JP2009255346A - 脆性材料基板の加工装置および加工方法 - Google Patents

脆性材料基板の加工装置および加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】脆性材料基板のフルカットに適した冷却状態を実現する。
【解決手段】加工装置100は、加工対象物110である脆性材料基板を加工予定線に沿って切断する。レーザ照射装置10は、レーザビームLBをパターニングし、パターニングされたレーザビームLBを脆性材料基板の加工予定線上に照射する。冷却装置20は、レーザ照射領域の近傍であり加工予定線上の所定の冷却領域を、冷却媒体CMを噴射して冷却する。ステージ2は、加工予定線の方向に、加工対象物110をレーザ照射領域および冷却領域に対して相対移動させる。制御部32は、レーザ照射領域と冷却領域の間の、所定領域の温度を監視し、所定領域の温度が目標値と一致するように、レーザビームLBのエネルギをフィードバックにより調節する。所定領域は、冷却領域よりもレーザ照射領域に近い位置に設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス基板や半導体基板をはじめとする脆性材料基板の切断、スクライブ技術に関する。
FPD(フラットパネルディスプレイ)は、一枚のマザーガラスを所定サイズの複数の領域に切断することにより形成される。FPDのサイズは、大型液晶テレビに使用されるような数十インチから、携帯電話端末に使用される数インチの多岐にわたっており、またFPDの厚みも、大型液晶テレビに使用される数mmから、携帯電話端末に使用される数百μm程度と幅広い。
ガラスなどの脆性材料基板を切断する方法として、従来よりダイヤモンドなどのカッターによってスクライブラインを形成し、スクライブラインに沿ってブレーク(割断)する技術が用いられている。この方法では、割断時にガラス粉、ガラスカレットが発生するという問題がある。近年では、スクライブラインの形成に、カッターに代えてレーザビームを用いる技術(レーザスクライブという)が開発されている。
レーザスクライブでは、ガラス基板上を加工予定線に沿って移動させながら、加工予定線上に一点にレーザを照射して局所的に加熱し、しかる後に加熱領域近傍に冷却媒体を噴射して冷却する。その結果、レーザ基板上の熱分布に応じて、ガラス基板を加工予定線と垂直に引っ張る方向に熱応力が発生し、ガラス基板上に加工予定線に沿ったスクライブラインが成長していく。その後、ブレイカ装置によってガラス基板に機械的な応力が印加され、スクライブラインに沿って割断される。
また、加熱条件、冷却条件、加工速度等を調整することによって、スクライブラインをガラス基板の厚み方向の深い箇所まで浸透させて、ブレイカ装置による割断処理を経ずに、ガラス基板を割断するフルカット(フルボディカットともいう)することも可能である。レーザを利用したフルカットは、ブレイカ装置による後処理が不要となり、単一工程でガラス基板を割断できることから、量産性の観点で非常に有用である。
国際公開第03/008168号パンフレット
ガラス基板をフルカットする場合、単にスクライブラインを形成する場合に比べて、レーザによる加熱条件が重要となる。従来の加工装置では、レーザ発振器が有する出力安定化機構を利用し、ガラス基板の状態とは無関係に、レーザビームのエネルギが一定に保たれていた。しかしながらレーザビームのエネルギを一定に保っても、加工対象物の加工位置に応じて熱拡散の係数が変化したり、あるいは冷却装置による冷却条件の変更にともないレーザ照射領域の温度が変化してしまう。
加工対象物を確実に高品質でフルカットするためには、加工対象物を所定のピーク温度まで加熱した後に、冷却することが重要である。本出願人は、さまざまな条件で実験を行った結果、高品質で高歩留まりなフルカットを実現しうるピーク温度の範囲はそれほど広くはなく、レーザビームのエネルギを一定に保ったとしても、ピーク温度が所定の範囲から逸脱してしまい、品質の低下を招いたり、あるいはフルカットできない状況が生じうることを認識するに至った。
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガラス基板などの脆性材料基板を、高品質で、あるいは高歩留まりでフルカットするための加工技術の提供にある。
本発明のある態様は、加工対象物である脆性材料基板を加工予定線に沿って切断する加工装置に関する。この加工装置は、レーザビームをパターニングし、パターニングされたレーザビームを脆性材料基板の加工予定線上に照射するレーザ照射装置と、レーザ照射領域の近傍であり加工予定線上の所定の冷却領域を、冷却媒体を噴射して冷却する冷却装置と、加工予定線の方向に、脆性材料基板をレーザ照射領域および冷却領域に対して相対移動させるステージと、レーザ照射領域と冷却領域の間の、所定領域の温度を監視し、所定領域の温度が目標値と一致するように、レーザビームのエネルギをフィードバックにより調節する制御部と、を備える。
この態様によると、レーザ照射領域と冷却領域の間の温度を測定することにより、レーザビームの総エネルギによって加熱された温度、つまりピーク温度と相関の強い温度を測定することができる。この温度をフィードバックすることにより、加工対象物のピーク温度を目標値に安定化させることができ、高歩留まりで高品質なフルカットが実現できる。
所定領域は、冷却領域よりもレーザ照射領域に近い位置に設定されてもよい。所定領域を冷却領域から遠ざけることにより、冷却の影響が小さな箇所の温度を測定することができ、ピーク温度と相関の強い温度を測定できる。
所定領域は、レーザ照射領域のテール端から1cm以内に設定されてもよい。
脆性材料基板の始端から終端の間は仮想的に複数のセグメントに分割され、セグメントごとに温度の目標値を設定可能であってもよい。この場合、脆性材料基板を、加工位置に応じてた最適な温度に加熱することができる。
脆性材料基板を切断する際に、始端から所定の範囲と、終端から所定の範囲の少なくとも一方において、フィードバックによるレーザビームのエネルギの調節を停止してもよい。
本発明の別の態様は、加工対象物である脆性材料基板を加工予定線に沿って切断する加工方法に関する。この方法は、レーザビームをパターニングし、パターニングされたレーザビームを脆性材料基板の加工予定線上に照射するステップと、レーザ照射領域の近傍であり加工予定線上の所定の冷却領域を、冷却媒体を噴射して冷却するステップと、レーザ照射領域と冷却領域の間の、所定領域の温度を監視するステップと、所定領域の温度が目標値と一致するように、レーザビームのエネルギをフィードバックにより調節するステップと、を脆性材料基板を加工予定線方向に移動させながら実行する。
本発明のさらに別の態様は、フラットパネルの製造方法に関する。この方法は、画素回路が形成されたマザーガラスを製造するステップと、マザーガラスを上述のいずれかの態様の方法で切断するステップと、を備える。この態様によれば、マザーガラスから複数のフラットパネルを高歩留まりかつ高品質で切り出せる。フラットパネルとは、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等を含む。
本発明のさらに別の態様は、フラットパネルに関する。このフラットパネルは、画素回路が形成されたマザーガラスを製造するステップと、マザーガラスを上述のいずれかの態様の方法で切断するステップと、により製造されることを特徴とする。
本発明のさらに別の態様は、ディスプレイ装置に関する。このディスプレイ装置は、上述のフラットパネルと、フラットパネルを駆動する駆動回路と、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明のある態様によれば、脆性材料基板のフルカットに適した温度制御が実現できる。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、実施の形態に係る加工装置100の全体構成を示すブロック図である。加工装置100は、加工対象物110である脆性材料基板を加工予定線に沿って、始端112から終端114に向かって切断(フルカット)し、あるいはその表面にスクライブラインを形成する。具体的な加工対象物110としては、FPDに利用される種々のガラス基板が例示される。ガラス基板は単板であっても重ね合わせ基板であってもよい。
なお、説明の簡略化のため、図1の紙面左方向をX方向、紙面垂直の手前方向をY方向、紙面上方向をZ軸とする。また、いくつかの図面に示される各部材等のディメンジョンは、発明の本質と関係のない範囲で理解の容易のために適宜拡大、縮小されており、また各部材の位置関係も、理解の容易のために適宜修正、変更して示されている。
加工装置100は、ステージ2、テーブル4、初期クラック生成部6、レーザ光源8、レーザ照射装置10、冷却装置20、温度センサ30、制御部32を備える。
加工対象物110は、テーブル4上に固定される。固定手段は、負圧吸着を用いてもよいし、粘着性を有するテープ、クランパなどを利用した物理的な固定手段を用いてもよい。あるいは、加工対象物110はその自重によりテーブル4に位置固定されても構わない。加工対象物110は、XY平面と平行に配置される。
ステージ2は、加工対象物110が固定されるテーブル4を移動させる。テーブル4を加工予定線と平行なスキャン方向SCAN(X軸反対方向)に移動させることにより、加工対象物110が、後述するレーザ照射領域および冷却領域に対して相対移動する。図1は、加工予定線がX軸方向に形成される場合を想定している。またステージ2は、Z軸回りの角度Φを調整可能に構成され、それによって加工対象物110に対する加工予定線の方向を調整できる。
レーザ光源8は、加工対象物110の吸収率の波長依存性に応じて適宜選択され、たとえばFPDに使用されるガラス基板の場合、10.6μmの波長を有する炭酸ガスレーザ(COレーザ)が好適に利用できる。ガラス基板は、可視光に対しては透明であるが、赤外線に対しては不透明であるため、レーザ光のエネルギーが効率的に吸収されて、熱に変換される。レーザを用いたスクライブ装置、切断装置では、可視光、紫外領域、あるいは近赤外領域の波長のレーザを用いたものも存在するが、加工対象物たるガラスはこれらの波長に対して透明である。したがってCOレーザを用いた本実施の形態に係る加工技術は、近赤外よりも短い波長を利用した加工技術とは、加熱、あるいはその後の冷却プロセスにおいて全く異なっており、そうした加工技術で得られた知見が、本実施の形態に係る加工技術に役立つとは限らないことに留意されたい。
レーザ光源8は、円形のビームプロファイルを有するレーザビームLB1を出射する。通常、レーザビームの断面強度プロファイルがガウシアン分布を有するが、アパーチャなどによって外周が切り取られたビームであっても構わず、さらには別の強度分布を有するビームであっても構わない。また、ビームプロファイルは通常は正円であるが、後段の照射光学系によって形状を修正できるため、楕円であっても構わず、あるいは正方形、長方形であっても構わない。むしろ、フルカットに最適な加熱を実現するためには、レーザ光源から出射されるレーザビームの形状を積極的に修正した方がよい場合もあろう。
レーザ照射装置10は、レーザ光源8から出射されるレーザビームLB1をパターニングし、パターニングされたビームLB2を加工対象物110である脆性材料基板の加工予定線上に照射する。加工対象物110に照射されるレーザビームLB2は、加工予定線が長手方向となる細長い形状を有している。
加工対象物110上のレーザビームLB2が照射される領域(レーザ照射領域)のサイズは、加工対象物110の材質、厚みに応じて最適化される。さらにはレーザビームを照射する位置に応じて、そのサイズや形状を変化させてもよい。
冷却装置20は、加工対象物110上のレーザが照射される領域(レーザ照射領域)の近傍の、加工予定線上の所定の冷却領域に対して冷却媒体CMを噴射する。冷却装置20は、たとえば気体と液体の混合体を噴射するノズルで構成される。ノズルはX軸方向に対して可動に構成されており、冷却領域とレーザ照射領域40のテール側の端部との間隔は、加工対象物110の材質、厚み、レーザ照射領域のサイズ等に応じて最適化される。
初期クラック生成部6は、加工予定線上の加工対象物110の始端112に、初期クラックを形成するために設けられる。たとえば初期クラック生成部6は、ダイヤモンドなどのカッターで構成される。レーザ照射領域と冷却領域は、初期クラックを始点として加工予定線に沿ってスキャンされ、フルカットの割断面が初期クラックを種として成長していく。なお、加工対象物110および加工条件によっては初期クラックの形成をしなくてもフルカットできる場合もある。
図2は、加工対象物110上に形成されるレーザ照射領域40および冷却領域44を、加工対象物110上方からみた平面図である。レーザ照射領域40および冷却領域44は、一点鎖線で示す加工予定線42に沿って配置される。高品質、高歩留まりのフルカットを実現するためには、レーザ照射領域40と冷却領域44における加熱条件、冷却条件がきわめて重要となる。たとえばFPDのガラスパネルには、分断面の平坦度が±2μm程度、直線度が±25μm程度の高品質が要求される。実施の形態に係る加工装置100は、ガラス基板を高品質でフルカットするために必要な加熱条件、冷却条件を最適化するためのいくつかの特徴を有している。
実施の形態に係る加工装置100のひとつの特徴として、加工対象物110の温度制御が挙げられる。まずこの温度制御について説明する。
図1の温度センサ30は、レーザ照射領域40と冷却領域44の間の、所定領域46の温度を監視する。温度センサ30としては非接触型のものが好適であり、たとえば赤外線センサが利用できる。
温度センサ30は、測定した温度に応じた信号(以下、温度信号という)Stmpを制御部32へと出力する。制御部32は、フィードバックにより温度信号Stmpの値が所定の基準値に一致するように、つまり測定した所定領域46の温度が目標値と一致するように、レーザ光源8から出力されるレーザビームLB1のエネルギを調節する。温度の目標値は、加工対象物110の材質に応じた軟化点以下に設定される。
従来の加工装置では、レーザ光源8が有する出力安定化機構を利用するのが一般的であった。つまりレーザ光源8自身によって、加工対象物110の状態とは無関係に、レーザビームLB1のエネルギが一定に保たれていた。しかしながらレーザビームLB1のエネルギを一定に保っても、加工対象物110の加工位置に応じて熱拡散の係数が変化したり、あるいは冷却装置20による冷却条件を変更すると、レーザ照射領域40の温度が変化してしまう。
加工対象物110を確実に高品質でフルカットするためには、加工対象物110を所定のピーク温度まで加熱した後に、冷却することが重要である。本出願人は、さまざまな条件で実験を行った結果、高品質で高歩留まりなフルカットを実現しうるピーク温度の範囲はそれほど広くはなく、レーザビームLB1のエネルギを一定に保ったとしても、ピーク温度が所定の範囲から逸脱してしまい、品質の低下を招いたり、あるいはフルカットできない状況が生じうることを認識するに至った。
この認識にもとづき、実施の形態に係る加工装置100には所定領域46の温度が一定となるようにレーザ光源8を制御する機構が設けられており、加工対象物110を所定のピーク温度まで確実に加熱することができるとともに、温度の変動を抑制することができるため、品質を高めることができる。
さらに高品質なフルカットを実現するためには、単に加工対象物110の温度を測定してフィードバックするのみでは足りず、温度を測定する位置が重要となる。所定領域46は、加工予定線42上であって、冷却領域44よりもレーザ照射領域40に近い位置に設定することが好ましい。さらにいえば、所定領域46は、なるべくレーザ照射領域40に近い位置が好ましいが、レーザ照射領域40と重なると温度センサ30にレーザビームの反射光が入射することになるため、正常な温度測定を妨げるおそれがある。
そこで所定領域46は、レーザ照射領域40とオーバーラップしない範囲で、レーザ照射領域40のテール端41から1cm以内、好ましくは2〜3mmの位置に設定される。所定領域46をこの位置とすれば、加熱直後の冷却の影響が小さな箇所の温度を測定することができる。こうして測定される温度は、基板のピーク温度に近くなる。別の観点から見れば、加工対象物110をフルカットする上で重要なのは、加工対象物110を確実に所定のピーク温度まで加熱することであり、さらにこのピーク温度のばらつきを抑制することであるといえる。したがってレーザ照射領域40の直近の温度を測定することは、冷却領域44に近い位置の温度を測定する場合に比べて、ピーク温度と相関の強い温度を測定することができるため有意義である。
加工対象物110の最適なピーク温度は、両端部112、114からの距離に応じて異なる。そこで、実施の形態に係る加工装置100は、加熱位置に応じて温度の目標値を変化させる機能を有している。
図3は、セグメント化される加工対象物110を上方から見た平面図である。加工対象物110の始端112から終端114の間は、仮想的に複数のセグメントSEG1〜SEG5に分割される。セグメントの数やセグメントの長さは任意であり、設計事項である。
制御部32は、各セグメントごとに温度の目標値を独立に設定可能に構成される。その結果、両端部112、114からの距離に応じて、加工対象物110を最適な温度まで加熱することができる。
制御部32のフィードバックによる温度制御は、セグメントごと独立に、有効、無効が切り換え可能となっている。始端112から所定の範囲と終端114から所定の範囲の少なくとも一方、つまり第1セグメントSEG1と第5セグメントSEG5の少なくとも一方において、フィードバックによるレーザビームのエネルギの調節を停止するとよい。この観点から、始端を含むセグメント、終端を含むセグメント、いずれも含まないセグメントの3セグメント以上に分割することが望ましい。
始端112を含むセグメントSEG1および終端114を含むセグメントSEG5は、熱拡散の境界条件が中間のセグメントSEG2〜SEG4とは異なる。したがって監視した温度を一定に保つようにフィードバックすると、実際の割断線が加工予定線42から逸脱したり、断面の精度が悪化するおそれがあるが、フィードバックを無効化すれば、こうした問題を解消できる。
図1に戻る。制御部32はレーザ光源8のレーザビームLB1のエネルギの調整に加えて、ステージ2のスキャン速度(加工速度ともいう)を制御する。制御部32は、加工対象物110を等速で移動させる等速モードと、加工対象物110の移動速度を時間とともに増加させる加速モード、移動速度を時間とともに低下させる減速モードの3つのモードが切り換え可能となっており、上述のセグメントSEGごとに任意のモードを割り当てられる。たとえば始端112を含む第1セグメントSEG1は加速モードで、終端114を含む第5セグメントSEG5は減速モードで、中間のセグメントSEG2〜SEG4は、等速モードで加工される。
なお加速モードおよび減速モードでは、初期速度から最終速度まで一定の加速度で変速する第1モードと、三角関数(サインカーブ)に従って速度を変化させる第2モードが切り換え可能となっている。
さらに制御部32はセグメントごとに、スキャン速度(初期速度、最終速度)を設定可能である。スキャン速度は0〜500mm/sの範囲で設定可能であり、典型的には5〜150mm/sの間で選択される。加工位置に応じて、加工対象物110の目標温度と加工速度の2つのパラメータを最適化することにより、高品質なフルカットが実現できる。上述のように、レーザのエネルギを一定に保ったまま加工速度を変化させると、加工対象物110の温度が変化してしまう。これに対して、フィードバックによりレーザ照射領域40近傍の所定領域46の温度を一定に保つことにより、加工速度を変化させても加工対象物110の温度は目標値に保たれる。つまり、加工速度と加熱温度を独立に設定できることが、実施の形態に係る加工装置100の一つの利点といえる。
以上が、加工装置100全体の特徴的な構成および制御である。
続いて、上述の制御機構に組み合わせることにより、さらに高品質なフルカットを実現するための加熱技術、冷却技術について順に説明する。ただし以下の加熱、冷却技術は上述の制御方式とは無関係に単独で用いてもよい。
まず加熱技術について説明する。図4は、加工対象物110上に形成されるレーザ照射領域を示す図である。図4には、加工対象物110の上面からみたときのレーザ照射領域40の形状と、レーザビームLB2のX方向およびY方向の強度分布があわせて示される。
レーザ照射領域におけるレーザビームの、ビーム長手方向(X軸方向)の強度分布は、2つのピークを有する。つまり加工対象物110上には、加工予定線42の方向に対して、2箇所、注入される熱密度が高いスポットが形成される。また、長手方向と垂直な方向(短手方向)に対する強度分布も、ガウシアン分布ではなく、フラットな形状を有している。図4のビームパターンが、ピークの位置の異なる複数のビームを重ね合わせて形成されたものではなく、単一のレーザ光源8から出射されるレーザビームLBをパターニングして形成されている点も実施の形態の特徴のひとつといえる。
以下、図4に示されるレーザビームをパターニングするための技術を説明する。
図5は、実施の形態に係るレーザ照射装置10の構成を示すブロック図である。レーザ照射装置10には、図中実線で示されるレーザ光源8から出射されるレーザビームLB1が入射する。図6は、図5のレーザ照射装置10の各部におけるレーザビームLBの形状を模式的に示す図である。
図5には、レーザ照射装置10に加えて、レーザ光源8等が示されている。レーザ光源8はZ軸方向に位置決め調節が可能となっている。
レーザ照射装置10は、第1アキシコンレンズ(コニカルレンズ)12と第2アキシコンレンズ14を含む一対のアキシコンレンズ(アキシコンレンズペア11)、照射光学系16および第1ミラーM1〜第3ミラーM3を備える。
アキシコンレンズペア11および照射光学系16は、レーザビームLB1の経路上に設けられる。第1アキシコンレンズ12、第2アキシコンレンズ14は、互いの頂点が対向するように配置される。第1アキシコンレンズ12および第2アキシコンレンズ14の少なくとも一方は、可動マウンタ上にマウントされており、レーザビームの経路方向(Z軸方向)に移動可能に構成される。つまり、第1アキシコンレンズ12と第2アキシコンレンズ14の頂点の間の距離Δzは調整可能となっている。
図6に示すように、アキシコンレンズペア11を経たレーザビームLB3は、円環状(ドーナツ状)の強度分布を有する。アキシコンレンズペア11の頂点間の距離Δzに応じて、円環の径を調節することができ、ひいては最終的に生成されるレーザビームLB2の加工予定線方向の強度分布のピークの間隔を、レーザ照射領域のサイズとは独立に調節することができる。
アキシコンレンズペア11は、上下(Z方向)の第1アキシコンレンズ12および第2アキシコンレンズ14の位置を入れ換え、互いの頂点が対向しない配置、すなわち、逆対向するよう配置することも可能である。
アキシコンレンズペア11は、レーザビームの断面と平行な少なくとも一方向、つまり、X軸方向またはY軸方向のいずれか、もしくは両方に移動可能であることが好ましい。アキシコンレンズペア11を一体としてX軸方向やY軸方向に移動させることにより、図6のレーザビームLB3の円環の中心をオフセットさせることができる。このことは最終的に生成されるレーザ照射領域40のピーク強度の位置(図4を参照)を、任意に調整できることを意味しており、加工対象物110の加熱状態を最適化する際に便宜である。
さらには、第1アキシコンレンズ12および第2アキシコンレンズ14を、独立にそれぞれが移動できるように構成することが望ましい。この構成により、図4のX方向、Y方向の強度プロファイルそれぞれに生ずる2つの強度ピークを、同じ高さから異なる高さへと変化させることができ、空間的に非対称なプロファイルを実現できる。
照射光学系16は、アキシコンレンズペア11を経たレーザビームLB3を、集光し、もしくは発散させて、加工対象物110上のレーザ照射領域に投影する。集光、発散の拡大、縮小率は、もとのレーザビームLB1の径や、レーザ照射領域40のサイズに応じて決めればよい。
照射光学系16は、第1シリンドリカルレンズCL1、第2シリンドリカルレンズCL2を含む。第1シリンドリカルレンズCL1と第2シリンドリカルレンズCL2は、曲率を有する断面が、互いに垂直となるよう配置される。
第1シリンドリカルレンズCL1は、レーザビームを、その経路方向(Z軸反対方向)と垂直な第1方向(Y軸方向)に集光する光学素子である。具体的には、第1シリンドリカルレンズCL1は平凸型のシリンドリカルレンズであり、加工対象物110に照射されるレーザビームLB2をY軸方向に縮小する。第1シリンドリカルレンズCL1の曲率は、もとのレーザビームLB1の径、レーザ照射領域のサイズに応じて決定される。第1シリンドリカルレンズCL1の代替として、凹型のシリンドリカルミラーを用いてもよい。
図6に示すように、第1シリンドリカルレンズCL1を経たレーザビームLB4は、レーザビームLB3をY軸方向に縮小した形状となる。レーザビームLB4が加工対象物110に近づくにしたがい、Y軸方向の幅は小さくなっていき、最終的なY軸方向の強度分布は、図4のそれと一致する。
第2シリンドリカルレンズCL2は、レーザビームを、経路方向(Z軸反対方向)と第1方向(Y軸方向)とに対して垂直な第2方向(X軸方向)に発散させる光学素子である。具体的には第2シリンドリカルレンズCL2は平凹型のシリンドリカルレンズであり、加工対象物110に照射されるレーザビームLB2をX軸方向に拡大させる。第1シリンドリカルレンズCL1と同様、第2シリンドリカルレンズCL2の曲率もまた、もとのレーザビームLB1の径、レーザ照射領域のサイズに応じて決定される。第2シリンドリカルレンズCL2の代替として、凸型のシリンドリカルミラーを用いてもよい。
図6に示すように、第2シリンドリカルレンズCL2を経たレーザビームLB5は、レーザビームLB4をX軸方向に拡大した形状となる。レーザビームLB5が加工対象物110に近づくにしたがい、X軸方向の幅は広がっていき、最終的なX軸方向の強度分布は、図4のそれと一致する。
第1シリンドリカルレンズCL1および第2シリンドリカルレンズCL2は、加工対象物110側が平面となるよう配置されるが、反対向きであってもよく、また第1シリンドリカルレンズCL1と第2シリンドリカルレンズCL2の位置は入れ換えても良い。
第1シリンドリカルレンズCL1および第2シリンドリカルレンズCL2は可動マウンタにマウントされており、独立にレーザビームの経路方向に移動可能となっている。つまり第1シリンドリカルレンズCL1と加工対象物110の距離、第2シリンドリカルレンズCL2と加工対象物110の距離は独立に調節可能である。その結果、図4に示すレーザ照射領域40のX軸方向の長さL、Y軸方向の幅Wが、独立に調整できる。なお、レーザ照射領域40の長さLおよび幅Wは、強度の半値全幅(Full Width at Half Maximum)で定義される。
また、第1シリンドリカルレンズCL1、第2シリンドリカルレンズCL2のZ軸方向の位置を調節することにより、図4のピーク強度の位置を変化させることができる。
なお、アキシコンレンズペア11および照射光学系16の配置の順番は、入れ換えることが可能であるが、好ましくは図示のごとく、アキシコンレンズペア11をレーザ光源8側に設け、照射光学系16を、アキシコンレンズペア11よりも加工対象物110側に配置することが好ましい。第2シリンドリカルレンズCL2によってX軸方向に引き延ばされる前のビームをアキシコンレンズペア11に入射させることにより、アキシコンレンズペア11の面積が小さくて済む。また、第1シリンドリカルレンズCL1によりY軸方向に集光される前のビームをアキシコンレンズペア11に入射させることにより、アライメントが簡易となる。もし集光後のビームをアキシコンレンズペア11に入射するならば、わずかな光軸のずれが、最終的に形成されるレーザビームLB2の強度ピークの位置のずれとなって現れよう。
なおアキシコンレンズペア11および照射光学系16は、レーザビームの経路上に配置されれば、その光軸は必ずしも一致する必要はない。たとえば照射光学系16の光軸をZ軸と一致させ、アキシコンレンズペア11を第3ミラーM3によって折り返す前の位置に配置し、それらの光軸をX軸と一致させてもよい。しかしながら生産性の観点からは、図5に示すように、アキシコンレンズペア11と照射光学系16は、それらの光軸が加工対象物110に対して略垂直となるように直線上に配置することが望ましい。この場合、アキシコンレンズペア11および照射光学系16を、加工対象物110と垂直な一点鎖線で示される回転軸19を中心に回転可能な回転ヘッド18に取り付けることができる。
加工対象物110をX軸方向にカットした後に、回転ヘッド18をX軸に対して180度回転させ、加工対象物110のスキャン方向を反転させることにより、折り返して加工対象物110をカットすることができる。また、回転ヘッド18をX軸に対して90度、もしくは270度回転させ、ステージ2をY軸方向に移動させることにより、加工予定線をY軸方向に設定することが可能となる。つまり、加工対象物110を回転させなくても、X軸方向とY軸方向の加工が可能となる。
シャッター9は、レーザ光源8から出射されるレーザビームLB1が不用意に加工対象物110に照射されないように、遮断するために設けられる。第4ミラーM4が実質的なシャッターとして機能し、第4ミラーM4がレーザビームLB1の経路上に配置されると、レーザビームLB1が反射してビームダンパーBDに入射し、レーザ照射装置10に対するレーザビームLB1の供給が停止する。第4ミラーM4がレーザビームLB1の経路上から取り除かれると、レーザビームLB1がレーザ照射装置10へと供給される。
レーザダイオード7および第5ミラーM5は、レーザ照射装置10内の光学素子のアライメント用に設けられる。レーザビームLB1は赤外領域であり人間の目には見えないため、その代替として、可視光のレーザビーム(破線で図示される)が利用される。第5ミラーM5は、レーザダイオード7からのビームの光軸と、レーザ光源8からのレーザビームLB1の光軸を一致させる。
光軸調整部17を構成する第1ミラーM1および第2ミラーM2と、第3ミラーM3は、レーザビームLB1を、アキシコンレンズペア11に導くために設けられている。第1ミラーM1および第2ミラーM2は、光軸に対する傾きを調節するための可動マウンタにマウントされており、アキシコンレンズペア11および照射光学系16に対するレーザビームの入射角が調整される。レーザ照射装置10のユーザは、レーザダイオード7から出射される可視光のレーザビームを頼りにして光軸調整部17を調整し、目に見えないレーザ光源8からのレーザビームLB1をアキシコンレンズペア11および照射光学系16に対して適切に入射させることができる。
以上がレーザ照射装置10の詳細な構成である。
この加工装置100によれば、レーザビームをフルカットに適した状態にパターニングすることができ、その光学系もシンプルに構成できる。
フルカットに適したレーザ照射領域40の形状および強度分布とは、
(1)加工予定線方向に引き延ばされた細長い形状を有しており、加工予定線方向に対して2つの強度ピークを有すること、
(2)加工予定線に垂直方向に対しても2つの強度ピークを有すること、
の少なくとも一方、好ましくは両方を満たすものである。この特性を有するレーザビームを利用することにより、高品質で高歩留まりなフルカットが実現できる。
別の観点から見れば、図5に示すレーザ照射装置10を用いることにより、上記(1)、(2)を両方とも満たすレーザ照射領域40を好適に形成できる。この強度分布を有するレーザ照射領域40を複数のビームの重ね合わせにより形成することは困難であり、あるいは実質的に不可能であるが、図5のレーザ照射装置10を用いれば、単一のレーザビームのパターニングによって簡易に生成することができる。
さらに、図4のレーザ照射領域40の長さL、幅W、ピークの距離ΔLpk、ΔWpk、ならびにピーク強度ILpk、IWpkは、加工対象物110をフルカットする上できわめて重要なパラメータであり、適切に設定することが要求されところ、図5のレーザ照射装置10によれば、各パラメータを個別に調節することができる。
さらに別の観点からみると、高品質なフルカットを実現する上では、上記(1)、(2)を満たすレーザ照射領域40を形成することに代えて、あるいはこれに加えて、図5に示すアキシコンレンズペア11を備えるレーザ照射装置10を用いることが重要であるともいえる。図5のレーザ照射装置10を用いてレーザビームをパターニングすると、各光学素子の位置によっては、加工対象物110上に形成されるレーザ照射領域40が、必ずしも(1)、(2)の両方を満たさないかもしれない。しかしながら、加工対象物110の材質や厚みによっては、上述した特徴を有するレーザ照射装置10を用いて形成されるレーザ照射領域40を用いることにより高品質なフルカットが実現できる。
さらに別の観点からみれば、レーザ照射装置10がレーザビームを円環状にパターニングするとともに集光しもしくは発散させて、レーザ照射領域40を形成することが、高品質なフルカットに資するともいえる。
実施の形態に係る加工装置100は、冷却装置20による冷却工程にも特徴を有している。以下、その冷却工程の詳細を説明する。なお以下で説明する冷却工程は、上述の特徴的なレーザ照射装置10との組み合わせによって、高品質、高歩留まりなフルカットを実現するものであるが、レーザ照射装置10が別の構成である場合であっても、同様の作用、効果を奏するものである。
図2に戻る。冷却領域44の加工予定線42と垂直方向(つまりY軸方向)の幅Wcは、レーザ照射領域40のY軸方向の幅Wよりも短い。
従来では加工対象物110を急速に冷却するために、2流体ノズルを利用して、レーザ照射領域40の幅Wよりも広い領域に冷却媒体を噴霧するのが一般的であった。しかしながらこの場合、レーザビームによって加工対象物110に与える熱量を相対的に大きくする必要があり、必ずしもフルカットに適した加熱・冷却が実現できているとはいえなかった。これに対して、実施の形態に係る加工装置100では、冷却領域44の幅Wcを狭くすることにより、フルカットに適した加熱・冷却を実現でき、切断面の品質を改善し、あるいは歩留まりを高めることができる。
冷却媒体CMは、ノズルから噴射される液滴であることが好ましい。液滴の直径(粒径)は80μm以下が望ましく、より好適には、30μm以下が選択される。たとえば冷却媒体としては室温の水滴が利用できる。水を使用することにより、低コストで加工対象物110を冷却できる。
従来のように、2液体ノズルによって冷却媒体CMを噴霧する場合、液滴の粒径は最小で100μm程度であった。これに対して、液滴の直径を30μm以下とすることにより、フルカットにより適した冷却が実現できる。
以上の冷却プロセスは、以下で説明するノズルを用いることによって実現できる。図7は、冷却装置20に好適なノズル21の構成を示す図である。ノズル21は、同軸二重管構造を有している。インナーチューブ22の内壁が中心通路26を形成する。アウターチューブ24は、インナーチューブ22と同軸に設けられ、インナーチューブ22の外壁とアウターチューブ24の内壁の間に、外側通路28が形成される。
かかるノズルは、通常はディスペンサーやスプレーガンの先端に利用されるものとして市販されているが、本発明者はその構成に着目し、上述の冷却プロセスを実現するために利用することに思い至った。
中心通路26には、外部から液体、たとえば水が供給される。外側通路28には、レギュレータを介して一定の圧力に保たれた気体、たとえば空気が供給される。圧力は5〜6MPa程度を中心として、冷却条件に応じて調節される。
図7のノズル21によって、二重管の中心通路26から液体が、外側通路28から気体が噴射される。外側通路28から噴出される気体の圧力によって中心通路26から吐出される液体は細かく砕かれ、液滴として噴出される。図7のノズル21によれば、気体の圧力を適切に設定することにより、直径が80μmよりも小さな液滴を加工対象物110に噴霧することができる。
さらに、外側通路28から噴出される気体が、液滴を閉じこめるガイドとして作用するため、液滴が噴射される領域を、所望の冷却領域に制限することができる。
なおノズル21の先端は、加工対象物110の表面から2〜3mmの間隔を空けて配置することが望ましい。さらに良好な冷却状態を実現するために、ノズル21を加工対象物110の表面に対する垂直方向(Z軸方向)からX軸方向に傾けてもよい。
図2に示す冷却領域44の幅Wcは、ノズル21の中心通路26の直径φiおよび外側通路28の直径φoに応じて決定される。レーザ照射領域40の幅Wは、たとえば加工対象物110の厚みと同程度を基準として、ある範囲内で最適化される。冷却領域44の幅Wcはそれよりも狭いことが好ましいから、様々な厚みの基板を同じノズルでフルカットするためには、なるべく直径の小さなノズル21を利用することが望ましい。
中心通路26の直径φiが2.84mmのノズルを用いた場合、フルカットはできるものの、加工精度、品質として満足が得られない場合があるが、1.12mmのノズルでは加工精度、品質がかなり改善され、0.58mmのノズルを用いれば、非常に高品質なフルカットが実現できる。0.1mm〜5mm程度のガラス基板をフルカットする場合、中心通路の直径φiは0.4mm〜0.9mmの範囲で、なるべく細いものを選択するとよい。
このように、実施の形態に係る加工装置100は、温度制御、加熱工程、冷却工程に特徴を有しており、これらの組み合わせにより、高精度、高品質なレーザ加工が実現できる。しかしながら、いずれかの工程、特徴として別の代替技術を用いた場合であっても、本発明に係る特徴的な技術は発揮され、かかる態様も本発明として有効である。
実施の形態にもとづき、特定の語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
実施の形態に係る加工装置の全体構成を示すブロック図である。 加工対象物上に形成されるレーザ照射領域および冷却領域を、加工対象物上方からみた平面図である。 セグメント化される加工対象物を上方から見た平面図である。 加工対象物上に形成されるレーザ照射領域の様子を示す図である。 実施の形態に係るレーザ照射装置の構成を示すブロック図である。 図5のレーザ照射装置の各部におけるレーザビームの形状を模式的に示す図である。 冷却装置に好適なノズルの構成を示す図である。
符号の説明
100…加工装置、2…ステージ、4…テーブル、6…初期クラック生成部、7…レーザダイオード、8…レーザ光源、9…シャッター、10…レーザ照射装置、12…第1アキシコンレンズ、14…第2アキシコンレンズ、16…照射光学系、17…光軸調整部、18…回転ヘッド、19…回転軸、20…冷却装置、21…ノズル、22…インナーチューブ、24…アウターチューブ、26…中心通路、28…外側通路、30…温度センサ、32…制御部、40…レーザ照射領域、42…加工予定線、44…冷却領域、46…所定領域、CL1…第1シリンドリカルレンズ、CL2…第2シリンドリカルレンズ、M1…第1ミラー、M2…第2ミラー、M3…第3ミラー、110…加工対象物、112…始端、114…終端、LB…レーザビーム、CM…冷却媒体。

Claims (8)

  1. 加工対象物である脆性材料基板を加工予定線に沿って切断する加工装置であって、
    レーザビームをパターニングし、パターニングされたレーザビームを前記脆性材料基板の加工予定線上に照射するレーザ照射装置と、
    前記加工予定線上の所定の冷却領域を、冷却媒体を噴射して冷却する冷却装置と、
    前記加工予定線の方向に、前記脆性材料基板をレーザ照射領域および前記冷却領域に対して相対移動させるステージと、
    前記レーザ照射領域と前記冷却領域の間の、所定領域の温度を監視し、前記所定領域の温度が目標値と一致するように、前記レーザビームのエネルギをフィードバックにより調節する制御部と、
    ことを特徴とする加工装置。
  2. 前記所定領域は、前記冷却領域よりも前記レーザ照射領域に近い位置に設定されることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
  3. 前記所定領域は、前記レーザ照射領域のテール端から1cm以内に設定されることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
  4. 前記脆性材料基板の始端から終端の間は仮想的に複数のセグメントに分割され、セグメントごとに前記温度の目標値を設定可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の加工装置。
  5. 始端から所定の範囲と、終端から所定の範囲の少なくとも一方において、フィードバックによる前記レーザビームのエネルギの調節を停止することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の加工装置。
  6. 加工対象物である脆性材料基板を加工予定線に沿って切断する加工方法であって、
    レーザビームをパターニングし、パターニングされたレーザビームを前記脆性材料基板の加工予定線上に照射するステップと、
    加工予定線上の所定の冷却領域を、冷却媒体を噴射して冷却するステップと、
    レーザ照射領域と前記冷却領域の間の、所定領域の温度を監視するステップと、
    前記所定領域の温度が目標値と一致するように、前記レーザビームのエネルギをフィードバックにより調節するステップと、
    を前記脆性材料基板を加工予定線方向に移動させながら実行することを特徴とする方法。
  7. 前記所定領域は、前記冷却領域よりも前記レーザ照射領域に近い位置に設定されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記所定領域は、前記レーザ照射領域のテール端から1cm以内に設定されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
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