JP2009167250A - セルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃焼時のアッシュの発生が無く、しかも物性バランスおよび線膨張特性がともに優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)セルロース繊維と、(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体とを含む変性オレフィン系重合体組成物であって、組成物中の(B)成分の官能基量が、20〜1000μmol/gである変性オレフィン系重合体組成物。この変性オレフィン系重合体組成物と(C)オレフィン系重合体を含むオレフィン系重合体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。詳しくは、(A)セルロース繊維を(B)変性オレフィン系重合体に分散させた変性オレフィン系重合体組成物と、この該変性オレフィン系重合体組成物をマスターバッチとして(C)オレフィン系重合体で希釈してなるオレフィン系重合体組成物に関する。本発明は、特に、組成物中の(B)変性オレフィン系重合体中の官能基量を特定の範囲にすることにより低線膨張係数を示すセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
ポリオレフィンは安価であり、しかも、機械的物性、耐熱性、耐薬品性、耐水性などに優れていることから、広い分野で使用されている。中でも、ポリプロピレンは、自動車において、バンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダー等の外装部品およびインスツルメントパネル、グローブボックス、ドアライナー、ピラー等の内装部品等に利用されている。その一方で、ポリプロピレンは高い結晶性を有していることから、温度に対する寸法変化(線膨張係数)が非常に大きいことでも知られている。そして、この性質により、ポリプロピレン系材料を用いた部品、特にバンパー、インストルメントパネル等の大型部品においては、部品の合わせ目に隙間が生じたり、部品組み付け時の建て付け性が低下したりするなどの問題が生じていた。
そこで、上記問題点を解決するために、アスペクト比の大きいフィラーを多量に添加し、線膨張係数の低下或いは寸法安定性の向上を図る方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、フィラーとしてワラストナイトを5〜30重量%及び無機質補強材を5〜30重量%配合して線膨張係数を低下させる方法が開示されている。
また、特許文献2には、特定の構造を有するプロピレン・エチレンランダム共重合体を26〜50重量%含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体と無機充填材0.1〜30重量%とを組み合わせて、物性バランスと低線膨張特性とに優れた組成物を提供する方法が開示されている。
特開2001−220472号公報 特開2002−97337号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、ワラストナイト及び無機質補強材をそれぞれ5重量%以上もの多量に添加するため、樹脂のサーマルリサイクルに際し、多量のアッシュが発生するという問題点を有していた。
また、特許文献2に記載された方法では、低線膨張特性を充分に低下させるためには5重量%以上の無機充填材の添加が必要であった。従って、この方法においても、樹脂のサーマルリサイクルに際し、多量のアッシュが発生するという問題点があった。
このようなことから、燃焼してもアッシュの発生の無いフィラー添加で十分な寸法安定性(低線膨張係数)を有するポリプロピレン材料の開発が望まれていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、燃焼時のアッシュの発生が実質的に無く、しかも物性バランスおよび線膨張特性がともに優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供することを目的する。
本発明(請求項1)のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物は、(A)セルロース繊維と、(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体とを含むセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物であって、組成物中の(B)成分の官能基量が、20〜1000μmol/gであることを特徴とする。
請求項2のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物は、請求項1において、(A)セルロース繊維の含有量が95〜5重量%であり、(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の含有量が5〜95重量%である(ただし(A)成分と(B)成分との合計で100重量%とする。)であることを特徴とする。
請求項3のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物は、請求項1又は2において、(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体が、無水マレイン酸変性ポリオレフィンおよび/またはカチオン性基を含むポリオレフィンであることを特徴とする。
本発明(請求項4)のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物は、このような本発明のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物と(C)オレフィン系重合体を含むことを特徴とする。
請求項5のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物は、組成物中の(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の官能基量が0.2〜600μmol/gであることを特徴とする。
請求項6のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物は、(A)セルロース繊維の含有量が5〜95重量%であり、(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の含有量が1〜60重量%である(ただし(A)〜(C)成分の合計で100重量%とする。)ことを特徴とする。
請求項7のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物は、請求項1ないし6のいずれか1項において、線膨張係数が130ppm/K以下であることを特徴とする。
本発明によれば、(A)セルロース繊維と(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体とを、組成物中の官能基が所定量となるように配合することにより、セルロース繊維と変性オレフィン系重合体の官能基との相互作用で、両成分の均一分散性、分散安定性が高まり、この結果、セルロース繊維の配合効果が十分に発揮され、低線膨張係数のポリオレフィン系樹脂複合材料が提供される。
また、このセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物を(C)オレフィン系重合体に配合することにより、(C)オレフィン系重合体の物性を目的に応じて改良することができ、例えば、剛性向上、ガスバリア性向上、難燃性向上、成形収縮率低下、熱膨張率低下といった特性の改善により、その用途の拡大を図ることができる。
しかも、本発明で用いるセルロース繊維であれば、有機物であるため、燃焼時のアッシュの発生もなく、樹脂のサーマルリサイクルにも好適である。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
{変性オレフィン系重合体組成物}
本発明の第1の態様に係るセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物(以下、このセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物を「変性オレフィン系重合体組成物」と称す場合がある。)は、下記の(A),(B)成分を含み、組成物中の(B)成分の官能基量が、20〜1000μmol/gであることを特徴とする。
(A)セルロース繊維
(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体
このような本発明の変性オレフィン系重合体組成物は、(A)セルロース繊維と、(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体とを混合して得られるが、本発明の変性オレフィン系重合体組成物では、セルロース繊維が十分に分散されていることにより、その低線膨張性の機能が十分に発揮され、物性バランスにも優れたものとなる。これは、本発明における、(A)セルロース繊維と、(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体との組み合わせにより、セルロース繊維がオレフィン系樹脂中に十分に均一に分散すると共に分散した繊維の再凝集が起こりにくいためと考えられる。
[(A)セルロース繊維]
(A)成分であるセルロース繊維とは、主としてセルロースからなる繊維である。
<繊維径>
セルロース繊維の繊維径は細いことが好ましい。具体的には1500nm以上の繊維径のものを含んでいないことが好ましく、さらに好ましくは1000nm以上の繊維径のものを含んでいないことが好ましく、特に好ましくは500nm以上の繊維径のものを含んでいないことが好ましい。1500nm以上の繊維径のものを含んでいないものであれば、樹脂と複合化した場合、線膨張係数が低いものが得られる点において好ましい。
なお、セルロース繊維の繊維径はSEM観察により確認することができる。
SEMより観察されるセルロース繊維の繊維径は、平均で4〜1300nmであることが好ましい。セルロース繊維の平均繊維径が1300nmを超えると組成物中の分散性が悪くなり、線膨張係数等の特性改良の効果が期待できないので好ましくない。また、繊維径が4nm未満の繊維は実質的に製造できない。セルロース繊維の平均繊維径は好ましくは4〜1000nmであり、より好ましくは4〜400nmである。
<原料>
セルロース繊維の原料としては、針葉樹や広葉樹等の木質、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、コットンリンターやコットンリント等のコットン、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等が挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率になり好ましい。バクテリアセルロースは微細な繊維径のものが得やすい点で好ましい。また、コットンも微細な繊維径のものが得やすい点で好ましく、さらに原料が得やすい点で好ましい。さらには針葉樹や広葉樹等の木質も微細な繊維径のものが得られ、かつ地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源あることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、経済的な点から優位である。
<化学修飾>
本発明で用いるセルロース繊維は、化学修飾されていてもよい。化学修飾とは、セルロース中の水酸基が化学修飾剤と反応して化学修飾されているものである。
(種類)
化学修飾によってセルロースに導入させる官能基としては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの中では特にアセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜12のアシル基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
(修飾方法)
修飾方法としては、特に限定されるものではないが、セルロースと次に挙げるような化学修飾剤とを反応させる方法がある。この反応条件についても特に限定されるものではないが、必要に応じて溶媒、触媒等を用いたり、加熱、減圧等を行うこともできる。
化学修飾剤の種類としては、酸、酸無水物、アルコール、ハロゲン化試薬、イソシアナート、アルコキシシラン、オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルよりなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
酸としては、例えば酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロパン酸、ブタン酸、2−ブタン酸、ペンタン酸等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水2-ブタン酸、無水ペンタン酸等が挙げられる。
アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
ハロゲン化試薬としては、例えばアセチルハライド、アクリロイルハライド、メタクロイルハライド、プロパノイルハライド、ブタノイルハライド、2−ブタノイルハライド、ペンタノイルハライド、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライドが挙げられる。
イソシアナートとしては、例えばメチルイソシアナート、エチルイソシアナート、プロピルイソシアナート等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えばメトキシシラン、エトキシシラン等が挙げられる。
オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルとしては、例えばエチルオキシラン、エチルオキセタンが挙げられる。
これらの中では特に無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライドが好ましい。
これらの化学修飾剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
(化学修飾率)
ここでいう化学修飾率とは、セルロース中の全水酸基のうちの化学修飾されたものの割合を示し、化学修飾率は下記の滴定法によって測定することができる。
〈測定方法〉
セルロース繊維0.5gを精秤しこれにメタノール6ml、蒸留水2mlを添加する。これを60〜70℃で30分攪拌した後、0.05N水酸化ナトリウム水溶液10mlを添加する。これを60〜70℃で15分攪拌しさらに室温で一日攪拌する。ここにフェノールフタレインを用いて0.02N塩酸水溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.02N塩酸水溶液の量Z(ml)から、化学修飾により導入された置換基のモル数Qは、下記式で求められる。
Q(mol)=0.05(N)×10(ml)/1000
−0.02(N)×Z(ml)/1000
この置換基のモル数Qと、化学修飾率X(mol%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C10=(162.14),繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3,OHの分子量=17)。なお、以下において、Tは置換基の分子量である。
Figure 2009167250
これを解いていくと、以下の通りである。
Figure 2009167250
本発明で用いるセルロース繊維の化学修飾率は、セルロースの全水酸基に対して、通常65mol%以下であることが好ましく、特に50mol%以下であることが好ましく、40mol%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは35mol%以下である。化学修飾率が高すぎると、セルロース構造が破壊され結晶性が低下するため、得られる複合材料の線膨張係数が大きくなってしまうという問題点があり好ましくない。
<セルロース繊維の製造方法>
本発明で用いるセルロース繊維は、前述の好適な繊維径を満たすものであればその製造方法は特に限定されるものではない。
このようなセルロース繊維の製造方法について以下に説明する。
バクテリアセルロースをセルロース原料とする場合には、セルロースを産生するバクテリアを培養することによりセルロース繊維を得ることができる。この産生物を培地から取り出し、それを水洗、またはアルカリ処理などしてバクテリアを除去することにより、バクテリアを含まない含水バクテリアセルロースを得ることができる。バクテリアは微細なセルロースを産生するので微細化処理を行うことなく、そのまま用いることができる。
針葉樹や広葉樹等の木質、コットンリンターやコットンリント等のコットンは精製した後、微細化処理を行い微細化したセルロースを得る。また、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等も微細化処理を行い微細化したセルロースを得る。
セルロースを微細化する分散機としてはブレンダータイプの分散機や高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等を用いることが好ましい。特に超高圧ホモジナイザーはセルロースを均一に微細化するのに有効である。
微細化を行う際のセルロース分散液のセルロース濃度は0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上であることが好ましい。セルロース濃度が低すぎると後工程での処理効率が悪化するおそれがある。また、セルロース濃度は10重量%以下、好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下であることが好ましい。セルロース濃度が高すぎると粘度が高くなりすぎたり、均一な微細セルロースが得られなかったりするので好ましくない。
セルロース繊維の化学修飾は、通常の方法をとることができる。すなわち、常法に従って、セルロース繊維と化学修飾剤とを反応させることによって化学修飾を行うことができる。この際、必要に応じて溶媒や触媒を用いたり、加熱、減圧等を行ってもよい。触媒としてはピリジンやトリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性触媒や、酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。
温度条件としては、高すぎるとセルロースの重合度の低下等が懸念され、低すぎると反応速度が低下することから40〜130℃が好ましい。反応時間は化学修飾剤や化学修飾率にもよるが数分から数十時間である。
このようにして化学修飾を行った後は、反応を終結させるために水で十分に洗浄することが好ましい。未反応の化学修飾剤が残留していると、樹脂と複合化する際に問題になるおそれがあるので好ましくない。
[(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体]
(B)成分である官能基を有する変性オレフィン系重合体は、オレフィン系重合体の主鎖中に官能基を有するものであってもよいし、オレフィン系重合体の主鎖に側鎖として、直接に或いは2価基を介して結合した官能基を有するものであってもよい。中でも、オレフィン系重合体の主鎖に側鎖として2価基を介して官能基を有するものが特に好ましい。
(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性オレフィン系重合体の分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)で測定し、各々のポリオレフィンの検量線で換算した重量平均分子量Mwで2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることが特に好ましく、又、1,000,000以下であることが好ましく、500,000以下であることがより好ましく、200,000以下であることが特に好ましい。Mwが下限値より高いほどべたつき度合が小さくなり、また(C)オレフィン系重合体を含む組成物とする際には(C)オレフィン系重合体との接着性が増す傾向があり、また上限値より低いほど溶融粘度が低くなり、混練が容易となる傾向がある。なおGPC測定は、オルトジクロロベンゼンなどを溶媒として、市販の装置を用いて従来公知の方法で行われる。
変性オレフィン系重合体の、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で表される分子量分布Mw/Mnは、特に限定されないが、通常1以上であって、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。
官能基を有する変性オレフィン系重合体は、前駆体としてのオレフィン系重合体に官能基を付与することにより得られる。或いは、後述の如く、α−オレフィンと官能基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させることにより製造することもできる。
(1)前駆体としてのオレフィン系重合体
前駆体としてのオレフィン系重合体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体;それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜18程度の他のα−オレフィン等との二元或いは三元の共重合体;等が挙げられる。
より具体的には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等のエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂;1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等の1−ブテン系樹脂;4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン−エチレン共重合体等の4−メチル−1−ペンテン系樹脂等の樹脂などが挙げられる。
また、α−オレフィンと、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,4−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の非共役ジエンとの二元或いは三元の共重合体等が挙げられる。三元の共重合体等としては、例えば、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体等のオレフィン系ゴム等が挙げられる。
これらのオレフィン系重合体は2種以上が併用されていてもよい。
これらの中でも、エチレン系樹脂およびプロピレン系樹脂が好ましく、プロピレン系樹脂がより好ましく、エチレン−プロピレン共重合体およびプロピレン単独重合体が更に好ましく、プロピレン単独重合体が最も好ましい。
(2)官能基
変性オレフィン系重合体の官能基としては、アニオンまたはカチオンを形成し得るか、分極性の基であることが好ましい。アニオンまたはカチオンを形成し得るか、分極性の基は、セルロース繊維の官能基との相互作用し、セルロース繊維とオレフィン系樹脂とを接着させる。アニオンを形成し得る基としては、酸素原子含有基、硫黄原子含有基、燐原子含有基、ハロゲン原子含有基等が挙げられる。カチオンを形成し得る基としては、窒素原子含有基等が挙げられる。
官能基として、具体的には、例えば、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、水酸基、エポキシ基、アミド基、アンモニウム基、ニトリル基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基、アセチル基、チオール基、エーテル基、チオエーテル基、スルホン基、ホスホン基、ニトロ基、ウレタン基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの官能基は2種以上を有していてもよい。中でも、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、水酸基、アンモニウム基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基が好ましく、カルボン酸無水物基、アンモニウム基がより好ましい。
オレフィン系重合体の主鎖に側鎖として2価基を介してこれらの官能基を有する場合における2価基としては、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜20程度の直鎖状、分岐状、或いは環状の脂肪族炭化水素基、フェニレン基、ナフチレン基等の芳香族炭化水素基、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、トリメチレンオキシ基、テトラメチレンオキシ基等の炭素数1〜20程度のアルキレンオキシ基等が挙げられる。
変性オレフィン系重合体の官能基の量としては、オレフィン系重合体の一分子当たりの平均当量として、好ましくは0.1当量以上、より好ましくは0.2当量以上、特に好ましくは0.4当量以上であって、好ましくは10当量以下、より好ましくは5当量以下、特に好ましくは3当量以下である。官能基の量が前記範囲未満では、変性オレフィン系重合体とセルロース繊維との相互作用が弱くなる傾向となり、一方、前記範囲超過では、得られる変性オレフィン系重合体組成物をマスターバッチとしてオレフィン系重合体で希釈してオレフィン系重合体組成物として用いるにおいて、セルロース繊維の分散を阻害する傾向となる。
(3)官能基を有する変性オレフィン系重合体の製造方法
(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の製造方法としては、以下の(i)〜(v)の方法等、慣用のいずれの方法も採り得る。
(i)オレフィン系重合体に、官能基を有するエチレン性不飽和単量体をグラフト反応させる方法
(ii)α−オレフィンと、必要に応じて保護基で保護された官能基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させた後、保護基を脱離させる方法
(iii)オレフィン系重合体に3官能以上の多官能単量体をラジカル重合等で反応させ、多官能単量体によりポリオレフィン鎖同士を結合させる方法等により、オレフィン系重合体の主鎖中に官能基を有せしめる方法
(iv)官能基含有化合物を反応させる方法等により、オレフィン系重合体の主鎖に側鎖として官能基を有せしめる方法
(v)オレフィン系重合体を分子状酸素の存在下、加熱して酸化させ、オレフィン系重合体の末端にカルボニルを生成させ、該カルボニルを不活性雰囲気下で還元剤により還元して水酸基にする方法
以下、具体例として(i)および(ii)の方法を詳細に説明する。
(i) オレフィン系重合体に、官能基を有するエチレン性不飽和単量体をグラフト反応させる方法
オレフィン系重合体への官能基を有するエチレン性不飽和単量体のグラフト反応は、例えば、ラジカル発生剤の存在下に、オレフィン系重合体の溶融状態で行う溶融グラフト法、および、有機溶媒による溶液状態で行う溶液グラフト法等の慣用の方法で行うことができる。
(i−1)官能基を有するエチレン性不飽和単量体
オレフィン系重合体にグラフト反応させる官能基を有するエチレン性不飽和単量体としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、水酸基、エポキシ基、アミド基、ニトリル基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基、アセチル基等を有するエチレン性不飽和単量体を用いることができる。
官能基としてのカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の例としては、(メタ)アクリル酸〔尚、ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」または/および「メタクリル」を意味するものとする。「(メタ)アクリレート」等についても同様である。〕、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
カルボン酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
カルボン酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、プロピルグリシジルマレエート、ブチルグリシジルマレエート、プロピルグリシジルフマレート、ブチルグリシジルフマレート等が挙げられる。
アミド基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ニトリル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、アミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
イミド基を有するエチレン性不飽和単量体としては、マレイン酸イミド等が挙げられる。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、ビニルイソシアネート、イソプロペニルイソシアネート等が挙げられる。
アセチル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、酢酸ビニル等が、それぞれ挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(i−2)ラジカル発生剤
ラジカル発生剤としては、具体的には、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類;3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物類;または、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジハライド、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、アゾジ−t−ブタン等のアゾ化合物類等が挙げられる。
これらのラジカル発生剤は2種以上が併用されてもよい。
(i−3)反応方法
グラフト反応は、溶融法または溶液法により行うことができる。
溶融法において、グラフト反応は、一軸または二軸押出機等の混練機、横型二軸多円板装置等の横型二軸攪拌機、ダブルヘリカルリボン攪拌機等の縦型攪拌機等を用いて行うことができる。
この場合、前記オレフィン系重合体と、該オレフィン系重合体100重量部に対して、前記官能基を有するエチレン性不飽和単量体を通常0.005重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、且つ、通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下と、前記ラジカル発生剤を通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、且つ、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下とを反応させる。
反応は、通常100℃以上、且つ通常300℃以下、好ましくは200℃以下の温度下で前記オレフィン系重合体を溶融させて、通常0.5〜10分間程度行う。
溶液法においては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒に、前記オレフィン系重合体と、該オレフィン系重合体100重量部に対して前記官能基を有するエチレン性不飽和単量体を通常0.1重量部以上、好ましくは3重量部以上、且つ通常100重量部以下、好ましくは50重量部以下と、前記ラジカル発生剤を通常0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上、且つ通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下とを加えて行う。
反応は、通常80〜140℃程度の温度で前記オレフィン系重合体を溶解させて、通常0.1〜8時間程度行う。
なお、反応系の濃度(溶液中のオレフィン系重合体、エチレン性不飽和単量体及びラジカル発生剤の合計濃度)は、反応効率及び取り扱い性の面から5〜60重量%程度とすることが好ましい。
(ii)α−オレフィンと、必要に応じて保護基で保護された官能基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させた後、保護基を脱離させる方法
オレフィン系重合体と必要に応じて保護基で保護された官能基を有するエチレン性不飽和単量体との共重合は、触媒系の存在下に、溶液重合、スラリー重合またはバルク重合で行うことができる。
(ii−1)α−オレフィン
共重合に供するα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンが好ましく挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ii−2)官能基を有するエチレン性不飽和単量体
官能基を有するエチレン性不飽和単量体としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、水酸基、エポキシ基、アミド基、ニトリル基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基、アセチル基等を有するエチレン性不飽和単量体を用いることができる。
これらの官能基が後述の触媒系を失活させることを防ぐため、官能基は必要に応じてトリアルキルシリル基、ジアルキルアルミニウム基等を用いて保護し、官能基と触媒との反応を防止する。
官能基を有するエチレン性不飽和単量体の例を挙げると、官能基としてのカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸〔なお、ここで「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は/及び「メタクリル」を意味するものとする。〕、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
カルボン酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
カルボン酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、プロピルグリシジルフマレート、ブチルグリシジルマレエート、プロピルグリシジルフマレート、ブチルグリシジルフマレート等が挙げられる。
アミド基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ニトリル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、アミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
イミド基を有するエチレン性不飽和単量体としては、マレイン酸イミド等が挙げられる。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、ビニルイソシアネート、イソプロペニルイソシアネート等が挙げられる。
アセチル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、酢酸ビニル等が、それぞれ挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ii−2)触媒系
α−オレフィンと前記官能基を有するエチレン性不飽和単量体の共重合は、例えば以下の(x),(y)の触媒系を用いて行うことができる。
(x)次の成分(a),(b)および(c)と任意に成分(d)を含むα−オレフィン
重合用触媒。
成分(a):メタロセン化合物
成分(b):有機アルミニウムオキシ化合物、成分(a)と反応して成分(a)を
カチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸から
なる群より選ばれる化合物
成分(c):連鎖移動剤
成分(d):微粒子担体
(y)次の成分(a),(c)および(e)と任意に成分(f)を含むことを特徴とする
α−オレフィン重合用触媒。
成分(a):メタロセン化合物
成分(c):連鎖移動剤
成分(e):珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物または無機珪酸塩からなる群よ
り選ばれる化合物
成分(f):有機アルミニウム化合物
上記(x)および(y)の触媒系において、(a)メタロセン化合物は公知のものを、適宜選択して使うことができる。
(c)連鎖移動剤としては、特に限定されないが、水素が好適に使用される。
(d)微粒子担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナなどの公知のものが使用できる。
(ii−3)反応方法
α−オレフィンと官能基を有するエチレン性不飽和単量体との共重合反応の方式は特に限定されないが、溶液、スラリーおよびバルク重合が好ましい。
溶液又はスラリー重合時の溶媒の具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンのような炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;n−ブチルアセテート、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシドのような極性溶媒類等を挙げることができる。これらのうち、炭化水素類が好ましく、特に芳香族炭化水素類が好ましい。また、ここで記載した溶媒の混合溶媒として使用してもよい。
前述の触媒濃度は特に限定されないが、例えば反応方式が溶液重合の場合、メタロセン化合物濃度が、反応液1Lに対して、通常100g以下であって、50g以下が好ましく、25g以下が最も好ましい。通常0.01mg以上であって、0.05mg以上が好ましく、0.1mg以上が最も好ましい。
重合温度、重合圧力および重合時間に特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。
すなわち、重合温度は通常−20℃以上、好ましくは0℃以上であって、通常150℃以下、好ましくは100℃以下である。
また、重合圧力は、通常0.01MPa以上、好ましくは0.05MPa以上、最も好ましくは0.1MPa以上であって、通常100MPa以下、好ましくは20MPa以下、最も好ましくは5MPa以下である。
重合時間は、通常0.1時間以上、好ましくは0.2時間以上、最も好ましくは0.3時間以上であって、通常30時間以下、好ましくは25時間以下、より好ましくは20時間以下、最も好ましくは15時間以下である。
[官能基量]
本発明の変性オレフィン系重合体組成物中における(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の官能基量は2μmol/g以上であり、10μmol/g以上が好ましく、50μmol/g以上がより好ましい。また、1000μmol/g以下であり、500μmol/g以下が好ましく、300μmol/g以下がより好ましい。組成物中の官能基量が上記下限値未満であると、セルロース繊維と官能基を有する変性オレフィン系重合体との接着が不十分となり、組成物物性の向上が大きくない。また、組成物中の官能基量が上記上限値を超えると、該変性オレフィン系重合体組成物をマスターバッチとして用いる際、通常のポリオレフィンとの接着性が悪くなり、好ましくない。
なお、組成物中の官能基量の定量方法は特に限定されないが、通常、IR法、NMR法等により求めることができる。
[各成分の割合]
本発明の変性オレフィン系重合体組成物における(A)セルロース繊維と(B)官能基を有するエチレン性不飽和単量体の含有割合は、両者の合計量に対して、前記セルロース繊維が1重量%以上であることが好ましく、5重量%以上あることがより好ましく、10重量%以上であることが特に好ましい。また、95重量%以下であることが好ましく、85重量%以下であることがより好ましく、75重量%以下であることが特に好ましい。前記変性オレフィン系重合体は99重量%以下であることが好ましく、95重量%以下であることがより好ましく、90重量%以下であることが特に好ましい。また、5重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、25重量%以上であることが特に好ましい。
前記セルロース繊維の含有割合が前記下限値未満で前記変性オレフィン系重合体が前記上限値超過では、セルロース繊維を配合することによる線膨張係数の低減等の特性の改善効果が不足し、また、マスターバッチとしての機能を失うこととなり、一方、前記セルロース繊維が前記上限値超過で前記変性オレフィン系重合体が前記下限値未満では、変性オレフィン系重合体組成物中にセルロース繊維が均質且つ微細に分散した状態が得難くなる傾向となる。
[その他の成分]
本発明の変性オレフィン系重合体組成物には、必要に応じて、上記(A),(B)成分以外の他の成分が含まれていてもよい。
本発明の変性オレフィン系重合体組成物に含まれていてもよい他の成分としては、ポリポリオレフィン系樹脂組成物に通常用いられる各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、充填材等の添加剤が挙げられ、これらの成分の含有割合は、通常、前記(A),(B)成分の合計に対して60重量%以下である。
なお、燃焼時のアッシュの発生をなくすという目的から、無機充填材や無機繊維については可能な限り含有量を少なくすることが望ましい。
[線膨張係数]
本発明の変性オレフィン系重合体組成物は、線膨張係数が130ppm/K以下の低線膨張係数の組成物であることが好ましい。この線膨張係数はより好ましくは125ppm/K以下である。ただし、線膨張係数は通常10ppm/K以上である。
[変性オレフィン系重合体組成物の製造方法]
本発明の変性オレフィン系重合体組成物は、(A)セルロース繊維と(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体と、必要に応じて添加される前述の添加剤とを混合することにより製造される。
その混合の方法は、結果的にセルロース繊維が官能基を有する変性オレフィン系重合体に均一に分散する方法であれば、特に限定されない。
セルロース繊維が十分に分散するためには、官能基を有する変性オレフィン系重合体とセルロース繊維とが接触した状態で、官能基を有する変性オレフィン系重合体が溶融または溶解状態を経るのが好ましい。
具体的には、セルロース繊維と官能基を有する変性オレフィン系重合体とを、(I)ドライブレンドした後に溶融する方法、(II)溶融混練する方法、等が好ましく挙げられる。他にも、溶液中で混合した後、溶媒を除去する方法などが考えられる。
(I)ドライブレンドした後に溶融する方法
両者を、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等により均一に混合する。その後、該混合物に必要に応じて用いられる酸化防止剤などの添加剤を添加し、溶融状態を経て組成物とする。具体的には、例えば、該混合物を単に溶融するか、または、一軸または二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等により溶融混練する。その際の条件は、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、且つ好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下の温度で、好ましくは0.5〜30分程度の時間が採られる。
(II)溶融混練する方法
両者を、必要に応じて用いられる酸化防止剤などの添加剤等と共に溶融混合する。例えば、一軸または二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等により溶融混練する。溶融混練の条件は、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、且つ好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下の温度で、好ましくは0.5〜30分程度の時間が採られる。
{オレフィン系重合体組成物}
本発明の第2の態様に係るセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物(以下、このセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物を「オレフィン系重合体組成物」と称す場合がある。)は、上述の本発明の変性オレフィン系重合体組成物に(C)オレフィン系重合体を配合してなるものである。
即ち、本発明の変性オレフィン系重合体組成物は、これをそのまま成形材料として用いることもできるが、この変性オレフィン系重合体組成物をマスターバッチとして、(C)オレフィン系重合体で希釈してオレフィン系重合体組成物となし、それを成形材料として用いるのが好ましい。
これにより、希釈剤である(C)オレフィン系重合体の物性を改良することができる。具体的には、剛性向上、ガスバリア性向上、難燃性向上、成型収縮率低下、および熱膨張率の低下等を図ることができ、例えば、本発明の変性オレフィン系重合体組成物を含むことにより、本発明のオレフィン系重合体組成物の線膨張係数を130ppm/K以下とすることができる。
[(C)オレフィン系重合体]
本発明のオレフィン系重合体組成物に用いる(C)オレフィン系重合体としては、前記(B)変性オレフィン系重合体の前駆体として挙げたオレフィン系重合体と同様のものが挙げられる。
このオレフィン系重合体としては、分子量が重量平均分子量Mwで2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることが特に好ましい。また、1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下であることがより好ましく、600,000以下であることが特に好ましい。Mwが上記下限よりも小さいと脆くなる傾向にあり、上記上限よりも大きいと成型が困難になる傾向がある。また、分子量分布Mw/Mnは、特に限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上であって、通常10以下、好ましくは7以下、より好ましくは5以下である。
(C)オレフィン系重合体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[官能基量]
本発明のオレフィン系重合体組成物中の(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の官能基量は、好ましくは0.2μmol/g以上であり、より好ましくは1μmol/g以上であり、特に好ましくは10μmol/g以上である。また、好ましくは600μmol/g以下であり、より好ましくは550μmol/g以下であり、特に好ましくは500μmol/gである。
官能基量が上記下限値未満であっても上記上限値超過であっても、セルロース繊維の均一分散性が損なわれる傾向にある。
[各成分の割合]
本発明の変性オレフィン系重合体組成物に更に(C)オレフィン系重合体を含む本発明のオレフィン系重合体組成物における各成分の含有割合としては、(A)〜(C)成分の合計に対するセルロース繊維の含有割合が1重量%以上となるようにすることが好ましく、5重量%以上となるようにすることがより好ましく、10重量%以上となるようにすることが特に好ましい。また、80重量%以下となるようにすることが好ましく、70重量%以下となるようにすることがより好ましく、60重量%以下となるようにすることが特に好ましい。セルロースの含有割合が上記下限値未満では、オレフィン系重合体組成物としてセルロース繊維配合による諸物性の改善という所期の目的を十分に発現し得ない傾向となり、一方、上記上限値超過では、オレフィン系重合体組成物としての成形加工性が悪化する傾向となる。
また、官能基を有する変性オレフィン系重合体の含有割合が1重量%以上、特に5重量%以上、とりわけ10重量%以上であることが好ましく、また、80重量%以下、特に70重量%以下、とりわけ60重量%以下であることが好ましい。官能基を有する変性オレフィン系重合体の含有割合が上記下限値未満では変性オレフィン系重合体によるセルロース繊維の分散安定性を十分に確保し得ず、上記上限値超過ではコスト的に好ましくない。
[その他の成分]
本発明のオレフィン系重合体組成物には、必要に応じて、上記(A)〜(C)成分以外の他の成分が含まれていてもよい。
本発明のオレフィン系重合体組成物に含まれていてもよい他の成分としては、ポリオレフィン系樹脂組成物に通常用いられる各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、充填材等の添加剤が挙げられ、これらの成分の含有割合は、通常、前記(A)〜(C)成分の合計に対して60重量%以下である。
なお、燃焼時のアッシュの発生をなくすという目的から、無機充填材や無機繊維については可能な限り含量を少なくすることが望ましい。
[線膨張係数]
本発明のオレフィン系重合体組成物は、線膨張係数が130ppm/K以下の低線膨張係数の組成物であることが好ましい。この線膨張係数はより好ましくは125ppm/K以下である。ただし、線膨張係数は通常10ppm/K以上である。
[オレフィン系重合体組成物の製造方法]
本発明のオレフィン系重合体組成物は、(A)〜(C)成分と、必要に応じて添加される前述の添加剤を混合することにより製造することもできるが、好ましくは、予め調製された本発明のオレフィン系重合体組成物(即ち、(A)成分と(B)成分と必要に応じて添加される前述の添加剤との混合物)に、(C)オレフィン系重合体と、必要に応じて添加される前述の添加剤とを混合して製造することが、セルロース繊維の均一分散性及び分散安定性の確保の上で望ましい。
この場合、本発明のオレフィン系重合体組成物は、本発明の変性オレフィン系重合体組成物とオレフィン系重合体とを、必要に応じて用いられる添加剤等と共に、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等により均一に混合した後、一軸または二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等により溶融混練することにより製造される。
その際の混練条件としては、好ましくは100℃程度以上、より好ましくは150℃程度以上、かつ300℃程度以下、より好ましくは250℃程度以下の温度で、好ましくは0.5〜30分程度の時間が採られる。
[成形方法]
本発明の変性オレフィン系重合体組成物及びオレフィン系重合体組成物の成形方法には、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形方法と同様の方法をいずれも適用することができる。具体的には、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等を採ることができる。
{用途}
本発明の変性オレフィン系重合体組成物及びオレフィン系重合体組成物は、その低線膨張係数、高弾性、高強度等の特性を生かして構造材料として用いることができる。特に、自動車内装材、外板、バンパー等の自動車材料や家庭電気製品の筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他工業用資材等として好適に用いられる。
以下、製造例、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
尚、本発明のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物の線膨張係数の測定方法、ならびにポリオレフィンの物性の測定方法は以下の通りである。
<物性測定方法および評価方法>
(1)グラフト率
重合体200mgとクロロホルム4800mgを10mlのサンプル瓶に入れて50℃で30分加熱し完全に溶解させた。材質NaCl、光路長0.5mmの液体セルにクロロホルムを入れ、バックグラウンドとした。次に、溶解した重合体溶液を液体セルにいれて、日本分光(株)製FT−IR460plusを用い、積算回数32回にて赤外線吸収スペクトルを測定した。無水マレイン酸のグラフト率は、無水マレイン酸をクロロホルムに溶解した溶液を測定し検量線を作成したものを用いて計算した。そしてカルボニル基の吸収ピーク(1780cm−1付近の極大ピーク、1750〜1813cm−1)の面積から、別途作成した検量線に基づき、重合体中の酸成分含有量を算出し、これをグラフト率(重量%)とした。
(2)組成物中の(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の官能基量
組成物中の(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の官能基量は、(B)成分中の官能基濃度をIR法にて求め、これと、組成物中の(B)成分含量の積により算出した。
(3)線膨張係数
組成物を180℃で10mm×4mm×4mmに射出成形した成形品を、100℃の熱風オーブンで1時間アニールした。これを、島津製作所製TMA−60を用いて圧縮モードで、3mmφの検出棒を用いて、荷重0.1Nで、室温から87℃まで2℃/minで昇温した際の25℃から80℃の測定値から線膨張係数を求めた。
[製造例1:セルロース繊維の製造−1]
木粉((株)宮下木材、米松100)を炭酸ナトリウム2重量%水溶液で80℃にて6時間脱脂した。脱塩水で洗浄した後、亜塩素酸ナトリウムを用いて酢酸酸性下80℃にて5.5時間脱リグニンした。脱塩水洗浄した後にさらに水酸化カリウム5重量%水溶液に16時間浸漬して脱ヘミセルロースした。これを脱塩水洗浄して得られた精製木粉5gに無水酢酸200mlを添加し、120℃にて7時間攪拌した。これを脱塩水で洗浄し、約1重量%の水分散液とし、東湘電機UCD−250を用いて20KHz300Wでトータル75分超音波処理した。
このセルロース繊維水分散液を凍結乾燥してセルロース繊維を分取した。
[製造例2:セルロース繊維の製造−2]
製造例1と同様にして精製木粉の無水酢酸による処理及び脱塩水洗浄を行い、その後、約1重量%の水分散液とする代りに、約0.5重量%のトルエン分散液とし、このトルエン分散液に超音波処理を行うこと以外は同様にしてセルロース繊維のトルエン分散液を得た。
[製造例3:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造]
メルトフローレート(MFR)が10g/10分(230℃/21.18Nで測定)であるアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー100重量部、無水マレイン酸19重量部、および有機溶媒としてモノクロロベンゼン720重量部を、攪拌装置、温度計、還流冷却管および滴下ロートを備えたガラス製フラスコ中に仕込み、窒素雰囲気下で130℃にて溶解させた。ここに有機過酸化物であるジクミルパーオキサイド10重量部を、滴下ロートから同温度で添加し、4時間同温度で攪拌を続けて反応させた。反応終了後、反応系を室温付近まで冷却した後、予め用意した10℃のアセトン中に加えることでポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別し、更に、同様にアセトンで沈殿・濾別を繰り返してポリマーを洗浄した。洗浄後のポリマーを減圧乾燥して白色粉末状のポリマーを得た。このようにして得た無水マレイン酸変性ポリプロピレンのグラフト量は3.3重量%、メルトフローレート(MFR)は950g/10分であった。
[実施例1]
製造例3で得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン3.6gと製造例1で得られたセルロース繊維0.4gをイルガノックス1010(チバスペシャルティーケミカルズ社製)18mg、イルガフォス168(チバスペシャルティーケミカルズ社製)18mgとともに、東洋精機製作所製ラボプラストミルμを用いて、190℃で4分間混練した。その後、得られた変性オレフィン系重合体組成物を180℃で射出成形し、試験片を得た。得られた試験片の線膨張係数を測定した。結果を表1に示した。
[実施例2]
製造例2で得られたセルロース繊維のトルエン分散液を加熱しながらセルロース/無水マレイン酸変性ポリプロピレン=10/90(重量比)になるように、製造例3で得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレンを添加して無水マレイン酸変性ポリプロピレンを溶解させ、エバポレーターを用いてトルエンを除き、その後105℃で5時間真空乾燥することによりセルロース/無水マレイン酸変性ポリプロピレンの混合体を得た。その後、実施例1と同様にして試験片を作製し、線膨張係数を測定した。結果を表1に示した。
[比較例1]
製造例2と同様にして得た無水マレイン酸変性ポリプロピレン1gをイルガノックス1010 5mg、イルガフォス168 5mgとともに、ラボプラストミルμを用いて190℃で4分間混練し、その後射出成形にて試験片を作成した。得られた試験片の線膨張係数を測定した。結果を表1に示した。
表1には、各実施例及び比較例で得られた組成物のセルロース繊維含有量、変性オレフィン系重合体含有量及び組成物中の官能基量を併記した。
Figure 2009167250
実施例1、2及び比較例1の結果からわかるように、セルロース繊維と、官能基を有する変性ポリプロピレン系重合体を含む組成物において、一定の官能基を含むものが低い線膨張係数を示すことが明らかになった。また、セルロース繊維は、有機物であるため、サーマルリサイクルのために燃焼しても、実質的にアッシュは発生しない。

Claims (7)

  1. (A)セルロース繊維と、(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体とを含むセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物であって、組成物中の(B)成分の官能基量が、20〜1000μmol/gであることを特徴とするセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. (A)セルロース繊維の含有量が95〜5重量%であり、(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の含有量が5〜95重量%である(ただし(A)成分と(B)成分との合計で100重量%とする。)請求項1に記載のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. (B)官能基を有する変性オレフィン系重合体が、無水マレイン酸変性ポリオレフィンおよび/またはカチオン性基を含むポリオレフィンである請求項1または2に記載のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物と(C)オレフィン系重合体を含むセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
  5. 組成物中の(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の官能基量が0.2〜600μmol/gである請求項4に記載のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
  6. (A)セルロース繊維の含有量が5〜95重量%であり、(B)官能基を有する変性オレフィン系重合体の含有量が1〜60重量%である(ただし(A)〜(C)成分の合計で100重量%とする。)請求項4または5に記載のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
  7. 線膨張係数が130ppm/K以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセルロース繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
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