JP2009145220A - 歯周病の診断方法及び歯周病診断キット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを指標とし、検出手段が免疫学的測定法であることを特徴とする歯周病の診断方法。
唾液又は歯肉溝浸出液を採取する手段と、唾液又は歯肉浸出液中のβ−デフェンシンを免疫学的測定法により検出又は測定する手段とを含み、前記唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを検出又は測定することを特徴とする歯周病診断キット。
【効果】本発明の歯周病の診断方法及び診断キットによれば、歯周病の有無の診断あるいはその進行の予測を迅速に、簡便かつ正確に行うことができる。
【選択図】なし
唾液又は歯肉溝浸出液を採取する手段と、唾液又は歯肉浸出液中のβ−デフェンシンを免疫学的測定法により検出又は測定する手段とを含み、前記唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを検出又は測定することを特徴とする歯周病診断キット。
【効果】本発明の歯周病の診断方法及び診断キットによれば、歯周病の有無の診断あるいはその進行の予測を迅速に、簡便かつ正確に行うことができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを免疫学的測定法により検出又は測定することにより、歯周病の有無あるいは進行を正確かつ簡便に診断することができる歯周病の診断方法及び歯周病診断キットに関する。
歯周病は局所における細菌感染とそれに対する免疫防御反応の結果引き起こされる、歯周組織の破壊と歯槽骨の吸収を伴う慢性炎症疾患である。歯周病の初期症状としては、歯肉の発赤、腫脹、出血が挙げられるが、これらの症状は見過ごされる場合が多く、病状はさらに進行して歯肉の退縮、歯槽骨の吸収が起こり、最終的には歯の喪失に繋がる。歯の喪失を防ぐには適切な治療、処置が必要であり、そのためには歯周病の有無、程度を的確にとらえる診断が重要である。
現在行われている歯周病の診断には、炎症の程度や出血の有無を目視で判断する歯肉炎指数:Gingival Index(GI)、歯肉出血指数:Bleeding Index(BI)、歯周ポケット深さを測定する、歯肉溝滲出液量を測定する、レントゲン撮影により歯槽骨吸収を確認する、歯の動揺を確認する方法等がある。しかし、これらの方法は、歯科医師等の経験を積んだ技術が必要であり、しかも一人当たりの検診時間に長時間を要するという欠点があり、汎用し難い技術であった。
また、歯垢中の歯周病原性細菌、歯肉溝滲出液や唾液に含まれる特定の酵素や特定の蛋白質などを診断指標として、歯周病の程度を判断する方法や、抗ラクトフェリン抗体等の特定の抗体を用いた方法、唾液中の肝細胞増殖因子濃度を測定する方法(特許文献1〜5参照)などが提案されている。しかし、これらの方法は、測定結果と歯周疾患の程度との相関は高いとは言い難く、診断方法として満足できるものではなく、新たな歯周病の診断技術が望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、歯周病の有無の診断あるいはその進行の予測を迅速に、簡便かつ正確に行うことができる歯周病の診断方法及び歯周病診断キットを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため種々検討した結果、ヒトの唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシン、特にβ−デフェンシン2又はβ−デフェンシン3の濃度と歯周病の程度との間に高い相関があり、このヒトの唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを指標とし、β−デフェンシンを検出又は測定することにより、歯周病の有無の診断あるいはその進行を予測できること、更に、β−デフェンシンを検出又は測定を、抗β−デフェンシン抗体を用いた免疫学的測定法、特に酵素免疫測定法(ELISA法)により行うことで、検体(ヒトの唾液又は歯肉溝浸出液)中のβ−デフェンシンの存在又は含有量を目視で判定でき、操作も簡単かつ短時間に行うことができ、歯周病の診断をより迅速、かつ簡便にできることを見出し、本発明を完成するに至った。
デフェンシンは、高等生物に存在する抗菌ペプチドの一種で、その構造から大きくα−デフェンシンとβ−デフェンシンに分類され、皮膚、口腔、気管といった外部と接触する上皮組織に存在することが知られている。更に、歯周病原菌に対する殺菌作用を有することから、歯周病のケアに有用であるという報告(非特許文献1参照)や、唾液中のα−デフェンシン1と血清中の炎症マーカーが相関を示すことから、口腔の炎症性疾患のマーカーとしてのα−デフェンシン1の可能性を示唆した報告もある(非特許文献2参照)。しかし、従来の技術は、歯周病診断指標として利用できるほどの精度はなく、また、上記報告では、α−デフェンシン1の測定に高速液体クロマトグラフを使用しており、操作が面倒で簡便性に劣るもので、歯周病の診断技術としては採用し難い。
なお、国際公開第03/076614号パンフレット(特許文献6)には、デフェンシン産生の消長が歯周疾患の発病に密接に関わることから、デフェンシンの発現を制御するデフェンシン遺伝子の発現能力を制御するプロモーター活性の変動を調べることにより、歯周疾患の罹患感受性を推定するためのデータを得る方法が提案されている。
このようにデフェンシンが歯周疾患に関連することは知られているが、本発明では、唾液又は歯肉溝浸出液中のデフェンシン、とりわけβ−デフェンシン2又はβ−デフェンシン3を指標とすること、特にβ−デフェンシンを免疫学的測定法で検出又は測定することにより、更には、唾液又は歯肉溝浸出液を採取する手段と、唾液又は歯肉浸出液中のβ−デフェンシンを免疫学的測定法により検出又は測定する手段とを含むキットで、前記唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを検出又は測定することにより、煩雑な前処理等を行うことなく、簡便な操作で短時間に、しかも、潜血を用いた方法や高速液体クロマトグラフによる測定方法に比較して高精度に歯周病の有無の診断あるいはその進行の予測を行うことができ、汎用性が高いものである。
従って、本発明は、唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを指標とし、検出手段が免疫学的測定法であることを特徴とする歯周病の診断方法、及び唾液又は歯肉溝浸出液を採取する手段と、唾液又は歯肉浸出液中のβ−デフェンシンを免疫学的測定法により検出又は測定する手段とを含み、前記唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを検出又は測定することを特徴とする歯周病診断キットを提供する。
本発明の歯周病の診断方法及び診断キットによれば、歯周病の有無の診断あるいはその進行の予測を迅速に、簡便かつ正確に行うことができる。
以下、本発明につき更に詳細に説明する。本発明の歯周病の診断方法は、唾液又は歯肉溝浸出液中に含まれるβ−デフェンシンを測定し、歯周病の有無あるいはその進行を予測するものであり、歯周病診断キットは、唾液又は歯肉溝浸出液を採取する手段と、唾液又は歯肉浸出液中のβ−デフェンシンを検出又は測定する手段とを含み、前記唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを検出又は測定するものである。
デフェンシンは、高等生物に存在する抗菌ペプチドの一種で、その構造から大きくα−デフェンシンとβ−デフェンシンに分類され、皮膚、口腔、気管といった外部と接触する上皮組織に存在することが知られている。β−デフェンシンは、上皮由来の感染防御因子として機能し、歯肉、舌、唾液腺、他の口腔内で発現し、3種のβ−デフェンシン(β−デフェンシン1,β−デフェンシン2、β−デフェンシン3)が知られている。
本発明では、ヒトの唾液又は歯肉溝浸出液を検体とし、この検体中のβ−デフェンシンを検出又はその濃度を測定するものであり、β−デフェンシンの中でも特にβ−デフェンシン2又はβ−デフェンシン3を検出又はその濃度を測定することが、歯周病の診断に有効である。なお、β−デフェンシン2の重量平均分子量は、MW3371、β−デフェンシン3の重量平均分子量は、MW3486である。
検体としては、口腔内から採取した唾液又は歯肉溝浸出液を用いることができる。
唾液を検体に用いる場合、唾液の種類としては、安静状態で分泌された唾液を吐出して採取した安静唾液、又はパラフィンガムを咀嚼することによって短時間で安静唾液と比較して大量の唾液を採取可能な刺激唾液がある。安静唾液と刺激唾液では、パラフィンガム咀嚼に伴う口腔内刺激の有無によって、唾液の分泌量や歯肉溝液の滲出、口腔内の汚れや細菌数等が異なるとされているが、検体にはいずれをも用いることができる。
唾液の採取手段は、通常の方法を用いることができ、安静状態で口中にたまった唾液を容器に吐出す方法、パラフィンガムを咀嚼することで口中にたまった唾液を容器に吐出す方法などを採用できる。
唾液を検体に用いる場合、唾液の種類としては、安静状態で分泌された唾液を吐出して採取した安静唾液、又はパラフィンガムを咀嚼することによって短時間で安静唾液と比較して大量の唾液を採取可能な刺激唾液がある。安静唾液と刺激唾液では、パラフィンガム咀嚼に伴う口腔内刺激の有無によって、唾液の分泌量や歯肉溝液の滲出、口腔内の汚れや細菌数等が異なるとされているが、検体にはいずれをも用いることができる。
唾液の採取手段は、通常の方法を用いることができ、安静状態で口中にたまった唾液を容器に吐出す方法、パラフィンガムを咀嚼することで口中にたまった唾液を容器に吐出す方法などを採用できる。
口腔内から採取する唾液の量は、0.1〜10mLが好ましく、1〜5mLがより好ましい。0.1mLに満たないと、唾液採取容器から分注や遠心分離処理がやりにくいといった支障をきたし、10mLを超えて採取するには、時間がかかり被験者に負担がかかるといった弊害があることがある。
検体の唾液としては、採取した唾液をそのまま用いる全唾液、唾液を遠心分離して不溶物を除去した唾液上清のいずれをも使用できる。唾液上清はそのまま検体として用いてもよいが、唾液上清を溶媒希釈して用いることが、唾液成分による測定への干渉を低減して、より正確な結果を得られるという点から好ましい。
なお、唾液は、採取直後に検体として使用するか、あるいは保存する場合は、採取後に凍結することなく4〜10℃で低温保存することが望ましいが、予め採取して凍結保存したものを融解して用いてもよい。
なお、唾液は、採取直後に検体として使用するか、あるいは保存する場合は、採取後に凍結することなく4〜10℃で低温保存することが望ましいが、予め採取して凍結保存したものを融解して用いてもよい。
唾液の遠心分離は、回転数3000〜12000rpm、特に5000〜10000rpmで行うことが好ましく、3000rpm未満では、唾液の不溶物を除去できないことがあり、12000rpmを超える条件で処理を行っても結果に変化はない。また、処理時間は5〜30分、特に10〜20分間が好ましい。5分未満では、唾液の不溶物を除去できないことがあり、30分を超えて処理を行っても変化はない。処理温度は25℃以下、特に10℃以下が好ましい。25℃より高いと、唾液に含まれるタンパク分解酵素により唾液成分が変性することがある。
唾液を希釈する場合、希釈溶媒としては、蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝液などを用いることができる。
唾液上清の希釈倍率は、遠心分離して得た上清を2〜5倍希釈することが好ましく、2倍に満たないと唾液成分による干渉を受け、5倍を超えるとデフェンシン濃度が低くなり検出限界に満たない場合がある。
唾液上清の希釈倍率は、遠心分離して得た上清を2〜5倍希釈することが好ましく、2倍に満たないと唾液成分による干渉を受け、5倍を超えるとデフェンシン濃度が低くなり検出限界に満たない場合がある。
また、歯肉溝浸出液を検体として用いる場合は、口腔内の歯肉溝から浸出液を採取して用いる。歯肉溝浸出液の採取手段としては、口腔内の歯肉溝に濾紙片等の液体吸収性を有する検体採取用の支持体を挿入して、浸出液をしみ込ませた後、この浸出液がしみ込んだ濾紙片等の支持体から、抽出溶媒を用いた抽出処理などによりβ−デフェンシンを抽出し、これを歯肉溝浸出液の検体として測定に供することができる。
歯肉溝に濾紙片を挿入し、好ましくは指等で濾紙片を上から歯肉溝に押し当て、30秒〜5分間放置することが、歯肉溝の浸出液を濾紙片に十分にしみ込ませることから望ましい。また、β−デフェンシンの抽出手段としては、溶媒抽出が好ましい。
また、溶媒抽出において、抽出溶媒としては、例えば蒸留水、生理食塩水、リン酸緩衝液等を用いることができ、抽出条件は、歯肉溝の浸出液をしみ込ませた濾紙片をマイクロテストチューブあるいは試験管に入れ、そこに抽出溶媒を50μL〜1mL入れ、ボルテックスミキサー、振とう器で振とう抽出する。抽出後、これを検体として使用することができる。
本発明では、唾液又は歯肉溝浸出液中に含まれるβ−デフェンシンの検出又は測定を免疫学的測定法で行う。免疫学的測定法としては、酵素免疫測定法(ELISA法)、ラテックス凝集法、免疫比濁法など一般的に使用されている方法を用いることができるが、特にELISA法が好適に採用される。
ELISA法による測定は、プラスチックの表面などの固相に、検体、例えば唾液もしくは希釈した唾液50〜200μLを接触させ、溶液中のタンパク質を吸着させた後、目的物質と特異的に反応する抗体を加えると、抗体は固相に吸着した成分の中で目的成分とのみ結合する。そして、結合した抗体と反応して発色する化学物質を用いることで、色の濃さにより結合した抗体量(=目的物質量)が分かるものである。
ELISA法による測定は、プラスチックの表面などの固相に、検体、例えば唾液もしくは希釈した唾液50〜200μLを接触させ、溶液中のタンパク質を吸着させた後、目的物質と特異的に反応する抗体を加えると、抗体は固相に吸着した成分の中で目的成分とのみ結合する。そして、結合した抗体と反応して発色する化学物質を用いることで、色の濃さにより結合した抗体量(=目的物質量)が分かるものである。
ELISA法は、検体中に含まれる目的物質を、酵素標識した抗体又は抗原を用い、抗原抗体反応を利用して定量的に検出する方法であり、目的物質を高感度で検出でき、定量性にも優れた方法である。抗原抗体反応を利用して検出するため粗抽出段階で測定が可能であり、面倒な精製や前処理等の工程を行わなくてもよく、短時間で測定することができる。ELISA法は、測定原理の違いからサンドイッチ法(非競合法)と競合法とに大別されるが、本発明ではどちらの方法を用いてもよい。
抗体は、市販されているものでよく、例えば、anti−beta−Defensin2 Human Rabbit(Acris Antibodies GmbH社製)やanti−beta−Defensin3 Human Rabbit(Acris Antibodies GmbH社製)などが挙げられる。
検出用に使用する酵素標識抗体としては、使用する一次抗体の免疫動物に合わせたアルカリフォスファターゼやペルオキシターゼ標識の2次抗体、例えば、Anti Rabbit IgG ALP(Zymed Laboratories社製)やAnti Rabbit IgG HRP(Zymed Laboratories社製)などが挙げられる。
反応条件は、一般的なELISA反応条件で行い、検出方法は発色の程度を目視で判定する方法や、分光光度計で吸光度を測定する方法があるが、目視による判定が特別な機器を必要とせず、簡便であることから好ましい。検出濃度は、使用する抗体の種類、反応条件により異なるが、β−デフェンシン濃度として8pg/mL以上であれば検出することができる。
検出用に使用する酵素標識抗体としては、使用する一次抗体の免疫動物に合わせたアルカリフォスファターゼやペルオキシターゼ標識の2次抗体、例えば、Anti Rabbit IgG ALP(Zymed Laboratories社製)やAnti Rabbit IgG HRP(Zymed Laboratories社製)などが挙げられる。
反応条件は、一般的なELISA反応条件で行い、検出方法は発色の程度を目視で判定する方法や、分光光度計で吸光度を測定する方法があるが、目視による判定が特別な機器を必要とせず、簡便であることから好ましい。検出濃度は、使用する抗体の種類、反応条件により異なるが、β−デフェンシン濃度として8pg/mL以上であれば検出することができる。
ELISA法による測定には、市販のβ−デフェンシン2又はβ−デフェンシン3測定用キット、例えば、β−Defensin2(Human)ELISA Kit;PHOENIX PHARMA CEUTICALS INC、β−Defensin2(Human)ELISA Development Kit;Pepro Tech EC,Ltd、β−Defensin3(Human)ELISA Kit;PHOENIX PHARMA CEUTICALS INCなどを用いることができる。前述のキットは、競合ELISA法によるもので、抗βデフェンシン2抗体を固定したマイクロプレート、2次抗体としてビオチン化抗β−デフェンシン抗体および検出用ストレプトアビジン化ペルオキシダーゼ溶液からなる。後述のキットは、サンドイッチELISA法によるもので、2種類の抗βデフェンシン2抗体とアビジン標識ペルオキシダーゼ溶液からなる。
本発明の歯周病診断キットは、上記したような唾液又は歯肉溝浸出液を採取する手段と、唾液又は歯肉浸出液中のβ−デフェンシンを検出又は測定する手段とを含み、前記唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを検出又は測定するものであり、剤型は、唾液を採取するための容器、もしくは歯肉溝浸出液を採取するための濾紙片と、免疫学的測定法に用いる抗β−デフェンシン抗体、検出用試薬等を含む検出又は測定手段からなる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において%は特に断らない限り、いずれも質量%である。
[実施例1]
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清を生理食塩水で4倍希釈して唾液溶液とし、これを検体(唾液サンプル)として用いた。
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清を生理食塩水で4倍希釈して唾液溶液とし、これを検体(唾液サンプル)として用いた。
β−Defensin2測定用ELISAキット(β−Defensin2(Human)ELISA Kit;PHOENIX PHARMA CEUTICALS INC)を用い、キット付属のプレートの各ウェルにβ−Defensin2標準液又は唾液サンプル100μLを加え、室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄した後、ビオチン化抗β−デフェンシン2抗体溶液100μLを加え、室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄した後、ストレプトアビジン化ペルオキシダーゼ溶液100μLを加え、室温で30分間インキュベートした。プレートを洗浄した後、基質溶液100μLを加え、室温で20分間インキュベートし、反応停止液100μLを加えた。反応液の色の濃淡を目視により判定した。
反応液の色は、β−デフェンシン2量が検出限界未満の場合は無色で、β−デフェンシン2量が少ないと薄い黄色を呈し、量が多くなるにつれて黄色が濃くなる。β−デフェンシン2の検出限界は8pg/mLであり、この濃度未満では無色、8pg/mL以上100pg/mL未満ではうすい黄色、100pg/mL以上500pg/mL未満では黄色、500pg/mL以上では濃い黄色を呈色する。よって、判定基準は以下の通りとした。なお、試薬は全てキット付属の物を用いた。
判定基準;
0:無色 1:うすい黄色 2:黄色 3:濃い黄色
判定基準;
0:無色 1:うすい黄色 2:黄色 3:濃い黄色
[実施例2]
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清を唾液溶液とし、これを検体(唾液サンプル)とした。
β−Defensin2測定用ELISAキット(β−Defensin2(Human)ELISA Kit;PHOENIX PHARMA CEUTICALS INC)を用い、実施例1と同様に試験を行った。
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清を唾液溶液とし、これを検体(唾液サンプル)とした。
β−Defensin2測定用ELISAキット(β−Defensin2(Human)ELISA Kit;PHOENIX PHARMA CEUTICALS INC)を用い、実施例1と同様に試験を行った。
[実施例3]
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、これをそのまま検体(唾液サンプル)として用い、試験に供した。
β−Defensin2測定用ELISAキット(β−Defensin2(Human)ELISA Kit;PHOENIX PHARMA CEUTICALS INC)を用い、実施例1と同様に試験を行った。
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、これをそのまま検体(唾液サンプル)として用い、試験に供した。
β−Defensin2測定用ELISAキット(β−Defensin2(Human)ELISA Kit;PHOENIX PHARMA CEUTICALS INC)を用い、実施例1と同様に試験を行った。
[実施例4]
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清を生理食塩水で2倍希釈して唾液溶液とし、これを検体(唾液サンプル)として用いた。
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清を生理食塩水で2倍希釈して唾液溶液とし、これを検体(唾液サンプル)として用いた。
β−Defensin2測定用ELISAキット(β−Defensin2(Human)ELISA Development Kit;Pepro Tech EC,Ltd)を用い、96ウェルプレート(H−Type Plate;SUMILON)の各ウェルにβ−Defensin2標準液又は唾液サンプル100μLを加え、室温で1.5時間インキュベートした。プレートを洗浄した後、ビオチン化抗β−デフェンシン2抗体溶液100μLを加え、室温で1.5時間インキュベートした。プレートを洗浄した後、ストレプトアビジン化ペルオキシダーゼ溶液100μLを加え、室温で30分間インキュベートした。プレートを洗浄した後、基質溶液100μLを加え、室温で15分間インキュベートし、反応停止液100μLを加えた。反応液の色の濃淡を目視により判定した。
反応液の色は、β−デフェンシン2量が検出限界未満の場合は無色で、β−デフェンシン2量が少ないと、うすい黄色を呈し、量が多くなるにつれて黄色が濃くなる。β−デフェンシン2の検出限界は8pg/mLであり、この濃度未満では無色、8pg/mL以上100pg/mL未満ではうすい黄色、100pg/mL以上500pg/mL未満では黄色、500pg/mL以上では濃い黄色を呈色する。判定基準は実施例1と同様に行った。なお、試薬は全てキット付属の物を用いた。
[実施例5]
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清を生理食塩水で4倍希釈して唾液溶液とし、これを検体(唾液サンプル)として用いた。
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清を生理食塩水で4倍希釈して唾液溶液とし、これを検体(唾液サンプル)として用いた。
β−Defensin3測定用ELISAキット(β−Defensin3(Human)ELISA Kit;PHOENIX PHARMA CEUTICALS INC)を用い、キット付属のプレートの各ウェルにβ−Defensin3標準液又は唾液サンプル100μLを加え、室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄した後、ビオチン化抗β−デフェンシン3抗体溶液100μLを加え、室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄した後、ストレプトアビジン化ペルオキシダーゼ溶液100μLを加え、室温で30分間インキュベートした。プレートを洗浄した後、基質溶液100μLを加え、室温で20分間インキュベートし、反応停止液100μLを加えた。
反応液の色の濃淡を目視により判定した。反応液の色はβ−デフェンシン3量が検出限界未満の場合は無色で、β−デフェンシン3量が少ないと、うすい黄色を呈し、量が多くなるにつれて黄色が濃くなる。β−デフェンシン3の検出限界は8pg/mLであり、この濃度未満では無色、8pg/mL以上100pg/mL未満ではうすい黄色、100pg/mL以上500pg/mL未満では黄色、500pg/mL以上では濃い黄色を呈色する。判定基準は実施例1と同様とした。なお、試薬は全てキット付属の物を用いた。
[実施例6]
被験者の歯肉ポケットにペリオペーパー(株式会社ヨシダ)を差し入れ、1分間おいて浸出液を染み込ませた。200μLのリン酸緩衝液にペリオペーパーを入れ、室温にて、ボルテックスミキサーで5分間振とうして浸出液成分を抽出し、検体200μLを得た。これを検体(歯肉溝浸出液サンプル)として用い、試験に供した。なお、リン酸緩衝液は、以下のように調製した。
被験者の歯肉ポケットにペリオペーパー(株式会社ヨシダ)を差し入れ、1分間おいて浸出液を染み込ませた。200μLのリン酸緩衝液にペリオペーパーを入れ、室温にて、ボルテックスミキサーで5分間振とうして浸出液成分を抽出し、検体200μLを得た。これを検体(歯肉溝浸出液サンプル)として用い、試験に供した。なお、リン酸緩衝液は、以下のように調製した。
0.01mol/Lリン酸緩衝液(pH7.2):
リン酸水素2ナトリウム・12水和物8.6g、リン酸2水素ナトリウム・2水和物0.99g、塩化ナトリウム25.5gをイオン交換水に溶解し、3Lとした。
リン酸水素2ナトリウム・12水和物8.6g、リン酸2水素ナトリウム・2水和物0.99g、塩化ナトリウム25.5gをイオン交換水に溶解し、3Lとした。
β−Defensin2測定用ELISAキット(β−Defensin2(Human)ELISA Kit;PHOENIX PHARMA CEUTICALS INC)を用い、上記の歯肉溝浸出液サンプルを用いて、実施例1と同様に試験を行った。
[比較例1]
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清をリン酸緩衝液で5倍希釈して唾液溶液とした。
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清をリン酸緩衝液で5倍希釈して唾液溶液とした。
唾液溶液100μLをプロテインチップ(CM10 ProteinChip Array;CIPHERGEN)にのせ、サンプルを添加するサンプルプレートに官能基を修飾して解析対象を捕捉する表面増強レーザー脱離イオン化による飛行時間型質量分析(SELDI−TOF−MS)システム(CIPHERGEN)により、唾液成分測定を行った。このSELDEI−TOF−MSシステムによる測定値からβ−デフェンシン2の分子量(MW=3371)に相当するピーク強度を測定した。得られたβ−デフェンシン2のピーク強度から、唾液中のβ−デフェンシン2量を判定した。なお、ピーク強度とは、シグナル/ノイズ比(S/N比)で表し、判定基準は以下の通りとした。
判定基準
0点: β−デフェンシン2のピークが検出されない
1点: β−デフェンシン2の弱いピーク(S/N比=25未満)が検出される
2点: β−デフェンシン2のピーク(S/N比=25以上75未満)が検出される
3点: β−デフェンシン2の強いピーク(S/N比=75以上)が検出される
0点: β−デフェンシン2のピークが検出されない
1点: β−デフェンシン2の弱いピーク(S/N比=25未満)が検出される
2点: β−デフェンシン2のピーク(S/N比=25以上75未満)が検出される
3点: β−デフェンシン2の強いピーク(S/N比=75以上)が検出される
[比較例2]
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清をリン酸緩衝液で5倍希釈して唾液溶液とした。
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清をリン酸緩衝液で5倍希釈して唾液溶液とした。
唾液溶液100μLをプロテインチップ(CM10 ProteinChip Array;CIPHERGEN)にのせ、SELDEI−TOF−MSシステム(CIPHERGEN)により、唾液成分測定を行った。β−デフェンシン3の分子量(MW=3486)に相当するピーク強度から、唾液中のβ−デフェンシン3量を判定した。なお、ピーク強度とは、シグナル/ノイズ比(S/N比)で表し、判定基準は上記と同様である。
[比較例3]唾液中の潜血評価
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、唾液をそのまま検体として用いて試験に供した。
唾液検査試験紙(サリバスター潜血用;昭和薬品化工(株)製)を用い、唾液潜血を評価した。判定は本品の指示に従って行い、その判定基準は以下の通りであった。
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、唾液をそのまま検体として用いて試験に供した。
唾液検査試験紙(サリバスター潜血用;昭和薬品化工(株)製)を用い、唾液潜血を評価した。判定は本品の指示に従って行い、その判定基準は以下の通りであった。
判定基準
−(黄色) : 出血なし
+(青) : 僅かに出血あり
++(濃い青) : 多少出血あり
−(黄色) : 出血なし
+(青) : 僅かに出血あり
++(濃い青) : 多少出血あり
[比較例4]唾液中α−デフェンシン1評価
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清を唾液溶液とした。
唾液溶液及び5ng/mLのα−デフェンシン1標準液各10μLについて、HPLC分析(高速液体クロマトグラフ分析)を下記条件で行い、15分付近に溶出するα−デフェンシン1のピークを検出し、そのピーク面積を得た。唾液中のα−デフェンシン1濃度は、以下の式で計算した。
安静時無刺激全唾液2mLを喀痰処理器(栄研器材(株)製)に採取し、遠心分離(使用機器 eppendorf centrifuge 5804 R、処理条件4℃、10000rpm、10min.)し、この遠心上清を唾液溶液とした。
唾液溶液及び5ng/mLのα−デフェンシン1標準液各10μLについて、HPLC分析(高速液体クロマトグラフ分析)を下記条件で行い、15分付近に溶出するα−デフェンシン1のピークを検出し、そのピーク面積を得た。唾液中のα−デフェンシン1濃度は、以下の式で計算した。
HPLC分析の条件
カラム :東ソー TSK−GEL ODS−80TM(4.6×250mm)
移動相A液 :0.05%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリル*1
移動相B液 :0.05%トリフルオロ酢酸を含む50%アセトニトリル*2
グラジエント:0min.A 100% → 20min.B 100%
検出 :UV 225nm
移動相流量 :1.0ml/min
カラム温度 :40℃
カラム :東ソー TSK−GEL ODS−80TM(4.6×250mm)
移動相A液 :0.05%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリル*1
移動相B液 :0.05%トリフルオロ酢酸を含む50%アセトニトリル*2
グラジエント:0min.A 100% → 20min.B 100%
検出 :UV 225nm
移動相流量 :1.0ml/min
カラム温度 :40℃
*1;
0.05%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリル:アセトニトリル(和光純薬工業(株)から購入)100mLにイオン交換水を加えて1000mLとし、これにトリフルオロ酢酸(和光純薬工業(株)から購入)0.5gを加え、混和した。
*2;
0.05%トリフルオロ酢酸を含む50%アセトニトリル:アセトニトリル(和光純薬工業(株)から購入)500mLにイオン交換水を加えて1000mLとし、これにトリフルオロ酢酸(和光純薬工業(株)から購入)0.5gを加え、混和した。
0.05%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリル:アセトニトリル(和光純薬工業(株)から購入)100mLにイオン交換水を加えて1000mLとし、これにトリフルオロ酢酸(和光純薬工業(株)から購入)0.5gを加え、混和した。
*2;
0.05%トリフルオロ酢酸を含む50%アセトニトリル:アセトニトリル(和光純薬工業(株)から購入)500mLにイオン交換水を加えて1000mLとし、これにトリフルオロ酢酸(和光純薬工業(株)から購入)0.5gを加え、混和した。
上記実施例及び比較例において、健常人と歯周病患者との唾液又は歯肉溝浸出液を使用して、各々について同様に評価した。結果を表1に示す。
なお、被験者は、GIが0.5未満の場合を健常、GIが0.5以上の場合を歯周病として、各群(各実施例及び比較例)について8名ずつの試験を行った。GIとは、歯肉の状態を判断する指標で、その基準は以下の通りである。
GI基準
0=正常歯肉。
1=軽度の炎症。軽度の色変化、浮腫があるが、探針により出血しないもの。
2=中程度の炎症。発赤、浮腫があり、探針により出血するもの。
3=高度の炎症。著しい発赤、腫脹、自然出血の傾向、潰瘍形成のあるもの。
GI基準
0=正常歯肉。
1=軽度の炎症。軽度の色変化、浮腫があるが、探針により出血しないもの。
2=中程度の炎症。発赤、浮腫があり、探針により出血するもの。
3=高度の炎症。著しい発赤、腫脹、自然出血の傾向、潰瘍形成のあるもの。
表1に示す実施例及び比較例における健常人及び歯周病患者の唾液又は歯肉溝浸出液(検体)の測定結果と各方法の判定精度及び簡便性の基準は、以下の通りである。
判定精度
◎=健常人と歯周病患者の測定結果に明らかな差が認められる
○=健常人と歯周病患者の測定結果に差が認められる
△=健常人と歯周病患者の測定結果に差が認めにくい
簡便性
◎=非常に簡便である(検体の前処理が必要ない、目視による判定が可能である)
○=簡便である(検体の前処理を要する、目視による判定が可能である)
△=簡便性に劣る(判定に特別な装置を要する)
判定精度
◎=健常人と歯周病患者の測定結果に明らかな差が認められる
○=健常人と歯周病患者の測定結果に差が認められる
△=健常人と歯周病患者の測定結果に差が認めにくい
簡便性
◎=非常に簡便である(検体の前処理が必要ない、目視による判定が可能である)
○=簡便である(検体の前処理を要する、目視による判定が可能である)
△=簡便性に劣る(判定に特別な装置を要する)
表1の結果から、実施例1〜6では、健常人の唾液又は歯肉溝浸出液は無色〜うすい黄色(ほとんどの唾液が無色)を示したのに対し、歯周病患者の唾液又は歯肉溝浸出液はほとんどが黄色〜濃い黄色を示すことから、歯周病において唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシン2あるいはβ−デフェンシン3量が増えることがわかった。よって、ELISA法を採用して、唾液又は歯肉溝浸出液の発色を見ることで、歯周病に罹患しているか、そうでないかの判定ができることが確認された。また、実施例3の結果から、唾液の前処理を行わないと、健常人の唾液もうすい黄色を示し、歯周病患者との差は認められるものの、遠心分離や希釈といった前処理を行ったほうが、より歯周病に罹患しているか、そうでないかの判定がしやすいことがわかった。
比較例1,2,4は、健常人と歯周病患者の判定はできるが、測定に質量分析計や液体クロマトグラフを用いる点で簡便性に劣る。また、比較例3に示した潜血を判定基準とする歯周病診断は、非常に簡便な方法ではあるが、判定結果から歯周病に罹患しているか、そうでないかを明確に判定することは困難であった。
比較例1,2,4は、健常人と歯周病患者の判定はできるが、測定に質量分析計や液体クロマトグラフを用いる点で簡便性に劣る。また、比較例3に示した潜血を判定基準とする歯周病診断は、非常に簡便な方法ではあるが、判定結果から歯周病に罹患しているか、そうでないかを明確に判定することは困難であった。
このような表1の結果から、歯周病患者の唾液又は歯肉溝浸出液中には、健常人と比較してβ−デフェンシンが多く存在することが認められ、β−デフェンシンを免疫学的測定法で測定することで、歯周病の診断が可能であり、本発明の診断キット及び診断方法によれば、歯周病の有無、更には進行の程度を簡便かつ精度良く予測でき、歯周病の診断が簡便にできることがわかった。
Claims (2)
- 唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを指標とし、検出手段が免疫学的測定法であることを特徴とする歯周病の診断方法。
- 唾液又は歯肉溝浸出液を採取する手段と、唾液又は歯肉浸出液中のβ−デフェンシンを免疫学的測定法により検出又は測定する手段とを含み、前記唾液又は歯肉溝浸出液中のβ−デフェンシンを検出又は測定することを特徴とする歯周病診断キット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007323346A JP2009145220A (ja) | 2007-12-14 | 2007-12-14 | 歯周病の診断方法及び歯周病診断キット |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009145220A true JP2009145220A (ja) | 2009-07-02 |
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ID=40915970
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JP2007323346A Pending JP2009145220A (ja) | 2007-12-14 | 2007-12-14 | 歯周病の診断方法及び歯周病診断キット |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009145220A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013108561A1 (ja) * | 2012-01-16 | 2013-07-25 | ライオン株式会社 | メタボリックシンドローム罹患リスク判定用マーカーペプチドおよびその用途 |
JP2015529333A (ja) * | 2012-09-10 | 2015-10-05 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ | Ft−icr−ms/msを使用した、歯肉炎および歯周炎のバイオマーカーのための唾液プロテオームの分析 |
JP2021521424A (ja) * | 2018-04-12 | 2021-08-26 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. | 歯周病の診断方法、使用、キット |
-
2007
- 2007-12-14 JP JP2007323346A patent/JP2009145220A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013108561A1 (ja) * | 2012-01-16 | 2013-07-25 | ライオン株式会社 | メタボリックシンドローム罹患リスク判定用マーカーペプチドおよびその用途 |
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JP2015529333A (ja) * | 2012-09-10 | 2015-10-05 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ | Ft−icr−ms/msを使用した、歯肉炎および歯周炎のバイオマーカーのための唾液プロテオームの分析 |
JP2021521424A (ja) * | 2018-04-12 | 2021-08-26 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. | 歯周病の診断方法、使用、キット |
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