JP2009221603A - 球状チタン合金粉末の製造方法 - Google Patents
球状チタン合金粉末の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009221603A JP2009221603A JP2009035560A JP2009035560A JP2009221603A JP 2009221603 A JP2009221603 A JP 2009221603A JP 2009035560 A JP2009035560 A JP 2009035560A JP 2009035560 A JP2009035560 A JP 2009035560A JP 2009221603 A JP2009221603 A JP 2009221603A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- titanium alloy
- powder
- alloy powder
- titanium
- pulverized
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】 チタン合金のスクラップを球状粉末に再生するにあたって、大きな成分変動を生じさせず効率的に行う球状チタン合金粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】 チタンよりも低融点の金属元素を含有する球状チタン合金粉末の製造方法であって、チタンよりも低融点の金属元素を含有するチタン合金を水素雰囲気中で加熱処理を施し水素脆化させる工程と、水素脆化させたチタン合金を粉砕して粉砕チタン合金粉末を作製する工程と、該粉砕チタン合金粉末を粉末供給速度X(g/h)で、Y(kW)の出力で発生させたRF熱プラズマ炎にX/Y≧25の条件で通過させて球状化処理を行う工程とを有する球状チタン合金粉末の製造方法である。
【選択図】 図1
【解決手段】 チタンよりも低融点の金属元素を含有する球状チタン合金粉末の製造方法であって、チタンよりも低融点の金属元素を含有するチタン合金を水素雰囲気中で加熱処理を施し水素脆化させる工程と、水素脆化させたチタン合金を粉砕して粉砕チタン合金粉末を作製する工程と、該粉砕チタン合金粉末を粉末供給速度X(g/h)で、Y(kW)の出力で発生させたRF熱プラズマ炎にX/Y≧25の条件で通過させて球状化処理を行う工程とを有する球状チタン合金粉末の製造方法である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、球状チタン合金粉末の製造方法に関するものである。
チタンおよびチタン合金は、比重が小さく、強度が高く、靭性が高いとともに耐食性に優れるため、宇宙航空機、自動車部品等に幅広く使用されるようになってきている。これらの材料は、製造工程で加工残材や機械加工屑が発生するが、一部は鉄鋼材料への添加用原料として再利用されるものの、大半は廃棄物として処理されており、特に他組成を含有するチタン合金の再利用は困難であるのが現状である。
金属資源を持たない我が国において、これらの二次資源の有効利用は至上命題であり、とりわけ、需要量に対して供給量が追いついていないチタンやチタン合金においては、一度精錬された材料を再度溶解することなく、再生処理するための研究が盛んに行われている。
再生処理の方法としては、チタンやチタン合金を水素吸蔵により脆化させて粉砕した後に脱水素処理を施すか、あるいはチタンやチタン合金を薄く加工した後に振動ミル等の機械的加工によって粉末化する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
再生処理の方法としては、チタンやチタン合金を水素吸蔵により脆化させて粉砕した後に脱水素処理を施すか、あるいはチタンやチタン合金を薄く加工した後に振動ミル等の機械的加工によって粉末化する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、本出願人は、チタンの再生処理方法として、チタンを含む4a族から選ばれる金属材料を水素脆化させた後に粉砕した粉末を、熱プラズマ炎で処理して脱水素と酸化還元と球状化を同時に行う金属粉末の製造方法を金属材料の再生方法として提案している(特許文献2参照)。
チタン合金の再生にあたっては、金属粉末射出成形や粉末焼結用の原料粉末、また溶射原料やショットブラスト用粉末として再生利用用途が考えられている。これらの用途に関しては、射出成形や粉末充填の際に粉末自身に流動性を確保するために球状化する必要がある。
特許文献1等には、チタン合金を粉末に再生する方法が開示されているが、開示される粉末は、粉砕したままの形状であり粉末としての流動性が低いため、金属粉末射出成形用途や粉末焼結等の粉末流動性が要求される用途へ直接適用することが困難である。
また、特許文献2には、金属材料のスクラップを球状金属粉末へ再生する方法として大変有効な方法である。しかしながら、チタンに添加元素を含むチタン合金、特にチタンよりも低融点の金属元素を含有するチタン合金においては、低融点の金属元素の一部が熱プラズマ炎の高温部を通過する際に蒸発してしまい、低融点の金属元素の含有量が熱プラズマ処理前の成分比率と大きく乖離し、再生前とほぼ同一の組成を有するチタン合金の再生には、なお課題を有している。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、チタン合金のスクラップを球状粉末に再生するにあたって、大きな成分変動を生じさせず効率的に行う球状チタン合金粉末の製造方法を提供することにある。
特許文献1等には、チタン合金を粉末に再生する方法が開示されているが、開示される粉末は、粉砕したままの形状であり粉末としての流動性が低いため、金属粉末射出成形用途や粉末焼結等の粉末流動性が要求される用途へ直接適用することが困難である。
また、特許文献2には、金属材料のスクラップを球状金属粉末へ再生する方法として大変有効な方法である。しかしながら、チタンに添加元素を含むチタン合金、特にチタンよりも低融点の金属元素を含有するチタン合金においては、低融点の金属元素の一部が熱プラズマ炎の高温部を通過する際に蒸発してしまい、低融点の金属元素の含有量が熱プラズマ処理前の成分比率と大きく乖離し、再生前とほぼ同一の組成を有するチタン合金の再生には、なお課題を有している。
本発明の目的は、上記の課題を解決し、チタン合金のスクラップを球状粉末に再生するにあたって、大きな成分変動を生じさせず効率的に行う球状チタン合金粉末の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記の問題を鋭意検討した結果、チタンよりも低融点の金属元素を含有するチタン合金の球状粉末の再生に関しては、熱プラズマ炎を通過させる球状化処理において、熱プラズマ炎の出力と処理粉末の供給速度を制御することで、低融点の金属元素の蒸発を抑制可能であることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、チタンよりも低融点の金属元素を含有する球状チタン合金粉末の製造方法であって、
(1)チタンよりも低融点の金属元素を含有するチタン合金を水素雰囲気中で加熱処理を施し水素脆化させる工程と、
(2)水素脆化させたチタン合金を粉砕して粉砕チタン合金粉末を作製する工程と、
(3)該粉砕チタン合金粉末を粉末供給速度X(g/h)で、Y(kW)の出力で発生させたRF熱プラズマ炎にX/Y≧25の条件で通過させて球状化処理を行う工程と、
を有する球状チタン合金粉末の製造方法である。
また、(2)工程の後で粉砕チタン合金粉末を脱水素処理した後に(3)工程を行うことが好ましい。
また、前記粉砕チタン合金粉末は、最大粒子径300μm以下、かつ10%累積粒子径(D10)が5μm以上の粒度分布を有することが好ましい。
(1)チタンよりも低融点の金属元素を含有するチタン合金を水素雰囲気中で加熱処理を施し水素脆化させる工程と、
(2)水素脆化させたチタン合金を粉砕して粉砕チタン合金粉末を作製する工程と、
(3)該粉砕チタン合金粉末を粉末供給速度X(g/h)で、Y(kW)の出力で発生させたRF熱プラズマ炎にX/Y≧25の条件で通過させて球状化処理を行う工程と、
を有する球状チタン合金粉末の製造方法である。
また、(2)工程の後で粉砕チタン合金粉末を脱水素処理した後に(3)工程を行うことが好ましい。
また、前記粉砕チタン合金粉末は、最大粒子径300μm以下、かつ10%累積粒子径(D10)が5μm以上の粒度分布を有することが好ましい。
本発明によれば、低融点の金属元素を含有するチタン合金を、効率的に球状粉末に再生することが可能となるので、金属粉末射出成形や粉末焼結等に供される球状チタン合金粉末の製造方法として欠くことのできない技術となる。
本発明の球状チタン合金粉末の製造方法の特徴は、熱プラズマ炎の出力と処理粉末の供給速度を制御することで、チタン合金に含有する低融点の金属元素の蒸発減少を抑制することが可能となる点にある。
以下、本発明を工程毎に説明する。
以下、本発明を工程毎に説明する。
まず、チタンよりも低融点の金属元素を含有するチタン合金を水素雰囲気中で加熱処理を施し水素脆化させる。
チタンは、水素との親和力が強いため水素雰囲気中で加熱処理を施すことによって容易に水素を吸蔵させることができ脆化させることが可能である。具体的には、大気圧または大気圧以上に加圧した水素雰囲気中でチタン合金を加熱処理することが望ましい。なお、加熱処理の温度条件は、処理対象のチタン合金の組成によって異なるが、好ましくは、各チタン合金の合金組成で定められたβ変態温度以上とすることが望ましい。
チタンは、水素との親和力が強いため水素雰囲気中で加熱処理を施すことによって容易に水素を吸蔵させることができ脆化させることが可能である。具体的には、大気圧または大気圧以上に加圧した水素雰囲気中でチタン合金を加熱処理することが望ましい。なお、加熱処理の温度条件は、処理対象のチタン合金の組成によって異なるが、好ましくは、各チタン合金の合金組成で定められたβ変態温度以上とすることが望ましい。
また、本発明で用いるチタン合金は、チタンよりも低融点の金属元素を含むものである。それは、チタンよりも低融点の金属元素を含有するチタン合金においては、後述するRF熱プラズマ炎に通過させて球状化処理を行う際に、RF熱プラズマ炎の高温部に曝されて、少なくとも粉末の表面部が溶融する際にチタン合金中の低融点の金属元素が蒸発滅失しやすいためである。低融点金属元素の含有量の下限は、RF熱プラズマ炎中での蒸発の影響が現れる1質量%以上であることが好ましい。なお、低融点の金属元素の含有量の上限は、35質量%であることが望ましい。それは、含有量が35質量%を超える場合には、RFプラズマ炎による球状化処理中に低融点金属の蒸発量が増大し、蒸発した低融点金属が酸化物を形成し球状粉末表面に付着し、粉末焼結用原料とした場合の焼結性を阻害するためである。また、チタンよりも低融点の金属元素としては、チタン合金用の添加元素として一般的に適用されているアルミニウムあるいは錫等が挙げられる。
次に、水素脆化させたチタン合金を粉砕して粉砕チタン合金粉末を作製する。チタン合金は、強度や靭性が高いため機械的な粉砕が困難であるが、水素脆化させることで、非常に脆弱な素材となり、容易に粉砕が可能となる。水素脆化させたチタン合金の粉砕方法としては、衝撃、摩滅、せん断、圧縮などの機械的粉砕方法で、容易に粉砕可能で粉末とすることが可能である。特に、粉砕中の汚染や酸化を防止するために容器内をAr等の不活性ガスで置換し、工具にはチタン系材料を被覆したものを用いるのが望ましい。なお、粉砕装置としては、例えばジョークラッシャー、インパクトミル、ロッドミル、ボールミル、振動ミル、ジェットミルなどが挙げられる。
また、粉砕チタン合金粉末は、必要に応じて真空中において脱水素処理を行うことも可能である。なお、脱水素処理は、水素を含有した粉砕チタン合金粉末から水素の放出が進行し、かつ焼結現象を軽減できる400〜600℃の加熱処理で実施することが望ましい。また、脱水素処理の雰囲気は、Arガスなどの不活性ガスで置換をした後、10−1Pa以下に減圧した雰囲気で制御することが、効率的な脱水素と加熱処理中の粉末酸化を抑制することができるため好ましい。また、RF熱プラズマ処理工程においても水素の放出が進行するため、脱水素処理後の粉砕チタン合金粉末中の水素含有量は10000ppm以下であれば良い。
また、RF熱プラズマ炎により球状化処理を行う粉砕チタン合金粉末は、粒径が大き過ぎると後述するRF熱プラズマ炎を通過させて球状化処理する際に、球状化するための十分な溶融が困難となるので、300μm以下に調整するのが望ましい。また、5μm以下の粉末微粒子が多く含まれている場合、単位体積あたりの比表面積が大きくなるのでRF熱プラズマ炎中での処理において低融点の金属元素の蒸発が増加するため10%累積粒子径(D10)が5μm以上の粒度分布に制御することが望ましい。
続いて、粉砕チタン合金粉末を粉末供給速度X(g/h)で、Y(kW)の出力で発生させたRF熱プラズマ炎にX/Y≧25の条件でRF熱プラズマ炎に通過させて球状化処理を行う。
RF熱プラズマ炎では、5000〜20000K程度の高温部を形成することが可能である。よって、粉砕チタン合金粉末をRF熱プラズマ炎に通過させることで、粉砕チタン合金粉末が、高温部に曝され、少なくとも粉末の表面部が瞬時に溶融される。そして、RF熱プラズマ炎を通過した後は、表面張力により球状に凝固した粉末状態で回収される。
RF熱プラズマ炎では、5000〜20000K程度の高温部を形成することが可能である。よって、粉砕チタン合金粉末をRF熱プラズマ炎に通過させることで、粉砕チタン合金粉末が、高温部に曝され、少なくとも粉末の表面部が瞬時に溶融される。そして、RF熱プラズマ炎を通過した後は、表面張力により球状に凝固した粉末状態で回収される。
なお、本発明においては、粉末供給速度X(g/h)とRF熱プラズマ炎を発生させる出力Y(kW)とがX/Y≧25となる処理条件で球状化処理する。それは、RF熱プラズマ炎は出力を大きくすることで熱量が大きくなり、粉末供給速度は速度を上げることで処理粉末の単位量あたりに働くRFプラズマ炎の熱量が低下する関係にあるため、粉末供給速度とRFプラズマ炎を発生させる出力の比を制御することでチタン合金中の低融点の金属元素の蒸発量を抑制することが可能となるためである。RFプラズマ炎による処理条件がX/Y<25となる場合は、プラズマ中を通過する各々の粉末粒子への働く熱量が大きくなるため、チタン系材料中の低融点金属元素の蒸発量が多くなり、所望組成の球状チタン合金粉末を作製することが困難となる。
なお、RF熱プラズマ炎による球状化処理においては、チタン合金中の低融点金属元素の蒸発量は、処理前のチタン合金に含有される低融点金属元素の15%以内に抑制することが望ましい。
なお、RF熱プラズマ炎による球状化処理においては、チタン合金中の低融点金属元素の蒸発量は、処理前のチタン合金に含有される低融点金属元素の15%以内に抑制することが望ましい。
また、RF熱プラズマ炎は、例えば、図1に示すRF熱プラズマ装置で発生させるものである。RF熱プラズマ炎は、冷却壁1で仕切られたプラズマ発生空間2を有した装置において、冷却壁1の外側に設けた高周波コイル3の軸方向の一方から動作ガスを供給部4から供給し、高周波コイル3に電圧をかけることで発生させる。
また、プラズマの動作ガスとしては、不活性ガスであるHe、Ne、Ar、Kr、Xe、Rnなどの希ガスに加えRFプラズマ炎による球状化処理中での脱水素を防止するためにH2も適用できる。中でも、ArやHeやH2は商業ベースで安価に流通していることから特に望ましい。
また、プラズマの動作ガスとしては、不活性ガスであるHe、Ne、Ar、Kr、Xe、Rnなどの希ガスに加えRFプラズマ炎による球状化処理中での脱水素を防止するためにH2も適用できる。中でも、ArやHeやH2は商業ベースで安価に流通していることから特に望ましい。
以下の実施例で本発明を更に詳しく説明する。
図1はRF熱プラズマ処理装置の一例を示す構成図である。実施例においては、RF熱プラズマ装置には図1に示す構造のものを用いた。本装置は交流熱プラズマ装置である誘導結合型RFプラズマトーチから構成されるもので、冷却壁1で仕切られたプラズマ発生空間2を有し、その外側に設けた高周波コイル3と、高周波コイル3の軸方向の一方から動作ガスを供給する動作ガス供給部4と、高周波コイルの内側に発生させた熱プラズマ炎5中にキャリアガスとともに粉末原料を供給する粉末供給ノズル6と、プラズマ炎の下流側に設けたチャンバー7と、チャンバーからの排気を行う排気装置8を具備する粉末の熱プラズマ処理装置である。
図1はRF熱プラズマ処理装置の一例を示す構成図である。実施例においては、RF熱プラズマ装置には図1に示す構造のものを用いた。本装置は交流熱プラズマ装置である誘導結合型RFプラズマトーチから構成されるもので、冷却壁1で仕切られたプラズマ発生空間2を有し、その外側に設けた高周波コイル3と、高周波コイル3の軸方向の一方から動作ガスを供給する動作ガス供給部4と、高周波コイルの内側に発生させた熱プラズマ炎5中にキャリアガスとともに粉末原料を供給する粉末供給ノズル6と、プラズマ炎の下流側に設けたチャンバー7と、チャンバーからの排気を行う排気装置8を具備する粉末の熱プラズマ処理装置である。
この装置はφ50mmの円筒形のプラズマ発生空間を有しており、処理時のプラズマ動作条件は最大出力30kW、動作ガスとして不活性ガスのArガスを合計60L/min(nor)、Heガスを合計10L/min(nor)、キャリアガスとして不活性ガスのArガス7L/min(nor)の設定とした。
本実施例においては、チタンよりも低融点の金属元素を含有する典型的なチタン合金であるTi−6Al−4V(質量%)の加工残材を原料とした。まず、チタン合金の加工残材の表面酸化層を旋盤等で除去後、エタノールで表面を洗浄したのち乾燥させた。次に、このチタン合金の残材を熱処理炉へ入れ、炉内の水素圧力を0.1MPaとし、1000℃で3時間保持する水素雰囲気中での加熱処理を行ったところ、著しく脆化し、自己粉砕により一部細片化していた。
次にこの水素脆化させたチタン合金をジョークラッシャーにより粒径2mm以下へ粗粉砕した後、ジェットミルを用いて微粉砕を行った。その後、325メッシュ(45μm)の篩により分級し、粒径45μm以下、D10が6μmの粉砕チタン合金粉末を作製した。この粉砕チタン合金粉末を上記の熱プラズマ装置を使用して、粉末供給速度X(g/h)とRF熱プラズマ出力Y(kW)の条件を表1に示す各条件においてRF熱プラズマ炎に通過させる処理を行った。
次にこの水素脆化させたチタン合金をジョークラッシャーにより粒径2mm以下へ粗粉砕した後、ジェットミルを用いて微粉砕を行った。その後、325メッシュ(45μm)の篩により分級し、粒径45μm以下、D10が6μmの粉砕チタン合金粉末を作製した。この粉砕チタン合金粉末を上記の熱プラズマ装置を使用して、粉末供給速度X(g/h)とRF熱プラズマ出力Y(kW)の条件を表1に示す各条件においてRF熱プラズマ炎に通過させる処理を行った。
表1に示す各条件でRF熱プラズマ炎による処理を行った球状チタン合金粉末の酸素、水素含有量を不活性ガス融解熱伝導度法により、AlおよびVの含有量を誘導結合プラズマ発光分析により分析した。また、低融点金属元素であるAlの蒸発量を(処理前Al量−処理後Al量)/(処理前Al量)×100で示すAl低減率で算出した。以上の結果を表1に示す。表1より、いずれの条件においてもチタン合金に含まれるAlの蒸発によってAl含有量の低減が確認されたがX/Yが25を上回るRF熱プラズマ処理条件においては、低融点金属元素のAlの蒸発が抑制され、処理前のチタン合金に含有されるAl量の15%以内に蒸発量を抑制することが可能となった。
また、RF熱プラズマ処理を行う前の未処理粉末である粉砕チタン合金粉末の走査型電子顕微鏡写真を図2に、RF熱プラズマ処理を行った後の球状チタン合金粉末の代表例としてNo.3の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。図3からは、本発明により球状チタン合金粉末が得られることが分かる。
また、RF熱プラズマ処理を行う前の未処理粉末である粉砕チタン合金粉末の走査型電子顕微鏡写真を図2に、RF熱プラズマ処理を行った後の球状チタン合金粉末の代表例としてNo.3の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。図3からは、本発明により球状チタン合金粉末が得られることが分かる。
実施例1と同様にTi−6Al−4V(質量%)組成のチタン合金の加工残材の表面酸化層を旋盤等で除去後、エタノールで表面を洗浄したのち乾燥させた。次に、このチタン合金の残材を熱処理炉へ入れ、炉内の水素圧力を0.1MPaとし、1000℃で3時間保持する水素雰囲気中での加熱処理を行った。
次にこの水素脆化させたチタン合金をジョークラッシャーにより粒径2mm以下へ粗粉砕した後、ジェットミルを用いて微粉砕を行った。その後、この微粉砕した粉末を熱処理炉へ入れ、真空雰囲気中で、550℃で1時間保持する加熱処理を施して脱水素処理を行なった。なお、真空雰囲気は、Arガスで熱処理炉内を置換した後、10−1Pa以下に減圧した雰囲気とした。
次にこの水素脆化させたチタン合金をジョークラッシャーにより粒径2mm以下へ粗粉砕した後、ジェットミルを用いて微粉砕を行った。その後、この微粉砕した粉末を熱処理炉へ入れ、真空雰囲気中で、550℃で1時間保持する加熱処理を施して脱水素処理を行なった。なお、真空雰囲気は、Arガスで熱処理炉内を置換した後、10−1Pa以下に減圧した雰囲気とした。
上記で脱水素処理した粉末を150メッシュ(106μm)の篩により分級し、粒径106μm以下、D10が15μmの粉砕チタン合金粉末を作製した。この粉砕チタン合金粉末を実施例1と同様の熱プラズマ装置を使用して、粉末供給速度X(g/h)とRF熱プラズマ出力Y(kW)の条件を表2に示す各条件としてRF熱プラズマ炎に通過させる処理を行った。
各条件でRF熱プラズマ炎による処理を行った球状チタン合金粉末、脱水素処理前の粉末および脱水素処理後の粉末のそれぞれについて、酸素、水素含有量を不活性ガス融解熱伝導度法により、AlおよびVの含有量を誘導結合プラズマ発光分析により分析した。また、低融点金属元素であるAlの蒸発量を(処理前Al量−処理後Al量)/(処理前Al量)×100で示すAl低減率で算出した。以上の結果を表2に示す。
表2から、X/Yが25を上回るRF熱プラズマ処理条件においては、低融点金属元素のAlの蒸発が抑制されると同時に、RF熱プラズマ炎による処理の前に脱水素処理を行なうことで水素を効率的に低減できることが分かる。
表2から、X/Yが25を上回るRF熱プラズマ処理条件においては、低融点金属元素のAlの蒸発が抑制されると同時に、RF熱プラズマ炎による処理の前に脱水素処理を行なうことで水素を効率的に低減できることが分かる。
1.冷却壁
2.プラズマ発生空間
3.高周波コイル
4.動作ガス供給部
5.熱プラズマ炎
6.粉末供給ノズル
7.チャンバー
8.排気装置
2.プラズマ発生空間
3.高周波コイル
4.動作ガス供給部
5.熱プラズマ炎
6.粉末供給ノズル
7.チャンバー
8.排気装置
Claims (3)
- チタンよりも低融点の金属元素を含有する球状チタン合金粉末の製造方法であって、
(1)チタンよりも低融点の金属元素を含有するチタン合金を水素雰囲気中で加熱処理を施し水素脆化させる工程と、
(2)水素脆化させたチタン合金を粉砕して粉砕チタン合金粉末を作製する工程と、
(3)該粉砕チタン合金粉末を粉末供給速度X(g/h)で、Y(kW)の出力で発生させたRF熱プラズマ炎にX/Y≧25の条件で通過させて球状化処理を行う工程と、
を有することを特徴とする球状チタン合金粉末の製造方法。 - (2)工程の後で粉砕チタン合金粉末を脱水素処理した後に(3)工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の球状チタン合金粉末の製造方法。
- 前記粉砕チタン合金粉末は、最大粒子径300μm以下、かつ10%累積粒子径(D10)が5μm以上の粒度分布を有することを特徴とする請求項1または2に記載の球状チタン合金粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009035560A JP2009221603A (ja) | 2008-02-20 | 2009-02-18 | 球状チタン合金粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008038479 | 2008-02-20 | ||
JP2009035560A JP2009221603A (ja) | 2008-02-20 | 2009-02-18 | 球状チタン合金粉末の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009221603A true JP2009221603A (ja) | 2009-10-01 |
Family
ID=41238669
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009035560A Pending JP2009221603A (ja) | 2008-02-20 | 2009-02-18 | 球状チタン合金粉末の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009221603A (ja) |
Cited By (17)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011082596A1 (zh) * | 2010-01-05 | 2011-07-14 | 北京科技大学 | 一种微细球形钛粉的短流程制备方法 |
CN103752836A (zh) * | 2014-01-16 | 2014-04-30 | 北京科技大学 | 一种制备细粒径球形铌钛基合金粉末的方法 |
KR101400901B1 (ko) * | 2011-10-20 | 2014-05-29 | 한국기계연구원 | 고온의 열원을 이용한 500 ㎚-10 ㎛ 크기의 구형 분말의 제조방법 |
KR101411429B1 (ko) * | 2012-09-26 | 2014-06-24 | 한국기계연구원 | 구형 티타늄 분말의 제조방법 및 이에 따라 제조된 구형 티타늄 분말 |
KR101421244B1 (ko) * | 2012-09-26 | 2014-07-18 | 한국기계연구원 | 플라즈마 처리를 통한 구형 티타늄 분말의 제조방법 및 이에 따라 제조된 구형 티타늄 분말 |
KR101436498B1 (ko) | 2011-10-20 | 2014-09-01 | 한국기계연구원 | 플라즈마를 이용한 500 ㎚-10 ㎛ 크기의 구형 분말의 제조장치 |
RU2593061C1 (ru) * | 2015-01-20 | 2016-07-27 | Общество с ограниченной ответственностью "НОРМИН" | Способ получения ультрадисперсных порошков титана |
CN107186209A (zh) * | 2017-06-09 | 2017-09-22 | 中国航天空气动力技术研究院 | 用于高温金属粉体球化的高频等离子加热器 |
JP2018090888A (ja) * | 2016-12-07 | 2018-06-14 | 三菱重工航空エンジン株式会社 | TiAl合金体の水素化脱水素化方法及びTiAl合金粉末の製造方法 |
CN108217612A (zh) * | 2018-01-30 | 2018-06-29 | 攀枝花学院 | 制备球形氮化钛粉末的方法及设备 |
WO2019124344A1 (ja) * | 2017-12-18 | 2019-06-27 | 日立金属株式会社 | TiAl金属間化合物粉末の製造方法およびTiAl金属間化合物粉末 |
JP2019112700A (ja) * | 2017-12-26 | 2019-07-11 | 大同特殊鋼株式会社 | 金属粉末材料の製造方法 |
KR20190108413A (ko) * | 2018-03-14 | 2019-09-24 | 한국생산기술연구원 | 체심입방구조 고엔트로피 합금 분말 제조방법 및 그 방법으로 제조된 분말 |
CN111250724A (zh) * | 2018-12-03 | 2020-06-09 | 上海大境海洋新材料有限公司 | 一种球形钛合金粉的生产方法 |
JPWO2019124047A1 (ja) * | 2017-12-18 | 2020-12-17 | 日立金属株式会社 | 球状Ti系粉末およびその製造方法 |
CN112846195A (zh) * | 2021-01-08 | 2021-05-28 | 广东省科学院材料与加工研究所 | 一种增材制造用钛钽合金粉末及其制备方法 |
JP7399878B2 (ja) | 2018-01-18 | 2023-12-18 | ザ・ボーイング・カンパニー | 球状金属粉体混合物及びその製造方法 |
-
2009
- 2009-02-18 JP JP2009035560A patent/JP2009221603A/ja active Pending
Cited By (29)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011082596A1 (zh) * | 2010-01-05 | 2011-07-14 | 北京科技大学 | 一种微细球形钛粉的短流程制备方法 |
KR101436498B1 (ko) | 2011-10-20 | 2014-09-01 | 한국기계연구원 | 플라즈마를 이용한 500 ㎚-10 ㎛ 크기의 구형 분말의 제조장치 |
KR101400901B1 (ko) * | 2011-10-20 | 2014-05-29 | 한국기계연구원 | 고온의 열원을 이용한 500 ㎚-10 ㎛ 크기의 구형 분말의 제조방법 |
KR101411429B1 (ko) * | 2012-09-26 | 2014-06-24 | 한국기계연구원 | 구형 티타늄 분말의 제조방법 및 이에 따라 제조된 구형 티타늄 분말 |
KR101421244B1 (ko) * | 2012-09-26 | 2014-07-18 | 한국기계연구원 | 플라즈마 처리를 통한 구형 티타늄 분말의 제조방법 및 이에 따라 제조된 구형 티타늄 분말 |
CN103752836B (zh) * | 2014-01-16 | 2015-10-21 | 北京科技大学 | 一种制备细粒径球形铌钛基合金粉末的方法 |
CN103752836A (zh) * | 2014-01-16 | 2014-04-30 | 北京科技大学 | 一种制备细粒径球形铌钛基合金粉末的方法 |
RU2593061C1 (ru) * | 2015-01-20 | 2016-07-27 | Общество с ограниченной ответственностью "НОРМИН" | Способ получения ультрадисперсных порошков титана |
EP3552740A4 (en) * | 2016-12-07 | 2020-04-15 | Mitsubishi Heavy Industries Aero Engines, Ltd. | HYDROGENATION-DEHYDROGENATION PROCESS FOR TiAl ALLOY AND METHOD FOR PRODUCING TiAl ALLOY POWDER |
JP2018090888A (ja) * | 2016-12-07 | 2018-06-14 | 三菱重工航空エンジン株式会社 | TiAl合金体の水素化脱水素化方法及びTiAl合金粉末の製造方法 |
WO2018105664A1 (ja) * | 2016-12-07 | 2018-06-14 | 三菱重工航空エンジン株式会社 | TiAl合金体の水素化脱水素化方法及びTiAl合金粉末の製造方法 |
US11583923B2 (en) | 2016-12-07 | 2023-02-21 | Mitsubishi Heavy Industries Aero Engines, Ltd. | Hydrogenation-dehydrogenation method for TiAl alloy and method for producing TiAl alloy powder |
CN107186209A (zh) * | 2017-06-09 | 2017-09-22 | 中国航天空气动力技术研究院 | 用于高温金属粉体球化的高频等离子加热器 |
CN107186209B (zh) * | 2017-06-09 | 2022-03-22 | 云航时代(重庆)科技有限公司 | 用于高温金属粉体球化的高频等离子加热器 |
EP3730237A4 (en) * | 2017-12-18 | 2021-08-25 | Hitachi Metals, Ltd. | METHOD FOR PRODUCING TIAL INTERMETAL COMPOSITE POWDER AND TIAL INTERMETAL COMPOSITE POWDER |
JPWO2019124344A1 (ja) * | 2017-12-18 | 2019-12-19 | 日立金属株式会社 | TiAl金属間化合物粉末の製造方法およびTiAl金属間化合物粉末 |
JP7294141B2 (ja) | 2017-12-18 | 2023-06-20 | 株式会社プロテリアル | 球状Ti系粉末およびその製造方法 |
US20220331858A1 (en) * | 2017-12-18 | 2022-10-20 | Hitachi Metals, Ltd. | SPHERICAL Ti-BASED POWDER AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR |
WO2019124344A1 (ja) * | 2017-12-18 | 2019-06-27 | 日立金属株式会社 | TiAl金属間化合物粉末の製造方法およびTiAl金属間化合物粉末 |
JPWO2019124047A1 (ja) * | 2017-12-18 | 2020-12-17 | 日立金属株式会社 | 球状Ti系粉末およびその製造方法 |
JP2019112700A (ja) * | 2017-12-26 | 2019-07-11 | 大同特殊鋼株式会社 | 金属粉末材料の製造方法 |
JP7039997B2 (ja) | 2017-12-26 | 2022-03-23 | 大同特殊鋼株式会社 | 金属粉末材料の製造方法 |
JP7399878B2 (ja) | 2018-01-18 | 2023-12-18 | ザ・ボーイング・カンパニー | 球状金属粉体混合物及びその製造方法 |
CN108217612A (zh) * | 2018-01-30 | 2018-06-29 | 攀枝花学院 | 制备球形氮化钛粉末的方法及设备 |
KR20190108413A (ko) * | 2018-03-14 | 2019-09-24 | 한국생산기술연구원 | 체심입방구조 고엔트로피 합금 분말 제조방법 및 그 방법으로 제조된 분말 |
KR102096311B1 (ko) * | 2018-03-14 | 2020-04-03 | 한국생산기술연구원 | 체심입방구조 고엔트로피 합금 분말 제조방법 및 그 방법으로 제조된 분말 |
CN111250724A (zh) * | 2018-12-03 | 2020-06-09 | 上海大境海洋新材料有限公司 | 一种球形钛合金粉的生产方法 |
CN112846195A (zh) * | 2021-01-08 | 2021-05-28 | 广东省科学院材料与加工研究所 | 一种增材制造用钛钽合金粉末及其制备方法 |
CN112846195B (zh) * | 2021-01-08 | 2024-01-02 | 广东省科学院新材料研究所 | 一种增材制造用钛钽合金粉末及其制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2009221603A (ja) | 球状チタン合金粉末の製造方法 | |
AU2023203146B2 (en) | Process for producing spheroidized powder from feedstock materials | |
KR102639133B1 (ko) | 공급원료 물질로부터 구상화 분말을 생산하는 공정 | |
JP4465662B2 (ja) | 金属粉末の製造方法およびターゲット材の製造方法 | |
US10486233B2 (en) | Method for eliminating hollow defect in atomized alloy powder | |
EP4364871A1 (en) | Tantalum-tungsten alloy powder and preparation method therefor | |
JP2009287106A (ja) | チタン球状粉末の製造方法およびチタン球状粉末 | |
WO2019118991A1 (en) | A process and method for producing titanium and titanium alloy billets, spherical and non-spherical powder | |
JP2782665B2 (ja) | チタンまたはチタン合金粉末の製造方法 | |
CN114260454A (zh) | 一种高品质球形金属粉末的制备方法 | |
JP2009287105A (ja) | 球状チタン系粉末の製造方法 | |
KR20190060139A (ko) | 3d 프린팅용 타이타늄-알루미늄계 합금 분말의 제조방법 | |
EP3766601A1 (en) | Titanium powder and method for producing same | |
Dai | Behavior of Fe powder during high-energy ball milling cooperated with dielectric barrier discharge plasma | |
JP7026543B2 (ja) | 低塩素濃度チタン粉、チタン合金粉、およびそれらの製造方法 | |
Jung et al. | Effect of radio frequency plasma treatment on evaporation behavior and characteristics of RuCr alloy powder |