JP2009144494A - 既存建物の免震化工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 地下や基礎下の掘削工事を殆ど必要とせず、既存建物の内部の工事も最小限で済み、既存建物の1階から上部を免震建物にできる既存建物の免震化工法。
【解決手段】既存建物から少し離れた位置に新設杭21を設け、その上に免震装置を受ける新設基礎フーチング22を設ける。新設基礎フーチングの上に建物外免震装置31を置き、この上に少なくとも1階梁で構成される新設外周フレーム58を構成する。各既存柱41の1階の鉛直荷重を仮受した上で、その既存柱の1階柱の一部を水平方向に切断しこの切断部内に建物内免震装置32を配置する。切断部直上を水平方向に移動可能に支持されている新設床スラブ54を構築し、新設外周フレーム58と新設床スラブ54とを水平方向に連結する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐震安全性能の不足した既存建物を、地上1階床から上部を免震構造化する既存建物の免震化工法に関するものである。
免震構造は、大地震時の強い地震動に対して構造物の揺れそのものを低減できるので、建物の構造骨組みの耐震安全性が高まるだけでなく、内部の家具や設備備品など収容物の転倒や落下・衝突の危険性が下がり、建物全体の耐震安全性を飛躍的に高めることができる、優れた構造方式である。
従って、免震構造は、当初より新築構造物のみならず、既存構造物の耐震性能改善にも有効な方法として注目され、先ず1990年頃より米国において実施され、その後わが国においても実施例が増加しつつある。
その基本的方法は、既存建物の建物重量を一旦仮受した上で、既存柱もしくは基礎部において切断し、免震装置を挿入・配置する方法である。
その工事方法には大きくわけて次のA・B2通りの方法がある。即ち、A工法は、既存柱1本毎に柱を切断し免震装置を取り付けていく方法であり、B工法は、建物全体重量を支持する布基礎もしくは壁体を構築し、その中に穴を開けて免震装置を挿入し、全ての免震装置を設置した後に、免震装置周囲の布基礎もしくは壁体を切断する方法である。これらはいずれも実施例があり、既によく知られた工法である。
わが国の建物は独立柱で構成されていることが多いため、現実の建物条件としてはA工法が適用されることが殆どである。その例としては、下記特許文献3および4等があるが、この場合、既存柱の切断や免震装置を挿入配置するために、工事中、既存柱の鉛直荷重を如何に仮受・支持するかが大きな課題となる。
この課題に対して、下記の2文献(特許文献1および2)では「既存柱の鉛直荷重を支持しながら免震装置を配置する」という作業を必要としない提案もなされている。
特許文献1は、図8に示すとおり、先ず既存建物の外周柱41の外側に新設柱61・62を一体化するように設け、この新設柱61に免震装置3を配置した上で、既存外周柱41を切断する。また、中柱に対しては、建物の外側を囲む外部フレーム6の大型屋上梁63から吊り下げケーブル66で吊り下げるとしている。
しかし、既存建物の外周柱41に接して新設柱61・62を設ける場合、特に地下躯体13に接してその外側に新設柱62を設けるには、既存建物の外側を地下躯体全深さに渡って掘削する必要があり、山留めや掘削工事に多大な労力を必要とする。
また、中柱を吊り下げる外部フレーム6には、屋上に極めて大きな梁63を構築する必要があり、これらの地下工事や地上の外部フレーム構築に要する建設費は、既存柱の荷重を仮受した上で、免震装置を取り付けていく従来の免震化工法に較べて、必ずしも経済的で合理的な工法になっているとは言い難い面がある。
特許文献2は、特許文献1と同様に、既存建物の外側に免震装置を配置する提案であるが、既存建物の重量を支えるために極めて大規模なトラス構造を導入する必要があり、また建物外部の免震装置で建物全重量を支えるために、免震装置やそれを支持する杭も非常に大きな荷重支持能力が必要となり、既存建物が小規模である場合を除いて、現実的な工法とは言い難い面がある。
また特許文献4は、図9のように地下階を有する既存建物の免震化工法の提案であるが、地下階床を切り離した免震クリアランス用切断部分36を構築するための複雑な工事が必要になり、またその切断床部分のエクスパンション金物の処理が複雑になる等、めんどうな問題を抱えている。
特開2005−171659号公報 特開2003−336402号公報 特開2003−328587号公報 特開2003−003690号公報
上記のとおり、特許文献1〜4等の従来の免震化工法は、
(1)地下階がある場合、地下壁外部の掘削を必要とする(特許文献1)。
(2)地下階床の切断が必要で、床部の処理問題が付加される(特許文献4)。
(3)地上躯体の外側に、大規模な外部フレームを構築する必要がある(特許文献1および2)。
(4)地上部で柱を切断する場合、中間階免震となり、免震装置より下に位置する1階床は免震構造の恩恵を受けられない(特許文献1)。
(5)中間階免震では、免震装置の耐火被覆が必要になり、また設計上も建物の全室について耐火検証法による火災に対する計算と安全証明を行う必要が生じる(特許文献1)。
等々の課題を有している。
そこで、本発明は、(1)大規模な地下掘削を必要とせず、(2)地下階床の切断も不要で、(3)外部フレームも大げさにならず、(4)中間階免震とならない基礎免震であり、且つ(5)1階床から上部が免震構造の恩恵を受けることのできる既存建物の免震化工法を実現することを主課題としている。
本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉
既存建物の1階床から上部を免震建物にする免震化工法であって、既存外周柱の外側で既存建物から少し離れた位置の少なくとも4カ所に新設杭を打設するか直接基礎を設け、その上に免震装置を受ける新設基礎フーチングを設け、前記新設基礎フーチングの上に建物外免震装置を置き、前記建物外免震装置の上に少なくとも1階梁で構成される新設外周フレームを構成し、前記既存建物の各既存柱の1階の鉛直荷重を仮受した上で、その既存柱の1階柱の一部を水平方向に切断しこの切断部内に建物内免震装置を配置し、その切断した1階柱の切断部直上を水平方向に連結し、且つ既存の1階床スラブからは浮き上がっているか、もしくは既存の1階床スラブ上に床スラブ用免震装置で水平方向に移動可能に支持されている新設床スラブを構築し、前記新設外周フレームと前記新設床スラブとを水平方向に連結することを特徴とする既存建物の免震化工法。
〈構成2〉
構成1に記載の既存建物の免震化工法において、前記建物外免震装置には、復元力を負担する積層ゴム系免震装置を配置し、前記建物内免震装置には、既存柱の軸力を支持するすべり支承もしくは転がり支承を配置し、前記床スラブ用免震装置には、前記新設床スラブを支持するすべり支承もしくは転がり支承を配置することを特徴とする既存建物の免震化工法。
〈構成3〉
構成1又は構成2に記載の既存建物の免震化工法において、前記建物内免震装置の一部に、積層ゴム系免震装置を混用していることを特徴とする既存建物の免震化工法。
〈構成4〉
既存建物の1階床から上部を免震建物にする免震化工法であって、既存外周柱の外側で既存建物から少し離れた位置の少なくとも4カ所に新設杭を打設するか直接基礎を設け、その上に免震装置を受ける新設基礎フーチングを設け、前記新設基礎フーチングの上に建物外免震装置を置き、前記建物外免震装置の上に少なくとも1階梁および1階柱で構成される新設外周フレームを構成し、前記既存外周柱の鉛直荷重を前記新設外周フレームに伝達できる柱、壁もしくは斜材ブレースのいずれかからなる鉛直荷重伝達部材を配置し、前記鉛直荷重伝達部材に隣接する既存柱の1階柱脚部は切断したままとし、それ以外の既存柱は、1階の鉛直荷重を仮受した上で、その既存柱の1階柱の一部を水平方向に切断しこの切断部内に建物内免震装置を配置し、切断された全既存柱の1階柱の切断部直上を水平方向に連結し、且つ既存の1階床スラブからは浮き上がっているか、もしくは既存の1階床スラブ上に免震装置で水平方向に移動可能に支持されている新設床スラブを構築し、前記新設外周フレームと前記新設床スラブとを水平方向に連結することを特徴とする既存建物の免震化工法。
〈構成5〉
構成1乃至構成4のいずれかに記載の既存建物の免震化工法において、前記建物外免震装置を支持する新設基礎フーチングと、前記既存建物の基礎構造体もしくは地下構造体とを水平力が伝達できるように連結し一体化することを特徴とする既存建物の免震化工法。
〈構成6〉
地下階を有する既存建物の1階床から上部を免震建物にする免震化工法であって、少なくとも既存外周柱の外側4カ所に、既存建物から少し離れた位置に新設杭を打設するか、既存地下躯体に一体化した跳ねだし躯体を構築し、その上に新設基礎フーチングを設けて建物外免震装置を配置し、前記建物外免震装置の上に少なくとも1階梁で構成される新設外周フレームを構成し、前記新設外周フレームを、水平力が伝達できるように前記既存建物の1階床スラブおよび1階梁に連結・一体化し、前記新設基礎フーチングを、水平力が伝達できるように前記既存建物の地下躯体に連結・一体化した上で、地下1階柱頭部を切断して、その切断部の下側(地下1階柱頭部側)にすべり支承のスライダーを取り付け、切断部の上側(1階床・大梁側)にすべり支承のすべり板を取り付けることを特徴とする既存建物の免震化工法。
〈構成7〉
構成1乃至構成6のいずれかに記載の既存建物の免震化工法において、前記既存建物の1階既存大梁の下面および側面に補強後大梁の下端主筋となる配筋を行い、前記1階既存大梁の上部に位置する1階既存床スラブ上面の仕上げ材を撤去し、上面を目荒らしした上で前記補強後大梁の上端主筋となる配筋を行い、前記1階既存床スラブの、前記補強後大梁の側面位置からかぶり厚さだけ内側にはいった平面位置に等間隔のスラブ縦穴を設け、前記スラブ縦穴を通してせん断補強筋を配筋した上で、前記1階既存床スラブの上部および前記1階既存大梁の側面および下面にコンクリートを打設することによって既存建物の1階大梁を補強したことを特徴とする既存建物の免震化工法。
〈構成8〉
構成7に記載の既存建物の免震化工法において、前記1階既存大梁の上部および下部に配置された補強後大梁用の前記上端主筋および前記下端主筋の内、それぞれ既存柱に対向する両主筋の位置に、同主筋の直径よりも僅かに大きな直径の貫通孔を水平に設け、前記両主筋を前記貫通孔の中に挿入し、貫通させた後に、前記両主筋と前記貫通孔の間の隙間に、高強度モルタルあるいは高強度樹脂等の充填材料を充填し硬化させることによって、前記既存柱と補強梁の新設補強主筋とが交差する補強された柱・梁接合部を構築することを特徴とする既存建物の免震化工法。
〈構成9〉
構成8に記載の既存建物の免震化工法において、前記既存柱の貫通孔に、前記上端主筋および前記下端主筋の内、前記既存柱に対向する両主筋をそれぞれ挿入し貫通させた後に、前記主筋と前記貫通孔の間の隙間には、高強度モルタル等のグラウト材を充填し、前記既存柱の貫通孔端部の外側位置に、貫通させた主筋の定着板を取り付け、鉄筋用ナットもしくは溶接等により定着板と主筋を固定した上で、補強梁のコンクリートを打設することによって、既存柱と補強梁の新設補強主筋とが交差する補強された柱・梁接合部を構築することを特徴とする既存建物の免震化工法。
〈構成10〉
構成1乃至構成8のいずれかに記載の既存建物の免震化工法において、前記既存建物の既存柱の柱脚部もしくは柱頭部にすべり支承を取り付ける工法であり、あらかじめ前記すべり支承のすべり板をスライダーの平面寸法よりも少し大きい「中央部分」とその外側の「外周部分」に分割し、且つ前記外周部分は少なくとも2分割以上に分割しておき、前記外周部分の表面すべり板を前記中央部分のすべり板裏板上に乗り込ませて皿ボルトで締め付けることにより、すべり板の表面を凹凸・段差・突起物のない1枚の大型すべり板に再構築できる状態にしておき、
前記既存柱の鉛直荷重を仮支持した状態において、前記既存柱の前記すべり支承の設置予定位置を前記すべり支承の高さよりも少し大きく切断し、先ず前記既存柱の中心位置に合わせて前記スライダーおよび前記すべり板の中央部分を水平に取り付け、その後で、前記すべり板の外周部分を前記中央部分の外側に配置し、皿ボルト等により水平、且つ平滑な表面となるようにすべり板を構成し、合わせて前記スライダーおよび前記すべり板の上側および下側のコンクリート躯体を打設・構築して前記スライダーおよび前記すべり板を固定することによって既存柱の柱脚もしくは柱頭位置にすべり支承を取り付けることを特徴とする既存建物の免震化工法。
以下、本発明を、実施例を示す図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の構成1の実施例である。既存建物の外周柱41の外側で既存建物から少し離れた位置の少なくとも4カ所に新設杭21を打設し、その上に免震装置を受ける新設基礎フーチング22を設け、その上に建物外免震装置31を配置している。新設杭21は状況に応じて4カ所以上に配設されてもよい。建物外免震装置31は、既存建物の外側に設けられる既知の免震装置であり、この実施例では積層ゴム31を配置している。
免震装置31の周囲には免震クリアランス35を設け、基礎フーチング22は新設基礎躯体23で補強し、既存建物の基礎躯体12と連結し一体化している。既存杭11は耐震設計されていない場合が多いが、耐震設計された新設杭21と一体化し、水平力に対して既存杭と新設杭の両者が共同して抵抗することによって、建物の基礎構造全体の耐震性能が向上することになる。
次ぎに、建物外免震装置31の上に上部フーチング50および1階梁52で構成される新設外周フレーム58を構成する。新設外周フレーム58は、既存建物の既存柱41と一体化している。
既存柱41は、その1階の鉛直荷重を仮受した上で、その既存柱41の1階柱の一部を水平方向に切断しこの切断部内に建物内免震装置32を取り付け、その切断した1階柱41の切断部直上を水平方向に連結する新設床スラブ54を構築する。建物内免震装置32は、既存柱41を支承する既知の免震装置である。本実施例では、新設床スラブ54は、既存の1階床スラブからは浮き上がっており、免震構造として上部建物の水平移動を妨げない構造になっている。この新設床スラブ54は、前記の新設外周フレーム58の1階梁52および上部フーチング50と一体化されており、建物外免震装置31および建物内免震装置32の働きにより、既存建物4は免震構造として機能する。
本発明では、新設杭の打設は既存建物に邪魔されずに工事ができ、免震装置設置のための土掘削工事も僅かであり、建物外免震装置31は、通常の新築工事と全く同様に容易に設置できる。また、既存柱の切断や建物内免震装置32の作業は、地上1階の床スラブ直上という最も工事を行い易い位置で行うことができ、地下を掘削した狭い空間で作業を行う従来の免震化工法より遙かに作業効率がよく、且つ安全に施工できる。しかも、工事完成後の建物は、1階床スラブから免震構造の恩恵を受けることができるという多くのメリットを有している。
図2は、構成1および構成2を平面図によって分かりやすく説明したものである。図2(1)は、免震化工事の対象とする既存建物の1階平面図を示しており、既存柱41、耐震壁43、1階既存大梁42、床スラブ44等で構成されている。
図2(2)は、本発明による免震化工事後の1階平面図を示しており、建物外免震装置31は建物隅角部の外側に、また各既存柱41の1階柱脚部には建物内免震装置32が配置されている。
図2(2)において、各既存柱41の1階柱脚部に配置された建物内免震装置32の一部に積層ゴム系免震装置を混用した場合が構成3である。建物内免震装置32はすべり支承もしくはころがり支承を基本としているが、その一部に積層ゴムを混用することにより、免震周期を調節したり、偏心率を小さくする等の性能調整を行うことができる。
図3は、本発明の構成4の実施例である。既存建物から少し離れた外側位置に新設杭21を打設し、その上に免震装置を受ける新設基礎フーチング22を設け、その上に建物外免震装置31を配置している。また、建物外免震装置31の周囲には免震クリアランス35を設け、新設基礎フーチング22を新設基礎躯体23で補強し、既存建物の基礎躯体12と連結し一体化している。以上の建物外免震装置31の構成までは、構成1と同じである。
構成4は、建物外免震装置31の上に上部の基礎フーチング50を設け、その上に柱51、梁52、床スラブ54等で構成される新設上部構造体5を構築する。そして既存建物の外周柱41の鉛直荷重(軸力)を建物外免震装置31にまで伝達するために、柱・壁・斜材ブレース等の鉛直荷重伝達部材55を配置する。図3では、鉛直荷重伝達部材として壁を使用しているが、ブレース等の斜材も有効である。
次ぎに、鉛直荷重伝達部材に隣接する外周部の既存柱41の1階柱の一部を切断する。既存柱41の鉛直荷重は、新設上部構造体5および建物外免震装置31によって支持できるので既存柱41の切断部はそのまま(支持部材なし)としてよい。
外周柱以外の既存柱(内部柱)は、1階の鉛直荷重を仮受した上で、その既存柱の1階柱の一部を水平方向に切断し、建物内免震装置を配置する。切断された全ての既存柱の1階柱の切断部直上を水平方向に連結する1階床スラブ54を新設する。この新設床スラブ54は、既存柱との連結部のみで既存の1階床スラブからは浮き上がっていられればそれでよいが、スパンや積載荷重が大きい場合などは、既存の1階床スラブ上に免震装置37を配置してもよい。図3の場合の床スラブ用免震装置37にはすべり支承を採用している。
既存建物の外側に新設される新設上部構造体5は、通常は1層ないし3層程度の低層部のみでよい場合が多いが、これは既存建物の耐震補強を兼ねているので、既存建物の有する耐震性能に応じて構築すればよい。免震構造の効果により、耐震構造としての耐震補強に比較すると遙かに軽微な補強工事で済ますことができる。
図4は、同じく本発明の構成4の実施例であり、既存建物の外周柱41の鉛直荷重(軸力)を建物外免震装置31にまで伝達するために、鉛直荷重伝達部材として斜め柱55利用した場合である。また既存柱41と斜め柱55の接合位置には、両者の一体化を高めるために、プレストレスケーブル56を配置して、両者を締め付けている。
図1、図3、図4に示したとおり、以上の実施例のいずれにおいても、新設杭21の杭頭部の基礎フーチング22およびそれと一体に構築されている新設基礎躯体23を既存建物の基礎躯体12と連結し一体化している。この一体化により、地震時水平力に対して既存杭と新設杭の両者が共同して抵抗することになり、建物の基礎構造全体の耐震性能が向上する。また、既存建物は建物平面全体に渡って基礎躯体が地中に埋め込まれているので、既存建物による地盤との相互作用が期待でき、既存建物を耐震性能上有効に利用することにもなる。これが、本発明の構成5である。
図5は、既存建物が地下階を有する場合の構成4の実施例である。既存建物の外側に、新設杭21、建物外免震装置31、新設上部構造体5を構成するもので、基本的構成は実施例4と同じである。また地下部分は、新設基礎躯体23を既存建物の地下基礎躯体13に一体化しており、工事の難易度も得られる免震効果も実施例4と同じと考えてよい。
本実施例では、新設外周フレーム58を全階に渡って構築しており、更に既存建物の上にも増築している。本耐震改修工事により、全階・全戸の床面積を増築すると同時に、新たな階を増築することにより、耐震性能の向上と同時に、既存建物に新たな住空間を提供し、経済的メリットを追加して、改修工事のインセンティブを高めている。
図6は、既存建物が地下階を有する場合に本発明の構成6を適用した実施例である。先ず構成4と同様に、既存建物から少し離れた外側位置に新設杭21を打設し、その上に免震装置を受ける新設基礎フーチング22を設け、その上に建物外免震装置31を配置している。また、建物外免震装置31の周囲には免震クリアランス35を設け、基礎フーチング22を新設基礎躯体23で補強し、既存建物の地下躯体13に連結し一体化する。
次に、建物外免震装置31の上に上部の基礎フーチング50を設け、その上に柱51、梁52、床スラブ54等で構成される新設上部構造体5を構築する。既存建物の1階梁および床スラブ以上のレベルにおいては、この新設上部構造体5の床レベルは既存建物と同一の床レベルで連結・一体化する。
次に、既存柱41の1階もしくは1階大梁15を利用して既存柱の鉛直荷重を借り受けした上で、地下1階柱頭部を切断して、建物内免震装置として、切断部の下側(地下1階柱頭部側)にすべり支承34のスライダーを、切断部の上側(1階床・大梁側)にすべり支承34のすべり板を取り付ける。以上の工程により、地下躯体を有する既存建物に対しても、建物外部を地表面から若干掘削するだけで、1階床から上部を免震構造化することができる。
既存建物であっても、地下階は建物全周に地下外壁を有しているので、耐震性能は十分に確保されており、図9(特許文献4)のように既存建物の地下躯体を大幅に切断するようなことをしなければ新たな補強をする必要もない。
既存建物を免震構造に改修した場合、在来耐震構造に較べて上部建物に作用する地震力が格段に小さくなるので、上部構造体の骨組み各部の安全性が改善され向上する。上部構造体の構造部材の中で、負担応力が唯一厳しくなるのは、新たに設置した免震装置の直上に位置する大梁である。これは、本発明においては1階の既存大梁に該当するが、地震時に免震装置が水平方向にδだけ変形すると、鉛直荷重の作用点と支持点が水平にδだけずれることになり、そのために、上部の重量(柱軸力P)によってPxδモーメントが発生するためである。これをPδ(ピー・デルタ)効果という。
Pδ効果によって新たに付加されるPδモーメントおよびそれに伴うせん断力は、かなり大きな値になるので、既存建物の免震化においては、この既存梁を如何に効果的に補強するかが重要な課題となり、構成7はその方法を示したものである。
従来、既存の鉄筋コンクリート(RC)梁に対する補強方法として、既存RC梁の下面および側面に鉄板を貼り付ける等の補強が行われていたが、補強鉄板等の部材は大きな重量となるため運搬や施工が大変で、既存の鉄筋コンクリートとの一体化にも大変難しいという課題があった。
図7は、既存大梁の効果的な補強方法を示した構成7の実施例を示す断面図である。
先ず、補強対象となる既存建物の1階既存大梁42の下面および側面に補強後大梁の下端主筋71を配筋する。その位置は、既存大梁の下面よりも同レベル以下に下がった位置を基本とする。
これによって、既存梁に邪魔されずに配筋が可能で、且つ梁成が高くなるので大梁の曲げ耐力が大幅に上昇する。
1階既存大梁42の上端主筋72の補強は、既存大梁42の上部に位置する1階既存床スラブ44上面の仕上げ材を撤去し、上面を目荒らした上で、新たに補強後大梁の上端主筋72の配筋を行う。上端主筋72は、既存スラブ44の上に並べることになるが、柱と交差する位置では、柱筋の位置を避けて、コアボーリングにより既存柱に穴をあけ、補強用主筋72を通した後、グラウトすることにより、柱位置に対しても補強を行うことができる。
次ぎにせん断補強筋(スターラップ)の補強配筋方法であるが、先ず1階既存床スラブ44の、補強後大梁の側面位置からかぶり厚さだけ内側にはいった平面位置に等間隔のスラブ縦穴77を開け、そのスラブ縦穴77を通してせん断補強筋73を配筋する。せん断補強筋73はロの字型の閉鎖形状にする必要があるが、上端主筋72の上から∩字型補強筋を下へ通し、下端主筋71の下から上向きに∪字型補強筋を配置し、両者を梁断面中央高さ付近で溶接接続部74のように重ね部を溶接で接合するか、フラッシュバット溶接部75のように突き合わせ状態で溶接接合する等により一体化する。尚、梁成に応じて、梁断面中央高さ付近に腹筋79を配筋する。尚、かぶり厚さとは、鉄筋の表面からコンクリート表面までの最小距離を言い、梁および柱ではせん断補強筋73の表面からコンクリート表面までの距離がかぶり厚さとなる。
以上により、既存大梁補強に必要な配筋が完了したので、スラブ下側の補強後梁の側面および底面を型枠で囲み、スラブ上からコンクリート76を打設する。スラブ上からスラブ下へコンクリート76が充填できるようにスラブには適切な間隔でコンクリート充填用孔78をあけておき、ここからコンクリートの充填を行う。
以上の方法で既存RC大梁を新しい鉄筋コンクリート造大梁として補強することができるが、本発明の方法では、上端主筋72・下端主筋71ともに既存大梁42の断面寸法に制約されずに必要な配筋を行うことができる上、梁成も大きくできるので、大梁の曲げ耐力・せん断耐力を所要の耐力まで容易に引き上げることが可能である。
図10は、段落50にも簡述したが、実施例7における梁補強主筋が既存柱と交差する位置における解決方法を示した構成8の実施例である。
先ず、既存大梁42の上部および下部に配置された補強後大梁用の上端主筋72および下端主筋71の内、それぞれ既存柱41に対向する両主筋の位置に、主筋の直径よりも僅かに大きな直径の貫通孔80を水平に設け、主筋72もしくは71を貫通孔80の中に挿入し、貫通させた後に、主筋72もしくは71と貫通孔80の間の隙間に、高強度モルタルあるいは高強度樹脂等の充填材料81を充填し硬化させることによって、既存柱41の内部に梁主筋を定着することができる。
この梁補強により梁の曲げ耐力が上昇する。その結果、この柱・梁接合部には、大きなせん断応力度が作用する可能性が高まるが、補強梁はせん断補強を充分に行うことができるし、既存柱41はその外側をせん断補強筋で拘束し柱を増し打ちすること等により、既存柱41を外側から補強し、柱・梁接合部もせん断補強することができる。
これまで、既存の柱・梁を効果的に補強する方法がなかったために、耐震壁やブレースを追加して取り付けるか、柱の周りを鉄板や補強帯材で拘束する等の方法しかなかったが、この補強梁主筋を既存柱内に貫通させる方法により、既存の柱・梁の耐力を極めて効果的に補強することが可能となった。
またこの補強方法は、既存建物の免震化工事において、柱を切断する前の状態で工事を行うことができるので、建物重量を仮支持する必要がなく、極めて容易に工事を行うことができる。しかも、この既存梁の補強を先に行うことにより、その後この補強梁を利用して建物重量を仮支持して柱を切断する免震装置設置工事に取りかかれるため、仮設工事を大幅に簡略化できるというメリットを有している。
図11は、構成8において既存柱の成(奥行き)が充分でないために、既存柱を貫通する補強鉄筋の定着長が不足する場合の対策を示した構成9の実施例である。
先ず実施例8と同様に、既存柱41に貫通孔80をあけ、大梁補強用の両主筋72および71を挿入し貫通させた後に、両主筋72もしくは71と貫通孔80の間の隙間には、高強度モルタル等のグラウト材81を充填する。
既存柱41の貫通孔端部の外側位置に、貫通させた主筋の定着板82を取り付け、鉄筋用ナット83で定着する。定着板82と鉄筋は溶接により一体化してもよい。
貫通孔内部のグラウト81は、定着板取り付け後に行うこともできるが、いずれにしてもグラウト81および定着板82の取り付けの両者を施工した後に、補強梁のコンクリート76を打設することによって、新設補強主筋がしっかり定着された柱・梁接合部を構築することができる。
図12は、柱頭や柱脚等の既存柱の中間にすべり支承を取り付ける方法である構成10の実施例を示している。
すべり支承のすべり板は平面寸法が極めて大きく、小さいものでも一辺1.5メートル程度はあり、一辺2メートル前後の矩形平面になることが一般的である。この大きな平面のすべり板を既存柱の中間に挿入し設置するためには、その平面寸法以上の空間を開けた状態で既存柱の鉛直荷重を仮支持する必要があるため、その仮設支持が大変となる。そのため、平面寸法が大きくなるすべり支承は、既存建物の免震化工事にはこれまで採用された実績がないのが実状である。本発明の構成10は、この問題を解決し、既存建物の免震化工法にもすべり支承を採用することを可能にしたものである。
そのために、あらかじめすべり支承のすべり板をスライダーの平面寸法よりも少し大きい「中央部分34B1」とその外側の「外周部分34B2」に分割し、且つ前記外周部分は少なくとも2分割以上に分割しておき、外周部分の表面すべり板34Cを中央部分のすべり板裏板34D上に乗り込ませて皿ボルト34Eで締め付けることにより、すべり板の表面を凹凸・段差・突起物のない1枚の大型すべり板に組立・一体化できる状態にしておく。
図12では、既存柱41の柱頭部にスライダーを下側に、すべり板をその上側に設置する場合を図示している。
先ず上部建物の既存柱41の鉛直荷重を柱や梁を利用して仮支持した状態にしておき、既存柱41のすべり支承の設置予定位置をすべり支承の高さよりも少し大きく切断し、先ず既存柱41の平面中心位置に合わせてスライダー34Aおよびすべり板中央部分34B1を水平に取り付ける。この時、すべり板中央部分34B1の平面寸法はスライダー34Aの平面寸法とほぼ同等か若干大きい程度であるので、積層ゴム体よりもむしろ小型で軽量となり、取り付け工事は容易に行うことができる。
このスライダーとすべり板中央部を設定した後、両者の上側および下側のコンクリートを打設して鉛直荷重を支持できる状態とすることによりその後の工事を容易にできるが、全てのすべり板組立終了後にまとめて、配筋およびコンクリート工事を行ってもよい。
すべり板中央部分34B1が設置された後、その外側にすべり板の外周部分34B2を配置し、中央部分34B1の裏板34Dの上に外周部分34B2の表面すべり板34Cを重ね、皿ボルト34Eを締め付ける。この方法により分割されたすべり板の表面が同一面に揃い、凹凸・段差・突起物のない大きなすべり面を構築することができる。
その後すべり支承34(スライダーおよびすべり板)の上側および下側のコンクリート躯体を構成する配筋およびコンクリート打設を行うことによって、既存柱41の柱頭部に大型平面寸法を有するすべり支承を取り付けることができる。
尚、既存柱41の柱脚部にすべり支承を取り付ける場合も方向が上下逆転するだけで、同じ要領で工事を行うことができる。
大きな平面寸法を有するすべり支承は、その設置工事が難しいため、これまで既存建物の免震化工事には採用されていなかったが、本発明により、既存建物の免震化工法にもすべり支承を採用することが可能になった。このことは、既存建物の免震設計性能を大きく向上させることができ、また比較的小規模で軽量のためこれまで免震化が難しかった多くの既存建物を免震構造化することを可能にしたものである。
わが国においては、住宅戸数のストックは既に十分な数に達しており、今後は住宅の質の向上を図ることが重要である。わが国の経済力や環境保全の観点からも、膨大な数の既存住宅の有効活用が国策としての重要課題の一つであり、国民の安全で豊かな暮らしを維持し発展させるためには、既存建物の耐震安全性能の改善・向上が重要な課題である。
そういう観点から、これまでも在来耐震構造による耐震補強、耐震改修が行われてきているが、改修工事のためには、住民は一旦転居する必要があること、建物全体・全階に渡って工事を行う必要がるため費用も時間もかかるなどの問題が大きく、耐震改修工事はあまり進展していないのが実態である。
一方、免震構造による既存建物の改修は、建物も収容物も守ることができるので、実現すればその安全性の効果が大きく安心できる方法であるが、これまでの工事方法ではコストが高くつくため実現された例は極一部に留まっているのが実情である。
本発明は、既存建物の外側において主要な工事を行うため、居住者がその建物に居住を継続することができ、工事自体が実施しやすい。従来の免震化工事が高くつく第一の理由は、施工費、即ち施工が難しいための工事費および仮設資材費が殆どであり、免震装置等の材料費の割合は小さい。従って、新築工事と同じ要領で工事の大半を実施できる本発明による免震化工事が、従来工法に比べて格段に低コストで行えることは明らかである。
本発明により、わが国のたくさんの既存建物が免震構造化され、安全で安心して暮らせる既存建物を増加させることが容易になったと言える。
本発明の基本構成(構成1)の実施例1を示す断面図である。 本発明の実施例2(構成1および構成2)を示す平面図である。 (1)本発明が対象とする既存建物の1階平面図で、本発明適用前の状態を示す。 (2)対象既存建物の1階平面図で、本発明による免震化工事後の状態を示す。 本発明の実施例3(構成4および構成5)を示す断面図である。 本発明の実施例4(構成4および構成5)を示す断面図である。 本発明の実施例5(構成4および構成5)を示す断面図である。 本発明の実施例6(構成6)を示す断面図である。 本発明の実施例7(構成7)を示す断面図である。 特許文献1による従来の既存建物の免震化工法を示す断面図である。 特許文献4による従来の既存建物の免震化工法を示す断面図である。 本発明の実施例8(構成8)を示す断面図である。 本発明の実施例9(構成9)を示す断面図である。 本発明の実施例10(構成10)を示す断面図である。
符号の説明
1 :地盤
11:既存杭
12:既存基礎躯体
13:既存地下躯体
14:既存地下階柱
15:既存地下階梁
16:既存地下階壁
21:新設杭
22:新設基礎フーチング
23:新設基礎躯体(地中梁・擁壁)
3 :免震装置
31:建物外免震装置
32:建物内免震装置
33:積層ゴム系免震装置
34:すべり支承
34A :スライダー
34B :すべり板
34B1:すべり板中央部
34B2:すべり板外周部
34C :表面すべり板
34D :すべり板裏板
34E :皿ボルト
34F :皿ボルト用袋ナット
34G :スタッドボルト
35:免震用水平クリアランス
36:免震クリアランス用躯体切断部
37:床スラブ用免震装置
4 :既存上部建物
40:既存柱切断部
41:既存柱
42:既存梁
43:既存耐震壁
44:既存床
5 :新設上部構造体
50:新設上部フーチング
51:新設柱
52:新設梁
53:新設壁
54:新設床スラブ
55:新設鉛直荷重伝達部材(壁・斜め柱・ブレース)
56:新設プレストレスケーブル
57:新設の増築階
58:新設外周フレーム
6 :外部フレ−ム
61:新設地下外部躯体
62:新設地上外部柱
63:新設屋上大梁
66:新設吊り下げケーブル
7 :補強大梁
71:補強用梁主筋(下端主筋)
72:補強用梁主筋(上端主筋)
73:補強用せん断補強筋
74:補強用せん断補強筋の溶接接続部
75:補強用せん断補強筋のフラッシュバット接続部
76:補強用コンクリート
77:せん断補強筋用スラブ縦穴
78:コンクリート打設用スラブ穴
79:補強大梁の腹筋
80:既存柱にあける貫通孔
81:グラウト充填部
82:鉄筋用定着板
83:鉄筋・定着板用ナット

Claims (10)

  1. 既存建物の1階床から上部を免震建物にする免震化工法であって、
    既存外周柱の外側で既存建物から少し離れた位置の少なくとも4カ所に新設杭を打設するか直接基礎を設け、その上に免震装置を受ける新設基礎フーチングを設け、
    前記新設基礎フーチングの上に建物外免震装置を置き、
    前記建物外免震装置の上に少なくとも1階梁で構成される新設外周フレームを構成し、
    前記既存建物の各既存柱の1階の鉛直荷重を仮受した上で、その既存柱の1階柱の一部を水平方向に切断しこの切断部内に建物内免震装置を配置し、
    その切断した1階柱の切断部直上を水平方向に連結し、且つ既存の1階床スラブからは浮き上がっているか、もしくは既存の1階床スラブ上に床スラブ用免震装置で水平方向に移動可能に支持されている新設床スラブを構築し、
    前記新設外周フレームと前記新設床スラブとを水平方向に連結することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  2. 請求項1に記載の既存建物の免震化工法において、
    前記建物外免震装置には、復元力を負担する積層ゴム系免震装置を配置し、
    前記建物内免震装置には、既存柱の軸力を支持するすべり支承もしくは転がり支承を配置し、
    前記床スラブ用免震装置には、前記新設床スラブを支持するすべり支承もしくは転がり支承を配置することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の既存建物の免震化工法において、
    前記建物内免震装置の一部に、積層ゴム系免震装置を混用することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  4. 既存建物の1階床から上部を免震建物にする免震化工法であって、
    既存外周柱の外側で既存建物から少し離れた位置の少なくとも4カ所に新設杭を打設するか直接基礎を設け、その上に免震装置を受ける新設基礎フーチングを設け、
    前記新設基礎フーチングの上に建物外免震装置を置き、
    前記建物外免震装置の上に少なくとも1階梁および1階柱で構成される新設外周フレームを構成し、
    前記既存外周柱の鉛直荷重を前記新設外周フレームに伝達できる柱、壁もしくは斜材ブレースのいずれかからなる鉛直荷重伝達部材を配置し、
    前記鉛直荷重伝達部材に隣接する既存柱の1階柱脚部は切断したままとし、
    それ以外の既存柱は、1階の鉛直荷重を仮受した上で、その既存柱の1階柱の一部を水平方向に切断しこの切断部内に建物内免震装置を配置し、
    切断された全既存柱の1階柱の切断部直上を水平方向に連結し、且つ既存の1階床スラブからは浮き上がっているか、もしくは既存の1階床スラブ上に免震装置で水平方向に移動可能に支持されている新設床スラブを構築し、
    前記新設外周フレームと前記新設床スラブとを水平方向に連結することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の既存建物の免震化工法において、
    前記建物外免震装置を支持する新設基礎フーチングと、前記既存建物の基礎構造体もしくは地下構造体とを水平力が伝達できるように連結し一体化することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  6. 地下階を有する既存建物の1階床から上部を免震建物にする免震化工法であって、
    少なくとも既存外周柱の外側4カ所に、既存建物から少し離れた位置に新設杭を打設するか、既存地下躯体に一体化した跳ねだし躯体を構築し、その上に新設基礎フーチングを設けて建物外免震装置を配置し、
    前記建物外免震装置の上に少なくとも1階梁で構成される新設外周フレームを構成し、
    前記新設外周フレームを、水平力が伝達できるように前記既存建物の1階床スラブおよび1階梁に連結・一体化し、
    前記新設基礎フーチングを、水平力が伝達できるように前記既存建物の地下躯体に連結・一体化した上で、
    地下1階柱頭部を切断して、その切断部の下側(地下1階柱頭部側)にすべり支承のスライダーを取り付け、切断部の上側(1階床・大梁側)にすべり支承のすべり板を取り付けることを特徴とする既存建物の免震化工法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の既存建物の免震化工法において、
    前記既存建物の1階既存大梁の下面および側面に補強後大梁の下端主筋となる配筋を行い、
    前記1階既存大梁の上部に位置する1階既存床スラブ上面の仕上げ材を撤去し、上面を目荒らしした上で前記補強後大梁の上端主筋となる配筋を行い、
    前記1階既存床スラブの、前記補強後大梁の側面位置からかぶり厚さだけ内側にはいった平面位置に等間隔のスラブ縦穴を設け、
    前記スラブ縦穴を通してせん断補強筋を配筋した上で、
    前記1階既存床スラブの上部および前記1階既存大梁の側面および下面にコンクリートを打設することによって既存建物の1階大梁を補強したことを特徴とする既存建物の免震化工法。
  8. 請求項7に記載の既存建物の免震化工法において、
    前記1階既存大梁の上部および下部に配置された補強後大梁用の前記上端主筋および前記下端主筋の内、それぞれ既存柱に対向する両主筋の位置に、同主筋の直径よりも僅かに大きな直径の貫通孔を水平に設け、
    前記両主筋を前記貫通孔の中に挿入し、貫通させた後に、
    前記両主筋と前記貫通孔の間の隙間に、高強度モルタルあるいは高強度樹脂等の充填材料を充填し硬化させることによって、前記既存柱と補強梁の新設補強主筋とが交差する補強された柱・梁接合部を構築することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  9. 請求項8に記載の既存建物の免震化工法において、
    前記既存柱の貫通孔に、前記上端主筋および前記下端主筋の内、前記既存柱に対向する両主筋をそれぞれ挿入し貫通させた後に、
    前記主筋と前記貫通孔の間の隙間には、高強度モルタル等のグラウト材を充填し、
    前記既存柱の貫通孔端部の外側位置に、貫通させた主筋の定着板を取り付け、
    鉄筋用ナットもしくは溶接等により定着板と主筋を固定した上で、
    補強梁のコンクリートを打設することによって、既存柱と補強梁の新設補強主筋とが交差する補強された柱・梁接合部を構築することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の既存建物の免震化工法において、
    前記既存建物の既存柱の柱脚部もしくは柱頭部にすべり支承を取り付ける工法であり、
    あらかじめ前記すべり支承のすべり板をスライダーの平面寸法よりも少し大きい「中央部分」とその外側の「外周部分」に分割し、且つ前記外周部分は少なくとも2分割以上に分割しておき、
    前記外周部分の表面すべり板を前記中央部分のすべり板裏板上に乗り込ませて皿ボルトで締め付けることにより、すべり板の表面を凹凸・段差・突起物のない1枚の大型すべり板に再構築できる状態にしておき、
    前記既存柱の鉛直荷重を仮支持した状態において、前記既存柱の前記すべり支承の設置予定位置を前記すべり支承の高さよりも少し大きく切断し、
    先ず前記既存柱の中心位置に合わせて前記スライダーおよび前記すべり板の中央部分を水平に取り付け、
    その後で、前記すべり板の外周部分を前記中央部分の外側に配置し、皿ボルト等により水平、且つ平滑な表面となるようにすべり板を構成し、
    合わせて前記スライダーおよび前記すべり板の上側および下側のコンクリート躯体を打設・構築して前記スライダーおよび前記すべり板を固定することによって既存柱の柱脚もしくは柱頭位置にすべり支承を取り付けることを特徴とする既存建物の免震化工法。
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