JP2009173959A - 高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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聡一郎 脇谷
Ichiro Takeshi
伊知郎 竹士
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Abstract

【課題】 高い強度と良好な加工性とを併せもつ新しい低合金・高強度の鋼板およびその製法を提供する。
【解決手段】 特定の化学成分を有する圧延鋼板をA1〜(Ac3+20)℃の温度範囲に焼鈍後、A1〜(A1−100)℃の温度範囲まで10℃/sec以下の冷却速度で徐冷、引続き500℃付近まで60℃/sec以上の冷却速度で急速冷却後、引き続き、400℃付近での保定をせず、250℃以下まで10〜30℃/secの冷却速度で冷却を行うことで、複合組織鋼板と同程度の低合金組成で高強度、かつ優れた延性を鋼板に同時に付与することが出来きる。
【選択図】 図1

Description

請求項に係る発明は、高い引張り強度をもちながらも優れた加工性を有する高強度鋼板とそれらの製造方法に関するものである。
加工性の優れた高強度鋼板に対する最近の要請を、自動車の場合を例にして述べる。地球環境保全の観点から、自動車分野においてもCO2等の排ガス量を低減していくことが是非とも必要である。そのためには、自動車車体の一層の軽量化が不可欠になる。車体の軽量化を達成するためには、自動車に使用される鋼板の強度を高めて、板厚を薄くしていかなければならない。同時に、自動車においては、搭乗者の安全性を確保していかなければならない。このためにも、鋼板の強度を一層高めていくことが必要になる。
強度を高めるための方法としては、固溶強化、析出強化、結晶粒微細化などが基本的な方法である。省資源や製造コストの低減を図りながら溶接性を確保するためには、合金添加量を極力低減することが極めて重要である。従がって、固溶強化や析出強化といった多量の合金添加を必要とする強化機構の適用だけでは、極めて高い強度を必要とする鋼板の製造は不可能である。また結晶粒微細化による強化機構を適用するにしても、現在商業的に製造が可能な結晶粒径は1〜3μmであるので、強度の上昇はある程度図れても、強度上昇に見合う延性の向上は期待できない。
鋼板の強度が高くなると加工性が悪くなるのと同時に、プレス成形後のスプリングバック等により寸法精度も悪くなる。通常のプレス成形等の冷間加工法では高強度鋼板の適用が困難である。
ホットプレス法は、熱間でプレス加工をするのでスプリングバックの発生量は極めて少なく、形状凍結性が良い。そして、プレスの際の焼入れ効果で、非常に高い強度をもった部品を高精度で提供することができる。しかしながら、プレス加工前には鋼板を加熱することが必要であり、また、プレス後にはスケールを落とす作業が必要である。従って、作業効率が非常に悪い方法である。さらに、金型が加熱した鋼板と接するため金型の寿命が短いことも欠点であり、これが製造コストを増加させることにもなる。
ホットプレス後の鋼板は伸び値が小さく、部材が変形を受けた際に僅かな変形でも破断するので、衝撃吸収能力が小さいと評価されている。従って、ホットプレス部品を、自動車等の重要保安部品として使用することは非常に難しい。
冷間プレス加工で成形品の寸法精度を向上させる方法の1つとして、成形品にビードを設けることによってスプリングバックの発生を抑制する方法がある。しかしこの加工方法では、鋼板に極めて高い加工性が要求される。
一般的に、鋼板の強度を高めると、延性は小さくなり加工性は低くなる。高強度鋼板の延性を高める従来技術として、フェライトとマルテンサイト組織からなる複合組織(Dual Phase)鋼板、フェライトと残留オーステナイト組織からなるTRIP(Transformation Induced Plasticity)鋼板とよばれているものがある。
複合組織鋼板については特許文献1、2にその例が示されている。このような鋼板においては、フェライト中に硬質なマルテンサイトを微細に分散させるが、この硬質なマルテンサイトにより、変形時に大きな加工硬化を引き起こし、高い強度と延性を鋼板にもたらすのである。
TRIP鋼板については特許文献3、4にその例が示されている。残留オーステナイトを含有するこの種の鋼板は、その量と変形に対する安定度に応じて、変態誘起塑性に起因する極めて良好な延性と成形性を有するのである。
さらに特許文献5に記載された鋼板は、フェライト中に硬質なマルテンサイトと残留オーステナイトを混在させることで、低合金組成でも複合組織鋼板なみの高い強度と、TRIP鋼板なみの優れた延性を兼ね備えた特性を有する鋼板として開発された。
特開昭56-133423号公報 特開2005-230896号公報 特開昭62-182225号公報 特開2005-76078号公報 特開2007-231399号公報
高い強度を有しながら冷間加工での伸び特性を向上させる従来技術として、前記複合組織鋼板とTRIP鋼板が挙げられる。
複合組織鋼板では比較的低い合金添加量でも高い強度が得られ、同時に、加工硬化による良い均一伸び特性が得られる。中でも、特許文献1・特許文献2の鋼板はフェライト母相中のマルテンサイトもしくはベイナイトを微細に分散することにより、強度と伸び特性をさらに向上させたものである。しかし両文献とも残留オーステナイト量は希少、もしくは量の制御が不十分であるためTRIP鋼板並みの伸び特性は得られておらず、複雑な形状を有する部品の加工に耐え得るまでの高い伸び特性が得られていない。
特許文献3に記載の従来から提案されているTRIP鋼板、さらに残留オーステナイトの微細分散化を図った特許文献4に記載のTRIP鋼板は、高強度で高延性、さらに高い深絞り性を有するものである。そのため複雑な形状で高い加工性を必要とし、高い強度が要求される部材への適用が指向されている。
しかし焼鈍冷却工程において、オーステナイトの安定化のために、マルテンサイト変態を開始するMs点直上の400℃付近での低温保定が必要である。さらに、その低温保定の影響により複合組織鋼板に比べ、その炭素量と合金添加量の割には鋼板強度が低いという決定的な欠点がある。鋼板の良い伸び特性が得られ難い引張強度780MPa以上の強度領域でTRIP鋼板の適用が期待された。しかし、同強度レベルを確保しようとすると、必要な炭素量や合金添加量は多くなるので、良好なスポット接合性は確保されない。この理由によって、この鋼板はあまり普及していないのが現状である。
従って、複合組織鋼板のように低い合金添加量で高い強度をもちながら、TRIP鋼板のような高い延性を有する鋼板の開発が望まれるのである。特許文献5は、この相反する特性を兼備した鋼板の開発事例である。この鋼板は、焼鈍前組織としてマルテンサイトもしくは下部ベイナイト組織を作り込み、その後、A1〜(Ac3+20)の温度範囲(「〜」はその前の数値から後の数値までを範囲とすることを示す。以下も同様)で焼鈍し、引続き室温付近まで急速冷却処理することで、フェライト中に、マルテンサイトと残留オーステナイトが混在した組織を作り込んだものである。
通常、この様な焼鈍ヒートサイクルでは、焼鈍時に生成したオーステナイトは、冷却過程でマルテンサイトへと変態し、オーステナイトの残存する量は微量である。しかし、焼鈍時に形成したオーステナイトが1μm程度まで微細に分散した場合、冷却下、マルテンサイトへ変態することで発生する歪エネルギーが増大し、変態され難い状態となり、オーステナイトがそのまま残存する。
焼鈍前組織としてマルテンサイト、もしくは下部ベイナイト組織としたものは、焼鈍時に生成するオーステナイトがラス状に微細に分散し、室温付近まで急速冷却を行っても、オーステナイトが残存するのである。
しかし、この様にして得られる残留オーステナイトは準安定性が低く、そのため伸び特性にバラツキが多いことが分かってきた。
そこで本願の発明者らは、低合金でも高い鋼板強度を得るために、フェライト、マルテンサイト、残留オーステナイトの3相構造を前提として、残留オーステナイトの準安定性を高める方法を調査した。
残留オーステナイトの準安定性を得るには、最終焼鈍の冷却過程においては400℃付近での保定を行うことが有効であるが、400℃付近で保定を行えば、マルテンサイト量が極端に低下し、強度が低下する。そこで、発明者らは室温付近まで連続的に冷却する製造プロセスを検討した。
そして、そうしたプロセスにより、高い強度と良好な加工性とを併せもつ新しい低合金・高強度の鋼板およびその製法を開発したものである。
鋭意研究を行った結果、発明者らは、特定の化学成分を有する圧延鋼板をA1〜(Ac3+20)℃の温度範囲に焼鈍後、A1〜(A1−100)℃の温度範囲まで10℃/sec以下の冷却速度で徐冷、引続き500℃付近まで60℃/sec以上の冷却速度で急速冷却後、引き続き、400℃付近での保定をせず、250℃以下まで10〜30℃/secの冷却速度で冷却を行うことで、複合組織鋼板と同程度の低合金組成で高強度、かつ優れた延性を鋼板に同時に付与することが出来きることを発明した。この様な方法で製造した高強度鋼板は、フェライト母相中にマルテンサイトと準安定性の高い残留オーステナイトが混在していることが判明した。
請求項に記載した高強度鋼板は、平均粒径が10μm以下のフェライトの粒内および粒界に、マルテンサイトを体積率で20%以上含むとともに、(上記フェライトの粒内および粒界に)平均粒径が3μm以下で、炭素濃度が質量%で0.9%以上の残留オーステナイトを体積率で5%以上有する高強度鋼板である。
マルテンサイトが体積率で20%以上存在するため、合金添加量が少なくても高い強度を有している。また残留オーステナイトは炭素濃度が質量%で0.9%以上であるため、室温で準安定的に存在することが可能で、変形による変態を誘発し得る。さらに体積率5%以上で、効果的に微細に分散しているため、良好な加工硬化が継続的に得られ、良い伸び特性も得られるのである。
上記の高強度鋼板については、とくに、質量%でC:0.05〜0.25%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.01〜1.50%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%を含み、またはさらにTi:0.02〜0.22%、Nb:0.02〜0.10%のいずれか一方もしくは両方を含有することが望ましい。なお、各場合で、残部はFe及び不可避的不純物とする。
こうした適切な種類と量の化学成分を含むこととすれば、適切な熱処理を行うことで、上記の組織を有していて望ましい機械的性質を発揮する高強度鋼板とすることが容易である。
さらに、C:0.05〜0.25%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.01〜0.20%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%を含み、またはさらにTi:0.02〜0.22%、Nb:0.02〜0.10%のいずれか一方もしくは両方を含有する組成範囲であっても、適切な熱処理を行うことで、上記に相応しい高強度鋼板を得ることが出来る。なお、各場合で、残部はFe及び不可避的不純物とする。各成分の作用については後述する。
上記高強度鋼板として、上記した組織を有するとともに、引張り強さTS(MPa)と伸び値EL(%)との積TS×ELが18000(MPa・%)以上であるものも好ましい。
そのような鋼板は、上述の組織を有していて、高い強度と良い伸び特性とを兼ね備えるものだからである。
請求項に係る高強度鋼板の製造方法は、
1) 質量%でC:0.05〜0.25%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.01〜1.50%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%を含み、またはさらにTi:0.02〜0.22%、Nb:0.02〜0.10%のいずれか一方もしくは両方を含有する鋼材を、
2) または、質量%でC:0.05〜0.25%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.01〜0.20%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%を含み、またはさらにTi:0.02〜0.22%、Nb:0.02〜0.10%のいずれか一方もしくは両方を含有する鋼材を、
3) 複数スタンドを有する熱間圧延機によって(薄板に)熱間圧延し、Ar3以上で圧延を完了後、引続きAr3以上の温度から冷却を開始し、300℃以上、600℃以下の温度範囲で巻取り
4) そのまま、もしくは冷間圧延後
5) A1以上、(Ac3+20)℃以下の温度まで加熱し、当該温度に保持した後
6) A1〜(A1−100)℃の温度範囲まで10℃/sec以下の冷却速度で徐冷
7) その後400〜550℃まで60℃/sec以上の冷却速度で急冷
8) さらに250℃以下まで10〜30℃/secの冷却速度で冷却することを特徴とする。
このようにすれば、後述のとおり上記の高強度鋼板を得ることができる。
ここで、A3はオーステナイト相にフェライト相が析出もしくは消滅する温度をいい、Ar3は冷却過程でのその変態点温度を、Ac3は加熱過程での変態点温度を示す。またA1はフェライト相にオーステナイト相が析出もしくは消滅する変態点温度を表す。
なお、前記TRIP鋼板の製造方法では、400℃付近で保定を行うため、豊富なマルテンサイトが得られず、また、特許文献5で示したような冷却方法(前記)では、ある程度の量の残留オーステナイトが得られても、その炭素濃度は0.9%以上で安定しておらず、必ずしも望ましい組織、それに伴う好ましい機械的性質が得られるわけではない。本件請求項記載の製造方法によればそのような課題が解決される。
請求項に記載の高強度鋼板は、低合金でありながら、多量のマルテンサイトが含まれため、非常に高い強度が得られ、さらに豊富な残留オーステナイトが含まれることになるため、複雑な加工にも耐え得る良好な加工特性を発揮するものとなる。
請求項に記載した製造方法によれば、上記した高強度鋼板を円滑に製造することが出来る。
以下、約600〜1500MPaの引張り強度をもちながらも優れた加工性が必要とされる加工部品に使用される薄鋼板とその製造方法について、実施の形態を示す。
鋼板の成分系として、質量%でC:0.05〜0.25%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.01〜1.50%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%を含み、またはさらにTi:0.02〜0.22%、Nb:0.02〜0.10%のいずれか一方または両方を含有するもの、
または、質量%でC:0.05〜0.25%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.01〜0.20%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%を含み、またはさらにTi:0.02〜0.22%、Nb:0.02〜0.10%のいずれか一方または両方を含有する組成を基準とする。
なお、ここで述べる薄鋼板とは、板厚が約4mm以下の鋼板のことである。製造する鋼板は、主として自動車、家電製品、電子機器製品、等の高い加工性と強度が必要な部品に使用することが出来る。その他、鋼管用の素材として適用が可能である。
まず、鋼板の成分について述べる。
炭素(C)としては、0.05〜0.25%の範囲の量が必要である。0.05%よりも少なくなると、約600MPa 以上の鋼板強度が得られないので、0.05%以上の炭素量が必要である。一方、炭素量が0.25%以上になると、溶接部が硬化しすぎて溶接部から破断しやすくなる。これは、薄鋼板にとっては使用上の制約になるので、炭素量に上限を設けた。そして、0.05〜0.25%の炭素量であれば、本発明の主旨にそった複合組織が得られることを見出したものである。
シリコン(Si)量は、0.01〜2.0%、もしくは0.01〜0.30%の範囲とする。シリコンは固溶強化による強度向上と、残留オーステナイトの安定化のために活用し、その量が多く含まれる方が、残留オーステナイトが安定する。そのため、上記の製造方法においても、シリコン量が多い方が、残留オーステナイトの準安定性は増す。しかし、本発明の製造方法では、シリコン量が少なくても、準安定性の高い残留オーステナイトを得ることが出来る。そのため、0.01〜0.30%の範囲においても、本発明の主旨にそった複合組織が得られるのである。
シリコン量は、0.01%以上であれば、本発明の複合組織と材質特性が得られる。従って下限を0.01%とした。2.0%以上のシリコン量になると、鋼板の表面にシリコンスケールが発生しやすくなり、薄鋼板として良好な表面性状が得られないので、シリコンを多く含んだ場合でも、その上限を2.0%とした。
マンガン(Mn)量は、0.3〜2.5%の範囲とする。マンガン量が0.3%以下になると、焼き入れ性が不足し、本発明の複合組織が得られなくなる。その結果、鋼板の強度と延性が低くなるので、マンガン量は0.3%以上とする。
一方、マンガン量が2.5%を超えると、強度が高くなりすぎる上、製造コストも高くなるので上限を2.5%とした。
クロム(Cr)は、マンガンと同様に焼入れ性を高める元素であり、鋼の強度を向上させることが出来るが、3.0%を超えると強度が高くなりすぎる上、製造コストも高くなるので上限を3.0%とした。
アルミ(Al)は、0.01〜1.50%、もしくは0.01〜0.20%の範囲とする。アルミはシリコン同様にその量が多いほど、残留オーステナイト量を増やすことができると同時に、その安定化を促す。そのため、上記の製造方法においても、アルミ量が多い方が、残留オーステナイトの準安定性は増す。しかし、本発明の製造方法では、アルミ量が少なくても、準安定性の高い残留オーステナイトが得られる。そのため、0.01〜0.20%の範囲においても、本発明の主旨にそった複合組織が得られるのである。
1.50%以上のアルミ量になると、連続鋳造工程における鋳造ノズル閉塞が生じやすくなり、スラブを連続鋳造で製造することが極めて困難になる。従って、アルミ量の上限を1.50%とする。
銅(Cu)は、固溶強化により鋼の強度を向上させるが、製造上不可避的に含有する以上に、故意に添加を行えばコストの上昇を招くため、その上限を1.0%とした。
ニッケル(Ni)は、固溶強化により鋼の強度を向上させると同時に、シリコンやアルミと同様に残留オーステナイト量を増やすことができる。しかし製造上不可避的に含有する以上に、故意に添加を行えばコストの上昇を招くため、その上限を1.0%とした。
モリブデン(Mo)は、マンガンと同様に焼入れ性を高める元素であり、鋼の強度を向上させることが出来るが、製造上不可避的に含有する以上に、故意に添加を行えばコストの上昇を招くため、その上限を1.0%とした。
チタン(Ti)は、熱延工程における結晶粒の微細化とともに、最終焼鈍工程での再結晶や結晶粒成長を抑制する効果を有している。
最終工程における焼鈍温度域は高温であるので、極めて微細な結晶粒を有した鋼板や冷間圧延を行った鋼板では再結晶や結晶粒成長が発生する。再結晶や結晶粒成長が容易に生じると、熱延工程で作り込んだ微細な組織は解消されてしまう。チタンはその再結晶や粒界移動を抑制する有効な元素であり、その量は、0.02〜0.22%の範囲であれば焼鈍後も緻密な組織が維持出来る。ただし、0.22%よりも増えても作用効果はあまり増加しないので、上限の量を0.22%とする。
ニオブ(Nb)にも、チタンと同様に、再結晶や結晶粒成長を抑制する効果がある。緻密な組織を得て、焼鈍後もその組織を維持するためには、ニオブ量として0.02〜0.10%の範囲の量が必要である。0.02%以下になると、再結晶や結晶粒成長を抑制する効果がなくなる。また、ニオブ量が0.10%よりも増えてもその作用効果はあまり増加しない。また、その量が増加すると連続鋳造時にスラブに割れが発生するため、その上限を0.10%とした。
燐(P)及び硫黄(S)は、本発明鋼における必要成分ではないが、製造上不可避的に含有する。いずれの元素もスポット溶接性を著しく阻害するため、基本的に可能な限り低減することが望まれる。
上記の基準成分に調整したスラブは、再加熱してから熱間圧延をおこなうか、もしくは鋳造後直ちに熱間圧延をおこなうものとする。
熱間圧延を施すにあたっては、複数スタンドを有する圧延機によって熱間圧延を行う。
そして、Ar3以上のオーステナイト域で圧延を完了することが重要である。圧延完了温度がオーステナイト域を下回ると、不均一な組織形態となり、材質を著しく阻害する。従って熱間圧延を完了する温度はAr3以上とする。
熱間圧延完了後、Ar3以上から冷却を開始し、Δ40℃/sec以上の速度で冷却行い、300℃以上、600℃以下の温度範囲まで連続的に冷却後、巻取ることが必要である。冷却開始温度がAr3を下回ると部分的にフェライト変態が起こり、また冷却速度がΔ40℃/secを下回ると同様の現象が発生し、均一な組織を得ることが出来ない。熱間圧延完了後に不均一な組織であると、焼鈍後の組織も不均一になりやすく、材質が劣化する。
上記の熱間圧延によって、もしくはその後に冷間圧延を行うことによって、板厚約4mm以下の薄鋼板とする。
最終焼鈍では、A1〜(Ac3+20)℃の範囲に加熱し、1〜120secの間、等温保持することでフェライトとオーステナイトを形成後、A1〜(A1−100)℃の温度範囲まで10℃/sec以下の冷却速度で徐冷、その後400〜550℃まで60℃/sec以上の冷却速度で急速冷却、さらに、400℃付近での保定を行わず、250℃以下まで10〜30℃/secの冷却速度で冷却する。
この時、低合金組成で高い強度を得るためには、段階的な冷却をしつつ、250℃以下までは冷却停止を極力避けることが望ましい。但し、急速冷却後、500℃付近で冷却速度を変更する必要があり、制御上、温度測定が必要である。温度測定をするためには、一時的に冷却を停止することも必要であるが、その停止時間を5秒以内とすることが必要である。
焼鈍時の温度制御について、各温度の意味を以下に説明する。
加熱後の均熱温度はA1〜(Ac3+20)℃の範囲とする。
均熱時の組織をフェライトとオーステナイトの2相化することが目的である。
A1以下の温度では、冷却後にマルテンサイトの源となるオーステナイトが形成されず、一方、(Ac3+20)以上の温度では、冷却後マルテンサイト主相となり、軟質なフェライト相が不足し、延性が極端に低下する。
均熱完了後の第一段目の冷却では、均熱温度からA1〜(A1−100)℃の温度範囲まで10℃/sec以下の冷却速度で徐冷することが必要である。
A1点以下の温度まで10℃/sec以下の速度で連続的に冷却を行う場合、オーステナイト相は徐々にフェライト相へ変態し、未変態のオーステナイトへの炭素の移動現象が生じる。
A1以上までのみ冷却を行う場合は未変態オーステナイトの炭素の濃化が不足し、冷却完了後、残留オーステナイトが得難くなる。(A1−100)以下まで冷却する場合は、強度が低下する上、未変態のオーステナイト相がパーライトに変態し、本願の狙いとする組織が得られない。
第二段目の冷却は、A1〜(A1−100)℃まで徐冷後、400〜550℃まで60℃/sec以上の冷却速度で急冷することが必要である。
この急速冷却は未変態オーステナイトのパーライト分解を抑制するためである。
冷却速度が60℃/sec以下では未変態オーステナイトがパーライト変態し、引張特性が劣化するため、60℃/sec以上とする。急速冷却終点温度は400〜550℃で効果は得られるが、500℃としたものが、最も特性が向上する。従って第二段目の冷却終点温度は500℃を狙いとし、制御することが好ましい。
第三段目の冷却では、400℃付近での保定を行わず、急速冷却終了温度の500℃付近から250℃以下まで10〜30℃/secの速度で冷却することが重要である。
この温度範囲で、未変態オーステナイトの一部がマルテンサイトへ変態し、その残部が残留オーステナイトとなる。冷却速度を10〜30℃/secとし、連続的に冷却することで、未変態オーステナイトへの炭素の濃化がさらに促進され、準安定性の高い残留オーステナイトが形成される。一方、この温度範囲で冷却を止めないため、適度のマルテンサイトが生成し、高い強度を得ることが出来る。
冷却速度を30℃/sec以上とすると、未変態オーステナイトのほとんどはマルテンサイトに変態し、適度の残留オーステナイトが得難くなる。一方、冷却速度10℃/sec以下では、未変態オーステナイトはセメンタイト分解する。
シリコンやアルミ量が多く含有したものは、冷却下、400℃付近でのオーステンパー処理で、未変態オーステナイトへの炭素の濃縮現象が生じ、準安定性の高い残留オーステナイトが得られる。しかし、シリコンやアルミ量が少ないもので、同様の処理をした場合、未変態オーステナイトはセメンタイト分解し、残留オーステナイトは得られない。
多くの高強度鋼板で、シリコンやアルミを適量添加するのは、こういった理由からであるが、シリコンは表面性状を悪化させ、アルミは連続鋳造性を悪化させるという問題があるため、極力添加量を抑制したい元素である。
本願の製造方法では、そのシリコンやアルミ量が少なくても(Si:0.01〜0.30%、Al:0.01〜0.20%)、準安定性の高い残留オーステナイトが得られ、さらに適量のマルテンサイトが含まれるため、高い強度を得られるということが大きな特徴である。
以上に示した条件を基準として製造した高強度鋼板の組織は、平均粒径が10μm以下のフェライトの粒内および粒界に、体積率で20%以上のマルテンサイトを含むとともに、平均粒径が3μm以下で、炭素濃度が質量%で0.9%以上の残留オーステナイトが体積率で5%以上含有している。
この硬質なマルテンサイトと残留オーステナイトの共存が、複合組織鋼板と同様の低合金でも高い強度特性を有する特性を生み、そしてさらにTRIP鋼板並みの伸び、加工特性を生み出すのである。
図1は、この発明の実施形態の製造プロセスにおける熱間圧延、冷間圧延及び焼鈍での温度履歴の概念を示すもので、横軸は時間経過、縦軸は温度である。図のa、b、cは熱間圧延の粗圧延工程、仕上圧延工程、巻取り工程をそれぞれ行っていることを示す。dは冷間圧延工程を示すが、当該工程は必ず実施するわけではない。さらにe、f、g、hは焼鈍プロセスにおける均熱工程と第一段目、第二段目、第三段目の冷却工程をそれぞれ示す。
図2(a)・(b)は、図1に示す製造プロセスにおいて、熱間圧延完了後、冷間圧延を行わず、最終焼鈍を行った鋼板の材質特性を示す。供試材の成分は表1に示す通りで、図2(a)はサンプルA、図2(b)はサンプルBの試験結果を示す。
焼鈍の条件は(Ac3−10)℃で均熱し、680℃まで10℃/secで徐冷後、500℃まで125℃/secで急冷、その後、第三段目の冷却を行った。図2は第三段目の冷却速度(横軸)と最終焼鈍後の鋼板材質特性(引張り強さTS、伸び値t.EL、それらの積TS×t.EL)との関係を整理した。なお、第2段目までの冷却完了後、400℃まで20℃/secで冷却、その後400℃で60秒オーステンパー処理を行った結果を、横軸の3段目冷却速度「1」として同図に整理した。
図2(a)は1.50%のシリコンを含んだ供試材で、3段目の冷却速度が低下すると、TSは低下し、t.ELは上昇する傾向を示すが、TS×t.ELではいずれも20,000以上の高い値が得られている。なかでも3段目の冷却速度が10℃/secのところで、そのピークが認められる。
図2(b)はシリコン0.20%の供試材で、1.50%の場合と異なる傾向が認められる。3段目の冷却速度の低下に伴い、TSは同様に低下する傾向であるが、t.ELは20℃/secでピークを示し、さらに冷却速度が下がるとt.ELも低下する。その結果、TS×t.ELも20℃/secでピークを示す。
図3は同試験供試材の第三段目の冷却速度(横軸)と残留オーステナイトの形態(残留オーステナイトの体積率Vf[γ]、炭素濃度C[γ])との関係を示す。
図3(a)は1.50%のシリコンを含んだ供試材で、3段目の冷却速度が低下すると、Vf[γ]、C[γ]ともに上昇する傾向を示す。いずれも0.9%以上の十分な炭素濃度を示し、5.0%以上の残留オーステナイト量が得られる。
一方、図3(b)はシリコン0.20%の供試材で、図2の引張り特性の場合と同様に、1.50%の場合とは異なる傾向が認められる。Vf[γ]は3段目の冷却速度の低下に伴い、20℃/secでピークを示す。C[γ]は、3段目の冷却速度の低下に対し、上昇する傾向であるが、20℃/secと1℃/sec(400℃で60秒のオーステンパー処理)で差は認められない。
ここで得られたVf[γ]の傾向は、図2のTS×t.ELが示す傾向と同様であり、引張り特性の向上が、残留オーステナイトの変態誘起塑性に起因していることが説明される。
なお、図3における残留オーステナイトの測定はCuのKα線を用いてX線回折法により求めた。板厚1/2t部位で表面電解研磨仕上げ後、オーステナイト相の(200)(220)(311)面とフェライト相の(200)(211)面の積分強度を測定し、それぞれの組合せから算出される残留オーステナイト体積率の平均値を用いた。
また残留オーステナイト中の炭素濃度もX線回折法で、オーステナイト相の(111)(200)(220)(311)面のピーク強度を示す回折角を用い、オーステナイト相の格子定数を求めることで算出した。
図4に本発明鋼の代表的な断面組織についてSEM観察写真を示す。マルテンサイト及び残留オーステナイト(写真中の白色の部分)はフェライト粒内および粒界に存在し、ラス形状を示すものも認められる。
白色部分の体積率は市販の画像解析ソフトを用いて測定し、体積率で43%であった。また、上記X線回折による残留オーステナイトの体積率は7.8%であるため、マルテンサイトの体積率をその差として求め、約35%を得た。
以下に発明の実施例を説明する。
表2に示す化学成分を有する溶鋼を、連続鋳造法もしくは鍛造法によりスラブ(圧延素材)とした。続いてこれらのスラブを再加熱し、熱間圧延を行い、熱延鋼板とした。
前記した基準成分に調整した鋼種A、B、C、D、Eにおいては炭素、シリコン、マンガン、クロム、アルミはそれぞれ、0.05〜0.20%、0.01〜1.20%、0.30〜2.10%、0.01〜3.00%、0.02〜0.40%の範囲で調整した。また鋼種A、B、Dはチタンもしくはニオブを添加し、その量はそれぞれ0.12%、0.06%を上限として配合した。
比較例である鋼種Fは炭素、シリコン、クロム及びチタン量は基準範囲内にあるが、Mn量が高く、基準範囲を外れている。
熱間圧延、冷間圧延、焼鈍条件については、実施例と比較例の各鋼種を、表3に示した条件で処理した。冷間圧延を行わない場合は板厚1.4〜1.8mmに熱間圧延し、冷間圧延を行うものは熱間圧延を板厚3.0〜4.0mmで仕上げ、冷間圧延後、板厚1.4〜1.8mmとした。
表3中で下線を付けた数値は、基準となる条件を外れたものである。鋼種F(No.15)については、化学組成が基準を外れるため鋼種の表示に下線を付けている。
熱間圧延においては、いずれの条件も最終段圧下率を15%以上とし、仕上げ圧延をAr3以上で終了させ、5秒以内に冷却を開始した。巻取り温度については、表3中No.12の条件を除き、基準内の温度で制御した。
冷間圧延について、実施したものについては圧下率を記載した。
連続焼鈍については、まず均熱温度を(Ac3−10)℃近傍とした。但し、表3のNo.6は規定の(Ac3+20)℃以上の温度とした事例を示した。
引続き、第一段目冷却では、A1〜(A1−100)℃の温度域まで10℃/secの冷却速度で徐冷した。但し、表3中No.4は均熱完了直後から急速冷却を開始し、No.3は(A1−100)℃以下の温度まで徐冷した事例を示す。
第二段目冷却では、終点温度を500℃狙いで統一し、その温度まで125℃/secの冷却速度で冷却を行った。但し、表3中No.11は基準である60℃/sec以下の冷却速度で冷却した事例を示す。
第二段目の冷却完了後、第三段目の冷却を開始する間、温度測定のため、約1秒間の冷却停止領域を設けた。但し、表3中No.10については、その時間を約10秒とした事例を示す。
さらに、第三段目冷却では、終点温度100℃付近まで10〜20℃/secの冷却速度で冷却を施した。但し、表3中No.7、9については、基準外の冷却速度を施した事例を、No.13については、終点温度を基準外とした事例を示した。
連続焼鈍後の供試材で圧延方向断面のSEM観察、後述する特殊エッチング法による光学顕微鏡観察及びX線回折を行い、主相組織形態、残留オーステナイトの体積率、炭素濃度及びその粒径、マルテンサイト体積率を調査した。その結果を表3にまとめる。
引張り試験の結果も表3に示した。表3において、TSは引張り強さ、t.ELは全伸び値を示す。
鋼種Aの実施例(No.1)では、いずれの鋼種も比較的炭素量が少ないのでマルテンサイト量、残留オーステナイト量は少なく、強度レベルとしては低位であるが、比較的良い伸び特性を示す。
鋼種Bは、オーステナイト安定化元素であるシリコンとアルミを多く含んだものであり、炭素量も比較的多く含まれるため、残留オーステナイトが得られ易い鋼種である。しかしNo.2の基準条件を満足したものは、豊富な残留オーステナイトが得られるものの、No.3、4のように第一段の徐冷を基準通りに行わなかったものは、その量、及び炭素濃度が低下する傾向である。
鋼種Cは、鋼種Bに比べ、シリコン、アルミ量が少ないが、基準通りの工程及び条件で作り込めば、高強度で高延性な特性が得られている。
鋼種Dはさらにシリコン、アルミ量が少ない。それでも基準内の条件で作り込めば、鋼種B、Cと同様に高強度で高延性な特性が得られている。しかしNo.7、9、10、11のように冷却条件が不適切であると、残留オーステナイトの量及び炭素濃度が低下し、引張り特性も良い傾向が得られない。またNo.6のように均熱温度が(Ac3+20)℃を超えた場合、マルテンサイトを主相とした組織形態となり、強度は著しく上昇するものの、強度・延性バランスは大きく低下する。No.12は熱間圧延での巻取り温度が基準より高くなった場合で、残留オーステナイト粒がやや粗大化する。
鋼種Eは焼入れ性元素としてクロムを使用した場合で、やはり基準条件を満足すれば、良好な引張り特性が得られる。一方、No.13は第三段目冷却後の終点温度が高すぎた場合で、この時、未変態オーステナイトがセメンタイト分解し、残留オーステナイトが殆ど得られず、引張り特性も悪い。
鋼種15はマンガンが基準以上に高い場合で、この場合、基準内条件で製造しても、得られるマルテンサイト量が多く、著しく強度が高いものの、残留オーステナイト量が少なく、伸び特性は低位である。
残留オーステナイトの体積率及び炭素濃度はX線回折法により算出した。
残留オーステナイトの粒径は、鋼板の圧延方向断面を研磨後、特殊エッチング法(CAMP-ISIJ, 6(1993), p.1698)でエッチングし、板厚方向1/4の位置を光学顕微鏡により観察、白色の残留オーステナイト粒を画像解析処理により解析し、測定した。
マルテンサイトの体積率は、鋼板の圧延方向断面を研磨後、ナイタルエッチングし、板厚方向1/4の位置をSEM観察し、白色にエッチングされた低温変態相総面積を画像解析により測定後、前記したX線回折測定でもとめた残留オーステナイト体積率を差し引き算出した。
引張り特性(引張り強さTS、伸び値t.EL)はJIS13B号試験片形状にて引張り試験し測定した。
実施例の高強度鋼板は、低合金組成においてTS600〜1200MPaの高強度で、TS×t.ELで18000MPa・%以上の良好な強度・延性バランスが得られる。そのため、自動車構造用部材等として使用するのに好適である。
例えば自動車のセンターピラーのように、ドアの支持とともに衝突時の変形防止等に必要な引張り強度が求められる他、プレス成形等のため曲げ、絞り加工性、さらには他の車体部品と接合するための溶接性などにつき高いレベルが要求される部材として、極めて好ましい鋼板といえる。
この発明の実施形態の製造プロセスにおける熱間圧延、冷間圧延及び焼鈍での温度履歴の概念を示す線図である。 図2(a)・(b)は、第三段目の冷却速度(横軸)と最終焼鈍後の鋼板材質特性(引張り強さTS、伸び値t.EL、それらの積TS×t.EL)との関係を示す図である。 図3(a)・(b)は、第三段目の冷却速度(横軸)と残留オーステナイトの形態(残留オーステナイトの体積率Vf[γ]、炭素濃度C[γ])との関係を示す図である。 本発明による高強度鋼板についての代表的な断面組織写真である。

Claims (6)

  1. 平均粒径が10μm以下のフェライトの粒内および粒界に、マルテンサイトを体積率で20%以上含むとともに、平均粒径が3μm以下で、炭素濃度が質量%で0.9%以上の残留オーステナイトを体積率で5%以上有することを特徴とする高強度鋼板。
  2. 質量%でC:0.05〜0.25%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.01〜1.50%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%を含み、またはさらにTi:0.02〜0.22%、Nb:0.02〜0.10%のいずれか一方もしくは両方を含有することを特徴とする請求項1に記載した高強度鋼板。
  3. 質量%でC:0.05〜0.25%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.01〜0.20%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%を含み、またはさらにTi:0.02〜0.22%、Nb:0.02〜0.10%のいずれか一方もしくは両方を含有することを特徴とする請求項1に記載した高強度鋼板。
  4. 引張り強さ(MPa)と伸び値(%)との積が18000(MPa・%)以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載した高強度鋼板。
  5. 質量%でC:0.05〜0.25%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.01〜1.50%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%を含み、またはさらにTi:0.02〜0.22%、Nb:0.02〜0.10%のいずれか一方もしくは両方を含有する鋼材を、
    複数スタンドを有する熱間圧延機によって熱間圧延し、Ar3以上で圧延を完了後、引続きAr3以上の温度から冷却を開始し、300℃以上、600℃以下の温度範囲で巻取り、
    そのまま、もしくは冷間圧延後、
    1) A1以上、(Ac3+20)℃以下の温度まで加熱し、当該温度に保持した後、
    2) A1〜(A1−100)℃の温度範囲まで10℃/sec以下の冷却速度で徐冷、
    3) その後400〜550℃まで60℃/sec以上の冷却速度で急冷、
    4) さらに250℃以下まで10〜30℃/secの冷却速度で冷却する
    ことを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
  6. 質量%でC:0.05〜0.25%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.01〜3.0%、Al:0.01〜0.20%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%を含み、またはさらにTi:0.02〜0.22%、Nb:0.02〜0.10%のいずれか一方もしくは両方を含有する鋼材を、
    複数スタンドを有する熱間圧延機によって熱間圧延し、Ar3以上で圧延を完了後、引続きAr3以上の温度から冷却を開始し、300℃以上、600℃以下の温度範囲で巻取り、
    そのまま、もしくは冷間圧延後、
    1) A1以上、(Ac3+20)℃以下の温度まで加熱し、当該温度に保持した後、
    2) A1〜(A1−100)℃の温度範囲まで10℃/sec以下の冷却速度で徐冷、
    3) その後400〜550℃まで60℃/sec以上の冷却速度で急冷、
    4) さらに250℃以下まで10〜30℃/secの冷却速度で冷却する
    ことを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
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