JP2009149761A - 硬化性樹脂組成物および車両へのガラス部材の取付方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物および車両へのガラス部材の取付方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた破断強度および接着強度が得られ、かつ高いモジュラスが得られる硬化性樹脂組成物、および該硬化性樹脂組成物をシーリング材として用いたダイレクトグレージングによる車両へのガラス部材の取付方法を提供する。
【解決手段】ポリオキシアルキレン鎖にウレタン結合を介して反応性ケイ素基が結合しているオキシアルキレン重合体(A)と、カーボンブラック(B)とを含む硬化性樹脂組成物。また、シーリング材を用いたダイレクトグレージングによって車両にガラス部材を取り付ける方法において、前記硬化性樹脂組成物をシーリング材として用いる、車両へのガラス部材の取付方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物および車両へのガラス部材の取付方法に関する。
自動車等に窓ガラスを取り付ける場合等においては、シーリング材により車体に直接窓ガラスを接着するダイレクトグレージングが行われる。このダイレクトグレージングに用いられるシーリング材は、破断強度、接着強度等に優れ、モジュラス(引張応力)が高いことが必要である。
このような、ダイレクトグレージングによる車両へのガラス部材の取付方法としては、特許文献1に、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と、カーボンブラックと、分子中に架橋性基を有さないオキシアルキレン重合体とを含有するシーリング材を用いる方法が示されている。
しかし、特許文献1のシーリング材はモジュラスが充分でないことがある。そのため、より優れたモジュラスが得られるシーリング材を用いたガラス部材の車両への取付方法が望まれている。
特開平9−165507号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、優れた破断強度および接着強度が得られ、かつ高いモジュラスが得られる硬化性樹脂組成物、および該硬化性樹脂組成物をシーリング材として用いたダイレクトグレージングによる車両へのガラス部材の取付方法を提供する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン鎖にウレタン結合を介して反応性ケイ素基が結合しているオキシアルキレン重合体(A)と、カーボンブラック(B)とを含むことを特徴とする。
また、本発明の車両へのガラス部材の取付方法は、シーリング材を用いたダイレクトグレージングによって車両にガラス部材を取り付ける方法において、前記硬化性樹脂組成物をシーリング材として用いる方法である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、優れた破断強度および接着強度が得られ、かつ高いモジュラスが得られる。
また、本発明の方法によれば、前記硬化性樹脂組成物をシーリング材として用いたダイレクトグレージングにより、高強度な車両へのガラス部材の取り付けが行える。
[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、オキシアルキレン重合体(A)とカーボンブラック(B)とを含む組成物である。
(オキシアルキレン重合体(A))
オキシアルキレン重合体(A)は、分子中にポリオキシアルキレン鎖を有しており、該ポリオキシアルキレン鎖にウレタン結合を介して反応性ケイ素基が結合している重合体である。
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれるオキシアルキレン重合体(A)は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
オキシアルキレン重合体(A)におけるポリオキシアルキレン鎖は、開始剤である活性水素原子を有する化合物に、アルキレンオキシドを開環重合させて得られる鎖である。
活性水素原子を有する化合物は、活性水素原子を有する有機化合物であることが好ましく、水酸基またはアミノ基を有する有機化合物であることがより好ましく、水酸基1〜4個を有する有機化合物であることが特に好ましい。
活性水素原子を有する有機化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のアルコール類;ポリオキシプロピレンモノオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンモノオール、ポリオキシエチレンジオール、およびポリオキシエチレントリオールからなる群から選ばれる、水酸基1個あたりの数平均分子量(Mn)が300〜1500の重合体状のアルコールが挙げられる。
活性水素原子を有する化合物は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。活性水素原子を有する化合物を2種以上併用する場合には、水酸基2個を有する重合体状アルコールと、水酸基3個を有する重合体状アルコールとを用いることが好ましい。
開環重合させるアルキレンオキシドは、炭素原子数2〜6のアルキレンオキシドであることが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、およびヘキシレンオキシドからなる群から選ばれる1種以上のアルキレンオキシドであることがより好ましく、プロピレンオキシドであることが特に好ましい。
開環重合させるアルキレンオキシドが2種以上である場合は、それらはブロック状に重合させてもよく、ランダム状に重合させてもよい。
本発明における反応性ケイ素基とは、下記一般式(I)に示すように、加水分解反応と縮合反応によりシロキサン結合を生じ得る基を意味する。
−Si(−X(−R3−a ・・・(I)
(式中、Xは炭素原子数1〜6のアルコキシ基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の1価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表す。ただし、Rが複数存在する場合はそれらのRは互いに同一でも異なっていてもよく、Xが複数存在する場合はそれらのXは互いに同一でも異なっていてもよい。)
上式(I)におけるXは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、またはヘキシルオキシ基であることが好ましく、メトキシ基であることが特に好ましい。
上式(I)におけるRは、炭素原子数8以下のアルキル基、炭素原子数8以下のフルオロアルキル基またはフェニル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基であることがより好ましい。
反応性ケイ素基は、硬化が速い点から、上式(I)におけるaが3であることが好ましい。すなわち、下記一般式(I−1)で表される反応性ケイ素基であることが好ましい。
−Si(−X ・・・(I−1)
上式(I−1)におけるXは、上式(I)におけるXと同じ意味である。また、上式(I−1)におけるXは、それぞれが同一の基であってもよく、異なる基であってもよく、同一の基であることが好ましい。
また、オキシアルキレン重合体(A)は、硬化が速い点から、上式(I)におけるaが2で、かつ上式(I)で表される反応性ケイ素基とウレタン結合との間にメチレン基が介在していることが好ましい。
また、本発明におけるオキシアルキレン重合体(A)は、ポリオキシアルキレン鎖の側鎖または末端における置換基として前記反応性ケイ素基を有する。なかでも、ポリオキシアルキレン鎖の末端に反応性ケイ素基を有することが好ましい。
オキシアルキレン重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、末端基1個あたり、1000〜20000であることが好ましく、3000〜10000であることがより好ましい。ただし、本発明における数平均分子量(Mn)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりテトラヒドロフランを移動相として測定される標準ポリスチレンを基準として換算した数平均分子量を意味する。また、質量平均分子量(Mw)とは、同様のGPCで測定した質量平均分子量を意味する。
オキシアルキレン重合体(A)の末端基1個あたりの数平均分子量(Mn)が1000以上であれば、硬化性樹脂組成物の硬化性が良好となる。また、オキシアルキレン重合体(A)の末端基1個あたりの数平均分子量(Mn)が20000以下であれば、押し出し性が良好となり、作業性が向上する。
また、オキシアルキレン重合体(A)のMw/Mnは、3.0以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.5以下であることが特に好ましい。
オキシアルキレン重合体(A)は、下記一般式(II)で表されるイソシアネート基含有化合物(U)と、ポリオキシアルキレン鎖および水酸基を有する水酸基含有重合体(pA)とを反応させて得られるオキシアルキレン重合体(A−1)であることが好ましい。
(Si(−X(−R3−a)−Q−NCO ・・・(II)
(式中、X、R、およびaは、上式(I)におけるX、R、およびaと同じ意味であり、Xは炭素原子数1〜6のアルコキシ基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の1価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表す。また、Qは炭素原子数1〜20の2価の有機基を表す。ただし、Rが複数存在する場合はそれらのRは互いに同一でも異なっていてもよく、Xが複数存在する場合はそれらのXは互いに同一でも異なっていてもよい。)
上式(II)におけるQは、炭素原子数1〜10のアルキレン基であることが好ましく、入手容易性の点から、トリメチレン基、メチレン基であることがより好ましい。
イソシアネート基含有化合物(U)は、aが3であるイソシアネート基含有化合物(U−1)であることが好ましい。
イソシアネート基含有化合物(U−1)の具体例としては、1−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートブチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートペンチルトリメトキシシラン、1−イソシアネートメチルトリエトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートブチルトリエトキシシラン、3−イソシアネートペンチルトリエトキシシラン、1−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、1−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
また、イソシアネート基含有化合物(U)は、aが2、Qがメチレン基であるイソシアネート基含有化合物(U−2)であることが好ましい。
イソシアネート基含有化合物(U−2)の具体例としては、1−イソシアネートメチルジメトキシメチルシランが挙げられる。
イソシアネート基含有化合物(U−1)、イソシアネート基含有化合物(U−2)を用いることにより、硬化速度が良好なオキシアルキレン重合体(A−1)が得られる。
オキシアルキレン重合体(A−1)の製造に用いられる水酸基含有重合体(pA)は、ポリオキシアルキレン鎖と水酸基を有する重合体であり、該水酸基含有重合体(pA)におけるポリオキシアルキレン鎖は、上述したオキシアルキレン重合体(A)におけるポリオキシアルキレン鎖と同じである。
水酸基含有重合体(pA)の水酸基1個あたりの数平均分子量(Mn)は、1000〜20000であることが好ましく、3000〜10000であることがより好ましい。
また、水酸基含有重合体(pA)は、それよりも分子量の低い水酸基含有重合体(pB)にジイソシアネートを反応させることにより得られる、内部にウレタン結合を介して、両末端に水酸基を有する重合体であってもよい。前記水酸基含有重合体(pB)は、ポリオキシアルキレン鎖と水酸基を有する重合体である。また、水酸基含有重合体(pB)の数平均分子量(Mn)は、水酸基含有重合体(pA)の数平均分子量(Mn)の1/6〜1/2であることが好ましく、1/4〜1/2であることがより好ましい。
水酸基含有重合体(pA)は、複合金属シアン化物錯体の存在下、活性水素原子を有する化合物にアルキレンオキシドを開環重合させて得られた水酸基含有重合体(pA−1)であることが好ましい。
複合金属シアン化物錯体は、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体であることが好ましい。
有機配位子は、エーテル系配位子またはアルコール系配位子であることが好ましい。エーテル系配位子の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。アルコール系配位子の具体例としては、tert−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、iso−ペンチルアルコール、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルが挙げられる。
特に好ましい複合金属シアン化物錯体は、亜鉛ヘキサシアノコバルテートである。
複合金属シアン化物錯体を触媒として得られた水酸基含有重合体(pA−1)をイソシアネート基含有化合物(U)とのウレタン化反応に用いる場合、重合残渣として含まれる複合金属シアン化物錯体を精製除去した後にウレタン化反応を行ってもよく、複合金属シアン化物錯体を精製除去せずにウレタン化反応を行ってもよい。複合金属シアン化物錯体は、開環重合の触媒として機能するだけでなく、ウレタン化反応の触媒としても機能すると考えられる。そのため、水酸基含有重合体(pA−1)に重合残渣として含まれる複合金属シアン化物を精製除去せずに水酸基含有重合体(pA−1)とイソシアネート基含有化合物(U)とをウレタン化反応させると、ウレタン化反応がより効率的に進行するという効果が得られる。
水酸基含有重合体(pA)とイソシアネート基含有化合物(U)とのウレタン化反応において、使用される水酸基含有重合体(pA)の水酸基の総数(NOH(モル))に対する、イソシアネート基含有化合物(U)のイソシアネート基の総数(NNCO(モル))のモル比(NNCO/NOH)は、0.80〜1.10であることが好ましく、0.85〜1.05であることがより好ましい。
NCO/NOHの値が前記範囲内であれば、得られるオキシアルキレン重合体(A)の貯蔵安定性がより良好となる。その理由は、NNCO/NOHの値が前記範囲内であると、得られたオキシアルキレン重合体(A)中に水酸基が残存しても、該水酸基とオキシアルキレン重合体(A)中の反応性ケイ素基との架橋反応が抑制され、貯蔵中の増粘が抑えられるためであると考えられる。また、ウレタン化反応における副反応(アロファネート化反応、イソシアヌレート化反応等。)が抑制され、該副反応による反応性ケイ素基の生成が生じ難く、貯蔵中の増粘が生じ難くなると考えられる。
水酸基含有重合体(pA)とイソシアネート基含有化合物(U)とのウレタン化反応の触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート等の有機スズ化合物、ビスマス化合物、有機アミン等の塩基触媒等、公知のウレタン化触媒を用いることができる。また、ナフテン酸鉄および/またはオクチル酸鉄からなる鉄触媒を用いることができる。さらには、水酸基含有重合体(pA)の合成に用いた複合金属シアン化錯体の残渣をそのままウレタン化触媒としても用いることもできる。このうち、オキシアルキレン重合体(A)の貯蔵安定性の点から、硫黄原子を含むスズ化合物や、ナフテン酸鉄を用いることが好ましい。
反応温度は、50〜200℃であることが好ましく、70〜150℃であることが特に好ましい。また、ウレタン化反応は、不活性ガス(窒素ガスが好ましい。)雰囲気下で行うことが好ましい。
ウレタン化反応の触媒として水酸基含有重合体(pA)の合成に用いた複合金属シアン化物錯体の残渣をそのままを用いる場合、該触媒の使用量はウレタン化反応が良好に進行する量であればよく、水酸基含有重合体(pA)の質量に対して、金属量換算で5〜500ppmであることが好ましく、5〜200ppmであることがより好ましく、8〜100ppmであることがさらに好ましく、10〜80ppmであることが特に好ましい。前記触媒使用量が5ppm以上であれば、ウレタン化反応が充分に進み易く、500ppm以下であれば、良好な長期貯蔵安定性を有するオキシアルキレン重合体(A)が得られやすい。
前記硫黄原子を含むスズ化合物の具体例としては、(n−C17Sn(SCHCOO)、(n−C17Sn(SCHCHCOO)、(n−C17Sn(SCHCOOCHCHOCOCHS)、(n−CSn(SCHCOOC17、(n−C17Sn(SCHCOOC17、(n−C17SnS等の化合物が挙げられる。硫黄原子を含むスズ化合物をウレタン化触媒として用いる場合、触媒の使用量は、水酸基含有重合体(pA)に対して(質量基準)、0.5〜100ppmであることが好ましく、1〜60ppmであることがより好ましい。前記触媒の使用量が0.5ppm以上であれば、ウレタン化反応が良好に進みやすい。また、前記触媒の使用量が100ppm以下であれば、得られたオキシアルキレン重合体(A)の貯蔵安定性が良好となる。
前記ナフテン酸鉄は、ナフテン酸の鉄塩からなる鉄触媒である。ナフテン酸とは、石油原油中に存在するカルボン酸の代表的なものである。化学構造は単一でなく、分子量も異なる酸の混合物であり、主に飽和単環モノカルボン酸(C2n−1COOH)、飽和複環モノカルボン酸(C2n−3COOH)、および脂肪族モノカルボン酸(C2n+1COOH)を構成成分とする。本発明におけるナフテン酸鉄を構成するナフテン酸は、脂肪族を含まないナフテン酸が好ましく、飽和単環モノカルボン酸、飽和複環モノカルボン酸などのナフテン環を有する飽和モノカルボン酸がより好ましい。
ナフテン酸と塩を形成する鉄金属(Fe)は2価以上の鉄が好ましく、2価のFe(II)がより好ましい。
ナフテン酸鉄は市販品から入手可能であり、たとえば、ナフテン環を有する飽和モノカルボン酸の鉄(II)塩を主成分とするナフテン酸鉄として、ナフテックス鉄(商品名、日本化学産業社製、Fe含有量:5質量%の溶液)を用いることができる。
前記オクチル酸鉄は、オクチル酸(CCH(C)COOH)の鉄塩からなる鉄触媒である。
オクチル酸と塩を形成する鉄金属(Fe)は2価以上の鉄が好ましく、3価のFe(III)がより好ましい。
オクチル酸鉄は市販品から入手可能であり、たとえば、オクチル酸の鉄(III)塩(2−エチルヘキシル酸第二鉄)として、ニッカオクチックス鉄(商品名、日本化学産業社製、Fe含有量:6質量%)を用いることができる。
オキシアルキレン重合体(A)は、反応触媒残渣として含まれる鉄触媒を除去することなく使用できる。
触媒としてナフテン酸鉄および/またはオクチル酸鉄からなる鉄触媒を用いる場合、鉄触媒の使用量は、水酸基含有重合体(pA)に対して(質量基準)、0.5〜100ppmであることが好ましく、1〜50ppmであることがより好ましい。前記鉄触媒の使用量が0.5ppm以上であれば、ウレタン化反応が良好に進む。また、前記鉄触媒の使用量が100ppm以下であれば、得られたオキシアルキレン重合体(A)の貯蔵安定性が良好となる。
また、複合金属シアン化物錯体を用いて製造した水酸基含有重合体(pA−1)を用いる場合、該水酸基含有重合体(pA−1)の製造において使用した複合金属シアン化物錯体の使用量が100ppm以上であれば、鉄触媒の使用量は0.5〜50ppmが好ましく、1〜20ppmがより好ましい。また、複合金属シアン化物錯体の使用量が100ppm未満の場合は、鉄触媒の使用量は0.5〜100ppmが好ましく、1〜50ppmがより好ましい。
また、本発明においては、水酸基含有重合体(pB)に過剰のジイソシアネートを反応させることにより得られる、末端にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン重合体(pZ)に、アミノ基を有するシリル基含有化合物を反応させたオキシアルキレン重合体(A)を用いてもよい。
(カーボンブラック(B))
カーボンブラック(B)は、シーリング材における補強材としての役割を果たす。
カーボンブラック(B)は、公知のものを用いることができ、たとえば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。
カーボンブラック(B)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物中のカーボンブラック(B)の含有量は、オキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましく、10〜40質量部であることが特に好ましい。
前記カーボンブラックの含有量が5質量部以上であれば、カーボンブラック(B)の補強材としての効果が充分に得られやすい。また、前記カーボンブラックの含有量が60質量部以下であれば、ガラス部材の取り付けの作業性が良好となる。
(オキシアルキレン重合体(C))
本発明の硬化性樹脂組成物は、オキシアルキレン重合体(A)およびカーボンブラック(B)以外に下記オキシアルキレン重合体(C)を含んでいてもよい。
オキシアルキレン重合体(C)は、オキシアルキレン重合体(A)以外のオキシアルキレン重合体であり、分子中に架橋性基を有しない重合体である。ただし、前記架橋性基とは、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させる際に架橋・硬化する基のことを意味し、その典型例は反応性ケイ素基である。
オキシアルキレン重合体(C)は、可塑剤として働くことができ、また、貯蔵後に硬化性樹脂組成物を用いた場合であっても硬化速度や、硬化した後の硬度が低下しすぎるのを抑えやすい。
また、本発明におけるオキシアルキレン重合体(C)は、オキシアルキレン重合体(A)の反応性ケイ素基と反応する官能基を有していないことが好ましい。反応性ケイ素基と反応する官能基としては、たとえば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、アミド基、ウレタン基、尿素基等が挙げられる。
オキシアルキレン重合体(C)は、ポリオキシアルキレン鎖の末端の水酸基がアルコキシ基やアルケニルオキシ基等に変換された重合体であることが特に好ましい。オキシアルキレン重合体(C)のポリオキシアルキレン鎖は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
オキシアルキレン重合体(C)の数平均分子量(Mn)は、末端基1個あたり、1500〜8000であることが好ましく、1500〜5000であることがより好ましい。また、オキシアルキレン重合体(A)の分子量よりも1000以上小さいことが好ましく、3000以上小さいことがより好ましい。
硬化性樹脂組成物中のオキシアルキレン重合体(C)の含有量は、オキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、5〜80質量部であることが好ましく、5〜40質量部であることがより好ましく、10〜40質量部であることが特に好ましい。
前記オキシアルキレン重合体(C)の含有量が5質量部以上であれば、可塑剤としての効果が充分に得られやすい。また、前記オキシアルキレン重合体(C)の含有量が80質量部以下であれば、破断強度、接着強度等を低下させるおそれが少ない。
(その他の成分)
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、前記オキシアルキレン重合体(A)及びカーボンブラック(B)の他に、硬化触媒、充填剤、可塑剤、接着性付与剤、脱水剤、チキソ性付与剤、老化防止剤等を含んでいてもよい。また、オキシアルキレン重合体(A)以外に反応性ケイ素基を有する成分を併用してもよい。
硬化触媒は、オキシアルキレン重合体(A)の反応性ケイ素基における加水分解反応および/または架橋反応を促進する化合物である。具体例としては、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、等の有機スズ(IV)カルボン酸塩;(n−CSn(SCHCOO)、(n−C17Sn(SCHCOO)、(n−C17Sn(SCHCHCOO)、(n−C17Sn(SCHCOOCHCHOCOCHS)、(n−CSn(SCHCOO(iso−C17))、(n−C17Sn(SCHCOO(iso−C17))、(n−C17Sn(SCHCOO(n−C17))、および(n−CSnS等の含硫黄有機スズ化合物;(n−CSnO、および(n−C17SnO等の有機スズオキシド;前記有機スズオキシドと、たとえばエチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、およびフタル酸ジオクチル等からなる群から選ばれるエステル化合物との反応生成物;(n−CSn(acac)、(n−C17)2Sn(acac)、(n−CSn(OC17)(acac)、(n−CSn(OC(CH)CHCO、(n−C17Sn(OC(CH)CHCO、(n−CSn(OC17)(OC(CH)CHCO)等のキレートスズ化合物(ただし、前記acacはアセチルアセトナト配位子を表し、OC(CH)CHCOはエチルアセトアセテート配位子を表す。);前記キレートスズ化合物と、たとえば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、およびテトラプロポキシシラン等からなる群から選ばれるアルコキシシランとの反応生成物;ならびに、(n−C(CHCOO)SnOSn(OCOCH)(n−C、および(n−C(CHO)SnOSn(OCH)(n−C等の−SnOSn−結合含有有機スズ化合物等の4価のスズ化合物が挙げられる。
また、ビス(2−エチルヘキサン酸)スズ、ジ(n−オクチル酸)スズ、ジナフテン酸スズ、およびジステアリン酸スズ等の2価スズカルボン酸塩類;オクチル酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、およびフタル酸等の酸性化合物類;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、およびラウリルアミン等の脂肪族モノアミン類;エチレンジアミンおよびヘキサンジアミン等の脂肪族ジアミン類;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびテトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン類;ピペリジンおよびピペラジン等の複素環式アミン類;メタフェニレンジアミン等の芳香族アミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;ならびに、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン等のアミン化合物類;N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を含有するアミン化合物等が挙げられる。
これらの化合物は1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。2種類以上を併用する場合は、たとえば、活性の異なる有機スズ(IV)化合物の併用、または有機スズ(IV)化合物とアミン化合物の併用が好ましい。
硬化触媒は、オキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して0.001〜10質量部を使用することが好ましい。硬化触媒の使用量を0.001質量部以上にすることにより硬化性樹脂組成物の硬化速度を有効に促進でき、10質量部以下にすることにより機械物性や耐候性の低下を防止しやすい。
なお、硬化性樹脂組成物に、オキシアルキレン重合体(A)以外の、反応性ケイ素基を有する他の硬化成分が含まれる場合、硬化触媒の使用量は、オキシアルキレン重合体(A)と他の硬化成分の合計量100質量部に対して前記範囲内とすることが好ましい。
充填剤としては、たとえば、脂肪酸または樹脂酸系有機物で表面処理した炭酸カルシウム、前記炭酸カルシウムをさらに微粉末化した平均粒径1μm以下の膠質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウム、その他の炭酸カルシウム類、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラスバルーン、有機樹脂バルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、およびフリント粉末等の粉体状充填剤;ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、およびポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤等が挙げられる。
特に、前記ガラスバルーンや有機樹脂バルーンを用いると、硬化性樹脂組成物の比重を大幅に小さくできる。
充填剤を用いる場合、その使用量はオキシアルキレン重合体(A)(他の硬化成分を含む場合はそれを併せた合計量)100質量部に対して、1000質量部以下が好ましく、50〜250質量部が特に好ましい。充填剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可塑剤としては公知の可塑剤が使用でき、たとえば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、およびフタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ビス(2−メチルノニル)、セバシン酸ジブチル、およびオレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ペンタエリスリトールエステル等のアルコールエステル類;リン酸トリオクチルおよびリン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、およびエポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;塩素化パラフィン;2塩基酸と2価アルコールを反応させて得られるポリエステル類等のポリエステル系可塑剤類;ポリオキシプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類;ポリ−α−メチルスチレンおよびポリスチレン等のスチレン系のオリゴマー類;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水素添加ポリブテン、およびエポキシ化ポリブタジエン等のオリゴマー類等の高分子可塑剤類が挙げられる。充填剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可塑剤を用いる場合、その使用量はオキシアルキレン重合体(A)(他の硬化成分を含む場合はそれを併せた合計量)100質量部に対して、1000質量部以下が好ましい。
特に、硬化性樹脂組成物をダイレクトグレージング用のシーリング材に用いる場合は、可塑剤を用いない方が硬化物からのブリードアウト量(液状成分)を少なくすることができ、塗膜汚染が少ない等の点で好ましい。
接着性付与剤を使用することにより、硬化性樹脂組成物と基材(車両本体、ガラス部材等)との接着性を改良することができる。接着性付与剤としては(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類、およびカルボキシル基含有シラン類等のいわゆるシランカップリング剤として知られる化合物が挙げられる。
これらの接着性付与剤は1種のみを使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらの接着性付与剤を用いる場合、その使用量はオキシアルキレン重合体(A)(他の硬化成分を含む場合はそれを併せた合計量)100質量部に対して、30質量部以下が好ましい。接着性付与剤の使用量が30質量部以下であれば、硬化性樹脂組成物が硬くなって柔軟性が小さくなりすぎることを防ぎやすい。
また、接着性付与剤として、エポキシ樹脂を使用してもよく、所望によりエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を併用してもよい。エポキシ樹脂を硬化性樹脂組成物に添加する場合、その使用量は、オキシアルキレン重合体(A)(他の硬化成分を含む場合はそれを併せた合計量)100質量部に対して100質量部以下が好ましい。エポキシ樹脂の使用量が100質量部以下であれば、得られる硬化物の硬度が高くなって柔軟性が小さくなりすぎることを防ぎやすい。
脱水剤を使用することにより硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性を高めることができる。特に硬化性樹脂組成物をいわゆる1液型配合、すなわち密封容器から大気中に出しただけで大気中の湿分により硬化成分が硬化する配合とした場合には、脱水剤を用いることが好ましい。
脱水剤としては、オルトギ酸アルキル類;オルト酢酸アルキル類;メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、およびテトラエトキシシラン等の加水分解性有機シリコン化合物;加水分解性有機チタン化合物等が挙げられる。
脱水剤を硬化性樹脂組成物に添加する場合、その使用量はオキシアルキレン重合体(A)(他の硬化成分を含む場合はそれを併せた合計)100質量部に対して30質量部以下が好ましい。脱水剤の使用量が30質量部以下であれば、硬化性樹脂組成物の硬化が遅くなりすぎることを防ぎやすい。
チキソ性付与剤を添加することによりタレを防止できる。チキソ性付与剤は特に限定されないが、たとえば、水素添加ひまし油、および脂肪酸アミド等が挙げられる。硬化性樹脂組成物にチキソ性付与剤を添加する場合の使用量は、所望のタレ止め性が得られる量を適宜選択できる。
老化防止剤を添加することにより、耐候性および耐光性を高めることができる。老化防止剤は特に限定されず、一般にポリウレタン樹脂等に添加される酸化防止剤、紫外線吸収剤、および光安定剤等からなる群から選ばれる添加剤を用いることができる。具体的に、老化防止剤としては、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエ−ト系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、および硫黄系の各種老化防止剤が知られており、これらの中から適宜好ましい化合物を選択して硬化性樹脂組成物に添加できる。
硬化性樹脂組成物には、上述した添加剤の他にも所望の添加剤を適宜添加することができる。たとえば、酸化鉄、酸化クロム、および酸化チタン等の無機顔料、フタロシアニンブルーおよびフタロシアニングリーン等の有機顔料、防かび剤、ならびに発泡剤等を添加してもよい。
[取付方法]
本発明の車両へのガラス部材の取付方法は、シーリング材として前記硬化性樹脂組成物を用いる方法である。
前記硬化性樹脂組成物において、オキシアルキレン重合体(A)、カーボンブラック(B)、および必要があれば他の成分を混合する方法は特に限定されず、たとえば、それら各成分を配合、混練する方法、または各成分を溶剤に溶解させた後に混合する方法等、公知の方法を用いればよい。また、硬化性樹脂組成物は、予め硬化触媒を配合して脱水状態にした一液型として使用してもよく、硬化させる直前に硬化触媒を混合させる二液型として使用してもよい。
本発明の車両へのガラス部材の取付方法は、前記硬化性樹脂組成物をシーリング材として用いて、ダイレクトグレージングにより行う。ダイレクトグレージングは、従来公知の方法を用いることができる。車両としては、たとえば、自動車、バス、鉄道車両等が挙げられる。
以上説明した本発明の硬化性樹脂組成物は、優れた破断強度および接着強度と、高いモジュラスが得られる。また、本発明の方法によれば、前記硬化性樹脂組成物をシーリング材として用いたダイレクトグレージングにより、高強度な車両へのガラス部材への取り付けが行える。
これは、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれるオキシアルキレン重合体(A)が、分子中にウレタン結合を有しているため、該ウレタン結合による水素結合等の相互作用によって分子間の凝集力が向上し、得られる硬化性樹脂組成物の凝集力が高くなることで優れたモジュラスが得られるためであると考えられる。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[合成例1]水酸基含有重合体(pA1)の調製
配位子がtert−ブチルアルコールである亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒の存在下、ポリオキシプロピレンジオール(水酸基1個あたりのMnが500)にプロピレンオキシドを開環重合させてポリオキシアルキレンジオール(水酸基1個あたりのMnが7500、水酸基価7.5mgKOH/g)(以下、水酸基含有重合体(pA1)という。)を得た。亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒由来のコバルト原子および亜鉛原子の合計残存量は、約50ppmであった。
[製造例1]オキシアルキレン重合体(A1)の調製
合成例1で得られた水酸基含有重合体(pA1)を用いてオキシアルキレン重合体(A1)を製造した。
耐圧反応器(内容積5L)に水酸基含有重合体(pA1)を400g入れ、内温を120℃に保持しながら減圧脱水した。つぎに、反応器内雰囲気を窒素ガスに置換し、内温を50℃に保持しながら、触媒として硫黄原子を含むスズ化合物:(n−C17Sn(SCHCOOC17を0.2g(水酸基含有重合体(pA1)に対して硫黄原子を含むスズ化合物が約50ppm)添加し、撹拌した後、NNCO/NOHが0.95/1となるように、下式(1)で表されるイソシアネート基含有化合物(U1)(純度95%)を11.2g投入した。
Si(−OCH−CHCHCHNCO ・・・(1)
ついで、内温を80℃に4時間保持して、水酸基含有重合体(pA1)とイソシアネート基含有化合物(U1)をウレタン化反応させた。反応終了後、IR測定にて、イソシアネート基含有化合物(U1)に起因するピークが消失していることが確認され、さらにNMR測定にて、オキシプロピレン鎖と「(Si(−OCH)−CHCHCHNHCOO−」で表される置換基を有するオキシアルキレン重合体(A1)の生成が確認された。また、反応後、安定剤としてイルガノックス 1076(酸化防止剤、チバスペシャリティーケミカル社製)を水酸基含有重合体(pA1)100質量部に対して0.5質量部、メルカプトプロピル(トリメトキシ)シランを600ppm加えた。
[製造例2]ウレタン結合を有さないオキシアルキレン重合体(a1)の調製
合成例1で得られた水酸基含有重合体(pA1)を用いてウレタン結合を有さないオキシアルキレン重合体(a)を製造した。
耐圧反応器(内容積5L)に水酸基含有重合体(pA1)を入れ、水酸基のモル数に対し、1.1倍当量のナトリウムメチラート(純度20%品)を加え、内温を1時間掛けて60℃に昇温させた。その後、真空ポンプを用いて、系を減圧にしたまま、内温を110℃に昇温させ、そのまま、2時間減圧脱水を行った。その後、40℃に温度を下げ、耐圧反応器中に、水酸基のモル数に対し、1.2倍当量のアリルアルコールを加え、120℃まで昇温し、10時間反応させた。反応後、真空ポンプを用いて、未反応のアリルアルコールを除いた後、生じた塩を特許第3981162号公報に記載の精製方法を用いて除き、末端に不飽和基を有するポリオキシアルキレン重合体を得た。ついで、塩化白金触媒存在下に、このポリオキシアルキレン重合体の末端不飽和基のモル数に対し、0.85モルのメチルジメトキシハイドロシランを加え、80℃にて、8時間反応させた。反応後、真空ポンプを用いて、未反応のハイドロシランを除き、ウレタン結合を有さないオキシアルキレン重合体(a1)を得た。
カーボンブラック(B)は、以下に示すものを用いた。
カーボンブラック(B1):PG141カーボンブラック(ホルベイン工業株式会社製)
また、オキシアルキレン重合体(C)として、以下で示す方法により得たオキシアルキレン重合体(C1)を用いた。
オキシアルキレン重合体(C1):ナトリウムメチラート由来のアルカリ触媒を用いて、ブタノールから数平均分子量(Mn)700のモノオールを得た。ついで、これを精製してアルカリ成分を除いた後に、配位子がtert−ブチルアルコールである亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒の存在下、プロピレンオキシドを開環重合させてポリオキシアルキレンモノオール(水酸基1個あたりのMnが5000、水酸基価11.2mgKOH/g)(以下、オキシアルキレン重合体(C1)という。)を得た。亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒由来のコバルト原子および亜鉛原子の合計残存量は、約50ppmであった。
[実施例1]
製造例1で得られたオキシアルキレン重合体(A1)100gに、カーボンブラック(B1)を10g添加し、さらに充填剤として表面処理炭酸カルシウム(商品名:白艶化CCR、白石カルシウム社製)を120g、可塑剤としてオキシアルキレン重合体(C1)を50g、脱水剤としてビニルトリメトキシシランを5g添加し、手で混合した後、3本ロールで均一な混合物にした。
その後、該混合物に硬化触媒としてジブチルスズジラウレートを2g加え、攪拌混合して硬化性樹脂組成物を得た。
[実施例2]
カーボンブラック(B)および白艶化CCRの組成を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
[比較例1〜2]
オキシアルキレン重合体(A1)の代わりにウレタン結合を有さないオキシアルキレン重合体(a1)を用いる以外は、実施例1〜2と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
実施例および比較例で得られた硬化性樹脂組成物の評価は、下記に示す引張試験と接着性試験により行った。
[引張試験]
実施例および比較例で得られた硬化性樹脂組成物を厚さ約2mmのシート状とし、23℃、湿度50%にて7日間硬化養生した。この後、50℃、湿度65%にて7日間養生し、養生装置から各試験体を取り出した。この試験体を23℃、湿度50%の条件下に1日放置してシート状の硬化物を得た。
ついで、前記シート状の硬化物を3号ダンベルの形状に打抜いたサンプルについて、JIS K6251に準拠する方法で引張試験を行った。測定は引張速度500mm/分で行い、50%引張時の応力(表には「M50」と記載する。単位:N/mm)、最大伸び(単位:%)および最大引張応力(表には「Tmax」と記載する。単位:N/mm)を測定した。
[接着性試験]
被着体との接着性を確認するため、実施例および比較例で得られた硬化性樹脂組成物を用い、JIS A5758に準拠する方法でH型試験体を作成した。被着体としては、表面陽極酸化アルミニウムを用いた。サンプル2個についてH型試験体の引張測定を行い、硬化物の破壊形態を目視にて観察した。界面剥離が生じず、硬化物の破断が生じたサンプルの数から、凝集破壊率を求めた。この凝集破壊率が高いほど、引張りによる硬化物の切断(破壊)が発生しており、被着体との接着性が良好であることを意味する。
引張試験および接着性試験の結果を表1に示す。
Figure 2009149761
表1に示すように、本発明の硬化性樹脂組成物である実施例1および2は、最大引張応力が高く破断強度に優れていた。また、50%引張時の応力が高くモジュラスにも優れており、接着性試験における被着体への接着性も良好であった。
一方、オキシアルキレン重合体(A1)の代わりにウレタン結合を有さないオキシアルキレン重合体(a1)を用いた比較例1の硬化性樹脂組成物では、接着性試験における被着体への接着性は良好であるものの、用いたカーボンブラック(B)の組成が同じである実施例1に比べて破断強度、モジュラスが共に劣っていた。同様に、比較例2の硬化性樹脂組成物についても、接着性試験における被着体への接着性は良好であるものの、用いたカーボンブラック(B)の組成が同じである実施例2に比べて破断強度、モジュラスが共に劣っていた。

Claims (2)

  1. ポリオキシアルキレン鎖にウレタン結合を介して反応性ケイ素基が結合しているオキシアルキレン重合体(A)と、カーボンブラック(B)とを含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. シーリング材を用いたダイレクトグレージングによって車両にガラス部材を取り付ける方法において、前記シーリング材として請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を用いる、車両へのガラス部材の取付方法。
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