JP2009280409A - 多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法 - Google Patents

多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 バラツキが小さく、所望の大きさの気孔径を有する多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する。
【解決手段】バラツキが小さく、所望の大きさの気孔径を有する多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する方法を提供することを目的とし、本発明の多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法は、少なくとも炭化ケイ素粉末とケイ素粉末とバインダとを含む原料組成物を用いて炭化ケイ素成形体を作製する成形工程と、
上記炭化ケイ素成形体に脱脂処理を施して、炭化ケイ素脱脂体を作製する脱脂工程と、
上記炭化ケイ素脱脂体に焼成処理を施して、多孔質炭化ケイ素焼結体を作製する焼成工程とを含む多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法であって、
上記原料組成物において、上記ケイ素粉末の含有量は、上記炭化ケイ素粉末と上記ケイ素粉末との合計量の1〜3重量%であり、
上記焼成工程において、炭化ケイ素粉末同士が相互拡散により粒子間ネックを形成しうる温度で焼成処理を行うことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法に関する。
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化するフィルタとして多孔質炭化ケイ素焼結体からなるハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが提案されている。
このような多孔質炭化ケイ素焼結体は、例えば、特許文献1に開示された方法により製造することができる。
即ち、まず、炭化ケイ素粉末とバインダと分散媒液等とを混合して原料組成物を調製し、この原料組成物を連続的に押出成形した後、押し出された成形体を所定の長さに切断することにより、角柱形状の炭化ケイ素成形体を作製する。
次に、得られた炭化ケイ素成形体を、マイクロ波乾燥機や熱風乾燥機を利用して乾燥させ、その後、所定のセルに目封じを施し、セルのいずれかの端部が封止された状態とした後、脱脂処理及び焼成処理を施す。これにより多孔質炭化ケイ素焼結体を製造することができる。
一方、特許文献2には、SiC等の耐火性粒子原料に、金属珪素と有機バインダーを添加し混合及び混練して得られた坏土をハニカム形状に成形し、得られた成形体を仮焼して成形体中の有機バインダーを除去した後、得られた成形体に本焼成処理を施すハニカム構造体の製造方法が開示されている。
そして、特許文献2の[0037]には、金属珪素の適切な添加量は、耐火性粒子と金属珪素との合計量に対して5〜50重量%であることが記載され、5重量%未満では、ハニカム構造体のような薄壁の構造体を維持し得る強度を得ることができないことが記載されている。
特開2004−188278号公報 特開2002−201082号公報
排ガスを浄化するためのフィルタとして使用する多孔質炭化ケイ素焼結体では、パティキュレートを確実に補集するとともに、圧力損失を低減するとの観点から、気孔径は、10〜15μmが望ましいと考えられている。
しかしながら、特許文献1に記載された製造方法により多孔質炭化ケイ素焼結体を製造した場合には、炭化ケイ素の焼結性にバラツキが生じやすく、焼成後の多孔質炭化ケイ素焼結体において、気孔径が所望の大きさとならず、例えば、気孔径が大きくなりすぎたり、気孔径にバラツキが生じたりするという問題が発生することがあった。
本発明者等は、多孔質炭化ケイ素焼結体の製造において、上記のような問題が生じる理由について検討したところ、以下の理由が考えられた。
すなわち、多孔質炭化ケイ素焼結体の製造では、通常、原料となる炭化ケイ素粉末に不純物としてカーボン及びシリカが含まれている。そして、上記焼成処理の際には、下記反応式(1)に示すカーボンとシリカとの反応が右側に進行することとなると考えられる。
Figure 2009280409
さらに、カーボンが過剰に存在する場合には、下記反応式(2)に示す一酸化ケイ素とカーボンとの反応が右側に進行すると考えられる。通常、焼成処理工程においては、炭化ケイ素脱脂体を焼成用治具に載置した状態で加熱することとなり、焼成用治具としては炭素材料からなる焼成用治具を使用しているため、焼成系においては、炭素が過剰に存在することとなる。
Figure 2009280409
このように上記反応式(1)、(2)の反応が右側に進行すると、焼成雰囲気中のCO分圧が増加していくのに対し、SiO分圧は増加率が低いか、又は、減少していくこととなる。即ち、焼成雰囲気におけるSiO分圧とCO分圧との比(PSiO/PCO)が変動することとなる。
そして、例えば、焼成雰囲気中のCO分圧が増加すると、下記反応式(3)に示す脱脂体中の炭化ケイ素と焼成雰囲気中の一酸化炭素との反応が右側に進行すると考えられ、気孔径が充分に大きくならなかったり、気孔径が大きくなりすぎたりする場合がある。つまり、気孔径のバラツキが大きくなるのである。
Figure 2009280409
この理由については、以下のように考えられる。
すなわち、上述したような方法で多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する場合、炭化ケイ素粉末間の相互拡散により、粒子間ネックが形成され、粒子間に残った空隙が気孔となることにより、多孔質炭化ケイ素焼結体が製造されるのであるが、上記反応式(3)における反応が右側に進行した場合には、(i)原料の炭化ケイ素粉末が分解されることにより粒子間ネックの形成が阻害され、気孔径が充分に大きくならなかったり、(ii)形成された粒子間ネックが分解され、気孔径が大きくなりすぎたりすることがあると考えられ、(iii)さらには、このような粒子間ネックの形成阻害や、粒子間ネックの分解が同時に進行して、気孔径のバラツキが大きくなると考えられる。
また、焼成温度が高温になるほど、炭化ケイ素粉末間の相互拡散は進行しやすくなるため、粒子間ネックは形成されやすくなるものの、上記反応式(3)の反応は右側に進行しやすくなるため、気孔径が大きくなりやすいと考えられる。
そこで、本発明者らはさらに検討を行い、上記課題を解決することができる多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法を完成した。
請求項1に記載の発明は、少なくとも炭化ケイ素粉末とケイ素粉末とバインダとを含む原料組成物を用いて炭化ケイ素成形体を作製する成形工程と、
上記炭化ケイ素成形体に脱脂処理を施して、炭化ケイ素脱脂体を作製する脱脂工程と、
上記炭化ケイ素脱脂体に焼成処理を施して、多孔質炭化ケイ素焼結体を作製する焼成工程とを含む多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法であって、
上記原料組成物において、上記ケイ素粉末の含有量は、上記炭化ケイ素粉末と上記ケイ素粉末との合計量の1〜3重量%であり、
上記焼成工程において、炭化ケイ素粉末同士が相互拡散により粒子間ネックを形成しうる温度で焼成処理を行うことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によると、原料組成物に、炭化ケイ素粉末とケイ素粉末との合計量の1〜3重量%のケイ素粉末が含まれており、炭化ケイ素粉末同士が相互拡散により粒子間ネックを形成しうる温度で焼成処理を行うため、焼成処理において、バラツキが小さく、所望の大きさの気孔径を有する多孔質炭化ケイ素焼結体を製造することができる。
この理由は、原料組成物に炭化ケイ素粉末とケイ素粉末との合計量の1〜3重量%のケイ素粉末が含まれていると、上記反応式(1)、(2)が右側に進行して、焼成雰囲気中のCO分圧が上昇しても、下記反応式(4)に示す一酸化炭素とケイ素との反応が右側に進行することにより、焼成雰囲気中の一酸化炭素が消費されることとなり、上記反応式(3)が右側に進行することを抑制することができ、焼成雰囲気におけるSiO分圧とCO分圧との比(PSiO/PCO)の変動を抑制することができると考えられる。そのため、焼成温度の変化に対する平均気孔径の変化を小さくすることができ、バラツキが小さく、所望の大きさの気孔径を有する多孔質炭化ケイ素焼結体を製造することができるのでないかと考えられる。
Figure 2009280409
これに対し、上記ケイ素粉末の量が上記範囲をはずれると、気孔径が大きくならなかったり、気孔径が大きくなりすぎたり、また、気孔径にバラツキが生じるたりすることとなる。この理由については、上記ケイ素粉末の量が1重量%未満では、焼成雰囲気中のCO分圧の増加を充分に抑制することができないためと考えられ、上記ケイ素粉末の量が3重量%を超えると、炭化ケイ素粉末同士の間に多くのケイ素粉末が入り込むことにより、炭化ケイ素粉末同士の接触が物理的に阻害され、粒子間ネックの形成が阻害されるためと考えられる。
また、焼成温度が、炭化ケイ素粉末同士が相互拡散により粒子間ネックを形成しうるほど高温でないと、炭化ケイ素の焼結が進行しづらくなる。
なお、本発明において、相互拡散とは、粒界拡散と言われ、SiC結晶の粒界が粒子間のネック部分で形成され、炭化ケイ素の焼結体ができることをいう。
なお、上述したように、特許文献2には、SiC粒子に、金属珪素と有機バインダーを添加した組成物を使用して、ハニカム構造体を製造する方法が開示されているが、特許文献2に開示された製造方法により製造するハニカム構造体は、SiC粒子同士を金属珪素により結合させたものである。
これに対し、請求項1に記載の発明において製造する多孔質炭化ケイ素焼結体は、原料組成物中に含まれる金属珪素の量が少ないことからも明らかなように、炭化珪素粒子が金属珪素により結合された焼成体ではなく、炭化珪素粒子が焼成処理により粒成長してなる多孔質炭化ケイ素焼結体であり、請求項1に記載の発明で製造する多孔質炭化ケイ素焼結体は、特許文献2に開示された製造方法により製造されるハニカム構造体とは全く異なるものである。
従って、請求項1に記載の製造方法と、特許文献2に開示された製造方法とは、そもそも技術的思想が異なり、その構成及び効果も異なるものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記焼成工程における焼成温度が、2200〜2300℃である。
請求項2に記載の発明では、上記焼成温度が、2200〜2300℃であるため、バラツキが小さく、所望の大きさの気孔径を有する多孔質炭化ケイ素焼結体を確実に製造することができる。
これに対して、上記焼成温度が2200℃未満では、炭化ケイ素粉末の焼結が進行しづらい傾向にあり、一方、焼成温度が2300℃を超えると、炭化ケイ素粉末の焼結が進行しすぎる傾向にあり、また、電力消費量が増加するため、経済的に不利である。
本発明は、上述の構成よりなるものであるので、バラツキが小さく、所望の大きさの気孔径を有する多孔質炭化ケイ素焼結体を製造することができる。
(第一実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第一実施形態について、製造工程順に説明する。
なお、この第一実施形態では、図1(a)、(b)に示した多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する。
図1(a)は、本発明の製造方法で製造する多孔質炭化ケイ素焼結体の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。
図1(a)に示すように、多孔質炭化ケイ素焼結体110は、長手方向(図1(a)中、矢印aの方向)に多数のセル111が並設され、セル111同士を隔てるセル壁113がフィルタとして機能するようになっている。
即ち、多孔質炭化ケイ素焼結体110に形成されたセル111は、図1(b)に示すように、排ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが封止材112により目封じされ、一のセル111に流入した排ガスは、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他のセル111から流出するようになっている。従って、排ガスがこのセル壁113を通過する際には、パティキュレートがセル壁113部分で捕捉され、排ガスが浄化されることとなる。
(工程1)まず、平均粒子径(D50)が0.3〜50μmの炭化ケイ素粉末100重量部、平均粒子径(D50)が0.1〜1.0μmの炭化ケイ素粉末5〜65重量部、平均粒子径(D50)が0.3〜10μmのケイ素粉末、及び、炭化ケイ素粉末100重量部に対して1〜10重量部のメチルセルロース等のバインダを、乾式混合機を用いて混合して混合粉末を調製する。ここで、上記ケイ素粉末は、その含有量が上記炭化ケイ素粉末及び上記ケイ素粉末の合計量の1〜3重量%となるように混合する。
なお、本明細書において、平均粒子径(D50)とは、体積基準のメジアン径のことをいう。
次に、別途、可塑剤、潤滑剤及び水を混合した液体混合物を調製し、さらに、上記混合粉末と上記液体混合物とを湿式混合機を用いて混合し、原料組成物を調製する。
(工程2)上記原料組成物を押出成形機を用いて押出成形する。そして、押出成形により得られた炭化ケイ素成形体の長尺体を、金属線を用いて所定の長さに切断することにより、図1(a)に示した角柱状の多孔質炭化ケイ素焼結体110と略同形状で、セルの端部が目封じされていない形状の炭化ケイ素成形体を作製する。
その後、マイクロ波と熱風とを組み合わせた乾燥機を用いて炭化ケイ素成形体を乾燥させる。
(工程3)上記炭化ケイ素成形体の各セルのいずれか一方の端部に封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
ここで、封止材ペーストとしては、後工程を経て形成される封止材の気孔率が30〜75%となるものを用いることが望ましく、例えば、上記原料組成物と同様のもの等を用いることができる。
(工程4)各セルのいずれか一方の端部に封止材ペーストが充填された炭化ケイ素成形体を脱脂用治具に載置し、脱脂温度250〜390℃、雰囲気中のO濃度5〜13体積%で脱脂処理を施し、炭化ケイ素脱脂体を作製する。
ここで、脱脂用治具としては、カーボン製の板状の脱脂用治具を使用する。脱脂用治具とは、炭化ケイ素成形体を載置して、炭化ケイ素形成体を脱脂する治具のことをいう。
(工程5)上記炭化ケイ素脱脂体を焼成用治具に載置し、アルゴン雰囲気下、例えば、炭化ケイ素粉末同士が相互拡散により粒子間ネックを形成しうる温度である2200〜2300℃で焼成処理を施し、図1(a)、図1(b)に示したような多孔質炭化ケイ素焼結体を完成する。
ここで、使用する焼成用治具について、もう少し詳しく説明しておく。
図2(a)は、本発明の多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法で使用する焼成用治具の一例を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示した焼成用治具の分解斜視図である。図3は、図2(a)に示した焼成用治具に炭化ケイ素脱脂体を載置した状態を模式的に示す一部切欠き斜視図である。なお、図3では、炭化ケイ素脱脂体の載置状態を把握しやすいように、側壁の一部を省略している。
図2(a)に示す焼成用治具10は、カーボン製で、その上面が開放された箱状を有しており、底板11には、炭化ケイ素脱脂体を載置するためのカーボン製のスペーサ12が4本載置されている。
図2(a)に示した焼成用治具10は、図2(b)に示すように、底板11と側壁部材13とに分離可能であり、焼成用治具10として使用する際には、底板11の四隅に形成された貫通孔14に、側壁部材13の底面の四隅に形成された凸部15を嵌め込むことにより、底板11と側壁部材13とを一体化させ、上面が開放された箱状の焼成用治具10とする。
そして、上記工程5において、この焼成用治具10に炭化ケイ素脱脂体21を載置する場合には、図3に示すように、10個の炭化ケイ素脱脂体21を均等な間隔で、スペーサ12上に載置する。
このとき、各炭化ケイ素脱脂体21は、2本のスペーサ12上に位置するように載置する。
また、図2(a)、図2(b)に示した焼成用治具の一部である底板11は、上記脱脂処理の際に、脱脂用治具としても使用することができる。
従って、上記工程4及び工程5を行う際には、まず、底板11にスペーサ12を介して炭化ケイ素成形体を載置して脱脂処理を行い、脱脂処理終了後、炭化ケイ素脱脂体を脱脂用治具から移動させることなく、底板11に側壁部材13を取り付け、この状態で焼成処理を行う。
以下、本実施形態の多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法についての作用効果について列挙する。
(1)原料組成物中に、所定量のケイ素粉末を配合しているため、焼成処理において、炭化ケイ素の焼結が確実に進行し、バラツキが小さく、所望の大きさの気孔径を有する多孔質炭化ケイ素焼結体を製造することができる。この理由は、焼成温度の変化に対する平均気孔径の変化(図6における傾き)を小さくすることができるからである(図6参照)。
(2)ケイ素粉末として、平均粒子径が0.3〜10μmのケイ素粉末を使用しているため、SiO分圧とCO分圧との比(PSiO/PCO)の変動を確実に抑制することができる。
これに対し、ケイ素粉末の平均粒子径が0.3μm未満では、ケイ素粉末が酸化されやすい傾向があり、ケイ素粉末の表面にSiO膜が形成され、反応式(1)に示す反応が右側に進行しやすくなり、その結果、CO分圧が増加しやすくなる場合がある。一方、ケイ素粉末の平均粒子径が10μmを超えると、ケイ素粉末が造孔材のように作用し、製造した多孔質炭化ケイ素焼結体の強度低下の原因となる場合がある。
(3)炭化ケイ素粉末として、平均粒子径(D50)の異なる2種類の炭化ケイ素粉末を使用しており、原料粉末の粒子径は、製造する多孔質炭化ケイ素焼結体の結晶構造に大きく影響するため、それぞれの炭化ケイ素粉末の平均粒子径を適宜選択することにより、製造する多孔質炭化ケイ素焼結体の平均気孔径を調整することができる。
(4)脱脂温度250〜390℃、雰囲気中のO濃度5〜13体積%で脱脂処理を施しているため、炭化ケイ素脱脂体中に残留する炭素量(残炭量)が、所望の範囲(0.5〜1.0重量%)となり、その後の焼成処理を経て、強度に優れる多孔質炭化ケイ素焼結体を製造することができる。
そして、脱脂温度が250℃未満の場合や、雰囲気中のO濃度が5体積%未満の場合には、バインダや可塑剤、潤滑剤の分解、除去が進行しづらく、炭化ケイ素脱脂体の残炭量が多くなりすぎることがあり、脱脂温度が390℃を超える場合や、雰囲気中のO濃度が13体積%を超える場合には、バインダや可塑剤、潤滑剤の分解、除去が略完全に進行し、炭化ケイ素脱脂体の残炭量が少なくなりすぎることがある。
そのため、上記の条件で脱脂処理を行い、その後、焼成処理を行うことにより、強度に優れる多孔質炭化ケイ素焼結体を製造することができる。
(5)底板と側壁部材とに分離可能な焼成用治具を使用し、その底板を脱脂用治具としても使用しているため、脱脂処理から焼成処理に移る際に炭化ケイ素脱脂体を個別に移動させる必要がなく、強度の低い炭化ケイ素脱脂体に破損等が発生しづらくなる。
(6)本実施形態で製造した多孔質炭化ケイ素焼結体は、長手方向(図1(a)中、矢印aの方向)に多数のセル111が並設され、各セル111のいずれか一方の端部が、封止材112により目封じされているため、一のセル111に流入したガスは、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他のセル111から流出するように構成されていることとなり、そのため、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)として好適に使用することができる。
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。
(実施例1)
平均粒径20μmのα型炭化ケイ素粉末70kgと、平均粒径0.5μmのα型炭化ケイ素粉末29kgと、有機バインダ(メチルセルロース)20kgと、平均粒子径3μmのケイ素粉末(関東金属社製)1kgとを乾式混合機を用いて混合し、混合粉末を調製した。
次に、別途、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)12kgと、可塑剤(グリセリン)5kgと、水65kgとを混合して液体混合物を調製し、この液体混合物と上記混合粉末とを湿式混合機を用いて混合し、原料組成物を調製した。
この原料組成物において、炭化ケイ素粉末とケイ素粉末との合計量に対するケイ素粉末の含有量は、1重量%である。
次に、この原料組成物を、ハニカム形状に押出成形する金型を備えた押出成形機に投入し、上記金型を介して連続的にハニカム形状の炭化ケイ素成形体の押出成形した。その後、押出成形されたハニカム形状の炭化ケイ素成形体の長尺体を、周囲がナイロンで被覆されたSUS製の金属線を用いて所定の長さに切断し、セルの端部が封止されていない以外は、図1(a)、図1(b)に示した形状と同様の形状の炭化ケイ素成形体を作製した。
次に、マイクロ波と熱風とを併用した乾燥機を用いて上記炭化ケイ素成形体を乾燥させ、次に、上記原料組成物と同様の組成の封止材ペーストを所定のセルに充填し、再び乾燥機を用いて乾燥させた。
次に、カーボン製で板状の脱脂用治具(図3に示す底板11)を用意し、この脱脂用治具に、封止材ペーストが充填された炭化ケイ素成形体をカーボン製のスペーサを介して10本載置した。
そして、脱脂温度350℃、雰囲気中のO濃度9体積%、脱脂時間3時間の条件で脱脂することにより、炭化ケイ素脱脂体を作製した。
続いて、炭化ケイ素脱脂体を底板11に載置した状態のまま側壁部材13を取り付けて焼成用治具10とし(図2(a)、図3参照)、この状態で、常圧のアルゴン雰囲気下、2200℃、3時間で焼成を行うことにより、気孔率が40%、その大きさが34.3mm×34.3mm×254mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm、セル壁の厚さが0.25mmの多孔質炭化ケイ素焼結体を製造した。
(実施例2、比較例1、2)
原料組成物に配合するケイ素粉末の量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして多孔質炭化ケイ素焼結体を製造した。
上記原料組成物において、炭化ケイ素粉末とケイ素粉末との合計量に対するケイ素粉末の含有量は、実施例2では3重量%、比較例1では0重量%、比較例2では6重量%である。
(多孔質炭化ケイ素焼結体の評価)
(1)曲げ強度の評価
実施例1、2及び比較例1、2に示した方法により製造した多孔質炭化ケイ素焼結体について、下記の方法で3点曲げ強度試験を行った。結果を表1に示した。
即ち、JIS R 1601を参考に、インストロン5582を用い、スパン間距離227mm、スピード1mm/minで3点曲げ試験を行い、多孔質炭化ケイ素焼結体の曲げ強度(MPa)を測定した。
ここで、サンプル数は14個とし、結果は14個の平均値で示した。
(2)平均気孔径の測定
実施例1、2及び比較例1、2に示した方法により製造した多孔質炭化ケイ素焼結体について、平均気孔径及び気孔径の標準偏差を下記の方法により測定した。結果を表1に示した。
即ち、JIS R 1655に準じ、水銀圧入法による細孔分布測定装置(島津製作所社製、オートポアIII 9405)を用い、多孔質炭化ケイ素焼結体14個について、それぞれの中央部分を1cmの幅の立方体となるように切断してサンプルとし、水銀圧入法により、細孔直径0.2〜500μmの範囲で細孔分布を測定し、そのときの平均細孔径を(4V/A)として計算し、平均細孔径及び気孔径の標準偏差を算出した。
Figure 2009280409
図5は、実施例1、2及び比較例1、2について、ケイ素粉末の含有量(炭化ケイ素粉末とケイ素粉末との合計量に対するケイ素粉末の含有量)と平均気孔径及び曲げ強度との関係を示すグラフである。
表1及び図5に示したように、原料組成物において、ケイ素粉末の含有量が、炭化ケイ素粉末とケイ素粉末との合計量の1〜3重量%であれば(実施例1、2)、バラツキが小さく、10〜15μmの気孔径を備えるとともに、30MPaを超える曲げ強度を備えた多孔質炭化ケイ素焼結体を製造することができることが明らかとなった。
これに対し、比較例1のように、原料組成物にケイ素粉末を配合しない場合には、気孔径が充分に大きくならず、また、気孔径のバラツキも大きくなってしまうことが明らかとなった。この理由については、既に説明したように推測している。
また、比較例2のように、上記合計量の3重量%を超えるケイ素粉末(6重量%)を配合した場合には、気孔径は所望の大きさとなるものの、製造した多孔質炭化ケイ素焼結体は、曲げ強度に劣るものとなることが明らかとなった。この理由についても既に説明したように推測している。
(第二実施形態)
本実施形態では、第一実施形態の工程5における焼成温度を2200〜2300℃の範囲として焼成処理を行った。
上記焼成温度が2200℃未満では、炭化ケイ素粉末の焼結が確実に進行しづらい傾向にあり、一方、焼成温度が2300℃を超えると、炭化ケイ素粉末の焼結が進行しすぎる傾向にあり、また、電力消費量が増加するため、経済的に不利である場合があるのに対し、上記焼成温度が、2200〜2300℃であると、バラツキが小さく、所望の大きさの気孔径を有する多孔質炭化ケイ素焼結体を製造することができる。
なお、本実施形態においても、第一実施形態の作用効果(1)〜(6)を発揮することができる。
以下、本発明の第二実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。
(実施例3〜6、比較例3〜5)
原料組成物に配合するケイ素粉末の量、及び/又は、焼成温度を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして多孔質炭化ケイ素焼結体を製造した。
上記原料組成物において、炭化ケイ素粉末とケイ素粉末との合計量に対するケイ素粉末の含有量は、実施例3、4では1重量%、実施例5、6では3重量%、比較例3、4では0重量%、比較例5では3重量%である。
(多孔質炭化ケイ素焼結体の評価)
実施例3〜6、比較例3〜5に示した方法により製造した多孔質炭化ケイ素焼結体について、上述した方法により、曲げ強度の評価、並びに、平均気孔径及び気孔径の標準偏差の測定を行った。
結果を表2に示した。なお、表2には、参考のため実施例1、2及び比較例1の結果も付記する。
Figure 2009280409
図6は、実施例1〜6及び比較例1、3、4について、焼成温度と平均気孔径及びその標準偏差との関係を示すグラフである。
表2及び図6に示したように、原料組成物において、ケイ素粉末の含有量が炭化ケイ素粉末とケイ素粉末との合計量の1〜3重量%となるようにケイ素粉末を配合し、焼成温度2200〜2300℃で焼成処理を行うことにより、平均気孔径が10〜15μmで、そのバラツキ(標準偏差)が小さく、30MPaを超える曲げ強度を備えた多孔質炭化ケイ素焼結体を製造することができることが明らかとなった。
これに対し、比較例1、3、4のように、原料組成物にケイ素粉末を配合しない場合には、所望の気孔径を備える場合もあるものの(比較例3)、気孔径が充分大きくならなかったり、気孔径が大きくなりすぎたりする傾向にあり、また、気孔径のバラツキも大きくなってしまうことが明らかとなった。この理由については、既に説明したように推測している。
なお、原料組成物にケイ素粉末を配合しない場合であっても曲げ強度は充分に大きなものとなった。
また、比較例5のように、焼成温度が低い場合には、気孔径が充分に大きくならず、曲げ強度も小さかった。これは、焼結が進行しづらかったためであると考えられる。
(その他の実施形態)
原料組成物を調製する際には、必ずしも平均粒子径(D50)の異なる2種類の炭化ケイ素粉末を使用する必要はなく、1種類の炭化ケイ素粉末のみを混合してもよい。
原料組成物を調製する際に混合する炭化ケイ素粉末は、その純度が94〜99.5重量%であることが望ましい。
上記炭化ケイ素粉末の純度が上記範囲にあれば、多孔質炭化ケイ素焼結体を製造する際に焼結性に優れるのに対し、その純度が94重量%未満では、炭化ケイ素の焼結の進行が不純物により阻害されることがあり、99.5重量%を超えると、焼結性向上の効果はほとんど向上せず、製造した多孔質炭化ケイ素焼結の強度、耐久性等の特性も殆どかわらないにも関わらず、このような高純度の炭化ケイ素粉末とするには高コストを要するからである。
なお、本明細書において、炭化ケイ素粉末の純度とは、炭化ケイ素粉末中に炭化ケイ素分が占める重量%をいう。
通常、炭化ケイ素粉末と称しても、その粉末中には、炭化ケイ素粉末を製造する工程や保管する工程で、不可避的に粉末中に混在する不純物(不可避的不純物)が含まれることとなるからである。
上記炭化ケイ素粉末は、α型炭化ケイ素粉末であってもよいし、β型炭化ケイ素粉末であってもよいし、α型炭化ケイ素粉末とβ型炭化ケイ素粉末との混合物であってもよいが、α型炭化ケイ素粉末が望ましい。
α型炭化ケイ素粉末は、β型炭化ケイ素粉末に比べて安価であり、また、α型炭化ケイ素粉末を使用した場合のほうが、気孔径の制御がしやすく、均一な気孔径を有する多孔質炭化ケイ素焼結体を製造するのに適しているからである。
原料組成物を調製する際に混合するバインダは、脱脂処理温度において分解されることとなる化合物であればよい。
上記バインダとしては、メチルセルロース以外に、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類(分解温度:350〜370℃)、ポリエチレングリコール(分解温度:200〜250℃)等が挙げられる。これらのなかでは、セルロース類がより望ましい。保水力が高いため、成形処理時に原料組成物から水が滲みだすことが少ないからである。
原料組成物を調製する際に混合する可塑剤、潤滑剤及び水のそれぞれは、必要に応じて混合すればよい。
上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、上記潤滑剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。上記潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
原料組成物を調製する際には、造孔剤を配合してもよい。特に、原料組成物を調製する際に、1種類の炭化ケイ素粉末のみを混合する場合には、造孔剤を混合することが望ましい。
上記造孔剤としては、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーン、球状アクリル粒子、グラファイト等が挙げられる。
調製した原料組成物は、その温度が28℃以下であることが望ましい。温度が高すぎると、バインダがゲル化してしまうことがあるからである。
また、上記原料組成物中の水分の含有量は8〜20重量%であることが望ましい。
押出成形により得られた炭化ケイ素成形体の長尺体を切断する際には、金属線を用いる代わりに、例えば、レーザやカッターを用いて炭化ケイ素成形体の長尺体を切断してもよい。
また、上記金属線としては、その周囲がナイロン等の樹脂で被覆された金属線を用いることが望ましい。
押出成形により炭化ケイ素成形体を製造した後には、必ずしも乾燥処理を行う必要はなく、必要に応じて行えばよい。また、封止材ペーストをセルの端部に充填した後に行ってもよい。
また、炭化ケイ素成形体の乾燥処理を行う際には、マイクロ波と熱風とを組み合わせた乾燥機以外に、例えば、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、減圧乾燥機、誘電乾燥機、凍結乾燥機等を用いてもよい。
脱脂処理を行う際には、焼成用治具の底板を脱脂用治具として併用し、脱脂処理後、炭化ケイ素脱脂体を個別に移動させないこととしているが、本発明では、脱脂処理を別の脱脂用治具を用いて行った後、作製した炭化ケイ素脱脂体を移動させて、図3に示すように、焼成用治具10に載置してもよい。
第一及び第二実施形態では、外観が角柱形状の多孔質炭化ケイ素焼結体を製造したが、本発明の多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法により製造する多孔質炭化ケイ素焼結体の外観形状は、角柱形状に限定されず、円柱形状、楕円柱形状等、任意の柱状体であればよい。
第一及び第二実施形態では、各セルのいずれか一方の端部が封止材で目封じされた多孔質炭化ケイ素焼結体を製造しているが、炭化ケイ素成形体のセルの端部を封止材ペーストで充填する工程は、必ずしも行う必要はなく、省略してもよい。封止材ペーストが各セルのいずれか一方に目封じされている場合は、完成した多孔質炭化ケイ素焼結体をフィルタとして好適に使用することができる。
封止材ペーストを充填する工程を省略した場合、完成した多孔質炭化ケイ素焼結体は、触媒を担持する触媒担体として好適に使用することができる。
以下、多孔質炭化ケイ素焼結体に触媒を担持する方法について簡単に説明しておく。
ここでは、多孔質炭化ケイ素焼結体の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒及び白金等の触媒を付与する方法を説明する。
まず、多孔質炭化ケイ素焼結体をAl(NO等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液に含浸させて加熱する方法や、多孔質炭化ケイ素焼結体をアルミナ粉末を含有する溶液に含浸させて加熱する方法により、多孔質炭化ケイ素焼結体をの表面にアルミナ膜を形成する。
次に、Ce(NO等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液に、多孔質炭化ケイ素焼結体を含浸させて加熱する方法により、上記アルミナ膜に助触媒を付与する。
その後、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH(NO]HNO、白金濃度4.53重量%)に多孔質炭化ケイ素焼結体を含浸させて加熱する方法により、上記アルミナ膜に触媒を付与する。
また、多孔質炭化ケイ素焼結体に触媒を付与する方法としては、予め、アルミナ粒子に触媒を付与して、触媒が付与されたアルミナ粉末を含有する溶液に多孔質炭化ケイ素焼結体を含浸させて加熱する方法を用いることもできる。
本発明の製造方法により製造した多孔質炭化ケイ素焼結体は、フィルタや触媒担体として好適に使用することができる。
ここで、上記多孔質炭化ケイ素焼結体をフィルタや触媒担体として使用する場合、複数個の多孔質炭化ケイ素焼結体をシール材層を介して結束させた集合体をハニカム構造体として使用してもよい。すなわち、図4に示すような、複数の炭化ケイ素焼結体を結束させたハニカム構造体のように加工した後、使用してもよい。また、1つの多孔質炭化ケイ素焼結体をハニカム構造体として使用してもよい。これらのハニカム構造体の形状としては、円柱状、楕円柱状、多角柱状等が挙げられる。
図4は、複数の炭化ケイ素焼結体を結束させたハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図4に示すように、ハニカム構造体100では、多孔質炭化ケイ素焼結体110がシール材層101を介して複数個結束されてハニカムブロック(集合体)103を構成し、さらに、このハニカムブロック103の外周にコート層102が形成されている。
以下、本発明の製造方法により製造した多孔質炭化ケイ素焼結体を用いて、図4に示したようなハニカム構造体100を製造する方法について簡単に説明しておく。
まず、多孔質炭化ケイ素焼結体110の側面に、無機バインダと有機バインダと無機繊維及び/又は無機粒子とからなるシール材ペーストを均一な厚さで塗布し、このシール材ペースト層の上に、順次他の多孔質炭化ケイ素焼結体を積層する工程を繰り返し、所定の大きさの多孔質炭化ケイ素焼結体110の集合体を作製する。
上記無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
上記有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなるセラミックファイバ等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなる無機粉末等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
さらに、上記シール材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
次に、この多孔質炭化ケイ素焼結体110の集合体を加熱してシール材ペーストを乾燥、固化させてシール材層101とする。
次に、ダイヤモンドカッター等を用い、多孔質炭化ケイ素焼結体110がシール材層101を介して複数個接着された多孔質炭化ケイ素焼結体110の集合体に切削加工を施し、円柱形状のハニカムブロック103を作製する。
次に、ハニカムブロック103の外周に上記シール材ペーストを用いてコート層102を形成する。
このような工程を経ることにより、図4に示したニカム構造体100を製造することができる。
(a)は、本発明の製造方法で製造する多孔質炭化ケイ素焼結体の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。 (a)は、本発明の多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法で使用する焼成用治具の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)に示した焼成用治具の分解斜視図である。 図2(a)に示した焼成用治具に炭化ケイ素脱脂体を載置した状態を模式的に示す一部切欠き斜視図である。 複数の炭化ケイ素焼結体を結束させたハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 実施例1、2及び比較例1、2について、ケイ素粉末の含有量と平均気孔径及び曲げ強度との関係を示すグラフである。 実施例1〜6及び比較例1、3、4について、焼成温度と平均気孔径及びその標準偏差との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 焼成用治具
11 底板
12 スペーサ
13 側壁部材
14 貫通孔
15 凸部
100 ハニカム構造体
101 シール材層
102 コート層
103 ハニカムブロック
110 多孔質炭化ケイ素焼結体
111 セル
112 封止材
113 セル壁

Claims (2)

  1. 少なくとも炭化ケイ素粉末とケイ素粉末とバインダとを含む原料組成物を用いて炭化ケイ素成形体を作製する成形工程と、
    前記炭化ケイ素成形体に脱脂処理を施して、炭化ケイ素脱脂体を作製する脱脂工程と、
    前記炭化ケイ素脱脂体に焼成処理を施して、多孔質炭化ケイ素焼結体を作製する焼成工程とを含む多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法であって、
    前記原料組成物において、前記ケイ素粉末の含有量は、前記炭化ケイ素粉末と前記ケイ素粉末との合計量の1〜3重量%であり、
    前記焼成工程において、炭化ケイ素粉末同士が相互拡散により粒子間ネックを形成しうる温度で焼成処理を行うことを特徴とする多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  2. 前記焼成工程における焼成温度は、2200〜2300℃である請求項1に記載の多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法。
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