JP2009273983A - マイクロ波による塗膜の硬化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた塗膜性能および美観を備えた均一な塗膜を容易に形成する塗膜の硬化方法を提供すること。
【解決手段】塗膜の硬化方法は、蓄熱物質10を含む塗料を被塗布物100の表面に塗布して塗料層を形成する段階と、前記塗料層にマイクロ波を照射する段階とを含む。該方法によりマイクロ波を照射すると、塗料に含まれる分子運動が活発になり、周囲の分子との分子摩擦が生じる。この摩擦で生じた熱エネルギーは塗料層110を介して蓄熱物質に吸収される。蓄熱物質が、熱エネルギーを保持することにより、塗料層全体が次第に加熱され、この熱によって塗膜が硬化する。
【選択図】図2

Description

本発明は、塗膜の硬化方法に関する。より詳しくは、蓄熱物質を含む塗料を用いて塗料層を形成し、該塗料層にマイクロ波を照射することによって塗膜を加熱硬化する、塗膜の硬化方法に関する。
塗膜の硬化は、被塗布物に塗布した塗料を加熱乾燥することによって、被塗布物表面上に連続被膜を形成することをいい、塗装工程において、耐久性や美観等の塗装品質を決定付ける重要な段階であることはいうまでもない。特に、自動車の塗装工程は、車体の錆を防止し、美観を長期間保つという目的から、前処理、電着(下塗り)、中塗り、上塗りという多工程からなる。そして、これらのうち、電着、中塗り、上塗りのそれぞれの工程で、塗膜の硬化を行う。塗膜の硬化は、塗装工程のなかでも、多くのエネルギーと時間を要する段階であるので、生産性、経済性を考慮しなければならない。特に近年は、省エネルギーであって、無公害であって、効率の高い塗膜の硬化方法、そして、これに用いる乾燥装置が開発されている。
従来、塗膜の硬化にはトンネル型や箱型の乾燥炉(オーブン)が汎用されてきた。これらの乾燥炉では、塗料の種類によっても異なるが、通常乾燥炉内の空気を100〜200℃に加熱することによって塗料層を加熱する。しかしながら、実際に被塗布物が吸収する熱エネルギーの割合は、乾燥炉で用いられる熱エネルギー全体に対して約20%であり、硬化反応に用いられる熱エネルギーに至っては、約1%にも満たないといわれている。つまり、エネルギーの大半は、炉壁からの放熱や排気によって損失されている。また、加熱乾燥に掛かる時間も30分〜1時間程度と長かった。
そこで、エネルギー効率の悪い乾燥炉に替えて、塗料分子内の電気双極子の運動エネルギーを増大させ、分子摩擦による発熱により塗料層を直接加熱することができる、マイクロ波を用いた加熱方法が試みられている。しかしながら、通常、塗料層は薄膜状であるため、体積が小さい反面、表面積が広い。このような塗料層にマイクロ波を照射したとしても、分子の加熱速度よりも、塗料層表面からの放熱速度の方が速く、塗料層が十分に加熱されず、塗膜の硬化が起こらないといった問題点があった。
この問題を解決すべく、特許文献1では、マイクロ波吸収自己発熱体粉末を含有する塗料層を被塗布物表面に形成し、該塗料層にマイクロ波を照射することによる塗膜形成方法が開示されている。これは、塗料層に含まれるマイクロ波吸収自己発熱体粉末がマイクロ波エネルギーを吸収して発熱することによって、塗料層を加熱し、熱硬化性塗料を硬化しようとする方法である。このマイクロ波を利用した塗料の塗膜形成方法により、熱硬化性樹脂等の樹脂の種類や被塗装物の材質等に使用が制限されることがなく、どのようなものであっても容易に塗料を硬化させて塗膜を形成することができる、としている。また、該方法により、マイクロ波加熱を容易に行うことができ、短時間で塗料を硬化・乾燥させることができるので、生産性を向上させることができる、としている。
特開平4−260472号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、マイクロ波吸収自己発熱体粉末はマイクロ波が照射される間は加熱し続ける。したがって、マイクロ波の照射量が適当でない場合、マイクロ波吸収自己発熱体粉末の過加熱により塗料が変色したり、仕上がり面の平滑性が損なわれる場合があるという問題点があった。塗料層の加熱速度は、マイクロ波吸収自己発熱体粉末、塗料に含まれる熱硬化性樹脂、および塗料に含まれるその他の成分の種類ならびに量、塗料層の面積および厚さ等に大きく依存する。そのため、マイクロ波の出力および照射時間を随時最適化しなくてはならず、この最適化のための試行錯誤に多くの時間と労力が必要であった。
そこで本発明の目的は、優れた塗膜性能および美観を備えた均一な塗膜を容易に形成する塗膜の硬化方法を提供することである。
本発明者は、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、マイクロ波の照射による塗膜の硬化方法において、塗料に蓄熱機能を付加することにより、マイクロ波を照射した際に、発熱した塗料分子の熱エネルギーが保持されるので、均一な塗膜を容易に形成できることを見出した。
すなわち、上記目的を達成するための本発明の塗膜の硬化方法は、蓄熱物質を含む塗料を被塗布物の表面に塗布して塗料層を形成する段階と、前記塗料層にマイクロ波を照射する段階とを含む。
本発明によれば、優れた塗膜性能および美観を備えた均一な塗膜を容易に形成することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本実施形態は、蓄熱物質を含む塗料を被塗布物の表面に塗布して塗料層を形成する段階と、前記塗料層にマイクロ波を照射する段階とを含む、塗膜の硬化方法に関する。
以下、図面を参照しながら、本発明を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る塗膜の硬化のメカニズムを説明するための、マイクロ波照射前の断面図である。図1によると、塗料層110が被塗布物100上に1層形成されている。そして、塗料層110は、蓄熱物質10および塗料成分20を含む塗料からなる。この際、塗料成分20は塗料から蓄熱物質10を除いた成分を表す。図2は、本発明の一実施形態に係る塗膜の硬化のメカニズムを説明するための、マイクロ波照射中の断面図である。図2中の黒色矢印は、マイクロ波照射中の主な熱エネルギーの移動を表す。被塗布物100に蓄熱物質10を含む塗料を塗布し、マイクロ波を照射すると、マイクロ波は塗料成分20中の電気双極子を回転または振動させる。電気双極子の振動により塗料成分20の分子運動が活発になり、周囲の分子との分子摩擦が生じる。なお、図示していないが、蓄熱物質10も塗料成分20と同様に分子摩擦により発熱しうる。この摩擦で生じた熱エネルギーが塗料層110を伝わり蓄熱物質10に吸収される。また、一部の熱エネルギーは、塗料層110の表面から放熱される。蓄熱物質10は熱エネルギーを保持することができるので、塗料層110全体は次第に加熱され、この熱によって塗膜が硬化する。図3は、本発明の他の一実施形態に係る塗膜の硬化のメカニズムを説明するための、マイクロ波照射前の断面図である。図3では、第1塗料層110aと第2塗料層110bとが、被塗布物100上に順次形成されている。そして、第1塗料層110aは、蓄熱物質10および塗料成分20を含む塗料からなり、第2塗料層110bは、蓄熱物質10を含まない塗料成分20を含む塗料からなる。この場合、まず、第1塗料層110aは上述の図1の場合と同様の方法によって形成される。そして、第1塗料層110aの塗膜の硬化が完了した後、第1塗料層110a上に蓄熱物質10を含まない塗料を塗布して第2塗料層110bを形成する。図4は、本発明の他の一実施形態に係る塗膜の硬化のメカニズムを説明するための、マイクロ波照射中の断面図である。図4中の黒色矢印は、図2と同様に、主な熱エネルギーの移動を表す。2層からなる塗料層にマイクロ波を照射すると、第2塗料層110bに含まれる分子だけでなく、第1塗料層110aに含まれる分子も同時に発熱し、その熱は第1塗料層110aに含まれる蓄熱物質10に吸収される。そして、蓄熱物質10により保持された熱エネルギーが第2塗料層110bに伝わり、第2塗料層110bの塗膜が硬化される。
本発明において、蓄熱物質とは、蓄熱機能を有する物質をいう。蓄熱機能とは、外部の熱エネルギーを吸収して蓄える機能と、蓄えた熱エネルギーを外部に放出する機能の両方の機能を意味する。蓄熱は、蓄熱原理の違いから、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、および化学蓄熱の3種類に大別することができる。顕熱蓄熱とは、物体の熱容量あるいは比熱を利用した蓄熱である。全ての物質は、熱エネルギーを吸収あるいは放出することによってその物質の温度が上昇あるいは低下するので、顕熱蓄熱機能を有しているといえるが、なかでも、比熱の大きい物質ほど顕熱蓄熱量が大きいために好ましい。潜熱蓄熱とは、物質の相変化を利用した蓄熱である。すなわち、固体−液体間の相変化に伴う融解熱、液体−気体間の相変化に伴う気化熱を利用した蓄熱である。そして、化学蓄熱とは、吸熱反応および発熱反応が可逆的に進行する化学反応を利用した蓄熱である。本発明における蓄熱物質とは、上記3種類の蓄熱原理のうち少なくとも1つの蓄熱原理によって蓄熱機能を発現する物質であり、2種以上の蓄熱原理を組み合わせて蓄熱機能を発現する物質であっても勿論よい。ただし、本発明では塗料中に蓄熱物質が含まれることが必要であるので、蓄熱物質は好ましくは常温(25℃)で固体または液体であり、より好ましくは常温(25℃)で固体である。本発明では、塗膜の硬化反応および塗装品質に悪影響を与えない限り、これらの蓄熱物質1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの蓄熱物質は、マイクロ波の照射によって発熱した分子からの熱エネルギーを吸収し保持する役割を果たすので、塗料層全体が次第に加熱され、塗膜の硬化に必要な温度を確保することができる。また、従来のマイクロ波吸収自己発熱体粉末の場合のように、過加熱の虞が少ないために、優れた塗膜性能および美観を備えた均一な塗膜を容易に形成することができる。
上記3種類の蓄熱原理のうち、潜熱蓄熱によって蓄熱機能を発揮する蓄熱物質(以下「潜熱蓄熱物質」と称する)を用いることが好ましい。また、潜熱蓄熱物質のうち、常温(25℃)で固体であって、熱エネルギーが加えられると、固体から液体へと相変化する潜熱蓄熱物質であることがより好ましい。潜熱蓄熱物質は、顕熱蓄熱物質(顕熱蓄熱によって蓄熱機能を発揮する蓄熱物質)と比較して蓄熱量が約数十〜数千倍大きいために、多くの熱エネルギーを蓄えることができる。また、潜熱蓄熱物質は融点または沸点において、温度がほぼ一定の状態で熱エネルギーを吸収および放出する。すなわち、潜熱蓄熱物質は、塗料層の温度をその潜熱蓄熱物質の融点または沸点の温度付近に保持することができる。したがって、所望の塗膜の硬化温度に合わせて潜熱蓄熱物質を適宜選択することにより、最適な温度で塗膜の硬化反応を行うことが可能である。この結果、塗膜性能および美観が一層優れたものとなりうる。
このような潜熱蓄熱物質としては、たとえば、無機塩、無機水和塩、および共融混合物等の無機系物質、ならびに、パラフィン、熱可塑性樹脂、多価アルコール等の有機系物質が挙げられる。これらの化合物のうち、パラフィン、および熱可塑性樹脂は、化学的に安定であり、塗膜の硬化反応に悪影響を与える虞が少ないために、好適に用いられうる。
このような潜熱蓄熱物質のうち、前記蓄熱物質の融点が、130〜180℃であることが好ましい。後で述べるように、塗料が熱硬化性樹脂を含む場合には、かような温度範囲に融点を有する蓄熱物質を用いることによって、塗料層が熱硬化性樹脂の硬化に最適な温度に保持されうる。
また、このような潜熱蓄熱物質のうち、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂は、比較的高温(100〜300℃)の融点を有する。したがって、塗料が熱硬化性樹脂を含む場合には、塗料層を熱硬化性樹脂の硬化に最適な温度に保持することができる。このような熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン等が挙げられ、これらを単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。上記熱可塑性樹脂のうち、ポリプロピレン(融点170℃)、ポリ塩化ビニル(融点180℃)、ポリメタクリル酸メチル(融点140℃)、および高密度ポリエチレン(融点約130℃)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。これは塗料に汎用される熱硬化性樹脂の硬化温度が130〜180℃であるからである。
塗料は特に制限なく従来公知の塗料を適宜採用することができる。塗料としては、たとえば、アミノ・アルキド樹脂塗料、熱硬化性アクリル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、ポリウレタン塗料、ビニルゾル塗料、および電着塗料等が挙げられる。また、塗料は、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。硬化温度が比較的高い熱硬化性樹脂の硬化反応に本発明の塗膜の硬化方法を適用することによって、本発明の作用効果が一層顕著なものとなる。これらの塗料は、通常用いられるような顔料、溶剤、および添加剤等をさらに含みうる。これらの塗料の硬化温度にあわせて適宜蓄熱物質を選択することによって、塗料層を塗膜の硬化に最適な温度に保温することができる。
上記蓄熱物質は、マイクロカプセル状蓄熱材であることが好ましい。マイクロカプセル状蓄熱材とは、上述の蓄熱物質をマイクロカプセルで内包した蓄熱材である。蓄熱物質がマイクロ波の照射によって液体となる場合であっても、マイクロカプセル状に内包されていると、物理的および化学的に非常に安定であるので、塗膜の硬化反応に悪影響を与える虞が少ない。このような事情から、マイクロカプセルを形成する膜材は、塗膜の硬化の際の加熱に耐えうる物質である必要がある。したがって、膜材の耐熱温度は、好ましくは、塗膜の硬化温度よりも、50℃以上高いことが好ましく、100℃以上高いことがより好ましい。マイクロカプセル状潜熱蓄熱材は公知の物質であって、特開平7−133479号公報などで開示されているので、本明細書中で詳細な説明は省略する。
塗料に含まれる蓄熱物質の割合は、塗料に含まれる全固形分の質量に対して10〜30質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましく、20〜25質量%であることがさらに好ましい。塗料に含まれる蓄熱物質が10質量%以上であると、マイクロ波の照射によって生じた熱が十分に吸収されるため、塗料層が保温され、塗膜の硬化が好適になされうる。また、蓄熱物質が30質量%以下であると、塗膜の強度や美観が損なわれる虞が少ない。
前記蓄熱物質の平均粒子径は、0を超えて10μm以下であることが好ましく、0を超えて3.0μm以下であることがより好ましい。蓄熱物質の平均粒子径がかような範囲にあると、塗膜の美観を損なうことなく十分な蓄熱機能を発揮しうる。平均粒子径は、塗膜の美観のためには小さいほど好ましいが、製造の容易さの観点から、0.5μm以上であることが好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、蓄熱物質粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
被塗布物は、特に制限がなく、たとえば、ガラス、スレート、コンクリート、モルタル、セラミック、石材等の無機質基材;アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、銅、チタン、ステンレス、ブリキ、またはトタン等の金属基材;ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、FRP(織維強化プラスチック)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂等のプラスチック基材;合成皮革;木材;繊維;紙等が挙げられる。このうち、被塗布物として金属基材を用いる場合、導体である金属基材にマイクロ波が照射されると、金属基材は渦電流によりジュール熱が発生する。このとき、金属基材表面の塗料層は、マイクロ波照射で発熱した塗料組成物の熱エネルギーに加え、金属基材で生じたジュール熱の熱エネルギーを受け取ることによっても加熱される。したがって、被塗布物として金属基板を用いることによって、マイクロ波の出力が同じであっても、比較的短時間で塗膜を硬化することができる。一方、絶縁体であるプラスチック基材では、マイクロ波が照射されても上述のようなジュール熱による発熱が起こらないため、塗料層の加熱は、専ら塗料組成物から発生する熱エネルギーによって起こる。よって、一般的に、プラスチック基材を用いる場合は、金属基材を用いる場合よりも塗料層の加熱速度は低い。しかしながら、本発明の塗膜の硬化方法によると、被塗布物がプラスチック基材の場合であっても、塗料層を塗膜の硬化反応に必要な温度まで十分に加熱することができる。
塗布方法としては、たとえば、浸漬塗り、刷毛塗り、ロール刷毛塗り、スプレーコート、ロールコート、スピンコート、ディップコート、バーコート、フローコート、静電塗装、ダイコート、フイルムラミネート、ゲルコート等の従来公知の方法を適宜採用できる。塗料層の厚さは、一般的には、10〜50μmであることが好ましい。より好ましくは、電着塗料層の場合は10〜20μmであり、中塗り塗料層の場合は20〜30μmであり、上塗りのベース塗料層の場合は10〜20μmであり、上塗りのクリア塗料層の場合は、30〜45μmである。
塗膜は、被塗布物表面に1層だけ形成されてもよいし、電着、中塗り、上塗りのように多層からなってもよい。塗膜が多層からなる場合は、図1に示す実施形態のように、硬化する塗膜の塗料層に蓄熱物質が含まれていてもよいし、図3に示す実施形態のように、硬化しようとする塗料層以外の塗料層に蓄熱物質が含まれていてもよい。図3に示す実施形態の場合は、硬化しようとする塗料層の硬化反応は周囲の塗料層に保持された熱エネルギーによって進行しうる。被塗布物表面上に塗膜を多層に形成する場合、本発明の塗膜の硬化方法は、電着、中塗り、上塗りのいずれにも適用することができるが、好ましくは中塗りまたは上塗りのベースの塗膜の硬化に用いる。また、複数層からなる塗料層の硬化は、第1塗料層の硬化後にこの上に塗料を塗布して第2塗料層を形成し、第2塗料層を硬化する方法であってもよい。もしくは、第1塗料層を形成後これを硬化することなく、さらに塗料を塗布して第2塗料層を形成し、マイクロ波を照射することによって、第1塗料層および第2塗料層を硬化させる方法(ウェットオンウェット)であってもよい。
塗膜の硬化に用いるマイクロ波の周波数は、マイクロ波加熱が可能な周波数であれば特に制限はなく、300MHz〜30GHzのいずれの周波数も用いることができる。日本で通常用いられる周波数2.45GHzであっても勿論よい。マイクロ波照射装置としては、箱型、ハンディ型(手持ち型)などのいずれの形態であってもよい。比較的広い面積の塗膜を硬化させる場合は、箱型を用いることが好ましく、塗装の部分的補修など、比較的狭い面積の塗膜を硬化させる場合は、ハンディ型(手持ち型)を用いることが好ましい。
塗料層へのマイクロ波の出力は、塗料層1cmあたり50〜150Wであることが好ましく、50〜130Wであることがより好ましく、80〜100Wであることがさらに好ましい。マイクロ波の照射量がかような範囲にあると、マイクロ波の照射によって発熱した分子の熱エネルギーが蓄熱物質に保持され、塗料層全体の温度が上昇する。これにより、塗膜の硬化反応が速やかに進行しつつも、塗膜の急激な昇温または過熱を防ぐことができる。マイクロ波の照射時間は、特に制限はないが、10〜30分であることが好ましく、20〜30分であることがより好ましい。かような範囲の時間であると、塗料層全体において塗膜の硬化が均一になされうる。
本発明の塗膜の硬化方法は、自動車の車体および自動車部品をはじめとして、電化製品、家具、工作機械、事務機器、および玩具等の塗装に好適に用いられうる。
本発明の一実施形態に係る塗膜の硬化のメカニズムを説明するための、マイクロ波照射前の断面図である。 本発明の一実施形態に係る塗膜の硬化のメカニズムを説明するための、マイクロ波照射中の断面図である。 本発明の他の一実施形態に係る塗膜の硬化のメカニズムを説明するための、マイクロ波照射前の断面図である。 本発明の他の一実施形態に係る塗膜の硬化のメカニズムを説明するための、マイクロ波照射中の断面図である。
符号の説明
10 蓄熱物質、
20 塗料成分、
21 塗料成分(発熱時)、
100 被塗布物、
110 塗料層、
110a 第1塗料層、
110b 第2塗料層。

Claims (9)

  1. 蓄熱物質を含む塗料を被塗布物の表面に塗布して塗料層を形成する段階と、前記塗料層にマイクロ波を照射する段階とを含む、塗膜の硬化方法。
  2. 前記塗料が、熱硬化性樹脂を含む、請求項1に記載の塗膜の硬化方法。
  3. 前記蓄熱物質が、潜熱蓄熱物質である、請求項1または2に記載の塗膜の硬化方法。
  4. 前記潜熱蓄熱物質が、無機塩、無機水和塩、共融混合物、パラフィン、熱可塑性樹脂、および多価アルコールからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載の塗膜の硬化方法。
  5. 前記潜熱蓄熱物質の融点が、130〜180℃である、請求項3または4に記載の塗膜の硬化方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項4に記載の塗膜の硬化方法。
  7. 前記蓄熱物質がマイクロカプセル状蓄熱材である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗膜の硬化方法。
  8. 前記塗料に含まれる前記蓄熱物質の割合が、塗料に含まれる全固形分の質量に対して10〜30質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗膜の硬化方法。
  9. 前記マイクロ波の照射量が、前記塗料層1cmあたり50〜150Wである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗膜の硬化方法。
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