JP2009262523A - 平版印刷版原版および製版方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザーによる画像記録が可能であり、点状の汚れが抑制され、耐刷性と保存性とをともに優れたレベルに維持することが可能な平版印刷版原版を得る。
【解決手段】陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に少なくとも重合性画像記録層を有する平版印刷版原版であって、陽極酸化皮膜のマイクロポアの平均径が30nm以上200nm以下であり、かつ、支持体上に設けられたすべての層に含まれるハロゲン化物イオンの合計が5μmol/m以下であることを特徴とする平版印刷版原版。前記画像記録層が、(A)増感色素、(B)重合開始剤、および(C)重合性化合物を含有することが好ましい。また、この平版印刷版原版の製版方法としては、機上現像またはガム現像が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版原版に関する。詳しくは、レーザーによる画像記録が可能であり、機上現像またはガム現像が可能な平版印刷版原版に関する。
一般に、平版印刷版原版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と油性インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルム等の原画を通した露光を行った後、画像部となる画像記録層を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解して除去することで親水性の支持体の表面を露出させる方法により製版を行って、平版印刷版原版を得ている。
従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液等によって溶解除去する工程が必要であるが、このような付加的に行われる湿式処理を不要化しまたは簡易化することが課題の一つとして挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっているので、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
これに対して、簡易な製版方法の一つとして、平版印刷版原版の画像記録層の除去を通常の印刷工程の中で行えるような画像記録層を用い、露光後、印刷機上で非画像部に対応する画像記録層を除去し平版印刷版を得る、機上現像と呼ばれる方法が提案されている。
機上現像の具体的方法としては、例えば、湿し水、インキ溶剤または湿し水とインキとの乳化物に溶解しまたは分散することが可能な画像記録層を有する平版印刷版原版を用いる方法、印刷機のローラー類やブランケット胴との接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法、湿し水、インキ溶剤等の浸透によって画像記録層の凝集力または画像記録層と支持体との接着力を弱めた後、ローラー類やブランケット胴との接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法が挙げられる。
また、簡易な製版方法のもう一つの方法として、現像処理工程における画像記録層不要部分の除去を、従来の高アルカリ性現像液に替えて、従来アルカリ現像の後に施されていたフィニッシング処理用のガム液で行うガム現像と呼ばれる方法も提案されている。
なお、本発明においては、特別な説明がない限り、「現像処理工程」とは、印刷機以外の装置(通常は自動現像機)を使用し、液体(通常はアルカリ性現像液)を接触させることにより、平版印刷版原版の赤外線レーザー未露光部分を除去し、親水性支持体表面を露出させる工程を指し、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は印刷インキおよび/または湿し水)を接触させることにより、平版印刷版原版の赤外線レーザー未露光部分を除去し、親水性支持体表面を露出させる方法および工程を指す。
上記「現像処理工程」を経る処理のうち、現像液としてガム液を使用する現像を特に「ガム現像」と呼ぶ。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。したがって、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述したように、近年、製版作業の簡素化、乾式化および無処理化は、地球環境への配慮とデジタル化への適合化との両面から、従来にも増して、強く望まれるようになってきている。
上述の要望に適応した平版印刷版原版として、光または熱重合性の画像記録層を有する機上現像型の平版印刷版原版などが用いられる。これらの平版印刷版原版では、アルカリ現像液を使用せずに印刷インキや湿し水を用いた機上現像またはガム現像などの温和な条件で未露光部分を除去するため、未露光部分が完全に除去しきれずに微小の画像記録層が残存する場合があった。この微小の画像記録層の残存は結果として印刷物の微小点状汚れを引き起こすため実用上の大きな問題となり、この改善が重要な技術課題の一つとなっている。
平版印刷版に用いられるアルミニウム支持体(以下、単に「平版印刷版用支持体」ともいう。)の表面は、非画像部を担うように使用されるために親水性および保水性が優れていることや、その上に形成される画像記録層との密着性が優れていることなど、相反する種々の性能が要求される。平版印刷版用支持体は、表面の親水性が低すぎると、印刷時に非画像部にインキが付着するようになり、ブランケット胴の汚れ、ひいてはいわゆる地汚れが発生する。すなわち、耐汚れ性が悪くなる。また、表面の保水性が低すぎると、印刷時に示し水を多くしないとシャドー部のつまりが発生するなどの不都合が生じる。また、画像記録層との密着性が低すぎると、画像記録層がはがれやすくなり、印刷枚数が多い場合の耐久性(耐刷性)が悪化する。
そこで、耐汚れ性や、耐刷性などの各種性能を向上させるために、例えば、粗面化したアルミニウム板を陽極酸化処理して陽極酸化皮膜を形成する方法が提案されている。(特許文献1参照。)。
ここで、上記特許文献1に記載の発明は、マイクロポアの開口径を大きくし、数を増やし、画像記録層をマイクロポア中に僅かに取り込むことで発現するアンカー効果により、平版印刷版用支持体表面と画像記録層との密着性を向上させることを狙っている。
しかしながら、このようなアンカー効果を利用した場合には、耐刷性は向上するものの、非露光部においても画像記録層がマイクロポア中から除去しにくいことから、現像後においても非画像部において画像記録層が残存する場合があり、特に、平版印刷版原版を高温・高湿度条件で長期間保存した場合において前記の微小点状汚れが発生しやすくなり、製品として耐汚れ性が悪くなることがあった。
この課題を改善するため、例えば現像促進作用のある化合物の添加が提案されている。(例えば、特許文献2参照)この技術は、現像性の向上により微小の画像記録層の残存をある程度まで抑制することが可能であるが、高温・高湿度条件で長期間保存した際の性能は、条件によっては不足する場合があった。現像促進作用のある化合物の添加量を増加させることにより、微小の画像記録層の残存を抑制する効果は向上するが、耐刷性が低下するという問題があった。このように、微小の画像記録層の残存抑制という課題に対して、耐刷性と保存性とをともに優れたレベルに維持するという点では未だ不十分であるのが実情であり、その改善が望まれていた。
特開2000−263959号公報 特開2001−171250号公報
本発明の目的は、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に少なくとも画像記録層を有する平版印刷版原版において、微小の画像記録層の残存という課題に対して、耐刷性と保存性とをともに優れたレベルに維持することが可能な、新規な平版印刷版原版、並びにそれを用いた製版方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に少なくとも画像記録層を有する平版印刷版原版において、リン酸を含有する水溶液により陽極酸化処理を施されたアルミニウム支持体上の各層に含まれるハロゲン化物イオンの合計を0μmol/m2以上5μmol/m2以下に制御することによって、微小の画像記録層の残存抑制という課題に対し、耐刷性と保存性とをともに優れたレベルに維持できる平版印刷版原版が得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に少なくとも重合性画像記録層を有する平版印刷版原版であって、リン酸を含有する水溶液により陽極酸化処理を施されたアルミニウム支持体上に設けられたすべての層に含まれるハロゲン化物イオンの合計が5μmol/m以下であることを特徴とする平版印刷版原版。
2.前記アルミニウム支持体における陽極酸化皮膜のマイクロポアの平均径が30nm以上200nm以下であることを特徴とする前記1に記載の平版印刷版原版。
3.前記画像記録層が、(A)増感色素、(B)重合開始剤、および(C)重合性化合物を含有することを特徴とする前記1または2に記載の平版印刷版原版。
4.前記画像記録層が、さらに、バインダーポリマーを含有することを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の平版印刷版原版。5.前記(A)増感色素が赤外線吸収剤であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の平版印刷版原版。
6.前記画像記録層が、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能であるか、あるいはガム液により除去可能であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の平版印刷版原版。
7.前記1〜6のいずれかに記載の平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光した後に印刷機に装着するか、印刷機に装着した後に赤外線レーザーにより画像露光し、印刷インキと湿し水とを供給して機上現像処理を行い、印刷することを特徴とする製版方法。
8.前記1〜6のいずれかに記載の平版印刷版原版を画像様に露光する工程と、露光後の平版印刷版原版をガム液で現像することにより平版印刷版原版の未露光部分を除去する現像工程とを有することを特徴とする平版印刷版原版の製版方法。
本発明では、リン酸を含有する水溶液により陽極酸化処理を施されたアルミニウム支持体上の各層に含まれるハロゲン化物イオンの合計を上記範囲にすることにより、微小の画像記録層の残存を抑制し、耐刷性と保存性とをともに優れたレベルに維持するという課題を達成できた。この作用機作の詳細は明らかではないが、以下がその要因のひとつと推定される。
平版印刷版原版上にハロゲン化物イオンが一定の量を超えて存在する場合、一般にハロゲン化物イオンは金属の腐食を加速させることから、高温・高湿条件では基板の腐食が顕著になり、基板に孔食が起きるなど基板の表面の状態が変化することがある。このような変化が起きた場合には、製造直後に比べて画像記録層が残存しやすくなり、印刷時の汚れとして検出される。本発明の好ましい態様である、機上現像用またはガム現像用平版印刷版原版においては、アルカリ現像液を使わないことから非露光の画像記録層の除去性が、従来の平版印刷版原版に比べて低くなることから、このような経時変化の影響が特に顕著になる傾向がある。本発明においては、支持体上の各層に含まれるハロゲン化物イオンの量を制御することでこのような劣化の進行が遅くし、結果として微小な画像記録層の残存を抑制できていることが推定される。また、本発明においては、ハロゲン化物イオンの量を減少させることにより高温・高湿条件での微小な画像記録層の残存を抑制する上記の効果が、陽極酸化皮膜のマイクロポアの平均径が本発明に規定した特定の範囲にある場合において顕著に向上する。さらに、驚くべきことに、リン酸を含有する水溶液により陽極酸化処理を施されたアルミニウム支持体を使用することにより、微小な画像記録層の残存をさらにいっそう抑制することが可能となり、当業者の従来の知見からは予想することができない、驚くべき効果を見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、微小の画像記録層の残存による点状の汚れが抑制され、保存性とをともに優れたレベルに維持することが可能な平版印刷版原版を得ることができる。
[平版印刷版原版]
本発明の平版印刷版原版は、リン酸を含有する水溶液により陽極酸化処理を施されたアルミニウム支持体上の各層に含まれるハロゲン化物イオンの合計を0μmol/m以上5μmol/m以下に制御することを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔アルミニウム支持体〕
本発明に用いるアルミニウム支持体は、リン酸を含有する水溶液により陽極酸化処理を施された陽極酸化皮膜を有することを特徴とする。
本発明において最も好適な支持体としてのアルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、またはアルミニウム(合金)がラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユーザーの希望により適宜変更することができる。このようなアルミニウム支持体には、後述の支持体表面処理が施される。
(機械的粗面化)
機械的粗面化処理としては、所望の毛径を有する回転するナイロンブラシロールと、支持体表面に供給される研磨剤を含むスラリー液により、アルミニウム支持体表面を機械的に粗面化処理することができる。研磨剤としては公知の物が使用できるが、珪砂、石英、水酸化アルミニウムまたはこれらの混合物が好ましい。この処理方法は、特開平6−135175号公報、特公昭50−40047号公報に詳しく記載されている。この他にも、スラリー液を吹き付ける方式、ワイヤーブラシを用いた方式、凹凸を付けた圧延ロールの表面形状を金属基体表面に転写する方式などを用いてもよい。この中でも、表面形状を転写する方式としては、例えば、特開平7−205565号公報の段落番号[0004]に記載の方法を用いることができる。これらの機械的粗面化処理は、単独あるいは組合わせて用いることもできる。機械的粗面化処理後の中心線平均粗さRaは0.1〜1μmの範囲に制御することが好ましい。
なお、機械的粗面化後に、電解研磨処理や化学エッチング処理を施す場合、電気化学的粗面化処理を施す場合には、粗面化状態がそれぞれ変化するため、機械的粗面化においては、その変化を考慮して中心線平均粗さRaを制御することが好ましい。
(酸性水溶液中での電解研磨処理、または、酸またはアルカリ水溶液中での化学的エッチング処理)
上記の機械的粗面化によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解し、滑らかなうねりを持つ表面を得て、汚れ性能がよい印刷版を得る目的でおこなう。このときの金属基体の溶解量は3〜20g/m2が好ましい。
エッチング方法は浸漬でもよいし、スプレーでエッチング液を吹き付けてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。
電解研磨処理または化学的エッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないために、また、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するためにニップローラーによる液切りとスプレーによる洗浄を行うことが好ましい。スプレーによる洗浄には、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等の酸が用いられる。
(硝酸または塩酸を主体とする水溶液中での、直流または交流を用いた電気化学的粗面化処理)
平均直径約0.5〜20μmのクレーターまたはハニカム状のビットを金属基体表面に30〜100%の面積率で生成する目的で行われる。かかる処理は、印刷版の非画像部の汚れにくさと耐刷力を向上する作用を有する。
この方法に適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。更に具体的には、0.1〜50質量%の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流および/または直流電解を行うことが好ましい。なお、電気化学的粗面化処理において、使用電気量の調整によっても、支持体表面の中心線平均粗さRaを制御することができる。
(酸性水溶液中での電解研磨処理、または、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッチング処理)
上記の電気化学的粗面化で生成した、スマット成分の除去と、生成したビットのエッジ部分を滑らかにし、印刷版としたときの汚れ性能を良化させる目的で行われる。好ましくは、特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法、および、特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。支持体の溶解量は、0.05〜5g/m2の範囲であることが好ましく、0.1〜3g/m2の範囲であることがより好ましい。
本発明の平版印刷版原版においては、以下に示す陽極酸化処理がなされることを特徴とする。
(陽極酸化処理)
本発明においては、リン酸を主成分とする電解浴を用いる。リン酸を主成分とする電解浴を用いた陽極酸化処理には、硫酸、リン酸、シュウ酸もしくは硼酸/硼酸ナトリウムが含有されていてもよい。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には、第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度が好ましい。
陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、処理液の濃度については、好ましくは30〜500g/リットル、より好ましくは50〜300g/リットルであり、処理液温10〜70℃、好ましくは25〜40℃で、電流密度0.1〜40A/m、好ましくは5〜10A/mの範囲で、処理時間は2〜300秒、より好ましくは5〜60秒の範囲で直流または交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の量は、好ましくは0.5〜5.0g/mの範囲であり、より好ましくは1.0〜2.5g/mの範囲であり、特に好ましくは1.2〜1.8g/mの範囲である。
また、陽極酸化皮膜に形成されるマイクロポアのポア径は、上記処理条件によって決定されるが、本発明においては、マイクロポアのポア径が好ましくは30nm以上200nm以下、より好ましくは、40nm以上150nm以下、特に好ましくは、50nm以上100nm以下、の範囲に入るように処理条件が選択される。マイクロポアのポア径が、200nm以下になることで、印刷の際に、ブランケットの非画像部に相当する部分に、印刷インキが付着せず、しいては非画像部に汚れの全くない良好な印刷物を得ることができる。マイクロポアのポア径が30nm以上になることで、十分な耐刷性を示すようになる。
前記支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケートまたはポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、またはP元素量として2〜40mg/m2、より好ましくは4〜30mg/m2で形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、またはポリビニルホスホン酸が1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
前記親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩もしくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩もしくは、第IVB族金属塩は単独または2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理および親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
〔ハロゲン化物イオン〕
本発明の平版印刷版原版は、必須成分として、支持体上に少なくとも画像記録層を有し、必要により画像記録層以外の他の任意の層(例えば、下塗り層、保護層など)を有することができ、この支持体上の各層に含まれるハロゲン化物イオンの合計を0ないし5.0μmol/m2であることを特徴とする。
ここでいう、支持体上の各層に含まれるハロゲン化物イオンの合計とは、支持体上の全層に含まれるフッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、およびヨウ化物イオン(I)のモル数を合計したものを表す。
支持体上の各層に含まれるハロゲン化物イオンの合計は、好ましくは0ないし4.0μmol/m、さらに好ましくは0ないし3μmol/m、特に好ましくは0ないし2.0μmol/mである。
ハロゲン化物イオン濃度を上記範囲とする方法としては、(1)ハロゲン化物イオンを含まない構造の化合物を使用する、(2)各化合物や調製用の溶剤中に、不純物や対イオンとして含有されるハロゲン化物イオンを可能な限り低減する、および、(3)基板表面に付着したハロゲン化物イオンを十分洗浄する、などの手段が挙げられる。
(1)の方法としてより具体的には、バインダーポリマー、増感色素、重合開始剤、感脂化剤、現像促進剤、重合性化合物、下塗り化合物、界面活性剤、着色剤、保護層用バインダー、層状化合物、低分子親水性化合物、本発明の特定化合物などの添加剤について、例えば以下の方法によりハロゲン化物イオンをなくすことができる。
対イオンとしてハロゲン化物イオンが含まれる場合には、ハロゲン化物イオン以外の対イオンをあらかじめ用いるか、一旦ハロゲン化物イオンを対イオンとする化合物を製造した後に、塩交換、イオン交換などの方法により、ハロゲン化物イオン以外のイオンに置換することができる。あるいは、オニウム型(アンモニウム、スルホニウム、アジニウム、ヨードニウム、ホスホニウム)などのイオン型の化合物(例えば、重合開始剤、増感色素、感脂化剤、塩構造の低分子親水性化合物(現像促進剤)、など)を用いる代わりに、非イオン型の代替化合物を用いてもよい。
(2)の方法としてより具体的には、不純物、副生成物、あるいは、製造時の触媒の残渣などとしてハロゲン化物イオンが含まれる場合には、再結晶、再沈殿、イオン交換、塩交換、イオン交換、透析、逆浸透法、カラムクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、吸着(シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、ハイドロタルサイト、その他の吸着剤など)、洗浄、昇華、蒸留などの方法で除去する方法が好ましく用いられるほか、反応時の溶媒、原料、装置などに起因するハロゲン化物イオンの量を低減させることもまた有効である。
硝酸銀溶液を添加するなどの方法により、ハロゲン化物イオンを難溶解性塩として沈殿させ、これを除去する方法もまた好ましく用いられる。
本発明におけるハロゲン化物イオンの濃度は、従来公知の方法で測定することができるが、具体的には、例えば、イオンクロマトグラフィー法で定量する方法、硝酸銀水溶液 で滴定する方法などの測定手法を目的により選択すればよい。
このような測定方法で検出されたハロゲ化物ンイオン濃度が上記範囲である場合、本発明の平版印刷版原版であることになる。また、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に複数の層が塗布されたものであり、複数の層全体としてのハロゲン化物イオン濃度が上記の範囲である必要がある。
個別の素材および層全体のハロゲン化物イオン濃度の測定は、次のようにして行うことができる。
(ハロゲン化物イオン濃度の測定方法)
(1)素材(例えばイオン系界面活性剤およびバインダーポリマー)中のハロゲン化物イオン測定試料の作製
試料3.0gを100mlビーカーに取り、溶媒60mlを加えた後、超音波を30分間照射した。溶媒は、試料が完全に溶解するように、イオン交換水またはイオン交換水に有機溶媒、例えばメタノール、MFG(2−メトキシ−1−プロパノール)などを加えた混合溶媒から選択する。
(2)平版印刷版原版の基板上の全層からのハロゲン化物イオン測定試料の作製
平版印刷版原版1500mをメタノール1Lに浸漬して基板上の各層からハロゲン化物イオンを溶出させた後、減圧にて溶媒を除去し、更にイオン交換水8mlを加えた後、超音波を30分間照射した。
ODS前処理ディスクを通した後にイオン交換水を加え、全量を10mlとした。
(3)イオンクロマトグラフィー
上記(1)および(2)記載の方法により作製した試料について、東ソー製LC-8020イオンクロマトグラフィー装置(カラム:東ソー製IC-Anion-PW、移動層:東ソー製アニオン標準溶離液、温度:35℃、流速:1.2ml/min)を用いて、ハロゲン化物イオンを定量した。平版印刷版原版から抽出した試料については1mあたりに換算を行った。
本発明の特定のアルミニウム支持体上に塗布した各層中のハロゲン化物イオンの合計を上記範囲内にすることにより、耐刷性に優れ、更に、高音高湿条件で保存しても、汚れが発生しない経時安定性に優れた平版印刷版原版が得られる。
〔特定酸化合物〕
本発明は下塗り層および画像記録層の少なくとも一方に、下記一般式(1)で表される化合物(以下、特定酸化合物とも称する)を含有していてもよい。
Figure 2009262523
式中、Xは、炭素原子数1〜30を含む脂肪族もしくは芳香族炭化水素、炭素原子数1〜30および窒素原子数1〜8を含む脂肪族アミン、炭素原子数1〜30および酸素原子数1〜10の脂肪族エーテルならびに炭素原子数1〜30を含む複素環化合物から選ばれる化合物からn個の水素原子を除いたn価の基を表す。Xで表される基は、さらに置換基を有してもよい。Yは−COOM、−OP=O(OM)、または、−P=O(OM)を表し、Mは水素原子または対カチオンを表す。nは1〜20の整数を表す。
Xが脂肪族炭化水素からの基を表すとき、炭素原子数は1〜20がより好ましく、特に好ましくは1〜16である。
上記脂肪族炭化水素の好ましい例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、2−エチルヘキサン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、アセチレン、メチルアセチレンなどを挙げることができる。
Xが芳香族炭化水素からの基を表すとき、炭素原子数は6〜20が好ましく、6〜18がより好ましく、特に好ましくは6〜12である。
上記芳香族炭化水素の好ましい例としては、ベンゼン、ナフタレンが挙げられる。なかでも好ましいXとしては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
Xが炭素原子数1〜30および窒素原子数1〜8を含む脂肪族アミンからの基を表すとき、炭素原子数は1〜20および窒素原子数1〜5がより好ましい。
上記脂肪族アミンの好ましい例として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、1,2−ビス(ジメチルアミノ)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノプロパン、 N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、 N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ジメチルアミノエチル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、1,2−ビス[(2−ジメチルアミノエチル)オキシ]エチレン、などが挙げられる。
なかでも好ましいXとして、上記アミン分子中の各メチル基から1個の水素原子を除いた残基を挙げることができる。
Xが炭素原子数1〜30および酸素原子数1〜10の脂肪族エーテルからの基を表すとき、脂肪族エーテルとしてはオキシエチレン基を有する化合物が好ましい。このようなエーテルとしては、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールのアルキルメチルエーテルもしくはアルキルエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルの飽和もしくは不飽和脂肪酸エステルなどが好ましいものとして挙げられる。
なかでも好ましいXとして、上記アルキルメチルエーテルもしくはアルキルエチルエーテルのメチル基もしくはエチル基から1個の水素原子を除いた1価の基が挙げられる。
Xが複素環化合物からの基(複素環基)を表すとき、3〜8員環であることが好ましく、3〜6員環であることがさらに好ましく、5〜6員環であることが特に好ましい。また、複素環を構成するヘテロ原子の種類としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含むことが好ましい。
好ましい複素環基の例としては、ピロリニル、フラニル、チオフェニル、ベンゾピロリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ピラゾリニル、イソキサゾリニル、イソチアゾリニル、インダゾリニル、ベンゾイソキサゾリニル、ベンゾイソチアゾリニル、イミダゾリニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、ベンズイミダゾリニル、ベンズオキサゾリニル、ベンゾチアゾリニル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、アシリジニル、フェナントリジニル、カルバゾリニル、プリニル、ピラニル、ピペリジニル、ピペラジリニル、モルホリニル、インドリニル、インドリジニル、シンノリニル、アクリジニル、フェノチアジニル、テトラゾリニル、トリアジニル、などが挙げられる。
Xで表される基は更に1個または複数個の置換基を有することができる。
置換基の例としては、カルボン酸エステル基(例えば、カルボン酸アルキルエステル基として、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プルピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、2−ヒドロキシエトキシカルボニル、2−メトキシエトキシカルボニル、アルコキシポリ(エチレンオキシ)カルボニル、アシルアミノポリ(エチレンオキシ)カルボニルなど、カルボン酸アリールエステル基として、フェノキシカルボニルなど)、直鎖、分岐または環状のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシルなど)、アリール基(フェニルなど)、アルキニル基、複素環基、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−Iなど)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、スルホ基、スルホナート基、
アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、
アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、
ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))およびその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))およびその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、
アルコキシシリル基、シアノ基、ニトロ基、オニウム基〔好ましくは、周期律表第V族あるいは第VI族の原子からなるオニウム基であり、より好ましくはアンモニウム、ホスホニウムあるいはスルホニウムであり、特に好ましくはアンモニウムである。オニウムの対カチオンとしては任意のものを選択できるが、好ましい例としては、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなど)、硫酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなど)、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウ酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンなどを挙げることができる。〕などが挙げられる。これらの基は組み合わされて複合置換基を形成していてもよい。
一般式(1)におけるYは、−COOM、−OP=O(OM)、または、−P=O(OM)を表し、Mは水素原子または対カチオンを表す。nは1〜20の整数を表す。より好ましくは、nは2〜10である。nが2以上であるとは、1分子中にYで表される基が複数個存在していることを示している。Mは水素原子、または電荷を中和するに必要な対イオンを表す。Mは1価以外の価数を有するカチオン種であってもよく、対カチオンが複数種存在する複塩であってもよい。特にYが−COOMであり、Mが水素原子の化合物が好ましい。
Mとしては水素原子、または任意のカチオン種を選択することができるが、好ましい例としては、水素原子、アルカリ金属イオン(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、2族の金属イオン(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど)、その他の金属イオン(アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛など)、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン(メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ピリジニウム、モルホリニウム、グアニジニウムなど)、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを挙げることができる。更に好ましくは、水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、または、有機アンモニウムイオンであり、特に好ましくは、水素原子、ナトリウムイオン、カリウムイオンである。
以下に、一般式(1)で表される化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
本発明における特定化合物を下塗り層および画像記録層の少なくとも一方に含有させる方法としては、種々の方法が選択されうる。
すなわち、水、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの有機溶剤、それらの混合溶剤、あるいはこれら有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明における特定化合物を少なくとも含むように溶解させた溶液を下塗り層または、画像記録層として塗布、乾燥して設ける方法を好ましい例として用いることができる。
また、水、メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤、それらの混合溶剤、あるいはこれら有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明における特定化合物を少なくとも含むように溶解させた溶液に支持体を浸漬し、必要により適切な溶媒などによって洗浄を行った後に、乾燥して下塗り層を設ける方法も選択できる。
前者の方法では、特定化合物の濃度が、好ましくは0.005〜20質量%、更に好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.05〜5質量%の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。
また、後者の方法では、特定化合物の濃度は0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5質量%である。また、浸漬温度は、20〜90℃が好ましく、より好ましくは25〜50℃であり、また、浸漬時間は0.1秒〜20分が好ましく、より好ましくは2秒〜1分である。
また、上記の方法に用いられる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルスルホン酸などの有機ホスホン酸、安息香酸、フマル酸、リンゴ酸、サリチル酸などの有機カルボン酸など種々有機酸性物質等によりpHが調整されていてもよい。この場合、溶液のpHは、0〜12が好ましく、より好ましくはpH=1〜10の範囲である。
本発明の平版印刷版原版において、本発明における特定化合物は1種のみ用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明における特定化合物は下塗り層と画像記録層の少なくとも一方に含まれていればよいが、その添加量および種類は、適宜任意の組み合わせを選択することができる。
本発明における特定化合物の乾燥後の添加量は、1〜100mg/mが好ましく、更に好ましくは2〜50mg/mであり、特に好ましくは4〜30mg/mである。被覆量が1mg/mよりも少ないと、本発明の効果が十分に得られない場合がある。また、100mg/mより多くても同様である。
〔画像記録層〕
本発明の画像記録層は、前述のように本発明の特定化合物を含んでよい。以下では特定化合物以外の構成成分などについて説明する。
本発明の画像記録層は、(A)増感色素、(B)重合開始剤、および(C)重合性化合物を含有することが好ましく、更にバインダーポリマーを含有することが更に好ましく、更に、マイクロカプセルまたはミクロゲルを含有することが特に好ましい。さらに必要に応じて他の成分を含有することができる。
また、本発明の画像記録層は、上記のような成分で構成される機上現像またはガム現像可能な画像記録層であることが好ましい。
<(A)増感色素>
本発明の画像記録層に用いられる増感色素としては、画像露光に使用する光源の波長、用途等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。例えば、赤外線吸収剤や、350nm〜450nmの光を吸収する増感色素等が好ましく挙げられる。
本発明に用いられる増感色素がカチオン性化合物である場合には、対イオンとしてハロゲン化物イオンを有さないものを使用することが好ましい。
(赤外線吸収剤)
赤外線吸収剤は、赤外線レーザーに対する感度を高めるために用いられる成分である。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料であるのが好ましい。
染料としては、市販の染料および例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号に記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)に記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載のピリリウム系化合物、特開昭59−216146号に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に記載のピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、上記赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009262523
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(i)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009262523
一般式(i)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1または下記構造式(ia)で示される基を表す。X2は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環基またはヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同義である。Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基またはハロゲン原子を表す。
Figure 2009262523
1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。画像記録層塗布液の保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合して5員環または6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環基、ナフタレン環基が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(i)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、画像記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(i)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特開2002−278057号に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、ロソ顔料、ニトロ顔料、天然料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。この範囲で、顔料分散物の画像記録層中での良好な安定性と均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インキ製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。赤外線吸収剤はマイクロカプセルに内包させて添加することもできる。
添加量としては、画像記録層の波長760nm〜1200nmの範囲における極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で0.1〜1.5の範囲にあるように添加することが好ましく、より好ましくは、0.2〜1.2の範囲、更に好ましくは、0.3〜1.0の範囲である。この範囲で、画像記録層の深さ方向での均一な重合反応が進行し、良好な画像部の膜強度と支持体に対する密着性が得られる。
画像記録層の吸光度は、画像記録層に添加する赤外線吸収剤の量と画像記録層の厚みにより調整することができる。吸光度の測定は常法により行うことができる。測定方法としては、例えば、アルミニウム等の反射性の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの画像記録層を形成し、反射濃度を光学濃度計で測定する方法、積分球を用いた反射法により分光光度計で測定する方法等が挙げられる。
(350nm〜450nmの光を吸収する増感色素)
350nm〜450nmの光を吸収する増感色素としては、350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素が好ましい。この様な増感色素としては、例えば、下記一般式(I)に示されるメロシアニン色素類、下記一般式(II)で示されるベンゾピラン類、クマリン類、下記一般式(III)で示される芳香族ケトン類、下記一般式(IV)で示されるアントラセン類等を挙げることができる。
Figure 2009262523
式(I)中、AはS原子もしくはNR6を表し、R6は一価の非金属原子団を表し、Yは隣接するAおよび隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、X1、X2はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、あるいはX1、X2は互いに結合して色素の酸性核を形成してもよい。
Figure 2009262523
式(II)中、=Zはオキソ基、チオキソ基、イミノ基または上記部分構造式(I’)で表されるアルキリデン基を表し、X1、X2は一般式(I)と同義であり、R7〜R12はそれぞれ独立に一価の非金属原子団を表す。
Figure 2009262523
式(III)中、Ar3は芳香族基またはヘテロ芳香族基を表し、R13は一価の非金属原子団を表す。好ましいR13は芳香族基またはヘテロ芳香族基である。また、Ar3とR13が互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2009262523
式(IV)中、X3、X4、R14〜R21はそれぞれ独立に、1価の非金属原子団を表す。好ましいX3、X4はハメットの置換基定数が負の電子供与性基である。
一般式(I)から(IV)における、X1からX4、R6からR21で表される一価の非金属原子団の好ましい例としては、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、チオフェン、ピロール、フラン等)、アルケニル基(例えばビニル基、1−プロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスホノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスホナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基等が挙げられ、一価の非金属原子団のうち、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が特に好ましい。
一般式(I)におけるYが隣接するAおよび隣接炭素原子と共同して形成する色素の塩基性核としては、5、6、7員の含窒素あるいは含硫黄複素環が挙げられ、5、6員の複素環好ましい。
含窒素複素環の例としては、例えば、L.G.Brooker et al.,J.Am.Chem.Soc.,73,5326−5358(1951)および参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。具体例としては、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、ナフトチアゾール類、チアナフテノ−7’,6’,4,5−チアゾール類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、ナフトオキサゾール類、セレナゾール類、ベンゾセレナゾール類、ナフトセレナゾール類、チアゾリン類、2−キノリン類、4−キノリン類、1−イソキノリン類、3−イソキノリン類、ベンズイミダゾール類、3,3−ジアルキルインドレニン類、2−ピリジン類、4−ピリジン類等を挙げることができる。
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3−296759号公報記載の色素類におけるジチオール部分構造をあげることができる。具体例としては、ベンゾジチオール類、ナフトジチオール類、ジチオール類等を挙げることができる。
以上述べた複素環に関する説明に用いた記述は、便宜上、慣例上、複素環母骨格の名称を用いたが、増感色素の塩基性骨格部分構造をなす場合は例えばベンゾチアゾール骨格の場合は3−置換−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン基のように、不飽和度を一つ下げたアルキリデン型の置換基の形で導入される。
さらに、下記一般式(V)〜(XI)で示される増感色素も用いることができる。
Figure 2009262523
式(V)中、R1〜R14は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。但し、R1〜R10の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
式(VI)中、R15〜R32は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。但し、R15〜R24の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
Figure 2009262523
式(VII)中、R1、R2およびR3は各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、−NR45基または−OR6基を表し、R4、R5およびR6は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、k、mおよびnは各々0〜5の整数を表す。
Figure 2009262523
式(VIII)中、X1、X2はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、-CR11R12-またはNR13-を表す。但し、少なくともいずれか一方は酸素原子、硫黄原子またはNR13-である。Yは酸素原子、硫黄原子または=NR14を表す。R1〜R14はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表す。あるいはR1〜R14はそれぞれ互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成していてもよい。
Figure 2009262523
式(IX)中、A1 およびA2は各々炭素原子またはヘテロ原子を表す。Q1はA1 、A2 およびこれらに隣接する炭素原子とともに複素環を形成するのに必要な非金属原子団を表す。X1およびX2は各々シアノ基または置換カルボニル基を表すか、あるいはX1とX2とが互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 2009262523
式(X)中、Xはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表す。
Figure 2009262523
式(XI)中、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、Aは炭素数20以下のアリール基またはヘテロアリール基を表す。
350nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記一般式(XII)で表される色素である。
Figure 2009262523
式(XII)中、Aは芳香族環基または複素環基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはN−R3を表す。R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、あるいはAとR1またはR2とR3が互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。)
一般式(XII)について更に詳しく説明する。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環残基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子を表す。
1、R2およびR3の好ましい例について具体的に述べる。
1、R2およびR3として好ましいアルキル基としては、炭素原子数20までの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基が好ましく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、イソペンチル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
1、R2およびR3として好ましい置換アルキル基の置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスホノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスホナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基におけるアルキル基の例としては、前述のアルキル基と同様のものが挙げられる。これら置換基におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基等を挙げることができる。
これら置換基におけるヘテロアリール基の例としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環もしくは多環芳香族環基が挙げられ、好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チエニル基、フリル基、ピリル基、カルバゾリル基、アクリジル基等があげられ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
これら置換基におけるアルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素ならびに上記アルキル基、下記アリール基を挙げることができる。
これら置換アルキル基の置換基の内、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基、アルケニル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスホノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスホナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基等が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
上記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR1、R2およびR3で表される置換アルキル基の好ましい具体例としては、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、2−オキソエチル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、ホスフォノブチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましいアルケニル基としては、炭素数20までの直鎖状、分岐状または環状のアルケニル基が好ましく、その具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基等が挙げられる。
1、R2およびR3として好ましい置換アルケニル基としては、上記アルケニル基の炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。置換アルケニル基の好ましい具体例としては、スチリル基、シンナミル基等が挙げられる。
1、R2およびR3として好ましいアリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したもの等を挙げることができる。具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
1、R2およびR3として好ましい置換アリール基としては、上記アリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メチルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましい芳香族複素環残基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環もしくは多環芳香族複素環基が挙げられる。芳香族複素環基の例としては、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジンや等の複素環から誘導される基等を挙げれ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよい。
1、R2およびR3として好ましい置換芳香族複素環残基としては、上記芳香族複素環残基の環形成原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましいアルコキシ基およびアルキルチオ基におけるアルキル基は、前記R1、R2およびR3として好ましいアルキル基に関して記載したものと同様である。
1、R2およびR3として好ましい置換アルコキシ基および置換アルキルチオ基における置換アルキル基は、前記R1、R2およびR3として好ましい置換アルキル基に関して記載したものと同様である。
一般式(XII)におけるAで表される芳香族環基および複素環基は、各々前記R1、R2およびR3に関して記載したアリール基および芳香族複素環残基に関して記載したものと同様のものを包含する。
一般式(XII)で表される増感色素は、上述の酸性核や活性メチレン基を有する酸性核と、芳香族環または複素環との縮合反応によって得られる。具体的には、特公昭59−28329号の記載を参照して合成することができる。
以下に、一般式(XII)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については、どちらか一方の異性体に限定されるものではない。
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
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Figure 2009262523
Figure 2009262523
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増感色素について、その構造、単独使用か併用か、添加量等使用法の詳細は、平版印刷版原版の性能設計にあわせて適宜設定できる。
例えば、増感色素を2種以上併用することで、画像記録層を構成する組成物中での相溶性を高めることができる。増感色素の選択においては、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用することにより、色素の添加量を比較的少なくできるので、経済的であり、かつ画像記録層の膜物性の点からも有利である。画像記録層の感光性、解像度、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量が適宜選択される。
但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。比較的薄い膜厚の平版印刷版原版の場合には、増感色素の添加量は、画像記録層の極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で、好ましくは0.1から1.5の範囲、より好ましくは0.2から1.2の範囲、更に好ましくは0.3〜1.0の範囲となるように設定する。通常、画像記録層の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
<(B)重合開始剤>
本発明に用いられる重合開始剤としては、光、熱あるいはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物を示す。本発明に使用できる重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができ、本発明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物は、熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。本発明に係る熱ラジカル発生剤としては、公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることとができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独または2種以上を併用して用いることができる。重合開始剤としてイオン性化合物を使用する場合には、ハロゲン化物イオンを有さない化合物を使用する必要がある。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、有機ハロゲン化物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸塩化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、が挙げられる。
上記有機ハロゲン化物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の各公報、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」等に記載の化合物が挙げられ、特に好ましいものとして、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基が結合したs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−フルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,6−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,6−ジブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−クロロ−4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−シアノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−アセチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−エトキシカルボニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−フェノキシカルボニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルスルホニルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルスルホニウムフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン・テトラフルオロボレート、2−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ジエトキシホスホリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔4−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルアミノ)フェニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔4−(p−メトキシフェニル)−1,3−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−(o−メトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(3,4−エポキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−〔1−フェニル−2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−ヒドロキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(3,4−ジヒドロキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、2−(p−t−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチルー(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化コハク酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
上記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号、特許第2764769号明細書、特開2002−116539号公報、および、Kunz,Martin”Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号、特開2003−328465号公報等に記載の化合物が挙げられる。
上記オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653-1660)、J.C.S. Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物が挙げられる。具体例としては下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009262523
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
特に反応性、安定性の面から上記オキシムエステル化合物あるいはジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好適なものとして挙げられる。
本発明に好適なオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
Figure 2009262523
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z11−は1価の陰イオンを表し、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、焼き出し画像の視認性の面からヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21、Ar22は各々独立に置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z21−は1価の陰イオンを表し、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、視認性の面からヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32、R33は各々独立に置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基またはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、好ましくは反応性、安定性の面から、アリール基であることが望ましい。好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z31−は1価の陰イオンを表し、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、視認性の面から、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましく、より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましくは特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。以下に、本発明において重合開始剤として好適に用いられるオニウム塩の例を挙げるが、本発明はこれら制限されるものではない。
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
また下記一般式(RI−IV)のアジニウム構造の重合開始剤を使用してもよい。式中、R、R、R、R、R、およびRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、または一価の置換基を表す。Xはイオンを表す。
Figure 2009262523
上記一価の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基、置換カルボニル墓、ヒドロキシ基、置換オキシ基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、スルホ基、置換スルホニル基、スルホナト基、置換スルフィニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、等が挙げられ、導入可能な場合にはさらに置換基を有していてもよい。
また、一般式(RI−IV)で表される化合物としては、一般式(RI−IV)で表される化合物における特定構造の骨格(カチオン部)が、Rを介して結合し、カチオン部が分子中に2個以上含まれる化合物(多量体型)も包含され、このような化合物も好適に用いられる。
さらに、一般式(RI−IV)で表される化合物は、R〜Rのいずれかを介して、ポリマー側鎖に導入された化合物(ポリマー型)でもよく、好ましい態様の一つとして挙げられる。
以下に、一般式(RI−IV)で表される化合物の具体例〔例示化合物A−1〜A−34〕を列挙するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
重合開始剤としては、上記に限定されないが、特に反応性、安定性の面から、トリアジン系開始剤、有機ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩がより好ましい。また、これらの中でも赤外線吸収剤との組み合わせで焼き出し画像の視認性向上を図る観点からは、オニウム塩であって、対イオンとして無機イオン、例えば、PF 、BF など、を有するものが好ましい。さらに、発色に優れていることから、オニウムとしては、ジアリールヨードニウムが好ましい。
これらの重合開始剤は、各々画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で、良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れ難さが得られる。これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこに添加してもよい。
<(C)重合性化合物>
本発明に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらにハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートとヒドロキシ基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(2)で示されるヒドロキシ基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (2)
(ただし、RおよびRは、HまたはCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号の各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂とアクリル酸もしくはメタクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号、各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、画像記録層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板や後述の保護層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
重合性化合物は、画像記録層中の不揮発性成分に対して、好ましくは5〜80質量%、さらに好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
<その他の画像記録層成分>
本発明の画像記録層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。以下、それらについて説明する。
<1>マイクロカプセルおよびミクロゲル
本発明においては、上記の画像記録層構成成分(A)〜(C)および後述のその他構成成分を画像記録層に含有させる方法として、いくつかの態様を用いることができる。一つは、例えば、特開2002−287334号公報に記載のごとく、該構成成分を適当な溶媒に溶解して塗布する分子分散型画像記録層である。他の一つの態様は、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、該構成成分の全てまたは一部をマイクロカプセルに内包させて画像記録層に含有させるマイクロカプセル型画像記録層である。さらに、マイクロカプセル型画像記録層において、該構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。ここで、マイクロカプセル型画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
さらに他の態様として、画像記録層に架橋樹脂粒子、すなわちミクロゲルを含有する態様が挙げられる。該ミクロゲルは、その中および/または表面に該構成成分(A)〜(C)の一部を含有することが出来る。特に(C)重合性化合物をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
より良好な機上現像性を得るためには、画像記録層は、マイクロカプセル型もしくはミクロゲル型画像記録層であることが好ましい。
画像記録層構成成分をマイクロカプセル化、もしくはミクロゲル化する方法としては、公知の方法が適用できる。
例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、後述のバインダーポリマーに導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
一方、ミクロゲルを調製する方法としては、特公昭38−19574号、同42−446号明細書に記載されている界面重合による造粒、特開平5−61214号明細書に記載されているような非水系分散重合による造粒を利用することが可能である。但し、これらの方法に限定されるものではない。
上記界面重合を利用する方法としては、上述した公知のマイクロカプセル製造方法を応用することができる。
本発明に用いられる好ましいミクロゲルは、界面重合により造粒され3次元架橋を有するものである。このような観点から、使用する素材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。
上記のマイクロカプセルやミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
<2>バインダーポリマー
本発明の画像記録層には、画像記録層の膜強度を向上させるため、バインダーポリマーを用いることができる。本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していてもよい。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよい。
分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,4−イソプレン等が挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたは−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−CH=CH、−C(CH)=CH、−(CH2 n CR1 =CR2 3 、−(CH2 O)n CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 CH2 O)n CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 n NH−CO−O−CH2 CR1 =CR2 3 、−(CH2 n −O−CO−CR1 =CR2 3 および(CH2 CH2 O)2 −X(式中、R1 〜R3 はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1 とR2 またはR3 とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH2 CH=CH2 (特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2 CH2 O−CH2 CH=CH2 、−CH2 C(CH3 )=CH2 、−CH2 CH=CH−C6 5 、−CH2 CH2 OCOCH=CH−C6 5 、−CH2 CH2 −NHCOO−CH2 CH=CH2 およびCH2 CH2 O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH2 CH=CH2 、−CH2 CH2 −Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2 CH2 −OCO−CH=CH2 が挙げられる。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1〜7.0mmol、特に好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と良好な保存安定性が得られる。
バインダーポリマー中のハロゲン化物イオンの含有量は、好ましくは50×10−6mol/ g、より好ましくは20×10−6mol/ g、特に好ましくは10×10−6mol/ g、以下である。下限については含有量が少ないほど好ましい。
バインダー中のハロゲン化物イオンの量は、イオン交換樹脂や、特定の鉱物を用いたり、再沈殿による精製を行うことで削減することができる。
また、画像記録層未露光部の機上現像性向上の観点から、バインダーポリマーは、インキおよび/または湿し水に対する溶解性または分散性が高いことが好ましい。インキに対する溶解性または分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親油的な方が好ましく、湿し水に対する溶解性または分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親水的な方が好ましい。このため、本発明においては、親油的なバインダーポリマーと親水的なバインダーポリマーを併用することも有効である。
親水的なバインダーポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホ基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
バインダーポリマーは、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均モル質量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均モル質量/数平均モル質量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
バインダーポリマーは、市販品を購入するか、あるいは公知の方法で合成することによって入手できる。
バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全固形分に対して、5〜90質量%であり、5〜80質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であるのがより好ましい。この範囲で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
また、(C)重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で0.5/1〜4/1となる量で用いるのが好ましい。
これらのバインダーポリマーは、反応触媒などとして残存するハロゲン化物を、イオン交換樹脂を用いて、除去することで、不純物として残存している、ハロゲン化物イオンを減少させることができる。
<3>界面活性剤
本発明の画像記録層には、機上現像性を促進するため、および塗布面状を向上させるため界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。界面活性剤にハロゲン化物イオンが不純物や対イオンとして含まれる場合は、脱塩、イオン交換などの方法で、除去または他の陰イオンに交換することが好ましい。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるイオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。カチオン界面活性剤の対アニオンとしては、ハロゲン化物イオン以外のもの(硫酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオンなど)を選択することが好ましい。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
さらに好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のイオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号の各公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましい。
<4>着色剤
本発明の画像記録層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤を用いると、画像形成後の画像部と非画像部の区別がつきやすくなるので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、画像記録材料全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合である。
<5>焼き出し剤
本発明の画像記録層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフロオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸またはラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、画像記録層固形分に対して0.01〜10質量%の割合である。
<6>重合禁止剤
本発明の画像記録層には、画像記録層の製造中または保存中において(C)重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
<7>高級脂肪酸誘導体等
本発明の画像記録層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
<8>可塑剤
本発明の画像記録層は、機上現像性を向上させるために、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。
可塑剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
<9>無機微粒子
本発明の画像記録層は、硬化皮膜強度向上および機上現像性向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5μm〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲であると、画像記録層中に安定に分散して、画像記録層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、40質量%以下であるのが好ましく、30質量%以下であるのがより好ましい。
<10>低分子親水性化合物
本発明の画像記録層は、機上現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有してもよい。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、第4級アンモニウム塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類およびその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩等が挙げられる。
これらの中でも有機スルホン酸、有機スルファミン酸や有機硫酸のナトリウム塩やリチウム塩が好ましく使用される。これらの化合物を画像記録層に含有することにより、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させることが可能になる。
有機スルホン酸塩の具体的な化合物としては、ノルマルブチルスルホン酸ナトリウム、イソブチルスルホン酸ナトリウム、sec−ブチルスルホン酸ナトリウム、tert−ブチルスルホン酸ナトリウム、ノルマルペンチルスルホン酸ナトリウム、1−エチルプロピルスルホン酸ナトリウム、ノルマルヘキシルスルホン酸ナトリウム、1、2−ジメチルプロピルスルホン酸ナトリウム、2−エチルブチルスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルホン酸ナトリウム、ノルマルヘプチルスルホン酸ナトリウム、ノルマルオクチルスルホン酸ナトリウム、tert−オクチルスルホン酸ナトリウム、ノルマルノニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、2−メチルアリルスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム、1,3−ベンゼンジスルホン酸ジナトリウム、1,3,5−ベンゼントリスルホン酸トリナトリウム、p−クロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、1−ナフチルスルホン酸ナトリウム、2−ナフチルスルホン酸ナトリウム、4−ヒドロキシナフチルスルホン酸ナトリウム、1,5−ナフチルジスルホン酸ジナトリウム、2,6−ナフチルジスルホン酸ジナトリウム、1,3,6−ナフチルトリスルホン酸トリナトリウム、およびこれらのリチウム塩交換体などが挙げられる。
有機スルファミン酸塩の具体的な化合物としては、ノルマルブチルスルファミン酸ナトリウム、イソブチルスルファミン酸ナトリウム、tert−ブチルスルファミン酸ナトリウム、ノルマルペンチルスルファミン酸ナトリウム、1−エチルプロピルスルファミン酸ナトリウム、ノルマルヘキシルスルファミン酸ナトリウム、1、2−ジメチルプロピルスルファミン酸ナトリウム、2−エチルブチルスルファミン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルファミン酸ナトリウム、およびこれらのリチウム塩交換体などが挙げられる。
これらの化合物は疎水性部分の構造が小さくて界面活性作用がほとんどなく、長鎖アルキルスルホン酸塩や長鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩などが良好に用いられる前述の界面活性剤とは明確に区別される。
有機硫酸塩としては特に一般式(3)で示される化合物が好ましく使用される。
Figure 2009262523
上記一般式(3)中、Rは、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、mは1〜4の整数を表し、nは0〜4の整数を表し、Xは電荷を中和するのに必要な対イオン(例えば、アルカリ金属イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、2属の金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンなど)を表す。Yは水素原子または、置換基を表す。Yが置換基を表すとき、好ましい例としては、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)などを挙げる事ができる。nが2以上であるとき、Yは1種類であっても2種類以上が組み合わされていてもよい。
Rは、好ましくは、置換もしくは無置換の、直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数20以下のアリール基が挙げられる。置換基としては、直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、ハロゲン原子、炭素数20以下のアリール基が挙げられる。
一般式(3)で表される化合物の好ましい例としては、オキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸カリウム、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸リチウム、トリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、テトラオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレンヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレンオクチルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。最も好ましい化合物としては、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸カリウム、ジオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル硫酸リチウム、 ポリアルキレンオキシモノアルキルエーテルのスルホアルキルエーテル(例えば、4−(2−エチルヘキシルオキシ(エトキシ(エトキシ)))ブタンスルホン酸ナトリウム、4−(2−エチルヘキシルオキシ(エトキシ(エトキシ(エトキシ(エトキシ)))))ブタンスルホン酸ナトリウム、4−(オクチルオキシ(エトキシ(エトキシ)))ブタンスルホン酸ナトリウム、などが挙げられる。
これら低分子親水性化合物の画像記録層への添加量は、画像記録層全固形分量の0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上8質量%以下である。この範囲で良好な機上現像性と耐刷性が得られる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<11>感脂化剤
本発明においては、着肉性を向上させるため、ホスホニウム化合物を併用してもよい。ホスホニウム化合物は無機質層状化合物の表面被覆剤(感脂化剤)として機能し、無機質層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する。好適なホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報に記載のホスホニウム化合物、および下記一般式(4)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2009262523
式(4)中、Ar1〜Ar6は、各々独立にアリール基または複素環基を表し、Lは2価の連結基を表し、Xn−はn価の対イオンを表し、nは1〜3の整数を表し、mはn x m=2を満たす数を表す。
ここでアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ジメチルアミノフェニル基などが好適なものとして挙げられる。複素環基としては、ピリジル基、キノリル基、ピリミジニル基、チエニル基、フリル基などが挙げられる。Lは炭素数が6〜15の連結基中であることが好ましく、より好ましくは、炭素数6〜12の連結基である。
n−の好ましいものとしては、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、硫酸エステルイオン、PF 、BF 、などが挙げられる。なかでもスルホン酸イオン、カルボン酸イオン、PF 、BF が特に好ましい。
一般式(4)で表されるホスホニウム化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2009262523
Figure 2009262523
画像記録層への上記ホスホニウム化合物の添加量は、画像記録層固形分の0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がさらに好ましく、0.1〜5質量%が最も好ましい。これらの範囲内で印刷途中の良好なインキ着肉性が得られる。
本感脂化剤は、画像記録層だけではなく保護層に添加することもできる。
本発明では、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリマー(以下では特定ポリマーと呼ぶ。)を感脂化剤として用いることができる。
Figure 2009262523
一般式(5)において、R11は水素原子または置換基を表す。L1は二価の連結基を表し、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Xは電荷を中和するに必要な対イオンを表す。
11は水素原子または置換基を表す。好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換カルボニル基、置換オキシ基、複素環基またはハロゲン原子を表し、更に好ましくは、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表し、特に好ましくは水素原子またはアルキル基を表す。R11として最も好ましいものは、水素原子またはメチル基である。
12、R13およびR14について説明する。R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、または、アルキリデン基を表し、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、を表し、特に好ましくはアルキル基を表す。但し、R12、R13およびR14のうちの一つがアルキリデン基(すなわち、一価の炭化水素基の遊離原子価をもつ炭素原子から更に水素原子を1個除いて誘導される二価の基)を表すとき、Nに置換可能な残りの基は1個となることから、R12、R13およびR14のうちの一つは存在しない。また、R12、R13およびR14は互いに結合して環を形成していてもよい。
1は単結合または二価の連結基を表す。L1が二価の連結基である場合、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から構成されるものであることが好ましい。
より具体的には、下記の2価の基、または、これらが適宜組み合わされて構成される基を挙げることができる。
Figure 2009262523
-は電荷を中和するに必要な対イオンを表す。特に好ましいXとしては、炭素数1〜50のカルボン酸イオン、炭素数1〜50のアルキルスルホン酸イオン、炭素数6〜50のアリールスルホン酸イオン、炭素数1〜50のアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭素数1〜50のアルキルリン酸イオン、炭素数1〜50のアルキルホスホン酸イオン、炭素数6〜50のアリールホスホン酸イオン、PF 、BF 、およびこれらの組合せが挙げられる。
本発明に用いられる特定ポリマーは、一般式(5)の構造単位以外の共重合成分単位を有していてもよい。
上記特定ポリマーは、画像記録層および保護層の少なくとも一方に含有される。また、画像記録層および保護層の両方に含有されてもよい。またさらに、画像記録層および/または保護層に加えて下塗り層にも含有されてもよい。
本発明の特定ポリマーの含有量は、含有する層の全固形分に対して0.0005質量%〜30.0質量%が好ましく、0.001質量%〜20.0質量%がより好ましく、0.002質量%〜15.0質量%が最も好ましい。この範囲で、良好な着肉性が得られる。
以下に、特定ポリマーの具体例を示すが、特定ポリマーは下記の例に限定されない。
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
Figure 2009262523
<12>共増感剤
本発明の画像記録層には、感度を一層向上させる、または酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する連鎖移動剤または共増感剤などと呼ばれる公知の化合物を加えてもよい。
この様な化合物の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号、特開昭51−82102号、特開昭52−134692号、特開昭59−138205号、特開昭60−84305号、特開昭62−18537号、特開昭64−33104号、Research Disclosure 33825号記載の化合物、等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、N−フェニルグリシン、N−フェニルアスパラギン酸、およびp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等のN,N−ジアルキルアニリン誘導体、等が挙げられる。
連鎖移動剤として作用する別の例としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が挙げられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、または、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。
本発明の画像記録層には、特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンズオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類、等)を連鎖移動剤として好ましく用いることができる。
なかでも、特開2006−091479号公報等に記載の下記一般式(6)で表されるチオール化合物が特に好適に使用される。連鎖移動剤としてこのチオール化合物を用いることによって、臭気の問題、および画像記録層から蒸発や他の層への拡散による感度減少を回避し、保存安定性に優れ、さらには高感度で高耐刷の平版印刷版原版が得られる。
Figure 2009262523
一般式(6)中、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表し、AはN=C−N部分と共に炭素原子を有する5員環または6員環の複素環を形成する原子団を表し、Aはさらに置換基を有してもよい。
さらに好ましくは下記一般式(6A)または一般式(6B)で表されるものが使用される。
Figure 2009262523
一般式(6A)および式(6B)中、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表し、Xはハロゲン原子、アルコキシル基、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表す。
具体的化合例としては、1−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−プロピル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−ヘキシル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−ヘキシル−2−メルカプト−5−クロルベンゾイミダゾール、1−ペンチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−オクチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−オクチル−2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール、1−シクロヘキシル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−メルカプト−5−メチルスルホニルベンゾイミダゾール、1−(p−トリル)−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−メトキシエチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−ブチル−2−メルカプトナフトイミダゾール、1−メチル−2−メルカプト−5−フェニル−1,3,5−トリアゾール、1−ブチル−2−メルカプト−5−フェニル−1,3,5−トリアゾール、1−ヘプチル−2−メルカプト−5−フェニル−1,3,5−トリアゾール、1−フェニル−2−メルカプト−5−フェニル−1,3,5−トリアゾール、1−ベンジル−2−メルカプト−5−フェニル−1,3,5−トリアゾール、1−フェネチル−2−メルカプト−5−フェニル−1,3,5−トリアゾール、1−シクロヘキシルル−2−メルカプト−5−フェニル−1,3,5−トリアゾール、1−フェネチル−2−メルカプト−5−(3−フルオロフェニル)−1,3,5−トリアゾール、1−フェネチル−2−メルカプト−5−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,3,5−トリアゾール、1−ベンジル−2−メルカプト−5−(p−トリル)−1,3,5−トリアゾール、1−ベンジル−2−メルカプト−5−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアゾール、1−ベンジル−2−メルカプト−5−(p−トリフルオロメチルフェニル)−1,3,5−トリアゾール、1−ベンジル−2−メルカプト−5−(3,5−ジクロロフェニル)−1,3,5−トリアゾール、1−フェニル−2−メルカプト−5−(p−トリル)−1,3,5−トリアゾール、1−フェニル−2−メルカプト−5−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアゾール、1−(1−ナフチル)−2−メルカプト−5−フェニル−1,3,5−トリアゾール、1−(4−ブロモフェニル)−2−メルカプト−5−フェニル−1,3,5−トリアゾール、1−(4−トリフルオロフェニル)−2−メルカプト−5−フェニル−1,3,5−トリアゾール、6−ブロモ−2−メルカプト−ベンゾイミダゾール、などが挙げられる。
これらの連鎖移動剤の使用量は画像記録層の全固形分の質量に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%である。さらに好ましくは1.0〜10質量%である。
<画像記録層の形成>
本発明の画像記録層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の画像記録層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散または溶解した塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等が挙げられる。
〔保護層〕
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層の上に層状化合物を含有する保護層を有する。保護層(オーバーコート層とも呼ばれる。)は、酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層での傷の発生防止、高照度レーザー露光時のアブレーション防止などの機能も有する。以下、保護層成分等について説明する。
通常、平版印刷版の露光処理は大気中で実施する。露光処理によって生じる画像記録層中での画像形成反応は、大気中に存在する酸素、塩基性物質等の低分子化合物によって阻害され得る。保護層は、この酸素、塩基性物質等の低分子化合物が画像記録層へ混入することを防止し、結果として大気中での画像形成阻害反応を抑制する。従って、保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性を低くすることであり、さらに、露光に用いられる光の透過性が良好で、画像記録層との密着性に優れ、かつ、露光後の機上現像処理工程で容易に除去することができるものである。このような特性を有する保護層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書および特公昭55−49729号公報に記載されている。
本発明の層状化合物とは薄い平板状の形状を有する粒子であり、気体拡散の経路長を制御することによるガスバリア性によって、薄層での酸素遮断性を可能にする。層状化合物としては無機化合物が好ましい。例えば、下記一般式
A(B,C)2〜510(OH,F,O)
〔ただし、AはLi,K,Na,Ca,Mg,有機カチオンの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・HOで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、リン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母および鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四ケイ素雲母KMg2.5Si10)F等の非膨潤性雲母、およびNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si10)F、NaまたはLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si10)F等の膨潤性雲母等が挙げられる。また合成スメクタイトも有用である。
上記の層状化合物のなかでも、合成の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、雲母、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘土鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にLi、Na、Ca2+、Mg2+、アミン塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩等の有機カチオンの陽イオンを吸着している。これらの層状化合物は水により膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイトおよび膨潤性合成雲母はこの傾向が強い。
層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。粒子径が0.3μmよりも小さいと酸素や水分の透過の抑制が不十分であり、効果を十分に発揮できない。また20μmよりも大きいと塗布液中での分散安定性が不十分であり、安定的な塗布を行うことができない問題が生じる。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
次に、層状化合物を保護層に用いる場合の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に層状化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性の層状化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した無機質層状化合物の5〜10質量%の分散物は高粘度あるいはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、バインダー溶液と配合して調製するのが好ましい。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の質量比であることが好ましい。
上記無機層状化合物は、保護層だけではなく画像記録層に添加することもできる。無機層状化合物の画像記録層への添加は、耐刷性、重合効率(感度)および経時安定性の向上に有用である。
画像記録層への無機層状化合物の添加量は、画像記録層の固形分に対して0.1〜50質量%が好ましく、0.3〜30質量%がさらに好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
保護層に用いられるバインダーとしては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができる。具体的には例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニルの部分鹸化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体、水溶性セルロース誘導体、ゼラチン、デンプン誘導体、アラビアゴム等の水溶性ポリマーや、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリサルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、セロハン等のポリマー等が挙げられる。これらは、必要に応じて2種以上を併用して用いることもできる。
上記中で比較的有用な素材としては、結晶性に優れる水溶性高分子化合物が挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリル酸等の水溶性アクリル樹脂、ゼラチン、アラビアゴム等が好適であり、なかでも、水を溶媒として塗布可能であり、かつ、印刷時における湿し水により容易に除去されるという観点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾールが好ましい。その中でも、ポリビニルアルコール(PVA)は、酸素遮断性、現像除去性等の基本的な特性に対して最も良好な結果を与える。
保護層に用い得るポリビニルアルコールは、必要な水溶性を有する実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有するかぎり、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を含有していてもよい。例えば、カルボキシル基、スルホ基等のイオンで変性されたイオン変性部位、アミノ基、アンモニウム基等のカチオンで変性されたカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位等種々の親水性変性部位をランダムに有す各種重合度のポリビニルアルコール、前記のイオン変性部位、前記のカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位、さらにはアルコキシル変性部位、スルフィド変性部位、ビニルアルコールと各種有機酸とのエステル変性部位、前記イオン変性部位とアルコール類等とのエステル変性部位、エポキシ変性部位等種々の変性部位をポリマー鎖末端に有す各種重合度のポリビニルアルコール等も好ましく用いられる。
これらポリビニルアルコールとしては71〜100モル%加水分解された重合度300〜2400の範囲の化合物が好適に挙げられる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105,PVA−110, PVA−117, PVA−117H,PVA−120,PVA−124, PVA−124H, PVA−CS, PVA−CST, PVA−HC, PVA−203, PVA−204, PVA−205, PVA−210, PVA−217, PVA−220, PVA−224, PVA−217EE, PVA−217E, PVA−220E, PVA−224E, PVA−405, PVA−420, PVA−613, L−8等が挙げられる。また変性ポリビニルアルコールとしては、イオン変性部位を有すKL−318、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、カチオン変性部位を有すC−318、C−118、CM−318、末端チオール変性部位を有すM−205、M−115、末端スルフィド変性部位を有すMP−103、MP−203、MP−102、MP−202、高級脂肪酸とのエステル変性部位を末端に有すHL−12E、HL−1203、その他反応性シラン変性部位を有すR−1130、R−2105、R−2130等が挙げられる。
保護層の他の添加物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を上記水溶性または水不溶性ポリマーに対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のイオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を添加することができる。これら活性剤の添加量は上記水溶性または水不溶性ポリマーに対して0.1〜100質量%添加することができる。
また、画像部との密着性を良化させるため、例えば、特開昭49−70702号公報および英国特許出願公開第1303578号明細書には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルション、水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体等を20〜60質量%混合させ、画像記録層上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明においては、これらの公知の技術をいずれも用いることができる。
さらに、保護層には、他の機能を付与することもできる。例えば、露光に用いられる赤外線の透過性に優れ、かつ、それ以外の波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(例えば、水溶性染料)の添加により、感度低下を引き起こすことなく、セーフライト適性を向上させることができる。
保護層の形成は、上記保護層成分を溶媒に分散または溶解して調製された保護層塗布液を、画像記録層上に塗布、乾燥して行われる。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。
この保護層塗布液には、塗布性を向上させためのイオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤や皮膜の物性改良のため水溶性可塑剤などの公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。さらに、この塗布液には、画像記録層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書または特公昭55−49729号公報に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.02〜3g/mの範囲であることが好ましく、0.05〜1g/mの範囲がより好ましく、最も好ましくは0.1〜0.4g/mの範囲である。
〔下塗り層〕
本発明の平版印刷版原版においては、特に機上現像型平版印刷版原版の場合、必要に応じて、画像記録層と支持体との間に下塗り層を設ける。この下塗り層には、特定現像促進剤が含有されていてもよい。
下塗り層は、未露光部において、画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、機上現像性が向上する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散せず効率よく利用されるようになるため、高感度化が図れるという利点がある。
下塗り層用化合物(下塗り化合物)としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物等が好適に挙げられる。
最も好ましい下塗り化合物としては、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー、および架橋性基を有するモノマーを共重合した高分子樹脂が挙げられる。
下塗り用高分子樹脂の必須成分は、親水性支持体表面への吸着性基である。親水性支持体表面への吸着性の有無に関しては、例えば以下のような方法で判断できる。
試験化合物を易溶性の溶媒に溶解させた塗布夜を作製し、その塗布夜を乾燥後の塗布量が30mg/m2となるように支持体上に塗布・乾燥させる。次に試験化合物を塗布した支持体を、易溶性溶媒を用いて十分に洗浄した後、洗浄除去されなかった試験化合物の残存量を測定して支持体吸着量を算出する。ここで残存量の測定は、残存化合物量を直接定量してもよいし、洗浄液中に溶解した試験化合物量を定量して算出してもよい。化合物の定量は、例えば蛍光X線測定、反射分光吸光度測定、液体クロマトグラフィー測定などで実施できる。支持体吸着性がある化合物は、上記のような洗浄処理を行っても1mg/m2以上残存する化合物である。
親水性支持体表面への吸着性基は、親水性支持体表面に存在する物質(例えば、金属、金属酸化物)あるいは官能基(例えば、ヒドロキシ基)と、化学結合(例えば、イオン結合、水素結合、配位結合、分子間力による結合)を引き起こすことができる官能基である。吸着性基は、酸基またはカチオン性基が好ましい。
酸基は、酸解離定数(pKa)が7以下であることが好ましい。酸基の例は、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシル基、−SOH、−OSOH、−PO、−OPO、−CONHSO−、−SONHSO−および−COCHCOCHを含む。なかでも−OPOおよび−POが特に好ましい。またこれら酸基は、金属塩であっても構わない。
カチオン性基は、オニウム基であることが好ましい。オニウム基の例は、アンモニウム基、ホスホニウム基、アルソニウム基、スチボニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基、セレノニウム基、スタンノニウム基、ヨードニウム基を含む。アンモニウム基、ホスホニウム基およびスルホニウム基が好ましく、アンモニウム基およびホスホニウム基がさらに好ましく、アンモニウム基が最も好ましい。
吸着性基を有するモノマーの特に好ましい例としては、下記式(U1)または(U2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009262523
上式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。RおよびRは、水素原子であることが特に好ましい。Zは、親水性支持体表面に吸着する官能基である。
式(U1)において、Xは、酸素原子(−O−)またはイミノ(−NH−)である。Xは、酸素原子であることがさらに好ましい。式(U1)において、Lは、2価の連結基である。Lは、2価の脂肪族基(アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(アリレン基、置換アリレン基)または2価の複素環基であるか、あるいはそれらと、酸素原子(−O−)、硫黄原子(―S―)、イミノ(−NH−)、置換イミノ(−NR−、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)またはカルボニル(−CO−)との組み合わせであることが好ましい。
脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10が最も好ましい。脂肪族基は、不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、芳香族基および複素環基を含む。
芳香族基の炭素原子数は、6乃至20が好ましく、6乃至15がさらに好ましく、6乃至10が最も好ましい。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族基、芳香族基および複素環基を含む。
複素環基は、複素環として5員環または6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基および複素環基を含む。
Lは、複数のポリオキシアルキレン構造を含む二価の連結基であることが好ましい。ポリオキシアルキレン構造は、ポリオキシエチレン構造であることがさらに好ましい。言い換えると、Lは、−(OCHCH)−(nは2以上の整数)を含むことが好ましい。
式(U2)において、Yは炭素原子または窒素原子である。Y=窒素原子でY上にLが連結し四級ピリジニウム基になった場合、それ自体が吸着性を示すことからZは必須ではなく、Zが水素原子でもよい。Lは式(U1)の場合と同じ2価の連結基または単結合を表す。
吸着性の官能基については、前述した通りである。
以下に、式(U1)または(U2)で表される代表的な化合物の例を示す。
Figure 2009262523
本発明に用いることができる下塗り用高分子樹脂の親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホ基、リン酸基等が好適に挙げられる。なかでも高親水性を示すスルホ基を有するモノマーが好ましい。スルホ基を有するモノマーの具体例としては、メタリルオキシベンゼンスルホン酸, アリルオキシベンゼンスルホン酸 , アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドt-ブチルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(3−アクリロイルオキシプロピル)ブチルスルホン酸のナトリウム塩、アミン塩が挙げられる。なかでも親水性能および合成の取り扱いから2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩が好ましい。
本発明の下塗り層用の水溶性高分子樹脂は、架橋性基を有することが好ましい。架橋性基によって画像部との密着の向上が得られる。下塗り層用の高分子樹脂に架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の側鎖中に導入したり、高分子樹脂の極性置換基と対荷電を有する置換基とエチレン性不飽和結合を有する化合物で塩構造を形成させたりして導入することができる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたは−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−CH=CH、−C(CH)=CH、−(CH)CR=CR、−(CHO)CHCR=CR、−(CHCHO)CHCR=CR、−(CH)NH−CO−O−CHCR=CR、−(CH)−O−CO−CR=CR、および(CHCHO)−X(式中、R〜Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、RとRまたはRとは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH=CH、−C(CH)=CH、−CHCH=CH(特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CHCHO−CHCH=CH、−CHC(CH)=CH、−CHCH=CH−C、−CHCHOCOCH=CH−C、−CHCHNHCOO−CHCH=CH、およびCHCHO−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH=CH、−C(CH)=CH、−CHCH=CH、−CHCHO−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CHCHOCO−CH=CHが挙げられる。
下塗り層用高分子樹脂の架橋性基を有するモノマーとしては、上記架橋性基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドが好適である。
下塗り層用高分子樹脂中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、高分子樹脂1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と汚れ性の両立、および良好な保存安定性が得られる。
下塗り層用の高分子樹脂は、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均モル質量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均モル質量/数平均モル質量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
下塗り層用の高分子樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
下塗り用高分子樹脂は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。下塗り層用塗布液は、上記下塗り用の高分子樹脂を有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンなど)および/または水に溶解して得られる。下塗り層用塗布液には、赤外線吸収剤を含有させることもできる。
下塗り層塗布液を支持体に塗布する方法としては、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/mであるのが好ましく、1〜30mg/mであるのがより好ましい。
〔バックコート層〕
支持体に表面処理を施した後または下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコート層を設けることができる。
バックコート層としては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。なかでも、Si(OCH、Si(OC、Si(OC、Si(OC等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
[製版方法]
本発明の平版印刷版原版は、画像露光後、機上現像またはガム現像によって製版されることが好ましい。
(画像露光)
本発明の平版印刷版原版の露光光源としては、例えば、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、紫外光レーザー、可視光レーザー、赤外光レーザーが挙げられる。特にレーザーが好ましく、760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザー、250〜420nmの光を放射する半導体レーザーなどが挙げられる。レーザーを用いる場合は、デジタルデータに従って、画像様に走査露光することが好ましい。また、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
赤外線レーザーを用いる場合は、1画素あたりの露光時間は、20μs以内であるのが好ましい。また、照射エネルギー量は、10〜300mJ/cm2 であるのが好ましい。
紫外線レーザーを用いる場合は、画素滞留時間は、酸素との競争反応を最小限に抑えるため、短いほど好ましく、1ミリ秒以下が好ましい。より好ましくは500μs以下、最も好ましくは100μs以下である。エネルギー量は0.1〜10mJ/cm2であることが好ましい。
(機上現像方法)
平版印刷版原版を画像露光する工程と、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、印刷インキと湿し水とを供給して、印刷する印刷工程とを有し、該印刷工程の途上において平版印刷版原版の未露光部分が除去されることを特徴とする。画像様の露光は、まず、平版印刷版原版を印刷機に装着して行ってもよく、露光後の平版印刷版原版を印刷機に装着してもよく、その後、該印刷機を用い、印刷インキと湿し水とを供給してそのまま印刷することにより、印刷途上の初期の段階で機上現像処理、すなわち、未露光領域の画像記録層が除去され、それに伴って親水性支持体表面が露出して湿し水受容領域となり、印刷することができる。
以下、さらに詳細に説明する。
露光された平版印刷版原版は、印刷機の版胴に装着される。レーザー露光装置付きの印刷機の場合は、平版印刷版原版を印刷機の版胴に装着したのち画像露光される。明室での作業のしやすさの観点から、赤外感光性の平版印刷版原版を用い、赤外線レーザーで露光するのが好ましい。
平版印刷版原版を赤外線レーザーで画像様に露光した後、湿式現像処理工程等の現像処理工程を経ることなく湿し水と印刷インキとを供給して印刷すると、画像記録層の露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する印刷インキ受容部を形成する。一方、未露光部においては、供給された湿し水および/または印刷インキによって、未硬化の画像記録層が溶解または分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。その結果、湿し水は露出した親水性の表面に付着し、印刷インキは露光領域の画像記録層に着肉して印刷が開始される。
ここで、最初に版面に供給されるのは、湿し水でもよく、印刷インキでもよいが、湿し水が除去された画像記録層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給するのが好ましい。湿し水および印刷インキとしては、通常の平版印刷用の湿し水と印刷インキが用いられる。
このようにして、平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
(ガム現像方法)
平版印刷版原版をレーザーで画像様に露光した後、ガム液を用いて画像記録層の未露光部の除去を行ってもよい。その後印刷に用いられる。本発明において、ガム液とは水溶性樹脂を含有する水溶液を意味する。親水性樹脂を含有させることにより、非画像部が除去され露出した親水性支持体を保護したり、画像部を保護したりすることが可能である。
ガム液には一般的に不感脂化作用の強いアラビアガムがしばしば使われ、アラビアガムの約15〜20質量%の水溶液をガム液とすることが多い。アラビアガム以外にも種々の水溶性樹脂が不感脂化剤として用いられる。例えば、デキストリン、ステラビック、ストラクタン、アルギン酸塩類、ポリアクリル酸塩類、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース塩、大豆のオカラから抽出した水溶性多糖類が好ましく、また、プルランまたはプルラン誘導体、ポリビニルアルコールも好ましい。
さらに、変成澱粉誘導体としてブリティッシュガム等の焙焼澱粉、酵素デキストリンおよびシャーディンガーデキストリン等の酵素変成デキストリン、可溶化澱粉に示される酸化澱粉、変成アルファー化澱粉および無変成アルファー化澱粉等のアルファー化澱粉、燐酸澱粉、脂肪澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲン酸澱粉およびカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、カルボキシアルキル澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、スルフォアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、ジアルキルアミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒドロキシアルキル架橋澱粉、燐酸架橋澱粉、ジカルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリロアミド共重合体、澱粉ポリアクリル酸共重合体、澱粉ポリ酢酸ビニル共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カオチン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カオチン性澱粉ビニルポリマー共重合体、澱粉ポリスチレンマレイン酸共重合体、澱粉ポリエチレンオキサイド共重合体、澱粉ポリプロピレン共重合体等の澱粉グラフト重合体が好ましい。
また天然高分子化合物としては、かんしょ澱粉、ばれいしょ澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉およびコーンスターチ等の澱粉類、カラジーナン、ラミナラン、海ソウマンナン、ふのり、アイリッシュモス、寒天およびアルギン酸ナトリウム等の藻類から得られるもの、トロロアオイ、マンナン、クインスシード、ペクチン、トラガカントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアービンガム、ローカストビンガム、キャロブガム、ベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、レバン等のホモ多糖ならびにサクシノグルカンおよびサンタンガム等のヘトロ多糖等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼインおよびコラーゲン等の蛋白質が好ましい。
これらの水溶性樹脂は2種以上組み合わせても使用でき、ガム液中に好ましくは1〜50質量%、より好ましくは3〜30質量%の範囲で含有させることができる。
本発明に使用されるガム液には、上記の不感脂化剤の他にpH調整剤、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、親油性物質、湿潤剤、キレート剤、消泡剤などを含有させておくことができる。
ガム液はpH3〜12の範囲で使用することが有利であり、そのため一般にpH調整剤が添加されている。pHを3〜12にするためには一般的にガム液中に鉱酸、有機酸または無機塩等を添加し調節する。その添加量は0.01〜2質量%である。例えば鉱酸としては硝酸、硫酸、リン酸、メタリン酸等が挙げられる。有機酸としては酢酸、蓚酸、マロン酸、p−トルエンスルホン酸、レブリン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸、またグリシン、α−アラニン、β−アラニンなどのアミノ酸等が挙げられる。無機塩としては硝酸マグネシウム、第1リン酸ナトリウム、第2リン酸ナトリウム、第1リン酸アンモニウム、硫酸ニッケル、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。鉱酸、有機酸または無機塩等の少なくとも1種もしくは2種以上を併用してもよい。
ガム液に含有させる界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、α−オレフィンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらのなかでもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類およびアルキルナフタレンスルホン酸塩類およびα−オレフィンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、が特に好ましく用いられる。
カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等が用いられる。
両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタイン類、アルキルイミダゾリン類、アルキルアミノカルボン酸類等が用いられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリプロピレングリコールの分子量200〜5000、トリメチロールプロパン、グリセリンまたはソルビトールのポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンの付加物、アセチレングリコール系等が挙げられる。又、弗素系、シリコン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
該界面活性剤は二種以上併用することができる。使用量は特に限定する必要はないが、好ましい範囲としてはガム液の全質量に基づいて0.01〜20質量%が適当であり、好ましくは0.05〜10質量%である。
また、防腐剤としては繊維、木材加工、食品、医薬、化粧品、農薬分野等で使用されている公知の物が使用できる。例えば第4級アンモニウム塩、一価フェノール誘導体、二価フェノール誘導体、多価フェノール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾロピリミジン誘導体、一価ナフトール、カーボネート類、スルホン誘導体、有機スズ化合物、シクロペンタン誘導体、フェニル誘導体、フェノールエーテル誘導体、フェノールエステル誘導体、ヒドロキシルアミン誘導体、ニトリル誘導体、ナフタリン類、ピロール誘導体、キノリン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、第2級アミン、1,3,5トリアジン誘導体、チアジアゾール誘導体、アニリド誘導体、ピロール誘導体、ハロゲン誘導体、二価アルコール誘導体、ジチオール類、シアン酸誘導体、チオカルバミド酸誘導体、ジアミン誘導体、イソチアゾール誘導体、一価アルコール、飽和アルデヒド、不飽和モノカルボン酸、飽和エーテル、不飽和エーテル、ラクトン類、アミノ酸誘導体、ヒダントイン、シアヌール酸誘導体、グアニジン誘導体、ピリジン誘導体、飽和モノカルボン酸、ベンゼンカルボン酸誘導体、ヒドロキシカルボン酸誘導体、ビフェニル、ヒドロキサム酸誘導体、芳香族アルコール、ハロゲノフェノール誘導体、ベンゼンカルボン酸誘導体、メルカプトカルボン酸誘導体、第4級アンモニウム塩誘導体、トリフェニルメタン誘導体、ヒノキチオール、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、イソキノリン誘導体、アルシン誘導体、チオカルバミン酸誘導体、リン酸エステル、ハロゲノベンゼン誘導体、キノン誘導体、ベンゼンスルホン酸誘導体、モノアミン誘導体、有機リン酸エステル、ピペラジン誘導体、フェナジン誘導体、ピリミジン誘導体、チオファネート誘導体、イミダゾリン誘導体、イソオキサゾール誘導体、アンモニウム塩誘導体等の公知の防腐剤が使用できる。特に好ましい防腐剤として、ピリジンチオール−1−オキシドの塩、サリチル酸およびその塩、1,3,5−トリスヒドロキシエチルヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,3,5−トリスヒドロキシメチルヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオールが挙げられる。好ましい添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、使用時のガム液に対して0.01〜4質量%の範囲が好ましく、また種々のカビ、細菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
ガム液には親油性物質を含有させておくこともできる。好ましい親油性物質には、例えばオレイン酸、ラノリン酸、吉草酸、ノニル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などのような炭素数が5〜25の有機カルボン酸、ひまし油などが含まれる。これらの親油性物質は単独もしくは2以上を組み合わせて使用することができる。ガム液中に含ませる親油性物質は、その総質量に対して0.005〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%の範囲である。
その他、ガム液には必要により湿潤剤としてグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等を添加することができる。これらの湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。これらの湿潤剤の好ましい使用量としては0.1〜5質量%である。
また、ガム液にはキレート化合物を添加してもよい。通常、ガム液は通常濃縮液として市販され、使用時に水道水、井戸水等を加えて希釈して使用される。この希釈する水道水や井戸水に含まれているカルシウムイオン等が印刷に悪影響を与え、印刷物を汚れ易くする原因となることもあるので、キレート化合物を添加して、上記欠点を解消することができる。好ましいキレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることが出来る。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。これらキレート剤はガム液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量としては使用時のガム液に対して0.001〜1.0質量%が適当である。
また、ガム液には消泡剤を添加することもでき、特にシリコン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型および可溶化型等がいずれも使用できる。好ましくは使用時のガム液に対して0.001〜1.0質量%の範囲が最適である。
ガム液の残余の成分は水である。ガム液は、使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当である。ガム液は乳化分散型として調製してもよく、その油相としては有機溶剤が用いられ、又、前述したような界面活性剤の助けを借りて、可溶化型(乳化型)にしてもよい。
有機溶剤としては、20℃で水に対する溶解性が5質量%以下で沸点160℃以上の有機溶剤であることが好ましい。例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸ジエステル剤、例えば、ジオクチルアジペート、ブチルグリコールアジペート、ジオクチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルセバケートなどの脂肪族二塩基酸エステル類、例えば、エポキシ化大豆油などのエポキシ化トリグリセリド類、例えば、トリクレジルホスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリスクロルエチルフォスフェートなどの燐酸エステル類、例えば、安息香酸ベンジルなどの安息香酸エステル類などの凝固点が15℃以下で、1気圧下での沸点が300℃以上の可塑剤が含まれる。
その他アルコール系としては、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。グリコール系としてはエチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテルエチレングリコールヘキシルエーテル、オクチレングリコール等が挙げられる。
上記化合物を選択するときの条件としては臭気が特に挙げられる。これら溶剤の使用量の好ましい範囲はガム液の0.1〜5質量%でより好ましい範囲は0.5〜3質量%である。これらの溶剤は1種もしくは2種以上併用することもできる。
本発明に用いられるガム液は、水相を温度40℃±5℃に調製し、高速攪拌し、水相の中に調製した油相をゆっくり滴下し充分攪拌後、圧力式のホモジナイザーを通して乳化分散することによって作製される。
本発明では、上記のガム液を用いた画像記録層の未露光部の除去工程に続いて、水洗工程や、さらに引き続いてガム液による非画像部の不感脂化工程、を適宜行うことが出来る。
本発明におけるガム現像処理は、ガム液などの供給手段および擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像記録後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開2006−235227号公報等に記載の自動処理機等が挙げられる。なかでも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本発明に好ましく使用できる回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。上記回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチックまたは金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報や、特開平3−100554号公報記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属またはプラスチックの溝型材を芯となるプラスチックまたは金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。また、ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、および、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は、20〜400μm、毛の長さは、5〜30mmのものが好適に使用できる。
さらに、回転ブラシロールの外径は、30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は、0.1〜5m/secが好ましい。
本発明に用いる回転ブラシロールの回転方向は、本発明の平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図1に例示した自動処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが、同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが、逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の画像記録層の除去が、さらに確実となる。さらに、回転ブラシロールを、ブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
本発明においては、現像槽にて現像と不感脂化処理を行う。この後、連続して乾燥処理を行ってもよいが、現像後に、水洗処理またはさらなる不感脂化処理を行ってから、乾燥処理を行ってもよい。本発明においてガム現像に用いられるガム液や、後工程の水洗水の温度は、それぞれ別々に任意の温度で使用できるが、好ましくは10℃〜50℃である。
なお、本発明におけるガム現像方法において、ガム現像後の任意の場所に乾燥工程を設けることも可能である。乾燥工程は、一般にローラーニップで処理液のほとんどを除去した後に、任意の温度の乾燥風を吹き付けることにより行われる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(素材中のハロゲン化物イオン量の測定方法)
前記の要領で試料を作製し、硝酸銀水溶液(0.01mol/L)による滴定法(京都電子工業製 自動滴定装置AT−30)により、ハロゲン化物イオンの量を定量した。
(ハロゲン化物イオンの除去)
(1)イオン系界面活性剤
(a)市販界面活性剤の脱塩精製
界面活性剤A〔竹本油脂(株)製パイオニンA−24−EA(40質量%水溶液)、ハロゲン化物イオン濃度160×10−6mol/g〕を、脱塩装置(ASTOM社製・Micro Acilyzer S3)にて脱塩精製し、界面活性剤B〔ハロゲン化物イオン濃度80×10−6mol/gの試料(40質量%水溶液)〕と界面活性剤C〔ハロゲン化物イオン濃度10×10−6mol/gの試料(40質量%水溶液)〕を作製した。
(b)ハロゲン化物イオンを実質的に含有しない界面活性剤Dの合成
ジエチレングリコールモノ(2−エチルヘキシル)エーテル 500質量部水酸化ナトリウム 92質量部、トルエン 1490質量部を反応容器に取り、90℃で1時間攪拌した。1,4−ブタンサルトン 312質量部を、内温を100℃以下に保ちながら滴下した。滴下終了後、内温を90℃に保ちながら、更に5時間攪拌した。反応容器を冷却後、アセトニトリル 11200質量部を攪拌しながら添加し、晶析を行った。遠心ろ過により結晶を分取した後、アセトニトリルで結晶洗浄を行い、更に、真空乾燥して、界面活性剤D:Sodium 4-(2-(2-(2-エチルヘキシルオキシ)エトキシ)エトキシ)ブタン-1-スルホン酸ナトリウム 720質量部を得た。ハロゲン化物イオンは検出限界以下であった。
Figure 2009262523
(2)バインダーポリマー
<バインダーポリマーA−1の合成>
コンデンサー、攪拌器を取り付けた500mlフラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール:156.28g入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。メタクリル酸メチル:50.06g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル:75.29g、メタクリル酸:8.61g、V−601:1.382gの1−メトキシ−2−プロパノール:156.28g溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間、70℃で撹拌した後、V−601:1.151gを加え、90℃まで昇温し、更に2時間攪拌した。室温まで反応溶液を冷却した後、グリシジルメタクリレート:15.64g、p−メトキシフェノール:0.2992g、テトラエチルアンモニウムブロミド:1.496gを加え、再び90℃まで加熱し、8時間攪拌し、バインダーポリマーA−1(24質量%MFG溶液)を得た。得られたバインダーポリマーA−1(24質量%MFG溶液)のハロゲン化物濃度は、9.6×10−6mol/gであった。
<バインダーポリマーA−2の合成>
コンデンサー、攪拌器を取り付けた500mlフラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール:156.28g入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。メタクリル酸メチル:50.06g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル:75.29g、メタクリル酸:8.61g、V−601:1.382gの1−メトキシ−2−プロパノール:156.28g溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間、70℃で撹拌した後、V−601:1.151gを加え、90℃まで昇温し、更に2時間攪拌した。室温まで反応溶液を冷却した後、グリシジルメタクリレート:15.64g、p−メトキシフェノール:0.2992g、テトラエチルアンモニウムブロミド:0.748gを加え、再び90℃まで加熱し、8時間攪拌し、バインダーポリマーA−2(24質量%MFG溶液)を得た。得られたバインダーポリマーA−2(24質量%MFG溶液)のハロゲン化物濃度は、3.8×10−6mol/gであった。
Figure 2009262523
得られたバインダーポリマーA−1、A−2を、ポリスチレンを標準物質としたゲルバミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均モル質量を測定した結果、いずれも200,000であり、正常に重合が行われていることが確認された。また、酸価滴定の結果、いずれもカルボキシル基が残存していないことが確認された。
(1)再沈殿法による精製(バインダーポリマーB)
上記バインダーポリマーA−2(24質量%MFG溶液)100質量部を水1000質量部に加え、再沈殿を行った。得られた固形物を脱液した後に、アセトン200質量部に溶解した。この溶液を水1000質量部に加えて再沈殿を行った後、得られた固形物を脱液した。アセトン溶液からの再沈殿を再度行い、得られた固形物を脱液した後に真空乾燥して、バインダーポリマーBを得た。ハロゲン化物イオンは検出限界以下であった。
(2)イオン交換樹脂による精製(バインダーポリマーC)
上記バインダーポリマーA−2(24質量%MFG溶液)100質量部に、陰イオン交換樹脂(AmberlystA−26 OH型)10質量部を加え、室温で1時間攪拌した後にイオン交換樹脂を濾過により除去した。この溶液に、更に陽イオン交換樹脂(Amberlyst15 H型)10質量部を加え、室温で1時間攪拌した後にイオン交換樹脂を濾過により除去して、バインダーポリマー溶液Cを得た。ハロゲン化物イオンは検出限界以下であった。
[実施例1〜15および比較例1、2]
1.平版印刷版原版(1)〜(13)および(R1)の作製
(1)支持体の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温は50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
さらに、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃を電解液にし、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
この板を2.5Mリン酸を電解液として、電圧50V、最大電流密度2A/dmで1.5g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。得られた基板をSEMにて観察したところ、マイクロポアの平均径は80nmであった。更に、2.5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液を用いてシリケート処理を施した。このときのシリケート量はSi換算で8mg/mであった。
さらに、下記下塗り層塗布液1を乾燥塗布量が12mg/mになるよう塗布して本発明の支持体1を得た。
別途、支持体1と同様に電気化学的な粗面化処理までを行ったアルミニウム基板に対し、0.3M硫酸を電解液として、電流密度0.5A/dmで1.5g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。得られた基板をSEMにて観察したところ、マイクロポアの平均径は12nmであった。更に、2.5質量%ケイ酸ナトリウム水溶液を用いてシリケート処理を施した。このときのシリケート量はSi換算で8mg/mであった。さらに、下記下塗り層塗布液1を乾燥塗布量が12mg/mになるよう塗布して支持体5を得た。
更に、2.5Mリン酸を電解液として、電圧50Vで、最大電流密度を変化させることで、マイクロポアの平均径が35nm、180nm、220nmの直流陽極酸化皮膜を設けた後、支持体1と同様に処理して、本発明の支持体2、支持体3、および支持体4を得た。
−下塗り層塗布液1−
・下塗り化合物(1)(Mw:60,000) 0.017g
・特定酸化合物(N−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸) 0.018g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
Figure 2009262523
(2)画像記録層および保護層の形成
上記下塗り層形成済みの支持体上1に、下記組成の画像記録層塗布液をバー塗布した後、100℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの画像記録層を形成した。引き続き、下記組成の保護層塗布液を前記画像記録層上にバー塗布し、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.160g/mの保護層を形成することで本発明の平版印刷版原版(1)〜(13)および比較用平版印刷版原版(R1)を得た。
なお、画像記録層塗布液は、下記感光液およびミクロゲル液を塗布直前に混合し、攪拌
することにより得た。
−感光液−
バインダーポリマー(表1に種類を記載) 0.177g
(B)重合開始剤(例示化合物I−28) 0.142g
(A)赤外線吸収剤(1) 0.0308g
(C)重合性化合物(アロニックスM−215(東亜合成(株)製) 0.319g
フッ素系界面活性剤(1) 0.004g
イオン系界面活性剤(表1に種類を記載) 0.125g
メチルエチルケトン 2.554g
1−メトキシ−2−プロパノール 7.023g
−ミクロゲル液−
ミクロゲル分散液(1) 1.800g
水 1.678g
なお、ミクロゲル液に用いたミクロゲル分散液(1)の合成法および前記感光液に使用する化合物の構造を以下に示す。
(ミクロゲル分散液(1)の合成)
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75質量%酢酸エチル溶液)10.0g、重合性化合物としてアロニックスM−215(東亜合成(株)製)6.00g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル分散液の固形分濃度を、21質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ミクロゲル分散液(1)を得た。平均粒径は0.23μmであった。
Figure 2009262523
Figure 2009262523
−保護層塗布液−
・下記層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール 0.06g
(PVA105、(株)クラレ製、けん化度98.5モル%、重合度500)
・ポリビニルピロリドン 0.01g
(ポリビニルピロリドンK30、東京化成工業(株)製、Mw=4万)
・ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体 0.01g
(LUVITEC VA64W、ISP社製、共重合比=6/4)
・ノニオン系界面活性剤 0.013g
(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
・イオン交換水 6.0g
(層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散無機粒子のアスペクト比は100以上であった。
2.平版印刷版原版(14)、(15)および(R2)の作製
陽極酸化皮膜マイクロポアの平均径の効果を比較する目的から、支持体5を用い、感光液中のバインダーポリマーとイオン系界面活性剤を表1記載のように用いて、本発明の平版印刷版原版(14)、(15)および比較用平版印刷版原版(R2)を作製した。
3.ハロゲン化物イオン量の測定
得られた平版印刷版原版について、支持体上の各層のハロゲン化物イオンの合計を先に説明した方法で測定した。結果を表1に示す。
4.平版印刷版原版の評価
得られた平版印刷版原版(1)〜(15)、および、(R1)、(R2)を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力11.7W、外面ドラム回転数250rpm、解像度2400dpiの条件で露光した後、下記のように、機上現像性、着肉性および耐刷性を評価した。結果を表1に示す。
(機上現像性の評価)
露光済みの平版印刷版原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6,000枚の印刷速度で印刷を行った。この時、画像記録層の未露光部(非画像部)に、インキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として評価した。枚数が少ないほど、機上現像性に優れると評価する。
(耐刷性の評価)
さらに印刷を続け、印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下する。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。枚数が多いほど、耐刷性に優れると評価する。
(微小点状汚れ性の評価)
作製した平版印刷版原版を温度60℃、相対湿度70%の条件下10日間保存したのちに、印刷機にかけて印刷物を作製し、印刷物の非画像部(印刷版の未露光部)に発生した微小点状汚れについて80cmあたりの個数を数えた。個数が少ないほど、微小点状汚れ防止性に優れると評価する。
(ブランケット汚れの評価)
機上現像性評価時に6000枚印刷した後、ブランケットの版の非画像部と接触する部分の、印刷インクの付着の程度および印刷物の汚れを調べた。
○・・・ブランケットにインキがほとんどついておらず、印刷物は汚れていない。
△・・・ブランケットにインキがついているが、印刷物は汚れていない(許容限界レベル)。
×・・・ブランケットにインキがついており、印刷物も汚れている。
Figure 2009262523
表1から以下のことが分かる。ハロゲン化物イオンの含有量が本発明の範囲外である比較例1、2は微小点状汚れの個数が非常に多い。
一方、本発明である平版印刷版原版(1)〜(15)においては、支持体のマイクロポアの平均径を本発明の好ましい範囲内に制御することで、耐刷性が向上するばかりか、驚くべきことに微点状汚れについても、極めて良好なレベルに改善されるという予想外の効果が発現していることが分かる。
本発明の平版印刷版原版は、微小の画像記録層の残存という課題に対して、耐刷性と保存性とをともに優れたレベルに維持することが可能であり、更に、本発明の平版印刷版原版は、耐刷性、機上現像性についても良好である。以上から、本発明の効果は明らかである。
[実施例21]
1.ガム現像液用の平版印刷版原版(21)および(R21)の作製
(1)アルミニウム支持体21および比較用支持体21
前記アルミニウム支持体1の作製と同様にして、2.5Mリン酸を電解液として直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して得たケイ酸ナトリウム処理手前の基板をアルミニウム支持体21(マイクロポアの平均径80nm)として以下の実験に用いた。また、前記比較用支持体1の作製と同様にして、0.3M硫酸を電解液として直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して得たケイ酸ナトリウム処理手前の基板を比較用支持体21(マイクロポアの平均径12nm)として以下の実験に用いた。
(2)下塗り層の形成
上記のアルミニウム支持体21および比較用支持体21上に、以下の組成の下塗り層塗布液2を塗布し、100℃にて3分間乾燥した。得られた下塗り層の塗布量は19mg/mであった。
−下塗り層塗布液2−
・下塗り化合物(1)(Mw:60000) 2.5g
・特定酸化合物(N−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸 ) 2.5g
・N−メチルピロリドン 49.0g
・メタノール 450.0g
・水 1.5g
(3)画像記録層の形成
上記のようにして得られた下塗り層上に、以下の組成を有する画像記録層塗布液2を塗布し、80℃にて1分間乾燥した。得られた画像記録層の塗布量は、1.25g/mであった。
−画像記録層塗布液2−
・下記バインダーポリマー(1) 0.54g
・重合性化合物(1) 0.48g
イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート (アロニックスM−315、東亜合成(株)製)
・下記増感色素(1) 0.07g
・下記重合開始剤(1) 0.11g
・下記共増感剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
〔顔料:15質量部、分散剤としてアリルメタクリレート/メタクリル酸
(80/20)共重合体:10質量部、溶剤としてシクロヘキサノン/
メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15
質量部/20質量部/40質量部〕
・メチルエチルケトン 4.80g
・ジメチルスルホキシド 4.80g
Figure 2009262523
(4)保護層の形成
画像記録層上に、以下の組成を有する保護層塗布液2をバーを用いて塗布した後、125℃で70秒間乾燥して、塗布量が0.70g/m2の保護層を形成し、平版印刷版原版を作製した。
−保護層塗布液2−
・ポリビニルアルコール(けん化度:98モル%、重合度:500) 40g
・ポリビニルピロリドン(Mw:5万) 5g
・ポリ〔ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1)〕(Mw:7万) 0.5g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.5g
・水 950g
得られた平版印刷版原版について、支持体上の各層のハロゲン化物イオンの合計を実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
2.平版印刷版原版の評価
<露光・現像・印刷>
上記平版印刷版原版について、出力100mWの405nm半導体レーザーを用いて、エネルギー密度を変えて画像様露光を行った。
その後、現像液として下記水溶液Aを用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、を使用し、図中14の現像部分に現像液として水溶液Aを用いて現像及び不感脂化を同時に行い、図中16及び図中18の水洗および不感脂化処理は行わず、図中20にて乾燥処理を行い、平版印刷版を作製した。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有し、1本目の回転ブラシロールは、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールで、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目の回転ブラシロールは、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールで、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minにて実施した。
水溶液Aは、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。水溶液Aのタンク容量は、10リットルであった。
−水溶液A−
・水 100.00g
・ベンジルアルコール 1.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 1.00g
(オキシエチレン平均数n=13)
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・エチレングリコール 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
次いで、平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
<評価>
耐刷性および耐汚れ性を下記のように評価した。結果を表2に示す。
(A)耐刷性
上記の印刷を行い、印刷枚数が増加すると、徐々に画像記録層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷物におけるインキ濃度が低下した。同一露光量(エネルギー密度)で露光した印刷版において、インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により耐刷性を相対評価した。すなわち、平版印刷版21を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは耐刷性が高いことを表している。
耐刷性=(対象平版印刷版の耐刷枚数)/(基準平版印刷版の耐刷枚数)×100
(B)微小点状汚れ
得られた平版印刷版原版を、60℃相対湿度75%に設定した恒温恒湿槽中に10日間放置した後、上記と同様に現像した。印刷紙面上の80cmの範囲内における微小点状汚れの個数を数えた。これらの結果を表2に示す。
Figure 2009262523
表2から明らかなように、本発明の平版印刷版原版は耐刷性が高く、保存後の微小点状汚れが少ない優れたものであることが分かる。また、現像処理後に平版印刷版の非画像部を目視確認したところ、本発明の平版印刷版原版では画像記録層の残存は観察されなかった。
[実施例31]
1.平版印刷版原版31の作製
上記画像記録層塗布液2を下記画像記録層塗布液3に、上記保護層塗布液2を下記保護層塗布液3に変更した以外は平版印刷版原版21と同様にして平版印刷版原版31を作製した。
−画像記録層塗布液3−
・下記バインダーポリマー(2) 0.54g
・下記重合性化合物(2) 0.48g
・上記増感色素(1) 0.07g
・上記重合開始剤(1) 0.19g
・上記共増感剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
〔顔料:15質量部、分散剤としてアリルメタクリレート/メタクリル酸
(80/20)共重合体:10質量部、溶剤としてシクロヘキサノン/
メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15
質量部/20質量部/40質量部〕
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04g
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・テトラエチルアンモニウムスルホナート 0.01g
・感脂化剤(例示の特定ポリマー(11)) 0.035g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
Figure 2009262523
Figure 2009262523
−保護層塗布液3−
・下記層状化合物分散液(2) 13.00g
・ポリビニルアルコール(けん化度98モル%、重合度500) 1.30g
・2−エチルヘキシルスルホコハク酸ソーダ 0.20g
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル=1/1)(Mw7万) 0.05g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.05g
・水 133.00g
(層状化合物分散液(2)の調製)
水368gに合成雲母(「ソマシフME−100」:コープケミカル(株)製、アスペクト比:1000以上)32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになるまで分散し、雲母分散液(1)を得た。
2.平版印刷版原版31の評価
得られた平版印刷版原版31のハロゲン化物イオンの測定結果は、それぞれ、1.5μmol/mであった。
得られた平版印刷版原版31に対して、実施例21と同様にして露光、現像および印刷を行い、同様に評価した。本発明の平版印刷版原版31は、保存後の微小点状汚れの個数が、1個であり、微小点状汚れの発生が少ない好ましい結果を与えた。
[実施例41]
平版印刷版原版(1)を実施例1記載の方法により露光し、実施例21と同様の現像条件で現像した。実施例1と同様に評価したところ、本発明の平版印刷版原版(1)は、保存後の微小点状汚れの個数が2個であり、微小点状汚れの発生が少ない好ましい結果を与えた。
ガム液による現像に使用し得る自動現像装置の一例の概略的な構造である。
符号の説明
1 自動現像装置
10 現像処理部
12 印刷版
14 現像部
16 水洗部
18 不感脂化処理部
20 乾燥部
24 現像槽
141,142 ブラシローラ(擦り部材)
200 前処理部

Claims (8)

  1. 陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支持体上に少なくとも重合性画像記録層を有する平版印刷版原版であって、リン酸を含有する水溶液により陽極酸化処理を施されたアルミニウム支持体上に設けられたすべての層に含まれるハロゲン化物イオンの合計が5μmol/m以下であることを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 前記アルミニウム支持体における陽極酸化皮膜のマイクロポアの平均径が30nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記画像記録層が、(A)増感色素、(B)重合開始剤、および(C)重合性化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記画像記録層が、さらに、バインダーポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  5. 前記(A)増感色素が赤外線吸収剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  6. 前記画像記録層が、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能であるか、あるいはガム液により除去可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の平版印刷版原版を、赤外線レーザーにより画像露光した後に印刷機に装着するか、印刷機に装着した後に赤外線レーザーにより画像露光し、印刷インキと湿し水とを供給して機上現像処理を行い、印刷することを特徴とする製版方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の平版印刷版原版を画像様に露光する工程と、露光後の平版印刷版原版をガム液で現像することにより平版印刷版原版の未露光部分を除去する現像工程とを有することを特徴とする平版印刷版原版の製版方法。
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