JP2009155353A - 糖鎖化合物の製造方法 - Google Patents

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康宏 梶原
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Hiroaki Asai
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Abstract

【課題】無水ヒドラジンに比し、安全なヒドラジン水和物を使用して、還元末端に遊離水酸基を有するN−結合型糖鎖化合物を製造する方法の提供。
【解決手段】式(1)[R〜Rは水素原子、糖残基、Rは水素原子又はフコース残基、Rは水素原子、脂溶性の保護基等、Rはカルボキシル基又は基−CONHR]の糖鎖アスパラギン化合物にヒドラジン水和物を作用させた、式(2)の糖鎖化合物。
Figure 2009155353

Figure 2009155353

【選択図】なし

Description

本発明は、糖鎖アスパラギン化合物の還元末端C−N結合を切断し、還元末端に遊離水酸基を有する糖鎖化合物の製造方法に関する。
糖鎖がタンパク質と共有結合した分子は糖タンパク質と呼ばれている。糖タンパク質中の糖鎖はタンパク質の3次元構造の維持や溶解性の調節、プロテアーゼ耐性の付加などの働きを担っている。最近になり、糖タンパク質中の糖鎖が受精や分化、シグナル伝達、癌化、タンパク質の細胞内輸送や生理活性の調節などの生命現象に関与することが明らかにされつつある。このように、タンパク質に結合した糖鎖は様々な生理機能に重要な役割を果たしている。しかし、これら糖鎖の構造は多様で、その種類は膨大であるため、どの構造の糖鎖が生命現象に関与しているかを特定するのはきわめて困難な状況である。こういった機能の解明のためにも、単一構造の糖鎖を持った糖タンパク質、糖ペプチドの合成が必要不可欠である。
糖タンパク質は糖とタンパク質との結合様式の違いから2つのグループに分けることができる。一つはアスパラギン(Asn)の側鎖のアミノ基と糖鎖が結合したアスパラギン結合型糖鎖(N−結合型)である。もう一つはセリン(Ser)やトレオニン(Thr)の水酸基に糖鎖が結合したムチン結合型糖鎖(O−結合型)である。
本発明者等は、鶏卵より酵素法と化学法を組み合わせることで2分岐複合型糖鎖を大量に調製する方法(特許文献1)を確立し、糖鎖還元末端に遊離水酸基を有する複合型糖鎖からアミノ化複合型糖鎖誘導体を製造し、得られた該誘導体をペプチドのチオール基に選択的に導入できることを示した(特許文献2)。
糖鎖還元末端に遊離水酸基を有するN−結合型糖鎖の調製には、糖鎖アスパラギン及びその誘導体や糖タンパク質から酵素により糖鎖を切り出す方法や化学的に切断する方法がある。通常化学的に切断する方法としては、ヒドラジン分解法が用いられる。ヒドラジンを、ヒドラジン水和物や水の存在下で使用した場合、糖鎖還元末端側の糖が脱離(β脱離)するため、無水ヒドラジンが用いられる。
WO 03/008431号公報 WO 2004/011036号公報
しかしながら、無水ヒドラジンはその毒性や発火性等により、操作には慎重を要し、大量の処理には不向きな試薬であるため、安全で有効なN−結合型糖鎖の切り出し方法が求められている。
本発明の課題は、無水ヒドラジンに比し、安全なヒドラジン水和物を使用して、還元末端に遊離水酸基を有するN−結合型糖鎖化合物を製造する方法を提供することにある。
本発明は以下の発明に係る。
式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物にヒドラジン水和物を作用させることを特徴とする式(2)で表される糖鎖化合物の製造方法。
Figure 2009155353
[式中、R、R及びRは同一又は異なって水素原子、糖残基を示す。Rは水素原子又はフコース残基を示す。Acはアセチル基を示す。Rは水素原子、脂溶性の保護基、アミノ酸残基、又はペプチド残基を示し、Rはカルボキシル基又は基−CONHRを示す。Rは、アミノ酸残基又はペプチド残基を示す。]
Figure 2009155353
[式中、R、R、R、R及びAcは前記に同じ。]
本発明者等は、これまでβ脱離を生じるために使用できなかったヒドラジン水和物を使用し、ヒドラジン分解させ、引き続きベンジルアミン化合物で置換、精製後、加水分解処理により、還元末端に遊離水酸基を有するN−結合型糖鎖化合物を製造することができることを見出した。
本発明の方法によれば、ヒドラジン分解反応に安全なヒドラジン水和物を使用して、還元末端に遊離水酸基を有するN−結合型糖鎖化合物を製造することができる。
本発明の式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物は、アスパラギンに糖鎖が結合する糖タンパク質、糖ペプチド又は糖鎖アスパラギン及びそれらの誘導体等を包含する。
本発明の式(2)で表される糖鎖化合物は、還元末端に遊離水酸基を有するN−結合型糖鎖化合物である。
Figure 2009155353
[式中、R、R及びRは同一又は異なって水素原子、糖残基を示す。Rは水素原子又はフコース残基を示す。Acはアセチル基を示す。Rは水素原子、脂溶性の保護基、アミノ酸残基、又はペプチド残基を示し、Rはカルボキシル基又は基−CONHRを示す。Rは、アミノ酸残基又はペプチド残基を示す。]
Figure 2009155353
[式中、R、R、R、R及びAcは前記に同じ。]
糖残基は、水酸基が保護されていてもよく、フッ素等のハロゲン原子で置換されていてもよいマンノース、N−アセチルグルコサミン、ガラクトース、フコース等の単糖であってもよく、これら単糖の2つ以上がグリコシド結合して糖鎖を形成したものであってもよい。また、フッ素等のハロゲンが置換していてもよく、カルボキシル基が保護されていてもよいシアル酸を含んだ糖鎖であってもよい。
即ち、式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物は従来公知又は未知の糖鎖アスパラギンであってもよく、高マンノース型糖鎖アスパラギン化合物、複合型糖鎖アスパラギン化合物、混成型糖鎖アスパラギン化合物であってよい。また、式(2)で表される糖鎖化合物は従来公知又は未知の糖鎖化合物であってもよく、高マンノース型糖鎖化合物、複合型糖鎖化合物、混成型糖鎖化合物であってよい。
脂溶性の保護基とは、特に制限されるものではなく、例えば9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基やt−ブチルオキシカルボニル(Boc)基、アリルオキシカーボネート(Alloc)基等のカーボネート含有基、アセチル(Ac)基等のアシル基、アリル基、ベンジル基等の保護基等を挙げることができる。また、当該保護基の導入は、例えばProtecting groups in Organic chemistry(John Wiley & Sons INC., New York 1991, ISBN 0-471-62301-6)等の公知の方法に従って行えばよい。
におけるアミノ酸残基又はペプチド残基は、アスパラギンのアミノ基とカルボキシル基がアミド結合したアミノ酸又はペプチドであり、特に制限されない。
におけるアミノ酸残基又はペプチド残基は、アスパラギンのカルボキシル基とアミノ基がアミド結合したアミノ酸又はペプチドであり、特に制限されない。
本工程で使用するヒドラジン水和物は従来公知のものであれば使用でき、ヒドラジン一水和物をそのまま、又は水で希釈して使用することができ、ヒドラジン一水和物の濃度としては20〜100重量%、特に好ましくは40〜100重量%程度とすればよい。
ヒドラジン水和物の使用量としては、特に制限されず、式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物1当量に対して0.8当量以上、好ましくは1.0当量以上であるが、通常溶媒をかねて使用するため大過剰量を使用するのがよく、式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物1重量部に対して1〜10000重量部、好ましくは100〜5000重量部とするのが好ましい。
本工程の反応は加熱下で行い還流温度で行なう。本反応は式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物がヒドラジンと反応して、式(3)で表されるヒドラジノ化合物を形成すると考えられる。本発明者等の検討によれば、理由は定かではないが、β脱離反応が、式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物の大部分又は全てが式(3)で表されるヒドラジノ糖鎖化合物に変換された後に生じることを見出した。換言すれば、式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物の大部分又は全てが式(3)で表されるヒドラジノ糖鎖化合物に変換されるまではβ脱離反応が生じないことになる。
よって本反応は式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物が全て消費されるまで行なうとしてもよいが、消費する手前で反応を終了させるのが好ましい。又はβ脱離反応によって生じる式(4)で表されるヒドラジノ糖鎖化合物の生成が生じる前に反応を終了させることが好ましい。反応はTLC若しくはマススペクトルで追跡して行なうのが好ましい。反応の終了は加熱還流を中止することで行なうことができる。
Figure 2009155353
[式中、R、R、R及びRは前記に同じ。]
Figure 2009155353
[式中、R、R及びRは前記に同じ。]
本工程の反応においては、式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物にアセチル基のようなアミド結合型保護基があるため、過剰のヒドラジンによって当該保護基が脱離してアミノ基になる。そのため、アセチル化剤を作用させてN−アセチル化する必要がある。
アセチル化剤としては、N−アセチル化反応に使用し得る従来公知アセチル化剤を使用することができ、例えば、アセチルクロライド、アセチルブロマイド等のアセチルハライドや無水酢酸を例示することができ、無水酢酸が好適に使用できる。アセチル化剤の使用量は、アミノ基1当量に対して1〜20当量、好ましくは1.5〜10当量程度とすればよい。
アセチル化剤を使用するN−アセチル化反応は、従来公知の方法を適用でき、例えば前記反応液を減圧下で過剰のヒドラジンを留去後、塩基の存在下、アセチル化剤を作用させることで成される。
塩基としては、従来公知のものを使用でき、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基等が挙げられるが、炭酸水素ナトリウムやピリジンが特に好ましい。塩基の使用量としては、特に制限されずアセチル化剤に対して等量又はそれ以上使用することができるが、大過剰使用するのが好ましく、例えば炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩の場合は飽和水溶液として、アセチル化剤1重量部に対して1〜100重量部使用することができる。
本反応は溶媒中で行なわれ、溶媒としては、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等を挙げることができ、これらを単独又は2種以上を混合して使用してもよく、水が好ましく使用できる。溶媒の使用量としては特に制限されないが、式(3)で表される糖鎖化合物1重量部に対して、通常10〜2000重量部程度、好ましくは100〜1000重量部程度とすればよい。
反応は−10〜100℃、好ましくは0〜50℃で行なわれ、通常0.1〜24時間程度で完了するが、TLCやマススペクトル等で反応の進行を確認して行なうのが好ましい。
上記アセチル化反応後の化合物は下記式(5)で表される。
Figure 2009155353
[R〜R及びAcは上記に同じ。]
以上のようにして得られた式(5)で表されるヒドラジノ糖鎖化合物を含む生成物をゲルろ過カラムクロマトグラフィーで処理ことによってアスパラギン残基等の切断片やβ脱離した糖残基を除去することができる。
得られた式(5)で表されるヒドラジノ糖鎖化合物を酸により処理することによって式(1)で表される糖鎖化合物を含む生成物が得られる。
使用する酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のスルホン酸類を挙げることができ、中でも酢酸が安全性や使用簡便性の観点から好ましい。
酸の使用量としては、式(5)で表されるヒドラジノ糖鎖化合物1当量に対して、1当量以上であれば特に制限されず、1〜5当量が好ましい。通常は式(5)の化合物の水溶液が十分に酸性を示す程度に酸を加えるのが好ましい。
反応は0〜50℃程度、好ましくは10〜40℃程度とすればよく、通常1〜15時間程度、好ましくは2〜10時間程度で完結するが、TLCやマススペクトルで反応を追跡して、終了を確認するのが好ましい。
以上のようにして式(2)で表される糖鎖化合物を含む生成物を製造することができるが、上記のヒドラジン分解においては、β脱離が生じない段階で反応を終了させた場合には原料となる式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物が残存することになり、反応がやや進行した場合にはβ脱離した式(4)で表されるヒドラジノ糖鎖化合物のN−アセチル体(6)が混入することになる。また、式(3)で表されるヒドラジノ糖鎖は不安定で時間経過とともにβ脱離を生じる。よって、この段階で得られる式(2)で表される糖鎖化合物には、化合物(1)、(4)、(6)等の他の化合物の混入が認められる。
上記式(6)の化合物は下記に示される。
Figure 2009155353
[R〜R及びAcは上記に同じ。]
次に上記で得られた式(2)で表される糖鎖化合物及び他の化合物の混合物に溶媒中、アミン化合物を作用させる。
アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン等の炭素数1〜4のモノアルキルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン等の炭素数3〜8のシクロアルキルアミン、置換基を有することのあるベンジルアミン類を挙げることができる。置換基を有することのあるベンジルアミンの置換基としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、ニトロ基等を挙げることができ、これらの置換基が単独又はフェニル環上の任意の位置に、2〜5個が同一又は異なって置換しているものを包含する。これらのベンジルアミン類の中でもベンジルアミン、p−メトキシベンジルアミン、2,4,5−トリメトキシベンジルを好ましく例示でき、中でもp−メトキシベンジルアミンが特に好ましい。
アミン化合物の使用量としては、式(2)で表される糖鎖化合物1当量に対して、通常1〜20当量、好ましくは2〜10当量とすればよい。
本反応は、樟脳スルホン酸等の酸の存在下で行なうのが好ましい。
酸の使用量としては、式(1)で表される糖鎖化合物1当量に対して0.01〜5当量、好ましくは0.05〜1当量とすればよい。
本反応において使用する溶媒としては、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等を挙げることができ、これらを単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
溶媒の使用量としては特に制限されないが、式(2)で表される糖鎖化合物1重量部に対して、通常10〜2000重量部程度、好ましくは100〜1000重量部程度とすればよい。
本反応は、通常0〜100℃、好ましくは10〜50℃程度で行なえばよく、通常1〜24時間程度で完結するが、TLC又はマススペクトル等で反応を追跡し、原料が消失する時点で反応を終了させればよい。
本反応により、糖鎖還元末端にアミノ化合物が置換した式(7)で表されるアミノ糖鎖化合物を得ることができ、本化合物は塩基に対しても安定で、β脱離反応を生じず、糖鎖構造を維持することができる。なお、本反応の原料中に混入した式(6)で表されるヒドラジノ糖鎖化合物も同様に反応して、相当するアミノ置換化合物を与える。
Figure 2009155353
[式中、R、R、R、R及びAcは前記に同じ。Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、置換基を有することのあるベンジル基を示す。]
ここで、Rの炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等を挙げることができ、炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。置換基を有することのあるベンジル基の置換基としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、ニトロ基等を挙げることができ、これらの置換基が単独又はフェニル環上の任意の位置に、2〜5個が同一又は異なって置換しているものを包含する。これらのベンジル基の中でもベンジル基、p−メトキシベンジル基、2,4,5−トリメトキシ基を好ましく例示でき、中でもp−メトキシベンジル基が特に好ましい。
得られた式(7)で表されるアミノ糖鎖化合物及びその他の化合物をカラムクロマトグラフィーで処理することによって、式(7)で表されるアミノ糖鎖化合物を単離精製することができる。
クロマトグラフィーでの分離は、適宜、公知のクロマトグラフィーを単独で又は複数組み合わせて用いることにより行なうことができ、例えばゲルろ過クロマトグラフィーで精製後、逆相系のカラムクロマトグラフィーを用いて精製することができる。
逆相系のカラムとしては、例えば、ODS、Phenyl系、ニトリル系や、陰イオン交換系のカラム等を挙げることができるが、式(7)で表されるアミノ糖鎖化合物のアミノ基部がODSカラムのオクタデシル基と強い相互作用を生み、分離能に優れる。
分離条件等は適宜、公知の条件を参照して調整すればよい。
得られる式(7)で表されるアミノ糖鎖化合物は新規化合物である。
上記クロマトグラフィーにより単離した式(7)で表されるアミノ糖鎖化合物に酸を作用させることで目的の式(2)で表される糖鎖化合物とすることができる。
使用する酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類を挙げることができ、カルボン酸類が好ましく、中でも酢酸が使用上安全且つ簡便で好ましい。
酸の使用量としては、式(7)で表されるアミノ糖鎖化合物1当量に対して、1当量以上であれば特に制限されず、1〜5当量が好ましい。通常は式(7)の化合物の水溶液が十分に酸性を示す程度に酸を加えるのが好ましい。
反応は0〜50℃程度、好ましくは10〜40℃程度とすればよく、通常1〜15時間程度、好ましくは2〜10時間程度で完結するが、TLCやマススペクトルで反応を追跡して、終了を確認するのが好ましい。
得られた式(2)で表される糖鎖化合物は、クロマトグラフィー等で精製することができる。
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明は何らこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
糖鎖アスパラギン化合物(1−1)10mgにヒドラジン水和物(ヒドラジン55%)10mlを加えて室温で溶解させた。これを100℃で加熱還流させた。TLC(イソプロパノール:1M酢酸アンモニウム水溶液=1:1)で反応を追跡し、TLC上で原料が消失した時点で加熱還流を止めた。なお、糖鎖アスパラギン化合物(1−1)においてヒドラジン水和物添加直後にFmoc基が脱離するので、Fmoc基が脱離した糖鎖アスパラギン化合物を原料として扱った。
Figure 2009155353
反応液を減圧下で乾固するまで濃縮し、得られた残渣に水1mlを加えて溶かした。この水溶液に炭酸水素ナトリウム粉末を飽和するまで加えた後、無水酢酸(0.1mL)を加えた。反応をTLC(イソプロパノール:1M酢酸アンモニウム水溶液=1.5:1)でアセチル化の進行を追跡した。またTLC(イソプロパノール:1M酢酸アンモニウム水溶液=1:1)で原料の消失を確認して、炭酸水素ナトリウム粉末を反応液のpHが7〜8になるように加えて中和した。
反応液を減圧下で乾固するまで濃縮し、得られた残渣を水1mlに溶かし、ゲルろ過クロマトグラフィー(カラム担体:Sephadex G−25、カラムサイズ:φ16mm×345mm、流速:0.8ml/min、展開溶媒:水)で化合物(5−1)を含むフラクションを分取し、減圧下濃縮した。
Figure 2009155353
得られた濃縮残渣の5mgを水1mlに溶かし、酢酸572μlを加えて酢酸水溶液とした。室温で撹拌し、反応をTLC(イソプロパノール:1M酢酸アンモニウム水溶液=1.5:1)で追跡した。6.5時間後、反応終了を確認し、1M水酸化ナトリウム水溶液で中和し、凍結乾燥して粉体とした。
得られた粉体をゲルろ過カラムクロマトグラフィー(前記条件と同じ。)で精製し、目的とする化合物(2−1)を含むフラクションを分取し、減圧下濃縮して化合物(2−1)を得た。ただし、未反応原料由来の化合物(1−2)及びβ脱離した化合物(8)の混入を認めた。
収量:8.9mg〔化合物(2−1):化合物(2−2):化合物(8)=90:8:2〕
化合物(2−1)
H−NMR(400MHz,295K,HOD=4.81), 5.28(bd,1H,GlcNAc1−H−1), 5.23(s,1H,Man4−H−1), 5.03(s,1H,Man4'−H−1), 4.86(s,1H,Man3−H−1), 4.70(m,3H, GlcNAc2,5,5'−H−1), 4.53(d,2H,Gal6,6'−H−1), 4.34(bs,1H,Man3−H−2), 4.28(bd,1H,Man4−H−2), 4.20(bd,1H,Man4'−H−2), 2.76(bdd,2H,NeuAc7,7'−H−3eq), 2.17(s,3H,Ac), 2.16(s,6H,Ac×2), 2.13(s,6H,Ac×3), 1.80(dd,2H,NeuAc7,7'−H−3ax).
Mass: ESI calcd for 2222, found;1110[(M−2)−2
化合物(8)
Mass calcd for 2019, found;1008.3 [(M−2)−2
Figure 2009155353
Figure 2009155353
Figure 2009155353
実施例2
実施例1と同様にして得た化合物(2−1)、化合物(1−2)及び化合物(8)の混合物45mgをDMSO3mlに溶解させた。この溶液にp−メトキシベンジルアミン2mlと樟脳スルホン酸5mgを加え、恒温層で約37℃に維持して反応させた。
反応をマススペクトル(1110/−2ピークの消滅と1170/−2ピークの生成)で追跡し、反応終了を確認した。反応液に10mMアンモニア水を加えて2倍に希釈し、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー(カラム担体:Sephadex G−25、カラムサイズ:φ10mm×900mm、流速:0.8ml/min、展開溶媒:50mM炭酸アンモニウム水溶液又はアンモニア水(pH9〜10))で精製し、化合物(7−1)を含有するフラクションを分取し、減圧下濃縮し、凍結乾燥して化合物(7−1)の粉末を得た。ただし、化合物(1−2)及び化合物(9)の混入を認めた。
Figure 2009155353
Figure 2009155353
得られた粉末20mgを10mM炭酸水素アンモニウム水溶液に溶かし、10mM炭酸水素アンモニウム水溶液で完全に置換したODSカラム(カラム担体:Cosmosil 75C18−OPN(ナカライテスク株式会社製)、カラムサイズ:0.75×0.75×10cm)に充填した。その後、10mM炭酸水素アンモニウム水溶液を担体の5倍量流し、化合物(1−2)を流出させた。その後、10mM炭酸水素アンモニウム水溶液:アセトニトリル(=98:2)を担体の5倍量流し、担体を洗浄後、10mM炭酸水素アンモニウム水溶液:アセトニトリル(=96:4)を流して、化合物(9)の流出後、化合物(7−1)を分取した。
収量:9mg
化合物(7−1)
H−NMR(400MHz,HOD=4.81), δ5.11(s,1H,Man4−H−1), 4.93(s,1H,Man4'−H−1), 4.75(s,1H,Man3−H−1), 4.59(m,3H,GlcNAc2, 5,5'−H−1), 4.43(d,2H,Gal6, 6'−H−1), 4.24(bs,1H,Man3−H−2), 4.18(bd,1H,Man4−H−2), 4.10(bd,1H,Man4'−H−2), 2.65(bdd,2H,NeuAc7,7'−H−3eq), 1.71(dd,2H,NeuAc7,7'−H−3ax).
Mass: ESI calcd for 2341.8, found;1169.9[(M−2)−2
化合物(9)
Mass: ESI calcd for 2139.8, found; 1068.4[(M−2)−2
実施例3
実施例2により得られた化合物(7−1)3mgに水1mlを加えて水溶液(pH10)とした後、酢酸約20μlを加えた。この時のpHは約4であった。
反応をマススペクトル(1170/−2ピークの消滅と1110/−2ピークの生成)で追跡し、反応終了を確認した。反応液に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5〜6に調整し、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー(カラム担体:Sephadex G−25、カラムサイズ:φ10mm×900mm、流速:0.8ml/min、展開溶媒:水)で精製し、得られたフラクションを減圧下濃縮して純度(98%)の化合物(2−1)を2.5mg得た。
得られた化合物(2−1)のNMR及びマススペクトルデータは、前記実施例1で得られたものと同一であった。

Claims (7)

  1. 式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物にヒドラジン水和物を作用させることを特徴とする式(2)で表される糖鎖化合物の製造方法。
    Figure 2009155353
    [式中、R、R及びRは同一又は異なって水素原子、糖残基を示す。Rは水素原子又はフコース残基を示す。Acはアセチル基を示す。Rは水素原子、脂溶性の保護基、アミノ酸残基、又はペプチド残基を示し、Rはカルボキシル基又は基−CONHRを示す。Rは、アミノ酸残基又はペプチド残基を示す。]
    Figure 2009155353
    [式中、R、R、R、R及びAcは前記に同じ。]
  2. 糖鎖還元末端側のN−アセチルグルコサミンがβ脱離する前にヒドラジン水和物の作用を終了させることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. (A)式(1)で表される糖鎖アスパラギン化合物にヒドラジン水和物を作用させる工程、
    (B)アセチル化剤を作用させる工程、
    (C)酸を作用させる工程、
    (D)炭素数1〜4のモノアルキルアミン、炭素数3〜8のシクロアルキルアミン及び置換基を有することのあるベンジルアミンから選ばれる少なくとも1種のアミン化合物を作用させる工程、
    (E)カラムクロマトグラフィーで精製する工程、
    (F)酸を作用させる工程、
    をこの順序で実施することを特徴とする式(2)で表される糖鎖化合物の製造方法。
  4. (A)のヒドラジン水和物の作用を、糖鎖還元末端側のN−アセチルグルコサミンがβ脱離する前に終了させる請求項3記載の製造方法。
  5. (D)のアミン化合物が、p−メトキシベンジルアミンである請求項3記載の製造方法。
  6. (C)及び(F)の酸が酢酸である請求項3記載の製造方法。
  7. 式(7)で表されるアミノ糖鎖化合物。
    Figure 2009155353
    [式中、R、R、R、R及びAcは前記に同じ。Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、置換基を有することのあるベンジル基を示す。]
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