JP2009292882A - プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性、透明性や低温衝撃性に優れ、かつゲルやフィッシュアイが無く、ベタツキの無い良好な粉体性状をもつプロピレン系ブロック共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】
メタロセン系触媒を用い、内部に水平軸まわりに回転する撹拌機を有する横型反応器によって、第1工程によりプロピレン単独重合体成分あるいはプロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体成分を、プロピレン系ブロック共重合体の30〜95質量%に相当する量を重合する、次いで第2工程により前段よりα−オレフィン含量の多いプロピレン−α−オレフィン共重合体成分を、上記プロピレン系ブロック共重合体の70〜5質量%に相当する量を重合生成させることを含む多段気相重合法でプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する方法において、
第1工程から第2工程へのポリマー移送部および/または第2工程に、分子内に非共有電子対を有する標準状態で気体である物質を少なくとも1種類添加するプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プロピレン系ブロック共重合体の気相連続製造方法に関し、更に詳しくは、メタロセン系触媒を用いた、柔軟性、透明性や低温衝撃性に優れ、かつゲルやフィッシュアイが無く、ベタツキの無い良好な粉体性状をもつプロピレン系ブロック共重合体の製造方法に関するものである。
ポリプロピレンの優れた特性である、剛性および耐熱性を維持しつつ、耐衝撃強度(特に低温における衝撃強度)を改良する方法として、第1工程で比較的結晶性の高いプロピレン重合体を製造し、引き続き第2工程でプロピレンとα−オレフィンとのゴム状共重合体を製造することによって得られるブロック共重合体を生成させる方法は広く知られており、非常に汎用されている。
このようなブロック共重合体の製造については、多段階重合反応でチーグラー・ナッタ系触媒を用いて製造できることはすでに公知であるものの、チーグラー・ナッタ系触媒は活性点の種類が複数あるため、生成したプロピレン−α−オレフィン共重合体の結晶性および分子量分布が広く、低結晶・低分子量成分を多く生成することで、重合パウダーのベタツキが強く見られ、工業的な製造に対して問題が発生しやすいという欠点を持つ。
一方、近年ではメタロセン系触媒の技術も進歩し、ポリプロピレンの工業的な製造にも使用されるようになってきており、多段重合によるブロック共重合体の製造例が開示されている(特許文献1〜8等参照)。メタロセン触媒は、活性点が均一であることが一つの特徴であるため、チーグラー・ナッタ系触媒で製造された重合パウダーと比較すると、結晶性および分子量分布が狭く、低結晶・低分子量成分が少ないことから、上記のような問題に対しては有利である。さらに、メタロセン系触媒のこのような特長を生かして、従来チーグラー・ナッタ触媒系では製造できなかった、低融点領域ポリマーや低分子量領域のゴムを多く含む、より柔軟な特徴を持つポリマーの製造も実施されている。また、このようなポリマーを製造する場合、第1工程、第2工程とも気相重合法を用いると、運転の安定性が比較的大きいことなどから、最近では好んで用いられている(特許文献3〜8)。
しかしながら、メタロセン系触媒を使用した場合でも、第1工程と第2工程との重合量比は、第2工程での重合量が過剰となると生成ポリマーの粉体性状の悪化からラインの閉塞などを誘発する恐れがあり、安定生産の維持という点から非常に重要となる。もちろん、第1工程と第2工程との重合量比は、製品物性へ大きな影響を及ぼすこともあり、ブロック共重合体の製造においては、最も重要なコントロール因子である。
また、一般に、上記ブロック共重合体の製造では経済的な観点から連続重合法が採用される。連続重合法においては、第1工程の重合槽において触媒成分の重合時間(重合槽内滞留時間)に分布を生じ、比較的短時間で第1工程重合槽から排出された粒子(ショートパス粒子)が第2工程の重合槽に入ると、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体含量が多い粒子が生成してしまう。このような粒子は混練によっても分散せず、ゲルやフィッシュアイの原因となり、製品外観を損ねたり、機械的強度を低下させたりする原因となる。
このような問題に対して、第2工程に主に活性抑制を目的として酸素を添加する方法が提案されている(特許文献3〜6)。しかしながら、酸素は気体であるため、添加する位置によっては、ショートパス粒子に対して選択的に作用し失活させる効果が小さく、ゲルやフィッシュアイの低減に十分な効果が得られないという欠点があった。
また、別の解決方法として、第2工程にイソプロピルアルコールを添加する方法が提案されている(特許文献7、8参照)。添加された化合物は反応槽より重合パウダーとともに排出され、後処理系に設置されている乾燥機で蒸発除去される。この際、特に融点の低いポリマーや低分子量領域のゴムを多く含むポリマーを乾燥する場合には、ポリマーの流動性悪化の懸念があるため、乾燥器温度は高く設定することができない。したがって、イソプロピルアルコールのような標準状態で液体である化合物は、乾燥不十分で製品ポリマーに残留し、臭いや色などの製品物性に悪影響を与えてしまうという欠点があった。
特開2003−2939号公報 特開2005−220235号公報 特開2001−310903号公報 特開2001−310907号公報 特開2001−310921号公報 特開2007−297505号公報 特表2003―533550号公報 特表2005−533138号公報
本発明の課題は、上記従来技術に鑑み、メタロセン系触媒を用いた、柔軟性、透明性や低温衝撃性に優れ、かつゲルやフィッシュアイが無く、ベタツキの無い良好な粉体性状をもつプロピレン系ブロック共重合体を、工業的に安定に製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、かかる課題を解決すべく種々検討を行った結果、分子内に非共有電子対を有する標準状態で気体である物質を特定の添加場所に添加することによって、柔軟で透明性や低温衝撃性が向上され、かつゲルやフィッシュアイが無くベタツキのない良好な粉体性状を持ったプロピレン系ブロック共重合体が工業的に安定に製造されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の特徴点を順次列挙すれば以下のとおりになる。
(1) メタロセン系触媒を用い、内部に水平軸まわりに回転する撹拌機を有する横型反応器によって、下記の第1工程と第2工程とを含む多段気相重合法でプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する方法において、
第1工程から第2工程へのポリマー移送部および/または第2工程に、分子内に非共有電子対を有する標準状態で気体である物質[以下成分(C)という]を少なくとも1種類添加することを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
第1工程:プロピレン単独重合体成分あるいはプロピレンとプロピレンを除く炭素数が2〜8であるα−オレフィンとのランダム共重合体成分[以下成分(A)という]を、上記プロピレン系ブロック共重合体の30〜95質量%に相当するように生成させる工程。
第2工程:成分(A)よりα−オレフィン含量の多いプロピレン−α−オレフィン共重合体成分[以下成分(B)という]を、上記プロピレン系ブロック共重合体の70〜5質量%に相当するように生成させる工程。
(2) 成分(C)の添加を第2工程で実施することを特徴とする前記(1)に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
(3)成分(C)の添加を第2工程に対応する重合槽の最上流末端から下流方向へ1/3までの間で実施することを特徴とする前記(2)に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
(4) 第1工程で生成される成分(A)の示差走査熱量測定(DSC)による融解ピーク温度Tmが105℃以上140℃以下のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
(5) 成分(C)の添加総量が、触媒中のメタロセン化合物の中心金属に対して、0.5モル以上5000モル以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
(6) 成分(C)が酸素であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
本発明の製造方法によれば、柔軟性、透明性や低温衝撃性に優れ、ベタツキのない良好な粉体性状をもつプロピレン系ブロック共重合体を、工業的かつ安定的に製造することができる。
本発明は、メタロセン系触媒を用いる第1工程と第2工程を含む多段重合によるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法であって、第1工程、第2工程とも気相重合法を用い、かつ第1工程で、成分(A)を上記プロピレン系ブロック共重合体の30〜95質量%に相当するように生成させ、第1工程から第2工程への移送部および/または第2工程に成分(C)を少なくとも1種類添加し、第2工程で、成分(B)を、上記プロピレン系ブロック共重合体の70〜5質量%に相当するように生成させるものである。
以下、その内容について詳細に説明する。
I.製造されるプロピレン系ブロック共重合体の特徴
本発明により製造されるプロピレン系ブロック共重合体(これを、上記したように本ブロック共重合体とも称する)は、メタロセン系触媒を用いる第1工程と第2工程を含む多段重合によるものであって、両工程とも気相重合法が適用され、かつ第1工程で、好ましくは示差走査熱量測定(DSC)による融解ピーク温度(Tm)が105〜140℃をもつ成分(A)を、本ブロック共重合体の30〜95質量%に相当するように生成させ、第2工程で、成分(A)よりα−オレフィン含量の多い成分(B)、換言すれば成分(A)を構成するモノマー単位のうちの、α−オレフィン単位の含有率(これをα−オレフィン含量ともいう)より高いα−オレフィン含量の成分(B)を、本ブロック共重合体の70〜5質量%に相当するように生成させることを特徴としている。
第1工程で製造される重合体は、製造されるポリマーの用途によってプロピレン単独重合体あるいはプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体成分が選ばれる。使用されるα−オレフィンは、プロピレンを除く炭素数が2〜8のα−オレフィン(単に、「α−オレフィン」という。)であり、好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、特に好ましくはエチレンが用いられる。具体的には、プロピレン重合体成分、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体成分、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体成分のような二元共重合体成分、或いは、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセンランダム共重合体成分のような、任意の成分を併用する三元共重合体成分が挙げられる。
具体的な標準仕様に基づく実施態様を示すと、第1工程でプロピレン単独を気相重合する場合には、第1工程および第2工程を含む多段気相重合工程で製造されるプロピレン系ブロック共重合体の最終生成物の質量を基準にして、約30〜95質量%相当量部分を予め重合して、次いで、第2工程において、プロピレンに、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンのような炭素数が2〜8のα−オレフィンの範疇に属する単量体の一種または2種以上の単量体を共存させて気相重合又は共重合により、残りの70〜5質量%相当量部分を重合生成させることである。
同様に、第1工程でプロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンエチレンのような炭素数が2〜8のα−オレフィンの共存下で気相重合する場合には、予め同様に30〜95質量%相当量を予め重合して、次いで、第2工程における気相重合においては、第1工程に存在する炭素数が2〜8のα−オレフィンの量より、相対的に多く存在するような仕様で、残りの70〜5質量%相当量を重合させることである。
第1工程で共重合されるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の具体的なものは、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体のような二元共重合体、およびプロピレン−エチレン1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体などの三元共重合体が挙げられる。第1工程において製造されるその共重合体中に含まれるα−オレフィンの含有量は、普通には0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、最も好ましく1〜6質量%程度である。この含有量の規定は、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンのようなα−オレフィンの種類、プロピレン系ブロック共重合体の分子量、融解ピーク温度、融点、柔軟性などの性質、重合条件およびメタロセン触媒の種類などを考慮して任意に決めることができる。第1工程のプロピレン系単独重合体またはプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体とは、通常GPCによる確定した質量平均分子量は、通常3万以上200万以下、好ましくは5万以上150万以下、より好ましくは5万以上100万以下である場合が多い。
次に、第2工程においては、第1工程における重合または共重合段階で使用するα−オレフィンの使用量より相対的に多いモル比で存在させて共重合することにより、プロピレン−α−オレフィン共重合体における、α−オレフィンの含有量が多くなる。プロピレン−α−オレフィン共重合体中に含まれるα−オレフィンの含有量は、1〜65重量%程度、好ましくは3〜30%、より好ましくは5〜20重量%程度であるが、その含有量の範囲は任意に決めることができる。第2工程で使用するα−オレフィンは、第1工程で使用したα−オレフィンと同じものであっても、異なったものであってもよい。さらに、第2工程において、2種類以上のプロピレンを除くα−オレフィンを用いて、共重合体にすることも可能である。この場合においては、第2工程のα−オレフィンの含有量の総量を、第1工程のそれより相対的に多く含ませることになる。
第2工程で製造されるプロピレン−α−オレフィン共重合体成分は、樹脂状成分であるばかりでなく、通常はゴム状成分あるいはそれ近い共重合成分である場合が多い。第2工程におけるプロピレン−αオレフィン共重合体成分のGPCによる確定した質量平均分子量は、通常3万以上200万以下、好ましくは5万以上150万以下、より好ましくは5万以上120万以下である。本ブロック共重合体の用途にもよるが、成型時のゲルの発生を抑えたり、線膨張率を低くするためには、プロピレン−α−オレフィン共重合体成分の質量平均分子量を、第1工程で生成させた重合体の質量平均分子量になるべく近づけように、水素のような分子量調整剤を使用して調整することが好ましい。
本発明の製造方法により製造されるプロピレン系ブロック共重合体の例を示すと、プロピレン単独重合体セグメント30〜95質量%およびα−オレフィン含有量が1〜65質量%のプロピレンーα−オレフィン共重合体セグメント5〜70質量%からなるプロピレン系ブロック共重合体が挙げられる。同様に、α−オレフィン含量が1〜20質量%のプロピレン−α−オレフィン共重合体セグメント30〜95質量%およびα−オレフィン含量が1〜65質量%であり、しかも前記のセグメントより相対的にα−オレフィンを多く含むプロピレン−α−オレフィン共重合体セグメント5〜70質量%からなるプロピレン系ブロック共重合体などが挙げられる。
次に、本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法について説明をすれば、これは、メタロセン系触媒を用い、内部に水平軸まわりに回転する撹拌機を有する横型反応器によって、前記で説明をしたとおりの第1工程と第2工程とを含む多段気相重合法によるプロピレン系ブロック共重合体の連続的な製造方法である。この製造方法において、第1工程から第2工程へのポリマー移送部および/または第2工程に、分子内に非共有電子対を有する標準状態で気体である物質[以下成分(C)という]を少なくとも1種類添加することを特徴とする製造方法である。
この分子内に非共有電子対を有する標準状態で気体である物質[以下成分(C)という]とは、具体的に、分子内に非共有電子対を有する標準状態で気体である物質としては、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、硫化カルボニル、アンモニアなどが挙げられるが、この中でも、取り扱いやすさや入手のし易さなどを考慮すると、特に酸素が好ましい。この成分(C)とは、第1工程、第2工程の重合条件、メタロセン触媒の種類、或はエチレン、1−ヘキセン、又は、1−オクテンのようなコモノマーの種類の違いがあっても、同等に機能をする。
以下、主にエチレンの場合について、詳細を記載する。
ポリマーの用途が剛性や耐熱性を必要とする場合はプロピレン単独重合体あるいはエチレン含量の低いプロピレン−エチレンランダム共重合体が好ましく、柔軟性を必要とする場合はプロピレン−エチレンランダム共重合体が好ましい。特にメタロセン系触媒の特徴である、結晶性および分子量分布が狭く、低結晶・低分子量成分が少ない点を考慮した場合、従来のチーグラー・ナッタ系触媒では製造できなかった柔軟性に優れたポリマーの製造が好ましく、その場合、第1工程で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体の融解ピーク温度(Tm)(以下融点ともいう)は、105℃以上140℃以下が好ましい。上記範囲よりも融点が著しく高いと、本ブロック共重合体の柔軟性が不十分なものとなってしまうし、また、上記範囲より融点が著しく低いと工業的に可能な重合温度では本ブロック共重合体自身が一部融解してしまう恐れがあり、安定運転の維持が困難となる。
成分(A)の融解ピーク温度Tmは、第1工程終了後に少量サンプリングした成分(A)に対し、常法の示差走査熱量測定(DSC)により求めたものである。
第1工程で生成される成分(A)がプロピレン−エチレンランダム共重合体である場合、該成分中のエチレン含量は、該共重合体の融点が好ましくは105〜140℃の範囲に入るようにコントロールされ、使用されるメタロセン触媒にもよるが、一般的には、1〜10質量%の範囲である。
その際、第1反応器中のエチレンとプロピレンのガス濃度モル比(エチレン/プロピレン)の値は、上記の融点が得られるように調整すればよいが、好ましくは、0.01〜0.5、より好ましくは、0.01〜0.3、より好ましくは0.02〜0.2の範囲である。
第1工程のエチレン含量の測定方法については、後述する。
第1工程で生成される成分(A)と第2工程で生成される成分(B)の割合は、質量比で、通常30〜95/70〜5、好ましくは30〜85/70〜15、より好ましくは30〜80/70〜20、最も好ましくは40〜80/60〜20である。成分(A)の割合が95質量%よりも多いと耐衝撃性が不十分となって目的とする物性を持つ本ブロック共重合体が得られにくいし、また、成分(B)の割合が70質量%よりも多いと、本ブロック共重合体の粉体性状が悪化してしまい、工業的な安定運転に支障をきたすおそれがある。
第2工程で生成される成分(B)中のエチレン含量は、第1工程で生成される成分(A)中のエチレン含量よりも高く設定される。本ブロック共重合体においては、成分(A)に対し成分(B)の結晶性は低い方が、柔軟性改良効果が大きく、それらの結晶性はプロピレン−エチレンランダム共重合体成分中のエチレン含量で制御される。
成分(B)中のエチレン含量[E]Bと成分(A)中のエチレン含量[E]Aの差の[E]gap([E]B−[E]A)は、本ブロック共重合体の用途によって、任意に設定することができる。[E]gapが小さい場合、具体的には12質量%未満の場合、本ブロック共重合体は、透明性に優れたものとなる。一方、この差が大きい場合、具体的には12質量%以上の場合、本ブロック共重合体は耐衝撃性や耐白化性に優れたものとなる。
第2反応器内のエチレンとプロピレンのガス濃度モル比(エチレン/プロピレン)の値は、第1反応器中のエチレンとプロピレンのガス濃度モル比よりも高く設定されることが好ましい。具体的な値は、本ブロック共重合体のインデックスに合わせて設定されるが、好ましくは、0.2〜2.0の範囲である。
成分(A)と成分(B)の割合、およびそれらのエチレン含量は以下のように、TREF(温度昇温溶離分別法)を利用して測定される。まず、成分(A)と成分(B)の結晶性の違いを利用し、TREF測定により得られる溶出曲線から、成分(A)と(B)を分割する温度T(C)を決定し、T(C)までに溶出する成分の割合を成分(B)の比率、T(C)以上で溶出する成分の割合を成分(A)の比率とみなす。
なお、プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布をTREF測定により評価する手法は、当業者によく知られるものであり、G.Glokner,J.Appl.Polym.Sci:Appl.Poly.Symp.;45,1−24(1990)、L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)、J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polyer;36,8,1639−1654(1995)等で詳細な測定法が示されている。
本発明においては具体的には以下のようにして測定する。試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)を1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
溶出温度が低い成分の結晶性は低く柔軟性に富み、一方、溶出温度が高い成分の結晶性は高くなることで剛性が増加し耐熱性も向上する。本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体の、TREF測定で得られる溶出曲線(温度に対するdwt%/dT曲線)において、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)と、低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレン共重合体成分(B)は、その結晶性の違いから、異なる温度で溶出する成分として観測される。すなわち、成分(A)は結晶性が高いため高温側に、成分(B)は低結晶性あるいは非晶性であるため低温側に観測され、あるいは、TREF測定温度内でピークを示さない。各ピーク温度をT(A)、T(B)(ピークを示さない場合には、測定温度下限の−15℃)としたとき、両ピークの中間の温度T(C)({T(A)+T(B)}/2)において、両成分はほぼ分離可能である。
このとき、TREFにおいてT(C)までに溶出する成分の積算量をW(B)wt%、T(C)以上で溶出する部分の積算量をW(A)wt%と定義する。W(B)は結晶性が低いあるいは非晶性の成分(B)の量とほぼ対応しており、W(A)は結晶性が高い成分(A)の量とほぼ対応している。
次に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(C)可溶成分=成分(B)と、T(C)不溶成分=成分(A)とに分別する。分別の具体的方法は、TREF測定により求めたT(C)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(C)可溶成分=成分(B)とT(C)不溶成分=成分(A)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecules,21,314−319(1988)に開示されたような測定方法をいう。
分別条件は、直径50mm、高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/ml)200mlを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(C)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(C)に保持したまま、T(C)のo−ジクロロベンゼンを20ml/分の流速で800ml流すことにより、カラム内に存在するT(C)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次に、10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒のo−ジクロロベンゼンを20ml/分の流速で800ml流すことにより、T(C)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mlまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーを濾過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
なお、以上において詳しく述べた溶出曲線及び溶出積算の実例は、図1に例示されている。図1は後述する実施例−1における実測図である。図1を参照すれば、上記したT(A)、T(B)、T(C)および成分(A)と成分(B)における溶出量W(A)とW(B)などの各々の関係が明らかとなる。
分別された各成分のエチレン含量を、NMRにより求める。具体的方法を以下に示す。
NMRによるエチレン含量測定
上記分別により得られた成分(A)と成分(B)のそれぞれについてのエチレン含量は、プロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製 GSX−400または、同等の装置(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules,17,1950 (1984)等を参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は下の表1の通りである。表中Sαα等の記号はCarmanら(Macromolecules,10,536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、およびEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules,15,1150(1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) (1)
[PPE]=k×I(Tβδ) (2)
[EPE]=k×I(Tδδ) (3)
[PEP]=k×I(Sββ) (4)
[PEE]=k×I(Sβδ) (5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} (6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。したがって、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 (7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含量が求まる。
エチレン含量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明の[プロピレンランダム共重合体成分]には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/または1,3−結合)が含まれ、それにより、以下の微小なピークを生じる。
正確なエチレン含量を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明のエチレン含量は実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ系触媒で製造された共重合体の解析と同じく上記(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含量のモル%から質量%への換算は以下の式を用いて行う
エチレン含量(質量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここでXはモル%表示でのエチレン含量である。
本ブロック共重合体全体のエチレン含量は、上記より測定された成分(A)、(B)それぞれのエチレン含量[E]A、[E]B、及び、TREFより算出される各成分の質量比率W(A)、W(B)[wt%]から以下の式により算出される。
[E]W=[E]A×W(A)/100+[E]B×W(B)/100 (wt%)
II.プロピレン系ブロック共重合体の製造
1.触媒
本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造は、メタロセン触媒を用いる必要がある。プロピレン系ブロック共重合体を製造するために必要とされる触媒系は、メタロセン触媒であれば、特に限定されないが、その中でも、好適に使用されるメタロセン触媒系としては、(a)共役五員環配位子を有する周期律表第4族遷移金属化合物からなるメタロセン錯体と、それを活性化させる(b)助触媒、並びに必要に応じて使用される(c)有機アルミニウム化合物から構成されるものを挙げることができる。オレフィン重合プロセス特性によっては、粒子化が必須とされる場合には、上記メタロセン触媒系にさらに(d)担体を構成要素として加えることができる。以下、(a)〜(d)の説明をする。なお、本明細書の記載においては、元素の周期律表として短周期型のものを使用している。
(1)メタロセン錯体(a)
本発明において用いられるメタロセン錯体としては、代表的なものとして共役五員環配位子を有する周期律表第4〜6族遷移金属化合物のメタロセン錯体が挙げられ、これらのうち、下記一般式のどちらかで表されるものが好ましい。
(式中、AおよびA’は置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、Qは二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基、Mは周期律表第4〜6族から選ばれる遷移金属、XおよびYは補助配位子である)
上記一般式中、シクロペンタジエニル基が置換基を有する場合、その置換基の例としては、炭素数1〜30の炭化水素基(ハロゲン、珪素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含有していてもよい)が挙げられ、この炭化水素基は一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していても、またこれが複数存在するときにその内の2個がそれぞれ他端(ω−端)で結合してシクロペンタジエニルの一部と共に環を形成していてもよい。この置換基の他の例としては、インデニル基、フルオレニル基、またはアズレニル基等が挙げられ、これらの基は、さらに副環上に置換基を有していてもよく、中でもインデニル基またはアズレニル基が好ましい。
Qとして好ましくはアルキレン基、シリレン基、シラフルオレン基、ゲルミレン基が挙げられる。
Mとして好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム等である。特に、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
XおよびYの補助配位子は、成分(b)と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させるものであり、したがって、この目的が達成される限りX、Yは配位子の種類が制限されるものではなく、各々水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、あるいはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基が例示できる。これらのうち好ましいものは、炭素数1〜10の炭化水素基、あるいはハロゲン原子である。
(2)助触媒(活性化剤成分)(b)
助触媒は、メタロセン錯体を活性化する成分で、メタロセン錯体の補助配位子と反応して当該錯体を、オレフィン重合能を有する活性種に変換させうる化合物であり、具体的には(b−1)アルミニウムオキシ化合物、(b−2)成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸、(b−3)固体酸、(b−4)イオン交換性層状珪酸塩等が挙げられる。以下、(b−1)〜(b−4)の説明をする。
(b−1)アルミニウムオキシ化合物
アルミニウムオキシ化合物がメタロセン錯体を活性化しうることは周知であり、該化合物としては、具体的にはアルミノキサンや、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムとアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる化合物である。アルミノキサンを使用する場合、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
(b−2):成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
(b−2)の化合物は、成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸であり、このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物との錯化物等が挙げられる。
また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化合物などが例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(a)と反応して成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。上述した非配位性のホウ素化合物を用いたメタロセン触媒は、特開平3−234709号公報、特開平5−247128号公報等に例示されている。
(b−3)固体酸
固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア等が挙げられる。
(b−4)イオン交換性層状化合物
イオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。珪酸塩は各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(i)2:1型鉱物類
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族;バーミキュライト等のバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族;パイロフィライト、タルク等のパイロフィライト−タルク族;Mg緑泥石等の緑泥石族等。
(ii)2:1リボン型鉱物類
セピオライト、パリゴルスカイト等。
本発明で原料として使用する珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。本発明で使用する珪酸塩は、天然品または工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。本発明において、これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。
(3)有機アルミニウム化合物(c)
メタロセン触媒系に、必要に応じて使用される有機アルミニウム化合物としては、本発明においては、ハロゲンを含有しないものが使用され、具体的には一般式
AlR3−i
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xは水素、アルコキシ基、iは0<i≦3の数を示す。但し、Xが水素の場合は、iは0<i<3とする。)
で示される化合物が使用される。
具体的な化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド等のアルコキシ含有アルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムハライドなどのハライド含有アルキルアルミニウムである。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。より好ましくは、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムである。
(4)担体(d)
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体は、第2工程で生成される成分(B)の含有量が高いことが特徴であり、このようなポリマーを安定的に生産するためには、触媒担体を用いた担持型触媒を用いることが好ましい。触媒担体としては、公知のものが使用できるが、好ましい担体としては、シリカ、チタニア、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、イオン交換性層状珪酸塩などの無機化合物担体やポリプロピレンパウダー、ポリエチレンパウダーなどのポリマー担体を挙げることができる。
その中でも、ポリマーの粒子の形状を整え、かつ大粒径化するために、使用する触媒としては、粒形および粒径の制御された担持型触媒を用いることが特に好ましい。このような粒形および粒径の制御された担持型触媒の製造法としては、例えば、無機化合物担体を用いた場合、以下のような例を挙げることができる。
原料の無機化合物担体の粒子径は、通常、平均粒径が0.01〜5μmで、かつ、1μm未満の粒子分率を10%以上、好ましくは、平均粒子径が0.1〜3μmで、1μm未満の粒子分率を40%以上とするのがよい。このような粒径の無機化合物担体粒子を得る方法としては、乾式の微粒子化方法、例えば、ジェットミル、ボールミル、振動ミル等による微粒子化、あるいは、湿式状態下での粉砕方法、ポリトロン等を使用した強制撹拌による粉砕やダイノーミル、パールミル等による方法がある。
また、担体を好ましい粒径に造粒して用いても良く、その造粒法としては、例えば、攪拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、ブリケッティング、流動層造粒法、液中造粒法が挙げられる。好ましい造粒法は、攪拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法または流動造粒法であり、更に好ましくは噴霧造粒法である。粒子強度については後述するが、本造粒工程においてもその制御が可能である。好ましい範囲の圧壊強度を得るためには、前述したような粒径分布の無機化合物担体を使用することが好ましい。
さらに、多段階に分けて造粒する場合の造粒方法を組み合わせても良く、その組合せに制限はないが、好ましくは、噴霧造粒法と噴霧造粒法、噴霧造粒法と転動造粒法、噴霧造粒法と流動造粒法との組合せが挙げられる。
上記のような造粒法で得られる造粒粒子の形状は、球状が好ましく、具体的には、M/L(ここで、Lは投影図の粒子の最大径の値を、MはLと直交する径の値を、それぞれ示す。)の値が0.8以上1.0以下である粒子について、その数が、全粒子の50%以上100%以下、好ましくは全粒子の85%以上100%以下であるものが挙げられる。
なお、M/Lは任意の粒子の100個以上を光学顕微鏡で観察し、それを画像処理して求めたものである。
球形の無機化合物担体粒子が得られる噴霧造粒における原料スラリー液の珪酸塩の濃度は、スラリー粘度にもよるが、通常0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは5.0〜20質量%である。球状粒子が得られる噴霧造粒の熱風の入り口の温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると、通常80〜260℃、好ましくは100〜220℃の範囲で選ばれる。分散媒は合目的な任意のものを使用することができる。分散媒としては、水や、有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等を単独で用いてもよいし、また、2種以上併用してもよいが、水が好ましい。
このようにして得られた無機化合物担体粒子は、そのまま触媒担体として用いてもよく、その場合、粒径は好ましくは1〜200μm、より好ましくは10〜150μmの範囲で選ばれる。
また、形状が整った粒子を所望の粒径で得るためには、原料の粒子径を少なくとも2段階の造粒工程で調製してもよい。例えば、第1段目の造粒工程で、ある程度造粒可能な粒子径に造粒して、それを用いて再度造粒処理することで、粒形と粒径を制御することができる。
このような段階的な造粒法として、具体的には、先ず、第1段目の造粒工程で平均粒径が0.01〜5μmの原料の無機化合物担体微粒子を造粒して一次造粒粒子を製造する。一次造粒粒子の粒径は、好ましくは1〜25μm、より好ましくは1〜15μmである。
次いで、このようにして造粒された一次造粒粒子をさらにスラリー化して造粒させる。その際、スラリー粘度は比較的低くなっているので、スラリー濃度を上げることができ、適当な噴霧造粒条件を採択することによって、重合触媒成分に適した粒径および粒形のものとすることができる。この最終的な粒径は、原料の無機化合物担体の種類によるが、通常25〜200μm、好ましくは25〜150μmとするのがよい。
造粒条件は、造粒方法により適宜良好な性状の粒子が得られるよう選択することができる。例えば、噴霧造粒方法においては、噴霧時の熱風の入り口温度は90℃〜300℃程度の広い温度範囲で設定できる。また、出口温度はノズルやディスクからの噴霧流量や熱風流量などによって規定され、80℃〜150℃となる。噴霧形式はディスクタイプや加圧ノズル式、2流体ノズル式などの一般的な噴霧乾燥方法が適用できる。粒径の制御は噴霧液の流量、ディスクの回転数またはディスクサイズ、加圧ノズルの圧力、キャリアーガスの流量などを設定することで可能である。
一次造粒粒子を再度造粒して2次粒子を製造すると、2次造粒粒子の方が大きいサイズとなる。原料粒子に対する1次粒子の粒径アップ率は、3〜500%が好ましく、5〜300%がさらに好ましい。また、1次粒子に対する2次粒子の粒径アップ率は3〜200%が好ましく、3〜100%がさらに好ましい。そのため1次造粒条件と2次造粒条件は異なる条件をとった方が良好な粉体性状の粒子を得ることができる。例えば、1次造粒より2次造粒の方をディスクの回転数を下げるのが好ましい粒子を得ることができる。2次造粒のディスク回転数は、1次造粒のディスク回転数より1000〜30000rpm低い方が好ましく、5000〜20000rpm低い方がさらに好ましい。また乾燥温度は、1次造粒より2次造粒の方を低くするのが好ましい。2次造粒の熱風入り口温度は、1次造粒の熱風入り口温度より10〜80℃低いほうが好ましく、20〜50℃低い方がさらに好ましい。具体的には、ディスクサイズによるが、一次造粒においては、熱風入り口温度は130〜250℃が好ましく、150〜200℃がさらに好ましい。ディスク回転数は10000〜30000rpmの条件が好ましい。2次造粒においては熱風入り口温度は90℃〜180℃が好ましく、100〜150℃がさらに好ましい。ディスク回転数は5000〜20000rpmの条件が好ましい。
造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダーを用いてもよい。用いられるバインダーとしては、例えば砂糖、デキストローズ、コーンシロップ、ゼラチン、グルー、カルボキシメチルセルロース類、ポリビニルアルコール、水ガラス、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、アルコール類、グリコール、澱粉、カゼイン、ラテックス、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、タール、ピッチ、アルミナゾル、シリカゲル、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等が挙げられる。
このようにして、造粒された無機化合物担体上に、メタロセン錯体を担持することによって、粒形および粒径の整備された担持型触媒を製造することができる。
2.触媒成分の使用量
上記触媒成分において、成分(a)と成分(b)の使用量は、それぞれの組み合わせの中で最適な量比で用いられる。
成分(b)が、アルミニウムオキシ化合物の場合は、Al/遷移金属のモル比は通常10以上100000以下、さらに100以上20000以下、特に100以上10000以下の範囲が適する。一方、成分(b)としてイオン性化合物あるいはルイス酸を用いた場合は、対遷移金属のモル比は、通常0.1〜1000、好ましくは0.5〜100、更に好ましくは1〜50の範囲である。
成分(b)として、固体酸あるいはイオン交換性層状珪酸塩を用いる場合は、成分(b)1gにつき、遷移金属錯体の用量は、通常0.001〜10ミリモル、好ましくは0.001〜1ミリモルの範囲である。
これらの使用比率は、一般的な割合例を示すものであって、触媒が合目的的なものとなっていれば、上に述べた使用比率の範囲に限定されることはない。
本発明で用いる触媒は、遷移金属錯体と助触媒からなるポリオレフィン製造用触媒をオレフィン重合用(本重合)の触媒として使用する前に必要に応じて、担体に担持させた後、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンを予備的に少量重合する予備重合処理を施してもよい。予備重合方法は公知の方法が使用できる。
3.重合反応
本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法としては、プロピレン単独重合体あるいは、好ましくは105〜140℃の示差走査熱量測定(DSC)による融解ピーク温度Tmを持つプロピレン−エチレンランダム共重合体成分成分(A)を本ブロック共重合体の30〜95質量%相当量重合する第1工程と、成分(A)のエチレン含量よりも高いエチレン含量を有するプロピレン−エチレン共重合体成分成分(B)を本ブロック共重合体の70〜5質量%相当量重合する第2工程とから構成される。
また、それぞれの工程には、気相重合法を使用することが必須である。第1工程を部分不活性溶媒中で重合を行ういわゆるスラリー重合で行うと、溶出成分の分離・回収といった操作が必要となるため、製造コストが上昇し、工業的な生産に適さない。また、成分(A)が比較的融点の低いポリマーの場合は、溶媒中への溶出成分量が多くなってしまうため、工業的に安定な製造が困難になる。また、第1工程部分を液体プロピレン中で重合を行ういわゆるバルク重合で行うと、バルク重合では活性の制御が難しいため、第1工程での触媒効率が高くなりすぎて、第2工程で生成される成分(B)の重合量のコントロールがむずかしくなる。また、成分(A)が比較的融点の低いポリマーの場合はポリマーの溶解が懸念されるため、工業的なレベルまで重合温度を上げることができないという問題点も生じる。このようなことから、本発明では第1工程を気相重合で行う。
一方、第2工程に関しては、一般に、プロピレン系ブロック共重合体を製造する際には、第2工程で生成されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分がゴム成分であることが多く、溶媒などの液体が存在すると溶出してしまうことから気相重合法が使用され、特に第2工程で生成される成分(B)の割合が多いポリマーを製造するには気相重合法が推奨される。
さらに、本発明において、メタロセン系触媒の特長を生かして、柔軟なポリマーを製造する場合は、第2工程で生成される成分(B)の割合が非常に高くなり、製造される重合パウダーの性状を確保する目的から、触媒として、大粒径触媒を使用することが好ましい。一方、気相重合プロセスには、大きく分けて、機械的な攪拌を伴うプロセスと、機械的な攪拌を伴わず、反応器下部からのガスの吹き上げによりポリマー相が流動床を形成している状態で重合を進行させるプロセスに分けられる。しかし、後者の場合、製造される重合ポリマーの粒径が大きくなってくると、吹き上げるガスの流量をアップする必要が生じ、ブロアーが大型化してしまうため、経済的には不利になる。さらに、パウダー粒径が大きくなると、ガスの流量をいくら上げても正常な流動状態を形成することができなくなることが知られており、安定運転という観点では好ましくない。このような理由から、本発明で目的としているプロピレン−エチレンブロック共重合体成分を製造するためには、機械的な攪拌を伴う気相重合プロセスを用いる。
本発明では、気相重合プロセスの中でも、内部に水平軸まわり回転する撹拌機を有する横型反応器を各工程で少なくとも1槽、全体として少なくとも2槽用いた連続式によって実施する。本発明で使用される横型反応器型の反応槽と大きく異なるところは、触媒成分が反応槽上流部へ添加され、それが重合によりパウダー粒子として成長しながら反応槽下流側へ移動するという点にある。このため、横型反応槽は、完全混合槽型の反応槽に比べ、反応槽1台当たりの槽数が高く、特に反応槽出口付近に存在する比較的滞留時間の短いショートパス粒子の濃度が非常に少ないものとなる。また、上記のようないわゆるプラグフロー的な特徴のため、後述するように、成分(C)の効果を添加位置で制御することが可能となることも、横型反応槽を用いる理由である。
(1)成分(A)の製造
第1工程では、メタロセン触媒、好ましくは前述した成分(a)、(b)、必要に応じて、(c)、(d)からなる触媒を使用してプロピレン単独重合体あるいはプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を製造する。すなわち、プロピレン単独重合体あるいはプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を一段もしくは多段で、全重合量(プロピレン系ブロック共重合体の全体)の30〜95質量%、好ましくは30〜85質量%、より好ましくは30〜80質量%、最も好ましくは40〜80質量%、に相当するように生成させる工程である。本発明の好ましい実施形態として、メタロセン系触媒の特長を生かし、従来チーグラー・ナッタ触媒系では製造できなかったより柔軟な特徴を持つポリマーの製造が挙げられるが、その際には、成分(A)をプロピレン−エチレンランダム共重合体とすることが好ましい。その場合、第1工程におけるエチレンの含有量は、該工程で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分中の融点が105〜140℃になるように調整されるのが好ましく、一般的には、全モノマー(プロピレンとエチレンの合計)に対して1〜10質量%の範囲になることが多い。
第1工程における重合温度T1は、該工程で製造されるプロピレン単独重合体あるいはプロピレン−エチレンランダム共重合体成分中の融点Tmとの差(Tm−T1)が好ましくは45〜80℃、さらに好ましくは45〜75℃となるように設定される。(Tm−T1)が45℃よりも小さくなると、重合されるプロピレン単独重合体あるいはプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の性状が悪化し、安定な運転ができなくなる。また、80℃よりも大きいと、重合温度が低くなり過ぎ、除熱のための冷却水温度を確保することが困難になるなど工業的な生産が許される温度領域を下回ってしまう。このような観点からは、第1工程の重合温度の絶対値は50℃よりも高いことが望ましい。
第1工程では、所望のTmを予め設計し、そのTmに対して重合温度T1を設定するのが好ましい。
また、第1工程でプロピレン−エチレンランダム共重合体を製造する場合、触媒によって、プロピレンとエチレンの反応性比に温度依存性がある場合と無い場合がある。温度依存性が無い場合には、設計されたTmに対してTmとT1との関係が45℃≦(Tm−T1)≦80℃の範囲となるようにT1を設定することができる。
一方、温度依存性がある触媒を用いる場合には、プロピレンとエチレンの量比を変化させるか、あるいは、45℃≦(Tm−T1)≦80℃となる温度範囲でT1を変化させることによって所望のTmを得ることができる。従って、通常所望のTmを設計した段階で、第1工程の重合温度(T1)を設定することが可能である。
なお、温度依存性が著しい場合には、工業規模で生産する前に、実験室レベルでプロピレンとエチレンの量比と、T1とをそれぞれ変化させて、数回フィードバックすることにより、所望のTmが得られるよう反応条件を収束させればよい。この際も最終的に、T1とTmの関係が45℃≦(Tm−T1)≦80℃となるように設定することが必要である。
重合圧力は、気相重合における触媒性能から、重合活性を考慮して設定する必要がある。また、一方で、上記重合温度範囲でプロピレンが液化しない範囲で設定しなければならない。このようなことを考慮すると、重合に関予するモノマー、具体的にはプロピレンおよびエチレンの分圧の合計は、通常0.1〜4.5MPa、好ましくは0.5〜4MPa、より好ましくは1〜3.5MPaの範囲で選ぶのがよい。
反応器内には、上記のモノマーの他に、反応には直接関予しない窒素、プロパン、n−ブタン、イソブタンなどの、いわゆるイナートガスが存在していてもよい。
また、重合体の流動性が適当なものとなるように分子量調整剤を使用することが好ましく、該調整剤としては水素が好ましい。MFRは、本ブロック共重合体の用途によるが、通常0.1〜3000g/10分、好ましくは0.5〜2000g/10分、より好ましくは0.5〜1000g/10分の範囲で選ばれる。重合反応器の全圧は、上記に挙げたモノマー(プロピレン、エチレン)、イナートガス(窒素、プロパンなど)、および分子量調整剤として水素を用いた場合には水素などの分圧の合計となるため、状況によってその値は変わってくるが、工業的な生産という観点から反応器の耐圧設計を考慮すると、好ましくは0.5〜6MPa、より好ましくは0.5〜5MPaである。
(2)成分(B)の製造
本発明の第2工程においては、第1工程で製造されるプロピレン単独重合体あるいはプロピレン−エチレンランダム共重合体成分中のエチレン含量よりも高いエチレン含量を有するプロピレン−エチレン共重合体成分を、一段もしくは多段で、全重合量(プロピレン系ブロック共重合体の全体)の70〜5質量%、好ましくは70〜15質量%、より好ましくは70〜20質量%、最も好ましくは60〜20質量%に相当するように生成させる工程である。
第2工程における重合温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃程度である。第2工程で製造するプロピレン−α−オレフィン共重合体成分はゴム成分あるいはそれに近い成分であることから、重合温度をあまり高温にすると、粉体性状の悪化により、安定的な生産ができなくなってしまう。第2工程の重合圧力は、通常0.1〜5MPa、好ましくは0.5〜3MPaである。
第2工程におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の質量平均分子量は、通常10万以上200万以下、好ましくは15万以上150万以下、より好ましくは20万以上120万以下である。本ブロック共重合体の用途にもよるが、成型時のゲルの発生を抑えたり、線膨張率を低くするためには、プロピレン−エチレン共重合体成分の質量平均分子量を、第1工程で生成させた重合体の質量平均分子量になるべく近づけることが有効である。また、重合体の性状を考慮すると、べとつきの原因とされる低分子量成分の生成が極力少ない方が望ましい。重合体の分子量を上記の好ましい範囲に調整するには、分子量調整剤を使用することが好ましく、該調整剤としては水素が好ましい。
本発明においては、第1工程から第2工程への移送部および/または第2工程に、分子内に非共有電子対を有する標準状態で気体である物質(成分(C))を少なくとも1種類添加する。本発明の好ましい実施形態である、より柔軟な低融点ポリマーを製造する場合、重合後の乾燥工程で温度を従来のような高い温度での乾燥を実施すると、ポリマー融解してしまう恐れがあるため、比較的低い温度でしか乾燥を実施することができない。本発明で用いられる標準状態で気体である物質は、このような低い温度条件でも容易にポリマーから乾燥除去される。分子内に非共有電子対を有する標準状態で気体である物質としては、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、硫化カルボニル、アンモニアなどが挙げられるが、この中でも、取り扱いやすさや入手のし易さなどを考慮すると、特に酸素が好ましい。
成分(C)は、第2工程における活性をコントロールすることで、成分(A)と成分(B)の重合量比を調整することと、ショートパス粒子を失活させることの2つの目的で使用される。成分(A)と成分(B)の重合量比は、ポリマーの物性に大きな影響を与えるだけでなく、成分(B)の量比が過剰になりすぎると、生成ポリマーの粉体性状の悪化からラインの閉塞などを誘発する恐れがあるため、安定生産の維持という観点からも重要である。また、ショートパス粒子の失活についても、製品の外観や機械物性の低下をもたらすゲルやフィッシュアイの低減はもちろんのこと、ショートパス粒子が粉体性状悪化の原因となることから、同様に安定生産の維持という観点でも重要なポイントとなる。
上記目的を達成するため、成分(C)は第1工程から第2工程への移送部および/または第2工程に、好ましくは第2工程に、さらに好ましくは第2工程に対応する重合槽の最上流末端から下流方向へ1/3までの間添加される。
第1工程から第2工程への移送部への成分(C)の添加は、第2工程に入るショートパス粒子を減少させる効果が大きい。
また、第2工程への成分(C)の添加は、第2工程でのショートパス粒子を減少させる。特に第2工程に対応する重合槽の最上流末端から下流方向へ1/3までの間に添加した場合、第2工程の早い段階でショートパス粒子を選択的に失活させる効果を有する。
したがって、いずれのケースでも、最小限の成分(C)の添加でショートパス粒子の失活が可能であり、成分(C)の添加による第2工程の活性低下を最小限に抑えることができる。
このように、成分(C)を特定の位置に添加する製造方法は、重合様式を横型反応器としたことで初めて実現できたものである。
成分(C)は必要に応じて2種類以上を併用してもよいし、異なった位置にそれぞれ別の化合物を添加してもよい。また、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコールなどの活性水素化合物を併用してもよい。
成分(C)の添加量は、成分(A)と成分(B)の重合量比が所望の値となるように決定される。具体的な添加量は、第1工程と第2工程それぞれの重合温度や圧力などの重合条件によるが、触媒中のメタロセン化合物の中心金属に対して、好ましくは0.5モル以上5000モル以下、より好ましくは1モル以上3000モル以下、さらに好ましくは2モル以上1000モル以下添加する。成分(C)の添加量がこれよりも過小な場合は、ゲル、フィッシュアイの低減効果が小さい。また、成分(B)の重合比率を抑えたい場合は、成分(C)の添加量を上げることにより調整が可能であるが、過剰に加えると第2工程で全く重合が行われなくなってしまう。
次に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれらの例によって何ら制約を受けるものではない。
なお、以下の触媒合成工程および重合工程は、すべて精製窒素雰囲気下で行った。また溶媒は、モレキュラーシーブMS−4Aで脱水したものを用いた。
先ず、各物性値の測定方法と装置、および使用した触媒の製造例を示す。
1.物性値の測定方法および装置
(1)イオン交換性層状珪酸塩粒子の粒径
レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製「LA−920」)を使用して測定した。造粒前のスラリーのイオン交換性層状珪酸塩の測定は、水を分散媒として用い、屈折率1.32、形状係数1.0として粒径分布および平均粒径(メジアン径)を算出した。造粒後のイオン交換性層状珪酸塩の測定は、エタノールを分散媒として使用し、同様に測定した。
(2)MFR
ポリプロピレン系重合体はJIS−K−6758により測定したメルトインデックス値を示す。
(3)ポリマーBD
ASTM D1895−69に準拠した、ポリマーの嵩密度を示す。
(4)パウダー粒径の測定
レッチェテクノロジー社製 粒度分布測定装置カムサイザーを使用して測定した。
(5)成分(A)と成分(B)の重合比率
前記した方法に従って測定した。
(6)成分(A)および成分(B)中のエチレン含量
前記した方法に従って測定した。
(7)成分(A)の融点(Tm)
パーキン・エルマー社製のDSC7型示差走査熱量分析計を用いて試料を室温から80
℃/分の条件で230℃まで昇温し、同温度にて10分間保持後、−10℃/分にて50
℃まで降温し、同温度にて3分間保持した後、10℃/分の昇温条件下で融解した時のピ
ーク温度をもって融点(Tm)とした。
(8)パウダー流動性(圧縮度)
ホソカワミクロン社製パウダーテスターを使用して、パウダーのゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重をそれぞれ測定し、下記式(1)より圧縮度を求め、パウダー流動性の指標とした。圧縮度の値が高いほどパウダーの流動性が悪い。

圧縮度(%)=[(固め見掛け比重−ゆるみ見掛け比重)/固め見掛け比重]×10 … (式1)
(9)フィッシュアイの測定
重合によって得られたパウダー状のプロピレン系ブロック共重合体に対して、配合成分として、IRGANOX1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.10質量%、IRGAFOS168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.10質量%、カルシウムステアレート0.05質量%を配合し、充分攪拌混合した。添加剤を加えた共重合体パウダーを、以下の条件により溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を、冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することで原料ペレットを得た。
押出機:テクノベル社製KZW−15−45MG2軸押出機
スクリュ:口径15mm、L/D=45
押出機設定温度:(ホッパ下から)40、80、160、200、220、220(ダイ)[℃]
スクリュ回転数:400rpm
吐出量:スクリュフィーダーにて1.5kg/hに調整
ダイ:口径3mmストランドダイ、穴数2個
得られたパウダーを、前記押出機にコートハンガーダイを取り付けたフィルム成形機を用いて溶融押出成形することにより、厚さ50ミクロンのフィルムに成形した。ここで得られたフィルムを30cm×10cmのサイズに切り出し、目視にて評価した。フィッシュアイが非常に少ないもの○、やや散見されるものを△、多いものを×とした。
2.触媒の製造
珪酸塩の化学処理:10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=50μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の質量は707gであった。化学処理した珪酸塩をキルン乾燥機で乾燥した。
触媒の調製:内容積3リットルの撹拌翼のついたガラス製反応器に上記で得た乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で撹拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調製した。次に、調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。並行して、〔(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕(合成は特開平10−226712号公報実施例に従って実施した)2180mg(3mmol)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間撹拌した。
予備重合:続いて、窒素で十分置換を行った内容積10リットルの撹拌式オートクレーブに、n−ヘプタン2.1リットルを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄み約3リットルをデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5.6リットル添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5.6リットル除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23ミリモル/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液17.0mlを添加した後に、45℃で減圧乾燥した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレン2.2gを含む予備重合触媒が得られた。
実施例1
(1)第1重合工程
図1は実施例で用いた重合装置のフローシートである。
攪拌羽根を有する横型重合器10(L/D=3.7、内容積100L)に、あらかじめ35kgのシーズポリマーを導入後、窒素ガスを3時間流通させた。その後、プロピレン、エチレンおよび水素を導入しながら昇温し、重合条件が整った時点で、配管1より予備重合処理した上記触媒のヘキサンスラリーを予備重合ポリマーを含まない触媒成分として0.8g/hr、配管2より有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウムを15mmol/hr一定となるように供給した。反応温度65℃、反応圧力2.0MPaG、攪拌速度35rpmの条件を維持しながら、反応器の気相中のエチレン/プロピレンの混合ガスモル比0.05、水素/プロピレンモル比0.00001に維持するようにエチレンガスおよび水素ガスを循環配管3より連続的に供給して、生成ポリマーすなわちプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)を製造した。
反応熱は配管4から供給される原料プロピレンの気化熱により除去した。重合器から排出される未反応ガスは配管5を通して反応器系外で冷却、凝縮させて重合器10に還流した。本重合で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)は、重合体の保有レベルが反応容積の65容積%となるように配管11を通して重合器10から間欠的に抜き出し、脱ガス槽30および配管12を通して、第2重合工程の重合器20に供給した。このとき、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)の生産量は8kg/hrであった。脱ガス槽30からプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)の一部を抜き出して、MFR、エチレン含量、Tmを求める試料とした。測定結果を表3にまとめて示す。
(2)第2重合工程
攪拌羽根を有する横型重合器20(L/D=3.7、内容積100L)に第1重合工程からのプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)を配管12から間欠的に供給し、プロピレンとエチレンの共重合を行った。反応条件は攪拌速度18rpm、反応温度70℃、反応圧力1.9MPaGであり、気相中のエチレン/プロピレンモル比が0.5となるように循環配管6にエチレンを連続的に供給した。第2重合工程には、水素のフィードは行わなかった。
反応熱は配管7から供給される原料プロピレンの気化熱により除去した。重合器から排出される未反応ガスは配管8を通して反応器系外で冷却、凝縮させて重合器20に還流した。成分(C)として、酸素を配管9(第2工程重合槽の上流末端から下流末端までを100としたとき、上流末端から15%の位置)から、第1重合工程で供給される触媒中のメタロセン化合物の中心金属であるZrに対して13倍モルの添加量で連続的に添加した。第2重合工程で生成されたプロピレン系ブロック共重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の50容積%となるように配管13を通して重合器20から間欠的に抜き出した。抜き出されたプロピレン系ブロック共重合体は乾燥器で80℃で1時間乾燥することにより未反応モノマーを除去し、MFR、エチレン含量等の分析と、パウダー流動性およびゲルの測定を実施した。結果を表3にまとめて示す。
実施例2
実施例1において、添加する酸素量を、添加量を第1重合工程で供給される触媒中のメタロセン化合物の中心金属であるZrに対して33倍モルとした以外は同様の方法でプロピレン系ブロック共重合体の試料を得た。パウダーの分析結果、流動性およびゲルの測定結果を表3にまとめて示す。
実施例3
実施例1において、添加する酸素量を、添加量を第1重合工程で供給される触媒中のメタロセン化合物の中心金属であるZrに対して520倍モルとした以外は同様の方法でプロピレン系ブロック共重合体の試料を得た。パウダーの分析結果、流動性およびゲルの測定結果を表3にまとめて示す。
実施例4
実施例1において、第1重合工程における触媒フィード量を0.32g/hr、重合温度を55℃、エチレン/プロピレンモル比を0.14、水素/プロピレンモル比を0.0004とし、第2重合工程における重合温度を60℃、エチレン/プロピレンモル比を0.7、酸素の添加量を第1重合工程で供給される触媒中のメタロセン化合物の中心金属であるZrに対して13倍モルとし、さらに重合後の乾燥器温度を60℃とした以外は同様の方法でプロピレン系ブロック共重合体の試料を得た。パウダーの分析結果、流動性およびゲルの測定結果を表4にまとめて示す。
実施例5
実施例2において、酸素の添加位置を第1重合工程から第2重合工程への移送部である脱ガス槽30に変更し、添加量を第1重合工程で供給される触媒中のメタロセン化合物の中心金属であるZrに対して11倍モルとした以外は同様の方法でプロピレン系ブロック共重合体の試料を得た。パウダーの分析結果、流動性およびゲルの測定結果を表4にまとめて示す。
実施例6
実施例1において、酸素の添加量を第1重合工程で供給される触媒中のメタロセン化合物の中心金属であるZrに対して8倍モルとし、第2重合工程の配管9bからエタノールを、第1重合工程で供給されるトリイソブチルアルミニウムに対して0.5倍モルとなるように添加した以外は同様の方法で、プロピレン系ブロック共重合体の試料を得た。パウダーの分析結果、流動性およびゲルの測定結果を表4にまとめて示す。
実施例7
実施例1において、酸素の添加位置を脱ガス槽30と配管9の2箇所とし、その合計添加量を第1重合工程で供給される触媒中のメタロセン化合物の中心金属であるZrに対して13倍モルとした以外は同様の方法でプロピレン系ブロック共重合体の試料を得た。パウダーの分析結果、流動性およびゲルの測定結果を表5にまとめて示す。

比較例1
実施例1において、エタノールを全く添加せず、第2重合工程の反応圧力を1.6MPaGとした以外は同様の方法でプロピレン系ブロック共重合体の試料を得た。パウダーの分析結果、流動性およびゲルの測定結果を表5にまとめて示す。
本発明の製造方法は、柔軟性、透明性や低温衝撃性に優れ、ベタツキのない良好な粉体性状をもつプロピレン系ブロック共重合体を、工業的かつ安定的に供することを可能にし、産業上大いに有用である。
実施例で用いた重合装置のフローシート
符号の説明

1 触媒成分供給配管
2 有機アルミニウム供給配管
3および6 原料混合ガス供給配管
4および7 原料液化プロピレン補給配管
5および8 未反応ガス抜き出し配管
9 成分(C)供給配管
10 重合器(第1重合工程)
11 第1重合工程からの重合体抜き出し配管
12 第2重合工程への重合体供給配管
13 第2重合工程からの重合体抜き出し配管
20 重合器(第2重合工程)
30 脱ガス槽

Claims (6)

  1. メタロセン系触媒を用い、内部に水平軸まわりに回転する撹拌機を有する横型反応器によって、下記の第1工程と第2工程とを含む多段気相重合法でプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する方法において、
    第1工程から第2工程へのポリマー移送部および/または第2工程に、分子内に非共有電子対を有する標準状態で気体である物質[以下成分(C)という]を少なくとも1種類添加することを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
    第1工程:プロピレン単独重合体成分あるいはプロピレンとプロピレンを除く炭素数が2〜8であるα−オレフィンとのランダム共重合体成分[以下成分(A)という]を、上記プロピレン系ブロック共重合体の30〜95質量%に相当するように生成させる工程。
    第2工程:成分(A)よりα−オレフィン含量の多いプロピレン−α−オレフィン共重合体成分[以下成分(B)という]を、上記プロピレン系ブロック共重合体の70〜5質量%に相当するように生成させる工程。
  2. 成分(C)の添加を第2工程で実施することを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  3. 成分(C)の添加を第2工程に対応する重合槽の最上流末端から下流方向へ1/3までの間で実施することを特徴とする請求項2に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  4. 第1工程で生成される成分(A)の示差走査熱量測定(DSC)による融解ピーク温度Tmが105℃以上140℃以下のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  5. 成分(C)の添加総量が、触媒中のメタロセン化合物の中心金属に対して、0.5モル以上5000モル以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  6. 成分(C)が酸素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
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