JP2009248366A - レーザー彫刻用印刷原版及びこの印刷原版を用いた印刷版の製造方法 - Google Patents

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安通史 久保
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Abstract

【課題】レーザー彫刻後の残渣の除去が容易なレーザー彫刻用印刷原版及びこの印刷原版を用いた印刷版の製造方法を提供すること。
【解決手段】支持体(A)と感光性樹脂層(B)とを有するレーザー彫刻用印刷原版であって、前記感光性樹脂層が、ケン化度75〜90モル%、平均重合度800〜1700のポリビニルアルコール(b1)と、少なくとも1種の水溶性モノマー(b2)と、光重合開始剤(b3)とを含むレーザー彫刻用印刷原版による。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザー彫刻用印刷原版及びこの印刷原版を用いた印刷版の製造方法に関する。
従来、印刷版は、ガラス又はフィルムマスクを感光性樹脂層上に真空密着を行った後、露光し、樹脂パターンを形成する製版方法により作成されてきた。しかしながら、上述の樹脂パターンの形成方法では、感光性樹脂層の上にガラス又はフィルムマスクを真空密着させることから、感光性樹脂層と露光用マスクとの間に微細なゴミや埃が混入するとマスクパターンが感光性樹脂層に正確に転写されないという問題が生じる。また、感光性樹脂層と露光用マスクとの密着が不良であった場合には露光不良が発生し、マスクパターンが鮮明に感光性樹脂層に転写されない等、形成した樹脂パターンの品質に問題が生じる。さらに、露光用マスクを使用する場合には、例えば画像データ等からこの露光用マスクを作成する工程が必要となるため、画像データをそのまま利用できないほか、露光用マスクを作成する費用と時間とが必要となる。
近年、印刷原版上に直接レーザーイメージングを行い製版するCTP(コンピュータ・ツー・プレート)方式が高精細デジタル印刷用の製版方法として提案されている。しかしながら、この方法では、レーザーイメージング後に露光、現像、乾燥、後処理等の通常の製版工程で行われる製版工程が必要となる。一方、高出力レーザーを用いて印刷原版に直接彫刻するフレキソグラフ印刷版の製法が提案されており(特許文献1)、この方法では、彫刻後簡単な水洗いで彫刻残渣が洗浄され印刷版として使用可能なプロセスを短縮することができる。
特表平7−505840号公報
しかしながら、従来用いられてきた感光性印刷版を上記のレーザー彫刻に用いると、レーザー照射の熱により生じる残渣の硬化物が版上に残留し、洗浄しても除去できないことがあり、印刷品質が低下する等の欠点があった。
このような事情にかんがみ、本発明では、レーザー彫刻後の残渣の除去が容易なレーザー彫刻用印刷原版及びこの印刷原版を用いた印刷版の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリビニルアルコールを有する感光性樹脂層(B)をレーザー彫刻用印刷原版用に用いることにより、上記の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一の態様によれば、支持体(A)と感光性樹脂層(B)とを有するレーザー彫刻用印刷原版であって、前記感光性樹脂層が、ケン化度75〜90モル%、平均重合度800〜1700のポリビニルアルコール(b1)と、少なくとも1種の水溶性モノマー(b2)と、光重合開始剤(b3)とを含むレーザー彫刻用印刷原版を提供する。
本発明の第二の態様によれば、上記のレーザー彫刻用印刷原版の感光性樹脂層(B)を光化学的に強化した後、該感光性樹脂層(B)をレーザー彫刻することを特徴とする印刷版の製造方法を提供する。
本発明によれば、レーザー彫刻後に水による洗浄のみで残渣の除去が可能となり、これにより従来の製版方式で必要であったブラシ現像工程が不要になる。また、露光用のマスクが不要になるため、露光不良の発生等の品質管理上の問題を解決することができるばかりではなく、密着工程の省略による製造工程の簡素化にも貢献することができる。さらに、異なるパターンごとに露光用マスクを作成する必要がないことから、デジタル製版の技術を応用して所望の文字や画像等を直接かつ速やかに印刷原版上に彫刻することが可能となる。これにより、工程の短期化だけでなく、どのようなパターンの変更にも速やかに対応することができ、工程全体の柔軟性の向上に資することができる。
本発明の実施形態について以下に記載するが、これに限定するものではない。
本発明は、第一の態様として、支持体(A)と感光性樹脂層(B)とを有するレーザー彫刻用印刷原版であって、前記感光性樹脂層が、ケン化度75〜90モル%、平均重合度800〜1700のポリビニルアルコール(b1)と、少なくとも1種の水溶性モノマー(b2)と、光重合開始剤(b3)とを含むレーザー彫刻用印刷原版を提供するが、上記の支持体(A)と感光性樹脂層(B)とは、次のとおりである。
(支持体(A))
支持体(A)として、オフセット印刷、グラビア印刷並びにレタープレス印刷及びフレキソ印刷等の凸版印刷等において通常使用される従来公知の印刷原版用の支持体が挙げられる。例えば、本発明における支持体としては、用いる印刷条件に必要とされる機械的強度などの物理性能を満たす、公知の金属、プラスチックフィルム及びこれらの複合化された形態のすべての支持体が使用できる。このような支持体は可撓性を有していてもいなくてもよいが、レタープレス印刷用の支持体が好ましい。
このようなレタープレス印刷用の支持体には付加重合ポリマー及び線状縮合ポリマーにより形成されるようなポリマー性フィルム、透明なフォーム、織物、不織布、例えばガラス繊維織物、及びスチール、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、真鍮、ステンレスなどの金属が含まれる。支持体はバック露光が容易なように紫外線に対して透明であることが好ましい。より好適な支持体としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂またはポリエステル等を板状、フィルム状に成形したものが挙げられる。
(感光性樹脂層(B))
感光性樹脂層(B)は、支持体(A)上に積層され、後述するようにレーザーにより彫刻される層である。この感光性樹脂層(B)は、ケン化度75〜90モル%、平均重合度800〜1700のポリビニルアルコール(b1)と、少なくとも1種の水溶性モノマー(b2)及び光重合開始剤(b3)を含む感光性樹脂組成物とから形成される。なお、本明細書中においては、上記のポリビニルアルコール(b1)と、少なくとも1種の水溶性モノマー(b2)及び光重合開始剤(b3)を含む感光性樹脂組成物とを含む感光性樹脂層(B)の形成成分を「感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物」と称することがある。
(ポリビニルアルコール(b1))
ポリビニルアルコール(以下、(b1)成分ともいう。)は、印刷原版に対しUVインキや油性インキ中の成分に対する化学物質耐性を向上させ、特にUVインキに対する化学物質耐性を向上させる。これにより、良好な印刷寿命が得られる。また、ケン化度80〜85モル%の(b1)成分を用いることが好ましい。このような(b1)成分を用いることにより、彫刻残渣の水に対する洗浄性が向上する。(b1)の平均重合度としては、平均重合度800〜1700が好ましい。平均重合度を上記範囲内とすることで、彫刻時に発生する残渣が優れた水溶性を有することができる。
(水溶性モノマー(b2))
水溶性モノマー(以下、(b2)成分ともいう)は、N‐メチロール基を有するアクリル系化合物と多価アルコールとの縮合反応物、ポリエチレングリコール鎖を有するアクリレート化合物及び少なくとも1つのメチロール基を有するアクリレート化合物からなる群から選ばれることが好ましい。このような(b2)成分を用いることにより、印刷原版の強度が向上し、印刷耐性(印刷寿命)が向上する。N−メチロール基を有するアクリル系化合物と多価アルコールとの配合量は、N−メチロール基を有するアクリル系化合物100質量部に対し、多価アルコール10〜500質量部が好ましく、100〜300質量部の範囲がより好ましい。上記範囲内であることで印刷耐性(印刷寿命)がより向上する。
上記のN‐メチロール基を有するアクリル系化合物としては、例えば、N‐メチロールアクリルアミド、N‐メチロールメタクリルアミド、N‐メチル‐N‐メチロールアクリルアミド、N‐メチル‐N‐メチロールメタクリルアミド、N‐エチル‐N‐メチロールアクリルアミド、N‐エチル‐N‐メチロールメタクリルアミドなどを挙げることができるが、特にN‐メチロールアクリルアミドやN‐メチロールメタクリルアミドが好ましい。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記の多価アルコールの例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどを挙げることができるが、トリメチロールプロパンが好ましい。
ポリエチレングリコール鎖を有するアクリレート化合物の例としては、質量平均分子量200〜1000のポリエチレングリコールモノアクリレート、質量平均分子量200〜1000のポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメトキシモノアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどを挙げることができるが、ポリエチレングリコールジアクリレート及びポリエチレングリコールモノメトキシモノアクリレートが好ましい。
少なくとも1つのメチロール基を有するアクリレート化合物の例としては、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレートなどを挙げることができるが、2−ヒドロキシエチルアクリレート及びペンタエリスリトールアクリレートが好ましい。
これらの(b2)成分は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、またその配合量は、前記(b1)成分100質量部に対し、10〜500質量部が好ましく、100〜300質量部の範囲がより好ましい。この量が100質量部以上であることで良好な画像形成能が得られ、500質量部以下であることで感光性樹脂層(B)からのしみ出し現象を防止することができる。
(光重合開始剤(b3))
光重合開始剤(以下、(b3)成分ともいう)は、従来公知のものでよく、例えばベンゾフェノンのような芳香族ケトン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、2,2−ジエトキシフェニルアセトフェノン、メトキシフェニルアセトフェノン(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のベンゾインエーテル類;置換及び非置換の多核キノン類;その他米国特許第4,460,675号明細書及び同第4,894,315号明細書に開示されている開始剤などが挙げられる。(b3)成分は単独でもまた組み合わせて使用してもよい。
(b3)成分は、感光性樹脂層(B)を形成する組成物全体100質量部に対して0.001〜10質量部の範囲で含有するのが好ましい。
また、感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物には、要求される特性に応じて増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、発色剤等の添加剤を添加することができる。
さらに、感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物は、後述する熱化学的な強化方法に付す際に用いられる、加熱したときに硬化反応を起こす物質を添加することができる。このような、加熱したときに硬化反応を起こす物質には、ラジカル付加反応を起こす公知のモノマー又はオリゴマー;フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂等の熱可塑性樹脂;結合してアミド結合を形成するアミンと有機酸、反応してエステル結合を形成するアルコールと有機酸、反応してウレタン結合を形成するイソシアネートとアルコール、反応してイミド結合を形成するアミンと有機酸の無水物、有機酸とエポキシ又はアジリジン基含有化合物等の架橋構造を形成する化合物が挙げられる。ここで、加熱時の硬化反応を制御するために公知の熱開始剤を添加することもできる。
(感光性樹脂層(B)の形成方法)
感光性樹脂層(B)は様々な方法により形成することができるが、例えば、配合される原料を適当な溶剤、例えば、クロロホルム、テトラクロロエチレン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に溶解させて混合し、支持体(A)上に塗布してもよいし、離型フィルム上に感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物を積層したドライフィルムを形成し、支持体(A)上に従来公知の方法により貼り付けてもよい。
(塗布による場合)
感光性樹脂層(B)を支持体(A)上に塗布により形成する場合には、例えば、溶剤を用いて混合した感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物を液状のまま支持体(A)表面に、例えば従来公知であるスクリーン印刷、ディップコーター、ロールコーター、スピンコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等を用いて塗布する。さらに、塗布した感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物を乾燥することにより、支持体(A)表面に感光性樹脂層(B)を形成することができる。
(ドライフィルムによる場合)
感光性樹脂層(B)を離型フィルム上に積層したドライフィルムを利用する場合には、離型フィルム上に感光性樹脂層(B)を形成する感光性樹脂組成物を公知の手段より塗布して感光性樹脂層を形成し、乾燥後、離型フィルム上に感光性樹脂層が積層されたドライフィルムとし、該感光性樹脂層の表面が支持体(A)表面に接するように該支持体(A)表面に貼り付け、公知の方法で圧着することにより、支持体(A)表面に感光性樹脂層(B)を形成することができる。この際、離型フィルム上に従来公知のスティッキング防止層を設けておき、該スティッキング防止層上に感光性樹脂層(B)を積層してもよい。このようなスティッキング防止層を設けることにより、離型フィルムを剥離する際に感光性樹脂層(B)に悪影響を与えることなく離型フィルムのみを剥離することができる。
上記により形成した、感光性樹脂層(B)の厚みは、0.3〜3mmが好ましく、0.43〜2.84mmが更に好ましい。
(剥離フィルム)
塗布により感光性樹脂層(B)を支持体(A)上に形成した際は、感光性樹脂層(B)表面を保管中の汚染や損傷から保護するために、感光性樹脂層(B)表面を更に剥離フィルムにより従来公知方法により貼り付けることが好ましい。剥離フィルムを感光性樹脂層(B)に貼り付ける際には、ゼラチン等を用いることにより貼り付けを容易にすることができる。ドライフィルムを用いた場合には、ドライフィルム形成時に使用した離型フィルムを剥離フィルムとして利用することができる。このような剥離フィルム(又は離型フィルム)としては特に限定はされないが、具体的には、例えば、シリコーンをコーティング又は焼き付けしたPETフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等が挙げられる。また、後述する光硬化に付すため、紫外線に対して透明であることが好ましい。剥離フィルムの厚さは15〜125μmであることが好ましく、15〜110μmがより好ましく、15〜100μmが更に好ましい。剥離フィルムは、レーザー彫刻を行う直前に感光性樹脂層(B)から剥離することが好ましい。
本発明は第二の態様として、上記のレーザー彫刻用印刷原版の感光性樹脂層(B)を光化学的に強化した後、該感光性樹脂層(B)をレーザー彫刻することを特徴とする印刷版の製造方法を提供するが、詳細は次のとおりである。
(レーザー彫刻用印刷原版の強化方法)
上記により製造したレーザー彫刻用印刷原版は、レーザー彫刻の都度感光性樹脂層(B)を後述する方法により強化させて供用しても、予め硬化させておいて保管し供用に付してもよい。このようにして強化又は硬化させることにより、感光性樹脂層(B)の硬度を、レタープレス印刷用原版に適したJIS K6253に規定のショアA硬度70〜99度及びJIS K6253に規定のショアD硬度50〜90度の範囲とすることができる。
感光性樹脂層(B)は光化学的に強化される。ここで、(b2)成分を光化学的に強化するための光源としては、450nm以下の波長、特に300〜400nmの波長領域のものが有効であり、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、紫外線蛍光灯、ケミカルランプ、キセノンランプなどを用いることができる。
さらに、感光性樹脂層(B)を強化するためには、上述のように、光化学的に強化する方法に加え、熱化学的に強化する方法を組み合わせることができる。熱化学的な強化方法は、上記の加熱したときに硬化反応を起こす物質を感光性樹脂層(B)に添加し、光化学的強化を行う前又は後に加熱することにより行われる。
(レーザー彫刻方法)
レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。レーザー彫刻に用いるレーザーは、感光性樹脂層(B)が吸収する波長を含むものであれば従来公知のものを用いることができるが、彫刻を高速度で行なうためには出力の高いものが好ましい。このようなレーザーには、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等の赤外線あるいは近赤外線領域に発振波長を有するレーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザー、銅蒸気レーザー、フェムト秒レーザーが挙げられる。なかでも、炭酸ガスレーザーが好ましい。レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。
感光性樹脂層(B)は、例えば、炭酸ガスレーザーを使用して彫刻するときは、炭酸ガスレーザーの波長である10μm近傍に吸収を持つため、特にレーザー光の吸収を助けるような成分の添加は必須ではないが、波長が1.06μm近傍のYAGレーザーを用いる場合、レーザー光の吸収を助ける成分である、染料又は顔料を添加することが好ましい。このような染料としては、ポリ(置換)フタロシアニン化合物及び金属含有フタロシアニン化合物、;シアニン化合物;スクアリリウム染料;カルコゲノピリロアリリデン染料;クロロニウム染料;金属チオレート染料;ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料;オキシインドリジン染料;ビス(アミノアリール)ポリメチン染料;メロシアニン染料;及びキノイド染料などが挙げられる。顔料としてはカーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、酸化クロム、コバルトクロームアルミネート、酸化銅、酸化鉄等の暗色の無機顔料や鉄、アルミニウム、銅、亜鉛のような金属粉及びこれら金属にSi、Mg、P、Co、Ni、Y等をドープしたもの等が挙げられる。これらの染料又は顔料は単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。また、複層構造にするなどのあらゆる形態で組み合わせてもよい。ただし、硬化に使用する光の波長における光吸収が大きな有機/無機化合物を添加する場合には、このような化合物の添加量は、光硬化性に支障のない範囲にすることが好ましい、このような化合物は感光性樹脂層(B)の全質量に対し、5質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。
(洗浄方法)
彫刻終了後にはレーザーの照射によって生じた感光性樹脂層(B)が焼け焦げた残渣が印刷版に存在するため、印刷版を洗浄する必要がある。本発明では、感光性樹脂層(B)の材料として、ケン化度75〜90モル%、平均重合度800〜1700のポリビニルアルコールと水溶性モノマーとを用いるため、水で洗浄するだけで生じた残渣を除去することができる。洗浄方法は、浸漬、スプレー洗浄、スチーム洗浄等の従来公知の方法を用いることができる。このようにして製造した印刷版は、オーブン等により乾燥して印刷に供することができる。
本発明について、以下の実施例により詳説する。しかしながら、この実施例は本発明について例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
(1)レーザー彫刻用印刷原版の製造
ケン化度80モル%のポリビニルアルコール(平均重合度1000、日本合成化学社製)50重量部と、ポリエチレングリコール♯200ジアクリレート(新中村化学社製)5重量部と、N−メチロールアクリルアミドおよびテトラヒドロフルフリルアルコール(4:1(モル比))をp−トルエンスルホン酸存在下で縮合させた縮合生成物10重量部と、光重合開始剤として1重量部のベンジルメチルケタール(チバスペシャルティーケミカルズ社製)と、可塑剤としてポリグリセリン(阪本薬品工業社製)32重量部とを、固形分濃度が50質量%となる量の水/メタノール(4/1)溶液に溶解した。この溶液をTダイを用いて、ポリエステルシート上にウエット状態で3mm厚となるように感光性樹脂組成物層を作成し、60℃のオーブン中で4時間乾燥した。乾燥後、1.5mm厚になったシートを、片面に接着層を設けた188μm厚のポリエステルシートに積層し、レーザー彫刻用印刷原版を製造した。
(2)印刷版の製造及び印刷試験
次に、上記のレーザー彫刻用印刷原版をDupont Cyrel(R) FAST(Dupont社製)を用いて光化学的に強化し、フレキソ直彫用炭酸ガスレーザー(FlexPose!75、Luscher製)を用いてパターンを彫刻した。彫刻後の印刷版を圧力1.0Kg/cm、液温30℃で1分間流水洗浄した。洗浄後の印刷版を、オーブンを用いて80℃で10分間乾燥した。こうして製造した印刷版の版面のショアA硬度及びショアD硬度を、ショア硬度計(TECLOCK社製)を用いてJIS K6253に従って測定した。また、得られた印刷版の版面を目視で観察した。さらに、UVインクを用いてレタープレス印刷に付し、得られた印刷物を目視で検査した。ここで、残渣の印刷、印刷擦れ、印刷イメージの線の太り又は欠け、網点部の太り又は欠け、マージナルゾーンの発生があれば、「不良」とし、これらの発生がない明瞭な印刷物である場合を「良好」とした。結果を表1に示す。また、こうして得られた印刷版の状態を図1に示す。
(実施例2)
ポリエチレングリコール♯200ジアクリレートに代えて、2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いた以外は実施例1と同様にレーザー彫刻用印刷原版を作成し、このレーザー彫刻用印刷原版を用いて印刷版を製造した。
(比較例1〜3)
ポリビニルアルコールのケン化度及び平均重合度を表1に記載のとおりとした以外は実施例1と同様にレーザー彫刻用印刷原版を作成し、このレーザー彫刻用印刷原版を用いて印刷版を製造した。比較例1により得られた印刷版の状態を図2に示す。
(比較例4)
ポリエチレングリコール♯200ジアクリレートに代えて、エチレングリコールジメタクリレート♯100(新中村化学社製)を用いた以外は実施例1と同様にレーザー彫刻用印刷原版を作成し、このレーザー彫刻用印刷原版を用いて印刷版を製造した。
(評価)
実施例1と、比較例1及び比較例2とを比較することにより、ポリビニルアルコールのケン化度が75モル%〜95モル%の範囲にあるレーザー彫刻用印刷原版では、残渣の被洗浄性が向上することがわかる。また、実施例1と比較例3とを比較することにより、ポリビニルアルコールの平均重合度が800〜1700の範囲にあるレーザー彫刻用印刷原版では、印刷品質が向上することがわかる。さらに、実施例1及び2と比較例4とを比較することにより、N−メチロールアクリルアミドと多価アルコールとの縮合反応物、ポリエチレングリコール鎖を有するアクリレート化合物及び少なくとも1つのメチロール基を有するアクリレート化合物以外の化合物を用いると、残渣の被洗浄性が向上することがわかる。
実施例1の印刷版の状態を示す図である。 比較例1の印刷版の状態を示す図である。

Claims (6)

  1. 支持体(A)と感光性樹脂層(B)とを有するレーザー彫刻用印刷原版であって、前記感光性樹脂層が、ケン化度75〜90モル%、平均重合度800〜1700のポリビニルアルコール(b1)と、少なくとも1種の水溶性モノマー(b2)と、光重合開始剤(b3)とを含むレーザー彫刻用印刷原版。
  2. 前記水溶性モノマー(b2)が、N−メチロールアクリルアミドと多価アルコールとの縮合反応物、ポリエチレングリコール鎖を有するアクリレート化合物及び少なくとも1つのメチロール基を有するアクリレート化合物からなる群から選ばれる、請求項1に記載のレーザー彫刻用印刷原版。
  3. 光化学的に強化させた請求項1又は2に記載のレーザー彫刻用印刷原版。
  4. 前記印刷原版の感光性樹脂層(B)のJIS K6253に規定のショアA硬度が70〜99度である、請求項3に記載のレーザー彫刻用印刷原版。
  5. 前記印刷原版の感光性樹脂層(B)のJIS K6253に規定のショアD硬度が50〜90度である、請求項4に記載のレーザー彫刻用印刷原版。
  6. 請求項1に記載のレーザー彫刻用印刷原版の感光性樹脂層(B)を光化学的に強化した後、該感光性樹脂層(B)をレーザー彫刻することを特徴とする印刷版の製造方法。
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