JP2009186760A - ハードコートフィルム、これを用いた偏光板、及び表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 液晶表示装置(LCD)等の画像表示装置の表面に用いられるハードコートフィルムについて、高い物理強度(耐クラック性・耐擦傷性)を有するとともに、異物故障や塗布ムラ発生の低減を可能にして、大面積ハードコートフィルムの防汚性を大幅に増大させることができ、しかも大面積ハードコートフィルムの生産性を向上させることができる、ハードコートフィルム、これを用いた偏光板、及び表示装置を提供する。
【解決手段】 透明フィルム基材上にハードコート層が積層されたハードコートフィルムで、ハードコート層表面を微小硬度計で押し込んだときのハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)が、200N/mm以上、300N/mm以下を有するとともに、ハードコート層の屈折率が、1.60以下である。ハードコート層は、導電性を有するものであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ハードコートフィルム、これを用いた偏光板、及び表示装置に関するものである。
近年のディスプレイ分野の発達は目覚しく、屋内・屋外問わずあらゆる場面で使用されてきている。単に静止画・動画を映し出すためのものだけはなく、タッチパネルに代表されるように、ユーザーがディスプレイの表示部に直接触れる機会が多くなってきており、昨今では表示画像の鮮明さだけではなく、環境に対する強度についての要求も声高になってきている。
具体的には、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、SED(Surface-Conduction Electron-emitter Display)などのような様々な画像表示装置においては、その表面に用いられるハードコートフィルムには、高い物理強度(耐擦傷性など)、防汚性が要求される。
また、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、防眩性能や反射防止性能が要求されている。さらにまた、ディスプレイの視認性を低下させる塵埃(埃など)が、ハードコートフィルムの表面に付着するのを防止する対策が要求される。
これらハードコートフィルムの表面硬度強化のために、その表面にハードコート層を形成することが広く行なわれている。しかし、このような表面保護を目的としたハードコート層は、使用する際に、人の指紋(皮脂)、汗、化粧品などの汚れが付着しやすい。また、一度付着した汚れが除去しにくいため、透明性や反射性を損ない視認性が悪くなるという問題を有していた。
そこで、ハードコート層の表面に汚れが付着しにくく、かつ、付着した汚れを除去しやすくするため、ハードコート層表面をフッ素系ポリマーで被覆したり、ハードコート層の材料としてフッ素系、もしくはケイ素系のポリマーを含有させる方法が一般に行なわれている。
特開2000−284102号公報 特許文献1には、透明支持体であるフィルム基材の上に、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層を順に設けた反射防止フィルムの汚れ性を改良する目的で、パーフルオロアルキルポリエーテル側鎖を有する重合体を低屈折率層の上に塗布することが開示されている。
この特許文献1に記載の方法は、パーフルオロアルキルポリエーテル化合物の優れた滑り性を利用するものであり、反射防止フィルムの表面側の層を汚れから保護し、耐傷性を向上させる。
しかしながら、上記の特許文献1に記載のパーフルオロアルキルポリエーテル化合物は、単に、反射防止フィルムの低屈折率層の表面に、塗布形成されているだけであるため、繰り返しの擦りにより剥がれやすくなり、防汚性の耐久性に劣るという問題があった。
また、近年のディスプレイ分野におけるキーワードの一つとして、大画面化があげられる。40インチ以上の大画面ディスプレイを大量に、しかも安定して生産できるための技術が求められている。
大画面ディスプレイには、大面積の光学フィルムを必要とし、大画面ディスプレイを歩留まりなく、大量かつ安定に生産するためには、大面積光学フィルム、とくに大面積ハードコートフィルム中の異物故障や塗布ムラの低減が、必須事項となる。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、高い物理強度を有するとともに、異物故障や塗布ムラの低減を可能にして、大面積ハードコートフィルムの防汚性を大幅に増大させることができ、しかも大面積ハードコートフィルムの生産性を向上させることができる、ハードコートフィルム、これを用いた偏光板、及び表示装置を提供しようとすることにある。
本発明者は、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ハードコートフィルムについて、ハードコート層表面を微小硬度計で所定厚み押し込んだときのハードコート層表面のマルテンス硬さを規定することにより、膜表面の硬化密度の低い範囲を除去することができて、膜表面の防汚性の劣化を阻止することができるとともに、膜表面の脆弱性(屈曲性劣化)の範囲を除去することができて、ハードコートフィルム生産時のクラックの発生等のトラブルを未然に回避することができ、ひいては大面積ハードコートフィルムの防汚性を大幅に増大させることができ、しかも大面積ハードコートフィルムの生産性を向上させ得ることを見い出した。
また、本発明者は、ハードコートフィルムにおいて、ハードコート層の屈折率を1.60以下に規定することで、大面積ハードコートフィルムの生産時に、塗布ムラが発生したときに、該塗布ムラを視認しにくくすることができ、大面積ハードコートフィルムの生産性を向上させ得ることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、透明フィルム基材上にハードコート層が積層されたハードコートフィルムであって、ハードコート層表面を微小硬度計で押し込んだときのハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)が、200N/mm以上、300N/mm以下を有するとともに、ハードコート層の屈折率が、1.60以下であることを特徴としている。
ここで、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)とは、ビッカース圧子および稜線同士の角度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計(例えば商品名、DUH−211、島津製作所社製)で、ハードコートフィルム表面を、ハードコート層の膜厚の略1/10の厚みまで圧子を押し込んだときの負荷試験力−押しこみ深さ曲線において、該負荷試験力−押しこみ深さ曲線から求められる最大負荷試験力(Fmax)の50%値から90%値までの押し込み深さが負荷試験力の平方根に比例する傾き(m)より、下記式で定義される値をいう。
HMs=1/(26.43m
請求項2の発明は、請求項1に記載のハードコートフィルムであって、ハードコート層が、導電性を有するものであることを特徴としている。
請求項3の偏光板の発明は、請求項1または2に記載のハードコートフィルムを、偏光子の両面のうちの少なくともいずれか一方の面に貼合したことを特徴としている。
請求項4の表示装置の発明は、請求項1または2に記載のハードコートフィルムを用いたことを特徴としている。
請求項5の表示装置の発明は、請求項3に記載の偏光板を用いたことを特徴としている。
請求項1の発明は、透明フィルム基材上にハードコート層が積層されたハードコートフィルムであって、ハードコート層表面を微小硬度計で押し込んだときのハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)が、200N/mm以上、300N/mm以下を有するとともに、ハードコート層の屈折率が、1.60以下であるもので、請求項1のハードコートフィルムの発明によれば、ハードコート層表面を、これに微小硬度計を押し込んだときのハードコート層表面のマルテンス硬さで規定することにより、高い物理強度を有するとともに、異物故障や塗布ムラの低減を可能にして、大面積ハードコートフィルムの防汚性を大幅に増大させることができ、しかも大面積ハードコートフィルムの生産性を向上させることができるという効果を奏する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のハードコートフィルムであって、ハードコート層が、導電性を有するもので、請求項2のハードコートフィルムの発明によれば、ハードコート層が導電性を有することで、異物故障の発生が低減して、歩留まりが減り、大面積ハードコートフィルムのさらなる生産性の向上が期待できるという効果を奏する。
請求項3の偏光板の発明は、請求項1または2に記載の高い物理強度と防汚性を有するハードコートフィルムを、偏光板の両面のうちの少なくともいずれか一方の面に用いるものであるから、請求項3の偏光板の発明によれば、これを表示装置に用いたときに、ハードコートフィルム表面の防汚耐久性が優れており、視認性に優れているという効果を奏する。
請求項4の表示装置の発明は、請求項1または2に記載の高い物理強度と防汚性を有するハードコートフィルムを用いるもので、請求項4の表示装置の発明によれば、ハードコートフィルム表面の防汚耐久性が優れており、視認性に優れているという効果を奏する。
請求項5の表示装置の発明は、請求項3に記載の偏光板を用いるもので、請求項5の表示装置によれば、耐擦傷性および防汚耐久性が優れており、視認性に優れているという効果を奏する。
つぎに、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明によるハードコートフィルムは、透明フィルム基材上にハードコート層が積層されたハードコートフィルムであって、ハードコート層表面を微小硬度計で押し込んだときのハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)が、200N/mm以上、300N/mm以下、好ましくは230N/mm以上、270N/mm以下、望ましくは240N/mm以上、260N/mm以下を有するとともに、ハードコート層の屈折率が、1.60以下である。
ここで、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)の定義は、前述した通りである。ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)とは、ハードコート層表面を、微小硬度計で、ハードコート層の膜厚の略1/10の厚み分押し込んだときのマルテンス硬さ(HMs)を意味する。
一般に、ハードコートフィルムのハードコート層は、該層を形成するハードコート層形成用樹脂配合物の組成によって、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)の値が変化するものであるが、本発明によるハードコートフィルムは、そのハードコート層表面のマルテンス硬さで規定したものである。
ここで、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)が、200N/mm未満であれば、膜表面の硬化密度が低いため、表面防汚性が劣化する。また、上層に別の機能を有する塗布液を塗ると、いわゆる下地がゆるいために、該塗布液に含まれる溶剤が下層に浸透するので、好ましくない。
逆に、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)が、300N/mmを超えると、膜表面が過硬化状態となって、脆弱性(屈曲性劣化)が増し、例えばロールトウロール(role to role)での生産時にクラックの発生等を引き起こしてしまい、発生したクラック部より樹脂片が発生して、異物故障発生の原因となる。また、上層に別の機能を有する塗布液を塗ると、上記クラック部より、該塗布液に含まれる溶剤が下層に浸透するので、好ましくない。
このように、ハードコートフィルムの生産面積が大きいほど、ハードコート層のクラックによる異物故障・塗布ムラの発生確率が上がるため、本発明によれば、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)を、上記の規定範囲内に収めることで、生産面積が大きくても、歩留まりを減らすことができるものである。
さらに、本発明によるハードコートフィルムにおいては、透明フィルム基材上に積層されたハードコート層の屈折率を1.60以下にすることで、ハードコートフィルムの生産時に、塗布ムラが発生したときに、該塗布ムラを視認しにくくすることができ、ハードコートフィルムの生産性向上につながるものである。
本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層が、導電性を有するものであることが好ましい。このように、ハードコートフィルムに導電性を有することで、異物故障の発生が低減して、歩留まりが減り、さらなる生産性の向上が期待できる。
ハードコートフィルムの導電性は、導電性粒子、あるいはまた導電性ポリマーの添加により付与することが好ましい。
つぎに、本発明のハードコートフィルムで用いることのできる透明フィルム基材について説明する。
(透明フィルム基材)
本発明のハードコートフィルムに用いられる透明フィルム基材としては、製造が容易であること、活性線硬化型樹脂層との接着性が良好である、光学的に等方性である、光学的に透明であること等が好ましい要件として挙げられる。
また、本発明において、透明フィルム基材は、平面性の点から特に1.4〜4mのものが好ましい。
本発明でいう透明とは、可視光の透過率60%以上であることを指し、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
上記の性質を有していれば、特に限定はないが、例えばセルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(アートン、JSR社製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン社製)、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムまたはガラス板等を挙げることができる。中でも、セルローストリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)が好ましく、本発明においては、特にセルロースエステルフィルム(例えばコニカミノルタタック、製品名KC8UX2MW、KC4UX2MW、KC8UY、KC4UY、KC5UN、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4UEW、KC4FR−1、KC4FR−2(コニカミノルタオプト株式会社製))が、製造上、コスト面、透明性、等方性、接着性等の観点から好ましく用いられる。これらのフィルムは、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
(セルロースエステル)
本発明においては、透明フィルム基材としてはセルロースエステルフィルムを用いることが好ましい。セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが好ましく用いられる。
特にアセチル基の置換度をX、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、XとYが下記の範囲にあるセルロースの混合脂肪酸エステルを有するものが好ましい。
2.3≦X+Y≦3.0 0.1≦Y≦2.0
特に、2.4≦X+Y≦2.9 0.3≦Y≦1.5であることが好ましい。
本発明に用いられる透明フィルム基材として、セルロースエステルを用いる場合、セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステルは、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることができる。
アシル化剤が、酸クロライド(CHCOCl、CCOCl、CCOCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行なわれる。具体的には、特開平10−45804号公報に記載の方法等を参考にして合成することができる。また、本発明に用いられるセルロースエステルは各置換度に合わせて上記アシル化剤量を混合して反応させたものであり、セルロースエステルはこれらアシル化剤がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)という。例えばセルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
本発明に用いられるセルロースエステルの置換度として、2位、3位、6位が平均的にアシル基で置換されていてもよく、もしくは6位に多くもしくは少なく置換されているセルロースエステルも好ましく用いられる。好ましい6位の置換度は0.7〜0.97、さらに、好ましくは0.8〜0.97である。
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが特に好ましく用いられる。なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。
プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネートは耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
セルロースエステルの数平均分子量は、70000〜250000が、成型した場合の機械的強度が強く、かつ、適度なドープ粘度となり好ましく、さらに好ましくは、80000〜150000である。
これらセルロースエステルフィルムは、一般的に溶液流延製膜法と呼ばれるセルロースエステル溶解液(ドープ)を、例えば無限に移送する無端の金属ベルトまたは回転する金属ドラムの流延用支持体上に加圧ダイからドープを流延(キャスティング)し製膜する方法で製造されることが好ましい。
(有機溶媒)
これらドープの調製に用いられる有機溶媒としては、セルロースエステルを溶解でき、かつ、適度な沸点であることが好ましく、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセト酢酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、アセト酢酸メチル等が好ましい有機溶媒(すなわち、良溶媒)として挙げられる。
また、下記の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程において流延用支持体上に形成されたウェブ(ドープ膜)から溶媒を乾燥させる時に、ウェブ中の発泡を防止する観点から、用いられる有機溶媒の沸点としては、30〜80℃が好ましく、例えば上記記載の良溶媒の沸点は、メチレンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル(沸点56.32℃)、アセトン(沸点56.3℃)、酢酸エチル(沸点76.82℃)等である。
上記記載の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレンクロライドあるいは酢酸メチルが好ましく用いられる。
上記有機溶媒の他に、0.1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。特に好ましくは5〜30質量%でアルコールが含まれることが好ましい。これらは上記記載のドープを流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし流延用支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
これらの溶媒のうち、ドープの安定性がよく、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、かつ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。好ましくは、メチレンクロライド70〜95質量%に対してエタノール5〜30質量%を含む溶媒を用いることが好ましい。メチレンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることもできる。このとき、冷却溶解法によりドープを調製してもよい。
もしくはメチレンクロライドと酢酸メチルを併用することもでき、例えば10.1〜3の質量比で併用することができる。ここに、さらに前述のアルコールを含有させることが好ましい。
(可塑剤)
本発明のハードコートフィルムの透明フィルム基材に、セルロースエステルフィルムを用いる場合、下記のような可塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤としては、例えばリン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。その他のカルボン酸エステルの例には、トリメチロールプロパントリベンゾエート、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることができる。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%が好ましく、特に好ましくは、3〜13質量%である。
(紫外線吸収剤)
本発明のハードコートフィルムの透明フィルム基材にセルロースエステルフィルムを用いる場合、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば下記の紫外線吸収剤を具体例として挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
また、特開2001−187825号公報に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤は、長尺フィルムの面品質を向上させ、塗布性にも優れている。特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、特開平6−148430号公報に記載の一般式(1)または一般式(2)、特願2000−156039号公報の一般式(2)、(6)、(7)記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)も好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学株式会社製)等が市販されている。
(微粒子)
また、本発明のハードコートフィルムの透明フィルム基材にセルロースエステルフィルムを用いる場合、本発明に用いられるセルロースエステルフィルムには滑り性を付与するため、以下の微粒子を用いることができる。
微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmが好ましく、さらに好ましいのは7〜20nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されることが好ましい。セルロースエステルフィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.05〜1質量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成のセルロースエステルフィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えばアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えばアエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
また、ポリマー微粒子も用いることができ、その例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。これらの中ではシリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えばトスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vがセルロースエステルフィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため、特に好ましく用いられる。
(セルロースエステルフィルムの製造方法)
本発明において用いるセルロースエステルフィルムは、溶液流延製膜法により製造されたものであっても、溶融流延製膜法によって製造されたものであっても、好ましく用いることができる。
以下、溶液流延製膜法を例にとり、セルロースエステルフィルムの製造方法について説明する。
セルロースエステルフィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、さらに乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行なわれる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
上記のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤または膨潤させた後、さらに良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行なってもよい。加熱は外部から行なうことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高すぎると、必要とされる圧力が大きくなり、生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃がさらに好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
また、冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチル等の溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
つぎに、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材がさらに好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、さらに好ましくは50個/m以下であり、さらに好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行なうことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることがさらに好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることがさらに好ましい。
つぎに、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい金属支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃がさらに好ましい。または、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行なわれるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で金属支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行なうことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、さらに好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、さらに乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明のハードコートフィルム用のセルロースエステルフィルムを作製するためには、金属支持体より剥離した直後のウェブの残留溶剤量の多いところで搬送方向に延伸し、さらにウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行なうことが特に好ましい。縦方向、横方向ともに好ましい延伸倍率は1.05〜1.5倍であり、さらに好ましくは1.05〜1.3倍であり、1.05〜1.15倍がさらに好ましい。縦方向及び横方向延伸により面積が1.1〜2倍となっていることが好ましい。これは縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率で求めることができる。
剥離直後に縦方向に延伸するために、剥離張力及びその後の搬送張力によって延伸することが好ましい。例えば剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なうことができるが、簡便さの点で熱風で行なうことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は30〜150℃で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜140℃の範囲で行なうことが寸法安定性をよくするためさらに好ましい。
セルロースエステルフィルムの膜厚は、特に限定はされないが10〜200μmが好ましく用いられる。特に10〜70μmの薄膜フィルムでは平面性と硬度に優れたハードコートフィルムを得ることが困難であったが、本発明によれば、平面性と硬度に優れた薄膜のハードコートフィルムが得られ、また生産性にも優れているため、セルロースエステルフィルムの膜厚は10〜70μmであることが特に好ましい。さらに好ましくは20〜60μmである。最も好ましくは30〜60μmである。また、共流延法によって多層構成としたセルロースエステルフィルムも好ましく用いることができる。セルロースエステルが多層構成の場合でも紫外線吸収剤と可塑剤を含有する層を有しており、それがコア層、スキン層、もしくはその両方であってもよい。
なお、熱可塑性樹脂フィルムの製膜工程としては、溶液流延製膜法および溶融流延製膜法があるが、本発明では、どちらの方法により製造された透明フィルム基材であっても良い。
つぎに、本発明によるハードコートフィルムのハードコート層について、説明する。
本発明によるハードコートフィルムの製造において、ハードコート層には、活性エネルギー線硬化型樹脂を好ましく用いることができる。
活性エネルギー線硬化型樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化型樹脂層が形成される。活性エネルギー線硬化型樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば特開昭59−151110号公報に記載のものを用いることができる。
例えばユニディック17−806(大日本インキ化学工業株式会社製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン株式会社製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
これら紫外線硬化性樹脂の光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。上記光重合開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の光重合開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光重合開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜20質量部であり、好ましくは1〜15質量部である。
樹脂モノマーとしては、例えば不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
本発明において使用し得る紫外線硬化樹脂の市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化株式会社製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学株式会社製);セイカビームPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業株式会社製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー株式会社製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業株式会社製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業株式会社製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子株式会社製);RCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成株式会社製);NKハードB−420、B−500、NKエステルA−DOG(新中村化学工業株式会社製)等を適宜選択して利用できる。
また、その他としては、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、イソボニルアクリレート等を挙げることができる。
光硬化反応の照射条件は、上記の水銀ランプ等によって異なるが、活性エネルギー線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜150mJ/cmであるが、特に好ましくは20〜100mJ/cmである。
また、活性エネルギー線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行なうことが好ましく、さらに好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行なうことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによってさらに平面性優れたフィルムを得ることができる。
また、ハードコート層の形成に際しては、上記各樹脂の他に、光反応開始剤、光増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、無機微粒子、有機微粒子等を適宜添加することができる。
ハードコート層で用いることのできる可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることができる。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
特に、特開2002−146044号公報に記載のエポキシ系化合物、ロジン系化合物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ケトン樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂等の添加物を有するセルロースエステルも好ましく用いられる。
上記化合物としては、KE−604とKE−610は荒川化学工業株式会社からそれぞれ酸価237と170で市販されている。同じく、荒川化学工業株式会社からアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びパラストリン酸3者の混合物のエステル化物として、KE−100及びKE−356が、それぞれの酸価は8と0で市販されている。また、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びパラストリン酸3者の混合物は、播磨化成株式会社からそれぞれの酸価167、168のG−7及びハートールR−Xで市販されている。
また、エポキシ樹脂としては、アラルダイドEPN1179及びアラルダイドAER260は旭チバ株式会社から市販されている。
ケトン樹脂としては、ハイラック110及びハイラック110Hは日立化成株式会社から市販されている。
パラトルエンスルホンアミド樹脂としては、トップラーとして、フジアミドケミカル株式会社から市販されている。
本発明において、ハードコート層を塗設する際の溶媒は、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、または混合して使用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルまたはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、さらに好ましくは5質量%〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
上記説明した組成からなるハードコート層用組成物塗布液を透明フィルム基材上に塗布する方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押出コーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることができる。塗布量はウェット膜厚で5μm〜30μmが適当で、好ましくは10μm〜20μmである。塗布速度は10m/分〜60m/分が好ましい。また、乾燥膜厚保としては、1〜10μmが好ましい。
本発明の目的効果の点からハードコート層が、導電性を有することが望ましい。ハードコート層に導電性を付与するためには、導電性粒子もしくは導電性ポリマーを含有しているとよい。
本発明のハードコートフィルムのハードコート層に用いられる導電性粒子について説明する。
本発明において使用する導電性粒子は、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム酸スズ(ITO)、アンチモン酸スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の導電性粒子である。
これら導電性粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、20〜150nmであることがより好ましく、30〜100nmであることが特に好ましい。導電性粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。また、動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。導電性粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状或いは不定形状であることが好ましい。
導電性粒子は有機化合物により表面処理してもよい。導電性粒子の表面を有機化合物で表面修飾することによって、有機溶媒中での分散安定性が向上し、分散粒径の制御が容易になるとともに、経時での凝集、沈降を抑えることもできる。このため、好ましい有機化合物での表面修飾量は金属酸化物粒子に対して0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。この中でも後述するシランカップリング剤が好ましい。2種以上の表面処理を組み合わせてもよい。
導電性粒子の使用量は、ハードコート層中に5質量%〜85質量%が好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、20〜75質量%が、最も好ましい。使用量が少ないと所望の屈折率が得られず、多すぎると膜強度の劣化などが発生する。
上記導電性粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、ハードコート層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、ケトンアルコール(例、ジアセトンアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、及びメタノール、エタノール、イソプロパノールが特に好ましい。
また導電性粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。分散剤を含有させることも好ましい。
さらにコア/シェル構造を有する導電性粒子を含有させてもよい。シェルはコアの周りに1層形成させてもよいし、耐光性をさらに向上させるために複数層形成させてもよい。コアは、シェルにより完全に被覆されていることが好ましい。 また、ハードコート層には、電離放射線硬化型樹脂を、導電性粒子のバインダーとして、塗膜の製膜性や物理的特性の向上のために含有させるものである。
つぎに、導電性ポリマーについて説明する。
本発明において使用する導電性ポリマーはπ共役系導電性高分子であり、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用することができる。例えば、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリフェニレン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体が挙げられる。重合の容易さや安定性の点からは、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性ポリマーは、無置換のままでも十分な導電性やバインダ樹脂への溶解性が得られるが、導電性や溶解性をより高めるために、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基を導入してもよい。
このようなπ共役系導電性ポリマーの具体例としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−N−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でも良いし、2種からなる共重合体でも好適に用いることができる。
これらのπ共役系導電性ポリマーには、ドーパント成分が添加されていても良い。ドーパント成分としては、例えば、ハロゲン類、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属ハライドなどの低分子量ドーパントや、ポリアニオンのようなポリマー等が挙げられる。
ポリアニオンとは、π共役系導電性ポリマーに対するドーパントとして機能するアニオン基を有する高分子であり、置換もしくは未置換のポリアルキレン、置換もしくは未置換のポリアルケニレン、置換もしくは未置換のポリイミド、置換もしくは未置換のポリアミド、置換もしくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位からなるものである。
ポリアルキレンとは主鎖がメチレンの繰り返しで構成されているポリマーであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
ポリアルケニレンとは主鎖に不飽和結合が1個以上含まれる構成単位からなるポリマーであり、例えば、プロペニレン、1−メチルプロペニレン、1−ブチルプロペニレン、1−デシルプロペニレン、1−シアノプロペニレン、1−フェニルプロペニレン、1−ヒドロキシプロペニレン、1−ブテニレン、1−メチル−1−ブテニレン、1−エチル−1−ブテニレン、1−オクチル−1−ブテニレン、2−メチル−1−ブテニレン、2−エチル−1−ブテニレン、2−ブチル−1−ブテニレン、2−ヘキシル−1−ブテニレン、2−オクチル−1−ブテニレン、2−デシル−1−ブテニレン、2−フェニル−1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−メチル−2−ブテニレン、1−エチル−2−ブテニレン、1−オクチル−2−ブテニレン、2−メチル−2−ブテニレン、2−エチル−2−ブテニレン、2−ブチル−2−ブテニレン、2−ヘキシル−2−ブテニレン、2−オクチル−2−ブテニレン、2−デシル−2−ブテニレン、2−フェニル−2−ブテニレン、2−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、2−ペンテニレン、4−エチル−2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−ブチル−2−ペンテニレン、4−ヘキシル−2−ペンテニレン、4−シアノ−2−ペンテニレン、3−メチル−2−ペンテニレン、3−フェニル−2−ペンテニレン、4−ヒドロキシ−2−ペンテニレン、ヘキセニレン等から選ばれる1種以上の構成単位を含む重合体が挙げられる。
ポリイミドとしてはピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、2,2’−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の無水物と、オキシジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとからなるポリイミドが挙げられる。
ポリアミドとしてはポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等が挙げられる。
ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性ポリマーへの化学酸化ドープが起こりうる官能基であれば良いが、製造の容易さや安定性の観点から、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性ポリマーへのドープ効果の観点から、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体でも良く、2種以上の共重合体でも良い。これらのうち、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、バインダ樹脂との相溶性が高く、得られる導電層の導電性をより高めることができる。
本発明においては、ポリアニオンの他にも、π共役系導電性ポリマーを酸化還元することができれば、以下のようなドナー性あるいはアクセプタ性のドーパントを用いることができる。
ドナー性ドーパントとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等の4級アミン化合物等が挙げられる。
アクセプタ性ドーパントとしては、Cl、Br、I、ICl、IBr、IF等のハロゲン化合物、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SO等のルイス酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、ジクロロジシアノベンゾキノン、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等の有機シアノ化合物、プロトン酸、有機金属化合物、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレン等を使用できる。
プロトン酸としては無機酸、有機酸が挙げられる。無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、過塩素酸等が挙げられる。また、有機酸としては、有機カルボン酸、有機スルホン酸等が挙げられる。
有機カルボン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にカルボキシ基を1つまたは2つ以上を含むものを使用できる。例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸等が挙げられる。
有機スルホン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にスルホ基を1つまたは2つ以上含むもの、またはスルホ基を含む高分子を使用できる。
スルホ基を1つ含むものとしては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ペンタデカンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、コリスチンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、5−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アセトアミド−3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−クロロナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物、アントラキノンスルホン酸、ピレンスルホン酸等が挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
スルホ基を2つ以上含むものとしては、例えば、エタンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ペンタンジスルホン酸、デカンジスルホン酸、o−ベンゼンジスルホン酸、m−ベンゼンジスルホン酸、p−ベンゼンジスルホン酸、トルエンジスルホン酸、キシレンジスルホン酸、クロロベンゼンジスルホン酸、フルオロベンゼンジスルホン酸、ジメチルベンゼンジスルホン酸、ジエチルベンゼンジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メチルナフタレンジスルホン酸、エチルナフタレンジスルホン酸、ペンタデシルナフタレンジスルホン酸、3−アミノ−5−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸、1−アセトアミド−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸、2−アミノ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、1−アミノ−3,8−ナフタレンジスルホン酸、3−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、4−アミノ−5−ナフトール−2,7−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−イソチオシアノトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−マレイミジルスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ジナフチルメタンジスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、アントラセンスルホン酸等が挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
また、本発明のハードコート層には、硬化性を向上させるために、ポリメチルメタクリレート系微粒子、ポリスチレン系微粒子、メラミンポリマー系微粒子、及び親水性シリカ微粒子よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の微粒子を含有してもよい。
本発明の目的効果の点からハードコート層が、ポリメチルメタクリレート系微粒子、ポリスチレン系微粒子、メラミンポリマー系微粒子、及び親水性シリカ微粒子よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の微粒子を含有することが好ましい。
なお、高速塗布時のレベリング性や取り扱い性から、塗工液の液粘度を下げるため、固形濃度を低くした方が良いが、このような状態での塗工液の安定性、また良好な分散性が得られることから、ポリメチルメタクリレート系微粒子、ポリスチレン系微粒子、メラミンポリマー系微粒子、及び親水性シリカ微粒子よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の微粒子の平均粒子径としては、5nm〜30μmの範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、10nm〜15μmである。平均粒子径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
また、前記の理由により、ハードコート層に含まれるポリメチルメタクリレート系微粒子、ポリスチレン系微粒子、メラミンポリマー系微粒子、及び親水性シリカ微粒子よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の微粒子の含有量としては、塗布組成物の樹脂固形分100質量部に対して、0.01〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜100質量部であり、特に好ましくは1〜30質量部である。
ここで、ポリメチルメタクリレート系微粒子、ポリスチレン系微粒子、及びメラミンポリマー系微粒子の具体例として、ポリメチルメタクリレート系微粒子としては、例えば綜研化学製;MX150、MX300、日本触媒製;エポスターMA、グレード;MA1002、MA1004、MA1006、MA1010、エポスターMX(エマルジョン)、グレード;MX020W、MX030W、MX050W、MX100W)、積水化成品工業製:MBXシリーズ(MBX−8、MBX12)があげられる。
ポリメチルメタクリレート系微粒子の中でも、本発明の効果であるハードコー性をより良く発揮する点から、フッ素含有ポリメチルメタクリレート微粒子が好ましい。ここで、フッ素含有ポリメチルメタクリレート微粒子とは、フッ化アクリレートまたはフッ化メタクリレートをモノマーまたはポリマーから形成された微粒子、フッ素含有アクリル酸、フッ素含有メタクリル酸、フルオロアクリル酸もしくはフルオロメタクリル酸から形成された微粒子、及びフッ素含有メタアクリル酸を架橋剤の存在下にビニル単量体と共重合させて得られる微粒子等が挙げられる。
フッ素含有メタアクリル酸としては、例えばトリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート等のフッ素含有メタクリル酸アルキル、パーフルオロオクチルエチルアクリレートのようなフッ素含有アクリル酸アルキル等が挙げられる。
フッ素含有(メタ)アクリル酸と共重合可能なビニル単量体としては、ビニル基を有するものであればよく、具体的にはメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル及びスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類等が挙げられる。
重合反応の際に用いられる架橋剤としては、特に限定されないが、2個以上の不飽和基を有するものを用いることが好ましく、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の2官能性ジメタクリレートや、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。なお、共重合反応は、ランダム共重合およびブロック共重合のいずれでもよい。
具体的化合物としては、例えば特開2000−169658号公報に記載の化合物等も挙げることができ、市販品としては、日本ペイント製:FS−701、根上工業製:MF−0043等を挙げることができる。
ポリスチレン系微粒子としては、例えば綜研化学製;SX−130H、SX−200H、SX−350H)、積水化成品工業製、SBXシリーズ(SBX−6、SBX−8)等の市販品が挙げられる。また、ポリスチレン系微粒子の中には、アクリルとスチレンが架橋した微粒子も含まれ、具体的には、日本ペイント製:FS−102、FS−401、FS−201、MG−351等の市販品を挙げることができる。
メラミンポリマー系微粒子としては、日本触媒製:ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(商品名:エポスター、グレード;M30、商品名:エポスターGP、グレード;H40〜H110)、日本触媒製:メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(商品名:エポスター、グレード;S12、S6、S、SC4)、日産化学工業製:メラミン樹脂・シリカ複合粒子(商品名:オプトビーズ)等の市販品を挙げることができる。
一方、親水性シリカ微粒子としては、日本アエロジル製、アエロジル200、200V、300、デグサ製、アエロジルOX50、TT600、富士シリシア化学製、サイリシア350等の商品名を挙げることができる。
なお、本発明において、上記の微粒子は、単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これら微粒子の状態は、粉体あるいはエマルジョン等のどのような状態で加えられても良い。
その他の微粒子としては、ベンゾグアナミン系微粒子が挙げられ、日本触媒製:ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物(商品名:エポスター、グレード;L15、M05、MS、SC25)等、ポリウレタン系技粒子としては、大日精化製ダイミックビーズ、またエチレン・メチルメタクリラート共重合物等が挙げられる。
シリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等の紫外線硬化性樹脂組成物をも加えることができる。また必要に応じて、さらに特開2000−241807号公報に記載の微粒子を含んでいても良い。
ハードコート層組成物は塗布乾燥された後、紫外線や電子線等の活性光線を照射したり、あるいは加熱処理により硬化されることが好ましいが、活性光線の照射時間は0.1秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率等からさらに好ましくは、0.1〜10秒である。
(バックコート層)
本発明では、セルロースエステルフィルムなどの透明フィルム基材のハードコート層を設けた側と反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。
バックコート層は、活性エネルギー線硬化樹脂層やその他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。すなわち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。なお、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層用塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために微粒子が添加されることが好ましい。
バックコート層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものがヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
これらの微粒子は、例えばアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)、シーホスターKE−P10、同KE−P30、同KE−P50、同KE−P100、同KE−P150、同KE−P250(以上、日本触媒株式会社製)の商品名で市販されており、を使用することができる。これらの中でも、特に好ましいものとしては、シーホスターKE−P30、同KE−P50、同KE−P100が挙げられる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えばアエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの微粒子の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂微粒子が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えばトスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上、東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
バックコート層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
バックコート層は、具体的にはセルロースエステルフィルムを溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行なわれる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合物の他さらに溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明フィルムのカール度合いや樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行なう。
カール防止機能を強めたい場合は、用いる溶媒組成を溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。このような混合組成物に含まれる、透明フィルムを溶解または膨潤させる溶媒としては、例えばジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム等がある。溶解させない溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノールまたは炭化水素類(トルエン、キシレン)等がある。
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.2〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えばアクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン株式会社製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン株式会社製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマー等が市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することもできる。
特に好ましくはジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートのようなセルロース系樹脂層である。
バックコート層を塗設する順番はセルロースエステルフィルムの活性エネルギー線硬化樹脂層を塗設する前でも後でも構わないが、バックコート層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。または2回以上に分けてバックコート層を塗布することもできる。
ハードコートフィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、特に限定されないが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度に耐える耐熱性プラスチックが好ましく、例えばフェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。またガラス繊維等の充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることがさらに好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましい。
このようにして長巻のハードコートフィルムを、巻き取った状態で加熱処理を行なうとき、該ロールを回転させることが好ましく、回転は、1分間に1回転以下の速度が好まく、連続でも良く断続的な回転であってもよい。また、加熱期間中に該ロールの巻き替えを1回以上行なうことが好ましい。
コアに巻き取られた長巻のハードコートフィルムを加熱処理中に回転させるため加熱処理室に専用の回転台を設けることが好ましい。
回転は、断続の場合は停止している時間を10時間以内とすることが好ましく、停止位置は、円周方向に均一となるようにすることが好ましく、停止時間は10分以内とすることがより好ましい。最も好ましくは、連続回転である。
連続回転での回転速度は、1回転に要する時間は好ましくは10時間以下とすることであり、早いと装置的に負担となるため実質的には、15分から2時間の範囲が好ましい。
なお、回転機能を有する専用の台車の場合には、移動や保管中にも光学フィルムロールを回転させることができて好ましく、この場合、保管期間が長い場合に生じるブラックバンド対策として回転が有効に機能する。
(偏光板)
つぎに、本発明のハードコートフィルムを用いた偏光板について述べる。
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明のハードコートフィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した該フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも該フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明のハードコートフィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内方向リタデーション(Ro)が590nmで、20〜70nm、厚み方向リタデーション(Rt)が100〜400nmの位相差を有する光学補償フィルム(位相差フィルム)であることが好ましい。これらは、例えば特開2002−71957号公報、特願2002−155395号公報記載の方法で作製することができる。また、さらにディスコチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば特開2003−98348号公報記載の方法で、光学異方性層を形成することができる。あるいは面内方向リタデーション(Ro)が590nmで0〜5nm、厚み方向リタデーション(Rt)が−20〜+20nmの無配向フィルムも好ましく用いられ、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。
裏面側に用いられる偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC4UEW、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC4FR−2(コニカミノルタオプト株式会社製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行なったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。該偏光膜の面上に、本発明のハードコートフィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
(画像表示装置)
本発明のハードコートフィルムを用いた偏光板を画像表示装置の鑑賞面側に組み込むことによって、種々の視認性に優れた画像表示装置を作製することができる。本発明のハードコートフィルムは反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。また、平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。特に画面が30型以上の大画面の画像表示装置では、色ムラや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
本発明によるハードコートフィルムを作製した。なお、ハードコートフィルムのハードコート層は、該層を形成するハードコート層形成用樹脂配合物の組成によって、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)の値が変化するものであり、以下に、本発明による各種ハードコートフィルム、および比較のための各種ハードコートフィルムを作製した。
まず、下記のドープ組成物を用いて、溶液流延製膜法により、透明フィルム基材を作製した。
(ドープ組成物)
セルローストリアセテート(平均酢化度61.0%) 100質量部
トリフェニルフォスフェート 8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製) 1質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製) 1質量部
メチレンクロライド 430質量部
メタノール 90質量部
上記の材料を密閉容器に投入し、加圧下で温度80℃に保温し、攪拌しながら完全に溶解して、ドープ組成物を得た。
つぎに、このドープ組成物を濾過し、冷却して温度33℃に保ち、流延ダイよりステンレスバンドからなる流延用ベルト上に流延し、ウェブを形成し、剥離ロールにより剥離した。
その後、ウェブをテンターにより幅方向に1.1倍に延伸した後、側面よりみて千鳥状に配置された多数の搬送ロールを具備するフィルム乾燥装置により乾燥させ、両端部に高さ10μmのナーリングを設けて、巻き取りロールにより巻き取り、透明なセルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材を作製した。ここで、透明フィルム基材は、膜厚80μm、幅1.5m、及び長さ3000mを有するものであった。
(ハードコート塗布組成物1)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 35質量部
ジオキサングリコールジアクリレート 35質量部
光重合開始剤1(イルガキュア184:チバジャパン社製) 3質量部
光重合開始剤2(イルガキュア907:チバジャパン社製) 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
アセトン 10質量部
メチルエチルケトン 10質量部
シクロヘキサノン 5質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
つぎに、先に作製したセルローストリアセテートフィルム(膜厚80μm)よりなる透明フィルム基材の表面に、上記のハードコート層用塗布組成物1をスリットダイで塗布し、熱風の温度、風速を徐々に強め最終的に温度85℃で乾燥し、ついで0.15J/cmの紫外線を高圧水銀灯で照射して、乾燥膜厚で3.0μmのハードコート層を設けた。
さらに、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、下記バックコート層用塗布組成物をウェット膜厚14μmとなるようにダイコートし、温度80℃にて乾燥し、巻き取り、バックコート層を設けた。
(バックコート層用塗布組成物)
ジアセチルセルロース 0.6質量部
アセトン 35質量部
メチルエチルケトン 35質量部
メタノール 35質量部
シリカ粒子の2%メタノール分散液 16質量部
実施例2
上記実施例1の場合と同様にして、本発明のハードコートフィルムを製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、ハードコート塗布組成物として、下記のハードコート塗布組成物2を使用した点にある。
(ハードコート塗布組成物2)
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 25質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 25質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30質量部
ジオキサングリコールジアクリレート 20質量部
光重合開始剤1(イルガキュア184:チバジャパン社製) 3質量部
光重合開始剤2(イルガキュア907:チバジャパン社製) 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 15質量部
酢酸メチル 40質量部
メチルエチルケトン 40質量部
シクロヘキサノン 5質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
そして、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材の表面に、上記ハードコート層用塗布組成物2を塗布し、ハードコート層を設けた。
また、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、上記実施例1の場合と同様に、バックコート層を設けた。
実施例3
上記実施例1の場合と同様にして、本発明のハードコートフィルムを製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、ハードコート塗布組成物として、下記のハードコート塗布組成物3を使用した点にある。
(ハードコート塗布組成物3)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 35質量部
ジオキサングリコールジアクリレート 30質量部
アンチモン酸亜鉛ゾルメタノール分散液 15質量部
(CX−Z610M−F2:日産化学工業社製)
光重合開始剤1(イルガキュア184:チバジャパン社製) 3質量部
光重合開始剤2(イルガキュア907:チバジャパン社製) 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量部
イソプロピルアルコール 45質量部
アセトン 10質量部
メチルエチルケトン 10質量部
シクロヘキサノン 5質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
そして、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材の表面に、上記ハードコート層用塗布組成物3を塗布し、ハードコート層を設けた。
また、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、上記実施例1の場合と同様に、バックコート層を設けた。
実施例4
上記実施例1の場合と同様にして、本発明のハードコートフィルムを製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、ハードコート塗布組成物として、下記のハードコート塗布組成物4を使用した点にある。
(ハードコート塗布組成物4)
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 25質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 25質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30質量部
ジオキサングリコールジアクリレート 20質量部
アンチモン酸亜鉛ゾルメタノール分散液 20質量部
(CX−Z610M−F2:日産化学工業社製)
光重合開始剤1(イルガキュア184:チバジャパン社製) 3質量部
光重合開始剤2(イルガキュア907:チバジャパン社製) 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
メチルエチルケトン 50質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
そして、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材の表面に、上記ハードコート層用塗布組成物4を塗布し、ハードコート層を設けた。
また、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、上記実施例1の場合と同様に、バックコート層を設けた。
実施例5
上記実施例1の場合と同様にして、本発明のハードコートフィルムを製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、ハードコート塗布組成物として、下記のハードコート塗布組成物5を使用した点にある。
(ハードコート塗布組成物5)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 35質量部
ジオキサングリコールジアクリレート 32質量部
ポリアニリン含有塗剤 22質量部
(ORMECOND1000:ORMECON CHEMIE Gmbh&Co.KG社製)
光重合開始剤1(イルガキュア184:チバジャパン社製) 3質量部
光重合開始剤2(イルガキュア907:チバジャパン社製) 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
N−メチルー2−ピロリドン 50質量部
イソプロピルアルコール 75質量部
メチルエチルケトン 10質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
そして、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材の表面に、上記ハードコート層用塗布組成物5を塗布し、ハードコート層を設けた。
また、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、上記実施例1の場合と同様に、バックコート層を設けた。
実施例6
上記実施例1の場合と同様にして、本発明のハードコートフィルムを製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、ハードコート塗布組成物として、下記のハードコート塗布組成物6を使用した点にある。
(ハードコート塗布組成物6)
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 25質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 25質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30質量部
ジオキサングリコールジアクリレート 20質量部
テトラシアノテトラアザナフタレンドープポリピロール溶液 18質量部
(SSPY:ティーエーケミカル社製)
光重合開始剤1(イルガキュア184:チバジャパン社製) 3質量部
光重合開始剤2(イルガキュア907:チバジャパン社製) 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 25質量部
N−メチルー2−ピロリドン 50質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
メチルエチルケトン 15質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
そして、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材の表面に、上記ハードコート層用塗布組成物6を塗布し、ハードコート層を設けた。
また、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、上記実施例1の場合と同様に、バックコート層を設けた。
実施例7
上記実施例1の場合と同様にして、本発明のハードコートフィルムを製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、ハードコート塗布組成物として、下記のハードコート塗布組成物7を使用した点にある。
(ハードコート塗布組成物7)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 35質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 35質量部
ジオキサングリコールジアクリレート 30質量部
光重合開始剤2(イルガキュア907:チバジャパン社製) 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 40質量部
メチルエチルケトン 15質量部
シクロヘキサノン 5質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
そして、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材の表面に、上記ハードコート層用塗布組成物7を塗布し、ハードコート層を設けた。
また、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、上記実施例1の場合と同様に、バックコート層を設けた。
比較例1
比較例のために、上記実施例1の場合と同様にして、比較用のハードコートフィルムを製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、ハードコート塗布組成物として、下記のハードコート塗布組成物−比較1を使用した点にある。
(ハードコート塗布組成物−比較1)
ジトリメチロールプロパントリアクリレート 50質量部
ジオキサングリコールジアクリレート 25質量部
エトキシ化ーメチルー1.3プロパンジオールジアクリレート 25質量部
光重合開始剤1(イルガキュア184:チバジャパン社製) 3質量部
光重合開始剤2(イルガキュア907:チバジャパン社製) 4質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量部
酢酸メチル 40質量部
アセトン 15質量部
メチルエチルケトン 10質量部
シクロヘキサノン 5質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
そして、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材の表面に、上記ハードコート層用塗布組成物−比較−1を塗布し、ハードコート層を設けた。
また、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、上記実施例1の場合と同様に、バックコート層を設けた。
比較例2
比較例のために、上記実施例1の場合と同様にして、比較用のハードコートフィルムを製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、ハードコート塗布組成物として、下記のハードコート塗布組成物−比較2を使用した点にある。
(ハードコート塗布組成物−比較2)
トリメチロールプロパントリアクリレート 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 60質量部
エトキシ化ーメチルー1.3プロパンジオールジアクリレート 20質量部
光重合開始剤1(イルガキュア184:チバジャパン社製) 6質量部
光重合開始剤2(イルガキュア907:チバジャパン社製) 4質量部
コロイダルシリカメチルエチルケトン分散液 12質量部
(MEK−ST:日産化学工業社製)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 15質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 25質量部
シクロヘキサノン 10質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
そして、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材の表面に、上記ハードコート層用塗布組成物−比較2を塗布し、ハードコート層を設けた。
また、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、上記実施例1の場合と同様に、バックコート層を設けた。
比較例3
比較例のために、上記実施例1の場合と同様にして、比較用のハードコートフィルムを製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、ハードコート塗布組成物として、下記のハードコート塗布組成物−比較3を使用した点にある。
(ハードコート塗布組成物−比較3)
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 55質量部
イソホロンジイソシアネート 25質量部
ヒドロキシエチルメタクリレート 10質量部
酸化ジルコニウムメチルエチルケトン分散液 5質量部
光重合開始剤3(ダロキュア1173:チバジャパン社製) 5質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量部
酢酸エチル 45質量部
アセトン 10質量部
メチルエチルケトン 10質量部
シクロヘキサノン 5質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
そして、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材の表面に、上記ハードコート層用塗布組成物−比較−3を塗布し、ハードコート層を設けた。
また、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、上記実施例1の場合と同様に、バックコート層を設けた。
比較例4
比較例のために、上記実施例1の場合と同様にして、比較用のハードコートフィルムを製造するが、上記実施例1の場合と異なる点は、ハードコート塗布組成物として、下記のハードコート塗布組成物−比較4を使用した点にある。
(ハードコート塗布組成物−比較4)
トリメチロールプロパントリアクリレート 25質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 25質量部
イソホロンジイソシアネート 10質量部
ヒドロキシエチルメタクリレート 10質量部
酸化チタンメチルエチルケトン分散液 5質量部
光重合開始剤3(ダロキュア1173:チバジャパン社製) 5質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 5質量部
イソプロパノール 30質量部
メチルエチルケトン 50質量部
シクロヘキサノン 5質量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.5質量部
(エマルゲン404:花王社製)
ポリシロキサン−フッ素樹脂共重合体 2質量部
(ZX−007C:富士化成工業社製)
(ハードコート層の作製)
そして、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材の表面に、上記ハードコート層用塗布組成物−比較−4を塗布し、ハードコート層を設けた。
また、この透明フィルム基材のハードコート層と反対側の表面に、上記実施例1の場合と同様に、バックコート層を設けた。
(マルテンス硬さの測定)
上記のようして作製した実施例1〜7、および比較例1〜4の各ハードコートフィルムについて、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)を微小硬度計を用いて測定した。
すなわち、上記の各ハードコートフィルムについて、ビッカース圧子および稜線同士の角度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計(商品名、DUH−211、島津製作所社製)を用いて、各ハードコートフィルム表面を、ハードコート層の膜厚の略1/10の厚みまで圧子を押し込んだときの負荷試験力−押しこみ深さ曲線を作成した。そして、各ハードコートフィルムについての負荷試験力−押しこみ深さ曲線から求められる最大負荷試験力(Fmax)の50%値から90%値までの押し込み深さが負荷試験力の平方根に比例する傾き(m)より、下記式で定義されるハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)の値を算出した。得られた結果を下記の表1に示した。
HMs=1/(26.43m
(屈折率の測定)
上記のようして作製した実施例1〜7、および比較例1〜4の各ハードコートフィルムについて、各フィルムのハードコート層の屈折率を、分光光度計(商品名、U−4000型、日立製作所社製)の分光反射率の測定結果から求めた。
なお、実施例1〜7、および比較例1〜4の各ハードコートフィルム試料は、測定面の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行なって、裏面での光の反射を防止して、5度、正反射条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率の測定を行なった。得られた結果を下記の表1にあわせて示した。
(ハードコートフィルムの評価)
上記のようして作製した実施例1〜7、および比較例1〜4の各ハードコートフィルムについて、耐溶剤性(耐溶剤浸透性)、防汚性、耐クラック性、異物故障の発生、塗布ムラ、及び耐擦傷性をそれぞれ評価し、得られた結果を下記の表1にあわせて示した。
(耐溶剤性)
実施例1〜7、および比較例1〜4の各ハードコートフィルム試料の表面を、エタノールを含浸した織布(商品名、ベンコット、旭化成社製)で10往復強く擦った後、目視で観察し、以下の基準で評価を行なった。
○:変化なし
△:一部わずかに剥離する
×:剥離する
(防汚性)
各ハードコートフィルム試料の表面を、油性の赤色のマーキングペン(マジックインキ・油性・極太、寺西化学社製)を用いて汚染し、18時間後に石油ベンジンを浸したガーゼで拭き取ったのちに、エタノールで洗浄し、乾燥したガーゼで軽く拭き、汚染の状態を観察し、下記の基準により防汚性を評価した。
◎:汚染の跡が全く認められず、マーキングペンのインクを非常によく弾く
○:汚染の跡が全く認められない
△:汚染の跡がかすかに認められる
×:汚染の跡が明瞭に認められる
(耐クラック性)
各ハードコートフィルムの試料を、サイクルサーモ試験機を用いて、温度80℃、および湿度20%RHの条件下で24時間、温度80℃、および湿度80%RHの条件下で24時間、それぞれ保存し、これを17日間繰り返した。つぎに17日後の各ハードコートフィルムの試料を、直径5mm、および直径10mmの丸棒にそれぞれ巻き付けて、クラックの発生状況を観察し、下記の基準で評価した。なお、丸棒の直径が大きい条件でクラックが発生している程、クラックの耐性が弱いことを示す。
◎:どの直径の丸棒に巻きつけてもクラックは発生しなかった
○:直径5mmの丸棒に巻きつけたときに、巻きつけ跡がついた
△:直径5mmの丸棒に巻きつけたときにクラックが発生した
×:直径10mmの丸棒に巻きつけたときにクラックが発生した
(異物故障の発生)
各ハードコートフィルム試料について、フィルム10平方cm当たりの、大きさ50μm以上の異物故障数を目視および光学顕微鏡でカウントし、1m 当たりの個数に換算した。異物故障の発生を、以下の基準で評価した。
◎:目視および光学顕微鏡で観察された大きさ50μm以上の異物故障が、
3個/m 未満
○:目視および光学顕微鏡で観察された大きさ50μm以上の異物故障が、
3個/m 以上、5個/m 未満
△:目視および光学顕微鏡で観察された大きさ50μm以上の異物故障が、
5個/m 以上、10個/m 未満
×:目視および光学顕微鏡で観察された大きさ50μm以上の異物故障が、
10個/m 以上
(フィルムの塗布ムラ)
黒アクリル板(商品名、クラレックス、日東樹脂工業株式会社製)に耐熱基材なし両面テープ(ホリコー社製)を貼合し、その上に、各ハードコートフィルム試料を、ハードコート層塗布面が表側になるように貼合して、床から80cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部に昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X:松下電器産業株式会社製)40W×2本を1セットとした蛍光灯の下、評価者がハードコートフィルム試料の正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に前記蛍光灯がくるようにした。フィルム試料は机に対する垂直方向から25°傾けて蛍光灯が映り込むようにし、そのときにフィルム試料の塗布ムラを、以下の基準で評価した。
○:フィルム試料に、塗布による色ムラが全く観察されない
△:フィルム試料に、塗布による色ムラがわずかに観察される
×:フィルム試料に、塗布による色ムラがひどく観察される
(耐擦傷性)
各ハードコートフィルム試料の上に、温度25℃、湿度60%RHの環境下で、スチールウール(SW)(商品名ボンスター#0000、日本スチールウール株式会社製)をのせて250g/cm の荷重をかけ、10往復したときの1cm当たりの傷の本数を測定した。なお、傷の本数は、荷重をかけた部分の中で最も傷の本数の多いところで測定する。
耐擦傷性としては、10本/cm以下であれば、実用上問題ないが、5本/cm以下が好ましく、3本/cm以下がさらに好ましい。
(偏光フィルムの作製)
つぎに、本発明による実施例1〜7、及び比較例1〜4の各ハードコートフィルムを用いて、偏光板、及びこれを使用した液晶表示パネルを作製するために、まず、偏光フィルムを作製した。
偏光フィルムの作製では、厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、ついでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる温度68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥、し偏光フィルムを得た。
(偏光板の作製)
ついで、下記の工程1〜工程5に従って、偏光フィルムと、上記実施例1〜7、及び比較例1〜4で作製した各ハードコートフィルムと、市販の位相差を有するセルロースエステルフィルム(商品名、コニカミノルタタック、コニカミノルタオプト株式会社製)とを、ハードコート層が外側になるように貼り合わせて、偏光板を作製した。
工程1:上記実施例1〜7、及び比較例1〜4のハードコートフィルム、及びセルロースエステルフィルムを、温度50℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、ついで水洗し、乾燥して、偏光フィルムと貼合する側を鹸化処理したハードコートフィルム、セルロースエステルフィルムを得た。
工程2:偏光フィルムを固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光フィルムに付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、この偏光フィルムの片面上に、工程1で鹸化処理したセルロースエステルフィルムを積層し、ついで、偏光フィルムの他面上に、ハードコート層が外側になるように工程1で鹸化処理したハードコートフィルムを積層した。
工程4:工程3で配置した偏光フィルムを圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:温度80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光フィルム、セルロースエステルフィルム、及びハードコートフィルムの積層フィルムを2分間乾燥し、偏光板を作製した。
(液晶表示パネルの作製)
ついで、市販の液晶表示パネル(NEC製、カラー液晶ディスプレイ、MultiSync、LCD1525J:型名、LA−1529HM)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに上記実施例1〜7、及び比較例1〜4のハードコートフィルムを使用して作製した偏光板をそれぞれ貼合して、各種の液晶表示パネルを作製し、得られた液晶表示パネルについて、ハードコート性を評価した。
(液晶パネルの評価)
上記のようにして得られた各種の液晶パネルについて、塗布ムラ視認性を、下記のように評価した。得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
(塗布ムラ視認性・表示パネル)
市販の液晶表示パネル(VA型)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに上記の実施例1〜7のハードコートフィルムを使用して作製した偏光板、および比較例1〜4のハードコートフィルムを使用して作製した偏光板を、それぞれ貼り付けた。
上記のようにして得られた各種の液晶表示パネルを、床から80cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部に昼色光直管蛍光灯(商品名:FLR40S・D/M−X、松下電器産業株式会社製)40W×2本を1セットとして、1.5m間隔で10セット配置した。
ここで、評価者が液晶パネル表示面の正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に前記蛍光灯がくるように配置した。液晶パネルは机に対する垂直方向から25°傾けて蛍光灯が映りこむようにし、そのときの液晶表示パネル試料の塗布ムラを以下の基準で評価した。
○:液晶表示パネル試料に、塗布による色ムラが全く観察されない
△:液晶表示パネル試料に、塗布による色ムラがわずかに観察される
×:液晶表示パネル試料に、塗布による色ムラがひどく観察される
Figure 2009186760
上記表1の結果から明らかなように、本発明による実施例1〜7のハードコートフィルムは、耐溶剤性に優れていて、例えば上層に別の機能を有する塗布液を塗した場合でも、該塗布液に含まれる溶剤が下層に浸透することなく、塗工性に優れているものである。また、本発明による実施例1〜7のハードコートフィルムは、高い物理強度(耐クラック性・耐擦傷性)を有するとともに、異物故障や塗布ムラの低減を可能にして、ハードコートフィルムの防汚性を大幅に増大させることができるものであった。そして、ハードコートフィルムの生産面積が大きいほど、ハードコート層のクラックによる異物故障・塗布ムラの発生確率が上がるものであるが、本発明によれば、ハードコート層表面を微小硬度計で押し込んだときのハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)を、所定範囲内に規定することで、生産面積が大きくても、歩留まりを減らすことができ、フィルムの生産性を向上させることができた。
さらに、本発明による実施例1〜7のハードコートフィルムを使用して作製した偏光板をそれぞれ貼合した液晶パネルによれば、塗布ムラがなく、視認性に優れているものであった。
これに対し、比較例1〜4のハードコートフィルムは、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)が、本発明の範囲外のものであるため、耐溶剤性に劣り、このため、塗工性にも劣るものであった。また、比較例1〜4のハードコートフィルムは、物理強度(耐クラック性・耐擦傷性)が劣るものであため、異物故障や塗布ムラを低減することはできず、ハードコートフィルムの防汚性も劣化しており、ハードコートフィルムの生産面積が大きくなった場合には、ハードコート層のクラックによる異物故障・塗布ムラの発生確率が上がるため、歩留まりがさらに悪くなって、フィルムの生産性が低下するおそれがあった。
また、比較例1〜4のハードコートフィルムを使用して作製した偏光板をそれぞれ貼合した液晶パネルによれば、塗布ムラが発生し、視認性に劣るものであった。

Claims (5)

  1. 透明樹脂フィルム基材上にハードコート層が積層されたハードコートフィルムであって、ハードコート層表面が、マルテンス硬さ(HMs)200N/mm以上、300N/mm以下を有するとともに、ハードコート層の屈折率が、1.60以下であることを特徴とする、ハードコートフィルム。
    ここで、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)とは、ビッカース圧子および稜線同士の角度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計(DUH−211:島津製作所社製)で光学フィルム表面を、ハードコート層の膜厚の1/10程度の厚みまで圧子を押し込んだときの負荷試験力−押しこみ深さ曲線において、該負荷試験力−押しこみ深さ曲線から求められる最大負荷試験力(Fmax)の50%値から90%値までの押し込み深さが負荷試験力の平方根に比例する傾き(m)より、下記式で定義される値をいう。
    HMs=1/(26.43m
  2. ハードコート層が、導電性を有するものであることを特徴とする、請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 請求項1または2に記載のハードコートフィルムを、偏光子の両面のうちの少なくともいずれか一方の面に貼合したことを特徴とする、偏光板。
  4. 請求項1または2に記載のハードコートフィルムを用いたことを特徴とする、表示装置。
  5. 請求項3に記載の偏光板を用いたことを特徴とする、表示装置。
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