JP2009295343A - 金属セパレータ用板材及びその製造方法、並びに燃料電池用金属セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】貴金属の使用量の低減と耐久性の向上を図った金属セパレータ用板材を提供する。
【解決手段】固体高分子電解質膜24と、その固体高分子電解質膜24の両側に設けられた電極25aとを備える燃料電池に用いられる金属セパレータ用板材1において、金属基材2の表面に、チタンからなる中間層3が形成され、その中間層3の表面に平均厚さが1nm以上9nm以下の純AuからなるAu層4が形成されるものである。
【選択図】図1
【解決手段】固体高分子電解質膜24と、その固体高分子電解質膜24の両側に設けられた電極25aとを備える燃料電池に用いられる金属セパレータ用板材1において、金属基材2の表面に、チタンからなる中間層3が形成され、その中間層3の表面に平均厚さが1nm以上9nm以下の純AuからなるAu層4が形成されるものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体高分子電解質型の燃料電池の金属セパレータ用板材及びその製造方法、並びに燃料電池用金属セパレータに係り、特に金属セパレータの耐久性向上を図った金属セパレータ用板材及びその製造方法、並びに燃料電池用金属セパレータに関する。
図8は、従来技術として、セパレータを備えた固体高分子電解質型燃料電池の単位セル構成の断面模式図を示す。この固体高分子電解質型燃料電池セル71(以下、燃料電池セルという)は、固体高分子電解質膜72、燃料極(水素極、あるいはアノード)、及び酸化剤極(空気極、あるいはカソード)で構成される膜・電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly、)75と、MEA75の片面(燃料極)に面して燃料ガス流路76が形成されている水素極側のセパレータ77と、MEA75の他方の面(酸化剤極)に面して酸化剤ガス流路78が形成されている空気極側セパレータ79と、MEA75の周囲をシールするようにMEA75とセパレータ77、79の間に挟まれて設けられたガスケット80とを備える。
燃料極は、固体高分子電解質膜72の片面に設けられ、アノード側触媒層と、そのアノード側触媒層の外側に配置されたガス拡散(分散)層81とを備える。酸化剤極は、固体高分子電解質膜の他方の面に設けられたカソード側触媒層と、そのカソード側触媒層の外側に配置されたガス拡散(分散)層81とを備える。各セパレータ77、79は、燃料極と酸化剤極との間を電気的に接続するとともに、燃料と酸化剤が混ざらないようにするための部材である。
また、燃料電池セル71の内部損失低減の観点から、MEA75と各金属セパレータ77、79の間の接触抵抗は低い方が望ましく、少なくとも150mΩ・cm2程度以下であることが要求される。接触抵抗は、より望ましくは100mΩ・cm2以下であり、さらに望ましくは70mΩ・cm2以下である。
このような燃料電池セル71は、約80℃の環境で、燃料ガス中の水素と酸化剤ガス中の酸素を利用して電気化学反応により発電する。燃料ガス流路76を流れる燃料ガス中の水素が、燃料極のアノード側触媒層に接触することにより下式の反応が生ずる。
2H2→4H++4e-
水素イオンH+は、固体高分子電解質膜72中を対極側へ移動し、カソード側触媒層に達し、酸化剤ガス流路78を流れる酸化剤ガス中の酸素と反応して水となる。
水素イオンH+は、固体高分子電解質膜72中を対極側へ移動し、カソード側触媒層に達し、酸化剤ガス流路78を流れる酸化剤ガス中の酸素と反応して水となる。
4H++4e-+O2→2H2O
前記の電極反応により起電力が生じ、この起電力は両セパレータ77、79を介して外部に取り出される。
前記の電極反応により起電力が生じ、この起電力は両セパレータ77、79を介して外部に取り出される。
一般に、セパレータ材料としては、耐食性と、面を貫通する方向における導電性が要求される。通常、セパレータ材料には、ステンレス鋼(SUS)のような耐食性のある金属を用いることで耐食性を持たせ、さらに、面の貫通方向における導電性を得るため、その表面に貴金属をコートする手法が採られる。これにより、耐食性と面方向の導電性を両立することになる。
通常の対策例として、特許文献1では、貴金属の使用量を極力少なくした構成として、ステンレス材やチタン材に厚さ1〜40nmの各種貴金属及びその合金を形成する手法が提案されている。我々の実施した比較実験においては、金属セパレータ用板材として外被がチタンからなる金属に、直接このような貴金属層を形成しても、具体的に150〜500時間相当の耐久性を考えると、セパレータの接触抵抗が時間とともに増大するとの結果を示しており、150時間以上の耐久性を要する環境での適用は難しい。
一般に、金属チタン上に貴金属めっきをするのは密着不良など、大きな課題があり、チタン材は難めっき材料の代表例である。この難めっき材料であるチタンに貴金属をめっきするための具体的な製法がいくつか開示されている。
特許文献2では、金属チタンにAuまたはAu−Pd合金をめっきする手法として、めっきの前処理として金属チタン材を酸洗し、金属チタンの不動態皮膜を除去し、その後、直接これらの貴金属膜を形成することが説明されている。
特許文献3では、ステンレス鋼、アルミ、チタンを金属板材にし、その表面にTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Si、B等の単体または合金を接着層とし、接着層の上に、導電性貴金属として厚さが10nm〜10μm相当の貴金属を形成している。この特許文献3の場合、接着層としてCrの適用例がある。
特許文献4の請求項8においては、外被チタンの上にTi、Ni、Ta、NbあるいはPtからなる接合層を形成し、その上に厚さ0.0005〜0.01μm未満の金などの貴金属層を形成することが提案されている。このような貴金属めっきの下地層に接合層を形成する手法は、それなりに有効な手法と考えられている。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
金属セパレータの表面構造としては、燃料材に曝される面(アノード面)、酸化剤に曝される面(カソード面)が存在する。両極とも、電池環境に長時間曝されると、金属セパレータの接触抵抗が増大し問題となる。
アノード面については、水素ガス環境に曝されるため、前記特許文献による構造や製法では水素吸収が起こり、これも要因となり、金属セパレータの耐久性を損ねる点が問題となる。カソード面については、直接水素ガスに曝される環境ではないが、長時間の電池環境により水素吸収の起こる場合がある。
そこで、本発明の目的は、金属基材の上に貴金属を薄くコートする2種の燃料電池の環境(アノード面、カソード面)に応じて、必要な貴金属コートの厚さと、貴金属材種とその成膜手法、成膜構造を耐久性の観点から選定し、貴金属の使用量の低減と耐久性の向上を図った金属セパレータ用板材及びその製造方法、並びに燃料電池用金属セパレータを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極とを備える燃料電池に用いられる金属セパレータ用板材において、金属基材の表面に、チタンからなる中間層が形成され、その中間層の表面に平均厚さが1nm以上9nm以下の純AuからなるAu層が形成される金属セパレータ用板材である。
請求項2の発明は、前記中間層は、前記中間層のチタンに対して5wt%以下のPdが添加されている請求項1に記載の金属セパレータ用板材である。
請求項3の発明は、固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極とを備える燃料電池に用いられる金属セパレータ用板材において、金属基材の表面に、チタンからなる下中間層が形成され、その下中間層の表面に平均厚さが1nm以下のPd層からなる上中間層が形成され、その上中間層の表面に平均厚さが1nm以上9nm以下の純AuからなるAu層が形成される金属セパレータ用板材である。
請求項4の発明は、固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極とを備える燃料電池に用いられ、酸化剤極側を覆うための金属セパレータ用板材において、金属基材の表面に、チタンからなる中間層が形成され、その中間層の表面に平均厚さが2nm以上15nm以下の純AuからなるAu層が形成される金属セパレータ用板材である。
請求項5の発明は、前記中間層は、前記中間層のチタンに対して20wt%以下のPdが添加されている請求項4に記載の金属セパレータ用板材である。
請求項6の発明は、固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極とを備える燃料電池に用いられ、酸化剤極側を覆うための金属セパレータ用板材において、金属基材の表面に、チタンからなる下中間層が形成され、その下中間層の表面に平均厚さが2nm以下のPd層からなる上中間層が形成され、その上中間層の表面に平均厚さが2nm以上15nm以下の純AuからなるAu層が形成される金属セパレータ用板材である。
請求項7の発明は、請求項1〜6いずれかに記載の金属セパレータ用板材に、凹凸加工が施された燃料電池用金属セパレータである。
請求項8の発明は、固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極を備える燃料電池に用いられる金属セパレータ用板材の製造方法において、金属基材の表面に、チャンバーを用いた気相法により、チタンからなる中間層を形成し、その中間層の表面に、同一チャンバー内で気相法により、純Auからなる平均厚さ1nm以上9nm以下のAu層を形成する金属セパレータ用板材の製造方法である。
請求項9の発明は、前記中間層は、前記中間層のチタンに対して5wt%以下のPdが添加されている請求項8に記載の金属セパレータ用板材の製造方法である。
請求項10の発明は、固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極を備える燃料電池に用いられる金属セパレータ用板材の製造方法において、金属基材の表面に、チャンバーを用いた気相法により、チタンからなる下中間層を形成し、その下中間層の表面に平均厚さが1nm以下のPd層からなる上中間層を形成し、その上中間層の表面に、同一チャンバー内で気相法により、純Auからなる平均厚さ1nm以上9nm以下のAu層を形成する金属セパレータ用板材の製造方法である。
請求項11の発明は、固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極を備える燃料電池に用いられ、酸化剤極側を覆うための金属セパレータ用板材の製造方法において、金属基材の表面に、チャンバーを用いた気相法により、チタンからなる中間層を形成し、その中間層の表面に、同一チャンバー内で気相法により、純Auからなる平均厚さ2nm以上15nm以下のAu層を形成する金属セパレータ用板材の製造方法である。
請求項12の発明は、前記中間層は、前記中間層のチタンに対して20wt%以下のPdが添加されている金属セパレータ用板材の製造方法である。
請求項13の発明は、固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極を備える燃料電池に用いられ、酸化剤極側を覆うための金属セパレータ用板材の製造方法において、金属基材の表面に、チャンバーを用いた気相法により、チタンからなる下中間層を形成し、その下中間層の表面に平均厚さが2nm以下のPd層からなる上中間層を形成し、その上中間層の表面に、同一チャンバー内で気相法により、純Auからなる平均厚さ2nm以上15nm以下のAu層を形成する金属セパレータ用板材の製造方法である。
本発明の金属セパレータ用板材によれば、金属基材の材料と電池使用環境、金属セパレータの生産量に応じて、貴金属の使用量の低減と耐久性の向上ができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に従って説明する。
まず、本実施の形態に係る燃料電池用金属セパレータを用いた燃料電池を図2で説明する。
図2に示すように、固体高分子電解質型燃料電池の単セル20は、板状のMEA21と、MEA21の両側に設けられた金属セパレータ22a、22bと、MEA21と各金属セパレータ22a、22bの間に挟まれて設けられ、MEA21の周囲をシールするガスケット23a、23bとで構成される。
MEA21は、固体高分子電解質膜24と、固体高分子電解質膜24の一方の面に設けられた燃料極(アノード)25aと、固体高分子電解質膜24の他方の面に設けられた酸化剤極(カソード)25bとからなる。
燃料極25aは、アノード側触媒層と、そのアノード側触媒層とガスケット23aの間に挟まれて設けられたガス拡散(分散)層26aとからなる。酸化剤極25bは、カソード側触媒層と、そのカソード側触媒層とガスケット23bの間に挟まれて設けられたガス拡散(分散)層26bとからなる。
アノード側の金属セパレータ22aには、MEA21の一方の面(燃料極25a)に対して凹溝の燃料ガス流路27aが形成される。カソード側の金属セパレータ22bには、MEA21の他方の面(酸化剤極25b)に対して凹溝の燃料ガス流路27bが形成される。
固体高分子電解質型燃料電池の単セル20を複数積層することにより燃料電池が形成される。
さて、本実施の形態に係る金属セパレータ用板材について説明する。
図1に示すように、第1の実施の形態に係る金属セパレータ用板材1は、金属基材2の表面に、チタンを主成分とする中間層3が形成され、その中間層3の表面に純AuからなるAu層4が形成されてなる。
金属基材2としては、チタン材、チタン合金材、またはチタンを被覆した金属材(例えば、SUSの両面にチタンをクラッド被覆した複合材)を用いる。
中間層3の役割は、金属基材2とAu層4の接着層である。中間層3としては、TiまたはTi−Pd合金を用いる。中間層3のチタンに対するPd濃度は5wt%以下(0wt%の場合は純チタン)である。
中間層3の平均厚さd2については、5nm未満になると、接触抵抗の増大があり問題となる。中間層3の平均厚さd2が100nmより厚くなると、金属基材2からの剥離が起こりやすくなり問題となる。よって中間層3の平均厚さd2は5〜100nmである。
中間層3の材料としては、Zr、Ta、Crを選定すると、電池環境下での金属セパレータ用板材1の接触抵抗が増大し問題となるが、TiまたはTi−Pd合金のいずれかとすることで接触抵抗の増大を抑制できる。
特に、中間層3にPdを添加する場合は、以下の3つの効果がある。
(1)中間層にPdが成分として混入すると、中間層とAu層との密着性が、Pdのない場合に比べ向上する。これは、Au自身は多くの金属と化学的には結合しないが、化学的に活性なPdが中間層に存在することにより、中間層とAu層との化学的な結合力が向上するためであると考えられる。
(2)Pdは、燃料電池環境にて微量に排出されるフッ素に対する耐食効果がある。これにより中間層の耐久性が向上し、中間層の表面に形成されるAu層の剥がれや溶出を抑制でき、Au層の耐久性が向上する。
(3)Ti層(中間層)の表面近傍にPd原子が存在すると、Ti層の酸化被膜の形成が促進される。酸化被膜は水素バリヤーとして働くので、金属腐食に伴う水素ガス発生による水素吸収を低減でき、これにより金属基材からのTi層の剥離を抑制し、金属セパレータ用板材の耐久性を向上できる。
Au層4の役割は、接触抵抗を小さくするための電気接点層である。Au中の不純物として、他の貴金属種であるPdが混入した状態で電池環境下に長時間置かれると、Au層の剥離が起こるようになり問題となる。
Au層の平均厚さについては、1nm未満になると、アノード電池環境(水分+水素ガス)での水分によるTi層の酸化層が形成され、これが長時間使用により、1nm以上の平均厚さとなり、接触抵抗の増大が起こり問題となる。
また、Au層の平均厚さが9nmより厚くなると、Au層の歪が大きくなり、金属基材2からの剥離が起こりやすくなり問題となる。Au層の歪が大きくなる原因は、水素ガスによる中間層3の水素吸収に伴うTiの体積膨張があるためである。
このような水素吸収によるTi層の体積膨張はアノード環境(水素ガス環境のため)で顕著となるため、Au層4の平均厚さd1を1nm以上9nm以下とした。
次に、金属セパレータ用板材1の製造方法について説明する。
金属セパレータ用板材1の製造工程は、金属基材2を用意する第1工程と、金属基材2の表面に、チャンバーを用いた気相法により、Pdがチタンに対して5wt%以下(0wt%の場合は純チタン)添加されたチタンを主成分とする中間層3を形成し、その中間層3の表面に、同一チャンバー内で気相法により、純AuからなるAu層4を形成して素材を製造する第2工程と、素材をプレス成型する第3工程とからなる。気相法としては、スパッタ、蒸着、イオンビーム、CDVなどを用いる。
第2工程と第3工程はどちらを先に行っても金属セパレータ用板材1を得ることができる。また、金属基材2に凹凸加工を施されていれば、燃料電池用のセパレータを得られる。
第1の実施の形態の作用について説明する。
金属セパレータ用板材1は、中間層3にPdを添加する場合、Pdが添加された中間層3が化学的にAu層4と金属基材2を密に結合させているため、Pdを添加しない場合に比べて、より金属基材2からAu層4が剥離されにくい。
それに加え、中間層3にPdが添加されると、Au層4の溶出が抑制される。また、Pdが添加された中間層3が水素吸収を抑制するため、中間層3が金属基材2から剥離されにくい。
これにより、金属セパレータ用板材1によれば、金属基材の材料と燃料電池用金属セパレータの使用環境(アノード面またはカソード面)、価格、金属セパレータの生産量に応じて、耐久性の向上ができる。
金属セパレータ用板材1は、中間層3の平均厚さd2を5〜100nm、Au層4の平均厚さd1を1〜9nmに設定しているため、耐久性を向上でき、貴金属の使用量を低減できる。
金属セパレータ用板材1は、アノード側またはカソード側の双方に利用できるが、特に、アノード側に用いるとよい。
本実施の形態に係る製造方法によれば、簡単、適切に金属セパレータ用板材1を作製することができる。
第2の実施の形態を説明する。
図3に示すように、第2の実施の形態に係る金属セパレータ用板材31は、金属基材32の表面に形成された純Tiからなる下中間層33と、その下中間層33の表面に形成された純Pdからなる上中間層34とを備える。
下中間層33は金属基材31と上中間層34の密着層であり、上中間層34は下中間層33とAu層35の接着層である。下中間層33の平均厚さは、図1の金属セパレータ用板材1の中間層3の平均厚さd2と同じである。
上中間層34の平均厚さd3が1nm以下の場合は、Tiからなる層の水素吸収が抑制できるが、上中間層34の平均厚さd3が1nmより厚くなる場合は、Tiからなる層の水素吸収が増加する。よって上中間層34の平均厚さd3は1nm以下(0nmの時は、図1の金属セパレータ用板材1において、中間層3のPd濃度が0wt%の時と同義なので除外)にした。
上中間層34の平均厚さd3を1nm以下にする理由としては、Pd原子が多原子層(1nmより厚く)となるとPd原子間に応力歪が発生し、この局所的な歪が水素吸着要因となる。一方、Pd原子が単原子程度のサイズの場合(厚さにして概ね1nm以下)はPd原子間の歪が極端に少なくなる(完全な単原子の場合はPd原子間歪はゼロ)ため、多原子Pdで発生する水素吸着が起こらなくなると考えるからである。
金属セパレータ用板材31の製造方法は、図1の金属セパレータ用板材1の製造方法の第2工程において、中間層を形成する際に、下中間層33を形成した後、平均厚さd3が1nm以下(0nmの時は、図1の金属セパレータ用板材1において、中間層3のPd濃度が0wt%の時と同義なので除外)の上中間層34を形成して中間層とすればよい。
金属セパレータ用板材31によれば、図1の金属セパレータ用板材1の効果と、下中間層33が金属基材31と上中間層34の密着層として、上中間層34が下中間層33とAu層35の接着層として働く効果のため耐久性を向上できる。
次に、カソード側に用いる金属セパレータ用板材を説明する。
図4(a)に示すように、第3の実施の形態に係る金属セパレータ用板材41は、図1の金属セパレータ用板材1と同様の構成であるが、金属基材42の表面に形成される中間層43のPd濃度と、Au層44の平均厚さd4とが異なる。中間層43のチタンに対するPd濃度は20wt%以下(0wt%の場合は純チタン)である。Au層の平均厚さd4は2〜15nmである。
また、図4(b)に示すように、図3の金属セパレータ用板材31と同様に、中間層43の代わりに下中間層403と上中間層404からなる中間層を構成し、金属セパレータ用板材401とすることもできる。ただし、上中間層404の平均厚さd5は2nm以下(0nmの時は、図4(a)の金属セパレータ用板材41において、中間層43のPd濃度が0wt%の時と同義なので除外)である。
Au層の平均厚さd4については、2nm未満になると、カソード電池環境(水分+空気ガス)での水分と酸素によるTi層の酸化層が形成され、これが長時間使用により、2nm以上の平均厚さとなり、接触抵抗の増大が起こり問題となる。カソード環境の場合は、酸素原子濃度の高い環境で使われるため、電気接点層となるAu層の平均厚さd4をアノードの場合より厚くする必要がある。
また、Au層の平均厚さd4が15nmより厚くなると、Au層の歪が大きくなり、金属基材42からの剥離が起こりやすくなり問題となる。平均厚さの上限がアノード環境に比べると大きくなる理由は、中間層43の水素吸収による体積膨張がアノード環境に比べると小さいため、その分歪蓄積による剥離が起こりにくいためである。
中間層43にPdを添加すると、カソード環境の場合、直接水素ガス環境に曝されることがないが、カソード側に微量に発生する水素ガスや、水分中の水素原子などにより、若干起こる水素吸収を抑制できる。
微量に発生する水素ガスや水分中の水素原子などにより、若干の水素吸収が起こるが、アノード環境ほどではないため、実用上は、上中間層404の平均厚さd5は、2nm以下となる範囲で構成すれば水素吸収による耐久性は問題ないと考える。
金属セパレータ用板材41の製造方法は、図1の金属セパレータ用板材1の製造方法において、中間層にPdを添加する場合、Pd濃度は20wt%以下(0wt%の場合は純チタン)とすればよく、また、Au層の平均厚さを2〜15nmとして形成すればよい。中間層43を形成する際に、中間層43の代わりに下中間層403と平均厚さd5が2nm以下(0nmの時は、図4(a)の金属セパレータ用板材41において、中間層43のPd濃度が0wt%の時と同義なので除外)の上中間層404からなる中間層を形成すると金属セパレータ用板材401が得られる。
本実施の形態に係る金属セパレータ用板材41によれば、図1の金属セパレータ用板材1と同様な作用効果が得られ、金属セパレータ用板材401によれば、図3の金属セパレータ用板材31と同様の効果が得られる。
まず、試料の作製方法を説明する。
金属基材として、SUSとチタンをクラッド圧延接合と仕上げ圧延により作製される板材を使ったものと、純チタン(1種)をそのまま用いたものとがある。前者のクラッド圧延の板材については、SUS430(厚さ1mm)とチタン(厚さ0.1mm)を準備し、クラッド圧延接合により、Ti/SUS430/Tiの構造とし、その後圧延を行い、厚さj=0.1mmの板材を仕上げサイズとした。仕上げサイズにおけるTi層の厚さは0.01mm(片面)コアのSUS430材の厚さは0.08mmである。後者の板材は1種(チタンの品質のJIS呼名)のチタン材(厚さ0.1mm)を用いた。
中間層、Au層はスパッタ処理により形成した。ここでのスパッタ処理は、RFスパッタ装置(株式会社アルバック、型式:SH−350)を用いて行った。形成時の雰囲気はArで、圧力は7Paとし、RF出力は金属の種類により適宜調整した。厚み制御は、金属種ごとに、予め平均成膜速度を測量した上で、成膜時間を調整して行った。
最後に、金型を用いたプレス成型加工を施し燃料電池用金属セパレータとした(図6参照)。ここでは、燃料ガス(または酸化剤ガス)の流路(図6の上下方向の溝、凹部)の長さ(e+e)を52mm、流路のピッチa(図6のB部詳細図参照)を2.9mm(i)×17(図6の上下方向で、凹部と凸部を交互に形成)、流路の深さk(図6下の奥方向、凹部と凸部の高低差)を0.6mmとした。その他の数値は、b=31mm、c=30mm、d=40mm、f=70mmである。
次に、試料の耐久性評価の方法を説明する。
(1)金属セパレータの抵抗測定
金属セパレータの耐久性評価としては、各種金属セパレータの電池運転試験の実施前後における抵抗値(MEAのガス拡散層と接触した時の抵抗値)の変化により評価した。
金属セパレータの耐久性評価としては、各種金属セパレータの電池運転試験の実施前後における抵抗値(MEAのガス拡散層と接触した時の抵抗値)の変化により評価した。
具体的には、図5に示すように、Auめっきを施したCu(銅)ブロック53の間に、用意した金属セパレータ51(2×2cm2)を、力ーボンペーパ52を介して挟み、油圧プレス機で加重(10kg/cm2)をかけながら、金属セパレータ51とカーボンペーパ52の間の抵抗R(mΩ)を4端子測定方式(アデックス株式会社、型番:AX−125A)で測定した。金属セパレータ51の面抵抗rは、下式で求めた。
r(mΩcm2)=R×S(金属セパレータ面積)×λ(面接触の占有率)
ここで、λ=0.5
MEAのガス拡散層としては、カーボンペーパ52(東レ株式会社、品番:TGP−H−060)を用いた。
ここで、λ=0.5
MEAのガス拡散層としては、カーボンペーパ52(東レ株式会社、品番:TGP−H−060)を用いた。
(2)金属セパレータのTi層あたりの水素吸収量調査と水素脆化有無の確認
電池試験に供した後、金属セパレータの水素含有量を測定した。水素含有量測定は、試料を燃焼させ、その時に発生するH(水素)の発生量を求めることにより求めた。水素含有量の測定は、堀場製の型式EMGA‐1110を用いて行った。また、実測される試料の水素含有量Nmから、試料におけるTi層あたりの水素含有量Ntを次式に基づいて算出した。
電池試験に供した後、金属セパレータの水素含有量を測定した。水素含有量測定は、試料を燃焼させ、その時に発生するH(水素)の発生量を求めることにより求めた。水素含有量の測定は、堀場製の型式EMGA‐1110を用いて行った。また、実測される試料の水素含有量Nmから、試料におけるTi層あたりの水素含有量Ntを次式に基づいて算出した。
Nm=(Ns・ρsVs+Nt・ρtVt)/(ρsVs+ρtVt)
つまり、Ns(SUS層の水素含有量)、Nt(Ti層の水素含有量)、Vs(SUS層の体積占有率)、Vt(Ti層の体積占有率)とし、実験により得られる値Nmは単純な複合則に従うとするものである。Au層と中間層は金属基材に比べると厚みが薄いので無視している。
つまり、Ns(SUS層の水素含有量)、Nt(Ti層の水素含有量)、Vs(SUS層の体積占有率)、Vt(Ti層の体積占有率)とし、実験により得られる値Nmは単純な複合則に従うとするものである。Au層と中間層は金属基材に比べると厚みが薄いので無視している。
さらに、SUS材の密度ρs=7.8g/cm3、Ti材の密度ρt=5g/cm3、であり、今回の実験では、金属基材がTi/SUS/Tiのクラッド材を使う場合は、全てVt=0.2、Vs=0.8である。
SUS材については、初期Ns=7ppm、運転後Ns=15ppm(500〜5000時間)とした。
SUS材の水素含有量は、別途の分析により推定される値である。また、金属基材として純Tiを使う場合、実測される水素含有量=Ti層あたりの水素含有量とした。本測定における測定精度は有効数字2桁程度である。
一部の試料については、水素吸収による水素脆化が懸念される。この影響を見るために、簡易剥離試験を行った。具体的には、金属セパレータ試料を図7に示すように、セパレータ流路に対して垂直方向にニッパの刃を当てて試料の一部を切断する。ニッパ切断後の破面を目視で観察し、表層が脆くなり剥離破断している場合は、脆化剥離有と判断した。ニッパ切断後も表層が日視レベルで剥離破断していない場合(通常に金属を切断した場合と同様の面)は、脆化剥離無と判断した。
耐久性評価に用いた電池運転試験条件を以下に示す。
フッ素系固体高分子電解質膜としてデュポン株式会社製のナフィオン112(登録商標)を用い、発電電極部の大きさは50×50mm2とした。電極触媒は0.6mg/cm2となるようにPt担持触媒(田中貴金属工業株式会社、品番:TEC10V50E)を用い、ガス拡散(分散)層にはカーボンペーパ(東レ株式会社、品番:TGP−H−060)を用いた。燃料ガス(または酸化剤ガス)の流路形成とシール部材を兼ね備えたガスケットを挟み込んで、図2に示したような構造の燃料電池を組み立てた。運転条件は、燃料ガスとして純水素を65cc/分(水蒸気を相対湿度99%含む)、さらに、酸化剤ガスとして、空気を260cc/分(水蒸気を相対湿度99%含む)を供給した。電池の設定温度は80℃である。電池の通電は無負荷条件とし、500時間及び5000時間の運転を行った。
(実施例A1〜A12)
図1に示す金属セパレータについて、Au層の平均厚さを変化させると共に、中間層として純Ti(すなわち、Pd濃度0wt%)とTi−PdのPd濃度を3〜5wt%で変えた試料を12種作製し、これらの試料を燃料電池のアノード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。
図1に示す金属セパレータについて、Au層の平均厚さを変化させると共に、中間層として純Ti(すなわち、Pd濃度0wt%)とTi−PdのPd濃度を3〜5wt%で変えた試料を12種作製し、これらの試料を燃料電池のアノード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。
本実験では、カソード用の金属セパレータも必要となる。そこで、本実験のためにカソード用の金属セパレータとしては、実施例A3の試料と同じものを使用した。
(比較例A1〜A19)
図1に示す金属セパレータについて、Au層の平均厚さを変化させると共に、中間層として純Ti(すなわち、Pd濃度0wt%)とTi−PdのPd濃度を3〜7wt%で変えた試料を19種作製し、これらの試料を燃料電池のアノード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。
図1に示す金属セパレータについて、Au層の平均厚さを変化させると共に、中間層として純Ti(すなわち、Pd濃度0wt%)とTi−PdのPd濃度を3〜7wt%で変えた試料を19種作製し、これらの試料を燃料電池のアノード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。
表1はこれら31種の金属セパレータの発電前後における金属セパレータ抵抗と水素の含有量の測定値、運転試験後の試料の簡易剥離試験の結果を示したものである。
ここでは、5000時間運転後の金属セパレータの抵抗が16mΩ/cm2以上、Ti層あたりの水素濃度が10000ppm以上、剥離有のいずれかの現象の起こる場合を適用不可能とした。
表1に示すように、Au層については平均厚さが10nm以上となっても初期特性は問題がないが長時間運転後の抵抗値が増大し問題となる。これは、厚みが増えると膜の歪量が大きくなるため、Au層が剥離するためと考える。
また、中間層についてはPd添加の影響を調べたが、Pd添加のない場合とPd濃度が6%以上となる時に水素含有量が大きくなった。Pd濃度ゼロの場合は9000ppm相当で適用可能であるがPd添加のある方が水素吸収を抑制できているとの結果である。
(実施例B1〜B12)
金属基材に純Tiを用いて、実施例A1〜A12と同様に資料を作成した。カソード用の金属セパレータは実施例B11と同じものを用いて電池運転試験を行った。
金属基材に純Tiを用いて、実施例A1〜A12と同様に資料を作成した。カソード用の金属セパレータは実施例B11と同じものを用いて電池運転試験を行った。
(比較例B1〜B19)
金属基材に純Tiを用いて、比較例A1〜A19と同様に資料を作成した。
金属基材に純Tiを用いて、比較例A1〜A19と同様に資料を作成した。
表1の場合と同様に、金属基材のみを純Tiにした場合の結果を表2に示す。
金属セパレータ用板材の構造と金属セパレータの耐久試験結果は表1の場合と同様である。また、チタン層当たりの水素含有量の初期値が異なるのは、金属基材のクラッド接合等の加工工程においてチタンが水素を吸い込むためと考えられる。
(実施例C1〜C12)
次に、中間層が下中間層と上中間層の2層からなる場合の実施結果について説明する。純Tiからなる下中間層を形成する。下中間層の平均の厚さは10nm相当とし、その後、純Pdからなる上中間層を0.1〜1.0nmまで変化させた試料を作製した。
次に、中間層が下中間層と上中間層の2層からなる場合の実施結果について説明する。純Tiからなる下中間層を形成する。下中間層の平均の厚さは10nm相当とし、その後、純Pdからなる上中間層を0.1〜1.0nmまで変化させた試料を作製した。
さらに、純AuからなるAu層(純度3N)についても、平均厚さが1〜9nmまで変化させた試料を12種作製した。これらの試料を燃料電池のアノード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。カソード用の金属セパレータとしては、実施例C12の試料を用いた。
(比較例C1〜C19)
純Tiからなる下中間層を形成する。下中間層の平均の厚さは10nm相当とし、その後、純Pdからなる上中間層を0.1〜1.7nmまで変化させた試料を作製した。
純Tiからなる下中間層を形成する。下中間層の平均の厚さは10nm相当とし、その後、純Pdからなる上中間層を0.1〜1.7nmまで変化させた試料を作製した。
さらに、純AuからなるAu層(純度3N)についても、平均厚さが0.3〜12nmまで変化させた試料を19種作製した。これらの試料を燃料電池のアノード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。カソード用の金属セパレータとしては、実施例C12の試料を用いた。
本実験は、適用可能な範囲が、Au層の平均厚さが1〜9nm、上中間層の平均厚さが1nm以下が好ましいことを示す根拠である。
表3に示すように、上中間層は平均厚さが1nmよりも厚くなると水素吸収が増加し問題となるが、わずかな厚さが存在する場合は、水素吸収が抑制される。
(実施例D1〜D12)
図4(a)に示す金属セパレータについて、Au層の平均厚さを変化させると共に、中間層として純Ti(すなわち、Pd濃度0wt%)とTi−PdのPd濃度を5〜20wt%で変えた試料を12種作製し、これらの試料を燃料電池のカソード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。
図4(a)に示す金属セパレータについて、Au層の平均厚さを変化させると共に、中間層として純Ti(すなわち、Pd濃度0wt%)とTi−PdのPd濃度を5〜20wt%で変えた試料を12種作製し、これらの試料を燃料電池のカソード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。
本実験では、アノード用の金属セパレータも必要となる。そこで、本実験のためにカソード用の金属セパレータとしては、実施例D5の試料と同じものを使用した。
(比較例D1〜D19)
図4(a)に示す金属セパレータについて、Au層の平均厚さを変化させると共に、中間層として純Ti(すなわち、Pd濃度0wt%)とTi−PdのPd濃度を5〜30wt%で変えた試料を12種作製し、これらの試料を燃料電池のカソード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。
図4(a)に示す金属セパレータについて、Au層の平均厚さを変化させると共に、中間層として純Ti(すなわち、Pd濃度0wt%)とTi−PdのPd濃度を5〜30wt%で変えた試料を12種作製し、これらの試料を燃料電池のカソード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。
本実験では、アノード用の金属セパレータも必要となる。そこで、本実験のためにカソード用の金属セパレータとしては、実施例D5の試料と同じものを使用した。
本実験は、適用可能な範囲が、Au層の平均厚さが2〜15nm、中間層のPd濃度が20wt%以下が好ましいことを示す根拠である。
表4に示すように、カソード(空気極)の場合もアノード(水素極)ほど大きくはないが、電池運転環境において水素吸収が起こることを示しており、適切な量のPdが中間層に存在することが好ましい。
Au層は、カソードの場合、アノードのAu層に比べると、やや厚めの範囲が好ましい。平均厚さが9nmを越えても耐久性を損ねない理由は、水素吸収が少ないため、膜の歪量小さくなるためと考える。また、平均厚さが2nm必要な理由は、酸化雰囲気のためと考える。
(実施例E1〜E12)
次に、中間層が下中間層と上中間層の2層からなる場合の実施結果について説明する。純Tiからなる下中間層を形成する。下中間層の平均の厚さは20nm相当とし、その後、純Pdからなる上中間層を0.2〜2.0nmまで変化させた試料を作製した。
次に、中間層が下中間層と上中間層の2層からなる場合の実施結果について説明する。純Tiからなる下中間層を形成する。下中間層の平均の厚さは20nm相当とし、その後、純Pdからなる上中間層を0.2〜2.0nmまで変化させた試料を作製した。
さらに、純AuからなるAu層(純度3N)についても、平均厚さが2〜15nmまで変化させた試料を12種作製した。これらの試料を燃料電池のカソード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。アノード用の金属セパレータとしては、実施例E3の試料を用いた。
(比較例E1〜E19)
下中間層の平均の厚さは20nm相当とし、その後、純Pdからなる上中間層を0.2〜3.3nmまで変化させた試料を作製した。
下中間層の平均の厚さは20nm相当とし、その後、純Pdからなる上中間層を0.2〜3.3nmまで変化させた試料を作製した。
さらに、純AuからなるAu層(純度3N)についても、平均厚さが0.8〜20nmまで変化させた試料を12種作製した。これらの試料を燃料電池のカソード面とし、燃料電池を組み立て、電池試験を行った。アノード用の金属セパレータとしては、実施例E3の試料を用いた。
本実験は、適用可能な範囲が、Au層の平均厚さが2〜15nm、上中間層の平均厚さが2nm以下が好ましいことを示す根拠である。
本実験は、適用可能な範囲が、Au層の平均厚さが2〜15nm、上中間層の平均厚さが2nm以下が好ましいことを示す根拠である。
表5に示すように、上中間層は平均厚さが2nmよりも厚くなると水素吸収が増加し問題となるが、わずかな厚さが存在する場合は、水素吸収が抑制される。
上記実施例における平均厚さの確認方法としては、例えば、ICP(誘導結合プラズマ)質量分析やXPS(X線光電子分光)を利用した分析方法がある。これらを用いれば、測定したい電気接点層付金属材の任意の複数箇所を分析試料として用いることで、各膜厚の平均厚さを求めることができる。
またICPやXPSを用いた分析以外にも、TEM(透過電子顕微鏡)を用いた分析により平均厚さを算出することもできる。
1 金属セパレータ用板材
2 金属基材
3 中間層
4 Au層
2 金属基材
3 中間層
4 Au層
Claims (13)
- 固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極とを備える燃料電池に用いられる金属セパレータ用板材において、
金属基材の表面に、チタンからなる中間層が形成され、その中間層の表面に平均厚さが1nm以上9nm以下の純AuからなるAu層が形成されることを特徴とする金属セパレータ用板材。 - 前記中間層は、前記中間層のチタンに対して5wt%以下のPdが添加されている請求項1に記載の金属セパレータ用板材。
- 固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極とを備える燃料電池に用いられる金属セパレータ用板材において、
金属基材の表面に、チタンからなる下中間層が形成され、その下中間層の表面に平均厚さが1nm以下のPd層からなる上中間層が形成され、その上中間層の表面に平均厚さが1nm以上9nm以下の純AuからなるAu層が形成されることを特徴とする金属セパレータ用板材。 - 固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極とを備える燃料電池に用いられ、酸化剤極側を覆うための金属セパレータ用板材において、
金属基材の表面に、チタンからなる中間層が形成され、その中間層の表面に平均厚さが2nm以上15nm以下の純AuからなるAu層が形成されることを特徴とする金属セパレータ用板材。 - 前記中間層は、前記中間層のチタンに対して20wt%以下のPdが添加されている請求項4に記載の金属セパレータ用板材。
- 固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極とを備える燃料電池に用いられ、酸化剤極側を覆うための金属セパレータ用板材において、
金属基材の表面に、チタンからなる下中間層が形成され、その下中間層の表面に平均厚さが2nm以下のPd層からなる上中間層が形成され、その上中間層の表面に平均厚さが2nm以上15nm以下の純AuからなるAu層が形成されることを特徴とする金属セパレータ用板材。 - 請求項1〜6いずれかに記載の金属セパレータ用板材に、凹凸加工が施された燃料電池用金属セパレータ。
- 固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極を備える燃料電池に用いられる金属セパレータ用板材の製造方法において、
金属基材の表面に、チャンバーを用いた気相法により、チタンからなる中間層を形成し、その中間層の表面に、同一チャンバー内で気相法により、純Auからなる平均厚さ1nm以上9nm以下のAu層を形成することを特徴とする金属セパレータ用板材の製造方法。 - 前記中間層は、前記中間層のチタンに対して5wt%以下のPdが添加されている請求項8に記載の金属セパレータ用板材の製造方法。
- 固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極を備える燃料電池に用いられる金属セパレータ用板材の製造方法において、
金属基材の表面に、チャンバーを用いた気相法により、チタンからなる下中間層を形成し、その下中間層の表面に平均厚さが1nm以下のPd層からなる上中間層を形成し、その上中間層の表面に、同一チャンバー内で気相法により、純Auからなる平均厚さ1nm以上9nm以下のAu層を形成することを特徴とする金属セパレータ用板材の製造方法。 - 固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極を備える燃料電池に用いられ、酸化剤極側を覆うための金属セパレータ用板材の製造方法において、
金属基材の表面に、チャンバーを用いた気相法により、チタンからなる中間層を形成し、その中間層の表面に、同一チャンバー内で気相法により、純Auからなる平均厚さ2nm以上15nm以下のAu層を形成することを特徴とする金属セパレータ用板材の製造方法。 - 前記中間層は、前記中間層のチタンに対して20wt%以下のPdが添加されている金属セパレータ用板材の製造方法。
- 固体高分子電解質膜と、その固体高分子電解質膜の両側に設けられた電極を備える燃料電池に用いられ、酸化剤極側を覆うための金属セパレータ用板材の製造方法において、
金属基材の表面に、チャンバーを用いた気相法により、チタンからなる下中間層を形成し、その下中間層の表面に平均厚さが2nm以下のPd層からなる上中間層を形成し、その上中間層の表面に、同一チャンバー内で気相法により、純Auからなる平均厚さ2nm以上15nm以下のAu層を形成することを特徴とする金属セパレータ用板材の製造方法。
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