JP2009126872A - アクリルエマルジョン組成物 - Google Patents

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銀平 鈴木
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Abstract

【課題】保存可能な期間が十分に長いアクリルエマルジョン組成物を提供する。
【解決手段】(A)(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構造単位を含む共重合体と、(B)前記(A)共重合体100質量部に対して、1.0×10−3〜5.0×10−2質量部配合される2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、(C)前記(A)共重合体100質量部に対して、2.0×10−4〜1.0×10−2質量部配合される2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、を含有するアクリルエマルジョン組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリルエマルジョン組成物に関する。更に詳しくは、腐敗しにくく保存安定性に優れるアクリルエマルジョン組成物に関する。
従来、紙などの基材の一面に粘着層が形成された粘着性のラベル、テープ、シートなどが知られている。これらのラベル、テープ、シートなどの粘着層は、水溶性の接着剤などによって形成されるものであり、この水溶性の接着剤としては、アクリルエマルジョンを主成分とするものが多数知られている。例えば、共重合体エマルジョンに両性界面活性剤と可塑剤とを配合した粘着剤組成物(例えば、特許文献1参照)が報告されている。
特公昭62−47463号公報
しかしながら、特許文献1に記載の組成物は、長期貯蔵中に、バクテリアやカビ等(以下、「菌」と記す場合がある)が繁殖し、変質や腐敗が生じていた。変質や腐敗が生じると、粘度が低下したり、異臭が発生したりするため、その品質を著しく損なうという問題があった。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、腐敗しにくく、保存可能な期間が十分に長い、即ち、保存安定性に優れたアクリルエマルジョン組成物を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを所定量含有させることにより、互いの効果が相乗的に発揮される、即ち、経時的に上記化合物が減少することが抑制されるため、上記課題を解決することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明により、以下のアクリルエマルジョン組成物が提供される。
[1] (A)(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構造単位を含む共重合体と、(B)前記(A)共重合体100質量部に対して、1.0×10−3〜5.0×10−2質量部配合される2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、(C)前記(A)共重合体100質量部に対して、2.0×10−4〜1.0×10−2質量部配合される2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、を含有するアクリルエマルジョン組成物。
[2] 前記(A)共重合体が、芳香族ビニル単量体に由来する構造単位を更に含む前記[1]に記載のアクリルエマルジョン組成物。
[3] 前記(C)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと前記(B)2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの配合比((C):(B))が、質量比で、1:2〜1:50である前記[1]または[2]に記載のアクリルエマルジョン組成物。
本発明のアクリルエマルジョン組成物は、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを所定量にて含有することによって、互いの効果が相乗的に発揮されるため、腐敗しにくく長期保存安定性に優れるという効果を奏するものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
[1]アクリルエマルジョン組成物:
本発明のアクリルエマルジョン組成物の一実施形態は、(A)(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構造単位を含む共重合体(以下、「(A)成分」と記す場合がある)と、(B)前記(A)共重合体100質量部に対して、1.0×10−3〜5.0×10−2質量部配合される2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、「(B)成分」と記す場合がある)と、(C)前記(A)共重合体100質量部に対して、2.0×10−4〜1.0×10−2質量部配合される2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、「(C)成分」と記す場合がある)と、を含有するものである。
このように、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを組み合わせて、それぞれ、所定量にて使用することによって、本実施形態のアクリルエマルジョン組成物は、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンが含有されることによって、腐敗しにくく、優れた保存安定性を有する。また、貯蔵中に、バクテリアやカビ等によって(A)成分が分解されることに起因してアクリルエマルジョンの粘度が低下することを防止することができる。
[2](A)成分:
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物に含有される(A)成分は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む共重合体である。このように(A)成分が(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含むものであるため、例えば、接着剤として使用した際に良好な接着性を発揮する。
(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を構成するための(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタアクリレート、アミルアクリレート、アミルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル単量体、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートが好ましい。2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートであると、得られる(A)成分のガラス転移点が低下するため、粘着力及びタックが向上するという利点がある。なお、これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有率は、全構造単位に対して、80〜99質量%であることが好ましく、85〜99質量%であることが更に好ましく、90〜98質量%であることが特に好ましい。上記含有率が80質量%未満であると、粘着力及びタックが低下するおそれがある。一方、99質量%超であると、凝集力が低下するおそれがある。
(A)成分は、更に、芳香族ビニル単量体に由来する構造単位を含む共重合体であることが好ましい。芳香族ビニル単量体に由来する構造単位を含むことによって、(A)成分は、接着剤として使用した際に更に良好な接着性を発揮する。
芳香族ビニル単量体に由来する構造単位を構成するための芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸、これらのナトリウム塩等を挙げることができる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。スチレン、α−メチルスチレンであると、得られる(A)成分の凝集力が向上するという利点がある。なお、これらの芳香族ビニル単量体は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
芳香族ビニル単量体に由来する構造単位の含有率は、全構造単位に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%であることが更に好ましく、0.5〜3質量%であることが特に好ましい。上記含有率が0.1質量%未満であると、凝集力が低下するおそれがある。一方、10質量%超であると、粘着力及びタックが低下するおそれがある。
(A)成分は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、及び芳香族ビニル単量体に由来する構造単位以外に、その他の単量体に由来する構造単位を更に含有することができる。
その他の単量体に由来する構造単位を構成するためのその他の単量体としては、上記(メタ)アクリル酸エステル及び上記芳香族ビニル単量と共重合可能なものであれば特に制限はないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド系単量体等を挙げることができる。これらの中でも、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。アクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸であると、凝集力が向上するという利点がある。なお、これらのその他の単量体は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
その他の単量体に由来する構造単位の含有率は、全構造単位に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることが更に好ましく、0.5〜3質量%であることが特に好ましい。上記含有率が0.1質量%未満であると、凝集力が低下するおそれがある。一方、10質量%超であると、粘着力及びタックが低下するおそれがある。
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物に含有される(A)成分は、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、及び、必要に応じてその他の単量体(以下、これらを総じて「単量体混合物」と記す場合がある)を水中で、乳化剤を用いて乳化することによりプレエマルジョンを得、得られるプレエマルジョンを不活性雰囲気下で重合開始剤及び分子量調節剤によって重合処理して得られるエマルジョン中に分散した状態で得ることができる。
乳化剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤を用いることができる。乳化剤の使用割合は、単量体混合物に対して、0.2〜7質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましく、0.7〜5質量%であることが特に好ましい。上記使用割合が0.2質量%未満であると、機械的安定性が低下するおそれがある。一方、7質量%超であると、タックが低下するおそれがある。この乳化剤の種類、使用割合を適宜選択することにより、目的とする大きさの数平均粒子径を有する(A)成分を含むエマルジョンを得ることができる。乳化重合温度は、5〜85℃であることが好ましく、35〜80℃であることが更に好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化物類などを用いることができる。重合開始剤の使用割合は、単量体混合物に対して、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることが更に好ましく、0.1〜1質量%であることが特に好ましい。上記使用割合が0.01質量%未満であると、反応活性が低下するおそれがある。一方、5質量%超であると、粒子径のコントロールが困難となるおそれがある。
分子量調節剤としては、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル、イソプロピルアルコール、メタノール、四塩化炭素などを用いることができる。これらの分子量調節剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。分子量調節剤の使用割合は、単量体混合物に対して、0.001〜0.5質量%であることが好ましく、0.003〜0.3質量%であることが更に好ましく、0.005〜0.1質量%であることが特に好ましい。上記使用割合が0.001質量%未満であると、粘着力が低下するおそれがある。一方、0.5質量%超であると、凝集力が低下するおそれがある。この分子量調節剤の種類、使用割合を適宜選択することにより、所望の大きさの数平均分子量を有する(A)成分を含むエマルジョンを得ることができる。なお、上記プレエマルジョンには、必要に応じて、消泡剤、増粘剤、防腐剤などの添加剤を加えることができる。
重合処理は、種々の手段により行うことができるが、上記プレエマルジョンを反応器に連続的にまたは間欠的に供給しながら単量体混合物の重合反応を完結させることが好ましい。なお、乳化重合における重合転化率は、99〜100質量%であることが好ましい。
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物に含有される(A)成分は、そのガラス転移温度が、−90〜−50℃であることが好ましく、−80〜−60℃であることが更に好ましい。上記ガラス転移温度が−90℃未満であると、粘着力及びタックが低下するおそれがある。一方、−50℃超であると、凝集力が低下するおそれがある。
ここで、本明細書において「ガラス転移温度」とは、(A)成分を含むエマルジョンによってフィルムを作製し、このフィルムを50℃で2時間真空乾燥を行い、乾燥させたフィルムについて、示差走査熱量計を用いてASTM法に準じて測定した値である。ガラス転移温度を測定するための装置としては、例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の「DSC−6200型」を使用することができる。
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物に含有される(A)成分は、その数平均粒子径が、100〜500nmであることが好ましく、150〜450nmであることが更に好ましく、180〜400nmであることが特に好ましい。数平均粒子径が100nm未満であると、機械的安定性が低下するおそれがある。一方、数平均粒子径が500nm超であると、密着性が低下するおそれがある。ここで、本明細書において「数平均粒子径」とは、光散乱法によって測定した値である。数平均粒子径を測定するための装置としては、例えば、大塚電子社製の濃厚系粒径アナライザー「FPAR−1000」を使用することができる。
[3](B)成分:
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物に含有される(B)成分は、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンであり、この2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンは、(A)共重合体((A)成分)100質量部に対して、1.0×10−3〜5.0×10−2質量部配合されるものである。(B)成分は、バクテリアやカビ等の繁殖を抑制する作用を有するものである。
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの配合量は、(A)成分100質量部に対して、1.0×10−3〜5.0×10−2質量部であり、2.0×10−3〜4.0×10−2質量部であることが好ましく、4.0×10−3〜3.0×10−2質量部であることが更に好ましい。上記配合量が1.0×10−3質量部未満であると、防腐効果が十分に得られず菌が繁殖し、アクリルエマルジョンが腐敗する。一方、5.0×10−2質量部超であると、アクリルエマルジョンが発泡しやすくなり、取り扱いが困難となる。
[4](C)成分:
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物に含有される(C)成分は、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンであり、この2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンは、(A)共重合体((A)成分)100質量部に対して、2.0×10−4〜1.0×10−2質量部配合されるものである。(C)成分は、バクテリアやカビ等を殺菌する作用を有するものである。
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンの配合量は、(A)成分100質量部に対して、2.0×10−4〜1.0×10−2質量部であり、3.0×10−4〜0.8×10−2質量部であることが好ましく、4.0×10−4〜0.7×10−2質量部であることが更に好ましい。上記配合量が2.0×10−4質量部未満であると、貯蔵中のアクリルエマルジョンにカビが増殖する。一方、1.0×10−2質量部超であると、アクリルエマルジョンが発泡しやすくなり、取り扱いが困難となる。
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物は、(A)成分を含有するものであり、所定量の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、所定量の2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを組み合わせて用いることに特徴がある。即ち、(B)成分は、アクリルエマルジョン組成物中に存在するバクテリアやカビ等の繁殖を抑制する効果が良好であるため、長期間の防腐効果が持続される。従って、悪臭の発生、アクリルエマルジョン組成物の変色を伴う腐敗を抑制することができる。(C)成分はアクリルエマルジョン組成物中、及び大気に曝されるアクリルエマルジョン組成物表面のバクテリアやカビ等を殺菌することができるため、バクテリアやカビ等の繁殖を防止することができる。また、(B)成分及び(C)成分を併用することによって、防腐効果及び殺菌効果が相乗的に発揮され、(B)成分または(C)成分を単独で使用する場合に比べて、長期間保存することができるという利点がある。
ところで、従来、スチレン・ブタジエン共重合体に、1,2−ベンゾチアゾロン−3−オン、5−クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを添加して得られる組成物が知られている(例えば、特公平7−037362号公報)。しかし、この組成物は、貯蔵可能期間が十分ではないことに加え、(A)成分と、1,2−ベンゾチアゾロン−3−オンと、5−クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを混合して得られる組成物は、貯蔵中に上記組成物中の各活性成分が分解するため、貯蔵中に防腐効果が低下するという問題があった。
一方、本発明のアクリルエマルジョン組成物に配合される2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンは、貯蔵中に分解し難いため、即ち、経時的に減少し難いため、菌が繁殖することを長期間抑制し、腐敗による品質の劣化を生じさせ難い。そのため、本発明のアクリルエマルジョン組成物は、長期間保存した後であっても、例えば、粘着性のラベル、テープ、シートなどの粘着層として良好に使用することができる。
(C)成分と(B)成分との配合比((C):(B))は、質量比で、1:1〜1:40であることが好ましく、1:3〜1:20であることが更に好ましく、1:6〜1:15であることが特に好ましい。上記配合比において(C)成分1質量部に対して(B)成分が1質量部未満であると、貯蔵中のアクリルエマルジョンが腐敗するおそれがある。一方、上記配合比において(C)成分1質量部に対して(B)成分が40質量部超であると、(C)成分の効果が損なわれ、貯蔵中のアクリルエマルジョンにカビが発生するおそれがある。
なお、(B)成分と(C)成分とを含む市販品としては、例えば、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の「ロシマ 553」などを挙げることができる。
[5]その他の殺菌剤・防腐剤:
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物には、(B)成分及び(C)成分以外に、2−ブロモ−2−ニトリロプロパン−1,3−ジオール(ブロノポール)、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−メルカプトピリジン−N−オキシドNa塩、過酸化水素水などの殺菌剤や1,2−ベンゾイソチアゾリン−3オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3オン、ブロモニトロアルコール、クロルアセトアミドなどの防腐剤を使用することができる。これらの中でも、2−ブロモ−2−ニトリロプロパン−1,3−ジオール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3オンが好ましく、これらを使用することによって、更に長期保存が可能になるという利点がある。
[6]その他の添加剤:
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物には、(A)〜(C)成分、及びその他の殺菌剤・防腐剤以外に、安定剤などの添加剤(その他の添加剤)を含有することができる。安定剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを挙げることができる。これらは単独で、または、2種以上を併用して使用できる。
更に、本実施形態のアクリルエマルジョン組成物は、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、トリポリ燐酸ナトリウム等を含有することができる。
本実施形態のアクリルエマルジョン組成物は、pHが5.0〜12.0であることが好ましく、6.0〜10.0であることが更に好ましく、6.5〜9.5であることが特に好ましい。上記pHが5.0未満であると、機械的安定性が低下するおそれがある。一方、pHが12.0超であると、粘度が高くなって作業性が低下するおそれがある。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。実施例、比較例中のガラス転移温度及び数平均粒子径の測定は、下記の方法により行った。
[ガラス転移温度]:
(A)成分を含むエマルジョンによって薄膜を形成した後、50℃で2時間真空乾燥を行い、フィルムを作製した。このフィルムについて、示差走査熱量計(「DSC−6200型」、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いてASTM法に準じてガラス転移温度を測定した。
[数平均粒子径]:
(A)成分の数平均粒子径を、大塚電子社製の濃厚系粒径アナライザー「FPAR−1000」にて測定した。
(実施例1)
まず、2−エチルヘキシルアクリレート94部と、アクリロニトリル3部と、アクリル酸1部と、N−メチロールアクリルアミド2部とからなる単量体混合物を調製した。次に、攪拌装置、温度調節器および還流式冷却器を備えたオートクレーブ内に、水40部と、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.4部とを仕込み、70℃に昇温した。このオートクレーブ内に、上記単量体混合物100部と、分子量調節剤としてn−ブチルメルカプタン0.02部と、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル1部と、水60部とを添加し、攪拌して乳化させてプレエマルジョンを調製した。調製したプレエマルジョンを上記オートクレーブから取り出し、その全量を80℃の別のオートクレーブ内に3時間かけて連続的に供給、攪拌し、その後、80℃で2時間半攪拌して重合反応を行った。このようにして、2−エチルヘキシルアクリレートに由来する構造単位と、アクリロニトリルに由来する構造単位と、アクリル酸に由来する構造単位と、N−メチロールアクリルアミドに由来する構造単位とからなる共重合体((A)共重合体)を含むエマルジョン(アクリル系エマルジョン)を得た。得られたアクリル系エマルジョンの固形分濃度は50%であり、上記共重合体の数平均粒子径は300nmであり、ガラス転移温度は−64℃であった。配合処方は表1に示す。
Figure 2009126872
得られたアクリル系エマルジョン(固形分)100部に対して、(B)成分として2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商品「コーデック 50C」、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製)を400×10−4部、及び(C)成分として2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商品「レバナックスBS−50」、昌栄化学社製)を10×10−4部を添加して、アクリルエマルジョン組成物を調製した。このようにして調製したアクリルエマルジョン組成物について、以下に示す方法によって、殺菌性、及び***試験の評価を行った。
[殺菌性]
本実施例で得られたアクリルエマルジョン組成物に、添加後の菌数が10個/mlとなるように、菌液を添加し、48時間、40℃に置いた後の、アクリルエマルジョン組成物中の菌数を測定して殺菌性の評価を行った。なお、菌液は、予め、得られたアクリルエマルジョン組成物に指標菌としてcomamonas acidovoransを添加し、腐敗させ、所定の菌数としたアクリルエマルジョン組成物を用いた。評価基準は、菌数が10個/ml未満である場合を「○」とし、菌数が10個/ml以上で10個/ml未満である場合を「△」とし、菌数が10個/ml超である場合を「×」とした。なお、菌数の測定は、市販の「イージーカルトTTC」(Orion Diagnostica社製:フィンランド)を用い、28℃で48時間恒温器内で培養した後、コロニー数を観察して行った。
[***試験]
本実施例で得られたアクリルエマルジョン組成物100gに、指標菌としてcomamonas acidovoransを用い、その菌数が10個/mlのアクリル系エマルジョン20gを1週間毎に繰り返して添加した。添加後、48時間後の、アクリルエマルジョン組成物中の菌数を測定して***試験の評価を行った。評価基準は、繰り返し添加5回(5週間経過後)の菌数が10個/ml以下である場合を「○」とし、繰り返し添加2〜4回(2〜4週間経過後)の菌数が10個/ml以下である場合を「△」とし、1回(1週間経過後)の菌数が10個/ml以上である場合を「×」とした。なお、菌数の測定は、上記[殺菌性]の評価と同様にして行った。
本実施例のアクリルエマルジョン組成物は、殺菌性の評価が○であり、***試験の評価が○であった。
(実施例2〜4、比較例1〜4)
表2に示す配合処方とした以外は、実施例1と同様にしてアクリルエマルジョン組成物を調製し、調製したアクリルエマルジョン組成物について、殺菌性、及び***試験の評価を行った。
Figure 2009126872
実施例1〜4のアクリルエマルジョン組成物は、いずれも、殺菌性、及び***試験に優れることが確認できた。一方、比較例1のアクリルエマルジョン組成物は、(B)成分及び(C)成分の添加量が所定の範囲外であるため、殺菌性及び***試験の結果が劣ることが確認できた。比較例2,3のアクリルエマルジョン組成物は、(B)成分及び(C)成分をそれぞれ単独を使用したものであり、比較例2のアクリルエマルジョン組成物は、***試験が劣り、比較例3のアクリルエマルジョン組成物は、殺菌性が劣ることが確認できた。比較例4のアクリルエマルジョン組成物は、(B)成分及び(C)成分以外の成分を添加しているため、***試験の結果が劣ることが確認できた。
表2から明らかなように、実施例1〜4のアクリルエマルジョン組成物は、比較例1〜4のアクリルエマルジョン組成物に比べて、腐敗しにくく、十分な期間の保存が可能であることが確認できた。
本発明のアクリルエマルジョン組成物は、粘着層を備えたラベル、テープ、シートなどの、粘着層を形成するための材料として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. (A)(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構造単位を含む共重合体と、
    (B)前記(A)共重合体100質量部に対して、1.0×10−3〜5.0×10−2質量部配合される2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、
    (C)前記(A)共重合体100質量部に対して、2.0×10−4〜1.0×10−2質量部配合される2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、
    を含有するアクリルエマルジョン組成物。
  2. 前記(A)共重合体が、芳香族ビニル単量体に由来する構造単位を更に含む請求項1に記載のアクリルエマルジョン組成物。
  3. 前記(C)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと前記(B)2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの配合比((C):(B))が、質量比で、1:2〜1:50である請求項1または2に記載のアクリルエマルジョン組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013129739A (ja) * 2011-12-21 2013-07-04 Toagosei Co Ltd 水性重合体エマルション組成物の製造方法
WO2021065823A1 (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 株式会社大阪ソーダ アクリルエマルジョン

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