JP2009208446A - 壁紙用防汚フィルム及び壁装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶剤を使用せず、共押出成形等の方法によって製造することができ、かつ、塩化ビニル層に高沸点の可塑剤が含まれている場合であっても、強力な接着力を維持し、防汚性及びアンチブロッキング性に優れる壁紙用防汚フィルム及び壁装材を提供する。
【解決手段】結晶性ポリプロピレン系樹脂からなるポリプロピレン系樹脂層と、スルホン基含有ポリエステル系樹脂からなるポリエステル系樹脂層とが接着層を介して積層された壁紙用防汚フィルムであって、前記ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂全体に対して、スルホン基を1.2モル%以上含有する壁紙用防汚フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機溶剤を使用せず、共押出成形等の方法によって製造することができ、かつ、塩化ビニル層に高沸点の可塑剤が含まれている場合であっても、強力な接着力を維持し、防汚性及びアンチブロッキング性に優れる壁紙用防汚フィルム及び壁装材に関する。
室内の壁やクローゼット、家具等に貼り付けて使用される壁紙としては、諸物性に優れ、成形加工性もよく安価であるという理由から塩化ビニル層を含む塩化ビニル壁紙が多用されている。しかし、塩化ビニル壁紙は汚れやすく、また、一度汚れるとその汚れが落ちにくいという問題があった。また、塩化ビニル壁紙は、一般に可塑剤が配合されているため、その可塑剤が表面にブリードして空気中の浮遊物が付着することにより汚れが生じやすいという問題もあった。
そこで、塩化ビニル壁紙に防汚性を付与する手段の一つとして、防汚性を有する樹脂からなる基材層上に接着層が形成された防汚フィルムを塩化ビニル壁紙の塩化ビニル層の表面に積層し、接着する方法が知られている。従来、このような基材層としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)やアクリル系フィルムが使用されており、特にEVOHフィルムが広く使用されている。
例えば、特許文献1には、基材層として透明2軸延伸ポリエステルフィルムを用いた防汚フィルムが開示されており、また、例えば、特許文献2には、基材層として共重合ポリエステルフィルムを用いた防汚フィルムが開示されている。
このような防汚フィルムに要求される特性としては、基材層の防汚性に加えて、塩化ビニル層の表面に対する強固な接着力がある。特に、塩化ビニル壁紙の表面にエンボス加工等を施して微細な凹凸を形成し、立体的な意匠性を付与する場合には、防汚フィルムが塩化ビニル層の表面から浮き上がって塩化ビニル壁紙の美観を損ないやすくなるため、塩化ビニル層の表面に対する強固な接着力が要求されていた。
しかしながら、従来の防汚フィルムは、低温での塩化ビニル層の表面に対する接着力が不充分であったため、防汚フィルムを塩化ビニル層の表面に強固に接着させるためには100℃以上の高温で処理する必要があった。ところが、可塑剤を含有する塩化ビニル層は、100℃以上に加熱されると、その表面に可塑剤が促進的にブリードアウトするという問題があった。
また、従来の防汚フィルムは、樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液を基材上に塗布した後、乾燥を行う、いわゆるコーティング法等によって、接着層を形成していた。しかしながら、近年はトルエンやキシレン等の揮発性有機化合物(VOC)対策として、有機溶剤を使用せずに接着層を形成することが求められており、このような要求に対してコーティング法ではなく、共押出成形によって基材上に接着層を直接成形する方法が検討されている。
共押出成形によって接着層の成形を行うことが可能となれば、塗布工程や乾燥工程を行う必要が無く、工程を簡略化できるだけでなく、成形された接着層は、コーティング法とは異なり基材表面状態の相違による接着層のハジキや厚み等のバラツキの少ないものとなる。
そこで、本発明者らは、特許文献3に、結晶性ポリプロピレンからなる防汚層と、所定のガラス転移温度を有する非晶性ポリエステルからなる接着層とを有する壁紙用防汚フィルムを開示しており、この中で、共押出成形によって接着層を形成する方法を開示している。このような壁紙防汚フィルムは、防汚性及び塩化ビニル層の表面に対する強固な接着性を有すると共に、アンチブロッキング性が高く、取扱性に優れたものとなる。
しかしながら、近年はVOC対策として、塩化ビニル層に高沸点の可塑剤が使用されており、壁紙内に可塑剤が残り易くなっていることから、このような壁紙用防汚フィルムを使用する場合であっても、長期間経過すると、接着強度が低下してしまうことがあった。
そこで、壁紙用防汚フィルムとして必要とされる防汚性、アンチブロッキング性、基材層との密着性を有しつつ、塩化ビニル層に高沸点の可塑剤が含まれる場合であっても、長期間に渡って接着力が低下することのない壁紙用防汚フィルムが求められていた。
特開平07−232415号公報 特開平07−290667号公報 特開2004−332367号公報
本発明は、上記現状に鑑み、有機溶剤を使用せず、共押出成形等の方法によって製造することができ、かつ、塩化ビニル層に高沸点の可塑剤が含まれている場合であっても、強力な接着力を維持し、防汚性及びアンチブロッキング性に優れる壁紙用防汚フィルム及び壁装材を提供することを目的とする。
本発明の壁紙用防汚フィルムは、結晶性ポリプロピレン系樹脂からなるポリプロピレン系樹脂層と、スルホン基含有ポリエステル系樹脂からなるポリエステル系樹脂層とが接着層を介して積層された壁紙用防汚フィルムであって、前記ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂全体に対して、スルホン基を1.2モル%以上含有する壁紙用防汚フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは鋭意検討した結果、ポリエステル系樹脂層を構成するポリエステル系樹脂として、所定量のスルホン基を含有するスルホン基含有ポリエステル系樹脂を用いることにより、共押出成形によって成形することができ、かつ、防汚性、アンチブロッキング性に優れるとともに、高沸点の可塑剤を含有する塩化ビニル壁紙に使用する場合であっても、長期間に渡って高い接着強度を維持できる壁紙用防汚フィルムとすることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の壁紙用防汚フィルムは、スルホン基含有ポリエステル系樹脂からなるポリエステル系樹脂層を有する。上記ポリエステル系樹脂層は、スルホン基含有ポリエステル系樹脂を含有することで、可塑剤存在下においても、ポリプロピレン系樹脂層とポリエステル系樹脂層との強力な接着強度を維持することができる。
上記スルホン基含有ポリエステル系樹脂としては、単独の樹脂を用いてもよく、2種類以上の樹脂を混合して使用してもよい。また、スルホン基含有ポリエステル系樹脂とスルホン基を含有しないポリエステル系樹脂とを混合して使用してもよい。
上記スルホン基含有ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸及び/又はジオールに、スルホン基含有ジカルボン酸及び/又はスルホン基含有ジオールを配合することにより得られるポリエステル樹脂等が挙げられる。
なお、上記スルホン基は、酸形態のほか、塩形態の場合も含む。上記塩形態としては、例えば、アルカリ金属塩、第三級アミン塩等が挙げられる。
上記ジカルボン酸としては、特に限定されず、例えば、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。
上記ジオールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、(2,2−ジメチルプロパンー1,3ージオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチルー2、4ペンタンジオール、3−メチルー1,3ーペンタンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類等が挙げられる。
上記スルホン基含有ジカルボン酸としては、例えば、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、3−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸ジアルキル、2−スルホイソフタル酸ジアルキル、4−スルホイソフタル酸ジアルキル、3−スルホイソフタル酸ジアルキル及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
上記スルホン基含有ジオールとしては、例えば、1,3−ジヒドロキシブタンスルホン酸、1,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸等が挙げられる。
上記スルホン基の含有量の下限は、上記ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂全体に対して1.2モル%である。1.2モル%未満であると、可塑剤存在下において、ポリプロピレン系樹脂層とポリエステル系樹脂層との接着強度が不充分となる。好ましい上限は30モル%である。30モル%を超えると、ポリエステル系樹脂層と塩化ビニル壁紙の塩化ビニル層との充分な接着強度が得られないことがある。より好ましい上限は20モル%である。
なお、上記スルホン基含有量は、例えば、本発明の壁紙用防汚フィルムのポリエステル系樹脂層について、H−NMR測定を行うことにより、測定することができる。
上記スルホン基含有ポリエステル系樹脂のガラス転移点の好ましい下限は35℃、好ましい上限は100℃である。上記範囲内とすることで、塩化ビニル壁紙と熱圧着により強固に接着可能となるだけでなく、エンボス追従性に優れた壁紙用防汚フィルムが得られる。即ち、上記スルホン基含有ポリエステル系樹脂は、エンボス追従性に非常に優れるため、仮にポリプロピレン系樹脂層がエンボス性に欠けるものであっても結果として本発明の壁紙用防汚フィルムがエンボス追従性に優れたフィルムとなる。従って、従来、エンボス性に欠けるために良好な製品とならなかった結晶性ポリプロピレン系樹脂であっても、本発明ではポリプロピレン系樹脂層の材料として有効に使用することができる。
上記ガラス転移点が35℃未満であると、得られる壁紙用防汚フィルムの熱安定性が悪く、フィルム同士がブロッキングすることがある。100℃を超えると、ポリ塩化ビニル壁紙との熱圧着性が悪くなることがある。より好ましい下限は50℃、より好ましい上限は95℃であり、更に好ましい上限は90℃である。
上記スルホン基含有ポリエステル系樹脂の固有粘度の好ましい下限は0.4dl/g、より好ましい下限は0.5dl/gである。0.4dl/g未満であるとフィルム強度が弱くなり、塩化ビニル壁紙との接着力についても弱くなることがある。
上記ポリエステル系樹脂層は無延伸であっても延伸したものであってもよいが、熱安定性の点からは無延伸である方が望ましい。また、上記ポリエステル系樹脂層の表面にはコロナ放電処理等公知の表面処理を施してもよい。
上記ポリエステル系樹脂層には、目的に応じて、上記スルホン基含有ポリエステル系樹脂以外の他の樹脂をブレンドしてもよい。上記ブレンドする樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレンとアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等のモノマーとからなる2元共重合体、3元共重合体等が挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂層には、上述した樹脂の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、更に帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、充填剤、着色剤等の添加物を添加してもよい。
上記ポリエステル系樹脂層の厚さとしては、特に限定されないが、好ましい下限は1μmであり、好ましい上限は20μmである。1μm未満であると本発明の壁紙用防汚フィルムと塩化ビニル壁紙との接着力が不充分となることがあり、また、その接着力にばらつきが生じやすくなる。20μmを超えると、製造コストの高騰を招くとともに、結晶性ポリプロピレン系樹脂からなるポリプロピレン系樹脂層に反りが生じたり、塩化ビニル壁紙の表面に表された図柄等の意匠が隠蔽されたり、本発明の壁紙用防汚フィルムの可撓性が低下したりすることがある。
上記ポリエステル系樹脂層は、上記ポリプロピレン系樹脂層の厚さの0.05倍以上であることが好ましく、0.1倍以上であることがより好ましい。0.05倍未満であると、上記ポリプロピレン系樹脂層へのエンボス追従性の付与が不充分となることがある。
本発明の壁紙用防汚フィルムにおいて、上記接着層を構成する樹脂としては、特に限定されず一般に市販されている接着性樹脂を使用することができるが、極性基を有する樹脂を使用することが好ましい。
上記極性基としては、例えば、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸塩化物基、カルボン酸アミド基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩化物基、スルホン酸アミド基、スルホン酸塩基、エポキシ基、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基、水酸基等が挙げられる。
なお、上記極性基を導入する方法としては、例えば、無水マレイン酸等をグラフトする方法、アミン化合物、カルボン酸化合物等の官能基を有する化合物を反応させて末端部にアミン又はカルボン酸等を付加する方法等が挙げられる。
上記極性基を有する樹脂としては、変性スチレン系エラストマー及び/又は変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂を使用することが好ましい。
上記変性スチレン系エラストマー及び/又は変性ポリオレフィン系樹脂からなる接着層は、上記ポリプロピレン系樹脂及び上記ポリエステル系樹脂の何れとも親和性が高く、両者を高強度で接着することができる。また、上記ポリプロピレン系樹脂層及びポリエステル系樹脂層と共に共押出法により成形可能であることから、生産性にも優れる。
上記変性スチレン系エラストマーとしては、ハードセグメントとしてのポリスチレンと、ソフトセグメントとしてのポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエン及びポリイソプレンの共重合体とからなるスチレン系エラストマーや、上記スチレン系エラストマーの水素添加物を上記極性基で変性したものが挙げられる。この場合に用いる極性基としては、例えば、カルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、水酸基等が好ましい。なお、上記水素添加物は、プリブタジエンやポリイソプレンの一部が水素添加されたものであってもよく、全てが水素添加されたものであってもよい。
具体的には例えば、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(無水マレイン酸変性SEBS樹脂)、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(無水マレイン酸変性SEPS樹脂)、エポキシ樹脂変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(エポキシ変性SEBS樹脂)、エポキシ樹脂変性スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(エポキシ変性SEPS樹脂)等が挙げられる。
上記変性スチレン系エラストマーにおける上記極性基の含有量の好ましい下限は0.05重量%、好ましい上限は5.0重量%である。0.05重量%未満であると、特にポリエステル系樹脂層との接着が不充分になることがあり、5.0重量%を超えると、上記官能基を付加する際に樹脂が熱劣化し、ゲル等の異物が発生し易くなることがある。より好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は3.0重量%である。
上記変性スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、商品名「タフテック」、「タフプレン」(何れも旭化成ケミカルズ社製)、「クレイトン」(クレイトンポリマー社製)、「ダイナロン」(JSR社製)、「セプトン」(クラレ社製)等が挙げられる。
上記変性ポリオレフィン系樹脂は、不飽和カルボン酸又はその無水物や、シラン系カップリング剤等(以下、単に変性モノマーともいう)によって変性されたポリオレフィンを主成分とする樹脂のことをいう。
上記不飽和カルボン酸又はその無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。また、上記不飽和カルボン酸又はその無水物の誘導体のモノエポキシ化合物と上記不飽和カルボン酸又はその無水物とのエステル化合物、分子内に上記不飽和カルボン酸又はその無水物と反応し得る官能基を有する重合体と上記不飽和カルボン酸又はその無水物との反応生成物等を用いてもよい。更に、上記不飽和カルボン酸の金属塩も使用することができる。これらのなかでは、無水マレイン酸がより好ましく用いられる。また、上記不飽和カルボン酸又はその無水物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアセチルオキシシラン等が挙げられる。
上記変性ポリオレフィン系樹脂を製造する方法としては、例えば、重合時に予め変性モノマーを添加・混合することにより共重合させる方法を用いてもよく、ポリオレフィン系樹脂を重合した後、変性モノマーをグラフト共重合させる方法を用いてもよい。なかでもグラフト共重合による方法が好ましい。
また、上記変性ポリオレフィン系樹脂を製造する場合、上記変性モノマーの含有量の好ましい下限は0.1質量%、好ましい上限は5質量%である。
上記変性ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、「アドマー」(三井化学社製)、「モディック」(三菱化学社製)等が挙げられる。
本発明の壁紙用防汚フィルムにおいて、上記接着層の厚さは特に限定されず、本発明の壁紙用防汚フィルムの性能、価格等を考慮して適宜決定されるが、好ましい下限が0.1μm、好ましい上限が20μmである。0.1μm未満であると、ポリプロピレン系樹脂層とポリエステル系樹脂層の接着強度が充分に得られないことがある。20μmを超えると、製造コストの高騰を招くとともに、塩化ビニル層の表面に表された図柄等の意匠が隠蔽されたり、取扱性が低下したりすることがある。
本発明の壁紙用防汚フィルムを構成する接着層には、上述した材料のほかに、上記接着層としての特性を阻害しない範囲であれば、更に帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、充填剤、着色剤等の添加物を添加してもよいし、目的に応じて他の樹脂をブレンドしてもよい。上記ブレンドする樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレンとアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等のモノマーとからなる2元共重合体、3元共重合体等が挙げられる。
本発明の壁紙用防汚フィルムは、結晶性ポリプロピレン系樹脂からなるポリプロピレン系樹脂層を有する。
上記ポリプロピレン系樹脂層は、防汚性を有するものであり、上記ポリプロピレン系樹脂層上に上記接着層及びポリエステル系樹脂層を形成することにより、塩化ビニル層に高沸点の可塑剤が含まれている場合であっても、ポリプロピレン系樹脂層とポリエステル系樹脂層との強力な接着力を維持し、防汚性、アンチブロッキング性及び低温接着性に優れる壁紙用防汚フィルムが得られる。
上記ポリプロピレン系樹脂層を構成する結晶性ポリプロピレン系樹脂は、防汚性とともに、エンボス追従性にも優れているため、結晶性ポリプロピレン系樹脂のエンボス特性と、ポリプロピレン系樹脂層とポリエステル系樹脂層との強力な接着性、及び、ポリエステル系樹脂層と塩化ビニル壁紙の塩化ビニル層との強力な接着性の相乗効果により、発泡した塩化ビニル壁紙の塩化ビニル層の表面に対してであっても、強固に接着させることが可能となる。なお、上記エンボス追従性とは、壁紙のデザインである凹凸等にフィルムが追従することである。上記エンボス追従性がない場合は、部分的に色が白く見えたり、表面の凹凸等にシャープ性がなくなったりする。
上記結晶性ポリプロピレン系樹脂としては特に限定されず、例えば、ホモのポリプロピレン樹脂、エチレンとプロピレンとのブロック共重合体、エチレン等と共重合可能な1種以上のモノマーとプロピレンとの共重合体等が挙げられる。なお、非晶性ポリプロピレンを用いた場合は、油性の汚れに対する防汚性が不充分となる。
なお、本発明において、「結晶性」とは、原料ペレット又はフィルムを一旦加熱溶融させた後、徐冷したものが結晶性であることをいい、樹脂本来が持つ性質をいう。
上記ポリプロピレン系樹脂層は、無延伸のものであっても、延伸したものであってもよいが、本発明の壁紙用防汚フィルムを接着した塩化ビニル壁紙のエンボス追従性の点から、無延伸であることが好ましい。
また、上記ポリプロピレン系樹脂層には、本発明の壁紙用防汚フィルムの特性を阻害しない範囲で、難燃剤、防カビ剤、抗菌剤、防湿剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑剤、充填剤、着色剤等の添加剤を添加してもよく、更に目的に応じて他樹脂をブレンドしても良い。
本発明の壁紙用防汚フィルムにおいて、上記ポリプロピレン系樹脂層の厚さは特に限定されず、該壁紙用防汚フィルムの性能、価格等を考慮して適宜決定されるが、好ましい下限が1μm、好ましい上限が100μmである。1μm未満であると、外部からの衝撃により、容易に破損することがあり、また、充分な防汚性を発揮することができないことがある。100μmを超えると、製造コストの高騰を招くとともに、塩化ビニル層の表面に表された図柄等の意匠が隠蔽されたり、本発明の壁紙用防汚フィルムの可撓性が低下したりして、取扱性が低下することがある。
本発明の壁紙用防汚フィルムを製造する方法としては、共押出法により各層を同時に成形する方法が好ましい。このような方法を用いることで、有機溶剤を使用せずに各層を形成することができる。例えば、Tダイによる共押出では、積層の方法としてフィードブロック方式、マルチマニホールド方式、又は、これらを併用した方法のいずれであってもよい。具体的には例えば、ポリプロピレン系樹脂層を構成する樹脂として、結晶性ポリプロピレン、接着層を構成する樹脂として、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂としてポリエステルをそれぞれ押出機に投入し、多層ダイスによりシート状に押出し、引取ロールにて冷却固定化した後、必要に応じて1軸又は2軸に延伸する方法等を用いることができる。
本発明の壁紙用防汚フィルムに塩化ビニル壁紙を積層することで、壁装材とすることができる。このような壁装材もまた本発明の1つである。
上記塩化ビニル壁紙の塩化ビニル層としては、公知の塩化ビニル壁紙に使用されるいかなるものも挙げることができ、発泡体であっても非発泡体であってもよい。特に本発明では、高沸点の可塑剤を含有する塩化ビニル壁紙であっても好適に用いることができるため、使用可能な壁紙の種類が大幅に広がる。
また、本発明の壁紙用防汚フィルムを積層した後に上記塩化ビニル層を発泡させてもよい。なお、上記塩化ビニル層に印刷を施す場合、印刷インキは、通常用いられるインキでよい。例えば、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系、セルロース系の樹脂に顔料、染料等の着色剤、分散剤、溶剤等を混合し溶解させたもの等が挙げられる。また、上記印刷は公知の方法により行うことができる。
本発明の壁装材を製造する際、本発明の壁紙用防汚フィルムを上記塩化ビニル層の表面に接着する方法としては特に限定されないが、熱圧着法により接着することが好ましい。熱圧着法は有機溶剤を用いないので、有機溶剤に起因する弊害、例えば、自然環境への影響、火災の危険性、作業者の健康面への影響及び資源の浪費等の問題を解決することができる。
また、上記熱圧着法により本発明の壁紙用防汚フィルムを塩化ビニル層の表面に接着する場合の処理条件としては特に限定されず、本発明の壁紙用防汚フィルムの接着層を構成する材料、及び、その配合等より適宜決定される。また、塩化ビニル壁紙にエンボス加工を施す場合、該エンボス加工は、本発明の壁紙用防汚フィルムと塩化ビニル層との熱圧着と同時に行ってもよく、後工程で行ってもよい。
本発明によれば、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂であるポリエステル系樹脂として、スルホン基含有ポリエステル系樹脂を用いることで、共押出成形によりポリエステル系樹脂層が成形でき、かつ、高沸点の可塑剤を含有する塩化ビニル壁紙に使用する場合であっても、長期間に渡ってポリプロピレン系樹脂層とポリエステル系樹脂層の接着強度を維持できる壁紙用防汚フィルム及びこのような壁紙用防汚フィルムを用いた壁装材を得ることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂層を構成する樹脂として、結晶性ポリプロピレン(プライムポリマー社製、「F707V」)、結晶性ポリプロピレン(チッソ社製、「HF3122」)、及び、結晶性ポリプロピレン(チッソ社製、「XFP1498H」)を40:60:6の重量比で混合し、2軸混練押出機を用いて溶融混練することにより得られる結晶性ポリプロピレン系樹脂ペレットを用いた。
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三井化学社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、アドマー「SE800」)を用いた。
ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「copolyester6763」)60重量部と、ポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が3モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)40重量部との混合物を用いた。
これらの樹脂をバレル温度が180〜280℃の押出機に投入し、250℃の多層ダイスから3層構造の多層シート状に押出し、40℃の引取ロールにて冷却固化した。得られた壁紙用防汚フィルムは、総厚みが40μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(16μm)/接着層(8μm)/ポリエステル系樹脂層(16μm)の3層構成からなるものであった。
(実施例2)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三井化学社製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂、アドマー「SF731」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「copolyester6763」)50重量部と、ポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が3モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)50重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用多層防汚フィルムは、総厚みが40μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(16μm)/接着層(8μm)/ポリエステル系樹脂層(16μm)の3層構成からなるものであった。
(実施例3)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリスチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ社製、無水マレイン酸変性SEBS、タフテック「M1911」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「copolyesterDN010」)40重量部と、ポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が3モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)60重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用防汚フィルムは、総厚みが40μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(16μm)/接着層(8μm)/ポリエステル系樹脂層(16μm)の3層構成からなるものであった。
(実施例4)
接着層を構成する樹脂として、アミン変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(スチレン含量30重量%、MFR4.0g/10分、比重0.91、末端にアミノ基)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「copolyester6763」)20重量部とポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が3モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)80重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用多層防汚フィルムは、総厚みが20μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(8μm)/接着層(4μm)/ポリエステル系樹脂層(8μm)の3層構成からなるものであった。
(実施例5)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学社製、モディック−AP「F515A」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が3モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用防汚フィルムは、総厚みが20μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(12μm)/接着層(3μm)/ポリエステル系樹脂層(5μm)の3層構成からなるものであった。
(実施例6)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学社製、モディック−AP「F515A」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「copolyesterDN010」)20重量部と、ポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が5モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)80重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用多層防汚フィルムは、総厚みが40μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(16μm)/接着層(8μm)/ポリエステル系樹脂層(16μm)の3層構成からなるものであった。
(実施例7)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学社製、モディック−AP「F515A」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が5モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用多層防汚フィルムは、総厚みが40μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(16μm)/接着層(8μm)/ポリエステル系樹脂層(16μm)の3層構成からなるものであった。
(実施例8)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学社製、モディック−AP「F515A」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が10モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用防汚フィルムは、総厚みが20μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(12μm)/接着層(3μm)/ポリエステル系樹脂層(5μm)の3層構成からなるものであった。
(比較例1)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学社製、モディック−AP「F515A」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「copolyesterDN010」)を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用防汚フィルムは、総厚みが40μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(16μm)/接着層(8μm)/ポリエステル系樹脂層(16μm)の3層構成からなるものであった。
(比較例2)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三井化学社製、アドマー「SE800」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「copolyester6763」)95重量部とポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が3モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)5重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用防汚フィルムは、総厚みが40μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(16μm)/接着層(8μm)/ポリエステル系樹脂層(16μm)の3層構成からなるものであった。
(比較例3)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三井化学社製、アドマー「SF731」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「copolyesterDN010」)90重量部と、ポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が3モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)10重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用防汚フィルムは、総厚みが40μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(16μm)/接着層(8μm)/ポリエステル系樹脂層(16μm)の3層構成からなるものであった。
(比較例4)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学社製、モディック−AP「F515A」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「copolyester6763」)80重量部と、ポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が3モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)20重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作製した。
得られた壁紙用多層防汚フィルムは、総厚みが40μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(16μm)/接着層(8μm)/ポリエステル系樹脂層(16μm)の3層構成からなるものであった。
(比較例5)
接着層を構成する樹脂として、変性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学社製、モディック−AP「F515A」)を用い、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂として、ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「copolyester6763」)70重量部とポリエステル中の酸成分に対してナトリウムスルホイソフタル酸が3モル%共重合されたスルホン基含有ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.55dl/g)30重量部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして壁紙用防汚フィルムを作成した。
得られた壁紙用防汚フィルムは、総厚みが40μmであり、ポリプロピレン系樹脂層(16μm)/接着層(8μm)/ポリエステル系樹脂層(16μm)の3層構成からなるものであった。
(評価)
実施例1〜8及び比較例1〜5において作成した壁紙用防汚フィルムの接着強度及び耐可塑剤性を以下の方法により評価した。結果を表1に示した。なお、表1には、ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂全体に対するスルホン基含有量を記載した。
(初期接着強度)
実施例及び比較例で得られた壁紙用防汚フィルムの任意の10点の個所から適当な大きさのサンプルを切り出した。次いで、ポリプロピレン系樹脂層を含む層を剥離層とし、ポリエステル系樹脂層を含む層を被剥離層として、図1に示すように、フィルムの端部の一部分を層間剥離した後、縦10mm×横100mmの測定用サンプルを切り出した。なお、上記サンプルの「縦」はフィルムの流れ方向、「横」はフィルムの幅方向を表す。そして、得られたサンプルを、図2に示すように、引張り速度200mm/minで180度方向に剥離させた場合の強度を剥離試験機(Peeling TESTER HEIDON−17、新東科学社製)を用いて測定し、強度が0.2N/mm以上である場合は○、強度が0.2N/mm未満である場合は×として評価を行った。なお、接着強度が極めて高いため、サンプル作製時にフィルムが剥離できなかった場合(サンプルが作製できなかった場合)は、「剥離不可」として○とした。また、図1、図2では、接着層を省略した。
(120℃,20分処理での耐可塑剤性評価)
実施例及び比較例で得られた壁紙用防汚フィルムの任意の10点の個所から適当な大きさのサンプルを切り出した。次いで、壁紙防汚フィルムのポリエステル系樹脂層と塩化ビニル壁紙の塩化ビニル層を重ね合わせ、プレス機(名機製作所製、「MHPC−V−50−450」)にて、温度120℃、圧力26kg/cm、プレス時間20分の条件でプレスした。このようにして得られたサンプルのポリプロピレン系樹脂層を含む層を剥離層とし、ポリエステル系樹脂層を含む層を被剥離層として、図3に示すようにフィルムの端部の一部分を層間剥離した後、縦10mm横100mmの測定用サンプルを切り出した。なお、上記サンプルの「縦」はフィルムの流れ方向、「横」はフィルムの幅方向を表す。そして、得られたサンプルを、図4に示すように引張り速度200mm/minで180度方向に剥離させた場合の強度を剥離試験機(Peeling TESTER HEIDON−17、新東科学社製)を用いて測定し、強度が0.1N/mm以上である場合は○、強度が0.1N/mm未満である場合は×として評価を行った。なお、接着強度が極めて高いため、サンプル作製時にフィルムが剥離できなかった場合(サンプルが作製できなかった場合)は、「剥離不可」として○とした。また、図3、図4では、接着層を省略した。
(120℃,30分処理での耐可塑剤性評価)
実施例及び比較例で得られた壁紙用防汚フィルムの任意の10点の個所から適当な大きさのサンプルを切り出した。次いで、壁紙防汚フィルムのポリエステル系樹脂層と塩化ビニル壁紙の塩化ビニル層を重ね合わせ、プレス機(名機製作所製、「MHPC−V−50−450」)にて、温度120℃、圧力26kg/cm、プレス時間30分の条件でプレスした。このようにして得られたサンプルを(120℃,20分処理での耐可塑剤性評価)の場合と同様にして、180度方向に剥離させた時の強度を剥離試験機(Peeling TESTER HEIDON−17、新東科学社製)を用いて測定し、強度が0.1N/mm以上である場合は○、強度が0.1N/mm未満である場合は×として評価を行った。なお、接着強度が極めて高いため、サンプル作製時にフィルムが剥離できなかった場合(サンプルが作製できなかった場合)は、「剥離不可」として○とした。
Figure 2009208446
実施例1〜8で得られた壁紙用防汚フィルムは、初期接着強度、耐可塑剤性の何れの場合も充分な接着強度を有していた。これは、経時において可塑剤がブリードした場合においても、よほどの力を掛けない限り、ポリエステル系樹脂層とポリプロピレン系樹脂層が剥離しないということを意味しており、実施例1〜8で得られた壁紙防汚フィルムにおけるポリエステル系樹脂層とポリプロピレン系樹脂層との接着強度は実用上充分であるといえる。これに対して、比較例で得られた壁紙防汚フィルムは、経時における接着強度の低下が著しく、耐可塑剤性が低いものであることが分った。
本発明によれば、有機溶剤を使用せず、共押出成形等の方法によって製造することができ、かつ、塩化ビニル層に高沸点の可塑剤が含まれている場合であっても、強力な接着力を維持し、防汚性及びアンチブロッキング性に優れる壁紙用防汚フィルム及び壁装材を提供することができる。
初期接着強度評価におけるフィルムの剥離状態を示す図である。 初期接着強度評価におけるフィルムの接着強度測定状態を示す図である。 耐可塑剤性評価におけるフィルムの剥離状態を示す図である。 耐可塑剤性評価におけるフィルムの接着強度測定状態を示す図である。
符号の説明
1 ポリプロピレン系樹脂層
2 ポリエステル系樹脂層
3 塩化ビニル壁紙

Claims (3)

  1. 結晶性ポリプロピレン系樹脂からなるポリプロピレン系樹脂層と、スルホン基含有ポリエステル系樹脂からなるポリエステル系樹脂層とが接着層を介して積層された壁紙用防汚フィルムであって、
    前記ポリエステル系樹脂層を構成する樹脂全体に対して、スルホン基を1.2モル%以上含有する
    ことを特徴とする壁紙用防汚フィルム。
  2. 接着層は、極性基を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の壁紙用防汚フィルム。
  3. 請求項1又は2記載の壁紙用防汚フィルムと塩化ビニル壁紙とからなることを特徴とする壁装材。
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