JP2009138381A - 貯水池の簡易構築工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工事現場などで暫定的に貯水するのに適した貯水池を、遮水シートに比べ信頼性の高い遮水が実現できる作業性の良い簡易な手法で構築する工法を提供する。
【解決手段】貯水池となる窪地の表層部に、水硬性結合材を20〜100kg/m3の割合で混合した改質土壌を締め固めてなる厚さ250mm以上の改質層を形成し、その改質層の表面に、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂および膨潤性粘土鉱物を含有する有機−無機複合型エマルジョン系塗料を塗布することにより当該貯水池に収容する水に曝すための遮水性被覆層を形成する貯水池の簡易構築工法。
【選択図】図1

Description

本発明は、水を一時的に貯留する比較的大型(例えば20m3以上)の水槽に適した貯水池を簡易に構築する工法に関する。
土木工事現場などでは、工事期間中、一時的に水を貯留するための水槽が必要になることがある。その水槽の形態は様々であるが、例えば容量が20m3以上となるような比較的大型の水槽の場合は、現場の土地を利用して貯水池を造成することが一般的である。工事現場に限らず、暫定的な貯水場として、比較的大規模な貯水池が造成されることもある。
そのような貯水池は、役割を終えたときに取り壊すことが前提であるため、コンクリートなどで固めた高耐久構造物ではなく、土壌の掘削などによって作った窪地に水を貯めるという、比較的簡素な構造が採用される。ただし、その場合でも、貯留水が土壌中に漏れないように遮水する必要がある。
従来その遮水の方法としては、貯水池となる窪地の、貯留水と接触する表面を、いわゆるブルーシートなどの遮水性シートで覆う方法が一般的に採用されてきた。このような遮水シートは安価で、入手が容易であり、取り壊しの際の撤去も容易である。
しかし、遮水性シートで覆う方法には以下のような問題がある。
(1)機械などの接触によりシートが破損しやすいため、貯水前の窪地の法面に雨水が浸透し、法面崩壊が生じやすい。
(2)紫外線や、作用水による化学的劣化が起こりやすく、その部分での漏水が生じることがある。
(3)屋外の施工において、風の影響を受けやすい大面積のシートを均一に敷設する作業は必ずしも容易ではない。
(4)継目処理が必要となり、作業が繁雑となる。また、継目箇所では破損が起こりやすい。
一方、モルタルやコンクリートが硬化するときの乾燥収縮によるひび割れを防止するために、硬化体表面に塗布して用いるコーティング剤が種々開発されている(特許文献1〜7)。特に、有機−無機複合型塗膜養生剤として、塩化物イオンや二酸化炭素の物質遮断性に優れ、水濡れしても白化しないなどの優れた特性を有するものが知られている(特許文献3〜7)。
特開2004−244255号公報 特開2002−274976号公報 特開2006−327867号公報 特開2007−1802号公報 特開2007−1803号公報 特開2007−119258号公報 特開2007−119259号公報
上述のように、貯水池の遮水のために法面や底面を遮水性シートで覆う方法は、耐久性や作業性の面で問題が多い。他方、耐久性のあるコンクリートなどで固める方法は、産業廃棄物が多く発生し、また環境負荷が大きいため、一般的な工事現場などで容易に採用することはできない。
本発明は、このような現状に鑑み、作業性が良く簡易な手法で遮水シートに比べ信頼性の高い遮水が実現でき、かつ取り壊しも容易である貯水池の構築工法を提供することを目的とする。
上記目的は、貯水池となる窪地の表層部に、水硬性結合材が混合された土壌からなる改質層を形成し、その改質層の表面に、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂および膨潤性粘土鉱物を含有する有機−無機複合型エマルジョン系塗料を塗布することにより、当該貯水池に収容する水に曝すための遮水性被覆層を形成する貯水池の簡易構築工法によって達成される。このエマルジョン系塗料は架橋剤を反応させて合成したものである。
特に、上記改質層は水硬性結合材を20〜100kg/m3の割合で混合した改質土壌を締め固めてなる厚さ250mm以上のものとし、上記エマルジョン系塗料として粘度が3〜5000mPa・sに調整されたものを採用し、その平均塗布量を300〜1000g/m3とする工法が好適な対象となる。また、下記(A)の条件を満たす塗布量とすることが望ましい。
(A)当該改質層の表面に当該エマルジョン系塗料を塗布したのち1日経過後に、その塗布後の乾燥表面に散布量10L/m2で水を散布したとき、散布後60秒の時点で表面を1mm削った面に濡れ色が確認できない遮水性を呈する塗布量
前記エマルジョン系塗料の塗布は、スクイーズ式、ピストン式、またはダイヤフラム式のポンプを用いた吹き付けによって行うのが良く、なかでもスクイーズ式が効率的である。
本発明によれば、貯水池の法面および底面の遮水性をブルーシート等のシート材に負担させるのではなく、表面処理した改質層によって遮水するため、破損しやすいシート材を使用することによる法面崩壊や漏水の問題が回避される。また、遮水処理のための作業性も、シート材を継ぎ合わせていく従来の方法に比べ、大きく改善される。また、遮水性に対する信頼性が高い一方で、役割を終えた貯水池の取り壊しも容易である。
図1に、本発明の工法によって構築される貯水池の断面構造を模式的に例示する。基礎地盤11を掘削することにより窪地10が造成され、窪地10の表層部には改質層12が形成されている。この改質層12は後述のように水硬性結合材を混合した改質土壌で構成され、その改質土壌は例えば掘削により生じた現場発生土を利用して調製することができる。改質層12は必要に応じて転圧などにより締め固められ、収容される水14に曝される表面には後述のエマルジョン系塗料を塗布することによって遮水性被覆層13が形成されている。なお、図1において改質層12および遮水性被覆層13の厚さは誇張して描いてある。
一般にモルタルやコンクリートのように、表面が比較的平滑で、ポーラスの程度も比較的小さい物体であれば、遮水性を付与するための手法としてコーティング剤(撥水材など)を塗布する公知の方法が適用できる。しかしながら、土壌成分で形成した表面は、転圧などの締め固めを施したとしてもモルタルやコンクリートに比べると凹凸が大きく、かつポーラスである。したがって、液状のコーティング剤を塗布しても一般には内部に浸透してしまい、表面に遮水層を形成させることは容易ではない。このようなことから、貯水池に収容される水に直接曝される土壌表面に、コーティング剤を塗布して遮水層を形成させるような工法は例を見ない。
発明者らはシート材に代わる新たな遮水手段について種々検討してきた。その結果、ある種の有機−無機複合型コーティング剤を使用すれば、土譲表面に遮水層を形成することが可能になることを見出した。そのコーティング剤とは、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂および膨潤性粘土鉱物を含有し、架橋剤を反応させて合成した有機−無機複合型エマルジョン系塗料である(本明細書において単に「エマルジョン系塗料」というときは特に断らない限りこれを意味する)。このような成分を含有するコーティング剤としては、特許文献3〜7に開示の塗膜養生剤が知られているが、これは本来、モルタルやコンクリートの比較的緻密な表面に適用するものである。しかし発明者らは研究の結果、この種の成分系のエマルジョンで塗料を構成し、これを土壌成分で形成した表面に塗布すると信頼性の高い遮水層が形成できることを見出した。
ただし、このエマルジョン系塗料を適用するための土壌は、水硬性結合材が混合された土壌からなる改質層であることが重要である。水硬性結合材を混合することによって改質した土壌は、土壌中の水分と水硬性結合材の成分が反応し、その反応生成物によって土壌粒子の間隙がある程度埋められる(緻密化)。それによって、本来の土壌改質作用に加え、エマルジョン系塗料が土壌内部へ過度に浸透してしまうことを抑制する作用が発揮される。このような作用を十分に得るためには、土壌に水硬性結合材を混合してから概ね1日を経過した以降にエマルジョン系塗料の塗布を行うことが望ましい。
図2に、本発明の工法で形成させる遮水層近傍の断面構造を模式的に示す。水硬性結合材の混合によって改質層の内部は緻密化するものの、モルタルやコンクリートに比べると、粒子間には多くの空隙が多く残っている。改質層12の表面近傍には、エマルジョン系塗料が粒子間の空隙に適度に浸透することにより、土壌成分、結合材成分およびエマルジョン系塗料成分が混在する含浸層21が形成される。含浸層21の上にはエマルジョン系塗料のみの塗膜層22が形成される。遮水性被覆層13は、含浸層21と塗膜層22とによって構成される。含浸層21の存在によって改質層12に対する塗膜層22のアンカー効果が生じ、土壌との密着性に優れた信頼性の高い遮水性被覆層13が形成されるものと推測される。また、このような遮水性被覆層13の構造は改質層12のひび割れを抑制する上でも有効に作用するものと考えられる。遮水性被覆層13の好ましい平均厚さは1〜5mmである。
改質層を形成するためには、土(例えば現場発生土)にセメント等の水硬性結合材を混合して改質土壌を作り、この改質土壌によって貯水池の窪みの表層部を構築すればよい。水硬性結合材は、ポルトランドセメント等の一般的なセメントをそのまま使用することもできるが、市販のセメント系固化材を使用してもよい。貯水池の水14は遮水性被覆層13によって改質層12中への浸透が顕著に抑制される。ただし、改質層12の表面に存在する不可避的な凹凸の影響や、現場での塗布作業において発生しうる塗布ムラの影響を考慮すると、この遮水性被覆層13に完璧な遮水を期待することには無理があり、遮水性被覆層13を越えて改質層12の内部へのわずかな水の浸入が生じることは十分に想定される。そこで、本発明の工法では改質層12をある程度の厚さで構築することによって、それより外側への水漏れを防止する。種々検討の結果、改質層12の厚さは250mm以上を確保することが望ましい。後述のようにして得られる改質土壌を使用することによって改質層自体に遮水機能を付与することができるが、250mm未満であると改質層12の外部への水の漏出を完全にくい止めることができない場合がある。改質層12の厚さは300mm以上とすることがより好ましく、400mm以上とすることが一層好ましい。ただし、過剰に厚い改質層を設けることは不経済であるので、1000mm以内とするのが良く、例えば500mm±100mmというように管理基準を設けてもよい。
改質層中における水硬性結合材の配合量が少なすぎると、エマルジョン系塗料の浸透を抑制する作用が弱くなり、かなり塗布量を多くするか、塗料の粘性を高くしないと改質層表面を塗膜で覆うことが困難となる。また、改質層自体の遮水機能が低下する。一方、水硬性結合材の配合量が過剰に多い場合は不経済となるだけでなく、エマルジョン系塗料の適度な浸透が妨げられることが考えられ、その場合は密着性の良い塗膜で被覆することが困難になることが懸念される。種々検討の結果、水硬性結合材の混合量を20〜100kg/m3(元の土壌1m3に対して添加する水硬性結合材の量を意味する)とした改質土壌を用いて改質層を形成することが望ましく、30〜60kg/m3程度とした改質土壌を用いることがより好ましい。
エマルジョン系塗料を塗布する前の改質層表面は、締め固められた状態であることが望ましい。締め固めは一般的な転圧によって実施できる。締め固められた改質層の表面は凹凸が軽減されており、エマルジョン系塗料を均一に塗布する上で有効である。
エマルジョン系塗料の粘度は、改質層表面から内部への塗料の浸透性に大きく影響する。粘度が低すぎると改質層への浸透が大きくなるので、健全な塗膜層22で被覆するためには多量の塗料が必要となり、不経済である。逆に粘度が高すぎると吹き付けによる塗布に際してポンプへの負荷が過大となり、効率的な塗布作業が難しくなる。種々検討の結果、エマルジョン系塗料の粘度は3〜5000mPa・sに調整されていることが望ましく、5〜500mPa・sであることがより好ましい。このように粘度が調整されたエマルジョン系塗料を用いて、平均塗布量300〜1000g/m3で塗布すると、一般的な転圧等により締め固められた表面上に優れた遮水性を有する被覆層を形成することができ、250mm以上の厚さで形成された改質層の遮水機能と組み合わせると、改質層より外側への水の漏出を十分に防止できる。
また、優れた遮水性能を有する遮水性被覆層を安定して得るためには、下記(A)の条件を満たす塗布量で塗布することが特に好ましい。
(A)当該改質層の表面に当該エマルジョン系塗料を塗布したのち1日経過後に、その塗布後の乾燥表面に散布量10L/m2で水を散布したとき、散布後60秒の時点で表面を1mm削った面に濡れ色が確認できない遮水性を呈する塗布量
現場において塗布量を設定する場合には、実際に形成した改質層表面の一部を利用して何水準かの塗布量で塗布実験(試し塗り)を行い、上記(A)を満たすような塗布量に設定することが有効である。このような条件を満たす遮水性被覆層を表面に形成した厚さ250mm以上の改質層は、数ヶ月以上の長期にわたる貯水において、水の漏出を防止することができる。
エマルジョン系塗料の塗布の方法は、吹き付けによる方法やローラーによる方法が適用できる。吹き付けの場合は、エマルジョン系塗料が一般的な塗料と比べて高粘性であることから、ポンプへの負担が過大となる場合がある。この問題を解消するには、例えばスクイーズ式のポンプを使用することが望ましい。ピストン式やダイヤフラム式ポンプを適用することも可能である。
エマルジョン系塗料は、特許文献3〜7に開示の塗膜養生剤をベースにしたものが適用できるが、以下に簡単に説明する。
〔合成樹脂水性分散体〕
ここでいう合成樹脂水性分散体とは、一般的には合成樹脂エマルジョンであり、芳香族ビニル単量体、脂肪族共役ジエン系単量体、エチレン系不飽和脂肪酸単量体、およびその他の共重合可能な単量体から1種または2種以上を乳化重合して得られるものである。例えば、スチレンを主体としたスチレン・ブタジエン系ラテックス、スチレン・アクリル系エマルジョンやスチレンと共重合したメチルメタクリレート・ブタジエン系ラテックス、エチレン・アクリルエマルジョンである。合成樹脂エマルジョンには、カルボキシル基またはヒドロキシ基を有するものがより望ましい。ここで、乳化重合は、重合すべき単量体を混合し、これに乳化剤や重合開始剤などを加え水系で行なう一般的な乳化重合方法である。膨潤性粘土鉱物との配合安定性を得るには、アンモニア、アミン類、およびカセイソーダなどの塩基性物質を使用し、pH5以上に調整したものが好ましい。合成樹脂水性分散体の粒子径は、一般的に100〜300nmであるが、60〜100nm程度の小さい粒子径のものが好ましい。
〔水溶性樹脂〕
水溶性樹脂としては、加工澱粉またはその誘導体、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニルの鹸化物またはその誘導体、スルホン酸基を有する重合体またはその塩、アクリル酸の重合体や共重合体またはこれらの塩、アクリルアミドの重合体や共重合体、ポリエチレングリコール、およびオキサゾリン基含有重合体などが挙げられ、そのうちの1種または2種以上の使用が可能である。水溶性樹脂として、純水への溶解度が常温で1%以上であるものであれば良く、樹脂単位質量あたりの水素結合性基またはイオン性基が10〜60%であることが好ましい。また、平均分子量は2000〜1000000が好ましい。水溶性樹脂の配合量は、合成樹脂水性分散体の固形分100質量部に対して、固形分換算で0.05〜200質量部が好ましい。0.05質量部未満では防湿性が低下する場合があり、200部を超えると防湿性が著しく低下する場合がある。
〔膨潤性粘土鉱物〕
膨潤性粘土鉱物としては、スメクタイト属に属する層状ケイ酸塩鉱物が挙げられる。例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、合成フッ素雲母、マイカ、およびベントナイトなどである。これらは天然品、合成品、および加工処理品のいずれであっても使用可能である。そのうち、日本ベントナイト工業会、標準試験方法JBAS−104−77に準じた方法での膨潤力が20ml/2g以上の粘土鉱物、特に、合成フッ素雲母やベントナイトが好ましい。また、イオン交換当量が100gあたり、10ミリ当量以上ものが好ましく、60〜200ミリ当量のものがより好ましい。さらに、そのアスペクト比が50〜5000のものが好ましい。アスペクト比とは、電子顕微鏡写真により求めた層状に分散した粘土鉱物粒子の長さ/厚みの比である。膨潤性粘土鉱物の配合量は、合成樹脂水性分散体の固形分100質量部に対して、1〜50質量部が好ましい。1質量部未満では防湿性が低下しブロッキングが生じやすくなる場合があり、50質量部を超えると形成した被覆層の変形能力が低下する場合がある。
〔架橋剤〕
架橋剤とは、水溶性樹脂や合成樹脂水性分散体が有するカルボキシル基、アミド基、および水酸基などの親水性官能基と反応して、架橋、高分子化(三次元網目構造化)、または疎水化するものであり、カルボキシル基と付加反応を起こすオキサゾリン基を有するものが水溶性樹脂をも兼ねるので好ましい。架橋剤の配合量は、合成樹脂水性分散体と水溶性樹脂の合計の固形分100質量部に対して、固形分換算で0.01〜30質量部が好ましい。0.01質量部未満では防湿性が低下する場合があり、30質量部を超えると防湿性やブロッキング防止性が頭打ちになる。
その他の配合剤として、顔料を添加することができる。顔料を添加したエマルジョン系塗料を使用すると塗布した箇所とそうでない箇所の区別が付きやすく、均一な塗布を行いやすくなる。
本発明に使用するエマルジョン系塗料の合成方法は、水溶性樹脂、膨潤性粘土鉱物、必要に応じて顔料をあらかじめ水中で混合した後に、合成樹脂水性分散体と架橋剤を混合する方法が好ましい。顔料は架橋剤を反応させた後に、最後に混合しても差し支えない。エマルジョン系塗料の粘度は、主として水溶媒の量によって調整できる。
《ラボ実験》
以下の材料を用意した。
・土; 北陸地方の現場で採取した土。容重1.57g/cm3
・水硬性結合材; 普通ポルトランドセメント。電気化学工業製、密度3.15g/cm3
・エマルジョン系塗料; 合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂および膨潤性粘土鉱物を含有し、架橋剤を反応させて合成した有機−無機複合ポリマーであり、電気化学工業社製「デンカフルコート」をベースとして粘度を約36mPa・sに調整したもの。顔料無添加の乳白色液体、pH7〜10
採取土にセメントを30kg/m3の割合または60kg/m3の割合で混合して改質土壌とし、この改質土壌を用いてφ7.5cm×2cmの円柱体を作製し、その後、円柱体の一端部から内部をくりぬいてφ5.5cm×深さ1cmの窪みを形成して、土製の試験体を作った。この試験体の窪み内部に上記エマルジョン系塗料を300g/m2の塗布量で塗布し、1時間放置後に、この窪みに水を満たした。また、エマルジョン系塗料を塗布していない試験体の窪みにも水を満たした。各試験体について、水を満たしてから3時間放置した時点で水の漏出の有無を目視で観察した。結果を表1に示す。
Figure 2009138381
表1からわかるように、エマルジョン系塗料を塗布したものは、水の漏出が認められず、優れた遮水性を有することが確認された。いずれの試験体にも造形直後に窪みの縁の部分にひび割れが認められたが、エマルジョン系塗料によってひび割れが塞がれ、漏水しなかったものと考えられる。なお、この実験では試験体の土の表面は造形により平滑化されているので、エマルジョン系塗料の塗布量が300g/m2と比較的少量でも良好な遮水性が得られたと考えられる。
《現場実験》
屋外の敷地を利用して、貯水池を造成した。材料として以下のものを用意した。
・土; 現地発生土。
・水硬性結合材; セメント系固化剤(電気化学工業社製「ソイルパック20」)。
・エマルジョン系塗料; 実施例1と同じもの。
バックホウ(0.45m3、クレーン仕様)により地盤を掘削し、貯水池となる窪地(掘削土を利用した築堤を有するもの)を作った。掘削により発生した土に上記の水硬性結合材を50kg/m3の割合で混合することにより改質土壌を得た。この改質土壌を用いて窪地の表層部(法面および底面)に改質層を設けた。改質層は転圧機で締め固めて厚さ500mmとなるようにした。また、改質層の一部には水硬性結合材の配合量を10〜100kg/m3の種々の段階で変えた改質土壌を適用した。
水硬性結合材の配合量50kg/m3の改質土壌からなる改質層の一部表面を利用して、上記のエマルジョン系塗料を200〜700g/m2の種々の塗布量で塗布する実験(試し塗り)を行った。ここでは手動の散布器を使用して塗布した。塗布後、1日経過した時点で、その塗布後の乾燥表面に散布量10L/m2で水を散布し、散布後60秒の時点で表面を1mm削った面に濡れ色が認められるかどうかを調べた。比較のために無塗布の表面(塗布量0g/m2と表示)も調査対象に加えた。評価は以下の基準で行い、△、○評価を合格と判定した。
○:濡れ色が確認できない
△:散布面の一部に濡れ色が確認できる
×:散布面のほぼ全面に濡れ色が確認できる
結果を表2に示す。
Figure 2009138381
表2からわかるように、平均塗布量300g/m2以上において優れた遮水性が確認された。特に、平均塗布量500g/m2以上としたものでは、塗布面(最表面)においても水の散布箇所が判別しにくい状態であった。これは、最表面が連続的な塗膜層(図2の符号22に相当する層)で覆われ、非常に高い遮水性が得られたことによると推測される。また、○評価であったものについて塗布面近傍を詳細に調査したところ、遮水性被覆層(図2の符号13に相当する層)の平均厚さは1〜5mmの範囲にあることが確認された。
次に、上記の評価結果を踏まえ、厚さ約500mmの改質層で構成された法面および底面の全体について、平均塗布量500g/m2で上記エマルジョン系塗料を塗布した。その際、初めはエンジンを動力とするギア式ポンプを使用して吹き付け塗装を行ったが、エマルジョン系塗料の粘性のためにエンジンの負荷が過大となり、出力を低下させて塗布せざるを得ない状況となった。そこで途中からスクイーズ式ポンプに切り替えて塗布を行った。その結果、施工性の良い塗布作業が実施できた。
このようにして、設計最大水深約1.8m、設計最大貯水量約600m3の貯水池を構築した。法面の角度は水平面に対して約45°である。なお、前述のように改質層の一部には水硬性結合材の混合量を50kg/m3以外に変化させた改質土壌を用いている。
この貯水池に水を導入し、貯水量を上記の設計最大貯水量として、20日間貯水した。収容されている水は改質層表面に形成した遮水性被覆層に直接接触している。その後排水し、法面および底面の改質層の一部を人力で掘り進めながら、以下の基準で水の漏出状況を評価した。△評価以上の改質層を実用に耐えうるものと判断して、合格と判定した。
○:法面および底面とも、水の漏出が改質層の深さ100mm未満の領域に収まっている
△:法面および底面の少なくとも一方で、水の漏出が改質層の深さ100mm以上の領域に達しているが、250mm未満の領域に収まっている
×:法面および底面の少なくとも一方で、水の漏出が改質層の深さ250mm以上の領域に達している
結果を表3に示す。
Figure 2009138381
表3からわかるように、優れた遮水性を有する貯水池を構築することができた。水硬性結合材の混合量が少ない改質土壌を用いた改質層では、遮水性能が低下する傾向が見られた。
本発明の工法によって構築される貯水池の断面構造を模式的に例示した図。 本発明の工法で形成される遮水層近傍の断面構造を模式的に例示した図。
符号の説明
10 窪地
11 基礎地盤
12 改質層
13 遮水性被覆層
14 水
21 含浸層
22 塗膜層

Claims (5)

  1. 貯水池となる窪地の表層部に、水硬性結合材が混合された土壌からなる改質層を形成し、その改質層の表面に、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂および膨潤性粘土鉱物を含有する有機−無機複合型エマルジョン系塗料を塗布することにより当該貯水池に収容する水に曝すための遮水性被覆層を形成する貯水池の簡易構築工法。
  2. 貯水池となる窪地の表層部に、水硬性結合材を20〜100kg/m3の割合で混合した改質土壌を締め固めてなる厚さ250mm以上の改質層を形成し、その改質層の表面に、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂および膨潤性粘土鉱物を含有し、粘度が3〜5000mPa・sに調整された有機−無機複合型エマルジョン系塗料を平均塗布量300〜1000g/m3で塗布することにより当該貯水池に収容する水に曝すための遮水性被覆層を形成する貯水池の簡易構築工法。
  3. 貯水池となる窪地の表層部に、水硬性結合材を20〜100kg/m3の割合で混合した改質土壌を締め固めてなる厚さ250mm以上の改質層を形成し、その改質層の表面に、合成樹脂水性分散体、水溶性樹脂および膨潤性粘土鉱物を含有する有機−無機複合型エマルジョン系塗料を、下記(A)の条件を満たす塗布量で塗布することにより当該貯水池に収容する水に曝すための遮水性被覆層を形成する貯水池の簡易構築工法。
    (A)当該改質層の表面に当該エマルジョン系塗料を塗布したのち1日経過後に、その塗布後の乾燥表面に散布量10L/m2で水を散布したとき、散布後60秒の時点で表面を1mm削った面に濡れ色が確認できない遮水性を呈する塗布量
  4. エマルジョン系塗料は粘度が3〜5000mPa・sのものである請求項3に記載の貯水池の簡易構築工法。
  5. 前記エマルジョン系塗料の塗布を、スクイーズ式、ピストン式、またはダイヤフラム式のポンプを用いた吹き付けによって行う請求項1〜4のいずれかに記載の貯水池の簡易構築工法。
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