JP2009294402A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Iichiro Inoue
威一郎 井上
Hiroyuki Hakoi
博之 箱井
Koichi Miyaji
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Abstract

【課題】 白浮きを改善するとともに表示品位の低下を抑制した液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明による液晶表示装置(100)は、表面(122s)を有する第1電極(122)と、第1基板(120)と、第2基板(140)と、液晶層(160)とを備える。第1電極(122)の第1表面領域(122a1)と第2電極(142)との間の距離は、第1電極(122)の第2表面領域(122a2)と第2電極(142)との間の距離よりも短い。第1基板(120)は、第1電極(122)の少なくとも第2表面領域(122a2)と重なる絶縁層(126)をさらに有している。第1配向膜(124)と第1電極(122)の第2表面領域(122a2)との間の距離は、第1配向膜(124)と第1電極(122)の第1表面領域(122a1)との間の距離よりも長い。
【選択図】図3

Description

本発明は液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、中小型から大型までの広範囲の用途で用いられている。特に近年では、テレビやインフォメーションディスプレイ、ビルボードディスプレイ等の比較的大型の液晶表示装置が実用化されている。液晶表示装置の大型化が進むほど、コントラスト比、輝度、視野角、応答速度等の表示特性に対する要求が厳しくなっている。
現在、特に大型の液晶表示装置に用いられる主流な表示モードとしてIPS(In Plane Switching)モードおよびVA(Vertical Alignment)モードが知られている。IPSモードでは液晶分子に横方向の電界を印加しており、正面方向から見たときの液晶分子の配向状態と斜め方向から見たときの液晶分子の配向状態との違いは比較的小さく、視野角依存性が少ない。しかしながら、IPSモードでは黒表示時に液晶分子が基板面内で一方向に水平配向しており、この配向方向は偏光板の偏光軸方向と平行にされているが、配向乱れ等での光漏れを十分に抑制することは困難であり、高コントラスト比を実現できない。
一方、VAモードでは、黒表示時には液晶分子は基板面に垂直に配向しており、縦方向の電界を印加すると、液晶分子は配向膜の表面にほぼ平行に配向する。VAモードでは、黒表示時において、正面方向での屈折率異方性は理論的にはゼロであるので、IPSモードよりも高いコントラスト比を実現できる。現在では、液晶パネル単体でのコントラスト比が3000:1、5000:1といった高コントラスト比の液晶表示装置も発表されている。
VAモードの液晶表示装置では、複数の液晶ドメインを形成することにより、視野角の改善が行われている(例えば、特許文献1〜3)。特許文献1〜3の液晶表示装置では、2つの基板の液晶層側にリブやスリットが設けられており、これにより、液晶分子の配向方向を規制して液晶ドメインが形成される。特許文献1の液晶表示装置では、液晶分子が表示画面に対して左右方向に傾く液晶ドメインの面積を、液晶分子が上下方向に傾く液晶ドメインの面積よりも小さくしている。一般的な大型テレビ等は通常、横長のワイド画面であるので、表示画面に対して上下方向から視認するよりも、左右方向から視認することの方が圧倒的に多いため、左右方向の表示品位の改善が行われている。
また、特許文献4には、スリットやリブを設けなくても液晶分子の配向を規制できることが開示されている。特許文献4の液晶表示装置において、画素電極は、下層導電層と、上層導電層とを有しており、上層導電層は下層導電層の一部と重畳している。これにより、画素電極の領域に応じて液晶層の実効電圧が変化し、液晶分子の配向方向が規制される。
また、VAモードの欠点として、正面方向からの表示品位と斜め方向からの表示品位との差が顕著であることが知られている。特に中間調表示において、正面方向からみたときに適切な表示特性となるように調整を行うと、斜め方向から見たときの色味やガンマ特性といった表示特性は正面方向の表示特性とは大きく異なってしまう。液晶分子の光軸方向は分子長軸方向であり、中間調表示時には液晶分子の光軸方向は基板の主面に対してある程度傾いた状態となるが、この状態で視野角(見る方向)を変化させて、液晶分子の光軸方向と平行な斜めから見た場合、液晶分子の位相差はゼロであり、斜め方向から見たときの表示特性は正面方向の表示特性とは大きく異なってしまう。
また、斜め方向からみた表示画像は正面方向からみた表示画像と比べて全体的に白っぽくみえる。このような現象は「白浮き」とも呼ばれている。例えば、人間の顔を表示する場合、正面方向からは人間の顔の表情等が違和感なく視認されていても、斜め方向から見ると全体的に白っぽく見え、肌色の微妙な階調表現が白く潰れてしまって見えることがある。
このような白浮きを改善するために、1つの画素を複数(典型的には、2つ)の副画素に分割して副画素の透過率を異ならせ、斜め方向の表示品位が正面方向の表示品位と比べて低下しないように副画素の階調特性を調整することが行われている(例えば、特許文献5)。特許文献5の液晶表示装置では、1つの画素電極は2つの副画素電極に分割されており、2つの副画素電極は異なるスイッチング素子に接続されており、副画素電極に対応して異なるデータ線が設けられている。副画素電極の電位が異なることにより、副画素ごとの透過率は異なり、これにより、白浮きの改善が行われている。
また、白浮きを改善する別の技術も検討されている(例えば、特許文献6および7)。特許文献6の液晶表示装置では、画素に対して、ある時刻に第1ガンマ定数に対応するデータ信号が入力され、別の時刻に第2ガンマ定数に対応するデータ信号が入力されており、1つの画素が時刻に応じて異なるガンマ特性を示すことにより、白浮きの改善が行われる。
また、特許文献7の液晶表示装置では、画素内で配向膜の厚さを変えており、配向膜の厚さに応じて液晶層の厚さも変化している。このため、画素内に電気容量の異なる領域が存在しており、画素電極の電位が等価でも、領域に応じて液晶層の実効電圧が異なり、これにより、白浮きが改善される。
特開2003−43514号公報 特開2001−209065号公報 特開2007−94416号公報 特開2001−330833号公報 特開2006−209135号公報 特開2005−352483号公報 特開2007−164190号公報
特許文献4の液晶表示装置では、実効電圧の異なる3つの領域が設けられているが、最も実効電圧の高い領域および最も実効電圧の低い領域のそれぞれの中心付近の液晶分子の配向方向が規定されていないため、電圧を印加しても液晶分子が傾くことなく輝度の低い線状領域(暗線)が発生する。このため、特許文献4の液晶表示装置では、光の利用効率が低く、透過率が低下すると考えられる。
また、特許文献5の液晶表示装置では、1つの画素電極は2つの副画素電極に分割されているため、画素内において表示に寄与する面積が減少し、開口率(透過率)が低下する。また、特許文献5の液晶表示装置では、1列の画素に属する2つの副画素に対して2つのデータ配線を設けているため、駆動回路のコストが増大するとともに各列の画素に対して2つのデータ配線を設けることによって開口率が低下する。また、特許文献6の液晶表示装置では、ガンマ定数の異なるデータ信号を切り換えるための駆動回路が必要となり、駆動回路のコストが上昇する。
また、特許文献7の液晶表示装置では画素内で配向膜の厚さが異なっており、液晶層の厚さの異なる領域が形成される。液晶層の厚さが異なると液晶層の位相差(リターデーション)が異なることになって、黒表示時(液晶分子は基板面に垂直な方向に配向している状態)での光学補償が困難となる。液晶層の薄い領域に位相差板の設計値を合わせると、液晶層の厚い領域では光学補償条件からはずれて、斜め方向で光漏れが生じ、視野角が狭くなる。また、液晶層の厚い領域に合わせても同様であり、液晶層の厚さの平均値に合わせても大部分の領域において光学補償条件からずれてしまって、これも視野角特性を悪化させる。理論的には、液晶層の厚さの異なる領域ごとにリターデーションを調整した位相差板を用いることにより、十分な光学補償が実現できるが、このような位相差板の作製は現時点において製造プロセス的にもコスト的にも困難である。また、特許文献7の液晶表示装置では、配向膜の厚さを異ならせることにより、液晶層の実効電圧を変化させているが、このように配向膜の厚さを異ならせると、配向膜の表面の段差が大きく、その段差において液晶の配向不良が生じ、結果として、表示品位が低下してしまう。
また、上述した特許文献4〜7の液晶表示装置では、実効電圧の異なる領域の数は2または3と少ない。この場合、装置のさまざまな制約上、斜め方向からの表示品位を十分に改善できないことがある。しかしながら、上述した特許文献4〜7の液晶表示装置では、その構成上、実効電圧の異なる領域の数を増大させることは困難であり、結果として、白浮きを十分に改善できない。
本発明はこれらの課題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、白浮きを改善するとともに表示品位の低下を抑制した液晶表示装置を提供することにある。
本発明による液晶表示装置は、表面を有する第1電極と、前記第1電極の前記表面を覆う第1配向膜とを有する第1基板と、表面を有する第2電極と、前記第2電極の前記表面を覆う第2配向膜とを有する第2基板と、前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に設けられた垂直配向型の液晶層とを備える、液晶表示装置であって、前記第1電極の前記表面は、第1表面領域および第2表面領域を含んでおり、前記第1電極の前記第1表面領域と前記第2電極との間の距離は、前記第1電極の前記第2表面領域と前記第2電極との間の距離よりも短く、前記第1基板は、前記第1配向膜と前記第1電極との間の少なくとも一部に設けられた絶縁層であって、前記第1電極の少なくとも前記第2表面領域と重なる絶縁層をさらに有しており、前記第1配向膜と前記第1電極の前記第2表面領域との間の距離は、前記第1配向膜と前記第1電極の前記第1表面領域との間の距離よりも長い。
ある実施形態において、前記第1配向膜はほぼ平坦な表面を有している。
ある実施形態において、前記液晶層の厚さはほぼ一定である。
ある実施形態において、前記第2電極の前記表面はほぼ平坦である。
ある実施形態において、前記絶縁層は前記第1配向膜よりも厚い。
ある実施形態において、前記液晶層は、負の誘電率異方性を有する液晶材料を含む。
ある実施形態において、前記液晶層の液晶分子のプレチルト角はほぼ90°である。
ある実施形態において、前記第1基板はアクティブマトリクス基板であり、前記第2基板は対向基板であり、前記第1電極は画素電極である。
ある実施形態において、前記画素電極の前記第1表面領域と前記液晶層との間の距離は、前記画素電極の前記第2表面領域と前記液晶層との間の距離よりも短い。
ある実施形態において、前記絶縁層は、前記第1電極を覆う。
ある実施形態において、前記絶縁層のうち前記第1電極の前記第2表面領域に対応する部分は、前記絶縁層のうち前記第1電極の前記第1表面領域に対応する部分よりも厚い。
ある実施形態において、前記第1電極の前記第1表面領域は前記第1電極の前記表面の中央に位置しており、前記第1電極の前記第2表面領域は前記第1電極の前記表面の外縁に位置している。
ある実施形態において、前記液晶層は前記第1電極に対応して少なくとも2つの液晶ドメインを有している。
ある実施形態において、前記液晶層は前記第1電極に対応して少なくとも2つの液晶ドメインを有しており、前記第1電極の前記第1表面領域は前記少なくとも2つの液晶ドメインの境界部の少なくとも一部を規定しており、前記第1電極の前記第2表面領域は前記第1電極の前記表面の外縁に位置している。
ある実施形態において、前記少なくとも2つの液晶ドメインは4つの液晶ドメインである。
ある実施形態において、前記4つの液晶ドメインの液晶分子は、電圧印加時に、互いに90°またはその整数倍異なる方位に配向する。
ある実施形態において、前記液晶表示装置の主面の法線方向からみると、前記4つの液晶ドメインの境界部はV字状を含む。
ある実施形態において、前記液晶表示装置の主面の法線方向からみると、前記4つの液晶ドメインの境界部は十字状である。
ある実施形態において、前記第1電極の前記第1表面領域は、前記第1電極のうち前記第1配向膜からの距離が最も短い領域であり、前記第1電極の前記第2表面領域は、前記第1電極のうち前記第1配向膜からの距離が最も長い領域である。
ある実施形態において、前記第1電極と前記配向膜との間の距離は、前記第1電極の前記第1表面領域から前記第2表面領域に近づくにつれて長くなる。
ある実施形態において、前記第1電極の前記表面には複数の段差部が設けられている。
ある実施形態において、前記複数の段差部のうち隣接する2つの段差部の間隔は、前記第1電極の前記第2表面領域から前記第1電極の前記第1表面領域に近づくにつれて短くなる。
ある実施形態において、前記第1電極の前記表面は傾斜形状を有している。
ある実施形態において、前記第1電極の前記表面の傾斜は前記第1電極の前記第2表面領域から前記第1電極の前記第1表面領域に近づくにつれて急峻になっている。
ある実施形態において、前記第1電極の一部は前記絶縁層と重ならない。
ある実施形態において、前記第1基板は、前記液晶層と反対側に設けられた第1偏光板を有しており、前記第2基板は、前記液晶層と反対側に設けられた第2偏光板を有しており、前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一方は少なくとも1つの位相差板をさらに有している。
ある実施形態において、前記少なくとも1つの位相差板は2軸性の位相差板を含む。
ある実施形態において、前記少なくとも1つの位相差板は、正の1軸性位相差板と、負の1軸性位相差板とを含む。
ある実施形態において、前記液晶表示装置は複数の画素を有しており、前記複数の画素のそれぞれにおいて前記絶縁層のうちの最も厚い部分の厚さは3.0μm以下である。
ある実施形態において、前記絶縁層は1.0から7.0の範囲内の比誘電率を有している。
ある実施形態において、前記第1電極の前記第1表面領域の電位は、前記第1電極の前記第2表面領域の電位と等価である。
ある実施形態において、前記液晶表示装置は複数の画素を有しており、前記複数の画素のそれぞれは、ガンマ特性の異なる複数の領域を有しており、前記複数の領域は連続している。
本発明によれば、白浮きを改善するとともに表示品位の低下を抑制した液晶表示装置が提供される。
以下、図面を参照して、本発明による液晶表示装置の実施形態を説明する。
図1に、本実施形態の液晶表示装置100の模式図を示す。液晶表示装置100は、第1基板120と、第2基板140と、第1基板120と第2基板140との間に設けられた垂直配向型の液晶層160とを備えている。第2基板140は第1基板120と対向している。第1基板120は、第1電極122と、第1電極122の表面122sを覆う第1配向膜124とを有しており、第1電極122および第1配向膜124は絶縁基板121上に設けられている。また、第2基板140は、第2電極142と、第2電極142の表面142sを覆う第2配向膜144とを有しており、第2電極142および第2配向膜144は絶縁基板141上に設けられている。絶縁基板121、141は例えば、透明なガラス基板である。
なお、ここで、第1基板120はアクティブマトリクス基板であり、第1電極122は画素電極であり、ここでは図示していないが、絶縁基板121上には、配線、スイッチング素子(例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)等が設けられている。また、ここでは、第2基板140は対向基板であり、第2電極142は対向電極であり、ここでは図示していないが、絶縁基板141上には、カラーフィルタ層およびブラックマトリクス等が設けられている。なお、以下の説明において、第1電極122を画素電極122と呼ぶことがあり、また、第2電極142を対向電極142と呼ぶことがある。
液晶表示装置100には、複数の行および複数の列のマトリクス状に配列された画素が設けられている。画素は、画素電極122によって規定される。なお、第1、第2配向膜124、144は垂直配向膜であるが、必要に応じて、所定のプレチルト角が付与されるように配向処理が行われてもよい。画素電極122および対向電極142は透明導電性材料、例えば、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)から形成されている。
液晶層160は、例えば、負の誘電率異方性を有するネマチック液晶材料を含む。液晶層160の液晶分子162は、印加電圧がゼロのとき、第1、第2配向膜124、144の主面に対してほぼ垂直に配向しており、印加電圧が所定の電圧を超えると、第1、第2配向膜124、144の主面に対して傾くように配向する。印加電圧がさらに増大すると、液晶分子162は第1、第2配向膜124、144の主面とほぼ平行に配向する。液晶層160の厚さは3.4μmである。液晶層160の厚さはセル厚とも呼ばれる。
なお、図1には図示していないが、第1基板120は、第1電極122と第1配向膜124との間に設けられた絶縁層を有している。また、図1では、画素電極122の表面122sは対向電極142の表面142sと平行なように示しているが、画素電極122の表面122sは対向電極142の表面142sと平行ではない。液晶表示装置100の具体的な構成は図3を参照して後述する。
図2に示すように、液晶表示装置100は、第1基板120、第2基板140および液晶層160の一体化された液晶セル110を備えている。また、液晶表示装置100は、照明装置180を備えていてもよい。
液晶表示装置100では、第1基板120の照明装置180側には位相差板210および偏光板310が設けられており、第2基板140の観察者側には位相差板220および偏光板320が設けられている。2つの偏光板310、320は液晶セル110を挟んで互いに対向するように配置されている。図2において、偏光板310、320の矢印は、偏光板310、320の偏光軸(透過軸)方向を示している。2つの偏光板310、320の透過軸(偏光軸)は、互いに直交するように配置されており、一方が水平方向(行方向)、他方が垂直方向(列方向)に沿うように配置されている。
位相差板210、220としては、例えば、2軸性の位相差板が用いられる。2軸性の位相差板において、3つの互いに直交する主軸をx軸、y軸およびz軸とし、それぞれの主軸における屈折率(主屈折率)をnx、nyおよびnzとすると、屈折率nx、ny、nzはnx>ny>nzの関係を満たしている。図2において、位相差板210、220の矢印は、位相差板210、220の遅相軸方向を示している。位相差板210、220において、例えば、基板面方向のリターデーション値ReはRe=(nx−ny)×dで表され、厚さ方向のリターデーション値RthはRth={(nx+ny)/2−nz}×dで表される。ここで、dは液晶層160の厚さである。例えば、リターデーション値Reは50nmであり、リターデーション値Rthは135nmである。なお、液晶層160のリターデーション値Δndは320nmである。
位相差板210、220は、2軸性位相差板でなくてもよく、例えば、負の1軸性位相差板(Cプレート)と正の1軸性位相差板(Aプレート)とを含むものであってもよい。また、位相差板210および偏光板310は第1基板120と液晶層160との間に設けられてもよく、位相差板220および偏光板320は第2基板140と液晶層160との間に設けられてもよい。いずれの場合も垂直配向型の液晶層の電圧無印加時に適切に光学補償をすることができ、広い視野角特性を実現することができる。
以下、図3を参照して、本実施形態の液晶表示装置100の構成を説明する。図3では、1画素の構成を示している。図3(a)に、液晶表示装置100の模式的な断面図を示す。ここでは、段差形状の絶縁層123が設けられており、絶縁層123の高さは一方向に沿って変化している。
画素電極122は絶縁層123上に設けられている。画素電極122の表面122sは下層にある絶縁層123の表面を反映している。画素電極122の表面122sには、高さの異なる複数の平坦部122pおよび平坦部122pを結ぶ複数の段差部122dが設けられている。各平坦部122pにおいて絶縁基板121の主面を基準とした画素電極122の表面122sの高さはほぼ等しい。画素電極122の平坦部122pの厚さは、ほぼ一定であり、例えば、700Åである。また、各段差部122dにおける高低差は、例えば0.25μmである。画素電極122の表面122sの高さも一方向に沿って変化している。なお、図3では、図面を過度に複雑にするのを避けるために、3つの段差部122dを図示している。
図3(b)に、液晶表示装置100における画素電極122の模式的な平面図を示す。なお、図3(a)は、図3(b)の3a−3a’線に沿った断面に相当する。ここで、画素電極122は矩形状であり、画素電極122の複数の段差部122dのそれぞれは、矩形状の一方の角から対向する角に向かう直線と平行に延びている。画素電極122の複数の段差部122dの延びている方向(すなわち、平坦部122pの延びている方向)は互いにほぼ平行であり、本明細書の以下の説明において、画素電極122の高低差の変化する方向(すなわち、図3(b)の3a−3a’線に平行な方向)を「高低差方向」ともいう。
図3(a)に示すように、第1基板120は、画素電極122と第1配向膜124との間に設けられた絶縁層126を有している。絶縁層126はほぼ平坦な表面126sを有している。絶縁層126の厚さは、画素電極122の表面122sの段差形状に対応しており、絶縁層126の最大厚さは、例えば3.0μmである。なお、絶縁層126の材料は絶縁層123と等しくてもよいし、異なっていてもよい。
画素電極122および絶縁層126の表面126s上に第1配向膜124が設けられている。配向膜124は絶縁層126と比べて薄い。第1配向膜124の厚さは例えば1000Å(0.1μm)である。
対向電極142はほぼ平坦な表面142sを有しており、対向電極142を覆う第2配向膜144も同様にほぼ平坦な表面を有している。また、第2配向膜144の厚さは例えば1000Å(0.1μm)である。
対向電極142の表面142sがほぼ平坦であるのに対して、上述したように、画素電極122の表面122sは段差形状である。このため、画素電極122の領域に応じて対向電極142から画素電極122の表面122sまでの距離は異なる。
また、画素電極122および絶縁層126に着目すると、画素電極122の表面122sは段差形状であるのに対して、画素電極122の上に設けられた絶縁層126はほぼ平坦な表面126sを有しており、画素電極122の領域に応じて絶縁層126の厚さが異なる。このため、画素電極122と対向電極142との間に電圧が印加されると、画素内で液晶層160の実効電圧は異なり、絶縁層126が厚いほど液晶層160の実効電圧は低下する。
画素電極122の表面122sは、第1表面領域122a1および第2表面領域122a2を含んでおり、画素電極122の第1表面領域122a1と対向電極142との間の距離は画素電極122の第2表面領域122a2と対向電極142との間の距離よりも短い。なお、以下に限定されるものではないが、ここでは、画素電極122の第1表面領域122a1は画素電極122の表面122sのうち対向電極142からの距離が最も短い領域であり、画素電極122のうち最も高い位置にある領域とし、また、画素電極122の第2表面領域122a2は画素電極122の表面122sのうち対向電極142からの距離が最も長い領域であり、画素電極122のうち最も低い位置にある領域とする。以下の説明において、第1表面領域122a1を上方領域と呼ぶことがあり、第2表面領域122a2を下方領域と呼ぶことがある。なお、液晶層160のうち画素電極122の第1表面領域122a1および第2表面領域122a2に対応する領域をそれぞれ液晶領域160a1および160a2と呼ぶことがある。図3に示した液晶表示装置100において、上方領域122a1は画素電極122のうち最も高い位置にある平坦部122pであり、下方領域122a2は画素電極122のうち最も低い位置にある平坦部122pである。
例えば、対向電極142と画素電極122の上方領域122a1との間の距離は約3.6μmであり、対向電極142と画素電極122の下方領域122a2との間の距離は約6.6μmである。また、画素電極122の上方領域122a1の電位は下方領域122a2と等価である。
絶縁層126は、画素電極122の少なくとも一部を覆っており、具体的には、画素電極122の少なくとも第2表面領域122a2と重なる。なお、ここでは、絶縁層126は、画素電極122の下方領域122a2と重なるが、画素電極122の上方領域122a1と重ならない。また、ここでは、絶縁層126の表面126sは、画素電極122の上方領域122a1と同一平面を形成している。絶縁層126の比誘電率εは1.0から7.0の範囲内であり、例えば、3.5である。
第1配向膜124は、画素電極122の上方領域122a1および絶縁層126の表面126sを覆っており、ほぼ平坦な表面を有している。第1配向膜124の厚さはほぼ一定である。また、液晶層160の厚さもほぼ一定である。
液晶表示装置100では、画素電極122の上方領域122a1と対向電極142との間に絶縁層126が設けられていないのに対して、画素電極122の下方領域122a2と対向電極142との間に絶縁層126が設けられている。このため、画素電極122と対向電極142との間に所定の電位差(電圧)が与えられると、画素電極122の上方領域122a1の電位が下方領域122a2と等価であっても、液晶領域160a1に印加される実効電圧は液晶領域160a2に印加される実効電圧よりも高い。したがって、液晶領域160a1に存在する液晶分子162は第1、第2配向膜124、144の主面の法線方向からの傾きが比較的大きいのに対して、液晶領域160a2に存在する液晶分子162は第1、第2配向膜124、144の主面の法線方向からの傾きは比較的小さい。このように、画素電極122の領域122a1、122a2に応じて液晶分子162の傾きは変化する。
ここで、画素電極122と対向電極142との電位差(電圧)をVと表し、液晶領域160a1、160a2の透過率をTとし、電圧Vをゼロから高電圧に変化させていく場合、電圧Vが比較的低くても液晶領域160a1の液晶分子162は法線方向から傾き始めるのに対して、電圧Vが比較的高くならなければ液晶領域160a2の液晶分子162は法線方向からの傾きが開始しない。このため、液晶領域160a2に対応するV−T曲線は、液晶領域160a1に対応するV−T曲線よりも高電圧側にシフトし、また、液晶領域160a2に対応するV−T曲線における閾値電圧Vthは、液晶領域160a1に対応するV−T曲線よりも高い。このように、1つの画素電極122の各領域のV−T曲線は互いに異なることになる。画素全体で見たV−T曲線は、各領域のV−T曲線の平均となり、斜め方向からの平均化されたV−T曲線は正面方向からの平均化されたV−T曲線と同様の変化を示すことにより、白浮きを改善することができる。
また、絶縁基板121の主面を基準とした画素電極122の表面122sの高さは、上方領域122a1から下方領域122a2に近づくにつれて低くなるため、液晶層160の実効電圧は液晶領域160a1から液晶領域160a2に近づくにつれて低くなり、液晶層160には、画素電極122の高低差方向の方位と同様の方位に沿った斜め電界が形成される。このため、液晶分子162は、画素電極122の高低差方向と同様の方位に傾斜配向する。このように液晶分子162には第1、第2配向膜124、144の主面の法線方向に対して斜め方向に配向規制力が付与されるため、線状のスリットやリブなどを設けなくても液晶分子162の配向方向を規制することができる。また、液晶表示装置100では、配向規制力は、スリットやリブではなく画素電極122による実効電圧の差に基づいて付与されるため、液晶分子162の高速応答が実現される。
また、仮に、画素電極122の上方領域122a1が絶縁層126の表面126sと同一平面とならず、第1配向膜124に段差が形成されたとしても、絶縁層126が設けられていることにより、第1配向膜124の段差の程度は画素電極122の表面122sの段差と比べて小さく、第1配向膜124の段差に起因する配向不良を抑制することができる。また、ガンマ定数を切り換えたデータ信号を生成しなくてもよく、駆動回路のコストを抑制することができる。
本実施形態の液晶表示装置100は以下のように作製される。絶縁基板121上に段差形状の絶縁層123を形成する。絶縁層123は、堆積した絶縁材料に対して、グレイトーンマスクまたはハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィを行うことによって形成される。グレイトーンマスクまたはハーフトーンマスクは、透過領域および非透過領域に加えて半透過領域を有している。このようなグレイトーンマスクまたはハーフトーンマスクを用いて露光を行うと、フォトレジスト層には、透過領域に対応する露光部、非透過領域に対応する未露光部だけでなく、半透過領域に対応する半露光部が形成される。フォトレジスト層がネガ型の場合、現像すると、未露光部に対応してフォトレジスト層の開口部が形成され、半露光部に対応してフォトレジスト層の薄い領域が形成される。このようなフォトレジスト層を用いて絶縁層をエッチングすると、絶縁層には、露光部に対応する厚い領域および半露光部に対応する薄い領域が形成され、絶縁層123の段差形状を形成することができる。
次に、絶縁層123上に導電材料を堆積した導電層を形成し、導電層をパターニングすることにより、画素電極122を形成する。画素電極122の表面には絶縁層123の段差形状が反映されている。次に、画素電極122上に絶縁材料を堆積して絶縁層126を形成する。このとき、絶縁材料を比較的厚めに堆積した絶縁層に対して、画素電極122の上方領域122a1が露出するまでエッチバックを行い、ほぼ平坦な表面126sを有する絶縁層126を形成する。その後、絶縁層126の表面126sおよび画素電極122の上方領域122a1上に第1配向膜124を形成する。以上のようにして、段差形状の表面122sを有する画素電極122および表面122sに対応して厚さの異なる絶縁層126を形成することができる。
また、絶縁基板141上に対向電極142および第2配向膜144を形成し、これにより、第2基板140が作製される。次に、第1基板120と第2基板140との間の液晶層160を形成する。液晶層160の形成には真空注入法または滴下法のいずれを用いてもよい。
ここで、比較例1の液晶表示装置500と比較して本実施形態の液晶表示装置100の利点を説明する。図4に、比較例1の液晶表示装置500の模式図を示す。
図4に示した比較例1の液晶表示装置500において、画素電極522は、画素電極122と同様に段差形状の表面を有しているが、画素電極522上に絶縁層が設けられておらず、画素の領域に応じて液晶層560の厚さは変化している。
比較例1の液晶表示装置500において、上方領域に対応するV−T曲線における閾値電圧は下方領域に対応するV−T曲線における閾値電圧とほぼ等しい。なお、V−T曲線そのものが等しいわけではない。液晶層560が厚い領域ほど、V−T曲線の立ち上がりの傾きは大きくなる。
上方領域に対応するV−T曲線における閾値電圧が下方領域に対応するV−T曲線における閾値電圧と等しいことは、液晶の連続弾性体理論からも導かれる。閾値電圧Vthは以下のように表される。
Figure 2009294402
ここで、Kは液晶材料の弾性定数、Δεは液晶材料の誘電率異方性である。閾値電圧は液晶層の厚さに依存しないので、液晶層560の厚さが変化してもV−T曲線における閾値電圧は変化しない。このため、比較例1の液晶表示装置500では、画素内で閾値電圧の異なる領域が形成されない。
画素電極522の段差形状に応じて第1配向膜524に比較的大きい段差が形成されており、この段差に起因して配向不良が発生し、表示品位が低下する。また、比較例1の液晶表示装置では、画素内で液晶層の厚さが変化するため、黒表示時の光学補償が困難であり、視野角が狭くなってしまう。光学補償を十分に行うには、液晶層560の位相差(リターデーション:Δnd)が1つの値に固定され、その値に合わせて位相差板等の光学補償素子の設計値を決めることが必要である。しかしながら、画素内に液晶層の厚さの異なる領域が存在していると、液晶層には複数のリターデーションが存在することとなり、どれか1つの値に光学補償素子の設計値を合わせると、それ以外の領域では光学補償が最適値からずれて、黒表示時に光漏れが生じる。また、複数の領域に対する液晶層のリターデーションの平均値に光学補償素子の設計値を合わせても、多くの領域の最適値からずれるため、全体的に光漏れが生じて好ましくない。
本実施形態の液晶表示装置100では、画素電極122は段差形状の表面を有しており、絶縁層126の厚さは画素電極122の領域に応じて異なる。このため、画素内で実効電圧は異なり、V−T曲線における閾値電圧が異なり、これにより、白浮きを改善することができる。また、画素電極122の段差形状に対応して厚さの異なる絶縁層126が設けられているため、画素電極122の表面122sが段差形状を有していても、配向膜124の段差はないか、あっても小さく、配向膜124の段差に起因する配向不良を抑制できる。また、液晶層160がほぼ一定の厚さであるため、液晶層160のリターデーションは画素内でほとんど変化しない。したがって、図2に示した位相差板210、220等の光学補償素子を用いて光漏れを抑制することができる。
なお、上述した説明では、画素電極122の下層である絶縁層123が段差形状を有しており、画素電極122の表面122sは絶縁層123の形状を反映していたが、本発明はこれに限定されない。図5に示した液晶表示装置100’では、絶縁層123のほぼ平坦な表面上に、領域ごとに厚さの異なる画素電極122が設けられており、この場合も、画素電極122の表面122sは段差形状を有している。
なお、液晶表示装置100’において第1基板120は以下のように作製される。絶縁基板121上にほぼ平坦な表面を有する絶縁層123を形成する。次に、絶縁層123の上に導電材料を堆導した導電層に対してグレイトーンマスクまたはハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィを行う。このようなフォトリソグラフィにより、残存する導電層の有無だけでなく残存する導電層の高さを制御することができる。次に、画素電極122上に比較的厚めに絶縁材料を堆積し、エッチバックを行うことにより、ほぼ平坦な表面126sを有する絶縁層126を形成する。
なお、図3および図5に示した液晶表示装置100、100’では、画素電極122の上方領域122a1および絶縁層126の表面126sは同一平面を形成しており、配向膜124は画素電極122の上方領域122a1および絶縁層126の表面126s上に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。画素電極122の上方領域122a1は絶縁層126の表面と同一平面になくてもよく、絶縁層126は画素電極122の下方領域122a2だけでなく上方領域122a1と重なっていてもよく、絶縁層126は画素電極122を覆っていてもよい。また、この場合、絶縁層126は、エッチバックを行わなくても、その表面がほぼ平坦になるように比較的厚く形成されてもよい。
なお、上述した説明では、液晶表示装置100、100’において電圧印加時に液晶分子162は第1、第2配向膜124、144の主面に対して一方向に傾斜配向したが、本発明はこれに限定されない。
図6に示すように、液晶表示装置100Aの画素電極122は、複数の副画素電極122q1〜122q4に分割されていてもよい。副画素電極122q1〜122q4のそれぞれの上方領域122a1は画素電極122の中央に位置しており、各副画素電極122q1〜122q4の高低差方向は互いに90°またはその整数倍異なる方向を向いている。この場合、各副画素電極122q1〜122q4に対応して液晶ドメインが形成される。ここで、表示画面(紙面)の水平方向(左右方向)を方位角方向の基準とし、左回りに正をとる(表示面を時計の文字盤に例えると3時方向を方位角0°として、反時計回りを正とする)と、液晶ドメインのそれぞれにおいて液晶分子162の配向する方位は、315°、225°、135°、45°である。方位0°は1つの偏光板の軸方向と平行である。このように、液晶分子162は副画素電極122q1〜122q4の高低差方向と平行に傾斜配向し、4つの液晶ドメインが形成されるため、液晶表示装置100Aは、視野角特性を改善することができる。なお、液晶表示装置100Aでは、画素分割によってマルチドメインを実現しているが、本発明はこれに限定されない。
以下、本発明による液晶表示装置の別の実施形態を説明する。なお、本実施形態の液晶表示装置100Bは、画素電極122の表面形状、ならびに、それに対応する絶縁層123および絶縁層126の構成が異なる点を除いて、図1および図2を参照して説明した液晶表示装置100と同様の構成を有しており、重複する説明を省略する。
まず、図7を参照して、液晶表示装置100Bの構成を説明する。図7(a)に、液晶表示装置100Bにおける1画素の模式的な断面図を示し、図7(b)に、液晶表示装置100Bにおける画素電極122の模式的な平面図を示す。また、図7(c)は、液晶表示装置100Bの液晶ドメインD1〜D4を示しており、図7(a)は、図7(c)の7a−7a’線に沿った断面に相当している。
液晶表示装置100Bにおいて、絶縁層123は段差形状の表面を有しており、画素電極122は絶縁層123の表面の反映された段差形状を有している。絶縁基板121の主面を基準とした画素電極122の表面122sは、画素電極122の中央において最も高く、画素電極122の外縁に近づくにつれて低くなる。画素電極122の厚さは一定である。
また、絶縁層126は上方領域122a1を除いて画素電極122の表面122sと重なっている。絶縁層126は、画素電極122の中央から画素電極122の外縁に近づくにつれて厚くなる。画素電極122の上方領域122a1および絶縁層126の表面126sは同一面を形成する。
画素電極122の上方領域122a1と第1配向膜124との間の距離L1は、画素電極122の下方領域122a2と第1配向膜124との間の距離L2よりも短い。具体的には、距離L1は0μmであり、距離L2は約3.0μmである。上述したように、液晶表示装置100Bでは、画素電極122と第1配向膜124との間に厚さの異なる絶縁層126が設けられており、絶縁層126が厚いほど液晶層160に印加される実効電圧が低下している。
白を表示する場合、画素電極122と対向電極142との間の電位差(電圧)は例えば7.5Vである。第1基板120と第2基板140との間に設けられた液晶層160の厚さはほぼ3.4μmで一定である。また、絶縁層126は画素電極122の下層にある絶縁層123と同様の材料から形成されている。ここで、画素電極122における1つの段差は0.25μm、絶縁層126の最大厚さは3.0μmである。なお、図7では、図面を過度に複雑にするのを避けるために、6つの段差部122dを図示している。絶縁層126の厚さをtとすると、厚さtは0μmから3.0μmまで0.25μmずつ変化している。絶縁層126の比誘電率εは3.5である。
なお、図7(a)には、電圧印加状態の液晶分子162を示しており、図7(a)および図7(c)において液晶分子162のうち観察者側の端部を黒丸で示している。
図7(b)に示すように、画素電極122は4つの領域R1〜R4を有している。領域R1〜R4のそれぞれにおいて画素電極122の段差部122dは、図2に示した偏光板310、320の偏光軸方向に対して45°で交差する方向に延びている。画素電極122は領域R1〜R4のそれぞれに対して異なる高低差方向を有しており、画素電極122の領域R1〜R4のそれぞれの高低差方向は90°の整数倍に略等しい4つの方向である。画素電極122の高低差方向により、液晶分子162の配向方向が規制される。領域R1〜R4の境界部は十字状であり、領域R1〜R4のそれぞれの面積はほぼ等しい。
液晶表示装置100Bにおいて画素電極122と対向電極142との間に電圧を印加する場合、液晶層160の実効電圧は画素電極122のそれぞれの領域R1〜R4の高低差方向に沿って減少し、液晶分子162は、その観察者側の端部が領域R1〜R4のそれぞれの高低差方向に沿って画素電極122の中心部に向かって傾くように配向する。第1基板120の主面の法線方向から見ると、液晶分子162は、画素電極122の段差部122dと直交するように配向している。このようにして液晶層160には4つの液晶ドメインD1〜D4が形成される。
図7(c)に示すように、電圧の印加により、液晶分子162は、その観察者側の端部が第1、第2配向膜124、144の主面の法線方向から画素の中心部に傾くように配向する。上述したように、画素電極122の領域R1〜R4のそれぞれにおいて高低差方向は異なるので、液晶分子162の配向方向も90°の整数倍に略等しい4つの方向となり、液晶ドメインD1〜D4が形成される。
液晶ドメインD1〜D4の各境界部は直線状であり、液晶ドメインD1〜D4の境界線は画素電極122のエッジと平行に延びている。2つの境界線は十字状に直交して2行2列のマトリクス状の液晶ドメインD1〜D4が形成される。このように、4つの液晶ドメインD1〜D4が形成されるため、液晶表示装置100Bは広い視野角を有している。
また、液晶分子162の方位は、液晶ドメインD1〜D4を特徴付けており、各液晶ドメインD1〜D4の視野角特性に支配的な影響を与える。液晶ドメインD1〜D4における液晶分子162の配向方位は、それぞれ315°、225°、135°、45°である。このように、液晶分子162は電圧印加時に偏光板の偏光軸に対して45°の方位に傾斜するため、光の利用効率を高めることが可能となる。
なお、液晶表示装置100Bでは、液晶層160のうち画素電極122の中心部から遠い部分ほど、絶縁層126が厚いため、液晶層160の実効電圧が低く、液晶分子162の第1、第2配向膜124、144の主面の法線方向からの傾きは小さい。このように、液晶表示装置100Bでは、白浮きを抑制するために画素分割を行わなくてもよく、これにより、開口率(透過率)の低下を抑制できる。
ここで、図8を参照して液晶表示装置100Bの光学特性を説明する。図8(a)は、絶縁層126のそれぞれの厚さtに対応する画素領域の正面方向のV−T曲線の計算結果を示しており、図8(b)は、絶縁層126のそれぞれの厚さtに対応する画素領域の斜め方向のV−T曲線の計算結果を示している。具体的には、図8(a)において正面方向は方位0°および極角0°であり、図8(b)において斜め方向は方位45°および極角60°である。なお、一般に、極角が大きくなるほど白浮き現象は顕著になり、また、方位45°の白浮き現象は偏光板軸に平行な方位よりも顕著になるといわれている。なお、V−T曲線は、液晶ドメインD1〜D4において絶縁層126の厚さtに対応する領域のV−T曲線を平均化したものである。ここでは、3次元的に考慮すると処理に時間がかかるため、簡略化のために1次元のみを考慮をしている。
また、図8(a)において、AVEは、絶縁層126の厚さtの0μmから3.0μmに対応する画素領域のV−T曲線の平均を示している。同様に、図8(b)において、AVEは、絶縁層126の厚さtの0μmから3.0μmに対応する画素領域のV−T曲線の平均を示している。なお、ここでは、それぞれの厚さの領域の面積は等しいものとしている。AVEは、それぞれの視野角方向からみた場合の液晶表示装置100Bにおける画素の表示特性を示す。
白表示時における画素電極122と対向電極142との間の電位差(電圧)は7.5Vである。また、液晶層160の液晶分子162が電圧無印加時に第1配向膜124の主面の法線から傾くように配向処理を行う必要はなく、第1配向膜124界面における液晶分子162のプレチルト角は90°でもよいが、ここでは、処理をさらに簡略化するため、液晶層160の界面における液晶分子162のプレチルト角を89.5°としている。
図8(a)に示したように、正面から見た場合、厚さtが大きいほど、V−T曲線の立ち上がりがなだらかになり、V−T曲線が全体的に高電圧側にシフトし、また、閾値電圧も高電圧にシフトする。したがって、厚い絶縁層126の設けられた液晶領域160a2に対応するV−T曲線は、絶縁層126の設けられていない液晶領域160a1に対応するV−T曲線よりも高電圧側にシフトしており、液晶領域160a2に対応するV−T曲線における閾値電圧は、液晶領域160a1に対応するV−T曲線における閾値電圧よりも高い。このように、画素は、それぞれが異なるV−T曲線を示す複数の領域を有しており、画素全体で見たV−T曲線は、各領域のV−T曲線の平均となる。
図8(b)に示すように、斜めから見た場合も、厚さtが大きいほど、V−T曲線の立ち上がりがなだらかになり、閾値電圧も高電圧にシフトする。ただし、斜めから見た場合、厚さtが小さいと、低階調レベルにおいて透過率が最大値に達して白反転が発生しており、厚さtが大きくなるにつれて、透過率の極大となる電圧が高電圧側にシフトしている。このように、厚さtが大きくなり、斜め方向の白反転が高電圧側にずれることにより、画素全体でみたV−T曲線において白反転は実質的に抑制されている。
図8(a)と図8(b)との比較から理解されるように、各領域で比較すると斜め方向からのV−T曲線は正面方向からのV−T曲線と大きく異なる。しかしながら、画素が、V−T曲線の異なる複数の領域を有することにより、斜め方向のV−T曲線の立ち上がりがなだらかになり、画素全体でみると、斜め方向におけるV−T曲線の立ち上がりは正面方向におけるV−T曲線の立ち上がりと近づいており、斜め方向からの平均化されたV−T曲線は、正面方向からの平均化されたV−T曲線と同様の変化を示す。以上から、段差形状を有する画素電極122および画素電極122の段差に応じて厚さの異なる絶縁層126を設けることにより、白浮きを改善することができる。
以下、比較例2の液晶表示装置と比較して本実施形態の液晶表示装置100Bの利点を説明する。比較例2の液晶表示装置は、画素電極と配向膜との間に絶縁層が設けられていない点において液晶表示装置100Bとは異なる。比較例2の液晶表示装置は、液晶表示装置100Bの画素電極122とは異なり、段差形状の設けられていない平坦な表面を有する画素電極を備えており、かつ、画素電極の全ての領域にわたって絶縁層の厚さtはゼロである。
ここで、図8(c)を参照して、本実施形態の液晶表示装置100Bおよび比較例2の表示装置の表示特性を説明する。図8(c)において横軸(x軸)は正面透過率Trを規格化したものであり、以下の説明においてこれを正面規格化透過率とも呼ぶ。また、縦軸(y軸)は斜め透過率Trを規格化したものであり、以下の説明においてこれを斜め規格化透過率とも呼ぶ。斜め規格化透過率(y)は正面規格化透過率(x)に対してy=xとなる比例関係を有することが理想的である。なお、規格化は、白表示時の透過率に基づいて行われている。
図8(c)に、比較例2の液晶表示装置における正面規格化透過率に対する斜め規格化透過率の変化を示す。この変化は、図8(a)の厚さt=0の場合のV−T曲線と、図8(b)の厚さt=0の場合のV−T曲線との関係に対応している。図8(c)において、本実施形態の液晶表示装置100Bの結果は、図8(a)および図8(b)のAVEに対応している。なお、上述したように、AVEは、絶縁層126の厚さtが0μmから3.0μmであるときの結果を平均化したものである。
図8(c)から理解されるように、比較例2の液晶表示装置の結果は、y=xを示す直線(つまり、正面規格化透過率に対する斜め規格化透過率の変化が比例関係を有する直線)から上側に大きくずれており、このことから、比較例2の液晶表示装置において白浮き現象が強く発生していることがわかる。具体的には、正面規格化透過率が0.3を超えると、斜め規格化透過率は1を超えてしまい、正面方向では白階調に到達していない印加電圧において斜め方向では明るい表示となってしまい、その後、印加電圧が増大して正面方向が明るくなると、斜め方向では反対に暗くなる。このような現象は、実際に画像を表示させた時に、視野角方向の変化に応じた表示品位の変化として認識される。
これに対して、本実施形態の液晶表示装置100Bでは、比較例2の液晶表示装置と比べてy=xを示す直線からのずれが小さい。このことから、液晶表示装置100Bでは白浮き現象が改善されていることがわかる。また、斜め規格化透過率が最大となるのは、正面規格化透過率がほぼ最大となるときであり、正面規格化透過率に対する斜め規格化透過率の変化は実質的に単調増加となり、白反転が抑制されている。このように、本実施形態の液晶表示装置100Bでは、白浮きの改善および白反転の抑制を行うことができる。
なお、上述した説明では、1つの画素電極122に対して4つの液晶ドメインD1〜D4が形成されたが、本発明はこれに限定されない。1つの画素電極122に対して2つの液晶ドメインが形成されてもよい。また、上述したように、液晶表示装置がテレビ装置等に用いられる場合、2つの液晶ドメインは、左右方向に形成されてもよい。
また、上述した説明では、液晶ドメインの境界線は画素電極のエッジと平行に延びており、境界線は十字状に直交していたが、本発明はこれに限定されない。液晶ドメインの境界線は直交しなくてもよい。
以下、本発明による液晶表示装置の別の実施形態を説明する。なお、本実施形態の液晶表示装置100Cは、画素電極122の表面形状ならびにそれに対応する絶縁層123および絶縁層126の構成が異なる点を除いて、図1および図2を参照して説明した液晶表示装置100と同様の構成を有しており、重複する説明を省略する。
図9に、液晶表示装置100Cの模式的な斜視図を示し、図10に、液晶表示装置100Cの模式的な断面図を示す。なお、図10は、図9の10−10’線に沿った断面に相当する。
画素のサイズは200μm×300μmであり、液晶分子162のチルト角は全領域で90°であり、液晶材料の複屈折率Δnは0.0945、誘電率異方性Δεは−2.8である。また、画素電極122の1段当たりの高さは0.5μmであり、絶縁層126の厚さは最大で3.0μmであり、絶縁層126の比誘電率は3.5である。白表示時において画素電極122と対向電極142との間の電位差(電圧)は7.5Vである。
画素電極122は、段差形状を有する絶縁層123の上に設けられている。基板の法線方向から見て、画素電極122の段差部122dおよび平坦部122pはV字状に設けられており、上方領域122a1および下方領域122a2もV字状に設けられている。厳密には、このV字状は、文字「V」を反時計回りに90°回転させた形状である。
画素電極122は、領域R1および領域R2を含む上部分と、領域R3および領域R4を含む下部分とを有している。領域R1〜R4のそれぞれの面積比は互いに等しい。
画素電極122の上部分と下部分との境界は偏光板310、320の一方の偏光軸と平行に延びており、領域R1と領域R2との境界、および、領域R3と領域R4との境界は画素電極122の上方領域122a1によって規定されている。画素電極122の上方領域122a1は画素電極122の表面122sのうち最も高い位置にある領域であり、絶縁基板121に対する画素電極122の表面122sの高さは上方領域122の延びる方向から直交する方向に沿って低くなる。このため、液晶層160における液晶ドメインの境界部の一部は、画素電極122の上方領域122a1に対応して形成される。
画素電極122上に絶縁層126が設けられている。また、絶縁層126の材料は絶縁層123と等しい。液晶層160の厚さは3.4μmで一定である。
図10から理解されるように、絶縁基板121の主面を基準とした画素電極122の表面122sの高さは、画素電極122の上方領域122a1から下方領域122a2に近づくにつれて低くなっている。また、画素電極122の表面122sにおける平坦部122pの幅は、画素電極122の上方領域122a1から下方領域122a2に近づくにつれて広くなる。液晶表示装置100Cでは、液晶ドメインの境界部は画素電極122の上方領域122a1によって規定されるため、画素電極122の上方領域122a1の幅が短いことにより、画素電極122の上方領域122a1付近に発生する液晶ドメインの境界部(暗線)の幅や太さをより小さくでき、透過率の向上を実現できると考えられる。
図11に、液晶表示装置100Cの斜視図を示し、図12に、液晶表示装置100Cの模式的な断面図を示す。図12は、図11の12−12’線に沿った断面に相当する。画素電極122の段差部122dは、図2に示した偏光軸310、320の偏光軸に対して45°の角度を成す方向に延びている。この場合、液晶分子162は電圧印加時に偏光板の偏光軸に対して45°の方位に傾斜するため、光の利用効率を高めることが可能となる。
また、図12には、上方領域122a1を挟んで向かい合う2つの液晶分子162を模式的に示している。なお、液晶分子162の端部の楕円形状は、液晶分子のうち観察者側の端部であることを示している。また、図12には、市販の3次元有限要素法シミュレーターを用いて得られた電位ポテンシャルおよび液晶ダイレクターを示している。段差形状の画素電極122により、等電位面は傾いており、画素電極122の上方領域122a1付近から下方領域122a2に近づくほど、多くの等電位面が絶縁層126内に形成されることになり、液晶層160の実効電圧が低下している。また、画素電極122と対向電極142との間におけるフリンジ電界の影響を受けて、画素電極122のエッジ近傍における等電位面は更に下方向に曲がっている。電界の方向は等電位面と直交する方向に形成されるので、画素電極122のエッジのフリンジ電界と整合して、液晶層160内には4つの斜め電界の作用した領域が形成される。
ここで、仮に、画素電極が逆の段差形状を有しているとすると、画素電極のエッジのフリンジ電界とは逆の方向に各液晶ドメイン内の液晶分子が傾くことになるので、画素電極のエッジ付近で液晶分子の配向が衝突してしまい、暗線が発生し、透過率が低下して好ましくない。液晶表示装置100Cでは、画素電極122の高低差方向が画素電極122の外縁に向かっていることにより、透過率の低下が抑制される。
図13に、画素を上から見た時の4つの液晶ドメインD1〜D4および液晶分子162の配向方向の模式図を示す。ここでは、液晶ドメイン間の境界部はV字状を含んでいる。上述したように、このV字状の境界部は画素電極122の上方領域122a1によって規定されたものであり、液晶ドメインD1〜D4の液晶分子162の配向する方位は、それぞれ、45°、225°、135°、315°である。
以下、比較例3および比較例4の液晶表示装置と比較して本実施形態の液晶表示装置100Cの利点を説明する。まず、図14を参照して比較例3の液晶表示装置を説明する。図14(a)に示すように、比較例3の液晶表示装置において画素は画素電極によって規定されている。なお、図示していないが、比較例3の液晶表示装置において液晶層の厚さは一定である。
比較例3の液晶表示装置において2つの基板の液晶層側にリブおよびスリットが設けられており、リブおよびスリットにより、液晶分子の配向が規制される。ここでは、画素全体の応答速度を改善するために、複数のリブおよびスリットが設けられており、リブおよびスリットの間隔は22μmと比較的短い。リブおよびスリットの間隔がさらに大きくなると、液晶分子の応答速度が低下してしまう。リブおよびスリットは直交する2つの直線成分を有している。すなわち、リブおよびスリットはV字状に設けられており、2つの直線成分のなす角度は約90°である。これにより、液晶分子は4つの方向に配向される。
図14(b)に、比較例3の液晶表示装置における電圧−透過率曲線を示す。比較例3の液晶表示装置において画素の透過率は信号電圧の増加とともに増加する。
次に、図15を参照して比較例4の液晶表示装置を説明する。図15(a)に示すように、比較例4の液晶表示装置において画素は第1副画素および第2副画素を有している。ここでは、第1副画素の透過率は第2副画素の透過率以上であり、第1副画素が明副画素であり、第2副画素は暗副画素である。第1副画素および第2副画素は互いに異なる透過率を示し得る。例えば、比較例4の液晶表示装置において画素電極は第1副画素電極と第2副画素電極に分割されており、第1副画素電極は、第2副画素電極と異なる電位を有し得る。第1副画素は第1副画素電極によって規定されており、第2副画素は第2副画素電極によって規定されている。また、配向制御は、リブおよびスリットによって行われる。第1副画素および第2副画素の面積比は1:1である。なお、図15(a)には図示していないが、比較例4の液晶表示装置においても液晶層の厚さは一定である。
図15(b)に示すように、第1副画素および第2副画素のいずれの透過率も信号電圧の増加とともに増加するが、第1副画素の透過率の増加は第2副画素よりも低い信号電圧で開始される。ここで、Vは、第1および第2副画素を含む画素全体で透過率Tを得るために印加される信号電圧であるが、第1副画素の液晶層にはVよりも高い電圧が印加され、第2副画素の液晶層にはVよりも低い電圧が印加される。このため、第2副画素のV−T曲線は第1副画素のV−T曲線よりも高電圧側にシフトする。このような駆動は副画素駆動または画素分割駆動とも呼ばれる。これは、垂直配向型の液晶モードで用いられている一般的な白浮き改善手法である。図15(b)から理解されるように、信号電圧を増加させると、V−T曲線が低電圧側にずれている明副画素が先に明るくなり、その後、V−T曲線が高電圧側にずれている暗副画素が遅れて明るくなる。
図16(a)に、比較例3の液晶表示装置における画素構造および透過率を示し、図16(b)に、本実施形態の液晶表示装置100Cにおける画素構造および透過率を示す。比較例3の液晶表示装置および液晶表示装置100Cにおいて白表示を行うために画素電極と対向電極との間の電位差(電圧)は7.5Vである。図16(a)および図16(b)においてその明暗は画素領域における透過率分布を示している。なお、比較例4の液晶表示装置における1つの副画素の構造および透過率は、比較例3の液晶表示装置における画素と同様であるため、ここでは省略している。
図16(a)から理解されるように、比較例3の液晶表示装置には、複数のリブおよびスリット近傍部分の透過率は比較的低い。
これに対して、図16(b)から理解されるように、液晶表示装置100Cでは、液晶ドメインの境界部近傍部分の透過率は比較的低い。また、液晶表示装置100Cでは、画素電極122の表面に対応して厚さの異なる絶縁層126が設けられており、絶縁層126の厚さに応じて液晶層の実効電圧は異なる。絶縁層126が厚いほど、すなわち、画素電極122のうち第1配向膜124からの距離が長いほど、液晶層160の実効電圧が低下し、暗くなる。画素の透過率は、画素電極122の表面に応じてグラデーション状に変化する。
図16(a)および図16(b)の比較から理解されるように、液晶表示装置100Cでは、絶縁層126の厚い部分において暗くなっているものの、比較例3の液晶表示装置のようにリブおよびスリットが設けられていないので、リブおよびスリット付近の液晶ドメインの境界部の占める面積が低減している。これら2つの要因は互いにほぼ相殺するため、液晶表示装置100Cの透過率は比較例3の液晶表示装置とほぼ同等である。
図17に、本実施形態の液晶表示装置100Cにおける正面規格化透過率に対する斜め規格化透過率の変化を示す。なお、視野角を考慮した3次元の結果を得るためには長時間の処理が必要となるため、図17では1次元の結果を用いている。また、図17には、上述した比較例3および比較例4の液晶表示装置の結果も合わせて示している。
比較例3の液晶表示装置において、白浮きおよび白反転が発生している。また、画素分割の行われた比較例4の液晶表示装置では、比較例3の液晶表示装置と比べて白浮きが改善されている。しかしながら、比較例4の液晶表示装置では、低階調レベルにおける白浮きはある程度改善されるが、高階調レベルにおける白浮きは十分には改善されない。これは、比較例4の液晶表示装置のような副画素駆動において閾値電圧を大きくずらすことは困難だからである。さらに、比較例4の液晶表示装置では、1画素を2つの副画素に分割しており、それぞれの副画素は異なる透過率を示すように駆動する必要があるため、駆動が煩雑になり、さらに配線数が増加し、開口率が低下することになる。
これに対して、液晶表示装置100Cでは、V−T曲線および閾値電圧の異なる領域が設けられており、これにより、低階調レベル、中間調レベルおよび高階調レベルと全ての階調レベルにわたって白浮きを改善することができる。また、液晶表示装置100Cでは、複数の異なる領域のV−T曲線が平均化された結果として、画素全体におけるV−T曲線が得られるので、画素全体におけるV−T曲線が所望のV−T曲線となるように容易に調整することができる。
また、本実施形態の液晶表示装置100Cでは、比較例4の液晶表示装置のような副画素構造を採用しなくてもよいため、配線数等を減らして開口率および透過率を向上させることができる。なお、開口率および透過率を多少犠牲にして、副画素構造を採用して副画素駆動を行えば、さらに白浮きを改善することができる。
なお、上述した説明では、画素電極122は段差形状を有していたが、本発明はこれに限定されない。図18(a)に示した液晶表示装置100D1のように、画素電極122の表面122sは、ほぼ平坦な上方領域122a1から傾斜する傾斜形状を有していてもよい。あるいは、図18(b)に示した液晶表示装置100D2のように、画素電極122の表面122sは、点状または線状の上方領域122a1から傾斜する傾斜形状を有していてもよい。このように画素電極122の表面122sは傾斜形状を有していてもよい。
なお、図18(a)および図18(b)において、画素電極122の傾斜面の傾斜角度はほぼ一定であるが、本発明はこれに限定されない。図18(c)に示した液晶表示装置100D3のように、画素電極122の表面122sにおける傾斜面の傾斜角度は上方領域122a1に近づくほど大きくてもよく、第1配向膜124の最も近づく画素電極122の上方領域122a1は尖っていてもよい。
また、図18(c)および図18(d)に示すように、画素電極122の表面122sにおける傾斜は上方領域122a1付近に近づくにつれて急峻になっていることが好ましい。これは、液晶ドメインの境界部が画素電極122の上方領域122a1に規定される場合、この部分に液晶ドメイン境界部(暗線)が発生すると、この液晶ドメイン境界部の幅や太さをできるだけ細くすることが可能となるからである。また、画素電極122の上方領域122a1付近は尖っていてもよく、または、平らであってもよい。また、図18(d)に示した液晶表示装置100Dのように、画素電極122は、その上方領域122a1付近も含めて全体が、絶縁層126に覆われていてもよい。なお、画素電極122の具体的な構造は、製造プロセス上の問題、特性面での問題等を考慮して設計すればよい。
また、上述した説明では、対向電極142の表面142sはほぼ平坦であるのに対して、絶縁基板121の主面を基準にした画素電極122の表面122sの高さは異なっており、画素内に、画素電極122と対向電極142との間の距離の異なる領域が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。画素電極122の表面122sがほぼ平坦であり、絶縁基板141の主面を基準にした対向電極142の表面142sの高さが異なっていてもよい。あるいは、画素内で、絶縁基板121の主面を基準にした画素電極122の表面122sの高さが異なるだけでなく、絶縁基板141の主面を基準にした対向電極142の表面142sの高さも異なり、これにより、画素内に、画素電極122と対向電極142との間の距離の異なる領域が設けられてもよい。
本発明によれば、白浮きを改善するとともに表示品位の低下を抑制することができ、好適に大型の液晶表示装置を提供することができる。
本発明による液晶表示装置の実施形態の模式図である。 本実施形態の液晶表示装置の模式図である。 (a)は図1に示した液晶表示装置の模式的な断面図であり、(b)は第1基板に設けられた画素電極の模式的な平面図である。 比較例1の液晶表示装置の模式的な断面図である。 本発明による液晶表示装置の別の実施形態の模式的な断面図である。 本発明による液晶表示装置の別の実施形態における画素電極の構成を示す模式的な平面図である。 本発明による液晶表示装置の別の実施形態の模式図であり、(a)は液晶表示装置の模式的な断面図であり、(b)は画素電極の形状を示す模式的な平面図であり、(c)は液晶ドメインにおける液晶分子の配向方向を示す模式図である。 (a)は図7に示した液晶表示装置の正面方向における電圧−透過率特性を示すグラフであり、(b)は斜め方向における電圧−透過率特性を示すグラフであり、(c)は図7に示した液晶表示装置および比較例2の液晶表示装置における正面規格化透過率に対する斜め規格化透過率の変化を示すグラフである。 本発明による液晶表示装置の別の実施形態の模式的な斜視図である。 図9に示した液晶表示装置の模式的な断面図である。 図9に示した液晶表示装置の模式的な斜視図である。 図9に示した液晶表示装置の模式的な断面図である。 図9に示した液晶表示装置における液晶分子の配向方向を示す模式図である。 (a)は比較例3の液晶表示装置の画素構造を示す模式図であり、(b)はそのV−T曲線を示すグラフである。 (a)は比較例4の液晶表示装置の画素構造を示す模式図であり、(b)はそのV−T曲線を示すグラフである。 (a)は比較例3の液晶表示装置における模式的な断面図であり、(b)は図9に示した液晶表示装置の光学特性を示す模式図である。 図9に示した液晶表示装置ならびに比較例3および4の液晶表示装置における正面規格化透過率に対する斜め規格化透過率の変化を示すグラフである。 (a)〜(d)は、それぞれ、本発明による液晶表示装置の別の実施形態における模式的な断面図である。
符号の説明
100 液晶表示装置
110 液晶セル
120 第1基板
122 第1電極
123 絶縁層
124 第1配向膜
126 絶縁層
140 第2基板
142 第2電極
144 第2配向膜
160 液晶層
162 液晶分子
210 位相差板
220 位相差板
310 偏光板
320 偏光板

Claims (32)

  1. 表面を有する第1電極と、前記第1電極の前記表面を覆う第1配向膜とを有する第1基板と、
    表面を有する第2電極と、前記第2電極の前記表面を覆う第2配向膜とを有する第2基板と、
    前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に設けられた垂直配向型の液晶層と
    を備える、液晶表示装置であって、
    前記第1電極の前記表面は、第1表面領域および第2表面領域を含んでおり、前記第1電極の前記第1表面領域と前記第2電極との間の距離は、前記第1電極の前記第2表面領域と前記第2電極との間の距離よりも短く、
    前記第1基板は、前記第1配向膜と前記第1電極との間の少なくとも一部に設けられた絶縁層であって、前記第1電極の少なくとも前記第2表面領域と重なる絶縁層をさらに有しており、
    前記第1配向膜と前記第1電極の前記第2表面領域との間の距離は、前記第1配向膜と前記第1電極の前記第1表面領域との間の距離よりも長い、液晶表示装置。
  2. 前記第1配向膜はほぼ平坦な表面を有している、請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記液晶層の厚さはほぼ一定である、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第2電極の前記表面はほぼ平坦である、請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
  5. 前記絶縁層は前記第1配向膜よりも厚い、請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示装置。
  6. 前記液晶層は、負の誘電率異方性を有する液晶材料を含む、請求項1から5のいずれかに記載の液晶表示装置。
  7. 前記液晶層の液晶分子のプレチルト角はほぼ90°である、請求項1から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
  8. 前記第1基板はアクティブマトリクス基板であり、
    前記第2基板は対向基板であり、
    前記第1電極は画素電極である、請求項1から7のいずれかに記載の液晶表示装置。
  9. 前記画素電極の前記第1表面領域と前記液晶層との間の距離は、前記画素電極の前記第2表面領域と前記液晶層との間の距離よりも短い、請求項1から8のいずれかに記載の液晶表示装置。
  10. 前記絶縁層は、前記第1電極を覆う、請求項1から9のいずれかに記載の液晶表示装置。
  11. 前記絶縁層のうち前記第1電極の前記第2表面領域に対応する部分は、前記絶縁層のうち前記第1電極の前記第1表面領域に対応する部分よりも厚い、請求項10に記載の液晶表示装置。
  12. 前記第1電極の前記第1表面領域は前記第1電極の前記表面のほぼ中央に位置しており、
    前記第1電極の前記第2表面領域は前記第1電極の前記表面の外縁に位置している、請求項1から11のいずれかに記載の液晶表示装置。
  13. 前記液晶層は前記第1電極に対応して少なくとも2つの液晶ドメインを有している、請求項1から12のいずれかに記載の液晶表示装置。
  14. 前記液晶層は前記第1電極に対応して少なくとも2つの液晶ドメインを有しており、
    前記第1電極の前記第1表面領域は前記少なくとも2つの液晶ドメインの境界部の少なくとも一部を規定しており、
    前記第1電極の前記第2表面領域は前記第1電極の前記表面の外縁に位置している、請求項1から11のいずれかに記載の液晶表示装置。
  15. 前記少なくとも2つの液晶ドメインは4つの液晶ドメインである、請求項13または14に記載の液晶表示装置。
  16. 前記4つの液晶ドメインの液晶分子は、電圧印加時に、互いに90°またはその整数倍異なる方位に配向する、請求項15に記載の液晶表示装置。
  17. 前記液晶表示装置の主面の法線方向からみると、前記4つの液晶ドメインの境界部はV字状を含む、請求項15または16に記載の液晶表示装置。
  18. 前記液晶表示装置の主面の法線方向からみると、前記4つの液晶ドメインの境界部は十字状である、請求項15または16に記載の液晶表示装置。
  19. 前記第1電極の前記第1表面領域は、前記第1電極のうち前記第1配向膜からの距離が最も短い領域であり、
    前記第1電極の前記第2表面領域は、前記第1電極のうち前記第1配向膜からの距離が最も長い領域である、請求項1から18のいずれかに記載の液晶表示装置。
  20. 前記第1電極と前記配向膜との間の距離は、前記第1電極の前記第1表面領域から前記第2表面領域に近づくにつれて長くなる、請求項19に記載の液晶表示装置。
  21. 前記第1電極の前記表面には複数の段差部が設けられている、請求項1から20のいずれかに記載の液晶表示装置。
  22. 前記複数の段差部のうち隣接する2つの段差部の間隔は、前記第1電極の前記第2表面領域から前記第1電極の前記第1表面領域に近づくにつれて短くなる、請求項21に記載の液晶表示装置。
  23. 前記第1電極の前記表面は傾斜形状を有している、請求項1から20のいずれかに記載の液晶表示装置。
  24. 前記第1電極の前記表面の傾斜は前記第1電極の前記第2表面領域から前記第1電極の前記第1表面領域に近づくにつれて急峻になっている、請求項23に記載の液晶表示装置。
  25. 前記第1電極の一部は前記絶縁層と重ならない、請求項1から9のいずれかに記載の液晶表示装置。
  26. 前記第1基板は、前記液晶層と反対側に設けられた第1偏光板を有しており、
    前記第2基板は、前記液晶層と反対側に設けられた第2偏光板を有しており、
    前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一方は少なくとも1つの位相差板をさらに有している、請求項1から25のいずれかに記載の液晶表示装置。
  27. 前記少なくとも1つの位相差板は2軸性の位相差板を含む、請求項26に記載の液晶表示装置。
  28. 前記少なくとも1つの位相差板は、正の1軸性位相差板と、負の1軸性位相差板とを含む、請求項26に記載の液晶表示装置。
  29. 前記液晶表示装置は複数の画素を有しており、
    前記複数の画素のそれぞれにおいて前記絶縁層のうちの最も厚い部分の厚さは3.0μm以下である、請求項1から28のいずれかに記載の液晶表示装置。
  30. 前記絶縁層は1.0から7.0の範囲内の比誘電率を有している、請求項1から29のいずれかに記載の液晶表示装置。
  31. 前記第1電極の前記第1表面領域の電位は、前記第1電極の前記第2表面領域の電位と等価である、請求項1から30のいずれかに記載の液晶表示装置。
  32. 前記液晶表示装置は複数の画素を有しており、
    前記複数の画素のそれぞれは、ガンマ特性の異なる複数の領域を有しており、
    前記複数の領域は連続している、請求項1から31のいずれかに記載の液晶表示装置。
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