JP2009191205A - 脂肪酸エステルの製造方法および脂肪酸エステル製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】油脂類とアルコール類とのエステル交換反応により脂肪酸エステルを製造する方法において、脂肪酸エステル生成工程(A工程)、および陰イオン交換体再生工程(B工程)を行う単位2,3,4を複数有し、単位2,3,4の1以上でA工程を行う間、単位2,3,4の他の1以上でB工程を行うものであり、各々の単位2,3,4内でA工程とB工程とを交互に行うことにより連続的に脂肪酸エステルを生成し、A工程は油脂類およびアルコール類を油脂類、アルコール類及び脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体に接触させる工程を含み、B工程は陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう再生工程を含むようにする。
【選択図】図1
Description
さらに、本発明者らは、不活性形の発生による触媒層の活性低下はカラム入り口付近が特に顕著であり、この部分を優先的に活性形に再生することによって再生工程を効率化することができ、一方、カラム後方部分には比較的高密度で活性形が存在するため、引き続きエステル化反応に供することで、残余の活性形をエステル化反応に有効に利用することが可能となることを見出し、本発明を完成した。
(1)前記陰イオン交換体を弱酸溶液により洗浄する置換工程と、
(2)アルカリ溶液により、該置換工程で洗浄した陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう活性化工程と、
(3)活性化工程で対イオンの置換を行なった陰イオン交換体を溶媒により膨潤させる膨潤工程とを有する
ことが好ましい(請求項2)。
2以上の口を形成された容器であって、前記油脂類、アルコール類および脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体を内部に有し、脂肪酸エステル生成反応(A反応)、および陰イオン交換体再生反応(B反応)が行われる複数の容器と、
前記容器の1以上で前記A反応が行われる間、前記容器の他の1以上で前記B反応が行われるよう制御する機構と、
各々の前記容器内でA反応とB反応を交互に行うよう制御する機構と、
前記容器で前記A反応が行われる時に、前記容器の一方の口から前記油脂類およびアルコール類を流入させ、他方の口から生成した脂肪酸エステルを流出させる機構と
を備えたことを特徴とする、脂肪酸エステル製造装置に存する(請求項3)。
また、本発明の脂肪酸エステル製造装置は、前記接続に追加される容器が有する陰イオン交換体の総体積と、前記接続から外される容器が有する陰イオン交換体の総体積とが、実質的に等しいことが好ましい(請求項7)。
(1)反応が連続的に行われ、効率的である。
(2)生成物と触媒の分離工程が不要である。
(3)触媒再生のための装置を要さない。
(4)触媒をカラムから取り出すことなく反応及び再生工程に供される。
(5)活性が低下した触媒部分のみ再生することができ、再生薬剤の効率がよい。
A工程では、少なくとも、油脂類およびアルコール類を陰イオン交換体に接触させる工程を行う。通常、陰イオン交換体が保持された容器(単位)に油脂類及びアルコール類を流通させることで前記の接触を行う。これにより、陰イオン交換体の存在下、油脂類とアルコール類とが反応し、脂肪酸エステルが生成する。
本発明に係る陰イオン交換体は、A工程において不均相触媒として作用するものであり、原料である油脂類およびアルコール類、並びに、生成物である脂肪酸エステルに不溶性のものであればその種類は任意である。なお、ここで油脂類、アルコール類、及び脂肪酸エステルに不溶性であるとは、陰イオン交換体が油脂類、アルコール類、及び脂肪酸エステルに対して実質的に溶解しないことをいう。例えば、クロマトグラフィー等の分析装置を用いて数ppmレベルの溶出物が確認される程度のものが該当し、ジビニルベンゼン等で架橋されたポリスチレン、及び、ポリアクリル酸、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル、フェノール樹脂等の合成高分子;セルロース等の天然に生産される多糖類の架橋体等を担体(ベース)としたイオン交換体が挙げられる。中でも合成高分子が好ましく、架橋ポリスチレンが更に好ましい。
本発明に係る強塩基性陰イオン交換樹脂の例を市販品の中で挙げると、例えば、ダイヤイオンSA20A(三菱化学社製)、ダイヤイオンSA21A(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA308(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA306S(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA408(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA412(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA418(三菱化学社製)、ダイヤイオンHPA25(三菱化学社製)などを用いることができる。
なお、本発明に係る陰イオン交換体は、使用後、B工程において再生され、再度使用されることになる。
油脂類は本発明の製造方法における反応基質のひとつである。油脂類の種類に制限は無く、例えば、天然油脂、合成油脂及びこれらの混合物などを任意に用いることができる。その具体例を挙げると、大豆油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、米糠油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、オリーブ油、サフラワー油、ココナッツ油、カシ油、アーモンド油、クログルミ油、アンズの仁油、ココアバター油、大風子油、紅花油、シナ脂、アマニ油、綿実油、ナタネ油、キリ油、ヒマシ油、綿実ステアリン、ゴマ油等の植物系油脂;ラード油、ニワトリ油、バター油、タラ肝油、鹿脂、イルカ脂、イワシ油、サバ油、馬脂、豚脂、骨油、羊脂、牛脚油、ネズミイルカ油、サメ油、マッコウクジラ油、鯨油、牛脂、牛骨脂などの動物系油脂;レストラン、食品工場、一般家庭等から廃棄される植物油;などが挙げられる。また、これらの油脂類を単独あるいは混合した油脂、ジグリセリドやモノグリセリドを含む油脂、合成されたトリグリセリド、モノグリセリド及び/又はジグリセリドを含む合成トリグリセリド、並びに、これらの油脂類の一部を酸化又は還元等の処理をして変性した変性油脂も用いることができる。さらに、これらの油脂類を主成分とする油脂加工品及び廃品油脂類も反応基質として使用することができる。なお、油脂類は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルコール類は本発明の製造方法における反応基質のひとつである。アルコール類の種類にも制限は無く、任意のものを用いることができる。
ただし、アルコール類の中でも、炭素数が、通常8以下、好ましくは5以下のものが好適に用いられる。炭素数が大きすぎると反応混合物からの分離回収が難しいなど操作上の難点を生むとともに本発明の構成要素である置換工程の効率を阻害する可能性があるためである。なお、炭素数の下限は、1以上である。
中でも、入手の容易性及び得られる脂肪酸エステルの利用性の観点から、メタノール及び/又はエタノールを使用することが好ましい。
なお、本発明の製造方法において、アルコール類は、油脂類を加アルコール分解(エステル交換反応)する反応基質として作用するほか、油脂類の希釈や粘度を調節するための溶媒作用も併せ有するものである。
反応に供するアルコール類のモル数に対する油脂類のモル数の比率は、脂肪酸エステルの生成反応が進行する限り任意であるが、通常1/30以上、中でも1/20以上、更には1/15以上が好ましく、また、通常1/1以下、中でも1/2以下、更には1/3以下が好ましい。油脂類の量が多すぎると相対的にアルコール量が少なくなり、結果的に反応物の容量が著しく少なくなるなど、良好に反応を行なうことができなくなる可能性がある。一方、油脂類が少な過ぎても平衡反応が加アルコール分解側に進まず、また、アルコール類に溶解しない油脂類単独の相が生成し、二相系となる場合があり、十分な反応速度を得ることができなくなる可能性がある。油脂類とアルコール類は、両者の混合物として均一相を形成することが好ましい。
エステル交換反応において、原料である油脂とアルコール類以外に、反応を阻害しない物質を共存させてもよい。このような物質の例を挙げると、油脂並びにアルコール類と混和し、均一相を形成する物質として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類などがあげられる。
反応温度は、脂肪酸エステルの生成反応が進行する限り、任意である。ただし、通常10℃以上、好ましくは30℃以上であり、また、通常100℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下である。更にその中でも、室温(25℃)付近において、穏やかに反応を進行させることがより好ましい。反応温度が高すぎると陰イオン交換体の耐熱性が不足する可能性があり、また、生成物が着色する可能性がある。一方、反応温度が低すぎると反応速度が小さく十分な生産性が得られない可能性があるためである。
上述したA工程によれば、以下のような利点のうち、1又は2以上を得ることができる。
(i)均相アルカリ触媒の課題である触媒分離の工程を削除できる。
(ii)使用する強塩基性陰イオン交換体当たりの脂肪酸エステルの生成量が大きい。
(iii)時間当たりの脂肪酸エステルの生成量が大きい。
(iv)油脂類を高濃度で使用できるので生産性が大きい。
(v)陰イオン交換体は複合金属酸化物よりも一般に安価であり、触媒活性も安定している。
(vi)陰イオン交換体は性能が劣化した場合でも、交換基の再生が容易である。
(vii)特に、本発明に係る強塩基イオン交換樹脂は触媒活性の経時的な低下率が低い。
B工程では、少なくとも、前記陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう再生工程を行う。これにより、A工程で使用されることにより活性を失った陰イオン交換体を再生させて、再度A工程に使用できるようにすることができる。また、B工程では、前記再生工程以外の工程を行ってもよい。B工程で行う陰イオン交換体の再生方法の例としては、下記の例が挙げられる。
陰イオン交換体の再生方法の例としては、以下の(1)置換工程、(2)活性化工程、及び、(3)膨潤工程を行なう方法を挙げることができる。
(1)脂肪酸エステルの製造に使用した陰イオン交換体を弱酸溶液により洗浄する置換工程。
(2)アルカリ溶液により、置換工程で洗浄した陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう活性化工程。
(3)活性化工程で対イオンの置換を行なった陰イオン交換体を溶媒により膨潤させる膨潤工程。
また、本発明の再生方法では、必要に応じて、置換工程、活性化工程及び膨潤工程以外の工程を行なうことも可能である。
本例の置換工程では、脂肪酸エステルの製造に使用した陰イオン交換体を弱酸溶液により洗浄する。これにより、陰イオン交換体に付着した油脂類が除去される。また、A工程においては、エステル交換反応と平衡して加水分解反応も生じ、これにより、遊離脂肪酸が生成する。置換工程では、この遊離脂肪酸も洗浄することができる。即ち、これらの陰イオン交換体に吸着された脂肪酸イオンを弱酸溶液により低級の弱酸イオンに置換して、除去することができるのである。また、置換工程では、溶媒置換を行なう意味合いもある。
本例の活性化工程では、置換工程で洗浄した陰イオン交換体を、対イオンの置換を行うことにより、そのイオン形を低級カルボン酸形などの弱酸形から水酸化物形に再生する。これにより、陰イオン交換体の触媒活性が回復する。
対イオンの置換のためにはアルカリ溶液を用いる。このアルカリ溶液としては、通常は水酸化アルカリの水溶液または低級アルコール溶液が用いられる。なお、アルカリ溶液は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
水酸化アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどが用いられ、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。水酸化アルカリの濃度は通常0.1モル/L以上、好ましくは0.3モル/L以上であり、通常5モル/L以下、好ましくは2モル/L以下である。
水酸化アルカリの使用量は、系内に充填された陰イオン交換体の交換容量に対して、通常0.1倍量以上、好ましくは0.5倍量以上であり、通常10倍量以下、好ましくは5倍量以下である。また、活性化工程に要する時間は、通常0.1時間以上、2時間以下である。なお、水酸化アルカリが水溶液として使用される場合には、活性化工程の前後に系内を水洗してもよい。
本例の膨潤工程では、活性化工程で対イオンの置換を行なった陰イオン交換体を溶媒により膨潤させる。本発明に係る陰イオン交換体を両親媒性である環境で膨潤させることにより、水系再生(置換)工程には直接混和しない非水系である脂肪酸エステル反応系に当該陰イオン交換体を移行させることができる。このため、陰イオン交換体の触媒活性が高まって、脂肪酸エステルの生産効率を向上させることが可能になる。
上述したB工程においては、陰イオン交換体の再生が可能である限り、上述した置換工程、活性化工程、膨潤工程の工程前、工程中及び工程後のいずれかの時点において、その他の工程を行なってもよい。
また、上記の各工程において、通液方向は系の上下いずれの方向から行ってもよい。
本発明の脂肪酸エステルの製造方法は、前述のA工程及びB工程を行う単位を複数有し、前記単位の1以上でA工程を行う間、単位の他の1以上でB工程を行うものである。そして、各々の単位内でA工程とB工程とを交互に行うことにより、連続的に脂肪酸エステルを生成させる。
なお、A工程を経る単位のグループとB工程を経る単位のグループは、同じであっても異なっていても良いが、各グループの単位に存在する陰イオン交換体の総和が等しくなっていることが好ましい。
即ち、本発明の製造装置は、
(I)2以上の口を形成された容器であって、油脂類、アルコール類および脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体を内部に有し、脂肪酸エステル生成反応(A反応。上述したA工程に対応する。)、および陰イオン交換体再生反応(B反応。上述したB工程に対応する。)が行われる複数の容器と、
(II)前記容器の1以上でA反応が行われる間、前記容器の他の1以上でB反応が行われるよう制御する機構(第一機構)と、
(III)各々の前記容器内でA反応とB反応を交互に行うよう制御する機構(第二機構)と、
(IV)前記容器で前記A反応が行われる時に、前記容器の一方の口から前記油脂類およびアルコール類を流入させ、他方の口から生成した脂肪酸エステルを流出させる機構(第三機構)と
を備えていることが特徴である。
(V)前記容器で前記B反応が行われる時に、前記容器の一方の口から弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を流入し、他方の口から前記弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を含む排出液を流出させる機構(第四機構)、並びに、
(VI)A反応が行われる2以上の容器を一方の口と他方の口とを通じて直列に接続するとともに、接続された容器でB反応を行う際に前記接続から当該容器を外し、接続されていない容器でA反応を行う際に前記接続に当該容器を追加する機構(第五機構)、
のいずれか1以上を備えているものが挙げられる。
さらに、前記接続に追加される容器が有する陰イオン交換体の総体積と、前記接続から外される容器が有する陰イオン交換体の総体積とが、実質的に等しいものが好ましい。ここで陰イオン交換体の総体積が実質的に等しいとは、脂肪酸エステル生成反応量が変化しない程度に、追加される陰イオン交換体、および外される陰イオン交換体のイオン交換量が等しいことをいう。
容器は、2以上の口があるものを用いる。本発明の製造装置は流通式であることが好ましいという観点から、通常は容器としてカラムを用いる。この容器は内部に陰イオン交換体を有し、本発明の製造方法においてA工程及びB工程を行う単位を構成する。以下、カラムを例にして詳述する。
カラムの内径は、通常0.01m以上、好ましくは0.3m以上であり、通常5m以下、好ましくは2m以下である。カラム内径が小さすぎると触媒の充填が困難であり、カラム内径が大きすぎると触媒の充填が不均一となってエステル化反応が非効率である。
カラムの配置は任意であるが、少なくとも2本以上のカラムがA反応を行う反応器として直列に連結され、別途少なくとも1本以上のカラムがB反応を行うべく再生工程に供されるように、切り替えバルブを経由して配管接続されることが好ましい。
原料である油脂類とアルコール類は混合状態、或いは独立にカラム入口に供給される。油脂類と低級アルコール類の合計の供給速度は、触媒1Lあたり、通常0.1kg/時間以上、好ましくは0.5kg/時間以上であり、通常50kg/時間以下、好ましくは30kg/時間以下である。
また、反応温度等の反応条件は、A工程の説明の項で記載したのと同様である。
A反応、即ち脂肪酸エステル生成反応(エステル交換反応)は、少なくとも2本以上の活性形の触媒を充填したカラムを、一方の口と他方の口を通じて直列に接続して行うことが好ましい。この場合、反応生成物は最下流のカラムの出口から採取される。A反応が行われている間に、別のカラムにおいて、活性の低下した陰イオン交換体の再生(B反応)を同時に行う。
B反応の条件は、B工程の説明の項で記載したのと同様である。
通液方向はカラムのいずれの口からでもよい。
前項のB反応が完了した後、A反応に使用されていたカラムのひとつを、前記の直列に接続された反応系より切り離し、配管を切り替えてB反応に供する。この際、切り離すカラムは、直列に接続されていたカラムのうち最上流にあるものを切り離すことが好ましい。最上流のカラム内の陰イオン交換体はA反応に用いられたカラムのうちで最も活性を失っているためである。なお、ここで上流及び下流とは、A反応にかかる流体(油脂類、アルコール類及び脂肪酸エステル等)の流れの上流及び下流を指す。
同時にB反応を終えたカラムを、前記のようにA反応に使用するため接続されたカラムの反応系に接続して、エステル交換反応器の一部として使用する。この際、新たに接続するカラムは、直列に接続された一連のカラムからなるエステル交換反応器の最下流に接続することが好ましい。反応が最も完結された純度の高い生成物を最下流で得るためである。
これら一連の操作はバルブ切り替えなどにより同時に短時間で完了するので、A反応(エステル交換反応)は実質上中断することなく継続することができる。
反応器の出口より得られた液相は、通常、脂肪酸エステル層とグリセリン層に成層分離する。なお、前記分離を促進するため遠心分離を利用することもできる。脂肪酸エステル層は、要すれば水洗浄、アルカリ洗浄、吸着剤処理等をして、更にアルコール類を除去して製品化される。吸着剤としては、活性炭、酸性白土、珪藻土などが使用できる。一方、グリセリン層は比重差によって分離され、公知の方法にてグリセリンが回収される。
以下、図面を用いて、本発明の脂肪酸エステルの製造装置及び製造方法の一実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更して実施できる。
なお、配管11,12,13にはそれぞれバルブ14,15,16が設けられていて、コントローラ100がこれらバルブ14,15,16の開閉を制御することにより、配管11,12,13を通じて流体が流れるか否かが制御されるようになっている。
(1)反応が連続的に行われ、効率的である。
(2)生成物と触媒の分離工程が不要である。
(3)触媒再生のための装置を要さない。
(4)触媒をカラムから取り出すことなく反応及び再生工程に供される。
(5)活性が低下した触媒部分のみ再生することができ、再生薬剤の効率がよい。
例えば、回収槽8に回収された脂肪酸エステル及びグリセリンを洗浄する洗浄系として洗浄用カラム、乾燥させる乾燥系として乾燥用カラムなどを設けてもよい。
また、例えば、カラム2,3,4の数を増減させたり、カラム2,3,4の一部又は全部の接続を必要に応じて並列にしたりしてもよい。
また、例えば、再生液としてのアルカリ溶液と共に、洗浄液である弱酸溶液を用いるようにしてもよい。
また、例えば、回収槽20に回収された廃液に含まれる油脂類及び脂肪酸エステル等を分離、回収する回収系を設けるようにしてもよい。
2,3,4 カラム
5 基質槽
6,9,11,12,13,18,21 配管
7,10,14,15,16,19,22 バルブ
8,20 回収槽
17 再生液槽
Claims (7)
- 油脂類とアルコール類とのエステル交換反応による脂肪酸エステルの製造方法であって、
脂肪酸エステル生成工程(A工程)、および陰イオン交換体再生工程(B工程)を行う単位を複数有し、
前記単位の1以上で前記A工程を行う間、前記単位の他の1以上で前記B工程を行うものであり、
各々の単位内で前記A工程と前記B工程とを交互に行うことにより、連続的に脂肪酸エステルを生成し、
前記A工程は、前記油脂類およびアルコール類を、前記油脂類、アルコール類および脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体に接触させる工程を含み、
前記B工程は、前記陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう再生工程を含む
ことを特徴とする、脂肪酸エステルの製造方法。 - 前記B工程が、
(1)前記陰イオン交換体を弱酸溶液により洗浄する置換工程と、
(2)アルカリ溶液により、該置換工程で洗浄した陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう活性化工程と、
(3)活性化工程で対イオンの置換を行なった陰イオン交換体を溶媒により膨潤させる膨潤工程とを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の脂肪酸エステルの製造方法。 - 油脂類とアルコール類とのエステル交換反応を用いた脂肪酸エステル製造装置であって、
2以上の口を形成された容器であって、前記油脂類、アルコール類および脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体を内部に有し、脂肪酸エステル生成反応(A反応)、および陰イオン交換体再生反応(B反応)が行われる複数の容器と、
前記容器の1以上で前記A反応が行われる間、前記容器の他の1以上で前記B反応が行われるよう制御する機構と、
各々の前記容器内でA反応とB反応を交互に行うよう制御する機構と、
前記容器で前記A反応が行われる時に、前記容器の一方の口から前記油脂類およびアルコール類を流入させ、他方の口から生成した脂肪酸エステルを流出させる機構とを備えた
ことを特徴とする、脂肪酸エステル製造装置。 - 前記容器で前記B反応が行われる時に、前記容器の一方の口から弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を流入させ、他方の口から前記弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を含む排出液を流出させる機構を備えた
ことを特徴とする、請求項3に記載の脂肪酸エステル製造装置。 - 前記A反応が行われる2以上の容器を一方の口と他方の口とを通じて直列に接続するとともに、
接続された容器で前記B反応を行う際に前記接続から当該容器を外し、接続されていない容器で前記A反応を行う際に前記接続に当該容器を追加する機構を備えた
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の脂肪酸エステル製造装置。 - 前記B反応を行うべく前記接続から容器を外す際には前記接続の最上流の容器を外すとともに、前記A反応を行うべく前記接続に容器を追加する際には前記接続の最下流に容器を接続する機構を備える
ことを特徴とする、請求項5記載に記載の脂肪酸エステル製造装置。 - 前記接続に追加される容器が有する陰イオン交換体の総体積と、前記接続から外される容器が有する陰イオン交換体の総体積とが、実質的に等しい
ことを特徴とする、請求項5または6に記載の、脂肪酸エステル製造装置。
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