JP2009286716A - イリジウム錯体 - Google Patents

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三千雄 鈴木
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
University of Tsukuba NUC
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University of Tsukuba NUC
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Abstract

【課題】
燐光材料としての新規なイリジウム錯体の提供。
【解決手段】
式(1);
【化1】
Figure 2009286716

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、これらは同一であっても異なっていてもよい。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を示す。nは、2または3を示し、Lは、一価アニオンの二座配位子を示す。)で表されるイリジウム錯体。
【選択図】なし

Description

本発明は、燐光を発するイリジウム錯体に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)が次世代のディスプレイ素子として注目されており、発光素子に用いられる有機材料の開発が精力的に行われている。有機発光材料としては、励起一重項からの発光を利用する蛍光材料と励起三重項からの発光を利用する燐光材料とがあり、なかでも燐光材料の開発が精力的に行われている。(非特許文献1および非特許文献2参照)。
燐光材料の多くはイリジウムや白金といった重原子を含む金属錯体であり、中心金属と配位子の組み合わせにより多くの材料を合成することができる。例えば、燐光材料としてのイリジウム錯体として、フェニルピリジン誘導体が配位したIr(ppy)のように、配位子とイリジウムとで5員環構造を形成させた多くの錯体が提案されている(非特許文献3および特許文献1参照)。
Jpn.H.Appl.Phys.Vol38.1502−1504(1999) J.Am.Chem.Soc.2001,123,4304−4312 Inorg.Chem.2001,40,1704−1711 特表2003−515897号公報
有機発光材料の用途は、今日、多様化しており、それに対応するには発光色等の特性が異なる多種多様な燐光材料の提案が求められている。
本発明の課題は、燐光材料としての新規なイリジウム錯体を提供することにある。
本発明は、以下に示すとおりのイリジウム錯体に関するものである。
項1. 式(1);
Figure 2009286716
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、これらは同一であっても異なっていてもよい。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を示す。nは、2または3を示し、Lは、一価アニオンの二座配位子を示す。)で表されるイリジウム錯体。
項2. 式(1)におけるRで示される置換基を有していてもよいアリール基が、フェニル基である項1に記載のイリジウム錯体。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のイリジウム錯体は、下記式(1)で表される。
Figure 2009286716
式(1)中において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、これらは同一であっても異なっていてもよい。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を示す。nは、2または3を示し、Lは、一価アニオンの二座配位子を示す。
およびRで示されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が挙げられる。
およびRで示される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−オクチル基およびn−デシル基等が挙げられる。
およびRで示されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基およびアントラセニル基等が挙げられる。
で示される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−オクチル基およびn−デシル基等が挙げられる。
で示される置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、3−メチルフェニル基、3−エチルフェニル基、3−ニトロフェニル基、3−アミノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アミノフェニル基、4−シアノフェニル基、ナフチル基、3−メチルナフチル基、3−エチルナフチル基、3−ニトロナフチル基、3−アミノナフチル基、3−シアノナフチル基、4−メチルナフチル基、4−エチルナフチル基、4−ニトロナフチル基、4−アミノナフチル基、4−シアノナフチル基、アントラセニル基、3−メチルアントラセニル基、3−エチルアントラセニル基、3−ニトロアントラセニル基、3−アミノアントラセニル基、3−シアノアントラセニル基、4−メチルアントラセニル基、4−エチルアントラセニル基、4−ニトロアントラセニル基、4−アミノアントラセニル基および4−シアノアントラセニル基等が挙げられ、中でも入手が容易で経済的である観点から、フェニル基が好適に用いられる。
Lで示される一価アニオンの二座配位子としては、特に制限されるものではないが、例えば、式(2);
Figure 2009286716
および式(3);
Figure 2009286716
で表される二座配位子等を挙げることができる。
本発明の式(1)でn=2のイリジウム錯体は、例えば、式(4);
Figure 2009286716
(式中、Rは、上記式(1)におけるRと同じである。Xは、ハロゲン原子を示す。)で表されるピリジン化合物と式(5);
Figure 2009286716
(式中、RおよびRは、それぞれ、上記式(1)におけるRおよびRと同じである。)で表されるアミン化合物とをパラジウム触媒およびホスフィン触媒並びに塩基の存在下で反応させることにより、式(6);
Figure 2009286716
(式中、RおよびRは、それぞれ、上記式(5)におけるRおよびRと同じであり、Rは、上記式(4)におけるRと同じである。)で表されるピリジルフェニルアミン化合物を得て、これと三塩化イリジウムの水和物とを反応させて式(7);
Figure 2009286716
で表されるμ−クロロダイマーとした後、さらにこれと、上記式(1)においてLで示される一価アニオンの二座配位子を形成させるための式(8);
Figure 2009286716
で表されるアセチルアセトンまたは式(9);
Figure 2009286716
で表されるピリジンカルボン酸とを塩基性化合物の存在下で反応させることにより製造することができる。
また、本発明の式(1)でn=3のイリジウム錯体は、式(1)でn=2のイリジウム錯体と式(6)の化合物を窒素雰囲気下で反応させることにより製造することができる。
上記式(4)において、Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が挙げられる。
上記式(4)で表されるピリジン化合物としては、具体的には、2−クロロピリジン、2−ブロモピリジン、2−ヨードピリジン、2−クロロ−4−メチルピリジン、2−クロロ−4−ブロモピリジン、2−クロロ−4−ヨードピリジン等が挙げられる。
上記式(5)で表されるアミン化合物としては、具体的には、ジフェニルアミン、アニリン等が挙げられる。
上記ピリジルフェニルアミン化合物を製造する方法において、ピリジン化合物およびアミン化合物は市販品を用いることができる。
アミン化合物の使用量は、ピリジン化合物1モルに対して1.0〜2.0モルであることが好ましく、1.0〜1.5モルであることがさらに好ましい。アミン化合物の使用量が1.0モル未満の場合、反応が進行しにくく、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、アミン化合物の使用量が2.0モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるおそれがある。
上記パラジウム触媒としては、例えば、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等の4価のパラジウム化合物;塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウム(II)トリフルオロアセテート等の2価パラジウム化合物;トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価パラジウム化合物等が挙げられる。これらの中でも、高い反応活性を有する観点から、0価パラジウム化合物が好ましく、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)が好適に用いられる。これらパラジウム触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。パラジウム触媒の使用割合は、ピリジン化合物1モルに対して0.0001〜0.2モルであることが好ましく、0.0002〜0.05モルであることがより好ましい。パラジウム触媒の使用割合が0.0001モル未満の場合、反応が進行しにくくなるおそれがある。また、パラジウム触媒の使用割合が0.2モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるおそれがある。
上記ホスフィン触媒としては、例えば、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、N,N’−ジメチル−1−[1’,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらの中でも、高い反応活性を有する観点から、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルおよび9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテンが好適に用いられる。これらホスフィン触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。ホスフィン触媒の使用割合は、パラジウム触媒1モルに対して0.1〜10モルであることが好ましく、0.5〜5モルであることがさらに好ましい。ホスフィン触媒の使用割合が0.1モル未満の場合、反応が進行しにくくなるおそれがある。また、ホスフィン触媒の使用割合が10モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるおそれがある。
ピリジルフェニルアミン化合物を得る反応に用いられる塩基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシドおよびカリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド等が挙げられる。なお、これら塩基は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基の使用割合は、ピリジン化合物1モルに対して1〜20モルであることが好ましく、1〜10モルであることがより好ましい。塩基の使用割合が1モル未満の場合、収率が低下するおそれがあり、塩基の使用割合が20モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるおそれがある。
ピリジルフェニルアミン化合物を得る反応に用いられる溶媒としては、当該反応に対して不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等が挙げられる。これらの中でも、溶媒のリサイクルが容易であることから、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が好適に用いられる。溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、反応を円滑にさせる観点および使用量に見合うだけの効果を得る観点から、ピリジン化合物100重量部に対して500〜10000重量部であることが好ましい。
ピリジルフェニルアミン化合物を得る反応の温度は、30〜250℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。反応温度が30℃より低い場合、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が250℃より高い場合、副反応が起こり収率が低下するおそれがある。反応時間は、反応温度により異なるために一概には言えないが、通常1〜20時間である。
かくして得られたピリジルフェニルアミン化合物は、例えば、ろ過、洗浄して触媒等を除去した後、再結晶することにより単離することができる。
上記μ−クロロダイマーは、上記のようにして得られるピリジルフェニルアミン化合物と三塩化イリジウムの水和物とを反応させて製造することができる。
ピリジルフェニルアミン化合物の使用割合は、三塩化イリジウムの水和物1モルに対して2〜4モルであることが好ましく、2〜3モルであることがより好ましい。ピリジルフェニルアミン化合物の使用割合が2モル未満の場合、収率が低下するおそれがあり、ピリジルフェニルアミン化合物の使用割合が4モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるおそれがある。
μ−クロロダイマーを得る反応に用いられる溶媒としては、例えば、水、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジオキサン、グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、トルエンおよびクロロホルム等を挙げることができる。これらの中でも水および2−エトキシエタノールが好適に用いられる。なお、これら溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒の使用量としては、特に制限されるものではないが、反応を円滑にさせる観点および使用量に見合うだけの効果を得る観点から、ピリジルフェニルアミン化合物100重量部に対して500〜10000重量部であることが好ましい。
μ−クロロダイマーを得る反応の温度は、80〜250℃が好ましく、100〜250℃がより好ましい。反応温度が80℃より低い場合、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が250℃より高い場合、収率が低下するおそれがある。反応時間は、反応温度により異なるために一概には言えないが、通常8〜48時間である。
上記μ−クロロダイマーは、例えば、ろ過、洗浄といった常法により単離することができる。
本発明の式(1)でn=2のイリジウム錯体は、例えば、上記のようにして得られるμ−クロロダイマーと、アセチルアセトンまたはピリジンカルボン酸とを、塩基性化合物の存在下、窒素雰囲気下で反応させることにより製造することができる。
アセチルアセトンまたはピリジンカルボン酸の使用割合は、μ−クロロダイマー1モルに対して2〜4モルであることが好ましく、2〜3モルであることがより好ましい。アセチルアセトンまたはピリジンカルボン酸の使用割合が2モル未満の場合、収率が低下するおそれがあり、アセチルアセトンまたはピリジンカルボン酸の使用割合が4モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるおそれがある。
塩基性化合物としては、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、t−ブトキシカリウム、t−ブトキシナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、トリエチルアミン等が挙げられる。
塩基性化合物の使用割合は、μ−クロロダイマー1モルに対して1〜10モルであることが好ましく、1〜5モルであることがより好ましい。塩基性化合物の使用割合が1モル未満の場合、収率が低下するおそれがある。また、塩基性化合物の使用割合が10モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるおそれがある。
上記反応に用いられる溶媒としては、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジオキサン、グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、トルエンおよびクロロホルム等が挙げられる。溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、反応を円滑にさせる観点および使用量に見合うだけの効果を得る観点から、μ−クロロダイマー100重量部に対して500〜10000重量部であることが好ましい。
上記反応の温度は、特に限定されないが、50〜250℃が好ましく、80〜250℃がより好ましい。反応温度が50℃より低い場合、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が250℃を超える場合、原料が分解するなどして収率が低下するおそれえがある。反応時間は、反応温度により異なるために一概には言えないが、通常6〜48時間である。
かくして得られたイリジウム錯体は、例えば、ろ過、洗浄といった常法により単離することができる。また、上記イリジウム錯体は、再結晶を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製、および、必要に応じて昇華精製を行うことにより精製することができる。
本発明の式(1)でn=3のイリジウム錯体は、例えば、μ−クロロダイマーと式(8)であらわされるアセチルアセトンとを反応させることにより得られた本発明の式(1)でn=2のイリジウム錯体と式(6)で表されるピリジルフェニルアミン化合物とを窒素雰囲気下で反応させることにより製造することができる。
ピリジルフェニルアミン化合物の使用割合は、式(1)でn=2のイリジウム錯体に対して1〜3モルであることが好ましく、1〜2モルであることがより好ましい。ピリジルフェニルアミン化合物の使用割合が1モル未満の場合、収率が低下するおそれがあり、ピリジルフェニルアミン化合物の使用割合が3モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でなくなるおそれがある。
上記反応に用いられる溶媒としては、グリセロール、エチレングリコール等が挙げられる。溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、反応を円滑にさせる観点および使用量に見合うだけの効果を得る観点から、式(1)でn=2のイリジウム錯体100重量部に対して500〜10000重量部であることが好ましい。
上記反応の温度は、特に限定されないが、100〜250℃が好ましい。反応温度が100℃より低い場合、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が250℃を超える場合、原料が分解するなどして収率が低下するおそれがある。反応時間は、反応温度により異なるために一概には言えないが、通常6〜48時間である。
かくして得られたイリジウム錯体は、例えば、ろ過、洗浄して原料等を除去した後、再結晶することにより単離することができる。また、上記イリジウム錯体は、再結晶を行った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー精製、および、必要に応じて昇華精製を行うことにより精製することができる。
このようにして得られたイリジウム錯体は有機EL素子の発光材料として使用することが可能である。有機EL素子の発光層の形成方法としては、特に限定されるものではないが、蒸着法、コーティング法、インクジェット法等の方法が用いることができる。有機EL素子は陽極、陰極の一対の電極間に発光層を形成した素子であり、発光層以外に正孔輸送層、電子輸送層といった層を有していてもよい。
本発明によると、燐光材料としての新規なイリジウム錯体を提供することができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1](式(1)において、RおよびRが水素原子であり、Rがフェニル基であり、nが2であり、Lが式(2)で表される二座配位子であるイリジウム錯体の製造)
冷却管、温度計および撹拌機を備え付けた300mL容の四つ口フラスコに、アミン化合物としてのジフェニルアミン20.3g(0.12モル)、ピリジン化合物としての2−ブロモピリジン15.8g(0.10モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)0.23g(0.25ミリモル)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン0.43g(0.75ミリモル)、ナトリウム−tert−ブトキシド10.6g(0.11モル)およびトルエン200mL(173.4g)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下で100℃まで昇温し、さらに同温度で5時間撹拌して反応させた。その後、ろ過、洗浄といった常法により、ピリジルフェニルアミン化合物としてのジフェニル−ピリジン−2−イル−アミン23.0g(0.09モル、収率93.4%)を得た。
得られたジフェニル−ピリジン−2−イル−アミン2.22g(9.0ミリモル)、三塩化イリジウム・三水和物1.06g(3.0ミリモル)、2−エトキシエタノール30mL(27.9g)および水10mL(10.0g)を、冷却管、温度計および撹拌機を備え付けた300mL容の四つ口フラスコに仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、130℃で21時間還流した後、ろ過、洗浄といった常法により、μ−クロロダイマー1.47g(1.0ミリモル、収率68.1%)を得た。
得られたμ−クロロダイマー1.47g(1.0ミリモル)、アセチルアセトン0.3g(3.0ミリモル)、炭酸ナトリウム0.32g(3.0ミリモル)および2−エトキシエタノール100mL(93.0g)を、冷却管、温度計および撹拌機を備え付けた300mL容の四つ口フラスコに仕込んだ。次いで窒素雰囲気下80℃で18時間還流した後、ろ過、洗浄といった常法により、黄色結晶のイリジウム錯体0.29g(0.4ミリモル、収率74.0%)を得た。
得られた黄色結晶が、上記式(1)において、RおよびRが水素原子であり、Rがフェニル基であり、nが2であり、Lが式(2)で表される二座配位子であるイリジウム錯体であることを、EI−MS分析法により確認した。
分子量(計算値):782.22
分子量(実測値):782.22
m/e:782.22(100.0%),780.22(56.2%),783.23(42.5%),781.22(24.8%),785.23(9.5%)
なお、得られた黄色結晶について、蛍光光度計(株式会社日立製作所、商品名 F−2500)により発光スペクトルを測定したところ、λmax=510nmであった。
[実施例2](式(1)において、RとRおよびRが水素原子であり、nが2であり、Lが式(2)で表される二座配位子であるイリジウム錯体の製造)
冷却管、温度計および撹拌機を備え付けた300mL容の四つ口フラスコに、アミン化合物としてのアニリン11.30g(0.12モル)、ピリジン化合物としての2−ブロモピリジン15.8g(0.10モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)0.23g(0.25ミリモル)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン0.43g(0.75ミリモル)、ナトリウム−tert−ブトキシド10.6g(0.11モル)およびトルエン200mL(173.4g)を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下で100℃まで昇温し、さらに同温度で3時間撹拌して反応させた。その後、ろ過、洗浄といった常法により、ピリジルフェニルアミン化合物としてのフェニル−ピリジン−2−イル−アミン15.8g(0.09モル、収率92.9%)を得た。
得られたフェニル−ピリジン−2−イル−アミン1.53g(9.0ミリモル)、三塩化イリジウム・三水和物1.06g(3.0ミリモル)、2−エトキシエタノール30mL(27.9g)および水10mL(10.0g)を、冷却管、温度計および撹拌機を備え付けた300mL容の四つ口フラスコに仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下、130℃で15時間還流した後、ろ過、洗浄といった常法により、μ−クロロダイマー1.13g(1.0ミリモル、収率70.7%)を得た。
得られたμ−クロロダイマー1.13g(1.0ミリモル)、アセチルアセトン0.3g(3.0ミリモル)、炭酸ナトリウム0.32g(3.0ミリモル)および2−エトキシエタノール100mL(93.0g)を、冷却管、温度計および撹拌機を備え付けた300mL容の四つ口フラスコに仕込んだ。次いで窒素雰囲気下80℃で18時間還流した後、減圧下反応溶媒を留去した後、ろ過、洗浄といった常法により、黄色結晶のイリジウム錯体0.23g(0.4ミリモル、収率73.0%)を得た。
得られた黄色結晶が、上記式(1)において、RとRおよびRが水素原子であり、nが2であり、Lが式(2)で表される二座配位子であるイリジウム錯体であることを、EI−MS分析法により確認した。
分子量(計算値):630.16
分子量(実測値):630.16
m/e:630.16(100.0%),628.16(59.2%),631.16(31.5%),629.16(18.9%),632.17(4.5%)
なお、得られた黄色結晶について、蛍光光度計(株式会社日立製作所、商品名 F−2500)により発光スペクトルを測定したところ、λmax=400nmであった。

Claims (2)

  1. 式(1);
    Figure 2009286716
    (式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、これらは同一であっても異なっていてもよい。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を示す。nは、2または3を示し、Lは、一価アニオンの二座配位子を示す。)で表されるイリジウム錯体。
  2. 式(1)におけるRで示される置換基を有していてもよいアリール基が、フェニル基である請求項1に記載のイリジウム錯体。
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