JP2009269238A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置、並びに液体噴射ヘッドの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アクチュエータ部を破損するおそれのない液体噴射ヘッド及び液体噴射装置、並びに液体噴射ヘッドの制御方法を提供する。
【解決手段】 液体噴射ヘッド1には、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成されている流路形成基板と、該流路形成基板の前記圧力発生室に相対向する領域に少なくとも圧力発生素子を有するアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部を駆動するための駆動信号S1を生成して出力する制御部200から出力された前記駆動信号を処理して前記圧力発生手段へ送出する信号処理部とを備え、前記信号処理部内には、前記駆動信号に含まれた前記振動板及び前記圧力発生手段の共振周波数成分を除去するローパスフィルタ203が設けられている。
【選択図】図3
【解決手段】 液体噴射ヘッド1には、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成されている流路形成基板と、該流路形成基板の前記圧力発生室に相対向する領域に少なくとも圧力発生素子を有するアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部を駆動するための駆動信号S1を生成して出力する制御部200から出力された前記駆動信号を処理して前記圧力発生手段へ送出する信号処理部とを備え、前記信号処理部内には、前記駆動信号に含まれた前記振動板及び前記圧力発生手段の共振周波数成分を除去するローパスフィルタ203が設けられている。
【選択図】図3
Description
本発明は、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置、並びに液体噴射ヘッドの制御方法に関する。
液体噴射装置としては、液体加圧手段として、アクチュエータ部を用いているものがある。例えば、特許文献1に記載された液体噴射装置は、液体の流路となる液体流路と、液体流路に隣接し、液体を噴射するための液体噴射口を有する液体加圧室と、液体加圧室に隣接し、電圧または電流により駆動する液体加圧手段とを少なくとも有する液体噴射本体を備えた液体噴射装置において、電圧または電流が有する周波数成分は、液体流路および前記液体加圧室に液体が充填されている状態にある液体噴射本体の、少なくとも一つの共振周波数が含まれているものである。
上記液体噴射装置においては、電圧または電流が有する周波数成分が共振周波数成分を含むことで、アクチュエータ部を大変位に駆動することができる。しかしながら、このように共振周波数成分を含むように駆動信号を形成してアクチュエータ部に印加すると、共振による振動が大きくなりすぎてアクチュエータ部を構成する圧力発生素子が破損してしまうことがある。また、駆動信号が共振周波数成分を含むように構成しなくても、駆動信号にノイズとしての共振周波数が含まれる場合もあり、この場合にもアクチュエータ部が共振により破損してしまうおそれがある。特に、このアクチュエータ部が、圧電素子などの圧力発生素子や、圧力発生素子に振動板を備えたものであると、この問題が顕著になる。
そこで、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、アクチュエータ部を破損するおそれのない液体噴射ヘッド及び液体噴射装置、並びに液体噴射ヘッドの制御方法を提供することを目的とする。
本発明の液体噴射ヘッドは、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成されている流路形成基板と、該流路形成基板の前記圧力発生室に相対向する領域に少なくとも圧力発生素子を有するアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部を駆動するための駆動信号を生成して出力する制御部から出力された前記駆動信号を処理して前記アクチュエータ部へ送出する信号処理部とを備え、前記信号処理部内には、前記駆動信号に含まれた前記アクチュエータ部の共振周波数成分を除去するローパスフィルタが設けられていることを特徴とする。
本発明の液体噴射ヘッドにおいては、前記駆動信号に含まれた前記アクチュエータ部の共振周波数成分を除去するローパスフィルタが設けられていることで、アクチュエータ部の破損を防止することができる。
本発明の液体噴射ヘッドにおいては、前記駆動信号に含まれた前記アクチュエータ部の共振周波数成分を除去するローパスフィルタが設けられていることで、アクチュエータ部の破損を防止することができる。
前記信号処理部には、前記アクチュエータ部毎に、前記アクチュエータ部に対して直列に接続されたスイッチング素子が設けられ、該スイッチング素子と、前記信号処理部の前記入力信号の入力部との間に、前記ローパスフィルタが設けられていることが好ましい。この位置に設けられていることで、1つのローパスフィルタにより、アクチュエータ部に印加される駆動信号の共振周波数成分を除去することができる。
ここで、前記ローパスフィルタの遮断周波数が、0.14MHz以下であることが好ましい。遮断周波数が0.14MHz以下であることで、製造工程から製造後の各状態において液体噴射ヘッドのアクチュエータ部に駆動信号を印加する場合に、共振によるアクチュエータ部の破損を防止することができる。
本発明の好ましい態様としては、前記アクチュエータ部が、振動板と、該振動板の前記圧力発生室に相対向する領域に設けられた下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子であることが挙げられる。
本発明の液体噴射装置は、駆動信号生成手段によりアクチュエータ部を駆動するための駆動信号を生成して出力する制御部、及び、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成されている流路形成基板と、該流路形成基板の前記圧力発生室に相対向する領域に少なくとも圧力発生素子を有する前記アクチュエータ部と、前記制御部からの駆動信号を処理して前記アクチュエータ部へ送出する信号処理部とを有する液体噴射ヘッドを備え、前記駆動信号生成手段と信号処理部との間に前記駆動信号に含まれた前記アクチュエータ部の共振周波数成分を除去するローパスフィルタが設けられていることを特徴とする。本発明の液体噴射装置においては、前記駆動信号に含まれた前記アクチュエータ部の共振周波数成分を除去するローパスフィルタが設けられていることで、前記アクチュエータ部の破損の原因となる共振周波数成分を除去することができるので、前記アクチュエータ部の破損を防止することができる。
本発明の液体噴射ヘッドの制御方法は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成されている流路形成基板と、該流路形成基板の前記圧力発生室に相対向する領域に少なくとも圧力発生素子を有するアクチュエータ部と、制御部から出力された前記アクチュエータ部を駆動するための駆動信号を処理して前記アクチュエータ部へ送出する信号処理部とを備えた液体噴射ヘッドの制御方法において、前記信号処理部内に設けられたローパスフィルタにより前記駆動信号に含まれた前記アクチュエータ部の共振周波数成分を除去することを特徴とする。これにより、アクチュエータ部の破損を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図、図2(a)は図1の平面図、図2(b)は図2(a)のA−A´線断面図である。
流路形成基板10は、本実施形態では結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなる。流路形成基板10の一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には酸化ジルコニウム(ZrO2)等からなる絶縁体膜55が形成されている。また、流路形成基板10の他方の面には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。各列の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。つまり、流路形成基板10には、液体流路として、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15が形成されている。連通部13は、後述する保護基板30のリザーバ部31と連通して圧力発生室12の列毎に共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する。
流路形成基板10の開口面側(他方面側)には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。
絶縁体膜55上には、下電極60と、圧電体膜の一例であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、上電極80とが積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極60、圧電体層70及び上電極80を含む部分をいう。この圧電素子300は、圧力発生室12内のインク(液体)に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として機能する。圧電体層70は、下電極60上に形成される電気機械変換作用を示す圧電材料、特に圧電材料の中でもペロブスカイト構造の強誘電体材料からなる。
本実施形態では、圧電素子300の下電極60を共通電極とすると共に、上電極80を圧電素子300の個別電極とし、上電極80と下電極60との間に後述する制御部200からの駆動信号S1に基づいた電圧が印加されて圧電体層70が駆動される。この圧電体層70の駆動により圧力発生室12上の弾性膜50及び絶縁体膜55が振動する。即ち、本実施形態では、これらの弾性膜50及び絶縁体膜55が振動板として機能する。なお、本実施形態では、弾性膜50及び絶縁体膜55が振動板として機能するが、弾性膜50又は絶縁体膜55の何れか一方のみを振動板として設けるようにしてもよい。また、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、圧電素子300を構成する下電極60を振動板として機能させてもよい。いずれにしても、少なくとも圧力発生素子である圧電素子300を備えたものをアクチュエータ部とする。
圧電素子300の個別電極である各上電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバ部31のみをリザーバとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバと各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
保護基板30には、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、信号処理部として機能する駆動回路120が固定されている。駆動回路120は、後述する制御部からの各種信号が入力され、これらの信号を処理して圧電素子300へ印加するものである。駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、貫通孔33を挿通させたボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましい。本実施形態では、流路形成基板10と同一材料の面方位(110)のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムからなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料、例えば、ステンレス鋼(SUS)等で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
ところで、図1及び2に示す記録ヘッドにおいては、制御部から入力された駆動信号により圧電素子300が駆動するように構成されているが、この駆動信号に含まれるノイズがアクチュエータ部(本実施形態においては、アクチュエータ部とは振動板及び圧電素子300からなるものである)の共振周波数に一致すると、圧電素子300の駆動時にアクチュエータ部が共振してしまい、破損するおそれがあるのでこれを防止する必要がある。
そこで、本実施形態の記録ヘッドにおいては、このノイズを除去するために、ローパスフィルタを設けている。以下、図3を用いて、詳細に説明する。図3(a)は本実施形態の記録ヘッドを用いた制御方法を説明するためのブロック図であり、(b)はローパスフィルタの構成の一例を示す回路図である。
本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1を備えたインクジェット式記録装置Iは、制御部200を有する。制御部200は、インクジェット式記録装置Iの動作制御をするためのものであり、インクジェット式記録装置I自体を制御するため(例えば紙送り機構を動作させる等)の装置制御部201と、インクジェット式記録ヘッド1を制御するためのヘッド制御部202とを備えている。ヘッド制御部202からは、インクジェット式記録ヘッド1を駆動するための各種信号が出力され、インクジェット式記録ヘッド1の駆動回路120に入力される。駆動回路120には、ローパスフィルタ203が設けられており、上記の各種信号のうち、ヘッド制御部202において生成された圧電素子300を駆動するための駆動信号S1は、駆動回路120のこのローパスフィルタ203に入力される。
ローパスフィルタ203は、その遮断周波数が、前述したアクチュエータ部の共振周波数に設定されているものである。ここで、本実施形態のようにアクチュエータ部を振動板と圧電素子300から構成されるものとした場合、アクチュエータ部の共振周波数は、振動板の材質、振動板の振動部分の大きさ(即ち、圧力発生室12の大きさ)等に依存して変わるものである。本実施形態においては、振動板の材質は、上述のように弾性膜50が二酸化シリコン、絶縁体膜55が酸化ジルコニウム(ZrO2)である。また、振動板の厚さは1000〜2000μm、振動板の振動部分の大きさは、圧力発生室12の幅(圧力発生室12が列設された方向):45〜60μm×圧力発生室12の長さ(圧力発生室12が列設された方向と直交する方向):800〜1000μmである。この場合のインク充填時のアクチュエータ部の共振周波数は、0.14〜0.17MHzである。本実施形態では、最も低い共振周波数成分から除去することができるように遮断周波数が0.14MHzとなるように構成されたローパスフィルタを用いている。
また、ローパスフィルタ203としては、上記の共振周波数を設定できるものであれば、どのようなローパスフィルタを用いてもよい。例えば、本実施形態においては図3(b)に示すコンデンサ素子C及び抵抗Rからなる構成のローパスフィルタを用いているが、コイル素子とコンデンサ素子とからなるローパスフィルタであってもよい。
ローパスフィルタ203には、互いに並列なスイッチング素子204〜206が接続されている。各スイッチング素子204〜206は、それぞれ容量性付加素子PZTとしての各圧電素子300に対して直列となるように設けられており、図中では例として3つの圧電素子300とスイッチング素子204〜206を示している。このスイッチング素子204〜206のオンオフ状態によって、どの圧電素子300に信号が印加されるかが決定される。なお、このスイッチング素子のオンオフ状態は、上記した各種信号によって決定される。
このように構成されることで、制御部200のヘッド制御部から出力された駆動信号S1は、駆動回路120のローパスフィルタ203に入力され、ローパスフィルタ203の遮断周波数以上の周波数成分が除去される。即ち、このローパスフィルタ203により、アクチュエータ部の共振周波数であるノイズは除去される。次いで、ノイズが除去された駆動信号S1は、スイッチング素子204〜206に入力され、スイッチング素子204〜206がオン状態である場合に、それに対応して各圧電素子300に入力される。
即ち、インクジェット式記録ヘッド1は、次のように作動する。まず、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たす。その後、制御部200から出力された駆動信号S1が駆動回路120のローパスフィルタ203に入力され、ローパスフィルタ203の遮断周波数以上の周波数成分が除去される。この除去された駆動信号S1が、オン状態であるスイッチング素子204〜206を介して圧電素子300に印加される。これにより、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極60と上電極80との間に電圧が印加され、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出される。
このように、本実施形態においては、ローパスフィルタ203が設けられていることにより、アクチュエータ部の共振周波数であるノイズが除去されるので、共振によりアクチュエータ部(本実施形態においては振動板及び圧電素子300)が破損することを防止している。
また、かかるインクジェット式記録ヘッド1の製造工程においては、通常、エージング工程と呼ばれる工程を行う。このエージング工程とは、各圧電素子300の変位量のばらつきを適宜調整するためのものであり、例えば、実使用時よりも高電圧及び高周波数の駆動信号を、実使用時と同様に圧電素子に所定パルス数印加して圧電素子300を駆動するものである。この工程においても、ローパスフィルタ203が設けられていることにより、印加される駆動信号に含まれるアクチュエータ部の共振周波数成分を除去することができるので、エージング工程においてもアクチュエータ部(本実施形態においては振動板及び圧電素子300)の破損を防止することができる。このような製造工程における共振周波数は、圧力発生室12が形成された流路形成基板10にノズルプレート20を接着する前であれば、アクチュエータ部の共振周波数は、2.75〜2.95MHzである。さらに、ノズルプレート接着後、インク充填前であれば、アクチュエータ部の共振周波数は、2.7〜2.8MHzである。従って、本実施形態においては、遮断周波数をもっとも低い共振周波数である0.14MHzに設定しているので、これらの共振周波数成分も除去することが可能である。
このようなインクジェット式記録ヘッド1は、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置Iに搭載される。図4は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。同図に示すように、図4中では図示しないインクジェット式記録ヘッド1を有する記録ヘッドユニット1Aは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1Aを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。また、このインクジェット式記録装置Iには、図示しないが、上述した制御部200が設けられている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1Aを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。本実施形態では、記録ヘッドの駆動回路120内にローパスフィルタ203を設けたが、ローパスフィルタ203は、駆動信号を生成する信号発生手段(図示せず)の出力から、スイッチング素子204〜206までの間に設けてあれば、インクジェット式記録装置Iに設けてあってもよい。例えば、図5(a)に示すようにローパスフィルタ203を制御部200内に設けてもよく、また、図5(b)に示すように制御部200自体に駆動回路120の構成を組み込み、スイッチング素子204〜206より上流側にローパスフィルタ203を設けてもよい。どの場合であっても、スイッチング素子204〜206の上流側にローパスフィルタ203を設けることで、1つのローパスフィルタで複数の圧電素子300に入力される駆動信号S1の共振周波数成分を除去することができる。
また、本実施形態においては、流路形成基板10としてシリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されない。例えば、SOI基板、ガラス基板、MgO基板等においても本発明は有効である。
上述した実施形態では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電素子300を有するアクチュエータ部を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のアクチュエータ装置や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型のアクチュエータ装置などを使用することができる。
さらに、上述した各実施形態では、アクチュエータ部は、振動板と圧電素子300とからなるものであったが、圧電素子を構成する下電極60も振動板として機能する場合には、ローパスフィルタの遮断周波数は、別の共振周波数に設定される。即ち、この場合には、アクチュエータ部の共振周波数は、振動板の材質、振動板の振動部分の大きさ等に加えて、下電極の材質及びその振動部分の大きさ等に依存するため、これらの事項を考慮して設定される。もちろん、アクチュエータ部が振動板を備えずに、下電極60が振動板としての機能する場合には、アクチュエータ部の共振周波数は、下電極の材質及びその振動部分の大きさ等に依存するものである。
なお、上述した実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 17 溝部、 18 電子素子形成膜、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極、 70 圧電体層、 80 上電極、 90 リード電極、 100 リザーバ、 120 駆動回路、 200 制御部、 203 ローパスフィルタ、 204〜206 スイッチング素子、 300 圧電素子
Claims (6)
- 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成されている流路形成基板と、該流路形成基板の前記圧力発生室に相対向する領域に少なくとも圧力発生素子を有するアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部を駆動するための駆動信号を生成して出力する制御部から出力された前記駆動信号を処理して前記アクチュエータ部へ送出する信号処理部とを備え、
前記信号処理部内には、前記駆動信号に含まれた前記アクチュエータ部の共振周波数成分を除去するローパスフィルタが設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記信号処理部には、前記アクチュエータ部毎に、前記アクチュエータ部に対して直列に接続されたスイッチング素子が設けられ、該スイッチング素子と、前記信号処理部の前記入力信号の入力部との間に、前記ローパスフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
- 前記ローパスフィルタの遮断周波数は、0.14MHz以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
- 前記アクチュエータ部が、振動板と、該振動板の前記圧力発生室に相対向する領域に設けられた下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
- 駆動信号生成手段によりアクチュエータ部を駆動するための駆動信号を生成して出力する制御部、及び、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成されている流路形成基板と、該流路形成基板の前記圧力発生室に相対向する領域に少なくとも圧力発生素子を有する前記アクチュエータ部と、前記制御部からの駆動信号を処理して前記アクチュエータ部へ送出する信号処理部とを有する液体噴射ヘッドを備え、
前記駆動信号生成手段と信号処理部との間に前記駆動信号に含まれた前記アクチュエータ部の共振周波数成分を除去するローパスフィルタが設けられていることを特徴とする液体噴射装置。 - 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成されている流路形成基板と、該流路形成基板の前記圧力発生室に相対向する領域に少なくとも圧力発生素子を有するアクチュエータ部と、制御部から出力された前記アクチュエータ部を駆動するための駆動信号を処理して前記アクチュエータ部へ送出する信号処理部とを備えた液体噴射ヘッドの制御方法において、
前記信号処理部内に設けられたローパスフィルタにより前記駆動信号に含まれた前記アクチュエータ部の共振周波数成分を除去することを特徴とする液体噴射ヘッドの制御方法。
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