以下、図面を参照して本発明に係る液滴吐出装置及びその駆動方法の一実施形態について説明する。以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がワークステージ2に対して平行となるよう設定され、Z軸がワークステージ2に対して直交する方向に設定されている。図1中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
図1は、本実施形態の液滴吐出装置IJの概略構成図である。液滴吐出装置IJは、例えばインクジェット方式によりカラーフィルタ基板(吐出対象物)上にカラーフィルタ材料の液滴を吐出してカラーフィルタ層を形成する装置である。
液滴吐出装置IJは、装置架台1、ワークステージ2、ステージ移動装置3、キャリッジ4、液滴吐出ヘッド5、キャリッジ移動装置6、チューブ7、第1タンク8、第2タンク9、第3タンク10及び制御装置11を備えている。
装置架台1は、ワークステージ2及びステージ移動装置3の支持台である。ワークステージ2は、装置架台1上においてステージ移動装置3によってX軸方向に移動可能に設置されており、上流側の搬送装置(図示せず)から搬送されるカラーフィルタ基板Pを、真空吸着機構によりXY平面上に保持する。ステージ移動装置3は、ボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、制御装置11から入力される、ワークステージ2のX座標を示すステージ位置制御信号に基づいて、ワークステージ2をX軸方向に移動させる。
キャリッジ4は、液滴吐出ヘッド5を保持するものであり、キャリッジ移動装置6によってY軸方向及びZ軸方向に移動可能に設けられている。液滴吐出ヘッド5は、図示略の複数のノズルを備えており、制御装置11から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、カラーフィルタ材料の液滴を吐出する。この液滴吐出ヘッド5は、カラーフィルタ材料のR(赤)、G(緑)、B(青)に対応して設けられており、それぞれの液滴吐出ヘッド5はキャリッジ4を介してチューブ7と連結されている。そして、R(赤)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第1タンク8からR(赤)用のカラーフィルタ材料の供給を受け、G(緑)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第2タンク9からG(緑)用のカラーフィルタ材料の供給を受け、また、B(青)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第3タンク10からB(青)用のカラーフィルタ材料の供給を受けるようになっている。
キャリッジ移動装置6は、装置架台1を跨ぐ橋梁構造をしており、Y軸方向及びZ軸方向に対してボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、制御装置11から入力される、キャリッジ4のY座標及びZ座標を示すキャリッジ位置制御信号に基づいて、キャリッジ4をY軸方向及びZ軸方向に移動させる。
チューブ7は、第1タンク8、第2タンク9及び第3タンク10とキャリッジ4(液滴吐出ヘッド5)とを連結するカラーフィルタ材料の供給用チューブである。第1タンク8は、R(赤)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してR(赤)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。第2タンク9は、G(緑)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してG(緑)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。第3タンク10は、B(青)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してB(青)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。
制御装置11は、ステージ移動装置3にステージ位置制御信号を出力し、キャリッジ移動装置6にキャリッジ位置制御信号を出力すると共に、液滴吐出ヘッド5の駆動回路基板30に描画データ及び駆動制御信号を出力して、液滴吐出ヘッド5による液滴吐出動作、ワークステージ2の移動によるカラーフィルタ基板Pの位置決め動作、キャリッジ4の移動による液滴吐出ヘッド5の位置決め動作の同期制御を行うことにより、カラーフィルタ基板P上の所定の位置にカラーフィルタ材料の液滴を吐出する。
図2は液滴吐出ヘッド5の概略構成図である。図2(a)は液滴吐出ヘッド5をワークステージ2側から見た平面図、図2(b)は液滴吐出ヘッド5の部分斜視図、図2(c)は液滴吐出ヘッド5の1ノズル分の部分断面図である。
図2(a)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、Y軸方向に配列された複数(例えば180個)のノズルN1〜N180を備えている。図2(a)では1列分のノズルを示したが、液滴吐出ヘッド5に設けるノズル数は任意に変更可能であり、Y軸方向に配列した1列分ノズルをX軸方向に複数列設けても良い。また、キャリッジ4内に配置する液滴吐出ヘッド5の数も任意に変更可能である。さらに、キャリッジ4をサブキャリッジ単位で複数設ける構成としても良い。
図2(b)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、チューブ7と連結される材料供給孔20aが設けられた振動板20と、ノズルN1〜N180が設けられたノズルプレート21と、振動板20とノズルプレート21との間に設けられた液溜まり22と、複数の隔壁23と、複数のキャビティ(液室)24とを備えている。振動板20上には、各ノズルN1〜N180に対応して圧電素子(駆動素子)PZ1〜PZ180が配置されている。圧電素子PZ1〜PZ180は、例えばピエゾ素子である。
液溜まり22には、材料供給孔20aを介して供給される液状のカラーフィルタ材料(液状体)が充填されるようになっている。キャビティ24は、振動板20と、ノズルプレート21と、1対の隔壁23とによって囲まれるようにして形成されおり、各ノズルN1〜N180に1対1に対応して設けられている。また、各キャビティ24には、一対の隔壁23の間に設けられた供給口24aを介して、液溜まり22からカラーフィルタ材料が導入されるようになっている。
図2(c)に示すように、圧電素子PZ1は、圧電材料25を一対の電極26で挟持したものであり、一対の電極26に駆動信号を印加すると圧電材料25が収縮するよう構成されたものである。そして、このような圧電素子PZ1が配置されている振動板20は、圧電素子PZ1と一体になって同時に外側(キャビティ24の反対側)へ撓曲するようになっており、これによってキャビティ24の容積が増大するようになっている。従って、キャビティ24内に増大した容積分に相当するカラーフィルタ材料が、液溜まり22から供給口24aを介して流入する。また、このような状態から圧電素子PZ1への駆動信号の印加を停止すると、圧電素子PZ1と振動板20はともに元の形状に戻り、キャビティ24も元の容積に戻ることから、キャビティ24内のカラーフィルタ材料の圧力が上昇し、ノズルN1からカラーフィルタ基板Pに向けてカラーフィルタ材料の液滴Lが吐出される。
図3は、液滴吐出ヘッド5を用いてカラーフィルタ基板P上にカラーフィルタを形成する方法の説明図である。図3(a)は、液状体の吐出対象物であるカラーフィルタ基板Pの概略平面図である。図3(b)は、カラーフィルタ基板Pの部分拡大平面図である。
図3(a)において、ガラス、プラスチック等によって形成された大面積のカラーフィルタ基板Pの表面には複数のパネル領域CAが設定されている。各パネル領域CAは、互いに分離(切断)されて個々のカラーフィルタ基板として提供される。各パネル領域CAの内部には、図3(b)に示すように、ドット状に配列された複数の画素PXが設けられている。画素PXは各パネル領域CA内にマトリクス状に配列されており、それぞれの画素PX毎にカラーフィルタ層CFが形成される。
本実施形態では、図3(b)の図示上下方向(矢印A1及び矢印A2で示す方向)を主走査方向とし、主走査方向と直交する方向(図示左右方向)を副走査方向として、液滴吐出ヘッド5をカラーフィルタ基板P上に配置する。そして、カラーフィルタ基板Pを液滴吐出ヘッド5に対して主走査方向及び副走査方向に相対的に移動(走査)させながら、液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNから着色材料を含む液状体(カラーフィルタ材料)を吐出させ、カラーフィルタ基板P上の各画素PXにカラーフィルタ層CFを形成する。
液滴吐出ヘッド5の走査は、1つのパネル領域CAに関して複数回行う。例えば、主走査方向に液滴吐出ヘッド5を走査した後、副走査方向に液滴吐出ヘッド5を移動(走査)し、再度主走査方向に走査を行う。1つのパネル領域CAの左端から右端まで移動(副走査)したら、再びパネル領域CAの左端に戻り、既に吐出を行った位置とは若干異なる位置で主走査方向に走査を行う。そして、このような走査を複数回行うことによって、パネル領域CA内の全ての画素PXに所望の膜厚のカラーフィルタ層CFを形成する。
なお、図3(b)において液滴吐出ヘッド5が副走査方向に対して斜めに傾いているのは、液滴吐出ヘッド5のノズルNのピッチを画素PXのピッチに合わせるためである。ノズルNのピッチと画素PXのピッチとが所定の対応関係を満たして設定されていれば、液滴吐出ヘッド5を斜めに傾ける必要はない。
カラーフィルタ層CFは、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色をいわゆるストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列等といった適宜の配列形態で配列することによって形成される。したがって、図3(b)に示す液状体の吐出工程においては、R、G、Bのカラーフィルタ材料を吐出する液滴吐出ヘッド5を、R、G、Bの3色分だけ予め用意する。そして、これらの液滴吐出ヘッド5を順次に用いて1つのカラーフィルタ基板P上にR、G、Bの3色のカラーフィルタ層CFの配列を形成する。
<第1実施形態の回路構成>
図4は、液滴吐出装置IJの第1実施形態の回路構成の説明図である。本実施形態の液滴吐出装置IJは、装置全体の統括制御を行う制御コンピュータ(制御部)100と、制御コンピュータ100に接続されて液滴吐出ヘッド5の電気的な駆動制御を行うための制御回路基板101とを備えている。図1に示した制御装置11には、制御コンピュータ100と制御回路基板101の機能の一部又は全部が備えられている。
制御コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の内部メモリ、並びに液滴吐出ヘッド5、キャリッジ移動装置6等との間でデータ授受を行う各種入出力インターフェース回路等を備えている。
制御回路基板101は、フレキシブルケーブル102を介して液滴吐出ヘッド5に設けられた圧電素子PZと電気的に接続されている。なお、液滴吐出ヘッド5には、ノズルN毎に設けられた圧電素子PZに対応して、シフトレジスタ(SL)103、ラッチ回路(LAT)104、レベルシフタ(LS)105、スイッチ(SW)106がそれぞれ備えられている。
液滴吐出装置IJの吐出制御は、次のようにして行われる。まず、制御コンピュータ100には、基板P上の各パネル領域に対する液状体の配置パターンをデータ化したドットパターンデータが、予め記憶される。そして、このドットパターンデータは制御回路基板101に伝送される。制御回路基板101は、ドットパターンデータをデコードしてノズルN毎のON/OFF(吐出/非吐出)情報であるノズルデータを生成する。ノズルデータは、シリアル信号(SI)化されてクロック信号(CK)に同期して各シフトレジスタ103に伝送される。
シフトレジスタ103に伝送されたノズルデータは、ラッチ信号(LAT)がラッチ回路104に入力されるタイミングでラッチされ、さらにレベルシフタ105でスイッチ106用のゲート信号に変換される。すなわち、ノズルデータがONの場合には、スイッチ106が開いて圧電素子PZに液状体の吐出量に応じた駆動波形を含む駆動信号(COM)が供給され、ノズルデータがOFFの場合には、スイッチ106が閉じられて圧電素子PZに駆動信号(COM)は供給されないことになる。そして、ONに対応するノズルNからは、供給された駆動波形で圧電素子PZが駆動されることにより、液状体が液滴化されて吐出され、吐出された液状体が、基板P上に設けられたパネル領域上に配置される。
また、制御コンピュータ100は、本実施形態では、圧電素子PZに印加する駆動信号として、二つ以上の異なる駆動条件のものを予め用意し、記憶しておく。例えば、駆動電圧の異なる駆動信号、駆動周波数の異なる駆動信号、駆動波形(駆動電圧以外の駆動信号の波形)の異なる駆動信号、さらには、これらの駆動条件のうち2以上の駆動条件を組み合わせた駆動条件が異なる駆動信号を用意し、記憶しておく。
また、本実施形態では、このように駆動条件が異なる複数の駆動信号を記憶したら、各ノズルNに対してどのタイミングでいずれの駆動条件のものを印加するか、決定し記憶する。すなわち、各パネル領域に対する液状体の配置パターンをデータ化したドットパターンデータを記憶した際、主走査方向でのパネル領域の位置と、圧電素子PZに印加する駆動信号(駆動条件)との関係も記憶しておく。
そして、複数の圧電素子PZの各々に対して、駆動条件の異なる複数種類の駆動信号の中から1つの駆動信号を選択して供給する。この場合、選択の基準は液滴の吐出パターンやノズルデューティである。すなわち、図2に示すように液滴吐出ヘッド5がカラーフィルタ基板P上を複数回走査することによりカラーフィルタ基板Pの複数個所に液状体を吐出する場合、一般的には、1走査毎に吐出パターンは異なったものとなる。ここで、吐出パターンとは、1つの液滴吐出ヘッド5に設けられる複数のノズルNのうち、使用するノズルNと使用しないノズルNとの組み合わせをいう。吐出パターンが1走査毎に異なるのは、液滴吐出ヘッド5が副走査方向に移動したときに、ノズルNと画素PXとの空間的な配置がずれてしまうからである。
吐出対象物であるカラーフィルタ基板Pの大きさ、画素PXのサイズ、画素PXの配列等が決まると、それに応じて、使用する液滴吐出ヘッド5の個数、走査回数、1走査毎の使用ノズルNと不使用ノズルNとの組み合わせ(吐出パターン)等が決定される。1走査毎の使用ノズルNの数は、画素PXのサイズや画素PXの配列等によって変わるため、使用ノズルNの割合(使用ノズル/全ノズル)、すなわちノズルデューティも1走査毎に変化する。ノズルデューティが変化すると、ノズルNに供給される駆動波形にオーバーシュートやアンダーシュートが発生し、吐出量のバラツキを発生させる。また、ノズルデューティが変化すると構造的なクロストーク(共通インクリザーバを使うことによるインク供給差や隣接ノズル間の物理的な影響など)が発生し、吐出量のバラツキを発生させる。
例えば、図5は、ノズルデューティ(吐出パターン)の異なる3種類の吐出パターン(パターンA、パターンB、パターンC)で吐出を行った場合の液滴吐出量のバラツキ分布の説明図である。図5において、横軸はノズル番号、縦軸は液滴吐出量(重量)である。符号a、b、cは、それぞれパターンA、パターンB、パターンCで吐出を行った場合の液滴吐出量のバラツキ分布を示している。
なお、液滴吐出ヘッド5の特性上、両端のノズル(ノズルN1〜N9及びノズルN171〜N180)では液滴吐出量のバラツキが非常に大きいため、これらのノズルのバラツキ分布を省略している。実際に液滴吐出ヘッド5を使用する場合でも、180個のノズルの内、ノズルN10〜N170の160個が使用される。
パターンB、パターンCにおいては、パターンA、パターンB、パターンCの順でノズルデューティが小さくなっている。そのため、パターンAで大きな駆動波形の歪みが発生し、パターンCで最も小さな駆動波形の歪みとなる。その結果、各ノズルN10〜N170の平均的な液滴吐出量は、パターンA、パターンB、パターンCの順で小さくなる。このような吐出量のバラツキは、ノズルデューティの大きさによって変化する。ノズルデューティの変動が大きい場合には、パターン間での吐出量のバラツキは無視できない大きさになる場合がある。
そこで、本実施形態では、1走査毎に、各ノズルNの圧電素子PZに供給される駆動信号の駆動条件を選択し、液滴吐出量が予め設定された設計値(適正重量)に近づくようにしている。選択される駆動条件の駆動信号は、液滴吐出ヘッド5の全てのノズルNに対して共通に印加される。制御コンピュータ100は、液滴吐出ヘッド5のノズルデューティに応じて適切な駆動条件を選択し、1走査毎の吐出量のバラツキを抑制している。以下、具体的な条件選択の方法を説明する。
[1]駆動電圧の異なる複数種類の駆動信号を用いる場合
図6は、駆動電圧と液滴吐出量(インク重量)との関係を示すグラフである。液滴吐出量は、駆動電圧の大きさによって変化する。駆動電圧が大きい場合には、吐出量は大きくなり、駆動電圧が小さい場合には、吐出量は小さくなる。したがって、液滴吐出量が適正重量よりも少ない場合には、駆動電圧を増大させ、液滴吐出量が適正重量よりも多い場合には、駆動電圧を減少させる。これにより、ノズルNの吐出量を適正重量に近づけることができる。
[2]駆動周波数の異なる複数種類の駆動信号を用いる場合
図7は、駆動周波数と液滴吐出量(インク重量)との関係を示すグラフである。液滴吐出量は、駆動周波数によって変化する。駆動周波数による吐出量の変化は、液滴吐出ヘッド5の構造的なクロストークに起因していると考えられる。すなわち、ノズルNの吐出動作における機械的な振動は、ノズル近傍のメニスカス(液状体の液面)及びキャビティを振動させる。メニスカスの残留振動の影響は時間の経過と共に減少するが、吐出間隔が短くなると(すなわち駆動周波数が大きくなると)、メニスカス及びキャビティの振動が十分に収まらないうちに次の吐出動作が行われるため、メニスカス及びキャビティの振動が次の吐出動作に影響を与えるようになる。そのため、駆動周波数が小さい場合には、吐出量は殆ど変化しないが、駆動周波数が大きい場合には、駆動周波数の増大に伴って吐出量の増減を繰り返す周期的な変動を示す。したがって、この変動曲線に基づいて駆動周波数を制御することで、液状体の吐出量を調節することができる。
本実施形態では、このような駆動周波数による吐出量の変動を積極的に利用して、液状体の吐出量を調節することができる。例えば、液滴吐出量が適正重量よりも少ない場合には、変動曲線の山の部分の駆動周波数F2で駆動する。逆に、液滴吐出量が適正重量よりも多い場合には、変動曲線の谷の部分の駆動周波数F1で駆動する。これにより、ノズルNの吐出量を適正重量に近づけることができる。
図8は、駆動周波数を変えて吐出を行う場合の説明図である。図8(a)はノズルデューティの変化によって吐出量が増大する場合の駆動方法の説明図、図8(b)はノズルデューティの変化によって吐出量が減少する場合の駆動方法の説明図である。
図8(a)では、液滴吐出ヘッド5を上下方向(主走査方向)に走査する間に、各ノズルNから1画素PX内に吐出間隔P1で4滴の液状体Lが吐出される。吐出間隔P1は、図7の変動曲線の駆動周波数F1に対応する。一方、図8(b)では、液滴吐出ヘッド5を上下方向(主走査方向)に走査する間に、各ノズルNから1画素PX内に吐出間隔P2で4滴の液状体Lが吐出される。吐出間隔P2は、図7の変動曲線の駆動周波数F2に対応する。
いずれの場合も、1画素PX内に吐出される液状体の量は4滴である。1滴あたりの吐出量は、図8(a)ではノズルデューティの変化によって吐出量が増大する場合、図8(b)ではノズルデューティの変化によって吐出量が減少する場合なので、図8(a)のほうが図8(b)よりも大きくなる。しかしながら、図8(a)では図6の変動曲線の谷に対応する駆動周波数F1で駆動されており、図8(b)では図7の変動曲線の山に対応する駆動周波数F2で駆動されている。そのため、両者の1滴あたりの吐出量は略等しくなっている。したがって、両者において1画素PX内に吐出される液状体の吐出量は等しいものとなり、膜厚の均一なカラーフィルタ層が形成される。
[3]駆動波形の異なる複数種類の駆動信号を用いる場合
図9〜図12は、圧電素子PZに印加する駆動信号のプロファイルとノズルNから吐出される液状体の吐出量との関係を示す説明図である。図9(a)は待機状態(中間電位VM)、図9(b)は充電状態(高電位VH)、図9(c)は放電状態(低電位VL)のキャビティ24の様子をそれぞれ示している。また、図9(d)は圧電素子PZに印加する駆動信号の波形を示している。図10は、駆動波形と液滴吐出量との関係を示している。図11、図12は、待機状態の電位VMを変えたときのメニスカスの挙動を示す模式図である。
なお、図9〜図12において、符号VMは待機状態の電位(中間電位)、VHは充電状態の電位、VLは放電状態の電位をそれぞれ示している。駆動電圧は、高電位VHと低電位VLとの電位差によって規定される。また、符号t1は待機状態から充電状態までの時間(駆動電圧の立ち上がり時間)、符号t2は充電状態を保持する時間(駆動電圧の保持時間)、符号t3は充電状態から放電状態までの時間(駆動電圧の立ち下がり時間)をそれぞれ示している。
液状体の吐出量は、駆動波形によって変化する。駆動波形による吐出量の変化は、ノズルN近傍のメニスカス(液状体の液面)及びキャビティの振動挙動に起因している。例えば、図9に示すように、液滴吐出ヘッド5の吐出動作を、待機状態、充電状態、放電状態の3つの状態で説明する。この場合、待機状態から充電状態までの期間t1は、ノズルNに隣接するキャビティ24の容積が増大し、液状体がキャビティ24内に供給される。充電状態から放電状態までの期間t3は、キャビティ24の容積が減少し、液状体がノズルNを介して外部に吐出される。
待機状態から充電状態までの期間t1では、キャビティ24の容積の増大によって、メニスカスの位置もキャビティ24側に移動するが、その移動量は、立ち上がり時間t1が短いほど大きい。立ち上がり時間t1が短いほど、勢い良くメニスカス及び液状体供給側から液状体が引き込まれるからである。そのため、立ち上がり時間t1を短くし、キャビティ24側に液状体を大きく引き込ませ、そのまま素早く吐出動作に移れば、液状体の吐出量は液状体の引き込み量が多い分だけ多くなる。逆に、立ち上がり時間t1を長くし、キャビティ24側に液状体を小さく引き込ませた場合には、液状体の引き込み量が少ない分だけ液状体の吐出量は少なくなる。図10(a)は、このような立ち上がり時間t1と吐出量IWとの関係を示している。
待機状態の電位VM(中間電位)は、メニスカスの移動量に影響する。例えば、図11に示すように、待機状態の電位VMを充電状態の電位VHに近づけ、待機状態と充填状態との電位差VHMを小さくした場合には、立ち上がり時間t1を短くしてもメニスカスの移動は殆ど生じない。そのため、素早く吐出動作に移っても、液状体Lの吐出量は殆ど変化しない。一方、図12に示すように、待機状態の電位VMを放電状態の電位VLに近づけ、待機状態と充電状態との電位差VHMを大きくした場合には、メニスカスの移動量が大きくなるため、素早く吐出動作に移ると、メニスカスが引き込まれた状態で吐出が開始され、吐出量は少なくなる。図10(b)は、このような中間電位VMと吐出量IWとの関係を示している。
キャビティ24側に引き込まれたメニスカスは、キャビティ24の容量変動が終了すると、元の位置(待機状態の位置)に戻ろうとする。そのため、充電状態においては、メニスカスは元の位置を基準として振動する。そのため、メニスカスがキャビティ24側に振動したタイミングで吐出動作に移ると、メニスカスが引き込まれている分だけ吐出量は少なくなる。逆に、メニスカスがキャビティ24とは反対側に振動しているタイミングで吐出動作に移ると、メニスカスが外部に大きく張り出している分だけ吐出量は多くなる。どのタイミングで吐出が行われるかは、充電状態の保持時間t2によって変化する。図10(c)に示すように、保持時間t2を横軸にとり、吐出量IWを縦軸にとると、吐出量IWは保持時間t2の増大に伴って増減を繰り返す周期的な変動を示す。したがって、この変動曲線に基づいて保持時間t2を制御することで、液状体の吐出量IWを調節することができる。
一方、立ち下がり期間t3は、液状体をノズルNから外部に押し出すときの加圧力に影響する。立ち下がり時間t3が短い場合には、加圧力は大きくなり、立ち下がり時間t3が長い場合には、加圧力は小さくなる。加圧力が大きい場合には、液状体は勢い良くノズルNから飛び出すため、その分吐出量は多くなる。逆に加圧力が小さい場合には、液状体はゆっくり押し出されるため、その分吐出量は少なくなる。図10(d)は、このような立ち下がり時間t3と吐出量IWとの関係を示している。
本実施形態では、このようなメニスカスやキャビティの振動挙動による吐出量の変動を積極的に利用して、液状体の吐出量を補正する。つまり、ノズルデューティの変化によって吐出量が増減する場合には、液滴吐出ヘッド5内の全てのノズルNについて、駆動電圧の立ち上がり時間t1、保持時間t2、立ち下がり時間t3、中間電位VMのいずれか、もしくはそれぞれの大きさを制御して、吐出量を増減させる。これにより、ノズルデューティの変化によらずに常に一定の吐出量を得ることができる。
<第2実施形態の回路構成>
次に、液滴吐出装置IJの第2実施形態の回路構成を説明する。図13は、液滴吐出ヘッド5と、液滴吐出ヘッド5に駆動信号を供給するための駆動回路基板30の回路構成図である。本実施形態において、第1実施形態と共通の構成については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態の駆動回路基板30は、図1に示した制御装置11とPCIバスによって接続されており、制御装置11から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、各圧電素子PZ1〜PZ180に印加する駆動信号の選択、駆動信号の生成、吐出タイミングの制御などを行う。本実施形態の液滴吐出装置では、1つの液滴吐出ヘッド5に対して1つの駆動回路基板30が設けられているが、R(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれに対応する液滴吐出ヘッド5及び駆動回路基板30は全て同一構成であるため、以下では便宜上、1つの液滴吐出ヘッド5及び駆動回路基板30を用いて説明する。
駆動回路基板30は、インターフェース31、描画データメモリ32、アドレス変換回路33、第1の駆動波形メモリ34、第2の駆動波形メモリ35、第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39を備えている。液滴吐出ヘッド5は、COM選択回路40、スイッチング回路50及び圧電素子PZ1〜PZ180からなる圧電素子群60を備えている。なお、圧電素子PZ1〜PZ180は、図13に示すようにコンデンサとして標記することができる。
描画データメモリ32は、本発明における描画データ記憶手段に相当し、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35は、本発明における駆動波形記憶手段に相当し、第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39は、本発明における駆動信号生成手段に相当する。また、COM選択回路40は、本発明における駆動信号選択手段に相当し、スイッチング回路50は本発明における供給切替手段に相当する。
制御装置11(図1参照)と駆動回路基板30のインターフェース31とは図示しないPCIバスで接続されており、制御装置11からPCIバスを介して、描画データSIと、駆動制御信号としてクロック信号CLK、ラッチ信号LT、DACクロック信号CLK1及びCLK2、描画データアドレス信号AD1、描画データライトイネーブル信号WE1、駆動波形データ信号WD、波形データアドレス信号AD2、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS1及びCS2、アウトプットイネーブル信号OE1及びOE2がインターフェース31に出力される。
インターフェース31は、描画データSI、描画データライトイネーブル信号WE1、描画データアドレス信号AD1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1を描画データメモリ32に出力する。インターフェース31は、クロック信号CLK及びラッチ信号LTを液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40及びスイッチング回路50に出力する。インターフェース31は、DACクロック信号CLK1を第1のD/Aコンバータ36及び第3のD/Aコンバータ38に出力し、DACクロック信号CLK2を第2のD/Aコンバータ37及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。インターフェース31は、波形データライトイネーブル信号WE2、波形データアドレス信号AD2、駆動波形データ信号WD、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。
描画データメモリ32は、例えば32ビットのSRAMであり、描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1によってデータ書き込みが要求されている場合、描画データアドレス信号AD1が指定するアドレスに描画データSIを記憶する。ここで、描画データSIは、吐出データSIA及びCOM選択データSIB(駆動信号選択データ)から構成される。吐出データSIAとは、カラーフィルタ基板P上に形成された画素パターンをマトリクス状に区分し、このマトリクスを構成する各ドット毎に、液滴を吐出するか否かを規定する2値データをマッピングしたビットマップデータである。マトリクスのY軸方向のドットピッチは、液滴吐出ヘッド5のノズルピッチと対応しており、吐出データSIAは、液滴吐出ヘッド5を所定の位置に移動させた場合に、各ノズルN1〜N180に対応する圧電素子PZ1〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するデータである。
本実施形態では、圧電素子PZ1〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するために2ビットのデータを使用する。この2ビットのデータの内、上位ビットをSIH、下位ビットをSILと呼び、(SIH、SIL)=(0、0)の場合は、駆動信号の非供給(非吐出)を規定するものとし、(SIH、SIL)=(0、1)、(1、0)、(1、1)の場合は、駆動信号の供給(吐出)を規定するものとする。つまり、圧電素子PZ1〜PZ180の各々に対応するSIHデータ(SIH1〜SIH180)と、SILデータ(SIL1〜SIL180)とが吐出データSIAに含まれている。このような吐出データSIAは、カラーフィルタ基板Pの画素パターンに応じて異なるため、画素パターンの数に対応して制御装置11から送られ、描画データメモリ32に記憶される。なお、本実施形態では、圧電素子PZ1〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するために2ビットのデータを使用したが、これに限らず、1ビットのデータを用いても良い。
一方、COM選択データSIBとは、各圧電素子PZ1〜PZ180に供給する駆動信号の種類を規定するデータである。本実施形態では、各圧電素子PZ1〜PZ180毎に4種類の駆動信号の中から1つの駆動信号を選択して供給する。また、本実施形態では、4種類の駆動信号をそれぞれCOM1、COM2、COM3、COM4と呼ぶ。つまり、COM選択データSIBは、各圧電素子PZ1〜PZ180に印加する駆動信号としてCOM1、COM2、COM3、COM4のいずれかを規定するデータである。さらに、このCOM選択データSIBには、各駆動信号COM1、COM2、COM3、COM4の波形(駆動波形)を規定するための駆動波形番号データWNが含まれている。
本実施形態では、駆動信号を4種類の中から選択するため、駆動信号を規定するには2ビットのデータが必要である。本実施形態では、駆動信号を規定する2ビットのデータの内、上位ビットをWSH、下位ビットをWSLと呼び、(WSH、WSL)=(0、0)の場合はCOM1を規定するものとし、(WSH、WSL)=(0、1)の場合はCOM2を規定するものとし、(WSH、WSL)=(1、0)の場合はCOM3を規定するものとし、(WSH、WSL)=(1、1)の場合はCOM4を規定するものとする。つまり、圧電素子PZ1〜PZ180の各々に対応するWSHデータ(WSH1〜WSH180)と、WSLデータ(WSL1〜WSL180)とがCOM選択データSIBに含まれている。また、本実施形態では、駆動信号COM1〜COM4の駆動波形の組み合わせを64種類の中から1つ選択できるものとする。つまり、駆動波形を規定するための駆動波形番号データWNは6ビットのデータである。
上記のCOM選択データSIBは、液滴吐出ヘッド5の各ノズルN1〜N180の液滴吐出量のバラツキ特性(吐出特性)に応じて設定される。図14に、液滴吐出量のバラツキ分布の一例を示す。図14において、横軸はノズル番号、縦軸は液滴吐出量(重量)である。なお、液滴吐出ヘッド5の特性上、両端のノズル(ノズルN1〜N9及びノズルN171〜N180)では液滴吐出量のバラツキが非常に大きいため、これらのノズルのバラツキ分布を省略している。実際に液滴吐出ヘッド5を使用する場合でも、180個のノズルの内、ノズルN10〜N170の160個が使用される。
図14に示すような液滴吐出量のバラツキを補正するためには、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正重量(仕様に応じた設計値)に近づくように、各圧電素子PZ10〜圧電素子PZ170に供給する駆動信号を変えれば良い。例えば、図14に示すように、バラツキ分布1において適正重量から大きくずれているノズルの液滴吐出量を適正重量に補正するには、このノズルに対応する圧電素子に供給する駆動信号の電圧値を大きくすれば良い。
実際には、事前に(例えば本液滴吐出装置IJの出荷検査時などに)、図14に示すような液滴吐出量のバラツキ分布を測定し、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正重量に近づくような各圧電素子PZ10〜PZ170の駆動信号を求める。原理的には、各圧電素子PZ10〜PZ170毎に求めた駆動信号を用意して供給すれば良いが、その場合、駆動信号を最大で160種類も用意しなければならず、部品点数の増加、装置コストの増大、駆動回路基板30の大型化及び消費電力の増大などの問題が生じるため、現実的には実現困難である。そこで、本実施形態では、4種類の駆動信号を使用して各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正重量に近づくように設定する。これは、少なくとも4種類の駆動信号を使用することにより、液滴吐出量のバラツキをすじムラとして人に視認されないレベル(バラツキ1.2%以内)まで抑えることができるためである。このように求めた4種類の駆動信号をCOM1〜COM4としてCOM選択データSIBに設定する。以下、各圧電素子PZ10〜PZ170に対する駆動信号COM1〜COM4の割り当て方法の具体例について説明する。
まず、事前に、各圧電素子PZ10〜PZ170に基準駆動電圧V0を印加して、図15に示すようなノズルN10〜N170の液滴吐出量のバラツキ分布を測定する。そして、最小重量から最大重量までのレンジを均等に4分割し、レンジ1、レンジ2、レンジ3、レンジ4とする。次に、下記(1)式に基づいて、各レンジ1〜4毎にCOM設定電圧を算出し、レンジ1について算出したCOM設定電圧をCOM1、レンジ2について算出したCOM設定電圧をCOM2、レンジ3について算出したCOM設定電圧をCOM3、レンジ4について算出したCOM設定電圧をCOM4と設定する。なお、下記(1)式において、Kは液滴重量を電圧値に変換するための定数である。
COM設定電圧=V0−K・(レンジの中心重量−適正重量) ・・・・(1)
そして、レンジ1に含まれるノズルに対応する圧電素子にはCOM1を割り当て、レンジ2に含まれるノズルに対応する圧電素子にはCOM2を割り当て、レンジ3に含まれるノズルに対応する圧電素子にはCOM3を割り当て、レンジ4に含まれるノズルに対応する圧電素子にはCOM4を割り当て、これらノズルとCOM1〜COM4との対応関係に基づきCOM選択データSIBを設定する。図16は、このようにして求めたCOM1〜COM4の駆動波形の一例である。COM1〜COM4の駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)は、後述する第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に記憶される。駆動波形番号データWNはこれらCOM1〜COM4の駆動波形データを示すものである。
また、上述したように、液滴吐出ヘッド5の吐出パターンやノズルデューティが変化すると、図15に示す液滴吐出量のバラツキ特性は変化する。よって、事前に、吐出パターンやノズルデューティ毎に液滴吐出量のバラツキ分布を測定し、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正重量に近づくような各圧電素子PZ10〜PZ170の駆動信号COM1〜COM4を求め、ノズルデューティに対応するCOM選択データSIBを設定する。この場合、描画データメモリ32には、COM選択データSIBが吐出パターンやノズルデューティに対応して記憶される。
なお、吐出/非吐出の全ての組み合わせ(全ての吐出パターン)についてCOM選択データSIBを設定する必要はなく、実際によく使用される吐出パターンについてCOM選択データSIBを設定すれば良い。同様に、0〜100%までの全てのノズルデューティについてCOM選択データSIBを設定する必要はなく、実際によく使用されるノズルデューティ(例えば25%、50%、75%、100%)についてCOM選択データSIBを設定すれば良い。
図17は、ノズルデューティ(吐出パターン)の異なる3種類の吐出パターン(パターンA、パターンB、パターンC)で吐出を行った場合の液滴吐出量のバラツキ分布の説明図である。図17(a)は、上記方法で駆動信号を調節する前のバラツキ分布の説明図であり、図17(b)は、上記方法で駆動信号を調節した後のバラツキ分布の説明図である。図17において、横軸はノズル番号、縦軸は液滴吐出量(重量)である。符号a、b、cは、それぞれパターンA、パターンB、パターンCで吐出を行った場合の液滴吐出量のバラツキ分布を示している。
図17(a)に示すように、パターンB、パターンCにおいては、パターンA、パターンB、パターンCの順でノズルデューティが小さくなっている。そのため、パターンAで大きな駆動波形の歪みが発生し、パターンCで最も小さな駆動波形の歪みとなる。その結果、各ノズルN10〜N170の平均的な液滴吐出量は、パターンA、パターンB、パターンCの順で小さくなる。
ここで、図17(b)に示すように、各パターンについて、ノズルN10〜N170を4つのグループに分類し、それぞれのグループ毎に適切な駆動信号COM1〜COM4を設定すると、図17(a)に示した液滴吐出量のバラツキが改善され、各ノズルN10〜N170について概ね均一な吐出量が得られるようになる。図17(b)において、符号a′、b′、c′は、グループ毎に適切な駆動信号COM1〜COM4で吐出を行った場合の、パターンA、パターンB、パターンCの液滴吐出量のバラツキ分布を示している。
この場合、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量は概ね均一化されるが、吐出パターン毎又はノズルデューティ毎の吐出量のバラツキは依然として存在する。そのため、吐出パターン毎又はノズルデューティ毎に液滴吐出量のバラツキ分布を測定し、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正重量に近づくような駆動信号COM1〜COM4を求め、ノズルデューティに対応するCOM選択データSIBを設定する。
液滴吐出量を調節する方法としては、図6に示した方法を用いることができる。例えば、駆動電圧によって液滴吐出量を調節する場合、式(1)を用いて算出したCOM設定電圧を所定の倍率だけ変更すれば良い。駆動電圧の倍率は、吐出パターン毎或いはノズルデューティ毎に設定される。具体的には、バラツキ分布a′〜c′で求めた各ノズルN10〜N170の液滴吐出量の平均値と適正重量との比に相当する倍率だけ変更すれば良い。駆動電圧の調整は、図6に示した液滴吐出量と駆動電圧との対応関係に基づいて行うことができる。
液滴吐出量を調節する方法としては、図7〜図12に示した方法を用いることもできる。すなわち、駆動信号COM1〜COM4の駆動周波数や駆動波形を変更することによって、補正を行うこともできる。駆動周波数によって調整する場合には、駆動電圧と駆動波形は変えずに、単位時間当たりの吐出間隔を異ならせた駆動信号を吐出パターン毎或いはノズルデューティ毎に生成する。駆動波形によって調整する場合には、駆動電圧と駆動周波数は変えずに、駆動電圧の立ち上がり時間や立ち下がり時間等を異ならせた駆動信号を吐出パターン毎或いはノズルデューティ毎に生成する。さらに、駆動電圧、駆動周波数、駆動波形のうちの2種以上を組み合わせて液滴吐出量を調節しても良い。
なお、図15では、最小重量から最大重量までのレンジを均等に4分割することでノズルN10〜N170を4つのグループに分類したが、ノズルの分類の方法はこれに限定されない。例えば、測定した吐出量の序列(吐出量の多い方を上位、吐出量の少ない方を下位とする)に従い、最下位から順に所定個数ずつのノズルをそれぞれグループ1、グループ2、グループ3、グループ4として分類することができる。各グループにおいては、グループ毎に算出されるノズルの液滴吐出量の平均値(最頻値や中央値等の他の統計値でも良い)が互いに等しくなるように、適切な駆動信号COM1〜COM4が設定される。そして、吐出パターンやノズルデューティ毎に測定した液滴吐出量のバラツキ分布に基づいて、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正重量に近づくような各圧電素子PZ10〜PZ170の駆動信号COM1〜COM4を求め、ノズルデューティに対応するCOM選択データSIBを設定する。
この場合、各グループ(グループ1、グループ2、グループ3、グループ4)に属するノズルの数は略均等にすることが望ましい。ノズルの数に偏りがあると、担当するノズル数の多い駆動信号に歪みが発生する場合があるからである。例えば、駆動素子として使用される圧電素子はコンデンサ成分を有するため、1種類の駆動信号が供給される圧電素子の数が増加すると、コンデンサ成分が増大して突入電流が増大し、その駆動信号の波形が歪んでしまう。そのため、各ノズルの吐出特性のバラツキに応じた複数の駆動波形を用意しても、1種類の駆動信号が担う圧電素子の数に依存して波形歪が発生し、液滴吐出量のバラツキが改善されない場合がある。
しかし、このような波形の歪みを積極的に利用して吐出量の調整を行うこともできる。すなわち、COM選択データSIBにおいて、各駆動信号生成手段に割り当てられる圧電素子の数に応じて定まる各駆動信号COM1〜COM4の駆動波形の歪みを考慮して、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が均一化されるように、各駆動信号COM1〜COM4に割り当てられる圧電素子の数を設定することもできる。例えば、液滴吐出量が少ない場合には、駆動素子の割り当て数を多くし、波形歪みを発生させる。これにより、駆動波形に歪みが発生し、吐出量が増大する。逆に、液滴吐出量が多い場合には、駆動素子の割り当て数を減らして、駆動波形の歪みを防止する。これにより、駆動波形が適正な状態に保たれ、吐出量は相対的に減少する。これにより、ノズルの吐出量を均一化することができる。
図13に戻って説明すると、描画データメモリ32は、描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1によってデータ読み出しが要求されている場合、描画データアドレス信号AD1が指定するアドレスに記憶されている吐出データSIAをシリアルデータとして液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50に出力し、また、COM選択データSIBをシリアルデータとして液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。なお、駆動波形番号データWNは、アドレス変換回路33に出力される。
アドレス変換回路33は、駆動波形番号データWNが指定する駆動波形番号に該当する駆動波形データの記憶先アドレスを示すアドレス信号AD3を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。第1の駆動波形メモリ34は、32Kワード×16ビットのSRAMであり、COM1及びCOM2に対応する駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)を記憶するメモリである。第2の駆動波形メモリ35も同様に、32Kワード×16ビットのSRAMであり、COM3及びCOM4に対応する駆動波形データを記憶するメモリである。
これら第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ書き込みが要求されている場合、波形データアドレス信号AD2で指定されるアドレスに、駆動波形データ信号WDを記憶する。なお、この駆動波形データ信号WDは、上位2バイトがCOM3及びCOM4に対応する駆動波形データに割り当てられ、下位2バイトがCOM1及びCOM2に対応する駆動波形データに割り当てられた4バイトのデータ信号であり、上位2バイト分の駆動波形データ信号WDは第1の駆動波形メモリ34に入力され、上位2バイト分の駆動波形データ信号WDは第2の駆動波形メモリ35に入力される。
なお、上述したように、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35によって64種類の駆動波形データを記憶することができるが、これらの駆動波形データはCOM選択データSIBの数(つまり吐出パターンやノズルデューティの数)に対応して記憶すれば良い。
また、第1の駆動波形メモリ34は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ読み出しが要求されている場合、アドレス信号AD3で指定されるアドレスに記憶されている駆動波形データを第1のD/Aコンバータ36及び第2のD/Aコンバータ37に出力する。第2の駆動波形メモリ35は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ読み出しが要求されている場合、アドレス信号AD3で指定されるアドレスに記憶されている駆動波形データを第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。
第1のD/Aコンバータ36は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期して、第1の駆動波形メモリ34から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM1を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第2のD/Aコンバータ37は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期して、第1の駆動波形メモリ34から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM2を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第3のD/Aコンバータ38は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期して、第2の駆動波形メモリ35から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM3を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第4のD/Aコンバータ39は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期して、第2の駆動波形メモリ35から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM4を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。
図18に示すように、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40は、シフトレジスタ回路41、ラッチ回路42、COM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180から構成されている。シフトレジスタ回路41は、クロック信号CLK及びCOM選択データSIBを入力とし、クロック信号CLKに同期してシリアルデータであるCOM選択データSIBをパラレル変換してラッチ回路42に順次出力する。具体的には、シフトレジスタ回路41は、圧電素子PZ1〜PZ180に対応するWSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)をパラレルに順次出力する。
ラッチ回路42は、上記のWSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)を、ラッチ信号LTに同期してラッチし、各WSHデータ(WSH1〜WSH180)及びWSLデータ(WSL1〜WSL180)を一括してCOM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180に出力する。具体的には、ラッチ回路42は、WSH1及びWSL1をCOM選択スイッチ回路CSW1に出力し、WSH2及びWSL2をCOM選択スイッチ回路CSW2に出力し、以下同様に、WSH180及びWSL180をCOM選択スイッチ回路CSW180に出力する。
各COM選択スイッチ回路CSW1〜CSW180は、駆動信号COM1〜COM4を入力とし、ラッチ回路42から入力されるWSH及びWSLデータに応じて駆動信号COM1〜COM4のいずれかを選択し、選択した駆動信号をV1〜V180として後述するスイッチング回路50のスイッチング素子SW1〜SW180に出力する。具体的には、COM選択スイッチ回路CSW1は、(WSH1、WSL1)=(0、0)の場合、駆動信号COM1を選択し、(WSH1、WSL1)=(0、1)の場合、駆動信号COM2を選択し、(WSH1、WSL1)=(1、0)の場合、駆動信号COM3を選択し、(WSH1、WSL1)=(1、1)の場合、駆動信号COM4を選択し、選択した駆動信号をV1としてスイッチング回路50のスイッチング素子SW1に出力する。以下同様に、COM選択スイッチ回路CSW180は、(WSH180、WSL180)=(0、0)の場合、駆動信号COM1を選択し、(WSH180、WSL180)=(0、1)の場合、駆動信号COM2を選択し、(WSH180、WSL180)=(1、0)の場合、駆動信号COM3を選択し、(WSH180、WSL180)=(1、1)の場合、駆動信号COM4を選択し、選択した駆動信号をV180としてスイッチング回路50のスイッチング素子SW180に出力する。
続いて、図19に示すように、スイッチング回路50は、シフトレジスタ回路51、ラッチ回路52、論理和回路OR1〜OR180、レベルシフタ回路53、スイッチング素子SW1〜SW180から構成されている。シフトレジスタ回路51は、クロック信号CLK及び吐出データSIAを入力とし、クロック信号CLKに同期してシリアルデータである吐出データSIAをパラレル変換してラッチ回路52に順次出力する。具体的には、シフトレジスタ回路51は、圧電素子PZ1〜PZ180に対応するSIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)をパラレルに順次出力する。
ラッチ回路52は、上記のSIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)を、ラッチ信号LTに同期してラッチし、各SIHデータ(SIH1〜SIH180)及びSILデータ(SIL1〜SIL180)を一括して論理和回路OR1〜OR180に出力する。具体的には、ラッチ回路52は、SIH1及びSIL1を論理和回路OR1に出力し、SIH2及びSIL2を論理和回路OR2に出力し,以下同様に、SIH180及びSIL180を論理和回路OR180に出力する。
論理和回路OR1は、SIH1とSIL1との論理和であるスイッチング信号S1をレベルシフタ回路53に出力する。つまり、SIH1とSIL1との少なくとも一方が「1」であれば駆動信号の供給(吐出)を規定しているので、「1」を示すスイッチング信号S1が出力される。論理和回路OR2は、SIH2とSIL2との論理和であるスイッチング信号S2をレベルシフタ回路53に出力する。以下同様に、論理和回路OR180は、SIH180とSIL180との論理和であるスイッチング信号S180をレベルシフタ回路53に出力する。
レベルシフタ回路53は、スイッチング信号S1〜S180を各スイッチング素子SW1〜SW180を駆動可能なレベルまで電圧増幅する。具体的には、レベルシフタ回路53は、スイッチング信号S1を電圧増幅してスイッチング素子SW1に出力し、スイッチング信号S2を電圧増幅してスイッチング素子SW2に出力し、以下同様に、スイッチング信号S180を電圧増幅してスイッチング素子SW180に出力する。
スイッチング素子SW1は、駆動信号V1及びスイッチング信号S1を入力とし、「1」を示すスイッチング信号S1が入力された場合にON状態となり、駆動信号V1を図13に示す圧電素子PZ1の一方の電極に出力する。スイッチング素子SW2は、駆動信号V2及びスイッチング信号S2を入力とし、「1」を示すスイッチング信号S2が入力された場合にON状態となり、駆動信号V2を図13に示す圧電素子PZ2の一方の電極に出力する。以下同様に、スイッチング素子SW180は、駆動信号V180及びスイッチング信号S180を入力とし、「1」を示すスイッチング信号S180が入力された場合にON状態となり、駆動信号V180を図13に示す圧電素子PZ180の一方の電極に出力する。
図13に戻って説明すると、各圧電素子PZ1〜PZ180の他方の電極は、液滴吐出ヘッド5内で互いに接続され、且つ駆動回路基板30側のグランドと共通接地されている。つまり、圧電素子PZ1は、駆動信号V1とグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号V1に応じた重量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルN1から吐出される。また、圧電素子PZ2は、駆動信号V2とグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号V2に応じた重量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルN2から吐出される。以下同様に、圧電素子PZ180は、駆動信号V180とグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号V180に応じた重量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルN180から吐出される。
以上説明したように、本液滴吐出装置IJによると、カラーフィルタ基板Pの吐出パターンやノズルデューティに応じた駆動信号を各駆動素子に供給するので、吐出パターンやノズルデューティの変化による液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能である。
なお、上記実施形態では、1つの液滴吐出ヘッド5とそれに対応する1つの駆動回路基板30を例示して説明したが、これら液滴吐出ヘッド5及び駆動回路基板30が複数であっても同様な構成、動作を採用することができる。また、駆動素子として圧電素子を例示して説明したが、これに限らず、駆動信号に応じてキャビティ24の容積を変化させて液滴を吐出することが可能な素子ならば他の駆動素子を使用しても良い。また、上記実施形態では、4種類の駆動信号COM1〜COM4を使用する場合を例示して説明したが、装置コストや駆動回路基板30のサイズなどの設計条件に応じて、さらに複数種類の駆動信号を使用しても良い。
また、上記実施形態では、本発明の液滴吐出装置の一例としてカラーフィルタの製造装置を説明したが、本発明の液滴吐出装置はカラーフィルタの製造装置に限定されず、液状体を吐出して所望のパターンを形成する種々の装置に適用可能である。例えば、基板上に有機EL発光材料を含む液状体を吐出して有機EL素子を形成する装置や、基板上に導電材料を含む液状体を吐出して配線パターンを形成する装置等に適用可能である。
5…液滴吐出ヘッド、30…駆動回路基板、32…描画データメモリ(描画データ記憶手段)、34…第1の駆動波形メモリ(駆動波形記憶手段)、35…第2の駆動波形メモリ(駆動波形記憶手段)、36…第1のD/Aコンバータ(駆動信号生成手段)、37…第2のD/Aコンバータ(駆動信号生成手段)、38…第3のD/Aコンバータ(駆動信号生成手段)、39…第4のD/Aコンバータ(駆動信号生成手段)、40…COM選択回路(駆動波形記憶手段)、50…スイッチング回路(供給切替手段)、100…制御コンピュータ(駆動信号選択手段)、CF…カラーフィルタ層(薄膜)、COM,COM1,COM2,COM3,COM4…駆動信号、IJ…液滴吐出装置、L…液状体、N,N1〜N180…ノズル、P…カラーフィルタ基板(吐出対象物)、PZ,PZ1〜PZ180…圧電素子(駆動素子)、SIA…吐出データ、SIB…COM選択データ(駆動信号選択データ)