JP2009264569A - 真空断熱材 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空断熱材において、長期に渡って断熱性能を維持すること。
【解決手段】芯材と共にガスバリア性の外被材内に減圧密封される吸着デバイス2は、気体吸着材5と、水分吸着材6と、気体難透過性素材からなる容器7とからなり、容器7は内部が通気性を調節可能な仕切り8により2つの空間に仕切られており、気体吸着材5と水分吸着材6はそれぞれ容器7の異なる空間に収容されている。気体吸着材5は、少なくとも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩と、セルロースとの混合物を、非酸素雰囲気下にて加熱処理することにより得られる物質からなる。真空断熱材の減圧後に加わる大気圧により吸着デバイス2の容器7に突起物9が押し付けられ容器7を貫通することで水分吸着材6側の容器7が開封し、水分吸着材6によって水分を除去された後の気体を気体吸着材5が吸着する。
【選択図】図2

Description

本発明は、芯材と吸着材とが外被材内に減圧密封されている真空断熱材に関するものである。
近年、地球温暖化防止の観点から省エネルギーが強く望まれており、家庭用電化製品についても省エネルギー化は緊急の課題となっている。特に、冷蔵庫、冷凍庫、自動販売機等の保温保冷機器では熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性能を有する断熱材が求められている。
一般的な断熱材として、グラスウール等の繊維材やウレタンフォーム等の発泡体が用いられている。しかし、これらの断熱材の断熱性能を向上するためには断熱材の厚さを増す必要があり、断熱材を充填できる空間に制限がある場合には適用することができない。
そこで、高性能な断熱材として、真空断熱材が提案されている。これは、スペーサーの役割を持つ多孔性の芯材を、ガスバリア性を有する外被材中に挿入し内部を減圧して封止した断熱材であり、外被材内部の気体による伝熱を極力低減することによって、非常に優れた断熱性能が得られるものである。
一方で、真空断熱材には、外部から水蒸気や空気が侵入することで、真空度が悪化し、真空度の悪化に伴い、断熱性能が悪化してしまうという問題があるために、長期に渡って断熱性能が要求される用途への適用は難しかった。
そこで、真空断熱材において真空度の劣化を防止し、長期に渡って優れた断熱性能を維持するために吸着材を適用する技術がある。
吸着材の一例として、低温で窒素を除去するBa−Li合金がある(例えば、特許文献1参照)。
Ba−Li合金は、乾燥材と一緒に、断熱ジャケット内の真空を維持するためのデバイスとして使用され、窒素等のガスを吸着することができた。
また、真空断熱材に侵入するガス種としては、窒素、酸素、水分等があるが、我々の検討の結果、中でも酸素の比率が比較的高いことが判明したことから、優れた酸素吸着材を適用することにより、真空度の悪化を抑制し、真空断熱材の経時断熱性能を向上させることが可能であると考えた。
酸素吸着材には、鉄粉やアスコルビン酸類を主剤とするものがよく知られている。
鉄粉を主剤とするものに、鉄粉、酸化促進物質、フィラー、および水分2%含有時に相対湿度55%以上を示す吸着特性を有する珪藻土に水分を含有させた水分供与体よりなることを特徴とする酸素吸収剤がある(例えば、特許文献2参照)。
また、アスコルビン酸を主剤とするものに、アスコルビン酸またはその塩、水酸化アルカリまたは/および炭酸アルカリからなるアルカリ性物質、潮解性物質および第一鉄化合物または/および活性炭からなる添加物からなる鮮度保持剤がある(例えば、特許文献3参照)。
また、鉄粉やアスコルビン酸類以外の酸素吸着材として、親水性高分子由来水酸基含有炭化物(例えば、特許文献4参照)や、セルロース誘導炭素前駆体がある(例えば、非特許文献1参照)。
特表平9−512088号公報 特開平5−237374号公報 特公昭58−29069号公報 特開2002−211911号公報 山梨大学 宮嶋尚哉著「無機有機複合化による酸素燃焼用革新的酸素分離剤の開発」独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構平成16年度産業技術研究助成事業研究成果報告書、平成17年5月
しかしながら、上記特許文献1の構成では、BaがPRTR指定物質であるため、吸着材製造時や使用時、廃棄時の安全性、環境負荷を考慮すると、原料にはできるだけ環境や人体への影響が小さいものを使用することが望まれていた。
また、真空断熱材の特長の1つとして、他の断熱材に対して薄肉化が可能である点が挙げられるが、特許文献1の吸着材の構成は、気体吸着材を水分吸着材で被う構成となっているため、その厚さは、気体吸着材と水分吸着材の厚さの和より大きくなってしまう。このため、特許文献1の吸着材を真空断熱材に適用する場合には、吸着材の厚さが真空断熱材の薄肉化を妨げてしまうため、より薄い吸着材が望まれていた。
また、上記特許文献2や3に記載の構成では、酸素吸着に水分が必要であることや、吸着材からのガス発生があるために、真空断熱材のように、ほぼ絶乾となる環境やガス発生を嫌うような用途への適用は難しかった。
また、上記特許文献4や上記非特許文献1に記載の構成では、酸素選択性を有し、酸素吸着能力も優れるものであったが、真空断熱材に適用するためには、常圧下だけでなく減圧下でもより高い吸着量が求められていた。
また、上記特許文献4で親水性高分子を処理するための塩基性物質として推奨されている水酸化ナトリウム、水酸化カリウムは劇物に該当し、また、非特許文献1で検討されている硝酸塩は非常に酸化性が高く消防法危険物第1類物質に該当する。吸着材製造時や使用時、廃棄時の安全性、環境負荷を考慮すると、原料にはできるだけ環境や人体への影響が小さいものを使用することが望まれていた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、吸着材の形態を、吸着材の有する特性を十分に発揮できるような構成の吸着デバイスとすることにより、また、吸着材の材料を、環境や人体への影響が小さい材料からなり、かつほぼ絶乾となる環境や減圧下においても酸素に対して高い吸着能力を有する吸着材とすることにより、経時断熱性能に優れた真空断熱材を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の真空断熱材は、芯材と吸着デバイスとがガスバリア性の外被材内に減圧密封されている真空断熱材であって、前記吸着デバイスは、気体吸着材と、水分吸着材と、気体難透過性素材からなる容器とからなり、前記容器は内部が通気性を調節可能な仕切りにより少なくとも2つ以上の空間に仕切られており、前記気体吸着材と前記水分吸着材はそれぞれ前記容器の異なる空間に収容されているものであり、前記気体吸着材が、少なくとも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩と、セルロースとの混合物を、非酸素雰囲気下にて加熱処理することにより得られる物質からなる吸着材であることを特徴とする。
これにより、気体吸着材と水分吸着材は気体難透過性素材からなる容器内に収容されているため、容器内と容器の外の大気とを遮断でき、高活性であっても長時間保存することが可能となり、製造中の劣化も抑制できるために、製品として使用される時には、気体吸着材と水分吸着材が有する能力を十分に発揮できる。
気体吸着材は水分に対しても高活性であるため、気体を吸着する際、水分を吸着することにより失活してしまうが、水分吸着材を併用することにより、気体吸着材周囲の気体に含まれる水分を低減できる。これにより、水分による失活が低減し、気体吸着材が有する特性を十分に発揮することが可能になる。
また、水分吸着材で水分を吸着し、その後乾燥した気体成分中の酸素を気体吸着材が吸着する構成とすれば、気体吸着材の水分による劣化が抑制でき、気体吸着材が有する酸素吸着能力を十分に発揮できる。
また、気体吸着材の主原料であるセルロースは、我々の身近なところで幅広く使用されている物質であり、人体や環境に対する悪影響を懸念することなく使用可能であり、また、金属塩として使用するアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩は、PRTR指定物質や毒劇物などに該当しない物質であるため、比較的安全性が高い気体吸着材が得られる。
なお、上記構成の気体吸着材が酸素を吸着するメカニズムは明らかではないが、主原料であるセルロースを、金属塩水溶液で含浸処理した後、固液分離し、乾燥して改質セルロースとし、それをさらに非酸素環境下で加熱処理することにより、水分を必要とすることなく特異的に酸素を化学吸着することを確認した。
また、ここで、金属塩の種類が上記の金属塩であると、他の金属塩を使用した場合に比べ、常圧下でも減圧下でも高い酸素吸着能力を発現することを確認した。特に減圧下においてその傾向が顕著である。
また、気体吸着材と水分吸着材を独立した空間に収容するため、仕切りにより仕切られた少なくとも2つ以上の空間が、気体吸着材または水分吸着材を収容する空間の厚み方向に対して略垂直な方向に並ぶようにすれば、吸着デバイスの厚さは、気体吸着材を収容する空間または水分吸着材を収容する空間のどちらか厚い方の厚みにほぼ等しくなる。従って、空間に収容する気体吸着材と水分吸着材を薄くすることにより、薄型化された吸着デバイスを得ることができる。真空断熱材などの寸法、とりわけ厚さは吸着デバイスの厚さに依存する。したがって、真空断熱材の優位性である薄型化に貢献することができる。また、気体吸着材の活性に応じて、仕切りの通気性を調節することにより種々の活性を有する気体吸着材を使用することが可能である。
本発明の真空断熱材は、吸着デバイスが、気体吸着材が有する酸素吸着能力を十分に発揮できる構成であること、及び、気体吸着材が減圧下や絶乾下においても高い酸素吸着能力を有する構成であることにより、長期に渡って真空断熱材の断熱性能を維持することができる。
請求項1に記載の真空断熱材の発明は、芯材と吸着デバイスとがガスバリア性の外被材内に減圧密封されている真空断熱材であって、前記吸着デバイスは、気体吸着材と、水分吸着材と、気体難透過性素材からなる容器とからなり、前記容器は内部が通気性を調節可能な仕切りにより少なくとも2つ以上の空間に仕切られており、前記気体吸着材と前記水分吸着材はそれぞれ前記容器の異なる空間に収容されているものであり、前記気体吸着材が、少なくとも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩と、セルロースとの混合物を、非酸素雰囲気下にて加熱処理することにより得られる物質からなる吸着材であることを特徴とするものであり、上記構成の吸着デバイスを、芯材と共にガスバリア性の外被材内に減圧密封することにより、真空断熱材の経時断熱性能が向上する。
まず、本発明の特徴を説明する。
一般に気体成分を吸着可能な気体吸着材は水分に対しても高い吸着活性を有するため、雰囲気ガスが水分を含む場合は、気体吸着材が水分を吸着することにより、気体に対する吸着能力が劣化する(吸着量が減少する)。このとき、水分による劣化分を考慮して、気体吸着材を過剰に使用することで、必要な気体吸着量を得ることは可能であるが、一般に気体吸着材は水分吸着材に比較して高価であるため、この方法は避けることが望ましく、水分を水分吸着材で吸着し、気体を気体吸着材で吸着する構成とすることが望ましい。しかしながら、水分吸着材と気体吸着材をただ混在させたのみでは、水分を吸着する速度が、気体吸着材のほうが水分吸着材よりも大きいため、やはり気体吸着材の劣化が抑制できない。
これを解決するために、気体吸着材と、水分吸着材と、気体難透過性素材からなる容器とからなり、前記容器は内部が通気性を調節可能な仕切りにより少なくとも2つ以上の空間に仕切られており、前記気体吸着材と前記水分吸着材はそれぞれ前記容器の異なる空間に収容されている吸着デバイスを用いること、および、真空断熱材の封止後に、容器の水分吸着材を収容する部分に貫通孔を生じさせて、容器内部の空間と容器外部の空間(真空断熱材内部の空間)とを連通させる構成とすること、さらには、吸着デバイス外の気体が、水分吸着材を収容した空間を通った後に、気体吸着材を収容した空間へ到達するような構成とすることが必要である。
上記構成であると、吸着材が気体難透過性容器内に収容されていることにより、外部の気体との接触を防止できることから、保存中の劣化を防止でき、また、真空断熱材の封止後に外部と連通する構成であるために、真空断熱材作製中の劣化も防止でき、さらには、真空断熱材内部の気体中の水分を水分吸着材が吸着することで、気体吸着材の水分による劣化が抑制されるために、気体吸着材が有する酸素吸着能力を十分に発揮できる。
また、本発明の構成であると、気体吸着材と水分吸着材の両空間を並列にすることも可能であるため、その場合は、吸着デバイスの薄肉化が可能となる。よって、真空断熱材特有の薄型で高断熱性能という特徴を生かすことができる。
次にそれぞれの材料や用語について説明する。
まず、気体吸着材における金属塩として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩に指定するのは、これらがPRTR指定物質や毒劇物に該当しないために他の金属塩に比べて比較的安全性が高いばかりでなく、他の金属塩を使用した場合に比べて優れた酸素吸着能力を発現するためである。特に減圧下での酸素吸着能力に優れるため、真空断熱材への適用に適している。
具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等があるが特に指定するものではなく、これらは1種類のみでも、2種類以上を混合して使用してもよい。
また、セルロースとは、炭素、水素、酸素を主構成元素とするグルコースからなる多糖類であり、多数のβ−グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した高分子を指すが、その種類は特に指定するものではない。
また、非酸素雰囲気下とは、酸素をできるだけ含まない雰囲気下、すなわち、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、または真空下等を指すが、特に指定するものではない。
また、加熱処理の方法は、焼成炉での焼成等、特に指定するものではない。
次に、水分吸着材は、気体中に含まれる水分を吸着するものであり、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカゲル、活性炭等があるが、特に指定するものではない。
ここで、水分吸着材の形状は顆粒状、ペレット状等、特に指定するものではないが、水分吸着材が粉末状であると、単位重量あたりの表面積が大きくなるため、周囲の水分をより早く吸着することが可能になるため、粉末状であることが望ましい。
ここで、粉末状とは、平均粒子径が50μm以下のものであり、望ましくは平均粒子径が10μm以下のものである。
また、容器とは、例えば、球殻のように空間を内外に分断するものであれば特に指定するものではないが、形状の自由度や柔軟性を考慮すると、外力により容易に変形し、収容されている部材の形状に追従するような軟包材であることが望ましい。例えば、ラミネートフィルム等がこれに相当する。
また、気体難透過性素材とは、ガス透過度が低い素材を指し、具体的には、104[cm3/(m2・day・atm)]以下、より望ましくは103[cm3/(m2・day・atm)]以下の素材を指す。例えば、容器がラミネートネートフィルムの場合、アルミ箔をラミネートすることにより、優れたバリア性を得ることができ、吸着材を長期間保存することができる。
なお、容器内に不活性ガスが存在すると、連通時に真空断熱材の内部圧力を上昇させ、断熱性能を悪化させてしまうため、吸着材の容器内はできるだけ減圧状態であることが望ましく、その圧力は100Pa以下、より望ましくは10Pa以下が望ましい。
また、仕切りとは、気体吸着材と水分吸着材が収容されている空間と空間の間の通気性を制御するものであり、大気圧でつぶれることなく、両空間の気体の透過ルートを確保することが可能な材料を選定することが望ましい。例えば、管状の部材、連続気泡の多孔体、不織布、紙等が使用可能であるが、特に指定するものではない。
ここで、仕切りの通気性が大きすぎる場合は、水分吸着材が水分を吸着しきれず、気体吸着材に水分が到達してしまい、仕切りの通気性が小さすぎる場合は、気体吸着材に気体が到達しなくなってしまう。仕切りの通気性は、仕切りに使う材料の気体透過度、断面積、長さに依存するものであるが、材料としては、連続多孔体を用いるのが望ましい。連続多孔体であれば、バルク部はスペーサーに、空隙部は気体の透過ルートになるため、これらの条件を満足することができる。
また、本発明における外被材とは、真空断熱材内部の空間と外部の空間とを遮断するものであれば、バリア性を有するプラスチック容器、金属容器、ラミネートフィルム等が使用でき、特に指定するものではない。
例えば、ラミネートフィルムを使用する場合、その構成は特に指定するものではなく、以下に示したような材料が使用可能である。
最内層の熱溶着層には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、無延伸ポリエチレンテレフタレート、無延伸ナイロン、無延伸エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂等が使用可能であり、特に指定するものではない。
また、外部からのガス侵入を抑制するために、金属箔や、蒸着フィルム、コーティングフィルム等が使用可能である。その種類や積層数は特に指定するものではない。金属箔は、アルミニウム、ステンレス、鉄やその混合物等、特に指定するものではない。また、蒸着やコーティングの基材となるプラスチックフィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド等、特に指定するものではない。また、蒸着の材料としては、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀、シリカ、アルミナ、ダイヤモンドライクカーボンやそれらの混合物等、特に指定するものではない。また、コーティングの材料としては、PVA、ポリアクリル酸系樹脂やその混合物等、特に指定するものではない。
また、耐ピンホール性や耐摩耗性の向上、難燃性の付与、さらなるバリア性の向上等を目的としてさらに外層や中間層にフィルムを設けることも可能である。
ここで、外層や中間層に設けるフィルムは、ナイロン、エチレン・4フッ化エチレン共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂等、その種類や積層数は、特に指定するものではない。
また、本発明における芯材とは、大気圧による圧縮から真空断熱材の形状を保持するものであり、高い空隙率を有するものであれば、繊維、粉末、発泡樹脂、多孔質体、薄膜積層体等、特に指定するものではない。例えば、繊維系では、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール、炭化ケイ素繊維等、粉末系では、シリカ、パーライト、カーボンブラック等、発泡樹脂ではウレタンフォーム、フェノールフォーム、スチレンフォーム等がある。また、これらの混合体や成形体を使用することも可能である。
なお、本発明における真空断熱材の形状は、特に指定するものではなく、複数の芯材を有する構成であってもよい。
真空断熱材が、熱溶着層同士が対向する2枚の外被材の間に、複数の芯材が、2つ以上の互いに独立した減圧空間内に位置するように減圧密封され、隣接する前記減圧空間と前記減圧空間との間の対向する前記外被材同士が溶着された構成であると、第1に、外被材端面から離れた芯材部分は端面からの侵入ガスの影響が小さいために、真空断熱材全体としての経時断熱性能が維持しやすい、第2に、一箇所で真空ブレークが生じてもそれが他の芯材部分に与える影響が小さいために断熱性能の悪化を最小限で抑えることができる、第3に、芯材および真空断熱材形状の自由度が高く、アプリケーションに応じた形状設計が可能である等、1つの芯材を有する真空断熱材に比べて、様々なメリットを有している。このため、幅広い用途への展開が見込める。
請求項2に記載の真空断熱材の発明は、請求項1に記載の発明において、遠隔操作により、水分吸着材が収容されている空間を形成している容器を開封する開封手段を備えたことを特徴とするものである。
吸着材の劣化を少なくするため、吸着デバイスは、真空断熱材封止後に開封することが望ましいが、真空断熱材は、外被材により内部空間と外部とが隔絶された構成である。このため、外部から直接的に吸着デバイスを開封するのは困難である。従って、吸着デバイスは遠隔操作により気体の吸着が可能になることが望ましい。
遠隔操作の方法としては、例えば吸着デバイス容器と真空断熱材の両方が軟包材の場合は、真空断熱材に予め突起物を内包しておき、減圧後に加わる大気圧により吸着デバイスの容器に押し付けられることで開封する方法、大気圧以上の力が必要な場合にはプレスする方法等があるが、真空断熱材封止後に遠隔操作によって開封する方法であれば、特に指定するものではない。
請求項3に記載の真空断熱材の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記気体吸着材が、0.1mass%以上のアルカリ金属またはアルカリ土類金属成分を有することを特徴とするものであり、これにより、真空断熱材の経時断熱性能が向上する。
前記気体吸着材のうちの前記金属の含有量はICP発光分析等により評価可能であり、金属の含有量がこの範囲ではない場合に比べて、高い酸素吸着能力が得られ、真空断熱材に適用した場合においても経時断熱性能が向上することを確認した。おそらく、金属塩は吸着活性点の形成に寄与しているため、その量が少なすぎると、活性点が形成されにくくなることで、酸素吸着能力が低下してしまうと考える。なお、金属含有量は、より望ましくは1mass%以上、さらに望ましくは5mass%以上である。
請求項4に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記混合物が、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩の水溶液で前記セルロースを含浸処理後、固液分離、乾燥を経て得られることを特徴とするものであり、これにより、真空断熱材の経時断熱性能が向上する。
気体吸着材を、上記工程を経て作製することにより、高い酸素吸着能力を発現し、真空断熱材に適用した場合においても経時断熱性能が向上することを確認した。その理由は明らかではないが、金属塩水溶液へのセルロースの含浸は、粉同士の混合に比べて、金属のセルロースへの付着ムラが減ることや、両者の接触面積が増大すること等が考えられるため、より多くの活性点を形成できると考える。
ここで、含浸処理を行うためには、高濃度の金属塩水溶液が作製可能であることが望ましいため、金属塩は、望ましくは0.5mol/L以上、より望ましくは1mol/L以上の濃度の水溶液が作製可能な溶解度を有することが望ましい。
なお、金属塩水溶液の液性は、特許文献4では、塩基性の水溶液であることを推奨していたが、液性は必ずしも塩基性である必要はなく、中性を示す塩(例えば酢酸カルシウム)でも高い酸素吸着能力が得られることを確認したため、塩基性である必要はない。
含浸処理の方法は、セルロースが金属塩水溶液に含浸される方法であればよく、特に指定するものではない。なお、含浸時、セルロースを含んだ金属塩水溶液は、攪拌や振動などにより、均一性が保たれるようにすることが望ましい。また、温度も特に指定するものではなく、常温でも加温でもよい。
固液分離の方法は、前工程の溶液の固体成分(改質セルロース)と液体成分が分離できる方法であればよく、ろ過、遠心分離等があるが、特に指定するものではない。なお、固液分離後に洗浄を行わないことによって、活性点の形成に寄与する金属がより多く残るために高い吸着能力を発現する。
乾燥の方法は、改質セルロースから余分な水分を除去する方法であればよく、自然乾燥、熱風循環炉などを使用した強制的な乾燥等があるが、特に指定するものではない。
請求項5に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記混合物が、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩の水溶液で前記セルロースを含浸処理後、固液分離、洗浄、乾燥を経て得られ、かつ、前記固液分離工程において、洗浄に使用する水の量が、含浸処理時の液量の倍量以下であることを特徴とするものであり、これにより、真空断熱材の経時断熱性能が向上する。
洗浄工程を経ると、セルロースの含浸処理時に使用した容器の共洗いができるために容器に残留したセルロースを無駄なく使用することができる、セルロースの表面に付着した余分な成分を除去することができる、等のメリットがある。
しかしながらその一方で、洗浄によって活性点の形成に寄与する金属成分までもが洗い流されてしまうために吸着能力が落ちてしまうデメリットがある。従来特許文献4には洗浄水の量は処理液の10倍程度が適量であると記載されているが、洗浄水の量が10倍であると、余分な成分だけでなく、活性点の形成に寄与する金属成分までもがほぼ完全に洗い流されてしまうこと、および作製した吸着材は化学吸着しないことを確認した。
これに対し、洗浄に使用する水の量が請求項記載の範囲であれば、活性点に寄与する金属成分は残留するために、高い酸素吸着能力を確保でき、真空断熱材に適用した場合においても経時断熱性能が向上することを確認した。
請求項6に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記加熱処理工程が、300℃以上600℃以下の温度条件で行われることを特徴とするものであり、これにより、真空断熱材の経時断熱性能が向上する。
様々な温度で加熱処理を実施したところ、温度がこの範囲ではない場合に比べて、高い酸素吸着能力が得られた。おそらく、温度が低すぎると吸着サイトの形成が未熟であり、また逆に温度が高すぎると構造の破壊が発生することが考えられ、上記範囲が高い酸素吸着能力の発現に適した構造となっていると考える。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図である。図1に示すように、真空断熱材1は、吸着デバイス2と、外被材3と、芯材4とから構成され、芯材4と吸着デバイス2とがガスバリア性の外被材3内に減圧密封されている。
図2は、同実施の形態における真空断熱材1に用いた吸着デバイス2の開封前の状態を示す概略断面図である。図3は、同実施の形態における真空断熱材1に用いた吸着デバイス2の開封後の状態を示す概略断面図である。
図2、図3に示すように、吸着デバイス2は、気体吸着材5と、気体吸着材5とは異なる材料からなる水分吸着材6と、アルミ箔を含むプラスチックラミネートフィルム(気体難透過性素材)からなる軟包材で構成された容器7とからなる。
気体吸着材5は、少なくとも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩と、セルロースとの混合物を、非酸素雰囲気下にて加熱処理することにより得られる物質からなる吸着材である。
容器7は、内部が通気性を調節可能な仕切り8により2つの空間に仕切られており、気体吸着材5と水分吸着材6は、それぞれ容器7の異なる空間に収容されている。
なお、仕切り8により仕切られた2つの空間が、気体吸着材5または水分吸着材6を収容する空間の厚み方向に対して略垂直な方向に並んでいる。
また、遠隔操作により、水分吸着材6が収容されている空間を形成している容器7を開封する突起物(開封手段)9が、水分吸着材6が収容されている空間を形成している容器7に接触している。
突起物(開封手段)9は、例えば、プラスチック成型品からなり、一方の面が凸で他方の面が凹で、凸の面を押す外力が加わっていない状態で凹の面の凹んだ部分に凹みの深さと同じ高さか若干低い高さの突起部を有し、凸の面を押す外力が加わると突起物(開封手段)9の凹凸が小さくなり突起部の高さが凹みの深さより高くなるように変形可能に構成され、突起部のある凹の面側に水分吸着材6が収容されている空間を形成している容器7が配置され、大気圧程度の力で凸の面が押されると、突起物(開封手段)9の突起部が、水分吸着材6が収容されている空間を形成している容器7に接触して、やがて水分吸着材6が収容されている空間を形成している容器7を貫通するように構成している。
図2に示すように、吸着デバイス2の保存時には、気体吸着材5は、気体難透過性素材からなる容器7内部に真空封止されているため、吸着デバイス2を長時間大気中に放置しても、気体吸着材5は気体に触れないため、劣化せず、長時間大気中で保存することができる。
本実施の形態の真空断熱材1は、芯材4と吸着デバイス2とがガスバリア性の外被材3内に減圧密封されている真空断熱材である。
本実施の形態の真空断熱材1に用いる吸着デバイス2は、気体吸着材5と、水分吸着材6と、気体難透過性素材からなる容器7とからなり、容器7は内部が通気性を調節可能な仕切り8により2つの空間に仕切られており、気体吸着材5と水分吸着材6はそれぞれ容器7の異なる空間に収容されている。
本実施の形態の真空断熱材1に用いる気体吸着材5は、少なくとも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩と、セルロースとの混合物を、非酸素雰囲気下にて加熱処理することにより得られる物質からなる吸着材である。
次に、真空断熱材1の作製方法について説明する。
まず、外被材3は、同じ大きさの長方形に切った2枚のラミネートフィルムの熱溶着層同士を向かい合わせて三辺を溶着し、袋状とする。次に、三辺シールした外被材3の開口部から吸着デバイス2と芯材4を挿入する。
なお、袋状の外被材3内に、吸着デバイス2とガラス繊維集合体の芯材4を挿入する時は、一方の表面部分に吸着デバイス2を突起物(開封手段)9が露出する程度に内部に埋め込んだ状態の芯材4を、突起物(開封手段)9の凸の面が外被材3に接触し、突起物(開封手段)9の突起部のある凹の面が水分吸着材6が収容されている空間を形成している容器7に接触するように挿入する。
次に、三辺シールした袋状の外被材3内に吸着デバイス2と芯材4を入れたものを、真空チャンバー内に設置し、内部を所定の圧力まで減圧した後、袋状の外被材3の開口部を溶着することで真空断熱材1を得る。
真空断熱材1の外被材3は、プラスチックラミネートフィルムであるため、真空封止後に加わる大気圧により変形し、芯材4と吸着デバイス2(突起物9)に圧縮力を加える。この結果、突起物9は軟包材からなる容器7に突き刺し力を加え、図3に示すように、突起物9が容器7を突き刺し、容器7には貫通孔が生じる。
この貫通孔により、真空断熱材1内(外被材3内)の気体は、まず水分吸着材6を収容した空間に侵入し、水分吸着材6により水分が吸着される。次に、水分が除去された気体は、仕切り8を通過して、気体吸着材5を収容した空間に移動し、気体吸着材により酸素が吸着される。
経時的に外被材3を透過して、真空断熱材1内部に侵入する気体についても同様の経路で吸着デバイス内を移動する。
突起物9により生じた貫通孔の通気性は、仕切り8の通気性に比較して大きくされているため、水分吸着材6を収容した空間に侵入した気体は内部で淀むことになる。この間に気体に含まれる水分は、水分吸着材6により除去されるため、仕切り8を経て気体吸着材5に到達する気体は水分を含む量が非常に低減されている。
よって、初期、経時いずれの場合においても、気体吸着材5が収容されている空間に到達する気体は水分が低減されているために、気体吸着材5の水分による劣化が抑制され、気体吸着材5が有する酸素吸着能力を十分に発揮できる。気体吸着材5はその吸着能力の大部分を気体の吸着に発揮できるため効率的に気体を吸着することができる。
以上のような手段により、保存時、真空断熱材1への適用時のいずれの場合においても、長期間にわたる真空度の維持が可能となる。
これに対し、気体吸着材5と水分吸着材6が、本実施の形態のような吸着デバイスを構成していない場合、例えば単純に気体吸着材5と水分吸着材6を混合した場合や別々に配置した場合では、経時的に外被材3を透過して真空断熱材1内部に侵入する酸素量から導き出される本来の必要量に加え、気体吸着材5が水分を吸着することによる劣化量を考慮し、過剰に使用しなければならなかったが、本実施の形態の構成では、気体吸着材5を過剰に使用する必要がない分、低コスト化になった。
また、気体吸着材5が、経時的に外被材3を透過して真空断熱材1内部に侵入する酸素を吸着することで、真空断熱材1内部の経時的な圧力変化は、吸着デバイス2を適用しない真空断熱材に対して約1/2に抑制され、経時断熱性能も改善された。
なお、参考までに、吸着デバイス2を適用しない真空断熱材において、外被材3を透過して侵入するガスの組成を評価したところ、酸素が約50%を占めていることを確認した。この結果は、外被材3を透過して侵入する酸素を吸着除去することにより、経時的な真空断熱材内部のガス増加量が半分になる(真空断熱材の内部圧力変化が半分になる)ことを指し、上記結果と合致する。
本実施の形態の真空断熱材1に用いる吸着デバイス2は、気体吸着材5と、水分吸着材6と、気体難透過性素材からなる容器7とからなり、容器7は内部が通気性を調節可能な仕切り8により2つの空間に仕切られており、気体吸着材5と水分吸着材6はそれぞれ容器7の異なる空間に収容されているものである。なお、本実施の形態では、容器7の内部を2つの空間に仕切ったが、これに限らず、3つ以上の空間に仕切っても構わない。
また、吸着デバイス2外の気体を吸着する際、気体は水分吸着材6を収容した空間を通り、含まれる水分は吸着され、気体吸着材5を収容した空間には水分が少ない気体となって到達するようにする。
また、仕切り8により仕切られた2つ空間が、気体吸着材5または水分吸着材6を収容する空間の厚み方向に対して略垂直な方向に並ぶようにしているので、吸着デバイス2の厚さは、気体吸着材5を収容する空間または水分吸着材6を収容する空間のどちらか厚い方の厚みにほぼ等しくなる。
空間に収容する気体吸着材5と水分吸着材6(または、気体吸着材5または水分吸着材6を収容する空間)の最大厚さを調節することにより、吸着デバイス2の厚さを調節することができる。薄型化された吸着デバイス2を適用することにより、真空断熱材1を薄型化することが可能である。
チャンバー内の減圧は真空ポンプにて行われる。常圧領域、つまり真空封止前ではポンプ、吸着材いずれによっても減圧することが可能である。一方、低圧領域、つまり真空封止後の外被材3内部には、真空ポンプで減圧しきれなかった気体、真空封止後に外被材3を通して侵入する気体、芯材4から発生する気体が存在し、これらは気体吸着材5のみで吸着が可能である。従って、真空封止後の外被材3内部において気体吸着材5の能力を十分に発揮するためには、真空封止後に外部に連通することが必要である。
これらの要求は、気体吸着材5を、真空断熱材1内に設置するまで気体への接触を抑制する必要があり、気体難透過性素材からなる容器7に収容することで達成される。
さらに、真空断熱材1の封止後に連通を行うため、吸着デバイス2に、気体吸着材5で吸着困難な気体が存在すると、真空封止後の真空断熱材1内に残ってしまう。従って、吸着デバイス2内部は予め真空にしておく必要があり、その圧力は100Pa以下が望ましい。
また、気体吸着材5を収容する空間と水分吸着材6を収容する空間との仕切り8の通気性が大き過ぎる場合は、水分吸着材6が水分を吸着しきれず、気体吸着材5に水分が到達し、気体の吸着容量が低減してしまう。一方、気体吸着材5を収容する空間と水分吸着材6を収容する空間との仕切り8の通気性が小さ過ぎる場合は、気体吸着材5に気体が到達せず、気体吸着材5の吸着特性を発揮することが困難になる。
そこで、仕切り8として連続多孔体を用いることにより、バルク部はスペーサーとして、空隙部は気体が通過する仕切り8として作用するため、これらの条件を満足することができる。
また、本実施の形態の真空断熱材1に用いる吸着デバイス2は、遠隔操作により、水分吸着材6が収容されている空間を形成している容器7を開封する開封手段として突起物9を備えたものであり、真空断熱材1の減圧後に加わる大気圧により吸着デバイス2の容器7に突起物9が押し付けられ容器7を貫通することで容器7が開封する。
真空断熱材1の封止後に、容器7に貫通孔が生じることで、水分吸着材6が配置された空間と真空断熱材1内部の空間が連通する構成となっているので、容器7に貫通孔が生じるまでは、気体吸着材5及び水分吸着材6は、気体難透過性素材からなる容器7内部に収容されているため、吸着デバイス2を長時間大気中に放置しても、内部の気体吸着材5及び水分吸着材6は気体に触れないため、劣化を防止できる。
以下に、気体吸着材5における金属塩の種類や作製工程が与える影響について実施例と比較例を用いて示す。なお、上記の影響をより明確にするために、実施例および比較例では、セルロースを微結晶セルロースに統一したが、セルロースの種類はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
金属塩として酢酸カルシウムを使用した。
まずは、気体吸着材5の作製方法について説明する。
酢酸カルシウムを水に溶解して1mol/Lの水溶液とし、これにセルロースを入れ、攪拌する。
攪拌後、ろ過によって固体成分と液体成分を分離する。
含浸時に使用した容器の壁面に残ったセルロースを洗い流すのに必要な最低限の水量で洗浄を行う。
ろ紙上に残った固体成分を乾燥し、改質セルロースを得る。
次に、非酸素雰囲気下として真空下500℃にて加熱処理を行う。
このようにして得た吸着材のカルシウム含有量は、6.3mass%であった。
これを、真空断熱材1に適用した場合の断熱性能の経時変化を確認した。
吸着デバイス2を使用しない真空断熱材に比べて、経時的な真空断熱材の内部圧力変化が約1/2に低減し、経時断熱性能も改善された。
更に、気体吸着材5の作製時の加熱処理温度の影響を確認した。
300℃を下回る温度で処理した場合は化学吸着が確認できず、真空断熱材1に適用した場合においても、経時断熱性能の改善は確認できなかった。300℃以上で加熱処理した場合は、化学吸着が確認でき、真空断熱材1においても経時断熱性能が改善された。また、450〜500℃で加熱処理した場合に吸着量は極大値となり、600℃以下までは化学吸着が確認できたが、これを超えると吸着量が減ってしまい、同時に経時断熱性能が改善されなくなった。よって、加熱処理温度は300℃以上600℃以下が望ましいと考える。
(実施例2)
金属塩として酢酸ナトリウムを使用した。
酢酸ナトリウムを水に溶解して1.5mol/Lの水溶液とし、これにセルロースを入れ、攪拌する。
攪拌後、ろ過によって固体成分と液体成分を分離する。
ろ紙上に残った固体成分を乾燥し、改質セルロースを得る。
次に非酸素雰囲気下として真空下400℃にて加熱処理を行う。
このようにして得た吸着材のナトリウム含有量は、6.5mass%であった。
これを、真空断熱材1に適用した場合の断熱性能の経時変化を確認した。
吸着デバイス2を使用しない真空断熱材に比べて、経時的な真空断熱材の内部圧力変化が約1/2に低減し、経時断熱性能も改善された。
更に、気体吸着材5の作製方法の影響を確認した。
まずは、セルロースと酢酸ナトリウムを粉同士の状態で混合し、上記と同様に加熱処理を行った。なお、加熱処理後の吸着材のナトリウム含有量が上記とほぼ同じとなるよう、混合割合を調整した。
このようにして得た吸着材の吸着量は、上記に比べて化学吸着が大幅に減り、真空断熱材においても経時断熱性能の改善はほとんど確認できなかった。よって、セルロースを、金属水溶液での含浸処理、固液分離、乾燥を経て改質セルロースとする工程が酸素吸着能力の向上のためには望ましいと考える。
(実施例3)
金属塩として酢酸カリウムを使用した。
酢酸カリウムを水に溶解して2mol/Lの水溶液とし、これにセルロースを入れ、攪拌する。
攪拌後、ろ過によって固体成分と液体成分を分離する。
ろ紙上に残った固体成分を乾燥し、改質セルロースを得る。
次に非酸素雰囲気下として真空下450℃にて加熱処理を行う。
このようにして得た吸着材のカリウム含有量は、6.2mass%であった。
これを、真空断熱材1に適用した場合の断熱性能の経時変化を確認した。
吸着デバイス2を使用しない真空断熱材に比べて、経時的な真空断熱材の内部圧力変化が約1/2に低減し、経時断熱性能も改善された。
更に気体吸着材5の作製時の洗浄の影響を確認した。
上記は洗浄を行っていないが、洗浄を行うと、洗浄に使用する水の量が増すにつれて、吸着材中の金属量が減っていくことと、それに伴って化学吸着量が減り、真空断熱材においても経時断熱性能が改善しなくなることを確認した。
洗浄に使用する水の量が、含浸処理時の液量の倍量以下までは、化学吸着が確認できたが、それを超えると金属量は0.1mass%にも満たなくなり、ほぼ物理吸着のみになってしまい、断熱性能も改善されなかった。よって、洗浄に使用する水の量は、含浸処理時の液量の倍量以下にするのが望ましいと考える。
(実施例4)
金属塩として炭酸カリウムを使用した。
炭酸カリウムを水に溶解して0.5mol/Lの水溶液とし、これにセルロースを入れ、常温で攪拌する。
攪拌後、遠心分離によって固体成分と液体成分を分離する。
含浸時に使用した容器の壁面に残ったセルロースを洗い流すのに必要な最低限の水量で洗浄を行う。
沈殿を乾燥し、改質セルロースを得る。
次に非酸素雰囲気下として窒素還流下で450℃にて加熱処理を行う。
このようにして得た吸着材のカリウム含有量は、3.6mass%であった。
これを、真空断熱材1に適用した場合の断熱性能の経時変化を確認した。
吸着デバイス2を使用しない真空断熱材に比べて、経時的な真空断熱材の内部圧力変化が約1/2に低減し、経時断熱性能も改善された。
なお、実施例に挙げた金属塩以外のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩でも同様に作製と評価を実施したが、いずれも優れた吸着能力を有することがわかった。なお、酢酸塩のほうがより高い吸着能力を有することから、真空断熱材への適用時には、吸着材の使用量の低減が可能となるため、酢酸塩を使用するほうがより望ましいと考える。
(比較例1)
セルロースを非酸素雰囲気下として真空下400℃で加熱処理を行った。
この吸着材は、酸素を物理吸着するのみであり、真空断熱材に適用した場合においても、吸着材を適用しない構成に対して経時断熱性能は改善しなかった。
(比較例2)
金属塩として水酸化ナトリウムを使用した。
水酸化ナトリウムを水に溶解して1mol/Lの水溶液とし、これにセルロースを入れ、常温で攪拌する。
攪拌後、ろ過によって固体成分と液体成分を分離する。
含浸時に使用した容器の壁面に残ったセルロースを洗い流すのに必要な最低限の水量で洗浄を行う。
ろ紙上に残った固体成分を乾燥し、改質セルロースを得る。
次に非酸素雰囲気下として真空下400℃にて加熱処理を行う。
このようにして得た吸着材のナトリウム含有量は、6mass%であった。
減圧下における吸着量が小さいため、真空断熱材への適用時には使用量を増やす必要があり、減圧下において使用する用途にはあまり適していない。
さらに、水酸化ナトリウムは劇物であるため、安全性に問題があるとともに、ろ過の速度が実施例に使用した金属塩に比べて10倍以上遅く、作業性の面からも、吸着材の原料として使用するには不向きであると考える。水酸化カリウムでも同様のことが言える。
(比較例3)
金属塩として硝酸ナトリウムを使用した。
硝酸ナトリウムを水に溶解して1mol/Lの水溶液とし、これにセルロースを入れ、常温で攪拌する。
攪拌後、ろ過によって固体成分と液体成分を分離する。
ろ紙上に残った固体成分を乾燥し、改質セルロースを得る。
次に非酸素雰囲気下として窒素雰囲気下400℃にて加熱処理を行う。
この吸着材は加熱処理後、大気中で取り出すと、大気中の酸素と激しく反応し、燃えてしまったために、ナトリウム含有量と吸着量の評価が不可能であった。
なお、硝酸塩はそれ自身が消防法の危険物であるため、安全性に問題があるとともに、加熱処理後に燃えてしまう傾向があるため、非常に取り扱い性が困難であり、吸着材の原料として使用するには不向きであると考える。
(比較例4)
金属塩として塩化ナトリウムを使用し、比較例2同様に吸着材を作製した。
この吸着材のナトリウムの含有量は6.6mass%であった。
金属含有量は多いものの、比較例1同様、真空断熱材に適用した場合においても、吸着材を適用しない構成に対して経時断熱性能は改善しなかった。なお、他の金属の塩化物においても同様の傾向があり、塩化物は適さないことがわかった。
(比較例5)
金属塩として硫酸マグネシウムを使用し、比較例3同様に吸着材を作製した。
この吸着材のマグネシウムの含有量は7.7mass%であった。
金属含有量は多いものの、真空断熱材に適用した場合においても、吸着材を適用しない構成に対して経時断熱性能は改善しなかった。なお、他の金属の硫酸塩においても同様の傾向があり、硫酸塩は適さないことがわかった。
本発明にかかる真空断熱材は、経時断熱性能に優れる。このため、非常に長い間断熱性能が要求される建物への使用が可能である。また、建物以外にも電車、自動車等の乗り物等、断熱を必要とする空間を形成する壁面等への適用も可能である。また、冷蔵庫のような保冷機器や、電気湯沸かし器、炊飯器、保温調理器、給湯器等の保温機器に使用すれば長期に渡って優れた省エネ効果を示す。また、省スペースで高い断熱性能が要求されるようなノート型コンピューター、コピー機、プリンター、プロジェクター等の事務機器への適用も可能である。また、コンテナボックスやクーラーボックス等の保冷が必要な用途への適用も可能である。
本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図 同実施の形態における真空断熱材に用いた吸着デバイスの開封前の状態を示す概略断面図 同実施の形態における真空断熱材に用いた吸着デバイスの開封後の状態を示す概略断面図
符号の説明
1 真空断熱材
2 吸着デバイス
3 外被材
4 芯材
5 気体吸着材
6 水分吸着材
7 容器
8 仕切り
9 突起物(開封手段)

Claims (6)

  1. 芯材と吸着デバイスとがガスバリア性の外被材内に減圧密封されている真空断熱材であって、
    前記吸着デバイスは、気体吸着材と、水分吸着材と、気体難透過性素材からなる容器とからなり、前記容器は内部が通気性を調節可能な仕切りにより少なくとも2つ以上の空間に仕切られており、前記気体吸着材と前記水分吸着材はそれぞれ前記容器の異なる空間に収容されているものであり、
    前記気体吸着材が、少なくとも、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩と、セルロースとの混合物を、非酸素雰囲気下にて加熱処理することにより得られる物質からなる吸着材であることを特徴とする真空断熱材。
  2. 遠隔操作により、水分吸着材が収容されている空間を形成している容器を開封する開封手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材。
  3. 前記気体吸着材が、0.1mass%以上のアルカリ金属またはアルカリ土類金属成分を有することを特徴とする請求項1または2に記載の真空断熱材。
  4. 前記混合物が、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩の水溶液で前記セルロースを含浸処理後、固液分離、乾燥を経て得られることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  5. 前記混合物が、前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩または炭酸塩の水溶液で前記セルロースを含浸処理後、固液分離、洗浄、乾燥を経て得られ、かつ、前記固液分離工程において、洗浄に使用する水の量が、含浸処理時の液量の倍量以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  6. 前記加熱処理工程が、300℃以上600℃以下の温度条件で行われることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の真空断熱材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015098907A (ja) * 2013-11-19 2015-05-28 旭ファイバーグラス株式会社 真空断熱材

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