JP2009137802A - ガラス成形体、精密プレス成形用プリフォームおよび光学素子それぞれの製造方法 - Google Patents

ガラス成形体、精密プレス成形用プリフォームおよび光学素子それぞれの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 精密プレス成形用プリフォームなどの高品質なガラス物品を作るための母材となるガラス成形体を、品質よく、かつ高い生産性のもとに効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】 熔融ガラス滴を液体に滴下し、液体中で冷却、成形する工程を繰り返してガラス成形体を量産するガラス成形体の製造方法であって、前記液体が、比重の異なる複数種の液体からなる層によって構成され、かつ(1)液面に投入したガラス塊を順次、比重の異なる複数種の液体中を沈降させることにより、液体中のガラス塊の沈降スピードを制御する、および(2)各液体の1気圧下における沸点をBP[℃]、定圧比熱をCp[J/(g・K)]、気化熱をQ[J/g]、設定温度をLT[℃]とした場合、下記式(1)
E=Cp×(BP−LT)+Q ……(1)
によって算出される値E[J/g]が、最上層の液体よりも下層の液体の方が小さくなるようにする、ことを特徴とするガラス成形体の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガラス成形体の製造方法、精密プレス成形用プリフォームの製造方法および光学素子の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、精密プレス成形用プリフォームなどの高品質なガラス物品を作るための母材となるガラス成形体を、品質よく、かつ高い生産性のもとに効率よく製造する方法、および得られたガラス成形体から精密プレス成形用プリフォームを製造する方法、ならびに得られたプリフォームから光学素子を製造する方法に関するものである。
非球面レンズなどのガラス製光学素子を量産する方法として、精密プレス成形法が知られている。この方法は、精密プレス成形に先立ち所要量のガラスを予備成形してプリフォームと呼ばれる成形体にする。それからプリフォームを加熱、軟化してプレス成形型を用いてプレス成形し、成形面を精密にガラスに転写して光学素子の光学機能面を形成する。
精密プレス成形法は優れた生産性を有する方法であるが、その生産性をさらに向上させるには、如何に効率よくプリフォームを生産するかという点がポイントになる。こうした要求に応えるため、幾つかのプリフォーム生産法が提案されている。一例としては特許文献1に記載されているように、熔融ガラス滴を液体に滴下して冷却しながらプリフォームに成形する方法が知られている。
特開平10−291824号公報
しかしながら、この方法には次のような問題がある。液体中でガラスの固化が始まる時点でガラス塊を急冷すると急激な体積収縮によりガラス塊が破損したり、クラックが入ることがある。こうした破損やクラックはカン、割れと呼ばれるがカン、割れに至らない場合でも、急冷によりヒケと呼ばれる現象がおきてガラス表面の一部が窪んだり、ガラス中に真空泡が発生することがあった。
一方、滴下したガラス滴が液面に達すると急激に減速し、液体中をゆっくり沈降する。ガラス滴が自由落下するスピードに比べて液体中の沈降スピードが遅いため、また、液面に入ったとたんガラス滴周囲が気化し、その気化ガスの上昇気流が弱まるまでの間は沈降スピードが極端に遅いため、液面上のガラス滴に次に滴下したガラス滴が追いついてガラス滴同士がくっつくという問題が生じる。こうした問題を低減するため、沈降スピードが大きい液体を使用すると、ガラス塊の冷却、成形が終了する前に液体を蓄積する容器の底にガラス塊が達してガラス塊が変形し、真球度が高いガラス成形体の成形が難しくなる。
本発明は、このような状況下になされたものであり、精密プレス成形用プリフォームなどの高品質なガラス物品を作るための母材となるガラス成形体を、品質よく、かつ高い生産性のもとに効率よく製造する方法、および得られたガラス成形体から精密プレス成形用プリフォームを製造する方法、ならびに得られたプリフォームから光学素子を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 熔融ガラス滴を液体に滴下し、液体中で冷却、成形する工程を繰り返してガラス成形体を量産するガラス成形体の製造方法であって、
前記液体が、比重の異なる複数種の液体からなる層によって構成され、かつ液面に投入したガラス塊を順次、比重の異なる複数種の液体中を沈降させることにより、液体中のガラス塊の沈降スピードを制御することを特徴とするガラス成形体の製造方法(以下、製造方法Iと称することがある。)、
(2) 熔融ガラス滴を液体に滴下し、液体中で冷却、成形する工程を繰り返してガラス成形体を量産するガラス成形体の製造方法であって、
前記液体が、比重の異なる複数種の液体からなる層によって構成され、かつ各液体の1気圧下における沸点をBP[℃]、定圧比熱をCp[J/(g・K)]、気化熱をQ[J/g]、設定温度をLT[℃]とした場合、下記式(1)
E=Cp×(BP−LT)+Q ……(1)
によって算出される値E[J/g]が、最上層の液体よりも下層の液体の方が小さくなるようにしたことを特徴とするガラス成形体の製造方法(以下、製造方法IIと称することがある。)、
(3) 複数種の液体として、極性分子からなる液体と非極性分子からなる液体を用い、前記液体の混合を防止して液体の層状態を維持する上記(1)または(2)項に記載のガラス成形体の製造方法、
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の方法により作製したガラス成形体を研磨することを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法、および
(5) ガラス製のプリフォームを加熱、精密プレス成形する光学素子の製造方法であって、
上記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の方法により作製したガラス成形体または上記(4)項に記載の方法により作製したプリフォームを加熱、精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、精密プレス成形用プリフォームなどの高品質なガラス物品を作るための母材となるガラス成形体を、品質よく、かつ高い生産性のもとに効率よく製造する方法、および得られたガラス成形体から精密プレス成形用プリフォームを製造する方法、ならびに得られたプリフォームから光学素子を製造する方法を提供することができる。
まず、本発明のガラス成形体の製造方法について説明する。
[ガラス成形体の製造方法]
本発明のガラス成形体の製造方法は、熔融ガラス滴を液体に滴下し、液体中で冷却、成形する工程を繰り返してガラス成形体を量産するガラス成形体の製造方法であって、前記液体が、比重の異なる複数種の液体からなる層によって構成されており、以下に示す製造方法Iおよび製造方法IIの態様がある。
(製造方法I)
本発明のガラス成形体の製造方法Iは、成形用に用いる液体が、比重の異なる複数種の液体からなる層によって構成されており、かつ液面に投入したガラス塊を順次、比重の異なる複数種の液体中を沈降させることにより、液体中のガラス塊の沈降スピードを制御するガラス成形体の製造方法である。
熔融ガラス滴を液面に滴下して液体中で冷却、成形する工程を繰り返してガラス成形体を量産する場合、ガラス滴が液面に達すると急激に減速し、次に滴下したガラス滴に追いつかれてガラス滴同士がくっついてしまう。本発明は、液体を比重の異なる複数種の液からなる層によって構成し、液面に投入したガラス塊を順次、比重の異なる複数種の液中を沈降させることにより液体中のガラス塊の沈降スピードを制御するため、液面付近のガラスの沈降スピードを速くし、次に滴下したガラス滴に追いつかれにくくすることでガラス滴同士のくっつきを防止する。
そして、ガラス滴同士のくっつきが生じない深さまでガラス塊を沈降してから比重の大きい液の層中を沈降させることで、容器に接触させずにガラス塊を継続的に冷却し、所望の形状に成形する。
こうした効果を得る上から、隣接する層の液の比重の差を0.1〜1.5の範囲にすることが好ましく、0.5〜1.0の範囲にすることがより好ましい。液の層の厚さはガラス塊をもとに調整、設定すればよい。液の層は2層以上とする。
比重が4.0以下のガラス塊を成形する場合、液体の最上層を構成する液の比重を0.6〜1.0とすることが好ましく、0.7〜0.9とすることがより好ましい。この場合、最上層の液としてエタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、酢酸エチルなどを例示できる。最上層の直ぐ下の層の液としてハイドロフルオロエーテル、ペンタフルオロブタンなどを例示できる。さらに下の層の液としてパーフロロカーボンなどを例示できる。
比重が4.0を超えるガラスを成形する場合、液体の最上層を構成する液の比重を0.1〜1.0とすることが好ましく、0.5〜0.7とすることがより好ましい。この場合、最上層の液としてエタノール、イソプロピルアルコールなどを例示できる。最上層の直ぐ下の層の液としてペンタフルオロブタンなどを例示できる。さらに下の層の液としてハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどを例示できる。
ガラスの比重に合わせて最上層の液の比重を定め、さらに、隣接する層の液の比重の差を上記のようにすることにより、ガラスの沈降スピードをより制御しやすくなる。
(製造方法II)
本発明のガラス成形体の製造方法IIは、成形用に用いる液体が、比重の異なる複数種の液体からなる層によって構成されており、かつ各液体の1気圧下における沸点をBP[℃]、定圧比熱をCp[J/(g・K)]、気化熱をQ[J/g]、設定温度をLT[℃]とした場合、下記式(1)
E=Cp×(BP−LT)+Q ……(1)
によって算出される値E[J/g]が、最上層の液体よりも下層の液体の方が小さくなるようにするガラス成形体の製造方法である。
この製造方法IIにおいては、隣接する層の液の比重の差および各層の比重は、前述の製造方法Iで説明したとおりであり、また、液の層の厚さは、ガラス塊をもとに調整、設定すればよい。液の層は2層以上とする。
当該製造方法IIでは、ガラス塊の沈降スピードの制御だけでなく、ガラス塊の冷却スピードも制御することができる。液体中のガラス塊の冷却において、ガラス塊表面に接した液体が熱せられてガス化し、ガラス塊表面を前記ガスが覆うことにより、冷却スピードを遅くすることができる。ガス化しやすい液体を使用すればより冷却スピードを遅くすることができるし、ガス化しにくい液体を使用すれば冷却スピードは速くなる。所定の液体が沸点にまで熱せられ、さらにガラス塊から気化熱に相当する熱量を得ることにより前記ガス化がおきる。
液体の1気圧下における沸点をBP[℃]、定圧比熱をCp[J/(g・K)]、気化熱をQ[J/g]、設定温度をLT[℃]、とした場合、ガス化のおきやすさを示す指標として、下記式(1)によって算出される値E[J/g]を用いればよい。
E=Cp×(BP−LT)+Q ……(1)
ガラス塊の冷却、成形では、当初、熔融ガラス滴を急冷してガラス塊の結晶化温度域を速やかに通過させ、冷却スピードを減少させてガラス塊を固化させる方法が考えられた。しかし、この場合、ガラスは熱伝導性が低いので、ガラス塊を急冷、固化すると、内部温度が高い状態でガラス塊の表面が固化する。さらに冷却が進んで内部の温度も低下すると内部で大きな体積収縮が起こるが、ガラス塊表面は既に固化しているため、上記収縮に応じてガラス塊が変形せず、内部に大きな応力が発生し、ガラス塊が破損してしまったり、クラックが発生してしまう。あるいは、上記収縮によってガラス塊表面が局所的に窪んでしまったり、ガラス塊内部に真空泡が生じるなどの問題がある。
こうした問題に対処するため、当該製造方法IIでは、ガラス滴を急冷する最上層の液として比較的、Eの大きいもの、すなわち気化しにくいものを使用し、最上層を通過したガラス塊をEの値が最上層のEよりも小さい液体、すにわち、気化しやすい液体の層へと沈降させる。こうすることにより、より確実にガラス滴を失透、変形、破損させることなしに成形することができる。
比重、Eの大小を考慮すると、比重が4以下のガラス塊を成形する場合、最上層の液としてエタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、酢酸エチルなどを例示できる。最上層の直ぐ下の層の液としてハイドロフルオロエーテル、ペンタフルオロブタンなどを例示できる。さらに下の層の液としてパーフロロカーボンなどを例示できる。
比重が4.0を超えるガラス塊を成形する場合、最上層の液としてエタノール、イソプロピルアルコールなどを例示できる。最上層の直ぐ下の層の液としてペンタフルオロブタンなどを例示できる。さらに下の層の液としてハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどを例示できる。
本発明のガラス成形体の製造方法(製造方法I、II)においては、液体の層状態を維持するには、各層を構成する液同士が混合しないようにすることが望ましい。そのためには、複数種の液体として、極性分子からなる液体と非極性分子からなる液体を用い、液体同士の混合を防止して液体の層状態を維持すればよい。極性分子からなる液体の例は、エタノール、イソプロピルアルコールなどであり、非極性分子からなる液体の例は、パーフロロカーボン、テトラクロロメタンなどである。
熔融ガラス滴は、ガラス原料を加熱、熔融し、清澄、攪拌して均質な熔融ガラスを作り、この熔融ガラスを流出パイプへと導き、該パイプ先端のノズル流出口から熔融ガラス滴を滴下することにより得ることができる。熔融ガラスを一定の温度、一定の流出量で滴下することにより、等質量のガラス滴が得られるが、その場合、滴下の時間間隔は一定になる。この滴下間隔を短くすると単位時間あたりに得られるガラス滴の数、すなわち、ガラス成形体の数を増加させることができる。例えば、単位時間あたりのガラス成形体の生産量(単位時間あたりのガラス滴の滴数)が500個/分以上になっても、液面あるいは液体中においてガラス同士が融着することはない。ガラス成形体の生産量を増加させていくと、ガラス滴の滴下間隔は短くなり、さらに滴下間隔を短縮すると滴下状態を維持できず、連続流としてガラスが流出する。したがって、ガラス成形体の生産量の上限は、ガラス同士の融着によって制限されるよりも、ガラスが滴下状態で流出するかどうかによって決まることになる。したがって、前記上限は正確には、ガラスの特性、使用するノズル、ガラスの流出温度などの諸条件によって決まるが、目安としては6000個/分程度と考えればよい。
本発明において、ガラス成形体1個の質量を1〜100mgの範囲とすることが好ましい。この範囲よりも質量が小さいと安定したガラス滴下が難しくなり、反対に質量が大きいと液体中でガラスを球状化するのが困難になる傾向がある。より好ましい範囲は、5〜50mgである。
液体中を沈降する過程で冷却、成形されたガラス成形体は液体から取り出され乾燥工程にかけられる。
次に、本発明の精密プレス成形用プリフォームの製造方法および光学素子の製造方法について説明する。
[精密プレス成形用プリフォームの製造方法]
本発明の精密プレス成形用プリフォームの製造方法においては、前述したガラス成形体の製造方法で得られた、ガラス成形体を研磨処理することにより、精密プレス成形用プリフォームを作製する。
なお、上記ガラス成形体を研磨処理する場合には、研磨工程で破損が生じないように、予め該ガラス成形体中の歪を低減するアニール処理することが好ましい。
この研磨処理は、複数個のガラス成形体を一括して研磨処理して等質量の精密プレス成形用プリフォームを作製することが各プリフォームの質量合わせ、あるいは体積合わせを容易にする上から好ましい。
このようにして得られた精密プレス成形用プリフォームまたは前述のガラス成形体(以下、これらを総称してガラスゴブと称することがある。)を光学素子の成形用ガラス素材として用いるには、それらの形状を球にすることが好ましい。
微小光学素子、例えば、カメラ付携帯電話に搭載されるガラスレンズ、光ディスクへのデータ書込み・読取用の光学系を構成するガラスレンズ、光通信において各素子を光学的に接続する光学系に使用するガラスレンズの精密プレス成形では、球状のガラスゴブを用いることが好ましい。これら光学素子に使用されるガラスゴブの体積は設計値に厳密に一致させることが求められるからである。ガラスゴブのガラスが不足している場合、ガラスをプレス成形型成形面全域にわたって充填、転写することができず、高精度な光学素子を作製できない。逆にガラスゴブのガラスが過剰な場合は、ガラスがプレス成形型を構成する型部材の間に進入して成形バリになったり、ガラスを所定の状態までプレスすることができなくなってしまう。球状ガラスゴブを使用するとその体積を管理しやすい。
[光学素子の製造方法]
本発明の光学素子の製造方法においては、前述の方法により製造した「ガラス成形体または精密プレス成形用プリフォーム」(ガラスゴブ)を精密プレス成形して光学素子を製造する。精密プレス成形の方法、条件は、公知の方法、条件を適用し、各ケースに合わせて最適化をすればよい。
精密プレス成形は、モールドオプティクス成形法とも呼ばれ、プレス成形によって光学機能面の形状を形成する方法であり、既に当該技術分野においてはよく知られたものである。光学素子の光線を透過したり、屈折させたり、回折させたり、反射させたりする面を光学機能面と呼ぶ。例えばレンズを例にとると非球面レンズの非球面や球面レンズの球面などのレンズ面が光学機能面に相当する。精密プレス成形法は、プレス成形型の成形面を精密にガラスに転写することにより、プレス成形で光学機能面を形成する方法である。つまり光学機能面を仕上げるために研削や研磨などの機械加工を加える必要がない。
精密プレス成形法に使用するプレス成形型としては、公知のもの、例えば炭化珪素、超硬材料などの型材の成形面に離型膜を設けたものを用いることができる。中でも、炭化珪素製のプレス成形型を用いることが好ましい。離型膜としては、炭素含有膜、貴金属合金膜などを使用することができ、耐久性、コストの面などから、炭素含有膜を用いることが好ましい。
精密プレス成形法では、プレス成形型の成形面を良好な状態に保つため、成形時の雰囲気を非酸化性ガス雰囲気にすることが望ましい。非酸化性ガスとしては、窒素、窒素と水素の混合ガスなどを用いることが好ましい。
次に本発明の光学素子の製造方法に特に好適な精密プレス成形法について説明する。
(精密プレス成形法1)
この方法は、プレス成形型に前述のガラスゴブを導入し、上記成形型とガラスゴブを一緒に加熱し、精密プレス成形するというものである。
この精密プレス成形法1において、プレス成形型と前記ガラスゴブの温度をともに、ガラスゴブを構成するガラスが10〜1012dPa・s程度の粘度を示す温度に加熱して精密プレス成形を行うことが好ましい。
また上記ガラスが1012dPa・s以上、より好ましくは1014dPa・s以上、さらに好ましくは1016dPa・s以上の粘度を示す温度にまで冷却してから精密プレス成形品をプレス成形型から取り出すことが望ましい。
上記の条件により、プレス成形型成形面の形状をガラスにより精密に転写することができるとともに、精密プレス成形品を変形することなく取り出すこともできる。
(精密プレス成形法2)
この方法は、前述のガラスゴブを加熱した後に、プレス成形型に導入し、精密プレス成形する、すなわち、プレス成形型とガラスゴブを別々に予熱し、予熱したガラスゴブをプレス成形型に導入して精密プレス成形するというものである。
この方法によれば、当該ガラスゴブをプレス成形型に導入する前に予め加熱するので、サイクルタイムを短縮化しつつ、表面欠陥のない良好な面精度の光学素子を製造することができる。
なおプレス成形型の予熱温度をガラスゴブの予熱温度よりも低く設定することが好ましい。このようにプレス成形型の予熱温度を低くすることにより、上記型の消耗を低減することができる。
また、この方法によれば、ガラスゴブ加熱をプレス成形型内で行う必要がないので、使用するプレス成形型の数を少なくすることもできる。
精密プレス成形法2において、当該ガラスゴブを構成するガラスが10dPa・s以下、より好ましくは10dPa・sの粘度を示す温度に予熱することが好ましい。
また、当該ガラスゴブを浮上しながら予熱することが好ましく、さらに当該ガラスゴブを構成するガラスが105.5〜10dPa・s、より好ましくは105.5dPa・s以上10dPa・s未満の粘度を示す温度に予熱することがさらに好ましい。
またプレス開始と同時またはプレスの途中からガラスの冷却を開始することが好ましい。
なおプレス成形型の温度は、当該ガラスゴブの予熱温度よりも低い温度に調温されるが、上記ガラスが10〜1012dPa・sの粘度を示す温度を目安にすればよい。
この方法において、プレス成形後、上記ガラスの粘度が1012dPa・s以上にまで冷却してから離型することが好ましい。
本発明では、少なくとも上型と下型を有し、上型成形面の形状と下型成形面の形状が異なるプレス成形型を用い、予め加熱したガラスゴブを上記下型上に供給してプレス成形を行うことができる。本発明によれば、当該ガラスゴブを用いることにより、上型、下型の成形面形状が異なるプレス成形型を用いても、ガストラップなどの問題を引き起こすことなく、光学素子を高い生産性のもとに製造することができる。
精密プレス成形された光学素子はプレス成形型より取り出され、必要に応じて徐冷される。また、レンズを成形した場合には、心取り加工を行ってもよい。
このようにして、本発明によれば、球面レンズ、非球面レンズ、マイクロレンズなどの各種のレンズ、回折格子、回折格子付のレンズ、レンズアレイ、プリズムなどの各種光学素子、用途としてはデジタルカメラやフィルム内蔵カメラの撮像光学系を構成するレンズ、カメラ付携帯電話搭載の撮像レンズ、CDやDVDをはじめとする光記録式媒体のデータ読取および/またはデータ書込み用に使用する光線を導光するためのレンズなどの各種光学素子を作製することができる。また、銅含有ガラス製のガラスゴブを使用すれば、半導体撮像素子の色補正機能を有する光学素子を作製することもできる。中でもデジタルカメラ搭載のレンズを製造する方法として好適である。
なお、これら光学素子には必要に応じて、反射防止膜、全反射膜、部分反射膜、分光特性を有する膜などの光学薄膜を設けることもできる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
(1)ガラス成形体の製造方法
屈折率ndが1.806、アッベ数νdが40.7、比重Sgが4.56のホウ酸ランタン含有ガラスを1200℃で熔解し、1100℃に温度制御された白金製パイプを通して、1050℃に温度制御された白金製流出ノズルより熔融ガラスを滴下した。
上記ノズル先端の外径は0.8mm、内径は0.6mmであった。ノズルの外周部鉛直下方に窒素ガスを0.8リットル/分の流量で定常的に流し、自然に滴下するよりも質量の小さいガラス滴を滴下した。ガラス滴の質量は20mg、滴下間隔は0.1秒とした。
ガラス滴が滴下される液体は、最上層をエタノール(示性式CHCHOH、比重0.78、E=978J/g、沸点BP 78℃)で液位100mm、最上層の直ぐ下の層をペンタフルオロブタン(日本ソルベイ社製ソルカン365mfc(商品名)、示性式CFCHCFCH、比重1.27、E=155J/g、沸点BP 80℃)で液位100mm、更に下の層をパーフロロカーボン(住友スリーエム社製フロリナートFC−84(商品名)、示性式CF(CF
CF、E=143J/g、沸点BP 80℃)で液位600mmとし、液体の温度は20℃±5℃の範囲内に制御した。
ノズルより滴下されたガラス滴が液面から液体容器の底部に到達するまで約4秒を要した。なお、上記液位とは各層の鉛直方向における厚みである。
容器の底には開閉弁が設けられており、5分おきに弁を開閉してガラス成形体を容器から取り出した。ガラス成形体は球状であり、平均直径2.03mm、真円度50μm以下、カン、割れ、真空泡といった急冷により欠陥は一切なく、ガラス同士のくっつきも無かった。
ガラス成形体の表面を電子顕微鏡で観察したところ、パーフロロカーボンのフッ素成分とガラスが反応したため、僅かな白ヤケが認められた。
なお、上記真円度は真円度測定機(ミツトヨ社製RA2100)を用いて測定した。
(2)プリフォームの製造
このようにして得たガラス成形体を取りしろ100μmで研磨し、直径1.83mmとしたところ、表面および内部に一切の欠陥がないプリフォームを得ることができた。
上記研磨に要した時間は12時間であった。
(3)光学素子の製造
上記(2)で得られた球プリフォームロットの中の100,000個の球プリフォームについて、以下に示すようにプレス成形型で精密プレス成形を行い、非球面レンズを生産した。
各球プリフォームを、図1に示す、成形面に炭素含有膜(ダイヤモンド様カーボン膜)が設けられたSiC製の上型1及び下型2の間に配置した後、石英管11内を窒素雰囲気としてヒーター12に通電して石英管11内を加熱した。成形型内の温度を、被成形球プリフォーム4の粘度が約10〜10dPa・sとなる温度とした後、この温度を維持しつつ、押し棒13を降下させて上型1を上方から押して成形型内の被成形球プリフォーム4をプレスした。プレスの圧力は5〜15MPa、プレス時間は10〜300秒間とした。プレス後、プレスの圧力を解除し、非球面プレス成形されたガラス成形体を上型1及び下型2と接触させたままの状態でガラス転移温度まで徐冷し、次いで室温付近まで急冷して非球面に成形されたガラスを成形型から取り出した。なお、図1において、符号3は案内型、10は支持台、9は支持棒、14は熱電対である。
得られた精密プレス成形品を、アニール炉にて380℃まで加熱し、2時間その温度を維持した後に、1時間で常温に戻る条件でアニール処理して非球面レンズを得た。得られた非球面レンズは、レーザ変位計にてコバ厚を1周測定する方法により求めたコバ厚のバラツキが±0.005mm以内であり、偏肉精度の良いものであった。
実施例2
(1)ガラス成形体の製造
屈折率ndが1.82、アッベ数νdが24、比重Sgが3.69の重フリント系ガラスを1100℃で熔解し、1050℃に温度制御された白金製パイプを通して、1000℃に温度制御された白金製流出ノズルより熔融ガラスを滴下した。
上記ノズル先端の外径は0.8mm、内径は0.7mmであった。ノズルの外周部鉛直下方に窒素ガスを0.5リットル/分の流量で定常的に流し、自然に滴下するよりも質量の小さいガラス滴を滴下した。ガラス滴の質量は40mg、滴下間隔は0.15秒とした。
ガラス滴が滴下される液体は、最上層を酢酸エチル(示性式CHCOOCHCH、比重0.9、E=518J/g、沸点BP 77.2℃)で液位200mm、最上層の直ぐ下の層をパーフロロカーボン(住友スリーエム社製フロリナートFC−3283(商品名)、示性式CF(CF)CF、E=197J/g、沸点BP 128℃)とし、液体の温度は20℃±5℃の範囲内に制御した。
ノズルより滴下されたガラス滴が液面から液体容器の底部に到達するまで約6秒を要した。容器の底には開閉弁が設けられており、10分おきに弁を開閉してガラス成形体を容器から取り出した。ガラス成形体は球状であり、平均直径2.76mm、真円度100μm以下、カン、割れ、真空泡といった急冷により欠陥は一切なく、ガラス同士のくっつきも無かった。
ガラス成形体の表面を電子顕微鏡で観察したところ、パーフロロカーボンのフッ素成分とガラスが反応したため、僅かな白ヤケが認められた。
なお、上記真円度は真円度測定機(ミツトヨ社製RA2100)を用いて測定した。
(2)プリフォームの製造
このようにして得たガラス成形体を取りしろ150μmで研磨し、直径2.46mmとしたところ、表面および内部に一切の欠陥がないプリフォームを得ることができた。
上記研磨に要した時間は12時間であった。
(3)光学素子の製造
上記(2)で得られた球プリフォームロットの中の100,000個の球プリフォームについて、実施例1と同様にして、精密プレス成形を行い、精密プレス成形品を得たのち、アニール炉にて350℃まで加熱し、2時間その温度を維持した後、1時間で常温に戻る条件でアニール処理して非球面レンズを得た。得られた非球面レンズは、実施例1と同様にして求めたコバ厚のバラツキが±0.005mm以内であり、偏肉精度の良いものであった。
本発明のガラス成形体の製造方法によれば、精密プレス成形用プリフォームなどの高品質なガラス物品を作るための母材となるガラス成形体を、品質よく、かつ高い生産性のもとに効率よく製造することができる。
上記ガラス成形体を用いて、精密プレス成形用プリフォームを製造することができ、該精密プレス成形用プリフォームから、各種光学素子を製造することができる。
実施例で使用した精密プレス成形装置の1例の概略断面図である。
符号の説明
1 上型
2 下型
3 案内型(胴型)
4 プリフォーム
9 支持棒
10 支持台
11 石英管
12 ヒーター
13 押し棒
14 熱電対

Claims (5)

  1. 熔融ガラス滴を液体に滴下し、液体中で冷却、成形する工程を繰り返してガラス成形体を量産するガラス成形体の製造方法であって、
    前記液体が、比重の異なる複数種の液体からなる層によって構成され、かつ液面に投入したガラス塊を順次、比重の異なる複数種の液体中を沈降させることにより、液体中のガラス塊の沈降スピードを制御することを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. 熔融ガラス滴を液体に滴下し、液体中で冷却、成形する工程を繰り返してガラス成形体を量産するガラス成形体の製造方法であって、
    前記液体が、比重の異なる複数種の液体からなる層によって構成され、かつ各液体の1気圧下における沸点をBP[℃]、定圧比熱をCp[J/(g・K)]、気化熱をQ[J/g]、設定温度をLT[℃]とした場合、下記式(1)
    E=Cp×(BP−LT)+Q ……(1)
    によって算出される値E[J/g]が、最上層の液体よりも下層の液体の方が小さくなるようにしたことを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  3. 複数種の液体として、極性分子からなる液体と非極性分子からなる液体を用い、前記液体の混合を防止して液体の層状態を維持する請求項1または2に記載のガラス成形体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により作製したガラス成形体を研磨することを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  5. ガラス製のプリフォームを加熱、精密プレス成形する光学素子の製造方法であって、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により作製したガラス成形体または請求項4に記載の方法により作製したプリフォームを加熱、精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法。
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