JP2009301804A - 燃料電池システムおよび燃料電池システムの異常診断方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池システムの異常診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】システム停止後の放置期間にカソード内水素濃度が上昇し、システム起動時にカソード側の水素を適切に処理できなくなる懸念がある場合に、その旨を事前に検知してシステム停止前の段階で何らかの対応を図ることができるようにする。
【解決手段】システム全体の動作を統括的に制御するシステム制御装置30に異常診断部33を設ける。異常診断部33は、停止制御を終了する際に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えるか否かを判定し、越えると判定した場合にシステム異常が発生していると診断する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池のアノード側に燃料ガス、カソード側に酸化剤ガスをそれぞれ供給して発電を行う燃料電池システムに関し、特に、システム停止時に燃料電池のカソード側の酸素を消費させて燃料電池の劣化を防止する停止制御を行う燃料電池システムに関する。
従来、燃料電池の劣化を防止するために、システム停止時に、燃料電池のアノード側への燃料ガスの供給を継続させながらカソード側への酸化剤ガスの供給は停止させた状態で燃料電池から電流を取り出して、カソード側の酸素を消費させる停止制御を行う燃料電池システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の燃料電池システムでは、燃料電池からの電流の取出しを行っている間の燃料電池の電圧をモニタリングし、カソード側の酸素が十分に消費されたと判定できる値にまで燃料電池電圧が低下したタイミングで、燃料電池からの電流取出しを終了するようにしている。
特開2008−4432号公報
ところで、以上のような停止制御を行う燃料電池システムでは、停止制御によりカソード側の酸素を過剰に消費させた場合に、システム停止後の放置期間にカソード内水素濃度が高くなり、次のシステム起動のタイミングによっては、システム起動時におけるカソード内水素濃度が水素処理能力限界値を越えてしまい、カソード側の水素を適切に処理できなくなる懸念がある。
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池システムのように、燃料電池電圧の低下をもとに停止制御の終了判定を行う従来の燃料電池システムでは、システム停止後の放置期間におけるカソード内水素濃度を事前に予測することは難しく、上述したシステム起動時の問題に対して事前に対処することがないという問題があった。
本発明は、システム停止時に燃料電池から電流を取出してカソード側の酸素を消費させる停止制御を行うものであり、停止制御を終了する際に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えるか否かを判定し、越えると判定した場合にシステム異常と診断する。
本発明によれば、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越える場合にシステム異常と診断するようにしているので、システム起動時にカソード側の水素を適切に処理できなくなる懸念がある場合に、事前の対応が可能となる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの全体構成を示すシステム構成図である。同図に示す燃料電池システムは、例えば、燃料電池車両の動力源として車両に搭載されて、車両の駆動モータやシステム内部の補機などの負荷装置に電力供給するものであり、複数の燃料電池セルが積層されて構成される燃料電池スタック1を備える。
燃料電池スタック1を構成する各燃料電池セルは、例えば、燃料ガスの供給を受ける燃料極(アノード)と酸化剤ガスの供給を受ける酸化剤極(カソード)とが固体高分子電解質膜を挟んで対向配置されてなる膜電極接合体をセパレータで挟持した構成とされる。このような燃料電池セルが多段に積層されて燃料電池スタック1とされ、スタックケース2に収納されている。この燃料電池スタック1を構成する各燃料電池セルのセパレータには、アノード側に燃料ガスが流れる燃料ガス流路、カソード側には酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス流路がそれぞれ設けられている。そして、燃料電池スタック1は、各燃料電池セルのアノード側に水素を含有する燃料ガスが供給され、カソード側に酸素を含有する酸化剤ガス(空気)が供給されることで、水分を媒体として固体高分子電解質膜中をそれぞれのイオンが移動して接触し、発電を行う。
燃料電池システムは、発電を行う燃料電池スタック1のほかに、燃料電池スタック1に燃料ガス(純水素もしくは水素含有ガス)を供給するための水素系10と、燃料電池スタック1に酸化剤ガスである空気を供給するための空気系20と、燃料電池システム全体の動作を統括的に制御するシステム制御装置30とを備えている。
水素系10は、例えば、燃料電池スタック1に供給する燃料ガスを貯蔵する燃料タンク11および燃料供給弁12を備え、燃料供給弁12を開放することで燃料タンク11から取り出した燃料ガスを、燃料供給配管10aを介して燃料電池スタック1のアノード側へと供給する。燃料供給配管10a中には、燃料電池スタック1に供給する燃料ガスの圧力を調整するための一次調圧弁13および二次調圧弁14と、燃料電池スタック1のアノード入口側で燃料ガスの圧力を測定するアノード圧力センサ15とが設置されている。なお、燃料ガスの供給源としては、燃料タンク11以外にも、例えば改質器を用いて生成した燃料ガスを供給する燃料供給装置など、他の燃料ガス供給源を用いるようにしてもよい。
燃料電池スタック1のアノード出口側には、燃料循環配管10bが接続されている。この燃料循環配管10bの他方の端部は燃料供給配管10aに接続されており、燃料ガス循環流路10b中には燃料循環ポンプ16が設置されている。燃料電池スタック1のアノード出口から排出された排出燃料ガスは、燃料循環ポンプ16の作動によって燃料循環配管10bを介して、再度、燃料供給配管10aから燃料電池スタック1を構成する各燃料電池セルのアノード側へと供給され、これにより、燃料ガスの供給流量過剰率(SRa)を大きくすることを可能にしている。なお、燃料循環ポンプ16を設ける代わりに、或いは燃料循環ポンプ16と併用して、燃料循環配管10bと燃料供給配管10aとの合流部にエゼクタを設置することで、燃料ガスを循環させる構成としてもよい。
また、燃料電池スタック1のアノード出口側には、燃料循環配管10bから分岐するように燃料排出配管10cが接続されている。この燃料排出配管10c中には燃料パージ弁17が設置され、その下流側に水素処理装置18が設置されている。燃料ガスを循環して再利用するシステム構成の場合、循環する燃料ガス中に窒素やアルゴンなどの不純物が徐々に蓄積されて水素濃度が低下する傾向にあるが、このような場合には、燃料パージ弁17を開放することにより、蓄積された不純物を燃料電池スタック1からの排出燃料ガスとともに燃料排出配管10cから排出する。燃料パージ弁17の開放により排出される排出燃料ガスは、燃料パージ弁17の下流側に設置された水素処理装置18にて処理される。
空気系20は、例えば、外気を取り込んで加圧する空気コンプレッサ21を備え、この空気コンプレッサ21からの酸化剤ガスとしての空気を、酸化剤供給配管20aを介して燃料電池スタック1を構成する各燃料電池セルのカソード側へと供給する。酸化剤供給配管20a中には、燃料電池スタック1のカソード入口側で酸化剤ガスの圧力を測定するカソード圧力センサ22が設置されている。また、酸化剤ガス供給配管20aの空気コンプレッサ21上流側には、空気コンプレッサ21に吸入される空気の流量を計測するための酸化剤流量計測器23が設置されている。
また、燃料電池スタック1のカソード出口側には、酸化剤排出配管20bが接続されており、燃料電池スタック1からの排出酸化剤ガスは、この酸化剤排出配管20bを介して水素処理装置18へと供給される。この酸化剤排出配管20b中には、燃料電池スタック1に供給する酸化剤ガスの圧力を調整する酸化剤調圧弁24と、酸化剤排出配管20bを介して水素処理装置18へと供給される排出酸化剤ガス中の水素濃度を計測するための水素濃度センサ25とが設置されている。なお、この水素濃度センサ25は、排水素処理装置18の下流側に設置するようにしてもよい。
また、燃料電池スタック1のカソード入口側には酸化剤供給配管20aに酸化剤入口弁26が設置され、燃料電池スタック1のカソード出口側には酸化剤ガス排出配管20bに酸化剤出口弁27が設置されており、これら酸化剤入口弁26および酸化剤出口弁27を閉じることで燃料電池スタック1のカソード側を封止できる構成とされている。
排水素処理装置18は、燃料排出配管10cから燃料パージ弁17を介して排出される排出燃料ガス中の水素や、燃料電池スタック1のアノード側からカソード側へと移動して排出酸化剤ガスとともに燃料電池スタック1から排出された水素を可燃濃度以下に処理し、システム外部に排出する。この排水素処理装置18としては、例えば白金触媒を用いて酸化剤ガス中の酸素と排出燃料ガス中の水素とを反応させる触媒燃焼器や、換気装置を備えて新たに希釈ガスを供給して水素濃度を低減する希釈装置などが用いられる。また、酸化剤排出配管20bから排出されるガス中の水素濃度が可燃濃度に対して十分に低い場合、燃料排出配管10cから排出される排出燃料ガスを酸化剤排出配管20bから排出されるガスと混合することで可燃濃度以下に濃度を低減してシステム外部に排出する混合器を排水素処理装置18として用いるようにしてもよい。
システム制御装置30は、燃料電池システム全体の動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースを主体に構成されるマイクロコンピュータ等を用いて構成される。このシステム制御装置30は、所定の制御プログラムに従ってシステムの各部を動作制御することによって、燃料電池スタック1の運転状態を制御する。また、このシステム制御装置30には、燃料電池スタック1からの取出し電流値を調整する電流制御部31および燃料電池スタック1の電圧を計測する電圧計測部32が設けられており、燃料電池スタック1の電圧から燃料電池スタック1の発電状態を判断し、燃料電池スタック1の発電状態に応じて適正な電流の取出しが行われるように、燃料電池スタック1からの電流取出しを制御する機能を有している。なお、システム制御装置30の制御のもとで燃料電池スタック1から取り出された電流は、二次電池などの蓄電手段3を含む負荷に供給される。
また、本実施形態の燃料電池システムでは、システム停止時に、燃料電池スタック1のアノード側への燃料ガスの供給を継続させるとともにカソード側への酸化剤ガスの供給を停止させた状態で燃料電池スタック1から電流を取り出してカソード側の酸素を消費させる停止制御が行われる。このシステム停止時における停止制御は、燃料電池スタック1内部の酸素濃度を低下させた状態でシステムを停止させることで、次回のシステム起動時に局部電池が形成されることを抑制して燃料電池スタック1の劣化を防止するための制御であり、システム制御装置30による制御のもとで実行されるものである。
以上のような停止制御によりカソード側の酸素を過剰に消費させた場合には、システム停止後の放置期間にカソード内水素濃度が高くなり、次のシステム起動のタイミングによっては、システム起動時におけるカソード内水素濃度が水素処理能力限界値を越えてしまい、カソード側の水素を適切に処理できなくなることが懸念される。そこで、本実施形態の燃料電池システムでは、システム制御装置30に異常診断部33を設け、停止制御を終了する際に、この異常診断部33により、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えるか否かを判定し、越えると判定した場合にシステム異常と診断するようにしている。
以下、本実施形態の燃料電池システムにおいてシステム停止時に実行される停止制御について説明する。図2は、システム停止時に実行される停止制御の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば、燃料電池車両のイグニッションスイッチのオフ信号など、システムの停止を指示する何らかの停止信号の入力に応じてシステム制御装置30によって実行される。なお、この停止制御を開始する時点では、燃料電池スタック1に対する燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給は継続されている。そのため、燃料循環ポンプ16、空気コンプレッサ21といった燃料ガスや酸化剤ガスの供給に必要な各種機器は動作したままの状態となっている。
停止制御が開始されると、システム制御装置30は、まず、ステップS101において、燃料電池スタック1のカソード側への酸化剤ガスの供給を停止する。具体的には、システム制御装置30は、空気コンプレッサ21に対して運転停止指令を出力し、空気コンプレッサ21の運転を停止させる。また、システム制御装置30は、燃料電池スタック1のカソード入口側と出口側とに設置した酸化剤入口弁26および酸化剤出口弁27をそれぞれ閉じることで、燃料電池スタック1のカソード側を封止する。
次に、システム制御装置30は、ステップS102において、燃料電池スタック1からの電流取出しを開始する。燃料電池スタック1からの電流取出しは、電圧計測部32により計測される燃料電池スタック1の最低電圧が0Vにならないように(つまり、アノード側の水素不足により電位が立たなくなる燃料電池セルが発生しないように)、電流制御部31により制御される。この電流制御部31の制御のもとで燃料電池スタック1から取り出された電流は、二次電池などの蓄電手段3に供給される。
なお、ここでは燃料電池スタック1のカソード側への酸化剤ガスの供給を停止した直後に燃料電池スタック1からの電流取出しを開始するようにしているが、例えば空気コンプレッサ21の応答遅れなどにより、酸化剤ガスの供給が完全に停止するまでには多少の時間がかかることも想定される。そこで、例えばカソード圧力センサ22の検出値をモニタリングしながら、燃料電池スタック1のカソード側への酸化剤ガスの供給が完全に停止したタイミングを判定し、そのタイミングで燃料電池スタック1からの電流取出しを開始するようにしてもよい。
次に、システム制御装置30は、ステップS103において、燃料電池スタック1からの電流取出しを終了するタイミングの判定を行う。ここで、本実施形態の燃料電池システムでは、カソード側の酸素を完全に消費させずに所定量の酸素をカソード側に残存させた状態にするための電流取出し時間を予め計算により求めておき、電流取出し開始時からこの電流取出し時間が経過したときに、電流取出し終了タイミングになったと判定するようにしている。
ステップS103で電流取出し終了タイミングになったと判定すると、システム制御装置30は、ステップS104において、燃料電池スタック1からの電流取出しを終了し、ステップS105において、燃料電池スタック1のアノード側への燃料ガスの供給を停止する。具体的には、システム制御装置30は、燃料循環ポンプ16に対して運転停止指令を出力して燃料循環ポンプ16の運転を停止させ、また、燃料供給弁12を閉じるとともに、一次調圧弁13および二次調圧弁14を全閉する。
次に、システム制御装置30は、ステップS106において、システム異常の診断を行う。この診断は、システム制御装置30の異常診断部33により実行される処理であり、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えるか否かを判定し、越えると判定した場合にシステム異常と診断するというものである。この診断の結果、システム異常がなければそのまま停止制御が終了し、システム異常と診断された場合には、システム異常を報知するための警報動作や、システム異常を解消させるための何らかの処置が実行される。
図3は、システム停止後の放置期間におけるカソード内水素濃度の時間変化を示した図である。なお、この図3中の実線のグラフは、カソード側に所定量の酸素が残存している状態で停止制御を終了させた場合の放置期間におけるカソード内水素濃度の時間変化を示しており、図3中の破線のグラフは、カソード側の残存酸素量が所定値未満となっている状態で停止制御を終了させた場合の放置期間におけるカソード内水素濃度の時間変化を示している。
この図3に示すように、システム停止後の放置期間におけるカソード内水素濃度は、システム停止直後に一旦上昇してある値でピークに達した後に、時間経過とともに徐々に低下していく傾向にある。
ここで、カソード側に所定量の酸素が残存している状態で停止制御を終了させた場合には、放置期間におけるカソード内水素濃度のピーク値(カソード内最大水素濃度)を、システム起動時における水素処理能力限界値(図3中の一点鎖線で示すライン)未満とすることができる。言い換えると、本実施形態の燃料電池システムでは、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度が、システム起動時における水素処理能力限界値未満となるように、システム停止時におけるカソード側の残存酸素量(所定量)を決定し、この所定量の酸素がカソード側に残存するタイミングで燃料電池スタック1からの電流取出しを終了させるようにしている。なお、システム起動時における水素処理能力限界値は、システム起動時にカソード側を酸化剤ガスで置換する際に、カソードからの排ガスに含まれる水素を排水素処理装置18で処理するときの排水素処理装置18の処理可能限界値であり、システム設計に応じて事前に把握できる値である。また、カソード側に残存させる酸素量(所定量)は、上述したシステム起動時における水素処理能力限界値との関係から、システム設計に応じて事前に設定される値である。
したがって、本実施形態の燃料電池システムでは、システムに異常が生じていない限りは、カソード内水素濃度がピーク値をとるタイミングでシステムを再起動させたとしても、システム起動時にカソード側の水素を排水素処理装置18で確実に処理することができる。しかしながら、何らかのシステム異常により停止制御が正常に行われず、停止制御によりカソード側の酸素が過剰に消費されて、残酸素量が所定値未満となっている状態で停止制御が終了した場合には、図3中の破線で示すグラフのように、カソード内水素濃度が相対的に高くなり、そのピーク値(カソード内最大水素濃度)が、システム起動時における水素処理能力限界値を越えてしまうことがある。この場合、カソード内水素濃度がピーク値付近となるタイミングでシステムが再起動されると、システム起動時にカソード側の水素を排水素処理装置18で適切に処理できなくなることが懸念される。
そこで、本実施形態の燃料電池システムでは、システム制御装置30の異常診断部33が、停止制御を終了する際に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えるか否かを判定し、越えると判定した場合にはシステム異常と診断するようにしている。具体的には、システム制御装置30の異常診断部33は、燃料電池スタック1からの電流取出しを終了した時点でのカソード側の残酸素量が、システム起動時における水素処理能力限界値との関係から設定した所定量未満となっていると推定される場合に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えると判定し、システム異常と診断する。
燃料電池スタック1のカソード側の酸素は、上述したように、燃料電池スタック1から電流を取出すことで消費される。したがって、燃料電池スタック1からの電流取出しを終了した時点でのカソード側の残酸素量は、電流取出し開始時から終了時までの電流取出し積算値から推定することができる。つまり、システム制御装置30の異常診断部33は、電流取出し開始時から終了時までの電流取出し積算値を算出し、算出した電流取出し積算値が基準値を越えている場合に、システム異常と診断すればよい。なお、ここでの基準値は、カソード側の残存酸素量を上述した所定量とするために必要な酸素消費量から求めることができ、上述した所定量とともに事前に設定することが可能である。
また、停止制御時に燃料電池スタック1からの電流取出しを一定電流で行うようにした場合には、燃料電池スタック1からの電流取出しを終了した時点でのカソード側の残酸素量は、電流取出し開始時から終了時までの間の電流取出し時間から推定することができる。したがって、この場合には、システム制御装置30の異常診断部33は、電流取出し開始時から終了時までの電流取出し時間が所定時間を越えている場合に、システム異常と診断すればよい。なお、ここでの所定時間についても、電流取出し積算値を判定するための基準値と同様に、上述した所定量とともに事前に設定することが可能である。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の燃料電池システムによれば、システム停止制御を終了する際に、システム制御装置30の異常診断部33が、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えるか否かを判定し、越えると判定した場合にシステム異常と診断するようにしているので、システム起動時にカソード側の水素を適切に処理できなくなる懸念がある場合に、その旨を事前に検知して何らかの対応を図ることができ、システムの信頼性を高めることができる。
また、システム制御装置30の異常診断部33は、燃料電池スタック1からの電流取出し積算値に基づいてカソード側の残酸素量を推定し、燃料電池スタック1からの電流取出し積算値が基準値を越えていてカソード側の残酸素量が所定量未満となっていると推定される場合に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えると判定してシステム異常と診断することにより、システム異常の診断を簡便且つ適切に行うことができる。
さらに、停止制御時における燃料電池スタック1からの電流取出しが一定電流で行われる場合には、システム制御装置30の異常診断部33が、燃料電池スタック1からの電流取出し時間に基づいてカソード側の残酸素量を推定し、燃料電池スタック1からの電流取出し時間が所定時間を越えていてカソード側の残酸素量が所定量未満となっていると推定される場合に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えると判定してシステム異常と診断することにより、システム異常の診断をより簡便に行うことができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、停止制御を終了する際の診断の結果、システム異常が生じていると診断された場合に、システム制御装置30が燃料電池スタック1のカソード側への酸化剤ガスの供給を一時的に再開して、カソード側の残酸素量を増加させる処理を行い、カソード側の残酸素量を所定量以上にまで回復させた後にシステムを停止させるようにしたものである。なお、燃料電池システムの構成や停止制御の基本部分は上述した第1実施形態と同様であるので、以下では、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
図4は、本実施形態の燃料電池システムにおいて、システム異常が生じていると診断された場合にシステム制御装置30により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の燃料電池システムでは、第1実施形態で説明した停止制御を終了する際の診断(図2のフローチャートにおけるステップS106)の結果、システム異常が生じていると診断された場合には、システム制御装置30が、ステップS201において、燃料電池スタック1のカソード側への酸化剤ガスの供給を再開させる。具体的には、システム制御装置30は、燃料電池スタック1のカソード入口側と出口側とに設置した酸化剤入口弁26および酸化剤出口弁27を開放するとともに、空気コンプレッサ21に対して運転開始指令を出力し、空気コンプレッサ21の運転を再開させる。
次に、システム制御装置30は、ステップS202において、酸化剤ガス供給再開により燃料電池スタック1のカソード側の残酸素量が第1実施形態で説明した所定量(システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度をシステム起動時における水素処理能力限界値未満とするのに必要な残酸素量)以上にまで回復したか否かを判定する。この判定は、システム異常の診断時に推定したカソード側残酸素量に対して、酸化剤ガス供給再開後の経過時間と空気コンプレッサ21の吐出容量、大気中の酸素濃度(約21%)などから求まる増加分の酸素量を加算した値が前記所定量以上となったか否かを判定するものであり、空気コンプレッサ21の回転数を一定(単位時間あたりの酸化剤ガス供給流量が一定)とする場合には、酸化剤ガス供給再開後の経過時間から判定することが可能である。
そして、ステップS202で燃料電池スタック1のカソード側の残酸素量が前記所定量以上にまで回復したと判定すると、システム制御装置30は、ステップS203において、燃料電池スタック1のカソード側への酸化剤ガスの供給を停止する。具体的には、システム制御装置30は、空気コンプレッサ21に対して運転停止指令を出力し、空気コンプレッサ21の運転を停止させる。また、システム制御装置30は、燃料電池スタック1のカソード入口側と出口側とに設置した酸化剤入口弁26および酸化剤出口弁27をそれぞれ閉じることで、燃料電池スタック1のカソード側を封止する。
ところで、停止制御により燃料電池スタック1のカソード側の酸素が過剰に消費された状態では、燃料電池スタック1の電圧は例えば0.1V以下にまで低下した状態にあるが、カソード側への酸化剤ガスの供給を再開してカソード側の残酸素量が回復すると、燃料電池スタック1の電圧は上昇傾向を示す。したがって、この燃料電池スタック1の電圧の上昇から残酸素量の回復を判定することも可能である。
具体的には、システム制御装置30は、図5のフローチャートで示すように、ステップS301でカソード側への酸化剤ガス供給を再開させた後、ステップS302において燃料電池スタック1の電圧を監視して、燃料電池スタック1の電圧が例えば0.5V程度にまで上昇した場合にカソード側の残酸素量が前記所定量以上にまで回復したと判定して、ステップS303でカソード側への酸化剤ガスの供給を停止させるようにすればよい。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムによれば、停止制御を終了する際の診断の結果、システム異常が生じていると診断された場合に、システム制御装置30が燃料電池スタック1のカソード側への酸化剤ガスの供給を一時的に再開して、カソード側の残酸素量を増加させる処理を行い、カソード側の残酸素量を所定量以上にまで回復させた後にシステムを停止させるようにしているので、システム停止後の放置期間におけるカソード内水素濃度の過度な上昇を未然に抑制することができ、次のシステム起動時にカソード側の水素を適切に処理できなくなる不都合を確実に防止することができる。
なお、以上説明した例では、カソード側への酸化剤ガスの供給再開によりカソード側の残酸素量を所定量以上にまで回復させるとシステムを停止させるようにしているが、カソード側の残酸素量を所定量以上にまで回復させた後に、燃料電池スタック1からの電流取出しを再度行って、残酸素量が所定量になるまで酸素を消費させてからシステムを停止させるようにしてもよい。これにより、カソード側の残酸素量をより精度良く所定量に近づけることが可能になり、停止制御による燃料電池スタック1の劣化防止の効果を最大限に発揮することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、停止制御時に燃料電池スタック1のアノード側の圧力を大気圧以上に昇圧した後、アノード側を密閉した状態でシステムを停止させる制御(以下、アノード昇圧制御という。)を行う場合の例である。このようなアノード昇圧制御は、システム停止後の放置期間の間に燃料電池スタック1内に侵入する酸素量を低減させて、次回起動時にアノード側に燃料ガス(水素)が供給されたときの局部電池形成による燃料電池スタック1の劣化を抑制する上では有効であるが、アノード側の圧力が過度に昇圧されていると放置期間中にアノード側から固体高分子電解質膜を介してカソード側に移動する水素量が過大となり、放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越える要因となる。そこで、本実施形態では、停止制御を終了する際に、システム制御装置30の異常診断部33が、燃料電池スタック1のアノード側の圧力を検出し、アノード側の圧力が圧力制御目標値を越える圧力まで昇圧されている場合に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えると判定し、システム異常と診断するようにしている。なお、燃料電池システムの構成は上述した第1実施形態と同様であるので、以下では、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
図6は、本実施形態の燃料電池システムにおいてシステム停止時に実行される停止制御の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば、燃料電池車両のイグニッションスイッチのオフ信号など、システムの停止を指示する何らかの停止信号の入力に応じてシステム制御装置30によって実行される。
停止制御が開始されると、システム制御装置30は、まず、ステップS401において、燃料電池スタック1のカソード側への酸化剤ガスの供給を停止する。具体的には、システム制御装置30は、空気コンプレッサ21に対して運転停止指令を出力し、空気コンプレッサ21の運転を停止させる。また、システム制御装置30は、燃料電池スタック1のカソード入口側と出口側とに設置した酸化剤入口弁26および酸化剤出口弁27をそれぞれ閉じることで、燃料電池スタック1のカソード側を封止する。
次に、システム制御装置30は、ステップS402において、燃料電池スタック1のアノード側の圧力を大気圧以上に昇圧するアノード昇圧制御を開始する。このときのアノード側の圧力制御目標値は、放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えない範囲で事前に設定され、アノード側の昇圧は、例えば燃料循環ポンプ16の回転数を調整することによって行われる。
次に、システム制御装置30は、ステップS403において、燃料電池スタック1からの電流取出しを開始する。燃料電池スタック1からの電流取出しは、電圧計測部32により計測される燃料電池スタック1の最低電圧が0Vにならないように(つまり、アノード側の水素不足により電位が立たなくなる燃料電池セルが発生しないように)、電流制御部31により制御される。この電流制御部31の制御のもとで燃料電池スタック1から取り出された電流は、二次電池などの蓄電手段3に供給される。
次に、システム制御装置30は、ステップS404において、燃料電池スタック1からの電流取出しを終了するタイミングの判定を行う。この電流取出し終了判定は、第1実施形態で説明したように、カソード側の酸素を完全に消費させずに所定量の酸素をカソード側に残存させた状態にするための電流取出し時間を予め計算により求めておき、電流取出し開始時からこの電流取出し時間が経過したときに、電流取出し終了タイミングになったと判定する。
ステップS404で電流取出し終了タイミングになったと判定すると、システム制御装置30は、ステップS405において、燃料電池スタック1からの電流取出しを終了し、ステップS406において、燃料電池スタック1のアノード側への燃料ガスの供給を停止する。具体的には、システム制御装置30は、燃料循環ポンプ16に対して運転停止指令を出力して燃料循環ポンプ16の運転を停止させ、また、燃料供給弁12を閉じるとともに、一次調圧弁13および二次調圧弁14を全閉する。また、このとき燃料パージ弁17も全閉状態にして、アノード側を密閉する。
次に、システム制御装置30は、ステップS407において、システム異常診断を行う。ここでの診断は、アノード圧力センサ16を用いて燃料電池スタック1のアノード側の圧力を検出し、燃料電池スタック1のアノード側の圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値を越えている場合に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えると判定して、システム異常と診断するというものである。この診断の結果、システム異常がなければそのまま停止制御が終了し、システム異常と診断された場合には、システム異常を報知するための警報動作や、システム異常を解消させるための何らかの処置が実行される。
図7は、アノード昇圧制御を含む停止制御を行って、カソード側に所定量の酸素が残存している状態でシステムを停止させた後の放置期間におけるカソード内水素濃度の時間変化を示した図であり、図7中の実線のグラフは、アノード側の圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値以下となっている場合の放置期間におけるカソード内水素濃度の時間変化を示し、図7中の破線のグラフは、アノード側の圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値を越えている場合の放置期間におけるカソード内水素濃度の時間変化を示している。
図7中の実線のグラフで示すように、アノード昇圧制御が正常に行われて、アノード側の圧力が圧力制御目標値を越えない値で停止制御が終了すれば、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えることはなく、カソード内水素濃度がピーク値をとるタイミングでシステムを再起動させたとしても、システム起動時にカソード側の水素を排水素処理装置18で確実に処理することができる。一方、何らかのシステム異常によりアノード昇圧制御が正常に行われず、アノード側の圧力が圧力制御目標値を越える圧力にまで昇圧されていると、放置期間中にアノード側から固体高分子電解質膜を介してカソード側に移動する水素量が増大して、図7中の破線のグラフのように、カソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えてしまうことがある。この場合、カソード内水素濃度がピーク値付近となるタイミングでシステムが再起動されると、システム起動時にカソード側の水素を排水素処理装置18で適切に処理できなくなることが懸念される。
そこで、本実施形態の燃料電池システムでは、アノード昇圧制御を含む停止制御を終了する際に、システム制御装置30の異常診断部33が、燃料電池スタック1のアノード側の圧力を検出し、アノード側の圧力が圧力制御目標値を越える圧力まで昇圧されている場合に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えると判定して、システム異常と診断するようにしている。したがって、本実施形態の燃料電池システムによれば、何らかのシステム異常によりアノード昇圧制御が正常に行われず、システム起動時にカソード側の水素を適切に処理できなくなる懸念がある場合に、その旨を事前に検知して何らかの対応を図ることができ、システムの信頼性を高めることができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、アノード昇圧制御を含む停止制御を終了する際の診断の結果、システム異常が生じていると診断された場合に、システム制御装置30が燃料電池スタック1のアノード側の圧力をパージ処理により減圧させる処理を行い、アノード側の圧力をアノード昇圧制御における圧力制御目標値以下にまで低下させた後にシステムを停止させるようにしたものである。なお、燃料電池システムの構成は上述した第1実施形態と同様であり、停止制御の基本部分は上述した第3実施形態と同様であるので、以下では、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明し、第1実施形態や第3実施形態と重複する説明は省略する。
図8は、本実施形態の燃料電池システムにおいて、システム異常が生じていると診断された場合にシステム制御装置30により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の燃料電池システムでは、第3実施形態で説明した停止制御を終了する際の診断(図6のフローチャートにおけるステップS407)の結果、システム異常が生じていると診断された場合には、システム制御装置30が、ステップS501において、燃料排出配管10c中に設置された燃料パージ弁17を開放し、アノード側の燃料ガスを排出するパージ処理を開始する。
次に、システム制御装置30は、ステップS502において、アノード圧力センサ16の検出値を読み込んで燃料電池スタック1のアノード側の圧力を監視し、ステップS501でのパージ処理によりアノード圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値以下にまで低下したか否かを判定する。
そして、ステップS502で燃料電池スタック1のアノード圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値以下にまで低下したと判定すると、システム制御装置30は、ステップS503において、燃料パージ弁17を全閉状態に切り替えてパージ処理を終了し、アノード側を密閉する。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムによれば、停止制御を終了する際の診断の結果、システム異常が生じていると診断された場合に、システム制御装置30が燃料電池スタック1のアノード側の圧力をパージ処理により減圧させる処理を行い、アノード側の圧力をアノード昇圧制御における圧力制御目標値以下にまで低下させた後にシステムを停止させるようにしているので、システム停止後の放置期間におけるカソード内水素濃度の過度な上昇を未然に抑制することができ、次のシステム起動時にカソード側の水素を適切に処理できなくなる不都合を確実に防止することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、アノード昇圧制御を含む停止制御を終了する際に、第1実施形態で説明した燃料電池スタック1からの電流取出し積算値を用いた判定と、第3実施形態で説明したアノード圧力の判定との双方により、システム異常の診断を行うようにしたものである。なお、燃料電池システムの構成は上述した第1実施形態と同様であり、停止制御の基本部分は上述した第3実施形態と同様であるので、以下では、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明し、第1実施形態や第3実施形態と重複する説明は省略する。
図9は、本実施形態の燃料電池システムにおけるシステム異常の診断処理の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の燃料電池システムでは、システム制御装置30の異常診断部33がシステム異常の診断を行う際に、まず、ステップS601において、燃料電池スタック1からの電流取出し積算値を算出する。そして、ステップS602において、ステップS601で算出した電流取出し積算値が第1の基準値を越えているか否かを判定する。なお、第1の基準値は、燃料電池スタック1から当該第1の基準値以上の電流が取り出された場合、アノード圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値以下であっても、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えると推定される値に設定される。
このステップS602において、燃料電池スタック1からの電流取出し積算値が第1の基準値を越えると判定した場合は、システム異常が発生していると判断する(ステップS606)。一方、燃料電池スタック1からの電流取出し積算値が第1の基準値以下と判定した場合は、次に、ステップS603において、ステップS601で算出した電流取出し積算値が前記第1の基準値よりは低い値である第2の基準値を越えているか否かを判定する。なお、第2の基準値は、燃料電池スタック1から当該第2の基準値以上の電流が取り出された場合、アノード圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値以下であれば、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値以下となるが、アノード圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値を越えていると、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えると推定される値に設定される。
このステップS603において、燃料電池スタック1からの電流取出し積算値が第2の基準値以下と判定した場合は、システム異常は発生していないと判断する(ステップS607)。一方、燃料電池スタック1からの電流取出し積算値が第2の基準値を越えていると判定した場合は、次に、ステップS604において、アノード圧力センサ16を用いて燃料電池スタック1のアノード側の圧力を検出する。そして、ステップS605において、ステップS604で検出したアノード圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値を越えているか否かを判定する。
このステップS605において、燃料電池スタック1のアノード圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値を越えていると判定した場合は、システム異常が発生していると判断する(ステップS606)。一方、燃料電池スタック1のアノード圧力がアノード昇圧制御における圧力制御目標値以下であると判定した場合は、システム異常は発生していないと判断する(ステップS607)。
本実施形態の燃料電池システムでは、システム制御装置30の異常診断部33が、以上説明した手法によりシステム異常の診断を行う。そして、システム異常が発生していると診断した場合には、第2実施形態で説明したように、カソード側への酸化剤ガスの供給を再開してカソード側の残酸素量を増加させた後にシステムを停止させる。また、このカソード側の残存酸素量を増加させる処理とともに、第4実施形態で説明したように、燃料パージ弁17の開放によりアノード圧力を減圧させる処理を併せて行うようにしてもよい。さらに、これらの処理を行った後に、燃料電池スタック1からの電流取出しを再度行って、残酸素量が所定量になるまで酸素を消費させてからシステムを停止させるようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムによれば、燃料電池スタック1からの電流取出し積算値とアノード圧力との双方を用いてシステム異常の診断を行うようにしているので、システム異常をより精度良く診断することができ、システムの信頼性をさらに高めることができる。
なお、以上説明した第1乃至第5の実施形態は、本発明の具体的な適用例を例示したものであり、本発明が以上の各実施形態で説明した内容に限定されることを意図するものではない。つまり、本発明の技術的範囲は、以上の各実施形態の説明で開示した具体的な技術事項に限らず、この開示から容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。例えば、実施形態として例示した燃料電池システムの構成では、空気系20に水素濃度センサ25を設置しているが、この水素濃度センサ25は本発明を実施する上で必須のものではなく、水素濃度センサ25を備えていない構成の燃料電池システムにおいても、本発明は有効に実施可能である。
本発明を適用した燃料電池システムの全体構成を示すシステム構成図である。 第1実施形態の燃料電池システムにおいて、システム停止時にシステム制御装置により実行される停止制御の一例を示すフローチャートである。 システム停止後の放置期間におけるカソード内水素濃度の時間変化を示す図である。 第2実施形態の燃料電池システムにおいて、システム異常が生じていると診断された場合にシステム制御装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。 第2実施形態の燃料電池システムにおいて、システム異常が生じていると診断された場合にシステム制御装置により実行される処理の他の例を示すフローチャートである。 第3実施形態の燃料電池システムにおいて、システム停止時にシステム制御装置により実行される停止制御の一例を示すフローチャートである。 システム停止後の放置期間におけるカソード内水素濃度の時間変化を示す図である。 第4実施形態の燃料電池システムにおいて、システム異常が生じていると診断された場合にシステム制御装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。 第5実施形態の燃料電池システムにおいて、システム制御装置の異常診断部により実行されるシステム異常の診断処理の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 燃料電池スタック
10 水素系
18 排水素処理装置
20 空気系
30 システム制御装置
31 電流制御部
32 電流計測部
33 異常診断部

Claims (11)

  1. システム停止時に、燃料電池のアノード側への燃料ガスの供給を継続させるとともにカソード側への酸化剤ガスの供給を停止させた状態で前記燃料電池から電流を取り出して前記カソード側の酸素を消費させる停止制御を行う燃料電池システムにおいて、
    前記停止制御を終了する際に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えるか否かを判定し、越えると判定した場合にシステム異常と診断する異常診断手段を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記異常診断手段は、前記燃料電池からの電流取出しを終了した時点での前記燃料電池のカソード側の残酸素量が所定量未満となっていると推定される場合に、システム異常と診断することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記異常診断手段は、前記燃料電池からの電流取出しを開始してから終了するまでの間の電流取出し積算値を算出し、算出した電流取出し積算値が基準値を越えている場合に、システム異常と診断することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記異常診断手段は、前記燃料電池からの電流取出しを開始してから終了するまでの間の電流取出し時間が所定時間を越えている場合に、システム異常と診断することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  5. 前記異常診断手段によりシステム異常と診断されたときに、前記燃料電池のカソード側への酸化剤ガスの供給を一時的に再開して前記カソード側の残酸素量を増加させる異常時制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記異常時制御手段は、前記カソード側の残酸素量が前記所定量以上にまで回復したと推定されるタイミングで前記燃料電池のカソード側への酸化剤ガスの供給を停止させることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記異常時制御手段は、前記燃料電池のカソード側への酸化剤ガスの供給を再開した後の前記燃料電池の電圧を監視し、前記燃料電池の電圧が上昇したときに前記燃料電池のカソード側への酸化剤ガスの供給を停止させることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
  8. 前記停止制御は、前記燃料電池のアノード側の圧力を大気圧以上に昇圧して前記アノード側を密閉した状態でシステムを停止させる制御を含むものであり、
    前記異常診断手段は、前記燃料電池のアノード側の圧力が圧力制御目標値を越える圧力まで昇圧されている場合に、システム異常と診断することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  9. 前記異常診断手段は、前記燃料電池からの電流取出しを終了した時点での前記アノード側の圧力を検知して、検知したアノード側の圧力が前記圧力制御目標値を越えている場合に、システム異常と診断することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記異常診断手段によりシステム異常と診断されたときに、前記燃料電池のアノード側の圧力をパージ処理により減圧させる異常時制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の燃料電池システム。
  11. システム停止時に、燃料電池のアノード側への燃料ガスの供給を継続させるとともにカソード側への酸化剤ガスの供給を停止させた状態で前記燃料電池から電流を取り出して前記カソード側の酸素を消費させる停止制御を行う燃料電池システムの異常診断方法であって、
    前記停止制御を終了する際に、システム停止後の放置期間におけるカソード内最大水素濃度がシステム起動時における水素処理能力限界値を越えるか否かを判定し、越えると判定した場合にシステム異常と診断することを特徴とする燃料電池システムの異常診断方法。
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