JP2009166252A - フレキシブル基材並びにその製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅スパッタ膜の上にポリイミドが付着してしまうことによるめっき欠落を防止し、かつ耐熱ピール強度の低下を防止できるフレキシブル基材並びにその製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】プラスチックフィルム11の表面に金属膜12、13を真空成膜し、かつ裏面における上記金属膜の成膜部対応部分の全面にカーボン膜14を形成したフレキシブル基材1とした。帯状のプラスチックフィルム11の表面にスパッタリング装置によって金属膜12、13を真空成膜した後に、プラスチックフィルム11を、裏面における上記金属膜の成膜部対応部分の全面に形成したカーボン膜14と上記表面の金属膜12、13とを重ねるようにロール状に巻き取るフレキシブル基材の製造方法とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、特に、携帯電話やディスプレイ等の銅配線が形成されたプリント配線板として利用される帯状のフレキシブル基材並びにその製造方法及び製造装置に関するものである。
このフレキシブル基材としては、特許文献1に示すように、ポリイミドフィルムにニッケルおよびクロムを主成分とするニッケルクロム合金スパッタ膜と、このニッケルクロム合金スパッタ膜の上に銅スパッタ膜とが成膜されたものが知られている。
そして、このフレキシブル基材の銅スパッタ膜の上に、銅めっき層を積層して、これらのニッケルクロム合金スパッタ膜、銅スパッタ膜や銅めっき層をパターニングすることにより銅配線が形成された上記プリント配線板が得られる。
ところで、このようなフレキシブル基材は、銅スパッタ膜のポリイミドフィルムに対する密着力が低いことから、両者の間にニッケルクロム合金スパッタ膜を成膜することによって、このニッケルクロム合金スパッタ膜が密着力を発揮して、優れた剥離強度を備えている。そして、例えば、帯状のポリイミドフィルムを、搬送路に沿ってニッケルクロム合金のターゲットまたは、ニッケルターゲットおよびクロムターゲットと、その下流側に銅ターゲットとが配置されているスパッタ装置内に連続的に搬入させて、ポリイミドフィルム上にニッケルクロム合金スパッタ膜と銅スパッタ膜とを順次成膜することにより得られるものである。
さらに、これらのスパッタ膜がポリイミドフィルムに成膜されたフレキシブル基材をロール状に巻き取った巻きロールを、搬出して、電解銅めっき槽を備えためっき装置に設置することにより、巻きロールから巻き出したポリイミドフィルムの銅スパッタ膜上に電解銅めっき層を形成することにより、上記銅メッキ層を積層したフレキシブル基材が得られる。
特開2004−303863号公報
しかしながら、この電解銅めっき層が積層されたフレキシブル基材は、所望膜厚の銅めっき層が形成されないめっき欠落による凹部を有することがある。
そこで、このフレキシブル基材の凹部における銅スパッタ膜の表面成分について分析したところ、ポリイミドが付着しており、このポリイミドは、ポリイミドフィルムをロール状に巻き取る際に、内側のフィルムの表面に形成された銅スパッタ膜が真空成膜された直後において活性化状態であるため、この銅スパッタ膜の上に外側のポリイミドフィルムの裏面が重なって付着したものであると推測される。
そして、この銅スパッタ膜の表面にポリイミドが付着したフレキシブル基材は、電解銅めっき層を形成する際に、このポリイミドによって銅スパッタ膜に通ずる電流が遮断されてしまうため、このフレキシブル基材には、上記めっき欠落による凹部が形成されてしまう。
さらに、この銅めっき層が積層されたフレキシブル基材は、加熱すると、外部雰囲気における水蒸気中の酸素等がポリイミドフィルムやニッケルクロム合金膜を通じて銅スパッタ膜に向けて拡散してしまうことにより、この銅スパッタ膜が酸化してしまうため、加熱後の耐熱ピール強度が低下してしまうという問題もあった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、銅スパッタ膜の上にポリイミドが付着してしまうことによるめっき欠落を防止し、かつ耐熱ピール強度の低下を防止できるフレキシブル基材並びにその製造方法及び製造装置を提供することを課題とするものである。
すなわち、請求項1に記載の発明に係るフレキシブル基材は、プラスチックフィルムの表面に金属膜が真空成膜され、かつ上記プラスチックフィルムの裏面における上記金属膜の成膜部対応部分の全面にカーボン膜が形成されていることを特徴としている。
ここで、プラスチックフィルムとしては、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂およびポリエーテルエーテルケトン樹脂のうちの少なくとも一種以上の樹脂によって形成されたフィルムが用いられる。
また、カーボン膜とは、ダイヤモンドライクカーボン膜の他に、SP3結合からなる結晶構造を有するダイヤモンド膜やSP2結合からなる結晶構造を有するグラファイト膜を含むものであって、炭素からなる薄膜を意味するものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブル基材において、上記プラスチックフィルムがポリイミドフィルムであるとともに、上記金属膜が銅スパッタ膜であることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のフレキシブル基材において、上記カーボン膜がダイヤモンドライクカーボン膜であって、0.5nm以上かつ500nm以下の膜厚に成膜されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明に係るフレキシブル基材の製造方法は、帯状のプラスチックフィルムの表面にスパッタリング装置によって金属膜を真空成膜した後に、上記プラスチックフィルムを、裏面における上記金属膜の成膜部対応部分の全面に形成されたカーボン膜と上記表面の金属膜とを重ねるようにロール状に巻き取ることを特徴としている。
ここで、上記カーボン膜は、金属膜を真空成膜した後に形成しても、また、金属膜を真空成膜する前に形成してもよく、プラスチックフィルムをロール状に巻き取る際に、プラスチックフィルムの裏面における金属膜の成膜部対応部分の全面に形成されていれば足りるものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のフレキシブル基材の製造方法において、帯状のポリイミドフィルムの表面にスパッタリング装置によって銅スパッタ膜を真空成膜した後に、上記ポリイミドフィルムの裏面における上記銅スパッタ膜の成膜部対応部分の全面にカーボン膜を成膜し、次いで、上記ポリイミドフィルムを、上記表面の銅スパッタ膜に上記裏面のカーボン膜を重ねるようにロール状に巻き取ることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のフレキシブル基材の製造方法において、上記カーボン膜として膜厚0.5nm以上かつ500nm以下のダイヤモンドライクカーボン膜を成膜し、次いで、上記ポリイミドフィルムを、上記表面の銅スパッタ膜に上記裏面のダイヤモンドライクカーボン膜を重ねるようにロール状に巻き取ることを特徴としている。
請求項7に記載の発明に係るフレキシブル基材の製造装置は、帯状のプラスチックフィルム表面に金属膜を真空成膜する金属ターゲットが、上記プラスチックフィルムの搬送路に沿って、上記プラスチックフィルムの表面に臨む位置に配設されたスパッタ装置と、このスパッタ装置の下流側に配設された上記プラスチックフィルムの裏面における上記成膜部対応部分の全面にカーボン膜を真空成膜するカーボン成膜装置と、このカーボン成膜装置の下流側に配設された上記金属膜およびカーボン膜が成膜されたプラスチックフィルムを、上記表面の金属膜に上記裏面のカーボン膜を重ねるようにロール状に巻き取る巻き取りロールとが、真空に保たれる装置本体内に連続して設けられていることを特徴としている。
この金属ターゲットは、単数であっても複数であってもよく、プラスチックフィルムの搬送路に沿って、プラスチックフィルムの表面に臨む位置に配設されていればよい。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のフレキシブル基材の製造装置において、上記金属ターゲットには、銅ターゲットが用いられているとともに、上記カーボン成膜装置には、上記カーボン膜としてダイヤモンドライクカーボン膜を真空成膜するダイヤモンドライクカーボン成膜装置が用いられていることを特徴としている。
請求項1〜3に記載のフレキシブル基材によれば、プラスチックフィルムの裏面における金属膜の成膜部対応部分の全面にカーボン膜を形成しているため、このプラスチックフィルムを帯状に形成して、ロール状に巻き取った際にも、表面に真空成膜された金属膜の上に裏面のカーボン膜が重なることから、直接ポリイミドフィルムの裏面が重なることがなく、真空成膜によって活性化状態の金属膜の上にポリイミドが付着してしまうことを防止できる。このため、このフレキシブル基材の金属膜の上に、電解めっきによってめっき層を形成する際に、ポリイミドの付着によってめっきが欠落してしまうことを防止できる。
さらには、プラスチックフィルムの裏面にカーボン膜を成膜することによって、フレキシブル基材を加熱した場合にも、このカーボン膜によって外部雰囲気中の酸素を遮断できるため、酸素等がプラスチックフィルムを通じて金属膜側に拡散してしまうことによる金属膜の酸化を防止でき、耐熱ピール強度の低下を防止できる。
請求項4〜6に記載のフレキシブル基材の製造方法によれば、プラスチックフィルムの表面に金属膜を真空成膜した後に、プラスチックフィルムを、裏面における金属膜の成膜部対応部分の全面に形成されたカーボン膜と、表面の金属膜とを重ねるようにロール状に巻き取ったため、真空成膜された活性状態の金属膜に、直接ポリイミドフィルムの裏面が重なることなく、ポリイミドの付着を防止できる。このため、このフレキシブル基材の金属膜の上に電解めっきによってめっき層を形成する際に、ポリイミドの付着によるめっき欠落を防止できる。
また、このフレキシブル基材は、プラスチックフィルムの裏面にカーボン膜が成膜されているため、後工程等において加熱した場合にも、このカーボン膜によって外部雰囲気中の酸素を遮断でき、酸素による金属膜の酸化を防止でき、耐熱ピール強度の低下を防止できる。
請求項7および8に記載のフレキシブル基材の製造装置によれば、真空に保たれている装置本体内にて、スパッタ装置によってプラスチックフィルムの表面に金属膜を真空成膜した後に、成膜装置によってプラスチックフィルムを裏面における成膜部対応部分にカーボン膜を真空成膜し、次いで、巻き取り装置によって金属膜およびカーボン膜が成膜されたプラスチックフィルムを、表面の金属膜に裏面のカーボン膜を重ねるようにロール状ロール状に巻き取ることができる。
このため、真空成膜された活性状態の金属膜に、直接ポリイミドフィルムの裏面が重なることによりポリイミドが付着してしまうことを防止でき、その結果、このフレキシブル基材を用いて、金属膜の上にめっき層を形成する際に、ポリイミドの付着によるめっきの欠落を防止できる。
また、プラスチックフィルムの裏面にカーボン膜を成膜するため、後工程等において加熱した場合にも、このフレキシブル基材の耐熱ピール強度の低下を防止できる。
特に、請求項2および5に記載の発明によれば、プラスチックフィルムに配線材料としての耐熱安定性や耐薬品性に優れたポリイミドフィルムを用いることにより、フレキシブル基材をプリント配線板として好適に用いることができる。また、金属膜として銅スパッタ膜を成膜したため、この銅スパッタ膜の上に結晶構造が同一の銅めっき層を形成した際に、スパッタ膜とめっき層との密着性に優れ、かつプリント配線板として好適に用いることができるフレキシブル基材を得ることができる。
また、請求項3、6および8に記載の発明によれば、カーボン膜として低摩擦係数であって、耐摩耗性の高いダイヤモンドライクカーボンを成膜したため、ロール状に巻き取る際などの摩耗を防止できる。また、このダイヤモンドライクカーボンは、ガスバリヤ性にも優れているため、より確実に耐熱ピール強度の低下を防止できる。
以下、本発明に係るフレキシブル基材について、図1を用いて説明した後に、フレキシブル基材の製造装置およびこの製造装置を用いたフレキシブル基材の製造方法について順に、図2を用いて説明する。
まず、本実施形態のフレキシブル基材1は、厚さ20〜50μmの帯状のポリイミドフィルム(プラスチックフィルム)11の表面全体に亘って、厚さ5〜50nmのニッケルクロム合金スパッタ膜(金属膜)12と、この合金スパッタ膜12の上に厚さ50〜300nmの銅スパッタ膜(金属膜)13とが成膜されているとともに、ポリイミドフィルム11の裏面全体に亘って膜厚0.5nm以上かつ500nm以下のダイヤモンドライクカーボン膜14が成膜されている。
ここで、ダイヤモンドライクカーボン膜14を、膜厚0.5nm以上とすることによって、ポリイミドフィルム11の裏面に均一的に成膜して、ポリイミドフィルム11のポリイミドが銅スパッタ膜13に付着することを確実に防止する。また、膜厚500nm以下とすることによって、フレキシブル基材1の厚さ方向の可撓性を保つことにより、プリント配線板としての機能低下を防止し、かつ外部応力の作用によってカーボン膜14に亀裂が生じることを防止する。
次いで、このフレキシブル基材1の製造装置について、図2を用いて説明する。
本実施形態のフレキシブル基材1の製造装置は、ポリイミドフィルム11の表面にニッケルクロム合金スパッタ膜12と銅スパッタ膜13とを真空成膜するスパッタ装置7を内蔵する装置本体5を備えている。
さらに、装置本体5は、このスパッタ装置7のポリイミドフィルム11の搬送方向の上流側に連続して設けられている搬入部6と、スパッタ装置7の下流側に連続して設けられている搬出部8とを有している。
この搬入部6には、ロール状のポリイミドフィルム11を巻き出す巻き出しロール61が軸線方向を上下方向に向けて備えられるとともに、搬出部8には、ポリイミドフィルム11にニッケルクロム合金スパッタ膜12と銅スパッタ膜13とが真空成膜されたフレキシブル基材1を巻き取る巻き取りロール81が軸線方向を上下方向に向けて備えられている。
そして、これらの搬入部6および搬出部8は、ポリイミドフィルム11を冷却ドラム70に少なくとも半回転する間中、安定的に接触させることにより搬送して、スパッタ膜12、13の成膜時間を確保するために、いずれも冷却ドラム70の半回転側外方(図中にいて上半回転側外方)に横並びに隣接して配置されることにより、図中において装置本体5内の右上および左上に配置されている。
そして、装置本体5内には、搬入部6および搬出部8との間に仕切り壁51が設けられているとともに、搬入部6とスパッタ装置7との間に、ポリイミドフィルム11を搬入する装置本体5内中央部の搬入口52aを残して、仕切り壁52が設けられている。また、装置本体5内には、スパッタ装置7と搬出部8との間に、装置本体5内中央部の搬出口53aを残して、仕切り壁53が設けられており、搬入口52aと搬出口53aとが連続して形成されている。
このスパッタ装置7には、その中央部に伝熱性を有する導電性部材によって構成された円筒状の回転可能な冷却ドラム70が設けられており、上部及び下部が天板および底板によって閉塞的に設けられて、内周壁面に沿って冷却水が循環するようになっている。
そして、帯状のポリイミドフィルム11は、帯幅方向を上下方向に向け、かつ裏面をこの冷却ドラム70の外周面に接触させることにより、冷却ドラム70の回転とともに移動するようになっている。
また、スパッタ装置7には、この冷却ドラム70の外周面(搬送路)に沿って、ポリイミドフィルム11の搬送方向の上流側から下流側に向けて、順に、ポリイミドフィルム11の表面に臨む位置に、ニッケルクロム合金ターゲット71と、銅ターゲット72とが設置されている。
これらのニッケルクロム合金ターゲット71および銅ターゲット72の外周には、それぞれポリイミドフィルム11の対向面に開口が形成されている囲い壁73、74が設けられている。
さらに、この冷却ドラム70には、搬入部6から搬入口52aを通じて搬入したポリイミドフィルム11の裏面を冷却ドラム70の外周面に安定的に接触させる上下方向に設けられた誘導ロール75が支持部材75aによって天板および底板に固定されて、回転自在に設けられている。同様に、このポリイミドフィルムにスパッタ膜12、13を成膜したフレキシブル基材1を安定的に冷却ドラム70の外周面から離間させて、搬出口53aを通じて搬出部8に搬出させる誘導ロール76が支持部材76aによって天板および底板に固定されて、回転自在に設けられている。
また、スパッタ装置7には、その内部を減圧して真空に保つ真空ポンプ77が設置されており、スパッタ装置7内は、作動時に真空に保たれ、かつアルゴンガス等の不活性ガスが供給されることにより、プラズマが発生する。これにより、イオン化したアルゴンがターゲット71、72に衝突することにより、ターゲットから叩き出されたニッケルクロムスパッタ粒子、銅スパッタ粒子が囲い壁73、74の開口から放出されて、ポリイミドフィルム11上に堆積するようになっている。
他方、搬入部6には、巻き出しロール61の下流側に、ポリイミドフィルム11の表面を、アルゴン雰囲気によるプラズマ処理によって清浄し、かつ親水性を向上させるプラズマクリーニング装置60が配設されている。
また、搬出部8には、ポリイミドフィルム11の裏面にダイヤモンドライクカーボン膜を成膜するプラズマCVD装置(ダイヤモンドライクカーボン成膜装置)80が巻き取りロール81の上流側に設置されている。
このプラズマCVD装置80は、原料ガスとして、炭素および水素を含有するものが用いられており、例えば、メタン、エタン等のアルカン系ガス、エチレン、プロピレン等のアルケン系ガス、アセチレン等のアルキン系ガスや、メタノール、エタノール等のアルデヒド系ガスを単独で或いは2種以上を併用して用いてもよい。また、これらの原料ガスにさらに水素ガスを混合して用いてもよい。
プラズマCVD装置80は、低温プラズマ発生器を有しており、この低温プラズマ発生器としては、高周波プラズマ発生器、パルス波プラズマ発生器或いはマイクロ波プラズマ発生器等のプラズマ発生器が用いられ、好ましくは、高周波プラズマ発生器が用いられている。
そして、これらの搬入部6および搬出部8には、それぞれ作動時に内部を減圧させる真空ポンプ66、86が備えられており、これら搬入部6、スパッタ装置7および搬出部8には、ポリイミドフィルム11やフレキシブル基材1に当接させて搬送方向を誘導する複数本のロールrが設置されている。
次いで、この製造装置を用いたフレキシブル基材1の製造方法について説明する。
まず、帯状のポリイミドフィルム11がロール状に巻き取られている巻き出しロール61を搬入部6に設置し、その後、ポリイミドフィルム11を、プラズマクリーニング装置60から冷却ドラム70の外周面を経てプラズマCVD装置80を通じて巻き取りロール81に至る搬送路に沿ってロールrに当接させることにより、ポリイミドフィルム11の先端を巻き取りロール81に巻き取る。
次いで、真空ポンプ77を作動させて、スパッタ装置7の内部雰囲気を真空にするとともに、不活性ガスを供給することにより、スパッタ装置7内のターゲット71、72の周囲にプラズマを発生させるとともに、真空ポンプ66、86を作動させて、搬入部6および搬出部8の内部をそれぞれ減圧させる。
次ぎに、プラズマクリーニング装置60およびプラズマCVD装置80を作動させるとともに、巻き出しロール61、冷却ドラム70および巻き取りロール81を回転させる。
これにより、ポリイミドフィルム11は、その表面がプラズマクリーニング装置60を通過する際に清浄され、かつ親水性を高めた状態で、ロールrに当接しながら搬入口52aからスパッタ装置7内に搬入される。
すると、ポリイミドフィルム11は、誘導ロール75によって冷却ドラム70の外周面に向けて安定的に誘導されて、その裏面が冷却ドラム70の外周面に接触した状態で搬送されつつ、ニッケルクロム合金ターゲット71に臨む位置において、このターゲット71から叩き出されて、囲い壁73の開口から放出されたニッケルクロムスパッタ粒子が堆積して、その表面にニッケルクロム合金スパッタ膜12が成膜される。次いで、このポリイミドフィルム11は、冷却ドラム70の回転とともに搬送されつつ、銅ターゲット72に臨む位置において、このターゲット72から叩き出されて、囲い壁74の開口から放出された銅スパッタ粒子が堆積して、合金スパッタ膜12の上に銅スパッタ膜13が成膜される。
これにより、合金スパッタ膜12と銅スパッタ膜13とがポリイミドフィルム11に成膜されたフレキシブル基材1は、誘導ロール76によって冷却ドラム70の外周面から安定的に離間して、搬出口53aからロールrに当接しながら搬出部8内に搬出される。
すると、フレキシブル基材1は、プラズマCVD装置80によって、そのポリイミドフィルム11の裏面全体にダイヤモンドライクカーボン膜14が成膜された後に、ロールrに当接しながら巻き取りロール81に巻き取られる。
上述のフレキシブル基材及びその製造装置並びにこの製造装置を用いたフレキシブル基材の製造方法によれば、帯状のポリイミドフィルム11にニッケルクロム合金スパッタ膜12と銅スパッタ膜13とを成膜したため、例えば、この銅スパッタ膜13の上に電解めっきによって銅めっき層を形成して、これら銅めっき層やスパッタ膜12、13をパターニングすることにより、フレキシブル基材をプリント配線板として用いることができる。
また、フレキシブル基材1の裏面全体にダイヤモンドライクカーボン膜14を成膜しているため、巻き取りロール81に巻き取った際にも、表面に真空成膜された銅スパッタ膜13の上には裏面のカーボン膜14が重なることから、直接ポリイミドフィルムの裏面が重なることがなく、真空成膜によって活性化状態の銅スパッタ膜13の上にポリイミドが付着してしまうことを防止できる。このため、この巻き取りロール81から巻き出して、フレキシブル基材1の銅スパッタ膜13の上に、電解めっきによってめっき層を形成する際に、ポリイミドの付着によるめっき欠落を防止できる。
さらには、フレキシブル基材1のポリイミドフィルム11の裏面にダイヤモンドライクカーボン膜14を成膜することによって、フレキシブル基材1を加熱した場合にも、このカーボン膜14によって外部雰囲気中の酸素を遮断できるため、酸素等がポリイミドフィルム11を通じて拡散してしまうことによる銅スパッタ膜13の酸化を防止でき、耐熱ピール強度の低下を防止できる。
なお、本発明は、上述の実施形態に何ら限定されるものでなく、例えば、ニッケルクロム合金スパッタ膜12、銅スパッタ膜13やダイヤモンドライクカーボン膜14がポリイミドフィルム11の全体に亘って成膜されていなくてもよく、ダイヤモンドライクカーボン膜14がポリイミドフィルム11裏面におけるニッケルクロム合金スパッタ膜12や銅スパッタ膜13の成膜部対応部分の全面に成膜されていれば足りるものである。また、ポリイミドフィルム11に代えて、その他のプラスチックフィルムを用いてもよく、プラズマクリーニング装置60が設けられていなくてもよいものである。さらに、搬入部6や搬出部8が設けられていなくてもよく、この場合には、巻き出しロール61、巻き取りロール81やプラズマCVD装置80がスパッタ装置7内に設置される。
次ぎに、実施例について説明する。なお、各実験は、300mm×480mmの大きさの2枚のポリイミドフィルムを用いて行った。
まず、上記ポリイミドフィルムの表面全体にスパッタ装置7によってスパッタ膜12、13を成膜した後に、ポリイミドフィルムの裏面全体に膜厚1nmのダイヤモンドライクカーボン膜14を成膜して、フレキシブル基材を巻きロールに巻き取った。この巻きロールに巻き取られたフレキシブル基材を、実施例1の基材とする。
次いで、上記ポリイミドフィルムの表面全体にスパッタ膜12、13を成膜した後に、上記ダイヤモンドライクカーボン膜14を成膜せずに、そのまま巻きロールに巻き取ったスパッタ膜12、13が成膜されたポリイミドフィルムを、比較例1の基材とした。
なお、スパッタ膜12としては、膜厚25nmのニッケルクロム合金スパッタ膜を成膜するとともに、スパッタ膜13としては、膜厚200nmの銅スパッタ膜を成膜した。
次ぎに、実施例1および比較例1の基材の銅スパッタ膜13上に、電解めっき装置によって8μmの銅めっき層を形成した後に、深さ1μm以上のめっき欠落が生じている凹部数を顕微鏡にて計数し、それぞれの結果を表1に示した。
次ぎに、それぞれ銅めっき層が形成された実施例1の基材および比較例1の基材について、JISC5016に従って、常態ピール強度および耐熱ピール強度を測定して、表1に示した。なお、耐熱ピール強度については、これらの銅めっき層が形成された基材を、大気中にて150℃で、168時間、336時間および504時間加熱した後のピール強度をそれぞれ示した。
Figure 2009166252
表1から判るように、比較例1の基材は、欠落数が36箇所にも及んでおり、このめっき欠落を観察すると、いずれも銅スパッタ膜13上に有機物が付着してめっき不良が発生していることが確認された。さらに、加熱によってピール強度が低下してしまっており、特に加熱が300時間を超えた336時間加熱後のピール強度の低下が著しい。これは、ポリイミドの裏面から拡散した外部雰囲気の水蒸気中の酸素が銅スパッタ膜13の酸化を引き起こしているためである。
これに対して、実施例1の基材は、めっき不良が発生することもなく、加熱による耐熱ピール強度の低下も防止できた。
本発明に係るフレキシブル基材1を示す縦断面模式図である。 本発明に係るフレキシブル基材1の製造装置を示す横断面模式図である。
符号の説明
1 フレキシブル基材
11 ポリイミドフィルム(プラスチックフィルム)
12 ニッケルクロム合金スパッタ膜(金属膜)
13 銅スパッタ膜(金属膜)
14 ダイヤモンドライクカーボン膜(カーボン膜)

Claims (8)

  1. プラスチックフィルムの表面に金属膜が真空成膜され、かつ上記プラスチックフィルムの裏面における上記金属膜の成膜部対応部分の全面にカーボン膜が形成されていることを特徴とするフレキシブル基材。
  2. 上記プラスチックフィルムは、ポリイミドフィルムであるとともに、上記金属膜は、銅スパッタ膜であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基材。
  3. 上記カーボン膜は、ダイヤモンドライクカーボン膜であって、0.5nm以上かつ500nm以下の膜厚に成膜されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル基材。
  4. 帯状のプラスチックフィルムの表面にスパッタリング装置によって金属膜を真空成膜した後に、上記プラスチックフィルムを、裏面における上記金属膜の成膜部対応部分の全面に形成されたカーボン膜と上記表面の金属膜とを重ねるようにロール状に巻き取ることを特徴とするフレキシブル基材の製造方法。
  5. 帯状のポリイミドフィルムの表面にスパッタリング装置によって銅スパッタ膜を真空成膜した後に、上記ポリイミドフィルムの裏面における上記銅スパッタ膜の成膜部対応部分の全面にカーボン膜を成膜し、次いで、上記ポリイミドフィルムを、上記表面の銅スパッタ膜に上記裏面のカーボン膜を重ねるようにロール状に巻き取ることを特徴とする請求項4に記載のフレキシブル基材の製造方法。
  6. 上記カーボン膜として膜厚0.5nm以上かつ500nm以下のダイヤモンドライクカーボン膜を成膜し、次いで、上記ポリイミドフィルムを、上記表面の銅スパッタ膜に上記裏面のダイヤモンドライクカーボン膜を重ねるようにロール状に巻き取ることを特徴とする請求項5に記載のフレキシブル基材の製造方法。
  7. 帯状のプラスチックフィルム表面に金属膜を真空成膜する金属ターゲットが、上記プラスチックフィルムの搬送路に沿って、上記プラスチックフィルムの表面に臨む位置に配設されたスパッタ装置と、このスパッタ装置の下流側に配設された上記プラスチックフィルムの裏面における上記成膜部対応部分の全面にカーボン膜を真空成膜するカーボン成膜装置と、このカーボン成膜装置の下流側に配設された上記金属膜およびカーボン膜が成膜されたプラスチックフィルムを、上記表面の金属膜に上記裏面のカーボン膜を重ねるようにロール状に巻き取る巻き取りロールとが、真空に保たれる装置本体内に連続して設けられていることを特徴とするフレキシブル基材の製造装置。
  8. 上記金属ターゲットには、銅ターゲットが用いられているとともに、上記カーボン成膜装置には、上記カーボン膜としてダイヤモンドライクカーボン膜を真空成膜するダイヤモンドライクカーボン成膜装置が用いられていることを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル基材の製造装置。
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