JP2009191004A - 成長因子を含有するリポソームを含む皮膚外用剤及びその製造方法 - Google Patents

成長因子を含有するリポソームを含む皮膚外用剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】老化防止効果、育毛効果に優れた皮膚外用剤の成分として最適である成長因子をリポソーム中に固定化させた成長因子固定化リポソーム並びにその化粧料さらにその製造方法の提供。
【解決手段】老化防止効果、育毛効果に優れた皮膚外用剤の成分として最適である成長因子(繊維芽細胞増殖因子等)をリポソーム中に固定化させることにより成長因子固定化リポソームを調製する製造方法、並びに、この成長因子固定化リポソームを皮膚外用剤に含有させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、化粧品分野における成長因子を含有するリポソームを含む皮膚外用剤及びその製造方法に関する。より詳しくは、細胞を増殖、活性化させる成長因子をリポソーム中に含有させた成長因子固定化リポソームを含む皮膚外用剤及びその製造方法に関する。
リン脂質の自己組立(self-assembling process)により生成されるリポソームは、リン脂質分子の疎水性二重層で遮断された内部の水相を有する水分散型コロイド粒子である。リポソームは、1965年に人工生体膜研究のために試みられ(非特許文献1)、以後、医薬伝達体(drug delivery carriers)として1970年代から今まで研究されてきている。リポソームのコロイド、表面、医薬伝達体及び化学的性質を基盤として多様な製品が開発され、このうち医薬分野では、抗菌剤、抗ガン剤、ワクチン開発等があり、化粧品分野では、スキンケア製品とヘアコンディショニング製品等に応用された。
リポソームは、カプセル的性質を用いて疎水性脂質二重層間に疎水性化合物を捕獲する。あるいは、水相内部に親水性化合物を捕獲することによって、各種物質をカプセル化する伝達体として使われる。リポソームは、それ自体として、難溶性を示すか治療的投与量で許容されない毒性を持つ化合物を自体内に捕獲することで、毒性を低減し、長期的に生理活性物質を伝達するにも有用である。
一方、微小化したリポソームを製造する方法は、大きく2種類に分けられる。
第一は、脂質分子の自己組合(self-assembly)現象を用いて自発的にリポソームを形成する方法であって、例えば、水素イオン濃度の調節及び界面活性剤の添加による自発的小胞製造法、混合ミセル系から界面活性剤除去による小胞形成法が挙げられる。先ず、水素イオン濃度の調節による自発的小胞製造法は、水素イオン濃度によって溶解度が異なる特定のリン脂質類に限定される方法であって、リポソーム内部の水素イオン濃度と外部の水素イオン濃度の差をおいてリポソーム内部及び外部の曲率を異ならせて自発的に微小なリポソームを製造することが特徴であるが、一般的に、リポソームを製造するのに最も多く使われているホスファチジルコリン系のリン脂質類には使用できないという短所がある。また、界面活性剤の添加により微小なリポソームを製造する方法は、界面活性剤を除去できる別の設備が必要となり、大量調製が困難であり、製造時間が長いという短所がある。
第二に、押出、フレンチプレス(French press)、高圧乳化、超音波処理等の方法で、機械的な力やエネルギーを通じて水和及び膨潤された巨大なリポソームを微小化させる製造法である。この製造方法は、巨大なリポソームを作る第1工程と、これを微小化させる第2工程とを含む。先ず、第1工程では、脂質を揮発性有機溶媒に溶かした後、溶媒を減圧乾燥し、容器内壁に脂質等よりなる薄膜を形成させ、水性分散溶媒を加え、脂質膜を水和及び膨潤させることにより、リポソームを製造する。水和膨潤後のリポソームは、多層小包体であり、粒子のサイズが数〜数百ミクロンと比較的大きいことから、これを微小化するために、機械的な力やエネルギーを加える第2工程を進行するようになる。第2工程は、エネルギーを加える方式と形態が異なるだけで、粒径を微小化させるために高いエネルギーを加える点において両者は同一である。
リポソーム作成法の例として、ホスファチジルコリン等の膜構成脂質成分を水溶液中に55度にて攪拌しながら添加、混合して、さらに超音波処理することによりリポソーム懸濁液を得ることが報告されている(特許文献1)が、成長因子固定化リポソームについては、これまで報告されてこなかった。
さらに、リポソーム形成には、脂質膜水和法が広く知られている(非特許文献2)。すなわち、フォスファチジルコリン、コレステロール等の脂質をエタノールに丸底フラスコ中に溶解させる。その後、乾燥窒素を吹き付けることにより、溶媒を蒸発させ、脂質フィルムを作成する。得られた脂質フィルムを緩衝水溶液中に導入し、超音波照射下あるいは非照射下化で攪拌することにより数百ナノメートルの直径を有するリポソームを調製することが報告されている(非特許文献3)。しかしながら、これまで成長因子固定化リポソームの作成を試みられてこなかった。
一方、細胞の増殖、分化を促進させる成長因子の産生を促進させる物質を化粧品中に含有させたものが開発されてきてきる。例えば、ロイヤルゼリー中に含まれる分子量57キロダルトンの糖蛋白質を含有させた育毛促進剤は、血管内皮増殖因子(VEGF)を産生促進し、これにより内皮細胞***促進活性を促し、これにより血管新生につながる管腔形成を促すことにより育毛を促進させることが報告されている(特許文献2)。
また、上皮細胞成長因子(epidermal growth factor, EGF)を有効成分とし、酸性高分子であるカルボキシビニルポリマーを基剤に用いたEGF製剤を製造し、皮膚外用剤並びに化粧品として、有用に使用することが報告されている(特許文献3、特開2003−523399)。
しかしながら、これまでに成長因子をリポソーム化させた化粧品は開発されてこなかった。この原因として、成長因子が高価であり、成長因子をリポソーム化させた時の成長因子の固定化効率が低く成長因子を浪費してしまう恐れがあるためである。さらに、成長因子をリポソーム化させることを考えたときに、機械的な力やエネルギーを成長因子含有水溶液に加えることにより、蛋白質よりなる成長因子の変性を引き起こしてしまうことが予想されるためである。すなわち、成長因子含有リポソーム中の成長因子の生物活性は著しく減少してしまう恐れがあるからである。従って、機械的な力やエネルギーを成長因子に負荷させずに、成長因子含有リポソームを製造することが望まれてきた。
一方、エタノールに脂質を溶かした後、徐々に水性分散溶媒に添加し、微小なリポソームを製造する方法も開発されているが、高価な成長因子を用いてリポソーム化成長因子の作成は試みられてこなかった。この原因は、水性分散溶媒中に成長因子を大量に溶解させなければならず、さらに、水性分散溶媒に比べて、リポソームの体積は極微量であり、体積的な計算からは、大部分の成長因子は、リポソーム内にトラップされておらず、水性分散溶媒中に存在すると考えられてきたからである。
もし、成長因子固定化リポソームを調製することが可能であれば、蛋白質であり、高い分子量を有する成長因子を、上皮細胞下の皮膚にも成長因子を運ぶことが可能であり、皮膚の新生並びに若返り、発毛の促進が期待される。
特開2002−145721号公報 特開2001−393777号公報
特開2003−523399号公報
A.D. Bangham, M. M. Standish, J. C. Watkins, J. Mol. Biol. 13 238-252 (1965).
T. Yang, M.-K. Choi, F.-D. Cui, J. S. Kim, S.-J. Chung, C.-K. Shim, D.-D. Kim, J. Control. Release, 120, 169 (2007).
B. Romberg, C. Oussoren, C.J. Snel, W.E. Hennink, G. Storm, Pharm. Res., 24, 2394-2401 (2007).
皮膚の白色化、新生並びに若返り、発毛の促進に優れた効果を発揮する成長因子をリポソームに固定化させて、上記効果をより発揮させる皮膚外用剤並びにその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、以上のような点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、成長因子をリポソームに固定化させた成長因子固定化リポソームは、皮膚の白色化、新生並びに若返り、並びに育毛を促進させる効果を有することを見出した。
本発明により、成長因子固定化リポソームを製造することが可能である。この成長因子固定化リポソームは、容易に製造でき、老化防止効果、育毛効果に優れた皮膚外用剤の成分として最適である。
本発明にかかわる成長因子は、(1)繊維芽細胞成長因子であるFGF-1(酸性FGF:aFGF)、FGF-2(塩基性FGF:bFGF)、FGF-3(int-2)、FGF-4(hst-1/kaposi-FGF)、FGF-5, FGF-6(hst-2), FGF-7(KGF)、FGF-8、FGF-9、FGF-10、(2)血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、(3)肝細胞増殖因子(4)血小板由来増殖因子等である。
リポソームを作成する原料として、好ましくはレシチンを使用する。本発明で用いられるレシチンは、大豆又はタマゴから抽出したもので、炭素数が12〜24個である脂肪酸鎖を有するリン脂質類、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸及びこれらの加水分解されたその他の脂肪酸等の混合物である。抽出されたレシチンの疎水性基を構成する脂肪酸鎖は、二重結合が0〜3個程度平均的に分布する不飽和レシチンで、精製の度合によってホスファチジルコリンの含量が70〜95%に該当する混合物が用いられる。脂肪酸鎖の二重結合は、水や活性酸素により容易に酸化が起きるので、レシチンの化学的安定度を増加させるために、部分的に水添して二重結合の数を減少させたレシチンを使用することも可能である。
より具体的に、本発明に用いられるレシチンは、大豆から抽出されたリン脂質で、ホスファチジルコリンの含量が90〜95%に該当する不飽和レシチンである。全体含量の0.01〜15重量%を使用することができ、好ましくは、0.1〜5重量%を使用する。全体含量の5重量%を超えるレシチンを用いた場合、粘性の高いリポソーム水溶液となり、相分離を引き起こしやすくなり皮膚外用剤としては、外見が劣ることになるからである。また、0.01重量%以下のレシチンを用いた場合には、成長因子の全体濃度が低くなり、皮膚の白色化、新生並びに若返り、発毛の促進効果があまり期待できないためである。
リポソームを安定化させる原料として、コレステロールをレシチン等のリン脂質あたり0〜20重量%添加させることができ、好ましくは、0〜10重量%を使用する。20重量%以上の高濃度のコレステロールの添加は、逆にリポソームを不安定化させる要因となる。
成長因子固定化リポソームの作成方法として、(A)リポソーム形成時に成長因子を固定化させる方法、と(B)リポソームを形成させた後に成長因子を物理吸着により固定化させる方法の2通りが考えられる。(A)リポソーム形成時に成長因子を固定化させる方法では、リン脂質等の脂質をあらかじめエタノールに溶解させてリン脂質含有エタノール溶液を調製し、このリン脂質含有エタノール溶液を成長因子含有水溶液中に投入して乳化させることによりリポソームを調製することが可能である。乳化法としては、リン脂質含有エタノール溶液と成長因子含有水溶液中を機械的に攪拌させる方法と超音波処理を行う方法が可能であるが、成長因子の活性を保持させるためには、機械的に攪拌させる乳化法が通常は好ましい。
さらに、(B)リポソームを形成させた後に成長因子を物理吸着により固定化させる方法、においては、リン脂質等の脂質をクロロホルムに丸底フラスコ中で溶解させ、その後クロロホルムをエバポレーター等により蒸発させて、フラスコ内に脂質膜を作成させる。その後、緩衝溶液をフラスコ内に添加し、機械的あるいは超音波処理により乳化させてリポソームを調製する。その後、このリポソームを成長因子含有水溶液中に投入して、成長因子をリポソーム中に物理吸着させて成長因子固定化リポソームを調製させることも可能である。
リポソーム形成後、10μmから0.1μmのメンブレンフィルターを用いて、リポソームの外形を整えることも可能である。この場合、孔径の大きなメンブレンフィルターから順次孔径の小さなメンブレンフィルターを用いることにより小さな径のリポソームにすることが可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
表1に示す分量でレシチン(シグマ・アルドリッチ・ジャパン株式会社より購入)をエタノール中に溶解した。その後、表1に示す分量の繊維芽細胞成長因子(FGF-1)含有水溶液(1.67μg/mLのFGF-1含有水溶液、エキストラディープエッセンス、株式会社パース製)中に上記のレシチンーエタノール溶液を徐々に加え、機械的に300rpmの速度で30分間常温で攪拌させて繊維芽細胞成長因子固定化リポソームを作成した。その後、孔径5μmのポリカーボネート製メンブレンフィルター(TMTP04700、日本ミリポア社製)で濾過することにより均一な繊維芽細胞成長因子固定化リポソームを作成した。得られた繊維芽細胞成長因子固定化リポソーム水溶液を希釈して、位相差顕微鏡を用いて繊維芽細胞成長因子固定化リポソームの形態観察を行い、繊維芽細胞成長因子固定化リポソーム形成の確認を行った。表1中の試料2で調製した繊維芽細胞成長因子固定化リポソーム水溶液の位相差顕微鏡観察像を図1に示す。球形の繊維芽細胞成長因子固定化リポソーム像を観察することができたことから、球形5μ前後の繊維芽細胞成長因子固定化リポソームが形成されていることが確認された。繊維芽細胞成長因子(FGF-1)は、蛋白質であり、この1次化学構造中には、トリプトファン、フェニルアラニン等の芳香族アミノ酸が含まれ、蛍光を発することが可能である。従って、繊維芽細胞成長因子固定化リポソームの確認には、この繊維芽細胞成長因子固定化リポソーム水溶液の蛍光顕微鏡観察を行うことにより可能である。表1中の試料1−5で調製した繊維芽細胞成長因子固定化リポソーム水溶液の蛍光顕微鏡像を観察したところ、球形の繊維芽細胞成長因子固定化リポソーム像が蛍光像として観察することが可能であった。すなわち、水溶液中よりも、繊維芽細胞成長因子固定化リポソーム上の方が強い蛍光像が観察されたことから、繊維芽細胞成長因子は、リポソーム中に濃縮固定化されていることが明らかとなった。
実施例1の表1中の試料4と同様な方法で繊維芽細胞成長因子固定化リポソームを調製した。その後、孔径0.22μmのポリカーボネート製メンブレンフィルター(GTBP04700、日本ミリポア社製)を用いてろ過した(試料6)。その後、得られたリポソーム水溶液を10倍希釈して、動的光散乱法によりリポソーム形成の確認を行った所、球径100〜200nm前後のリポソームが形成されていることが確認された。繊維芽細胞成長因子固定化リポソームの確認のために、このリポソーム水溶液の蛍光顕微鏡観察を行った所、球形のリポソーム像が蛍光像として観察することが可能であった。すなわち、水溶液中よりも、リポソーム上の方が強い蛍光像が観察されたことから、繊維芽細胞成長因子は、リポソーム中に濃縮固定化されていることが明らかとなった。
レシチン0.25gの代わりに、レシチン0.23gとコレステロール0.02gを用いた以外は、実施例1の表1中の試料4と同様な方法で繊維芽細胞成長因子固定化リポソームを調製した。その後、孔径0.22μmのポリカーボネート製メンブレンフィルター(GTBP04700、日本ミリポア社製)を用いてろ過した(試料7)。
その後、得られたリポソーム水溶液を10倍希釈して、動的光散乱法によりリポソーム形成の確認を行った所、球径100〜200nm前後のリポソームが形成されていることが確認された。繊維芽細胞成長因子固定化リポソームの確認のために、このリポソーム水溶液の蛍光顕微鏡観察を行った所、球形のリポソーム像が蛍光像として観察することが可能であった。すなわち、水溶液中よりも、リポソーム上の方が強い蛍光像が観察されたことから、繊維芽細胞成長因子は、リポソーム中に濃縮固定化されていることが明らかとなった。
レシチン1gを精製水99gに55℃にて攪拌しながら添加、混合した。次に、10分間超音波処理してリポソーム懸濁液を作成した。その後、常温にて、エバポレーターを用いて水分を蒸発させてリポソーム懸濁液量を20gまで濃縮した。その後、このリポソーム懸濁液20gを繊維芽細胞成長因子(FGF-1)含有水溶液(1.67μg/mLのFGF-1含有水溶液、エキストラディープエッセンス、株式会社パース製)80g中に添加、混合した。その後、孔径5μmのポリカーボネート製メンブレンフィルター(TMTP04700、日本ミリポア社製)続いて、孔径0.22μmのポリカーボネート製メンブレンフィルター(GTTP004700、日本ミリポア社製)を用いてろ過した(試料8)。1日間このリポソーム懸濁液をゆるやかに攪拌して、繊維芽細胞成長因子(FGF-1)をリポソーム中に、吸着させた。得られたリポソーム水溶液を10倍希釈して、動的光散乱法によりリポソーム形成の確認を行った所、球径50〜100nm前後のリポソームが形成されていることが確認された。繊維芽細胞成長因子固定化リポソームの確認のために、このリポソーム水溶液の蛍光顕微鏡観察を行った所、球形のリポソーム像が蛍光像として観察することが可能であった。すなわち、水溶液中よりも、リポソーム上の方が強い蛍光像が観察されたことから、繊維芽細胞成長因子は、リポソーム中に濃縮固定化されていることが明らかとなった。
比較例1
FGF-1含有水溶液の代わりに純水を用いた以外は実施例1の表1中の試料4と同様にしてリポソームを調製した(比較試料1)。さらに、この比較試料1を新たに作成し、その後、孔径0.22μmのポリカーボネート製メンブレンフィルター(GTTP004700、日本ミリポア社製)を用いてろ過した(比較試料2)。FGF-1含有水溶液の代わりに精製水を用いた以外は実施例4と同様にしてリポソームを調製した(比較試料3)。
その後、得られたそれぞれのリポソーム水溶液を10倍希釈して、動的光散乱法によりリポソーム形成の確認を行った所、比較試料1の試料では、球形約5μmのリポソーム、比較試料2の試料では、球径100〜200nm前後のリポソーム、比較試料3の試料では、球径50〜100nm前後のリポソームが観察された。これらリポソーム水溶液の蛍光顕微鏡観察を行った所、いかなる蛍光像も観察することができなかった。
実施例1中の試料4、実施例2中の試料6,実施例4中の試料8,比較例1中の比較試料1、比較試料2、比較試料3、比較試料4を用いて皮膚老化抑制効果を検討した。なお、比較試料4は、リポソーム化されていない繊維芽細胞成長因子(FGF-1)含有水溶液(1.67μg/mLのFGF-1含有水溶液、エキストラディープエッセンス、株式会社パース製)を用いた。皮膚老化抑制効果の計測として、米国特許5618544の方法に準じ、真皮中のヒドロキシプロリン量を測定した。ヒドロキシプロリンは、コラーゲン合成に必要なアミノ酸であり、コラーゲン中のアミノ酸全体の10%を占めている。従って、ヒドロキシプロリンは、組織中のコラーゲン量を調べる際のマーカー分子として利用することが可能であり、真皮中のヒドロキシプロリン量の増大は、コラーゲン産生する繊維芽細胞数が増えていることを意味し、皮膚老化の抑制効果として評価することができる。
8名の被験者の前腕部分に、5種類の試料を0.2mLずつ1日2回、60日間塗布した。60日の期間が終了後、各試験部位から2mm分のパンチ生検標本を採取し、真皮中のヒドロキシプロリン量をアミノ酸分析装置により測定した。対照(未処理部分)を基準値(1.0)として、他の測定値を基準化させてヒドロキシプロリン量を計測した結果を表2に示す。また、パンチ生検標本前の皮膚粘弾性を皮膚粘弾性測定装置(MPA580、株式会社インテグラル製)で計測した。ここで、対照(未処理部分)を基準値(1.0)として、他の測定値を基準化させた皮膚粘弾性の結果を表2中に示す。
表2の結果から、試料4、試料6並びに試料8を塗布した皮膚は、比較試料1、比較試料2並びに比較試料3を塗布した皮膚に比べてヒドロキシプロリン量が増大していることが明らかとなった。比較試料4を塗布した皮膚は、比較試料1、比較試料2並びに比較試料3を塗布した皮膚に比べると、ヒドロキシプロリン量は高くなることが明らかとなったが、試料4、試料6並びに試料8を塗布した皮膚に比べて、比較試料4を塗布した皮膚のヒドロキシプロリン量は、低いことが明らかとなった。
また、表2の結果から、試料4、試料6並びに試料8を塗布した皮膚は、比較試料1、比較試料2並びに比較試料3を塗布した皮膚に比べて皮膚の粘弾性が増大していることが明らかとなった。比較試料4を塗布した皮膚は、比較試料1、比較試料2並びに比較試料3を塗布した皮膚に比べると、皮膚の粘弾性は高くなることが明らかとなったが、試料4、試料6並びに試料8を塗布した皮膚に比べて、比較試料4を塗布した皮膚の粘弾性は、低いことが明らかとなった。
以上より、繊維芽細胞成長因子(FGF-1)固定化リポソームは、リポソームのみの水溶液さらには、繊維芽細胞成長因子(FGF-1)水溶液よりも皮膚老化防止効果が高いことが明らとなった。
FGF-1含有水溶液の代わりに繊維芽細胞成長因子(FGF-7, KGF)含有水溶液(0.42μg/mLのFGF-7含有水溶液、エキストラスカルプエッセンス、株式会社パース製)を用いた以外は実施例1の表1中の試料4と同様にしてリポソームを調製した(試料9)。さらに、試料9を新たに作成し、その後、孔径0.22μmのポリカーボネート製メンブレンフィルター(GTTP004700、日本ミリポア社製)を用いてろ過した(試料10)。その後、得られたリポソーム水溶液を希釈して、動的光散乱法を用いてリポソーム形成の確認を行った所、試料9では、球径約5μmのリポソーム、試料10では、球径100〜200nm前後のリポソームが観察された。繊維芽細胞成長因子固定化リポソームの確認のために、このリポソーム水溶液の蛍光顕微鏡観察を行った所、球形のリポソーム像が蛍光像として観察することが可能であった。すなわち、水溶液中よりも、リポソーム上の方が強い蛍光像が観察されたことから、繊維芽細胞成長因子は、リポソーム中に濃縮固定化されていることが明らかとなった。
上記の調製した試料9、試料10、比較試料1、比較試料2、比較試料3、比較試料5の育毛効果を、次の方法で評価した。なお、比較試料5は、リポソーム化されていない繊維芽細胞成長因子(FGF-7, KGF)含有水溶液(0.42μg/mLのFGF-7含有水溶液、エキストラスカルプエッセンス、株式会社パース製)を用いた。
7週齢のC3Hマウス(日本チャールズリバー株式会社)30匹を、基本飼料(MF飼料、オリエンタル酵母工業株式会社)で1週間馴化した。次に、マウスの背部をバリカンおよびシェーバーで刈り取り、剃毛後に1群5匹の6群に分けた。そして、それら群別に試料9、試料10、比較試料1、比較試料2、比較試料3、比較試料5を塗布して、これら試料の育毛効果を評価した。具体的には、1日1回、0.2mLの各試料をガラス棒にて均一に塗布する操作を2週間行った。その後、塗布開始から2週間後の各マウスを写真撮影し、画像処理装置(NIHImage)を用いて、背部皮膚全面積に対する発毛部の面積の割合(発毛率)を算出した。結果を表3に示す。
表3の結果から、試料9と試料10は、比較試料1、比較試料2、比較試料3に比べて育毛活性(育毛効果)があることが明らかとなった。比較試料5は、比較試料1、比較試料2、比較試料3に比べると、育毛活性(育毛効果)が高いことが明らかであるが、試料9と試料10に比べて、比較試料5の育毛活性(育毛効果)は、低いことが明らかとなった。以上より、繊維芽細胞成長因子(FGF-7)固定化リポソームは、リポソームのみの水溶液さらには、繊維芽細胞成長因子(FGF-7)水溶液よりも育毛活性(育毛効果)が高いことが明らとなった。
実施例1に係る試料2で調製したリポソーム水溶液の位相差顕微鏡観察像を示す図である。なお、図中の矢印は、典型的なリポソーム像を示す。

Claims (9)

  1. 成長因子を含有するリポソームを含む皮膚外用剤
  2. 成長因子が繊維芽細胞増殖因子である請求項1の皮膚外用剤
  3. リン脂質を主成分として用いてリポソームを調製した請求項1の皮膚外用剤
  4. レシチンを主成分として用いてリポソームを調製した請求項1の皮膚外用剤
  5. 皮膚外用剤が、化粧品、化粧水、毛髪剤、育毛促進剤、毛髪水、毛髪クリーム、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、アイエッセンス、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、ボディーローション、ボディークリーム、ボディーオイル、ボディーエッセンス、メイカップベース、ファウンデーション、シャンプー、リンス、ボディーソープであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤
  6. リン脂質をエタノールに溶解させてリン脂質含有エタノール溶液を調製し、このリン脂質含有エタノール溶液を成長因子含有水溶液中に投入して乳化させることによりリポソームを調製する製造方法
  7. 成長因子が繊維芽細胞増殖因子である請求項6の製造方法
  8. リン脂質を主成分として用いてリポソームを調製した請求項6の製造方法
  9. レシチンを主成分として用いてリポソームを調製した請求項6の製造方法
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