JP2009221261A - メタクリル樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、例えば光拡散板などの用途に有用な酸化亜鉛粒子を含むメタクリル樹脂組成物およびその製造方法に関する。
従来から、酸化亜鉛粒子を含むメタクリル樹脂組成物は、その透明性や光拡散性から、例えば、学校・病院等の安全窓ガラス、携帯電話等の窓材、表示板、ディスプレイパネル、防音板、間仕切りなどに用いられている。
かかるメタクリル樹脂組成物としては、酸化亜鉛粒子の如き光拡散剤、トリメチルホスフェートやトリエチルホスフェートの如きリン酸エステル、およびメタクリル酸メチルの一部が重合したメタクリル酸メチルの部分重合体を混合した後、重合して得られるメタクリル樹脂組成物が具体的に開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1は、光拡散剤により光拡散性を付与したメタクリル樹脂組成物にさらに難燃性をも付与すること目的としたものである。
しかしながら、特許文献1に開示されている方法で得られたメタクリル樹脂組成物は、難燃性については改良されているものの、光拡散性や透明性の点では、用途によっては必ずしも満足のいくものではなかった。
詳しくは、例えば、エッジライト型照明等に用いられるような光拡散板においては、充分な直線光量が透過しうるだけの透明性を備えると同時に、光源がある程度隠れるように適度に光を拡散する必要があった。
詳しくは、例えば、エッジライト型照明等に用いられるような光拡散板においては、充分な直線光量が透過しうるだけの透明性を備えると同時に、光源がある程度隠れるように適度に光を拡散する必要があった。
そこで、本発明の目的は、例えば光拡散板等に適した透明性と光拡散性とを兼ね備えたメタクリル樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、酸化亜鉛粒子の存在下でメタクリル酸メチルを重合するにあたり、酸化亜鉛粒子はメタクリル酸メチルを予め重合させた重合体と溶融混練して分散体としておくことによって酸化亜鉛粒子を樹脂中に均一に分散させるとともに、重合に際しては特定構造のリン酸エステルを共存させることにより、酸化亜鉛粒子の添加量に見合った光拡散性を発現させることができるようになり、ひいては、適度な透明性と光拡散性とを兼ね備えたメタクリル樹脂組成物を簡便に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、酸化亜鉛粒子(A)、メタクリル酸メチルを主体とする単量体が重合してなる重合体(B)、下記式(1)で示されるリン酸エステル(C)およびメタクリル酸メチルを主体とする単量体(D)からなる必須成分を含む混合物を重合反応させて得られる、ことを特徴とするメタクリル樹脂組成物を提供するものである。
(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2はアルキレン基を表し、Mは1価のカチオンを表す。nは1〜10の数を表し、mは1〜3の整数を表す。)
また、本発明は、酸化亜鉛粒子(A)と、メタクリル酸メチルを主体とする単量体が重合してなる重合体(B)とを溶融混練して酸化亜鉛分散体を得、この酸化亜鉛分散体と、上記式(1)で示されるリン酸エステル(C)と、メタクリル酸メチルを主体とする単量体(D)とを混合した後、重合反応させる、ことを特徴とするメタクリル樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、酸化亜鉛粒子(A)と、メタクリル酸メチルを主体とする単量体が重合してなる重合体(B)とを溶融混練して酸化亜鉛分散体を得、この酸化亜鉛分散体と、上記式(1)で示されるリン酸エステル(C)と、メタクリル酸メチルを主体とする単量体(D)とを混合した後、重合反応させる、ことを特徴とするメタクリル樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、酸化亜鉛粒子が樹脂中に均一に分散されることにより、例えば光拡散板等に適した透明性と光拡散性とを兼ね備えたメタクリル樹脂組成物を簡便な方法で提供することができる、という効果が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるメタクリル樹脂組成物は、酸化亜鉛粒子(A)、メタクリル酸メチルを主体とする単量体が重合してなる重合体(B)、上記式(1)で示されるリン酸エステル(以下「特定リン酸エステル」と称することもある)(C)およびメタクリル酸メチルを主体とする単量体(D)からなる必須成分を含む混合物を重合反応させて得られるものである。
本発明におけるメタクリル樹脂組成物は、酸化亜鉛粒子(A)、メタクリル酸メチルを主体とする単量体が重合してなる重合体(B)、上記式(1)で示されるリン酸エステル(以下「特定リン酸エステル」と称することもある)(C)およびメタクリル酸メチルを主体とする単量体(D)からなる必須成分を含む混合物を重合反応させて得られるものである。
前記酸化亜鉛粒子(以下「(A)成分」と称することもある)は、特に制限はなく、一般に市販されている酸化亜鉛粒子を使用することができる。
前記酸化亜鉛粒子の1次粒子径は、適度な透明性を得る点から10〜100nmであることが好ましい。なお、本発明において、前記1次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて倍率200,000倍で撮影した写真から求めることができる。
前記必須成分に占める(A)成分の含有量は、前記必須成分の総量100重量部に対して0.1〜0.5重量部であることが好ましい。(A)成分である酸化亜鉛粒子が前記範囲よりも少ないと、光拡散性が低下しすぎるおそれがあり、一方、前記範囲よりも多いと、透明性が低下しすぎるおそれがある。
前記酸化亜鉛粒子の1次粒子径は、適度な透明性を得る点から10〜100nmであることが好ましい。なお、本発明において、前記1次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて倍率200,000倍で撮影した写真から求めることができる。
前記必須成分に占める(A)成分の含有量は、前記必須成分の総量100重量部に対して0.1〜0.5重量部であることが好ましい。(A)成分である酸化亜鉛粒子が前記範囲よりも少ないと、光拡散性が低下しすぎるおそれがあり、一方、前記範囲よりも多いと、透明性が低下しすぎるおそれがある。
前記メタクリル酸メチルを主体とする単量体が重合してなる重合体(以下「(B)成分」と称することもある)は、(D)成分として後述するメタクリル酸メチルを主体とする単量体(D)の重合体であり、実質的にメタクリル酸メチルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の単量体との共重合体であってもよい。共重合体である場合、メタクリル酸メチル以外の単量体としては、例えば、(D)成分として後述する単官能単量体や多官能単量体を用いることができ、その中でも特に、アクリル酸エステルが好ましい。また、共重合体である場合、共重合組成は、メタクリル酸メチル:メタクリル酸メチル以外の単量体(重量比)=50:50〜70:30であるのがよい。なお、(B)成分である重合体を得る際の重合方法等については、特に制限はなく、必須成分を重合する際に採用する後述の重合方法等に準じて行えばよい。
前記必須成分に占める(B)成分の含有量は、前記必須成分の総量100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0重量部であるのがよい。(B)成分である重合体が前記範囲よりも少ないと、酸化亜鉛粒子の分散性が低下してしまうおそれがある。
前記必須成分に占める(B)成分の含有量は、前記必須成分の総量100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0重量部であるのがよい。(B)成分である重合体が前記範囲よりも少ないと、酸化亜鉛粒子の分散性が低下してしまうおそれがある。
前記特定リン酸エステル(以下「(C)成分」と称することもある)は、メタクリル酸メチルに対して反応性や親和性を有するリン酸エステルであり、一分子内にラジカル重合可能な二重結合を1つ以上有するものである。
前記特定リン酸エステルを示す上記式(1)において、R2で表されるアルキレン基の例としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられ、その炭素数は通常1〜6であることが好ましい。また、nが2以上の場合には、R2で表される複数のアルキレン基は、すべて同一であってもよいし、各々異なっていてもよい。さらに、複数のアルキレン基が各々異なる場合は、それらは互いに規則的に結合されていてもよいし、不規則に結合されていてもよい。
特定リン酸エステルを示す上記式(1)において、Mで表される1価のカチオンの例としては、水素イオン、ナトリウムイオンやカリウムイオンのようなアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜4程度のアルキル基で置換されたアンモニウムイオンなどが挙げられる。
上記式(1)で示される特定リン酸エステルの具体例としては、例えば、アシッドホスホキシ・ポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート(式(1)中、R1がメチル基、R2がプロピレン基、Mが水素イオン、nが5〜6、mが1であるリン酸エステル)や、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(式(1)中、R1がメチル基、R2がエチレン基、Mが水素イオン、nが1、mが2であるリン酸エステル)等が挙げられる。また、市販品では、例えば、ユニケミカル(株)製の「ホスマーPP(Phosmer−PP)」や、共栄社化学(株)製の「ライトエステルP−2M」等が挙げられる。
前記必須成分に占める(C)成分の含有量は、前記必須成分の総量100重量部に対して0.1〜4重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2重量部であるのがよい。(C)成分である特定リン酸エステルが前記範囲よりも少ないと、酸化亜鉛粒子の分散性が低下してしまうおそれがある。
前記必須成分に占める(C)成分の含有量は、前記必須成分の総量100重量部に対して0.1〜4重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2重量部であるのがよい。(C)成分である特定リン酸エステルが前記範囲よりも少ないと、酸化亜鉛粒子の分散性が低下してしまうおそれがある。
前記メタクリル酸メチルを主体とする単量体(以下「(D)成分」と称することもある)は、メタクリル酸メチルを50重量%以上含むものであり、実質的にメタクリル酸メチルのみからなるものであってもよいし、メタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の単量体との混合物であってもよい。メタクリル酸メチル以外の単量体をも含む場合には、メタクリル酸メチルの含有量は50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。メタクリル酸メチル以外の単量体をも含む場合、それらは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記(D)成分は、他の必須成分とともに混合して重合に供する際には、予備重合によってその一部が重合されてなるシロップ(部分重合物)として重合させてもよい。この場合、適度な粘性が保持でき、良好なハンドリング性で重合できる、という利点が得られる。前記(D)成分としてシロップを使用する場合には、シロップ中に含まれる重合体の含有量は、10重量%以下であることが好ましい。なお、本発明においては、このシロップ中に含まれる重合体は、必須成分((A)〜(D)成分)以外の任意成分として扱うものとする。
前記(D)成分は、他の必須成分とともに混合して重合に供する際には、予備重合によってその一部が重合されてなるシロップ(部分重合物)として重合させてもよい。この場合、適度な粘性が保持でき、良好なハンドリング性で重合できる、という利点が得られる。前記(D)成分としてシロップを使用する場合には、シロップ中に含まれる重合体の含有量は、10重量%以下であることが好ましい。なお、本発明においては、このシロップ中に含まれる重合体は、必須成分((A)〜(D)成分)以外の任意成分として扱うものとする。
メタクリル酸メチル以外の単量体としては、メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体であれば、特に制限はなく、一分子内にラジカル重合可能な二重結合を1つ有する単官能単量体であってもよいし、一分子内にラジカル重合可能な二重結合を2つ以上有する多官能単量体であってもよい。
メタクリル酸メチル以外の単量体として用いることのできる単官能単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートのような、アクリル酸と脂肪族アルコール、芳香族アルコールまたは脂環族アルコールとのエステル;プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのような、メタクリル酸と脂肪族アルコール、芳香族アルコールまたは脂環族アルコールとのエステル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートのような、アクリル酸とヒドロキシアルコールとのエステル;ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートのような、メタクリル酸とヒドロキシアルコールとのエステル;アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和酸;スチレン、α−メチルスチレンのようなスチレン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルのような不飽和ニトリル;無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドのようなマレイン酸誘導体;酢酸ビニルのようなカルボン酸ビニル;などが挙げられる。
メタクリル酸メチル以外の単量体として用いることのできる多官能単量体としては、例えば、アリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートなどが挙げられる。
前記必須成分((A)〜(D)成分)を含む混合物を重合反応させるに際しては、該混合物に、必要に応じて、光拡散剤、着色剤、離型剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の各種添加剤の1種または2種以上を任意成分として含有させて、重合に供することもできる。
前記混合物を得る際には、各成分を一括して混合してもよいが、好ましくは、本発明の製造方法として後述するように、(A)成分と(B)成分とを予め溶融混練して分散体としておき、その後(C)成分および(D)成分と混合することが好ましい。
前記混合物を得る際には、各成分を一括して混合してもよいが、好ましくは、本発明の製造方法として後述するように、(A)成分と(B)成分とを予め溶融混練して分散体としておき、その後(C)成分および(D)成分と混合することが好ましい。
前記混合物の重合反応には、通常、重合開始剤が用いられる。
重合開始剤としては、好ましくはラジカル重合開始剤が用いられ、その具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンテン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2−シアノ−2−プロピラゾホルムアミド、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシ−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)のようなアゾ化合物;ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドのようなジアシルパーオキサイド系またはジアルキルパーオキサイド系開始剤;t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシアセテート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレートのようなパーオキシエステル系開始剤;t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートのようなパーカーボネイト系開始剤;1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなパーオキシケタール系開始剤;などが挙げられる。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、重合開始剤の使用量は、特に制限はなく、適宜設定すればよい。
重合開始剤としては、好ましくはラジカル重合開始剤が用いられ、その具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンテン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2−シアノ−2−プロピラゾホルムアミド、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシ−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)のようなアゾ化合物;ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドのようなジアシルパーオキサイド系またはジアルキルパーオキサイド系開始剤;t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシアセテート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレートのようなパーオキシエステル系開始剤;t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートのようなパーカーボネイト系開始剤;1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなパーオキシケタール系開始剤;などが挙げられる。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、重合開始剤の使用量は、特に制限はなく、適宜設定すればよい。
前記混合物の重合反応には、キャスト重合や連続バルク重合のような塊状重合法をはじめ、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが採用できる。特に、本発明においては、キャスト重合により重合反応を行うことが好ましい。キャスト重合は、例えば、多種類の板状の成形体を効率的に生産する場合などに有利である。
前記キャスト重合は、通常、前記混合物に重合開始剤を添加した後、これをセル内に注入して行われる。キャスト重合に際しては、前記混合物に重合開始剤を添加した重合材料をセルに注入する前に、該重合材料からあらかじめ酸素を除去しておくことが好ましい。酸素の除去には、例えば、窒素などの不活性ガスをバブリングさせる方法、重合材料を減圧下に保持する方法などを採用すればよい。
前記混合物の重合反応における重合温度は、通常50℃〜90℃であり、重合に要する時間は、通常1〜10時間である。さらに、重合後、重合を完結させる目的で、必要に応じて、90℃〜120℃程度に昇温してもよい。
前記混合物の重合反応において、上述した以外の点に関しては、特に制限はなく、常法に従い行うことができる。例えば、必要に応じて、連鎖移動剤を用いることもできる。
前記混合物の重合反応において、上述した以外の点に関しては、特に制限はなく、常法に従い行うことができる。例えば、必要に応じて、連鎖移動剤を用いることもできる。
本発明のメタクリル樹脂組成物の製造方法は、前記(A)成分である酸化亜鉛粒子と前記(B)成分である重合体とを溶融混練して酸化亜鉛分散体を得、この酸化亜鉛分散体と、前記(C)成分と前記(D)成分とを混合した後、重合反応させるものである。これにより、酸化亜鉛粒子が樹脂中に均一に分散されることになる。
前記(A)成分と前記(B)成分とを溶融混練する際の加熱温度は、特に制限されないが、例えば、80〜150℃とするのが好ましい。溶融混練時の加熱温度が前記範囲よりも低いと、樹脂中に酸化亜鉛粒子を均一に分散させることができなくなる傾向があり、一方、前記範囲よりも高いと、樹脂が分解着色するおそれがある。
前記(A)成分と前記(B)成分とを溶融混練する際に用いることのできる混練機としては、特に制限されないが、例えば、ニーダー、押出機、バンバリーミキサー等が挙げられる。
前記(A)成分と前記(B)成分とを溶融混練する際に用いることのできる混練機としては、特に制限されないが、例えば、ニーダー、押出機、バンバリーミキサー等が挙げられる。
本発明にかかるメタクリル樹脂組成物は、全光線透過率が80%以上であり、かつヘイズが7〜55%である。かかるメタクリル樹脂組成物は、例えば、充分な直線光量が透過しうるだけの透明性と、光源がある程度隠れるような適度な光拡散性の両立が求められる光拡散板に好適に用いられる。具体的には、例えば、照明材料、光学材料、建築材料、装飾材料等として好適に用いることができ、特に、照明カバー、看板、ディスプレイ用光拡散板の材料として好適に用いることができる。
なお、本発明にかかるメタクリル樹脂組成物は、例えばキャスト重合のように重合反応と成形を同時に行った場合には成形体の形態で得られるが、本発明にかかるメタクリル樹脂組成物の形態はこれに限定されるものではなく、重合反応後の重合物の形態であってもよい。さらに、この重合物は、必要に応じて、押出成形や射出成形などにより、シート状、フィルム状、ペレット状、その他形状に適宜成形されていてもよい。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって限定されるものではない。
なお、各実施例で得たメタクリル樹脂板の光学特性は、以下の方法で評価した。
(1)全光線透過率(Tt):紫外・可視分光光度計(日立製作所社製「U3310型」)を用いて、JIS−K7361−1に準拠して測定した。
(2)ヘイズ:JIS−K7136に準拠して測定した。
(1)全光線透過率(Tt):紫外・可視分光光度計(日立製作所社製「U3310型」)を用いて、JIS−K7361−1に準拠して測定した。
(2)ヘイズ:JIS−K7136に準拠して測定した。
(実施例1)
まず、(A)成分である1次粒子径20〜30nmの酸化亜鉛粒子と、(B)成分であるメタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル共重合体(共重合組成比;メタクリル酸メチル:アクリル酸ブチル(重量部)=60:40)とを、酸化亜鉛粒子:前記共重合体(重量比)=30:70の割合で混合し、ニーダーにて加熱溶融混練することにより、酸化亜鉛分散体を得た。
他方、メタクリル酸メチル100重量部に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.001重量部(10ppm)を加え、70℃で60分間加熱して、粘度平均分子量150万のポリメタクリル酸メチル(PMMA)を4重量%含み、残部が未反応のメタクリル酸メチルである反応液を得た。さらに、この反応液にメタクリル酸メチルを、反応液:メタクリル酸メチル(重量比)=70:30の割合で加えて希釈し、メタクリル酸メチルシロップを得た。
まず、(A)成分である1次粒子径20〜30nmの酸化亜鉛粒子と、(B)成分であるメタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル共重合体(共重合組成比;メタクリル酸メチル:アクリル酸ブチル(重量部)=60:40)とを、酸化亜鉛粒子:前記共重合体(重量比)=30:70の割合で混合し、ニーダーにて加熱溶融混練することにより、酸化亜鉛分散体を得た。
他方、メタクリル酸メチル100重量部に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.001重量部(10ppm)を加え、70℃で60分間加熱して、粘度平均分子量150万のポリメタクリル酸メチル(PMMA)を4重量%含み、残部が未反応のメタクリル酸メチルである反応液を得た。さらに、この反応液にメタクリル酸メチルを、反応液:メタクリル酸メチル(重量比)=70:30の割合で加えて希釈し、メタクリル酸メチルシロップを得た。
上記で得たメタクリル酸メチルシロップ99.67重量部(このうち、(D)成分であるメタクリル酸メチルモノマーは96.88重量部)と、上記で得た酸化亜鉛分散体0.33重量部(このうち、(A)成分は0.10重量部、(B)成分は0.23重量部)と、(C)成分である特定リン酸エステルとして2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(共栄社化学(株)製「ライトエステルP−2M」)0.20重量部と、さらに、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.08重量部(800ppm)と、連鎖移動剤としてシクロヘキサン−1−メチル−4−エチリデン0.01重量部(100ppm)と、紫外線吸収剤として2−(2−(ヒドロキシ-5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.01重量部と、を混合して脱気を行い、混合物(メタクリル酸メチル系単量体組成物)を得た。
次に、塩化ビニル樹脂製ガスケットと、該ガスケットにより2mmの間隔を空けて配置された2枚の平面状ガラス板とから構成されたセルに、上記で得た混合物(メタクリル酸メチル系単量体組成物)を注入し、72℃で3時間加熱した後、120℃で40分間加熱することにより重合させ、厚さ約2mmのメタクリル樹脂板を得た。得られたメタクリル樹脂板の全光線透過率およびヘイズを表1に示す。
(実施例2〜7)
実施例1で用いた酸化亜鉛分散体の量、特定リン酸エステルの種類および量、2−(2−(ヒドロキシ-5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールの量を、それぞれ表1に示す通りに変えた以外は、実施例1と同様の方法でメタクリル樹脂板を得た。得られたメタクリル樹脂板の全光線透過率およびヘイズを表1に示す。
なお、表1に示したリン酸エステルのうち、(C)成分である「ホスマーPP」とは、アシッドホスホキシ・ポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート(ユニケミカル社製「ホスマーPP」)を意味する。
実施例1で用いた酸化亜鉛分散体の量、特定リン酸エステルの種類および量、2−(2−(ヒドロキシ-5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールの量を、それぞれ表1に示す通りに変えた以外は、実施例1と同様の方法でメタクリル樹脂板を得た。得られたメタクリル樹脂板の全光線透過率およびヘイズを表1に示す。
なお、表1に示したリン酸エステルのうち、(C)成分である「ホスマーPP」とは、アシッドホスホキシ・ポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート(ユニケミカル社製「ホスマーPP」)を意味する。
(比較例1〜3)
実施例1で用いた特定リン酸エステルを使用せず、酸化亜鉛分散体の量を表1に示す通りに変えた以外は、実施例1と同様の方法でメタクリル樹脂板を得た。得られたメタクリル樹脂板の全光線透過率およびヘイズを表1に示す。
実施例1で用いた特定リン酸エステルを使用せず、酸化亜鉛分散体の量を表1に示す通りに変えた以外は、実施例1と同様の方法でメタクリル樹脂板を得た。得られたメタクリル樹脂板の全光線透過率およびヘイズを表1に示す。
(比較例4〜7)
実施例1で用いた特定リン酸エステルに代えて、特定構造を有さない従来のリン酸エステルを使用した以外は、実施例1と同様の方法でメタクリル樹脂板を得た。得られたメタクリル樹脂板の全光線透過率およびヘイズを表1に示す。
実施例1で用いた特定リン酸エステルに代えて、特定構造を有さない従来のリン酸エステルを使用した以外は、実施例1と同様の方法でメタクリル樹脂板を得た。得られたメタクリル樹脂板の全光線透過率およびヘイズを表1に示す。
Claims (8)
- 前記必須成分に占める前記リン酸エステル(C)の含有量が、前記必須成分の総量100重量部に対して0.1〜4重量部である、請求項1記載のメタクリル樹脂組成物。
- 前記必須成分に占める前記酸化亜鉛粒子(A)の含有量が、前記必須成分の総量100重量部に対して0.1〜0.5重量部である、請求項1または2記載のメタクリル樹脂組成物。
- 前記必須成分に占める前記重合体(B)の含有量が、前記必須成分の総量100重量部に対して0.1〜10重量部である、請求項1〜3のいずれかに記載のメタクリル樹脂組成物。
- 前記酸化亜鉛粒子(A)の1次粒子径が10〜100nmである、請求項1〜4のいずれかに記載のメタクリル樹脂組成物。
- 全光線透過率が80%以上であり、かつヘイズが7〜55%である、請求項1〜5のいずれかに記載のメタクリル樹脂組成物。
- 光拡散板に用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載のメタクリル樹脂組成物。
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JP2008064707A JP2009221261A (ja) | 2008-03-13 | 2008-03-13 | メタクリル樹脂組成物およびその製造方法 |
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