JP2009256216A - 溶液状態で安定なアムロジピンベシル酸塩内服用液剤 - Google Patents

溶液状態で安定なアムロジピンベシル酸塩内服用液剤 Download PDF

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Abstract

【課題】錠剤等の固形製剤が服用困難な患者に投与することができ、貯蔵安定性にすぐれたアムロジピンベシル酸塩の内服用液剤の提供。
【解決手段】プロピレングリコールと糖アルコール類を必須成分として含有する水溶液にアムロジピンベシル酸塩を溶解してなるアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
【選択図】なし

Description

本発明は高齢者や嚥下障害のある患者が容易に服用することのできるアムロジピンベシル酸塩内服用液剤に関するものであり,医療の分野で利用される。
さらに詳細には、降圧剤であるアムロジピンベシル酸塩を錠剤やカプセルとして飲み込むことが困難な嚥下機能の低下した患者が容易に服用することができるアムロジピンベシル酸塩内服用液剤に関するものであり、嚥下障害のために経鼻胃管や胃ろうによる経管栄養を受けている患者については、その管を通じて消化管内に容易に投与することのできるアムロジピンベシル酸塩内服用液剤に関するものである。
アムロジピンベシル酸塩は高血圧症に対する血圧降下剤として汎用されている。その作用機序はカルシウム拮抗作用とされており、降圧剤の中では作用が穏やかであり、高齢者にも安全に使用することが可能である。これまで市販されているのは固形剤のみであるが、高齢者の中には咀嚼機能が低下したり、脳梗塞後遺症などのために食物は勿論のこと錠剤の形の医薬品を嚥下することが困難な患者が多く認められる。また,パーキンソン病患者などのように高齢者以外にも嚥下障害を惹起している患者が多い。そのような患者にアムロジピンベシル酸塩を投与するために近年、口腔内で唾液によって容易に崩壊する錠剤が開発されたが、高齢者等においては唾液分泌量の少ない患者も多く、必ずしも服用が容易であるとは言えない。そのため嚥下障害の患者が容易かつ安全に服用可能な剤形のアムロジピンベシル酸塩製剤が要望される。
上記の状況を鑑み、嚥下障害のある患者が容易に服用することのできる剤型である内服用アムロジピンベシル酸塩液剤の提供が有用であると考えられる。
しかしながらアムロジピンベシル酸塩を初めとするジヒドロピリジン系化合物は水溶液中では不安定であり、保存中に種々の類縁物質(不純物)を生じることが明らかにされている。さらに安定性に加え、溶解性や味に関しても内服用液剤を提供する上で課題となる。特許文献1は、ニルバジピンについて、ポリエチレングリコールおよび/またはグリセリンを加えることにより薬物の溶解性や安定性の改善に優れた効果を示すことやプロピレングリコールおよび/またはグリセリンを加えることにより薬物の溶解度のさらなる向上と内服用液剤の味の改善においても優れた効果を有することを記載している。しかしながら、同じジヒドロピリジン系化合物であるアムロジピンベシル酸塩の場合は、表4に示すようにプロピレングリコール(PG)とエタノール(EtOH)中では溶解性と安定性の向上が見られるが,ポリエチレングリコール、グリセリンについては薬物の溶解性の向上のみ認められ、溶液中での安定性は逆に悪化する。 表4においてPGやEtOH中ではアムロジピンベシル酸塩は安定であることが示唆されたが、水分を含まないそれらの溶媒のみから成るアムロジピンベシル酸塩溶液は口腔内の刺激性が強く、不快な味や消化管への刺激があることなどから、経口的な投与には適さない。そのため,アムロジピンベシル酸塩の水溶液とすることが望ましい。
また、特許文献2では、ジヒドロピリジン化合物の液体組成物について報告しており、その中で希釈剤としてプロピレングリコールの使用を記述している。しかし当該発明はジヒドロピリジン系化合物を溶解するための可溶化剤としてソルビタンモノラウレートやポリエチレングリコール(20)−ソルビタンモノラウレートなどの界面活性剤を20乃至60重量%添加することを発明の構成としている。上記の界面活性剤は生体への安全性について問題があり、それらを必須要件として含有する製剤を疾病の治療に使用することは好ましくない。
さらに、特許文献3では、アムロジピンのベンゼンスルホン酸塩の組成物の一つとしてプロピレングリコールを含む無菌水溶液について言及しているが、この発明は注射剤のように非経口的に投与可能な形状である溶液状態を呈する組成物を示しているに過ぎず、内服用液状医薬品として使用することが可能な保存中も安定であるアムロジピンベシル酸塩製剤を示すものではない。
特開2000−247883号公報 特開昭59−167512号公報 特開昭62−240660号公報
本発明者らは上記課題を解決すべく化学的に安定なアムロジピンベシル酸塩内服用液状医薬品の処方および製造法を検討した結果、プロピレングリコールと糖アルコール類を含有する水溶液中にアムロジピンベシル酸塩を溶解することで安全に内服が可能であり,長期間の保存中も類縁物質の生成が少なく、アムロジピンベシル酸塩含量の低下も少ない安定なアムロジピンベシル酸塩内服用液状医薬品の処方及び製造法を見出し、本発明を完成させた。
即ち,本発明のアムロジピンベシル酸塩内服用液状医薬品は液体状態で患者に投与する医薬品製剤であり、水分が5重量%以上60重量%未満、好ましくは10重量%以上40重量%未満、プロピレングリコールが5重量%以上70重量%未満、好ましくは10重量%以上50重量%未満、より好ましくは20重量%以上40重量%未満、糖アルコールが10重量%以上70重量%未満、好ましくは20重量%以上60重量%未満、より好ましくは30重量%以上50重量%未満、から構成される。糖アルコールとしては液中のアムロジピンベシル酸塩の安定性に影響を及ぼさない限り、特に制限されるものではないが、例えばD-ソルビトール,キシリトール,マンニトール,エリスリトール,マルチトール,ラクチトール,還元パラチノースおよび還元麦芽糖水アメ等が挙げられ、任意に選択並びに組み合わせることができる。さらに、溶解補助および/または安定化を目的とし、エタノールを適量添加でき、好ましくは2重量%乃至20重量%を添加することができる。必要に応じて防腐剤,pH調整剤,甘味剤,抗酸化剤,香料を添加することができる。また本剤は20℃における粘度が5mPa・s乃至200mPa・s、好ましくは10mPa・s乃至50mPa・sであることを特徴とする。アムロジピンベシル酸塩の臨床用量がアムロジピン換算で2.5mg〜10mg (1日1回投与)であることと、高齢者や嚥下障害のある患者にとって服用量が少ない方が服用は容易であることから、アムロジピンベシル酸塩濃度を0.69mg/mL(アムロジピン換算で0.5mg/mL)乃至10.4mg/mL(アムロジピンとして7.5mg/mL)とするのが好ましい。
(1)プロピレングリコール,糖アルコール等を含まない水溶媒中でのアムロジピンベシル酸塩の安定性に及ぼすpH及び緩衝剤(リン酸・クエン酸緩衝液)の影響の検討
表1に各種pHの水溶液におけるアムロジピンベシル酸塩の安定性に関する検討結果を示す。表1は各種の緩衝液中アムロジピンベシル酸塩を0.1mg/mL濃度で、90℃,40分加熱した場合における類縁物質の生成量の合計を,「総類縁物質量(%)」として示す。
尚、緩衝液としてはリン酸・クエン酸緩衝液を用いた。また、ここでの「総類縁物質量」は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって検出された全ての類縁物質のピーク面積合計量のアムロジピンを含む全ピーク面積の合計量に対する比率を表しており、以下に記載するアムロジピン残存率と同様に安定性の指標とした。(以下、同様)
その結果、溶液中のpHが極端な酸性もしくはアルカリ性の場合は類縁物質の生成が顕著であり、不安定なことが示唆された.一方、中性域では比較的類縁物質の生成が少なかったが、同じ中性付近でも緩衝液を使用しない水溶媒のみの方が、類縁物質量が少ないことがわかった。
Figure 2009256216
(2)プロピレングリコール,糖アルコール等を含まないが、EtOHを10%含む水系溶媒中でのアムロジピンベシル酸塩の安定性に及ぼすpH及び緩衝剤(クエン酸緩衝液)の影響の検討
上記(1)において、水と同様の中性付近でも、緩衝液を用いない方が類縁物質の生成量が少ないことがわかった。そこで次に、使用する緩衝液の種類を変え、中性付近での類縁物質生成量を緩衝剤を含まない水のみの場合と比較した。
表2に各種pHの水溶液におけるアムロジピンベシル酸塩の安定性に関する検討結果を示す。表2は各種の緩衝液中のアムロジピンベシル酸塩を1.73mg/mL濃度で、121℃,20分加熱した場合における類縁物質生成量の合計を示す。尚、表2ではクエン酸緩衝液を用い、全てEtOH10%を添加している。
その結果、(1)と同様に,同じ中性付近でも緩衝液を使用すると緩衝液を使用しない場合に比較して類縁物質量が多く、不安定となることが示唆された。そのため、アムロジピンベシル酸塩液剤には緩衝剤は使用しない方が製剤として安定であり好ましいと考えられた。
Figure 2009256216
(3)プロピレングリコール,糖アルコール等を含まない水溶液中でのアムロジピンベシル酸塩の安定性に及ぼす抗酸化剤の効果
アムロジピンベシル酸塩1.73mg/mLのみを含有する水溶液に各種抗酸化剤を各々0.1重量%添加して60℃,2週間保存後における類縁物質の生成量を表3に示す。表3から明らかなように通常使用される抗酸化剤は水溶媒中でのアムロジピンベシル酸塩の安定化には効果が得られなかった。
Figure 2009256216
(4)各種溶媒中でのアムロジピンベシル酸塩の安定性
1.非水溶媒系での検討(安定性及び溶解性)
水中で不安定なアムロジピンベシル酸塩について、非水溶媒系での検討を行った。有機溶媒である日本薬局方プロピレングリコール(以下PGと称す),日本薬局方エタノール(以下EtOHと称す),ポリエチレングリコール400(以下PEG400と称す),日本薬局方濃グリセリン(以下濃グリセリンと称す)の各々にベシル酸アムロジピンを溶かした溶剤について60℃14日間保存し、安定性を検討した結果を表4に示す。表4においても生成した類縁物質の総量を安定性の指標とした。
表4中、アムロジピンベシル酸塩濃度はmg/mLを示し、各溶剤の数値は重量%を示す。また60℃14日間の欄は総類縁物質量(%)を示す。
Figure 2009256216
表4において、PG又はEtOHでは主薬の析出や液剤の呈色が無いのみでなく、類縁物質の生成が抑制され、アムロジピンベシル酸塩の安定性が向上することがわかった.なかでも、PGがより安定化に寄与することが示唆された。その一方で同じ非水溶媒であるPEG400や濃グリセリンでは、黄色に変色し、析出物が認められるのみでなく、類縁物質量が水溶媒(比較例1)よりも極端に増加する傾向が見られ、安定化作用は認められなかった。
しかしながら、PGやEtOHの100%溶剤は、臭いや味,舌ざわりが悪いだけでなく、経口摂取時の口腔内及び消化管粘膜への刺激性を示すことから内服用液状医薬品の基剤としては不適切である。
そのため、PGやEtOHに水のような安全性の高い溶媒を加えてそれらの悪影響を低減する必要性が考えられた。
2.水溶液に対する増粘化剤の検討
嚥下障害のある患者が液状飲食物を飲み込む場合に水のように粘性の低い液体はむせ込み易いことが知られており、そのような患者が服用することを目的とした内服用液状医薬品は流動性を呈しつつ、水よりも高い粘性を有していることが望ましいと考えられる。特に市販されている嚥下困難者のための流動栄養食品の多くが設定している10〜50mPa・s(20℃)程度の粘度を有する液状医薬品はそれらの患者にとって服用し易いものと考えられる。
そのため、種々の増粘剤の効果を検討した。即ち、増粘剤を水に溶解して0.2w/v%の溶液を調製し、この溶液100mLにアムロジピンベシル酸塩を173mg添加し、外観を観察した。但し、キサンタンガムは0.2w/v%では溶解しなかったため、0.05w/v%で検討した。表5に結果を示すが、カラギーナン,グアーガム,ジェランガム,キサンタンガムのいずれについても沈殿物の生成や離水が認められ、長期間安定的に均一でかつ、粘性を呈するものではなかった。
Figure 2009256216
3.PG溶液と粘度の関係
一方、PGは比較的高い粘度を有しているため、PGに水を加えたPG水溶液をアムロジピンベシル酸塩の溶媒とする可能性を検討するために各種濃度のPG水溶液について回転粘度計を用いて粘度を測定した。
結果を表6に示すが、増粘剤を用いずに流動食と同程度の粘度を得るにはPG60%以上が必要であり、更にPG溶液にアムロジピンベシル酸塩を溶解しても粘度に有意な変化は認められなかった。
Figure 2009256216
(5)人体に投与可能で、なおかつ安定なアムロジピンベシル酸塩溶液組成の検討
1.溶媒の検討
表4においてPGとEtOHを溶媒とすることで、溶液状態のアムロジピンベシル酸塩が安定に維持されることがわかったが、前述のようにそれらのみから構成される溶液は人体にとって好ましいものではなく、水を含有していることが望ましい。またEtOHは血管拡張など種々の生理作用を有することや引火点が低く、製造時等に火災の危険性が考えられるため、内服用液状医薬品の基剤としてはPG水溶液がより適しているものと考えられた。
表7に種々の濃度のPG溶液にアムロジピンベシル酸塩を1.73mg/mL濃度で溶解し、遮光下60℃で14日間保存した場合における類縁物質の総量を示す。表7からPGの安定化作用は濃度に比例することが明らかとなった。
Figure 2009256216
2.安定化剤の検討
さらに、PGについても口に含むと苦味が感じられる。個人差はあるが、30重量%以下では弱い苦味を感じる程度であるが、濃度の上昇に伴い苦味が増強する。特に70重量%以上の高濃度のPG水溶液については口腔内に含んだ時に苦味や違和感を感じるのみでなく、吐き出し、または飲み下した後にも舌に強い苦味が残る。また、医薬品添加物事典(薬事日報社;2006年)によると経口投与でのPG使用前例上限値が1日当り2.08gであり、さらにADI(1日摂取許容量)が体重1kgあたり25mgであることから、安全性の観点からも内服用液状医薬品に包含されるPGは、より少量である方が望ましいと考えられた。
そのため、本発明者らはPGを40重量%以下含有する水溶液を基に、安定化剤を添加することで、アムロジピンベシル酸塩を安定化し、同時に嚥下障害者にも飲み込み易いように適度な粘度のある内服用液状医薬品を得るべく、安定化剤の検討を行った。
安定化作用と増粘作用を兼ね備えた安定化剤として安全性が高く、水によく溶解し、粘性を呈する糖アルコールについて検討した。
PGを30重量%とし、糖アルコールとしてD-ソルビトールを選択した。D-ソルビトール濃度を0から60重量%に変化させた検体(アムロジピンベシル酸塩1.73mg/mL含有)を40℃,6箇月保存した場合における不純物の生成量を表8に示す。表8からD-ソルビトール単独では安定化効果が得られないが、30重量%のPGに併用すると安定化効果の得られることが明らかとなった。特にD-ソルビトール30重量%以上の場合において、類縁物質量が少なく、50重量%の時に最も安定化作用が顕著であった。しかしながら、高濃度のD-ソルビトール溶液は開封放置した場合等、水分が蒸発すると容易に白色の粉末状物として析出してしまい、外観的に好ましいものではない。更にD-ソルビトールは糖尿病性神経障害の発症等にも関与しているとされている。そのため、D-ソルビトールも可能な限り低濃度であることが好ましい。
Figure 2009256216
D-ソルビトール濃度を低減する目的で先の検討結果において安定化効果の得られたEtOHを併用することを試みた。その結果を表9に示す。表9はアムロジピンベシル酸塩濃度1.73mg/mLの場合に40℃,6箇月間ガラスバイアル中に保存した検体におけるエタノールの添加効果を示す。安定化効果の指標として類縁物質の合計生成量を検討した。表9においてPG30重量%でD-ソルビトールが40重量%の場合、EtOHを5重量%添加することで、アムロジピンベシル酸塩は更に安定化されることが示唆された。尚、表9においても各配合成分の数値は重量%を示す。
エタノール添加による安定化効果をより詳細に検討する目的でPG濃度を一定として種々のエタノール濃度の検体を作製し、60℃,14日間保存した場合について類縁物質合計量とアムロジピンベシル酸塩残存率を表10に示す。(表10においてアムロジピンベシル酸塩はmg/mLで表示し、その他は重量%で示した)表10よりエタノール濃度の増加に伴い、類縁物質量の減少及びアムロジピンベシル酸塩残存率の改善が認められため、アムロジピンベシル酸塩はエタノール濃度依存的に安定化されることが明らかとなった。しかし、エタノールは既に述べたように生理活性が強く、できるだけ配合量は少ないことが好ましい。一方、PG30重量%, EtOH5重量%,D-ソルビトール40重量%を含有する製剤ではアムロジピンベシル酸塩が1.73mg/mLと3.46 mg/mLのいずれの場合についても高い残存率が認められ、類縁物質が比較的少なく、安定な製剤であることが明らかになった。これらの組成から成る内服用液状医薬品はいずれも、その4mLを経口的に服用する場合に強い苦味は感じられなかったが、甘味料であるスクラロースと香料を添加することで更に服用し易い製剤とすることができた。
Figure 2009256216
Figure 2009256216
3.安定化剤の組み合わせによる安定化効果の検討
プロピレングリコール及びソルビトール,エタノールの併用による安定化効果を明確にするために表11に示すサンプルを作成し,比較を行った。60℃,14日間保存した場合について類縁物質合計量とアムロジピンベシル酸塩残存量を表11に示す。尚,表11においてもアムロジピンベシル酸塩はmg/mLで、その他の各配合成分の数値は重量%を示す.表11より,プロピレングリコールとソルビトールを組み合わせることによって,プロピレングリコール単独での安定化効果を上回る効果が得られた。さらに,プロピレングリコールとエタノールの組み合わせにも,D-ソルビトールを加えることによって,より安定化効果が増強されることが,表11より明らかとなった。
Figure 2009256216
4.他の有機溶媒のD-ソルビトールとの併用による安定性の検討
単体での使用では安定性の悪かった溶媒,濃グリセリンとPEG400について,プロピレングリコールと同様にD-ソルビトールと併用し、90℃,40分に加熱した場合における安定化効果を検討した。その結果を表12に示す.尚、表12においてもアムロジピンベシル酸塩はmg/mLで、その他の各配合成分の数値は重量%を示す。
表12より,単体で安定性の悪くなった濃グリセリンやPEG400は,D-ソルビトールと併用して使用した場合でも,PGとD-ソルビトールとの併用のような安定化効果は認められないことがわかる。
Figure 2009256216
5.他の糖アルコール類に関する検討
更にD-ソルビトール以外の糖アルコール類であるキシリトール,マンニトール,エリスリトール,マルチトール,ラクチトール,還元パラチノースおよび還元麦芽糖水アメについて同様にPGと併用し、安定化効果を検討した。その結果、エリスリトールとマンニトール,及び還元パラチノースは溶解性が低いために、各々30gを100mLメスフラスコに秤量し、PG30gおよびEtOH5gを添加し、さらに精製水を加えて100mLとした場合に溶解せず、良好な製剤を得ることができなかった。一方、マルチトールとキシリトール,ラクチトール及び還元麦芽糖水アメは同様の操作を行った場合に均一で澄明な組成物として得ることが可能であった。さらにそれらについては60℃,7日間保存した場合にD-ソルビトールと同様に安定化効果が認められた。その結果を表13に示す。
尚、表13においてもアムロジピンベシル酸塩はmg/mLで、その他の各配合成分の数値は重量%を示す。
Figure 2009256216
表13より,2糖アルコールであるラクチトール,マルチトール,還元麦芽糖水飴よりも,単糖アルコールであるキシリトール,D-ソルビトールの方が,総類縁量及び残存率は良好な結果を示している。(アムロジピンベシル酸塩の安定化に寄与する糖の水和特性から,糖アルコールは1分子中に各糖特有のOHを有し,水溶液中では周囲の水分子と安定な水素結合を形成する。よって,糖と水和し,束縛されている水の量は,糖の立体コンフォメーションと関係する。これにより,単糖アルコール類,2糖アルコール類の違いが安定化効果の程度に影響すると推測される.アムロジピンベシル酸塩においては糖アルコール類の中でも,単糖アルコール類の使用が最も好ましい。)
(6)安定なアムロジピンベシル酸塩溶液組成の粘度
本発明によって得られる安定なアムロジピンベシル酸塩溶液について粘度を検討した結果を表14に示す。表14において、いずれの組成からなるアムロジピンベシル酸塩溶液も嚥下障害者にも服用し易いと考えられる粘度を呈することが示唆された。尚、表14中、アムロジピンベシル酸塩はmg/mLで、その他の成分は重量%を示す。
Figure 2009256216
以下に本発明の効果をより詳細に説明するため実施例を提供する。
実施例1
−D-ソルビトールから成る処方検討(アムロジピンベシル酸塩1.73mg/mL)−
下記の手法によってアムロジピンベシル酸塩組成物を調製し、4mL毎にアルミラミネートしたポリエチレンフィルムで作成したスティック状の袋容器(幅17mm 長さ140mm)に充填した。
調製法
1.メチルパラベン95.2mg,エチルパラベン31.7mgを秤量し,EtOH 10mLに溶解する。
2.アムロジピンベシル酸塩173mgを秤量し,PG 30gに溶解する。
3.スクラロース100mgを秤量し,65%D-ソルビトール液61.54gを秤量し,混合する。
4.2.の混液に3.の混液を混合し,さらに1.メチルパラベン,エチルパラベンのエタノール溶液6.3mLを混合する。
5.上記調製液に香料10μLを添加し,精製水を加えて100mLとする。
本組成物の組成を表15に示す。本組成物を室温で1年間保存した。その結果、生成した総類縁物質量と保存開始時に対するアムロジピンベシル酸塩残存率は各々0.44%及び99.1%であった。
また、1年後の開封時に析出物は認められなかった。それらの結果から表15に示すアムロジピンベシル酸塩製剤は1年間安定であることが示された。また本組成物の味は医薬品として許容できる味であった。
尚、表15に示すアムロジピンベシル酸塩製剤の20℃における粘度は21.5mPa・sであった。
Figure 2009256216
実施例2
−D-ソルビトールから成るが、アムロジピンベシル酸塩濃度を3.46mg/mLとした処方−
実施例1と同様の操作で表16に掲げる組成のアムロジピンベシル酸塩製剤を得た。但しアムロジピンベシル酸塩秤量のみ346mgとした。
このアムロジピンベシル酸塩溶液2mLをアルミラミネートしたポリエチレンフィルムで作成したスティック状袋(幅17mm 長さ120mm)に充填した。このものを室温で1年間保存した。その結果、生成した総類縁物質量と保存開始時に対するアムロジピンベシル酸塩の残存率は各々0.41%及び99.4%であった。
そのため表16に示したアムロジピンベシル酸塩製剤は1年間安定であることが示された。1年後の開封時に析出物は認められなかったことは実施例1と同様であり、味についても実施例1と同様であった。
Figure 2009256216
実施例3
−キシリトールから成る処方の検討(アムロジピンベシル酸塩1.73mg/mL)の処方−
D-ソルビトールのみキシリトールに置き換えて実施例1と同様の操作で、表17に掲げる組成のアムロジピンベシル酸塩製剤を得た。
このアムロジピンベシル酸塩溶液4mLを褐色ガラスアンプルに充填し室温で3ヶ月間保存した。3ヵ月後における総類縁物質量とアムロジピンベシル酸塩残存量は各々0.15%及び99.89%であり、表17に示したアムロジピンベシル酸塩製剤は3ヶ月間安定であることが示された。3ヶ月後の開封時に析出物は認められなかったことは実施例1と同様であり、味についても実施例1と同様であった。
Figure 2009256216
実施例4
−D-ソルビトールから成るが、EtOHを含有せず、D-ソルビトール50%の処方(アムロジピンベシル酸塩1.73mg/mL)−
下記の調製法でPG30重量%,D-ソルビトール50重量%から成るアムロジピンベシル酸塩製剤組成物を調製した。
調製法
1.アムロジピンベシル酸塩173mgを秤量し,プロピレングリコール30gに溶解する。
2.1.の混液に70%D-ソルビトール液71.4gを秤量し,混合する。
3.上記調製液に精製水を加えて100mLとする。
このアムロジピンベシル酸塩溶液80mLを100mL容の褐色ガラス瓶に充填し、室温で6ヶ月間保存した。その結果、外観的性状に変化は認められず、生成した総類縁物質量とアムロジピンベシル酸塩残存率は各々0.18%及び99.57%であり、上記のアムロジピンベシル酸塩製剤は6ヶ月間安定であることが示された。
実施例5
―マルチトールから成る現行主薬濃度(アムロジピンベシル酸塩3.46mg/mL)の処方―
下記の調製法でPG30重量%,マルチトール30重量%,エタノール5重量%から成るアムロジピンベシル酸塩製剤組成物(アムロジピンベシル酸塩0.346重量%)を調製した。
調製法
1.D-マルチトール30gを秤量し,20gの精製水を添加し加温溶解する。
2.アムロジピンベシル酸塩346mgを秤量し,エタノール6.3mL,プロピレングリコール30gを加えて溶解する。
3.1.の混液に2.の混液を混合する。
4.上記調製液に精製水を加えて100mLとする。
このアムロジピンベシル酸塩溶液を2mL毎に容褐色ガラスアンプルに充填した。
室温で4ヶ月間保存した結果、外観的性状に変化は認められず、生成した総類縁物質量と保存開始時に対する残存率は各々0.19%及び98.84%であり、上記のアムロジピンベシル酸塩製剤は4ヶ月間安定であることが示された。
[発明の効果]
本発明のベシル酸アムロジピン内服用液状医薬品は褐色のガラス瓶やアンプル乃至スティック包装等で3ヶ月乃至1年間室温保存した場合にも性状の変化や類縁物質の生成は少なく安定な製剤である。またそれらの製剤は嚥下障害者にも経口的に服用し易い適度の粘性を有しており、実用的で安定なベシル酸アムロジピン内服用液状医薬品である。

Claims (10)

  1. プロピレングリコールと糖アルコール類を必須成分として含有する水溶液にアムロジピンベシル酸塩を溶解してなるアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
  2. 界面活性剤及び/又はポリエチレングリコール及び/又はグリセリンを実質的に含有しない請求項1に記載のアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
  3. 糖アルコール類がD-ソルビトール,キシリトール,マルチトール,還元麦芽糖水アメ,及びラクチトールからなる群から選択される1以上である請求項1または2に記載のアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
  4. エタノールを2重量%乃至20重量%含有する請求項1乃至3のいずれかに記載のアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
  5. アムロジピンベシル酸塩濃度が0.69mg/mL(アムロジピンとして0.5mg/mL)乃至10.4mg/mL(アムロジピンとして7.5mg/mL)である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
  6. 水分含量が10重量%以上、60重量%以下である請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
  7. プロピレングリコール含量が10重量%以上、70重量%未満である請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
  8. 糖アルコール類が10重量%以上、70重量%未満である請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
  9. pH緩衝剤を含まない請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
  10. 20℃における粘度が5mPa・s乃至200mPa・sである請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のアムロジピンベシル酸塩内服用液剤。
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