JP2009236624A - 生体の深部温度測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】深部温度を高速に測定する深部温度測定装置を供給する。
【解決手段】
第1断熱材412が皮膚表面に接触する表面に配置されている第1温度センサ211とそれに対向する表面に配置されている第2温度センサ213と、第1断熱材412と異なる熱抵抗値を有する第2断熱材422が皮膚表面に接触する表面に配置されている第3温度センサとそれに対向する表面に配置されている第4温度センサとを有し、第1温度センサと第2温度センサの温度上昇からそれぞれの熱平衡状態における予測温度を予測し、予測された2つの温度と第2および第4温度センサによる測定温度とを用いて生体の深部温度を算出する深部温度測定装置である。
【選択図】図2

Description

本発明は、生体の深部温度を測定する深部温度測定装置に関し、特に、加熱機構を用いて熱流を補償する熱流補償式とは異なる技術を採用した深部温度測定装置に関する。
近年、体温計測技術及び体温計が進歩しており、また、使用者又は看護者の要望により、電子体温計のより簡便な取扱いやより高速化が進んできている。
温度測定の視点で見ると、電子体温計で用いられる熱の伝わり方には2種類ある。熱伝導と熱放射(熱輻射)である。熱伝導は、物質の分子などの運動の活発さが伝わり、広がることである。熱が伝わる物質は分子レベルで接触している必要があり、接触により測定することができる。熱放射は、電磁波によりエネルギーが、空気中や真空中を通って、直接伝わることである。総ての物質は何らの量の電磁波を放出しており、電磁波の出て行く量より入ってくる量の方が多いと温度が上がる。熱放射は、接触することなく、測定することができる。
まず熱放射の原理を応用した赤外線体温計について説明する。赤外線体温計は、その原理から、短時間(1秒以下)で計測が可能である。短時間で可能なのは、対象身体部位の温度が熱平衡状態でなくても体温を測定できるからである。ただし、装着直後のプローブの位置や熱のバランスが安定するまでの時間が加算されるので、実際の計測時間は数秒である。体温の検温身体部位には、鼓膜又は鼓膜を含む外耳道、或いは皮膚表面、例えば、こめかみ付近、耳たぶの後ろ付近などがある。一般に赤外線体温計は、身体部位の名を取って、鼓膜又は鼓膜を含む外耳道を身休部位とするものは「耳赤外線体温計」、こめかみ付近を身体部位するものは「側頭部赤外線体温計」と呼ばれる。図8に耳赤外線体温計の一般的な構成の一例を示す。側頭部赤外線体温計も図8と同様の構成である。
鼓膜の温度は、脳の視床下部に流入する内頸動脈の血液温にほぼ近い内頸動脈の血液温を強く反映した温度と考えられている。内頸動脈の血液は心臓から流れ出た血液で、中核の温度を正しく見なすことができる。このことにより、鼓膜の温度を正確に測ることができれば、中核の温度を正しく測ったことになる。しかし、実際には、耳赤外線体温計で鼓膜のみの温度を測ることは、非常に困難である。なぜなら耳赤外線体温計で耳(外耳道)の入り口から鼓膜を見ると非常に視野が狭い状況にあり、耳赤外線体温計の視野角を狭くすると、耳に挿入する角度の影響を強く受けることになるからである。従って、耳赤外線体温計といえども、鼓膜を視野に捉えなければ、ただの皮膚表面赤外点体温計になってしまう。
そこで、耳赤外線体温計では、視野角をある程度広くして使い勝手を良くするのが実際的であるが、その分、外耳道の壁も視野に含めて見ることになるので、鼓膜の温度と外耳道の温度が平均化された温度(すなわち、実際に存在しない温度)を表示することになる。なお、外耳道の皮膚だけを測定した場合、その直下や近傍に動脈が存在していないため測定結果はそれなりに低めの温度になる。また測定環境温度(室温)が低いと、0.5℃、或いは1℃程度低く測定される場合もある。ここで、耳赤外線体温計で鼓膜の温度を測定しようとして鼓膜を視野に捉えられない場合の例としては、鼓膜を覗けない外耳道の形状の場合や耳あかが存在する場合、あるいはプローブカバーの交換を怠ったりする場合が挙げられる。何れの場合も正しく測定することができない。この様に耳赤外線体温計には使い勝手の制限があることに留意をしなければならない。また耳赤外線体温計の測定温度が大きくずれたときは、顔色や体調からそれなりに判断がつくものであるが、0.2℃とか0.3℃程度のずれは、うまく測れなかったのか体温が実際その様であったのかの判断は困難である。
一方、こめかみ付近などの皮膚表面を測定する皮膚表面赤外線体温計も使い勝手が制限されるという問題を抱えている。赤外線体温計では、測温部が熱平衡状態でない状況で体温を計測する。このため皮膚表面温は「皮膚表層から外界への熱放散量」と「皮膚深層部から皮膚表面への熱供給量」のバランスによって決定されるため、室温が体温に近い場合は動脈の温度を強く反映しているが、室温が体温から離れるとその影響を受けて低め或いは高めの温度になる。そのため実際の製品の中には使用環境温範囲が数度の範囲でないと適切な数値を表示しない場合もある。なお、発汗による影響も受けるが、室温の影響ほどではない。
次に、熱伝導の原理を応用した体温計(本明細書では、「赤外線体温計」と区別して「体温計」、「電子体温計」と呼ぶ)について説明する。電子体温計は、予測式と実測式の2種類があり、電子体温計の身体部位としては、腋窩、口中(舌下)などがある。
図9に電子体温計の一般的な構成の一例を示す。熱伝導による温度測定では、測温部が「熱平衡状態」或いは「熱平衡状態に近い状態」であることが求められる。この様な状況では、検温身体部位の表面温度は深部温度とほぼ平衡状態(その状態の温度を「平衡温」と呼ぶ)にあり、ほぼ同じと見なすことができる。この平衡状態になるためには、環境温度の影響があるものの腋窩では10分乃至それ以上、口中では5分前後の時間を要する。そこで、検温身体部位が熱平衡状態になる前のより短い時間(非熱平衡状態)で熱平衡状態の体温、即ち「平衡温」を計算で求めているのが予測式の体温計である。90秒、60秒、30秒(例えば、特許文献1)、10秒と色々な時間で測定できるものがある。なお非熱平衡状態で計測すると言う観点からは、予測式の体温計と赤外線体温計とは同類と見なすことができる。
電子体温計の予測計算のアルゴリズムについては、既にいくつかの特許文献に開示されている(例えば、特許文献2参照)。そこでは、多数の熱結合の開始点から熱平衡状態までの温度上昇データを統計的に処理して求めた数式に基づいて、予測計算を実行している。統計的な処理をするためには、同一検温身体部位の多数の温度上昇データが必要である。例えば、腋窩と口中舌禍の熱的生体構造モデルは異なるので、腋窩と口中のデータをまとめて、数式を設定することは大変困難である。実際に測定すれば理解されるが、腋窩温度の上昇データは口中温度の上昇データより早く上昇する。その意味では、温度上昇データから検温身体部位を判定することは困難である。特に、10秒間とか30秒間とかの短時間では不可能である。そこで通常は、測定開始から例えば10秒間とか30秒間の上昇する温度を測定し、その上昇特徴を判断して、適切な係数や式を選択して、上乗せ量を計算して予測温を「予測温」=「上乗せ量」+「実測温」で推定している。
図10に測温部の温度上昇と予測値の関係の一例を示す。平衡温は現在の実測値(例えば熱結合の開始点から数十秒後の予測検温実測値)より高いこと、つまり予測検温から8〜9分以上検温を続けた後の今より上昇した温度になることを想定している。このため、計算は、今の実測値にどれだけの量を上乗せすれば平衡温になるかの「上乗せ量」を計算することになる。検温時間とともに上乗せ量は減少するもののマイナスになることはない。なお、場合によっては計算結果の状況を判断して、計算結果が妥当であると判断できるまで計算を継続することもある。実際には、測温部が皮膚に安定して接触しないために熱結合の開始点のデータが安定しない場合、熱結合の開始点から10秒や30秒に平衡温を表示するためには、それ以前(例えば、5秒や10秒)に測定を終了しなければならない。そのため5秒や10秒で検温する場合は、熱結合の開始点、即ち、測温部が検温身体部位に接触するときに安定した接触が行われないと、安定したデータが取得できない場合がある。その結果として、計算結果に悪い影響を与えることになる。
予測計算は、上記説明した通り測定された温度上昇データを統計的な処理を行うことで平衡温を求めている。また、平衡温を求めることは平均値を求めることであり、当然、そのバラツキは平均値を中心に低い側と高い側に等しく分散していることになる(検温データが正規分布していると仮定)。一方、実測式の体温計は、熱平衡状態に到達するかそれに近い状態になるため平衡温より高い側に位置することはあり得ない。低い側とゼロに分布しているならば、その平均は予測計算の平均値よりも低くなる。
また、予測計算のアルゴリズを上記説明した平衡温の予測以外に、異なる検温身体部位間の換算に用いる場合がある。例えば、耳赤外線体温計で測定した値をそのまま表示するのではなく、従来から検温身体部位として使われてきた腋窩や口中で測ったときの値に換算して表示する。これは、数秒以内に腋窩温や口中温が測定できて、従来の検温での判定基準を変更することなく、便利である。耳赤外線体温計の測定値を身体部位間の換算するアルゴリズムとしては、環境温度をパラメータに計算するものや固定値を減算する(オフセットする)ものなどがある。これは、腋窩温や口中温は、一般的に鼓膜温とその外耳道周辺温の平均値より低いためである。しかしながら、その精度検証は容易ではない。耳赤外線体温計での測定と熱伝導体温計温の測定の検温にバラツキがあることから、このバラツキを考慮した換算計算のアルゴリズムは複雑になりかつ分散が大きくなり易いからである。
以上説明したように、従来の電子体温計では5〜10秒の腋窩温や口中温の検温で深部温度(深部体温)を測定することは難しい。一方、赤外線体温計は短時間での計測が可能であるが耳赤外線体温計では鼓膜のみに限定して測定できない場合があり、皮膚表面の近くを動脈が通っているこめかみ付近(側頭動脈)などの皮膚表面温度を測定する側頭部赤外線体温計では、身体部位の深部温度を強く反映した体温と言えるが、それでもなお室温の影響を少なからず受けている。
そこで、室温の影響を低減して身体部位の深部温度を短時間に測定することができる体温計が望まれる。
ところで、深部温度(深部体温)を測ることは、外科における麻酔時や覚醒時の体温管理などで、あるいは、心療内科における登校拒否症での体温日内変動の確認などで、それぞれ有用性が認められている。深部温度測定装置としては、加熱機構を用いた深部体温計(例えば、テルモ社製コアテンプCM−210など)がある(例えば、非特許文献1、特許文献3)。加熱機構を用いた深部体温計は、皮膚表面の温度を検知するプローブ(測温部)を皮膚表面に貼りつけて(装着して)、深部温度を測定する。このプローブの外側は、加熱機構の取り付けられたアルミ等の熱伝導体で覆い囲まれており、加熱機構によりプローブの熱伝導体に熱量が供給される。そして、この熱伝導体の温度と皮膚表面で測定される温度の温度差をなくするように加熱機構を制御して熱伝導体に熱量が供給されることで、皮膚表面からの放熱(熱流)が補償できるようになっている。この皮膚表面からの放熱を補償するプローブの機構により、時間の経過と共に、やがて皮膚表面からの放熱(熱流)がなくなり、皮膚表面温度が皮下の深部温度を反映するようになり、皮膚表面温度の測定を通して深部温度を測定することができる。この様な加熱機構を用いる深部温度の測定方法は、当業者には熱流補償法と呼ばれよく知られている。
しかしながら、加熱型の深部体温計はその熱流補償の動作原理から初期温度上昇で安定になるまでの時間が例えば数分から15分程度かかるのが難点である。図11は、熱流補償の1次元モデルイメージ図である。加熱機構を用いて、熱平衡状態を作りだすのに、生体例の熱平衡状態になるのに時間を要することを説明している。また加熱型の深部体温計では、初期安定化する時間、深部体温計のプローブを手で保持することは、大変煩わしい。さらに、加熱機構があるとプローブ大きく、重たくなる問題もある。図12は、熱流補償式電子体温計の一般的な構成の一例を示す図である。
一方、加熱機構を用いない非加熱型の深部体温計も知られている。加熱機構がない深部体温計の考えは、1980年半ば、既に、当時の東京医科歯科大学の戸川らから提案されている(例えば、非特許文献2)。ただし、このときの考え方は、加熱機構を除き消費電力の少ない機構にすることに着眼していることもあり、初期温度上昇で安定になるまので時間は加熱機構付きのものとあまり変わらず、プローブと皮膚表面(検温身体部位)との熱的接触が不安定なことから目標の精度まで達成することも難しかった模様である。
特開2005−098982号 特開2002−372464号 特許第3536096号 戸川他:「熱流補償法を利用した生体温度計測装置」、医器材研報(東京医科歯科大学)、7、75−83(1973) 戸川他:「加熱機構を用いない深部温度計」、医用電子と生体工学、25,SUPPl.,302,1987
本発明は、上記説明した従来技術の問題点を解決することを出発点としてなされたものであり、その目的は、生体の深部温度を高速にかつ精度良く算出することができる深部温度測定装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の深部温度測定装置は、以下の構成を有する。すなわち、生体の深部温度を測定する深部温度測定装置であって、第1断熱材と、生体の皮膚表面と接触する前記第1断熱材の第1の表面に配置された第1温度センサと、前記第1の表面と対向する前記第1断熱材の第2の表面に配置された第2温度センサと、前記第1断熱材と異なる熱抵抗値を有する第2断熱材と、生体の皮膚表面と接触する前記第2断熱材の第3の表面に配置された第3温度センサと、前記第3の表面と対向する前記第2断熱材の第4の表面に配置された第4温度センサと、前記第1温度センサの測定開始後の測定温度の上昇から、該第1温度センサの熱平衡状態における測定温度を第1予測温度として予測し、前記第3温度センサの測定開始後の測定温度の上昇から、該第3温度センサの熱平衡状態における測定温度を第2予測温度として予測する予測手段と、前記予測手段で予測された前記第1予測温度と前記第2予測温度とを用いて、前記生体の深部温度を算出する深部温度算出手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、深部温度を高速かつ精度良く測定することができる深部温度測定装置を提供することができる。そのため、本発明の深部温度測定装置を医寮向けとして病院の外来での検温、病棟での検温、在宅での新生児から老人までの検温に使用すると、高速かつ精度良く検温が可能となり、検温時の診療対象の患者と機器を取り扱う操作者の負担を軽減することができる。
以下に図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態の深部温度測定装置について説明する。
[特徴]
本発明の深部温度測定装置は、加熱機構がない深部体温計の考えと予測式体温計の考えとを組み合わせることにより、加熱機構を用いずに深部体温を高速にかつ精度良く測定するものである。本発明の深部温度測定装置は、左右の温度測定部からなる温度測定部と、本体部から構成され、温度測定部は、第1断熱材と、第1断熱材が生体の皮膚表面に接触する表面(第1の表面)に配置されている第1温度センサと、第1温度センサが配置された表面と対向する第1断熱材の表面(第2の表面)に配置されている第2温度センサと、第1断熱材と異なる熱抵抗値を有する第2断熱材と、第2断熱材が生体表面に接触する表面(第3の表面)に配置されている第3温度センサと、第3温度センサが配置された表面と対向する第2断熱材の表面(第4の表面)に配置されている第4温度センサとを備えている。
そして本発明の深部温度測定装置では、4つの温度センサで測定される測定温度を用いて深部温度を算出する際に、測定時間を短縮するために第1温度センサと第2温度センサの温度上昇からそれぞれの熱平衡状態における予測温度を予測し、予測された2つの温度と第2および第4温度センサで測定された測定温度を用いて生体の深部温度を算出する。そのため生体の深部温度を高速(数秒程度)かつ精度良く算出することができる。
生体の深部温度Tbは、次式で算出する。
Tb=(Tte1*(Tte2−Ta2)*Ra1−Tte2*(Tte1−Ta1)*Ra2)/((Tte2−Ta2)*Ra1−(Tte1−Ta1)*Ra2)
ここで、Tte1、Tte2は、第1および第2温度センサの各測定温度から予測された予測平衡温度、Ta1、Ta2は、第3および第4温度センサの測定温度、Ra1、Ra2は、第1及び第2断熱材の各熱抵抗値である。
また、本発明の深部温度測定装置では、精度良く深部温度を算出するために、第2および第4温度センサで測定される測定温度への外部温度の影響を低減するため温度センサを外気から遮蔽する遮蔽部を設けたり、温度センサを熱安定材に埋め込んだりなどの工夫をしている。また、精度良い高速測定を実現するために、温度センサを測定開始まで皮膚に接触させないようにガイドリングで保護し、ガイドリングの移動に連動するスイッチで測定開始時間を把握する工夫や、測定中に温度センサを皮膚表面にスプリングで押下して固定する工夫や、温度センサと反対面に表示部を設けて算出した深部温度を見やすくユーザに表示する工夫をしている。以下、本発明の深部温度測定装置について詳しく説明する。
[生体の深部温度測定装置の外観:図1]
図1は、本実施形態の生体の深部温度測定装置1の外観の一例を示す図であり、図1の(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。深部温度測定装置1は、温度測定部2、本体部3、保持部5より構成される。
本生体の深部温度測定装置1を使用する場合には、まず表示部360に温度が表示されていない状態で、図1の(c)の状態変更スイッチ361を押下し、次に、図1の(a)の眼鏡形状の測定部(プローブ)2の左ガイドリング416及び右ガイドリング426を被験者の皮膚表面に押しつける。すると、左ガイドリング416及び右ガイドリング426が内側に移動し左第1温度センサ211、右第1温度センサ221が皮膚表面に接触して検温を開始し、数秒(5秒以内)で、身体部位の深部温度を測定する。計算された深部温度は、図1(c)に示すように測定部2の左第1温度センサ211と右第1温度センサ221とが配置された面の逆の背面に配置された表示部360に表示される。本生体の深部温度測定装置1では握りやすくかつ皮膚に安定して固定しやすくするために、図1(b)のように保持部5を傾斜させて皮膚との間に間隔を設けている。
[温度測定部:図2]
次に、温度測定部2について説明する。温度測定部2は図1の(a)に示すように円柱状の第1温度測定部21(左部)と第2温度測定部22(右部)とを連結したものである。以下、図2に示す温度測定部2の断面図を用いて、第1温度測定部21と第2温度測定部22の各構成要素について説明するが、共通の機能を有する構成要素には先頭に左と右を付けて区別する。
図2に示すように、第1温度測定部21は、左ガイドリング416、左第1温度センサ211、左断熱材412、左第2温度センサ213、左温度安定材414、左保護壁410、左第1スプリング417、左第2スプリング418、左パイプ419、左バックキャビティ411を含み、第2温度測定部22は、右ガイドリング426、右第1温度センサ221、右断熱材422、右第2温度センサ223、右温度安定材424、右保護壁420、右第1スプリング427、右第2スプリング428、右パイプ429、右バックキャビティ421を含んでいる。なお図2では、左保護壁410と右保護壁420とは一体化され、左バックキャビティ411もまた右バックキャビティ421と一体化されている。
図2に示すように、左第1温度センサ211と右第1温度センサ221とは検温時に皮膚にほぼ同時に接触して温度測定を行えるように同一平面上に配置されている。また、左第1温度センサ211と左第2温度センサ213および右第1温度センサ221と右第2温度センサ223は、温度測定を適切に行うために第1および第2温度測定部21,22の中心部にそれぞれ配置されている。
また、左第1温度センサ211と左第2温度センサ213の間には左断熱材412が、右第1温度センサ221と右第2温度センサ223の間には右断熱材422が配置され、左第1温度センサ211は左断熱材412の表面に、右第1温度センサ221は右断熱材422の表面に接しながら各断熱材の内部に埋め込まれている。左右の断熱材412、422は、熱抵抗値が異なるように設定されており、それぞれ皮膚の温度を適確に捉えるために熱伝導率が大きく熱容量及び比熱が小さい材料で形成されかつ変形しにくい材料(熱抵抗部材)で形成されている。なお左右の断熱材412、422を同じ材料で製造し、それぞれの厚みを変えて熱抵抗値を変更しても良い。このように、断熱材の種類を変えたり断熱材の厚さを変えて熱抵抗値を変えたりすることにより、左右の第1温度センサ211、221と左右の第2温度センサ213、223により生体の深部温度の測定に必要な4つの測定温度を測定することができる。ここで、断熱材の素材、断熱材の厚み、熱抵抗値の例を示すと、同じ断熱材ウレタンフォームを使用する場合の断熱材の厚みは10mmと20mm、熱抵抗値は0.45m・K/W×10-3と0.90m・K/W×10-3であり、その熱容量は0.38J/Kと0.75J/K、熱伝導率は0.025W/m/K、比熱は1.25J/g/Kである。また断熱材としてグラスウールを使用しても良い。その場合の断熱材の厚みは20mmと40mm、熱抵抗値は0.52m・K/W×10-3と1.04m・K/W×10-3であり、その熱容量は0.42J/Kと0.84J/K、熱伝導率は0.038W/m/K、比熱は0.84J/g/Kである。
また、図2に示すように、左第2温度センサ213は、左断熱材412と左温度安定材414とが接する部分に配置され、その一部はそれぞれ左断熱材412と左温度安定材414に埋め込まれている。同様に、右第2温度センサ223は、右断熱材422と右温度安定材424とが接する部分に配置され、その一部はそれぞれ右断熱材422と右温度安定材424に埋め込まれている。ここで、左右の温度安定材414、424は、熱容量及び熱伝導率が大きく比熱が小さい部材で形成されている。従って、熱安定材は断熱材に比べて熱容量が大きい。左右の第2温度センサ213、223を左右の温度安定材414、424に埋め込んだのは、測定温度が環境温度の影響を受けて変動するのを抑えて安定した深部温度の算出をするためである。ここで、温度安定材の一例を示すと、素材銅、熱容量5.2J/K及び熱伝導率390W/m/K、比熱0.39J/g/Kである。
左ガイドリング416と右ガイドリング426は、それぞれ弾性部材である左第1スプリング417、右第1スプリング427により左保護壁410、右保護壁420の内側に沿って移動可能である。また、左第1温度センサ211は、左断熱材412、左温度安定材414を介して左第2スプリング418に、右第1温度センサ221は、右断熱材422、右温度安定材424を介して右第2スプリング428に連結され、それぞれ適切な圧力で押圧されて皮膚に接触して固定されるように移動可能となっている。なお、スプリングを用いない場合には断熱材としてスプリング性能を有する弾力材料を使用してもよい。
[温度計測時の温度測定部の動作:図3]
次に、図3を用いて温度測定時の温度測定部2の動作について説明する。図3の(a)は、温度測定部2を皮膚に接触させて深部温度を測定するときの温度測定部2測定前を、図3の(b)は測定時を示している。
図3の(a)のように左ガイドリング416及び右ガイドリング426を被験者の皮膚の表面に押しつけると、左ガイドリング416及び右ガイドリング426が左第1スプリング417と右第1スプリング427をそれぞれ圧縮し、左ガイドリング416と右ガイドリング426はそれぞれ左保護壁410および右保護壁420の内部に移動し、左第1温度センサ211および右第1温度センサ221を生体の皮膚表面に接触させる。このとき左ガイドリング416と右ガイドリング426が後退するタイミングを左スイッチ214と右スイッチ224で検出し、これを検温の開始(熱結合の開始点)とすることで、数秒(5秒以内)で身体部位の深部温度を精度良く測定することができる。またこのように検温時に温度測定部2を弾性部材、例えばスプリングで皮膚に押しつける構造とすることにより安定した接触が可能となり、安定した検温開始と再現性のある接触を実現することができる。なお、弾性部材としてスプリング以外の他の機構を用いても良い。また、左第1温度センサ211と右第1温度センサ221が皮膚に接触した後は、左第2スプリング418と右第2スプリング428が一定の力で左第1温度センサ211と右第1温度センサ221を皮膚に押しつけるため、測定中に安定した接触を維持することができる。
[深部温度測定装置の制御構成:図4]
次に、図4を用いて生体の深部温度測定装置1の制御構成の一例について説明する。図4に示すように、生体の深部温度測定装置1の制御構成は温度測定部2と本体部3から構成されるが、温度測定部2の各構成要素は、図2ですでに説明したので重複する説明は省略する。
まず本体部3について説明する。本体部3は、第1基準抵抗351、第2基準抵抗352、入力切換部355、A/D変換部356、制御部357、RAM358、ROM359、表示部(LCD)360、状態変更スイッチ361、送信部362、電源部363から構成されている。制御部357はROM359に格納された制御プログラムに基づいて本生体の深部温度測定装置1の各部を制御しながら第1及び第2温度センサから出力される4つの測定値を取得し、ROM359に記憶されている各種パラメータを用いて深部温度を算出し、算出結果を表示部360に表示したりあるいは送信部362を介して外部に送信したりするなどの制御を行う。
また、入力切替部355は、電池などの電源部363から供給される定電流源で駆動される左第1温度センサ211、左第2温度センサ213、右第1温度センサ221、右第2温度センサ223の検温時の出力電圧と第1基準抵抗351、第2基準抵抗352からの電圧を適時切り換えてA/D変換部356に出力する。A/D変換部356は入力された電圧をデジタル信号に変換して出力し、デジタル信号は、作業メモリであるRAM358に蓄積される。蓄積されたデジタルデータ列は、深部温度の計算に用いられる。
次に温度計測時の温度測定部2の動作と本体部3の制御について説明する。深部温度測定時に左ガイドリング416や右ガイドリング426が押下されて保護壁内部に移動すると、連動して測定開始を知らせるスイッチ214とスイッチ224がオンとなる。制御部357は、継続的にスイッチ214,224の状態を判断しあるいは左第1温度センサ211、右第1温度センサ221の温度上昇の変化を監視することで、検温開始、検温中断を検知する。検温(熱結合)が開始すると、入力切替部355は、左第1温度センサ211、右第1温度センサ221、左第2温度センサ213、右第2温度センサ223の出力電圧を順次又は適時読み取り、その時刻の温度データの組みとする。合わせて、入力切替部355は第1基準抵抗351及び第2基準抵抗352を順次又は適時読み取る。そのため、制御部357は、読み取った基準抵抗値を最新の基準とすることで、電源電圧変動などの変動要素を低減して、温度データの信頼性を向上させている。
また制御部357は、温度データの組みが時系列に集まり始めると、生体の深部温度を算出し、算出結果を生体の深部温度として表示部360に表示する。ただし、制御部357は、測定開始スイッチ214と測定開始スイッチ224の入りとなる時間差が大きい場合には、検温操作が不適合であると表示部360に表示する。また、制御部357は検温のタイミングとは関係なく、定期的に、左第2温度センサ213や右第2温度センサ223を順次読み取り、定められた環境温度範囲を超えている場合は、環境範囲を不適合として表示部360に検温不可を表示する。また制御部357は、左第2温度センサ213、右第2温度センサ223の温度差が所定値を超えている場合や左第2温度センサ213や右第2温度センサ223の時間当たりの変化量が所定値を超えている場合にも表示部360に検温不可のエラー表示をするか検温準備時間を延長する処理を行う。また、制御部357は、必要に応じて消費電力を低減するためにサンプリング時間を長くしたりデータ長を短くしたりして温度測定データを粗くする制御も行う。
[生体の深部温度の測定原理:図5]
次に、図5を用いて本生体の深部温度測定装置1を用いた生体の深部温度の測定原理について説明する。図5は、図3(b)に示すように温度測定部2の左第1温度センサ211と右第1温度センサ221が皮膚に接触したときの状態(熱的構造)を説明する図である。
図5において、左第1温度センサ211と左第2温度センサ213で測定される温度をTt1、Ta1とし、右第1温度センサ221と右第2温度センサ223で測定される温度をTt2、Ta2とし、第1温度測定部21および第2温度測定部22の断熱材の熱抵抗値をRa1、Ra2とし、深部温度(深部体温)をTb、皮下組織抵抗値をRt、大気温度をTaとする。電気回路相似法によれば、図5より、下記の式(1)と式(2)が成り立つ。
Tb=Ta1+((Rt+Ra1)/Ra1)・(Tt1−Ta1) (1)
Tb=Ta2+((Rt+Ra2)/Ra2)・(Tt2−Ta2) (2)
ここで、式(1)、(2)の特別な場合について説明すると、Ra1≫Rt、Ra2≫Rtの場合には、(Rt+Ra1)/Ra1≒1、(Rt+Ra2)/Ra2≒1となり、式(1)(2)はTb≒Tt1、Tb≒Tt2となる。このことは、断熱材の熱抵抗値が皮下組織抵抗値に比べて十分に大きい理想状態では、体表面のTtを測れば、皮下組織抵抗値に拘わらず、深部温度Tbを測定できることを意味している。この考えは、加熱機構付き深部体温計の考えである。
一方、式(1)と式(2)において、皮下組織抵抗値Rtは、個人差・身体部位により異なり定まらない。また通常は、皮下組織抵抗値を測定することは不可能である。そこで、以下のように式(1)と式(2)において未知数Rtを求め、次に、Rtを削除して未知数Tbを求めることにする。
Tb・Ra1・Ra2=Ta1・Ra1・Ra2+(Rt+Ra1)・(Tt1−Ta1)・Ra2=Ta2・Ra1・Ra2+(Rt+Ra2)・(Tt2−Ta2)・Ra1
従って、Rtは(3)式で与えられる。
Rt=(Tt1−Tt2)・Ra1・Ra2/((Tt2−Ta2)・Ra1−(Tt1−Ta1)・Ra2)・・・(3)
そこで、求めたRtを(2)式に代入するとTbが下記の(4)で求まる。
Tb=(Tt1・(Tt2−Ta2)・Ra1−Tt2・(Tt1−Ta1)・Ra2)/((Tt2−Ta2)・Ra1−(Tt1−Ta1)・Ra2)・・・(4)
式(4)において、Ra1、Ra2は既知であるので、4つの温度(Tt1、Tt2、Ta1、Ta2)が確定すれば、一義的にTbが確定する。また、血管、脂肪、骨がない皮下組織の熱抵抗率は、一般的に2×103cm・sec・℃/calであるので、4つの温度(Tt1、Tt2、Ta1、Ta2)を確定する条件として、式(3)を用いて、Rtを確定することができる。このようにして、生体の深部温度Tbを式(4)で算出することができる。
[生体の深部温度の測定時間の短縮]
上記説明したように、深部温度(深部体温)Tbは、4つの温度(Tt1、Tt2、Ta1、Ta2)が確定すれば、式(4)を用いて算出することができる。ここで、左第1温度センサ211、右1温度センサ22を皮膚に接触させるとTt1、Tt2の温度上昇が始まるが、式(4)で生体の深部温度Tbを精度良く算出するためには新たに皮膚温度が熱平衡状態になるまでそれなりの時間が必要である。この熱平衡状態になるまでの時間は、温度測定部の熱量、即ち断熱材の材質および厚み、あるいは検温身体部位に依存するが、通常、数分から十数分かかる。図6はその状況を示している。
図6に示すように、実際に測定される温度上昇は、検温身体部位のみの仮想温度上昇と温度センサ(左第1温度センサ211または右第1温度センサ221)のみの仮想温度上昇を合成したものと見なせる。このとき、生体の深部温度測定装置1では、左ガイドリング416(または右ガイドリング426)により測定部の皮膚表面を平面に伸ばし、左第1温度センサ211(または右第1温度センサ221)を平面で安定して皮膚表面に接触させることで、接触時のチャタリングを低減することができる。そのため、腋窩検温や口中検温での温度上昇に比べて、シンプルな温度上昇、より再現性のある単純な上昇を得ることができる。このように、生体の深部温度測定装置1を用いるとシンプルな温度上昇、より再現性のある単純な温度上昇を得ることができる。しかしながら、がそれでもなお検温時間は数分から十数分かかる。
そこで、生体の深部温度測定装置1では、短時間で生体の深部温度Tbを測定するために、測定温度Tt1、Tt2から熱平衡状態にあるTte1、Tte2を求め、求められたTte1、Tte2と測定されたTa1、Ta2を用いて深部温度Tbを算出することにする。そこで、熱平衡状態にあるTte1、Tte2を求めるために、多項式を用いる。式(5)は熱平衡状態にあるTte1を求める多項式であるが、熱平衡状態にあるTte2も(5)式と同様の式を用いて算出される。(5)式において、Δxy=Ty−Txであり、TxとTyは時間x、時間x+Δxでそれぞれ左第1温度センサによって測定された測定温度であり、A、B、C、D、E、Fは定数である。
Tte1=A*Δxy5+B*Δxy4+C*Δxy3+D*Δxy2+E*Δxy+F・・・(5)
ここで、係数A〜Fは実験で得たデータを統計的な処理を行って求めることができる。実験により得られた係数A〜Fのうちで、その値が小さく、省略しても結果に大きな影響を与えない場合は、その係数を削除して(5)式を簡素化してもよい。係数の削除は、プログラムの主及び実行時聞と誤差との得失評価で決定される。
なお、(5)式は一例であり、熱的な構造により、より適切な式があれば、(5)式の代わりに用いることができる。一例を示せば、下記(6)、(7)式を(5)式の代わりに使用することもできる。下式(6)、(7)において、Δxy=Ty−Txであり、TxとTyは時間x、時間x+Δxでそれぞれ左第1温度センサによって測定された測定温度であり、A、B、C、D、T0、μは定数である。
Tte1=(A*Ty+B)*Δxy+(C*Ty+D)・・・(6)
Tte1=(A*Ty−T0)*μ+Ty・・・(7)
(5)式において、Tte1を確定するタイミングは、測定値Tx、Tyを用いて算出されたTte1が安定したと判断した時点のTxの測定時刻である。算出されたTte1の差分が所定値以下になった最初のタイミングで、式(5)の計算を終了する。これにより安定した左第1温度センサ211(または右第1温度センサ213)と皮膚との接触、シンプルな温度上昇、及び式(5)の係数や安定判定条件の設定により、数秒(5秒以内)での計測が可能になる。
Tte1とTte2が確定したら、Tte1とTte2が確定した時点でのTa1とTa2の測定値を用いて、式(4)により深部温度Tbを求める。これは、Tte1とTte2に比べてTa1とTa2の温度変位が小さいためTa1とTa2の測定値を用いても算出されるTbの誤差は小さいからである。なお、Tte1とTte2が確定する時点まではTbを算出して深部温度を表示できないので、その算出途中の場合には、検温中であることを表示部に表示する。
[生体の深部温度の測定に及ぼす環境温度の影響の低減]
上記説明したように、本生体の深部温度測定装置1によれば、短時間で生体の深部温度を測定するために、測定された温度Tt1、Tt2から熱平衡状態にあるTte1、Tte2を求めることで短時間に生体の深部温度Tbを測定することが可能である。しかしながら、左右の第2温度センサ213、223で測定されるTa1、Ta2は外気温Taの影響を受けて変動することが予想される。Ta1、Ta2が変動すると(4)式より深部温度予測値もまた変動する。
そこで、本生体の深部温度測定装置1では、外気温Taの影響を極力低減するため図2に示すように左右の第2温度センサ213、223が外気温に直接接触しないように左右の保護壁410、420で遮断された左右のバックキャビティ411,421内に各構成要素を保持する構造とした。さらに、左右の保護壁410、420を一体化することで、左右のバックキャビティ411、421を一体化して、バックキャビティ内の温度(環境温度)を同じにしている。さらに、本生体の深部温度測定装置1では、左右の第2温度センサ213、223をそれぞれ左右の温度安定材414、424に埋め込む構造とした。ここで、左右の温度安定材414、424は、左右の断熱材412、422よりも熱容量が大きいものを使用する。そのため、外気温が変動しても左右の第2温度センサ213、223で測定されるTa1、Ta2の変動をさらに低減することができる。
なお、外気温の変動が小さい場所で使用する場合など左右の温度安定材414、424が無くてもTa1、Ta2の変動が小さい場合には左右の温度安定材414、424を省略することも可能である。一方、測定環境によっては、測定されたTa1、Ta2が安定していない場合やTa1とTa2の差が所定値以上となる場合も考えられる。このような場合には、(4)式で算出される生体の深部温度は、環境温度の影響を大きく受けるので適切でないと考えられる。そこで、このような場合には、計測開始時期を延期したり、計測を中止したりするなどの処理を行うようにすることで環境温度の影響を低減することができる。
なお、本生体の深部温度測定装置の検温身体部位としては、深部温度の測定に適した部位であればどこでもよい。例えば、こめかみ付近(側頭動脈に近い)、耳たぶの後ろ付近(頸動脈に近い)、胸部(心臓に近い)など挙げられる。
[生体の深部温度の算出処理:図7]
次に、図7を用いて上記説明した生体の深部温度測定装置1を用いた生体の深部温度の算出処理の流れについて説明する。図7の処理は、本体部3の制御部357がROM359に格納された制御プログラムに基づいて各部を制御しながら行う処理である。
ステップS701において、制御部357は生体の深部温度の測定を開始するか否かを判別する。すなわち、制御部357は表示部360に表示が無いことを検知すると待機状態にあると判別して待機し、状態変更スイッチ361が押下されてスイッチがオンとなったことを検知すると、スリープ(節電)モードから動作モードに移行してからステップS702に進む。
ステップS702では、左第2温度センサ213及び右第2温度センサ223の温度Ta1、Ta2を測定してからステップS703に進む。ステップS703では、測定温度Ta1、Ta2から環境温度Taが生体の深部温度の測定に適した検温可能範囲に入っているか否かを判別する。合わせて電源部363の電池の電圧低下の有無を判別する。
ステップS703において、電池の電圧低下が確認された場合にはステップS712に進み、表示部にその旨を表示して計測を中止し、ステップS713に進み、自動表示消灯を行ってからステップS701に戻る。また、ステップS703において、測定された温度から環境温度が検温可能範囲外であると判断された場合には、ステップS712において検温可能範囲外の表示を行う。その後、一定時間その旨を表示した後、ステップS713に進み、自動表示消灯を行ってからステップS701に戻る。
一方、ステップS703において、測定された温度Ta1、Ta2から環境温度Taが検温可能範囲内であると判断された場合には、ステップS704に進み、表示部に検温可能を告知してからステップS705に進む。ステップS705では、環境温度が検温可能範囲内であるか否かの監視を継続するとともに計測開始の判定を行う。すなわち、制御部357は、常時、測定開始を示すスイッチ214とスイッチ224がオンとなるか否かを監視して、左ガイドリング416と右ガイドリング426の移動(すなわち、測定開始)を監視する。そして、ステップS705において、2つのスイッチ214、224が所定時間内(ほば同時)にオンとなったと判断された場合には、制御部357は測定開始と判定してステップS706に進む。一方、所定時間内(ほぼ同時)に押されなかったと判断した場合は、「計測開始不良」を示唆するためステップS705の計測開始判定を継続して続ける。
次に、ステップS706では、4つの温度センサと2つの基準抵抗値の測定を行う。すなわち、左右の第1温度センサ211、221、左右の第2温度センサ213、223で測定される温度Tt1、Tt2、Ta1、Ta2及び第1基準抵抗値351、第2基準抵抗値352を測定する。
次に、ステップS707に進み、計測継続判定を行う。すなわち、ステップS707では、制御部357は、左右の第1温度センサ211、221が生体表面に正確に接触していることを確認した場合に計測継続の判定を行う。すなわち、制御部357は、左第1温度センサ211と右第1温度センサ221のうちの少なくとも1つが皮膚表面と接触しなくなることを判別する。測定が継続できないとの判別は、左第2温度センサ213の温度Ta1と右第2温度センサ223の温度Ta2が所定値の変動幅を超えたか否かで判別する。あるいはその差(Ta1−Ta2)が所定値を超えた場合で判別してもよい。また、制御部357は、左右のガイドリング416、426が移動してスイッチ214、スイッチ224がオン状態からオフ状態に変化した場合に計測が継続できないと判別してもよい。
ステップS707において、計測が継続できないと判別された場合には、ステップS714に進み、計測中断エラーを表示する。その後、一定時間その旨を表示してからステップS715に進み、自動表示消灯を行ってから、ステップS701に戻る。
一方、ステップS707において、計測継続が可能であると判別された場合にはステップS708に進み、第1温度センサの温度上昇から熱平衡状態における第1予測温度を予測し、第2温度センサの温度上昇から熱平衡状態での第2予測温度を予測し、予測された第1予測温度と第2予測温度とを用いて生体の深部温度を算出する。次にステップS709に進み、計算結果から計算終了の判定を行う。ステップS709において、計算の継続が必要と判断した場合にはステップS706に戻って、上記説明したステップS706〜ステップS709の計測処理を継続する。なお、計測開始から計算終了までの間は、深部温度が計算できていないため表示部360に深部温度を表示できないので、制御部357はこの期間の間は表示部に例えば「計測中」の表示や時間待ちの絵などを表示させるように制御する。
一方、ステップS709において、計算終了と判断した場合には、ステップS710に進み温度測定データ組の時系列データを用いて深部温度を計算し、表示部(LCD)360に体温を表示する。このとき、ブザー音などで深部温度が算出されたことを合わせて知らせてもよい。
次に、ステップS711に進み、表示を継続しながら表示継続の判別を行う。ステップS711において表示継続が不要な場合とは、表示が一定時間を経過した場合あるいは状態変更スイッチ361が押された場合である。このような場合には、表示部360を消灯してからステップS701に戻る。
上記説明したように、本発明の深部温度測定装置は好適な実施例に基づいて例示的に説明されたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の精神と範囲から逸脱しない範囲で、本発明の原理に基づく多くの変形が可能である。
本発明の生体の深部温度測定装置の一例を示す外観図である。 温度測定部の断面図である。 温度測定部を用いる生体の深部温度の測定動作を説明する図である。 本発明の生体の深部温度測定装置の制御構成の一例を説明する図である。 本発明の生体の深部温度測定装置による生体の深部温度の測定方法を説明する図である。 本発明の生体の深部温度測定装置の第1温度センサの温度上昇曲線の一例を示す図である。 本発明の生体の深部温度測定装置による生体の深部温度の測定の流れを説明する図である。 従来の耳赤外線体温計の構成の一例を示す図である。 従来の電子体温計の構成の一例を示す図である。 測温部における測定温度上昇から熱平衡状態温度の予測値を説明する図である。 加熱型の深部体温計における熱流補償を説明する1次元モデルのイメージ図である。 加熱型の深部体温計の構成の一例を示す図である。
符号の説明
1 生体の深部温度測定装置
2 温度計測部
3 本体部
5 保持部
21 左温度計測部
22 右温度計測部
211 左第1温度センサ
221 右第1温度センサ
213 左第2温度センサ
223 右第2温度センサ
214 スイッチ
224 スイッチ
351 第1基準抵抗
352 第2基準抵抗
355 入力切換部
356 A/D変換部
357 制御部
358 RAM
359 ROM
360 表示部
361 状態変更スイッチ
362 送信部
412 左断熱材
422 右断熱材
414 左温度安定材
424 右温度安定材
416 左ガイドリング
426 右ガイドリング
417 第1スプリング
418 第2スプリング
419 左パイプ
429 右パイプ
411 左バックキャビティ
421 右バックキャビティ

Claims (8)

  1. 生体の深部温度を測定する深部温度測定装置であって、
    第1断熱材と、
    生体の皮膚表面と接触する前記第1断熱材の第1の表面に配置された第1温度センサと、
    前記第1の表面と対向する前記第1断熱材の第2の表面に配置された第2温度センサと、
    前記第1断熱材と異なる熱抵抗値を有する第2断熱材と、
    生体の皮膚表面と接触する前記第2断熱材の第3の表面に配置された第3温度センサと、
    前記第3の表面と対向する前記第2断熱材の第4の表面に配置された第4温度センサと、
    前記第1温度センサの測定開始後の測定温度の上昇から、該第1温度センサの熱平衡状態における測定温度を第1予測温度として予測し、前記第3温度センサの測定開始後の測定温度の上昇から、該第3温度センサの熱平衡状態における測定温度を第2予測温度として予測する予測手段と、
    前記予測手段で予測された前記第1予測温度と前記第2予測温度とを用いて、前記生体の深部温度を算出する深部温度算出手段と、
    を備えることを特徴とする生体の深部温度測定装置。
  2. 前記予測手段は、予め設定されている予測式を用いて前記第1予測温度と、前記第2予測温度とを算出することを特徴とする請求項1に記載の生体の深部温度測定装置。
  3. 前記深部温度算出手段は、前記予測手段で予測された前記第1予測温度及び第2予測温度と、前記第2温度センサで測定された第1測定温度及び前記第4温度センサで測定された第2測定温度とを用いて、前記生体の深部温度を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生体の深部温度測定装置。
  4. 前記深部温度測定装置は遮蔽体で覆われ、前記生体の皮膚表面と接触する面を除いて外部環境温度から遮蔽されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生体の深部温度測定装置。
  5. 前記1断熱材の前記第2の表面に接触して配置された第1熱安定材と、
    前記2断熱材の前記第4の表面に接触して配置された第2熱安定材と
    を更に備え、
    前記第1熱安定材と前記第2熱安定材とは、前記第1断熱材および前記第2断熱材よりも熱容量が大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体の深部温度測定装置。
  6. 少なくとも前記第1断熱材、第1温度センサ及び前記第2温度センサを内包し、前記第1の表面に直交する第1の方向において、前記第1の表面よりも前記深部温度測定装置の外側に突出する第1のガイドリングと、
    前記第1ガイドリングと接続され、前記第1のガイドリングに対し前記第1の方向に弾性力を与える第1スプリングと、
    前記第1ガイドリングと接続され、前記第1ガイドリングが前記第1の方向に押圧されて前記深部温度測定装置の内部へ移動したことを検知する第1スイッチと、
    少なくとも前記第2断熱材、第3温度センサ及び前記第4温度センサを内包し、前記第2の表面に直交する第2の方向において、前記第2の表面よりも前記深部温度測定装置の外側に突出する第2のガイドリングと、
    前記第2ガイドリングと接続され、前記第2のガイドリングに対し前記第2の方向に弾性力を与える第2スプリングと、
    前記第2ガイドリングと接続され、前記第2ガイドリングが前記第2の方向に押圧されて前記深部温度測定装置の内部へ移動したことを検知する第2スイッチと
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の生体の深部温度測定装置。
  7. 前記第1の表面と前記第2の表面とが同一平面上に位置することを特徴とする請求項6に記載の生体の深部温度測定装置。
  8. 少なくとも前記第1断熱材、第1温度センサ及び前記第2温度センサに対し、前記第1の方向に弾性力を与える第3スプリングと、
    少なくとも前記第2断熱材、第3温度センサ及び前記第4温度センサに対し、前記第2の方向に弾性力を与える第4スプリングと
    をさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の生体の深部温度測定装置。
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