JP2009291809A - 動的プロセスの外乱診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロセス状態の変化を引き起こす原因となる各種の外乱を一定の精度を持って、かつ速やかに同定する。
【解決手段】外乱発生器60は、状態変化量に基づいて外乱の特徴量を読み出し、これを仮定外乱として演算部48へ出力する。演算部48はシミュレーション変化量を演算し、このシミュレーション変化量を比較演算部62に出力する。比較演算部62は、状態変化量とシミュレーション変化量との差の絶対値を閾値と比較し、その差の絶対値が閾値以下の場合には、仮定外乱を実際の外乱と見做して表示部52へ出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼帯に対する熱間仕上圧延プロセス等の動的プロセスに外乱が印加された場合に、その外乱により動的プロセスに生じ得るプロセス状態の変化に基づいて、動的プロセスに印加された外乱を同定する動的プロセスの外乱診断方法に関するものである。
鋼帯に対する熱間仕上圧延プロセス等の動的プロセスでは、何らかの外乱が印加された時点から、その外乱によりプロセス状態に変化が生じるまでに時間遅れを伴う。このような動的プロセスにおいては、印加された外乱の影響を早急に抑制することを目的とする各種の自動制御方法が精力的に開発されており、例えば、動的プロセスを経て製造される品質のばらつき低減などに大きな成果を上げている。
近時、上記自動制御方法が動的プロセスに適用された結果、オペレータの作業は、動的プロセスを構成するプロセス機器の操作を中心とするものから、これらのプロセス機器に対する監視へと移行している。ところで、このような制御方法が適用された動的プロセスでは、自動制御により外乱の影響が早急に抑制されてしまう結果、オペレータは、プロセス機器の内部状態の変化を捉えないと、突然、制御不能等の大きな危険に向かい合うことになってしまう。しかし、多くの動的プロセスでは、各種のプロセス機器の機能が高度化・複雑化し、相互に関連しているため、オペレータが、定常的な状態変化なのか、あるいは装置故障等の非定常的な要因により引き起こされた状態変化なのかを適切に判断するのは難しい。
例えば、熱間仕上圧延プロセスでは、益々高まる圧延製品の品質向上の要求に応えるため、各種のコンピュータシステム及び制御システムによる高度な制御が行われている。それにも拘らず、熱間仕上圧延プロセスでは、操業の不安定や製品不良などの発生を完全に防止することができていない。このような不具合を引き起こす原因は、製品の材質、運転者の操業方法、圧延設備及び制御システムなどに分類できる。操業不安定や製品不良が発生した場合には、その原因がシステム不良にあるのか、運転者の操作が異常であるかなどを具体的に判断して、その原因に応じた再発防止の対策を講じなければならない。
ところが、不具合に対する詳細な原因分析を行わなければならない場合には、多くの場合、各プロセス状態の変化を記録したオンラインアナログチャートを見て解析、判断することが必要になる。その際、その解析及び判断は、対象となる動的プロセスを熟知した作業者が勘及び過去の経験に基づいて行う場合が大部分であり、原因が多数あったり、それらが複雑に関連しているような場合には、その解析及び判断に長い時間を要していた。また、解析作業が作業者個人の力量に依存するため、作業者の知識、経験等によって解析内容に偏りが生じることがあった。
例えば、特許文献1には仕上圧延異常診断装置が開示されており、この仕上圧延異常診断装置では、上記のような問題のうち、圧延後の鋼帯における板厚品質の不具合に対処するため、公知のルールベース手法を用いて板厚品質異常が発生する状況に応じた解析を行い、これにより、板厚品質異常の原因を推定する。
特開2004−167704号公報
しかしながら、特許文献1に記載された仕上圧延異常診断装置は、板厚品質の異常のみを解析対象としているため、他の品質異常や、異常に至らないまでも改善を要する操業上の不具合に対応できる方法は開示されていない。
本発明の目的は、上記事実を考慮し、プロセス状態の変化を引き起こす原因となる各種の外乱を一定の精度を持って、かつ速やかに同定できる動的プロセスの外乱診断方法を提供することにある。
本発明の請求項1に係る動的プロセスの外乱診断方法は、外乱によるプロセス状態の変化が時間遅れを伴って出現する動的プロセスに印加された外乱を推定する外乱診断方法であって、前記動的プロセスに印加された外乱を仮定する外乱仮定ステップと、外乱に基づいてプロセス状態の変化を演算する外乱状態モデルに、前記外乱仮定ステップで仮定された仮定を入力して、シミュレーション結果を得るシミュレーションステップと、前記外乱によるプロセス状態の変化と前記シミュレーション結果とを比較して、両者の差を算出する比較演算ステップと、を備えて、前記比較演算ステップで算出した差が、所定の範囲内になるまで、前記外乱仮定ステップで仮定する外乱を修正するとともに、前記シミュレーションステップ及び比較演算ステップを繰返して、外乱を同定することを特徴とする。
また本発明の請求項2に係る動的プロセスの外乱診断方法は、請求項1記載の動的プロセスの外乱診断方法において、前記動的プロセスを熱間仕上圧延プロセスとし、仕上入側温度、ロール間隙、ミル速度のうち少なくとも何れか一つを外乱とし、かつ、ルーパ角度、板厚、スタンド間張力、圧延荷重の少なくとも何れか一つをプロセス状態として表す前記外乱状態モデルを用いることを特徴とする。
以上説明した本発明に係る動的プロセスの外乱診断方法によれば、比較演算ステップで算出した差が、所定の範囲内になるまで、外乱仮定ステップで仮定する外乱を修正するとともに、シミュレーションステップ及び比較演算ステップを繰返して、外乱を同定することにより、診断対象とする動的プロセスに外乱が印加され、この外乱によりプロセス状態が変化した場合に、動的プロセスにおけるプロセス状態の変化を引き起こす原因となる各種の外乱を一定の精度を持って、かつ速やかに同定できる。
この結果、例えば、熱間仕上圧延プロセスにおいて、品質異常や操業不具合に至らないまでも、改善を要する操業変動の要因を推定することができ、また要因の推定が速やかにできることから、品質異常及び上記のような不具合状態を早期に正常な状態へ復帰させることができる。
以下、本発明の実施形態に係る鋼帯に対する熱間仕上圧延プロセスの外乱診断方法について図面を参照して説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る熱間仕上圧延プロセスで外乱診断を実施する外乱診断装置の構成がブロック線図として示されている。ここで、外乱診断装置10の診断対象となる熱間仕上圧延プロセスは、図2に示される熱間仕上圧延機14において実行される。熱間仕上圧延機14は、所定の仕上入側温度に加熱された圧延材12を複数台の圧延スタンドF1〜F7で順次圧延し、圧延材12から最終製品である熱間圧延鋼板を製造するためのものである。この熱間仕上圧延プロセスは、プロセスにおける所定の操作因子に外乱が印加された時点から、その外乱により生じるプロセス状態の変化が出現するまでに時間遅れを伴う動的プロセスである。
図3には、図2に示される熱間仕上圧延機14における互いに隣接する2台の圧延スタンド及び、これらの圧延スタンド間の構成が模式的に示されている。ここで、上流側の圧延スタンド18は、圧延材12の搬送方向(矢印m方向)に沿って(N−1)番目(但し、Nは2〜7から選択された自然数)に配置され、下流側の圧延スタンド20は、搬送方向mに沿ってN番目に配置されているものとする。また圧延スタンド18と圧延スタンド20とは、その構成が基本的に同一のものになっている。
圧延スタンド18、20には、圧延材12を加圧挟持する上下一対のワークロール22、24が設けられると共に、これら一対のワークロール22、24にそれぞれ上下から圧接する一対のバックアップロール26、28が設けられている。また圧延スタンド18、20は、一対のワークロール22、24にそれぞれトルクを伝達するワークロールモータ30及び、このワークロールモータ30の駆動を制御するモータ制御装置32を備えている。ワークロールモータ30は、トルク伝達機構を介して一対のワークロール22、24に連結されて駆動トルクを伝達する。モータ制御装置32は、ワークロールモータ30の回転速度及び駆動トルクをそれぞれ制御する。また圧延スタンド18、20には、バックアップロール26の上側にギャップ制御装置34が配置されており、このギャップ制御装置34は、ワークロール22、24により圧延材12に加えられる圧延荷重Lを検出するスタンド荷重計及び、一対のワークロール22のロール間隙Gを検出するギャップ間隙計をそれぞれ内蔵している。
熱間仕上圧延機14には、一対の圧延スタンド18、20間にルーパロール38を圧延材12に圧接させ、圧延材12の張力を調整するルーパ機構36が配置されている。ルーパ機構36には、ルーパロール38、ルーパアーム40、ルーパモータ42及びモータ制御装置33が設けられている。ルーパアーム40は、その基端側がルーパモータ42に連結され、ルーパモータ42により揺動可能に支持されている。このルーパアーム40の先端部には、ルーパロール38が回動可能に取り付けられており、ルーパアーム40はルーパモータ42が発生するトルクに応じた圧接力で、ルーパロール38を圧延材12に下面側から圧接させる。
熱間仕上圧延機14は、各圧延スタンド18毎にモータ制御装置32及びモータ制御装置33に指令値を設定し、モータ制御装置32、33を通じてワークロールモータ30及びルーパモータ42を制御する張力・ルーパ角制御装置44を備えている。
ルーパモータ42は、ルーパアーム40の角度を検出すルーパ角センサ及び、圧延材12の張力(スタンド間張力T)を検出する張力センサ(図示省略)をそれぞれ内蔵している。このルーパ角センサは、所定の基準方向(例えば、水平方向)に対するルーパアーム40の傾き角であるルーパ角θに対応する検出信号を張力・ルーパ角制御装置44へ出力し、また張力センサは、スタンド間張力Tに対応する検出信号を張力・ルーパ角制御装置44へ出力する。
張力・ルーパ角制御装置44は、ルーパ角θ及びスタンド間張力Tにそれぞれ対応する検出信号が入力されると、これらの検出信号に基づいてルーパ角θ及びスタンド間張力Tをそれぞれ予め設定された目標値に保つようなワークロールモータ30の回転速度及び、ルーパモータ42のトルクをそれぞれ演算し、それらを指令値としてモータ制御装置32及びモータ制御装置33にそれぞれ設定する。この指令値が設定されたモータ制御装置32及びモータ制御装置33は、ワークロールモータ30の回転速度及び、ルーパモータ42の出力トルクがそれぞれ指令値と一致するように制御を実行する。
外乱診断装置10は、例えば、熱間仕上圧延機14を含む圧延設備全体を制御する制御システム(図示省略)の一部として構成されている。外乱診断装置10は、図1のブロック線図に示されるように、外乱状態モデル演算部48、外乱データ修正部50及び、結果表示部52を備えている。ここで、外乱データ修正部50には、外乱発生器60及び比較演算部62がソフトウェア的又はハードウェア的に実現されている。
本実施形態に係る熱間仕上圧延機14では、少なくとも圧延材12の仕上入側温度、圧延材12を圧延する一対のワークロール22におけるロール間隙及びロール速度がそれぞれ熱間仕上圧延プロセスに対する操作因子とされ、また、少なくとも互いに隣接する一対の圧延スタンド18、20間に配置されたルーパ角θ、一対のワークロール22から送出される圧延材12の板厚P、一対の圧延スタンド18、20間におけるスタンド間張力T及びワークロール22、24により圧延材12に加えられる圧延荷重Lが熱間仕上圧延プロセスにおけるプロセス状態(出力因子)とされている。
そして、前記操作因子から選択された少なくとも1個に対して何らかの外乱DR(i)が印加されると、前記プロセス状態から選択された少なくとも1個のプロセス状態に変化(状態変化量XD(i))が出現し得る。ここで、記号「i」は状態量のインデックスを示している。
前記プロセス状態の特徴量としては、例えば、ワークロール22、24からの圧延荷重Lの場合には、一対のワークロール22、24による圧下位置に、圧延材12の先端部が噛み込んだ直後のデータを用い、また圧延スタンド18(図3参照)におけるルーパ角θの場合には、圧延材12の先端部が、下流側の圧延スタンド20のワークロール22、24に噛み込んでから、数秒間における最小値及び最大値を用いる。なお、例えば、ルーパ角θは、圧延材12の先端部の引張り状態及び、ダブり状態を表すパラメータとして用いられているが、このような状態を適正に表すことができるならば、ルーパ角θ以外をパラメータとして用いても良く、また他のプロセス状態についても、監視対象とする状態を適正に表すことが可能であれば、他のものに代替可能である。
熱間仕上圧延機14は、プロセス状態の変化を検出するためのセンサとして、ルーパ角θを検出するルーパ角センサ、スタンド間張力Tを検出する張力センサ及び、ワークロール22、24により圧延材12に加えられる圧延荷重Lを検出するスタンド荷重センサを備えると共に、これらのセンサに加え、ワークロール22、24から下流側へ送り出された圧延材12の板厚Pを検出する板厚センサ54(図3参照)を備えている。
また、熱間仕上圧延機14には、図1に示されるように、制御システムの一部として、プロセス状態を監視するための状態監視コントローラ56が設けられており、この状態監視コントローラ56には、ルーパ角センサ、張力センサ、スタンド荷重センサ及び板厚センサ54からそれぞれ出力される検出信号が入力する。状態監視コントローラ56は、各センサからの検出信号に基づいてルーパ角θ、スタンド間張力T、圧延荷重L及び板厚Pをそれぞれ所定の演算周期毎に算出し、その算出値を所定のサンプリング期間内に算出された1個乃至複数個の算出値と比較することにより、ルーパ角θ、スタンド間張力T、圧延荷重L及び板厚Pの何れかに変化が生じたか否かを判断する。
次に、図1のブロック線図及び図4のフローチャートに基づいて、本実施形態に係る熱間仕上圧延プロセスの外乱診断方法について説明する。
熱間仕上圧延機14の状態監視コントローラ56は、サンプリング期間内にルーパ角θ、スタンド間張力T、圧延荷重L及び板厚Pの何れかに変化が生じたか否かを判断する。このとき、状態監視コントローラ56は、サンプリング期間内にルーパ角θ、スタンド間張力T、圧延荷重L及び板厚Pの何れかに変化が生じたと判断した場合には、サンプリング期間内に生じたルーパ角θ、スタンド間張力T、圧延荷重L又は板厚Pの変化量を状態変化量XD(i)として、外乱診断装置10へ出力する。これにより、熱間仕上圧延機14の外乱診断装置10は、図7に示される外乱診断方法の制御フローの実行を開始する。
なお、ルーパ角θ、スタンド間張力T、圧延荷重L及び板厚Pは、それぞれ定量的に変化するプロセス状態を例示したものに過ぎず、各種センサにより定量的に検出可能なものであれば、これ以外のプロセス状態についても、状態監視コントローラ56により変化が生じた否かの判断対象とすることができる。
ステップS100にて、外乱診断装置10は、状態変化量XD(i)を外乱発生器60及び加算点58にそれぞれパラレルに入力する。加算点58には、状態変化量XD(i)と共に、後述するプロセス状態の変化に対するシミュレーション結果であるシミュレーション変化量XS(i)を入力する。また外乱発生器60は、状態変化量XD(i)及び、この状態変化量XD(i)の原因になると推定される熱間仕上圧延プロセスにおける外乱の属性及び特徴量が格納されたデータテーブルを備えている。
このとき、状態変化量XD(i)の原因と推定される外乱の属性及び特徴量については、例えば、熱間仕上圧延機14に実際に外乱(実外乱)DRを印加すると共に、この印加される外乱DR(i)の属性及び量を連続的又は段階的に変化させ、そのときに、熱間仕上圧延機14(熱間仕上圧延プロセス)に生じたプロセス状態の変化を実測し、このプロセス状態の変化と外乱DR(i)とを対応させることにより予め求めておくことができる。
ステップS102にて、外乱発生器60は、状態変化量XD(i)をインデックスとし、データテーブルから熱間仕上圧延プロセスにおける外乱の特徴量を読み出し、この外乱の特徴量を仮定外乱DV(i)として外乱状態モデル演算部48へ出力する。外乱状態モデル演算部48は、例えば、外乱発生器60のデータテーブルに格納されたデータに基づいて、多変数の重回帰解析により得られた重回帰式や、学習機能を有するニューラルネットワークにより得られたニューラルネットワークモデル、動的シミュレータ等により構築されている。
ステップS104にて、外乱状態モデル演算部48は、仮定外乱DV(i)の入力により熱間仕上圧延プロセスに生じるシミュレーション変化量XS(i)を演算(シミュレーション)し、このシミュレーション変化量XS(i)を加算点58に出力する。ステップS106にて、加算点58は、シミュレーション変化量XS(i)と状態変化量XD(i)とを差分演算し、その差D(i)を外乱データ修正部50における比較演算部62へ出力する。
ステップS108にて、比較演算部62は、差D(i)の絶対値を予め設定されている閾値Sと比較し、差D(i)の絶対値が閾値S以下の場合(ステップS108にてYESの場合)には、制御ルーチンをステップS110へ移行する。ステップS110では、比較演算部62は、外乱発生器60から出力された仮定外乱DV(i)を熱間仕上圧延プロセスにおける実際の外乱DR(i)と見做し、仮定外乱DV(i)を結果表示部52へ出力する。これにより、結果表示部52は、仮定外乱DV(i)を時間(i)に熱間仕上圧延プロセスに生じた外乱である旨を画面上に表示する。
また、比較演算部62は、差D(i)の絶対値を予め設定されている閾値Sと比較し、差D(i)の絶対値が閾値Sよりも大きい場合(ステップS108にてNOの場合)には、制御ルーチンをステップS112へ移行する。ステップS112では、比較演算部62は、外乱発生器60から前回、出力された仮定外乱DV(i)及び差(i)をそれぞれ外乱発生器60に出力する。
ステップS114にて、外乱発生器60は、差D(i)の符号(プラス又はマイナス)を判断すると共に、その符号に基づいて仮定外乱DV(i)に対して修正演算を実行する。具体的には、外乱発生器60は、符号がマイナスであるならば、仮定外乱DV(i)に所定のプラスの修正量Vcを加算し、また符号がプラスであるならば、仮定外乱DV(i)にマイナスの修正量Vcを加算し、その結果を新たな仮定外乱DV(i)であるとして、外乱状態モデル演算部48に再び出力する。これにより、制御ルーチンがステップS104にリターンすることになる。
上記の修正量Vcは、例えば、前回データテーブルから読み出した仮定外乱DV(i)に対し、データテーブルにおいて1ステップ分だけ増加(符号がマイナスの場合)した仮定外乱DV´(i)を読み出し、{DV(i)−DV´(i))/Nを計算することにより求める。
ここで、Nは有限の自然数であり、このNを十分に大きい値に設定することにより、修正量Vcを十分に小さい値に設定でき、結果として、最終的に求める仮定外乱DV(i)の実際の外乱DR(i)に対する誤差を十分に小さくできる。また、比較演算部62に設定されている閾値Sについても、修正量Vcと同様に、データテーブルに設定された対応する状態変化量XD(i)と、この状態変化量XD(i)に対し、データテーブルにおいて1ステップ分だけ増加又は減少した状態変化量XD´(i)との差を自然数Mで除して求めるようにしても良い。
上記の他にも、下限値≦仮定外乱DV(i)≦上限値の範囲で、探索手法により差D(i)の絶対値が最小となる仮定外乱DV(i)を見出しても良い。
リターンしたステップS104にて、外乱状態モデル演算部48は、外乱発生器60から再入力した仮定外乱DV(i)に基づいてシミュレーション変化量XS(i)を演算(再演算)し、この再演算されたシミュレーション変化量XS(i)を加算点58に出力する。加算点58でも、前回と同様に、シミュレーション変化量XS(i)と状態変化量XD(i)とを差分演算し、その差D(i)を比較演算部62へ出力する。これにより、差D(i)の絶対値が閾値S以下になるまで、外乱状態モデル演算部48、加算点58、比較演算部62及び外乱発生器60による上記演算が繰り返され、差D(i)の絶対値が閾値S以下になると、外乱発生器60により生成された仮定外乱DV(i)が実際の外乱DR(i)と見做されて結果表示部52に表示される。
次に、本実施形態に係る熱間仕上圧延プロセスの外乱診断方法の作用を図2に基づいて具体的に説明する。図2(B)には、圧延スタンドF1〜F7におけるロール間隙Gにそれぞれ個別に外乱を印加した場合のプロセス状態の変化が模式的に示されている。図2(B)にて、XF1〜XF7は、各圧延スタンドF1〜F7に個別に印加された外乱により圧延スタンドF1〜F7にそれぞれ生じるプロセス状態の変化を示している。
一方、図2(C)には、圧延スタンドF4及び圧延スタンドF5に外乱を印加した場合のプロセス状態の変化が模式的に示されている。この場合には、熱間仕上圧延プロセスには、圧延スタンドF4及び圧延スタンドF5に個別に外乱を印加した場合に現れるXF4とXF5とを重畳した結果と略同一のプロセス状態の変化Xが現れる。従って、このような場合には、熱間仕上圧延プロセスに生じたプロセス状態の変化を実測し、この変化を各圧延スタンドF1〜F7に個別に印加された外乱により圧延スタンドF1〜F7にそれぞれ生じるプロセス状態の変化と比較することにより、外乱が印加された圧延スタンドF4及び圧延スタンドF5並びに、外乱の属性及び特徴量を精度良く推定できる。
図5には、本実施形態に係る熱間仕上圧延機における特定の制御対象を制御するデバイスコントローラの構成がブロック線図により示されている。
デバイスコントローラ70は、例えば、圧延材12の仕上入側温度、一対のワークロール22、24におけるロール間隙及びロール速度を操作する加熱装置、モータユニット、アクチュエータ等の操作デバイスを制御対象72としている。デバイスコントローラ70は、基本的に、操作因子の状態量が目標値SVと一致するように、PID制御、PD制御等の公知のフィードバック制御により制御対象72を制御するものである。
先ず、デバイスコントローラ70による基本的なフィードバック制御について説明する。制御対象72には、他のコントローラ、上位のプロセスコンピュータ等により状態量の目標値SVが予め設定されており、この目標値SVは、第1加算点74を通してデバイスコントローラ70に入力する。一方、制御対象72には、状態量を検出するセンサ(図示省略)が設けられており、このセンサは状態量の検出信号を他のコントローラ、上位のプロセスコンピュータ等及び第1加算点74にパラレルに出力する。デバイスコントローラ70は、所定の演算周期毎にセンサからの検出信号に基づいて制御対象72における状態量の検出値PVと目標値SVとの偏差Eを算出し、この偏差Eに基づいて制御対象72に対する操作量OVを決定し、第2加算点76を通して操作量OVを制御対象72へ出力する。
また、熱間仕上圧延機14では、制御対象72により操作される操作因子に外乱され、熱間仕上圧延プロセスにプロセス状態の変化が現れると、前述したように、外乱診断装置10がプロセス状態の変化の原因となった外乱DR(i)を同定する。この外乱DR(i)は、第2加算点76に出力される。第2加算点76では、外乱DR(i)に予め設定されたゲインKを乗じ、その結果であるK・DR(i)を操作量OVに加算演算する。これにより、熱間仕上圧延プロセスでは、操作量OVが外乱DR(i)によって生じたプロセス状態の変化が打ち消されるように、デバイスコントローラ70により生成される操作量OVを効果的に修正できる。
以上説明した熱間仕上圧延プロセスでは、例えば、プロセス状態の状態変化量XDが下記の(1)式のように表される。
Figure 2009291809
図6には、熱間仕上圧延プロセスにおいて仕上入側温度Tに外乱が印加された場合の板厚P及びルーパ角θに与える影響が各圧延スタンドF1〜F7毎に示され、図7には、熱間仕上圧延プロセスにおいて圧延スタンドF1のワークロールの圧延材に対する圧下位置(ロール間隙)に外乱が印加された場合の板厚P及びルーパ角θに与える影響が各圧延スタンドF1〜F7毎に示され、図8には、熱間仕上圧延プロセスにおいて圧延スタンドF2のワークロールの圧延材に対する圧下位置(ロール間隙)に外乱が印加された場合の板厚P及びルーパ角θに与える影響が各圧延スタンドF1〜F7毎に示されている。
下記(2)式は、図7及び図8にそれぞれ示されたロール間隙に印加された外乱(ΔS1〜ΔS4)が、板厚Pに与える影響(Δh1〜Δh7)及びルーパ角θに与える影響(Δθ1〜Δθ6)の一例を示している。なお、他の操作因子に外乱が印加された場合の他のプロセス状態の影響についても、操作因子及びプロセス状態の属性に応じて係数を適宜設定することで、(2)式と同様な演算式により表すことが可能である。
Figure 2009291809
また、熱間仕上圧延プロセスにおける操作因子に外乱が印加された場合のプロセス状態の状態変化量をXDとすると、下記(3)における評価関数を最小とする外乱を算出することにより、操作因子に印加された外乱DRを推定することが可能である。
Figure 2009291809
なお、上記(1)、(2)式における影響係数や特徴量の算出には、不可避的に誤差が含まれる。従って、外乱DRの決定にあたっては、閾値を定めておき、上記過程において推定した外乱DRの大小や、状態量間の方向性の妥当性などを組合わせて評価することにより、上記誤差による影響を軽減して最終的な外乱状態を精度良く推定できるようになる。
本発明の実施形態に係る熱間仕上圧延プロセスで外乱診断を実施する外乱診断装置の構成を示すブロック線図である。 (A)は本発明の実施形態に係る熱間仕上圧延プロセスが実行される熱間仕上圧延機を模式的に示す構成図、(B)は圧延スタンドF1〜F7におけるロール間隙にそれぞれ個別に外乱を印加した場合のプロセス状態の変化を模式的に示す特性図、(C)は圧延スタンドF4及び圧延スタンドF5に外乱を印加した場合のプロセス状態の変化を模式的に示す特性図である。 図2に示される熱間仕上圧延機における互いに隣接する2台の圧延スタンド及び、これらの圧延スタンド間の構成を模式的に示す側面図である。 本発明の実施形態に係る熱間仕上圧延プロセスの外乱診断方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施形態に係る熱間仕上圧延機における特定の制御対象を制御するデバイスコントローラの構成を示すブロック線図である。 本発明の実施形態に係る熱間仕上圧延プロセスにおける仕上入側温度に外乱が印加された場合の板厚及びルーパ角に与える影響を示すタイミングチャートである。 本発明の実施形態に係る熱間仕上圧延プロセスにおけるワークロールのロール間隙に外乱が印加された場合の板厚及びルーパ角に与える影響を示すタイミングチャートである。 本発明の実施形態に係る熱間仕上圧延プロセスにおけるワークロールのロール間隙に外乱が印加された場合の板厚及びルーパ角に与える影響を示すタイミングチャートである。
符号の説明
10 外乱診断装置
12 圧延材
14 熱間仕上圧延機
18、20 圧延スタンド
22、24 ワークロール
26、28 バックアップロール
30 ワークロールモータ
32 モータ制御装置
33 モータ制御装置
34 ギャップ制御装置
36 ルーパ機構
38 ルーパロール
40 ルーパアーム
42 ルーパモータ
44 張力・ルーパ角制御装置
48 外乱状態モデル演算部
50 外乱データ修正部
52 結果表示部
54 板厚センサ
56 状態監視コントローラ
58 加算点
60 外乱発生器
62 比較演算部
70 デバイスコントローラ
72 制御対象
74 第1加算点
76 第2加算点
DR 外乱
DV 仮定外乱
F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7 圧延スタンド
XD 状態変化量
XS シミュレーション変化量
θ ルーパ角

Claims (2)

  1. 外乱によるプロセス状態の変化が時間遅れを伴って出現する動的プロセスに印加された外乱を推定する外乱診断方法であって、
    前記動的プロセスに印加された外乱を仮定する外乱仮定ステップと、
    外乱に基づいてプロセス状態の変化を演算する外乱状態モデルに、前記外乱推定ステップで仮定された仮定を入力して、シミュレーション結果を得るシミュレーションステップと、
    前記外乱によるプロセス状態の変化と前記シミュレーション結果とを比較して、両者の差を算出する比較演算ステップと、
    を備えて、
    前記比較演算ステップで算出した差が、所定の範囲内になるまで、前記外乱仮定ステップで仮定する外乱を修正するとともに、前記シミュレーションステップ及び比較演算ステップを繰返して、外乱を同定することを特徴とする動的プロセスの外乱診断方法。
  2. 前記動的プロセスを熱間仕上圧延プロセスとし、
    仕上入側温度、ロール間隙、ミル速度のうち少なくとも何れか一つを外乱とし、かつ、ルーパ角度、板厚、スタンド間張力、圧延荷重の少なくとも何れか一つをプロセス状態として表す前記外乱状態モデルを用いることを特徴とする請求項1記載の動的プロセスの外乱診断方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102463268A (zh) * 2010-11-10 2012-05-23 北京有色金属研究总院 一种锌合金棒材挤压的工艺设计与优化方法
US10410437B2 (en) 2015-10-26 2019-09-10 Continental Automotive France Method for automatically adapting the conditions for establishing a diagnostic by an on-board diagnostic system

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