JP2009298757A - 外用組成物及び外用組成物の製造方法 - Google Patents

外用組成物及び外用組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セラミド類を含有すると共に、分散安定性に優れ、保湿効果の高い外用剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】セラミド類の良溶媒、例えばエタノールのような水溶性有機溶媒に、セラミド類、好ましくは2種以上のセラミド類の組み合わせを溶解した第1相と、水相である第2相とを混合することによって形成された粒径0.2μm以下のセラミド類含有粒子と、スフィンゴシン類と、を含有する外用組成物であり、好ましくは、更に多価アルコールを含み、多価アルコールの存在下でセラミド類含有粒子を形成して得られた外用組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、外用組成物及び外用組成物の製造方法に関し、特にセラミド類を含有する外用組成物及びその製造方法に関する。
セラミドは、皮膚の角質層に存在し、水分保持に必要な脂質バリアを構築し、水分を維持していくために重要な役割を果たしている。角質層にあるセラミドは、セレブロシドが、セレブロシダーゼという酵素により分解して生成したものである。セラミドの一部は、セラミダーゼと呼ばれる酵素により、フィトスフィンゴシンおよびスフィンゴシンに変化し、細胞の増殖および分化の調節剤として重要であることが知られている。人間の皮膚には、7種類の異なったタイプのセラミドが存在し、機能もそれぞれ異なっている。
しかしながら、セラミドは結晶性の高い物質であり、他の油剤への溶解性が低く、低温で結晶を析出する等の理由のため、化粧料に配合する場合、安定性を確保することが困難であった。
透明に可溶化し、セラミドを安定に配合する技術として、特定の脂肪酸や特定の界面活性剤を配合することが開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。しかしながら、これらの技術では、セラミドを透明に可溶化するために界面活性剤の配合を多くする必要があり、そのため安全性や使用感を損なう場合があった。
一方、優れた使用感を得るために界面活性剤の配合量を少なくした場合には、セラミドを透明に可溶化しきれず白濁ないし半透明の乳濁状になることが多い。この場合、経時での分離やクリーミングが起こり、十分な経時安定性を確保することが難しい状況にあった。
また、界面活性剤は乳化状態を安定に維持することができるが、一般に、この界面活性剤によってセラミドなどの脂質成分が形成する角層のラメラ構造が破壊され、目的とする皮膚の水分保持機能の亢進・維持や皮膚機能の改善・修復が阻害されてしまう。このような理由から、現状ではこれらの脂質を用いた製剤を皮膚へ適用しても、十分な効果を得ることができなかった。
また、セラミドを、界面活性剤を使用せずに乳化・分散する方法として、セラミド前駆体であるスフィンゴシン、フィトスフィンゴシンなどのスフィンゴシン類と混合、分散安定化をする方法が特許文献3に記載されている。しかしながら、特許文献3に記載の方法では、セラミドとフィトスフィンゴシン類を加熱下で水と混合、高シェア下(ホモミキサー)での乳化・分散方法を使用しており、このような従来から行われている攪拌力による乳化・分散では、粒径が小さい粒子を作成するのは困難であった。
特開2000−139796号公報 特開2001−316217号公報 特開2003−171229号公報
本発明は、セラミド類を含有すると共に、分散安定性に優れ、保湿効果の高い外用組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
[1] セラミド類の良溶媒にセラミド類を溶解した第1相を水相である第2相とを混合することによって形成された粒径0.2μm以下のセラミド類含有粒子と、スフィンゴシン類と、を含有する外用組成物。
用組成物。
[2] 前記セラミド類の良溶媒が水溶性有機溶媒である[1]記載の外用組成物
[3] 前記セラミド類含有粒子中にセラミド類が、該粒子全質量に対して20質量%以上含まれる[1]又は[2]に記載の粉末組成物。
[4] 前記セラミド類が、2種以上のセラミド類の組み合わせである[1]〜[3]のいずれか記載の外用組成物。
[5] 前記セラミド類が天然型セラミドである[1]〜[4]のいずれかに記載の外用組成物。
[6] 前記セラミド類含有粒子の粒径が0.1μm以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の外用組成物。
[7] 多価アルコールを更に含有する[1]〜[6]のいずれかに記載の外用組成物。
[8] 前記セラミド類が、前記スフィンゴシン類1質量部に対して1.2〜5.0質量部である[1]〜[7]のいずれかに記載の外用組成物。
[9] 前記セラミド類含有粒子が、セラミド類1質量部に対して10質量部以下の、前記セラミド類以外の他の油成分を含む[1]〜[8]のいずれかに記載の外用組成物。
[10] 界面活性剤の含有量が、外用組成物の全質量に対して2質量%以下又は0質量%である[1]〜[9]のいずれかに記載の外用組成物。
[11] セラミド類の良溶媒にセラミド類及びスフィンゴシンを溶解して得られた第1相と水相である第2相とを混合して、粒径0.2μm以下のセラミド類含有粒子を形成し、当該セラミド類含有粒子とスフィンゴシン類とを含有する外用組成物を得ること、を含む外用組成物の製造方法。
[12] 前記セラミド類の良溶媒が水溶性有機溶媒である[11]記載の外用組成物の製造方法。
[13] 前記セラミド類含有粒子の形成が、多価アルコール存在下で行われる[11]又は[12]に記載の外用組成物の製造方法。
[14] 前記第1相と第2相との混合が、各相を、最も狭い部分の断面積が1μm〜1mmであるマイクロ流路にそれぞれ独立して通過させた後に組み合わせて混合するものである[11]〜[13]のいずれかに記載の外用組成物の製造方法。
[15] 前記混合が、対向流衝突により行なわれる[11]〜[14]のいずれかに記載の外用組成物の製造方法。
本発明によれば、セラミド類を含有すると共に、分散安定性に優れ、保湿効果の高い外用剤及びその製造方法を提供することができる。
本発明の外用剤組成物は、セラミド類の良溶媒にセラミド類を溶解した第1相と水相である第2相とを混合することによって形成された粒径(体積平均粒子経)0.2μm以下のセラミド類含有粒子と、スフィンゴシン類と、を含有するものである。
本発明においてセラミド類含有粒子は、セラミド類の良溶媒を用いてセラミド類を溶解した後に水相と混合することによって得られた0.2μm以下の微細なものである。本発明の外用組成物は、更にスフィンゴシン類を含有することによって、分散安定性と保湿効果の双方を高いものにすることができる。
本発明における外用組成物は、セラミド類を含有する微細なセラミド類含有粒子を分散粒子として含有する形態のものであればよく、セラミド類単独で又は他の油成分と共に形成された油滴又は油滴様の分散粒子を油相として水相中に含有するエマルションの形態であってもよい。
以下、本発明の外用組成物について説明する。
[セラミド類]
本発明におけるセラミド類は、セラミド及びその誘導体を包含するものであり、合成品、抽出品等の由来は問わず、天然型セラミド類、スフィンゴ糖脂質などの糖修飾セラミドなどセラミド、及びセラミド類縁体のいずれであってもよい。
(天然型セラミド類)
本発明においてセラミド類縁体として好適に用いうる天然型セラミドの基本構造式の例を(1−1)〜(1−9)に示す。(1−1)はセラミド1、(1−2)はセラミド9、(1−3)はセラミド4、(1−4)はセラミド2、(1−5)はセラミド3、(1−6)はセラミド5、(1−7)はセラミド6、(1−8)はセラミド7、(1−9)はセラミド8として知られた化合物である。
前記構造式は、それぞれのセラミドについての一例を示しているが、天然物であるために、実際にヒトや動物等に由来するセラミドは、上記アルキル鎖の長さには様々な変形例が存在し、上記骨格を有するものであれば、アルキル鎖長については、いかなる構造のものでもよい。
また、製剤化などの目的で溶解性を付与するために、分子内に二重結合を導入したり、浸透性を付与するために疎水基を導入したり、上記セラミド類に目的に応じて修飾を加えたものを用いることもできる。
これら天然型と称される一般的な構造を有するセラミドは、天然物(抽出物)であっても合成物であってもよく、市販のものを目的に応じて用いることができる。
これらのセラミドはヒトの肌にある構造と同様の(D(−)体)の光学活性体を用いてもよいし、L体の光学活性体やラセミ体を用いてもよい。また、光学活性体とラセミ体の混合物を用いてもよい。
なお、外用組成物を皮膚のエモリエントなどの目的に使用する場合には、バリア効果の観点から、天然型の光学活性体を使用するのが好ましい。
このような天然型セラミド類は市販品としても入手可能であり、例えば、Ceramide I、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、ボニック(旧デグサ)社製)、Ceramide TIC-001(高砂香料社製)、CERAMIDE II(Quest International社製)、DS-Ceramide VI、DS-CLA-Phytoceramide、C6-Phytoceramide、DS-ceramide Y3S(DOOSAN社製)、CERAMIDE2(セダーマ社製)等が挙げられる。また、前記例示化合物(1−5)は、「セラミド3」〔商品名、エボニック(旧デグサ)社製〕として、前記例示化合物(1−7)は、「セラミド6」〔商品名、エボニック(旧デグサ)社製〕として入手可能である。
(糖修飾セラミド)
本発明における糖修飾セラミドは、分子内に糖類を含むセラミド化合物(スフィンゴ糖脂質ともいう)である。分子中に含まれる糖類としては、例えば、グルコース、ガラクトースなどの単糖類、ラクトース、マルトースなどの二糖類、さらには、これらの単糖類や二糖類をグルコシド結合により高分子化したオリゴ糖類、多糖類などが挙げられる。また、糖の単位が、ヒドロキシル基を他の基で置き換えた糖誘導体であっても構わない。例えば、グルコサミンやクルクロン酸、N−アセチルグルコサミンなどがある。
中でも、分散安定性の観点から、糖単位の数が1〜5である糖類が好ましく、具体的には、グルコース、ラクトースが好ましく、グルコースがより好ましい。
これらの糖修飾セラミドは、合成によっても、市販品としても入手可能である。例えば、下記の具体例(4−1)は、岡安商店、〔商品名〕コメスフィンゴ糖脂質として入手可能である。
本発明に使用できる糖修飾セラミドとしては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(セラミド類縁体)
本発明におけるセラミド類縁体として、セラミド類の構造を模倣して合成されたセラミド類似体を用いてもよい。
このようなセラミド類似体としては、例えば、下記構造式で示されるようなセラミド類似体を挙げることができる。
本発明におけるセラミド類似体としては、例えば、本発明の外用組成物を化粧品として使用した際の使用感と保湿感等の観点から、天然型セラミドや糖修飾セラミドの類似体であることが好ましく、天然型セラミドの類似体であることがより好ましい。
本発明におけるセラミド類としては、化粧品として使用した際の使用感と保湿感等の観点から、天然型セラミド、糖修飾セラミドであることが好ましく、天然型セラミドであることがより好ましい。
また、使用するセラミド類は単独で用いてもよいが、2種以上のセラミド類の組み合わせとすることが、セラミド類全体としての融点及び結晶性を適度に調整して経時での結晶析出を回避することができるので、乳化安定性・取り扱い性の観点から好ましい。中でも、天然型のセラミドを2種以上組み合わせたものとすることが、最も好ましい。
セラミド類を複数種組み合わせ使用する場合には、組み合わされるセラミド類の種類及び量比について特に限定はないが、溶解性、結晶性抑制の観点から、セラミド2、3、4の組み合わせが好ましく、部分的に、セラミド3Aや3Bのように溶解性の高いセラミドを併用することが好ましい。
本発明の外用組成物におけるセラミド類の含有量としては、0.01質量%〜5質量%の範囲であることが、保湿性及び使用者の感触の観点から好ましく、0.1質量%〜3質量%の範囲であることより好ましい。
また、セラミド類の粒子中の含有量は、保湿性の観点から粒子の全質量に対して20質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが最も好ましい。
[スフィンゴシン類]
本発明の外用組成物では、上述したセラミド類に加えて、スフィンゴシンを含有する。本発明の外用組成物におけるスフィンゴシン類とセラミド類との量比は特に限定されないが、保存安定性及び外用組成物の使用感の観点から、好ましくはスフィンゴ類1質量部に対してセラミド類が1.2〜5.0質量部であり、より好ましくは1.2〜4.0質量部であり、より好ましくは、1.2〜3.0質量部である。なお、上記セラミド類には、スフィンゴシンは含まれない。
本発明の外用組成物に含有されるスフィンゴシン類は、外用組成物に含有されていればよいが、セラミド類と共にセラミド類含有粒子を構成していることが、分散粒子の分散安定性及び外用組成物の保湿性の観点から好ましい。
本発明におけるスフィンゴシンとしては、合成品、抽出品等の由来は問わず、天然型のスフィンゴシン、スフィンゴシン類縁体を使用することができる。
天然型スフィンゴシンとしては、具体的には、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、デヒドロスフィンゴシン、デヒドロフィトス20 フィンゴシン、及びこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)、アセチル化体等が挙げられる。
これらのスフィンゴシンは天然型(D(−)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(+)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。特にPHYTOSPHINGOSINE (INCI名;8th Edition) 及び次式で表わされるものが好ましい。
スフィンゴシン類は、天然からの抽出品、合成品のいずれを用いてもよい。また、合成によっても、市販品としても入手可能である。天然型スフィンゴシン類の市販のものとしては、例えば、D-Sphingosine (4-Sphingenine) (SIGMA-ALDRICH社)、DSphytosphingosine (DOOSAN社)、phytosphingosine(エボニック(旧デグサ)社)が挙げられ、さらに、前記例示化合物(5−5)は、エボニック(旧デグサ)社製、「フィトスフィンゴシン」(商品名)として入手可能である。
(酸)
本発明におけるスフィンゴシン類は、その化合物と塩を形成しうる酸性残基を有する化合物を併用することが好ましい。酸性残基を有する化合物としては、無機酸又は炭素数5以下の有機酸が好ましい。
無機酸としては、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、炭酸等が挙げられ、リン酸、塩酸が好ましい。
有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸等のモノカルボン酸;コハク酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸等のジカルボン酸;グリコール酸、クエン酸、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、酒石酸等のオキシカルボン40酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸等が挙げられる。これらの化合物としては、リン酸、塩酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好ましく、特に乳酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等が好ましい。
併用される酸は、スフィンゴシン類とあらかじめ混合して用いてもよく、セラミド類含有粒子の形成時に添加してもよく、粒子形成後にpH調整剤として添加して使用してもよい。
酸を併用する場合、添加量としては、用いられるスフィンゴシン類100質量部に対して、1〜50質量部程度であることが好ましい。
[多価アルコール]
本発明の外用組成物は、多価アルコールを更に含むことが好ましい。
多価アルコールは、保湿機能や粘度調整機能等を有しているほか、水と油脂成分との界面張力を低下させ、界面を広がりやすくし、微細で、かつ、安定な微粒子を形成しやすくする機能も有している。このため、本発明の外用組成物が多価アルコールを含有することは、セラミド類含有粒子の粒径をより微細化でき、かつ該粒径が微細な粒径の状態のまま長期に亘り安定して保持できるとの観点から好ましい。
また、多価アルコールの添加により、セラミド分散組成物の水分活性を下げることができ、微生物の繁殖を抑えることができるという利点も有する。
このような多価アルコールは、本発明の外用組成物に含まれていればよいが、後述するように外用組成物の分散安定性の観点から、水相の添加成分として含まれることが好ましく、セラミド類含有粒子の形成時に存在していることがより好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールは、分子内に水酸基を2個以上有するもので、一般に化粧料に用いられるものであればよく、例えばグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。特にエチルアルコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリエチレングリコール等が経時(保存)安定性の観点から好ましい。
上述したような条件を満足する多価アルコールの中でも、特に、1,3−ブタンジオール、グリセリンを用いた場合、セラミド類含有粒子の粒径がより小さくなり、かつ該粒子径が小さいまま長期に亘り安定して保持されるため、好ましい。また、抗菌性との両立、使用感との両立という観点から、1,3−ブタンジオールを使用することが最も好ましい。
前記多価アルコールの含有量は、前述の粒子径、安定性、防腐性に加えて、外用組成物の粘度の観点から、外用組成物に対して0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1.0〜20質量%である。
多価アルコールの含有量が10質量%以上であると、油脂成分の種類や含有量等によっても、十分な保存安定性が得られ易い点で好ましい。一方、多価アルコールの含有量が60質量%以下であると、最大限の効果が得られ、外用組成物の粘度が高くなるのを抑え易い点で好ましい。
[他の油成分]
本発明の外用組成物は、セラミド類及びスフィンゴシン類とは異なる他の油成分を含有していてもよい。この場合、他の油成分はセラミド類含有粒子中に存在してもよいし、セラミド類含有粒子とは別に、外用剤中に添加してもよい。
本発明における他の油成分は、セラミド類含有粒子内にある場合は、セラミド類1質量部に対して10質量部以下の量で含有されていることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
なお、本発明における油成分とは、常温で液体の油(オイル)、常温で半固体または固体の油脂類など油溶性成分をいう。
ここで併用されるセラミド類縁体とは異なる油成分には特に制限はなく、外用組成物の使用目的に応じて添加される有効成分としての油成分であってもよく、また、分散安定性や皮膚に対する使用感の改善や組成物の物性制御のために用いられる油成分であってもよい。
本発明における他の油成分として、分散安定性向上の観点からステノン、ステロールの少なくとも一つを含むことができる
本発明の外用組成物を化粧品用途、医薬品用途に用いる場合は、水性媒体、特に水に不溶または難溶の化粧品用機能性材料や医薬品用機能性材料を、油成分として含むことが好ましい。本発明の外用組成物が、例えば後述するアスタキサンチン等の機能性油成分を含むことで、本発明の外用組成物に優れたエモリエント効果、皮膚の老化防止効果や酸化防止効果を付与することができる。
本発明で使用することのできる油成分としては、特に限定は無いが、カロチノイド類、トコフェロール等の油溶性ビタミンを含むラジカル捕捉剤、またココナッツ油等の油脂類が好ましく用いられる。
なお、水性媒体に不溶とは、水性媒体100mLに対する溶解度が、25℃において、0.01g以下であることをいい、水性媒体に難溶とは、水性媒体100mLに対する溶解度が、25℃において、0.01gを超え0.1g以下であることをいう。
(カロチノイド類)
前記油成分としては、天然色素を含むカロチノイド類を好ましく用いることができる。
本発明の外用組成物に使用可能なカロチノイド類は、黄色から赤のテルペノイド類の色素であり、植物類、藻類、及びバクテリア等の天然物のものを含む。
また、天然由来のものに限定されず、常法に従って得られるものであればいずれのものも、本発明におけるカロチノイドに含まれる。例えば、後述のカロチノイド類のカロチン類の多くは合成によっても製造されており、市販のβ−カロチンの多くは合成により製造されている。
カロチノイド類としては、炭化水素類(カロチン類)及びそれらの酸化アルコール誘導体類(キサントフィル類)が挙げられる。
カロチノイド類としては、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロチン、β−カロチン、”カロチン”(α−及びβ−カロチン類の混合物)、γ−カロチン、β−クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類が挙げられる。
(油脂類)
他の油成分として用いられる油脂類としては、常温で、液体の油脂(脂肪油)及び固体の油脂(脂肪)が挙げられる。
前記液体の油脂としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、月見草油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルチミン酸グリセリン、サラダ油、サフラワー油(ベニバナ油)、パーム油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油等が挙げられる。
また、前記固体の油脂としては、牛脂、硬化牛脂、牛脚脂、牛骨脂、ミンク油、卵黄油、豚脂、馬脂、羊脂、硬化油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
上記の中でも、外用組成物の分散粒子径、安定性の観点から、中鎖脂肪酸トリグリセライドである、ココナッツ油が、好ましく用いられる。
本発明において、前記油脂は市販品を用いることができる。また、本発明において、前記油脂は1種単独で用いても混合して用いてもよい。
本発明に使用しうる他の油成分であるフェノール性水酸基を有する化合物として、ポリフェノール類(例えば、カテキン)、グアヤク脂、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、没食子酸エステル類、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ビタミンE類およびビスフェノール類等が挙げられる。没食子酸エステル類として、没食子酸プロピル、没食子酸ブチルおよび没食子酸オクチルが挙げられる。
また、アミン系化合物として、フェニレンジアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミンまたは4−アミノ−p−ジフェニルアミンが挙げられ、ジフェニル−p−フェニレンジアミンまたは4−アミノ−p−ジフェニルアミンがより好ましい。
アスコルビン酸、エリソルビン酸の油溶化誘導体として、ステアリン酸L−アスコルビルエステル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸L−アスコルビルエステル、パルミチン酸エリソルビルエステル、テトライソパルミチン酸エリソルビルエステル、などが挙げられる。
以上の中でも、安全性、及び、酸化防止の機能に優れる観点から、特にビタミンE類が好ましく用いられる。
ビタミンE類としては、特に限定されず、例えばトコフェロール及びその誘導体からなる化合物群、並びにトコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群から選ばれるものを挙げることができる。これらは単独で用いても、複数併用して用いてもよい。またトコフェノール及びその誘導体からなる化合物群とトコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群からそれぞれ選択されたものを組み合わせて使用してもよい。
トコフェロール及びその誘導体からなる化合物群としては、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等が含まれる。これらの内で、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、及び、これらの混合物(ミックストコフェロール)がより好ましい。また、トコフェロール誘導体としては、これらの酢酸エステルが好ましく用いられる。
トコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群としては、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等が含まれる。また、トコトリエノール誘導体としては、これらの酢酸エステルが好ましく用いられる。トコトリエノールは麦類、米糠、パーム油等に含まれるトコフェロール類似化合物で、トコフェロールの側鎖部分に二重結合が3個含まれ、優れた酸化防止性能を有する。
これらのビタミンE類は、油溶性酸化防止剤として本外用組成物の特に油相に含まれていることが、効果的に油成分の酸化防止機能を発揮することができるため好ましい。上記ビタミンE類の中でも酸化防止効果の観点から、トコトリエノール及びその誘導体からなる化合物群から選択されたものを少なくとも1種を含有することが更に好ましい。
本発明の外用組成物において、このような他の油成分を用いる場合の含有量としては、外用組成物の医薬品、化粧料への応用を考慮すれば、分散粒子径・乳化安定性の観点から、好ましくは0.1質量%〜50質量%、より好ましくは0.2質量%〜25質量%、更に好ましくは0.5質量%〜10質量%である。
油成分の含有量を前記0.1質量%以上とすると、有効成分の効能を十分に発揮できることから、外用組成物の医薬品、化粧品へ応用し易くなる。一方、50質量%以下であると、分散粒子径の増大や乳化安定性の悪化を抑制し、安定な組成物が得られる。
[水溶性高分子]
本発明の外用組成物では、保存安定性の観点から水相側に水溶性高分子を含有することができる。
本発明に使用される水溶性高分子は、少なくとも0.001質量%程度水(25℃)に溶解する高分子であれば何を用いてもよい。
本発明に用いうる水溶性高分子としては、ペクチン、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タマリンド種子多糖、アラビアガム、トラガカントガム、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、等の多糖類;
カゼイン、アルブミン、メチル化コラーゲン、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン等のタンパク質;
カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酸化エチレン・酸化プロピレンブロック共重合体等の合成高分子;
ヒドロキシエチルセルロース・メチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;
などが挙げられる。
本発明に用いうる水溶性高分子は、合成されたものであっても、天然物であってもよいが、なかでも、天然高分子が好ましく、天然に存在する高分子である多糖類、蛋白質などが好ましく用いられる。
より好ましい例を挙げれば、コラーゲン誘導体、多糖類、ヒアルロン酸類が挙げられ、後述するセラミド類縁体粒子の安定化及び工程適性の点で、コラーゲン誘導体としては、重量平均分子量5000以下のものが好ましく、より好ましくは、200〜3000の範囲である。また、多糖類としては、具体的には、キサンタンガム、カッパーカラギーナン、デキストランなどが好ましく挙げられ、重量平均分子量300万以下のものが好ましく、より好ましい分子量としては、1万〜200万の範囲である。ヒアルロン酸類としては、重量平均分子量が30万以下のものが好ましく用いられ、より好ましい分子量は5000〜20万の範囲である。
なお、これらの高分子の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した値を用いている。
本発明の外用組成物には、水溶性高分子は1種のみを用いてもよく、目的に応じて2種以上を併用してもよい。
外用組成物における水溶性高分子の含有量は、0.001〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.01〜1質量%の範囲であることがより好ましい。
含有量が上記範囲において、べとつかず良好な感触が得られるなどの利点を有することになる。
[その他の成分]
上記の成分の他に必要に応じて、皮膚外用剤で使用される成分を適宜用いることができる。例えば、グリシンベタイン・キシリトール・トレハロース・尿素・中性アミノ酸・塩基性アミノ酸等の保湿剤、スクワラン・流動パラフィン・イソノナン酸イソトリデシル・イソステアリン酸コレステリル等の油剤、アラントイン等の薬効剤、塩化ジメチルジステアリルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油・ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、セルロースパウダー・ナイロンパウダー・架橋型シリコーン末・架橋型メチルポリシロキサン・多孔質セルロースパウダー・多孔質ナイロンパウダー等の有機粉体、無水シリカ・酸化亜鉛・酸化チタン等の無機粉体、メントール・カンファー等の清涼剤などの他、植物エキス、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、殺菌剤、色素等が挙げられる。
[界面活性剤]
本発明の外用組成物では、上述した各配合成分を組み合わせることによって良好な分散安定性を奏することができるので、界面活性剤を大量に使用する必要がなく、外用組成物は、少量の界面活性剤を含有するものとすることができる。界面活性剤の含有量は、例えば外用組成物全体の質量に対して2質量%以下又は0質量%、好ましくは1質量%以下又は0質量%とすることができ、全く含有しない(0質量%)ことが最も好ましい。
本発明における界面活性剤には、カチオン性、アニオン性、両性、非イオン性の各界面活性剤を挙げることができ、含有する場合には非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。外用組成物中に含まれていてもよい界面活性剤としては、より好ましくは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。また、上記の界面活性剤は蒸留などで高度に精製されたものであることは必ずしも必要ではなく、反応混合物であってもよい。
[良溶媒]
本発明におけるセラミド類含有粒子は、セラミド類の良溶媒にセラミド類を溶解した第1相を水相である第2相と混合することにより形成された粒子である。
本発明においてセラミド類含有粒子を形成する際に用いられるセラミド類の良溶媒は、例えば、セラミド類を25℃において少なくとも0.1質量%以上溶解可能な常温で液状の溶媒であればよい。
本発明において、良溶媒はセラミド類が0.1質量%以上溶解する油脂・溶媒であれば、いかなる物質でも構わない。本発明の良溶媒は、水溶性有機溶媒であることが好ましい。水溶性有機溶媒とは、水に対する25℃での溶解度が10質量%以上の有機溶媒を指す。水に対する溶解度は、得られる乳化物または分散物の安定性の観点から30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
水溶性有機溶媒は、単独で用いてもよく、複数の水溶性有機溶媒の混合溶媒でもよい。また、水との混合物として用いてもよい。水との混合物を用いる場合には、上記水溶性有機溶媒は、少なくとも50容量%以上含まれていることが好ましく、70容量%以上であることがより好ましい。
なお、水溶性有機溶媒は、外用組成物における油相を調製するために好ましく用いられるが、本明細書における「油成分」には包含されない。
このような水溶性有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド、エチレングリコール、1,3ブタンジオール、1,4ブタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等及びそれらの混合物を挙げられる。これらの中でも、乳化安定性の観点から、エタノール、プロピレングリコール、イソプロパノール又はアセトンが好ましく、エタノールが最も好ましい。
[組成物の製造方法]
本発明の外用組成物は、セラミド類の良溶媒にセラミド類及びスフィンゴシンを溶解して第1相と、水相である第2相とを混合して、粒径0.2μm以下のセラミド類含有粒子を形成し、当該セラミド類含有粒子とスフィンゴシン類とを含有する外用組成物を得ること(混合工程)、を含む製造方法によって得ることができる。
なお、本発明における「工程」とは、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明における混合工程は、前記油相と水相との混合が、各相を、最も狭い部分の断面積が1μm〜1mmであるマイクロ流路にそれぞれ独立して通過させた後に組み合わせて混合するものであることが微粒子化の観点から好ましい。各相の調製温度は、使用する溶媒の沸点に応じて変更可能であるが、通常、20℃〜80℃で実施することが好ましい。より好ましくは、20℃〜60℃である。
また本発明の外用組成物の製造方法では、少なくとも混合工程においてセラミド類含有粒子の形成が多価アルコールの存在下で行われることが、セラミド類含有粒子の安定性の観点から好ましく、特に水相に多価アルコールを含有させてセラミド類含有粒子の形成を行うことがより好ましい。多価アルコールは、混合工程の粒子形性時に存在してれば、いずれに段階で系に添加してもよい。
本発明の外用組成物の製造方法としては、例えば、a)水相を調製し、b)セラミド類及びスフィンゴシン類を含み、水溶性有機溶媒、所望により他の油成分(カロチノイド等)を混合して油相を調製し、c)前記油相と、前記水相とを、マイクロミキサーを用いて混合して、乳化分散を行い、体積平均粒子径が200nm以下のセラミド類含有粒子を含む外用組成物(エマルション)を得るステップが挙げられる。
本発明の外用組成物を粉末状態で得たい場合は、上記により得られたエマルション状態のセラミド分散物を噴霧乾燥等により乾燥させるステップを追加することで、粉末状態の外用組成物を得ることができる。
前記製造方法における油相、水相に含有される成分は、前述の本発明の外用組成物の構成成分と同様であり、好ましい例及び好ましい量も同様であり、好ましい組合せがより好ましい。
前記乳化分散における油相と水相との比率(質量)は、特に限定されるものではないが、油相/水相比率(質量%)として0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜30/70がより好ましく、1/99〜20/80が更に好ましい。
油相/水相比率を上記範囲とすることにより、有効成分を十分に含み、実用上十分な乳化安定性が得られるため好ましい。
[マイクロミキサー]
本発明の外用組成物の製造方法においては、前記混合工程を、油相と、水相とを、各々独立に、最も狭い部分の断面積が1μm〜1mmであるマイクロ流路に通過させた後、各相を組み合わせて混合する製造方法をとることが、目的とする微細なセラミド類含有粒子を得る観点から好ましい。
油相と水相との前記混合は、より微小な分散粒子を得るとの観点から、対向流衝突による混合であることが好ましい。
対向流衝突により混合させる最も適切な装置は、対向衝突型マイクロミキサーである。マイクロミキサーは、主に2つの異なる液を微小空間中で混合するもので、一方の液が機能性油成分を含有する有機溶媒相(油相)であり、もう一方が水性溶液とする水相である。
マイクロ化学プロセスの一つである粒径が小さなエマルション調製にマイクロミキサーを適用した場合、比較的低エネルギーで発熱が少なく、通常の攪拌乳化分散方式や高圧ホモジナイザー乳化分散に比べて、粒径が揃っていて、保存安定性にも優れる良好なエマルションまたはディスパージョンを得易い。熱劣化し易い天然成分を含む乳化に最適な方法である。
マイクロミキサーを用いて乳化または分散する方法の概要は、水相と油相をそれぞれ微小空間に分け、それぞれの微小空間同士を接触、あるいは衝突させることにある。片方だけを微小空間に分け、もう一方がバルクであるような方法である、膜乳化法やマイクロチャネル乳化法とは明らかに異なるものであり、実際に片方だけを微小空間に分けても本発明のような効果は得られない。公知となっているマイクロミキサーとしては、種々の構造のものがある。マイクロ流路中の流れと混合に着目すると、層流を維持してミキシングする方法と、流れを乱して、すなわち乱流でミキシングする方法の2種を挙げることができる。層流を維持してミキシングする方法では、流路幅より流路深さの寸法を大きくとることで、2液の境界面積をなるべく大きくし、両層の厚さを薄くすることで混合の効率化を図っている。また、2液の入り口を多数に分割して交互に流す多層流にする方法も考案されている。
一方、乱流でミキシングする方法では、それぞれの液を狭い流路に分けて比較的高速で流す方法が一般的である。アレイ化したマイクロノズルを用いて片方の液を、微小空間に導入されたもう一方の液中に噴出させる方法も考案されている。また、高速で流れる液同士を種々の手段を用いて強制的に接触させる方法は特に混合効果が良好である。前者の層流を用いた方法は一般に、できる粒子は大きいが比較的分布が揃ったものになるが、後者の乱流を用いた方法は、非常に微細なエマルションが得る可能性があり、安定性及び透明性の点では乱流を用いた方法が好ましい場合が多い。乱流を用いた方法としては、櫛歯型と衝突型が代表的なものである。前記櫛歯型マイクロミキサーとしては、IMM社製に代表されるように、2つの櫛歯状の流路が対面して交互に入り組むように配置された構造となっている。
KMミキサーに代表される衝突型マイクロミキサーでは、運動エネルギーを利用して強制接触をはかる構造となっている。具体的には、長澤ら(「H.Nagasawa et al, Chem.Eng.Technol,28,No.3,324−330(2005)」、特開2005−288254号公報)によって開示された、中心衝突型マイクロミキサーが挙げられる。水相と有機溶媒相とを対向衝突させる方法は、混合時間が極めて短く、瞬時に油相滴が形成されるため、極めて微細なエマルションまたはディスパージョンを形成し易い。
本発明において、衝突型マイクロミキサーでミクロ混合して乳化する場合、乳化時の温度(乳化温度)は、得られるエマルションの粒径均一性の観点からマイクロミキサーの前記別な微小空間の温度(マイクロミキサーのミクロ混合部の温度)を80℃以下としてミクロ混合することが好ましく、0℃〜80℃がより好ましく、5℃〜75℃が特に好ましい。前記乳化温度0℃以上とすることにより、分散媒の主体が水であるため、乳化温度管理でき好ましい。マイクロミキサーの前記微小空間の保温温度は100℃以下であることが好ましい。前記保温温度を100℃以下とすることにより、保温温度の管理が容易に制御でき、また、乳化性能に悪影響があるミクロな突沸現象を無くすことができる。前記保温温度は80℃以下の温度で制御することがさらに好ましい。
マイクロミキサーの前記微小空間に分けられた油相、水相、及びマイクロミキサーの前記微小空間の保温温度は、水相及び油相に含まれる成分によっても異なるが、それぞれ独立に、0℃〜50℃が好ましく、5℃〜25℃が特に好ましい。マイクロミキサーの前記微小空間の保温温度と、マイクロミキサーの前記微小空間に分けられた油相および水相の保温温度と、マイクロミキサーの前記微小空間に分けられる前の油相および水相の保温温度(即ち、油相および水相供給タンクの保温温度)がそれぞれ異なっていてもよいが、同じ温度にすることが混合の安定性の点で好ましい。
本発明において、マイクロミキサーの微小空間に分けられる前後の水相、油相、及びマイクロミキサーの前記微小空間及び前記別な微小空間の保温温度を室温より高くして、ミクロ混合して乳化した後は、マイクロミキサーにより得られた水中油滴型エマルションは採取後、冷却して常温にすることは特に好ましい。
本発明におけるマイクロミキサーの微小空間(流路)の最も狭い部分の断面積は、1μm〜1mmであり、エマルション粒径の微細化および粒径分布のシャープネス化の観点から、500μm〜50,000μmが好ましい。
本発明における水相に用いるマイクロミキサーの微小空間(流路)の最も狭い部分の断面積は、混合安定性の観点から、1,000μm〜50,000μmが特に好ましい。
油相に用いるマイクロミキサーの微小空間(流路)の最も狭い部分の断面積は、エマルション粒径の微細化および粒径分布のシャープネス化の観点から、500μm〜20,000μmが特に好ましい。
また、マイクロミキサーで乳化分散する場合、乳化分散時の油相と水相の流量としては、用いるマイクロミキサーによっても異なるが、エマルション粒径の微細化および粒径分布のシャープ化の観点から、水相の流量としては、10ml/min〜500ml/minが好ましく、20ml/min〜350ml/minがより好ましく、50ml/min〜200ml/minが特に好ましい。
油相の流量としては、エマルション粒子径の微細化および粒子径分布のシャープ化の観点から、1ml/min〜100ml/minが好ましく、さらには3ml/min〜50ml/minがより好ましく、5ml/min〜50ml/minが特に好ましい。
両相の流量をマイクロチャンネルの断面積で割った値、すなわち両相の流速比(Vo/Vw)は、粒子の微細化とマイクロミキサーの設計上、0.05以上5以下の範囲であることが好ましい。但し、Voは水不溶性天然成分を含む有機溶媒相の流速であり、Vwは水相の流速である。また、流速比(Vo/Vw)が0.1以上3以下であることが、さらなる粒子の微細化の観点から最も好ましい範囲である。
また、水相及び油相の送液圧力としては、水相と油相は0.030MPa〜5MPaと0.010MPa〜1MPaが好ましく、さらには、0.1MPa〜2MPaと0.02MPa〜0.5MPaがより好ましく、0.2MPa〜1MPaと0.04MPa〜0.2MPaが特に好ましい。前記水相の送液圧力を0.030MPa〜5MPaとすることにより、安定な送液流量を維持できる傾向となり、油相の送液圧力を0.010MPa〜1MPaとすることにより、均一な混合性が得られる傾向となり好ましい。
本発明において、前記流量、送液圧力及び保温温度はそれぞれ好ましい例の組み合せがより好ましい。
次に、前記水相、油相がマイクロミキサーに導入され、水中油滴型エマルションとして排出されるまでの経路について、本発明におけるマイクロミキサーの一例としてマイクロデバイスの例(図1)を用いて説明する。
図1に示されるようにマイクロデバイス100は、それぞれが円柱状の形態の供給要素102、合流要素104および排出要素106により構成されている。
供給要素102の合流要素104に対向する面には、本発明における油相又は水相の流路としての断面が矩形の環状チャネル108および110が同心状に形成されている。供給要素102にはその厚さ(または高さ)方向に貫通してそれぞれの環状チャンネルに至るボア112および114が形成されている。
合流要素104には、その厚さ方向に貫通するボア116が形成されている。このボア116は、マイクロデバイス100を構成するために要素を締結した場合、供給要素102に対向する合流要素104の面に位置するボア116の端部120が環状チャンネル108に開口するようになっている。図示した態様では、ボア116は4つ形成され、これらが環状チャンネル108の周方向で等間隔に配置されている。
合流要素104には、ボア116と同様にボア118が貫通して形成されている。ボア118も、ボア116と同様に、環状チャンネル110に開口するように形成されている。ボア118も環状チャンネル110の周方向で等間隔に配置され、かつ、ボア116とボア118が交互に位置するように配置されている。
合流要素104の排出要素106に対向する面122には、マイクロチャンネル124および126が形成されている。このマイクロチャンネル124または126の一端はボア116または118の開口部であり、他方の端部は、面122の中心128であり、全てのマイクロチャンネルはこの中心128に向かってボアから延在し、中心で合流している。マイクロチャンネルの断面は、例えば矩形であってよい。
排出要素106は、その中心を通過して厚さ方向に貫通するボア130が形成されている。従って、このボアは、一端にて合流要素104の中心128に開口し、他端にてマイクロデバイスの外部に開口している。
本マイクロデバイス100では、ボア112および114の端部にてマイクロデバイス100の外部から供給される流体AおよびBは、それぞれボア112および114を経由して環状チャンネル108および110に流入する。
環状チャンネル108とボア116が連通し、環状チャンネル108に流入した流体Aは、ボア116を経由してマイクロチャンネル124に入る。また、環状チャンネル110とボア118が連通し、環状チャンネル110に流入した流体Bは、ボア118を経由してマイクロチャンネル126に入る。流体AおよびBは、それぞれマイクロチャンネル124および126に流入した後、中心128に向かって流れて合流する。
前記合流した流体は、ボア130を経由してマイクロデバイスの外部にストリームCとして排出される。
このようなマイクロデバイス100は、下記のような仕様とすることができる。
環状チャンネル108の断面形状、幅/深さ/直径:矩形、1.5/1.5/25mm
環状チャンネル110の断面形状、幅、深さ、直径:矩形、1.5/1.5/20mm
ボア112の直径、長さ:1.5/10mm(円形断面)
ボア114の直径、長さ:1.5/10mm(円形断面)
ボア116の直径、長さ:0.5/4mm(円形断面)
ボア118の直径、長さ:0.5/4mm(円形断面)
マイクロチャンネル124の断面形状、幅、深さ、長さ:矩形、断面積、
350μm/100μm/12.5mm/35000μm
マイクロチャンネル126の断面形状、幅、深さ、長さ:矩形、断面積、
50μm/100μm/10mm/5000μm
ボア130の直径、長さ:500μm、10mm(円形断面)
水相と油相が衝突するマイクロチャンネル(図1中、124及び126)の寸法は、水相および油相の流量との関係において好ましい範囲が規定される。
本発明においては、特開2004−33901号公報に示されるマイクロミキサーも好ましく用いることができる。
図2は、T字型マイクロリアクターによる混合機構の一例を示す概略断面図である。図3は、T字型マイクロリアクターによる混合機構の一例を示す概念図である。
図2には、T字型マイクロリアクターのT字型流路200の断面が示されている。T字型流路200は、流入口202aから矢印Dの方向に流入した流体と、流入口202bから矢印Eの方向に流入した流体は、T字型流路200の流路内中央部で衝突し、混合して微細な流体粒子となる。微細な流体粒子は、流出口204から矢印Fの方向へ流出する。このT字型マイクロリアクターは、流路の容積が小さいときには混合するのに有用である。
図3には、他のT字型マイクロリアクターの流体混合機構(概念)300が示されている。図3に示す流体混合機構は、2つの流路302aと302bから流出した流体が互いに衝突・混合して、微細な流体粒となるものである。すなわち、流体は、一方で、矢印Gの方向に流路302aに流入し、矢印Hの方向に流出する。他方で、矢印Iの方向に流路302bに流入し、矢印Jの方向に流出する。流路302aと302bからそれぞれ流出した流体は、衝突し、混合して、矢印G〜Jの方向とおよそ直交する方向に飛散する。流路図3に記載した流体混合機構は、霧化等の手法により拡散させた流体を衝突・混合させるものである。この衝突・混合により、流体はより微細となり、大きな接触面を得ることができる。
(除去工程)
本発明の製造方法では、用いられた水溶性有機溶媒は、マイクロ流路を通して乳化または分散後、除去することが好ましい。溶媒を除去する方法としては、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーター、超音波アトマイザー等を用いた蒸発法、限外濾過膜、逆浸透膜等の膜分離法が知られているが、特に限外濾過膜法が好ましい。
限外濾過(Ultra Filter:略してUF)とは、原液(水、高分子物質、低分子物質、コロイド物質等の混合水溶液)を加圧し、UF装置に注水することにより、原液を透過液(低分子物質)と濃縮液(高分子物質、コロイド物質)2系統の溶液に分離し、取り出すことができる装置である。
限外濾過膜はロブ−スリーラーヤン法により作製される典型的な非対称膜である。使用される高分子素材は、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル−ポリアクリロニトリル共重合体、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、フッ化ビニリデン、芳香族ポリアミド、酢酸セルロースなどである。最近ではセラミックス膜も使われるようになってきた。限外濾過法では逆浸透法等と異なり、前処理をおこなわないので、膜面に高分子などが堆積するファウリングがおこる。そのため膜を薬品や温水で定期的に洗浄するのが普通である。このため膜素材は薬品に対する耐性や耐熱性が求められる。限外濾過膜の膜モジュールは平膜型、管状型、中空糸型、スパイラル型と各種ある。限外濾過膜の性能指標は分画分子量であり、これが1,000〜300,000まで各種の膜が市販されている。市販の膜モジュールとしては、マイクローザーUF(旭化成ケミカルズ(株))、キャピラリー型エレメントNTU−3306(日東電工(株))等があるがこれに限定されるものではない。
本発明にかかる乳化物からの溶媒除去には、膜の材質は溶媒耐性の観点から、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、芳香族ポリアミドが特に好ましい。膜モジュールの形態としては、実験室スケールでは平膜が主に用いられるが工業的には中空糸型、スパイラル型が用いられるが、中空糸型が特に好ましい。また、分画分子量は有効成分の種類によって異なるが、通常、5,000〜100,000の範囲のものが用いられる。
操作温度は0℃〜80℃まで可能であるが、有効成分の劣化を考慮すると10〜40℃の範囲が特に好ましい。
ラボスケールの限外濾過装置としては、平膜型モジュールを用いる、ADVANTEC−UHP(アドバンテック(株))、フロータイプラボテストユニットRUM−2(日東電工(株))等がある。工業的にはそれぞれの膜モジュールを必要能力に応じた大きさと本数を任意に組み合わせてプラントを構成することができる。ベンチスケールのユニットとしては、RUW−5A(日東電工(株))等が市販されている。
本発明の製造方法では、溶媒除去に引き続き、得られた乳化物を濃縮化する工程を加えてもよい。濃縮方法としては、蒸発法、濾過膜法等溶媒除去と同じ方法、装置を用いることができる。濃縮の場合も限外濾過膜法が好ましい方法である。溶媒除去と同一膜を使うことができれば好ましいが、必要に応じて、分画分子量の異なる限外濾過膜を使用することもできる。また、溶媒除去とは異なる温度で運転し、濃縮効率を高めることも可能である。
(粒径)
本発明におけるセラミド類含有粒子は、粒径0.2μm以下の粒径を有するものである。外用組成物中におけるセラミド類含有粒子の粒子径を、0.2μm以下とすることにより、本発明の外用組成物の透明性が確保され、皮膚吸収性が良好となって、良好な保湿性を付与することができる。
セラミド類含有粒子の粒径は、粒径0.5nm以上あればよく、乳化安定性と透明性の観点から、好ましくは、1nm〜75nm、より好ましくは、1nm〜60nm、最も好ましくは、1nm〜50nmとすることができる。
なお、本発明においてセラミド類含有粒子の粒径とは、分散粒子の粒径を意味し、油滴又は油滴様粒子の体積平均粒径をいう。
本発明におけるセラミド類含有粒子の粒径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。本発明の外用組成物が、例えばエマルションであるとき、エマルションの粒度分布測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
本発明における粒径範囲および測定の容易さから、分散粒子の粒子径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本発明における粒子径は、前記動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)を用いて測定した値とし、具体的には、以下のよう計測した値を採用する。
前記粒子径の測定方法は、油成分の濃度が1質量%になるように純水で希釈を行い、石英セルを用いて測定を行う。粒子径は、試料屈折率として1.600、分散媒屈折率として1.333(純水)、分散媒の粘度として純水の粘度を設定した時のメジアン径として求めることができる。
<用途>
本発明の外用組成物は、セラミド化合物によるエモリエント効果に優れた微細なエマルション組成物である。このため、セラミド化合物の機能に応じた種々の用途に好ましく用いられる。
このような用途としては、例えば、医薬品(外用剤、皮膚製剤)、化粧品などに広く使用することができる。ここで、医薬品としては、坐剤、塗布剤等(皮膚外用剤)の非経口剤など、化粧品としてはスキンケア化粧料(化粧水、美容液、乳液、クリームなど)、日焼け止め化粧料、口紅やファンデーションなどのメークアップ化粧料などを挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
本発明の外用組成物を、皮膚外用剤、化粧品に使用する場合、必要に応じて、医薬品、や化粧品に添加可能な成分を適宜添加することができる。
本発明の外用組成物を、化粧水、美容液、乳液、クリームパック・マスク、パック、洗髪用化粧品、フレグランス化粧品、液体ボディ洗浄料、UVケア化粧品、防臭化粧品、オーラルケア化粧品等、鎮痛剤や消炎剤含有ゲル、消炎剤含有貼付剤の薬効成分含有層などの水性製品に使用した場合には、透明感のある製品が得られ、且つ、長期保存または滅菌処理などの苛酷条件下での不溶物の析出、沈殿またはネックリングなどの不都合な現象の発生を抑制することができる。
本発明の外用組成物は、セラミドを含有する粒子の水分散物にその他の水溶性成分を添加して作製してもよいし、水分散物をあらかじめ作成したクリーム・乳液等に添加してもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
[実施例1]
下記成分を室温にて1時間攪拌し、油相液を調製した。
セラミド3〔セラミド化合物、具体例1−5〕 0.042g
セラミド2〔セラミド化合物、具体例1−4〕 0.042g
セラミド6〔セラミド化合物、具体例1−7〕 0.042g
フィトスフィンゴシン 0.07g
1N塩酸 分散直後のpHが7以下になるように調整
エタノール〔水溶性有機溶媒〕 150g
得られた油相液B(油相)と水(水相)を、1:7の比率(質量比)で、衝突型であるKM型マイクロミキサ100/100を用いてミクロ混合して、水分散物(セラミド分散組成物)を得た。
なお、マイクロミキサーの使用条件は、下記のとおりである。
−マイクロチャンネル−
油相側マイクロチャンネル
断面形状/幅/深さ/長さ = 矩形/70μm/100μm/10mm
水相側マイクロチャンネル
断面形状/幅/深さ/長さ = 矩形/490μm/100μm/10mm
−流量−
外環に水相を21.0ml/min.の流量で導入し、内環に油相を3.0ml/min.の流量で導入してミクロ混合した。
得られた水分散物を大川原製作所 エバポール(CEP-lab)を使用し、エタノール濃度が当初濃度の0.1質量%以下になるまで、脱溶媒し、水分散物濃度が最終濃度1.0質量%になるように濃縮、調整し、水分散物Aを得た。
ここで言う水分散物濃度とは、油相に添加された固形分の総計を基準とした濃度である。
[実施例2]
実施例1の塩酸を乳酸に変更する以外は、実施例1と同様に水分散物を作成し、水分散物Bとした。
[実施例3]
実施例1の油相液を以下の油相液に変更する以外は、実施例1と同様に水分散物を作成し、水分散物Cとした。
セラミド2〔セラミド化合物、具体例1−4〕 0.126g
フィトスフィンゴシン 0.07g
1N塩酸 分散直後のpHが7以下になるように調整
エタノール〔水溶性有機溶媒〕 150g
[実施例4]
実施例3のセラミド2をスフィンゴ糖脂質に変更する以外は実施例3と同様に水分散物を作成し、水分散物Dとした。
[実施例5]
実施例1の水相にブチレングリコールを5%水溶液として、水分散物調製を行う以外は実施例1と同様に水分散物を作成し、水分散物Eとした。
[実施例6]
実施例1の油相液を以下油相液に変更する以外は、実施例1と同様に水分散物を作成し、水分散物Fとした。
セラミド3〔セラミド化合物、具体例1−5〕 0.105g
セラミド2〔セラミド化合物、具体例1−4〕 0.105g
セラミド6〔セラミド化合物、具体例1−7〕 0.105g
フィトスフィンゴシン 0.055g
1N塩酸 分散直後のpHが7以下になるように調整
エタノール〔水溶性有機溶媒〕 150g
[実施例7]
実施例1の油相液を以下の油相液に変更する以外は、実施例1と同様に水分散物を作成し、水分散物Gとした。
セラミド3〔セラミド化合物、具体例1−5〕 0.042g
セラミド2〔セラミド化合物、具体例1−4〕 0.042g
セラミド6〔セラミド化合物、具体例1−7〕 0.042g
イソステアリン酸 0.04g
フィトスフィンゴシン 0.07g
1N塩酸 分散直後のpHが7以下になるように調整
エタノール〔水溶性有機溶媒〕 150g
[比較例1]
実施例1のフィトスフィンゴシンを添加しない以外は実施例1と同様に水分散物作成をし、水分散物Hとした。
[比較例2]
実施例1の油相液を以下の油相液に変更する以外は、実施例1と同様に水分散物を作成し、水分散物Iとした。
トリエチルヘキサノイン 0.126g
フィトスフィンゴシン 0.07g
1N塩酸 分散直後のpHが7以下になるように調整
エタノール〔水溶性有機溶媒〕 150g
[比較例3]
セラミド3種類を100℃加熱し、溶融したのを確認した後、フィトスフィンゴシンを入れ10分間攪拌し、以下の油相液を調製した。
セラミド3〔セラミド化合物、具体例1−5〕 0.042g
セラミド2〔セラミド化合物、具体例1−4〕 0.042g
セラミド6〔セラミド化合物、具体例1−7〕 0.042g
フィトスフィンゴシン 0.07g
1N塩酸 分散直後のpHが7以下になるように調整
この油相液を、90℃、500rpmでスリーワンモーターで攪拌し、水を油相濃度が1質量%になるまで加えた。最後に塩酸でpH調整した。セラミドの良溶媒は使用しなかった。得られた水分散物を水分散物Jとした。
<評価>
1.粒子形成
乳化物(水分散物)として、沈殿等の発生がないものを○、沈殿等の発生により、評価できる水分散物が出来なかったものを×とした。
2.経時安定性
経時安定性(分散安定性)の評価として、濁度を用いて以下の方法で評価を行った。
各水分散物の調製直後の濁度を、UV−VIBLEスペクトルフォトメーターUV−2550(島津製作所製)を使用し、温度25℃にて、10mmセルにて600nmの吸光度として測定した。
さらに、各サンプルを60℃の恒温槽に24時間保管し、次に4℃の冷蔵庫に24時間保管するという繰り返しを7サイクル(2週間)実施した後、25℃に戻して再度濁度を測定し、調製直後の濁度との差を比較した。Δ濁度が0.1以上は×(商品価値上不可)、0.05〜0.1未満は△(商品価値上なんとか許容できる)、0.01〜0.05未満は○(変化は認知可能であるが商品価値上問題なし)、0.01未満は◎(変化を認知しづらい)と判断した。
3.使用感評価
出来上がった水分散物を女性5名で使用し、使用感・保湿の感触について評価した。以下点数の元、平均値で評価した。平均値が2.5以上で◎、2.5以上で○、1.5〜2.0で△、1.5以下で×とした。
3:ベトベトせず適度な保湿感があり、塗布終了の止まり感、塗布後の感触が非常に良好である。
2;多少ベトベトするが、塗布後の感触が良好である。
1:ベトベトした感触が強い
実施例1〜7の粒子はいずれも30nm〜50nmの粒子径のセラミド粒子水分散物であった。一方、比較例1では粒子が形成できず、沈殿が発生した。比較例2では、100nmの粒子であった。比較例3では、5μm前後の粒子であった。
前記表1からわかるように、実施例1〜7の水分散物は粒子の経時安定性と使用感・保湿感のバランスがよく、中でも実施例1〜6の水分散物は、粒子の経時安定性と使用感に優れていた。特に、セラミドを単種類の実施例3に比較し、セラミドを複数組み合わせた実施例1〜実施例2の水分散物で経時安定性が良化した。また、多価アルコールを入れて乳化すると安定性も良好であった(実施例5)。
比較例1のフィトスフィンゴシンを添加しない場合は、沈殿物が発生し、乳化物ができなかった。比較例2は油性感が非常に強く、特に、使用感が良好ではなかった。分散法で作製した比較例3の水分散物Jは、粒子径が大きいため白濁しており、経時の安定性も悪かった。
マイクロミキサーの一例としてのマイクロデバイスの分解斜視図である。 T字型マイクロリアクターによる混合機構の一例を示す概略断面図である。 T字型マイクロリアクターによる混合機構の一例を示す概念図である。
符号の説明
100 マイクロデバイス
102 供給要素
104 合流要素
106 排出要素
124 マイクロチャンネル
126 マイクロチャンネル
128 中心
200 T字型流路
202 流入口
204 流出口
300 流体混合機構
302 流路

Claims (15)

  1. セラミド類の良溶媒にセラミド類を溶解した第1相と水相である第2相とを混合することによって形成された粒径0.2μm以下のセラミド類含有粒子と、
    スフィンゴシン類と、
    を含有する外用組成物。
  2. 前記セラミド類の良溶媒が水溶性有機溶媒である請求項1に記載の外用組成物
  3. 前記セラミド類含有粒子中にセラミド類が、該粒子全質量に対して20質量%以上含まれる請求項1又は請求項2に記載の外用組成物
  4. 前記セラミド類が、2種以上のセラミド類の組み合わせである請求項1〜請求項3のいずれか記載の外用組成物。
  5. 前記セラミド類が天然型セラミドである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の外用組成物。
  6. 前記セラミド類含有粒子の粒径が0.1μm以下である請求項1〜請求項5のいずれかに記載の外用組成物。
  7. 多価アルコールを更に含有する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の外用組成物。
  8. 前記セラミド類が、前記スフィンゴシン類1質量部に対して1.2〜5.0質量部である請求項1〜請求項7のいずれかに記載の外用組成物。
  9. 前記セラミド類含有粒子が、セラミド類1質量部に対して10質量部以下の、前記セラミド類以外の他の油成分を含む請求項1〜請求項8のいずれかに記載の外用組成物。
  10. 界面活性剤の含有量が、外用組成物の全質量に対して2質量%以下又は0質量%である請求項1〜請求項9のいずれかに記載の外用組成物。
  11. セラミド類の良溶媒にセラミド類及びスフィンゴシンを溶解して得られた第1相と、水相である第2相とを混合して、粒径0.2μm以下のセラミド類含有粒子を形成し、当該セラミド類含有粒子とスフィンゴシン類とを含有する外用組成物を得ること、を含む外用組成物の製造方法。
  12. 前記良溶媒が水溶性有機溶媒である請求項11の外用組成物の製造方法。
  13. 前記セラミド類含有粒子の形成が、多価アルコール存在下で行われる請求項11又は請求項12記載の外用組成物の製造方法。
  14. 前記第1相と第2相との混合が、各相を、最も狭い部分の断面積が1μm〜1mmであるマイクロ流路にそれぞれ独立して通過させた後に組み合わせて混合するものである請求項11〜請求項13のいずれかに記載の外用組成物の製造方法。
  15. 前記混合が、対向流衝突により行なわれる請求項11〜請求項14のいずれかに記載の外用組成物の製造方法。
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