JP2009184272A - サーマルヘッド、サーマルプリンタ、及びサーマルヘッドの製造方法 - Google Patents

サーマルヘッド、サーマルプリンタ、及びサーマルヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サーマルヘッドの耐熱性、破壊強度、及び加工精度の向上を図るとともに、良好な熱効率及び応答性が得られるようにすることで、消費電力を減らし、かつ高速印画を可能とする。
【解決手段】突部20aに対向する凹状の空隙部11aが形成されたガラス基板11と、ガラス基板11上に設けられ、突部20aが形成されたグレーズ層20とを備え、グレーズ層20は、ガラス基板11上に積層されるとともに、空隙部11aの天井面を形成するベース層21と、ベース層21上に積層され、発熱抵抗体12が配列される耐熱層22とを備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、発熱素子が配列された突部と記録媒体とを押圧させるとともに、発熱素子を駆動して発熱させることにより、記録媒体に対して画像を形成するサーマルヘッド、サーマルプリンタ、及びサーマルヘッドの製造方法に係るものである。そして、詳しくは、サーマルヘッドの耐熱性及び破壊強度の向上を図るとともに、加工精度を向上できる技術に関するものである。
従来から、突部に発熱抵抗体(発熱素子)を配列したサーマルヘッドと、サーマルヘッドに対向するように設けられたプラテンローラとを備えるサーマルプリンタが知られている。このようなサーマルプリンタは、サーマルヘッドの突部とプラテンローラ上に搬送された印画紙(記録媒体)とを押圧させて画像を形成するようになっている。なお、突部と印画紙との押圧は、サーマルヘッドを移動させる場合と、プラテンローラを移動させる場合とがある。
ここで、サーマルプリンタには、画像形成方式として昇華方式や感熱方式等があるが、いずれの方式であっても、サーマルヘッドの発熱抵抗体に対して階調レベルに応じた選択的な通電を行い、その際に発生する熱エネルギを利用して画像を形成している。例えば、昇華方式のサーマルプリンタの場合には、インクリボンを介して印画紙にサーマルヘッドの突部を押圧し、発熱抵抗体を駆動して発熱させると、インクリボン上のインクが発熱抵抗体の熱エネルギに比例して印画紙上に昇華され、印画が行われる。
このように、サーマルヘッドは、印画のために発熱抵抗体を発熱させるものであるが、印画の際に発熱抵抗体から発生した熱は、その大半が印画紙とは反対方向に伝達され、放熱されてしまう。そのため、高速に印画しようとすれば、発熱抵抗体を直ちに高温にする必要があるが、そうすると、消費電力が大きくなるという問題がある。特に、家庭用のサーマルプリンタでは、省電力化を図りつつ印画速度を上げることが求められているので、サーマルヘッドの熱効率を改善し、消費電力を下げなければならない。
そこで、サーマルプリンタの消費電力を減らし、高品位な画像や文字を高速で印画するため、サーマルヘッドの熱効率及び応答性を向上させる技術が知られている。すなわち、発熱抵抗体を配列したガラス基板に空隙部を形成し、空隙部内の空気層により、発熱抵抗体から発生した熱がガラス基板側に放熱されにくくして熱効率を向上させるとともに、空隙部によってガラス基板の蓄熱量を少なくして応答性を向上させるようにした技術である(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−245675号公報
図11は、上記の特許文献1に開示された従来のサーマルヘッド110を示す縦断面図である。
図11に示すように、サーマルヘッド110は、縦断面が略円弧状の突部111aが形成されたガラス基板111上に、発熱抵抗体112と、発熱抵抗体112を発熱させるための電源電極113a及び駆動電極113bと、発熱抵抗体112、電源電極113a、及び駆動電極113bを保護する保護膜114とが順次積層されたものである。そして、電源電極113aと駆動電極113bとの間で発熱抵抗体112が露出した部分が実際に熱エネルギを発生する発熱部112aとなっている。
ここで、発熱部112aは、発熱部112aをインクリボン及び印画紙に押圧できるように、突部111a上に設けられている。また、突部111aが形成されたガラス基板111には、突部111aと対向する凹状の空隙部111bも形成されている。そして、空隙部111b内は、空気で満たされるようになっている。さらにまた、ガラス基板111の下側には、空隙部111bの開口面を塞ぐようにして放熱板115が接着剤116で接着されている。
このようなサーマルヘッド110は、ガラス基板111を構成しているガラスよりも熱伝導率が低い空気の特性により、空隙部111bの熱伝導率が低くなる。そのため、ガラス基板111の突部111a上に設けられた発熱部112aからガラス基板111側への放熱が抑制されるので、突部111aに押圧されたインクリボン側に伝達される熱エネルギが大きくなる。その結果、印画の際に、インクリボン上のインクをその昇華温度まで上げるために必要な消費電力が少なくなり、サーマルヘッド110の熱効率が向上する。
また、空隙部111bによってガラス基板111の突部111aの厚さが薄くなり、ガラス基板111の蓄熱量が少なくなるため、ガラス基板111内に蓄熱されてしまう熱エネルギを短時間で放熱できるようになる。その結果、インクリボン上のインクを昇華させないとき(発熱部112aを発熱させないとき)に、直ちに発熱部112aの温度が下がるので、サーマルヘッド110の応答性が向上する。
しかし、図11に示すサーマルヘッド110であっても、さらに消費電力を減らし、高速に印画することが求められている。そのためには、より一層の熱効率及び応答性の向上を図る必要があるだけでなく、サーマルヘッド110の発熱部112aの直下で、高温にさらされることとなる突部111aについて、耐熱性や破壊強度を改善しなければならない。また、空隙部111bの形成によってガラス基板111の強度が低下するので、高温にさらされる突部111aの強度低下ができるだけ少なくなるように、空隙部111bの加工精度を向上させる必要もある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、サーマルヘッドの耐熱性、破壊強度、及び加工精度の向上を図るとともに、良好な熱効率及び応答性が得られるようにすることで、消費電力を減らし、かつ高速印画を可能とすることである。
本発明は、以下の解決手段により、上述の課題を解決する。
本発明の請求項1に記載の発明は、発熱素子が配列された突部と記録媒体とを押圧させるとともに、前記発熱素子を駆動して発熱させることにより、記録媒体に対して画像を形成するサーマルヘッドであって、前記突部に対向する凹状の空隙部が形成された支持基板と、前記支持基板上に設けられ、前記突部が形成されたグレーズ層とを備え、前記グレーズ層は、前記支持基板上に積層されるとともに、前記空隙部の天井面を形成するベース層と、前記ベース層上に積層され、前記発熱素子が配列される耐熱層とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の発明は、発熱素子が配列された突部と記録媒体とを押圧させるとともに、前記発熱素子を駆動して発熱させることにより、記録媒体に対して画像を形成するサーマルヘッドを備えるサーマルプリンタであって、前記サーマルヘッドは、前記突部に対向する凹状の空隙部が形成された支持基板と、前記支持基板上に設けられ、前記突部が形成されたグレーズ層とを備え、前記グレーズ層は、前記支持基板上に積層されるとともに、前記空隙部の天井面を形成するベース層と、前記ベース層上に積層され、前記発熱素子が配列される耐熱層とを備えることを特徴とする。
(作用)
上記の請求項1及び請求項5に記載の発明は、発熱素子が配列された突部に対向する凹状の空隙部が形成された支持基板と、支持基板上に設けられ、突部が形成されたグレーズ層とを備えている。そして、グレーズ層は、支持基板上に積層されるとともに、空隙部の天井面を形成するベース層と、ベース層上に積層され、発熱素子が配列される耐熱層とを備えている。そのため、耐熱層によってサーマルヘッドの耐熱性が向上する。また、ベース層によって空隙部の寸法精度が向上するとともに、空隙部上のグレーズ層にマイクロクラック等が発生することがないので、破壊強度が向上する。
本発明の請求項6に記載の発明は、支持基板上に、発熱素子が配列される突部が形成されたグレーズ層が設けられ、前記発熱素子が配列された前記突部と記録媒体とを押圧させるとともに、前記発熱素子を駆動して発熱させることにより、記録媒体に対して画像を形成するサーマルヘッドの製造方法であって、前記突部に対応する突起を有する前記支持基板上に、前記グレーズ層の下層となるベース層を形成するベース層形成工程と、前記ベース層形成工程によって形成された前記ベース層上に、前記グレーズ層の上層となり、前記発熱素子が配列される耐熱層を形成する耐熱層形成工程と、前記ベース層形成工程によって前記ベース層を形成した後に、前記突起上の前記ベース層を露出させ、前記支持基板に、前記突部と対向し前記ベース層を天井面とする凹状の空隙部を形成する空隙部形成工程とを含むことを特徴とする。
(作用)
上記の請求項6に記載の発明は、支持基板上に、発熱素子が配列される突部が形成されたグレーズ層が設けられたサーマルヘッドの製造方法であり、グレーズ層の下層となるベース層を形成するベース層形成工程と、ベース層上に、グレーズ層の上層となり、発熱素子が配列される耐熱層を形成する耐熱層形成工程と、支持基板に、突部と対向しベース層を天井面とする凹状の空隙部を形成する空隙部形成工程とを含むものである。そのため、耐熱層形成工程で形成された耐熱層によってサーマルヘッドの耐熱性が向上する。また、空隙部形成工程において、ベース層が空隙部を形成する際のバリアとなるので、空隙部の加工精度が向上するとともに、空隙部上のグレーズ層にマイクロクラック等が発生しなくなり、破壊強度が向上する。
上記の発明によれば、グレーズ層の上層の耐熱層により、サーマルヘッドの耐熱性が向上する。また、グレーズ層の下層のベース層により、支持基板の空隙部の精度(寸法精度及び加工精度)が向上するとともに、空隙部上のグレーズ層にマイクロクラック等が発生せず、破壊強度が向上する。そのため、空隙部をより大きくし、空隙部上のグレーズ層の厚さをより薄くできるようになる。その結果、大きな空隙部内の空気層により、発熱素子の熱が支持基板側に一層放熱されにくくなり、熱効率がさらに向上する。しかも、大きな空隙部と薄いグレーズ層とにより、支持基板及びグレーズ層の蓄熱量が一層少なくなり、放熱しやすくなるので、応答性がさらに向上する。したがって、従来よりも消費電力を減らすことができるだけでなく、高速印画が可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態のサーマルヘッド10を備えるサーマルプリンタ1を示す概略の側面図である。
また、図2は、第1実施形態のサーマルヘッド10の周辺部を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、サーマルプリンタ1は、印画紙2(記録媒体)に対し、インクリボン3上のインクを昇華させて画像を形成する昇華型のものである。すなわち、サーマルヘッド10によって発生した熱エネルギでインクリボン3上のインクを昇華させ、印画紙2上にカラー画像や文字を印画する。
このサーマルプリンタ1は、サーマルヘッド10と、サーマルヘッド10と対向する位置に設けられたプラテンローラ4と、インクリボン3の走行をガイドするリボンガイド5a,5bと、サーマルヘッド10とプラテンローラ4との間に押圧された印画紙2を搬送するキャプスタンローラ6と、キャプスタンローラ6と対向して従動回転するピンチローラ7と、印画後の印画紙2を排紙する排紙ローラ8と、印画紙2をサーマルヘッド10側に向けて逆向きに搬送させる搬送ローラ9とを備えている。また、サーマルヘッド10は、サーマルプリンタ1の筐体側の取付け部材1aにネジで取り付けられている。
ここで、インクリボン3は、長尺の樹脂フィルムからなるものであり、図1に示すように、供給スプール3aと巻取りスプール3bとの間に巻き回された状態で、インクカートリッジに収納されている。そして、樹脂フィルムの一方の面に、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、及びC(シアン)の3色のインクと、印画された画像や文字の保存性を向上させるためのラミネートインクとが繰り返し塗布されている。また、インクリボン3は、サーマルヘッド10に対してインクリボン3の供給側と巻取り側とに設けられたリボンガイド5a,5bにより、サーマルヘッド10とプラテンローラ4との間にガイドされる。
このようなサーマルプリンタ1によって印画を行うには、図2に示すように、サーマルヘッド10のヘッド部10aとプラテンローラ4との間で印画紙2及びインクリボン3を押圧する。そして、図1に示す巻取りスプール3bを回転させてインクリボン3を巻取り方向(図1の左方向)に走行させる。また、キャプスタンローラ6及び排紙ローラ8を回転させることにより、キャプスタンローラ6とピンチローラ7との間に挟み込んだ印画紙2を排紙方向(図1の矢印A方向)に搬送する。この状態でサーマルヘッド10からインクリボン3に熱エネルギを加えると、印画紙2と重なり合っているY(イエロ)のインクが昇華され、印画紙2上に転写される。
次に、Y(イエロ)のインクが転写された印画紙2の画像形成部にM(マゼンタ)のインクを転写する。そのため、搬送ローラ9を回転させ、印画紙2をサーマルヘッド10側(図1の矢印B方向)に逆送りし、印画紙2の画像形成開始端がサーマルヘッド10に対向するようになる位置まで戻す。また、インクリボン3のM(マゼンタ)のインクをサーマルヘッド10に対向させる。そして、Y(イエロ)のインクを転写する際と同様に、印画紙2を排紙方向(図1の矢印A方向)に搬送しながらサーマルヘッド10からインクリボン3に熱エネルギを加え、M(マゼンタ)のインクを昇華して、印画紙2上に転写する。さらに、M(マゼンタ)のインクを転写する際と同様にして、C(シアン)のインク及びラミネートインクを印画紙2に順次転写し、カラー画像や文字を印画するとともに、画像等の保存性を向上させた後、排紙ローラ8によって排紙する。
図3は、第1実施形態のサーマルヘッド10の全体を示す斜視図である。
また、図4は、第1実施形態のサーマルヘッド10とプラテンローラ4との間で印画紙2及びインクリボン3を押圧した状態を示す正面図である。
図3に示すように、サーマルヘッド10は、熱エネルギを発生するヘッド部10aに、発生した熱の放熱部材として、放熱板40が接着されている。すなわち、非印画時に、ヘッド部10aの余分な熱を放熱板40に逃がすようになっている。なお、放熱板40の接着剤50(図示せず)には、熱伝導性のあるフィラ等が含有されている。
また、サーマルヘッド10によって画像を形成するため、ヘッド部10aの両端には、一端がヘッド部10aと電気的に接続され、他端が電源と接続された電源用フレキシブル基板61が設けられている。さらにまた、ヘッド部10aの両端の電源用フレキシブル基板61の間には、一端がヘッド部10aと電気的に接続され、他端が制御回路と電気的に接続された駆動用フレキシブル基板62が複数並設されている。そして、電源用フレキシブル基板61及び駆動用フレキシブル基板62は、ヘッド部10aとの間に、導電性粒子を含む絶縁樹脂材料からなるフィルム(例えば、異方性導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film ))を介在させて接続されている。
ここで、ヘッド部10aは、印画紙2(図4参照)の搬送方向に対して直交方向(図3の矢印L方向)に、印画紙2の幅よりも長くなっている。そのため、印画紙2の幅方向両端の余白をなくした縁なしの画像を形成することができる。
しかしながら、ヘッド部10aが印画紙2の幅よりも長いと、図4に示すように、ヘッド部10aの端部において、印画紙2、インクリボン3、及びプラテンローラ4のいずれとも接触しない非接触領域が生ずる。
この非接触領域では、ヘッド部10aの熱エネルギがインクリボン3等に伝達されず、非接触領域の空気層によって放熱されにくいヘッド部10aの空焚き部となる。そのため、ヘッド部10aの温度が空焚き部で局所的に上昇してしまう。特に、高速印画が要求される昨今では、消費電力を増やしてヘッド部10aを高温にしているので、空焚き部の温度上昇も増加傾向にある。すると、ヘッド部10aの耐熱温度を超えてしまい、破壊につながるおそれが生じるので、ヘッド部10aの耐久性及び信頼性が問題となる。なお、図4に示すような非接触領域は、ヘッド部10aの端部だけでなく、印画中等にヘッド部10aの下側に異物が混入等することによっても発生する。
そこで、ヘッド部10aの耐熱性を向上させることにより、ヘッド部10aの局所的な高温化(空焚き部の温度上昇)による破壊強度限界を改善し、耐久性及び信頼性を向上させている。また、ヘッド部10aから発生した熱が放熱されにくくして熱効率を向上し、ヘッド部10aの蓄熱量を少なくして応答性を向上させることで、省電力で高速に印画できるサーマルヘッド10を実現している。
図5は、第1実施形態のサーマルヘッド10を部分的に示す斜視図である。
また、図6は、第1実施形態のサーマルヘッド10を示す縦断面図である。
図5及び図6に示すように、サーマルヘッド10のヘッド部10aは、ガラス基板11(本発明における支持基板に相当するもの)と、ガラス基板11上に設けられたグレーズ層20と、グレーズ層20上に配列された発熱抵抗体12(本発明における発熱素子に相当するもの)と、この発熱抵抗体12を発熱させるための電源電極13a及び駆動電極13bと、発熱抵抗体12、電源電極13a、及び駆動電極13b上に設けられた保護膜30とを備えている。そして、このヘッド部10aに放熱板40が接着剤50(図6参照)によって接着されてサーマルヘッド10が構成されている。
ヘッド部10aには、発熱抵抗体12から熱エネルギを発生させるため、電源電極13aに、電源用フレキシブル基板61(図3参照)がACF(異方性導電性フィルム)を介して電気的に接続されている。また、駆動電極13bには、駆動用フレキシブル基板62(図5参照)がACF(異方性導電性フィルム)を介して電気的に接続されている。
ここで、ガラス基板11は、ヘッド部10aの支持基板となるものであり、例えば、軟化点が500℃程度で、熱伝導率が1W/mK程度のガラスで矩形状に形成されている。そして、このガラス基板11には、凹状の空隙部11aが形成されている。なお、ガラス基板11は、ガラスに代表される所定の表面性や熱特性等を有する材料から形成されたものであるが、本発明における支持基板をガラス基板11とせず、人工水晶や人造ルビー、人造サファイヤ等の合成宝石、人造石、高密度セラミック等からなる支持基板としても良い。
グレーズ層20は、発熱抵抗体12が配列された突部20aを有している。この突部20aは、グレーズ層20の幅方向の中央部であって、長さ方向(図5の矢印L方向)に、縦断面が略円弧状に形成されたものである。そのため、インクリボン3(図2参照)と対向する面が略円弧状の突部20aとなり、突部20a上に配列された発熱抵抗体12とインクリボン3との当たりが良くなる。その結果、発熱抵抗体12が発生する熱エネルギをインクリボン3に効率的に伝達できる。
また、グレーズ層20は、図6に示すように、ガラス基板11上に積層されるとともに、空隙部11aの天井面を形成するベース層21と、ベース層21上に積層され、発熱抵抗体12が配列される耐熱層22とを備えている。そして、ベース層21は、Au(金)からなり、耐熱層22は、窒化ケイ素系材料からなっている。この窒化ケイ素系材料は、例えば、Si(ケイ素)、Al(アルミニウム)、O(酸素)、及びN(窒素)の4つの元素から構成され、Si(ケイ素)原子の一部にAl(アルミニウム)原子が置換し、N(窒素)原子の一部にO(酸素)が置換したSiAlON(サイアロン)という化学式で表されるエンジニアリング・セラミックスが好適なものである。
発熱抵抗体12は、熱エネルギを発生するものであり、上記のように、グレーズ層20の突部20a上に配列されている。この発熱抵抗体12は、例えば、Ta(タンタル)−SiO (二酸化ケイ素)、Nb(ニオブ)−SiO (二酸化ケイ素)等、温度が上昇すると抵抗値も上昇する材料(抵抗値の温度依存性が正特性を持った材料)からなっている。そして、電源電極13a及び駆動電極13bの間から露出した発熱抵抗体12の部分が実際に熱エネルギを発生する発熱部12aとなり、突部20a上に長さL1の矩形状に設けられている。また、発熱部12aは、発生する熱エネルギを分散させるため、転写させたいインクのドットサイズよりもやや大きく形成されている。
ここで、発熱抵抗体12として、抵抗値の温度依存性が正特性の材料を使用するのは、発熱部12aの異常な温度上昇を自己抑制できるようにするためである。すなわち、従来から一般的に使用されている材料は、温度依存性のないものや少ないものであった。しかしながら、温度依存性が正特性であると、例えば、空炊き部(図4参照)において温度が上昇すると抵抗値も上昇するので、発熱抵抗体12に流れる電流が減少する。そのため、発熱量も減少し、自己抑制的に空炊き部の温度上昇が抑えられることとなる。その結果、温度上昇に起因した抵抗値の永久変化や破壊限界が改善され、耐久性及び信頼性が向上する。
また、発熱抵抗体12への通電初期は、発生した熱が周囲に吸収されてしまうので、急峻な温度上昇を実現できず、先鋭性を欠いた画質となってしまう。そして、この状況は、急峻な温度変化を要求する印画を行う場合も同様である。しかしながら、抵抗値の温度依存性が正特性の材料であれば、通電開始によって温度が上昇すると発熱抵抗体12の抵抗値も上昇し、大きな電力が印加されるようになる。その結果、発熱量が大きくなり、温度上昇の立上り特性が改善される。
電源電極13a及び駆動電極13bは、電源からの電流を発熱抵抗体12に供給するとともに、発熱抵抗体12を駆動して、発熱部12aを発熱させるためのものである。この電源電極13a及び駆動電極13bは、例えば、Al(アルミニウム)、Au(金)、Cu(銅)等の電気伝導性の良い材料からなるもので、図5に示すように、電源電極13aは、すべての発熱抵抗体12と電気的に接続された共通電極であり、駆動電極13bは、発熱抵抗体12ごとに個別に接続された個別電極となっている。
また、電源電極13a(共通電極)は、グレーズ層20の突部20aを挟んで、電源用フレキシブル基板61(図3参照)が貼り合わされた側とは反対側に設けられているが、端部の両側がガラス基板11の短辺に沿って電源用フレキシブル基板61側に導かれ、電源用フレキシブル基板61とACF(異方性導電性フィルム)を介して電気的に接続されている。そのため、電源用フレキシブル基板61を介して電源と接続され、すべての発熱抵抗体12に電流が供給されることとなる。
さらにまた、駆動電極13b(個別電極)は、グレーズ層20の突部20aを挟んで、駆動用フレキシブル基板62(図5参照)が貼り合わされている側に設けられている。そして、発熱抵抗体12の駆動を制御する制御回路と接続された駆動用フレキシブル基板62とACF(異方性導電性フィルム)を介して電気的に接続されている。そのため、制御回路によって選択された発熱抵抗体12に所定時間だけ電流を供給することにより、その発熱抵抗体12の発熱部12aが発熱し、その発熱エネルギによってインクリボン3(図2参照)のインクが昇華し、印画紙2(図2参照)に転写される温度まで上昇する。
さらに、電源電極13a及び駆動電極13bは、絶縁樹脂材料からなるACF(異方性導電性フィルム)を介して電源用フレキシブル基板61(図3参照)及び駆動用フレキシブル基板62(図5参照)と接続されているので、発熱部12aで発生した熱が電源電極13aや駆動電極13bを通して電源用フレキシブル基板61や駆動用フレキシブル基板62側に放熱されることが防止される。そのため、発熱部12aから発生した熱の無駄な放熱が抑えられ、熱効率が向上する。
保護膜30は、ヘッド部10aの最も外側に設けられたものである。そして、発熱抵抗体12(発熱部12a)、電源電極13a、及び駆動電極13bを覆うことにより、ヘッド部10aとインクリボン3(図2参照)とが当接した際の摩擦等から発熱部12a等を保護している。なお、保護膜30には、摺動性や耐摩耗性を有する材料が用いられ、例えば、グレーズ層20の耐熱層22と同様に、SiAlON(サイアロン)が好適なものである。
このようなヘッド部10aにおいて、ガラス基板11には、突部20aと対向するように空隙部11aが形成されている。すなわち、空隙部11aは、サーマルヘッド10の長さ方向(図5の矢印L方向)に発熱抵抗体12が配列されている突部20aと対向し、発熱抵抗体12の発熱部12aに向かって凹状に形成されたものである。そして、図6に示すように、グレーズ層20の下層を構成するベース層21が空隙部11aの天井面となっている。そのため、空隙部11aの天井面にガラス基板11がなく、ベース層21の下面まで大きくなる。また、発熱部12aから発生した熱エネルギが蓄積される蓄熱部となる突部20a(空隙部11aの上部領域)の厚さT1が薄くなる(グレーズ層20の厚さT1分だけとなる)。
ここで、空隙部11aの幅W1は、サーマルヘッド10の熱効率を向上させるため、発熱部12aの長さL1と同じか、長さL1よりも大きくなるように形成されている。すなわち、ガラスよりも熱伝導率が低いという空気の特性により、空隙部11aの幅W1を大きく、発熱部12aの長さL1以上とすれば、空隙部11a内の空気量が多くなってガラス基板11への放熱を効果的に抑制し、発熱部12aから発生した熱エネルギがガラス基板11に放熱されにくくなる。その結果、インクリボン3(図2参照)側への熱エネルギを多くすることができ、サーマルヘッド10の熱効率が向上する。
また、突部20aは、空隙部11aによってグレーズ層20の厚さT1分しか厚みがなく、薄くなっているので、蓄熱量が少ない。そのため、短時間で熱エネルギを放熱できることから、発熱部12aを発熱させないときには、サーマルヘッド10の温度を直ちに下げることができる。その結果、サーマルヘッド10の応答性が向上し、画像や文字がぼやけたりするような不具合が生じることなく、省電力で高速に高品位な画像や文字を印画できるようになる。
さらにまた、グレーズ層20では、突部20aの耐熱層22が発熱部12aから発生した熱エネルギの蓄熱部となる。そして、この突部20aに蓄熱された熱エネルギにより、印画紙2(図2参照)にインクを転写する際に、省電力で直ちにインクの昇華温度まで温度を上昇させることができるようになる。その結果、サーマルヘッド10の熱効率がより一層向上する。
このように、グレーズ層20は、発熱部12aの直下の突部20aが蓄熱部となり、高温にさらされる。また、空焚き部(図4参照)では、グレーズ層20の温度が局所的に上昇する。そのため、グレーズ層20には、高い耐熱性が要求されることとなるので、グレーズ層20の耐熱層22を窒化ケイ素系材料(例えば、SiAlON(サイアロン))としている。
ここで、耐熱層22を構成する窒化ケイ素系材料は、耐熱性に優れ、高い硬度を有するものである。特に、SiAlON(サイアロン)は、高温下で高強度であり、耐摩耗性、耐熱性、耐熱衝撃性、及び熱伝導性等に優れている。そのため、従来のサーマルヘッド110(図11参照)のように、ガラス基板111の突部111aが蓄熱部となり、耐熱性がガラスの持つ特性(ガラス転移点、屈伏点、軟化点等)によって決まってしまう場合に比べ、耐熱性を大幅に向上させることができるので、高温によるグレーズ層20の破壊強度限界が改善される。
また、グレーズ層20の突部20aは、その下に空隙部11aが存在しており、蓄熱量を減少させる目的で、空隙部11aの天井面をベース層21で形成した極力薄いもの(グレーズ層20の厚さT1分だけ)となっている。そのため、突部20aの硬度を高くする必要があるが、グレーズ層20の耐熱層22を窒化ケイ素系材料(例えば、SiAlON(サイアロン))とすることにより、グレーズ層20の硬度が高くなり、薄い突部20aの破壊強度限界が改善される。
さらにまた、グレーズ層20の突部20aは、突部20aの略円弧状の縦断面に沿うように、ベース層21が空隙部11aの天井面で略円弧状になっている。そのため、インクリボン3(図2参照)を介して突部20aを印画紙2(図2参照)に押圧した際に、空隙部11aの両端のコーナ部に位置するグレーズ層20の部分に応力が集中しなくなり、グレーズ層20の物理的強度が高くなる。その結果、突部20aの厚さT1を非常に薄くできるようになる。
しかも、空隙部11aの両端のコーナ部においても、ガラス基板11が略円弧状に形成されている。そのため、突部20a側からガラス基板11の空隙部11aに作用する圧力が分散され、ガラス基板11の物理的強度が高くなる。したがって、空隙部11aの幅W1を広くしても、ガラス基板11の変形や破損を防止できる。
さらに、グレーズ層20の突部20aは、ガラス基板11の空隙部11a上で均一の厚さT1を有している。すなわち、グレーズ層20のベース層21及び耐熱層22がそれぞれ一定の厚さとなっており、熱エネルギが蓄えられる発熱部12aの直下の耐熱層22の厚さに偏在が生じない。そのため、熱的バランスが良くなり、サーマルヘッド10の熱効率及び応答性が良好なものとなる。
図7は、第1実施形態のサーマルヘッド10の製造方法における基板形成工程及びベース層形成工程を示す断面図である。
また、図8は、第1実施形態のサーマルヘッド10の製造方法における耐熱層形成工程及び発熱部形成工程を示す断面図である。
さらにまた、図9は、第1実施形態のサーマルヘッド10の製造方法における保護膜形成工程及び空隙部形成工程を示す断面図である。
第1実施形態のサーマルヘッド10(図6参照)を製造するには、最初に、ガラス基板11の原材料となるガラスを用意し、このガラスを熱プレス等することにより、図7(a)に示すように、突起11bを有する所定の大きさのガラス基板11を成型する(基板形成工程)。なお、突起11bは、突部20a(図6参照)のベースとなるものであり、縦断面が略円弧状となっている。
次に、図7(b)に示すように、突起11bを有するガラス基板11上に、グレーズ層20(図6参照)の下層となるベース層21を形成する(ベース層形成工程)。この際、第1実施形態のサーマルヘッド10は、ベース層21をAu(金)で形成するので、図7(b)に示すベース層形成工程では、ガラス基板11の表面に、スパッタリング等の薄膜形成技術によってAu(金)膜を成膜する。
その後、図8(a)に示すように、ベース層21(Au(金)膜)上に、グレーズ層20の上層となり、発熱抵抗体12(図6参照)が配列される耐熱層22を形成する(耐熱層形成工程)。この際、第1実施形態のサーマルヘッド10は、耐熱層22を窒化ケイ素系材料(SiAlON(サイアロン))から形成しているので、図8(a)に示す耐熱層形成工程では、ベース層21(Au(金)膜)の表面に、スパッタリング等によってSiAlON(サイアロン)膜を成膜する。
このように、ベース層21(Au(金)膜)に耐熱層22(SiAlON(サイアロン)膜)を積層してグレーズ層20を形成すると、突起11b上に、グレーズ層20の突部20aが形成される。そして、図8(b)に示すように、発熱部12aを形成する(発熱部形成工程)。すなわち、最初に、発熱抵抗体12となる抵抗体膜を形成する。この際、第1実施形態のサーマルヘッド10は、発熱抵抗体12を温度が上昇すると抵抗値も上昇する材料(Ta(タンタル)−SiO (二酸化ケイ素))から形成しているので、図8(b)に示す発熱部形成工程では、グレーズ層20(耐熱層22)の表面に、フォトリソグラフィ等の技術によってTa(タンタル)−SiO (二酸化ケイ素)の抵抗体膜をパターン形成する。
次に、発熱抵抗体12(Ta(タンタル)−SiO (二酸化ケイ素)の抵抗体膜)上に、フォトリソグラフィ等の技術で導体膜(Al(アルミニウム)等の電気伝導性の良い材料)をパターン形成し、電源電極13a及び駆動電極13bとする。この際、突部20a上の電源電極13aと駆動電極13bとの間から発熱抵抗体12を露出させ、発熱部12aを形成する(電源電極13aと駆動電極13bとの間で発熱抵抗体12が露出した部分が実際に熱エネルギを発生する発熱部12aとなる)。なお、発熱抵抗体12、電源電極13a、及び駆動電極13bが形成されていない部分では、グレーズ層20(耐熱層22)が露出したままとなっている。
また、図9(a)に示すように、発熱抵抗体12(発熱部12a)、電源電極13a、駆動電極13b、及び露出したグレーズ層20の上に、スパッタリング等によってSiAlON(サイアロン)膜を成膜し、保護膜30を形成する(保護膜形成工程)。この保護膜30には、耐熱層22と同じSiAlON(サイアロン)を使用しているので、構成材料の削減が図られる。そして、図9(b)に示すように、突部20aと対向する部分のガラス基板11に凹状の空隙部11aを形成する(空隙部形成工程)。
ここで、空隙部形成工程は、例えば、カッタで切削する等の機械加工により、最初に、空隙部11aに近いおおよその凹状を形成する。その後、フッ化水素酸によるエッチング処理を行い、切削内面に付いた傷(マイクロクラック)を除去するとともに、空隙部11aの形状を調整し、空隙部11aの両端のコーナ部におけるガラス基板11を略円弧状に形成する。また、フッ化水素酸によるエッチング処理によってグレーズ層20の下層であるベース層21を露出させ、ベース層21を天井面とする最終的な空隙部11aとする。なお、空隙部形成工程は、ベース層形成工程の後であれば良く、発熱部形成工程等の前に行っても良い。
このように、空隙部形成工程では、フッ化水素酸によるエッチング処理を行うが、ベース層21は、このエッチングを止めるバリアとして機能する。すなわち、フッ化水素酸のエッチングは、ベース層21となっているAu(金)膜で止まる。そのため、突部20aの厚さT1(図6参照)は、グレーズ層20の厚さ(ベース層21であるAu(金)膜の膜厚+耐熱層22であるSiAlON(サイアロン)膜の膜厚)で決まることとなる。
したがって、ばらつきが少なく、高精度で薄い突部20aを形成できるとともに、加工精度に優れ、マイクロクラック等のない空隙部11aを形成できる。すなわち、切削等の機械的な手法で空隙部11aを形成する場合と比べ、突部20a及び空隙部11aの精度(寸法精度及び加工精度)が向上するので、突部20aの破壊強度限界が改善されるだけでなく、蓄熱量のばらつきが抑制され、優れた印画品質が得られるようになる。
最後に、ガラス基板11の裏面に、空隙部11aの開口面を塞ぐようにして放熱板40(図6参照)を接着することにより、図6に示す第1実施形態のサーマルヘッド10となる。放熱板40の接着は、放熱板40の表面に接着剤50(図6参照)を塗布しておき、上からガラス基板11を押圧することによって行う。この接着剤50は、弾性及び熱伝導性を有する材料(例えば、加熱硬化型のシリコーンゴム等)からなり、高硬度で熱伝導性を有するフィラ(例えば、粒状又は線状のAl(酸化アルミニウム)等)が含有されている。
したがって、接着剤50が熱伝導性を有することとなり、ガラス基板11側の熱を効率的に放熱板40に放熱できる。また、ガラス基板11と放熱板40との熱膨張係数の違いによる剪断力は、接着剤50の厚み(例えば、50μm程度)によって吸収されるので、放熱板40が剥がれることはない。
図10は、第2実施形態のサーマルヘッド70を示す縦断面図である。
図10に示すように、第2実施形態のサーマルヘッド70は、空隙部71aの縦断面形状が開口面に向かって広くなるようにしたものである。すなわち、第2実施形態のサーマルヘッド70は、製造時に、ガラスを熱プレスすることにより、突部80aのベースとなる突起11b(図7参照)を形成するとともに、空隙部71aに近いおおよその凹状が形成されたガラス基板71とする。
したがって、第2実施形態のサーマルヘッド70では、突起11b(図7参照)と同時に、空隙部71aとなるおおよその凹状が熱プレス成型されるので、切削等の後加工で凹状を形成する工程が不要となる。また、この際に、凹状の開口面側を広くすることにより、熱プレス成型後の金型を離型しやすくしている。そして、ガラス基板71上に、グレーズ層80のベース層81を形成する(ベース層形成工程)とともに、ベース層81上に、耐熱層82を形成する(耐熱層形成工程)。さらに、発熱抵抗体72、電源電極73a、駆動電極73b、及び保護膜74を順次形成した後、フッ化水素酸によるエッチング処理によってベース層81を露出させることにより、突部80aに対向し、ベース層81を天井面とする最終的な空隙部71aを形成する(空隙部形成工程)。
このように、第1実施形態のサーマルヘッド10及び第2実施形態のサーマルヘッド70は、グレーズ層20(グレーズ層80)がベース層21(ベース層81)及び耐熱層22(耐熱層82)によって構成される。そして、ベース層21(ベース層81)が空隙部11a(空隙部71a)の天井面を形成している。そのため、発熱抵抗体12(発熱抵抗体72)が配列される突部20a(突部80a)を精度(寸法精度及び加工精度)良く、強度を保ちながら薄く均一にすることができ、蓄熱量のばらつきをなくすことができる。また、空隙部11a(空隙部71a)を大きくできるので、無駄な放熱が抑制される。その結果、熱効率及び応答性が良好であり、高品位な画像や文字を省電力で高速に印画できるようになる。
第1実施形態のサーマルヘッドを備えるサーマルプリンタを示す概略の側面図である。 第1実施形態のサーマルヘッドの周辺部を示す斜視図である。 第1実施形態のサーマルヘッドの全体を示す斜視図である。 第1実施形態のサーマルヘッドとプラテンローラとの間で印画紙及びインクリボンを押圧した状態を示す正面図である。 第1実施形態のサーマルヘッドを部分的に示す斜視図である。 第1実施形態のサーマルヘッドを示す縦断面図である。 第1実施形態のサーマルヘッドの製造方法における基板形成工程及びベース層形成工程を示す断面図である。 第1実施形態のサーマルヘッドの製造方法における耐熱層形成工程及び発熱部形成工程を示す断面図である。 第1実施形態のサーマルヘッドの製造方法における保護膜形成工程及び空隙部形成工程を示す断面図である。 第2実施形態のサーマルヘッドを示す縦断面図である。 従来のサーマルヘッドを示す縦断面図である。
符号の説明
1 サーマルプリンタ
2 印画紙(記録媒体)
10 サーマルヘッド
11 ガラス基板(支持基板)
11a 空隙部
12 発熱抵抗体(発熱素子)
20 グレーズ層
20a 突部
21 ベース層
22 耐熱層
70 サーマルヘッド
71 ガラス基板(支持基板)
71a 空隙部
72 発熱抵抗体(発熱素子)
80 グレーズ層
80a 突部
81 ベース層
82 耐熱層

Claims (7)

  1. 発熱素子が配列された突部と記録媒体とを押圧させるとともに、前記発熱素子を駆動して発熱させることにより、記録媒体に対して画像を形成するサーマルヘッドであって、
    前記突部に対向する凹状の空隙部が形成された支持基板と、
    前記支持基板上に設けられ、前記突部が形成されたグレーズ層と
    を備え、
    前記グレーズ層は、
    前記支持基板上に積層されるとともに、前記空隙部の天井面を形成するベース層と、
    前記ベース層上に積層され、前記発熱素子が配列される耐熱層と
    を備える
    ことを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 請求項1に記載のサーマルヘッドにおいて、
    前記支持基板は、ガラスからなり、
    前記グレーズ層の前記ベース層は、Au(金)からなり、
    前記グレーズ層の前記耐熱層は、窒化ケイ素系材料からなる
    ことを特徴とするサーマルヘッド。
  3. 請求項1に記載のサーマルヘッドにおいて、
    前記突部は、前記空隙部上で均一の厚さとなっている
    ことを特徴とするサーマルヘッド。
  4. 請求項1に記載のサーマルヘッドにおいて、
    前記発熱素子は、前記発熱素子の温度が上昇すると抵抗値も上昇する材料からなる
    ことを特徴とするサーマルヘッド。
  5. 発熱素子が配列された突部と記録媒体とを押圧させるとともに、前記発熱素子を駆動して発熱させることにより、記録媒体に対して画像を形成するサーマルヘッドを備えるサーマルプリンタであって、
    前記サーマルヘッドは、
    前記突部に対向する凹状の空隙部が形成された支持基板と、
    前記支持基板上に設けられ、前記突部が形成されたグレーズ層と
    を備え、
    前記グレーズ層は、
    前記支持基板上に積層されるとともに、前記空隙部の天井面を形成するベース層と、
    前記ベース層上に積層され、前記発熱素子が配列される耐熱層と
    を備える
    ことを特徴とするサーマルプリンタ。
  6. 支持基板上に、発熱素子が配列される突部が形成されたグレーズ層が設けられ、前記発熱素子が配列された前記突部と記録媒体とを押圧させるとともに、前記発熱素子を駆動して発熱させることにより、記録媒体に対して画像を形成するサーマルヘッドの製造方法であって、
    前記突部に対応する突起を有する前記支持基板上に、前記グレーズ層の下層となるベース層を形成するベース層形成工程と、
    前記ベース層形成工程によって形成された前記ベース層上に、前記グレーズ層の上層となり、前記発熱素子が配列される耐熱層を形成する耐熱層形成工程と、
    前記ベース層形成工程によって前記ベース層を形成した後に、前記突起上の前記ベース層を露出させ、前記支持基板に、前記突部と対向し前記ベース層を天井面とする凹状の空隙部を形成する空隙部形成工程と
    を含む
    ことを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。
  7. 請求項6に記載のサーマルヘッドの製造方法において、
    前記ベース層形成工程は、ガラスからなる前記支持基板上に、Au(金)からなる前記ベース層を形成し、
    前記耐熱層形成工程は、前記ベース層上に、窒化ケイ素系材料からなる前記耐熱層を形成し、
    前記空隙部形成工程は、フッ化水素酸によるエッチング処理によって前記突起上の前記ベース層を露出させる
    ことを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。
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