JP2009190155A - 研磨具 - Google Patents

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昭雄 原田
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Abstract

【目的】数nm〜数十nmの直径を有するカーボンナノチューブを始めとする、カーボンナノ物質を使用し超微細加工ができる研磨具を提供する。
【構成】電子部品の材料であるシリコン等の半導体を始め、鉄鋼、アルミ等の金属製品その他セラミック製の日用品等を精密加工することが要求されている。これらの材料の表面研磨のために、コランダム、ダイアモンド、CBN等の砥粒をバインダーで研磨用基材と結合した研磨具が使用される。しかし、このような砥粒は大きさがミクロンサイズであるため、研磨の加工精度もミクロンサイズが限界である。このような砥粒より小さい粒子として、ミクロンサイズの1/1000である数nm〜数十nmの直径を有するカーボンナノチューブを始めとするカーボンナノ物質が知られている。本件発明の研磨具は、砥粒にカーボンナノ物質を使用するため、研磨対象物をナノサイズの研磨ができ、耐久性に優れる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコン等の半導体、鉄鋼、アルミニウム等の金属製品、その他セラミック製の日用品等を仕上加工する研磨具に関する。
シリコン等の半導体、鉄鋼、アルミニウム等の金属製品、その他セラミック製の日用品等の表面を平滑化するために、コランダム、ダイアモンド、CBN等の砥粒をバインダーで結合した研磨具が使用される。このとき、砥粒と研磨用基材の結合が弱いと、砥粒が研磨パッド等の研磨用基材から離脱して被研磨面に残留する。研磨後に被研磨面を洗浄するが、被研磨面にめり込んだ砥粒を完全に除去することは困難であり、残留した砥粒が腐食の原因になることがある。また、砥粒が研磨用基材から離脱するということは、研磨具の寿命が短縮することを意味する。
砥粒が研磨用基材から離脱しないようにするために、特開2004−337992公報(特許文献1)では、水酸基を有する固定砥粒を開示している。即ち、前記固定砥粒とバインダーを水素結合により強固に結合し、固定砥粒の離脱を防止している。
また、特開2005−193358公報(特許文献2)では、砥粒の半面に磁性を有する金属材料を被覆する方法を開示している。即ち、磁界をかけて、前記被覆面が研磨用基材である台金の方向に向くように配列し、前記被覆面と前記台金をNi−Cr系ろう材等のバインダーで強固に結合することにより固定砥粒の離脱を防止し、金属が被覆されていない面で研磨対象物を研磨する。
特開2004−337992公報 特開2005−193358公報
上記発明にも問題点があった。特許文献1、2とも砥粒の離脱防止には効果がある。しかし、これらの研磨具は砥粒の大きさがミクロンサイズなので、研磨の加工精度もミクロンサイズが限界であり、ミクロンサイズより小さい微細加工ができないという問題がある。即ち、半導体のような精密部品の、ミクロンサイズより小さい傷、溝等の平滑化のための微細加工ができないということである。
このような砥粒より小さい粒子として、ミクロンサイズの1/1000である数nmの直径を有する金属ナノ粒子がある。しかし、金属ナノ粒子は容易に凝集し、数μmの大きさで形状が不規則な2次粒子になるため、半導体のような精密部品の超微細加工の砥粒には不適である。同様に、数nm〜数十nmの直径を有する物質として、カーボンナノチューブを始めとするカーボンナノ物質が知られている。しかし、カーボンナノ物質の応用は現状では、電界電子エミッター、AFMのカンチレバー等限定的なものであり、カーボンナノ物質を砥粒とする研磨具は実用化されていなかった。
本件発明者は、研磨具の砥粒にカーボンナノ物質を使用することを想到して本件発明を完成させたものである。即ち、本発明の目的は、上記の課題に鑑み、カーボンナノ物質を砥粒に使用して、ナノメーター程度の超微細加工が可能な研磨具を提供することである。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、研磨用基材と、多数のカーボンナノ物質と、前記カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を有するようにバインダーで相互に結合する固結部と、前記固結部を前記研磨用基材にバインダーで固定する固着部からなり、前記露出面を研磨面とする研磨具である。
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、前記カーボンナノ物質が、前記研磨用基材に密植状に略直立した研磨具である。
本発明の第3の形態は、前記第1の形態において、前記カーボンナノ物質が、不規則に配向して前記バインダーで相互に結合されている研磨具である。
本発明の第4の形態は、前記第1〜3形態のいずれかにおいて、前記カーボンナノ物質が、カーボンナノチューブ、ブラシ状カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノツイスト、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル、カーボンサブマイクロコイル、カーボンナノスプラウトの1種以上からなる研磨具である。
本発明の第5の形態は、前記第1〜4形態のいずれかにおいて、前記バインダーが樹脂からなる研磨具である。
本発明の第6の形態は、前記第1〜4形態のいずれかにおいて、前記バインダーが金属からなる研磨具である。
本発明の第7の形態は、バインダーを塗着して形成した粘着領域を有する研磨用基材を用意し、基板上に密植状に略直立して形成したカーボンナノ物質の先端部を前記粘着領域に加圧状態で没入し、前記バインダーを固化して前記カーボンナノ物質を前記研磨用基材に固定し、前記カーボンナノ物質を前記基板から分離させて、前記分離面から前記カーボンナノ物質の基端部を一部露出させ、前記分離面を露出面とし、前記露出面を研磨面とする研磨具製造方法である。
本発明の第8の形態は、多数のカーボンナノ物質を密植状に略直立して形成した基板に、前記カーボンナノ物質の少なくとも基端部を埋没させるようにバインダーを加圧状態で滲入させ、前記バインダーを固化して前記カーボンナノ物質を前記基板に固定し、前記カーボンナノ物質の先端部を一部露出させた露出面を形成し、前記基板を研磨用基材として使用し、前記露出面を研磨面とする研磨具製造方法である。
本発明の第9の形態は、多数のカーボンナノ物質が形成した基板を、バインダーを充填させた容器に加圧状態で浸漬させて前記カーボンナノ物質間に前記バインダーを滲入させ、前記カーボンナノ物質及び前記基板を前記容器から取り出し、前記バインダーを固化し、前記カーボンナノ物質を前記基板から分離し、前記カーボンナノ物質と研磨用基材をバインダーで接着、固化して前記カーボンナノ物質を前記研磨用基材に固定し、前記カーボンナノ物質の先端部を一部露出させた露出面を形成し、前記露出面を研磨面とする研磨具製造方法である。
本発明の第10の形態は、多数のカーボンナノ物質が形成した基板から前記カーボンナノ物質を分離し、前記カーボンナノ物質をバインダーに浸漬、攪拌して前記カーボンナノ物質間に前記バインダーを滲入させ、前記カーボンナノ物質及び前記バインダーを研磨用基材に塗布し、前記バインダーを固化して前記カーボンナノ物質を前記研磨用基材に固定し、前記カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を形成し、前記部露出面を研磨面とする研磨具製造方法である。
本発明の第11の形態は、多数のカーボンナノ物質とバインダーからなる混合物を作製し、前記混合物を攪拌し、研磨用基材に塗布し、前記バインダーを固化し、前記カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を有するように前記バインダーを除去し、前記露出面を研磨面とする研磨具製造方法である。
本発明の第1の形態によれば、研磨用基材と、多数のカーボンナノ物質と、前記カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を有するようにバインダーで相互に結合する固結部と、前記固結部を前記研磨用基材にバインダーで固定する固着部からなり、前記露出面を研磨面とする研磨具を提供することができる。固結部は、カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を有するようにバインダーで相互に結合している。カーボンナノ物質の一部露出とは、カーボンナノ物質の先端部や側面等が露出した状態であり、露出した前記カーボンナノ物質を砥粒として使用する。そして、この先端部や側面等の露出部の長さは、自由に設定できる。即ち、ミクロンサイズの1/1000である数nm〜数十nm程度の直径を有するカーボンナノチューブを始めとするカーボンナノ物質を砥粒として使用するので、半導体のような精密部品のナノメーター程度の超微細加工ができる。また、カーボンナノ物質の炭素同士は相互に強固に結合しているため、曲げや引っ張りに非常に強いという性質を有する。そのため、カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を形成し、この露出面を研磨面とすると、前記カーボンナノ物質の欠損はほとんどない。そのうえ、前記カーボンナノ物質は相互にバインダーで結合され、固結部を形成する。前記固結部は前記研磨用基材にバインダーで固定され、固着部を形成する。前記固結部、前記固着部ともバインダーで強固に結合しているため、砥粒である前記カーボンナノ物質がほとんど離脱しない。前記固結部のバインダーと前記固着部のバインダーは、別種でも良いし、同種でも良い。そのため、本形態の研磨具は、超微細加工ができ、耐久性に優れた研磨具である。
本発明の第2の形態によれば、前記カーボンナノ物質が、前記研磨用基材に密植状に略直立した研磨具を提供することができる。本形態の研磨具も、前述のようにカーボンナノ物質を砥粒として使用するので、超微細加工ができ、耐久性に優れた研磨具である。更に、前記研磨用基材に前記カーボンナノ物質が密植状に略直立しているので、前記研磨具の研磨面のあらゆる方向に精度良く研磨対象物を研磨することができる。
本発明の第3の形態によれば、前記カーボンナノ物質が、不規則に配向して前記バインダーで相互に結合されている研磨具を提供することができる。本形態の研磨具も、前述のようにカーボンナノ物質を砥粒として使用するので、超微細加工ができ、耐久性に優れた研磨具である。更に、前記カーボンナノ物質が、不規則に配向しているので、前記研磨具の研磨面のあらゆる方向に研磨対象物を研磨することができる。そのうえ、不規則に配向した前記カーボンナノ物質は略直立したカーボンナノ物質と比較して、形成条件等形成方法を広く選択できるため入手が容易である。そのため、本形態の研磨具は安価で大量生産できるため、製品のコストダウンが図れる。
本発明の第4の形態によれば、前記カーボンナノ物質が、カーボンナノチューブ、ブラシ状カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノツイスト、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル、カーボンサブマイクロコイル、カーボンナノスプラウトの1種以上からなる研磨具を提供することができる。本形態の研磨具も、前述のようにカーボンナノ物質を砥粒として使用するので、超微細加工ができ、耐久性に優れた研磨具である。更に、前記カーボンナノ物質を使用目的、使用頻度等の条件によりカーボンナノチューブ等から選択することができるので、非常に効率的である。
本発明の第5の形態によれば、前記バインダーが樹脂からなる研磨具を提供することができる。本形態の研磨具も、前述のようにカーボンナノ物質を砥粒として使用するので、超微細加工ができ、耐久性に優れた研磨具である。更に、樹脂はセラミック電子部品のペーストに使用される等、使用頻度が高く、一般的な物質である。そのため、入手も容易であり、取扱法も周知であり、製品のコストダウンが図れる。
本発明の第6の形態によれば、前記バインダーが金属からなる研磨具を提供することができる。カーボンナノチューブをはじめとするカーボンナノ物質は、その強度高さからさまざまな応用がおこなわれている。本発明は、その強度の高さを直接利用するものである。カーボンナノチューブなどカーボンナノ物質の高強度な性質から、この研磨具は研磨が困難な高強度材料の研磨に適している。しかし、高強度材料の研磨の際にバインダー部分の磨耗が速いとカーボンナノ物質の脱離が速くなり、研磨具全体の消耗が早くなってしまう。この問題を解決するために、本発明でバインダーに金属を使用することを見出した。バインダーに用いる金属を最適に選ぶことにより、研磨対象に合わせた最適な強度をもつ研磨具を提供することができる。
カーボンナノチューブをはじめとするカーボンナノ物質は、真空または不活性ガス環境で、ほとんどの金属の融点よりも高い耐熱性をしめす。そのため、真空または不活性ガス環境で溶融金属内にカーボンナノ物質を投入しても、カーボンナノ物質はその形態をそのまま保っている。したがって、本発明によればバインダーが金属からなるカーボンナノ物質をふくむ研磨具を容易に提供できる。
本発明の第7の形態によれば、バインダーを塗着して形成した粘着領域を有する研磨用基材を用意し、基板上に密植状に略直立して形成したカーボンナノ物質の先端部を前記粘着領域に加圧状態で没入し、前記バインダーを固化して前記カーボンナノ物質を前記研磨用基材に固定し、前記カーボンナノ物質を前記基板から分離させて、前記分離面から前記カーボンナノ物質の基端部を一部露出させ、前記分離面を露出面とし、前記露出面を研磨面とする研磨具製造方法を提供することができる。カーボンナノ物質の一部露出とはカーボンナノ物質の基端部が露出した状態であり、露出した前記カーボンナノ物質を砥粒として使用する。そして、この基端部の露出部の長さは、自由に設定できる。このため、カーボンナノ物質を砥粒として使用するので、超微細加工ができる研磨具の製造方法である。
更に、電界電子エミッターにカーボンナノ物質を利用する等の要求から、基板にカーボンナノ物質を密植状に略直立して形成する方法が種々研究されているので、それらのうちの最適な方法を使用できる。また、密植状に略直立して形成したカーボンナノ物質の先端部を前記粘着領域に加圧状態で没入し、固化することにより、バインダーの中で一定方向を向いたカーボンナノ物質が製造できる。そのうえ、前記バインダーを加圧することにより前記カーボンナノ物質の間に前記バインダーをより確実に滲入させることができる。本発明で使用する基板上に形成されたカーボンナノ物質は、密度が高いためその隙はナノサイズとなっている。そのため、バインダーで形成した粘着領域に没入しただけではカーボンナノ物質間に十分に滲入しない。そこで、本発明は粘着領域を加圧することによりこの問題を解決した。さらに、カーボンナノチューブをはじめとするカーボンナノ物質は、高い強度をもっている。そのため、加圧により変形することがない。前記バインダーの固化は、加熱、冷却、紫外線照射等前記バインダーに最適な方法で実施し、必要なら、固化したバインダーをエッチング等バインダーに最適な方法で除去する。前記カーボンナノ物質を前記基板から分離させて、前記分離面から前記カーボンナノ物質の基端部を一部露出させ、前記分離面を露出面とし、前記露出面を研磨面とすると、前記研磨面のあらゆる方向に精度良く研磨対象物を研磨することができる。カーボンナノ物質の炭素同士は相互に強固に結合しているため、曲げや引っ張りに非常に強いという性質を有する。そのため、前記カーボンナノ物質である砥粒の欠損はほとんどない。そのうえ、研磨用基材に前記基板とは別の材料を使用するので、研磨対象物により、柔軟性等最適な性質を有する研磨用基材を選択することができる。そして、前記カーボンナノ物質を研磨用基材に固定して、前記基板と前記カーボンナノ物質を分離することにより、研磨面が揃った研磨具を製造することができる。即ち、前記方法の1つで形成されたカーボンナノ物質を使用して、本形態により前記カーボンナノ物質の方向、研磨面が揃った研磨具を製造することができる。
本発明の第8の形態によれば、多数のカーボンナノ物質を密植状に略直立して形成した基板に、前記カーボンナノ物質の少なくとも基端部を埋没させるようにバインダーを加圧状態で滲入させ、前記バインダーを固化して前記カーボンナノ物質を前記基板に固定し、前記カーボンナノ物質の先端部を一部露出させた露出面を形成し、前記基板を研磨用基材として使用し、前記露出面を研磨面とする研磨具製造方法を提供することができる。カーボンナノ物質の一部露出、カーボンナノ物質を砥粒として使用することの効果、及び基板にカーボンナノ物質を密植状に略直立して形成するために公知の方法が使用できることについては前述した通りである。また、密植状に略直立して形成したカーボンナノ物質の少なくとも基端部を埋没させるようにバインダーを加圧状態で滲入させ、前記バインダーを固化するので、前記バインダーの中で一定方向を向き、先端部を一部露出させたカーボンナノ物質が製造できる。本発明で使用する基板上に形成されたカーボンナノ物質は、密度が高いためその隙はナノサイズとなっている。そのため、前述したようにバインダーを単にカーボンナノ物質に流入させただけでは、カーボンナノ物質間に十分に滲入しない。そこで、本発明はバインダーを加圧することによりこの問題を解決した。前記バインダーの固化は、加熱、冷却、紫外線照射等前記バインダーに最適な方法で実施し、必要なら、固化したバインダーをエッチング等バインダーに最適な方法で除去する。このため、前記露出面を研磨面として利用でき、前記研磨面のあらゆる方向に精度良く研磨対象物を研磨することができる。カーボンナノ物質の炭素同士は相互に強固に結合しているため、曲げや引っ張りに非常に強いという性質を有する。そのため、前記カーボンナノ物質である砥粒の欠損はほとんどないし、加圧により変形することがない。更に、多数のカーボンナノ物質を形成した基板を研磨用基材として使用することにより、製造時に必要な部品数、製造工程が減少できるので、製品のコストダウンが図れる。
本発明の第9の形態によれば、多数のカーボンナノ物質が形成した基板を、バインダーを充填させた容器に加圧状態で浸漬させて前記カーボンナノ物質間に前記バインダーを滲入させ、前記カーボンナノ物質及び前記基板を前記容器から取り出し、前記バインダーを固化し、前記カーボンナノ物質を前記基板から分離し、前記カーボンナノ物質と研磨用基材をバインダーで接着、固化して前記カーボンナノ物質を前記研磨用基材に固定し、前記カーボンナノ物質の先端部を一部露出させた露出面を形成し、前記露出面を研磨面とする研磨具製造方法を提供することができる。カーボンナノ物質の一部露出、及びカーボンナノ物質を砥粒として使用することの効果については前述した通りである。更に、多数のカーボンナノ物質が形成した基板を、バインダーを充填させた容器に加圧状態で浸漬させて前記カーボンナノ物質間に前記バインダーを滲入させることで、より確実に前記カーボンナノ物質間にバインダーを滲入させることができる。前記カーボンナノ物質間に滲入するバインダーと、前記カーボンナノ物質と前記研磨用基材を接着、固化するバインダーは、加熱、冷却、紫外線照射等前記バインダーに最適な方法で固化する。必要なら、固化した前記カーボンナノ物質間のバインダーをエッチング等バインダーに最適な方法で除去する。前記カーボンナノ物質間に滲入するバインダーと、前記カーボンナノ物質と前記研磨用基材を接着、固化するバインダーとは、同種でも別種でも良い。このようにして、前記カーボンナノ物質の先端部や側面を一部露出させた露出面を形成し、前記露出面を研磨面として利用できる。カーボンナノ物質の炭素同士は相互に強固に結合しているため、曲げや引っ張りに非常に強いという性質を有する。そのため、前記カーボンナノ物質の加圧時における変形はほとんどないし、前記カーボンナノ物質である砥粒の欠損はほとんどない。そのうえ、研磨用基材に前記基板とは別の材料を使用するので、研磨対象物により、柔軟性等最適な性質を有する研磨用基材を選択することができる。
本発明の第10の形態によれば、多数のカーボンナノ物質が形成した基板から前記カーボンナノ物質を分離し、前記カーボンナノ物質をバインダーに浸漬、攪拌して前記カーボンナノ物質間に前記バインダーを滲入させ、前記カーボンナノ物質及び前記バインダーを研磨用基材に塗布し、前記バインダーを固化して前記カーボンナノ物質を前記研磨用基材に固定し、前記カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を形成し、前記部露出面を研磨面とする研磨具製造方法を提供することができる。カーボンナノ物質の一部露出、及びカーボンナノ物質を砥粒として使用することの効果については前述した通りである。更に、研磨用基材に前記基板とは別の材料を使用するので、研磨対象物により、柔軟性等最適な性質を有する研磨用基材を選択することができる。しかも、多数のカーボンナノ物質が形成した基板から前記カーボンナノ物質を分離し、前記カーボンナノ物質をバインダーに浸漬、攪拌させるので、1つ1つの基板に形成したカーボンナノ物質が研磨具に使用するには不足していても、複数の基板に形成したカーボンナノ物質を使用することにより、十分な密度のカーボンナノ物質を含有する研磨具を製造することができる。前記バインダーの固化は、加熱、冷却、紫外線照射等前記バインダーに最適な方法で実施し、必要なら、固化したバインダーをエッチング等バインダーに最適な方法で除去する。攪拌することで、前記カーボンナノ物質があらゆる方向を向き、前記カーボンナノ物質の先端部や側面を一部露出させた露出面を形成し、前記露出面を研磨面として利用できるので、前記研磨面のあらゆる方向に精度良く研磨対象物を研磨することができる。カーボンナノ物質の炭素同士は相互に強固に結合しているため、曲げや引っ張りに非常に強いという性質を有する。そのため、前記カーボンナノ物質である砥粒の欠損はほとんどない。
本発明の第11の形態によれば、多数のカーボンナノ物質とバインダーからなる混合物を作製し、前記混合物を攪拌し、研磨用基材に塗布し、前記バインダーを固化し、前記カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を有するように前記バインダーを除去し、前記露出面を研磨面とする研磨具製造方法を提供することができる。カーボンナノ物質の一部露出、及びカーボンナノ物質を砥粒として使用することの効果については前述した通りである。更に、1つ1つの基板に形成したカーボンナノ物質が研磨具に使用するには不足していても、複数の基板に形成したカーボンナノ物質を使用することにより、カーボンナノ物質の密度を自由に調製することができる。そのうえ、研磨対象物により、柔軟性等最適な性質を有する研磨用基材を選択することができる。前記バインダーの固化は、加熱、冷却、紫外線照射等前記バインダーに最適な方法で実施し、必要なら、固化したバインダーをエッチング等バインダーに最適な方法で除去する。攪拌することで、前記カーボンナノ物質があらゆる方向を向き、前記カーボンナノ物質の先端部や側面を一部露出させた露出面を形成し、前記露出面を研磨面として利用できるので、前記研磨面のあらゆる方向に精度良く研磨対象物を研磨することができる。カーボンナノ物質の炭素同士は相互に強固に結合しているため、曲げや引っ張りに非常に強いという性質を有する。そのため、前記カーボンナノ物質である砥粒の欠損はほとんどない。そのうえ、カーボンナノ物質を形成した基板からカーボンナノ物質を分離して使用するが、前記基板から分離した前記カーボンナノ物質は形成方法を選択できるため入手が容易である。そのため、本形態の研磨具製造方法で研磨具を安価で大量生産できるため、製品のコストダウンが図れる。
以下に、本発明に係る研磨具及び研磨具製造方法の実施形態を、図面に従い詳細に説明する。
図1は、本発明に係る研磨具の概略構成図である。研磨用基材6に形成された多数のカーボンナノ物質2は、バインダー4により相互に結合して、固結部8を形成する。研磨用基材6と固結部8は、固着部10で固定されている。カーボンナノ物質2は、バインダー4より一部露出させており、この一部露出させた露出面を研磨面として使用する。この研磨具は、カーボンナノ物質2を砥粒として使用するため、超微細加工ができるという特長を有する。なお、カーボンナノ物質2の露出面は、必要により先端部を切り揃える等により、研磨用基材6からの高さを揃えて使用する。
図2は、本発明に係る別形態の研磨具の概略構成図である。カーボンナノ物質2、バインダー4、研磨用基材6、固結部8及び固着部10の構成及び役割は図1と同じであり、超微細加工ができることも同じである。ただ、図1では多数のカーボンナノ物質2が形成された基板を研磨用基材6として使用したが、図2の多数のカーボンナノ物質2は研磨用基材6とは別の基板で形成できることが異なる。そのため、カーボンナノ物質2の形成法や密度の選択範囲が広がる。
図3は、バインダーを固化後にカーボンナノ物質2を基板12から分離する研磨具の製造工程図である。基板12に形成した多数のカーボンナノ物質2と、バインダーを塗着して形成した粘着領域14を有する研磨用基材6を用意する(3A)。電界電子エミッターにカーボンナノ物質を利用する等の要求から、基板12にカーボンナノ物質2を密植状に略直立して形成する方法が種々研究されているから、これらのうちの最適な方法で、カーボンナノ物質2を基板12に形成することができる。そして、カーボンナノ物質2の先端面を粘着領域14に加圧状態で没入させる(3B)。このとき、カーボンナノ物質2の基端部近くまで粘着領域14に没入するのが望ましい。その後、バインダー4を固化してカーボンナノ物質2を研磨用基材6に固定する(3C)。バインダー4の固化は、加熱、冷却、紫外線照射等バインダー4に最適な方法で実施する。その後、カーボンナノ物質2と基板12を分離する(3D)。この方法により、カーボンナノ物質2を一部露出させた露出面を形成し、カーボンナノ物質2を一部露出させた露出面を研磨面とする研磨具が製造できる。しかも、カーボンナノ物質2の研磨用基材6からの位置がほぼ揃った研磨具を製造できる。
図4は、カーボンナノ物質2の少なくとも基端部を埋没させるようにバインダー16を滲入させる研磨具の製造工程図である。この工程では、基板を研磨用基材として使用する。研磨用基材6に公知の方法で形成した多数のカーボンナノ物質2を用意する(4A)。少なくともカーボンナノ物質2の基端部を埋没させるようにバインダー16を加圧状態で滲入させる(4B)。加圧することで、確実にカーボンナノ物質2の隙間に確実にバインダー16が滲入するが、カーボンナノ物質2は高強度なので変形しない。このとき、カーボンナノ物質2の先端部近くまでバインダー16に埋没するのが望ましい。その後、バインダー4を固化してカーボンナノ物質2を研磨用基材6に固定する(4C)。バインダー4の固化は、加熱、冷却、紫外線照射等バインダー4に最適な方法で実施する。特に、カーボンナノ物質2の全部を埋没させても、埋没の程度が僅かなら、バインダーは固化により収縮するため、エッチング等によりバインダー4を除去しなくても、カーボンナノ物質2を一部露出させた露出面を形成することができる場合がある。固化によりカーボンナノ物質2の露出面が形成されないときやカーボンナノ物質2の露出量が不足しているときは、エッチング等バインダー4に最適な方法を使用してバインダー4を除去して、カーボンナノ物質2の露出面を形成する。このようにして、カーボンナノ物質2を一部露出させた露出面を形成し、カーボンナノ物質2の露出面を研磨面とする研磨具が製造できる。
図5は、カーボンナノ物質2を形成した状態で基板12をバインダー16中に浸漬させる研磨具の製造工程図である。基板12に公知の方法で形成した多数のカーボンナノ物質2を用意する(5A)。多数のカーボンナノ物質2が形成した状態で基板12を、バインダー16を貯蔵した容器18中に加圧状態で浸漬し、カーボンナノ物質2間にバインダー16を滲入させる(5B)。多数のカーボンナノ物質2が形成した基板12をバインダー16中に加圧状態で浸漬させることで、カーボンナノ物質2間にバインダー16をより確実に滲入させることができる。十分滲入後、カーボンナノ物質2及び基板12をバインダー16から取り出す(5C)。その後、バインダー4を固化してカーボンナノ物質2を基板12から分離する(5D)。前述のように、バインダー4の固化は、加熱、冷却、紫外線照射等バインダー4に最適な方法で実施する。そして、カーボンナノ物質2と研磨用基材6をバインダー20で接着、固化してカーボンナノ物質2を研磨用基材6に固定する(5E)。バインダー4は固化により収縮するため、エッチング等によりバインダー4を除去しなくても、カーボンナノ物質2を一部露出させた露出面を形成することができる場合がある。しかし、カーボンナノ物質2の露出量が不足していると、エッチング等バインダー4に最適な方法でバインダー4を除去し、カーボンナノ物質2の露出面を形成し、カーボンナノ物質2の露出面を研磨面とする研磨具が製造できる(5F)。研磨用基材6に基板12とは別の材料を使用するので、研磨対象物により、柔軟性等最適な性質を有する研磨用基材6を選択することができる。
図6は、カーボンナノ物質2を形成した基板12から分離しバインダー16中に浸漬させる研磨具の製造工程図である。多数のカーボンナノ物質2を公知の方法で形成した基板12からカーボンナノ物質2を分離する(6A)。この製造方法では、1つの基板に形成したカーボンナノ物質が研磨具に使用するには不足していても、複数の基板に形成したカーボンナノ物質を使用することにより、十分な密度のカーボンナノ物質を含有する研磨具を製造することができる。多数のカーボンナノ物質2を、バインダー16を貯蔵した容器18中に浸漬し、カーボンナノ物質2とバインダー16を攪拌することにより、確実にカーボンナノ物質間2にバインダー16を滲入させる(6B)。その後、カーボンナノ物質2及びバインダー16を容器18から取り出し、研磨用基材6に塗布する(6C)。そして、バインダー4を固化してカーボンナノ物質2を研磨用基材6に固定する(6D)。前述のように、バインダー4の固化は、加熱、冷却、紫外線照射等バインダー4に最適な方法で実施する。バインダー4は固化により収縮するため、エッチング等によりバインダー4を除去しなくても、カーボンナノ物質2を一部露出させた露出面を形成することができる場合がある。しかし、カーボンナノ物質2の露出量が不足していると、エッチング等バインダー4に最適な方法でバインダー4を除去し、カーボンナノ物質2の露出面を形成し、カーボンナノ物質2の露出面を研磨面とする研磨具が製造できる(6E)。研磨用基材6に基板12とは別の材料を使用することができるので、研磨対象物により、柔軟性等最適な性質を有する研磨用基材6を選択することができる。
図7は、カーボンナノ物質2とバインダー16からなる混合物を作製し、前記混合物を攪拌し、研磨用基材に塗布する研磨具の製造工程図である。公知の方法で形成した多数のカーボンナノ物質2を用意する(7A)。多数のカーボンナノ物質2と、バインダー16を混合攪拌し、混合物を作製する(7B)。その後、カーボンナノ物質2及びバインダー16からなる混合物を研磨用基材6に塗布する(7C)。そして、バインダー4を固化してカーボンナノ物質2を研磨用基材6に固定する(7D)。前述のように、バインダー4の固化は、加熱、冷却、紫外線照射等バインダー4に最適な方法で実施する。バインダー4は固化により収縮するため、エッチング等によりバインダー4を除去しなくても、カーボンナノ物質2を一部露出させた露出面を形成することができる場合がある。しかし、カーボンナノ物質2の露出量が不足していると、エッチング等バインダー4に最適な方法でバインダー4を除去し、カーボンナノ物質2の露出面を形成し、カーボンナノ物質2の露出面を研磨面とする研磨具が製造できる(7E)。研磨用基材6に基板12とは別の材料を使用することができるので、研磨対象物により、柔軟性等最適な性質を有する研磨用基材6を選択することができる。カーボンナノ物質2の形状は問題にしないため、カーボンナノ物質2の形成方法も広く選択できる。しかも、多数のカーボンナノ物質2をバインダー16中と混合させるので、カーボンナノ物質2の量を自由に設定でき、十分な密度のカーボンナノ物質を含有する研磨具を製造することができる。
[実施例1:ブラシ状カーボンナノチューブを使用した研磨具(1)]
基板に密植状に略直立した多数のカーボンナノチューブを用意した。密植状に略直立した多数のカーボンナノチューブを、以下ではブラシ状カーボンナノチューブという。この実施例1では、化学的気相成長法(CVD法)を用い、鉄触媒をシリコン基板上に配置し、原料ガスとしてエチレンガスを使用し、1000℃に加熱して、前記基板にブラシ状カーボンナノチューブを形成した。
図3に示す製造工程に従い、研磨具を製造した。即ち、ガラス製研磨用基材に、バインダーとしてレゾール系フェノール樹脂を40重量%含有するテルピネオール溶液を塗着し、粘着領域を形成した。そして、前記ブラシ状カーボンナノチューブの先端部を、前記粘着部に没入させた。前記ブラシ状カーボンナノチューブの先端部が前記粘着部に没入した状態で、ポロシメーターの試料セルに前記ブラシ状カーボンナノチューブを収容し、水銀を介さずに200MPaまで加圧し、1時間静置した。前記試料セル内を常圧にした後、前記試料セルから前記ブラシ状カーボンナノチューブを取り出し、窒素雰囲気中、150℃で30分間加熱してバインダーを固化した。室温近くまで自然冷却後、前記ブラシ状カーボンナノチューブと前記基板を分離すると、前記ブラシ状カーボンナノチューブの基端部が露出した研磨具が製造できた。
[実施例2:ブラシ状カーボンナノチューブを使用した研磨具(2)]
実施例1と同様にして、ブラシ状カーボンナノチューブを製造した。その後、図4に示す製造工程に従い、研磨具を製造した。即ち、前記ブラシ状カーボンナノチューブの基端部に、バインダーとしてレゾール系フェノール樹脂を5重量%含有するテルピネオール溶液を滲入させ、実施例1と同様にして、ポロシメーターの試料セルに前記ブラシ状カーボンナノチューブを収容し、200MPaまで加圧し、1時間静置した。前記試料セル内を常圧にした後、前記試料セルから前記ブラシ状カーボンナノチューブを取り出し、実施例1と同様に、窒素雰囲気中、150℃で30分間加熱してバインダーを固化した。室温近くまで自然冷却後、電子顕微鏡で観察すると、前記ブラシ状カーボンナノチューブの先端が、バインダーから露出していることが確認できた。
[実施例3:ブラシ状カーボンナノチューブを使用した研磨具(3)]
実施例1と同様にして、ブラシ状カーボンナノチューブを製造した。その後、図5に示す製造工程に従い、研磨具を製造した。即ち、前記ブラシ状カーボンナノチューブを基板と一緒に、バインダーとしてレゾール系フェノール樹脂を15重量%含有するテルピネオール溶液を充填した容器に浸漬させた状態、実施例1と同様にして、ポロシメーターの試料セル内に収容し、200MPaまで加圧し、1時間静置した。前記試料セル内を常圧にした後、前記試料セル内の前記溶液から前記ブラシ状カーボンナノチューブと前記基板を取り出し、実施例1と同様に、窒素雰囲気中、150℃で30分間加熱してバインダーを固化した。室温近くまで自然冷却後、前記ブラシ状カーボンナノチューブと前記基板を分離した。ガラス製研磨用基材に、バインダーとしてレゾール系フェノール樹脂を40重量%含有するテルピネオール溶液を塗着し、前記基板と前記分離したブラシ状カーボンナノチューブを前記溶液で接合し、窒素雰囲気中、150℃で30分加熱してバインダーを固化した。10%水酸化ナトリウム溶液を前記ブラシ状カーボンナノチューブが内包されたバインダー面に塗布し、前記バインダーを一部除去した後、前記除去面を洗浄した。このようにして、前記ブラシ状カーボンナノチューブが一部露出した研磨具が製造できた。
[実施例4:基板から分離のカーボンナノチューブを使用した研磨具(1)]
実施例1と同様にして、10個の基板にブラシ状カーボンナノチューブを形成した。その後、図6に示す製造工程に従い、研磨具を製造した。即ち、それぞれのカーボンナノチューブを、基板から分離した。前記カーボンナノチューブを、バインダーとしてレゾール系フェノール樹脂を含有するテルピネオール溶液に混入し、前記カーボンナノチューブが凝集しないように超音波振動を加えながら攪拌した。このときの混合割合は、前記カーボンナノチューブ100重量部、前記レゾール系フェノール樹脂70重量部、前記テルピネオール100重量部であり、攪拌時間は1時間であった。前記カーボンナノチューブ及び前記バインダーを、シリコンからなる研磨用基材に塗着した。前記混合物が塗着した研磨用基材を、実施例1と同様に、窒素雰囲気中、150℃で30分間加熱して前記バインダーを固化した。室温近くまで自然冷却後、10%水酸化ナトリウム溶液を前記ブラシ状カーボンナノチューブが内包された前記バインダー面に塗布し、前記バインダーを一部除去した後、前記除去面を洗浄した。このようにして、前記ブラシ状カーボンナノチューブが一部露出した研磨具が製造できた。
[実施例5:基板から分離のカーボンナノチューブを使用した研磨具(2)]
化学的気相成長法(CVD法)を用い、ニッケル触媒を銅基板上に配置し、原料ガスとしてエチレンガスを使用し、1000℃に加熱して、前記基板にカーボンナノ物質を形成した。電子顕微鏡により、前記カーボンナノ物質がコイル構造を有することを確認した。このことより、本件発明者は、前記カーボンナノ物質がカーボンナノコイルであると判断した。
その後、図7に示す製造工程に従い、研磨具を製造した。即ち、前記カーボンナノコイルを、前記基板から分離し、バインダーとしてレゾール系フェノール樹脂を含有するテルピネオール溶液に混入し、前記カーボンナノコイルと前記バインダーからなる混合物を作製し、前記混合物を前記カーボンナノコイルが凝集しないように超音波振動を加えながら攪拌した。このときの混合割合は、前記カーボンナノコイル100重量部、前記レゾール系フェノール樹脂100重量部、前記テルピネオール70重量部であり、攪拌時間は1時間であった。前記混合物を、シリコンからなる研磨用基材に塗着した。前記混合物が塗着した研磨用基材を、実施例1と同様に、窒素雰囲気中、150℃で30分間加熱してバインダーを固化した。室温近くまで自然冷却後、10%水酸化ナトリウム溶液を前記バインダー面に塗布し、前記バインダーを一部除去した後、前記除去面を洗浄した。このようにして、前記カーボンナノコイルが一部露出した研磨具が製造できた。
[実施例6:基板から分離のカーボンナノチューブを使用した研磨具(3)]
実施例1と同様にして、10個の基板にブラシ状カーボンナノチューブを形成し、図6に示す製造工程に従い研磨具を製造した。即ち、それぞれのカーボンナノチューブを、基板から分離した。前記カーボンナノチューブを、バインダーとしてアルミニウムを使用し、溶融アルミニウムに混合した。このときの混合割合は、前記カーボンナノチューブ100重量部、前記アルミニウム100重量部であった。攪拌は、電磁攪拌法でアルミニウムの融点660.37℃より高温の700℃で1時間行った。前記カーボンナノチューブ及び前記バインダーを、シリコンからなる研磨用基材に塗着した。室温近くまで自然冷却して前記バインダーを固化した後、10%水酸化ナトリウム溶液を前記バインダー面に塗布し、前記バインダーを一部除去した後、前記除去面を洗浄した。このようにして、前記ブラシ状カーボンナノチューブが一部露出した研磨具が製造できた。以上のカーボンナノ物質の形成条件を表1に、その他の条件を表2に示す。
Figure 2009190155
Figure 2009190155
[比較試験]
実施例1〜6で製造された研磨具と、ダイアモンドを固定砥粒とした研磨具を比較例として、直径300mmのシリコンウェハを研磨対象物として、研磨圧力3×10Pa、回転速度4rad/s、研磨液として水道水を使用して、比較試験を実施した。評価は、研磨4時間毎にシリコンウェハを交換し、研磨4時間後と16時間後の光学顕微鏡での研磨面の観察及び最大高さの変化の割合で行った。顕微鏡の視野中に、溝やキズが認められないときをを◎、溝やキズが認められても5本以下を○、6本以上10本以下を△、11本以上を×とした。また、最大高さの変化が大きいということは、砥粒が離脱したことを意味するとして、耐久性が劣ると考えた。研磨16時間後の最大高さの変化が、研磨4時間後の最大高さの±5%を◎、±10%を○、±20%を△、±30%を×とした。結果を、表3に示す。
Figure 2009190155
この結果より、本件発明の研磨具の優秀性が確認された。ただ、実施例の研磨具の中では、実施例2の研磨具の評価が少し劣るが、これは他の実施例の研磨具に比べて、カーボンナノ物質のバインダー面からの露出部の長さが不揃いのためと思われる。露出部の長さをそろえると、より評価が良くなると思われる。
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
近年、携帯電話、パソコン等の電子機器の普及、高性能化・小型化に伴い、電子機器に使用される電子部品も急速に小型化・高容量化が進んでいる。電子部品を小型化、大容量化するためには、電子部品の材料であるシリコン等の半導体を精密加工することが必要である。また、他の産業では、鉄鋼、アルミ等の金属製品その他セラミック製の日用品等を精密加工することが求められている。これらの表面を平滑化するために、ダイアモンド、CBN等の砥粒をバインダーで結合した研磨具が使用される。しかしながら、このような砥粒は大きさがミクロンサイズであるため、研磨の加工精度もミクロンサイズが限界である。このような砥粒より小さい粒子として、ミクロンサイズの1/1000である数nm〜数十nmの直径を有するカーボンナノチューブを始めとするカーボンナノ物質が知られている。カーボンナノ物質は、曲げや引っ張りに非常に強いという性質を有する。そのため、本件発明の研磨具は、カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を形成し、この露出面を研磨面とするので、前記カーボンナノ物質の欠損はほとんどない。そのうえ、本件発明の研磨具は、砥粒にカーボンナノ物質を使用するため、研磨対象物をナノサイズの研磨ができるので、研磨具として好適である。
研磨具の概略構成図である。 研磨具の別形態の概略構成図である。 バインダーを固化後にカーボンナノ物質を基板から分離する研磨具の製造工程図である。 カーボンナノ物質の少なくとも基端部を埋没させるようにバインダーを流入させる研磨具の製造工程図である。 カーボンナノ物質を形成した状態で基板をバインダー中に浸漬させる研磨具の製造工程図である。 カーボンナノ物質を形成した基板から分離しバインダー中に浸漬させる研磨具の製造工程図である。 カーボンナノ物質をバインダー中に浸漬させる研磨具の製造工程図である。
符号の説明
2 カーボンナノ物質
4 バインダー
6 研磨用基材
8 固結部
10 固着部
12 基板
14 粘着領域
16 バインダー
18 バインダーを貯蔵した容器
20 バインダー
P 付加圧力

Claims (11)

  1. 研磨用基材と、多数のカーボンナノ物質と、前記カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を有するようにバインダーで相互に結合する固結部と、前記固結部を前記研磨用基材にバインダーで固定する固着部からなり、前記露出面を研磨面とすることを特徴とする研磨具。
  2. 前記カーボンナノ物質が、前記研磨用基材に密植状に略直立した請求項1に記載の研磨具。
  3. 前記カーボンナノ物質が、不規則に配向して前記バインダーで相互に結合されている請求項1に記載の研磨具。
  4. 前記カーボンナノ物質が、カーボンナノチューブ、ブラシ状カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノツイスト、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル、カーボンサブマイクロコイル、カーボンナノスプラウトの1種以上からなる請求項1〜3のいずれかに記載の研磨具。
  5. 前記バインダーが樹脂からなる請求項1〜4のいずれかに記載の研磨具。
  6. 前記バインダーが金属からなる請求項1〜4のいずれかに記載の研磨具。
  7. バインダーを塗着して形成した粘着領域を有する研磨用基材を用意し、基板上に密植状に略直立して形成したカーボンナノ物質の先端部を前記粘着領域に加圧状態で没入し、前記バインダーを固化して前記カーボンナノ物質を前記研磨用基材に固定し、前記カーボンナノ物質を前記基板から分離させて、前記分離面から前記カーボンナノ物質の基端部を一部露出させ、前記分離面を露出面とし、前記露出面を研磨面とすることを特徴とする研磨具製造方法。
  8. 多数のカーボンナノ物質を密植状に略直立して形成した基板に、前記カーボンナノ物質の少なくとも基端部を埋没させるようにバインダーを加圧状態で滲入させ、前記バインダーを固化して前記カーボンナノ物質を前記基板に固定し、前記カーボンナノ物質の先端部を一部露出させた露出面を形成し、前記基板を研磨用基材として使用し、前記露出面を研磨面とすることを特徴とする研磨具製造方法。
  9. 多数のカーボンナノ物質が形成した基板を、バインダーを充填させた容器に加圧状態で浸漬させて前記カーボンナノ物質間に前記バインダーを滲入させ、前記カーボンナノ物質及び前記基板を前記容器から取り出し、前記バインダーを固化し、前記カーボンナノ物質を前記基板から分離し、前記カーボンナノ物質と研磨用基材をバインダーで接着、固化して前記カーボンナノ物質を前記研磨用基材に固定し、前記カーボンナノ物質の先端部を一部露出させた露出面を形成し、前記露出面を研磨面とすることを特徴とする研磨具製造方法。
  10. 多数のカーボンナノ物質が形成した基板から前記カーボンナノ物質を分離し、前記カーボンナノ物質をバインダーに浸漬、攪拌して前記カーボンナノ物質間に前記バインダーを滲入させ、前記カーボンナノ物質及び前記バインダーを研磨用基材に塗布し、前記バインダーを固化して前記カーボンナノ物質を前記研磨用基材に固定し、前記カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を形成し、前記部露出面を研磨面とすることを特徴とする研磨具製造方法。
  11. 多数のカーボンナノ物質とバインダーからなる混合物を作製し、前記混合物を攪拌し、研磨用基材に塗布し、前記バインダーを固化し、前記カーボンナノ物質を一部露出させた露出面を有するように前記バインダーを除去し、前記露出面を研磨面とすることを特徴とする研磨具製造方法。
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