JP2009242198A - 多孔質自立粘土膜及びその製造法 - Google Patents

多孔質自立粘土膜及びその製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性だけでなく、断熱性にも優れる多孔質自立粘土膜及びその製造法を提供する。
【解決手段】粘土を主要成分として構成され、粘土層状結晶が積層した構造を有し、自立膜として用いることができ、粘土層状結晶間に空隙を有し、かつ当該粘土層状結晶を貫通し、粘土膜表面に達する孔を有することを特徴とする多孔質自立粘土膜。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性及び断熱性に優れた多孔質自立粘土膜及びその製造法に関する。
一般に、多くの産業分野において、高温条件下での種々の生産プロセスが用いられている。そのため、アルミナ多孔体のような無機系多孔質膜、ポリオレフィン多孔膜のような有機高分子膜などの種々の耐熱性、断熱性ホスト材料がメンブレンとして用いられている。このメンブレンに触媒、酵素、吸着剤等の種々の化学物質を内包させ、触媒反応、吸着、分離反応等を行う。また、高温となる配管等に巻きつけて使用する。しかしながら、無機系多孔質膜の耐熱性は高いものの、柔軟性がなく、一方、有機高分子膜は柔軟性には優れるものの、耐熱性に劣り、柔軟性及び耐熱性を両立したメンブレン材料が存在しないという問題点があった。
かかる観点から、無機系材料である粘土に着目し、種々検討してきたところ、本発明者らは、粘土の結晶を積層配向させた、自立膜として利用可能な機械的強度を有する粘土薄膜(特許文献1、2)及び柔軟性を有し、粘土層状結晶が積層した構造を有し、自立膜として用いることができ、多孔質構造を有する粘土膜(特許文献3)を開発した。
特開2005−104133号公報 特開2006−77237号公報 特開2006−188418号公報
特許文献1及び2に記載の粘土薄膜は、優れたフレキシビリティーと機械的強度を有するが、多孔質ではなく、断熱特性はない。一方、特許文献3記載の粘土膜は自立膜であり、多孔質である。しかし、当該多孔質粘土膜は、粘土膜を湿潤として急加温により発泡させる方法により製造されるが、膜の構造が均一でなくまた著しい反りが生じるために断熱シート材料としては使用できないものであった。
従って、本発明の課題は、耐熱性だけでなく、断熱性にも優れる多孔質自立粘土膜及びその製造法を提供することにある。
そこで本発明者は、前述の多孔質粘土膜の欠点を克服すべく種々検討を行った。まず、この多孔質粘土膜の構造について検討した結果、粘土膜の加熱により水を蒸発させて粘土層間に空隙を有する多孔質構造を形成させるものであるが、膜自身が極めて優れたガスバリア性を有することから、過剰になった水分の逃げ場がなく、水分の蒸発(発泡)に伴い膜表面を破壊してしまい、発泡が不均一となり、同時に膜に著しい反りが生じることが判明した。そこでさらに検討した結果、発泡前の粘土膜に微細な孔加工を行うことにより、加工された孔位置での空隙の成長が抑制され、余剰なガスが加工箇所から放出されるため、発泡サイズが均質となる結果、膜内部の空隙が均一な多孔質粘土膜が得られることを見出した。また、得られた多孔質粘土膜は形状も均一で、反り等がほとんどなく、優れた耐熱性と断熱性能を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、粘土を主要成分として構成され、粘土層状結晶が積層した構造を有し、自立膜として用いることができ、粘土層状結晶間に空隙を有し、かつ当該粘土層状結晶を貫通し、粘土膜表面に達する孔を有することを特徴とする多孔質自立粘土膜を提供するものである。
また、本発明は、上記多孔質自立粘土膜からなる断熱シート材を提供するものである。
さらに本発明は、粘土を主要成分とする原料を、水又は水を含む液体に分散させ、均一な粘土分散液を得、この分散液を容器に注入し又は物体表面に塗布した後、分散媒である液体を除去して粘土膜を作製し、当該粘土膜に微細な孔開け加工を施した後、加熱処理することを特徴とする上記多孔質自立粘土膜の製造法を提供するものである。
本発明の多孔質自立粘土膜は、粘土層状結晶間に均質な空隙を有することから、膜平面の熱伝導率が均質であり、優れた断熱性を有し、自立膜として利用可能な機械的強度とフレキシビリティーを有し、かつその膜形状は均一であり、反り等がないため、耐熱性シート材、特に断熱シート材として有用である。特に、工業プラントの高温となる配管、熱利用設備に巻きつけて使用できる断熱シート材として有用である。
本発明の多孔質自立粘土膜は、粘土を主要成分として構成され、粘土層状結晶が積層した構造を有し、自立膜として用いることができ、粘土層状結晶間に空隙を有し、かつ当該粘土層状結晶を貫通し、粘土膜表面に達する孔を有するものである。
本発明の多孔質自立粘土膜の主要成分は、天然粘土あるいは合成粘土である。前記粘土膜の主要構成成分としては、例えば、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト及びノントロナイトが例示される。また、粘土以外の添加物としては、例えば、補強材、及び熱重合をするモノマー、熱硬化性ポリマーが例示される。前記補強材としては、鉱物繊維、グラスウール、炭素繊維、セラミックス繊維、植物繊維が例示される。前記添加物の、全固体に対する重量割合は、好適には、30%以下であり、補強材の、全固体に対する重量割合は、好適には、30%以下である。本発明において粘土の含有重量割合は70%以上、さらに80%以上、特に90%以上が好ましい。
本発明の多孔質自立粘土膜は、粘土層状結晶が積層した構造を有している。ここで粘土層状結晶とは、粘土結晶粒子が層状を形成していることを意味し、特開2006−188418号公報の図1のように層状を形成していることをいう。
本発明の多孔質自立粘土膜は、自立膜として、すなわち、何ら固体に担持させることなく、膜自体として利用できるものである。
本発明の多孔質自立粘土膜は、粘土層状結晶間に空隙を有する。この空隙は、特開2006−188418号公報の図1のように、粘土結晶粒子の層間に層状の空隙を有することをいう。当該空隙を有することにより、本発明粘土膜に優れた断熱性が付与される。ここで、粘土結晶粒子層の厚さ及び層間の空隙厚さは、いずれもマイクロメートル、ナノオーダーであり、高配向である。好適な粘土層状結晶の層厚は0.1〜5nmであり、長径は0.1〜10μmであり、アスペクト比は100〜500程度である。より好ましい粘土層状結晶の層厚は約0.5〜5nmであり、長径1〜10μmであり、アスペクト比は200〜400である。また、層間の空隙厚さは0.5〜30μm、さらに1〜20μmが好ましい。この層間の空隙は、粘土膜全体において均質であることが、本発明の多孔質自立粘土膜の特徴であり、該空隙の均質性は、下記の貫通孔の形成により達成される。
本発明の多孔質自立粘土膜は、粘土層状結晶を貫通し、粘土膜表面に達する孔を有する。この孔は粘土結晶粒子の層に対して、たて方向となる。この貫通孔の存在により、従来技術における前記層間の空隙形成段階における不都合が解消される。すなわち、層間の空隙形成は、層間に存在する水分を蒸発させることにより行われるが、貫通孔がない場合には、過剰になった水分の逃げ場がないため、膜表面の破壊(例えば、特開2006−188418号公報、図1の膜表面構造のように)してしまい、発泡サイズが不均一になり、膜に著しい反りが生じる。これに対し、本発明では、貫通孔が形成されているため、層間に存在する水分が、蒸発して層間に空隙を形成すると同時に、余剰な水蒸気は貫通孔を通じて膜外に逃げるため、空隙が均質となり、かつ膜の形状も均一となる。
この貫通孔は、得られる多孔質自立粘土膜の断熱性の低下防止、機械的強度保持、そり防止の点から、孔径が1mm以下、さらに0.1mm以下、特に0.05mm以下が好ましい。また、貫通孔の間隔(ピッチ)もまた、同様の理由から1〜3mm、さらに1.5〜3mm、特に2〜3mmが好ましい。また、貫通孔の間隔は、均一であるのが、上記と同様の理由により好ましい。なお、この貫通孔は、本発明粘土膜の表面のいずれか一方に達していればよいが、表面から裏面まで貫通していてもよい。
本発明の多孔質自立粘土膜は、自立膜として利用可能な機械的強度とフレキシビリティーを有する。膜厚は、5〜3000μm、さらに50〜2000μm、特に500〜1500μmが好ましい。気孔率は20〜80%、特に20〜70%が好ましい。また、耐熱性は600℃以上であり、引っ張り強度はポリプロピレン相当、すなわち、30〜40MPaである。耐熱性に関しては、本発明の多孔質自立粘土膜は250℃以上600℃以下において、構造変化が生じないという特性を有する。
また、本発明の多孔質自立粘土膜は、熱伝導率が0.01〜0.1W/mK、さらに0.01〜0.1W/mK、特に0.03〜0.1W/mKであるのが好ましい。この熱伝導率は、ほぼ静止空気の熱伝導率に匹敵する。このような熱伝導率を有することから、特に優れた耐熱性を要求される、断熱シート材として有用である。
本発明の多孔質自立粘土膜は、粘土を主要成分とする原料を、水又は水を含む液体に分散させ、均一な粘土分散液を得、この分散液を容器に注入し又は物体表面に塗布した後、分散媒である液体を除去して粘土膜を作製し、当該粘土膜に微細な孔開け加工を施した後、加熱処理することにより製造される。
粘土を主要成分とする原料は、前記の本発明粘土膜の構成成分と同様である。これらの原料の分散媒としては水又は水を含む液が用いられ、水、又はアルコール水溶液等が挙げられる。粘土分散液の濃度は、好適には0.5〜15重量%、より好ましくは、1〜10重量%である。このとき、粘土分散液の濃度が薄すぎる場合、乾燥に時間がかかりすぎるという問題がある。また、粘土分散液の濃度が濃すぎる場合、よく粘土が分散しないため、粘土粒子の配向が悪く、均一な膜ができないという問題がある。
必要に応じて、秤量した固体状あるいは液体状の添加物を、粘土分散液に加え、均一な分散液を調製する。添加物としては、熱重合をするモノマー、あるいは熱硬化性ポリマーであれば、特に限定されないが、例えば、イプシロン−カプロラクタム、多価フェノールのうちの1種以上を用いることができる。添加物の全固体に対する重量割合は、30%以下であり、好ましくは1〜10%である。このとき、添加物の割合が低過ぎる場合、添加の効果が現れず、添加物の割合が高すぎる場合、調製した膜中で添加物と粘土の分布が不均一になり、結果として得られる粘土膜の均一性が低下し、やはり添加効果が薄れる。
必要に応じて、秤量した補強材を、粘土分散液に加え、均一な分散液を調製する。補強材として、鉱物繊維、グラスウール、炭素繊維、セラミックス繊維、植物繊維樹脂のうちの1種以上を用いることができる。補強材の全固体に対する重量割合は、30%以下であり、好ましくは1〜10%である。このとき、補強材の割合が低過ぎる場合、添加の効果が現れず、補強材の割合が高すぎる場合、調製した膜中で補強材と粘土の分布が不均一になり、結果として得られる粘土膜の均一性が低下し、やはり添加効果が薄れる。なお、補強材と添加物の添加順序は、どちらが先と決まっているわけではなく、どちらを先に加えてもよい。
次に、この分散液を容器に流し込む、あるいは物体表面に塗布したのち、分散媒である液体を乾燥除去し、粘土膜を作製する。粘土膜の作製方法としては、例えば、分散液である液体をゆっくりと蒸発させ、膜状に成形する。分散液を支持体表面に塗布し、分散媒である液体を乾燥除去する、などの方法がある。分散媒である液体の乾燥除去法としては、例えば、種々の固液分離方法、例えば、遠心分離、ろ過、真空乾燥、凍結真空乾燥、加熱蒸発法の何れか、あるいはこれらの方法を組み合わせが可能である。これらの方法のうち、例えば、分散液を容器に流し込み加熱蒸発法を用いる場合、粘土の濃度を0.5〜3重量%に調整し、事前に脱気処理した分散液を平坦なトレイ、好ましくはプラスチック製、あるいは金属製のトレイ等の支持体に注ぎ、水平を保った状態で、強制送風式オーブン中で30〜70℃の温度条件下、好ましくは30〜50℃の温度条件下で、3時間〜半日間程度、好ましくは3〜5時間、乾燥して粘土薄膜を得る。
また、別の例として、分散液を物体に塗布し、加熱蒸発法を用いる場合、粘土の濃度を4〜7重量%に調整し、事前に脱気処理した分散液を平坦な金属板の上に2mmの厚さに塗布し、強制送風式オーブン中で30〜70℃の温度条件下、好ましくは30〜50℃の温度条件下で、10分間〜2時間程度、好ましくは20分間〜1時間、乾燥して粘土膜を得る。
分散液を事前に脱気処理しない場合、粘土薄膜に気泡に由来する孔ができ易くなるという問題がある場合がある。また、乾燥条件は、液体分を乾燥除去するのに十分であるように設定される。このとき、乾燥速度が遅すぎると、乾燥に時間がかかるという問題がある。また、乾燥速度が速すぎると、分散液の対流が起こり、粘土膜の均一性が低下するという問題がある。本粘土膜の厚さは、分散液に用いる固体量を調整することによって、任意の厚さの膜を得ることができる。
本発明において、加熱乾燥法による乾燥条件は、好ましくは、強制送風式オーブン中で30〜70℃の温度条件下、より好ましくは、30〜50℃の温度条件下で、10分間〜半日間程度の乾燥、より好ましくは、10分間〜5時間程度の乾燥である。
粘土膜を自立膜として用いる場合は、粘土膜を容器、あるいは物体表面から剥離し、粘土自立膜を得る。粘土薄膜が容器等の支持体から自然に剥離しない場合は、好適には、真空引きにより剥離を促進させ自立膜を得る。また、剥離の別の方法として、好適には、約110〜200℃の温度条件下で乾燥し、剥離を容易にして自立膜を得る。このとき、温度が低すぎる場合には、剥離が起こりにくいという問題がある。温度が高すぎる場合には、添加物が劣化しやすくなるという問題がある。
本発明においては、ここで得られた粘土膜に微細な孔開け加工をする。孔開け加工は、粘土膜全体に貫通する加工でもよいし、片面から半分程度貫通させ、他の面から半分程度貫通させてもよい。孔開け加工は前述の如く、一定間隔で1mm以下、さらに0.1mm以下、特に0.05mm以下の孔径の孔を形成するのが好ましい。また、孔の間隔は、1〜3mm、さらに1.5〜3mm、特に2〜3mmが好ましい。孔のパターンは格子状、同心円状、放射状、亀甲状等均一なパターンであれば特に限定されない。針状の穿孔機を用いて孔開けするのが簡便である。
次に、粘土膜、あるいは粘土自立膜を、室温付近の温度、相対湿度40〜90%の範囲に保った強制対流式オーブンで保管する。このとき、上記温度、湿度条件が安定して得られれば、必ずしも強制対流式オーブンの中でなくてもよい。上記条件下で保管された粘土は、適度な水分を含んでおり、この水分が後段で説明する加熱処理の際に蒸気になり、膜内に空隙をもたらす。このとき、相対湿度が5%よりも低い場合は、粘土の含水が十分ではなく、結果的に目的とした多孔質膜ができない。また、相対湿度が95%よりも高い場合は、粘土の含水が過剰で、均一な多孔質膜が得られないという問題がある。保管時間は10秒〜3日間おくことが望ましい。
次に、粘土膜、あるいは粘土自立膜を、急激に加熱し、粘土に含まれる水を蒸気にするとともに、必要により熱重合可能なモノマーを重合させる、あるいは熱硬化性樹脂を硬化させる。この処理に用いる装置としては、ラムが加熱可能な油圧プレス、電子レンジなどが考えられるが、急激に加熱するという目的が達せられれば、この限りではない。強制対流型オーブンなどでゆっくり加熱した場合、試料の温度が少しずつ上昇するため、200℃以上の熱重合、あるいは熱硬化温度までに内部の水分が乾燥してしまい、結果として空隙が生成されない。この段階で、本発明においては、微細な孔開け加工を施しているので、水分の蒸発(発泡サイズ)が均一になり、膜の形状、層間の空隙が均一になる。
本発明の粘土自立膜は、例えば、はさみ、カッター等で容易に円、正方形、長方形などの任意の大きさ、形状に切り取ることができる。本発明の粘土自立膜は、好適には、厚さは1mmよりも薄く、面積は1cm2よりも大きい。また、本発明の粘土膜は、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、柔軟性が高く、耐熱性が高く、多孔質であり、電気に対して不導体であり、熱伝導率が低く、膜内部に種々の化学物質を内包することが可能である、かつ膜が均一であるといった特徴を有する。また、本発明の粘土膜は、粘土層状結晶が積層した構造を有しているため、グラスウールやロックウールのような微細な繊維の落下がなく、安全性も良好である。
従って、本発明の粘土自立膜は、触媒の担体、酵素の担体等の他、耐熱性絶縁膜、断熱シート材として特に有用である。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
(1)粘土膜の製造
粘土として、0.95グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cm3の蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加剤として、イプシロン−カプロラクタム(和光純薬工業株式会社製)を0.05グラム含む水溶液を加え、得られた分散液を、底面が平坦であり、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中で50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30μmの均一な水溶性高分子複合粘土薄膜を得た。生成した粘土薄膜をトレイから剥離して粘土膜を得た。その粘土膜を、10cm平方に切り、温度20℃、相対湿度70%のオーブンに12時間保管し、その後、アルミホイルに挟んで、油圧プレスで200kNで加圧しながら、250℃で30分加熱して、白色の多孔質粘土膜を得た。
粘土膜(t=50〜70μm)へ0.5、1、2、3、4mm間隔でそれぞれシート全面に微細穴加工を行い、80℃20分の高湿環境下で約20%に含水調整した後、電子レンジ(500W2分)で発泡処理を行った。得られた発泡膜についてHotDisk熱物性測定装置(京都電子(株)TPA−501)により熱伝導率の測定を行い、目視評価にて外観評価を行った。
発泡膜の熱伝導率及び外観評価結果を表1及び図1に示す。また小片を用いた加湿条件の予備検討結果を表2に示す。

表1及び図1より、発泡前の粘土膜へ穴加工を行うことにより、発泡工程でのふくれ最大寸法は加工穴と接する円が上限サイズとなる傾向を示した。また穴加工間隔が狭くなるにつれて個々の泡サイズは一定となり、膜の反りも減少した。
熱伝導率測定結果から、2mm間隔以上で穴加工を行うことにより、熱伝導率は無加工の発泡膜と同程度の値を示した。
また、発泡処理前の粘土膜含水率は発泡形状に大きく影響し、約20%の含水率となる条件が好適であった。但し長時間の加湿や膜が直接水と接した場合は、膜の脆弱化により発泡不良となる傾向を示した。
穴加工と得られた多孔質自立粘土膜の外観変化との関係を示す図である。

Claims (8)

  1. 粘土を主要成分として構成され、粘土層状結晶が積層した構造を有し、自立膜として用いることができ、粘土層状結晶間に空隙を有し、かつ当該粘土層状結晶を貫通し、粘土膜表面に達する孔を有することを特徴とする多孔質自立粘土膜。
  2. 前記粘土層状結晶を貫通し、粘土膜表面に達する孔の孔径が1mm以下である請求項1記載の多孔質自立粘土膜。
  3. 前記粘土層状結晶を貫通し、粘土膜表面に達する孔が、1〜3mm間隙で設けられている請求項1記載の多孔質自立粘土膜。
  4. 自立膜として利用可能な機械的強度とフレキシビリティーを有する請求項1〜3のいずれか1項記載の多孔質自立粘土膜。
  5. 熱伝導率が0.01〜0.1W/mKである請求項1〜4のいずれか1項記載の多孔質自立粘土膜。
  6. 粘土層状結晶間の空隙が、粘土膜全体において均質である請求項1〜5のいずれか1項記載の多孔質自立粘土膜。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の多孔質自立粘土膜からなる断熱シート材。
  8. 粘土を主要成分とする原料を、水又は水を含む液体に分散させ、均一な粘土分散液を得、この分散液を容器に注入し又は物体表面に塗布した後、分散媒である液体を除去して粘土膜を作製し、当該粘土膜に微細な孔開け加工を施した後、加熱処理することを特徴とする請求項1記載の多孔質自立粘土膜の製造法。
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