JP2009300213A - シンチレータパネル及び放射線フラットパネルディテクター - Google Patents

シンチレータパネル及び放射線フラットパネルディテクター Download PDF

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伸司 工藤
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Abstract

【課題】輝度(発光量)を維持した状態で、耐湿試験での鮮鋭性の劣化率及び特異的な故障発生率が低く、画像ムラ及び線状ノイズが少ないシンチレータパネル及びそれを用いた放射線フラットパネルディテクターを提供する。
【解決手段】基板上にシンチレータ層を有するシンチレータプレートであって、当該シンチレータ層が、その構成要素として、蛍光体柱状結晶と充填材を含有し、かつ当該シンチレータプレートの全体が、保護層で覆われていることを特徴とするシンチレータパネル。
【選択図】なし

Description

本発明は、被写体の放射線画像を形成する際に用いられるシンチレータパネル及びそれを用いた放射線フラットパネルディテクターに関する。
従来、X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。特に、増感紙−フィルム系による放射線画像は、長い歴史のなかで高感度化と高画質化が図られた結果、高い信頼性と優れたコストパフォーマンスを併せ持った撮像システムとして、今なお、世界中の医療現場で用いられている。しかしながら、これら画像情報はいわゆるアナログ画像情報であって、近年発展を続けているデジタル画像情報のような、自由な画像処理や瞬時の電送が出来ない。
そして、近年ではコンピューテッド・ラジオグラフィ(computed radiography:CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPD)等に代表されるデジタル方式の放射線画像検出装置が登場している。これらは、デジタルの放射線画像が直接得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直接表示することが可能なので、必ずしも写真フィルム上への画像形成が必要なものではない。その結果、これらのデジタル方式のX線画像検出装置は、銀塩写真方式による画像形成の必要性を低減させ、病院や診療所での診断作業の利便性を大幅に向上させている。
X線画像のデジタル技術の一つとしてコンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)が現在医療現場で受け入れられている。しかしながら鮮鋭性が十分でなく空間分解能も不十分であり、スクリーン・フィルムシステムの画質レベルには到達していない。そして、更に新たなデジタルX線画像技術として、例えば雑誌Physics Today,1997年11月号24頁のジョン・ローランズ論文“Amorphous Semiconductor Usher in Digital X−ray Imaging”や、雑誌SPIEの1997年32巻2頁のエル・イー・アントヌクの論文”Development of aHigh Resolution,Active Matrix,Flat−Panel Imager with Enhanced Fill Factor”等に記載された、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた平板X線検出装置(FPD)が開発されている。
放射線を可視光に変換するために、放射線により発光する特性を有するX線蛍光体で作られたシンチレータパネルが使用されるが、低線量の撮影においてのSN比を向上するためには、発光効率の高いシンチレータパネルを使用することが必要になってくる。一般にシンチレータパネルの発光効率は、シンチレータ層(「蛍光体層」ともいう。)の厚さ、蛍光体のX線吸収係数によって決まるが、シンチレータ層の厚さは厚くすればするほど、シンチレータ層内での発光光の散乱が発生し、鮮鋭性は低下する。そのため、画質に必要な鮮鋭性を決めると、膜厚が決定する。
なかでもヨウ化セシウム(CsI)はX線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成出来るため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、シンチレータ層の厚さを厚くすることが可能であった。
しかしながら、CsIのみでは発光効率が低いために、例えば特公昭54−35060号公報に記載の方法の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものを、蒸着を用いて基板上にナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)として堆積、又近年ではCsIとヨウ化タリウム(TlI)を任意のモル比で混合したしたものを、蒸着を用いて基板上にタリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)として堆積したものに、後工程としてアニール(熱処理)を行うことで可視変換効率を向上させ、X線蛍光体として使用している。
また他の光出力を増大する手段として、シンチレータを形成する基板を反射性とする方法(例えば特許文献1参照。)、基板上に反射層を設ける方法(例えば特許文献2参照。)、基板上に設けられた反射性金属薄膜と、金属薄膜を覆う透明有機膜上にシンチレータを形成する方法(例えば特許文献3参照。)などが提案されているが、これらの方法は得られる光量は増加するが、鮮鋭性が著しく低下するという欠点がある。
またシンチレータパネルを平面受光素子面上に配置するにあたっては、例えば特開平5−312961号、特開平6−331749号公報記載の方法があるがこれらは生産効率が悪く、シンチレータパネルと平面受光素子面での鮮鋭性の劣化は避けられない。
従来、気体層法によるシンチレータの製造方法としては、アルミやアモルファスカーボンなど剛直な基板上にシンチレータ層を形成し、その上にシンチレータの表面全体を保護膜で被覆させることが一般的である(例えば特許文献4参照。)。しかしながら、自由に曲げることのできないこれらの基板上にシンチレータ層を形成した場合、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、フラットパネルディテクターの受光面内で均一な画質特性が得られないという欠点がある。
また、基板が金属の場合には、X吸収が大きく、特に低被爆を進める点で問題となっていた。一方、近年使用され始めたアモルファスカーボン類は、X線吸収が低い点は有用であるものの、大サイズ化の汎用品が無いことと、非常に高価である等、未だ実用的な生産に適しているとは言い難かった。従って、このような問題は、近年のフラットパネルディテクターの大型化に伴い深刻化してきている。
この問題を回避するために平面受光素子面(撮像素子上)に直接、蒸着でシンチレータを形成する方法や、鮮鋭性は低いが、可とう性を有する医用増感紙などをシンチレータパネルの代用として用いることが一般的に行われている。また、保護層としてポリパラキシリレン等の柔軟な保護層を使用した例が示されている(例えば特許文献5参照)。
しかしながら、受光素子に直接蒸着したシンチレータ材料(直接蒸着型)は画像特性が高いものの、蒸着の不良品発生時に高価な受光素子を無駄にするコスト的な欠点と熱処理によりシンチレータ材料の画像特性向上がはかれるにもかかわらず受光素子が熱に弱いため温度処理に制約がかかる、または、設備に余計なコスト負荷がかかる欠点があった。対して、基板に蒸着したシンチレータ材料を受光素子と合わせる間接設置型の場合、上記の直接蒸着したシンチレータ材料(直接蒸着型)の欠点は改善される利点がある。
しかし、蒸着シンチレータ材料の画像形成する層である蛍光体からなる蒸着層は潮解性を有するため、水分(湿度)に対して脆弱な材料である。そこで、水分に対する保護層として封止フィルムを用いていたが、耐湿性として時に不十分な場合があり問題であった(特許文献6参照。)。
特公平7−21560号公報 特公平1−240887号公報 特開2000−356679号公報 特許第3566926号公報 特開2002−116258号公報 特開2007−139604号公報
本発明は、上記問題に鑑み成されたものであり、その解決課題は、輝度(発光量)を維持した状態で、耐湿試験での鮮鋭性の劣化率及び特異的な故障発生率が低く、画像ムラ及び線状ノイズが少ないシンチレータパネル及びそれを用いた放射線フラットパネルディテクターを提供することである。
本発明に係る上記課題は下記の手段により解決される。
1.基板上にシンチレータ層を有するシンチレータプレートであって、当該シンチレータ層が、その構成要素として、蛍光体柱状結晶と充填材を含有し、かつ当該シンチレータプレートの全体が、保護層で覆われていることを特徴とするシンチレータパネル。
2.前記充填材の屈折率(nD25)が、1.70以下であることを特徴とする前記1に記載のシンチレータパネル。
3.前記の充填材が、有機物であることを特徴とする前記1又は2に記載のシンチレータパネル。
4.前記の充填材が、液体であり、当該液体に対する前記シンチレータ層を構成する蛍光体の溶解度が、0.1以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
5.前記充填材としての液体が、フッ素系撥水性液体及びシリコーン系撥水性液体の少なくとも一方であることを特徴とする前記1〜4のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
6.前記の充填材が、気相成長法により形成されたことを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
7.前記蛍光体柱状結晶が、ヨウ化セシウムを含有し、気相成長法により形成されたことを特徴とする前記1〜6のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
8.前記基板が、耐熱性樹脂であることを特徴とする前記1〜7のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
9.前記充填材の屈折率(nD25)が、1.40以下であることを特徴とする前記1〜8のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
10.前記基板とシンチレータ層の間に、反射層及び下引層の少なくとも一方を有することを特徴とする前記1〜9のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
11.前記1〜10のいずれか一項に記載のシンチレータパネルと平面受光素子を備えた放射線フラットパネルディテクターであって、当該シンチレータパネルが、平面受光素子面に物理化学的に接着されていないことを特徴とする放射線フラットパネルディテクター。
本発明の上記手段により、光輝度を維持した状態で、耐湿試験での鮮鋭性の劣化率及び特異的な故障発生率が低く、画像ムラ及び線状ノイズが少ないシンチレータパネル及びそれを用いた放射線フラットパネルディテクターを提供することができる。
本発明のシンチレータパネルは、基板上にシンチレータ層を有するシンチレータプレートであって、当該シンチレータ層が、その構成要素として、蛍光体柱状結晶と充填材を含有し、かつ当該シンチレータプレートの全体が、保護層で覆われていることを特徴とする。この特徴は、請求項1〜11に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記充填材の屈折率(nD25)が、1.70以下である態様であることが好ましい。ここで、「屈折率(nD25)」とは、25℃におけるナトリウムD線に対する屈折率をいう。
また、当該充填材が、有機物であることが好ましい。更に、当該充填材が、液体であり、当該液体に対する前記シンチレータ層を構成する蛍光体(蛍光性化合物)の溶解度が、0.1以下であることが好ましい。ここで、「溶解度」とは、25℃における溶媒(液体)100gに溶ける溶質(シンチレータ層を構成する蛍光体)の質量(g)をいう。
また、当該液体が、フッ素系撥水性液体及びシリコーン系撥水性液体の少なくとも一方であることが好ましい。
本発明においては、当該充填材が、気相成長法により形成されたものである態様であることも好ましい。
また、本発明においては、前記蛍光体柱状結晶が、ヨウ化セシウムを含有し、気相成長法により形成された態様であることが好ましい。更に、前記基板が、耐熱性樹脂であることが好ましい。
本発明の実施態様としては、前記充填材の屈折率(nD25)が、1.40以下である態様であることが好ましい。また、前記基板とシンチレータ層の間に、反射層及び下引層の少なくとも一方を有する態様であることが好ましい。
本発明のシンチレータパネルを平面受光素子を備えた放射線フラットパネルディテクターに用いる場合は、当該シンチレータパネルが、平面受光素子面に物理化学的に接着されていない態様の放射線フラットパネルディテクターとすることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態・態様について詳細な説明をする。
(シンチレータプレート及びパネルの構成)
本発明のシンチレータパネルは、基板上にシンチレータ層を有するシンチレータプレートであって、当該シンチレータ層が、その構成要素として、蛍光体柱状結晶と充填材を含有し、かつ当該シンチレータプレートの全体が、保護層で覆われていることを特徴とする。
本発明に係るシンチレータプレートは、基板上に反射層、下引層、及びシンチレータ層をこの順に設けて成る態様であることが好ましい。
(シンチレータ層)
本発明に係るシンチレータ層は、その構成要素として、少なくとも、蛍光体柱状結晶と充填材を含有していることを特徴とする。なお、本願でいう「蛍光体」とは、放射線が入射されたとき、その放射線エネルギーを吸収して蛍光を発する現象(「シンチレーション」という。)を発現する物質をいう。
当該シンチレータ層(「蛍光体層」ともいう。)を構成する蛍光体を形成する材料としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができるが、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、シンチレータ層の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。
但し、CsIのみでは発光効率が低いために、各種の賦活剤が添加される。例えば、特公昭54−35060号公報の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば特開2001−59899号公報に開示されているようなCsIを蒸着で、タリウム(Tl)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質を含有するCsIが好ましい。本発明においては、特に、タリウム(Tl)、ユウロピウム(Eu)が好ましい。更に、タリウム(Tl)が好ましい。
なお、本発明においては、特に、1種類以上のタリウム化合物を含む添加剤とヨウ化セシウムとを原材料とすることが好ましい。すなわち、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長をもつことから好ましい。
本発明に係る1種類以上のタリウム化合物を含有する添加剤のタリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。
本発明において、好ましいタリウム化合物は、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、又はフッ化タリウム(TlF,TlF)等である。
また、本発明に係るタリウム化合物の融点は、400〜700℃の範囲内にあることが好ましい。700℃以内を超えると、柱状結晶内での添加剤が不均一に存在してしまい、発光効率が低下する。なお、本発明での融点とは、常温常圧下における融点である。
また、タリウム化合物の分子量は206〜300の範囲内にあることが好ましい。
本発明のシンチレータ層において、当該添加剤の含有量は目的性能等に応じて、最適量にすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して、0.001〜50mol%、更に0.1〜10.0mol%であることが好ましい。
ここで、ヨウ化セシウムに対し、添加剤が0.001mol%未満であると、ヨウ化セシウム単独使用で得られる発光輝度と大差なく、目的とする発光輝度を得ることができない。また、50mol%を超えるとヨウ化セシウムの性質・機能を保持することができない。
なお、本発明においては、高分子フィルム上にシンチレータの原料の蒸着によりシンチレータ層をした後に、該高分子フィルムのガラス転移温度を基準として−50℃〜+20℃の温度範囲の雰囲気下で1時間以上の熱処理することを要する。これにより、フィルムの変形や蛍光体の剥がれの発生がなく、発光効率の高いシンチレータパネルを実現することができる。
以上の説明から分かるように、本発明に係るシンチレータ層は、ヨウ化セシウムを含有する柱状蛍光体層であることが好ましく、かつ気相成長法により形成されたことが好ましい。気相成長法としては、従来公知の、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法などを用いることができる。
なお、蛍光体層の厚さは、100〜800μmであることが好ましく、120〜700μmであることが、輝度と鮮鋭性の特性をバランスよく得られる点からより好ましい。
(充填剤)
本発明においては、上記のように、シンチレータ層が、その構成要素として、蛍光体柱状結晶と充填材を含有することが特徴である。含有状態の態様としては、種々の態様を採ることができるが、シンチレータ層を構成する蛍光体の柱状結晶間に充填剤を含有させる態様であることが好ましい。
当該充填剤としては、その屈折率(nD25)が、1.70以下であることが好ましい。更には、1.40以下であることが好ましい。屈折率は小さい方が好ましいが1.20以上であることがより好ましい。
本発明においては、当該充填材は、有機物・無機物、更には、液体・固体を問わず利用可能であるが、有機物であることが好ましい。但し、当該充填材が、液体である場合は、当該液体に対する前記シンチレータ層を構成する蛍光体(蛍光性化合物)の溶解度が、0.1以下であることが好ましい。
充填材として用いることができる液体としては、上記の要件を満たす限り、種々の撥水性液体を用いることができる。好ましい例としては、フッ素系撥水性液体(例えば、ノベックHFE7100、7600(ハイドロフルオロエーテル;住友スリーエム社製)、及びシリコーン系撥水性液体(例えば、TSF451−0.65(ジメチルシリコーンオイル系;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などを挙げることができる。
本発明に係る充填材を含有させる方法としては、(1)少なくとも1.0×10Pa(常圧1atm)以下の低圧で、好ましくは、より真空に近い条件にて、シンチレータプレートのシンチレータ層がある面のみを、充填材としての液体に浸漬させると柱状結晶間を当該液体により充填させることが可能である。なお、この状態の当該シンチレータプレートを、保護層で減圧包装(封止)する。或いは、(2)シンチレータプレートを保護層で減圧包装(封止)した後で、封止の耳部の最内層(熱溶着層)にマイクロシリンジなどを用いシンチレータ層の柱状結晶間への充填材(例えば親油性液体)の導入を行い、その後、再度、マイクロシリンジ導入部のみシール(熱融着)を行う。尚、マイクロシリンジなどを用いた充填材の導入の工程は1.0×10Pa(常圧1atm)以下であり、かつ、減圧包装時の封止圧力条件が好ましい。但し、これらの方法に限定されるものではない。
また、本発明においては、当該充填材を蛍光体の柱状結晶間及び柱状結晶表面上に気相成長法により形成してもよい。このために用いることができる材料としては、パラキシリレン系樹脂(例えば、パリレンC、パリレンN;日本パリレン社製)を用いることができる。なお、気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法などを用いることができる。
(反射層)
本発明に係る反射層は、シンチレータから発した光を反射して、光の取り出し効率を高めるためのものである。当該反射層は、Al,Ag,Cr,Cu,Ni,Ti,Mg,Rh,Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。特に、上記の元素からなる金属薄膜、例えば、Ag膜、Al膜などを用いることが好ましい。また、このような金属薄膜を2層以上形成するようにしても良い。
なお、反射層の厚さは、0.01〜0.3μmであることが、発光光取り出し効率の観点から好ましい。
(下引層)
本発明に係る下引層は、反射層の保護の観点から、反射層とシンチレータ層の間に設けることを要する。
また、当該下引層は、高分子結合材(バインダー)、分散剤等を含有することが好ましい。
なお、下引層の厚さは、0.1〜3μmが好ましい。なお、3μm以下であれば、下引層内での光散乱が小さく鮮鋭性が良好である。更に、下引層の厚さが2μm以下であると熱処理しても柱状結晶性の乱れが発生しない。
以下、下引層の構成要素について説明する。
〈高分子結合材〉
本発明に係る下引層は、溶剤に溶解又は分散した高分子結合材(以下「バインダー」ともいう。)を塗布、乾燥して形成することが好ましい。高分子結合材としては、具体的には、ポリイミドまたはポリイミド含有樹脂、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。
本発明に係る高分子結合材としては、特にシンチレータ層との密着の点でポリイミドまたはポリイミド含有樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースなどが好ましい。また、ガラス転位温度(Tg)が30〜100℃のポリマーであることが、蒸着結晶と基板との膜付の点で好ましい。この観点からは、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。但し、輝度などの画像特性向上のために熱処理温度の向上をはかるとTgが30〜100℃のポリマーでは耐熱性が十分に確保できない場合があり、この際はポリイミドまたはポリイミド含有樹脂を用いる。
下引層の調製に用いることができる溶剤としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
なお、本発明に係る下引層には、シンチレータが発光する光の散乱の防止し、鮮鋭性等を向上させるために顔料や染料を含有させても良い。
(保護層)
本発明に係る保護層は、シンチレータ層の保護を主眼とするものである。すなわち、ヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを主眼とする。当該保護層は、種々の材料を用いて形成することができる。
本発明に係るシンチレータパネルにおいては、当該保護層として、先ず、シンチレータプレートのシンチレータ層上に保護フィルムを設けることができる。
更に、上記シンチレータ層の側に配置した第1保護フィルムと、基板の外側に配置した第2保護フィルムとにより当該シンチレータパネが封止され、かつ該第1保護フィルムは該シンチレータ層に物理化学的に接着されていない態様とすることが好ましい。
ここで、「物理化学的に接着されていない」とは、前述のように、接着剤を用いて物理的相互作用又は化学反応等によって接着されていないことをいう。この接着されていない状態は、微視的にはシンチレータ層面と保護フィルムは点接触してはいたとしても、光学的、力学的にはほとんどシンチレータ層面と保護フィルムは不連続体として扱える状態のことといえるものである。
次に本発明において使用する保護フィルムについて詳細な説明をする。
(保護フィルム)
本発明に使用する保護フィルムの構成例としては、最外層(保護機能層)/中間層(防湿性層)/最内層(熱溶着層)の構成を有した多層積層材料が挙げられる。又、更に各層は必要に応じて多層とすることも可能である。
〈最内層(熱溶着層)〉
最内層の熱可塑性樹脂フィルムとしてはEVA、PP、LDPE、LLDPE及びメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、又、これらフィルムとHDPEフィルムの混合使用したフィルムを使用することが好ましい。
〈中間層(防湿性層)〉
中間層(防湿性層)としては、特開平6−95302号公報及び真空ハンドブック増訂版p132〜p134(ULVAC 日本真空技術K.K)に記載されている如き、無機膜を少なくとも一層有する層が挙げられる。無機膜としては金属蒸着膜及び無機酸化物の蒸着膜が挙げられる。
金属蒸着膜としては、例えばZrN、SiC、TiC、Si、単結晶Si、ZrN、PSG、アモルファスSi、W、アルミニウム等が挙げられ、特に好ましい金属蒸着膜としては、例えばアルミニウムが挙げられる。
無機物蒸着膜としては薄膜ハンドブックp879〜p901(日本学術振興会)、真空技術ハンドブックp502〜p509、p612、p810(日刊工業新聞社)、真空ハンドブック増訂版p132〜p134(ULVAC 日本真空技術K.K)に記載されている如き無機物蒸着膜が挙げられる。これらの無機物蒸着膜としては、例えば、Cr、Si(x=1、y=1.5〜2.0)、Ta、ZrN、SiC、TiC、PSG、Si、単結晶Si、アモルファスSi、W、AI等が用いられる。
中間層(防湿性層)の基材として使用する熱可塑性樹脂フィルムとしてはエチレンテトラフルオロエチル共重合体(ETFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、2軸延伸ナイロン6、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリエーテルスチレン(PES)など一般の包装用フィルムに使用されているフィルム材料を使用することが出来る。
蒸着膜を作る方法としては真空技術ハンドブック及び包装技術Vol29−No.8に記載されている如き一般的な方法、例えば抵抗又は高周波誘導加熱法、エレクトロビーム(EB)法、プラズマ(PCVD)等により作ることが出来る。蒸着膜の厚さとしては40〜200nmの範囲が好ましく、より好ましくは50〜180nmの範囲である。
〈最外層:保護機能層〉
蒸着フィルムシートを介して用いられる熱可塑性樹脂フィルムとしては一般の包装材料として使用されている高分子フィルム(例えば機能性包装材料の新展開株式会社東レリサーチセンター記載の高分子フィルム)である低密度ポリエチレン(LDPE)、HDPE、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)、OPP、延伸ナイロン(ONy)、PET、セロハン、ポリビニルアルコール(PVA)、延伸ビニロン(OV)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン(PVDC)、フッ素を含むオレフィン(フルオロオレフィン)の重合体又はフッ素を含むオレフィンを共重合体等が使用出来る。
又、これら熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて異種フィルムと共押し出しで作った多層フィルム、延伸角度を変えて張り合わせて作った多層フィルム等も当然使用出来る。更に必要とする包装材料の物性を得るために使用するフィルムの密度、分子量分布を組み合わせて作ることも当然可能である。最内層の熱可塑性樹脂フィルムとしてはLDPE、LLDPE及びメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、又、これらフィルムとHDPEフィルムの混合使用したフィルムが使用されている。
無機物蒸着層を使用しない場合は、保護層に中間層としての機能を持たせる必要がある。この場合、保護層に使用する熱可塑性樹脂フィルムのなかより必要に応じて単体でもよいし又は、2種以上のフィルムを積層させて用いることが出来る。例えばCPP/OPP、PET/OPP/LDPE、Ny/OPP/LDPE、CPP/OPP/EVOH、サランUB/LLDPE(ここでサランUBとは旭化成工業株式会社製の塩化ビニリデン/アクリル酸エステル系共重合樹脂を原料とした2軸延伸フィルムを示す。)K−OP/PP、K−PET/LLDPE、K−Ny/EVA(ここでKは塩化ビニリデン樹脂をコートしたフィルムを示す)等が使用されている。
これら保護フィルムの製造方法としては、一般的に知られている各種の方法が用いられ、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押し出しラミネート法、熱ラミネート法を利用して作ることが可能である。無機物を蒸着したフィルムを使用しない場合も同様な方法が当然使えるがこれらの他に使用材料によっては多層インフレーション方式、共押し出し成形方式により作ることが出来る。
積層する際に使用される接着剤としては一般的に知られている接着剤が使用可能である。例えば各種ポリエチレン樹脂、各種ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂熱溶解接着剤、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂等のエチレン共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂熱溶融接着剤、その他熱溶融型ゴム系接着剤等がある。エマルジョン、ラテックス状の接着剤であるエマルジョン型接着剤の代表例としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、酢酸ビニルとアクリル酸エステル共重合体樹脂、酢酸ビニルとマレイン酸エステル共重合体樹脂、アクリル酸共重合物、エチレン−アクリル酸共重合物等のエマルジョンがある。ラテックス型接着剤の代表例としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のゴムラテックスがある。又、ドライラミネート用接着剤としてはイソシアネート系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等があり、その他、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂等をブレンドしたホットメルトラミネート接着剤、感圧接着剤、感熱接着剤等公知の接着剤を用いることも出来る。エクストルージョンラミネート用ポリオレフィン系樹脂接着剤はより具体的に言えば、各種ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などのポリオレフィン樹脂からなる重合物及びエチレン共重合体(EVA、EEA、等)樹脂の他、L−LDPE樹脂の如く、エチレンと他のモノマー(α−オレフィン)を共重合させたもの、Dupot社のサーリン、三井ポリケミカル社のハイミラン等のアイオノマー樹脂(イオン共重合体樹脂)及び三井石油化学(株)のアドマー(接着性ポリマー)等がある。その他紫外線硬化型接着剤も最近使われはじめた。特にLDPE樹脂とL−LDPE樹脂が安価でラミネート適性に優れているので好ましい。又前記記載樹脂を2種以上ブレンドして各樹脂の欠点をカバーした混合樹脂は特に好ましい。例えばL−LDPE樹脂とLDPE樹脂をブレンドすると延展性が向上し、ネックインが小さくなるのでラミネート速度が向上し、ピンホールが少なくなる。
上記保護フィルムの厚さは、空隙部の形成性、シンチレータ層(蛍光体層)の保護性、鮮鋭性、防湿性、作業性等を考慮し、12μm以上、200μm以下が好ましく、更には50μm以上、150μm以下が好ましい。また、ヘイズ率が、鮮鋭性、放射線画像ムラ、製造安定性、作業性等を考慮し、3%以上40%以下が好ましく、更には3%以上、10%以下が好ましい。ヘイズ率は、日本電色工業株式会社NDH 5000Wにより測定した値を示す。必要とするヘイズ率は、市販されている高分子フィルムから適宜選択し、容易に入手することが可能である。
(基板)
本発明に係る基板は、各種金属、カーボンやα−カーボン、耐熱性樹脂基板などが使用可能であるが、画像特性・コストなどを鑑みると耐熱性樹脂基板が特に好適である。
耐熱性樹脂としては、従来公知の樹脂を使用することができるが、いわゆるエンジニアリングプラスチックを用いることが好ましい。ここで、「エンジニアリングプラスチックス」とは、産業用途(工業用途)に使用される高機能のプラスチックスのことであり、一般的に強度や耐熱温度が高く、耐薬品性に優れている等の利点を有する。
本発明に係るエンジニアリングプラスチックスとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が好適に用いられる。これらのエンジニアリングプラスチックスは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
更に、硬化温度によっては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等に代表されるスーパーエンジニアリングプラスチックを使用することも好ましい。
本発明においては、耐熱性、加工性、機械的強度、及びコスト面で優れた、ポリイミド樹脂又はポリエーテルイミド樹脂のようなポリイミドを含有する樹脂で基板を形成することが好ましい。
なお、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、フラットパネルディテクターの受光面内で均一な画質特性が得られないという点に関して、該基板を、厚さ50μm以上500μm以下の樹脂基板とすることでシンチレータパネルが平面受光素子面形状に合った形状に変形し、フラットパネルディテクターの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られる。
(シンチレータプレート及びパネルの作製方法等)
次に、本発明の実施の形態を図1〜図5を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1はシンチレータパネルの概略平面図である。図1(a)はシンチレータプレートを4方シールで保護フィルムにより封止したシンチレータパネルの概略平面図である。図1(b)はシンチレータプレートを2方シールで保護フィルムにより封止したシンチレータパネルの概略平面図である。図1(c)はシンチレータプレートを3方シールで保護フィルムにより封止したシンチレータパネルの概略平面図である。
図1(a)のシンチレータパネルに付き説明する。図中、1aはシンチレータパネルを示す。シンチレータパネル1aは、シンチレータプレート101と、シンチレータプレート101のシンチレータ層101b(図3を参照。)側に配置された第1保護フィルム102aと、シンチレータプレート101の基板101a側に配置された第2保護フィルム102b(図3を参照)とを有している。103a〜103dは保護フィルム102aと第2保護フィルム102b(図3を参照。)との4箇所の封止部を示し、封止部103a〜103dはシンチレータプレート101の周縁部より何れも外側に形成されている。4方シールとは、本図に示す如く、4方に封止部を有する状態を言う。本図に示される、4方シールの形態は第1保護フィルム102aと第2保護フィルム102b(図3を参照。)との2枚のプレート状の保護フィルムの間にシンチレータプレートを挟み、4方をシールすることで作製することが出来る。この場合、第1保護フィルム102aと、第2保護フィルム102b(図3を参照)とは、異なっていても、同じてあってもよく、必要に応じて適宜選択することが可能である。
図1(b)のシンチレータパネルに付き説明する。図中、1bはシンチレータパネルを示す。シンチレータパネル1bは、シンチレータプレート101と、シンチレータプレート101のシンチレータ層101b(図3を参照。)側に配置された第1保護フィルム104と、シンチレータプレート101の基板101a側に配置された第2保護フィルム(不図示)とを有している。105a、105bは保護フィルム104と基板側に配置された第2保護フィルム(不図示)との2箇所の封止部を示し、封止部105a、105bはシンチレータプレート101の周縁部より何れも外側に形成されている。2方シールとは、本図に示す如く、2方に封止部を有する状態を言う。本図に示される、2方シールの形態はインフレーション方により筒状に成形された保護フィルムの間にシンチレータプレートを挟み、2方をシールすることで作製することが出来る。この場合、第1保護フィルム104と第2保護フィルム(不図示)とに使用する使用する保護フィルムは同じものとなる。
図1(c)のシンチレータパネルに付き説明する。図中、1cはシンチレータパネルを示す。シンチレータパネル1cは、シンチレータプレート101と、シンチレータプレート101のシンチレータ層101b(図3を参照)側に配置された第1保護フィルム106と、シンチレータプレート101の基板101a側に配置された第2保護フィルム(不図示)とを有している。107a〜107cは第1保護フィルム106と基板側に配置された第2保護フィルム(不図示)との3箇所の封止部を示し、封止部107a〜107cはシンチレータプレート101の周縁部より何れも外側に形成されている。3方シールとは、本図に示す如く、3方に封止部を有する状態を言う。本図に示される、3方シールの形態は一枚の保護フィルムを中心で折りたたみ、成形された2枚の保護フィルムの間にシンチレータプレートを挟み、3方をシールすることで作製することが出来る。この場合、第1保護フィルム106と、第2保護フィルム(不図示)とに使用する保護フィルムは同じものとなる。図1(a)〜図1(c)に示す様に第1保護フィルムと第2保護フィルムとの2枚の保護フィルムの封止部がシンチレータプレートの周縁部の外側にあるため外周部からの水分進入を阻止することが可能となっている。図1(a)〜図1(c)に示すシンチレータプレートのシンチレータ層は、前述した気相堆積法で基板の上に形成することが好ましい。気相堆積法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法等を用いることが可能である。
図1(a)〜図1(c)に示すシンチレータパネルの形態は、シンチレータプレートのシンチレータ層の種類、製造装置等により選択することが可能である。
図2はシンチレータパネルの構成と保護層の耳の構成の例を示した模式図である。本願において、保護フィルムの封止とは保護フィルムの最内層である熱溶着層を加熱によるシール(熱融着)することであるが、この封止部分(シール部分)を保護層の耳(封止の耳)と呼ぶ。保護層の防湿性(水蒸気バリア性)は中間層(防湿性層)の防湿性(水蒸気バリア性)によるものであり、最内層(熱溶着層)や中間層の支持体に対して1〜3桁高い防湿性(水蒸気バリア性)を有している。そこで、封止の耳の長さが短いとその部分が水蒸気の侵入によるシンチレータ層劣化の要因となることが考えられる。よって、保護層の耳の長さは封止してなる保護層の防湿性能上で重要な意味を持っていることが分かる。
防湿性(水蒸気バリア性)としては透湿度が代表的な指標の1つである。この透湿度はJIS Z 0208にて定義され、単位としてg/(m・24h)である。ある材料の透湿度を論じる場合に、例えば単体である1組成からなる樹脂フィルムであれば単位に膜厚の次元を含んでいないために、膜厚を規定しなければ相対的な透湿度が決まらないこととなる。
逆に、市販のバリアフィルム材料のような複数層からなる複合材の場合においても特に厚さを気にする必要はない。一般的には、バリアフィルム材料の透湿度は最も防湿性(水蒸気バリア性)の高い層である防湿性層によって決まると考えてよい。すなわち、バリアフィルム材料の透湿度は防湿性層の透湿度であると考えてよい。これは、防湿性層の透湿度が他層より通常1〜3桁低い(=防湿性が1〜3桁高い)からである。
上述したように、封止した構成をとる場合に保護層の耳の部分は保護フィルムを通じて水蒸気の侵入によるシンチレータ層劣化の律速部分になり、理想的には下記式(A−2)に長さを取れれば良いこと分かる。但し、現実的には保護層の耳の部分は画像形成に寄与しない部分であるため短くし、より実用的にしたいという要求もある。また、保護層の耳の構成(A)の熱溶着層の厚さをAt、保護層の耳の構成(B)の熱溶着層と中間層の支持体の総厚さBtはμmオーダーと薄い。従って、保護フィルムの面積に占める保護層の耳の断面中のAtとBtの割合から考えると通常約1%程度と低い。具体的には、10cm×10cmの保護フィルムを封止し、保護層の耳の構成(A)の場合に熱溶着層の厚さAtが20μm(=0.02cm)であるとすると、保護フィルム面の総面積は100×2(上下面)=200cm。また、保護層の耳の熱溶着層の総面積は4方封止の場合では、10×0.02×2(上下面)×4(4方)=1.6cmよって(1.6/200)×100%=0.8%(約1%)となる。よって、保護層の耳を短く実用的にしたいことと、面積的な寄与度の観点から式(A−1)が考案される。
式(A−1):保護層の耳の長さ=保護層の耳を形成する第1保護フィルム及び第2保護フィルムの各防湿性層の間に存在する層の内で最も透湿度の高い層が、該耳の長さ方向において、第1保護フィルムの防湿性層の厚さ方向の透湿度の少なくとも2倍から同等となる長さ
式(A−2):保護層の耳の長さ=保護層の耳を形成する第1保護フィルム及び第2保護フィルムの各防湿性層の間に存在する層の内で最も透湿度の高い層が、該耳の長さ方向において、第1保護フィルムの防湿性層の厚さ方向の透湿度と同等となる長さ
尚、保護層の耳の長さ方向の透湿度の実測は困難であるため、最も透湿度の低い層のある膜厚当たりの測定結果を元に算出可能である。具体的には、1μmの厚さの透湿度が300g/(m・24h)であれば、100μm(=1mm)の厚さの透湿度は0.3g/(m・24h)となる。
図3は、図1(a)のA−A′に沿った概略断面及び平面受光素子と接触状態を示した図である。図3(a)は、図1(a)のA−A′に沿った概略拡大断面及び平面受光素子と接触状態を示した図である。図3(b)は、図3(a)のPで示される部分の概略拡大図である。
シンチレータプレート101は基板101aと、基板101aの上に形成されたシンチレータ層101bとを有している。102bはシンチレータプレート101の基板101a側に配置された第2保護フィルムを示す。108は第1保護フィルム102aとシンチレータ層101bとの間で部分的に接触している点接触部分E〜Iの間に形成された空隙部(空気層)を示す。空隙部(空気層)108は空気層となっており、空隙部(空気層)108の屈折率と第1保護フィルム102aの屈折率との関係は、保護フィルム102aの屈折率>>空隙部(空気層)108の屈折率となっている。
また109は第1保護フィルム102aと平面受光素子201との間で部分的に接触している点接触部分J〜Oの間に形成された空隙部(空気層)を示す。空隙部(空気層)109は空気層となっており、空隙部(空気層)109の屈折率と第1保護フィルム102aの屈折率との関係は、保護フィルム102aの屈折率>>空隙部(空気層)109の屈折率となっている。
尚、図1(b)、図1(c)に示されるシンチレータパネルの場合、空隙部(空気層)108及び109の屈折率と第1保護フィルム102aの屈折率との関係は、本図の場合と同じである。
即ち、シンチレータ層101b側に配置された第1保護フィルム102aはシンチレータ層101bと全面密着の状態とはなっていなく、点接触部分E〜Iで部分的に接触している状態となっている。シンチレータ層101b側に配置された第1保護フィルム102aでシンチレータ層101b側全面を覆うとき、この点接触部分E〜Hの箇所がシンチレータ層101bの表面積に対して0.1箇所/mm以上、25箇所/mm以下とすることが好ましい。本発明では、この様な状態をシンチレータ層側に配置された第1保護フィルムは実質的に接着していない状態と言う。尚、図1(b)、図1(c)に示されるシンチレータパネルの場合も、点接触部分の箇所の数とシンチレータ層の表面積に対する関係は本図の場合と同じである。
また第1保護フィルム102aは平面受光素子201と全面密着の状態とはなっておらず、点接触部分J〜Oで部分的に接触している状態となっている。この点接触部分J〜Oの箇所が平面受光素子201の表面積に対して0.1箇所/mm以上、25箇所/mm以下とすることが好ましい。
第1保護フィルム102aとシンチレータ層101bの点接触部分の数、及び第1保護フィルム102aと平面受光素子201の点接触部分の数がそれぞれ25箇所/mmを超える場合は、鮮鋭性が劣化する原因の一つになっている。点接触部分の数が0.1箇所/mm箇所未満の場合も、輝度や鮮鋭性が劣化する原因の一つになっている。
点接触部分の数の測定は、次の方法により行うことが可能である。
シンチレータパネルに対し、X線を照射し発光をCMOSやCCDを使用した平面受光素子で読み取り、信号値のデータを得る。このデータをフーリエ変換することより、空間周波数ごとのパワースペクトルデータを得る。このパワースペクトルのピークの位置より点接触部分の数を知ることができる。つまり保護層が接触している点部分と非接触の部分では微細な輝度差が発生し、この周期を測定することで接触点数を知ることが出来る。
但しこの方法では第1保護フィルム102aとシンチレータ層101bの点接触部分の数、及び第1保護フィルム102aと平面受光素子201の点接触部分の数の総和が検出されるため、それぞれの点接触数を分離するためには、例えば、第1保護フィルム102aとシンチレータ層101bを接着剤により完全密着し、第1保護フィルム102aと平面受光素子201の点接触部分の接触点数のみを測定する方法がある。
本図に示す様に、シンチレータパネル1aはシンチレータプレート101のシンチレータ層101b側に配置された第1保護フィルム102aと、基板101a側に配置された第2保護フィルム102bとで基板101a及びシンチレータ層101bの全面が第1保護フィルム102aで実質的に接着していない状態で覆われ、第1保護フィルム102aと第2保護フィルム102bの4辺の各端部を封止した形態となっている。
シンチレータ層101bの全面が第1保護フィルム102aで実質的に接着していない状態で覆う方法として次の方法が挙げられる。
1)第1保護フィルムのシンチレータ層と接触する表面の表面粗さを、第1保護フィルムとの密着性、鮮鋭性、平面受光素子との密着性等を考慮し、Raで0.05μm〜0.8μmとする。第1保護フィルムの表面形状は、使用する樹脂フィルムを選択することや樹脂フィルム表面に無機物等を含んだ塗膜を塗設することで容易に調整することが可能である。尚、表面粗さRaは、東京精密社製サーフコム1400Dにより測定した値を示す。
2)シンチレータプレートを第1保護フィルムと、第2保護フィルムとにより封止するとき、5Pa〜8000Paの減圧条件で行う。この場合、高真空側で封止すると保護フィルムとシンチレータ層の点接触部分の数は増加し、逆に低真空側で封止すると点接触部分の数は減少する。又圧力が8000Pa以上になると保護フィルム表面にシワが発生し易くなり現実的ではない。
上記の1)〜2)の方法を単独又は組み合わせることで、シンチレータ層101bの全面が第1保護フィルム102aで実質的に接着していない状態で覆うことが可能となる。
第1保護フィルム102aと平面受光素子201が実質的に接着していない状態にする方法としては次の方法が挙げられる。
1)シンチレータパネル1aと平面受光素子を重ねて配置した後、第2保護フィルム側からスポンジ等のフォーム材の弾性を利用して適度な圧力で押し付ける方法
上記の1)で、第1保護フィルム102aと平面受光素子201で実質的に接着していない状態にすることができる。
保護フィルムの厚さは、空隙部の形成性、シンチレータ層の保護性、鮮鋭性、防湿性、作業性等を考慮し、12μm以上、200μm以下が好ましく、更には20μm以上、40μm以下が好ましい。厚さは、(株)テクロック製触針式膜厚計(PG−01)により10箇所を測定し平均した値を示す。
ヘイズ率は、鮮鋭性、放射線画像ムラ、製造安定性、作業性等を考慮し、3%以上40%以下が好ましく、更には3%以上、10%以下が好ましい。ヘイズ率は、日本電色工業株式会社NDH 5000Wにより測定した値を示す。
保護フィルムの光透過率は、光電変換効率、シンチレータ発光波長等を考慮し、550nmで70%以上あることが好ましいが、99%以上の光透過率のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に99%〜70%が好ましい。光透過率は、株式会社日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U−1800)で測定した値を示す。
保護フィルムの透湿度は、シンチレータ層の保護性、潮解性等を考慮し50g/(m・24h)(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には10g/(m・24h)(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましい。
本図に示す様にシンチレータプレート101を第1保護フィルム102aと第2保護フィルム102bとで封止する方法は如何なる既知の方法でもかまわないが、例えばインパルスシーラーを使用した熱溶着で効率よく封止するため、保護フィルム102aと保護フィルム102bとの接触する最内層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることが好ましい。
図4は図3に示される空隙部108における光の屈折の状態と、従来の保護フィルムとシンチレータ層とが密着した状態における光の屈折の状態を示す模式図である。図4(a)は図3に示される空隙部108における光の屈折の状態を示す模式図である。図4(b)は従来の保護フィルムとシンチレータ層とが密着した状態における光の屈折の状態を示す模式図である。
図4(a)の場合に付き説明する。
本図に示される場合は、保護フィルムとシンチレータ層との間に空隙部(空気層)108が存在する状態にあるため、第1保護フィルム102aの屈折率と空隙部(空気層)108の屈折率との関係は、第1保護フィルムの屈折率>>空隙部(空気層)の屈折率となっている。このため、シンチレータ層面での発光した光R〜Tは、第1保護フィルム102aと空隙部(空気層)108の界面で反射されることなく(臨界角を有しない状態)保護フィルム内に入射し、入射した光は、空気層(低屈折率層)/保護フィルム/空気層と言う光学的対照構造により、保護フィルム−空気層界面で再反射することなく外部に放出されるため鮮鋭性の劣化の防止が可能となる。
図3(b)の場合に付き説明する。
本図に示される場合は、保護フィルムとシンチレータ層とが密着した状態にあるため、蛍光体面での発光した光X〜Zの内、臨界角θを超える角度の光Zは保護層−空気層と言う光学的非対照構造により、界面で全反射される割合が多くなる。このため、鮮鋭性が劣化する原因の一つになる。
本発明では、シンチレータプレートを第1保護フィルムと第2保護フィルムとにより封止するとき、図3(a)に示すようにシンチレータ層と第1保護フィルムの間を実質的に接着していない状態にすることと保護フィルムと平面受光素子面の間を実質的に接着していない状態にすることで鮮鋭性を劣化させないシンチレータパネルの製造が可能となった。
また、基板を、厚さ50μm以上500μm以下の高分子フィルムとすること及びシンチレータパネルの総厚を1mm以下にすることでシンチレータパネルが平面受光素子面形状に合った形状に変形し、フラットパネルディテクターの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られることが判明し、本発明に至った。
本発明では、図1〜図3に示す様に、シンチレータプレートを第1保護フィルムと第2保護フィルムとにより封止するとき、シンチレータ層を覆う第1保護フィルムを実質的に接着していない状態とすることで(シンチレータ層と第1保護フィルムの間に点接触箇所を設け、点接触箇所の間に空隙部(空気層)を設ける)次の効果が得られた。
1)強さの面で保護フィルムとして優れた物性を有していながら、屈折率が大であるために、鮮鋭性を低下させることから使用することが難しいかったポリプロプレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の使用が容易になり、高品質で長期の性能低下を防止したシンチレータパネルの製造が可能となった。
2)耐傷性の高い保護フィルムを、画質を劣化させることなく使用出来るようになるため、長期にわたる耐久性に優れたシンチレータパネルの実現が可能となった。
3)蛍光体結晶のライトガイド効果を阻害することなく、耐久性に優れた保護層が実現可能となった。
図5は基板の上に気相堆積法でシンチレータ層を形成する蒸着装置の模式図である。
図中、2は蒸着装置を示す。蒸着装置2は、真空容器201と、真空容器201内に設けられて基板3に蒸気を蒸着させる蒸発源202と、基板3を保持する基板ホルダ203と、基板ホルダ203を蒸発源202に対して回転させることによって蒸発源202からの蒸気を蒸着させる基板回転機構204と、真空容器201内の排気及び大気の導入を行う真空ポンプ205等を備えている。
蒸発源202は、シンチレータ層形成材料を収容して抵抗加熱法で加熱するため、ヒータを巻いたアルミナ製のルツボから構成してもよいし、ボートや、高融点金属からなるヒータから構成してもよい。又、シンチレータ層形成材料を加熱する方法は、抵抗加熱法以外に電子ビームによる加熱や、高周波誘導による加熱等の方法でもよいが、本発明では、比較的簡単な構成で取り扱いが容易、安価、且つ、非常に多くの物質に適用可能である点から抵抗加熱法が好ましい。又、蒸発源202は分子源エピタキシャル法による分子線源でもよい。
支持体回転機構204は、例えば、基板ホルダ203を支持するとともに基板ホルダ204を回転させる回転軸204aと、真空容器201外に配置されて回転軸204aの駆動源となるモータ(図示しない)等から構成されている。
又、基板ホルダ203には、基板3を加熱する加熱ヒータ(図示しない)を備えることが好ましい。基板3を加熱することによって、基板3の表面の吸着物を離脱・除去し、基板3の表面とシンチレータ層形成材料との間に不純物層の発生を防いだり、密着性の強化やシンチレータ層の膜質調整を行ったりすることが出来る。
更に、基板3と蒸発源202との間に、蒸発源202から基板3に至る空間を遮断するシャッタ(図示しない)を備えるようにしてもよい。シャッタによってシンチレータ層形成材料の表面に付着した目的物以外の物質が蒸着の初期段階で蒸発し、基板3に付着するのを防ぐことが出来る。
この様に構成された蒸着装置2を使用して、基板3にシンチレータ層を形成するには、まず、基板ホルダ203に支持体3を取り付ける。次いで、真空容器201内を真空排気する。その後、支持体回転機構204により基板ホルダ203を蒸発源202に対して回転させ、蒸着可能な真空度に真空容器201が達したら、加熱された蒸発源202からシンチレータ層形成材料を蒸発させて、基板3の表面に蛍光体を所望の厚さに成長させる。蒸着時の真空度はアルゴン等の不活性ガスを真空容器の内部に導入することにより、5Pa以下、より好ましくは0.001〜1.0Pa以下の真空雰囲気下であることが好ましい。この場合において、基板3と蒸発源202の間隔は、100mm〜1500mmに設置するのが好ましい。尚、蒸発源として使用するシンチレータ層形成材料は、加圧圧縮によりタブレットの形状に加工しておいてもよいし、粉末状態でもよい。又、シンチレータ層形成材料の代わりにその原料もしくは原料混合物を用いても構わない。
(放射線フラットパネルディテクター)
本発明に係る放射線フラットパネルディテクターは平面受光素子面がシンチレータパネルからの発光を電荷に変換することで画像をデジタルデータ化することが可能となる。
直接蒸着型(一体型)では平面受光素子面に直接蒸着を行い平面受光素子とシンチレータ層が一体のシンチレータとなるが、本発明の間接蒸着型(分離独立型)では平面受光素子面上にシンチレータパネルを置く構成となる。この際、シンチレータパネルは平面受光素子面に物理化学的に接着されていないことを特徴とする。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
(シンチレータプレートの作製)
(基板の準備)
基板として、厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(90mm×90mm)を準備した。
(反射層の形成)
ポリイミド(PI)フィルム基板に関しては、片方の面に銀をスパッタにより0.2μm(2000Å)の厚さに設置した。
(下引層の形成)
樹脂下引層A:
バイロン630(東洋紡社製:高分子ポリエステル樹脂) 100質量部
メチルエチルケトン(MEK) 100質量部
トルエン 100質量部
上記処方を混合し、ビーズミルにて15時間分散し、下引き塗設用の塗布液を得た。この塗布液を上記基板面に乾燥膜厚が1.0μmになるようにバーコーターで塗布したのち100℃で8時間乾燥することで下引層を作製した。
(シンチレータ層の形成)
図5に示す蒸着装置を使用して、準備した基板に蛍光体(CsI:0.003Tl)を蒸着させシンチレータ層を形成し、シンチレータプレートを作製した。
蛍光体原料(CsI:0.003Tl)を抵抗加熱ルツボに充填し、支持体ホルダに基板を設置し、抵抗加熱ルツボと基板との間隔を400mmに調節した。続いて蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して0.5Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で基板を回転しながら基板の温度を140℃に保持した。次いで、抵抗加熱ルツボを加熱して蛍光体を蒸着しシンチレータ層の膜厚が600μmとなったところで蒸着を終了し、シンチレータプレートを得た。
(シンチレータプレートのアニール)
シンチレータプレートについて、窒素雰囲気下のイナートオーブンの中で150℃3時間のアニールを行った。
次に、アニールを施したシンチレータプレートの角を、図5に示すように加工し、シンチレータプレートを用意した。
(保護フィルムの準備)
第1保護フィルムと第2保護フィルムとして表1に示すように準備した。
この接着層はポリオール−イソシアネート系(=ウレタン系)接着剤からなり、ドライラミネート法により積層した。
(シンチレータパネルの作製)
準備したシンチレータプレートを、準備した保護フィルムを使用し、図1(c)に示す形態に封止しシンチレータパネルを作製した。
尚、封止は、減圧1000Pa条件下で、融着部となる保護層の耳の長さが3.5mmとなるようにシール(融着)した。融着に使用したインパルスシーラーのヒータは5mm幅のものを使用した。
(発光輝度の測定)
放射線画像変換パネルを、10cm×10cmの大きさのCMOSフラットパネル(ラドアイコン社製X線CMOSカメラシステムShadow_Box 4KEV)にセットし、管電圧80kVpのX線を各試料の裏面(シンチレータ蛍光体層が形成されていない面)から照射し、測定カウント値を発光輝度(感度)とした。ただし、比較例1のシンチレータパネルの発光輝度を1.0とする相対値で表す。
(耐湿試験)
20℃5.5時間→昇温0.5時間→30℃80%RH5時間→降温1時間→20℃の加湿サイクルサーモ7日を行い、このサンプルの鮮鋭性の劣化率を測定した(鮮鋭性評価方法は後述する。)。
鮮鋭性の劣化率={1−(試験後の鮮鋭性/初期の鮮鋭性)}×100%
鮮鋭性の劣化率から下記のように評価した。
◎ 0〜5%未満
○ 5〜20%未満
△ 20〜30%未満
× 30%以上
(耐湿試験での特異的な故障発生率)
上記の耐湿試験を1000サンプル行った場合の特異的な故障発生率を以下のように算出した。
尚、特異的な故障発生とは上記の◎、○、△、×を4つのランクとして平均値から2ランク下がる評価サンプルを意味する。
また、特異的な故障発生サンプルの発生率を特異的な故障発生率(式1)とする。
特異的な故障発生率=(特異的な故障発生サンプル枚数/評価サンプル1000枚)×100%・・・(式1)
上記の特異的な故障発生率から下記のように評価した。
◎ 0%
○ 0超〜5%未満
△ 5〜20%未満
× 20%以上
(鮮鋭性評価)
各試料を縦10cm×横10cmのCMOSフラットパネル(ラドアイコン社製X線CMOSカメラシステムShad−o−Box 4KEV)にセットし、12bitの出力データよりMTFを試料ごとに測定・算出する。
具体的には、鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線を各試料の裏面(蛍光体層が形成されていない面)から照射し、画像データをCMOSフラットパネルで検出してハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の記録をコンピュータで分析して当該ハードディスクに記録されたX線像の変調伝達関数(MTF(Modulation Transfer Function))を算出した。その算出結果(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値(%))を求めた。MTF値が高いほど鮮鋭性に優れている。
(画像ムラ、線状ノイズの評価)
各試料を、10cm×10cmの大きさのCMOSフラットパネル(ラドアイコン社製X線CMOSカメラシステムShad−o−Box 4KEV)にセットし、管電圧80kVpのX線を各試料の裏面(シンチレータ蛍光体層が形成されていない面)から照射し、ベタ画像を撮影した。これを画像再生装置によって画像として再生し出力装置より2倍に拡大してプリントアウトし、得られたプリント画像を目視により観察して画像ムラや線状ノイズの出現を評価した。画像ムラ及び線状ノイズそれぞれについて下記のように評価し表1に示した。
◎: 画像ムラや線状ノイズが全くない
○: 面内の1〜2ヵ所未満に淡い画像ムラや線状ノイズが見られる
△: 面内の2〜4ヵ所未満に淡い画像ムラや線状ノイズが見られる
×: 面内の4ヵ所以上に画像ムラや線状ノイズが見られるが、濃いところが5ヵ所未満
以上の評価結果等を表1〜3にまとめて示す。
Figure 2009300213
Figure 2009300213
Figure 2009300213
表3に示した結果から明らかなように、本発明に係る実施例においては、発光輝度を維持した状態で、耐湿試験での鮮鋭性の劣化率及び特異的な故障発生率が低く、画像ムラ及び線状ノイズが顕著に少ないことが分かる。
シンチレータパネルの概略平面図 シンチレータパネルの構成と保護層の耳の構成の例を示した模式図 図1(a)のA−A′に沿った概略断面図 図3に示される空隙部における光の屈折の状態と、従来の保護フィルムとシンチレータ層(蛍光体層)とが密着した状態における光の屈折の状態を示す模式図 基板の上に気相堆積法でシンチレータ層を形成する蒸着装置の模式図
符号の説明
1a〜1c シンチレータパネル
101 シンチレータプレート
101a、3 基板
101b シンチレータ層(蛍光体層)
101c 反射層
101d 樹脂下引層
102a、104 第1保護フィルム
102b 第2保護フィルム
103a〜103d、105a、105b、107a〜107c 封止部
108 空隙部(空気層)
E〜H 点接触部分
R〜T、X〜Z 光
2 蒸着装置
201 真空容器
202 蒸発源
203 基板ホルダ
204 基板回転機構
205 真空ポンプ

Claims (11)

  1. 基板上にシンチレータ層を有するシンチレータプレートであって、当該シンチレータ層が、その構成要素として、蛍光体柱状結晶と充填材を含有し、かつ当該シンチレータプレートの全体が、保護層で覆われていることを特徴とするシンチレータパネル。
  2. 前記充填材の屈折率(nD25)が、1.70以下であることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータパネル。
  3. 前記の充填材が、有機物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシンチレータパネル。
  4. 前記の充填材が、液体であり、当該液体に対する前記シンチレータ層を構成する蛍光体の溶解度が、0.1以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  5. 前記充填材としての液体が、フッ素系撥水性液体及びシリコーン系撥水性液体の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  6. 前記の充填材が、気相成長法により形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  7. 前記蛍光体柱状結晶が、ヨウ化セシウムを含有し、気相成長法により形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  8. 前記基板が、耐熱性樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  9. 前記充填材の屈折率(nD25)が、1.40以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  10. 前記基板とシンチレータ層の間に、反射層及び下引層の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のシンチレータパネルと平面受光素子を備えた放射線フラットパネルディテクターであって、当該シンチレータパネルが、平面受光素子面に物理化学的に接着されていないことを特徴とする放射線フラットパネルディテクター。
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