにおいて研究する。
モノクローナルラット抗マウスKi67抗原(Dako Ltd.,High Wycombe,UK)を使用する免疫組織化学反応を、製造元の説明書及び既に記載の方法(Scholzen,T.et al.2000)に従って、照射されていないマウス及び照射されたマウス由来の舌のパラフィン包埋された切片上で実施した。
Ki67に関して陽性に染色する上皮細胞の割合として算出される上皮増殖指数を測定し、SCFA1で処理するか又は処理していない腹側舌上皮への照射によって生じる、失われるか又は引き起こされる細胞性の量を決定するのに使用される。
口腔粘膜炎の定量的な動物モデル(例、Wardly et al.,Arch Oral Biol 43:567−577(1998)、Potten et al.,Cell Prolif 35:32−47(2002))は、細胞欠乏の重度を低下する上でのSCFA1の起こり得る役割を更に評価し、口腔及び腸管の上皮の上皮層の再生速度を亢進させるための他の細胞毒性薬との組み合わせで投与されるとき、SCFA1の治療特性を更に研究するために使用できる。
デキストラン硫酸ナトリウム誘発性大腸炎に及ぼすSCFA1の治療効果
大腸炎を治療する上での組換えヒトSCFA1の有効性を、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎のマウスモデルにおいて検査し、GLP−2の有効性と比較する(L’Heureux and Brubaker J Pharmacol Exp Ther 306:347−354(2003)、Kriegelstein et al.,J Clin Invest 110:1773−1782(2002)、Siegmund et al.,J Pharmacol Exp Ther 296:99−105(2001))。
大腸炎を治療する上での組換えヒトSCFA1の有効性を、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発性大腸炎のマウスモデルにおいて検査し、GLP−2の有効性と比較する(L’Heureux and Brubaker J Pharmacol Exp Ther 306:347−354(2003)、Kriegelstein et al.,J Clin Invest 110:1773−1782(2002)、Siegmund et al.,J Pharmacol Exp Ther 296:99−105(2001))。
6ないし8週齢の雌BALB/cマウス(Charles River Laboratories,Wilmington,MA,USA)を換気されたケージ中で飼育し、12時間の明暗周期で1週間順応させる。体重が同様である24匹のマウスを4個のケージ中で飼育し、4%(v/w)DSS飲料溶液を7日間自由摂取させる。
7日目に、各動物の体重を記録し、体重減少、便の堅さ及び肛門出血に関するスコアを以下の表に示すように測定する。
スコアは、大腸炎の重度の指標として使用されるIBD活性指数(IBDAI)を算出するのに使用され、作表されるパラメータに関して付与されるスコアの平均として算出される。体重減少、便の堅さ、及び肛門出血を毎日測定し、実験期間中IBDAIを毎日記録する。
7日目に、4%(v/w)DSS飲料溶液を1%(v/w)DSS溶液と置換し、DSSの効果を悪化させることなく、疾病活動を維持する。一貫した匹敵する疾病活動に関してDSS供給される動物16匹を選択し、1群4匹に分け、次のとおり処理する。
1. 水、塩類溶液を毎日(午前10時)7日間静脈内注射
2. DSS(1%)を7日間、塩類溶液を毎日(午前10時)7日間静脈内注射
3. DSS(1%)を7日間、100μgのSCFA1を毎日(午前10時)7日間静脈内注射
4. DSS(1%)を7日間、50μgのSCFA1を毎日(午前10時)7日間静脈内注射、及び
5. DSS(1%)を7日間、10μgのGLP−2を1日に2回(午前10時及び午後6時)7日間皮下注射。
2. DSS(1%)を7日間、塩類溶液を毎日(午前10時)7日間静脈内注射
3. DSS(1%)を7日間、100μgのSCFA1を毎日(午前10時)7日間静脈内注射
4. DSS(1%)を7日間、50μgのSCFA1を毎日(午前10時)7日間静脈内注射、及び
5. DSS(1%)を7日間、10μgのGLP−2を1日に2回(午前10時及び午後6時)7日間皮下注射。
14日目に、食餌をケージから除去し、小腸を空にし、動物を頸椎脱離により屠殺する。全ての動物に屠殺2時間前に4mg/0.1mLのBrdUを注射する。大腸及び小腸を摘出し、重量測定し、それらの長さを測定し、空腸中間部の直径を記録する。空腸中間部の一部(1cm)を幽門から約14ないし15cm摘出し、横行結腸の一部(1cm)を回盲接合部から約4cmで摘出する。腸の一部を洗い流し、組織学的分析のために10%中性緩衝ホルマリンを使用して固定する。ImageProソフトウェア(Imagepro,Ltd.,Ashford,Middlesex,UK)を使用して、組織切片に関して粘膜の組織学的検討及び形態計測を実施する。
広範囲な腸管の切除後のSCFA1の治療効果
広範囲な腸管切除に対する適応反応を増大させる上でのSCFA1ン効果を、短腸症候群のラット動物モデルにおいて検査する。腸管栄養剤の効果の研究において使用される動物モデルが記載されており(Scott et al.Am J Physiol G911−G921(1988)、Helmrath et al.,J Am Coll Surg 183:441−449(1996))、実験プロトコールは参照により本明細書に組み入れられる。
広範囲な腸管切除に対する適応反応を増大させる上でのSCFA1ン効果を、短腸症候群のラット動物モデルにおいて検査する。腸管栄養剤の効果の研究において使用される動物モデルが記載されており(Scott et al.Am J Physiol G911−G921(1988)、Helmrath et al.,J Am Coll Surg 183:441−449(1996))、実験プロトコールは参照により本明細書に組み入れられる。
空回腸中間部の75%の手術による切除を受ける切除群、小腸を摘出し再度吻合する偽切除手術対照群、及び手術されない対照群へ動物を分ける。動物に塩類溶液又は2mg/kgの用量でのSCFA1を投与する。75%の小腸切除は、何れかの適応反応を最大化するよう選択され、近位空腸及び遠位回腸の等しい部分の保持は、ビタミンB12及び胆汁酸のための末端回腸の特化した吸収能及び回腸制動を除去する栄養上の意味に基づいている。ラットにおいて、遠位回腸の一部を含む小腸の25%の保持は、切除された動物が対照動物と同一の成長速度に到達できるのに十分である。
切除及びSCFA1による処理に対する腸の形態学的及び機能的反応を、6、14及び21日間評価する。食餌摂取量及び成長、肉眼での及び顕微鏡下での小腸の形態、及び粘膜吸収特徴の機能的評価は、記載されるとおり評価される(Scott et al.,上述)。
TNBS誘発性大腸炎に及ぼすSCFA1の効果
ハプテン剤である2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)は、下痢、直腸の逸脱、及び体重減少と関連した重度の経壁炎症によって特徴付けられる慢性大腸炎を誘発する。これらの臨床的及び組織病理学的特徴は、TNBS誘発性大腸炎が、ヒトクローン病の重要な特徴を模擬することを示す(Neurath et al.,J Exp Med 182:1281−1290(1995))。
ハプテン剤である2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)は、下痢、直腸の逸脱、及び体重減少と関連した重度の経壁炎症によって特徴付けられる慢性大腸炎を誘発する。これらの臨床的及び組織病理学的特徴は、TNBS誘発性大腸炎が、ヒトクローン病の重要な特徴を模擬することを示す(Neurath et al.,J Exp Med 182:1281−1290(1995))。
TNBS誘発性大腸炎を有するマウスにおいて、SCFA1の治療効果を検査する。Neurath et al.(上述)によって記載されるとおり、1mgのTNBSの単回直腸投与によって、6ないし8週の雌BALBcマウスにおいて小腸の炎症を誘発させる。対照動物群は、媒体単独(45%エタノール)の直腸投与を受ける。マウスを7日後に屠殺し、TNBSによる大腸炎の誘発を評価する。対照群及びTNBS群由来の結腸のH&E染色したパラフィン包埋切片において、組織学的変化を評価する。
TNBSの投与後3日目に開始する、4mg/kgまでの日用量(100μg/マウス;静脈内)を投与することによって、SCFA1の治療効果をTNBS処理動物において検査する。各群由来の動物を7日目又は10日目に屠殺する。組織を摘出し、組織学的評価、形態測定分析、並びに増殖指数及びアポトーシス指数を上述の実施例において記載のとおり測定する。
Claims (29)
- 幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)ポリペプチド及び医薬として許容される担体を含む組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む、上皮細胞の増殖を刺激することを必要としている対象において上皮細胞の増殖を刺激する方法。
- SCFA1ポリペプチドが配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列又は配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む、請求項1に記載の方法。
- SCFA1ポリペプチドが配列番号2、4、6、8又は10のアミノ酸の連続する配列を含む、請求項3に記載の方法。
- 口腔又は消化管中での上皮細胞の増殖を刺激することを含む、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
- 食道中の上皮細胞の増殖を刺激することを含む、請求項4に記載の方法。
- 小腸中の上皮細胞の増殖を刺激することを含む、請求項4に記載の方法。
- 大腸中の上皮細胞の増殖を刺激することを含む、請求項4に記載の方法。
- 胃中の上皮細胞の増殖を刺激することを含む、請求項4に記載の方法。
- 口腔中の上皮細胞の増殖を刺激することを含む、請求項4に記載の方法。
- 幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)ポリペプチド及び医薬として許容される担体を含む組成物の治療的有効量を哺乳動物対象に投与することを含む、胃腸疾患又は口腔粘膜疾患を治療することを必要としている前記対象において胃腸疾患又は口腔粘膜疾患を治療する方法。
- SCFA1ポリペプチドが配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列又は配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む、請求項10に記載の方法。
- SCFA1ポリペプチドが配列番号2、4、6、8又は10のアミノ酸の連続する配列を含む、請求項11に記載の方法。
- 疾患が粘膜炎、炎症性腸疾患又は短腸症候群である、請求項10から12の何れか1項に記載の方法。
- 幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)ポリペプチド及び医薬として許容される担体を含む組成物の治療的有効量を哺乳動物対象に投与することを含む、口腔又は消化管の少なくとも一部の上皮細胞の裏打ちに対する損傷のリスクを有する前記哺乳動物対象を治療する方法。
- SCFA1ポリペプチドが配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列又は配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む、請求項14に記載の方法。
- SCFA1ポリペプチドが配列番号2、4、6、8又は10のアミノ酸の連続する配列を含む、請求項15に記載の方法。
- 対象が放射線療法を受けた、又は受ける予定である、請求項14から16の何れか1項に記載の方法。
- 対象が化学療法を受けた、又は受ける予定である、請求項14から16の何れか1項に記載の方法。
- 発現調節配列が作用可能に結合された幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)をコードするポリヌクレオチドを含むアデノウイルスベクター。
- SCFA1ポリペプチドが配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列又は配列番号2、4、6、8若しくは10のアミノ酸の連続する配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む、請求項19に記載のアデノウイルスベクター。
- SCFA1ポリペプチドが配列番号2、4、6、8又は10のアミノ酸の連続する配列を含む、請求項20に記載のアデノウイルスベクター。
- 請求項19から22の何れか1項に記載のアデノウイルスベクター及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
- 請求項22に記載の組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む、上皮細胞の増殖を刺激することを必要としている前記対象において上皮細胞の増殖を刺激する医薬組成物。
- 発現調節配列が作用可能に結合された幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)ポリペプチドをコードするベクター及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む、上皮細胞の増殖を刺激することを必要としている前記対象において上皮細胞の増殖を刺激する方法。
- 上皮細胞増殖を刺激することを必要としている対象において上皮細胞増殖を刺激するための医薬の製造における、幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)ポリペプチドの使用。
- 胃腸疾患又は経口粘膜疾患を治療することを必要としている哺乳動物対象において胃腸疾患又は経口粘膜疾患を治療するための医薬の製造における、幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)ポリペプチドの使用。
- 口腔又は消化管の少なくとも一部の上皮細胞の裏打ちに対する損傷のリスクを有する哺乳動物を治療するための医薬の製造における、幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)ポリペプチドの使用。
- 上皮細胞増殖を刺激することを必要としている対象において上皮細胞増殖を刺激するための医薬の製造における、発現調節配列が作用可能に結合された幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むアデノウイルスベクターの使用。
- 上皮細胞増殖を刺激することを必要としている対象において上皮細胞増殖を刺激するための医薬の製造における、発現調節配列が作用可能に結合された幹細胞因子様タンパク質A1(SCFA1)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターの使用。
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