JP2009137159A - 複合樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂とポリスチレン系樹脂の密着性が優れている、複合樹脂成形品を提供すること。
【解決手段】本発明の複合樹脂成形品は、基材と、基材の表面の少なくとも一部に形成された熱可塑性樹脂(IV)による表層材とを有する複合樹脂成形品であって、前記基材が、ポリスチレン系樹脂(I)90〜10質量部と、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)10〜90質量部とを含有する樹脂組成物(III)から形成され、前記シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量が1〜15質量%であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材上に表層材が形成され、建材部材等に使用される複合樹脂成形品に関する。
建材部材のうち、複数の材料を共押出又は射出成形することにより接合、あるいは複数の成形品を接着してなる複合建材の材料として、従来塩化ビニル樹脂や、塩化ビニル樹脂にフィラーを充填した複合材が主に使用されてきた。しかし近年、消費者の環境意識の影響等により、燃焼時に塩化水素が発生する可能性のある塩化ビニル樹脂が敬遠されるようになってきた。
こうした背景のもと、塩化ビニル樹脂代替材料の検討がなされ、押出成形条件等が比較的塩化ビニルに近い、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」という。)やポリスチレン樹脂等のスチレン系熱可塑性樹脂が代替材料として挙げられている。
これまで複合建材は、同種の樹脂あるいは、密着可能な樹脂等を用い成形されてきた。しかし近年、樹脂個々の特性を活かし、多様な樹脂を組み合わせた複合樹脂成形品のニーズが高まってきている。その一例として、特許文献1には、アクリレート‐スチレン‐アクリロニトリル樹脂(以下「ASA樹脂」という。)と、ポリスチレン樹脂の複合樹脂成形品が開示されている。
このような複合樹脂成形品において、ASA樹脂やABS樹脂等の熱可塑性樹脂は、優れた加工性と外観を有し、耐侯性や耐薬品性にも優れている高機能材料であり、複合材の表層材(意匠面)に使用されることが比較的多い。
一方、ポリスチレン樹脂等は、優れた加工性、外観を有しているが、耐侯性や耐薬品性が弱いという欠点がある。そのため、用途によっては基材(非意匠面)に使用されることが多い。その他にも、ポリスチレン樹脂は、コスト的優位性(対熱可塑性樹脂)、良発泡成形性、廃ポリスチレン樹脂のリサイクルという点から、基材(非意匠面)への使用頻度が高い。
このようなことから、表層材(意匠面)に高機能材料を用い、基材(非意匠面)にポリスチレン樹脂等の一般的な材料を用いることで、複合材としての機能性を高めた複合樹脂成形品の需要は、今後も拡大していくものと思われる。
特開2005‐212474号公報
しかしながら、ASA樹脂やABS樹脂等の熱可塑性樹脂とポリスチレン樹脂の両樹脂は、相互材料の密着性に乏しく、複合樹脂成形品において剥離が起き易いという問題がある。ポリスチレン樹脂にABS樹脂等を混合して密着力を高める方法はあるが、これら両樹脂は非相溶性であり、混合すると熱可塑性樹脂の分散が不均一となり、密着強度にばらつきを起こすという問題がある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂を含む表層材と、ポリスチレン系樹脂を含む基材の密着性が優れ、かつ外観にも優れた複合樹脂成形品を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 基材と、基材の表面の少なくとも一部に形成された熱可塑性樹脂(IV)による表層材とを有する複合樹脂成形品であって、前記基材が、ポリスチレン系樹脂(I)90〜10質量部と、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)10〜90質量部とを含有する樹脂組成物(III)から形成され、前記シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量が1〜15質量%である複合樹脂成形品。
[2] シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)が、アクリロニトリル単位及び/又はメタクリロニトリル単位を含む、[1]記載の複合樹脂成形品。
[3] 更に、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)が、スチレン単位及び/又はα‐メチルスチレン単位を含む、[1]又は[2]に記載の複合樹脂成形品。
[4] ポリスチレン系樹脂(I)が、ポリスチレン重合体及び/又はハイインパクトポリスチレン樹脂を含む、[1]〜[3]いずれか記載の複合樹脂成形品。
[5] また、ポリスチレン系樹脂(I)が、リサイクル品である、[4]記載の複合樹脂成形品。
[6] 熱可塑性樹脂(IV)が、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン系樹脂、アクリレート‐スチレン‐アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル‐エチレンプロピレンジエン‐スチレン系樹脂よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項[1]〜[5]いずれか記載の複合樹脂成形品。
[7] 射出成形または押出成形によって形成された、請求項[1]〜[6]いずれか記載の複合樹脂成形品。
本発明によれば、このような複合樹脂成形品は、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂を含む表層材と、ポリスチレン系樹脂を含む基材との密着性が優れ、かつ外観にも優れているので、エクステリア、インテリア等各種部材に好適に使用できるほか、一部の装飾用などに用いることもでき、幅広い用途に利用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の複合樹脂成形品は、基材と、基材の表面の少なくとも一部に形成された熱可塑性樹脂(IV)による表層材とを有する。
〔基材〕
基材は、ポリスチレン系樹脂(I)90〜10質量部と、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)10〜90質量部とを含有する樹脂組成物(III)から形成されたものである。
<ポリスチレン系樹脂(I)>
本発明において用いられる、ポリスチレン系樹脂(I)は公知のものが使用できる。
ポリスチレン系樹脂(I)としては、ポリスチレン重合体及び/又はハイインパクトポリスチレン樹脂が好ましい。加えて、リサイクル品である廃ポリスチレン樹脂、廃ハイインパクトポリスチレン樹脂等も用いることが可能で、これらを合わせた群から選ばれる1種または2種以上を含むことができる。
ここで、ポリスチレン重合体としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンの単独重合体または共重合体、およびスチレン‐無水マレイン酸共重合体、スチレン‐アクリル酸共重合体、スチレン‐メタクリル酸共重合体の群から選ばれる1種または2種以上を含むものが好ましい。
なお、ハイインパクトポリスチレン樹脂とは、ブタジエンゴム、エチレン‐プロピレンゴム、スチレン‐ブタジエンゴムの1種以上と、上記ポリスチレン重合体を共重合させたものである。
廃ポリスチレン樹脂、廃ハイインパクトポリスチレン樹脂とは、上記ポリスチレン重合体およびハイインパクトポリスチレン樹脂の生産工程での、出始めや終わりで発生する製品とならない樹脂屑(塊も含む)、ペレット及び余剰生産品等の廃棄物よりなるリサイクル品である。
廃ポリスチレン樹脂、廃ハイインパクトポリスチレン樹脂となる廃棄物としては、ポリスチレン重合体およびハイインパクトポリスチレン樹脂よりなる成形品を成形する各種成形加工等で発生する樹脂屑(塊も含む)や不適合成形品や余剰成形品および余剰ペレットなど、不要の樹脂や樹脂成形品も挙げられる。
更には、市場などで役目を終えた製品や売れ残りなどの製品の樹脂部分が挙げられ、例えば、食品容器、文房具、発泡スチロール、光ディスク、光磁気ディスク、カセットテープなどのケース部分、雑貨などに用いられている上記ポリスチレン重合体、家電製品、情報機器、機械部品などに用いられている上記ハイインパクトポリスチレン樹脂が挙げられる。
また、ポリスチレン系樹脂(I)には、ポリスチレン重合体及び/又はハイインパクトポリスチレン樹脂、並びにそのリサイクル品の他、耐熱等の性質を付与するために、本来の機械的特性を損なわない範囲でポリフェニレンエーテル等他の樹脂を含有させても良い。
<シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)>
シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)は、シアン化ビニル化合物と、これと共重合可能な芳香族ビニル化合物系単量体との共重合体である。なお該共重合体の、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は1〜15質量%である。
(シアン化ビニル化合物)
シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)を形成するシアン化ビニル化合物の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。中でも、アクリロニトリルが好ましい。
(芳香族ビニル化合物)
シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)を形成する芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α‐メチルスチレンなどが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良いが、特にスチレンが好ましい。
シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)中のシアン化ビニル化合物単位と芳香族ビニル化合物単位の含有比率(シアン化ビニル化合物単位/芳香族ビニル化合物単位)は、好ましくは1〜15質量%/99〜85質量%、更に好ましくは2〜10質量%/98〜90質量%、特に好ましくは、3〜7質量%/97〜93質量%である。
シアン化ビニル化合物単位の含有量が15質量%を超える場合(芳香族ビニル化合物単位が85%未満)、ポリスチレン系樹脂(I)とシアン化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物系重合体(II)との相溶性が低下し、ポリスチレン系樹脂本来の機械特性の低下を招くだけでなく、ポリスチレン系樹脂本来の成形加工性が損なわれ好ましくない。一方、シアン化ビニル化合物単位の含有量が1質量%未満<芳香族ビニル化合物単位が99質量%を超える)では、熱可塑性樹脂(IV)との十分な密着強度が得られない。
(その他の共重合可能な化合物)
シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)は、必要に応じて、芳香族ビニル化合物単位、シアン化ビニル化合物単位と共重合可能な化合物、例えばゴム質重合体単位及び他のビニル化合物単位を含有することができる。
含有するゴム質重合体単位及び他のビニル化合物単位は、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)中、好ましくは50質量%以下、特に好ましくは45質量%以下含有させることができる。この場合、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)中のシアン化ビニル化合物単位と芳香族ビニル化合物単位の含有比率は、前述の含有比率を保持することが好ましい。
ゴム質重合体単位及び他のビニル化合物単位の含有量が50質量%以下であるとポリスチレン系樹脂本来の機械特性の低下を招かず、ポリスチレン系樹脂本来の成形加工性が損なわれず、表層材との密着性が得られるため、好ましい。
ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエンと、ブタジエンと共重合可能なビニル系単量体との共役ジエン系共重合体;アクリル酸エステル(共)重合体;アクリル酸エステルと、これと共重合可能なビニル系単量体とのアクリル酸エステル系共重合体;エチレン‐プロピレン‐非共役ジエン共重合体、又はブテン(好ましくはプロピレン)‐非共役ジエン共重合体;ポリオルガノシロキサン系(共)重合体等が挙げられる。
ここで、ポリブタジエンとしてはシス、トランスなどの構造のものなどを総称する。
ポリブタジエンと、これと共重合可能なビニル系単量体との共役ジエン系共重合体としては、スチレン‐ブタジエンゴム、ニトリルゴムなどが挙げられる。
アクリル酸エステル(共)重合体のアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n‐ヘキシルアクリレート、2‐メチルペンチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、n‐オクチルアクリレートなどが挙げられる。
エチレン‐プロピレン‐非共役ジエン共重合体、又はブテン‐非共役ジエン共重合体に含有されるジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4‐ヘキサジエン、1,4‐ヘプタジエン、1,5‐シクロオクタジエン、6‐メチル‐1,5‐ヘプタジエン、11‐エチル‐1,11‐トリデカジエン、5‐メチレン‐2‐ノルボルネンなどが挙げられる。
ポリオルガノシロキサン系(共)重合体としては、シリコーンゴムなどが挙げられ、その他として、ポリブタジエンの水素添加物、少なくとも1個のスチレン重合体ブロックと少なくとも1個のブタジエン重合体ブロックからなる共重合体の水素添加物などが挙げられる。
ゴム質重合体としては、これらのうちの1種を単独で、或いは2種以上のブレンドや、複合ゴムとして用いることができる。さらに、ゴム質重合体の構造がコア‐シェル構造をとっても良い。例えば、ポリブタジエンをコアにして、アクリル酸エステルでシェルにしたゴム質重合体とすることもできる。
本発明に係る、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)において用いるゴム質重合体の平均粒子径は、0.08〜2μmであると好ましく、0.12〜0.5μmであると特に好ましい。これは、ゴム質重合体の平均粒子径が0.08μm以上であればポリスチレン系樹脂(I)の機械特性等の低下を招かず、2μm以下であれば成形品本来の表面外観に影響を与えないためである。
他のビニル化合物としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2‐エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N‐メチルマレイミド、N‐ブチルマレイミド、N‐(p‐メチルフェニル)マレイミド、N‐フェニルマレイミド、N‐シクロヘキシルマレイミドなどのα‐またはβ‐不飽和ジカルボン酸のイミド化合物(マレイミド系単量体ともいう);グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;3‐ヒドロキシ‐1‐プロペン、4‐ヒドロキシ‐1‐ブテン、シス‐4‐ヒドロキシ‐2‐ブテン、トランス‐4‐ヒドロキシ‐2‐ブテン、3‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐プロペン、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。
以上の他のビニル系単量体は、1種を単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(重合方法)
シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)は、上記、シアン化ビニル化合物、芳香族化ビニル合物及びこれらビニル化合物と共重合可能な他の化合物を、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、或いはこれらを組み合わせ
た重合法によって得ることができる。
以上のようにして形成された、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は1〜15質量%であり、2〜10質量%であると好ましく、特に好ましくは3〜7質量%である。
アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量が1質量%未満では、熱可塑性樹脂(IV)との十分な密着性が得られない。15質量%を超える場合には、ポリスチレン系樹脂(I)とシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)との相溶性が低下し、ポリスチレン系樹脂本来の機械特性の低下を招くだけでなく、ポリスチレン系樹脂本来の成形加工性が損なわれ好ましくない。
アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は以下の方法で測定する。
まず、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)1gをアセトン80ml中に投入して一晩放置したものを、30分間超音波洗浄器にかけて可溶分を溶離させる。その後、遠心分離機を用いて30,000rpmで1時間遠心分離を行い、可溶分と不溶分とを分離する。更に、アセトン中の可溶分をエバポレーターで濃縮した後、メタノール150mlを加えて可溶分を再度沈殿させる。
得られた可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量を測定する分析機器としては特に制限はないが、熱分解ガスクロマトグラフィーを用いることができる。また、場合により複数の分析機器を組み合わせて分析することも可能である。
また、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)の、アセトン可溶分における質量平均分子量は、75,000〜250,000であると好ましく、100,000〜200,000であると更に好ましい。アセトン可溶分の質量平均分子量が75,000以上であれば熱可塑性樹脂(IV)との十分な密着性が得られ、耐衝撃剥離性に優れる傾向にあり、250,000以下であれば樹脂組成物(III)の押出成形性が良好となる。
シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)の、アセトン可溶分における質量平均分子量は以下の方法で測定する。
前記アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量の測定法において、得られた沈殿物を、メタノールと分離させた後乾燥させ、テトラヒドロフランに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算における分子量によって測定する。
<樹脂組成物(III)>
基材を形成する樹脂組成物(III)における、ポリスチレン系樹脂(I)とシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)の配合比は、ポリスチレン系樹脂(I)10〜90質量部、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)10〜90質量部である。好ましくはポリスチレン系樹脂(I)10〜80質量部、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)20〜90質量部である。特に好ましくはポリスチレン系樹脂(I)20〜70質量部、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)30〜80質量部である。
ポリスチレン系樹脂(I)が10質量部未満でシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)が90質量部を越えると、樹脂組成物(III)の成形加工性等が損なわれる。これに対して、ポリスチレン系樹脂(I)が90質量部を越えシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)が10質量部未満のときは、熱可塑性樹脂(IV)との十分な密着性が得られない。
また樹脂組成物(III)には、基材と表層材(熱可塑性樹脂(IV))との密着性に影響しない程度に、ポリスチレン系樹脂(I)、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)の他、その他の樹脂(その廃材なども含む)を配合することができる。
その他の樹脂の例としては、ABS樹脂、ASA樹脂、アクリロニトリル‐エチレンプロピレンジエン‐スチレン樹脂(以下「AES樹脂」という。)などのゴム強化スチレン系樹脂、その他に、アクリロニトリル‐スチレン樹脂(以下「AS樹脂」という。)、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂(以下「PMMA樹脂」という。)、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン、ポリエステルエラストマー、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルエラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリロニトリル‐スチレン‐グラフトポリエチレン、アクリロニトリル‐スチレン‐グラフトポリプロピレン等のポリエチレンワックスなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種類以上をブレンドして用いても良い。さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合しても良い。
更に樹脂組成物(III)には、上記の樹脂以外に公知の各種の添加剤、例えばパラフィンワックス、脂肪酸エステルなどの滑剤、ヒンダードフェノール、リン酸エステルや亜リン酸エステルなどの酸化防止剤、トリアジン系化合物などの耐候性改良剤、顔料、染料等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、木粉等を含有させてもよい。
前記樹脂組成物(III)を製造するための方法に特に制限はなく、通常の方法が満足に使用できる。
例えば、所定量のポリスチレン系樹脂(I)、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)、及び所望に応じて用いられる各種添加成分を配合して、混練機で混練することにより調製してもよい。混練機としては、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等を挙げることができる。更に、押出機としては、単軸押出機、多軸押出機などのスクリュー押出機、エラスチック押出機、ハイドロダイナミック押出機、ラム式連続押出機、ロール式押出機、ギア式押出機などの非スクリュー押出機等を挙げることができるが、これらの中でスクリュー押出機、特に二軸押出機が好ましい。
このようにして製造された樹脂組成物(III)を基材として成形するための方法に特に制限はなく、通常の方法が使用できる。例えば、射出成形、押出成形、注型成形、圧縮成形、トランスファ成形等が挙げられる。
〔表層材〕
<熱可塑性樹脂(IV)>
本発明において用いられる熱可塑性樹脂(IV)としては、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、その他に、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂、PMMA樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン、ポリエステルエラストマー、ポリカプロラクトン、芳香族ポリエステルエラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリロニトリル‐スチレン‐グラフトポリエチレン、アクリロニトリル‐スチレン‐グラフトポリプロピレン等のポリエチレンワックスなどが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された樹脂が挙げられる。
中でも、意匠性の観点から、外観、耐衝撃剥離に優れる、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂、PMMA樹脂、ポリ乳酸樹脂、および、これらを2種類以上ブレンドした樹脂が特に好ましい。また、これら樹脂のリサイクル品を用いて配合させることができる。
更に、熱可塑性樹脂(IV)は以下のようにして得られると好ましい。
熱可塑性樹脂(IV)は、ゴム質重合体の存在下または非存在下で、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、及びこれらビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体成分を(共)重合させてなる樹脂であると好ましい。
なお、上記ゴム質重合体の存在下に得られる共重合体と、上記ゴム質重合体の非存在下に得られる(共)重合体とをブレンドして得られる樹脂も、好ましい熱可塑性樹脂(IV)として含むことができる。
また、組成やゴム質重合体の粒子径など異なる(共)重合体を複数混合したものであっても良い。
ここで、ゴム質重合体の存在下に得られる共重合体を、「グラフト共重合体(A)」と称し、ゴム質重合体の非存在下に得られる(共)重合体を「(共)重合体(B)」と称し、以下にその製法を示す。
(グラフト共重合体(A))
グラフト共重合体(A)に用いられるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエンと、これらジエンと共重合可能なビニル系単量体との共役ジエン系共重合体;アクリル酸エステル(共)重合体;アクリル酸エステルと、これと共重合可能なビニル系単量体とのアクリル酸エステル系共重合体;エチレン‐プロピレン‐非共役ジエン共重合体、又はブテン(好ましくはプロピレン)‐非共役ジエン共重合体;ポリオルガノシロキサン系(共)重合体等が挙げられる。
ここで、ポリブタジエンとしてはシス、トランスなどの構造のものなどを総称する。
ポリブタジエンと、これと共重合可能なビニル系単量体との共役ジエン系共重合体としては、スチレン‐ブタジエンゴム、ニトリルゴムなどが挙げられる。
アクリル酸エステル(共)重合体のアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n‐ヘキシルアクリレート、2‐メチルペンチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、n‐オクチルアクリレートなどが挙げられる。
エチレン‐プロピレン‐非共役ジエン共重合体、又はブテン‐非共役ジエン共重合体に含有されるジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4‐ヘキサジエン、1,4‐ヘプタジエン、1,5‐シクロオクタジエン、6‐メチル‐1,5‐ヘプタジエン、11‐エチル‐1,11‐トリデカジエン、5‐エチリデン‐2‐ノルボルネンなどが挙げられる。
ポリオルガノシロキサン系(共)重合体としては、シリコーンゴムなどが挙げられ、その他として、ポリブタジエンの水素添加物、少なくとも1個のスチレン重合体ブロックと少なくとも1個のブタジエン重合体ブロックからなる共重合体の水素添加物、シリコーンゴムなどが挙げられる。
ゴム質重合体としては、以上のうちの1種を単独で、或いは2種以上のブレンドや、複合ゴムとして用いることができる。さらに、ゴム質重合体の構造がコア‐シェル構造をとっても良い。例えば、ポリブタジエンをコアにして、アクリル酸エステルをシェルにしたゴム質重合体とすることもできる。
ゴム質重合体の平均粒子径は、0.08〜2μmであると好ましく、0.12〜0.5μmであると特に好ましい。平均粒子径が0.08μm以上であれば耐衝撃性に優れ、2μm以下であれば成形品の表面外観(意匠性)が優れる。
グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体の好ましい含有量は5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜50質量%である。ゴム質重合体の含有量が5質量%以上であれば耐衝撃性が得られる傾向にあり、70質量%以下であれば押出成形性が良好な傾向にある。
グラフト共重合体(A)に用いられるビニル系単量体のうち、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t‐ブチルスチレン、α‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1‐ジフェニルスチレン、N,N‐ジエチル‐p‐アミノエチルスチレン、N,N‐ジエチル‐p‐アミノメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、特に、スチレン、α‐メチルスチレンが好ましい。
グラフト共重合体(A)に用いられるビニル系単量体のうち、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
更に、これらのビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2‐エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N‐メチルマレイミド、N‐ブチルマレイミド、N‐(p‐メチルフェニル)マレイミド、N‐フェニルマレイミド、N‐シクロヘキシルマレイミドなどのα‐またはβ‐不飽和ジカルボン酸のイミド化合物(マレイミド系単量体ともいう);グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物;3‐ヒドロキシ‐1‐プロペン、4‐ヒドロキシ‐1‐ブテン、シス‐4‐ヒドロキシ‐2‐ブテン、トランス‐4‐ヒドロキシ‐2‐ブテン、3‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐プロペン、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物;などが挙げられる。
以上の芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体は、1種を単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
グラフト共重合体(A)に用いられる上記ビニル系単量体の組み合わせとしては、特に、スチレン、スチレンとアクリロニトリル、α‐メチルスチレンとアクリロニトリル、メチルメタクリレート、或いはスチレンとメチルメタクリレートが好ましい。
なお、グラフト共重合体(A)中の上記ビニル系単量体単位の含有量は、好ましくは95〜30質量%、より好ましくは90〜40質量%、更に好ましくは85〜50質量%、特に好ましくは85〜75質量%である。ビニル系単量体の含有量が95質量%以下であれば耐衝撃性が得られる傾向にあり、また、30質量%以上であれば押出成形性が良好な傾向にある。
更に、グラフト共重合体(A)は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、或いはこれらを組み合わせた重合法によって得られると好ましい。
((共)重合体(B))
(共)重合体(B)を形成する芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物およびこれらビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体としては、前記のグラフト共重合体(A)で例示した単量体を、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(共)重合体(B)に用いられるビニル系単量体の組み合わせとしては、特に、スチレン、スチレンとアクリロニトリル、α‐メチルスチレンとアクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレンとメチルメタクリレート、或いはメチルメタクリレートとメチルアクリレートが好ましい。
更に。(共)重合体(B)は、前記のグラフト共重合体(A)で例示した公知の重合法によって得られると好ましい。
熱可塑性樹脂(IV)は、前記の通り、グラフト共重合体(A)又は(共)重合体(B)の一種のみからなるものでも、これらをブレンドして得られる樹脂であっても良い。
熱可塑性樹脂(IV)は、表層材としての用途において、ゴム質重合体を含むことは必ずしも必要とはしないが、耐衝撃性や押出成形性の点からゴム質重合体を含むものが好ましい。
熱可塑性樹脂(IV)中のゴム質重合体の含有量は、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜50質量%、特に好ましくは15〜25質量%である。
ゴム質重合体の含有量が5質量%以上であれば耐衝撃性が得られる傾向にあり、70質量%以下であれば押出成形性が良好な傾向にある。
熱可塑性樹脂(IV)は、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分の含有量が20〜50質量%で、その質量平均分子量が100,000〜300,000であることが好ましいが、特に、グラフト共重合体(A)について、この範囲にあることが好ましい。
熱可塑性樹脂(IV)のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分の含有量は、20質量%以上であれば耐薬品性が得られる傾向にあり、50質量%以下であれば、成形性、熱安定性、基材(樹脂組成物(III))との密着性が得られる傾向にある。また、アセトン可溶分の質量平均分子量は、100,000以上であれば、耐衝撃性、耐衝撃剥離性が得られる傾向にあり、300,000以下であれば、押出成形性が得られる傾向にある。
なお、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物や質量平均分子量は、構成するグラフト共重合体(A)と(共)重合体(B)のそれぞれの分析値から算出することができる。
さらに、ポリスチレン系樹脂(I)およびシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)を含有する樹脂組成物(III)による基材と、熱可塑性樹脂(IV)による表層材との密着性に影響しない程度で、熱可塑性樹脂(IV)中に各種添加剤を配合することができる。
この場合、各種添加剤としては、公知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、安定剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、炭素繊維、ガラス繊維、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、シリカなどの充填剤、難燃剤、臭素系難燃剤、三酸化アンチモンなどの難燃助剤、リン系難燃剤、フッ素樹脂などのドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、シリコーンオイル、カップリング剤、木粉などの1種または2種以上が挙げられる。
〔複合樹脂成形品〕
本発明の複合樹脂成形品を得るには、熱可塑性樹脂(IV)から形成された表層材を、ポリスチレン系樹脂(I)とシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)を含有する樹脂組成物(III)から形成された基材の表面に付与すればよい。複合樹脂成形品を製造するには、例えば、予め製造した前記表層材を前記基材の表面に熱により圧着する方法;金型内又は金型外で予め前記樹脂組成物(III)より成形した基材を金型内に配置し、その金型内に熱可塑性樹脂(IV)を常法に従って射出成形して表層材を形成する二色成形(ただし、熱可塑性樹脂(IV)による表層材を予め成形しても良い。);前記樹脂組成物(III)と熱可塑性樹脂(IV)の共押出による押出成形法;ラミネート押出あるいは多層押出、ブロー成形等が挙げられる。
中でも特に、成形品形状の自由度が高いことから、共押出による押出成形、二色成形が好ましい。
共押出成形とは、押出成形、シート押出成形、異形押出成形などの各種押出成形法を用いて、熱可塑性樹脂(IV)と、ポリスチレン系樹脂(I)とシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)を含有する樹脂組成物(III)とを別々に押出し、各押出物同士を密着させて成形する方法である。
共押出成形は、一般的に公知の装置を使用して実施することができる。使用する成形装置には特に制限はないが、押出機、ダイ、サイジングダイ、冷却槽、引き取り機、および巻取り機または切断機を具備する装置を用いることができる。この他にも一般的に押出成形で使用される装置を付与することができる。
なお、予めポリスチレン系樹脂(I)とシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)を含有する樹脂組成物(III)から成る基材を成形しておき、これに熱可塑性樹脂(IV)を押出成形しながら密着させることも可能である。また、その逆も可能である。
基材の成形形態として、発泡、中空の有無等は特に制限はない。また、鋼材等の補強材の有無についても特に制限はない。
基材を発泡させる場合には、樹脂組成物(III)を形成する際、発泡剤を添加するほか、必要に応じて展着剤を添加して、発泡形成すると好ましい。
発泡成形において、使用される押出成形機も特に制限しないが、一般的に押出成形で使用される単軸もしくは二軸の押出機が使用できる。押出機のスクリュー直径(D)は10mm以上であると好ましく、スクリューネジ長さ/スクリュー径(L/D)は16以上であることが好ましい。また、スクリューデザインも特に制限はないが、一般的に押出成形で使用されるスクリューデザインが使用でき、フルフライトタイプが好ましい。
押出成形機により発泡成形体を成形するにあたっては、適切な条件で成形されることが重要であり、その成形条件は押出成形機の性能と成形体形状により異なるが、一般的に押出発泡成形で熱可塑性樹脂を成形する条件範囲が使用でき、樹脂温度は140〜220℃、特に150〜200℃であることが好ましい。
また、樹脂組成物(III)を発泡成形する際に使用できる発泡剤の種類についても特に制限は無いが、アゾ系化合物、ニトロソ系化合物、ヒドラジン系誘導体、および重炭酸塩系から選ばれる1種または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。また、発泡剤を混合する場合の展着剤としては、食物油、流動パラフィン、脂肪酸などが使用できる。
また、熱可塑性樹脂(IV)を成形する際に、着色剤を含有する熱可塑性樹脂からなる着色ペレット等の模様材を混合することにより、表層材に木目模様や石目模様などを付与することも可能である。
本発明の複合樹脂成形品は、ポリスチレン系樹脂(I)およびシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)を含有する樹脂組成物(III)より成る基材が、熱可塑性樹脂(IV)から成る表層材と非常に良好な密着性を有するため、エクステリア、インテリア部材或いはその一部の装飾用とした用途に用いることができる。
具体的な用途例としては、建材用途として、敷居、鴨居、額縁、浴室ドア枠、浴室出窓枠、窓枠、家具、浴室、床材、幅木、框、ウッドデッキ、フェンス、外壁、屋根材、壁材等の住宅・住設関連部品。また、サニタリー関連部品としては、便座、タンクカバー、衣装ケース、台所回りの部品、洗面台関連部品、浴室関連パーツ等などが挙げられる。
その他の複合樹脂成形品の形状としては、異型形状からシート状、パイプ状、角状、およびチューブ状などが可能であるため、パソコンケースなどの各種ケース、パラボラアンテナ、VTR部品、テレビ部品、液晶テレビ部品、スピーカー部品、オーデイオ機器、ファクシミリ部品、複写機部品、パソコン、プリンター、ディスプレイ、ブラウン管ディスプレイ、ノートパソコン、携帯電話、PHS(登録商標)、DVDドライブ、PDドライブ、フレキシブルディスクドライブ等のハウジング、スイッチ類のケース部材、照明部品、バンパー、フェンダー等の車両用外装部材など、目的に応じて幅広い用途に用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に記載がない限り、以下実施例における「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。
また、各物性の評価は以下の方法で行った。
(アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量)
シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)1gをアセトン80ml中に投入して一晩放置したものを、30分間超音波洗浄器にかけて可溶分を溶離させた。その後、遠心分離機を用いて30,000rpmで1時間遠心分離を行い、可溶分と不溶分とを分離した。更に、アセトン中の可溶分をエバポレーターで濃縮した後、メタノール150mlを加えて可溶分を再度沈殿させた。
沈殿物を真空乾燥機で乾燥、熱分解ガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製)にてアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量を測定した。
(質量平均分子量)
アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量を測定する際の沈殿物を、メタノールと分離させる。その後乾燥したものをテトラヒドロフランに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用い、標準ポリスチレン換算における分子量によって測定した。
(ゴム質重合体の平均粒子径)
日機装(株)製:Microtrac Model:9230UPAを用いて動的光散乱法により求めた。
<スチレン系樹脂(I)>
スチレン系樹脂(I‐1):東洋スチレン(株)製「G210B」(ポリスチレン重合体)
<シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)の製造>
合成例1:シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐1)
窒素置換した反応器に、水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチロニトリル0.3部、ターシャリードデシルメルカプタン0.5部と、アクリロニトリル5部、およびスチレン95部からなるモノマー混合物を使用し、スチレンの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間かけて昇温させて、120℃に到達させた。さらに、120℃で4時間反応した後、得られた重合物を取り出し、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐1)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐1)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は5.4質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は178,000であった。
合成例2:シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐2)
(配合)
ポリブタジエンラテックス 40部(固形分として)
アクリロニトリル 5部
スチレン 55部
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン 0.3部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウムおよびポリブタジエンラテックス(平均粒子径0.28μm、固形分濃度34質量%)を仕込み、60℃に加熱した。次いで、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままスチレン、アクリロニトリル、ターシャリードデシルメルカプタンおよびクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得た共重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分に水洗した後、乾燥してシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐2)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐2)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は6.2質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は137,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は41.1質量%であった。
合成例3:シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐3)
アクリロニトリルを1部、スチレンを99部とした他は合成例1と同様にしたモノマー混合物を使用したこと以外は合成例1と同様にして、重合物を取り出し、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐3)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐3)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は1.1質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は169,000であった。
合成例4:シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐4)
合成例2のアクリロニトリルを10部、スチレンを50部にしたこと以外は、合成例2と同様な方法にてシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐4)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐4)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は14.6質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は163,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は40.6質量%であった。
合成例5:シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐5)
アクリロニトリルを25部、スチレンを75部とした他は合成例1と同様にしたモノマー混合物を使用したこと以外は合成例1と同様にして、重合物を取り出し、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐5)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐5)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は23.6質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は164,000であった。
合成例6:シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐6)
合成例2のアクリロニトリルを14部、スチレンを46部にしたこと以外は、合成例2と同様な方法にてシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐6)を得た。
得られたシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐6)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は21.8質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は167,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は40.8質量%であった。
市販樹脂:シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II‐7)
日本油脂(株)製「モディパー MS10B」
(スチレン−メチルメタクリレートブロック共重合体、スチレン/メチルメタクリレート=90/10(質量比)、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物の含有量は0質量%)
<熱可塑性樹脂(IV)>
(グラフト共重合体(A)の製造)
合成例7:グラフト共重合体(A‐1)
(配合)
ポリブタジエンラテックス 50部(固形分として)
スチレン 35部
アクリロニトリル 15部
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン 0.22部
クメンハイドロパーオキサイド 0.30部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.12部
結晶ブドウ糖 0.30部
蒸留水 190部
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウムおよびポリブタジエンラテックス(平均粒子径0.29μm、固形分濃度34質量%)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、合成例2と同様に、60℃に保持したままスチレン、アクリロニトリル、ターシャリードデシルメルカプタンおよびクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たグラフト共重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してグラフト共重合体(A‐1)を得た。
得られたグラフト共重合体(A‐1)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は、28.2質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は137,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は50.8質量%であった。
合成例8:グラフト共重合体(A‐2)
ポリブタジエンラテックス20部とn‐ブチルアクリレート80部からなる複合ゴムラテックス60部(平均粒子径0.34μm、固形分として)を、合成例7のポリブタジエンラテックスの代わりに用いたこと以外は、合成例7と同様にしてグラフト共重合体(A‐2)の乾燥粉末を得た。
得られたグラフト共重合体(A‐2)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は27.2質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は142,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は48.2質量%であった。
合成例9:グラフト共重合体(A‐3)
エチレン‐プロピレン‐5‐エチリデン‐2‐ノルボルネンラテックス50部(平均粒子径0.41μm、固形分として)を、合成例7のポリブタジエンラテックスの代わりに用いたこと以外は、合成例7と同様にしてグラフト共重合体(A‐3)の乾燥粉末を得た。
得られたグラフト共重合体(A‐3)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は27.8質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は144,000、共重合体中のゴム質重合体の含有量は49.7質量%であった。
((共)重合体(B)の製造)
合成例10:共重合体(B‐1)
窒素置換した反応器に、水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、ターシャリードデシルメルカプタン0.5部と、アクリロニトリル30部、およびスチレン70部からなるモノマー混合物を使用し、スチレンの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。さらに、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出し、共重合体(B‐1)を得た。
得られた共重合体(B‐1)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は30.3質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は167,000であった。
合成例11:共重合体(B‐2)の製造
アクリロニトリルとスチレンによるモノマー混合物を、メタクリル酸メチル98部およびアクリル酸メチル2部からなるモノマー混合物に変更したこと以外は合成例10と同様にして重合を行って、共重合体(B‐2)を得た。
得られた共重合体(B‐2)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量は0質量%、共重合体中のアセトン可溶分の質量平均分子量は134,000であった。
市販品:ポリカーボネート樹脂(以下「PC樹脂」とする)
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロン S3000」
<熱可塑性樹脂(IV)>
合成例7〜11で得られた(A‐1)、(A‐2)、(A−3)、(B‐1)、(B‐2)、(PC樹脂)を以下の配合量にて調整し、滑剤としてステアリン酸カルシウムを1部配合し二軸押出機にて混練して熱可塑性樹脂(IV‐1)〜(IV‐6)のペレットを得た。
熱可塑性樹脂(IV‐1): ABS樹脂
(A‐1)/(B‐1)=30部/70部
熱可塑性樹脂(IV‐1)中のゴム質重合体の含有量は15質量%、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分は29.67質量%。
熱可塑性樹脂(IV‐2): ASA樹脂
(A‐2)/(B‐1)=30部/70部
熱可塑性樹脂(IV‐2)中のゴム質重合体の含有量は15質量%、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分は29.37質量%。
熱可塑性樹脂(IV‐3): ABS/PMMA樹脂
(A‐1)/(B‐1)/(B‐2)=30部/20部/50部
熱可塑性樹脂(IV‐3)中のゴム質重合体の含有量は15質量%、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分は14.52質量%。
熱可塑性樹脂(IV‐4): ASA/PMMA樹脂
(A‐1)/(B‐2)=40部/70部
熱可塑性樹脂(IV‐4)中のゴム質重合体の含有量は20質量%、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分は10.88質量%。
熱可塑性樹脂(IV‐5): AES樹脂
(A‐3)/(B‐1)=40部/60部
熱可塑性樹脂(IV‐5)中のゴム質重合体の含有量は20質量%、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分は29.3質量%。
熱可塑性樹脂(IV‐4): ABS/PC樹脂
(A‐1)/(PC樹脂)=50部/50部
熱可塑性樹脂(IV‐6)中のゴム質重合体の含有量は25.4質量%、アセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物成分は28.2質量%。
〔実施例1〜12、比較例1〜9〕
ポリスチレン系樹脂(I)およびシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)を含有させた樹脂組成物(III)を表1に示す成分の配合割合で配合した。
更に、滑剤として、花王(株)製「エチレンビスステリン酸アマイド」1.0部と、日本油脂(株)製「ステアリン酸カルシウム」0.2部とを加えて共に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製「TEX‐30α」)にて200〜240℃で溶融混合し、ペレット化させることにより樹脂組成物(III)のペレットを作製した。
表層材形成用の材料としてペレット状の熱可塑性樹脂(IV)を用い、基材形成用の材料として上記で得られたペレット状の樹脂組成物(III)100部に対して、展着剤(流動パラフィン)0.1部、発泡剤(炭酸水素ナトリウム)0.5部を配合したものを用いた。樹脂組成物(III)の発泡倍率を約2倍とし、表層材の厚みを2mmにして、共押出成形を行って複合樹脂成形品を得た。
共押出成形には、中央機械(株)製の40mm押出機および(株)池貝製の25mm移動押出機にアダプター、多層プロファイルダイを装備し、サイジング設備、引取機、切断の丸鋸を設置した共押出装置を使用し、樹脂温度170〜200℃で共押出成形を行った。
得られた複合樹脂成形品について、以下の方法で複合樹脂成形品外観、密着性、耐衝撃剥離性、耐ヒートサイクル性の評価を行い、結果を表1及び2に示した。
(複合樹脂成形品外観)
複合樹脂成形品の外観を目視判定した。複合樹脂成形品として十分な外観を有し、発泡不良、サージング等の成形不良、賦形不良が発生しないものを○、外観はやや劣るものの二級品で使用可能と思われるものを△、外観不良(ひけ、ダイライン、転写ムラ等で製品として満足できない外観)、発泡不良等の成形不良、賦形不良があるものを×とした。
(密着性)
複合樹脂成形品の表層材(熱可塑性樹脂(IV))に、2cm角の切込みを入れ、表層材と基材(ポリスチレン系樹脂(I)およびシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)を含有させた樹脂組成物(III))との界面の密着程度の差で判定した。
判定基準は、成形後に剥離しているもの(密着していないもの)、あるいは界面に爪を入れ簡単に剥離したものを×、界面にカッターナイフの刃を入れて剥離したものを△、剥離しないものおよび界面にカッターナイフの刃を入れることが出来ないほど密着しているものを○とした。なお、×の場合、密着強度が十分でなく不合格とし、△以上の場合、実用上、密着強度が十分あり、合格とした。
(耐衝撃剥離性)
複合樹脂成形品を、押出し方向に対して垂直に電動丸鋸にて切断し、切断時の表層材と機材の密着性について以下の基準で評価した。切断面の表層材の剥がれ、基材の欠けが発生しないものを○、剥がれまたは欠けのどちらかが発生したものを△、剥がれと欠けが両方発生したものを×とした。
(耐ヒートサイクル性)
複合樹脂成形品を、下記条件のヒートサイクル試験に供した後、それぞれ、表層材と基材とのふくれ、変形、剥がれについて観察し、下記の基準で評価した。
条件‐1:湿度40%の恒温槽を使用し、−30℃×1時間→23℃×30分→70℃
×1時間→23℃×30分を1サイクルとして、10サイクル
条件‐2:湿度80%の恒温槽を使用し、−30℃×1時間→23℃×30分→70℃
×1時間→23℃×30分を1サイクルとして、10サイクル
○:ふくれ、変形、剥がれが全く発生せず、表層材と基材は実用上十分な密着性を示した。
△:ふくれ、変形、剥がれのいずれかが僅かに発生し、表層材と基材は使用環境により十分な密着性を発現出来ない可能性がある。
×:ふくれ、変形、剥がれのいずれかが激しく発生し、表層材と基材の密着性は実用性がない。
Figure 2009137159
表1から本発明の請求項1の要件を満たす実施例1〜10の複合樹脂成形品は、表層材と基材との密着性、耐衝撃剥離性、耐ヒートサイクル性に優れている。また、複合樹脂成形品として外観も良好で、成形不良もなく優れている。
Figure 2009137159
表2より、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量が請求項1の要件を満たさない比較例1〜4の複合樹脂成形品は、表層材と基材との密着性、耐衝撃剥離性、耐ヒートサイクル性も低く、実用性は非常に低い。また、サージングが発生し、安定成形できず賦形不良があり、その外観には転写ムラも発生した。
ポリスチレン系樹脂(I)及びシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)の配合比率が請求項1の要件を満たさない、比較例5、6の複合樹脂成形品は、成形品外観、密着性は、良好なものの、耐衝撃剥離性、耐ヒートサイクル性が劣るため、製品品質や実用性に欠ける。また、比較例5、6については、耐ヒートサイクル性試験により剥がれの発生が見られ、環境影響があることが分かる。
シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量及び、ポリスチレン系樹脂(I)及びシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)の配合比率が請求項1の要件を満たさない比較例7は、表層材と基材との密着性、耐衝撃剥離性、耐ヒートサイクル性も低く、実用性は非常に低い。また、サージングの発生が発生し若干の転写ムラが見られた。
比較例8はポリスチレン系樹脂(I)のみで基材を形成しており、発泡等の外観には優れるが、表層材と基材との密着性、耐衝撃剥離性、耐ヒートサイクル性が低く、実用性は非常に低い。
シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)中のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量が請求項1の要件を満たさない比較例9は、成形品外観は良好であるが、表層材と基材との密着性、耐衝撃剥離性、耐ヒートサイクル性も低く、実用性は非常に低い。おそらく、基材のポリスチレン系樹脂(I)とシアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)とが良好に混ざるため、見かけ上、発泡等の外観には優れるが、表層材と基材との密着性が無いために、耐衝撃剥離性、耐ヒートサイクル性が低く、実用性が低いことが分かる。
以上の実施例及び比較例から、本願発明の複合樹脂成形品は、表層材を形成する熱可塑性樹脂(IV)と、基材を形成する樹脂組成物(III)との密着性が優れていることがわかる。

Claims (7)

  1. 基材と、基材の表面の少なくとも一部に形成された熱可塑性樹脂(IV)による表層材とを有する複合樹脂成形品であって、
    前記基材が、ポリスチレン系樹脂(I)90〜10質量部と、シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)10〜90質量部とを含有する樹脂組成物(III)から形成され、
    前記シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)のアセトン可溶分中のシアン化ビニル化合物単位の含有量が1〜15質量%である複合樹脂成形品。
  2. シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)が、アクリロニトリル単位及び/又はメタクリロニトリル単位を含む、請求項1記載の複合樹脂成形品。
  3. シアン化ビニル化合物‐芳香族ビニル化合物系重合体(II)が、スチレン単位及び/又はα‐メチルスチレン単位を含む、請求項1又は2に記載の複合樹脂成形品。
  4. ポリスチレン系樹脂(I)が、ポリスチレン重合体及び/又はハイインパクトポリスチレン樹脂を含む、請求項1〜3いずれか記載の複合樹脂成形品。
  5. ポリスチレン系樹脂(I)が、リサイクル品である、請求項4記載の複合樹脂成形品。
  6. 熱可塑性樹脂(IV)が、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン系樹脂、アクリレート‐スチレン‐アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル‐エチレンプロピレンジエン‐スチレン系樹脂よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜5いずれか記載の複合樹脂成形品。
  7. 射出成形または押出成形によって形成された、請求項1〜6いずれか記載の複合樹脂成形品。
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